JP2007175671A - 燃焼灰から鉛を脱離させる方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉛成分を含有する燃焼灰から鉛成分を脱離させて、環境に悪影響を及ぼすことなく、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土、砂礫等の土壌用途に利用することが可能である燃焼灰を得ることができる処理方法を提供する。
【解決手段】
鉛成分を含有する燃焼灰に、あらかじめコーンスターチ、ポテトスターチ、サツマイモ澱粉、タピオカ澱粉、麦澱粉、米澱粉を含む澱粉類、及び物理的及び/又は化学的に加工された澱粉類、並びに澱粉類を含む材料から選ばれる1種又は複数種の澱粉類を添加した後、加熱処理を行って燃焼灰から鉛成分を脱離させることを特徴とする、燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、鉛を含有する燃焼灰の鉛成分の含有量を低減するための処理方法に関する。より詳細には、本発明は、燃焼灰に含まれる土壌汚染対策法の規制対象物質である鉛成分を燃焼灰から脱離させて燃焼灰を無害化するとともに、鉛成分を回収して再資源化するための燃焼灰の処理方法に関する。
燃焼炉やボイラから発生する燃焼灰には鉛成分が含まれるものがあり、特に、市町村の一般廃棄物焼却炉や廃棄物固形化燃料を使用するボイラ等から発生する燃焼灰には鉛成分の含有量が高いものがある。これらの鉛成分は、廃プラスチック、石炭、廃電池、電機器具、一般ゴミ由来で燃焼灰中に含まれているため、燃焼灰をそのまま埋め立て用等として処理できなかった。中でも、飛灰には、フッ素やホウ素に加えて、重金属類として鉛が多く含まれているので、環境保全の目的で、飛灰中に含まれるフッ素やホウ素、及び鉛で代表される重金属類が飛灰から溶出することを抑制するための技術が種々開発されてきている。
従来提案されている鉛の溶出抑制や不溶化の技術を例示すれば、リン酸塩、キレート剤、水硫化ナトリウム、炭酸ガス等を燃焼灰に混合する薬剤処理法や、セメント等を使用して燃焼灰を固形化する固形化法があり、また、燃焼灰を酸洗浄する洗浄処理方法や燃焼灰を1300℃以上の高温で熔融する熔融処理法等が挙げられる。
燃焼灰の処理基準としては、管理型処分場へ埋め立て処分する場合は、溶出抑制処理を行った燃焼灰が、昭和48年環境庁告示第13号(以下、環告13号試験と称す)に規定される溶出試験法による、鉛等の特別廃棄物埋立管理基準を充足するものであることが要求される。
一方、燃焼灰を、土壌用途に有効利用する場合は、上記の環告13号試験でなく、平成15年環境省告示18号で規定される土壌溶出量試験法に従い、平成3年環境省告示46号(以下、環告46号試験と称す)に示される土壌の汚染に係わる環境基準を満たし、なお且つ、平成15年環境省告示第19号(以下、環告19号試験と称す)で規定される土壌含有量試験法で、土壌含有基準を充足することが要求される。すなわち、処理した燃焼灰を管理型処分場へ埋め立て処分する場合と、土壌用途に有効利用する場合とでは、両者に要求される基準が全く異なる。
燃焼灰を埋め立て処分する場合の上記環告13号試験の溶出条件は、溶媒としてpH5.8〜6.3の水に、溶出抑制処理した燃焼灰試料を固液比10%(w/v)で混合し、6時間振盪溶出するというものであり、鉛の溶出基準値は0.3mg/Lである。
一方、燃焼灰を土壌用途に有効利用する場合の上記環告46号試験の溶出条件は、同じく、溶媒としてpH5.8〜6.3の水に、溶出抑制処理した燃焼灰試料を固液比10%(w/v)で混合し、6時間振盪溶出するというものである点では差異はないが、鉛の溶出基準値は0.01mg/Lであり、埋め立て処分と比較して30倍厳しい基準である。更に、燃焼灰を土壌用途に利用する場合の上記環告19号試験の鉛の含有量試験は、溶媒として1N塩酸を使用し、溶出抑制処理した燃焼灰試料と固液比3%(w/v)で混合し、振盪溶出するというものであり、鉛の含有基準値は150mg/kgである。
即ち、環告19号試験で使用される1N塩酸は、強酸性の溶媒であるため、環告13号試験及び環告46号試験で使用されるpH5.8〜6.3の水に比較して、鉛等の重金属類は極めて溶出され易い。それ故に、鉛含有量の多い燃焼灰について、上記の環告19号試験による鉛の濃度を低減し、鉛の土壌含有基準を充足する為には高度なレベルの溶出抑制技術が要求される。
燃焼灰の溶出基準を充足するための鉛の不溶化の技術としては、燐酸塩による不溶化、水硫化ナトリウムによる硫化物化することによる不溶化、ジチオカルバミン酸系等のキレート剤による不溶化、鉄質風化火山灰による不溶化等、多様な不溶化技術の研究が既に提案されているので、本発明者等は、鉛を含む燃焼灰についてこれらの技術を応用して燃焼灰を処理し、環告19号試験の含有量試験で鉛濃度の試験を行ったが、鉛の低減効果は全く認められなかった。即ち、環告13号試験による鉛の溶出試験、及び環告46号試験による鉛の溶出試験に供する為の燃焼灰の溶出抑制技術は、環告19号試験による含有量試験で鉛濃度を低減させる技術に応用できないのが現状である。
一方、燃焼灰を1,300℃以上の高温で処理する熔融処理法は、燃焼灰の大幅な減量化、ダイオキシンの低減及び鉛等の重金属の低減効果がある。しかし、この熔融処理技術にはコストとメインテナンスの面で解決しなければならない課題がある。特開2000−279919号公報(特許文献1)には、重金属を含む焼却灰に、クロムの6価への酸化を防止する目的で、還元剤(コークスや微粉炭)を添加し、燃焼灰の融点以下で、低沸点重金属を揮発飛散させるに十分な温度(500〜1,300℃)で焙焼加熱する工程によるか、6価クロムの溶出を防止する目的でベントナイトを添加し、燃焼灰の融点以下で、低沸点重金属を揮発飛散させるに十分な温度で焙焼加熱する工程により、焙焼加熱後に重金属防止策を不要とする焼却灰の資源化方法が開示されている。
しかし、コークスや微粉炭等の還元剤やベントナイトを添加する手段により、焼却灰の資源化の際に、重金属防止策が不要との記載はあるが、そのまま資源化できることを示す分析値が記載されているわけではないし、仮に、一旦は燃焼灰を無害化できたとしても、重金属は依然としてそのまま燃焼灰中に留まっているので、時間経過とともに再溶出する可能性が排除されているわけでもない。
また、特開2001−132930号公報(特許文献2)には、重金属を含む焼却灰を、燃焼灰の融点以下で、低沸点重金属を揮発飛散させるに十分な温度(500〜1,300℃)で焙焼加熱する工程において、還元剤(コークス、細粒炭、廃棄物炭化物もしくはこれらの複合体)を添加して焙焼加熱することにより重金属をほぼ単体状態もしくは還元により無害化した状態で分離、回収する焼却灰の資源化方法、鉄化合物(第一酸化鉄、第二酸化鉄、硫酸鉄)を添加して焙燃加熱することにより重金属類をフェライト化合物とし、磁力選別して分離、回収する焼却灰の資源化方法、及び酸素不足還元雰囲気下で焙焼加熱することにより重金属をほぼ単体状態もしくは還元して無害化した状態で分離、回収する焼却灰の資源化方法が開示されている。
上記のような、還元剤又は鉄化合物を添加して焙焼加熱する手段や酸素不足還元雰囲気下で焙焼加熱する手段は、焼却灰の資源化の際に重金属による環境汚染をもたらさないとされているが、焙焼加熱後の灰の性状に関する分析値は記載されていないし、燃焼灰に鉄化合物を添加して焙焼加熱することによって重金属類をフェライト化合物としても、重金属類は依然として焼却灰中に留まっているので、時間経過に伴って再溶出する可能性がある。
また、本田裕姫他、日本機械学会第12回環境工学総合シンポジウム2002講演論文集pp236−238(2002)、「焼却灰再資源化システム(焙焼炉)の開発」(非特許文献1)には、焼却灰中の鉛の溶出抑制に関し、溶出し易い塩化鉛の沸点である950℃より更に高温である1,050℃で焙焼加熱することにより、環告46号法による溶出試験で、鉛の土壌環境基準である0.01mg/Lを充足できることが開示されている。しかし、この技術では、燃焼灰に含有される鉛は、わずか30%が揮発飛散させ得るに過ぎず、70%は残存するので鉛の含有量低減に関しては問題が残る。
中川武志他、第15回 廃棄物学会研究発表会講演論文集、pp748−750(2004)、「焙燃灰再資源化用途の開発」(非特許文献2)は、試験室の管状電気炉を使用し、焼却灰を1,050℃で加熱処理する際に、塩化水素あるいはトリクロロエチレンを添加する技術で、環告19号試験の含有量試験による鉛濃度を低減する方法を開示している。この文献には、鉛含有量778mg/kgの無処理灰を、塩酸1,200ppmの添加濃度で処理した場合、約250mg/kgに低減できることが開示されているが、含有される鉛の約2/3は揮発飛散させ得るが、1/3は残存するように、鉛の含有量低減に関してはまだ問題がある。更に、この技術で使用する塩化水素やトリクロロエチレンは、塩素による設備の腐食、PRTR(環境汚染物質排出移動登録)対象物質、及び作業環境の観点から、自然環境及び労働環境に配慮した薬品とはいえない。
藤井泰彦他、化学工学論文集、29巻、5号、pp601−606(2003)、「都市ごみ焼却炉の排ガス中への酸化鉄触媒噴射による排ガス及び飛灰中ダイオキシン類濃度の低減ならびに飛灰中重金属のフェライト化による溶出防止」(非特許文献3)には、都市ごみ焼却炉の飛灰に酸化鉄を添加し、試験用のマッフル炉を使用し、600℃で加熱処理することにより、環告13号試験による溶出試験で、鉛の特別廃棄物埋立管理基準である0.3mg/Lを充足できることが開示されているが、環告19号試験の含有量試験の鉛の低減効果に関しての記載はない。
特開2000−279919号公報 特開2001−132930号公報 本田裕姫他、日本機械学会第12回環境工学総合シンポジウム2002講演論文集pp236−238(2002)、「焼却灰再資源化システム(焙焼炉)の開発」 中川武志他、第15回 廃棄物学会研究発表会講演論文集、pp748−750(2004)、「焙燃灰再資源化用途の開発」 藤井泰彦他、化学工学論文集、29巻、5号、pp601−606(2003)、「都市ごみ焼却炉の排カ゛ス中への酸化鉄触媒噴射による排ガス及び飛灰中ダイオキシン類濃度の低減ならびに飛灰中重金属のフェライト化による溶出防止」
本発明は、燃焼灰を土壌用途で、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土等の土木用資材の用途に有効利用することで新たな循環系を構築し、社会に貢献するため、鉛成分を含む燃焼灰から鉛成分を脱離し、鉛成分の含有量を低減する方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、鉛成分を含む燃焼灰から鉛成分を脱離させ、土壌含有基準を充足する燃焼灰をえるために、鉛成分を含む燃焼灰にあらかじめ澱粉類を添加し、混合した後、加熱処理することにより、燃焼灰の含有量試験による鉛濃度を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、本発明者らは、揮発飛散せしめた鉛をpH酸性液で冷却、洗浄することによって回収できることも見出した。本発明は以下の各発明を包含する。
(1)鉛成分を含有する燃焼灰に、あらかじめ澱粉類を添加した後、加熱処理を行って焼却灰から鉛成分を脱離させることを特徴とする、燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
(2)前記澱粉類が、コーンスターチ、ポテトスターチ、サツマイモ澱粉、タピオカ澱粉、麦澱粉、米澱粉を含む澱粉類、及び物理的及び/又は化学的に加工された澱粉類、並びに澱粉類を含む材料から選ばれる1種又は複数種である(1)項記載の燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
(3)前記澱粉類を、鉛成分を含有する燃焼灰100質量部に対して0.1〜50質量部となる量で添加することを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
(4)前記燃焼温度が600℃以上、好ましくは850℃以上である(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
(5)前記脱離せしめた鉛成分を含有する排ガスを酸性水溶液で冷却、洗浄して鉛成分を回収することを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
石炭、廃タイヤ、廃棄物固形化燃料、木屑等を燃料とするボイラ及び廃棄物の焼却炉から排出される鉛成分を含有する燃焼灰に関して、その土壌含有量試験による鉛の濃度を低減する方法は、従来の技術では完成していなかったが、本発明によれば、上記鉛成分を含有する燃焼灰にあらかじめ澱粉類を添加、混合した後、加熱処理するという方法により、土壌含有量試験による鉛濃度を低減せしめた燃焼灰を簡単かつ確実に得ることが可能となった。
そして、本発明の方法で得られる土壌含有基準を充足する燃焼灰は、環境に悪影響を及ぼすことなく、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土、砂礫等の土壌用途に利用することが可能である。
また、燃焼灰に含まれていた鉛成分については、加熱処理によって燃焼灰から脱離し、揮発飛散して排ガス中に含まれるので、排ガスを冷却水中に導入し、脱離させた鉛成分を冷却水中に回収して鉛資源として有効利用することができ、工場周辺の環境汚染を引き起こすことがない。
本発明の方法で処理される燃焼灰は、鉛成分を含有する燃焼灰である。燃焼灰は、一般ゴミや雑芥、石炭等の廃棄物固形化燃料、廃プラスチック、廃タイヤ、木屑等を燃料とするときに多量に発生する。廃棄物固形化燃料の例としては、RDF(refuse derived fuel:ゴミ固形化燃料)やRPF(refuse paper and plastic fuel:廃紙及び廃プラスチックを原料とした固形化燃料)等が挙げられる。多くの場合、これらの燃料は混焼されるので、燃料や廃棄物の一部に鉛汚染があれば、その設備で発生する燃焼灰全てが鉛を含有することとなる。
ボイラ及び焼却炉の設備で排出される燃焼灰は、主灰と称される炉底灰、及びバグフィルタや電気集塵機で捕集される飛灰に分類されるが、設備により、いずれか一方又は両方の燃焼灰に鉛成分は含まれている。
本発明の方法では、鉛成分を含有する燃焼灰に各種澱粉類から選ばれる1種又は複数種を、燃焼灰に対して0.1質量%以上となる量で添加した後、加熱処理が行われる。 澱粉類の添加量には特に上限はないが、一般的な焼却灰については、50質量%となる量以下の量で十分である。また、0.1質量%に満たないと、焼却灰からの鉛の脱離効果が不十分となるおそれがある。
本発明の方法で使用される澱粉類としては、コーンスターチ、ポテトスターチ、サツマイモ澱粉、タピオカ澱粉、麦澱粉、米澱粉を含む澱粉、小麦粉、米粉、コーングリッツ、又は化学的及び/又は物理的に加工された澱粉、並びに澱粉を含む糟糠類を挙げることができる。化学的に加工された澱粉の例としては、酸化澱粉、酸変性澱粉、アセチル化澱粉等が挙げられ、また、物理的に加工された澱粉の例としては、アルファ化澱粉、デキストリン等が挙げられる。上記のいずれも、商業的に流通している商品を利用すればよい。これらの澱粉類は、1種又は複数種組み合わせて使用することができる。
澱粉類は、燃焼灰中の鉛成分との接触が良好であるほど鉛の脱離効果が大きいことから、燃焼灰と均一混合可能な状態のものであることが好ましい。通常は、粉体として使用することができるが、粒状、ペレット状等、任意の形状に成型されているものであってよい。
加熱処理は、燃焼灰に対して、澱粉類を0.1質量%となる量以上添加した混合物を600℃以上に加熱することによって行なわれる。600℃未満の温度では鉛の脱離効果が十分でなく、好ましくない。また、600℃を越えた温度となると鉛の脱離現象は急激に進行するが、1800℃を越えて加熱しても、加熱に要するコスト上昇に見合った効果の向上は期待できない。鉛成分は、各単独で加熱する場合、塩化鉛で950℃、鉛単体では1750℃まで加熱しなければ揮発しないが、本発明の方法によれば600℃という温度で焼却灰からの鉛成分の脱離が生起する。このような低い加熱温度で鉛の効果的な脱離が起こることの正確な理由は今後の研究を待たなければならないが、澱粉が加熱によって燃焼する際に触媒のような働きをして低い加熱条件での鉛の脱離を可能としているものと推察される。
本発明の方法において、好ましい加熱温度は、700〜1800℃であり、さらに好ましくは850℃〜1800℃である。
また、加熱時間は、加熱処理温度によって一定ではないが、本発明の方法の場合、比較的に低い加熱温度で鉛成分の脱離が起こるので、長時間の加熱処理は必要がなく、一般的には、1分〜60分の範囲で適宜選択される。
加熱装置としては、600℃以上に加熱でき、かつ、分離した鉛を回収できる装置を装備しているものであれば特に制限はない。
本発明の方法では、加熱処理によって焼却灰から分離された鉛成分を含む排ガスを冷却することによって鉛成分を回収する。鉛の回収方法としては、鉛成分を含有する排ガスを酸性水を使用した冷却洗浄装置であるスクラバで処理することが行われる。
本発明の方法で処理した焼却灰は、環告13号に規定される溶出試験法に従い、溶媒としてpH5.8〜6.3の水に、溶出抑制処理した燃焼灰試料50gを固液比10%(w/v)で混合し、6時間浸透溶出した場合の鉛の溶出基準値は0.3mg/L以下である。
また、燃焼灰を土壌用途に有効利用する場合の前記環告46号試験の溶出条件は、同じく、溶媒としてpH5.8〜6.3の水に、溶出抑制処理した燃焼灰試料を固液比10%(w/v)で混合し、6時間振盪溶出するものであり、その場合の鉛の溶出基準値は0.01mg/Lで、埋め立て処分と比較して30倍厳しい基準であるが、本発明の方法で処理した燃焼灰は、該基準をも問題なく充足するものである。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは代表例であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
鉛を含む燃焼灰として、表1に示す6種類の燃焼灰試料A〜Fを使用した。鉛濃度は、未処理の燃焼灰について、環告19号試験の土壌含有量試験に従い、溶出液を調製して測定した。具体的には、溶媒として300mlの1N塩酸に、未処理の燃焼灰9gを混合し、2時間振盪溶出した。その後、0.45μのメンブレンフィルタを使用して溶出液のろ液を調製し、ICP発光分光分析装置を使用して鉛の濃度を測定した。
表1に示すように、試料A〜Fの燃焼灰の全てが、鉛の基準値の150mg/kgを超過しており、土壌用途に有効利用するためには含有量試験による鉛濃度を低減する必要があるものであった。
Figure 2007175671
加熱処理は次の方法で行った。
試料として表1記載の燃焼灰Aを使用し、磁性ルツボに、燃焼灰100gとコーンスターチ〔王子コーンスターチ(株)製〕10gを加えたものと、なにも加えなかったものとについて、マッフル炉内で30分間、加熱温度を変えて加熱処理を施した。この際、各加熱処理温度段階から得られる加熱処理焼却灰の鉛含有量を表2に示す。表2の結果から、鉛の低減効果は約700℃で顕著になるが、加熱処理の無い場合の燃焼灰の鉛濃度が実質的に低減して基準値である150mg/kgの半分以下に到達する加熱温度が850℃であることが判明したので、各実施例等における加熱処理温度としては850℃を採用した。
Figure 2007175671
実施例1〜7、比較例1〜4
表1に記載した焼却灰Aについて、表3に記載したコーンスターチ〔王子コーンスターチ(株)製〕、ポテトスターチ(関東化学試薬)、タピオカスターチ〔王子コーンスターチ(株)製〕、エースA〔王子コーンスターチ(株)製、酸化澱粉〕、エースP400〔王子コーンスターチ(株)製、デキストリン〕の5種類の澱粉類を各添加部数(燃焼灰100質量部に対する部数)で添加し、加熱処理温度を850℃とし、加熱処理時間を30分として加熱処理を行った(実施例1〜7)。また、澱粉類を添加せずに加熱のみ行った場合と、加熱処理を行わなかった場合、及び澱粉類を0.1部添加した場合を比較例1〜4とした。
次いで、環告19号土壌含有量試験に従って、各実施例及び各比較例で得られた処理灰からの溶出液を調製し、鉛濃度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2007175671
実施例8〜10、比較例5〜8
表1に記載した燃焼灰Fについて、表4に記載した、コーンスターチ〔王子コーンスターチ(株)製〕、ポテトスターチ(関東化学試薬)、小麦粉(日本製粉(株)製)の3種類の澱粉類を各添加部数(燃焼灰100質量部に対する部数)で添加し、加熱処理温度850℃とし、加熱処理時間30分として加熱処理を行った(実施例8〜10)。
また、澱粉類を添加せずに加熱のみ行った場合と、加熱処理を行わなかった場合、及び澱粉類を0.1部添加した場合を比較例5〜8とした。
次いで、環告19号土壌含有量試験に従って、各実施例及び各比較例で得られた処理灰からの溶出液を調製し、鉛濃度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2007175671
実施例11〜14、比較例9〜16
表1に記載した焼却灰B,C,D、Eについて表5に記載したコーンスターチ〔王子コーンスターチ(株)製〕、ポテトスターチ(関東化学試薬)を各添加部数(燃焼灰100質量部に対する部数)で添加し、加熱処理温度850℃とし、加熱処理時間30分として加熱処理を行った(実施例11〜14)。また、澱粉類を添加せずに加熱のみ行った場合と、加熱処理を行わなかった場合を比較例9〜16とした。
次いで、環告19号土壌含有量試験に従って、各実施例及び各比較例かで得られた処理灰からの溶出液を調製し、鉛濃度を測定した。結果を表5に示す。

Figure 2007175671
各実施例及び比較例の結果から明らかなように、鉛成分を含有する各種燃焼灰に対して、各種澱粉類から選ばれる1種を燃焼灰に対して所定量添加して加熱処理を施すことにより、鉛成分の残存量が少なく、環告13号試験における基準をクリアする燃焼灰を得ることが可能となった。
本発明の方法により鉛を含有した各種燃焼灰を処理して、鉛の含有量試験による濃度を低減し、土壌含有基準を充足することとなった燃焼灰は、環境に悪影響なく、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土、砂礫等の土壌用途に利用することが可能となる。また、燃焼灰に含まれていた鉛については、燃焼灰から脱離し、揮発飛散して排ガスに含まれるので、排ガスを冷却処理して鉛を回収することにより、工場周辺の環境汚染を引き起こさず、「都市の鉱山」としての鉛資源となり有効利用できる。
さらに、澱粉類を添加し、加熱処理する方法の重要な利点として、処理後の重量増加がなく、添加物の影響がないことが挙げられる。すなわち、有機物である澱粉は850℃の加熱により完全に水と炭酸ガスになるため、添加物に起因して処理燃焼灰中に含まれる成分がないため、処理燃焼灰の用途が制限されることが少ない。

Claims (5)

  1. 鉛成分を含有する燃焼灰に、あらかじめ澱粉類を添加した後、加熱処理を行って燃焼灰から鉛成分を脱離させることを特徴とする、燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
  2. 前記澱粉類が、コーンスターチ、ポテトスターチ、サツマイモ澱粉、タピオカ澱粉、麦澱粉、米澱粉を含む澱粉類、及び物理的及び/又は化学的に加工された澱粉類、並びに澱粉類を含む材料から選ばれる1種又は複数種である請求項1記載の燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
  3. 前記澱粉類を、鉛成分を含有する燃焼灰100質量部に対して0.1〜50質量部となる量で添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
  4. 前記燃焼温度が600℃以上、好ましくは850℃以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
  5. 前記脱離せしめた鉛成分を含有する排ガスを酸性水溶液で冷却、洗浄して鉛成分を回収することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃焼灰からの鉛成分の脱離方法。
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