JPH10314698A - 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法 - Google Patents

重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法

Info

Publication number
JPH10314698A
JPH10314698A JP9141170A JP14117097A JPH10314698A JP H10314698 A JPH10314698 A JP H10314698A JP 9141170 A JP9141170 A JP 9141170A JP 14117097 A JP14117097 A JP 14117097A JP H10314698 A JPH10314698 A JP H10314698A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heavy metal
containing waste
waste
treatment
treating agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9141170A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Ikeda
浩一 池田
Meikai Shiraishi
明海 白石
Masayuki Kiyomoto
正之 清本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Kayaku Co Ltd filed Critical Nippon Kayaku Co Ltd
Priority to JP9141170A priority Critical patent/JPH10314698A/ja
Publication of JPH10314698A publication Critical patent/JPH10314698A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】重金属含有廃棄物を無害化処理の際、重金属イ
オンの溶出を基準値以下に安定化でき、しかもその重金
属イオンの安定化の効果を持続させて完全に2次公害を
防ぐことができる処理剤及び処理法を提供すること。 【解決手段】包接化合物を含有することを特徴とする重
金属含有廃棄物用処理剤及び該処理剤と重金属含有廃棄
物及び必要により水を混合、混練することを特徴とする
重金属含有廃棄物の安定化処理法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般廃棄物並びに
産業廃棄物中に含有される重金属を不溶化し、安定化処
理するのに有効な廃棄物の処理剤、及びその処理法に関
する。更に詳細には、都市ゴミ、産業廃棄物、汚泥等の
焼却炉、及び溶融炉などから発生する焼却灰や飛灰、汚
泥や汚染土壌等の廃棄物に含まれる重金属を不溶化し、
安定化処理するのに有効な廃棄物の処理剤、及びその処
理法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、都市及び工場等から発生する廃棄
物が増大するなか、重金属を含有する廃棄物は、環境対
策上、十分な無害化処理が必要になっている。特に重金
属を含有する飛灰等の一般廃棄物や産業廃棄物は、特別
管理廃棄物としてその処理、処分に際して厳しい規制が
設けられている。
【0003】従来、重金属を含有する廃棄物を処分する
場合には、セメントと混合し、必要により水を添加して
混練し重金属などの溶出を防ぎ安定化する方法が採られ
ている。しかしながら、平成7年度から適用された埋め
立て処理を行う廃棄物からの重金属の溶出量(溶出基準
値)は、最も安定化処理が難しいとされる鉛の場合、環
境庁告示第13号(以下環告13号と称す)に基づく溶
出試験で0.3mg/l以下になるように安定化するこ
とを義務付けているが、セメントのみでこの基準をクリ
ヤーするのは難しい状況にある。
【0004】これは、代表的なセメントである普通ポル
トランドセメントと廃棄物を混合、硬化させる場合を例
にとると、水和過程において生成する水酸化カルシウム
はセメントの硬化を促進する反面、過剰に生成した水酸
化カルシウムが廃棄物とセメントとの混合物のpHを高
め、両性元素である鉛等の重金属イオンの溶解度を増大
させるため、本来セメントが有していると考えられる重
金属安定化効果が大きく損なわれるためであると考えら
れる。
【0005】また更に、硫黄含有キレート剤等によって
薬剤処理して重金属イオンを捕捉し、安定化する事も試
みられておりこれによれば前記溶出基準値以下に安定化
することも可能である。しかしながら、このような薬剤
は高価であるばかりか、安定化処理後の重金属イオンの
保持の持続性が不十分なため、処理直後は充分な重金属
安定化の効果を発現しても、経時的に重金属イオンの溶
出量が増大するといった問題点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の様に従来の重金
属含有廃棄物用処理剤及び処理法では、溶出基準以下に
重金属イオンを安定化することが困難であるばかりでな
く、安定化ができても、その保持の持続性、耐久性に問
題があり経時的に2次公害が懸念されるのが現状であ
る。
【0007】本発明の目的は、重金属含有廃棄物を安定
化処理する祭、重金属イオンの溶出を基準値以下に安定
化出来、しかもその重金属イオン安定化の効果を持続さ
せて完全に2次公害を防ぐことができる処理剤及び処理
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこうした実
情に鑑み、重金属含有廃棄物を完全に安定化できる処理
剤及び処理法を求めて鋭意検討した結果、本発明を完成
させるに至った。即ち、本発明は、
【0009】(1)包接化合物を含有することを特徴と
する重金属含有廃棄物用処理剤、(2)無機質粉体を含
有する上記(1)記載の処理剤、(3)無機質粉体が水
硬性物質及び/または潜在水硬性物質である上記(2)
記載の処理剤、(4)無機質粉体がセメント類、高炉水
砕スラグ、転炉スラグ及びシリカフュームから選ばれる
1種以上である上記(3)記載の処理剤、(5)処理剤
中の包接化合物の含有量が0.1〜25重量%である上
記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の処理剤、
(6)包接化合物がβシクロデキストリンである上記
(1)〜(5)のいずれか1項に記載の処理剤、(7)
重金属含有廃棄物に上記(1)〜(6)のいずれか1項
に記載の処理剤及び必要に応じて水を加えて、混合、混
練することを特徴とする重金属含有廃棄物の処理法、
(8)重金属含有廃棄物に上記(1)〜(6)のいずれ
か1項に記載の処理剤及び必要に応じて水を加えて混
合、混練した後40℃以上に加熱処理することを特徴と
する重金属含有廃棄物の処理法、(9)重金属含有廃棄
物がゴミ焼却場の焼却灰、飛灰、汚泥、汚染土壌、又
は、総理府令第5号に定める判定基準を満足しなければ
ならない金属などを含む産業廃棄物である上記(7)ま
たは(8)に記載の重金属含有廃棄物の処理法、(1
0)環告13号に基づく溶出試験後の溶出液のpHが中
性または酸性である重金属含有廃棄物に上記(1)〜
(6)のいずれか1項に記載の処理剤及び塩基性物質を
添加し処理する上記(7)〜(9)のいずれか1項に記
載の処理法、(11)環告13号に基づく溶出試験後の
溶出液のpHが塩基性である重金属含有廃棄物に上記
(1)〜(6)のいずれか1項に記載の処理剤及び酸性
物質を添加し処理する上記(7)〜(9)のいずれか1
項に記載の処理法、(12)上記(7)〜(11)のい
ずれか1項に記載の処理法で得られた処理物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で必須成分として用いる包接化合物とは、分子の
連なりによる3次元骨格構造とそれによって形成される
格子内に適当な大きさの隙間を持つ様な構造を形成して
いる物質である。包接化合物(ホスト)は水素結合、フ
ァンデルワールス力等によって重金属化合物や重金属イ
オンをゲスト化合物として取り込みホスト−ゲスト化合
物として重金属を安定化する事ができる。
【0011】本発明で用いうる包接化合物は、特に限定
されないが、具体例としては、αシクロデキストリン、
βシクロデキストリン、γシクロデキストリン、ポリ−
β−シクロデキストリン等のシクロデキストリン類及び
これらの誘導体、12−クラウン4−エーテル、15−
クラウン5−エーテル、18−クラウン6−エーテル、
1−アザ−18−クラウン6−エーテル、4,13−ジ
アザ−18−クラウン6−エーテル、18−クラウン6
−チオエーテル、クリプタンド等のクラウンエーテル類
及びこれらの誘導体、5,10,15,20−テトラキ
ス(ρ−スルホフェニル)ポルフィン等のポルフィン類
及びこれらの誘導体、37,38,39,40,41,
42−ヘキサヒドロキシカリックス[6]アレン等のカ
リックスアレン類及びこれらの誘導体、1,3,5,
2,4,6−トリアザトリホスホリン等のホスファゼン
類及びこれらの誘導体、デオキシコール酸、アポコール
酸等のコール酸類及びこれらの誘導体を挙げることがで
きる。これらの包接化合物のうちシクロデキストリン類
またはその誘導体が好ましく、βシクロデキストリンが
更に好ましい。これら包接化合物は1種類でも、また2
種以上を併用しても良い。
【0012】また、本発明の処理剤は、更に必要により
無機質粉体を含有する。無機質粉体は、使用する種類や
量、重金属含有廃棄物の種類等によって作用が異なる
が、重金属含有廃棄物と処理剤を均一に混合させるため
の作業性の改善、その固化作用による重金属化合物や重
金属イオンの拡散抑制、吸着やイオン交換による重金属
安定化、長期安定性の付与、酸性雨に対する耐性の向上
等、前記包接化合物のみの場合に比べ作業性が改善でき
るとともに重金属安定化効果を広範にわたって向上させ
る事ができる。
【0013】用いうる無機質粉体の具体例としては、ポ
ルトランドセメント、フライアッシュセメント、シリカ
セメント、高炉セメント、アルミナセメント等のセメン
ト類や石膏等の水硬性物質、高炉水砕スラグ、転炉スラ
グ、シリカフューム、石炭灰、火山灰、もみ殻灰、珪酸
白土、メタカオリン等の潜在水硬性物質、ドロマイトプ
ラスター等の気硬性物質、カオリン、酸性白土、タル
ク、粉砕された徐冷スラグやフェロクロムスラグ、シリ
カ、アルミナ、硅砂、硅石粉、ベントナイト、炭酸カル
シウム、珪酸カルシウム、アロフェン、パーライト、マ
イカ、バーミキュライト、ゼオライト、スメクタイト、
セライト、珪藻土等の非水硬性物質を挙げることがで
き、水硬性物質及び潜在水硬性物質が好ましく、セメン
ト類、高炉水砕スラグ、転炉スラグ、シリカフュームが
特に好ましい。これら無機質粉体は1種類でも、また2
種以上を併用しても良い。また、前記の水硬性物質とは
水の存在下で水和反応して固化する物質を指し、潜在水
硬性物質とは水のみでは水和反応しないもので例えば刺
激剤等の添加で水和反応して固化する物質を指し、気硬
性物質とは空気中で硬化反応するもので例えば炭酸ガス
で硬化反応して固化する物質を指す。
【0014】これら無機質粉体は、その平均粒径が0.
01μm以上のものが使用できるが、好ましくは0.0
5μm〜1mm、更に好ましくは0.1〜500μmの
ものを使用する。無機粉体の平均粒径は小さいほど重金
属安定化効果は大きいが、製造コストが高価になること
や包接化合物と均一な混合が困難になり安定した処理剤
が得にくく好ましくない。
【0015】無機質粉体は、重金属含有廃棄物の種類、
使用する無機質粉体や包接化合物の種類等によって異な
るが、包接化合物の処理剤中の含有率が通常50重量%
以下、好ましくは25重量%以下、より好ましくは0.
1〜15重量%となるよう配合する。包接化合物は一般
に高価であるため配合割合が少ない方が経済的には好ま
しいが、少なすぎると充分な重金属安定化効果を発現し
難くなり好ましくない。
【0016】本発明の処理剤は、粉体のまま使用するこ
ともできるが、必要に応じて使用する無機質粉体が水硬
性物質である場合を除いて、重金属含有廃棄物と均一に
混合させるため水溶液または水分散液で使用することも
できる。必要に応じて酸性水溶液または塩基性水溶液と
したり、分散剤及び水を添加して均一な分散液としても
良い。分散剤は、セメント組成物の流動化付与剤として
一般的に用いられているリグニンスルホン酸ソーダ、グ
ルコン酸ソーダ、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ等の水
溶性高分子を用いることができ、その使用量は包接化合
物と無機粉体の合計重量100重量部に対し、通常0.
1〜10重量部、好ましくは0.3〜7重量部、特に好
ましくは0.5〜5重量部である。本発明の処理剤を水
溶液あるいは水分散液で使用する際の濃度は、包接化合
物の種類、無機質粉体の種類、包接化合物と無機質粉体
の配合割合、重金属含有廃棄物の種類等により異なる
が、固形分が通常0.1〜30重量%、好ましくは0.
5〜20重量%である。
【0017】重金属含有廃棄物が環告13号の溶出試験
の溶出液が高アルカリ性である都市ゴミ焼却飛灰等の場
合は、鉛化合物のような両性重金属化合物が溶解しやす
くなるため塩酸、硫酸、硝酸、ポリ塩化アルミニウム、
塩化第一鉄、硫酸アルミニウム等の無機酸性物質、酢
酸、クエン酸等の有機酸性物質等の酸性物質を添加して
pHを弱アルカリ性にコントロールすると本発明の処理
剤の重金属安定化効果が増強する。また、環告13号の
溶出試験の溶出液が中性または酸性である電炉灰、溶融
飛灰、汚染土壌等の重金属含有廃棄物の場合は、本発明
の処理剤に下記する潜在水硬性物質の硬化刺激剤のよう
な塩基性物質を添加してpHを弱アルカリ性にコントロ
ールすると本発明の処理剤の重金属安定化効果を増強す
る。但し、重金属含有廃棄物を安定化するとともに固形
化(強度付与)する目的で本発明の処理剤を使用する場
合は、硬化反応をする無機質粉体を使用した方が好まし
いが、無機質粉体の硬化反応を発現しうる条件(環境)
にする必要がある。例えば、無機質粉体として高炉水砕
スラグ等の潜在水硬性物質を使用する場合、pHが弱ア
ルカリ性の環境では硬化反応を起こしにくいため、硬化
刺激剤として塩基性物質を添加することが好ましい。ま
た、塩基性物質(硬化刺激剤)及び酸性物質は予め本発
明の処理剤中に添加しておいてもよいが、後述する本発
明の処理法において使用するのが好ましい。
【0018】本発明で使用しうる潜在水硬性物質の硬化
刺激剤の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等のアルカ
リ土類金属の水酸化物、珪酸ナトリウム、珪酸カリウ
ム、メタ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム等のア
ルカリ金属の珪酸塩、燐酸1ナトリウム、燐酸2ナトリ
ウム等のアルカリ金属の燐酸塩、セメント、セメントク
リンカー等を挙げることが出来る。取り扱い性やコスト
を考慮すると、これら硬化刺激剤の中でアルカリ金属の
水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属
の珪酸塩、セメント、セメントクリンカーを使用するの
が好ましい。
【0019】硬化刺激剤は、潜在水硬性物質と硬化刺激
剤の割合が、通常95/5〜10/90(重量比)であ
り、好ましくは90/10〜25/75(重量比)とな
る量使用する。
【0020】包接化合物と無機質粉体を含有する本発明
の処理剤は、前記各成分を前記したような割合で均一に
混合して得ることができる。粉状の本発明の処理剤を得
る場合、各成分を公知の混合方法で粉体混合すればよ
い。又、液状の本発明の処理剤を得る場合の混合の仕方
は特に限定はされないが、水溶性成分を所定量の水に混
合して水溶液とした後、予め調製しておいた包接化合物
及び無機質粉体等の粉体成分に添加する方法が、全体が
容易に均一になるので好ましい。
【0021】本発明の重金属含有廃棄物の処理法は、本
発明の処理剤、重金属含有廃棄物、後述する水(任意成
分)を混合、混練して行う。これらを混合、混練する設
備やこれらの添加順序等は特に限定されない。また、予
め混合した本発明の処理剤を重金属含有廃棄物と混合し
てもよいし、本発明の処理剤を構成する各成分を重金属
含有廃棄物と混合してもよい。混合の方法は、例えばバ
ッチ式で処理を行う場合はニーダールーダータイプ、撹
拌機の付いたアイリッヒタイプの混合混練機が使用でき
る。また、連続的に処理を行う場合は一軸または二軸の
パドル型の混練機やパン型造粒機を利用して混練しても
よい。処理に要する時間(混合、混練時間)は、特に制
限はなく、廃棄物と処理剤が均一に混練できればよい。
【0022】本発明の処理法は室温において実施しても
よいが、重金属安定化効果を短時間に引き出すため加熱
処理を行うのが好ましい。加熱処理は、混練に伴って発
生する熱を利用しても良いし、混練中強制的に加熱して
も良い。また、混練の終わった処理物を強制的に加熱し
てもよい。加熱温度は、40℃以上にする事が好まし
く、50℃以上にする事が更に好ましい。尚、強制的な
加熱の方法は、機械的、物理化学的な方法等公知の方法
でよい。加熱時間は、混練物あるいは処理物の熱伝導
率、大きさ、加熱方法などによって異なり一義的には言
えないが、通常5分以上であり、好ましくは10分以上
であり、処理物の均一性や作業性の面から最大24時間
も行えば十分である。
【0023】重金属含有廃棄物が水を含有していない場
合、又は含有していても混合混練するのに不十分な場合
は水を添加する。水の使用量は、重金属含有廃棄物の含
水状態、及びその粒度によって異なるが、概ね重金属含
有廃棄物100重量部(乾燥状態で換算)に対して5〜
60重量部、好ましくは10〜50重量部である。水の
添加量は安定化処理を行った後の処理物の形状をどのよ
うにするか、すなわちペレット状にするか、顆粒状にす
るか、粘土塊状にするかによって異なってくる。
【0024】本発明の処理剤で重金属イオンを安定化処
理できる廃棄物に特に制限はなく、例えば、都市ゴミ等
のゴミ、産業廃棄物、汚泥等をそのまま、或いはこれら
を例えば焼却した焼却灰(焼却飛灰)等を単独で或いは
混合して処理することができる。これら重金属含有廃棄
物のうちゴミ焼却灰、飛灰、汚染土壌、例えば粒状の産
業廃棄物、または総理府令第5号に定める判定基準を満
足しなければならない金属などを含む産業(一般)廃棄
物が、本発明の処理剤で処理するのに最も適している。
【0025】本発明の処理剤及び処理法によれば、重金
属含有廃棄物中の重金属が安定化され、処理後の混練物
から重金属が溶出する事がほとんどなくなり、環告13
号に定められた産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法
による溶出試験では、重金属イオンの溶出量はいずれも
総理府令第5号記載の埋立規制値以下となる。
【0026】こうして得られた本発明の処理物は、その
まま或いは必要により粉砕してセメント・コンクリート
用の骨材や道路の舗装材用骨材として利用したり、必要
に応じて、板状、ブロック状に成形して土木・建設資材
としても利用可能である。従って、これらの使用を目的
として本発明の処理剤に種々の混和材、例えば陶磁器粉
砕物、チタニア、ジルコニア、川砂、珪砂、珪石粉等の
骨材、ガラス繊維、カーボン繊維、ビニロン繊維、ナイ
ロン繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリ
ル繊維、ポリエステル等の繊維、セルロース繊維、スチ
ール繊維、アルミナ繊維等の繊維類等を添加してもよ
い。また、砂糖、グルコース、グルコン酸ソーダ等の硬
化遅延剤、シランカップリング剤のような表面処理剤、
顔料等を必要に応じて添加してもよい。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0028】実施例1〜4 都市ゴミ焼却場から得た焼却飛灰(鉛含有量1960mg
/kg 、環告13号に基づく鉛の溶出量53.4ppm)
100重量部とβシクロデキストリンを表1に示した量
を添加して混合し、水を31.7重量部添加し混練した
後、1日〜13週間室温養生して環告13号に基づく鉛
の溶出試験をおこなった結果を表1に併せて示した。
【0029】
【表1】 表1 βシクロデキストリン 鉛溶出量(ppm) の添加量(重量部) 1日後 1週間後 4週間後 13週間後 実施例1 3.0 0.30 0.18 0.12 0.08 実施例2 5.0 0.14 0.06 0.02 0.02 実施例3 10.0 0.02 N.D. N.D. N.D. 実施例4 15.0 N.D. N.D. N.D. N.D. 尚、表1においてN.D.は0. 01ppm以下である
ことを示す(以下同様)。
【0030】実施例5〜9 平均粒径10.8μmの高炉水砕スラグ100重量部に
対してβシクロデキストリンを表2に示した各量をプラ
ネタリーミキサー(愛工舎製ACM−5)に投入して粉
体混合を行い本発明の重金属含有廃棄物用処理剤を得
た。都市ゴミ焼却場から得られた混合灰(飛灰:焼却灰
=55:75(重量比)含水率19%、鉛含有量890
mg/kg 、環告13号に基づく鉛の溶出量5.73pp
m、)100重量部に対して処理剤を表2に示した各量
添加し、実施例1〜4と同様に水を13.3部添加して
処理した後、24時間養生して環告13号に基づく鉛の
溶出試験を行った結果を表2に示した。
【0031】
【表2】 表2 βシクロデキストリン 処理剤の添加量 鉛の溶出量 の含有量(重量部) (重量部) (ppm) 実施例5 3 10 0. 14 実施例6 5 10 0. 06 実施例7 7.5 7 0. 12 実施例8 10 5 0.15 実施例9 25 3 0. 04
【0032】実施例10〜12 表3に示した重金属含有廃棄物100重量部に、予め粉
体混合した平均粒径10.8μmの高炉水砕スラグ4.
6重量部とβシクロデキストリン0.4重量部を添加
し、表3に示した量の水を添加し混練した後、24時間
養生して環告13号に基づく鉛の溶出試験をおこなった
結果を表3に併せて示した。
【0033】
【表3】 表3 廃棄物の 水添加量 環告13号 鉛溶出量 (重量部) 鉛溶出量 (ppm) (ppm) 実施例10 飛灰 2. 85 28 0. 08 実施例11 焼却灰 0. 50 10 N.D. 実施例12 汚泥 8. 30 0 0. 16
【0034】実施例13〜17 実施例5〜9で使用したのと同じ混合灰100重量部
に、表4に示した平均粒径0.2〜100μmの各無機
質粉体90重量部に対して表4に示した各包接化合物1
0重量部を粉体混合して得られた処理剤5重量部を添加
して混合し、水を33重量部添加し混練した後、表4に
示した処理条件で養生して環告13号に基づく鉛の溶出
試験をおこなった結果を表4に併せて示した。
【0035】
【表4】 表4 無機質粉体 包接化合物 処理条件 環告13号 の種類 の種類 鉛溶出量(ppm) 実施例13 ポルトランド βシクロ 40℃、24時間 0.02 セメント デキストリン 実施例14 転炉スラグ ヘキサヒドロ 55℃、18時間 0. 19 キシカリックス [6]アレン 実施例15 カオリン 18−クラウン70℃、6時間 0. 12 6−エーテル 実施例16 タルク クリプタンド 80℃、4時間 0. 09 実施例17 シリカ アポコール酸 90℃、2時間 0. 03 フューム
【0036】実施例18〜21 脱イオン交換水100重量部に対して、水酸化ナトリウ
ムとβシクロデキストリンを表5に示した量プラネタリ
ーミキサーで溶解させ、液体状の処理剤を得た。精鋼会
社で発生する電炉灰100重量部に対して、上記処理剤
20重量部を添加して、混練した後24時間後の鉛の溶
出量を環告13号試験に基づく鉛の溶出試験を行った結
果を表5に併せて記した。
【0037】
【表5】 表5 水酸化ナトリウム βシクロデキストリ 溶出液 鉛溶出量 含有量(重量部) ン含有量(重量部) のpH (mg/l) 未処理灰 0 6.4 21.0 実施例19 1.0 10 9.8 0.02 実施例20 2.5 20 11.2 0.09 実施例21 5.0 30 12.3 0.18
【0038】
【発明の効果】本発明の重金属含有廃棄物用処理剤は、
重金属含有廃棄物を安定化処理するのに適しており、重
金属イオンの溶出を高度に安定化させることができ、そ
の効果は持続的である。さらに、液体、粉体どちらの形
態でも使用できるため広範囲のニーズに対応できる。ま
た、本発明の処理法は特殊な装置を使用することなく、
容易に重金属含有廃棄物の安定化ができる。更に、本発
明の処理法で得られた処理物はセメントの固化物以上の
強度を示すための骨材や舗装材などの土木建築資材とし
て利用(リサイクル)可能である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】包接化合物を含有することを特徴とする重
    金属含有廃棄物用処理剤。
  2. 【請求項2】無機質粉体を含有する請求項1記載の処理
    剤。
  3. 【請求項3】無機質粉体が水硬性物質及び/または潜在
    水硬性物質である請求項2記載の処理剤。
  4. 【請求項4】無機質粉体がセメント類、高炉水砕スラ
    グ、転炉スラグ及びシリカフュームから選ばれる1種以
    上である請求項3記載の処理剤。
  5. 【請求項5】処理剤中の包接化合物の含有量が0.1〜
    25重量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    処理剤。
  6. 【請求項6】包接化合物がβシクロデキストリンである
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の処理剤。
  7. 【請求項7】重金属含有廃棄物に請求項1〜6のいずれ
    か1項に記載の処理剤及び必要に応じて水を加えて、混
    合、混練することを特徴とする重金属含有廃棄物の処理
    法。
  8. 【請求項8】重金属含有廃棄物に請求項1〜6のいずれ
    か1項に記載の処理剤及び必要に応じて水を加えて混
    合、混練した後40℃以上に加熱処理することを特徴と
    する重金属含有廃棄物の処理法。
  9. 【請求項9】重金属含有廃棄物がゴミ焼却場の焼却灰、
    飛灰、汚泥、汚染土壌、又は、総理府令第5号に定める
    判定基準を満足しなければならない金属などを含む産業
    廃棄物である請求項7または8記載の重金属含有廃棄物
    の処理法。
  10. 【請求項10】環境庁告示第13号に基づく溶出試験後
    の溶出液のpHが中性または酸性である重金属含有廃棄
    物に請求項1〜6のいずれか1項に記載の処理剤及び塩
    基性物質を添加し処理する請求項7〜9のいずれか1項
    に記載の処理法。
  11. 【請求項11】環境庁告示第13号に基づく溶出試験後
    の溶出液のpHが塩基性である重金属含有廃棄物に請求
    項1〜6のいずれか1項に記載の処理剤及び酸性物質を
    添加し処理する請求項7〜9のいずれか1項に記載の処
    理法。
  12. 【請求項12】請求項7〜11のいずれか1項に記載の
    処理法で得られた処理物。
JP9141170A 1997-05-16 1997-05-16 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法 Pending JPH10314698A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9141170A JPH10314698A (ja) 1997-05-16 1997-05-16 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9141170A JPH10314698A (ja) 1997-05-16 1997-05-16 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10314698A true JPH10314698A (ja) 1998-12-02

Family

ID=15285774

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9141170A Pending JPH10314698A (ja) 1997-05-16 1997-05-16 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10314698A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009249554A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Nihon Kaisui:Kk 重金属等汚染土壌用不溶化剤及び、それを用いた土壌の不溶化方法
JP2010090694A (ja) * 2008-09-10 2010-04-22 One Uiru:Kk 下水汚泥焼却灰と珪藻土を含む多孔質鉱物を主成分とする混合スラリーから成る無機組成物、及び、それを基盤とする緑化複合システム
WO2019215622A3 (es) * 2018-05-07 2019-12-26 BARRETO CHÁVEZ, Divier Benjamín Proceso de transformación industrial e integral, a bajo costo de los residuos sólidos urbanos en material de construcción susceptible de uso humano

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009249554A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Nihon Kaisui:Kk 重金属等汚染土壌用不溶化剤及び、それを用いた土壌の不溶化方法
JP2010090694A (ja) * 2008-09-10 2010-04-22 One Uiru:Kk 下水汚泥焼却灰と珪藻土を含む多孔質鉱物を主成分とする混合スラリーから成る無機組成物、及び、それを基盤とする緑化複合システム
WO2019215622A3 (es) * 2018-05-07 2019-12-26 BARRETO CHÁVEZ, Divier Benjamín Proceso de transformación industrial e integral, a bajo costo de los residuos sólidos urbanos en material de construcción susceptible de uso humano

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3274376B2 (ja) 泥状物の団粒化剤、それを用いた固化剤
JPH10156315A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
EP1239927B1 (en) Process for immobilising toxic metals in solid industrial residues
JPH06198273A (ja) 都市のごみの焼却残留物の処理方法及び該方法によって得られる物質
JPH10314698A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
JPH10146577A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
JPH1142470A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
JPH1190394A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
JPH11165147A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
JPH10272435A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
JPH1190391A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
JP2001038321A (ja) 重金属含有廃棄物の固形化方法及び固形物
JPH09155319A (ja) 重金属含有焼却灰等、シュレッダーダストの無公害化処理方法および再利用材の製造方法
JPH1176981A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
JPH09314097A (ja) 安定化された焼却灰系固化材
JPH1199370A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
JPH05309356A (ja) 重金属含有焼却灰の処理方法
KR100357524B1 (ko) 지정 폐기물 재활용을 위한 고화제 및 이를 이용하여 제조된 압축강도가 우수한 경화체
JP3005617B2 (ja) 焼却灰の安定固化方法及び固化生成物
JPH1111992A (ja) 有害重金属を不溶化した焼却灰のセメント系固化材または水硬性材料
JPH10192813A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法
JP2004105783A (ja) 土壌の固化処理材および固化処理方法
JPH11207291A (ja) 焼却残渣用固化剤及び焼却残渣の固化方法
JPH10263501A (ja) 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理方法
JPH1028950A (ja) 飛灰などの微粉状廃棄物の無害化処理組成物及びそれを用いたコンクリート成形体