JPH1186736A - プラズマディスプレイ用基板、プラズマディスプレイおよびその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイ用基板、プラズマディスプレイおよびその製造方法

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JPH1186736A
JPH1186736A JP9238178A JP23817897A JPH1186736A JP H1186736 A JPH1186736 A JP H1186736A JP 9238178 A JP9238178 A JP 9238178A JP 23817897 A JP23817897 A JP 23817897A JP H1186736 A JPH1186736 A JP H1186736A
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dielectric layer
substrate
paste
glass
plasma display
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JP9238178A
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Tetsuo Uchida
哲夫 内田
Yoshiki Masaki
孝樹 正木
Yuichiro Iguchi
雄一朗 井口
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C3/00Glass compositions
    • C03C3/04Glass compositions containing silica
    • C03C3/062Glass compositions containing silica with less than 40% silica by weight
    • C03C3/064Glass compositions containing silica with less than 40% silica by weight containing boron
    • C03C3/066Glass compositions containing silica with less than 40% silica by weight containing boron containing zinc
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/02Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with glass
    • C03C17/04Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with glass by fritting glass powder
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C8/00Enamels; Glazes; Fusion seal compositions being frit compositions having non-frit additions
    • C03C8/02Frit compositions, i.e. in a powdered or comminuted form
    • C03C8/04Frit compositions, i.e. in a powdered or comminuted form containing zinc

Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラス基板上に形成した電極上に設けられた誘
電体層の亀裂発生を回避し、さらに誘電体層上に隔壁を
設けたときの隔壁の倒れ・剥がれ・蛇行を回避すること
により、表示品位の高いPDP用基板を提供することを
目的とする。 【解決手段】基板上に形成した電極層の上に、誘電体
層、隔壁を順次形成せしめたプラズマディスプレイ用基
板であって、該誘電体層厚みが電極厚みの1.1〜5倍
であることを特徴とするプラズマディスプレイ用基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネル(以下PDPと略す)基板およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大型ディスプレイとしてプラズマ
ディスプレイが注目されている。プラズマディスプレイ
パネル(以下、プラズマディスプレイまたはPDPとい
う。)は液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、
且つ大型化が容易であることから、OA機器および広報
表示装置などの分野に浸透している。また高品位テレビ
ジョンの分野などでの進展が非常に期待されている。こ
のような用途の拡大にともなって、微細で多数の表示セ
ルを有するカラーPDPが注目されている。
【0003】PDPは前面板と背面板をはり合わせて構
成されている。前面板ではガラス基板の裏面にITOや
酸化錫からなる透明電極が形成されている。透明電極は
帯状に複数本形成されている。この隣り合う透明電極間
に通常10kHz〜数10kHzのパルス状AC電圧を
印加し表示用の放電を得るが、透明電極のシート抵抗は
数10Ω/cm2 と高いため、電極抵抗が数10kΩ程
度になり、印過電圧パルスが十分に立ち上がらずに駆動
が困難になる。そこで、透明電極上に通常金属製のバス
電極を形成して抵抗値を下げる。
【0004】次に、これら前面板の電極を誘電体層によ
って被覆する、誘電体層は低融点ガラスを用いる。その
後、保護層として、MgOを電子ビーム蒸着法により形
成する。前面板に形成される誘電体は、放電のための電
荷を蓄積するためのコンデンサーとしての役割を有して
いる。
【0005】一方背面板は、ガラス基板上に表示データ
を書き込むデータ電極を感光性銀ペーストを用いて作製
し、誘電体層で被覆する。その上に、隔壁を形成し、ス
クリーン印刷によって、赤、緑、青の各色に発光する蛍
光体を塗布後、乾燥、焼成を行って蛍光体層を形成す
る。赤色蛍光体粉末としては(Y,Gd)BO3 :E
u、緑色蛍光体粉末としては(Zn,Mn)2SiO、
青色蛍光体粉末としては(Ba,Eu)MgAl107
などが一般的に用いられる。
【0006】前面板と背面板をマトリクス駆動が可能に
なるように合わせて、封着した後、排気、He、Ne、
Xeの混合ガスを封入し、駆動回路を実装してPDPが
作製される。
【0007】隣り合う透明電極の間にパルス状の交流電
圧を印加するとガス放電が生じ、プラズマが形成され
る。ここで生じた紫外線が蛍光体を励起して可視光を発
光し前面板を通して表示発光を得る。放電を生じる透明
電極は走査電極と維持電極からなっている。実際のパネ
ル駆動において、放電電極である透明電極には維持放電
パルスが印加されており、放電を生じさせるときには、
背面板上のデータ電極との間に電圧を印加して対向放電
を生じさせ、この放電が維持パルスによって放電電極間
で維持される。
【0008】特開昭61−220240号公報では、銀
電極上に低融点ガラスの誘電体で被覆したガス放電パネ
ルが提案されている。特開昭62−64020号公報で
は、低誘電体ガラスよりも高融点な絶縁材料を7〜15
重量%含有した誘電体層が提案されている。特開平4−
36923号公報では、導電体上に設けた誘電体をフォ
トグラフィ法により部分的に除去する技術が提案されて
いる。
【0009】しかしながら、上記のいずれにおいても電
極上に誘電体層を設け、さらにその上に隔壁を形成した
ときに、誘電体層の亀裂発生や隔壁の剥がれ・断線・蛇
行発生を解消するには充分でなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ガラス基板
上に形成した電極上に設けられた誘電体層の亀裂発生を
回避し、さらに誘電体層上に隔壁を設けたときの隔壁の
倒れ・剥がれ・蛇行を回避することにより、表示品位の
高いPDP用基板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガラス基板上
に形成した電極層の上に誘電体層を形成したガラス基板
であって、該誘電体層の厚みが電極厚みの1.1〜5倍
であることを特徴とするプラズマディスプレイ用基板を
要旨とするものである。
【0012】また、本発明は電極が形成されたガラス基
板上に、誘電体ペーストを塗布後、焼成して誘電体層A
を形成し、次いで感光性誘電体ペーストを塗布し露光し
て形成した塗布膜上に、感光性ペーストを用いてフォト
リソグラフィ法により隔壁パターンを形成した後、前記
塗布膜と隔壁パターンを同時に焼成することを特徴と
し、該誘電体層Aの厚みが該電極厚みの1〜3倍である
ことを特徴とするプラズマディスプレイ基板の製造方法
を要旨とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のPDP用基板に用いるガ
ラス基板としては、ソーダガラス基板や高歪み点ガラス
(例えば、旭硝子社製のPD−200)などのPDP用
耐熱ガラス基板を用いることができる。このガラス基板
上に、電極を形成する場合、電極材質としては、銀を8
0重量%以上、さらには、95重量%含む電極を用いる
ことが抵抗値・ガラス基板との接着強度を上げる点から
好ましい。また電極中に1〜5重量%のガラスフリット
を含有させることにより、基板ガラスとの接着性に優れ
た電極層を得ることができる。この電極を形成する方法
としては、スクリーン印刷法や感光性ペースト法が用い
られる。感光性ペースト法では平均粒子径1〜4μmの
銀粉末と平均粒子径0.5〜2μmのガラスフリットを
感光性有機成分と混練して得られる感光性銀ペーストを
ガラス基板上に塗布、乾燥後、露光、現像、焼成の工程
を経ることにより形成することができる。
【0014】本発明のPDP用基板を構成する電極の厚
みは1〜10μm、さらには1.5〜5μm、さらには
2〜4μmであることが好ましい。該電極厚みが前記範
囲未満では、電極としての特性が低下し、また前記範囲
を越えると基板全体が厚くなりすぎるばかりか、後述す
るように電極に沿って誘電体に亀裂が発生するため好ま
しくない。
【0015】本発明では電極を形成したガラス基板上
に、誘電体層が形成される。電極の上に誘電体層を形成
することによって、隔壁を形成する場合に、はがれや倒
れが生じにくくなる。特に、隔壁を感光性ペースト法で
形成した場合には、隔壁上部と下部の重合硬化の差に起
因する剥がれが生じやすく、隔壁層のアンダーガラス層
として、誘電体層を形成することは、歩留まり向上のた
めに有効である。
【0016】本発明の誘電体層の厚みは、前記電極厚み
の1.1〜5倍である必要がある。これは、該誘電体層
の厚みが電極厚みの1.1倍未満では、誘電体層の電極
による盛り上がり(表面凹凸)が5μm以上になり、電
極上の誘電体層に亀裂が発生し、好ましくない。また、
この誘電体層上に隔壁パターンを形成・焼成後、隔壁の
断線、蛇行あるいはハガレが多く起こるようになり好ま
しくない。また、5倍を超えると誘電体層が厚くなりす
ぎるため焼成の際、脱バインダー不良が生じ、誘電体層
に亀裂が生じやすくなる。またガラス基板にかかる誘電
体層による応力が大きくなるため基板が反り、基板焼成
時あるいはパネル封着時に基板が割れる問題が生じるよ
うになり好ましくない。さらに、パネルとして放電電圧
が高くなり、正常な放電特性が得られなくなる。
【0017】本発明では、前記誘電体層を少なくとも2
層以上の多層構造とするのが好ましい。これによって、
誘電体層の表面凹凸を平坦化することができる。表面凹
凸は3μm以下が好ましい。3μm以下であれば誘電体
亀裂の発生を解消することができる。誘電体層Aは、電
極厚みの1〜3倍、さらには1.1〜2.5倍にするこ
とが好ましい。誘電体層Aの厚みが前記範囲未満では、
十分に電極の凹凸を平坦化できないため、その上に誘電
体層Bあるいは隔壁を形成し、焼成した場合に誘電体層
B上の層で亀裂が発生しやすくなる。誘電体層Aおよび
Bの合計厚みを、電極層厚みの1.1〜5倍とすること
で、前述のように均一で蛇行、ハガレのない隔壁を形成
することができる。
【0018】また、誘電体層Aは、その上に誘電体層B
あるいは隔壁を形成する前に一度焼成することが好まし
い。すなわち、基板上に形成した電極層の上に、無機材
料と有機成分からなる誘電体層用ペーストを塗布・焼成
して誘電体層Aを形成し、その上にさらに誘電体層用ペ
ーストを塗布・焼成して誘電体層Bを形成することが好
ましい。このように誘電体Aを焼成し、電極の凹凸を平
坦化した基板上に、誘電体層Bおよび隔壁を形成させ、
これらを同時に焼成することで、電極に沿った誘電体層
の亀裂を抑止できる。
【0019】本発明で誘電体層A上に形成する誘電体層
Bは、隔壁パターンと同時に焼成することが好ましい。
すなわち、誘電体層Aを焼成して形成した後、誘電体層
B用ペーストを塗布して塗布膜を形成し、次いで隔壁用
ペーストを塗布して、隔壁パターンを形成した後、誘電
体層B用塗布膜と隔壁パターンを同時に焼成することが
好ましい。誘電体層Bと隔壁パターンを同時に焼成しな
い場合、すなわち隔壁パターンを誘電体層上で単独に焼
成すると隔壁パターンが焼成収縮によって隔壁剥がれ・
断線・蛇行が発生するようになり好ましくない。
【0020】本発明の誘電体層に用いる無機材料は、ガ
ラスを主成分とするが、ここで主成分とは全成分中に6
0重量%以上、好ましくは70重量%以上含まれる成分
をいう。
【0021】本発明の誘電体層Aは、電極の直上に形成
されるため、誘電体層を構成するガラス成分中の金属イ
オン、特にアルカリイオンは銀イオンとイオン交換を生
じ、該銀イオンが誘電体焼成時に還元され、さらにはコ
ロイド化し誘電体が着色するという問題が起こる。この
誘電体の着色を抑制する方法として、(1) 誘電体ガラス
と銀とのイオン交換を抑止あるいは抑制する、(2) イオ
ン交換し銀イオンが誘電体中に移動した場合でも誘電体
層中での銀イオンの還元を抑止あるいは抑制する方法な
どが本発明では好ましく適用される。
【0022】ここで、誘電体ガラスと銀とのイオン交換
を抑制する方法として、誘電体ガラスのアルカリ金属の
合計含有量を実質的に含まないことである。実質的に含
まないとは、含んだ場合でも0.5重量%以下、好まし
くは0.1重量以下である。また、イオン交換後誘電体
中での銀イオンの還元、コロイド化を抑制する方法とし
て、誘電体ガラス中に酸化剤的役割を有する金属、例え
ば鉛、セリウム、マンガンなどの元素を0.5〜50重
量%含有せしめる方法などが好ましく適用される。
【0023】さらに、誘電体ガラス中に含まれるアルカ
リ土類金属を実質的に含有しないことが好ましい。この
ことにより焼成時の基板の反りやパネル封着時の割れを
防止することができる。熱膨張係数が基板ガラスと整合
していても、誘電体中にアルカリ土類金属、例えばBa
(バリウム)、Ca(カルシウム)等の含有量が0.5
重量%を超える場合は、焼成時にガラス基板や電極中の
ガラス成分とイオン交換が起こるため、基板ガラスの表
面部分や誘電体ガラスの熱膨張係数が変化し、基板ガラ
スの熱膨脹係数と一致しなくなり、基板ガラスに引っ張
り応力が生じ、基板割れの原因となる。
【0024】本発明の誘電体材料の誘電率は7〜13の
ものを用いることができるが、7〜10がより好まし
い。誘電率7以下の材料は、誘電体層を厚くする必要が
あり、焼成時の脱バインダー不良が生じ、亀裂発生が起
こり好ましくない。また、13以上の材料は、PDPを
表示する場合に放電電圧が高くなるため好ましくない。
本発明の誘電体層は、50〜400℃の範囲の熱膨張係
数α50400の値が、70〜85×10-7/°K、より
好ましくは72〜80×10-7/°Kであるガラスを主
成分とすることが、基板ガラスの熱膨張係数と整合し、
焼成の際にガラス基板にかかる応力を減らすので好まし
い。85×10-7/°Kを越えると、誘電体層の形成面
側に基板が反るような応力がかかり、70×10-7/°
K未満では誘電体層のない面側に基板が反るような応力
がかかる。このため、基板の加熱、冷却を繰り返すと基
板が割れる場合がある。また、前面基板との封着の際、
基板の反りのために両基板が平行にならず封着できない
場合もある。
【0025】本発明のPDP用基板の前記反り量は、ガ
ラス基板の曲率半径の逆数によって規定することができ
る。すなわち、反り量は曲率半径に反比例するので、1
/Rで定量化でき、ここで反り量の正負の値は基板の反
る方向を表す。ガラス基板の曲率半径は、種々の方法で
測定できるが、表面粗さ計を用い、ガラス基板面のうね
りを測定する方法がもっとも簡便である。表面粗さ計
(東京精密社製:サーフコム1500Aなど)によって
掃引しうねりを測定できる。得られたうねり曲線の最大
偏差H、測定長さLから次式を用いて反り量1/Rを算
出できる。
【0026】1/R〓8H/L2 基板に反りが生じている場合、前面板と背面板の封着の
際、隔壁頭部と前面板表面との間に隙間が生じること
で、各セル間で誤放電が生じたり、封着時に基板が破損
したりする。これらの問題が生じないためには、反り量
の絶対値を3×10-3-1以下にする必要がある。すな
わち、基板の反り量を次式の範囲内にする必要がある。
【0027】−3×10-3-1≦1/R≦3×10-3
-1(Rは基板の曲率半径を表す) 本発明のPDP用基板を背面板として用いる場合、前記
誘電体Aおよび、Bのうち少なくとも1層のハンター表
色系L値が50以上であることが好ましい。ここでL値
とは誘電体の明度を表す指数であり、L値を50以上と
することで白さが維持でき、PDP背面板用基板とした
場合、高い反射率の誘電体を得ることができ、PDPと
して高輝度のものが得られる。L値が50未満である
と、PDPの表示が暗くなったり、くすんだようにな
り、表示品位が低下する。
【0028】本発明でいうハンター表色系は、例えばス
ガ試験器(株)製SMカラーコンピューターによって測
定でき、使用する光源によって反射、透過の2種類があ
り、本発明ではどちらのLを用いてもよいが、PDPと
したときの見た目の品位を数値化(定量化)するという
意味から反射モードで得られた値を用いることがより好
ましい。
【0029】本発明の誘電体層のL値を調整する方法と
しては、高Tg、具体的にはTgが590℃以上のガラ
ス粉末を少量添加する方法、酸化チタン、アルミナ、シ
リカ、チタン酸バリウム、ジルコニア等の白色無機顔料
をフィラーとして併用する方法、誘電体層に気泡(ボイ
ド)を含有せしめる方法などが挙げられるが、特に限定
されるものではない。
【0030】本発明の誘電体は、無機粉末と有機バイン
ダーからなる誘電体ペーストをガラス基板上に塗布し、
焼成することによって形成できる。誘電体層用ペースト
に用いるガラス粉末の量は、ガラス粉末と有機成分の和
に対して50〜90重量%であるのが好ましい。50重
量%未満では、誘電体層の緻密性、表面の平坦性が欠如
し、90重量%を越えるとペースト粘度が上昇し、塗布
時の厚みムラが大きくなる。
【0031】本発明の場合、ガラス基板の変形を抑制す
るために、誘電体層用ペーストは550〜600℃で焼
成することが好ましい。このため、誘電体層用ペースト
に用いる無機粉末としては、ガラス転移点(Tg)43
0〜500℃、軟化点(Ts)470〜580℃のガラ
ス粉末を30重量%以上、さらには、60重量%以上含
有することが好ましい。ガラス転移点が430℃よりも
低い場合や軟化点が470℃よりも低い場合は、後の工
程中にガラスが溶融して、誘電体の厚み均一性や特性が
低下する。また、ガラス転移温度が500℃よりも低い
場合や軟化点が580℃よりも高い場合は、ガラス基板
上での焼成が不十分になり、誘電体層の剥離や欠落を生
じやすくなる。
【0032】誘電体層には、酸化ビスマス、酸化鉛、酸
化亜鉛のうち少なくとも1種類、さらに好ましくは酸化
ビスマスを10〜60重量%含むガラスを用いることに
よって軟化点、熱膨張係数のコントロールが容易にな
る。特に、酸化ビスマスを10〜60重量%含有するガ
ラスを用いることは、ペーストの安定性などの利点があ
る。酸化ビスマス、酸化鉛、酸化亜鉛の添加量は60重
量%を越えるとガラスの耐熱温度が低くなり過ぎてガラ
ス基板上への焼き付けが難しくなる。
【0033】また本発明では、電極が形成された基板上
に誘電体層を形成し、誘電体層上に、隔壁用ペーストを
用いて隔壁パターンを形成し、焼成する。隔壁を無機粉
末と感光性有機成分からなる感光性ペーストを用いて形
成することは、PDPの高精細化および作製工程の低減
に有効である。
【0034】本発明の隔壁の形成に用いられる感光性ペ
ーストは、主としてガラス粉末からなる無機成分と感光
性を持つ有機成分からなる感光性ペーストをガラス基板
上に塗布し、膜を形成する。次に、塗布膜をフォトマス
クのパターンで露光・現像により、隔壁パターンを形成
し、焼成して隔壁が得られる。塗布膜を得る方法とし
て、スクリーン印刷法の他に感光性ペーストをフィルム
上に塗布した感光性シート(グリーンテープ)をガラス
基板上に転写する方法を用いることもできる。
【0035】感光性ペースト法によって形成した隔壁パ
ターンは、厚み方向に光硬化の不均一による歪み応力が
生じやすいため、焼成の際に剥がれが生じやすい。隔壁
の剥がれが生じると剥がれた箇所で色の混色が起こり、
また剥がれた隔壁がパネル上に残り画素をつぶしてしま
い歩留まりが低下する。これを抑制するために、隔壁パ
ターンを未焼成の誘電体層B上で形成し、該隔壁パター
ンと誘電体層を同時に焼成することにより、隔壁はがれ
が解消され、歩留まりが向上する。
【0036】隔壁に用いる無機成分は、ガラス転移点、
軟化点の低いガラス基板上にパターン形成するため、隔
壁用材料として、ガラス転移点が430〜500℃、軟
化点が470〜580℃のガラス材料を用いることが好
ましい。また、平均屈折率1.5〜1.7のガラスを用
いることにより、ペースト中のガラス粉末の屈折率を有
機成分の屈折率と近づけて、ペースト中の光散乱を抑制
し、塗布・露光回数を減らすことができる。
【0037】ガラス基板上に焼き付け可能な軟化点を有
し、平均屈折率を1.5〜1.7のガラスを得るために
は、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのう
ち少なくとも1種類を3〜10重量%含むガラス微粒子
を用いることが簡便な方法である。酸化ナトリウム、酸
化リチウム、酸化カリウム等のアルカリ金属の酸化物を
合計で3〜10重量%含有するガラスを用いることによ
って、熱軟化温度、熱膨張係数のコントロールが容易に
なるだけでなく、ガラスの平均屈折率を低くすることが
できるため、有機物との屈折率差を小さくすることが容
易になる。3%未満では、熱軟化温度の制御が難しくな
る。10%より大きい場合は、ペーストの安定性が低下
する。しかし、隔壁材料にアルカリ金属を含有する場
合、誘電体層にアルカリ金属やその酸化物を含有する
と、隔壁層/誘電体層/ガラス基板の3層間でイオン交
換反応が生じて、基板のそりや割れ、また、銀電極との
反応による基板の黄着色が生じる。前述した通り誘電体
層に含まれるアルカリ金属の合計含有量を実質的に含ま
ないことにより前記黄色化、反り、割れを抑制できる。
【0038】隔壁材質の組成としては、酸化珪素はガラ
ス中に、3〜60重量%の範囲で配合することが好まし
い。酸化珪素の配合量が3重量%未満の場合はガラス層
の緻密性、強度や安定性が低下し、また熱膨張係数が所
望の値から外れ、ガラス基板とのミスマッチが起こりや
すい。また60重量%以下にすることによって、軟化点
が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可能になるなど
の利点がある。
【0039】さらに酸化ホウ素はガラス中に、5〜50
重量%の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強
度、熱膨張係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械およ
び熱的特性を向上することができる。50重量%を越え
るとガラスの安定性が低下する。
【0040】また、ガラス微粒子中に、酸化アルミニウ
ム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど、特に酸化アルミ
ニウム、酸化バリウム、酸化亜鉛を添加することによ
り、硬度や加工性を改良することができるが、軟化点、
熱膨張係数、屈折率の制御の点からは、その含有量は4
0重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量%以
下である。
【0041】酸化リチウムを含むガラス組成としては、
酸化物換算表記で 酸化リチウム 2〜15重量部 酸化珪素 15〜50重量部 酸化ホウ素 15〜40重量部 酸化バリウム 2〜15重量部 酸化アルミニウム 6〜25重量部 の組成を含むものを50重量%以上含有することが好ま
しい。
【0042】また、上記組成で、酸化リチウムの代わり
に、酸化ナトリウム、酸化カリウムを用いても良いが、
ペーストの安定性の点で、酸化リチウムが好ましい。
【0043】本発明の感光性ペースト法に用いるペース
ト中のガラス粉末量は、ガラス粉末と有機成分の和に対
して65〜85重量%であるのが好ましい。65重量%
より小さいと、焼成時の収縮率が大きくなり、隔壁の断
線、剥がれの原因となるため、好ましくない。またパタ
ーン太り、現像時の残膜の発生が起こりやすい。85重
量%より大きいと、感光性成分が少ないことにより、パ
ターンの形成性が悪くなる。
【0044】本発明の隔壁材料に軟化点が650〜85
0℃であるフィラーを10〜50重量%含ませてもよ
い。これにより、感光性ペースト法において、パターン
形成後の焼成時の収縮率が小さくなり、パターン形成が
容易になる。フィラーとしては、軟化点が600℃以上
の高融点ガラスやセラミックスなどを用いることができ
る。 高融点ガラス粉末としては、酸化珪素、酸化アル
ミニウムを15重量%以上含有するガラス粉末が好まし
く、これらの合計含有量がガラス粉末中50重量%以上
であることが、必要な熱特性を持たせるためには有効で
ある。一例としては、以下の組成を含有するガラス粉末
を用いることが好ましい。
【0045】 酸化珪素 :15〜50重量% 酸化ホウ素 : 5〜20重量% 酸化アルミニウム:15〜50重量% 酸化バリウム : 2〜10重量% 誘電体層用ペーストおよび隔壁ペーストに用いる有機成
分には、一般的な有機バインダー、可塑剤、溶媒などを
添加できる。有機バインダーの具体的な例としては、ポ
リビニルアルコール、セルロース系ポリマー、シリコン
ポリマー、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ
スチレン、ポリアミド、高分子量ポリエーテル、ポリビ
ニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリ
ル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル
酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重合体、ブチ
ルメタクリレート樹脂などがあげられる。また、ペース
トの粘度を調整する際には溶媒として、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチ
ルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、
シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォ
キシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロ
ベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロ
モ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種
以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0046】また、ペースト中に可塑剤を含むこともで
きる。可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、
グリセリンなどがあげられる。
【0047】誘電体ペーストおよび隔壁ペーストに感光
性を付与することにより、パターン加工が容易になるこ
とや溶媒や現像液に対する溶解性を制御できる利点があ
る。ペースト中に、感光性モノマー、感光性オリゴマ
ー、感光性ポリマーのうち少なくとも1種類から選ばれ
る感光性成分を含有し、さらに必要に応じて、光重合開
始剤、紫外線吸収剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤な
どの添加剤成分を加えることで感光性が付与される。こ
の場合、ペーストをガラス基板上に塗布後に、乾燥を行
った後、露光して光硬化できる。また、パターン露光後
に不要部分を現像して取り除き、パターン形成すること
ができる。
【0048】感光性成分としては、光不溶化型のものと
光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとして、 (A)分子内に不飽和基などを1つ以上有する官能性の
モノマー、オリゴマー、ポリマーを含有するもの (B)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機
ハロゲン化合物などの感光性化合物を含有するもの (C)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物な
どいわゆるジアゾ樹脂といわれるもの等がある。
【0049】また、光可溶型のものとしては、 (D)ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレック
ス、キノンジアゾ類を含有するもの (E)キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結
合させた、例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフト
キノン−1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステル
等がある。
【0050】本発明において用いる感光性成分は、上記
のすべてのものを用いることができる。感光性ペースト
として、無機微粒子と混合して簡便に用いることができ
る感光性成分は、(A)のものが好ましい。
【0051】感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽
和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピル
アクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチ
ルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−
ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジル
アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシ
トリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシル
アクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシ
クロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアク
リレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアク
リレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデシル
アクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルア
クリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキ
シエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレ
ングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアク
リレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリル
アクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル
化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオ
ールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエ
チレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコ
ールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、
ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレ
ート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、
グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシ
ルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレ
ート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジ
アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェ
ニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベ
ンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−
ナフチルアクリレート、ビスフェノールAジアクリレー
ト、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジ
アクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイ
ド付加物のジアクリレート、チオフェノールアクリレー
ト、ベンジルメルカプタンアクリレート等のアクリレー
ト、また、これらの芳香環の水素原子のうち、1〜5個
を塩素または臭素原子に置換したモノマー、もしくは、
スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、
m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレ
ン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、
臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒ
ドロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、
ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバ
ゾール、および、上記化合物の分子内のアクリレートを
一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたもの、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビ
ニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明ではこ
れらを1種または2種以上使用することができる。
【0052】これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽
和酸を加えることによって、パターン露光後の現像性を
付与することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例
としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、
クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、また
はこれらの酸無水物などがあげられる。
【0053】これらモノマーの含有率は、ガラス粉末と
感光性成分の和に対して、5〜30重量%が好ましい。
これ以外の範囲では、パターンの形成性の悪化、硬化後
の硬度不足が発生するため好ましくない。
【0054】バインダーとしては、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合
体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−
メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重
合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられる。
【0055】また、前述の炭素−炭素二重結合を有する
化合物のうち少なくとも1種類を重合して得られたオリ
ゴマーやポリマーを用いることができる。重合する際
に、これら光反応性モノマーの含有率が、10重量%以
上、さらに好ましくは35重量%以上になるように、他
の感光性のモノマーと共重合することができる。
【0056】共重合するモノマーとしては、不飽和カル
ボン酸等の不飽和酸を共重合することによって、隔壁パ
ターンを形成する場合の現像性を向上することができ
る。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル
酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイ
ン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物
などがあげられる。こうして得られた側鎖にカルボキシ
ル基等の酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの
酸価(AV)は30〜150、さらには50〜120の
範囲が好ましい。酸価が30未満であると、現像許容幅
が狭くなる。また、酸価が150を越えると未露光部の
現像液に対する溶解性が低下するようになるため現像液
濃度を濃くすると露光部まで剥がれが発生し、高精細な
パターンが得られにくい。
【0057】以上示した、ポリマーもしくはオリゴマー
に対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させ
ることによって、感光性を持つ感光性ポリマーや感光性
オリゴマーとして用いることができる。好ましい光反応
性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチ
レン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリ
ル基、メタクリル基などがあげられる。
【0058】このような側鎖をオリゴマーやポリマーに
付加させる方法は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ
基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基や
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やア
クリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはア
リルクロライドを付加反応させて作る方法がある。
【0059】グリシジル基を有するエチレン性不飽和化
合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グ
リシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル
酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロト
ン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエ
ーテルなどがあげられる。
【0060】イソシアネート基を有するエチレン性不飽
和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネー
ト、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート等があ
る。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエ
チレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタク
リル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー
中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基
に対して0.05〜1モル当量付加させることが好まし
い。
【0061】感光性ペースト中の感光性ポリマー、感光
性オリゴマーおよびバインダーからなるポリマー成分の
量としては、パターン形成性、焼成後の収縮率の点で優
れていることから、ガラス粉末と感光性成分の和に対し
て、5〜30重量%であることが好ましい。この範囲外
では、パターン形成が不可能もしくは、パターンの太り
がでるため好ましくない。
【0062】光重合開始剤の具体的な例として、ベンゾ
フェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビ
ス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス
(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロ
ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニ
ルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−
ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−
フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキ
シ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジク
ロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオ
キサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロ
ピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジ
ルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタ
ール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾ
インブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチル
アントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロ
ルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジ
ベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベン
ザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジ
リデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジド
ベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フ
ェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカル
ボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2
−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフ
ェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボ
ニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパ
ントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラ
ーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニ
ル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレン
スルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライ
ド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイ
ソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチ
アゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カン
ファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスル
ホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブル
ーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノ
ールアミンなどの還元剤の組み合わせなどがあげられ
る。本発明ではこれらを1種または2種以上使用するこ
とができる。
【0063】光重合開始剤は、感光性成分に対し、1〜
20重量%の範囲で添加され、より好ましくは、3〜1
0重量%である。重合開始剤の量が少なすぎると、光感
度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎれば、露光
部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0064】本発明に用いるペーストには紫外線吸収剤
を添加することも有効である。紫外線吸収効果の高い化
合物を添加することによって高アスペクト比、高精細、
高解像度が得られる。紫外線吸収剤としては有機系染料
からなるもの、中でも350〜450nmの波長範囲で
高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられ
る。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キ
サンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染
料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニル
シアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息
香酸系染料などが使用できる。有機系染料は吸光剤とし
て添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中に残存しないで
吸光剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ま
しい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染
料が好ましい。
【0065】有機染料の添加量はガラス粉末に対して
0.03〜1重量部が好ましい。0.03重量%未満で
は紫外線吸光剤の添加効果が減少し、1重量%を越える
と焼成後の絶縁膜特性が低下するので好ましくない。よ
り好ましくは0.05〜0.1重量%である。
【0066】有機染料からなる紫外線吸光剤の添加方法
の一例を上げると、有機染料を予め有機溶媒に溶解した
溶液を作製し、それをペースト作製時に混練する方法以
外に、該有機溶媒中にガラス微粒子を混合後、乾燥する
方法があげられる。この方法によってガラス微粒子の個
々の粒子表面に有機の膜をコートしたいわゆるカプセル
状の微粒子が作製できる。
【0067】増感剤は、感度を向上させるために添加さ
れる。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオ
キサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビ
ス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、
2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘ
キサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザ
ル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、
4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、
4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビ
ス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシ
ンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリ
デンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビ
ニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−
ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニ
ル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、
3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリ
ン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N
−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノール
アミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミ
ノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソア
ミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾー
ル、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラ
ゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種また
は2種以上使用することができる。なお、増感剤の中に
は光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤
を本発明の感光性ペーストに添加する場合、その添加量
は感光性成分に対して通常0.5〜10重量%、より好
ましくは1〜10重量%である。増感剤の量が少なすぎ
れば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量
が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれ
がある。
【0068】重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上さ
せるために添加される。重合禁止剤の具体的な例として
は、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、
N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−
t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、
2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロ
ラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤
を添加する場合、その添加量は、感光性ペースト中に、
通常、0.01〜1重量%である。
【0069】可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフ
タレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコ
ール、グリセリンなどがあげられる。
【0070】感光性ペーストの粘度を調整したい場合、
有機溶媒を加えてもよい。このとき使用される有機溶媒
としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセ
トン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロ
フラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクト
ン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼ
ン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香
酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混
合物が用いられる。 また、誘電体層B用ペースト中に
ラジカル重合性モノマーおよびラジカル重合開始剤を添
加することによって、熱重合性のペーストを得ることが
できる。ペーストを塗布後に加熱して架橋構造を得るこ
とができる。この場合は、ラジカル重合性モノマーの具
体的な例としては、エチレン、スチレン、ブタジエン、
塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチ
ル、メチルビニルケトン、アクリルアミド、アクリロニ
トリル等がある。ラジカル開始剤としては、過酸化ベン
ゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、アゾビス
イソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニ
リン等があげられる。
【0071】また、誘電体ペースト中に有機染料等の紫
外線吸収剤を添加することによって、隔壁をパターン加
工する際に露光した場合の誘電体表面からの反射・散乱
によるパターン不良を抑制することができる。つまり、
誘電体用ペーストのg線における全光線透過率T1と隔
壁用感光性ペーストの全光線透過率T2の間に、T1<
T2の関係が成り立つ場合には、隔壁パターンが良好に
形成できる。用いる紫外線吸収剤としては、前述の化合
物を用いることができる。
【0072】次に、本発明のPDP用基板の作製工程の
例を述べる。ただし、本発明は、これに限定されるもの
ではない。
【0073】本発明のPDP用基板に用いる誘電体およ
び隔壁用ペーストは、上記の無機および有機の各種成分
を所定の組成となるように調合した後、3本ローラや混
練機で均質に混合分散し作製される。
【0074】ペーストの粘度は無機微粒子、増粘剤、有
機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によっ
て適宜調整されるが、その範囲は2000〜20万cp
s(センチ・ポイズ)である。例えばガラス基板への塗
布をスクリーン印刷法以外にスピンコート法で行う場合
は、200〜5000cpsが好ましい。スクリーン印
刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、1
万〜20万cpsが好ましい。
【0075】電極を形成したガラス基板の上に、誘電体
層用ペーストを5〜30μmの厚みで塗布する。ここで
誘電体用ペーストを基板上に塗布する場合、基板と塗布
膜との密着性を高めるために基板の表面処理を行うこと
ができる。表面処理液としてはシランカップリング剤、
例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−(2−メト
キシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピ
ル)トリメトキシシラン、γ(2−アミノエチル)アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルト
リメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど
あるいは有機金属例えば有機チタン、有機アルミニウ
ム、有機ジルコニウムなどである。シランカップリング
剤あるいは有機金属を有機溶媒、例えばエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、プ
ロピルアルコール、ブチルアルコールなどで0.1〜5
%の濃度に希釈したものを用いる。次にこの表面処理液
をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後に80〜1
40℃で10〜60分間乾燥することによって表面処理
ができる。
【0076】誘電体層A用ペーストを塗布した後、ペー
スト中の溶媒を除去するため、乾燥を行う。次に、誘電
体層用ペースト中に、光もしくは熱重合性の成分が含ま
れる場合は、光、または加熱により硬化し、隔壁パター
ン形成の際の現像液による浸食を防ぐ。
【0077】形成した誘電体層A上に隔壁パターンを塗
布する。この場合、直接感光性ペーストを全面塗布、も
しくは部分的に塗布した後、露光・現像してパターニン
グする方法がある。また、ポリエステルなどのフィルム
の上に感光性ペーストを塗布し、露光・現像してパター
ニングしたものを誘電体層上に転写する方法がある。塗
布方法としては、スクリーン印刷、バーコーター、ロー
ルコーター、ダイコーター、ブレードコーター等の方法
を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、ペース
トの粘度を選ぶことによって調整できる。
【0078】塗布した後、露光装置を用いて露光を行
う。露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるよう
に、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的
である。用いるマスクは、感光性有機成分の種類によっ
て、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定されるが、
ネガ型が好ましく用いられる。また、フォトマスクを用
いずに、赤色や青色のレーザー光などで直接描画する方
法を用いても良い。
【0079】露光装置としては、ステッパー露光機、プ
ロキシミティ露光機等を用いることができる。露光ギャ
ップは30〜100μm開けて露光するのが好ましい。
適当な露光ギャップがないと、フォトマスクと塗布面が
接触し、均一な露光が行われないため好ましくない。ま
た、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板
上に感光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光
を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大き
な面積を露光することができる。
【0080】この際使用される活性光源は、可視光線、
近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙
げられるが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源
としてはたとえば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲン
ランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超
高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって
異なるが、5〜50mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯
を用いて0.5〜30分間露光を行う。
【0081】塗布した感光性ペースト表面に酸素遮蔽膜
を設けることによって、パターン形状を向上することが
できる。酸素遮蔽膜の一例としては、ポリビニルアルコ
ール(PVA)やセルロースなどの膜、あるいは、ポリ
エステルなどのフィルムが上げられる。
【0082】PVA膜の形成方法は濃度が0.5〜5重
量%の水溶液をスピナーなどの方法で基板上に均一に塗
布した後に70〜90℃で10〜60分間乾燥すること
によって水分を蒸発させて行う。また水溶液中にアルコ
ールを少量添加すると絶縁膜との塗れ性が良くなり蒸発
が容易になるので好ましい。さらに好ましいPVAの溶
液濃度は、1〜3重量%である。この範囲にあると感度
が一層向上する。PVA塗布によって感度が向上するの
は次の理由が推定される。すなわち感光性成分が光反応
する際に、空気中の酸素があると光硬化の感度を妨害す
ると考えられるが、PVAの膜があると余分な酸素を遮
断できるので露光時に感度が向上すると考えられる。ポ
リエステルやポリプロピレン、ポリエチレン等の透明な
フィルムを用いる場合は、塗布後の感光性ペーストの上
に、これらのフィルムを張り付けて用いる方法もある。
【0083】露光後、感光部分と非感光部分の現像液に
対する溶解度差を利用して、現像を行うが、この場合、
浸漬法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法で行う。
【0084】用いる現像液は、感光性ペースト中の有機
成分が溶解可能である有機溶媒を使用できる。また該有
機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加しても
よい。感光性ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を
持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像でき
る。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや炭酸ナト
リウム、水酸化カルシウム水溶液などのような金属アル
カリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用い
た方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好まし
い。
【0085】有機アルカリとしては、アミン化合物を用
いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニ
ウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウム
ヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノール
アミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常
0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜0.5
重量%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部が除去
されず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離
させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり好ましく
ない。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行う
ことが工程管理上好ましい。
【0086】次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気
や、温度はペーストや基板の種類によって異なるが、酸
素を含有する空気中で焼成される。焼成炉としては、バ
ッチ式の焼成炉やベルト式もしくはローラーハース式の
連続型焼成炉を用いることができる。ガラス基板上にパ
ターン加工する場合は、540〜610℃の温度で10
〜60分間保持して焼成を行う。また、以上の塗布や露
光、現像、焼成の各工程中に、乾燥、予備反応の目的
で、50〜300℃加熱工程を導入しても良い。
【0087】次に、赤、青、緑の各色を発光する蛍光体
ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷する方法、感
光性蛍光体ペーストを用いてフォトリソ法や蛍光体ペー
ストをノズル塗布により行うことにより、フルカラー表
示可能なPDP用の背面基板を作製することができる。
【0088】本発明におけるガラス材質の光線透過率お
よび屈折率測定は、感光性ペースト法で露光する光の波
長で測定することが効果を確認する上で正確である。特
に、350〜650nmの範囲の波長の光で測定するこ
とが好ましい。さらには、i線(365nm)もしくは
g線(436nm)での屈折率測定が好ましい。光線透
過率は分光光度計、屈折率測定方法としては、エリプソ
法やVブロック法、ベッケ法を用いることができる。
【0089】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて具体的に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】実施例1 [電極層作成]300mm角のガラス基板(旭硝子社製
PD−200)上に、感光性銀ペーストを用いて、ピッ
チ150μm、線幅40μmのストライプ状電極パター
ンを形成させ、590℃で15分間焼成することにより
電極層を得た。この電極層の焼成後の銀含有量は99.
8%であった。
【0091】[誘電体ペースト作製] (1)誘電体用ペースト1セルロース系ポリマーのター
ピネオール溶液と、ガラス粉末A(PbO−BaO−B
2 3 −SiO2 −Al2 3 −ZnO。Tg 470
℃、Ts 530℃)を重量比20/60で混練し、誘
電体用ペースト1を得た。
【0092】(2)誘電体用ペースト2 アルカリ金属を含まない下記組成のガラス粉末Bと、セ
ルロース系ポリマーのターピネオール溶液とを混練し
て、誘電体層B用ペーストを得た。
【0093】ガラス粉末B: 組成 Bi23 :38%、SiO2 :7%、B
2 3 :19%、BaO:12%、Al2 3 :3%、
ZnO:21% 平均粒径3.4μmの非球状粉末。Tg 476℃、T
s 525℃ 熱膨張係数77×10-7/°K。g線(436nm)で
の屈折率1.75 [隔壁用ペースト作製]下記に示す各溶媒およびポリマ
ー1をそれぞれ40%溶液となるように混合し、攪拌し
ながら60℃まで加熱し、すべてのポリマーを均質に溶
解させた。
【0094】ポリマー1:40%のメタアクリル酸(M
AA)、30%のメチルメタアクリレート(MMA)お
よび30%のスチレン(St)からなる共重合体のカル
ボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタアクリ
レート(GMA)を付加反応させた重量平均分子量43
000、酸価95の感光性ポリマー。
【0095】ついで溶液を室温まで冷却し、以下に示す
有機成分を構成する各成分を下記に示す割合で加えて溶
解させ有機成分を得た。その後、この溶液を400メッ
シュのフィルターを用いて濾過し、有機ビヒクルを作製
した。
【0096】 有機染料:スダン;アゾ系有機染料(化学式C24204O) 0.5g モノマー:TMPTA;トリメチロールプロパントリアクリレート 150g ポリマー: 150g 開始剤:チバガイギー社製 ”イルガキュア”369 30g 増感剤:2,4−ジエチルチオキサントン 30g 増感助剤:p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル 20g 可塑剤:ジブチルフタレート(DBP) 50g 溶媒:γ−BL;ガンマブチロラクトン 300g 上記で得られた有機ビヒクル40gに下記に示すガラス
粉末に下記ガラス粉末Cを60g添加し、混練機で混練
することにより隔壁用感光性ペーストを作製した。ガラ
ス粉末は、あらかじめアトラクターにて粉砕後、分級し
た微粉末にしたものを用いた。
【0097】ガラス粉末C: 組成 Li2O:9%、SiO2 :20%、B2 3
31%、BaO:4%、Al2 3 :24%、ZnO:
2%、MgO:6%、CaO:4% 平均粒径2.6μmの非球状粉末 Tg(ガラス転移点)480℃、Ts(軟化点)520
℃ 熱膨張係数79×10-7/°K g線(436nm)での屈折率1.58 前記電極が形成された基板上に、誘電体用ペースト1を
スクリーン印刷法により全面に印刷、80℃で50分間
乾燥し、該誘電体を575℃で15分間焼成することで
誘電体層Aを形成させた。次いでその上に、前記誘電体
ペースト2をスクリーン印刷により全面印刷し、80℃
で50分間乾燥させ、誘電体層B用塗布膜を形成させ
た。
【0098】上記で形成した誘電体層B用塗布膜上に、
前記隔壁用ペーストを乾燥後厚み:180μmになるよ
うに塗布した後、80℃で40分乾燥後、ピッチ150
μm、線幅20μmのストライプ状のネガマスクを介し
て、上面から50mW/cm2 出力の超高圧水銀灯でマ
スク紫外線露光した。露光量は1.5J/cm2 であっ
た。
【0099】次に、35℃に保持したモノエタノールア
ミンの0.3重量%の水溶液を85秒間シャワーするこ
とにより現像し、その後シャワースプレーを用いて水洗
浄し、光硬化していないスペース部分を除去してストラ
イプ状の隔壁パターンを形成した。最後に誘電体層B用
塗布膜および隔壁パターンを、空気中で570℃30分
間同時焼成を行い、誘電体層Bおよび隔壁を作製した。
【0100】表1に電極厚み、誘電体A、Bおよび隔壁
の焼成後の厚みと、表面状態を光学顕微鏡により観察し
た結果を記載した。隔壁のハガレや蛇行のないPDP用
基板が得られた。
【0101】次に、RGB各色蛍光体を用いた蛍光体ペ
ーストをスクリーン印刷によって、パターン印刷してプ
ラズマディスプレイ背面基板を作製した。また、ガラス
基板上に、透明電極、バス電極、誘電体層、保護膜(M
gO)を形成した前面基板と封着ガラスを用いて封着を
行った。封着時の温度は450℃である。
【0102】実施例2〜4 電極層と誘電体層の厚みを変えた以外は実施例1と同様
にしてPDPを得た。評価結果を表1に示す。隔壁のハ
ガレや蛇行のないPDP用基板が得られた。
【0103】比較例1、2 電極層と誘電体層の厚みを変えた以外は実施例1と同様
にしてPDPを得た。評価結果を表1に示す。誘電体や
隔壁のハガレが生じた。
【0104】実施例5 誘電体層Aに用いる誘電体用ペースト1において、ガラ
ス粉末Aに対して15%のチタニア(“タイペーク”R
550:石原産業(株)製)を添加したペーストを添加
した以外は実施例1と同様にしてPDPを得た。評価結
果を表1に示す。隔壁のハガレや蛇行のないPDP用基
板が得られた。
【0105】実施例6 誘電体層Bに用いる誘電体用ペースト2において、ポリ
マー溶液をポリマー1(MAA−MMA−St共重合体
にGMAを付加反応させたポリマー)のγ−ブチロラク
トン溶液に変更し、誘電体層B用ペースト塗布後、隔壁
用ペースト塗布前に、2J/cm2 で全面露光した以外
は実施例5と同様にしてPDPを得た。評価結果を表1
に示す。隔壁のハガレや蛇行のないPDP用基板が得ら
れた。
【0106】
【表1】
【0107】
【発明の効果】本発明は、電極が形成されたガラス基板
上に誘電体層、隔壁を形成する場合に生じる誘電体のハ
ガレ、隔壁の断線、ハガレや蛇行を抑制し、歩留まりよ
くPDP用基板を提供することができる。本発明の方法
は、ガラス基板上に電極、誘電体、隔壁および蛍光体を
設けたPDP用背面基板の誘電体層を形成する場合に有
効である。特に、隔壁を感光性ペースト法で形成して、
高精細のPDP用の基板を得る場合に有効である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成した電極層の上に誘電体層を
    形成した基板であって、該誘電体層の厚みが該電極層の
    厚みの1.1〜5倍であることを特徴とするプラズマデ
    ィスプレイ用基板。
  2. 【請求項2】誘電体層が電極層の厚みの1〜3倍の誘電
    体層Aとその上に形成された誘電体層Bの少なくとも2
    層からなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ
    ディスプレイ用基板。
  3. 【請求項3】前記誘電体層Aがアルカリ金属を実質的に
    含有しない無機材料からなることを特徴とする請求項2
    に記載のプラズマディスプレイ用基板。
  4. 【請求項4】前記誘電体層Aがアルカリ土類金属を実質
    的に含有しない無機材料からなることを特徴とする請求
    項2に記載のプラズマディスプレイ用基板。
  5. 【請求項5】誘電体層のハンター表色系L値が50以上
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    のプラズマディスプレイ用基板。
  6. 【請求項6】誘電体層が、ガラス転移点450〜550
    ℃、軟化点500〜600℃である無機材料から構成さ
    れていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載のプラズマディスプレイ用基板。
  7. 【請求項7】無機材料が、酸化ビスマスを10〜60重
    量%含有するガラスからなることを特徴とする請求項6
    記載のプラズマディスプレイ用基板。
  8. 【請求項8】前記誘電体層Aの無機材料が、ガラス転移
    点450〜550℃、軟化点500〜600℃であるガ
    ラスを50〜95重量%、フィラーを5〜50重量%含
    有することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載
    のプラズマディスプレイ用基板。
  9. 【請求項9】フィラーが、チタニア、アルミナ、チタン
    酸バリウム、ジルコニアからなる群から選ばれた少なく
    とも一種であることを特徴とする請求項8記載のプラズ
    マディスプレイ用基板。
  10. 【請求項10】誘電体層上に、隔壁パターンが形成され
    ていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載
    のプラズマディスプレイ用基板。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載のプラ
    ズマディスプレイ用基板を用いることを特徴とするプラ
    ズマディスプレイ。
  12. 【請求項12】電極が形成された基板上に、該電極厚み
    の1〜3倍の厚みの誘電体層Aを形成した後、無機材料
    と有機成分からなる誘電体層B用ペーストを塗布して塗
    布膜を形成し、次いで無機材料と感光性有機成分からな
    る隔壁用ペーストを塗布して、フォトリソグラフィ法に
    より隔壁パターンを形成した後、前記誘電体層B用塗布
    膜と隔壁パターンを同時に焼成することを特徴とするプ
    ラズマディスプレイ基板の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2813431A1 (fr) * 2000-08-25 2002-03-01 Thomson Plasma Procede de fabrication d'une dalle dotee d'un reseau de barrieres et application a la fabrication d'un panneau a plasma
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