JPH1167101A - プラズマディスプレイ用基板、プラズマディスプレイおよびその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイ用基板、プラズマディスプレイおよびその製造方法

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JPH1167101A
JPH1167101A JP9224811A JP22481197A JPH1167101A JP H1167101 A JPH1167101 A JP H1167101A JP 9224811 A JP9224811 A JP 9224811A JP 22481197 A JP22481197 A JP 22481197A JP H1167101 A JPH1167101 A JP H1167101A
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JP
Japan
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glass
dielectric layer
paste
oxide
plasma display
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Application number
JP9224811A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Uchida
哲夫 内田
Yoshiki Masaki
孝樹 正木
Yuichiro Iguchi
雄一朗 井口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表示品位が優れた高精細のプラズマディスプレ
イを提供する。 【解決手段】ガラス基板上に形成した電極層の上に絶縁
体からなる誘電体層を設けたプラズマディスプレイ用基
板であり、該誘電体層のハンター表色系Lab値のうち
L値が50以上、a値が−3〜10、b値が−5〜10
であることを特徴とするプラズマディスプレイ背面板用
基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネル(プラズマディスプレイともいう、以下PD
Pと略す)に関する。具体的には、PDP用背面板用基
板と、高歩留まりで高品位のPDPを作製するための製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大型ディスプレイとしてプラズマ
ディスプレイが注目されている。PDPは液晶パネルに
比べて高速の表示が可能であり、且つ大型化が容易であ
ることから、OA機器および広報表示装置などの分野に
浸透している。また高品位テレビジョンの分野などでの
進展が非常に期待されている。このような用途の拡大に
ともなって、微細で多数の表示セルを有するカラーPD
Pが注目されている。
【0003】PDPは前面板と背面板をはり合わせて構
成される。前面板はガラス基板の裏面にITOや酸化錫
からなる透明電極が形成されている。透明電極は帯状に
複数本形成されている。この隣り合う透明電極間に通常
10kHz〜数10kHzのパルス状AC電圧を印加し
表示用の放電を得るが、透明電極のシート抵抗は数10
Ω/cm2 と高いため、電極抵抗が数10kΩ程度にな
り、印加電圧パルスが十分に立ち上がらずに駆動が困難
になる。そこで、透明電極上に通常金属製のバス電極を
形成して抵抗値を下げる。
【0004】次に、これら電極を透明誘電体層によって
被覆する。透明誘電体層は低融点ガラスを用いる。その
後、保護層として、MgOを電子ビーム蒸着法により形
成する。前面板に形成される誘電体は、放電のための電
荷を蓄積するためのコンデンサーとしての役割を有して
いる。
【0005】一方背面板は、ガラス基板上に表示データ
を書き込むデータ電極を作製し、誘電体層で被覆する。
その上に、隔壁を形成し、スクリーン印刷によって、
赤、緑、青の各色に発光する蛍光体を塗布後、乾燥、焼
成を行って蛍光体層を形成する。赤色蛍光体粉末として
は(Y,Gd)BO3:Eu、緑色蛍光体粉末としては
(Zn,Mn)2SiO、青色蛍光体粉末としては(B
a,Eu)MgAl107などが一般的に用いられる。
【0006】前面板と背面板をマトリクス駆動が可能に
なるように合わせて、封着した後、排気、He、Ne、
Xeの混合ガスを封入し、駆動回路を実装してPDPを
作製する。
【0007】隣り合う透明電極の間にパルス状の交流電
圧を印加するとガス放電が生じ、プラズマが形成され
る。ここで生じた紫外線が蛍光体を励起して可視光を発
光し前面板を通して表示発光を得る。放電を生じる透明
電極は走査電極と維持電極からなっている。実際のパネ
ル駆動において、放電電極である透明電極には維持放電
パルスが印加されており、放電を生じさせるときには、
背面板上のデータ電極との間に電圧を印加して対向放電
を生じさせ、この放電が維持パルスによって放電電極間
で維持される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、さらに表示品
位が優れた高精細のPDPを提供することが求められて
いる。本発明は、表示品位の高いPDPを得るためのP
DP用基板および、表示品位が優れた高精細のPDPを
歩留まりよく製造できるようになる製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、ガラス
基板上に形成した電極の上に誘電体層を設けたプラズマ
ディスプレイ用基板であって、該誘電体層のハンター表
色系Lab値のうちL値が50以上、a値が−3〜1
0、b値が−5〜10であることを特徴とするプラズマ
ディスプレイ用基板によって達成される。
【0010】また、本発明の目的は、アルカリ金属を実
質的に含まない無機材料と有機成分からなる誘電体ペー
ストをガラス基板上に塗布して形成した塗布膜上に、無
機微粒子と感光性有機成分からなる感光性ペーストを塗
布、露光して隔壁パターンを形成した後に、前記塗布膜
と前記隔壁パターンを同時に焼成することを特徴とする
プラズマディスプレイ用の製造方法によって達成され
る。
【0011】本発明で、実質的に含まないとは、アルカ
リ金属および/またアルカリ土類金属の含有量がガラス
あるいは無機材料に対して0.5重量%以下、好ましく
は、0.1重量%以下である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のPDP用基板に用いるガ
ラス基板としては、ソーダガラス基板や高歪み点ガラス
(例えば、旭硝子社製の”PD−200”)などのPD
P用耐熱ガラス基板を用いることができる。このガラス
基板上に、電極を形成する場合、電極材質としては、銀
を80重量%以上、好ましくは95重量%以上含む電極
を用いることが低抵抗値の点から好ましい。また電極中
に1〜5重量%のガラスフリット成分を含有させること
により、基板ガラスとの密着性に優れた電極層を得るこ
とができる。この電極を形成する方法としては、スクリ
ーン印刷法や感光性導電ペースト法が用いられる。感光
性ペースト法では平均粒子径1〜4μmの銀粉末、平均
粒子径0.5〜1.5μmのガラスフリットおよび感光
性有機成分とを混練して得られる感光性銀ペーストをガ
ラス基板上に塗布、乾燥後、露光、現像、焼成の工程を
経ることにより形成することができる。
【0013】本発明では電極を形成したガラス基板上
に、無機材料からなる誘電体層を形成する。電極の上に
誘電体層を形成することによって、隔壁を形成する場合
に、剥がれや倒れが生じにくくなる。特に、隔壁を感光
性ペースト法で形成した場合には、隔壁上部と下部の重
合硬化の差に起因する剥がれが生じやすく、隔壁層の下
に、誘電体層を形成することは、歩留まり向上のために
有効である。誘電体層の厚みは6〜30μm、より好ま
しくは12〜25μmであることが均一で緻密な誘電体
層の形成のために好ましい。また本発明では誘電体層は
2層以上の多層構造であっても良い。厚みが30μmを
越えると、焼成の際、脱媒が困難でありクラックが生じ
やすく、またガラス基板にかかる応力が大きいために基
板が反る等の問題が生じる。また、6μm未満では平坦
性があって、均一かつ緻密な誘電体層を形成するのが困
難である。
【0014】本発明の誘電体層に用いる無機材料の誘電
率は7〜13のものを用いることができるが、7〜10
がより好ましい。誘電率7以下の材料はガラス基板上へ
の焼き付けが難しく、13以上の材料はPDPを表示す
る場合に放電電圧が高くなるため好ましくない。
【0015】本発明の誘電体層は、50〜400℃の範
囲の熱膨張係数α50400の値が、70〜85×10-7
/°K、より好ましくは72〜80×10-7/°Kであ
るガラスを主成分とすることが、基板ガラスの熱膨張係
数と整合し、焼成の際にガラス基板にかかる応力を減ら
す点で好ましい。85×10-7/°Kを越えると、誘電
体層の形成面側に基板が反るような応力がかかり、70
×10-7/°K未満では誘電体層のない面側に基板が反
るような応力がかかる。このため、基板の加熱、冷却を
繰り返すと基板が割れる場合がある。また、前面基板と
の封着の際、基板の反りのために両基板が平行にならず
封着できない場合もある。
【0016】本発明の誘電体層に用いるガラスあるいは
無機材料は、ガラスを主成分とするが、全成分中に60
重量%以上、好ましくは70重量%以上含まれる成分を
いう。 本発明のPDP用基板の前記反り量はガラス基
板の曲率半径の逆数によって規定することができる。す
なわち、反り量は曲率半径に反比例するので、1/Rで
定量化でき、ここで反り量の正負の値は基板の反る方向
を表す。ガラス基板の曲率半径は、種々の方法で測定で
きるが、表面粗さ計を用い、ガラス基板面のうねりを測
定する方法がもっとも簡便である。表面粗さ計(東京精
密社製:サーフコム1500Aなど)によって掃引し、
うねりを測定できる。得られたうねり曲線の最大偏差
H、測定長さLから次式を用いて反り量1/Rを算出で
きる。
【0017】1/R〓8H/L2 基板に反りが生じている場合、前面板と背面板の封着の
際、隔壁頭部と前面板表面との間に隙間が生じること
で、各セル間で誤放電が生じたり、封着時に基板が破損
したりする。これらの問題が生じないためには、反り量
の絶対値を3×10-3-1以下にする必要がある。すな
わち、基板の反り量を次式の範囲内にする必要がある。
【0018】−3×10-3-1≦1/R≦3×10-3
-1(Rは基板の曲率半径を表す) 本発明では、誘電体層中に含まれるアルカリ金属および
アルカリ土類金属を実質的に含有しないことにより焼成
時の基板の反りやパネル封着時の割れを防止することが
できる。熱膨張係数が基板ガラスと整合していても、誘
電体中にアルカリ金属やアルカリ土類金属、例えばNa
(ナトリウム)、Li(リチウム)、K(カリウム)、
Ba(バリウム)、Ca(カルシウム)等の含有量が
0.5重量%を超える場合は、焼成時にガラス基板や電
極中のガラス成分とイオン交換が起こるため、基板ガラ
スの表面部分や誘電体ガラスの熱膨張係数が変化し、基
板ガラスの熱膨脹係数と一致しなくなり、基板ガラスに
引っ張り応力が生じ、基板割れの原因となる。
【0019】このイオン交換による誘電体層と基板ガラ
スとの不一致は、特に誘電体中にリチウム、ナトリウ
ム、カリウムを含有する場合に生じやすく、誘電体層に
含まれるこれらの金属の含有量を0.1重量%以下にす
ることが好ましい。
【0020】本発明の誘電体層には、酸化ビスマス、酸
化鉛、酸化亜鉛のうち少なくとも1種類、さらに好まし
くは酸化ビスマスを10〜85重量%含むガラスを用い
ることによって熱軟化温度、熱膨張係数のコントロール
が容易になる。特に、酸化ビスマスを10〜85重量%
含有するガラスを用いることは、ペーストの安定性など
の利点がある。酸化ビスマス、酸化鉛、酸化亜鉛の添加
量は85重量%を越えるとガラスの耐熱温度が低くなり
過ぎてガラス基板上への焼き付けが難しくなる。 具体
的なガラス組成の例としては、酸化物換算表記で以下の
ものが挙げられるが、本発明は、このガラス組成に限定
されるものではない。
【0021】誘電体層の形成に用いるガラス成分の組成
として酸化物表記で、 酸化ビスマス 10〜85重量% 酸化珪素 5〜40重量% 酸化ホウ素 5〜30重量% 酸化亜鉛 2〜20重量% 酸化ジルコニウム 3〜10重量% からなるものを80重量%以上含有することが好まし
い。この範囲であると550〜600℃でガラス基板上
に焼き付けることができるガラス粉末が得られる。
【0022】本発明において、PDP背面板用基板を構
成する各部材の中で、誘電体層の色調がPDPの表示品
位に極めて大きな影響を与えることを見いだした。本発
明のPDP背面板用基板を構成する誘電体層の色調は、
ハンター表色系Lab値で表した場合、L値が50以
上、a値が−3〜10の範囲、b値が−5〜10の範囲
内に調整する必要がある。
【0023】誘電体層のL値を50以上とすることで、
PDP背面板用基板とした場合、高い反射率を得ること
ができ、PDPとして高輝度のものが得られる。L値が
50未満であると、PDPの表示が暗くなったり、くす
んだようになり、表示品位が低下する。また、誘電体層
のa値が前記範囲未満では緑味が強くなり、また前記範
囲を超えると赤味が強くなる。また、誘電体層のb値が
前記範囲未満では青味が強くなり、前記範囲を超えると
黄味が強くなる。このようにa、b値が本発明の範囲外
である場合、誘電体層の色により、PDPの表示品位が
極端に低下する。
【0024】本発明でいうハンター表色系は、例えばス
ガ試験器(株)製SMカラーコンピューターによって測
定でき、使用する光源によって反射、透過の2種類があ
り、本発明ではどちらのLabを用いてもよいが、PD
Pとしたときの見た目の品位を数値化(定量化)すると
いう意味から反射モードで得られた値を用いることがよ
り好ましい。
【0025】本発明の誘電体層のL値を調整する方法と
しては、高Tg、具体的にはTgが590℃以上のガラ
ス粉末を少量添加する方法、酸化チタン、アルミナ、シ
リカ、チタン酸バリウム、ジルコニア等の白色無機顔料
をフィラーとして併用する方法、誘電体層に気泡(ボイ
ド)を含有せしめる方法などが挙げられるが、特に限定
されるものではない。
【0026】本発明の誘電体層のa値およびb値は、特
に誘電体層中に含まれるアルカリイオンによって左右さ
れる。具体的には誘電体層中のアルカリイオンと電極
(銀、錫等)あるいは基板に含まれる金属(錫等)との
反応が原因で誘電体が着色し、a値、b値が本発明の範
囲から外れる場合が多い。例えば銀とのイオン交換反応
が起こる場合にはb値が本発明の範囲を超える傾向にあ
り、また錫との反応が起こった場合にはa値が本発明の
範囲を超える傾向にある。
【0027】このような問題を抑制するために、本発明
の誘電体層中に含まれるNa、Li、Kなどのアルカリ
金属および/またはアルカリ土類金属の合計含有量を
0.5重量%以下、さらに0.1重量%以下にすること
が好ましい。該金属の合計含有量が0.5重量%を超え
ると、前記金属とのイオン交換が起こりやすく、さらに
はイオン交換後の金属が誘電体層内で拡散を起こしやす
く、誘電体層のa値、b値が本発明の範囲を大きく外れ
るため好ましくない。
【0028】本発明の誘電体は、ガラスあるいは無機材
料からなる無機微粒子と有機バインダーからなる誘電体
ペーストをガラス基板上に塗布し、焼成することによっ
て形成できる。誘電体ペーストに用いる無機粉末の量
は、無機粉末と有機成分の和に対して50〜90重量%
であるのが好ましい。50重量%未満では、誘電体層の
緻密性、表面の平坦性が欠如し、90重量%を越えると
ペースト粘度が上昇し、塗布時の厚みムラが大きくな
る。
【0029】本発明の場合、ガラス基板の変形を抑制す
るために、誘電体ペーストは550〜600℃で焼成す
ることが好ましい。このため、誘電体ペーストに用いる
無機粉末としては、ガラス転移点(Tg)450〜55
0℃、軟化点(Ts)500〜600℃のガラス粉末を
60重量%以上含有することが好ましい。ガラス転移点
が450℃よりも低い場合や軟化点が500℃よりも低
い場合は、後の工程中にガラスが溶融して、誘電体の厚
み均一性や特性が低下する。また、ガラス転移点が55
0℃よりも高い場合や軟化点が600℃よりも高い場合
は、ガラス基板上での焼成が不十分になり、密着強度が
低下し、誘電体層の剥離や欠落を生じやすくなる。
【0030】誘電体ペーストを塗布後、隔壁用ペースト
を用いて隔壁パターンを形成し、誘電体層と隔壁パター
ンを同時に焼成することによって、剥がれや倒れのない
均一な隔壁層を形成することができる。隔壁を無機粉末
と感光性有機成分からなる感光性ペーストを用いて形成
することは、PDPの高精細化および作製工程の低減に
有効である。
【0031】感光性ペースト法は、主としてガラス粉末
からなる無機成分と感光性を持つ有機成分からなる感光
性ペーストをガラス基板上に塗布し、露光によりフォト
マスクのパターンを焼き付け、現像により、隔壁パター
ンを形成し、その後焼成して隔壁を得る方法である。塗
布する方法として、スクリーン印刷法の他に感光性ペー
ストをフィルム上に塗布した感光性シート(グリーンテ
ープ)をガラス基板上に転写する方法を用いることもで
きる。
【0032】感光性ペースト法によって形成した隔壁パ
ターンは、厚み方向に光硬化の不均一による歪み応力が
生じやすいため、焼成の際に剥がれが生じやすい。隔壁
の剥がれが生じると剥がれた箇所で色の混色が起こり、
また剥がれた隔壁がパネル上に残り画素をつぶしてしま
い歩留まりが低下する。これを抑制するために、隔壁パ
ターンを未焼成の誘電体層上で形成し、該隔壁パターン
と誘電体層を同時に焼成することにより、剥がれが抑制
され、歩留まりが向上する。
【0033】隔壁に用いる無機成分は、ガラス転移点、
軟化点の低いガラス基板上にパターン形成するため、隔
壁用材料として、ガラス転移点が430〜500℃、軟
化点が470〜580℃のガラス材料を用いることが好
ましい。また、平均屈折率1.5〜1.7のガラスを用
いることにより、ペースト中のガラス粉末の屈折率を有
機成分の屈折率と近づけて、ペースト中の光散乱を抑制
し、塗布・露光回数を減らすことができる。
【0034】ガラス基板上に焼き付け可能な軟化点を有
し、平均屈折率を1.5〜1.7のガラスを得るために
は、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのう
ち少なくとも1種類を3〜10重量%含むガラス微粒子
を用いることが簡便な方法である。酸化ナトリウム、酸
化リチウム、酸化カリウム等のアルカリ金属の酸化物を
含有するガラスを用いることによって、軟化点、熱膨張
係数のコントロールが容易になるだけでなく、ガラスの
平均屈折率を低くすることができるため、有機物との屈
折率差を小さくすることが容易になる。3%未満では、
熱軟化点の制御が難しくなる。20%を超える場合は、
ペーストの安定性が低下する。しかし、隔壁材料にアル
カリ金属を含有する場合、誘電体層にアルカリ金属やそ
の酸化物を含有すると、隔壁層/誘電体層/ガラス基板
の3層間でイオン交換反応が生じて、基板のそりや割
れ、また、銀電極との反応による基板の黄着色の問題が
生じる。
【0035】前述したように誘電体層に含まれるアルカ
リ金属および/またはアルカリ土類金属を実質的に含有
しないことにすることにより黄色化、反り、割れを抑制
できる。
【0036】隔壁用ガラス材料の組成としては、酸化珪
素はガラス中に、3〜60重量%の範囲で配合すること
が好ましい。酸化珪素の配合量が3重量%未満の場合は
ガラス層の緻密性、強度や安定性が低下し、また熱膨張
係数が所望の値から外れ、ガラス基板とのミスマッチが
起こりやすい。また60重量%以下にすることによっ
て、熱軟化点が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可
能になるなどの利点がある。
【0037】さらに酸化ホウ素はガラス中に、5〜50
重量%の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強
度、熱膨張係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械およ
び熱的特性を向上することができる。50重量%を越え
るとガラスの安定性が低下する。
【0038】また、ガラス微粒子中に、酸化アルミニウ
ム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどを添加することに
より、硬度や加工性を改良することができるが、軟化
点、熱膨張係数、屈折率の制御の点からは、その含有量
は40重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量
%以下である。
【0039】酸化リチウムを含むガラス組成としては、
酸化物換算表記で 酸化リチウム 2〜15重量部 酸化珪素 15〜50重量部 酸化ホウ素 15〜40重量部 酸化バリウム 2〜15重量部 酸化アルミニウム 6〜25重量部 の組成を含むものを50重量%以上含有することが好ま
しい。
【0040】また、上記組成で、酸化リチウムの代わり
に、酸化ナトリウム、酸化カリウムを用いても良いが、
ペーストの安定性の点で、酸化リチウムが好ましい。
【0041】本発明の感光性ペースト法に用いるペース
ト中のガラス粉末量は、ガラス粉末と有機成分の和に対
して65〜85重量%であるのが好ましい。65重量%
より小さいと、焼成時の収縮率が大きくなり、隔壁の断
線、剥がれの原因となるため、好ましくない。またパタ
ーン太り、現像時の残膜の発生が起こりやすい。85重
量%より大きいと、感光性成分が少ないことにより、パ
ターンの形成性が悪くなる。
【0042】本発明の隔壁材料に軟化点が650〜85
0℃であるフィラーを10〜50重量%含ませてもよ
い。これにより、感光性ペースト法において、パターン
形成後の焼成時の収縮率が小さくなり、パターン形成が
容易になる。フィラーとしては、熱軟化温度が600℃
以上の高融点ガラスやセラミックスなどを用いることが
できる。
【0043】高融点ガラス粉末としては、酸化珪素、酸
化アルミニウムを15重量%以上含有するガラス粉末が
好ましく、これらの含有量合計がガラス粉末中50重量
%以上であることが、必要な熱特性を持たせるためには
有効である。一例としては、以下の組成を含有するガラ
ス粉末を用いることが好ましい。
【0044】 酸化珪素 :15〜50重量% 酸化ホウ素 : 5〜20重量% 酸化アルミニウム:15〜50重量% 酸化バリウム : 2〜10重量% 誘電体層用ペーストおよび隔壁ペーストに用いる有機成
分には、一般的な有機バインダー、可塑剤、溶媒などを
添加できる。有機バインダーの具体的な例としては、ポ
リビニルアルコール、セルロース系ポリマー、シリコン
ポリマー、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ
スチレン、ポリアミド、高分子量ポリエーテル、ポリビ
ニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリ
ル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル
酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重合体、ブチ
ルメタクリレート樹脂などがあげられる。また、ペース
トの粘度を調整する際には溶媒として、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチ
ルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、
シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォ
キシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロ
ベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロ
モ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種
以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0045】また、ペースト中に可塑剤を含むこともで
きる。可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、
グリセリンなどがあげられる。
【0046】誘電体ペーストおよび隔壁ペーストに感光
性を付与することにより、パターン加工が容易になるこ
とや溶媒や現像液に対する溶解性を制御できる利点があ
る。ペースト中に、感光性モノマー、感光性オリゴマ
ー、感光性ポリマーのうち少なくとも1種類から選ばれ
る感光性成分を含有し、さらに必要に応じて、光重合開
始剤、紫外線吸収剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤な
どの添加剤成分を加えることで感光性が付与される。こ
の場合、ペーストをガラス基板上に塗布後に、乾燥を行
った後、露光して光硬化できる。また、パターン露光後
に不要部分を現像して取り除き、パターン形成すること
ができる。
【0047】感光性成分としては、光不溶化型のものと
光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとして、 (A)分子内に不飽和基などを1つ以上有する官能性の
モノマー、オリゴマー、ポリマーを含有するもの (B)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機
ハロゲン化合物などの感光性化合物を含有するもの (C)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物な
どいわゆるジアゾ樹脂といわれるもの等がある。
【0048】また、光可溶型のものとしては、 (D)ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレック
ス、キノンジアゾ類を含有するもの (E)キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結
合させた、例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフト
キノン−1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステル
等がある。
【0049】本発明において用いる感光性成分は、上記
のすべてのものを用いることができる。感光性ペースト
として、無機微粒子と混合して簡便に用いることができ
る感光性成分は、(A)のものが好ましい。
【0050】感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽
和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピル
アクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチ
ルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−
ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジル
アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシ
トリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシル
アクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシ
クロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアク
リレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアク
リレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシ
ルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリル
アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メト
キシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチ
レングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルア
クリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリ
ルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリ
ル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジ
オールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ
アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジ
エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリ
コールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアク
リレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレー
ト、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘ
キシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアク
リレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリ
プロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロー
ルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、
フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレー
ト、ベンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレー
ト、2−ナフチルアクリレート、ビスフェノールAジア
クリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付
加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレン
オキサイド付加物のジアクリレート、チオフェノールア
クリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート等のア
クリレート、また、これらの芳香環の水素原子のうち、
1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモノマー、も
しくは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルス
チレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化
スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチ
レン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレ
ン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボキシメチルスチ
レン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニル
カルバゾール、および、上記化合物の分子内のアクリレ
ートを一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたも
の、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明
ではこれらを1種または2種以上使用することができ
る。
【0051】これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽
和酸を加えることによって、パターン露光後の現像性を
付与することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例
としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、
クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、また
はこれらの酸無水物などがあげられる。
【0052】これらモノマーの含有率は、ガラス粉末と
感光性成分の和に対して、5〜30重量%が好ましい。
これ以外の範囲では、パターンの形成性の悪化、硬化後
の硬度不足が発生するため好ましくない。
【0053】バインダーとしては、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合
体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−
メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重
合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられる。
【0054】また、前述の炭素−炭素二重結合を有する
化合物のうち少なくとも1種類を重合して得られたオリ
ゴマーやポリマーを用いることができる。重合する際
に、これら光反応性モノマーの含有率が、10重量%以
上、さらに好ましくは35重量%以上になるように、他
の感光性のモノマーと共重合することができる。
【0055】共重合するモノマーとしては、不飽和カル
ボン酸等の不飽和酸を共重合することによって、隔壁パ
ターンを形成する場合の現像性を向上することができ
る。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル
酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイ
ン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物
などがあげられる。こうして得られた側鎖にカルボキシ
ル基等の酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの
酸価(AV)は30〜150、さらには30〜120の
範囲が好ましい。酸価が30未満であると、現像許容幅
が狭くなる。また、酸価が150を越えると未露光部の
現像液に対する溶解性が低下するようになるため現像液
濃度を濃くすると露光部まで剥がれが発生し、高精細な
パターンが得られにくい。
【0056】以上示した、ポリマーもしくはオリゴマー
に対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させ
ることによって、感光性を持つ感光性ポリマーや感光性
オリゴマーとして用いることができる。好ましい光反応
性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチ
レン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリ
ル基、メタクリル基などがあげられる。
【0057】このような側鎖をオリゴマーやポリマーに
付加させる方法は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ
基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基や
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やア
クリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはア
リルクロライドを付加反応させて作る方法がある。
【0058】グリシジル基を有するエチレン性不飽和化
合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グ
リシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル
酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロト
ン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエ
ーテルなどがあげられる。
【0059】イソシアネート基を有するエチレン性不飽
和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネー
ト、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート等があ
る。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエ
チレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタク
リル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー
中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基
に対して0.05〜1モル当量付加させることが好まし
い。
【0060】感光性ペースト中の感光性ポリマー、感光
性オリゴマーおよびバインダーからなるポリマー成分の
量としては、パターン形成性、焼成後の収縮率の点で優
れていることから、ガラス粉末と感光性成分の和に対し
て、5〜30重量%であることが好ましい。この範囲外
では、パターン形成が不可能もしくは、パターンの太り
がでるため好ましくない。
【0061】光重合開始剤の具体的な例として、ベンゾ
フェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビ
ス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス
(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロ
ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニ
ルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−
ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−
フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキ
シ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジク
ロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオ
キサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロ
ピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジ
ルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタ
ール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾ
インブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチル
アントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロ
ルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジ
ベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベン
ザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジ
リデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジド
ベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フ
ェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカル
ボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2
−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフ
ェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボ
ニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパ
ントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラ
ーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニ
ル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレン
スルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライ
ド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイ
ソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチ
アゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カン
ファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスル
ホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブル
ーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノ
ールアミンなどの還元剤の組み合わせなどがあげられ
る。本発明ではこれらを1種または2種以上使用するこ
とができる。
【0062】光重合開始剤は、感光性成分に対し、0.
05〜20重量%の範囲で添加され、より好ましくは、
0.1〜15重量%である。重合開始剤の量が少なすぎ
ると、光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎ
れば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがあ
る。
【0063】紫外線吸収剤を添加することも有効であ
る。紫外線吸収効果の高い化合物を添加することによっ
て高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外
線吸収剤としては有機系染料からなるもの、中でも35
0〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有
機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染
料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン
系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベン
ゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリ
アジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用でき
る。有機系染料は吸光剤として添加した場合にも、焼成
後の絶縁膜中に残存しないで吸光剤による絶縁膜特性の
低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ
系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。
【0064】有機染料の添加量はガラス粉末に対して
0.05〜1重量部が好ましい。0.05重量%以下で
は紫外線吸光剤の添加効果が減少し、1重量%を越える
と焼成後の絶縁膜特性が低下するので好ましくない。よ
り好ましくは0.1〜0.18重量%である。
【0065】有機染料からなる紫外線吸光剤の添加方法
の一例を上げると、有機染料を予め有機溶媒に溶解した
溶液を作製し、それをペースト作製時に混練する方法以
外に、該有機溶媒中にガラス微粒子を混合後、乾燥する
方法があげられる。この方法によってガラス微粒子の個
々の粒子表面に有機の膜をコートしたいわゆるカプセル
状の微粒子が作製できる。
【0066】増感剤は、感度を向上させるために添加さ
れる。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオ
キサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビ
ス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、
2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘ
キサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザ
ル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、
4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、
4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビ
ス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシ
ンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリ
デンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビ
ニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−
ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニ
ル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、
3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリ
ン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N
−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノール
アミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミ
ノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソア
ミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾー
ル、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラ
ゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種また
は2種以上使用することができる。なお、増感剤の中に
は光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤
を本発明の感光性ペーストに添加する場合、その添加量
は感光性成分に対して通常0.05〜10重量%、より
好ましくは0.1〜10重量%である。増感剤の量が少
なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感
剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎる
おそれがある。
【0067】重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上さ
せるために添加される。重合禁止剤の具体的な例として
は、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、
N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−
t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、
2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロ
ラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤
を添加する場合、その添加量は、感光性ペースト中に、
通常、0.001〜1重量%である。
【0068】可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフ
タレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコ
ール、グリセリンなどがあげられる。
【0069】感光性ペーストの粘度を調整したい場合、
有機溶媒を加えてもよい。このとき使用される有機溶媒
としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセ
トン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロ
フラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクト
ン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼ
ン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香
酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混
合物が用いられる。 また、誘電体層用ペースト中にラ
ジカル重合性モノマーおよびラジカル重合開始剤を添加
することによって、熱重合性のペーストを得ることがで
きる。ペーストを塗布後に加熱して架橋構造を得ること
ができる。この場合は、ラジカル重合性モノマーの具体
的な例としては、エチレン、スチレン、ブタジエン、塩
化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチ
ル、メチルビニルケトン、アクリルアミド、アクリロニ
トリル等がある。ラジカル開始剤としては、過酸化ベン
ゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、アゾビス
イソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニ
リン等が挙げられる。
【0070】また、誘電体ペースト中に有機染料等の紫
外線吸収剤を添加することによって、隔壁をパターン加
工する際に露光した場合の誘電体表面からの反射・散乱
によるパターン不良を抑制することができる。つまり、
誘電体用ペーストのg線における全光線透過率T1と隔
壁用感光性ペーストの全光線透過率T2の間に、T1<
T2の関係が成り立つ場合には、隔壁パターンが良好に
形成できる。用いる紫外線吸収剤としては、前述の化合
物を用いることができる。
【0071】次に、本発明のPDP用基板の作製工程の
例を述べる。ただし、本発明は、これに限定されるもの
ではない。
【0072】本発明のPDP用基板に用いるペースト
は、上記の無機および有機の各種成分を所定の組成とな
るように調合した後、3本ローラーや混練機で均質に混
合分散し作製する。
【0073】ペーストの粘度は無機微粒子、増粘剤、有
機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によっ
て適宜調整されるが、その範囲は2000〜20万cp
s(センチ・ポイズ)である。例えばガラス基板への塗
布をスクリーン印刷法以外にスピンコート法で行う場合
は、200〜5000cpsが好ましい。スクリーン印
刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、4
000〜20万cpsが好ましい。
【0074】電極を形成したガラス基板の上に、誘電体
層用ペーストを5〜40μmの厚みで塗布する。
【0075】ここでペーストを基板上に塗布する場合、
基板と塗布膜との密着性を高めるために基板の表面処理
を行うことができる。表面処理液としてはシランカップ
リング剤、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−
(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキ
シプロピル)トリメトキシシラン、γ−(2−アミノエ
チル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロ
プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シランなどあるいは有機金属例えば有機チタン、有機ア
ルミニウム、有機ジルコニウムなどである。シランカッ
プリング剤あるいは有機金属を有機溶媒、例えばエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノエチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコ
ール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどで
0.1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。次にこの
表面処理液をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後
に80〜140℃で10〜60分間乾燥することによっ
て表面処理ができる。
【0076】誘電体層用ペーストの塗布の後、ペースト
中の溶媒を除去するため、乾燥を行う。次に、誘電体層
用ペースト中に、光もしくは熱重合性の成分が含まれる
際は、光、または加熱により硬化し、隔壁パターン形成
の際の現像液による浸食を防ぐ。
【0077】形成した誘電体層用塗布膜上に隔壁パター
ンを形成する。この場合、直接感光性ペーストを全面塗
布、もしくは部分的に塗布した後パターニングする方法
と、ポリマー製フィルムの上に感光性ペーストを塗布、
パターニングしたものを緩衝層上に転写する方法があ
る。塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコータ
ー、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター
等の方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回
数、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。
【0078】塗布した後、露光装置を用いて露光を行
う。露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるよう
に、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的
である。用いるマスクは、感光性有機成分の種類によっ
て、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。ま
た、フォトマスクを用いずに、赤色や青色のレーザー光
などで直接描画する方法を用いても良い。
【0079】露光装置としては、ステッパー露光機、プ
ロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大
面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に感
光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行う
ことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積
を露光することができる。
【0080】この際使用される活性光源は、たとえば、
可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー
光などが挙げられるが、これらの中で紫外線が好まし
く、その光源としてはたとえば低圧水銀灯、高圧水銀
灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用
できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。
露光条件は塗布厚みによって異なるが、1〜100mW
/cm2 の出力の超高圧水銀灯を用いて0.5〜30分
間露光を行う。
【0081】塗布した感光性ペースト表面に酸素遮蔽膜
を設けることによって、パターン形状を向上することが
できる。酸素遮蔽膜の一例としては、ポリビニルアルコ
ール(PVA)やセルロースなどの膜、あるいは、ポリ
エステルなどのフィルムが上げられる。
【0082】PVA膜の形成方法は濃度が0.5〜5重
量%の水溶液をスピナーなどの方法で基板上に均一に塗
布した後に70〜90℃で10〜60分間乾燥すること
によって水分を蒸発させて行う。また水溶液中にアルコ
ールを少量添加すると絶縁膜との塗れ性が良くなり蒸発
が容易になるので好ましい。さらに好ましいPVAの溶
液濃度は、1〜3重量%である。この範囲にあると感度
が一層向上する。PVA塗布によって感度が向上するの
は次の理由が推定される。すなわち感光性成分が光反応
する際に、空気中の酸素があると光硬化の感度を妨害す
ると考えられるが、PVAの膜があると余分な酸素を遮
断できるので露光時に感度が向上すると考えられる。
【0083】ポリエステルやポリプロピレン、ポリエチ
レン等の透明なフィルムを用いる場合は、塗布後の感光
性ペーストの上に、これらのフィルムを張り付けて用い
る方法もある。
【0084】露光後、感光部分と非感光部分の現像液に
対する溶解度差を利用して、現像を行うが、この場合、
浸漬法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法で行う。
【0085】用いる現像液は、感光性ペースト中の有機
成分が溶解可能である有機溶媒を使用できる。また該有
機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加しても
よい。感光性ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を
持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像でき
る。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや炭酸ナト
リウム、水酸化カルシウム水溶液などのような金属アル
カリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用い
た方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好まし
い。
【0086】有機アルカリとしては、アミン化合物を用
いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニ
ウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウム
ヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノール
アミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常
0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜1重量%
である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部が除去され
ず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離さ
せ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり好ましくな
い。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うこ
とが工程管理上好ましい。
【0087】次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気
や、温度はペーストや基板の種類によって異なるが、空
気中、窒素、水素等の雰囲気中で焼成する。焼成炉とし
ては、バッチ式の焼成炉やベルト式もしくはローラーハ
ース式の連続型焼成炉を用いることができる。ガラス基
板上にパターン加工する場合は、540〜610℃の温
度で10〜60分間保持して焼成を行う。
【0088】また、以上の塗布や露光、現像、焼成の各
工程中に、乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加
熱工程を導入しても良い。
【0089】次に、赤、青、緑の各色を発光する蛍光体
ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷することによ
り、フルカラー表示可能なPDP用の背面基板を作製す
ることができる。
【0090】本発明におけるガラス材質の光線透過率お
よび屈折率測定は、感光性ペースト法で露光する光の波
長で測定することが効果を確認する上で正確である。特
に、350〜650nmの範囲の波長の光で測定するこ
とが好ましい。さらには、i線(365nm)もしくは
g線(436nm)での屈折率測定が好ましい。光線透
過率は分光光度計、屈折率測定方法としては、エリプソ
法やVブロック法、ベッケ法を用いることができる。
【0091】本発明で得られるPDP背面板用基板の誘
電体層のハンター表色系Lab値は、誘電体ペースト層
を形成後、焼成して測定することが最も簡単であるが、
隔壁あるいは蛍光体を形成した後であっても、これらを
取り除いて測定することができる。
【0092】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて具体的に説
明するが、本発明はこれに限定はされるものではない。
【0093】実施例1 [PDP背面板用基板(基板/電極/誘電体)作成]ア
ルカリ金属を含まない下記組成のガラス粉末Aと50重
量%、有機バインダーとしてセルロース系ポリマー20
重量%、希釈溶媒としてターピネオール20重量%、白
色顔料として酸化チタン(石原産業(株)製:TR−5
0)5重量%からなる誘電体用ペーストを得た。
【0094】ガラス粉末A:組成 Bi23 :38%、
SiO2 :7%、B2 3 :19%、BaO:12%、
Al2 3 :3%、ZnO:21%。平均粒径3.4μ
mの非球状粉末。Tg 476℃、Ts 525℃。熱
膨張係数 77×10-7/°K。g線(436nm)で
の屈折率 1.75。
【0095】次いで感光性銀ペーストを用いて、ピッチ
150μm、線幅40μmのストライプ状電極(銀含有
量:95重量%)を形成した300mm角のガラス基板
(旭硝子社製”PD−200”)上に、上記の誘電体ペ
ーストをスクリーン印刷により30μmの厚みになるよ
うに全面塗布し、80℃で30分乾燥した。
【0096】[ハンター表色系Lab値および黄色度測
定]上記の手法により得られた基板を、空気中で580
℃30分間焼成することで、ガラス基板上に電極、誘電
体が形成された基板を得た。この基板の誘電体が形成さ
れた面のハンター表色系Lab値および黄色度YIを、
スガ試験器(株)製SMカラーコンピューターの反射光
源系により測定した。結果を表1に示す。
【0097】[隔壁の形成、PDP作成]下記に示す各
溶媒およびポリマー1をそれぞれ40%溶液となるよう
に混合し、攪拌しながら60℃まで加熱し、すべてのポ
リマーを均質に溶解させた。
【0098】ポリマー1:40%のメタアクリル酸(M
AA)、30%のメチルメタアクリレート(MMA)お
よび30%のスチレン(St)からなる共重合体のカル
ボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタアクリ
レート(GMA)を付加反応させた重量平均分子量43
000、酸価95の感光性ポリマー。
【0099】ついで溶液を室温まで冷却し、以下に示す
有機成分を構成する各成分を表1に示す割合で加えて溶
解させ有機成分を得た。その後、この溶液を400メッ
シュのフィルターを用いて濾過し、有機ビヒクルを作製
した。
【0100】 有機染料:スダン:アゾ系有機染料(化学式C24204O) 0.5g モノマー:TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)150g ポリマー: 150g 開始剤:チバガイギー社製 イルガキュア369 30g 増感剤:2,4−ジエチルチオキサントン 30g 増感助剤:p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル 20g 可塑剤:ジブチルフタレート(DBP) 50g 溶媒:γ−BL:ガンマブチロラクトン 300g 上記のようにして得られた有機ビヒクル40gに下記に
示すガラス粉末に前記ガラス粉末B60gを添加し、混
練機で混練することにより隔壁用感光性ペーストを製造
した。ガラス粉末は、あらかじめアトラクターにて微粉
末にしたものを用いた。
【0101】次いで上記の隔壁ペーストを350μm厚
み(乾燥後厚み:180μm)になるように前記誘電体
ペースト塗布膜上に塗布した後、80℃で40分乾燥
後、ピッチ150μm、線幅20μmのストライプ状の
ネガマスクを介して、上面から50mW/cm2 出力の
超高圧水銀灯でマスク紫外線露光した。露光量は1.5
J/cm2 であった。
【0102】次に、35℃に保持したモノエタノールア
ミンの0.3重量%の水溶液を85秒間(実施例3のみ
70秒間)シャワーすることにより現像し、その後シャ
ワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していないスペ
ース部分を除去してストライプ状の隔壁パターンを形成
した。このようにして誘電体ペースト塗布膜および隔壁
パターンを形成したガラス基板を、空気中で570℃で
30分間焼成を行い、誘電体層および隔壁を形成した。
【0103】次に、RGB各色蛍光体を用いた蛍光体ペ
ーストをスクリーン印刷によって、パターン印刷してプ
ラズマディスプレイ背面基板を作製した。また、ガラス
基板上に、透明電極、バス電極、誘電体層、保護膜(M
gO)を形成した前面基板と封着ガラスを用いて封着を
行った。封着時の温度は450℃である。作製したPD
Pの評価結果を表1に示す。
【0104】更に、隔壁、蛍光体層を形成した上記PD
P背面板の、蛍光体層、隔壁層を剥離して取り除き、誘
電体層をむき出しにし、誘電体層のハンター表色系を測
定した。結果を表1に記した。
【0105】実施例2 実施例1の誘電体ペーストを酸化チタンの量を10重量
%に変更した誘電体ペースを用いた他は実施例1と同様
にしてPDPを得た。評価結果を表1に示す。
【0106】実施例3 実施例1の誘電体ペースト中のガラス粉末を、アルカリ
金属、アルカリ土類金属を全く含まないホウ珪酸鉛系ガ
ラスに変更した他は実施例1と同様にしてPDPを得
た。評価結果を表1に示す。
【0107】比較例1 実施例1の誘電体ペースト中のガラス粉末中の酸化チタ
ンを除いた他は実施例1と同様にしてPDPを得た。評
価結果を表1に示す。
【0108】比較例2 実施例1の誘電体ペーストのガラス粉末を下記組成に変
更した他は実施例1と同様にしてPDPを得た。評価結
果を表1に示す。
【0109】ガラス粉末B:組成 Li2O:9%、Si
2 :20%、B2 3 :31%、BaO:4%、Al
2 3 :24%、ZnO:2%、MgO:6%、Ca
O:4%。平均粒径2.6μmの非球状粉末。Tg(ガ
ラス転移点)480℃、Ts(軟化点)520℃。熱膨
張係数 79×10-7/°K。g線(436nm)での
屈折率1.58。
【0110】
【表1】
【0111】
【発明の効果】本発明のプラズマディスプレイパネル背
面板用基板は、ハンター表色系Lab値を規制すること
で、表示品位が優れたPDPを提供することができる。
【0112】さらに本発明のプラズマディスプレイパネ
ルの製造方法は、焼成の際の隔壁の剥がれが生じないた
め、高精細のPDPを歩留まりよく製造できるようにな
る。これらのことにより、表示品位が優れた高精細のプ
ラズマディスプレイを提供することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年12月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 プラズマディスプレイ用基板、プラズ
マディスプレイおよびその製造方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項11】アルカリ金属を実質的に含まない無機材
料と有機成分からなる誘電体ペーストをガラス基板上に
塗布して形成した塗布膜上に、無機微粒子と感光性有機
成分からなる感光性ペーストを塗布、露光して隔壁パタ
ーンを形成した後に、前記塗布膜と前記隔壁パターンを
同時に焼成することを特徴とするプラズマディスプレイ
製造方法。
【請求項12】誘電体ペーストがアルカリ金属およびア
ルカリ土類金属を実質的に含まない無機材料と有機成分
からなる誘電体ペーストであることを特徴とする請求項
11記載のプラズマディスプレイ製造方法。
【請求項13】誘電体ペーストが感光性誘電体ペースト
であることを特徴とする請求項11記載のプラズマディ
スプレイ製造方法。
【請求項14】感光性ペーストが、無機微粒子として屈
折率1.5〜1.7のガラス微粒子を含むことを特徴と
する請求項11記載のプラズマディスプレイの製造方
法。
【請求項15】無機微粒子が、下記組成を含むガラス材
料からなることを特徴とする請求項11記載のプラズマ
ディスプレイの製造方法。 酸化リチウム 3〜10重量% 酸化珪素 10〜30重量% 酸化ホウ素 20〜40重量% 酸化バリウム 2〜15重量% 酸化アルミニウム 6〜25重量%

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板上に形成した電極の上に誘電体
    層を設けたプラズマディスプレイ用基板であって、該誘
    電体層のハンター表色系Lab値のうちL値が50以
    上、a値が−3〜10、b値が−5〜10であることを
    特徴とするプラズマディスプレイ用基板。
  2. 【請求項2】誘電体層が実質的にアルカリ金属を含まな
    い無機材料からなることを特徴とする請求項1記載のプ
    ラズマディスプレイ用基板。
  3. 【請求項3】誘電体層が実質的にアルカリ土類金属を含
    まない無機材料からなることを特徴とする請求項1また
    は2に記載のプラズマディスプレイ用基板。
  4. 【請求項4】誘電体層がガラス転移点450〜500
    ℃、軟化点500〜550℃のガラスを主成分とするこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズ
    マディスプレイ用基板。
  5. 【請求項5】誘電体層に用いるガラスが酸化ビスマスを
    10〜85重量%含むガラスであることを特徴とする請
    求項4に記載のプラズマディスプレイ用基板。
  6. 【請求項6】誘電体層に用いるガラスが下記組成を含む
    ことを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレ
    イ用基板。 酸化ビスマス 10〜85重量% 酸化珪素 3〜50重量% 酸化ホウ素 10〜40重量% 酸化亜鉛 10〜20重量%
  7. 【請求項7】誘電体層が、ガラス転移点450〜550
    ℃、軟化点500〜600℃であるガラスを50〜90
    重量%、フィラーを10〜50重量%含有することを特
    徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ用基板。
  8. 【請求項8】フィラーが、酸化チタン、アルミナ、チタ
    ン酸バリウム、ジルコニアからなる群から選ばれた少な
    くとも一種であることを特徴とする請求項7に記載のプ
    ラズマディスプレイ用基板。
  9. 【請求項9】アルカリ金属を実質的に含まない無機材料
    と有機成分からなる誘電体ペーストをガラス基板上に塗
    布して形成した塗布膜上に、無機微粒子と感光性有機成
    分からなる感光性ペーストを塗布、露光して隔壁パター
    ンを形成した後に、前記塗布膜と前記隔壁パターンを同
    時に焼成することを特徴とするプラズマディスプレイ用
    の製造方法。
  10. 【請求項10】誘電体ペーストがアルカリ金属およびア
    ルカリ土類金属を実質的に含まない無機材料と有機成分
    からなる誘電体ペーストであることを特徴とする請求項
    9記載のプラズマディスプレイ用の製造方法。
  11. 【請求項11】誘電体ペーストが感光性誘電体ペースト
    であることを特徴とする請求項9記載のプラズマディス
    プレイ用基板の製造方法。
  12. 【請求項12】感光性ペーストが、無機微粒子として屈
    折率1.5〜1.7のガラス微粒子を含むことを特徴と
    する請求項9記載のプラズマディスプレイの製造方法。
  13. 【請求項13】無機微粒子が、下記組成を含むガラス材
    料からなることを特徴とする請求項11記載のプラズマ
    ディスプレイの製造方法。 酸化リチウム 3〜10重量% 酸化珪素 10〜30重量% 酸化ホウ素 20〜40重量% 酸化バリウム 2〜15重量% 酸化アルミニウム 6〜25重量%
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004051607A1 (ja) * 2002-11-29 2004-06-17 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 画像表示装置およびその製造方法
WO2004051606A1 (ja) * 2002-11-29 2004-06-17 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 画像表示装置およびそれに用いるガラス基板の評価方法

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