JPH1182117A - 内燃機関の燃料供給系異常診断装置 - Google Patents

内燃機関の燃料供給系異常診断装置

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JPH1182117A
JPH1182117A JP10062875A JP6287598A JPH1182117A JP H1182117 A JPH1182117 A JP H1182117A JP 10062875 A JP10062875 A JP 10062875A JP 6287598 A JP6287598 A JP 6287598A JP H1182117 A JPH1182117 A JP H1182117A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料供給系の異常を速やかに検出できるよう
にする。 【解決手段】 空燃比センサ28で検出した空燃比λ
と目標空燃比λTGとの差と空燃比補正係数FAF
(フィードバック補正量)と学習補正量KGjとを燃
料供給系の異常診断データとして用い、これら3つの異
常診断データ〜を合計して異常診断パラメータを求
める。その後、この異常診断パラメータをなまし処理
し、そのなまし値を異常診断基準値と比較して燃料供給
系の異常の有無を診断する。これにより、学習補正量K
Gjが更新されなくても、実空燃比λと目標空燃比λT
Gとの差と空燃比補正係数FAFとから、燃料供給系の
異常(つまり実空燃比λの異常なずれ)を速やかに検出
することができる。異常診断基準値は、吸入空気量Ga
等のエンジン運転パラメータに応じてマップ等により求
める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料供給系の異常
の有無を診断する内燃機関の燃料供給系異常診断装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、特開平4−171237号公報
に記載された燃料供給系異常診断装置では、目標空燃比
からの実空燃比のずれ量を補正する補正量(補正係数)
を学習して得られた学習補正量を異常診断データとして
用い、この学習補正量を基本燃料噴射量が略等しい運転
領域毎に平均化し、この学習補正量の平均値を基本燃料
噴射量が異なる運転領域の学習補正量の平均値と比較し
て燃料供給系の異常の有無を診断するようにしている。
【0003】また、米国特許第5,09,214号公報
に記載された燃料供給系異常診断装置では、学習補正量
と空燃比のフィードバック補正量を異常診断データとし
て用い、学習補正量とフィードバック補正量とが共に空
燃比制御範囲の上下限値(ガード値)に張り付いた状態
が所定時間継続するか否かで、燃料供給系の異常の有無
を診断するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した2つの燃料供
給系異常診断装置は、いずれも、学習補正量を異常診断
データとして用いるが、学習補正量の更新は、誤学習を
防止するために、一般的には極めて更新速度が遅く設定
されている。このため、学習補正量が更新されるまでの
期間が比較的長く、この期間に燃料供給系の異常が発生
しても、学習補正量が更新されるまで燃料供給系の異常
を検出することができない。また、空燃比がフィードバ
ック補正量以上になった場合は、学習補正量の更新が禁
止されることがあり、この場合は、空燃比がフィードバ
ック補正量以下になるまで燃料供給系の異常を検出する
ことができない。要するに、従来の燃料供給系異常診断
装置では、異常診断が学習補正量の更新時期に左右され
てしまい、燃料供給系の異常を速やかに検出することが
できないことがあるという欠点がある。
【0005】そこで、本発明の目的は、学習補正量が更
新されなくても、燃料供給系の異常が発生した時には、
その異常を速やかに検出することができる内燃機関の燃
料供給系異常診断装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1の内燃機関の燃料供給系異常診断
装置は、機関運転状態に基づいて設定した基本燃料噴射
量と学習補正量とフィードバック補正量とに基づいて要
求燃料噴射量を要求燃料噴射量設定手段により設定し、
この要求燃料噴射量に基づいて燃料噴射装置により燃料
を噴射する内燃機関において、実空燃比と目標空燃比
との差と学習補正量とフィードバック補正量とを燃
料供給系の異常診断データとして用い、これら3つの異
常診断データ〜に基づいて燃料供給系の異常の有無
を噴射異常診断手段により診断する。このようにすれ
ば、たとえ学習補正量が更新されなくても、実空燃
比と目標空燃比との差とフィードバック補正量とか
ら、燃料供給系の異常(つまり実空燃比の異常なずれ)
を速やかに検出することができ、異常診断の信頼性を向
上することができる。
【0007】上述した3つの異常診断データ〜は、
個別に異常診断の評価を行った後に、これら3つの個別
評価を総合的に評価して燃料供給系の異常の有無を診断
するようにしても良いが、請求項2のように、3つの異
常診断データ〜を合計し、その合計値(++
)に基づいて燃料供給系の異常の有無を診断するよう
にしても良い。このようにすれば、異常診断のロジック
が極めて簡単である。
【0008】この場合、請求項3のように、3つの異常
診断データ〜の合計値をなまし処理し、そのなまし
値に基づいて燃料供給系の異常の有無を診断するように
しても良い。このようにすれば、ノイズ等による瞬間的
な空燃比検出値の変動や過渡運転時の急激な機関運転状
態の変動等の影響を受けずに安定した異常診断が可能と
なり、異常診断精度を向上することができる。
【0009】更に、請求項4のように、燃料供給系の異
常の有無を診断する際に用いる異常診断基準値を機関運
転状態に基づいて設定するようにしても良い。このよう
にすれば、機関運転状態に応じた最適な異常診断基準値
を設定することが可能となり、異常診断精度を向上する
ことができる。
【0010】また、燃料蒸発ガスパージシステムから吸
気系に導入される燃料蒸発ガス濃度が高いと、その影響
で実空燃比のずれが一時的に大きくなって、異常有りと
誤診断されるおそれがあるため、請求項5のように、吸
気系に導入される燃料蒸発ガス濃度が所定値以上の場合
に異常診断を診断禁止手段によって禁止するようにして
も良い。このようにすれば、燃料蒸発ガス濃度の影響を
あまり受けない安定した運転条件下で異常診断を実施で
き、異常診断の信頼性を向上できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。まず、図1に基づいてエンジン制
御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関である
エンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリー
ナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に
は、吸気温度THAを検出する吸気温度センサ14と、
吸入空気量Gaを検出するエアフローメータ10とが設
けられている。このエアフローメータ10の下流側に
は、スロットルバルブ15とスロットル開度THを検出
するスロットル開度センサ16とが設けられている。
【0012】更に、スロットルバルブ15の下流側に
は、吸気管圧力PMを検出する吸気管圧力センサ17が
設けられ、この吸気管圧力センサ17の下流側にサージ
タンク18が設けられている。このサージタンク18に
は、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホ
ールド19が接続され、この吸気マニホールド19の各
気筒の分岐管部に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁
20(燃料噴射装置)が取り付けられている。この燃料
噴射弁20は、燃料タンク40、燃料ポンプ(図示せ
ず)等と共に燃料供給系を構成し、燃料タンク40内か
ら燃料ポンプで汲み上げた燃料が燃料配管(図示せず)
を通して各気筒の燃料噴射弁20に分配される。
【0013】また、燃料タンク40内から蒸発する燃料
蒸発ガスは、連通管41を通してキャニスタ42内の活
性炭等の吸着体(図示せず)に吸着される。このキャニ
スタ42と吸気管12との間には、キャニスタ42内に
吸着されている燃料蒸発ガスを吸気管12にパージ(放
出)するためのパージ配管44が設けられ、このパージ
配管44の途中にパージ流量を調整するパージ制御弁4
5が設けられている。これらキャニスタ42、パージ制
御弁45、パージ配管44等から燃料パージシステム4
6が構成されている。
【0014】また、エンジン11には各気筒毎に点火プ
ラグ21が取り付けられ、各点火プラグ21には、点火
回路22で発生した高圧電流がディストリビュータ23
を介して供給される。このディストリビュータ23に
は、720℃A(クランク軸2回転)毎に例えば24個
のパルス信号を出力するクランク角センサ24が設けら
れ、このクランク角センサ24の出力パルス間隔によっ
てエンジン回転数Neを検出するようになっている。ま
た、エンジン11には、エンジン冷却水温THWを検出
する水温センサ38が取り付けられている。
【0015】一方、エンジン11の排気ポート(図示せ
ず)には、排気マニホールド25を介して排気管26が
接続され、この排気管26の途中に排ガス中の有害成分
(CO,HC,NOx等)を低減させる三元触媒等の触
媒27が設けられている。この触媒27の上流側には、
排ガスの空燃比に応じたリニアな空燃比信号λを出力す
る空燃比センサ28(空燃比検出手段)が設けられてい
る。また、触媒27の下流側には、排ガスの空燃比が理
論空燃比に対してリッチかリーンかによって出力電圧R
/Lが反転する酸素センサ29が設けられている。
【0016】上述した各種のセンサの出力はエンジン制
御回路30内に入力ポート31を介して読み込まれる。
このエンジン制御回路30は、マイクロコンピュータを
主体として構成され、CPU32、ROM33(記憶媒
体)、RAM34、バッテリ(図示せず)でバックアッ
プされたバックアップRAM35等を備え、ROM33
に記憶された後述する図2、図4及び図7に示す燃料噴
射制御用のプログラムや点火制御プログラム(図示せ
ず)を実行することで、各種センサで検出されたエンジ
ン運転パラメータを用いて要求燃料噴射量TAUや点火
時期Ig等を演算し、その演算結果に応じた信号を出力
ポート36から燃料噴射弁20や点火回路22に出力し
てエンジン11の運転を制御する。
【0017】更に、このエンジン制御回路30は、後述
する図8乃至図12に示す燃料供給系異常診断用の各プ
ログラムや、これらのプログラムに用いる図13の異常
診断基準値マップや初期値等をROM33に記憶し、こ
れら図8乃至図12に示す各プログラムを実行すること
で、実空燃比と目標空燃比との差と学習補正量と
フィードバック補正量とに基づいて燃料供給系の異常の
有無を診断し、燃料供給系の異常有りと診断した時に
は、出力ポート36から警告ランプ37に点灯信号を出
力して警告ランプ37を点灯し、運転者に警告する。
【0018】以下、このエンジン制御回路30が実行す
る各種プログラムの処理の流れを説明する。
【0019】[空燃比制御]図2に示す空燃比制御プロ
グラムは、空燃比のフィードバック制御を通じて要求燃
料噴射量TAUを設定するプログラムであり、所定クラ
ンク角毎(例えば360℃A毎)に起動される。本プロ
グラムが起動されると、まずステップ101で、前記各
種センサからの検出信号(例えばエンジン回転数Ne、
吸気管圧力PM、冷却水温THW、空燃比λ、排ガス中
の酸素濃度R/L等)を読み込む。この後、ステップ1
02で、エンジン運転状態(エンジン回転数Neと吸気
管圧力PM等)に応じてマップ等から基本燃料噴射量T
pを演算する。このステップ102の処理が特許請求の
範囲でいう基本燃料噴射量設定手段として機能する。
【0020】そして、次のステップ103で、空燃比フ
ィードバック条件が成立しているか否かを判定する。こ
こで、空燃比フィードバック条件は、次の(A1)〜
(A4)の条件を全て満たした時に成立し、1つでも満
たさない条件があれば、不成立となる。 (A1)各種の燃料増量補正が行われていないこと (A2)燃料カット中でないこと (A3)高負荷運転中でないこと (A4)空燃比センサ28が活性化していること
【0021】尚、上記(A4)の空燃比センサ28の活
性化の有無は、例えば、冷却水温THWが所定温度
(例えば30℃)以上となっているか否かで判定した
り、始動後の経過時間が所定時間以上となっているか
否かで判定したり、実際に空燃比センサ28から出力
λが出たか否かで判定したり、或は、空燃比センサ2
8の素子インピーダンス(素子温相当)を検出してその
素子インピーダンスから判定しても良い。
【0022】上記ステップ103で、空燃比フィードバ
ック条件が不成立と判定された場合には、ステップ10
4に進み、空燃比補正係数FAF(フィードバック補正
量に相当)を「1.0」に設定して、ステップ109に
進む。この場合は、空燃比の補正は行われない。
【0023】一方、上記ステップ103で、空燃比フィ
ードバック条件成立と判定された場合には、ステップ1
05に進み、触媒28が活性化しているか否かを判定す
る。この触媒28の活性の有無は、例えば、冷却水温T
HWが所定温度(例えば40℃)以上となっているか否
かで判定する。このステップ105で、触媒28が活性
化していると判定された時には、ステップ106に進
み、後述する図4の目標空燃比設定プログラムを実行
し、触媒28下流の酸素センサ29の出力R/Lに基づ
いて目標空燃比λTGを設定してから、ステップ108
に進む。
【0024】これに対し、上記ステップ105におい
て、触媒28が活性化していないと判定された時には、
ステップ107に進み、図3に示す冷却水温THWをパ
ラメータとする目標空燃比マップを検索して、その時点
の冷却水温THWに応じた目標空燃比λTGを設定して
ステップ108に進む。
【0025】以上のようにして、ステップ106又は1
07で目標空燃比λTGを設定した後、ステップ108
に進み、目標空燃比λTGと空燃比センサ28の出力λ
(空燃比)とに基づいて空燃比補正係数FAFを次式に
より算出する。 FAF(k)=K1・λ(k)+K2・FAF(k−
3)+K3・FAF(k−2)+K4・FAF(k−
1)+ZI(k) 但し、ZI(k)=ZI(k−1)+Ka・{λTG−
λ(k)} ここで、kは最初のサンプリング開始からの制御回数を
示す変数、K1〜K4は最適フィードバック定数、Ka
は積分定数である。このステップ108の処理が特許請
求の範囲でいう空燃比フィードバック手段として機能す
る。
【0026】そして、次のステップ109で、基本燃料
噴射量Tp、空燃比補正係数FAF、バックアップRA
M35に格納されている空燃比の学習補正量KGjのう
ちの現在の運転領域に属する学習補正量KGjとを用い
て、次式の演算を実行し、要求燃料噴射量TAUを算出
して、本プログラムを終了する。 TAU=Tp・FAF・KGj・FALL ここで、FALLは、空燃比補正係数FAFと学習補正
量KGjによらない他の補正係数(例えばエンジン温度
による補正係数、加減速時の補正係数等)である。この
ステップ109の処理が特許請求の範囲でいう要求燃料
噴射量設定手段として機能する。
【0027】[目標空燃比設定]図4に示す目標空燃比
設定プログラムは、図2の空燃比制御プログラムのステ
ップ106で実行されるサブルーチンである。本プログ
ラムが起動されると、まずステップ111〜113で、
酸素センサ29の出力R/Lに基づいて、実際の空燃比
と空燃比センサ28の出力λ(検出した空燃比)とのず
れを補正するように、目標空燃比の中央値λTGCを設
定する。具体的には、まずステップ111で、酸素セン
サ29の出力R/Lがリッチ(R)かリーン(L)かを
判別し、リッチ(R)の場合は、ステップ112に進
み、中央値λTGCを所定値λMだけ大きく、すなわち
λMだけリーンに設定する(λTGC←λTGC+λ
M)。
【0028】一方、酸素センサ29の出力R/Lがリー
ン(L)の場合は、ステップ113に進み、中央値λT
GCを所定値λMだけ小さく、すなわちλMだけリッチ
に設定する(λTGC←λTGC一λM)。図5は、こ
のような酸素センサ29の出力R/Lに基づいて目標空
燃比の中央値λTGCを設定する場合の一例を示してい
る。
【0029】以上のようにして、目標空燃比の中央値λ
TGCを設定した後、ステップ114〜123で、いわ
ゆるディザ制御により目標空燃比λTGを次のようにし
て設定する。まず、ステップ114で、ディザ周期カウ
ンタのカウント値CDZAがディザ周期TDZA以上と
なっているか否かを判定する。このディザ周期TDZA
は、当該ディザ制御の分解能を決定する因子であり、後
述するステップ118の処理により、エンジン11の運
転状態に対応した望ましい値がその都度設定される。
【0030】もし、ディザ周期カウンタのカウント値C
DZAがディザ周期TDZAよりも小さければ、ステッ
プ115に進み、ディザ周期カウンタのカウント値CD
ZAを1インクリメントして、ステップ123の処理を
実行する。この場合は、目標空燃比λTGの値を更新す
ることなく、その時点で設定されている目標空燃比λT
Gの値を維持する。
【0031】一方、ディザ周期カウンタのカウント値C
DZAがディザ周期TDZA以上であれば、ステップ1
16に進み、ディザ周期カウンタのカウント値CDZA
を「0」にリセットした後、ディザ制御により目標空燃
比λTGが前記中央値λTGCを中心にしてリッチ/リ
ーン側に交互に階段状に変化するように、以下の処理を
実行する。
【0032】まず、ステップ117,118で、ディザ
振幅λDZAとディザ周期TDZAを設定する。ここ
で、ディザ振幅λDZAは、ディザ制御の制御量を決定
する因子であり、ディザ周期TDZAと同じく、エンジ
ン11の運転状態に対応した望ましい値がその都度設定
される。これらディザ振幅λDZAとディザ周期TDZ
Aは、エンジン回転数Neと吸気管圧力PMとをパラメ
ータとする2次元マップ(図示せず)を検索して、その
時点のエンジン回転数Neと吸気管圧力PMに対応する
ディザ振幅λDZAとディザ周期TDZAを求める。
【0033】この後、ステップ119で、ディザ処理フ
ラグXDZRが「0」であるか否かを判定する。このデ
ィザ処理フラグXDZRは、目標空燃比中央値λTGC
に対して目標空燃比λTGをリッチに設定する場合にX
DZR=1にセットし、リーンに設定する場合にXDZ
R=0にリセットする。
【0034】上記ステップ119で、XDZR=0と判
定された場合、つまり前回のディザ制御で目標空燃比中
央値λTGCに対して目標空燃比λTGがリーンに設定
されている場合には、ステップ120に進み、今回のデ
ィザ制御で目標空燃比λTGがリッチに設定されるよう
に、ディザ処理フラグXDZRを「1」にセットする。
これに対し、上記ステップ119で、XDZR=1と判
定された場合、つまり前回のディザ制御で目標空燃比中
央値λTGCに対して目標空燃比λTGがリッチに設定
されている場合には、ステップ121に進み、今回のデ
ィザ制御で目標空燃比λTGがリーンに設定されるよう
に、ディザ処理フラグXDZRを「0」にリセットす
る。
【0035】このようにして、ステップ120又は12
1で、ディザ処理フラグXDZRを反転させ、更に、X
DZR=1の場合には、ステップ122で、ディザ振幅
λDZAを−値に反転させる(XDZR=0の場合はス
テップ112又は113で設定したディザ振幅λDZA
をそのまま用いる)。この後、ステップ123で、目標
空燃比中央値λTGCとディザ振幅λDZAとから目標
空燃比λTGを設定する。例えば、前回のディザ制御で
目標空燃比中央値λTGCに対して目標空燃比λTGが
リーンに設定された場合には、今回のディザ制御で、目
標空燃比λTGを中央値λTGCに対してディザ振幅λ
DZAだけリッチに設定するように、次式により目標空
燃比λTGを算出する。λTG=λTGC−λDZA
【0036】逆に、前回のディザ制御で目標空燃比中央
値λTGCに対して目標空燃比λTGがリッチに設定さ
れた場合には、今回のディザ制御で、目標空燃比λTG
を中央値λTGCに対してディザ振幅λDZAだけリー
ンに設定するように、次式により目標空燃比λTGを算
出する。 λTG=λTGC+λDZA
【0037】このようなディザ制御により、図6に示す
ように、目標空燃比λTGが中央値λTGCを中心にし
てリッチ/リーン側に交互にディザ振幅λDZAだけ階
段状に変化するように設定される。
【0038】[空燃比学習]図7に示す空燃比学習プロ
グラムは、所定クランク角毎に起動され、特許請求の範
囲でいう学習手段として機能する。本プログラムが起動
されると、まずステップ201で、後述する例えば8つ
の運転領域0〜7についての空燃比学習が全て終了した
か否かを判定する。この判定は、各運転領域0〜7に対
応した学習フラグXDOM0〜XDOM7が学習終了を
意味する「1」であるか否かによって行われる。8つの
運転領域0〜7の空燃比学習が全て終了している場合
(XDOM0〜XDOM7=1の場合)には、ステップ
203に進み、学習終了フラグXAFLNを全領域学習
終了を意味する「1」にセットする。
【0039】一方、運転領域0〜7のうちのいずれか1
つでも空燃比学習が終了していない場合には、ステップ
201からステップ202に進み、学習終了フラグXA
FLNを「0」にリセットする。
【0040】この後、ステップ204で、下記の(B
1)〜(B6)の学習条件が成立しているか否かを判定
する。 (B1)空燃比フィードバック制御中であること (B2)冷却水温THWが例えば80℃以上であること (B3)始動後増量が「0」であること (B4)暖機増量が「0」であること (B5)現在の運転領域に入ってから所定クランク角だ
け経過していること (B6)バッテリ電圧が例えば11.5V以上であるこ
【0041】これら(B1)〜(B6)の条件を1つで
も満たさないものがあれば、学習条件が不成立となり、
ステップ205以降の学習処理を行うことなく、本プロ
グラムを終了する。
【0042】一方、(B1)〜(B6)の条件を全て満
たせば、学習条件が成立し、ステップ205以降の学習
処理を次のようにして実行する。まずステップ205
で、RAM34に格納されている空燃比補正係数FAF
の平均値FAFAVを読み込んだ後、ステップ206
で、アイドル時(IDLON)であるか否かを判定し、
アイドル時か走行時かに応じて、以下のような学習処理
を実行する。
【0043】すなわち、走行時である場合には、ステッ
プ207に進み、その時点のエンジン回転数Neが10
00〜3200rpmの範囲内(安定した走行状態)で
あるか否かを判定し、範囲外であれば、以降の処理を行
うことなく、本プログラムを終了する。一方、エンジン
回転数Neが1000〜3200rpmの範囲内であれ
ば、学習処理が可能と判断して、ステップ208に進
み、エンジン11の運転領域が「1」〜「7」のいずれ
の領域に該当するか判定する。この運転領域の判定は、
エンジン11の負荷(例えば吸気管圧力PM)に基づい
て行われ、該負荷の大きさに応じて、運転領域「1」〜
「7」のいずれかの領域を当該学習処理領域として設定
する。この後、ステップ209で、上記ステップ208
で設定した領域i(iは「1」〜「7」のいずれか)に
対応する学習フラグXDOMiをセットする。
【0044】一方、ステップ206において、アイドル
時と判定された場合には、エンジン回転数Neが例え
ば600〜1000rpmの範囲内(安定したアイドル
状態)であるか否か(ステップ210)、また、吸気
管圧力PMが例えば173mmHgより高いか否かを判
定する(ステップ211)。これら2つの条件,の
いずれか一方でも満たさなければ、以降の処理を行うこ
となく、本プログラムを終了する。
【0045】これに対し、2つの条件,を共に満た
せば、学習処理が可能であると判断して、ステップ21
2に進み、その運転領域を領域「0」に設定した後、ス
テップ213で、上記ステップ212で設定した領域
「0」に対応する学習フラグXDOM0をセットする。
【0046】以上のようにして、現在の運転状態に応じ
て学習フラグXDOMi又はXDOM0をセットした
後、ステップ214〜217で、空燃比の学習補正量K
Gj(j=0〜7)の設定、又は既に設定した学習補正
量KGjの更新を実行する。この学習処理は、まずステ
ップ214で、前記ステップ205で読み込んだ空燃比
補正係数の平均値FAFAVの基準値(1.0)からの
ずれ量(1−FAFAV)を判定し、ずれ量が所定値
(例えば2%)以上であれば、当該領域の学習補正量K
Gjを所定値K%だけ補正し(ステップ215)、ずれ
量が所定値(例えば一2%)以下であれば、当該領域の
学習補正量KGjを所定値L%だけ補正する(ステップ
217)。もし、ずれ量が上記所定値内であれば、当該
領域の学習補正量KGjを維持する(ステップ21
6)。
【0047】この後、ステップ218で、上記ステップ
215〜217で設定(更新)した学習補正量KGjの
上下限チェック(ガード処理)を実行する。この上下限
チェックでは、学習補正量KGjの上限値が例えば
「1.2」に設定され、下限値が例えば「0.8」に設
定される。これら上下限値は、上述したエンジン11の
運転領域毎に設定しても良い。このようにして設定され
た学習補正量KGjは、バックアップRAM35に運転
領域毎に格納される。
【0048】[燃料蒸発ガス濃度検出]燃料蒸発ガス濃
度検出は、図8に示す燃料蒸発ガス濃度検出プログラム
に従って例えば4msec毎の割込み処理により実行さ
れる。本プログラムの処理が開始されると、まずステッ
プ221で、キースイッチ投入時であるか否かを判別す
る。キースイッチ投入時であれば、ステップ235〜2
37で各データを初期化し、燃料蒸発ガス濃度FLPR
G=0、燃料蒸発ガス濃度平均値FLPRGAV=0、
初回濃度検出終了フラグXNFLPRG=0にする。
【0049】ここで、燃料蒸発ガス濃度FLPRG=
0、燃料蒸発ガス濃度平均値FLPRGAV=0は、燃
料蒸発ガス濃度が「0」であること(換言すればキャニ
スタ32に燃料蒸発ガスが全く吸着されていないこと)
を意味する。エンジン始動時には初期化により吸着量が
「0」に仮定される。初回濃度検出終了フラグXNFL
PRG=0は、エンジン始動後に未だ燃料蒸発ガス濃度
が検出されていないことを意味する。
【0050】キースイッチ投入後は、ステップ222に
進み、パージ実行フラグXPRGが「1」であるか否
か、即ちパージ制御が開始されているか否かを判別す
る。ここで、XPRG=0(パージ制御開始前)の場合
には、そのまま本プログラムを終了する。一方、XPR
G=1(パージ制御開始後)の場合には、ステップ22
3に進み、車両が加減速中であるか否かを判定する。こ
こで、加減速中であるか否かの判定は、アイドルスイッ
チ(図示せず)のオフ、スロットルバルブ13の弁開度
変化、吸気管圧力変化、車速変化等の検出結果によって
行われる。そして、加減速中であると判定されると、そ
のまま本プログラムを終了する。つまり、加減速中(エ
ンジン運転の過渡状態)では燃料蒸発ガス濃度検出が禁
止され、誤検出防止が図られる。
【0051】また、上記ステップ223で、加減速中で
ないと判定されると、ステップ224に進み、初回濃度
検出終了フラグXNFPGが「1」であるか否か、即ち
燃料蒸発ガス濃度の初回検出が終了しているか否かを判
定する。ここで、XNFLPRG=1(初回検出後)で
あれば、ステップ225に進み、XNFPG=0(初回
検出前)であれば、ステップ225を飛び越してステッ
プ226に進む。
【0052】最初は、燃料蒸発ガス濃度検出が終了して
いないので(XNFLPRG=0)、ステップ224か
らステップ226に進み、パージ制御量AFPRGのな
まし値AFPRGSMが基準値(=1)からどの程度ず
れているか判定し、AFPRGSM−1<−0.02の
場合は、ステップ228に進み、前回の燃料蒸発ガス濃
度FLPRG(i-1) から所定値bを減算した値を今回の
燃料蒸発ガス濃度FLPRGとする。また、−0.02
≦AFPRGSM−1≦+0.02の場合は、ステップ
229に進み、前回の燃料蒸発ガス濃度FLPRG(i-
1) をそのまま今回の燃料蒸発ガス濃度FLPRGとす
る。また、AFPRGSM−1>+0.02の場合は、
ステップ230に進み、前回の燃料蒸発ガス濃度FLP
RG(i-1)に所定値aを加算した値を今回の燃料蒸発ガ
ス濃度FLPRGとする。この場合、所定値aは所定値
bよりも小さい値に設定されている。これは、燃料蒸発
ガス濃度が低いときには、パージしても濃度が徐々にし
か下がらないためである。
【0053】前述した初期化処理により、燃料蒸発ガス
濃度FLPRGの初期値は「0」に設定され(ステップ
235)、上記ステップ226〜230の処理によりパ
ージ制御量なまし値AFPRGSMのずれ量に応じて燃
料蒸発ガス濃度FLPRGの学習値が徐々に更新され
る。このステップ226〜230の処理が特許請求の範
囲でいう学習手段としての役割を果たす。この燃料蒸発
ガス濃度FLPRGの学習値の更新方法は、図9を参照
すれば、一層理解が容易である。
【0054】このようにして燃料蒸発ガス濃度FLPR
Gの学習値を更新した後、ステップ231に進み、初回
濃度検出終了フラグXNFLPRGが初回濃度検出終了
を意味する「1」であるか否かを判定する。ここで、X
NFLPRG=0(初回濃度検出前)であれば、ステッ
プ232に進み、燃料蒸発ガス濃度FLPRGの前回検
出値と今回検出値との変化が所定値(例えば3%)以下
の状態が例えば3回以上継続したか否かによって、燃料
蒸発ガス濃度FLPRGが安定したか否かを判定する。
燃料蒸発ガス濃度FLPRGが安定すると、次のステッ
プ233に進み、初回濃度検出終了フラグXNFLPR
Gに「1」をセットした後、ステップ234に進む。
【0055】一方、上記ステップ231で、XNFLP
RG=1(初回濃度検出終了)の場合、又はステップ2
32で燃料蒸発ガス濃度FLPRGが安定していないと
判定された場合、ステップ234へジャンプし、今回の
燃料蒸発ガス濃度FLPRGを平均化するために、所定
のなまし演算(例えば1/64なまし演算)を実行し、
燃料蒸発ガス濃度平均値FLPRGAVを求める。この
燃料蒸発ガス濃度平均値FLPRGAVは、基本燃料噴
射量に対するパージ補正係数を算出するのに用いられ
る。
【0056】このようにして初回濃度検出が終了すると
(XNFLPRG=1がセットされると)、ステップ2
24が常に「Yes」と判定され、ステップ225に進
んで、最終パージ率RPRGが所定値β(例えば0%)
を越えるか否かを判定する。そして、RPRG>βの場
合のみ、ステップ226以降の燃料蒸発ガス濃度の学習
処理を実行する。つまり、パージ実行フラグXPRGが
「1」にセットされていても、最終パージ率RPRGが
「0」となる場合があり、この場合は、実際にはパージ
が実施されないため、初回検出時以外は、RPRG=0
の場合に燃料蒸発ガス濃度の検出を行なわないようにし
ている。
【0057】尚、最終パージ率RPRGが小さい場合、
即ちパージ制御弁35が低流量側で制御されている場合
は開度制御の精度が比較的低く、燃料蒸発ガス濃度検出
の信頼性が低い。そこで、ステップ225の所定値βを
パージ制御弁35の低開度域に設定し(例えば0%<β
<2%)、初回検出時以外は、精度の良い検出条件が揃
った場合のみ、燃料蒸発ガス濃度検出を行うようにして
も良い。
【0058】[異常診断実行条件判定]図10に示す異
常診断実行条件判定プログラムは、所定時間毎(例えば
256ms毎)に起動され、次のようにして燃料供給系
の異常診断実行条件が成立しているか否かを判定する。
まず、ステップ301で、エンジン始動後の運転状態が
安定したか否かを判定するために、エンジン始動後の経
過時間が例えば60秒を越えたか否かを判定し、経過時
間が60秒に達していなければ、運転状態がまだ不安定
であると判断して、ステップ311に進み、異常診断許
可フラグXDGFUELEXを異常診断禁止を意味する
「0」にリセットして、本プログラムを終了する。
【0059】一方、エンジン始動後の経過時間が60秒
を越えている場合には、エンジン始動後の運転状態が安
定していると判断して、ステップ301からステップ3
02に進み、空燃比フィードバック制御中(図2のステ
ップ103で空燃比フィードバック条件が成立している
時)であるか否かを判定し、空燃比フィードバック制御
中でない場合は、ステップ311に進み、異常診断許可
フラグXDGFUELEXを異常診断禁止を意味する
「0」にリセットして本プログラムを終了する。
【0060】空燃比フィードバック制御中であれば、ス
テップ302からステップ303に進み、冷却水温TH
Wが例えば70℃<THW<90℃であるか否かを判定
し、THW≦70℃の場合(エンジン暖機完了前)、又
は、THW≧90℃の場合(センサ類やアクチュエータ
類の温度特性の影響が大きくなる高温域)であれば、ス
テップ311に進み、異常診断許可フラグXDGFUE
LEXを異常診断禁止を意味する「0」にリセットして
本プログラムを終了する。
【0061】70℃<THW<90℃であれば、ステッ
プ303からステップ304に進み、吸気温度THAが
例えば−10℃<THA<60℃であるか否かを判定
し、THA≦−10℃の場合(極低温時)、又は、TH
A≧60℃の場合(センサ類やアクチュエータ類の温度
特性の影響が大きくなる高温域)であれば、ステップ3
11に進み、異常診断許可フラグXDGFUELEXを
異常診断禁止を意味する「0」にリセットして本プログ
ラムを終了する。
【0062】−10℃<THA<60℃であれば、ステ
ップ304からステップ305に進み、エンジン回転数
Neが例えば700rpm<Ne<3600rpmであ
るか否かを判定し、Ne≦700rpmの場合、又は、
Ne≧3600rpmの場合には、エンジン11の運転
状態が不安定で、燃料供給系の異常を誤検出するおそれ
があるので、ステップ311に進み、異常診断許可フラ
グXDGFUELEXを異常診断禁止を意味する「0」
にリセットして本プログラムを終了する。
【0063】700rpm<Ne<3600rpmであ
れば、ステップ305からステップ306に進み、吸気
管圧力PMが例えば200mmHg<PM<630mm
Hgであるか否かを判定し、PM≦200mmHgの場
合、又は、PM≧630mmHgの場合には、エンジン
11の運転状態が不安定で、燃料供給系の異常を誤検出
するおそれがあるので、ステップ311に進み、異常診
断許可フラグXDGFUELEXを異常診断禁止を意味
する「0」にリセットして本プログラムを終了する。
【0064】200mmHg<PM<630mmHgで
あれば、ステップ306からステップ307に進み、吸
気管圧力センサ17、水温センサ38、吸気温度センサ
14、空燃比センサ28等、空燃比に影響する全てのセ
ンサが正常であるか否かを判定し、1つでも異常なセン
サがあれば、燃料供給系の異常を誤検出するおそれがあ
るので、ステップ311に進み、異常診断許可フラグX
DGFUELEXを異常診断禁止を意味する「0」にリ
セットして本プログラムを終了する。
【0065】空燃比に影響する全てのセンサが正常であ
れば、ステップ307からステップ308に進み、失火
検出系、燃料蒸発ガスパージ系等、空燃比に影響する全
てのシステムが正常であるか否かを判定し、1つでも異
常なシステムがあれば、燃料供給系の異常を誤検出する
おそれがあるので、ステップ311に進み、異常診断許
可フラグXDGFUELEXを異常診断禁止を意味する
「0」にリセットして本プログラムを終了する。
【0066】失火検出系、燃料蒸発ガスパージ系等が全
て正常であれば、ステップ308からステップ309に
進み、図8の燃料蒸発ガス濃度検出プログラムで算出し
た燃料蒸発ガス濃度FLPRGが所定値(例えば10
%)以下であるか否かを判定する。もし、燃料蒸発ガス
濃度FLPRGが所定値よりも高い場合には、燃料蒸発
ガスによる実空燃比のずれが一時的に大きくなって、異
常有りと誤検出するおそれがあるので、ステップ311
に進み、異常診断許可フラグXDGFUELEXを異常
診断禁止を意味する「0」にリセットして本プログラム
を終了する。このステップ309の処理が特許請求の範
囲でいう診断禁止手段としての役割を果たす。
【0067】以上説明したステップ301〜309で判
定する条件が全て満たされた時に、異常診断実行条件が
成立し、ステップ310に進み、異常診断許可フラグX
DGFUELEXを異常診断許可を意味する「1」にセ
ットして本プログラムを終了する。
【0068】[異常診断パラメータ算出]図11に示す
異常診断パラメータ算出プログラムは、所定クランク角
毎(例えば180℃A毎)に起動される。本プログラム
が起動されると、まずステップ401で、空燃比フィー
ドバック制御中(図2のステップ103で空燃比フィー
ドバック条件が成立している時)であるか否かを判定
し、空燃比フィードバック制御中でない場合は、ステッ
プ408,409に進み、異常診断パラメータDGDE
LAFと異常診断パラメータなまし値DGDELAFS
Mを、共に、異常無しを意味する「1.0」に設定して
本プログラムを終了する。
【0069】一方、空燃比フィードバック制御中の場合
には、ステップ402〜405において、空燃比補正係
数FAF、学習補正量KGj、空燃比λ及び目標空燃比
λTGを読み込む。この後、ステップ406で、空燃
比センサ28で検出した空燃比λと目標空燃比λTGと
の差と空燃比補正係数FAF(フィードバック補正
量)と学習補正量KGjとを合計して異常診断パラメ
ータDGDELAFを求める。 DGDELAF=(λ−λTG)+FAF+KGj
【0070】この後、ステップ407で、異常診断パラ
メータDGDELAFを次式によりなまし処理して異常
診断パラメータなまし値DGDELAFSMを算出す
る。 DGDELAFSM(i) ={3×DGDELAFSM(i
-1)+DGDELAF}/4 上式は、なまし係数が1/4であるが、1/3、1/
6、1/8等であっても良い。
【0071】[異常診断実行]図12に示す異常診断実
行プログラムは、所定時間毎(例えば1024ms毎)
に起動され、特許請求の範囲でいう噴射異常診断手段と
して機能する。本プログラムが起動されると、まずステ
ップ501で、異常診断許可フラグXDGFUELEX
=1(異常診断許可)の状態が例えば20s継続したか
否かを判定し、「No」と判定された場合には、ステッ
プ514,515に進み、リッチ側診断カウンタcDF
AFRとリーン側診断カウンタcDFAFLを「0」に
リセットする。
【0072】その後、異常診断許可フラグXDGFUE
LEX=1の状態が20s継続した時点で、ステップ5
01からステップ502に進み、図11のステップ40
7で算出した異常診断パラメータなまし値DGDELA
FSMを読み込んだ後、ステップ503で、リッチ側異
常診断基準値tDFAFRとリーン側異常診断基準値t
DFAFLを現在の吸入空気量Gaに応じて図13の異
常診断基準値マップより読み込む。
【0073】この後、ステップ504で、異常診断パラ
メータなまし値DGDELAFSMをリッチ側異常診断
基準値tDFAFRと比較し、DGDELAFSM≦t
DFAFR(リッチ側の異常)であれば、ステップ50
9に進み、リッチ側診断カウンタcDFAFRを1イン
クリメントする。そして、次のステップ510で、リッ
チ側診断カウンタcDFAFRのカウント値が例えば2
0以上になった否か、つまり、リッチ側の異常が例えば
20秒継続したか否かを判定し、20秒継続すれば、ス
テップ512に進み、最終的に燃料供給系のリッチ側の
異常と診断してリッチ側異常診断フラグDGFUELR
NGをリッチ側の異常を意味する「1」にセットし、次
のステップ513で、警告ランプ37を点灯して運転者
に警告して本プログラムを終了する。
【0074】上記ステップ510で、リッチ側診断カウ
ンタcDFAFRのカウント値が20未満の場合、つま
り、リッチ側の異常が20秒継続していない場合には、
最終的な診断結果を出さずに本プログラムを終了する。
【0075】また、上記ステップ504で、DGDEL
AFSM>tDFAFR(リッチ側正常)と判定された
場合には、ステップ505に進み、異常診断パラメータ
なまし値DGDELAFSMをリーン側異常診断基準値
tDFAFLと比較し、DGDELAFSM≧tDFA
FL(リーン側の異常)であれば、ステップ506に進
み、リーン側診断カウンタcDFAFLを1インクリメ
ントする。そして、次のステップ507で、リーン側診
断カウンタcDFAFLのカウント値が例えば20以上
になった否か、つまり、リーン側の異常が例えば20秒
継続したか否かを判定し、20秒継続すれば、ステップ
508に進み、最終的に燃料供給系のリーン側の異常と
診断して、リーン側異常診断フラグDGFUELLNG
をリーン側の異常を意味する「1」にセットし、次のス
テップ513で、警告ランプ37を点灯して運転者に警
告して本プログラムを終了する。
【0076】上記ステップ507で、リーン側診断カウ
ンタcDFAFLのカウント値が20未満の場合、つま
り、リーン側の異常が20秒継続していない場合には、
最終的な診断結果を出さずに本プログラムを終了する。
【0077】以上説明したプログラムによって燃料供給
系の異常診断を行った場合の一例を図14に基づいて説
明する。図14の例では、空燃比補正係数FAFが途中
から下限ガード値に張り付いた状態となり、学習補正量
KGjが更新されなくなる。学習補正量KGjが更新さ
れない期間でも、異常診断パラメータなまし値DGDE
LAFSMがリッチ側異常診断基準値tDFAFR以下
になると、リッチ側診断カウンタcDFAFRがインク
リメントされる。このインクリメント動作は、DGDE
LAFSM≦tDFAFRの状態が続く限り約1秒毎に
繰り返され、該カウンタcDFAFRのカウント値が2
0(秒)に達した時点で、リッチ側異常診断フラグDG
FUELRNGが「1」にセットされ、燃料供給系の異
常が検出される。
【0078】以上説明した本実施形態によれば、空燃
比センサ28で検出した空燃比λと目標空燃比λTGと
の差と空燃比補正係数FAF(フィードバック補正
量)と学習補正量KGjとを燃料供給系の異常診断デ
ータとして用い、これら3つの異常診断データ〜を
合計して異常診断パラメータDGDELAFを求め、こ
の異常診断パラメータDGDELAFに基づいて燃料供
給系の異常の有無を診断するようにしたので、たとえ
学習補正量KGjが更新されなくても、実空燃比λと
目標空燃比λTGとの差と空燃比補正係数FAFとか
ら、燃料供給系の異常(つまり実空燃比λの異常なず
れ)を速やかに検出することができ、異常診断の信頼性
を向上することができる。
【0079】しかも、3つの異常診断データ〜を合
計して得られた異常診断パラメータDGDELAFに基
づいて燃料供給系の異常の有無を診断するようにしたの
で、3つの異常診断データ〜を個別に評価する場合
と比較して、異常診断のロジックが極めて簡単であり、
ソフトウエア構成の簡素化、演算負荷の軽減、演算処理
の高速化等の要求を満たすことができる。
【0080】但し、本発明は、3つの異常診断データ
〜を個別に評価した後に、これら3つの個別評価を総
合的に評価して燃料供給系の異常の有無を診断するよう
にしても良く、この場合でも、本発明の所期の目的を十
分に達成できる。
【0081】また、本実施形態では、3つの異常診断デ
ータ〜を合計して得られた異常診断パラメータDG
DELAFをなまし処理し、そのなまし値DGDELA
FSMを異常診断基準値tDFAFR,tDFAFLと
比較して燃料供給系の異常の有無を診断するようにした
ので、ノイズ等による瞬間的な空燃比検出値の変動や過
渡運転時の急激なエンジン運転状態の変動等の影響を受
けずに安定した異常診断が可能となり、異常診断精度を
向上することができる。
【0082】しかも、異常診断基準値tDFAFR,t
DFAFLを吸入空気量Gaに応じて図13の異常診断
基準値マップより設定するようにしたので、エンジン運
転状態に応じた最適な異常診断基準値tDFAFR,t
DFAFLを設定することが可能となり、異常診断精度
を向上することができる。
【0083】この場合、異常診断基準値マップのパラメ
ータは吸入空気量Gaのみに限定されず、例えば吸気管
圧力PM、エンジン回転数Ne等、種々のエンジン運転
状態パラメータを用いても良く、また、1次元マップに
限定されず、2次元マップ、3次元マップとして構成し
ても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すエンジン制御システ
ム全体の概略構成図
【図2】空燃比制御プログラムの処理の流れを示すフロ
ーチャート
【図3】目標空燃比マップを概念的に示す図
【図4】目標空燃比設定プログラムの処理の流れを示す
フローチャート
【図5】酸素センサの出力と目標空燃比の中央値λTG
Cとの関係を示すタイムチャート
【図6】酸素センサの出力と目標空燃比λTGとの関係
を示すタイムチャート
【図7】空燃比学習プログラムの処理の流れを示すフロ
ーチャート
【図8】燃料蒸発ガス濃度検出プログラムの処理の流れ
を示すフローチャート
【図9】燃料蒸発ガス濃度FLPRGの学習値の更新方
法を説明する図
【図10】異常診断実行条件判定プログラムの処理の流
れを示すフローチャート
【図11】異常診断パラメータ算出プログラムの処理の
流れを示すフローチャート
【図12】異常診断実行プログラムの処理の流れを示す
フローチャート
【図13】異常診断基準値マップを概念的に示す図
【図14】燃料供給系の異常診断を行った場合の一例を
示すタイムチャート
【符号の説明】
10…エアフローメータ、11…エンジン(内燃機
関)、14…吸気温度センサ、17…吸気管圧力セン
サ、20…燃料噴射弁(燃料噴射装置)、24…クラン
ク角センサ、26…排気管、27…触媒、28…空燃比
センサ(空燃比検出手段)、29…酸素センサ、30…
エンジン制御回路(基本燃料噴射量設定手段,学習手
段,空燃比フィードバック手段,要求燃料噴射量設定手
段,噴射異常診断手段、診断禁止手段)、37…警告ラ
ンプ、38…水温センサ、40…燃料タンク、42…キ
ャニスタ、44…パージ配管、45…パージ制御弁、4
6…燃料蒸発ガスパージシステム。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排ガスの空燃比(以下「実空燃比」とい
    う)を検出する空燃比検出手段と、 機関運転状態に基づいて基本燃料噴射量を設定する基本
    燃料噴射量設定手段と、 目標空燃比からの実空燃比のずれ量を補正する補正量を
    学習して該学習補正量を更新記憶する学習手段と、 実空燃比を目標空燃比に一致させるように空燃比のフィ
    ードバック補正量を設定する空燃比フィードバック手段
    と、 前記基本燃料噴射量と前記学習補正量と前記フィードバ
    ック補正量とに基づいて要求燃料噴射量を設定する要求
    燃料噴射量設定手段と、 前記要求燃料噴射量に基づいて燃料を噴射する燃料噴射
    装置とを備えた内燃機関において、 前記実空燃比と目標空燃比との差と前記学習補正量と前
    記フィードバック補正量とに基づいて前記燃料噴射装置
    を含む燃料供給系の異常の有無を診断する噴射異常診断
    手段とを備えていることを特徴とする内燃機関の燃料供
    給系異常診断装置。
  2. 【請求項2】 前記噴射異常診断手段は、前記実空燃比
    と目標空燃比との差と前記学習補正量と前記フィードバ
    ック補正量とを合計し、その合計値に基づいて前記燃料
    供給系の異常の有無を診断することを特徴とする請求項
    1に記載の内燃機関の燃料供給系異常診断装置。
  3. 【請求項3】 前記噴射異常診断手段は、前記合計値を
    なまし処理し、そのなまし値に基づいて前記燃料供給系
    の異常の有無を診断することを特徴とする請求項2に記
    載の内燃機関の燃料供給系異常診断装置。
  4. 【請求項4】 前記噴射異常診断手段は、前記燃料供給
    系の異常の有無を診断する際に用いる異常診断基準値を
    機関運転状態に基づいて設定することを特徴とする請求
    項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給系異
    常診断装置。
  5. 【請求項5】 燃料タンク内から蒸発する燃料蒸発ガス
    を吸着し、この燃料蒸発ガスを内燃機関の吸気系に導入
    する燃料蒸発ガスパージシステムを備え、 前記燃料蒸発ガスパージシステムから吸気系に導入され
    る燃料蒸発ガス濃度が所定値以上の場合に前記噴射異常
    診断手段による前記燃料供給系の異常診断を禁止する診
    断禁止手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給系異常診断装
    置。
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