JPH1179925A - 光重合型歯科矯正用レジン組成物 - Google Patents
光重合型歯科矯正用レジン組成物Info
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Abstract
短時間に精度の良い矯正装置を直接作製でき、しかも得
られた矯正装置は適度の弾力性を有するため、クラスプ
等の保持構造を付与することなく歯列のアンダーカット
を利用するだけで充分な保持力を得ること可能な歯科矯
正装置作製用のレジン組成物を提供する。 【解決手段】 歯科矯正用レジン組成物を光硬化タイプ
の1ペーストとし、口腔内で直接、短時間に精度の良い
矯正装置を作製できるようすると共に、光重合型歯科矯
正用レジン組成物中に、重量平均分子量が300〜50
00であって少なくとも1個の不飽和二重結合を有し、
ウレタン結合を持つ(メタ)アクリレートと、交差結合
を有するポリウレタン粉末とを組み合わせて配合させる
ことにより、硬化体に弾力性を与える。
Description
顎運動機能障害の治療に使用されるスプリントの作製に
好適な光重合型歯科矯正用レジン組成物に関するもので
ある。
キシズム,咬合異常等の顎運動機能障害の治療には、患
者の口腔内にスプリントあるいはバイトプレートと称す
る厚さ1〜3mmで歯牙咬合面を覆う形状を成す矯正装置
を一定期間患者に装着させることによって、下顎を正常
な状態に導く矯正治療法が行われている。
用の即時常温重合型レジンや加熱重合型レジンなどのア
クリル樹脂が用いられ、以下のような手順で行われてい
る。即時重合型レジンを用いる場合には、患者の口腔内
を印象採得して作製した石膏模型を咬合器にセットして
口腔内を再現した顎模型を使用し、先ず即時重合型レジ
ンの粉と液とを混合してペーストとし、次いでこのペー
ストを平板状にして顎模型の歯列の上に軽く圧接して成
形し咬合調整と形態調整とを行い、レジンが硬化した
後、バー等で最終的に辺縁等の形態調整と研磨とを行う
手順で作製されている。
は、即時重合型レジンの場合と同様にして作製した顎模
型を使用し、先ず顎模型上で歯科技工用ワックスを用い
て矯正装置と同型のワックス模型を作り、このワックス
模型を重合用フラスコ内に石膏で埋没し、石膏が硬化し
た後にワックスを熱湯などで流鑞して得られた空隙に加
熱重合型レジンの粉と液とを混合して餅状としたレジン
を填入し、一定時間加熱してレジンを重合させ、その後
にフラスコから掘り出し、形態調整と研磨とを行う手順
で作製されている。
口腔内を再現した顎模型を使用した間接法により行われ
ているため、多大の手間と時間とが掛かっているばかり
でなく、これらの作業行程はすべて手作業であるため術
者によるバラツキが多く精度的にも充分満足するものが
得られていないのが現状である。また、完成した矯正装
置にはアクリル樹脂固有の硬くて脆い性質が継承され、
一般に弾力性が乏しく破折し易い性質がある。更に通
常、スプリントなどの矯正装置は、歯牙のアンダーカッ
トを利用して口腔内に保持されるものであるが、アンダ
ーカットを大きくして保持力を大きく設計した場合に
は、材料の弾力性が乏しいことに起因して着脱時に破損
し易くなり、一方、アンダーカットを少なく設計すると
矯正装置を充分に保持することができず脱落し易くなる
欠点もある。そのため、場合によっては、クラスプ等を
新たに設けて矯正装置を保持する必要が生じて、矯正装
置の構造が複雑になったり、装置の作製や調整が非常に
難しくなり時間や手間が掛かったりするという問題が生
じている。
型を使用することなく、患者の口腔内で短時間に精度の
良い矯正装置を直接作製でき、しかも得られた矯正装置
は適度の弾力性を有し、クラスプ等の保持構造を付与す
ることなく歯列のアンダーカットを利用するだけで充分
な保持力を得ることができる歯科矯正用レジン組成物を
提供することを課題とする。
を解決すべく鋭意検討の結果、歯科矯正用レジン組成物
を光硬化タイプとすることによって1ペーストとして、
従来のような粉と液とを混合してペーストにする作業を
無くし、口腔内で光照射により硬化させることによって
顎模型を作製することなく患者の口腔内で直接、短時間
に精度の良い矯正装置を作製できるようすると共に、光
重合型歯科矯正用レジン組成物中に、重量平均分子量が
300〜5000であって少なくとも1個の不飽和二重
結合を有し、ウレタン結合を持つ(メタ)アクリレート
と、交差結合を有するポリウレタン粉末とを組み合わせ
て配合させることによって、硬化体に弾力性を与え、ク
ラスプ等の保持構造を設けることなく歯牙のアンダーカ
ットを利用するだけで充分に矯正装置を保持させること
ができ、同時に矯正装置の着脱する時の破損も防ぐこと
ができることを究明して本発明を完成したのである。
矯正用レジン組成物は、 a)重量平均分子量が100〜300であって、少なく
とも1個の不飽和二重結合を有し、ウレタン結合を持た
ない(メタ)アクリレート;5〜50重量%、 b)重量平均分子量が300〜5000であって、少な
くとも1個の不飽和二重結合を有し、ウレタン結合を持
つ(メタ)アクリレート;10〜60重量%、 c)交差結合を有するポリウレタン粉末;5〜30重量
%、 d)無機質充填材;10〜50重量%、 e)光重合開始剤;0.03〜3重量%の各成分から成
ることを特徴とするものであり、更に無機質充填材の6
0重量%以下が有機無機複合充填材に置き換えられてい
るものも含んでいる。
0〜300であって、少なくとも1個の不飽和二重結合
を有し、ウレタン結合を持たない(メタ)アクリレー
ト」は、光重合型歯科矯正用レジン組成物の硬化に際し
て架橋材として働き、重合硬化後の組成物の強度を増
し、矯正装置の長期間な物性安定に有効に作用するもの
であり、不飽和ポリエステルなどのような不飽和二重結
合を有しウレタン結合を持たないモノマーや樹脂を指
し、具体的には、2−エチルヘキシルメタクリレート、
n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレー
ト、t−ブチルメタクリレート、アルキルメタクリレー
ト、メトキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシブ
チルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニ
ルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、1,
3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブ
チレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリ
コールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
メタクリレート、又はこれらのアクリレートを例示でき
る。これらのメタクリレート又はアクリレートは単独あ
るいは2種以上を混合して使用することができる。しか
し、重量平均分子量が100未満の場合はモノマーが揮
発し易くなり、300を超える場合は硬化体が脆くなっ
て耐久性が乏しくなり適当でない。また、配合量が5重
量%未満の場合には硬化体の強度が不充分となり、50
重量%を超えた場合には硬化体が硬くなり過ぎて充分な
弾力性が得られなくなる。
0〜5000であって、少なくとも1個の不飽和二重結
合を有し、ウレタン結合を持つ(メタ)アクリレート」
は、c成分である「交差結合を有するポリウレタン粉
末」と併用することにより重合後の硬化体に弾力性を与
える作用を有するものであり、不飽和二重結合を有する
ウレタンオリゴマーや樹脂を指し、具体的には、ジ−2
−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサ
メチレンジカルバメート、1,3,5−トリス[1,3−
ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロポキシカルボ
ニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)
トリアジン−2,4,6−トリオン、又はこれらのアクリ
レート、2,2'−ジ(4−ヒドロキシシクロヘキシル)
プロパンと2−オキシパノンとヘキサメチレンジイソシ
アネートと2−ヒドロキシエチルメタクリレート又は2
−ヒドロキシエチルアクリレートとから成るウレタンオ
リゴマー、1,3−ブタンジオールとヘキサメチレンジ
イソシアネートと2−ヒドロキシエチルメタクリレート
又は2−ヒドロキシエチルアクリレートとから成るウレ
タンオリゴマーを例示できる。これらは単独あるいは2
種以上を混合して使用してもよい。しかし、重量平均分
子量が300未満の場合にはペーストが崩れ易くなり、
5000を超えた場合にはペーストが硬くなって成形し
にくくなり適当でない。また、配合量が10重量%未満
の場合には硬化体に矯正装置として必要な強度と弾力性
が得られなくなり、60重量%を超えるとペーストが脆
くなり操作性が低下する。
ウレタン粉末」は、ポリウレタンの弾力性を利用して硬
化体の弾性率を下げる効果を有するものであり、弾性率
が下がることにより矯正装置の先端など薄い部分が装脱
着時に破損してしまうという問題点が解消され、クラス
プ等の保持構造を付与することなく歯列のアンダーカッ
トを利用するだけで充分な保持力を得ることを可能とす
るものである。この交差結合を有するポリウレタン粉末
が、5重量%未満の場合には硬化体の弾性率を充分に下
げることができず、30重量%を超えた場合には硬化体
が脆くなる。また、交差結合を有さないポリウレタン粉
末は、モノマー中でポリマーが膨潤し易くなって保存安
定性が悪化し適当でない。
化体に強度を与える作用を有するものであって、具体的
には、バリウムガラス,アルミナガラス,カリウムガラ
ス等の各種ガラス、シリカ、合成ゼオライト、リン酸カ
ルシウム、長石、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、石英などの粉末であり、通常は
平均粒子径が100μm以下のものが用いられるが、粒
子の小さいものとしては数nmの微粒子状のものも用いる
ことができる。これらの無機質充填材は予めシラン物質
を用いて表面処理したものを用いることが望ましい。こ
の表面処理剤としては、γ−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリアセトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキ
シ)シランなどの有機ケイ素化合物が用いられ、表面処
理は公知のシラン処理法により行われる。無機質充填材
の配合量が、10重量%未満の場合には硬化体が脆くな
り、50重量%を超える場合には組成物ペーストが硬く
なり過ぎて操作性が低下する傾向がある。なお、本発明
に係る光重合型歯科矯正用レジン組成物では、硬化時の
重合収縮を抑える目的で無機質充填材の一部を有機無機
複合充填材に置き換えて配合することも可能であるが、
強度の低下が生ずるため全充填材の60重量%以下に抑
えることが必要である。この有機無機複合充填材として
は、上記の無機質充填材をモノマーと混合して硬化させ
た後、粉砕して得られる有機無機複合充填材が使用され
る。
は、390〜830nmの可視光線の作用により光重合型
歯科矯正用レジン組成物を重合させることのできる増感
剤と還元剤との組み合わせから成る光重合開始剤が用い
られる。増感剤としては、カンファーキノン、ベンジ
ル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル
ジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)
ケタール、4,4´−ジメチルベンジル−ジメチルケタ
ール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2
−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノ
ン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアント
ラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアン
トラキノン、チオキサントン、2ーイソプロピルチオキ
サントン、2ーニトロチオキサントン、2ーメチルチオ
キサントン、2,4ージメチルチオキサントン、2,4ー
ジエチルチオキサントン、2,4ージイソプロピルチオ
キサントン、2ークロロー7ートリフルオロメチルチオ
キサントン、チオキサントンー10,10ージオキシ
ド、チオキサントンー10ーオキサイド、ベンゾインメ
チルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピ
ルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフ
ェノン、ビス(4ージメチルアミノフェニル)ケトン、
4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、(2,4,
6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルフォスフィンオ
キサイド等のアシルフォスフィンオキサイド、アジド基
を含む化合物などがあり、これらの増感剤は1種もしく
は2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、還元
剤としては3級アミン等が一般に使用され、3級アミン
としては、N,Nージメチルーp−トルイジン、N,Nー
ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエタノール
アミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメ
チルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香
酸イソアミルなどがあり、また他の還元剤として、ベン
ゾイルパーオキサイド、スルフィン酸ソーダ誘導体、有
機金属化合物等が挙げられ、これらの還元剤は1種もし
くは2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、光
重合開始剤の配合量が、0.03重量%未満の場合には
充分な光重合効果を得ることができなくなり、3重量%
を超えると光照射を行う前に重合が開始されてしまい適
当でない。
ジン組成物には、必要に応じて公知の重合禁止剤、紫外
線吸収剤、可塑剤、顔料、酸化防止剤、抗菌剤、界面活
性剤などを添加してもよい。
合型歯科矯正用レジン組成物は、硬化体が適度な弾性を
有することを特徴とするものであるが、具体的には、硬
化体の3点曲げ試験による弾性率が0.2〜1.5GPa、
弾性歪が10〜30%の範囲にあると、矯正装置の先端
や薄い部分に負荷が生じた場合にも破損しにくいことが
臨床的に確認されている。
ジン組成物は、配合時にペースト状を成すものである
が、所定厚さに押し出し成形され適度な可塑性を有する
シート状として提供されるものであり、実際にスプリン
トを作製する場合には、シート状の光重合型歯科矯正用
レジン組成物を患者の上顎歯列に当て、圧接及びトリミ
ングを行ってスプリントの形に概形を整え、次いで下顎
を軽く咬合させ更に形態調整及び咬合関係による調整を
行い、その後に口腔内でハンドタイプの歯科用可視光線
照射器を用いて数分間光照射し仮重合を行い、最後に仮
重合した矯正装置を上顎より外し歯科用光重合器で完全
重合を行って完全硬化させ、最終的な形態修正と研磨と
を行いスプリントが完成する。この方法は、顎模型を使
用することなく患者の口腔内で直接矯正装置を作製する
方法であるため、短時間で精度の良い矯正装置を作製す
ることができるのである。また、得られたスプリント
は、弾力性があることからクラスプ等の保持構造を付与
することなく歯列のアンダーカットを利用するだけで充
分な保持力を得ることができ、しかもその弾力性は長期
に渡って維持されるため着脱が容易になるばかりでなく
着脱時に破損することもないという優れた効果を有する
ものである。
発明はこれに限定されるものではない。
ジン組成物を得た。
入し、セロファンを介してガラス板にて圧接し片側上方
より歯科用光重合器(ラボライトLV-II:ジーシー社
製)にて可視光線を5分間光照射し硬化させた。得られ
た試験片を37℃の蒸留水に24時間浸漬した後、万能試験
機(オートグラフ:島津製作所社製)にてスパン20mm、
クロスヘッドスピード1mm/minの条件にて3点曲げ試験
を行った結果、曲げ強度は28MPa、曲げ弾性率は0.
5GPa、弾性歪は23%であった。
m,幅20mmのシート状にしたものを用いて以下のように
してスプリントを作製した。患者の上顎の歯列をエアー
で充分に乾燥させ、前記シート状にしたものを乾燥させ
た歯列の上に圧接して概形を整え、次いで下顎を軽く咬
合させ更に形態調整及び咬合関係による調整を行い、そ
の後、ハンドタイプの歯科用可視光線照射器(ジーシー
ニューライトVL-II:ジーシー社製)で数分間光照射
し仮重合した。仮重合したスプリントを口腔内から取り
出し歯科用光重合器(ラボライトLV-II:ジーシー社
製)で再度可視光線を5分間照射し完全に重合させた、
その後、最終的な形態調整と研磨を行いスプリントを完
成した。作製に要した時間は約40分であった。得られ
たスプリントを患者の口腔内にセットしてみたが、適合
が良く適度な弾力性がありアンダーカットのみで充分に
保持されていた。また、脱着を繰り返したがスプリント
の破損等は全く認められなかった。
ジン組成物を得た。
果、曲げ強度は25MPa、曲げ弾性率は0.6GPa、弾
性歪は17.3%であった。また実施例1と同様にして
スプリントを作製した。作製に要した時間は約40分で
あり、短時間で適合精度に優れると共に適度な弾性を有
しアンダーカットで充分な保持力を有するスプリントが
得られた。
ジン組成物を得た。
果、曲げ強度は48MPa、曲げ弾性率は1.2GPa、弾
性歪は12.3%であった。また実施例1と同様にして
スプリントを作製した。作製に要した時間は約40分で
あり、短時間で適合精度に優れると共に適度な弾性を有
しアンダーカットで充分な保持力を有するスプリントが
得られた。
ジン組成物を得た。
果、曲げ強度は21MPa、曲げ弾性率は0.3GPa、弾
性歪は24%であった。また実施例1と同様にしてスプ
リントを作製した。作製に要した時間は約40分であ
り、短時間で適合精度に優れると共に適度な弾性を有し
アンダーカットで十分な保持力を有するスプリントが得
られた。
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;4重量部
を添加して処理したもの e成分: ・カンファーキノン 0.6重量% ・4−ジメチルアミノ安息香酸エチル 0.6重量% 重合禁止剤: ・ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン 0.6重量% の割合で秤量し、混合・練和して光重合型歯科矯正用レ
ジン組成物を得た。
果、曲げ強度は36MPa、曲げ弾性率は0.8GPa、弾
性歪は15.3%であった。また実施例1と同様にして
スプリントを作製した。作製に要した時間は約40分であ
り、短時間で適合精度に優れると共に適度な弾性を有し
アンダーカットで充分な保持力を有するスプリントが得
られた。
ジン組成物を得た。
果、曲げ強度は79MPa、曲げ弾性率は3.7GPa、弾
性歪は1.2%であった。また実施例1と同様にしてス
プリントを作製した。スプリントを口腔内から取り外す
際にアンダーカットに当接した部位で破損が生じた。
クリロキシプロピルトリメトキシシラン;4重量部を添
加して処理したもの e成分: カンファーキノン 0.6重量% 4−ジメチルアミノ安息香酸エチル 0.6重量% 重合禁止剤: ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン 0.6重量% その他の成分: 交差結合を有するポリアクリル粉末(平均粒径60μm) 10.0重量% [商品名「アートパールTM-150」(根上工業社製)]の
割合で秤量し、混合・練和して光重合型歯科矯正用レジ
ン組成物を得た。
果、曲げ強度は53MPa、曲げ弾性率は3.4GPa、弾
性歪は0.7%であった。また実施例1と同様にしてス
プリントを作製した。弾力性が乏しくアンダーカットで
の保持は不充分であり外れ易いスプリントであった。
使用されている市販のアクリル系加熱重合レジンとして
商品名;ジーシーアクロン(ジーシー社製)を用い、製
品の能書に指示された加熱重合法に従い2mm×2mm×25
mmの試験片を作製した。この試験片を用いて実施例1と
同様の方法で3点曲げ試験を行った結果、曲げ強度は9
5MPa、曲げ弾性率は2.7GPa、弾性歪は5.4%であ
った。また、従来の加熱重合型レジンを用いた矯正装置
の作製方法と同様にしてスプリントを作製してみたが、
完成までに約8時間を要し、得られたスプリントもアン
ダーカットでの保持は困難であり脱落し易いものであっ
た。
使用されている市販のアクリル系即時常温重合レジンと
して商品名;ジーシーユニファストII(ジーシー社製)
を用い、製品の能書に指示された使用法に従い金属型に
填入・硬化させ2mm×2mm×25mmの試験片を得た。この
試験片を用いて実施例1と同様の方法で3点曲げ試験を
行った結果、曲げ強度は81MPa、曲げ弾性率は1.9
GPa、弾性歪は4.1%であった。また、従来の即時常
温重合レジンを用いた矯正装置の作製方法と同様にして
スプリントを作製してみたが、完成までに約4時間を要
し、得られたスプリントもアンダーカットでの保持は困
難であり脱落し易いものであった。
成分である「交差結合を有するポリウレタン粉末」が存
在しない比較例1は、弾性率が高くてアンダーカットに
当接した部位に破損が生じ、b成分である「重量平均分
子量が300〜5000であって、少なくとも1個の不
飽和二重結合を有し、ウレタン結合を持つ(メタ)アク
リレート」における不飽和二重結合を有し、ウレタン結
合を有するウレタンオリゴマーと、「交差結合を有する
ポリウレタン粉末」とが存在しない比較例2は、重合後
の硬化体に弾性力を与えることができないので曲げ弾性
率が高くてアンダーカットでの保持が不充分なのであ
り、また比較例3は分子量100のメチルメタクリレー
トの液体と交差結合を持たない平均粒径約80μmのポ
リアクリル粉末が主成分であるので弾力性が乏しく、比
較例4も比較例3のアクリル系加熱重合レジンと同様な
組成から成るので弾力性が乏しい。
型歯科矯正用レジン組成物は、前記した各実施例から明
らかなように、いずれも3点曲げによる弾性率が0.2
〜1.5GPa、弾性歪が10〜30%の範囲にあり、硬
化体が適度な弾力性を有しており、スプリント等の矯正
装置の先端や薄い部分に負荷が生じた場合にも破損しに
くく、クラスプ等の専用保持器具を用いることなく歯牙
のアンダーカットを利用して矯正装置の保持が可能とな
り、更に光重合型レジンの簡便性と操作性に優れた特徴
を利用して患者の口腔内で直接、短時間に矯正装置の作
製が可能という大きな特徴を有しており、歯科医療分野
の顎機能障害治療に貢献するところの大なるものであ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】a)重量平均分子量が100〜300であ
って、少なくとも1個の不飽和二重結合を有し、ウレタ
ン結合を持たない(メタ)アクリレート;5〜50重量
%、 b)重量平均分子量が300〜5000であって、少な
くとも1個の不飽和二重結合を有し、ウレタン結合を持
つ(メタ)アクリレート;10〜60重量%、 c)交差結合を有するポリウレタン粉末;5〜30重量
%、 d)無機質充填材;10〜50重量%、 e)光重合開始剤;0.03〜3重量%から成る光重合
型歯科矯正用レジン組成物。 - 【請求項2】 無機質充填材の60重量%以下が有機無
機複合充填材に置き換えられている請求項1に記載の光
重合型歯科矯正用レジン組成物。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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