JP2004067597A - 歯科用組成物 - Google Patents

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Daisuke Usu
薄 大輔
Keizo Kobayashi
小林 恵三
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Abstract

【課題】歯科材料において従来の歯科用硬質レジンやレジンブロックと比較して曲げ強度が高く、且つフッ素イオン放出性及びX線造影性とを併せ持つ歯科用組成物を提供する。
【解決手段】歯科用組成物を、A)不飽和二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマーの少なくとも1種:10〜75重量%と、B)長軸長さが短軸長さの3〜1000倍であり、成分としてAl:10〜21重量%とSi:9〜21重量%とF:1〜20重量%とを含み、更にSr,Ca,Laの中の少なくとも一つを合計10〜34重量%含むフルオロアルミノシリケートガラス粉末:20〜85重量%と、C)重合開始剤:0.01〜5重量%と、更にD)充填材:1〜30重量%を含むことがある組成とする。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、審美性に優れるレジン系の歯科用組成物、より詳細には曲げ強度に優れ、更に優れたフッ素放出性及びX線造影性を有する歯科用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯牙のブリッジと呼ばれる修復方法としては、窩洞形成や支台歯形成の後に印象(歯牙の陰型)の採得を行い、その印象に基づいて石膏などを用いて模型(歯牙の複製)を作製し、その模型に基づいて歯科用補綴物を作製し、その歯科用補綴物を歯科用セメントなどの歯科用接着剤を用いて歯牙に合着させる修復方法が一般に行われている。
【0003】
歯科用補綴物の作製の中で金,金銀パラジウム合金等を用いた金属製歯科用補綴物の作製方法は、石膏模型上に歯科用ワックスを用いて目的とする歯科用補綴物と同型の蝋型を作製し、この蝋型を耐火埋没材中に埋没させ、その耐火埋没材の硬化後に電気炉中で加熱して蝋型を焼却させ、得られた鋳型で歯科用金属を用いて鋳造し、この鋳造物を耐火埋没材から掘り出した後、切削・研磨して作製するロストワックス鋳造法と呼ばれる方法が広く行われている。しかしながら,金属製歯科用補綴物は金属イオンにより歯肉の変色,金属アレルギー,歯周病の誘発等が指摘されており、また金属色は審美性に劣り患者の不満が高い欠点があるので特に前歯のように審美性を要求される場合には、レジン前装冠,陶材前装金属冠などの歯科用補綴物による修復が行われている。しかし、これらの方法も正面からの審美性は改善できるものの舌側に残る金属から溶出する金属イオンによる歯肉の変色,金属アレルギーなどは解決できていなかった。
【0004】
そのため、金属を用いない歯科用補綴物として、修復等審美性を要求されるインレーやクラウン等の症例で従来用いられていた、硬質レジンジャケットクラウンなどの全レジン製、又はセラミックインレー,オールセラミッククラウンなどの全陶材製のメタルフリーの歯科用補綴物が提案されている。しかしながら、これらのレジン,陶材等はX線不透過性が無いため、治療の際に不注意からその歯科用補綴物の誤飲などを起こした場合のレントゲン確認や予後のレントゲン写真による経過の確認が行えない欠点があった。また、歯科用補綴物としての強度が低くブリッジへの適用には不足であった。
【0005】
一方近年、歯科用CAD/CAMシステムが実用化され、ブリッジやインレー,クラウンなどの歯科用補綴物がCAD/CAM加工で作製されるようになってきた。この歯科用CAD/CAMシステムでは患者の口腔内形状をデータ化し、コンピューター上で歯科用補綴物の設計を行い、その設計に基づいてブロック状の歯科用材料を自動的に削り出すことにより歯科用補綴物が作製される。この時に用いるCAD/CAMブロック材料は、基本的には従来の歯科用金属ブロック,歯科用レジンブロック,歯科用陶材(セラミックス)ブロックが用いられている。しかしながら歯科用補綴物の材料としては、歯科用金属ブロックは強度が高いがその金属色により審美性が劣り、歯科用レジンブロック,歯科用陶材ブロックではX線不透過性が無く曲げ強度も足りないという問題があった。
【0006】
更に他の歯科用材料においても、例えば根管治療後の支台築造に用いる歯科用ポストの場合は、従来は金属,セラミックス又はこれらの複合マテリアル製のものが多く用いられていた。何故なら、これら歯科用ポストはX線撮影によりその確認が容易に行える利点があるためである。そして金属製のポストとしては、ステンレス鋼,コバルトクロム合金,ニッケルクロム合金,チタン合金等が材質として用いられていた。
【0007】
ポスト植立の際には歯の根管壁とポストとの間の隙間へ歯科用充填材料や歯科用セメントを流し込んで歯とポストとを接着させなければならないが、これに用いられる歯科用充填材料や歯科用セメントには自由なタイミングで硬化させることができる光硬化型の材料が好まれている。しかし、金属製のポストを用いた場合にはポストが光不透過性であるため光が深部に届かず歯科用充填材料や歯科用セメントの硬化が行えないため光硬化型の材料が使用できなかった。また、複合マテリアル製では芯材にカーボン繊維,ガラス繊維,アラミド繊維,ボロン繊維若しくは金属繊維から成る群,マトリックスに(メタ)アクリル樹脂,エポキシ樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂から成る群とから形成されるものがあり、これら組み合わせによっては光透過性を有するポストも存在するが、これら従来の複合マテリアル製はX線造影性が無いため歯科用材料としては好ましくなかった。
【0008】
ところで、現在の歯科治療ではフッ素イオンを放出する歯科用材料を用いて歯のエナメル質の再石灰化を促す予防が広く行われている。従来からグラスアイオノマーセメント以外の歯科用材料ではコンポジットレジンなどでフッ素イオンを放出する製品も提案されているが、X線造影性及び強度とう触予防に有効なフッ素イオン放出性能とを同時に兼ね備えた歯科用材料は無く、新規な歯科用材料が求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、歯科材料において審美性が高く高強度であり、且つフッ素イオン放出性及びX線造影性を併せ持つ歯科用材料を作製することが可能な歯科用組成物を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、金属を用いない審美性の高い歯科用材料として従来のコンポジットレジンの組成を利用し、不飽和二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマーと重合開始剤とを基本的に用い、これにフッ素イオン放出性及びX線造影性を有する特定のフルオロアルミノシリケートガラス粉末を配合すると前記課題を解決することができる歯科用組成物を得ることができることを究明して本発明を完成したのである。
【0011】
即ち本発明に係る歯科用組成物は、
Figure 2004067597
を含み、フッ素イオン放出性及びX線造影性を有することを特徴とする歯科用組成物と、
Figure 2004067597
から成り、フッ素イオン放出性及びアルミニウムの2倍以上のX線造影性を有することを特徴とする歯科用組成物
とである。
そして、このような歯科用組成物において、フルオロアルミノシリケートガラス粉末は、その短軸長さが0.1μm〜100μmであることや、その長軸長さが500μm以下であることが好ましいのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る歯科用組成物で使用するA)成分である不飽和二重結合を有するモノマーは、歯科用組成物に審美性を与える基となる物質であって金属と比較すると優れた光透過性があり、(メタ)アクリル樹脂,エポキシ樹脂,不飽和ポリエステル樹脂等一般に歯科用レジン材料に使用されているものが使用可能である。また、モノマーの他にオリゴマーも使用できる。その一例を挙げると、モノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、1,3,5−トリス[1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオン、1,6−メタクリルエチルオキシカルボニルアミノヘキサン、1,3−メタクリルエチルオキシカルボニルアミノヘキシルアミノカルボニルオキシ(3−メチル)プロパン、1,6−メタクリルエチルオキシカルボニルアミノヘキシルアミノカルボニルオキシ(3−メチル)プロピルオキシカルボニルアミノヘキサンやそれらのアクリレート等が挙げられる。また、オリゴマーとしては、1,3−ブチレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとから成るウレタンオリゴマー、2,2−ジ(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとから成るウレタンオリゴマーやそれらのアクリレート等も挙げることができる。これらは単独又は幾つかを組み合わせて使用することも可能である。
【0013】
本発明に係る歯科用組成物で使用するA)成分の配合量は、歯科用組成物全体の10〜75重量%である。10重量%未満では組成物を構成することが難しくなり、75重量%を超えると硬化後の組成物の強度が低下してしまう虞がある。
【0014】
本発明に係る歯科用組成物で使用するB)成分である長軸長さが短軸長さの3〜1000倍であり、成分としてAl:10〜21重量%とSi:9〜21重量%とF:1〜20重量%とを含み、更にSr,Ca,Laの中の少なくとも一つを合計10〜34重量%含むフルオロアルミノシリケートガラス粉末は、本発明に係る歯科用組成物に強度及びフッ素イオン放出性,X線造影性を付与するために用いる。本発明において粉末粒子の形状は任意に選出された少なくとも200粒の粒子について、その粉末の各粒子の平面上への投影像を2本の平行線で挟んだ時、その平行線の間隔が最小となる距離の平均を短軸長さ、またこの平行線に直角な方向の2本の平行線で粒子を挟む時の距離の平均を長軸長さとして表現する。
【0015】
本発明で使用するB)成分であるフルオロアルミノシリケートガラス粉末において、長軸長さが短軸長さの3倍より小さいと、強度を高めるために十分な作用を得ることができない。また、長軸長さが短軸長さの1000倍より大きいと硬化後の表面滑沢性が劣り、硬化後の組成物の強度も低下してしまう。中でも長軸長さが短軸長さの5〜500倍であることが好ましい。
【0016】
本発明に使用するB)成分であるフルオロアルミノシリケートガラス粉末は、短軸長さが0.1〜100μmであることが好ましい。短軸長さが0.1μm未満であるか100μmを超えると硬化後の組成物の強度を向上する効果が少なくなる虞がある。より好ましい短軸長さは、0.5〜50μm、特に好ましくは2〜20μmである。また、フルオロアルミノシリケートガラス粉末の長軸方向(繊維方向)を不規則に歯科用組成物中に配合する場合には長軸長さが500μm以下の繊維状であることが好ましく、長軸長さが500μmを超えると硬化後の組成物の表面滑沢性が低下する傾向があり、好ましくは10〜200μmである。尚、本発明に係る歯科用組成物において、フルオロアルミノシリケートガラス粉末の配合量は組成物全体の20〜85重量%である。20%未満では組成物に十分な強度及びフッ素イオン放出性,X線造影性を得難く、フッ素イオン放出性も低下し易い傾向がある。85重量%を超えるような場合では硬化後の組成物の強度が逆に低下してしまう傾向がある。尚、より好ましい配合量は20〜60重量%である。
【0017】
本発明に使用するB)成分であるフルオロアルミノシリケートガラス粉末は、シリカとアルミナとを主成分としたガラス粉末であり、具体的には特開昭62−67008号公報,特開昭63−201038号公報で開示されているようなシリカとアルミナとを主成分とし、それにフッ化カルシウム,フッ化アルミニウム,リン酸アルミニウム等を混合したグラスアイオノマーセメント用ガラス粉末等を挙げることができる。また、本発明に使用するフルオロアルミノシリケートガラス粉末は、通法に従い表面がシラン処理されていても良い。
【0018】
このような本発明に使用するB)成分であるフルオロアルミノシリケートガラス粉末において、Alの割合が10重量%未満であると硬化後の歯科用組成物の強度が低くなる傾向にあり、21重量%を超えるとガラスの作製が困難であり、透明性が低下して審美性に劣る。Siの割合が9重量%未満である場合もガラスの作製が困難となり、21重量%を超えると硬化後の歯科用組成物のフッ素イオン放出性が低下する。Fの割合が1重量%未満であると硬化後の歯科用組成物にフッ素イオン放出性が十分でなくなり、20重量%を超えると硬化後の歯科用組成物の強度が劣る。SrとCaとLaの合計が10重量%未満であるとX線造影性が不十分となり、更にこの場合はガラスの作製も困難となる。またSrとCaとLaの合計が34重量%を超えると硬化後の歯科用組成物の強度が低下してしまう。
【0019】
本発明に係る歯科用組成物のC)成分である重合開始剤は、A)成分である不飽和二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマーを重合させる機能を有するものであれば従来の歯科用の重合開始剤を制限無く用いることが可能である。加熱重合開始剤としては、アゾ化合物としてアゾビスイソブチロニトリル、トリブチルホウ素等のような有機金属化合物が好ましく、芳香族を有するジアシルパーオキシド類や過安息香酸のエステルとみなされるようなパーオキシエステル類、例えば、ベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキシド、m−トリルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ[(o−ベンゾイル)ベンゾイルパーオキシ]ヘキサン等も使用可能である。これらの加熱重合開始剤は単独又は幾つかを組み合わせて使用することも可能である。
【0020】
光重合開始剤としては増感剤と還元剤との組合わせが一般に用いられる。増感剤としては、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4´−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキシド、アジド基を含む化合物などがあり、単独若しくは混合しても使用できる。
【0021】
還元剤としては3級アミン等が一般に使用される。3級アミンとしては、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルが好ましい。また他の還元剤として、ベンゾイルパーオキシド、スルフィン酸ソーダ誘導体、有機金属化合物等を挙げることができる。
【0022】
これら重合開始剤の配合量は歯科用組成物に対して0.01〜5重量%で配合する。0.01重量%未満であると十分な効果を得難く、使用するモノマーの種類や配合割合によって異なるが5重量%を超えて配合してもそれ以上の重合性能は得られない傾向がある。
【0023】
本発明に係る歯科用組成物には、更に従来から用いられている充填材を歯科用組成物全体の1〜30重量%以下の範囲で配合しても良い。充填材としては、例えば、二酸化ケイ素,バリウムガラス,アルミナガラス,カリウムガラス,フルオロアルミノシリケートガラスなどのガラス類、合成ゼオライト、リン酸カルシウム、ヒュームドシリカ長石、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、石英などの粉末を一般的には平均粒径2〜50μmの範囲に調整し、必要に応じてシラン処理を行い配合する。また、平均粒径が2μm未満であるコロイダルシリカなどのヒュームドシリカを配合しても良いのは勿論である。これらの充填材の配合量が1重量%未満であると充填材配合の効果を得難く、30重量%を超えて配合すると硬化体の曲げ強度が低下する傾向がある。
【0024】
本発明に係る歯科用組成物の実施の態様としては、重合前の状態としては歯科用コンポジットレジン材料や硬質レジン材料に使用可能であり、インレー,硬質レジンジャケットクラウン,ブリッジなどに適用できる。また、整形後、加熱,光などで重合した状態としては歯科用CAD/CAMブロック,歯科用ポストなどに適用可能である。
【0025】
本発明に係る歯科用組成物には従来の歯科用組成物と同様に、その性能を低下させない範囲で更に、必要に応じて紫外線吸収剤,顔料,重合禁止剤,変色防止剤,抗菌剤などが微量使用できるのは勿論である。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明に係る歯科用組成物を説明する。結果は表1に纏めて示す。
【0027】
<フルオロアルミノシリケートガラス粉末A>
水酸化アルミニウム19.8g,珪砂35.8g,酸化カルシウム22.4g,リン酸アルミニウム15.1g,フッ化ストロンチウム6.9gを各々秤量し,乳鉢で十分に混合した。このガラス用原料粉末を入れた白金坩堝を室温状態の電気炉の中に設置し、1300℃まで約3時間かけて電気炉内の温度を昇温させガラスを溶融し、その温度を2時間一定に保って溶融したガラスを清澄した。この融液を特開2000−256038号公報に示す方法にて繊維状ガラスを作製し調整してフルオロアルミノシリケートガラス粉末Aとした。
【0028】
<フルオロアルミノシリケートガラス粉末B>
酸化アルミニウム21.0g,珪砂45.1g,フッ化カルシウム12.5g,リン酸アルミニウム10.2g,炭酸カルシウム12.0gを各々秤量し、乳鉢で十分に混合した。このガラス用原料粉末を入れた白金坩堝を室温状態の電気炉の中に設置し、1300℃まで約3時間かけて電気炉内の温度を昇温させガラスを溶融し、その温度を2時間一定に保って溶融したガラスを清澄した。この融液を特開2000−256038号公報に示す方法にて繊維状ガラスを作製し調整してフルオロアルミノシリケートガラス粉末Bとした。
【0029】
<不飽和二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマーと重合開始剤>
表1に示す重量割合でモノマー・オリゴマー及び重合開始剤を混合,攪拌した。また、本実施例で使用する物質を以下のように表記する。
UDMA:ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート
NPG :ネオペンチルグリコールジメタクリレート
3G  :トリエチレングリコールジメタクリレート
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート
GMA :グリシジルメタクリレート
MMA :メチルメタクリレート
【0030】
<X線造影性>
本実施例及び比較例の厚さ1mmの硬化体を0.5mmから3.0mmまで0.5mづつ厚さが増すアルミニウムステップ板と合わせてX線フィルム上に設置し、X線撮影装置(シロナデンタルシステムズ社製)にて60kV,0.4秒の条件でX線撮影した。撮影されたアルミニウムステップ板及び硬化体の明度をデンシトメーターにて測定しアルミニウムステップ板の明度と比較し硬化体1mmに相当するアルミニウム厚さを算出した。尚、歯科用組成物のX線造影性はアルミニウムステップ板の2倍程度あれば歯科治療に十分なX線造影性であることは経験的に確認している。
【0031】
<曲げ強度試験>
2mm×2mm×25mmの大きさに加工した硬化体を万能試験機(商品名:オートグラフ,島津製作所社製)にてスパン20mm、クロスヘッドスピード1mm/min.の条件で3点曲げ試験を行った。
【0032】
<フッ素イオン放出性>
硬化前の実施例及び比較例の組成物を直径6mm,深さ1mmの円筒状の穴のを2個開けたガラス板にそれぞれ填入してガラス板で圧接して硬化させた後、ガラス板を取り外した。硬化体を填入したガラス板から取り外さずに37℃,湿度100%の条件下の恒温漕に1時間静置した。次いで、硬化体を填入したガラス板から取り外さずに8mlの蒸留水中に浸漬し、37℃の恒温漕中に7日間放置後に2mlの蒸留水で洗浄を行いその蒸留水と合わせて10mlの水中に溶出したフッ素イオンの濃度をイオンメーター(商品名:IM−40S,東亜電波工業社製)で経時測定しフッ素イオンの放出性を確認した。この条件でのフッ素イオン放出量が50(μg/cm)以上の場合を「フッ素イオン放出性あり」とした。
【0033】
<実施例1>
長軸長さ54μm,短軸長さ2.7μmのフルオロアルミノシリケートガラス粉末A100gに対してγ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを5重量%含むエタノール溶液20gを加えて充分撹拌した後、乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥した。このフルオロアルミノシリケートガラス粉末A35g及び平均粒径20μmの石英粉末15gに対して不飽和二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマーと重合開始剤との混合物を50gの割合で混合して歯科用組成物を作製し、前記の各種試験を行った。尚、歯科用組成物は100℃で30分加熱を行い重合した。
【0034】
<実施例2>
長軸長さ343μm,短軸長さ0.7μmのフルオロアルミノシリケートガラス粉末Bを用いた以外は実施例1と同様の方法によりシラン処理を行った。このフルオロアルミノシリケートガラス粉末B60gに対して不飽和二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマーと重合開始剤との混合物を40gの割合で混合し歯科用組成物を作製し、実施例1と同様に前記の各種試験を行った。
【0035】
<実施例3>
長軸長さ208μm,短軸長さ10μmのフルオロアルミノシリケートガラス粉末Bを用いた以外は実施例1と同様の方法によりシラン処理を行った。このフルオロアルミノシリケートガラス粉末B49g及び平均粒径20μmの石英粉末9g,最大粒子径40nmのアエロジル(商品名:アエロジルR972,日本アエロジル社製)10gに対して不飽和二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマーと重合開始剤との混合物を32gの割合で混合し歯科用組成物を作製し、実施例1と同様に前記の各種試験を行った。
【0036】
<実施例4>
長軸長さ166μm,短軸長さ25μmのフルオロアルミノシリケートガラス粉末Aを用いた以外は実施例1と同様の方法によりシラン処理を行った。このフルオロアルミノシリケートガラス粉末A25g及びフルオロアルミノシリケートガラス粉末(商品名:フジI粉末,ジーシー社製)20gに対して不飽和二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマーと重合開始剤との混合物55gの割合で混合し歯科用組成物を作製し、実施例1と同様に前記の各種試験を行った。
【0037】
<比較例1>
従来の硬質レジン(商品名:グラディアA3,ジーシー社製)を用いて実施例1と同様に前記各種試験を行った。結果を表1に纏めて示す。
【0038】
<比較例2>
従来のCAD/CAM用レジンブロック(商品名:GN−Iコンポジットブロック,ジーシー社製)を用いて前記各種試験を行った。尚、試験体はCAM加工により作製し各試験を行った。結果を表1に纏めて示す。
【0039】
【表1】
Figure 2004067597
【発明の効果】
以上に詳述したように本発明に係る歯科用組成物は、歯科材料において従来の歯科用硬質レジンやレジンブロックと比較して曲げ強度が高く、且つフッ素イオン放出性及びX線造影性とを併せ持つ歯科用組成物である。従って、従来、強度の不足,X線造影性が無いなどの問題から審美性を諦めて金属材料を用いていた症例に広く使用可能であり、またフッ素放出性を有するために前記の性能に加えてう触を予防する効果を併せ持つために歯科医療に貢献するところの大なるものである。

Claims (4)

  1. Figure 2004067597
    を含み、フッ素イオン放出性及びX線造影性を有することを特徴とする歯科用組成物。
  2. Figure 2004067597
    から成り、フッ素イオン放出性及びアルミニウムの2倍以上のX線造影性を有することを特徴とする歯科用組成物。
  3. フルオロアルミノシリケートガラス粉末の短軸長さが0.1μm〜100μmである請求項1又は2に記載の歯科用組成物。
  4. フルオロアルミノシリケートガラス粉末の長軸長さが500μm以下である請求項1から3までのいずれか1項に記載の歯科用組成物。
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