JPH117949A - アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極 - Google Patents
アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極Info
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Abstract
基体粒子と、当該基体粒子を被覆するイットリウム、ス
カンジウム若しくはランタノイド、又は、それらの化合
物からなる被覆内層と、当該被覆内層を被覆するコバル
ト又はコバルト化合物からなる被覆外層とからなる複合
体粒子からなる。 【効果】常温下で充電した場合はもとより、高温雰囲気
下で充電した場合にも、高い活物質利用率を発現するア
ルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極が提供される。
Description
非焼結式ニッケル極に係わり、詳しくは、常温下におい
て充電した場合はもとより、高温雰囲気下で充電した場
合にも、高い活物質利用率を発現するアルカリ蓄電池用
非焼結式ニッケル極を提供することを目的とした、活物
質の改良に関する。
ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池な
どの正極として、ニッケル粉末を穿孔鋼板等に焼結させ
て得た焼結基板に活物質(水酸化ニッケル)を含浸させ
てなる焼結式ニッケル極がよく知られている。
を多くするためには、多孔度の大きい焼結基板を用いる
必要がある。しかし、焼結によるニッケル粒子間の結合
は弱いので、焼結基板の多孔度を大きくするとニッケル
粒子が焼結基板から脱落し易くなる。従って、実用上
は、焼結基板の多孔度を80%より大きくすることがで
きず、それゆえ焼結式ニッケル極には、活物質の充填量
が少ないという問題がある。また、一般に、ニッケル粉
末の焼結体の孔径は10μm以下と小さいため、活物質
の焼結基板への充填を、煩雑な含浸工程を数回繰り返し
行う必要がある溶液含浸法により行わなければならない
という問題もある。
ケル極が提案されている。非焼結式ニッケル極は、活物
質(水酸化ニッケル)と結着剤(メチルセルロース水溶
液など)との混練物(ペースト)を多孔度の大きい基板
に充填することにより作製される。非焼結式ニッケル極
では、多孔度の大きい基板を用いることができるので
(多孔度95%以上の基板を用いることができる)、活
物質の充填量を多くすることができるとともに、活物質
の基板への充填が容易である。
活物質利用率、特に高温雰囲気下での活物質利用率が低
いという欠点が有る。高温になると、電極の酸素過電圧
が低下するため、充電電気量が、水酸化ニッケルのオキ
シ水酸化ニッケルへの充電反応以外に、水(アルカリ電
解液中の水)が分解することによる酸素発生反応にも消
費されるからである。
にわたって高い活物質利用率を発現する非焼結式ニッケ
ル極として、水酸化ニッケル粉末に金属コバルト、水酸
化コバルト及びイットリウム化合物を添加したものが、
先に提案されている(特開平5−28992号公報参
照)。
果、上記の従来の非焼結式ニッケル極には、60°C程
度の高温雰囲気下で充電すると、活物質利用率が大きく
低下するという課題があることが分かった。
れたものであって、常温下で充電した場合はもとより、
高温雰囲気下で充電した場合にも、高い活物質利用率を
発現するアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極を提供す
ることを目的とする。
電池用非焼結式ニッケル極(本発明電極)においては、
活物質粉末が、水酸化ニッケルを含有する基体粒子と、
当該基体粒子を被覆するイットリウム、スカンジウム若
しくはランタノイド、又は、それらの化合物からなる被
覆内層と、当該被覆内層を被覆するコバルト又はコバル
ト化合物からなる被覆外層とからなる複合体粒子からな
る。
ルを含有する基体粒子を、被覆内層と、被覆外層との二
層で被覆した複合体粒子からなる。
は、水酸化ニッケルのみからなる単一成分粒子の外、水
酸化ニッケルに、コバルト、亜鉛、カドミウム、カルシ
ウム、マンガン、マグネシウム、ビスマス、アルミニウ
ム、ランタノイド及びイットリウムから選ばれた少なく
とも一種の元素が固溶した粒子(固溶体粒子)も含まれ
る。水酸化ニッケルに、上記の元素を一種又は二種以上
固溶させることにより、非焼結式ニッケル極の充電時の
膨化が抑制される。
ウム、スカンジウム若しくはランタノイド、又は、それ
らの化合物からなる。イットリウム化合物としては、水
酸化イットリウム(Y(OH)3 )、三酸化二イットリ
ウム(Y2 O3 )、炭酸イットリウム(Y2 (CO3 )
3 )、フッ化イットリウム(YF3 )が例示される。ス
カンジウム又はランタノイドの化合物としては、それら
の水酸化物(Sc(OH)3 、La(OH)3 、Ce
(OH)3 、Pr(OH)3 、Nd(OH)3 、Pm
(OH)3 、Eu(OH)3 、Gd(OH)3 、Tb
(OH)3 、Dy(OH)3 、Ho(OH)3 、Er
(OH)3 、Tm(OH)3 など)、酸化物(Sc2 O
3 、La2 O3 、CeO2 、Pr6 O11、Nd2 O3 、
Sm2 O3 、Eu2 O3 、Gd2 O3 、Tb4 O7 、D
y2 O3 、Ho2 O3 、Er2 O3 、Tm2 O3 、Yb
2 O3 、Lu2 O3 など)、炭酸塩(La2 (CO3 )
3 、Ce2(CO3 )3 、Nd2 (CO3 )3 、Sm2
(CO3 )3 など)又はフッ化物(LaF3 、Ce
F3 、PrF3 、NdF3 、SmF3 、GdF3 、Tb
F3 、DyF3 、ErF3 、YbF3 、HoF3 など)
が例示される。
イドの水酸化物からなる被覆内層を基体粒子の表面に形
成する方法としては、例えば、イットリウム、スカンジ
ウム又はランタノイドの塩水溶液(例えば、硫酸イット
リウム水溶液など)に水酸化ニッケル粉末を添加し、攪
拌しながらアルカリ水溶液(例えば、水酸化ナトリウム
水溶液など)を滴下してpHを9〜12(通常11程
度)に調整した後、pHが低下した時点でアルカリ水溶
液を適宜滴下してpHをほぼ一定に保持しつつ所定時間
攪拌して、水酸化ニッケル粒子の表面にイットリウム、
スカンジウム又はランタノイドの水酸化物を析出させる
方法が挙げられる。
イドの水酸化物からなる被覆内層は、水酸化ニッケル粉
末とイットリウム、スカンジウム又はランタノイドの水
酸化物粉末とを不活性ガス中にて圧縮磨砕粉砕機を用い
て乾式混合するメカニカルチャージ法によっても形成す
ることができる。このメカニカルチャージ法において、
イットリウム、スカンジウム又はランタノイドの水酸化
物粉末に代えて、イットリウム、スカンジウム若しくは
ランタノイド、又は、それらの酸化物、炭酸塩若しくは
フッ化物の粉末を用いれば、それぞれイットリウム、ス
カンジウム若しくはランタノイド、又は、それらの酸化
物、炭酸塩若しくはフッ化物からなる被覆内層を形成す
ることができる。
内層中のイットリウム、スカンジウム又はランタノイド
の比率は、0.05〜5重量%が好ましい。この比率が
0.05重量%未満の場合は、高温雰囲気下で充電した
場合の活物質利用率の低下を充分に抑制することが困難
となり、一方同比率が5重量%を超えた場合は、活物質
(水酸化ニッケル)の充填密度が小さくなり、電極の比
容量(放電容量)が減少する。
又はコバルト化合物からなる。コバルト化合物として
は、一酸化コバルト、水酸化コバルト、オキシ水酸化コ
バルト、ナトリウム含有コバルト化合物が例示される。
層の上に形成する方法としては、例えば、コバルト塩水
溶液(例えば、硫酸コバルト水溶液など)に、被覆内層
で粒子表面を被覆した水酸化ニッケル粉末を添加し、攪
拌しながらアルカリ水溶液(例えば、水酸化ナトリウム
水溶液など)を滴下してpHを9〜12(通常11程
度)に調整した後、pHが低下した時点でアルカリ水溶
液を適宜滴下してpHをほぼ一定に保持しつつ所定時間
攪拌して、被覆内層の表面に水酸化コバルトを析出させ
る方法が挙げられる。
化ニッケル粉末と水酸化コバルト粉末とを不活性ガス中
にて圧縮磨砕粉砕機を用いて乾式混合するメカニカルチ
ャージ法によっても形成することができる。このメカニ
カルチャージ法において、水酸化コバルト粉末に代えて
一酸化コバルト粉末又はコバルト粉末を用いれば、それ
ぞれ一酸化コバルトからなる被覆外層、及び、コバルト
からなる被覆外層を形成することができる。
は、例えば、被覆内層の表面に水酸化コバルト層を形成
した後、この水酸化コバルト層を40°C程度に加熱し
た過酸化水素水で酸化することにより形成することがで
きる。ナトリウム含有コバルト化合物からなる被覆外層
は、例えば、被覆内層の表面に、コバルト層、又は、水
酸化コバルト層、一酸化コバルト層、オキシ水酸化コバ
ルト層等のコバルト化合物層を形成した粒子粉末に、水
酸化ナトリウム水溶液を添加し、酸素存在下にて加熱処
理することにより形成することができる。水酸化ナトリ
ウム水溶液を添加するだけではナトリウム含有コバルト
化合物からなる被覆層は形成されず、酸素存在下にて加
熱処理することが必要である。このときの加熱処理温度
は、50〜200°Cが好ましい。加熱処理温度が50
°C未満の場合は、電導率の低いCoHO2 が多く析出
し、一方加熱処理温度が200°Cを越えた場合は、電
導率の低い四酸化三コバルト(Co3 O4 )が多く析出
する。なお、コバルト化合物層がオキシ水酸化コバルト
層の場合は、50°C未満で加熱処理してもCoHO2
が析出することはないが、ナトリウムが挿入されにくく
なる。加熱処理時間は、使用する水酸化ナトリウム水溶
液の量、濃度、加熱処理温度等によって異なる。一般的
には、0.5〜10時間である。
しては、ナトリウム含有水酸化コバルト、ナトリウム含
有オキシ水酸化コバルト及びこれらの混合物が挙げられ
る。ナトリウム含有コバルト化合物の化学構造は、本発
明者らにおいても現在のところ定かでないが、これが極
めて高い電導率を有することから、コバルト化合物とナ
トリウムとの単なる混合物ではなく、コバルト化合物の
結晶中にナトリウムが取り込まれた形の特殊な結晶構造
を有する化合物ではないかと推察される。ナトリウム含
有コバルト化合物の好適なナトリウム含有率は、0.1
〜10重量%である。ナトリウム含有率がこの範囲を外
れると被覆層の導電性が悪くなり、活物質利用率が低下
する傾向がある。
〜15重量%が好ましい。この比率が3重量%未満の場
合は、活物質粒子の表面の電子伝導性が不充分となり、
活物質利用率の高い非焼結式ニッケル極を得ることが困
難となる。一方、同比率が15重量%を超えた場合は、
活物質(水酸化ニッケル)の充填密度が小さくなり、電
極の比容量が減少する。
非焼結式ニッケル極としては、導電性芯体に、活物質を
含有するペーストを塗布し、乾燥してなるペースト式ニ
ッケル極が挙げられる。このときの導電性芯体の具体例
としては、ニッケル発泡体、フェルト状金属繊維多孔体
及びパンチングメタルが挙げられる。その外、本発明
は、チューブ状の金属導電体の中に活物質を充填するチ
ューブ式ニッケル極、ポケット状の金属導電体の中に活
物質を充填するポケット式ニッケル極、活物質を網目状
の金属導電体とともに加圧成形するボタン型電池用ニッ
ケル極などにも、適用して好適である。
カリ蓄電池の具体例としては、ニッケル−水素蓄電池
(負極:水素吸蔵合金電極)、ニッケル−カドミウム蓄
電池(負極:カドミウム電極)及びニッケル−亜鉛蓄電
池(負極:亜鉛電極)が挙げられる。
基体粒子と、高温充電時の酸素過電圧の低下を抑制する
イットリウム、スカンジウム若しくはランタノイド、又
は、それらの化合物からなる被覆内層と、電子伝導性を
付与するコバルト又はコバルト化合物からなる被覆外層
とからなる複合体粒子からなる活物質粉末を使用してい
るので、高温雰囲気下で充電した場合の活物質利用率の
低下が少ない。被覆内層により、高温充電時の酸素過電
圧の低下が抑制されて、充電電気量が活物質の充電反応
に有効に消費されるとともに、被覆外層により、活物質
粒子表面の電子伝導性が高められるからである。
ルト、水酸化コバルト及びイットリウム化合物を粉体混
合する先に挙げた特開平5−28992号公報に開示の
方法では、本発明電極の如き優れた高温での充電特性を
有する非焼結式ニッケル極は得られない。金属コバルト
及び水酸化コバルトの水酸化ニッケル粒子表面に対する
電子伝導性付与効果が、イットリウム化合物の添加によ
り減殺されるからである。
に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるも
のではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変
更して実施することが可能なものである。
%水酸化ナトリウム水溶液とを、重量比1:10で混合
し、85°Cで8時間加熱処理した後、水洗し、60°
Cで乾燥して、ナトリウム含有コバルト化合物を作製し
た。作製したナトリウム含有コバルト化合物のナトリウ
ム含有率を原子吸光分析により求めたところ、1重量%
であった。
により、本発明電極及びアルカリ蓄電池を作製した。
の水溶液1リットルに、水酸化ニッケル粉末(平均粒径
10μm)100gを入れ、攪拌しながら1Mの水酸化
ナトリウム水溶液を加えて液のpHを11に調整した
後、1時間攪拌を続けて反応させた。なお、液のpHが
若干低下した時点で1M水酸化ナトリウム水溶液を適宜
滴下して液のpHを11に保持した。このときのpHの
監視は自動温度補償付きガラス電極(pHメータ)にて
行った。
燥して、水酸化ニッケル粒子(基体粒子)の表面に水酸
化イットリウムからなる被覆内層が形成された粒子粉末
を得た。基体粒子中の水酸化ニッケルに対する被覆内層
中のイットリウムの比率を、発光分析によりイットリウ
ム量を測定して求めたところ、1重量%であった。
溶液1リットルに、ステップ1で得た粒子粉末100g
を入れ、攪拌しながら1Mの水酸化ナトリウム水溶液を
加えて液のpHを11に調整した後、1時間攪拌を続け
て反応させた。なお、ステップ1と同様に、液のpHが
若干低下した時点で1M水酸化ナトリウム水溶液を適宜
滴下して液のpHを11に保持した。
燥して、ステップ1で得た粒子の表面に水酸化コバルト
からなる被覆層が形成された粒子粉末を得た。
と、25重量%水酸化ナトリウム水溶液とを、重量比
1:10で混合し、85°Cで8時間加熱処理した後、
水洗し、65°Cで乾燥して、水酸化イットリウムから
なる被覆内層の上に、ナトリウム含有コバルト化合物か
らなる被覆外層が形成された複合体粒子からなる活物質
粉末を作製した。被覆外層のナトリウム含有率は、先の
予備実験から、1重量%と推定される。複合体粒子に対
する被覆外層の比率を、原子吸光分析によりコバルト量
を測定して求めたところ、5重量%であった。
(平均粒径10μm)100重量部と、結着剤としての
1重量%メチルセルロース水溶液20重量部とを混練し
てペーストを調製し、このペーストをニッケル発泡体
(多孔度95%、平均孔径200μm)からなる多孔性
の基板に充填し、乾燥し、加圧成形して、非焼結式ニッ
ケル極(本発明電極)a1を作製した。本発明電極a1
の寸法は、縦70mm、横40mm、厚み0.70mm
であった。以下で作製した非焼結式ニッケル極の寸法
も、全てこれに統一した。
電極a1(正極)、この正極の1.5倍の容量を有する
従来公知のペースト式カドミウム極(負極)、ポリアミ
ド不織布(セパレータ)、30重量%水酸化カリウム水
溶液(アルカリ電解液)、金属製の電池缶、金属製の電
池蓋などを用いて、AAサイズのアルカリ蓄電池(電池
容量:約1000mAh)A1を作製した。カドミウム
極の寸法は、縦85mm、横40mm、厚み0.35m
mであった。非焼結式ニッケル極の特性を調べるべく、
負極の容量を正極のそれの約1.5倍とした。なお、以
下の実施例及び比較例で作製した電池についても、同様
に、負極の容量を正極のそれの約1.5倍とした。
硫酸イットリウムに代えて、表1に示すスカンジウム又
はランタノイドの硝酸塩を使用したこと以外は実施例1
と同様にして、本発明電極a2〜a17及びアルカリ蓄
電池A2〜A17を作製した。
こと以外は実施例1と同様にして、比較電極b及び比較
電池Bを作製した。
部、金属コバルト7重量部、水酸化コバルト5重量部、
三酸化二イットリウム(平均粒径1μm)3重量部、結
着剤としての1重量%メチルセルロース水溶液20重量
部とを混練してペーストを調製し、このペーストをニッ
ケル発泡体(多孔度95%、平均孔径200μm)から
なる多孔性の基板に充填し、乾燥し、加圧成形して、比
較電極cを作製した。次いで、ステップ5においてこの
比較電極cを使用したこと以外は実施例1と同様にし
て、比較電池Cを作製した。この電池は、特開平5−2
8992号公報に開示の方法に準拠して作製したもので
ある。
に、ステップ1で作製した粒子粉末に、予備実験で作製
したナトリウム含有コバルト化合物を、基体粒子中の水
酸化ニッケル100重量部に対して5重量部の割合で、
添加したこと以外は実施例1と同様にして、比較電極d
及び比較電池Dを作製した。
各電池について、25°Cにて0.1Cで160%充電
した後、25°Cにて1Cで1.0Vまで放電する充放
電を10サイクル行い、各電池に使用した非焼結式ニッ
ケル極の10サイクル目の活物質利用率を求めた。続け
て、各電池を60°Cにて0.1Cで160%充電した
後、25°Cにて1Cで1.0Vまで放電して、高温雰
囲気下で充電した時の活物質利用率を求めた。活物質利
用率は、下式に基づき算出した。
h)/〔水酸化ニッケル量(g)×288(mAh/
g)〕}×100
利用率は、本発明電極a1の活物質利用率を100とし
たときの相対指数である。
7は、25°C充電時及び60°C充電時のいずれの場
合にも、活物質利用率が高い。これに対して、比較電極
bは、25°C充電時の活物質利用率は本発明電極a1
〜a17と同程度であるものの、60°C充電時の活物
質利用率が本発明電極a1に比べて低い。水酸化ニッケ
ル粒子の表面に水酸化イットリウムからなる被覆内層を
形成しなかったために、高温充電時の酸素過電圧の低下
が充分に抑制されなかったためと考えられる。比較電極
cの25°C充電時及び60°C充電時の活物質利用率
がいずれも極めて低いのは、金属コバルト及び水酸化コ
バルトの添加による電子伝導性付与効果が、三酸化二イ
ットリウムの同時添加により減殺されたためと考えられ
る。比較電極dの25°C充電時の活物質利用率が低い
のは、被覆外層を形成せずに、単にナトリウム含有コバ
ルト化合物を添加しただけであるため、水酸化ニッケル
粒子の表面の電子伝導性が有効に高められなかったため
と考えられる。
覆内層中のイットリウムの比率と高温充電時の活物質利
用率及び放電容量の関係〉ステップ1において、硫酸イ
ットリウム2.62gの水溶液1リットルに代えて、硫
酸イットリウム0.079g、0.13g、1.31
g、7.86g、13.1g、15.7g又は20.9
gの水溶液1リットルを用いたこと以外は実施例1と同
様にして、非焼結式ニッケル極e1〜e7及びアルカリ
蓄電池E1〜E7を作製した。非焼結式ニッケル極e1
〜e7について、基体粒子中の水酸化ニッケルに対する
被覆内層中のイットリウムの比率を発光分析によりイッ
トリウム量を測定して求めたところ、表3に示すよう
に、順に、0.03重量%、0.05重量%、0.5重
量%、3重量%、5重量%、6重量%及び8重量%であ
った。
試験(25°C充放電を10サイクル、次いで60°C
充電及び25°C放電を1サイクル)を行い、各電池に
使用した非焼結式ニッケル極の25°C充放電での10
サイクル目の放電容量及び60°C充電時の活物質利用
率を求めた。それぞれの結果を、図1及び図2に示す。
する被覆内層中のイットリウムの比率と高温充電時の活
物質利用率の関係を、縦軸に60°C充電時の活物質利
用率を、横軸に基体粒子中の水酸化ニッケルに対する被
覆内層中のイットリウムの比率(重量%)をとって示し
たグラフである。図1には、本発明電極a1の60°C
充電時の活物質利用率も示してあり、図1の縦軸の活物
質利用率は、本発明電極a1の60°C充電時の活物質
利用率を100としたときの相対指数である。
い非焼結式ニッケル極を得るためには、基体粒子中の水
酸化ニッケルに対する被覆内層中のイットリウムの比率
を、0.05重量%以上とすることが好ましいことが分
かる。
ルに対する被覆内層中のイットリウムの比率と放電容量
の関係を、縦軸に25°C充電時の10サイクル目の放
電容量を、横軸に基体粒子中の水酸化ニッケルに対する
被覆内層中のイットリウムの比率(重量%)をとって示
したグラフである。図2には、本発明電極a1の25°
C充電時の10サイクル目の放電容量も示してあり、図
2の縦軸の放電容量は、本発明電極a1の25°C充電
時の10サイクル目の放電容量を100としたときの相
対指数である。
ケル極を得るためには、基体粒子中の水酸化ニッケルに
対する被覆内層中のイットリウムの比率を、5重量%以
下とすることが好ましいことが分かる。
ッケルに対する被覆内層中のイットリウムの比率は、
0.05〜5重量%とすることが好ましいことが分か
る。スカンジウム及びランタノイドの場合も、基体粒子
中の水酸化ニッケルに対する被覆内層中のこれらの比率
を、0.05〜5重量%とすることが好ましいことを別
途確認した。
温充電時の活物質利用率及び放電容量の関係〉ステップ
2において、硫酸コバルト13.1gの水溶液1リット
ルに代えて、硫酸コバルト1.31g、5.25g、
7.88g、26.3g、39.4g、44.7g又は
52.5gの水溶液1リットルを用いたこと以外は実施
例1と同様にして、非焼結式ニッケル極f1〜f7及び
アルカリ蓄電池F1〜F7を作製した。非焼結式ニッケ
ル極f1〜f7について、複合体粒子に対する被覆外層
の比率を原子吸光分析によりコバルト量を測定して求め
たところ、表4に示すように、順に、0.5重量%、2
重量%、3重量%、10重量%、15重量%、17重量
%、20重量%であった。
充放電試験(25°C充放電を10サイクル)を行い、
各電池に使用した非焼結式ニッケル極の25°C充電時
の10サイクル目の放電容量を求めた。結果を、図3に
示す。図3は、複合体粒子に対する被覆外層の比率と放
電容量の関係を、縦軸に25°C充放電での10サイク
ル目の放電容量を、横軸に複合体粒子に対する被覆外層
の比率(重量%)をとって示したグラフである。図3に
は、本発明電極a1の25°C充電時の10サイクル目
の放電容量も示してあり、図3の縦軸の放電容量は、本
発明電極a1の25°C充電時の10サイクル目の放電
容量を100としたときの相対指数である。
ケル極を得るためには、複合体粒子に対する被覆外層の
比率を、3〜15重量%とすることが好ましいことが分
かる。
ニッケルのみからなる単一成分粒子を使用したが、水酸
化ニッケルに、コバルト、亜鉛、カドミウム、カルシウ
ム、マンガン、マグネシウム、ビスマス、アルミニウ
ム、ランタノイド及びイットリウムから選ばれた少なく
とも1種の元素が固溶した固溶体粒子を基体粒子として
用いた場合にも上記と同様に優れた効果が得られること
を別途確認した。
もとより、高温雰囲気下で充電した場合においても、高
い活物質利用率を発現するアルカリ蓄電池用非焼結式ニ
ッケル極が提供される。
中のイットリウムの比率と高温充電時の活物質利用率の
関係を示すグラフである。
中のイットリウムの比率と放電容量の関係を示すグラフ
である。
の関係を示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】活物質粉末が複合体粒子からなるアルカリ
蓄電池用非焼結式ニッケル極であって、前記複合体粒子
が、水酸化ニッケルを含有する基体粒子と、当該基体粒
子を被覆するイットリウム、スカンジウム若しくはラン
タノイド、又は、それらの化合物からなる被覆内層と、
当該被覆内層を被覆するコバルト又はコバルト化合物か
らなる被覆外層とからなるアルカリ蓄電池用非焼結式ニ
ッケル極。 - 【請求項2】前記基体粒子が、水酸化ニッケルに、コバ
ルト、亜鉛、カドミウム、カルシウム、マンガン、マグ
ネシウム、ビスマス、アルミニウム、ランタノイド及び
イットリウムから選ばれた少なくとも1種の元素が固溶
した固溶体粒子である請求項1記載のアルカリ蓄電池用
非焼結式ニッケル極。 - 【請求項3】前記イットリウム、スカンジウム又はラン
タノイドの化合物が、水酸化物、酸化物、炭酸塩又はフ
ッ化物である請求項1記載のアルカリ蓄電池用非焼結式
ニッケル極。 - 【請求項4】前記コバルト化合物が、一酸化コバルト、
水酸化コバルト、オキシ水酸化コバルト又はナトリウム
含有コバルト化合物である請求項1記載のアルカリ蓄電
池用非焼結式ニッケル極。 - 【請求項5】前記基体粒子中の水酸化ニッケルに対する
前記被覆内層中のイットリウム、スカンジウム又はラン
タノイドの比率が、0.05〜5重量%である請求項1
記載のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極。 - 【請求項6】前記複合体粒子に対する前記被覆外層の比
率が、3〜15重量%である請求項1記載のアルカリ蓄
電池用非焼結式ニッケル極。
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