JPH1173956A - アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極 - Google Patents

アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極

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JPH1173956A
JPH1173956A JP9249557A JP24955797A JPH1173956A JP H1173956 A JPH1173956 A JP H1173956A JP 9249557 A JP9249557 A JP 9249557A JP 24955797 A JP24955797 A JP 24955797A JP H1173956 A JPH1173956 A JP H1173956A
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cobalt
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hydroxide
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JP9249557A
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Mitsunori Tokuda
光紀 徳田
Kousuke Satoguchi
功祐 里口
Mutsumi Yano
睦 矢野
Shin Fujitani
伸 藤谷
Koji Nishio
晃治 西尾
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】活物質粉末が、水酸化ニッケルを含有する
基体粒子と、当該基体粒子を被覆するナトリウム含有コ
バルト化合物からなる被覆内層と、当該被覆内層を被覆
する金属コバルト、水酸化コバルト又は一酸化コバルト
からなる被覆外層との複合体粒子からなる。 【効果】活物質利用率の極めて高いアルカリ蓄電池用非
焼結式ニッケル極が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活物質粉末が複合
体粒子からなるアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極に
係わり、詳しくは、活物質利用率が極めて高いアルカリ
蓄電池用非焼結式ニッケル極を提供することを目的とし
た、複合体粒子の改良に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池な
どの正極として、ニッケル粉末を穿孔鋼板等に焼結させ
て得た焼結基板に活物質(水酸化ニッケル)を含浸させ
てなる焼結式ニッケル極がよく知られている。
【0003】焼結式ニッケル極において活物質の充填量
を多くするためには、多孔度の大きい焼結基板を用いる
必要がある。しかし、焼結によるニッケル粒子間の結合
は弱いので、焼結基板の多孔度を大きくするとニッケル
粒子が焼結基板から脱落し易くなる。従って、実用上
は、焼結基板の多孔度を80%より大きくすることがで
きず、それゆえ焼結式ニッケル極には、活物質の充填量
が少ないという問題がある。また、一般に、ニッケル粉
末の焼結体の孔径は10μm以下と小さいため、活物質
の焼結基板への充填を、煩雑な含浸工程を数回繰り返し
行う必要がある溶液含浸法により行わなければならない
という問題もある。
【0004】このようなことから、最近、ペースト式ニ
ッケル極に代表される非焼結式ニッケル極が提案されて
いる。ペースト式ニッケル極は、活物質(水酸化ニッケ
ル)と結着剤(メチルセルロース水溶液など)との混練
物(ペースト)を多孔度の大きい基板に充填することに
より作製される。ペースト式ニッケル極では、多孔度の
大きい基板を用いることができるので(多孔度95%以
上の基板を用いることができる)、活物質の充填量を多
くすることができるとともに、活物質の基板への充填が
容易である。
【0005】しかしながら、ペースト式ニッケル極にお
いて活物質の充填量を多くするべく多孔度の大きい基板
を用いると、基板の集電性が悪くなり、活物質利用率が
低下する。
【0006】そこで、ペースト式ニッケル極の活物質利
用率を高めるべく、活物質粒子として、水酸化ニッケル
粒子の表面に水酸化コバルト(β−Co(OH)2 又は
α−Co(OH)2 )からなる被覆層を形成した複合体
粒子や、水酸化ニッケル粒子の表面にオキシ水酸化コバ
ルト層を形成した複合体粒子を用いることが提案されて
いる(特開昭62−234867号公報及び特開平3−
78965号公報)。活物質粒子の表面の電子伝導性
(導電性)を高めることにより、活物質利用率の向上を
図ったものである。
【0007】しかしながら、本発明者らが検討した結
果、上記の従来の複合体粒子では、活物質利用率が極め
て高いペースト式ニッケル極は得られないことが分かっ
た。
【0008】したがって、本発明は、活物質利用率が極
めて高いアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルカリ蓄
電池用非焼結式ニッケル極(本発明電極)は、活物質粉
末が複合体粒子からなり、当該複合体粒子が、水酸化ニ
ッケルを含有する基体粒子と、当該基体粒子を被覆する
ナトリウム含有コバルト化合物からなる被覆内層と、当
該被覆内層を被覆する金属コバルト、水酸化コバルト又
は一酸化コバルトからなる被覆外層とからなることを特
徴とする。
【0010】本発明電極の複合体粒子は、水酸化ニッケ
ルを含有する基体粒子を、被覆内層と被覆外層との二層
で順次被覆したものである。
【0011】水酸化ニッケルを含有する基体粒子として
は、水酸化ニッケルのみからなる単一成分粒子の外、水
酸化ニッケルに、コバルト、亜鉛、カドミウム、カルシ
ウム、マンガン、マグネシウム、ビスマス、アルミニウ
ム、ランタノイド及びイットリウムから選ばれた少なく
とも一種の元素が固溶した粒子(固溶体粒子)も含まれ
る。水酸化ニッケルに、上記の元素を一種又は二種以上
固溶させることにより、非焼結式ニッケル極の充電時の
膨化が抑制される。
【0012】基体粒子を被覆する被覆内層は、ナトリウ
ム含有コバルト化合物からなる。ナトリウム含有コバル
ト化合物の具体例としては、ナトリウム含有水酸化コバ
ルト、ナトリウム含有オキシ水酸化コバルト及びこれら
の混合物が挙げられる。
【0013】ナトリウム含有コバルト化合物からなる被
覆内層は、例えば、基体粒子の表面に、金属コバルト
層、又は、水酸化コバルト層、一酸化コバルト層、オキ
シ水酸化コバルト層等のコバルト化合物層を形成した粒
子粉末に、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、酸素存在
下にて加熱処理することにより形成することができる。
【0014】水酸化ナトリウム水溶液を添加するだけで
はナトリウム含有コバルト化合物からなる被覆内層は形
成されず、酸素存在下にて加熱処理することが必要であ
る。このときの加熱処理温度は、50〜200°Cが好
ましい。加熱処理温度が50°C未満の場合は、電導率
の低いCoHO2 が多く析出し、一方加熱処理温度が2
00°Cを越えた場合は、電導率の低い四酸化三コバル
ト(Co3 4 )が多く析出する。なお、コバルト化合
物層がオキシ水酸化コバルト層の場合は、50°C未満
で加熱処理してもCoHO2 が析出することはないが、
ナトリウムが挿入されにくくなる。加熱処理時間は、使
用する水酸化ナトリウム水溶液の量、濃度、加熱処理温
度等によって異なる。一般的には、0.5〜10時間で
ある。
【0015】基体粒子の表面に水酸化コバルト層を形成
する方法としては、例えば、コバルト塩水溶液(硫酸コ
バルト水溶液など)に、水酸化ニッケル粉末を添加し、
攪拌しながらアルカリ水溶液(水酸化ナトリウム水溶液
など)を滴下してpHを9〜12に調整した後、pHが
低下した時点でアルカリ水溶液を適宜滴下してpHをほ
ぼ一定に保持しつつ所定時間攪拌して、基体粒子の表面
に水酸化コバルトを析出させる方法が挙げられる。
【0016】水酸化コバルト層は、水酸化ニッケル粉末
と水酸化コバルト粉末とを不活性ガス中にて圧縮磨砕粉
砕機を用いて乾式混合するメカニカルチャージ法によっ
ても形成することができる。このメカニカルチャージ法
において、水酸化コバルト粉末に代えて一酸化コバルト
粉末又はコバルト粉末を用いれば、それぞれ一酸化コバ
ルト層及び金属コバルト層を形成することができる。
【0017】オキシ水酸化コバルト層は、例えば、基体
粒子の表面に水酸化コバルト層を形成した後、この水酸
化コバルト層を40°C程度に加熱した過酸化水素水で
酸化することにより形成することができる。
【0018】ナトリウム含有コバルト化合物の化学構造
は、本発明者らにおいても現在のところ定かでないが、
これがコバルト化合物に比べて極めて高い電導率を有す
ることから、コバルト化合物とナトリウムとの単なる混
合物ではなく、コバルト化合物の結晶中にナトリウムが
取り込まれた形の特殊な結晶構造を有する化合物ではな
いかと推察される。
【0019】被覆内層の好適なナトリウム含有率は、
0.1〜10重量%である。ナトリウム含有率がこの範
囲を外れると被覆内層の導電性が悪くなり、活物質利用
率が低下する。
【0020】基体粒子に対する被覆内層の好適な割合
は、基体粒子と被覆内層の総量に対する被覆内層の重量
比率で、3〜15%である。この重量比率が3%未満の
場合は、複合体粒子自体の導電性が充分に高められない
ため、またこの重量比率が15%を超えた場合は、活物
質(水酸化ニッケル)の充填量が減少するため、いずれ
の場合も電極の比容量が低下する。
【0021】被覆内層を被覆する被覆外層は、金属コバ
ルト、水酸化コバルト又は一酸化コバルトからなる。被
覆外層としての金属コバルト層、水酸化コバルト層及び
一酸化コバルト層は、それぞれナトリウム含有コバルト
化合物からなる被覆内層を基体粒子の表面に形成する途
中の工程で基体粒子の表面に形成する金属コバルト層、
水酸化コバルト層及び一酸化コバルト層の各形成法に準
じて形成することができる。
【0022】基体粒子と被覆内層の総量に対する被覆外
層の好適な割合は、基体粒子と被覆内層の総量に対する
被覆外層のコバルト原子換算での重量比率で、0.05
〜5%である。この重量比率が0.05%未満の場合
は、複合体粒子間に導電性ネットワークが充分に形成さ
れなくなり、活物質利用率が低下する。一方、この重量
比率が5%を超えた場合は、活物質(水酸化ニッケル)
の充填量が減少するため、電極の比容量が低下する。
【0023】本発明を適用して好適なアルカリ蓄電池用
非焼結式ニッケル極としては、導電性芯体に、活物質を
含有するペーストを塗布し、乾燥してなるペースト式ニ
ッケル極が挙げられる。このときの導電性芯体の具体例
としては、ニッケル発泡体、フェルト状金属繊維多孔体
及びパンチングメタルが挙げられる。この外、本発明
は、チューブ状の金属導電体の中に活物質を充填するチ
ューブ式ニッケル極、ポケット状の金属導電体の中に活
物質を充填するポケット式ニッケル極、活物質を網目状
の金属導電体とともに加圧成形するボタン型電池用ニッ
ケル極などにも、適用して好適である。
【0024】本発明電極を正極として用いて好適なアル
カリ蓄電池の具体例としては、ニッケル−水素蓄電池
(負極:水素吸蔵合金電極)、ニッケル−カドミウム蓄
電池(負極:カドミウム電極)及びニッケル−亜鉛蓄電
池(負極:亜鉛電極)が挙げられる。
【0025】本発明電極の複合体粒子は、基体粒子の上
に電導率の極めて高い被覆内層が形成されているので、
それ自体、導電性が良い。また、その被覆内層の上に、
複合体粒子間に良好な導電性ネットワークを形成する被
覆外層が形成されているので、複合体粒子間の導電性が
良い。このように、本発明電極は、複合体粒子自体の導
電性が良く、しかも複合体粒子間の導電性も良いので、
活物質利用率が極めて高い。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるも
のではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変
更して実施することが可能なものである。
【0027】(予備実験)水酸化コバルトと、5重量
%、10重量%、15重量%、25重量%、35重量
%、40重量%、45重量%又は50重量%の水酸化ナ
トリウム水溶液とを、重量比1:10で混合し、85°
Cで8時間加熱処理した後、水洗し、60°Cで乾燥し
て、ナトリウム含有コバルト化合物を作製した。作製し
たナトリウム含有コバルト化合物のナトリウム含有率を
原子吸光法により求めたところ、順に、0.05重量
%、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、5重量
%、10重量%、12重量%及び15重量%であった。
【0028】(実施例1)下記のステップ1〜5の操作
により、本発明電極a1及びアルカリ蓄電池A1を作製
した。
【0029】ステップ1:硫酸コバルト13.1gの水
溶液1リットルに、水酸化ニッケル粉末(平均粒径10
μm)100gを入れ、攪拌しながら1Mの水酸化ナト
リウム水溶液を加えて液のpHを11に調整した後、1
時間攪拌を続けて反応させた。なお、液のpHが若干低
下した時点で1M水酸化ナトリウム水溶液を適宜滴下し
て液のpHを11に保持した。このときのpHの監視は
自動温度補償付きガラス電極(pHメータ)にて行っ
た。
【0030】次いで、生成せる沈殿物をろ別し、水洗
し、真空乾燥して、水酸化ニッケル粒子(基体粒子)の
表面に水酸化コバルトからなる被覆層が形成された粒子
粉末を得た。水酸化ニッケルと水酸化コバルトの総量に
対する水酸化コバルトの比率を原子吸光法によりコバル
ト量を測定して求めたところ、5重量%であった。
【0031】ステップ2:ステップ1で得た粒子粉末
と、25重量%水酸化ナトリウム水溶液とを、重量比
1:10で混合し、85°Cで8時間加熱処理した後、
水洗し、65°Cで乾燥して、基体粒子の表面に、ナト
リウム含有コバルト化合物からなる被覆内層が形成され
た粒子粉末を作製した。ナトリウム含有コバルト化合物
のナトリウム含有率は、先の予備実験から、1重量%と
推定される。水酸化ニッケルとナトリウム含有コバルト
化合物の総量に対するナトリウム含有コバルト化合物の
比率を、原子吸光法によりコバルト量を測定して求めた
ところ、約5重量%であった。
【0032】ステップ3:硫酸コバルト2.63gの水
溶液1リットルに、ステップ2で得た粒子粉末100g
を入れ、攪拌しながら1Mの水酸化ナトリウム水溶液を
加えて液のpHを11に調整した後、1時間攪拌を続け
て反応させた。なお、ステップ1と同様に、液のpHが
若干低下した時点で1M水酸化ナトリウム水溶液を適宜
滴下して液のpHを11に保持した。
【0033】次いで、生成せる沈殿物をろ別し、水洗
し、真空乾燥して、ステップ2で得た粒子の表面に水酸
化コバルトからなる被覆外層が形成された複合体粒子か
らなる活物質粉末を得た。水酸化ニッケルとナトリウム
含有コバルト化合物の総量に対する水酸化コバルトのコ
バルト原子換算での重量比率を、原子吸光法により求め
たところ、1重量%であった。
【0034】ステップ4:ステップ3で得た活物質粉末
100重量部と、結着剤としての1重量%メチルセルロ
ース水溶液20重量部とを混練してペーストを調製し、
このペーストをニッケル発泡体(多孔度95%、平均孔
径200μm)からなる多孔性の基板に充填し、乾燥
し、加圧成形して、非焼結式ニッケル極(本発明電極)
a1を作製した。本発明電極a1の寸法は、縦70m
m、横40mm、厚み0.70mmであった。以下の実
施例及び比較例で作製した非焼結式ニッケル極の電極寸
法も、全てこれに統一した。
【0035】ステップ5:ステップ4で作製した本発明
電極a1(正極)、従来公知のペースト式カドミウム極
(負極)、ポリアミド不織布(セパレータ)、30重量
%水酸化カリウム水溶液(アルカリ電解液)、金属製の
電池缶、金属製の電池蓋などを用いて、AAサイズのア
ルカリ蓄電池(理論容量:約1000mAh)A1を作
製した。カドミウム極の寸法は、縦85mm、横40m
m、厚み0.35mmである。非焼結式ニッケル極の特
性を調べるべく、負極の容量を正極のそれの約1.5倍
とした。なお、以下の実施例及び比較例で作製した電池
についても、同様に、負極の容量を正極のそれの約1.
5倍とした。
【0036】(比較例1)硫酸コバルト13.1gに代
えて硫酸コバルト15.7gを使用したこと以外は実施
例1のステップ1と同様にして、水酸化ニッケル粒子の
表面に水酸化コバルトからなる被覆層が形成された粒子
粉末を得た。水酸化ニッケルと水酸化コバルトの総量に
対する水酸化コバルトの比率を、原子吸光法によりコバ
ルト量を測定して求めたところ、6.5重量%であっ
た。このようして得た粒子粉末を活物質粉末として使用
したこと以外は実施例1のステップ4及び5と同様にし
て、比較電極c1及び比較電池C1を作製した。
【0037】(比較例2)実施例1のステップ1におい
て硫酸コバルト13.1gに代えて硫酸コバルト15.
7gを使用したこと以外は実施例1のステップ1及び2
と同様にして、水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム
含有コバルト化合物からなる被覆層が形成された粒子粉
末を得た。水酸化ニッケルとナトリウム含有コバルト化
合物の総量に対するナトリウム含有コバルト化合物の比
率を、原子吸光法によりコバルト量を測定して求めたと
ころ、6.5重量%であった。このようして得た粒子粉
末を活物質粉末として使用したこと以外は実施例1のス
テップ4及び5と同様にして、比較電極c2及び比較電
池C2を作製した。
【0038】〈各非焼結式ニッケル極の活物質利用率〉
各電池について、25°Cにて0.1Cで160%充電
した後、25°Cにて1Cで1.0Vまで放電する充放
電を10サイクル行い、各電池に使用した非焼結式ニッ
ケル極の10サイクル目の活物質利用率を求めた。活物
質利用率は、下式に基づき算出した。
【0039】活物質利用率(%)={放電容量(mA
h)/〔水酸化ニッケル量(g)×288(mAh/
g)〕}×100
【0040】結果を表1に示す。但し、表1中の活物質
利用率は、本発明電極a1の活物質利用率を100とし
たときの指数である。
【0041】
【表1】
【0042】表1に示すように、本発明電極a1は、被
覆内層により活物質粒子(複合体粒子)自体の導電性が
良く、しかも被覆外層により活物質粒子間の導電性も良
いので、活物質利用率が極めて高い。水酸化ニッケル粒
子の表面が水酸化コバルトで被覆されている比較電極c
1では、水酸化コバルトの一部が電解液に溶解してHC
oO2 - が生成し、このHCoO2 - が充電時にβ−C
oOOHとして水酸化ニッケル粒子の表面に析出して、
活物質粒子間に導電性のネットワークが形成されるが、
活物質粒子自体の導電性が充分でないために、本発明電
極a1に比べて、活物質利用率が低い。また、水酸化ニ
ッケル粒子の表面がナトリウム含有コバルト化合物で被
覆されている比較電極c2では、水酸化ニッケル粒子の
表面が電導率の高いナトリウム含有コバルト化合物で被
覆されているので、活物質粒子自体の導電性は良いが、
ナトリウム含有コバルト化合物が電解液に溶解しないこ
とに起因して活物質粒子間に導電性のネットワークが形
成されないために、本発明電極a1に比べて、活物質利
用率が低い。
【0043】〈基体粒子と被覆内層の総量に対する被覆
内層の比率と放電容量の関係〉実施例1のステップ1に
おいて、硫酸コバルト13.1gの水溶液1リットルに
代えて、硫酸コバルト1.31g、2.63g、5.2
5g、7.88g、26.3g、39.4g、44.7
g又は52.5gの各水溶液1リットルを用いたこと以
外は実施例1と同様にして、非焼結式ニッケル極a2〜
a9及びアルカリ蓄電池A2〜A9を作製した。いずれ
の電池も、活物質粉末の充填量を等しくした。非焼結式
ニッケル極a2〜a9について、水酸化ニッケルとナト
リウム含有コバルト化合物の総量に対するナトリウム含
有コバルト化合物の比率を原子吸光法によりコバルト量
を測定して求めたところ、順に、0.5重量%、1重量
%、2重量%、3重量%、10重量%、15重量%、1
7重量%、20重量%であった。
【0044】次いで、各電池について、先と同じ条件の
充放電試験(25°C充放電を10サイクル)を行い、
各電池に使用した非焼結式ニッケル極の10サイクル目
の放電容量を求めた。結果を、図1に示す。図1は、基
体粒子と被覆内層の総量に対する被覆内層の重量比率と
放電容量の関係を、縦軸に10サイクル目の放電容量
を、横軸にナトリウム含有コバルト化合物の比率(重量
%)をとって示したグラフである。図1には、本発明電
極a1の10サイクル目の放電容量も示してあり、図1
の縦軸の放電容量は、本発明電極a1の10サイクル目
の放電容量を100としたときの指数である。
【0045】図1より、放電容量の大きい非焼結式ニッ
ケル極を得るためには、基体粒子と被覆内層の総量に対
する被覆内層の重量比率を、3〜15重量%とすること
が好ましいことが分かる。
【0046】〈基体粒子と被覆内層の総量に対する被覆
外層のコバルト原子換算での重量比率と活物質利用率及
び放電容量の関係〉実施例1のステップ3において、硫
酸コバルト2.63gの水溶液1リットルに代えて、硫
酸コバルト0.08g、0.13g、1.32g、8.
13g、13.1g、16.8g又は22.8gの水溶
液1リットルを用いたこと以外は実施例1と同様にし
て、非焼結式ニッケル極e1〜e7及びアルカリ蓄電池
E1〜E7を作製した。いずれの電池も、活物質粉末の
充填量を等しくした。非焼結式ニッケル極e1〜e7に
ついて、水酸化ニッケルとナトリウム含有コバルト化合
物との総量に対する被覆外層のコバルト原子換算での比
率を原子吸光法により求めたところ、順に、0.03重
量%、0.05重量%、0.5重量%、3重量%、5重
量%、6重量%及び8重量%であった。
【0047】次いで、各電池について、先と同じ充放電
試験(25°C充放電を10サイクル)を行い、各電池
に使用した非焼結式ニッケル極の10サイクル目の活物
質利用率及び放電容量を求めた。結果を、それぞれ図2
及び図3に示す。
【0048】図2は、水酸化ニッケル(基体粒子)とナ
トリウム含有コバルト化合物(被覆内層)の総量に対す
る被覆外層のコバルト原子換算での重量比率と活物質利
用率の関係を、縦軸に10サイクル目の活物質利用率
を、横軸に重量比率(重量%)をとって示したグラフで
ある。図2には、本発明電極a1の10サイクル目の活
物質利用率も示してあり、図2の縦軸の活物質利用率
は、本発明電極a1の10サイクル目の活物質利用率を
100としたときの指数である。
【0049】図2より、活物質利用率が極めて高い非焼
結式ニッケル極を得るためには、基体粒子と被覆内層の
総量に対する被覆外層のコバルト原子換算での重量比率
を、0.05重量%以上とすることが好ましいことが分
かる。
【0050】また、図3は、水酸化ニッケルとナトリウ
ム含有コバルト化合物の総量に対する被覆外層のコバル
ト原子換算での重量比率と放電容量の関係を、縦軸に1
0サイクル目の放電容量を、横軸に重量比率(重量%)
をとって示したグラフである。図3には、本発明電極a
1の10サイクル目の放電容量も示してあり、図3の縦
軸の放電容量は、本発明電極a1の10サイクル目の放
電容量を100としたときの指数である。
【0051】図3より、放電容量の大きい非焼結式ニッ
ケル極を得るためには、基体粒子と被覆内層の総量に対
する被覆外層のコバルト原子換算での重量比率を、5重
量%以下とすることが好ましいことが分かる。
【0052】図2及び図3より、活物質利用率が極めて
高く、しかも放電容量の大きい非焼結式ニッケル極を得
るためには、基体粒子と被覆内層の総量に対する被覆外
層のコバルト原子換算での重量比率を、0.05〜5重
量%とすることが好ましいことが分かる。
【0053】〈被覆内層のナトリウム含有率と活物質利
用率の関係〉実施例1のステップ2において、25重量
%水酸化ナトリウム水溶液に代えて、5重量%、10重
量%、15重量%、35重量%、40重量%、45重量
%、又は、50重量%の水酸化ナトリウム水溶液を用い
たこと以外は実施例1と同様にして、非焼結式ニッケル
極g1〜g7及びアルカリ蓄電池G1〜G7を作製し
た。非焼結式ニッケル極g1〜g7のナトリウム含有コ
バルト化合物(被覆内層)のナトリウム含有率は、先の
予備実験から、順に、0.05重量%、0.1重量%、
0.5重量%、5重量%、10重量%、12重量%及び
15重量%と推定される。
【0054】次いで、各電池について、先と同じ充放電
試験(25°C充放電を10サイクル)を行い、各電池
に使用した非焼結式ニッケル極の10サイクル目の活物
質利用率を求めた。結果を図4に示す。
【0055】図4は、被覆内層のナトリウム含有率と活
物質利用率の関係を、縦軸に10サイクル目の活物質利
用率を、横軸にナトリウム含有率(重量%)をとって示
したグラフである。図4には、本発明電極a1の10サ
イクル目の活物質利用率も示してあり、図4の縦軸の活
物質利用率は、本発明電極a1の10サイクル目の活物
質利用率を100としたときの指数である。
【0056】図4より、活物質利用率が極めて高い非焼
結式ニッケル極を得るためには、被覆内層のナトリウム
含有率を、0.1〜10重量%とすることが好ましいこ
とが分かる。
【0057】上記の実施例では、基体粒子として水酸化
ニッケルのみからなる単一成分粒子を使用したが、水酸
化ニッケルに、コバルト、亜鉛、カドミウム、カルシウ
ム、マンガン、マグネシウム、ビスマス、アルミニウ
ム、ランタノイド及びイットリウムから選ばれた少なく
とも1種の元素が固溶した固溶体粒子を基体粒子として
用いた場合にも上記と同様の優れた効果が得られること
を別途確認した。
【0058】
【発明の効果】活物質利用率が極めて高いアルカリ蓄電
池用非焼結式ニッケル極が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】水酸化ニッケル(基体粒子)とナトリウム含有
コバルト化合物(被覆内層)の総量に対するナトリウム
含有コバルト化合物(被覆内層)の重量比率と放電容量
の関係を示したグラフである。
【図2】水酸化ニッケル(基体粒子)とナトリウム含有
コバルト化合物(被覆内層)の総量に対する被覆外層の
コバルト原子換算での重量比率と活物質利用率の関係を
示したグラフである。
【図3】水酸化ニッケル(基体粒子)とナトリウム含有
コバルト化合物(被覆内層)の総量に対する被覆外層の
コバルト原子換算での重量比率と放電容量の関係を示し
たグラフである。
【図4】ナトリウム含有コバルト化合物(被覆内層)の
ナトリウム含有率と活物質利用率の関係を示したグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤谷 伸 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 西尾 晃治 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活物質粉末が複合体粒子からなるアルカリ
    蓄電池用非焼結式ニッケル極において、前記複合体粒子
    が、水酸化ニッケルを含有する基体粒子と、当該基体粒
    子を被覆するナトリウム含有コバルト化合物からなる被
    覆内層と、当該被覆内層を被覆する金属コバルト、水酸
    化コバルト又は一酸化コバルトからなる被覆外層とから
    なることを特徴とするアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケ
    ル極。
  2. 【請求項2】基体粒子が、水酸化ニッケルに、コバル
    ト、亜鉛、カドミウム、カルシウム、マンガン、マグネ
    シウム、ビスマス、アルミニウム、ランタノイド及びイ
    ットリウムから選ばれた少なくとも1種の元素が固溶し
    た固溶体粒子である請求項1記載のアルカリ蓄電池用非
    焼結式ニッケル極。
  3. 【請求項3】基体粒子と被覆内層の総量に対する被覆内
    層の重量比率が、3〜15%である請求項1記載のアル
    カリ蓄電池用非焼結式ニッケル極。
  4. 【請求項4】基体粒子と被覆内層の総量に対する被覆外
    層のコバルト原子換算での重量比率が、0.05〜5%
    である請求項1記載のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケ
    ル極。
  5. 【請求項5】被覆内層のナトリウム含有率が、0.1〜
    10重量%である請求項1記載のアルカリ蓄電池用非焼
    結式ニッケル極。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1054464A3 (en) * 1999-05-19 2006-05-31 Toshiba Battery Co., Ltd. Current collector substrate in electrode for use in alkaline secondary battery, electrode using the same, and alkaline secondary battery having incorporated thereinto the electrode

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1054464A3 (en) * 1999-05-19 2006-05-31 Toshiba Battery Co., Ltd. Current collector substrate in electrode for use in alkaline secondary battery, electrode using the same, and alkaline secondary battery having incorporated thereinto the electrode

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