JPH1177714A - 光学素子の成形方法 - Google Patents

光学素子の成形方法

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JPH1177714A
JPH1177714A JP23555197A JP23555197A JPH1177714A JP H1177714 A JPH1177714 A JP H1177714A JP 23555197 A JP23555197 A JP 23555197A JP 23555197 A JP23555197 A JP 23555197A JP H1177714 A JPH1177714 A JP H1177714A
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JP
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sleeve
molding
optical element
mold
assembly member
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JP23555197A
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Eiji Kawamura
英司 川村
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】筒状のスリーブ内で光学素子素材を一対の成形
型によって成形する場合に、光学素子の面間同心度を高
精度にかつ安定して確保する。 【解決手段】筒状のスリーブ4内で光学素子素材3を一
対の成形型1、2によって成形する光学素子の成形方法
において、一対の成形型1、2と光学素子素材3とを一
体に組立てて、組立部材Aとする工程と、スリーブ4を
加熱し、スリーブ4と組立部材Aとの間に温度差を設け
る工程と、加熱したスリーブ4内に組立部材Aを挿入す
る工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筒状のスリーブ内
で光学素子素材を一対の成形型によって成形する光学素
子の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高精度な画質が要求されるレンズ
のニーズが高まると共に、レンズ単体の精度も高精度が
要求されている。中でもレンズの面間同心度は特に厳し
く、シフト方向の誤差は5μm以内が要求されている。
成形型とスリーブとを利用した成形方法においては、上
下型の相対位置は、それぞれの型とスリーブとのクリア
ランスで決まるが、型をスリーブに挿入することができ
るクリアランスは10μm前後が限界であった。そのた
め、保証できるレンズの面間同心度は、10μmが限界
であった。
【0003】この問題を解決するために、「ガラスレン
ズの成形方法」として、特公平3−55420号所載の
技術が開示されている。図6を用いてこの技術を説明す
る。図6において、104は成形されたレンズ、101
と102は成形装置105、106に取り付けられた一
対の成形型、103は胴型である。ガラス素材を適当な
方法でガラスの軟化点近傍の温度まで加熱し101、1
02の型により加圧成形する。成形後の芯取り工程をな
くすため胴型を用いて成形するが、同時に胴型によっ
て、レンズの二つの光学面の光軸を合わせている。ガラ
ス素材としてBK−7を用い直径が6mmのレンズを成
形する。BK−7の熱膨張率は8.1×10-6/℃であ
る。成形型の材料として熱膨張率が7×10-6/℃の酸
化ジルコニウムを用い、胴型の材料として熱膨張率が
3.5×10-6/℃の窒化珪素を用いる。
【0004】図6の成形型101および102の胴型1
03内に挿入する部分101a,102aの外径を6.
000mm、胴型103の内径を6.020mmとす
る。すなわち成形型と胴型の嵌合部のクリアランスを2
0μmとする。このような精度で材料を加工することは
比較的容易であり、常温状態で成形型を胴型内に挿入す
ることも比較的容易である。型の中にガラス素材を挿入
し成形温度750℃まで昇温すると、ガラスおよび型は
それぞれ膨張する。ここで成形型の材料と胴型の材料の
熱膨張率の差により、嵌合部のクリアランスは約15μ
m小さくなって約5μmとなり、成形型101と成形型
102の光学面の中心軸は5μm以下のずれとなる。高
温で押圧成形するとガラスは型内に充填され、成形され
たレンズの両面の光軸のずれは5μm以内になる。成形
後冷却すると成形型と胴型のクリアランスは再び大きく
なりもとの20μmになるが、レンズは低温では変形し
ないので、光軸のずれは5μm以内に保たれる。
【0005】一方、ガラス素材の熱膨張率は成形型およ
び胴型のそれより大きいので冷却時には型よりも収縮が
大きく成形されたレンズと型の間にはクリアランスがで
き型から取り出すのが容易であるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記従来技
術には、つぎのような問題点があった。まず、胴型と成
形型とに異種の材料を使用することにより、温度制御上
でのオーバーシュートやバラツキで加熱温度が狙いの温
度と異なった場合、設計通りのクリアランスが得られ
ず、レンズの面間同心度は所望の精度を確保できなかっ
た。またときには、成形型と胴型とが締まりバメになっ
て、ガラス素材を押圧することができない場合があっ
た。さらに、耐久性が良好なセラミックス材料等は一般
に熱膨張率が小さいが、胴型にはより熱膨張率の小さな
材料を選択せねばならず、型材料選択の範囲を狭めるこ
とになっていた。
【0007】本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ
たもので、請求項1、2、3または4に係る発明の課題
は、筒状のスリーブ内で光学素子素材を一対の成形型に
よって成形する場合に、光学素子の面間同心度を高精度
にかつ安定して確保することができる光学素子の成形方
法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明の光学素子の成形方法は、筒状
のスリーブ内で光学素子素材を一対の成形型によって成
形する光学素子の成形方法において、一対の成形型と光
学素子素材とを一体に組立てて、組立部材とする工程
と、スリーブを加熱し、スリーブと前記組立部材との間
に温度差を設ける工程と、前記加熱したスリーブ内に前
記組立部材を挿入する工程とを有する。請求項2に係る
発明の光学素子の成形方法は、請求項1に係る発明の光
学素子の成形方法において、前記一対の成形型と光学素
子素材とを一体に組立てたときの互いの成形型の中心軸
のずれの許容値が、前記組立部材をスリーブ内に挿入し
たあと前記組立部材とスリーブとの温度が等しくなった
ときの互いの成形型の中心軸のずれよりも大きい。請求
項3に係る発明の光学素子の成形方法は、請求項1また
は2に係る発明の光学素子の成形方法において、前記組
立部材とする工程は、リング部材に一対の成形型の一部
を挿入することにより行う。請求項4に係る発明の光学
素子の成形方法は、請求項1または2に係る発明の光学
素子の成形方法において、前記組立部材とする工程は、
一対の成形型にそれぞれ設けたキー溝に平行キーを挿入
することにより行う。
【0009】すなわち、請求項1に係る発明の光学素子
の成形方法は、一対の成形型と光学素子素材とを一体に
組立てて、組立部材とする。そして、筒状のスリーブを
加熱し、スリーブと前記組立部材との間に温度差を設け
てから、前記加熱したスリーブ内に前記組立部材を挿入
する。その後、スリーブ内で光学素子素材を一対の成形
型によって成形する。また、請求項2に係る発明の光学
素子の成形方法は、一対の成形型と光学素子素材とを一
体に組立てて、組立部材とする。そして、筒状のスリー
ブを加熱し、スリーブと前記組立部材との間に温度差を
設けてから、前記加熱したスリーブ内に前記組立部材を
挿入する。このとき、スリーブによって互いの成形型の
中心軸は、精度良く合わせられる。その後、スリーブ内
で光学素子素材を一対の成形型によって成形する。さら
に、請求項3に係る発明の光学素子の成形方法は、一対
の成形型と光学素子素材とをリング部材に挿入すること
により一体に組立てて、組立部材とする。さらにまた、
請求項4に係る発明の光学素子の成形方法は、一対の成
形型にそれぞれ設けたキー溝に平行キーを挿入すること
により、一対の成形型と光学素材とを一体に組立てて、
組立部材とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明では、一対の成形型とスリ
ーブとが常温で等しい温度のとき、それらが非常に小さ
なクリアランスで嵌合するように、成形型の外径とスリ
ーブの内径とを加工する。予めスリーブを加熱して、そ
の内径を膨張により大きくしておき、加熱していない成
形型の外径との間に大きなクリアランスを設ける。その
後、一対の成形型の間に光学素子素材を一体に組み立て
て組立部材とし、その組立部材をスリーブに挿入する
と、干渉することなくスムーズに挿入することができ
る。挿入後、成形型とガラス素材とは徐々に加熱され、
スリーブとほぼ等しい温度になる。その時点で、成形型
とスリーブとのクリアランスは、常温時とほぼ同一の非
常に小さなクリアランスになり、光学素子の高精度な面
間同心度を確保することができる。以下、具体的な実施
の形態について説明する。
【0011】(実施の形態1)図1は実施の形態1を示
し、光学素子の成形方法に用いる成形装置の縦断面図で
ある。図1において、成形装置は、装置本体12の中央
に、図示しないシリンダにより上下方向に駆動される主
軸5と、この主軸5と同心で円筒状の副軸8とを配設し
ている。主軸5は、図示しない高精度のベアリングでガ
イドされ、上下動の繰り返し精度は、5μm以内に抑え
られている。主軸5の上部は、中間に断熱材11Aが介
装され、下部への熱伝導を遮断するとともに、上端面に
は、主軸5の軸心に凸段部5aが形成されている。副軸
8は、主軸5を駆動するシリンダとは別個のシリンダに
より上下方向に駆動され、上部の中間に断熱材11Bが
主軸5と同様に介装されている。また、副軸8の上端面
には、軸心に凹段部8aが形成されている。装置本体1
2の最上部には、断熱材11Cを介して上蓋9が固着さ
れ、上蓋9の中央にストッパ6が配設されている。
【0012】主軸5の凸段部5aには、成形型の一方と
しての下型2が載置され、主軸5の軸心とほぼ同心にな
るように、下型2の凹段部2dがクリアランス15μm
で嵌装されている。下型2の成形面2aは、両凸レンズ
を成形するための凹光学面が形成されている。また、下
型2の外径2b(φ20mm)は、成形面2aと同心に
形成され、スリーブ4の内径4aと精密に嵌合するよう
になっている。下型2の外段部2cには、下型2、成形
型の他方としての上型1、および光学素子素材としての
ガラス素材3を予め一体化して組立部材Aとするリング
部材10が嵌装されている。リング部材10には、下型
2の成形面2aにガラス素材3を載置後、上型1の外段
部1cが嵌装される。リング部材10の内径は、上型1
の外段部1cおよび下型2の外段部2cと15μmのク
リアランスになるように加工されている。上型1の成形
面1aは、両凸レンズを成形するための凹光学面が形成
されている。また、上型の外径1b(φ20mm)は、
成形面1aと同心に形成され、スリーブ4の内径4aと
精密に嵌合するようになっている。上型1の背面1d
は、平面に形成され、ストッパ6に当接して、ガラス素
材3を押圧する。
【0013】副軸8の凹段部8aには、スリーブ4が載
置され、副軸8の軸心と同心になるように、スリーブ4
の外径4bが嵌装されている。上型1の成形面1aの光
軸すなわち上型1の中心軸と下型2の成形面2aの光軸
すなわち下型2の中心軸との同心度を確保するため、上
型1、下型2およびスリーブ4が常温で等しい温度のと
き、スリーブ4の内径4aは、上型1の外径1bおよび
下型2の外径2bとのクリアランスが3μmになるよう
に加工されている。スリーブ4は、副軸8の上方向の移
動によって、断熱材11cの下面に当接し、常時固定さ
れている。また、スリーブ4の位置を調整することによ
り、主軸5とスリーブ4との同心度を10μm以内に抑
えている。さらに、上型1、下型2およびスリーブ4
は、同一の材料からなり、耐熱性のよいSiC(線膨張
係数4.0×10-6)を用いている。スリーブ4の外周
には、赤外線ランプヒータ7が配設され、スリーブ4を
所定の温度に加熱する。赤外線ランプヒータ7が配設さ
れた空間は、装置本体12の上部にあって、外気を遮断
するために密閉され、非酸化性雰囲気に保持されてい
る。
【0014】上記構成の成形装置を用いた光学素子の成
形方法について説明する。ガラス素材3は、両凸レンズ
を成形するため、表面が滑らかな球状に形成されてい
る。下型2の成形面2aに、ガラス素材3を載置し、リ
ング部材10を下型2の外段部2cに嵌装する。その
後、上型1の外段部1cをリング部材10の内径に嵌装
して、上型1、下型2およびガラス素材3を一体に組立
てて、組立部材Aとする。リング部材10と上型1およ
び下型2とのクリアランスは15μmであるので、通常
の作業で容易に組立部材Aとすることができる。このと
きの一対の成形型である上型1と下型2の互いの中心軸
のずれは、前記クリアランスの15μmで規制されて1
5μm以下となり、組立部材Aとスリーブ4の温度が等
しくなったときの上型1と下型2の互いの中心軸のずれ
3μmよりも大きくなっている。一体化した組立部材A
を主軸5の凸段部5aに載置する。この時点で、スリー
ブ4は、副軸8上に載置されて上昇し、上蓋9直下の断
熱材11cに押し当てられており、赤外線ランプヒータ
7により、予め約400℃に加熱されている。
【0015】つぎに、主軸5を上昇させ、載置した組立
部材Aを加熱されたスリーブ4の内径4aに挿入し、組
立部材Aの上型1の背面1dがストッパ6に当接する直
前まで上昇させる。常温時のスリーブ4と上型1および
下型2とのクリアランスは3μmであるため、通常の作
業で挿入することは、組立部材Aの傾きなどにより困難
である。しかし、約400℃に加熱された時点で、スリ
ーブ4の内径4aは、膨張により約30μm大きくなっ
ており、常温時の上型1および下型2とのクリアランス
に比べると、約33μmに拡大する。そのため、組立部
材Aとスリーブ4とは、リング部材10による簡単な固
定と上記のクリアランスとにより、互いに干渉すること
なく挿入することができる。スリーブ4への挿入後、上
型1および下型2はスリーブ4からの熱伝導によって加
熱され、スリーブ4とほぼ同温度になる。この時点で、
スリーブ4と上型1および下型2とのクリアランスは、
常温時と同一の3μmとなり、高精度な同心度を確保で
きる位置に、上型1および下型2を配置することができ
る。
【0016】赤外線ランプヒータ7を制御して、ガラス
素材3を成形温度までさらに加熱し昇温させる。ガラス
素材3が成形温度に到達した時点で、主軸5をさらに上
昇させて、ストッパ6に上型1の背面1dを当接させる
ことにより、加熱されたガラス素材3に荷重を加え、押
圧成形する。ここで、上型1、下型2およびスリーブ4
は、同種の材料で形成されているので、温度のオーバー
シュートやバラツキによって、ガラス素材3が押圧成形
できる温度の範囲内で、狙いの温度と異なっても、3μ
mのクリアランスを保って押圧成形することができる。
押圧終了後、スリーブ4および組立部材Aを一定の温度
まで冷却させてから、主軸5を素早く(途中で停止させ
ることなく)下降させることにより、スリーブ4から組
立部材Aを抜き出す。組立部材Aは、スリーブ4と3μ
mのクリアランスであっても、自重で主軸5の下降に追
従して抜き出すことができる。組立部材Aを、上型1、
下型2、リング部材10および成形された凸レンズに分
解することにより、成形作業を終了する。
【0017】本実施の形態によれば、予め上型、下型お
よびガラス素材を一体化して組立部材とし、加熱して膨
張したスリーブに挿入することにより、筒状のスリーブ
内でガラス素材を一対の成形型によって成形する場合
に、レンズの面間同心度を高精度にかつ安定して確保す
ることができる。また、線膨張係数(熱膨張率)が小さ
く、かつ耐熱性の高い材料を使用することができ、型寿
命を長く保持することができる。
【0018】本実施の形態では、両凸レンズを成形する
場合について説明したが、上型の成形面を変更すること
により、両凸レンズに替えて、平凸レンズや凸メニスカ
スレンズに適用することができる。また、ガラス素材を
球面状のものから、平板状のものに変更し、上下型の成
形面を変更することにより、両凹レンズ、平凹レンズま
たは凹メニスカスレンズを成形することができる。
【0019】(実施の形態2)図2〜図4は実施の形態
2を示し、図2は光学素子の成形方法に用いる成形装置
の縦断面図、図3は組立部材の縦断面図、図4は下型の
斜視図である。本実施の形態は、実施の形態1と組立部
材およびスリーブが異なるのみなので、異なる部分のみ
説明し、その他は実施の形態1と同一のため、同一の部
材には同一の符号を付し説明を省略する。
【0020】図2において、主軸5の凸段部5aには、
成形型の一方としての下型22が載置され、主軸5の軸
心とほぼ同心になるように、下型22の凹段部22dが
クリアランス15μmで嵌装されている。図3および図
4に示すように、下型22の成形面22aは、両凹レン
ズを成形するための凸光学面が形成されている。また、
下型22の外径22b(φ20mm)は、成形面22a
と同心に形成され、下型22とスリーブ24が常温で等
温のときに、スリーブ24の内径24aと精密に嵌合す
るようになっている。下型22の外径22bには、4ヶ
所にキー溝22cが形成され、平行キー25が嵌装され
ている。平行キー25は、下型22、成形型の他方とし
ての上型21、および光学素子素材としてのガラス素材
23を予め一体化して組立部材Bとするものである。
【0021】平行キー25には、下型22の成形面22
aにガラス素材23を載置後、上型21の外径21bの
4ヶ所に形成されたキー溝21cが嵌装される。平行キ
ー25は4本嵌装され、対向する一組の平行キー25
(長手の平行キー25)の長さは、キー溝21c、22
cの端部に当接したとき、上型21の成形面21aがガ
ラス素材23の表面に接触しない長さに設定されてい
る。また、他の一組の平行キー25の長さは、上型21
と下型22との型間隔が所望の両凹レンズの肉厚を確保
できる長さに設定されている。平行キー25と上型21
のキー溝21cおよび下型22のキー溝22cとのクリ
アランスは15μmに設定されて、組立作業も支障なく
行うことができる。また、上型21の成形面21aに
は、両凹レンズを成形するための凸光学面が形成されて
いる。上型21の外径21b(φ20mm)は、成形面
21aと同心に形成され、スリーブ24の内径24aと
精密に嵌合するようになっている。上型21の背面21
dは、平面に形成され、ストッパ6に当接して、ガラス
素材23の押圧を可能とする。
【0022】図2において、副軸8の凹段部8aには、
スリーブ24が載置され、副軸8の軸心と同心になるよ
うに、スリーブ24の外径24bが嵌装されている。上
型21の成形面21aの光軸すなわち上型21の中心軸
と下型22の成形面22aの光軸すなわち下型22の中
心軸との同心度を確保するため、上型21、下型22お
よびすりーぶ24が常温で等しい温度のとき、スリーブ
24の内径24aは、上型21の外径21bおよび下型
22の外径22bとのクリアランスが3μmになるよう
に加工されている。スリーブ24は、副軸8の上方向の
移動によって、断熱材11cの下面に当接し、常時固定
されている。また、スリーブ24の位置を調整すること
により、主軸5とスリーブ24との同心度を10μm以
内に抑えている。さらに、上型21、下型22およびス
リーブ24は、同一の材料からなり、耐熱性のよいSi
C(線膨張係数4.0×10-6)を用いている。スリー
ブ24には、長手の平行キー25を取り出すための切り
欠き窓24cが穿設されており、図示しない取り出し装
置によって、長手の平行キー25を上型21および下型
22から取り外して、成形装置外へ退出できるように構
成されている。その他の構成は、実施の形態1と同一で
ある。
【0023】上記構成の成形装置を用いた光学素子の成
形方法について説明する。ガラス素材23は、両凹レン
ズを成形するため、表面が滑らかな平板状に形成されて
いる。下型22のキー溝22cに平行キー25を嵌装
し、その後、下型22の成形面22aに、ガラス素材2
3を載置する。さらに、上型21のキー溝21cを平行
キー25に嵌装して、上型21、下型22およびガラス
素材23を一体に組立てて、組立部材Bとする。一体化
した組立部材Bを主軸5の凸段部5aに載置する。この
時点で、スリーブ24は、副軸8上に載置されて上昇
し、上蓋9直下の断熱材11cに押し当てられており、
赤外線ランプヒータ7により、予め約400℃に加熱さ
れている。
【0024】つぎに、主軸5を上昇させ、載置した組立
部材Bを加熱されたスリーブ24の内径24aに挿入
し、組立部材Bの上型21の背面21dがストッパ6に
当接する直前まで上昇させる。本実施の形態において
も、スリーブ24と上型21および下型22とのクリア
ランスは33μmであるため、組立部材Aとスリーブ2
4とは互いに干渉することなく挿入することができる。
上型21および下型22はスリーブ24からの熱伝導に
よって加熱され、互いのクリアランスは、常温時と同一
の3μmとなり、高精度な同心度を確保できる位置に、
上型21および下型22を配置することができる。
【0025】赤外線ランプヒータ7を制御して、ガラス
素材23を成形温度まであらに加熱し昇温させる。ガラ
ス素材23が成形温度に到達した時点で、長手の平行キ
ー25を図示しない取り出し装置によって、組立部材B
から取り出し、成形装置外に退出させる。その後、主軸
5をさらに上昇させて、ストッパ6に上型21の背面2
1dを当接させることにより、加熱されたガラス素材2
3に荷重を加え、押圧成形する。一定の変形をした後、
型間隔を調整する平行キー25により、下型22の移動
が止まり、両凹レンズの肉厚値が決定され、押圧成形が
完了する。押圧終了後、スリーブ24および組立部材B
を一定の温度まで冷却させてから、主軸5を素早く(途
中で停止させることなく)下降させることにより、スリ
ーブ24から組立部材Bを抜き出す。組立部材Bを、上
型21、下型22、平行キー25および成形された両凹
レンズに分解することにより、成形作業を終了する。
【0026】本実施の形態2によれば、実施の形態1の
効果に加え、特に肉厚が薄い凹レンズ(型の成形面は
凸)等の成形に有利である。これは、ガラス素材として
平板状のものを用いるため、一般には成形前に成形型の
凸部による集中荷重により、ガラス素材にキズやワレが
入ることがあるが、本実施の形態では、ガラス素材は加
熱軟化されるまで、長手の平行キーがストッパになって
ガラス素材に上型が接触しないため、キズやワレを防止
して成形することができる。成形後は型とガラスは全面
接触となり、荷重が集中しないため、接触しても割れる
ことはない。また、キー溝にて、上型と下型との位置が
決まることにより、レンズの上下面の位置を正確に配置
することができるので、方向性が必要な異形レンズ等の
成形に特に有効である。
【0027】本実施の形態では、平行キーを4本用いた
が、上型がガラス素材に接触しないようにする平行キー
と、上型と下型との型間隔が所望のレンズの肉厚になる
長さの平行キーとがそれぞれ1本以上あればよく、ま
た、それぞれが偶数本あることが、成形作業が安定して
行われる点で望ましいことはいうまでもない。また、本
実施の形態では、両凹レンズを成形する場合を説明した
が、平凹レンズ、凹メニスカスレンズまたは各種凸レン
ズにも適用することができる。
【0028】(実施の形態3)図5は実施の形態3を示
し、下型の斜視図である。図5に示すように、本実施の
形態は、下型32が長方形に形成され、図示しない上型
およびスリーブもこれに合わせて長方形になっている。
上型と下型32とは、キー溝32cに図示しない平行キ
ーによって一体化されるように構成されている。他の構
成・作用・効果ともに、実施の形態2と同様のため、図
と説明を省略する。
【0029】プリズムやファインダレンズなどの長方形
の光学素子の成形方法では、必ずしもスリーブ内形は円
筒状でなくとも良く、本実施の形態のように角筒状であ
ってもよい。上記のように、異形のレンズでは、スリー
ブ内形および型外形が円筒状でない場合でも、問題なく
適用することができる。
【0030】本実施の形態によれば、予め上型、下型お
よびガラス素材を一体化して組立部材とし、加熱して膨
張したスリーブに挿入することにより、スリーブと成形
型の形状に関係なく、筒状のスリーブ内でガラス素材を
一対の成形型によって成形する場合に、光学素子の面間
同心度を高精度にかつ安定して確保することができる。
また、線膨張係数が小さく、かつ耐熱性の高い材料を使
用することができ、型寿命を長く保持することができ
る。
【0031】さらに、上記した具体的な実施の形態か
ら、つぎのような構成の技術的思想が導き出される。 (付記) (1)筒状のスリーブ内で光学素子素材を一対の成形型
によって成形する光学素子の成形方法において、一対の
成形型と光学素子素材とを一体に組立てて、組立部材と
する工程と、成形型と同一の材質からなるスリーブを加
熱し、スリーブと前記組立部材との間に温度差を設ける
工程と、前記加熱したスリーブ内に前記組立て部材を挿
入する工程とを有することを特徴とする光学素子の成形
方法。付記(1)の光学素子の成形方法によれば、請求
項1の発明に係る光学素子の成形方法の効果に加え、線
膨張係数が小さく、かつ耐熱性の高い材料を使用するこ
とができ、型寿命を長く保持することができる。
【0032】
【発明の効果】請求項1または請求項2に係る発明の光
学素子の成形方法によれば、加熱して膨張したスリーブ
内に、一対の成形型と光学素子素材とを一体に組み立て
た組立部材を挿入するため、挿入作業を容易に行うこと
ができる。また、光学素子素材を成形するときに、スリ
ーブ内に挿入された組立部材は、スリーブとほぼ同温に
なるため、スリーブと成形型とのクリアランスが小さく
なり、面間同心度が高精度な光学素子を安定して得るこ
とができる。また、請求項3に係る発明の光学素子の成
形方法によれば、請求項1または請求項2に係る発明の
効果に加え、リング部材に一対の成形型の一部を挿入す
るという簡単な手段で、一対の成形型と光学素子素材と
を一体に組み立てることができる。さらに、請求項4に
係る発明の光学素子の成形方法によれば、請求項1また
は請求項2に係る発明の効果に加え、一対の成形型にそ
れぞれ設けたキー溝に平行キーを挿入するという簡単な
手段で、一対の成形型と光学素子素材とを一体に組み立
てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の光学素子の成形方法に用いる成
形装置の縦断面図である。
【図2】実施の形態2の光学素子の成形方法に用いる成
形装置の縦断面図である。
【図3】実施の形態2の組立部材の縦断面図である。
【図4】実施の形態2の下型の斜視図である。
【図5】実施の形態3の下型の斜視図である。
【図6】従来技術の成形装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 上型 2 下型 3 ガラス素材 4 スリーブ A 組立部材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状のスリーブ内で光学素子素材を一対
    の成形型によって成形する光学素子の成形方法におい
    て、 一対の成形型と光学素子素材とを一体に組立てて、組立
    部材とする工程と、スリーブを加熱し、スリーブと前記
    組立部材との間に温度差を設ける工程と、前記加熱した
    スリーブ内に前記組立部材を挿入する工程とを有するこ
    とを特徴とする光学素子の成形方法。
  2. 【請求項2】 前記一対の成形型と光学素子素材とを一
    体に組立てたときの互いの成形型の中心軸のずれの許容
    値が、前記組立部材をスリーブ内に挿入したあと前記組
    立部材とスリーブとの温度が等しくなったときの互いの
    成形型の中心軸のずれよりも大きいことを特徴とする請
    求項1記載の光学素子の成形方法。
  3. 【請求項3】 前記組立部材とする工程は、リング部材
    に一対の成形型の一部を挿入することにより行うことを
    特徴とする請求項1または2記載の光学素子の成形方
    法。
  4. 【請求項4】 前記組立部材とする工程は、一対の成形
    型にそれぞれ設けたキー溝に平行キーを挿入することに
    より行うことを特徴とする請求項1または2記載の光学
    素子の成形方法。
JP23555197A 1997-09-01 1997-09-01 光学素子の成形方法 Withdrawn JPH1177714A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7189009B2 (en) 2003-05-15 2007-03-13 Infineon Technologies, Ag Micro-optical module with housing and method for producing the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7189009B2 (en) 2003-05-15 2007-03-13 Infineon Technologies, Ag Micro-optical module with housing and method for producing the same

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