JPH1171176A - 炭化ケイ素焼結体の製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素焼結体の製造方法

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JPH1171176A
JPH1171176A JP9228347A JP22834797A JPH1171176A JP H1171176 A JPH1171176 A JP H1171176A JP 9228347 A JP9228347 A JP 9228347A JP 22834797 A JP22834797 A JP 22834797A JP H1171176 A JPH1171176 A JP H1171176A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特殊な原料を必要とすることなく、高密
度であって、気孔の発生がなく均一で高品位の、半導体
工業、電子情報機器産業などの多くの分野において有用
な炭化ケイ素焼結体の効率的な製造方法を提供する。 【解決手段】 炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤との
混合物を焼結する工程を含む炭化ケイ素焼結体の製造方
法であって、炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤との混
合物を焼結する前に、予め該混合物を900℃を超え、
1500℃以下の温度で仮焼きする工程を含み、得られ
た焼結体の密度が2.9g/cm3 以上であることを特
徴とする。この仮焼き工程における昇温速度は5℃/m
in以下であり、真空又は不活性ガス雰囲気下等の非酸
化性雰囲気下で行われることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化ケイ素焼結体
の製造方法に関し、詳しくは、半導体製造装置用部品、
電子情報機器用部品、真空装置等の構造用部品として有
用な高密度で、且つ、均質な炭化ケイ素焼結体の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭化ケイ素は、共有結合性の強い物質で
あり、従来より高温強度性、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品
性等の優れた特性を生かして多くの用途で用いられてき
た。最近では、電子情報機器材料、半導体製造用材料の
分野において、ウェハの処理温度の上昇、ウェハ径の増
大、処理単位の増大によって、従来の石英部品における
如き熱変形やフッ酸などの薬液洗浄による変質のない、
さらに耐熱性の良好で、且つ、密度と純度の高い炭化ケ
イ素焼結体が要望されている。
【0003】上述のとおり、炭化ケイ素は、強い共有結
合性のために、難焼結性である。緻密質炭化ケイ素焼結
体を製造する方法としては、ホットプレス法、反応焼結
法、常圧焼結法が知られている。
【0004】ホットプレス法は、炭化ケイ素を高圧下で
焼結する方法であり、金属系焼結助剤として、アルミニ
ウムを添加したものが初期(J.Am.Ceram.S
oc.第39巻、11号386−389頁、1956
年)に報告されて以来、様々な金属系助剤を用いて研究
がなされており、中でもBeOを添加したホットプレス
焼結による高伝導性且つ電気絶縁性の焼結体が1980
年に開発されている(「炭化ケイ素セラミックス」第3
27−343頁、内田老鶴圃、1988年)。
【0005】反応焼結法は、(1)原料混合工程(炭化
ケイ粉末素と炭素粉末とを混合する工程)、(2)成形
加工工程、(3)反応焼結工程、さらに、所望によって
(4)後加工工程、という各工程からなる。この方法
は、(3)反応焼結工程において、既に成形された炭素
粒子をケイ化するものであり、成形体の寸法変化が少な
く、焼結助剤を必要としない利点があり、高純度の焼結
体が得やすいため、半導体用部品の製造などに利用され
ている。しかしながら、この方法で得られた焼結体は未
反応金属ケイ素を含有するため、耐熱性、耐薬品性や高
強度を要求される分野で使用される部品、治具に用いる
には制限があった。
【0006】常圧焼結法は、炭化ケイ素を焼結するにあ
たり、金属系焼結助剤を使用することを特徴とする方法
あり、1974年にS/Prochazkaの”Cer
amics for High Performanc
e Applicatins”第239頁により提案さ
れた。この方法によって高温強度を有する高密度構造部
材が得られるようになり、炭化ケイ素の研究開発が進展
した。ここで焼結助剤として、ホウ素、アルミニウム、
ベリリウム等の金属やその化合物である金属系焼結助剤
と、カーボンブラック、グラファイト等の炭素系焼結助
剤との二種類が組み合わせて用いられている。ここで重
要な金属系焼結助剤の作用としては、最適な焼結助剤と
して用いられるホウ素について述べれば、粒界への偏析
による粒界エネルギーの減少、炭素−ホウ素系物質の粒
界拡散の促進、表面拡散抑制等が挙げられ、炭素系焼結
助剤の作用については、炭化ケイ素粒子の表面酸化層の
除去効果が推定されるが、いずれも詳細は未だ明らかで
はない。
【0007】いずれにせよ、ここで用いられる金属系焼
結助剤は、高温での使用時や薬液洗浄処理中に金属不純
物が溶出するため、得られた焼結体は半導体製造装置等
の分野への応用には適さなかった。
【0008】これらの課題を解決する手段として、特開
昭60−108370号において、シラン化合物を熱分
解して得られた特殊な超微粉炭化ケイ素を用いて、助剤
を添加することなく、ホットプレス法により緻密焼結体
を得る方法が提案された。しかしながら、得られる焼結
体の各種特性は明確にされていない。さらに、これに関
連して、「炭化ケイ素セラミックス」(内田老鶴圃、1
988年刊行)第89頁には、この製法で製造された粉
体を用いてもホウ素(焼結助剤として)の添加が不可欠
である旨の記載がある。
【0009】このホットプレス法の改良として、特開平
2−199064号には、CVDプラズマ法により合成
した超微粉炭化ケイ素粉末を用いて、助剤を全く用いず
にホットプレス法により緻密焼結体を得る方法が提案さ
れている。しかしながら、この文献に記載される方法に
おいても、鉄等の不純物が数ppm以上含まれており、
満足できるレベルとは言い難いこと、この系で焼結助剤
としての機能を果たしていると考えられる平均粒径30
nmの超微粉炭化ケイ素微粉末が高コストであること、
このような超微粉は表面酸化に対して取扱上の多大な注
意を必要とすること、などを考慮すれば、いまだ上記課
題が解決しているとはいい難い。
【0010】従って、公知の製造方法によっては、半導
体製造装置用部品、電子情報機器用部品等への使用に適
する高密度で不純物含有量の少ない炭化ケイ素焼結体を
得ることは困難であり、そのような焼結体も市販されて
いなかった。
【0011】即ち、従来の製造方法によれば、炭化ケイ
素粉末と焼結助剤との混合物をホットプレス装置にセッ
トして真空下で昇温させるが、この工程では焼結助剤の
分解に伴うガスが発生し、真空度が低下し、真空度が回
復するま昇温が待機状態となる。このため、焼成時間が
伸び、さらには、この待機状態が条件により異なって再
現性がないため、工程管理上、大きな問題となってい
る。
【0012】さらに、ホットプレス装置内部の断熱材は
カーボン繊維やカーボン成形体からなっており、焼結助
剤の分解に伴うガスとの反応により損傷し易く、また、
ガス発生に伴い、炭化ケイ素粉末や焼結体中にこれらの
ガスが残存することによる微細な気孔の発生も懸念され
る。
【0013】このような焼結体を応用する場合、例え
ば、半導体への用途で表面にCVD加工を行う場合に
も、気孔が存在することにより、被覆膜厚を厚くする必
要が有り、さらに、被覆膜により気孔が塞げない場合に
は、その用途に全く適用できないという問題もある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特殊
な原料を必要とすることなく、高密度であって、気孔の
発生がなく均一で高品位の、半導体工業、電子情報機器
産業などの多くの分野において有用な炭化ケイ素焼結体
の効率的な製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、焼結工程の前に、予め低温で仮焼きを行うこ
とにより、この目的にかなう炭化ケイ素焼結体を製造し
うることを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明
の炭化ケイ素焼結体の製造方法は、炭化ケイ素粉末と非
金属系焼結助剤との混合物を焼結する工程を含む炭化ケ
イ素焼結体の製造方法であって、炭化ケイ素粉末と非金
属系焼結助剤との混合物を焼結する前に、予め該混合物
を900℃を超え、1500℃以下の温度で仮焼きする
工程を含み、得られた焼結体の密度が2.9g/cm3
以上であることを特徴とする。
【0016】ここで、前記炭化ケイ素粉末が、少なくと
も1種以上の液状のケイ素化合物を含むケイ素源と、加
熱により炭素を生成する少なくとも1種以上の液状の有
機化合物を含む炭素源と、重合又は架橋触媒と、を均質
に混合して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で焼成し
て製造されたものであることが、純度の観点から好まし
い。
【0017】具体的には、前記液状のケイ素化合物がエ
チルシリケートであり、前記非金属系焼結助剤が加熱に
より炭素を生成する有機化合物、さらに好ましくは、レ
ゾール型フェノールであることを特徴とする。
【0018】また、前記非金属系焼結助剤が炭化ケイ素
粉末の表面を被覆してなる態様で存在してもよく、加熱
により炭素を生成する有機化合物により表面を被覆され
た炭化ケイ素粉末自体を焼結助剤として用いることもで
きる。
【0019】また、得られた炭化ケイ素焼結体が、炭素
原子を30重量%を超え、40重量%以下含有するこ
と、原料となる炭化ケイ素粉末の平均粒径が0.01〜
10μmであることが好ましい態様である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳細に説
明する。
【0021】本発明の炭化ケイ素焼結体に原料として用
いられる炭化ケイ素粉末は、α型、β型、非晶質或いは
これらの混合物等が挙げられるが、特に、β型炭化ケイ
素粉末が好適に使用される。
【0022】このβ型炭化ケイ素粉末のグレードには特
に制限はなく、例えば、一般に市販されているβ型炭化
ケイ素粉末を用いることができる。この炭化ケイ素粉末
の粒径は、高密度化の観点からは小さいことが好まし
く、0.01〜10μm程度、さらには、0.05〜1
μm程度であることが好ましい。粒径が0.01μm未
満であると、計量、混合などの処理工程における取扱が
困難となり、10μmを超えると比表面積が小さく、即
ち、隣接する粉体との接触面積が小さくなり、高密度化
が困難となるため、好ましくない。
【0023】好適な炭化ケイ素粉体の態様としては、粒
径が0.05〜1μm、比表面積が5m2 /g以上、遊
離炭素1%以下、酸素含有量1%以下のものが好適に用
いられる。また、用いられる炭化ケイ素粉末の粒度分布
は特に制限されず、炭化ケイ素焼結体の製造時におい
て、粉体の充填密度を向上させること及び炭化ケイ素の
反応性の観点から、2つ以上の極大値を有するものも使
用しうる。
【0024】なお、高純度の炭化ケイ素焼結体を得るた
めには、原料の炭化ケイ素粉末として、高純度の炭化ケ
イ素粉体を用いればよい。
【0025】高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、少な
くとも1種以上の液状のケイ素化合物を含むケイ素源
と、加熱により炭素を生成する少なくとも1種以上の液
状の有機化合物を含む炭素源と、重合又は架橋触媒と、
を均質に混合して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で
焼成する焼成工程とを含む製造方法により得ることがで
きる。
【0026】高純度の炭化ケイ素粉末の製造に用いられ
るケイ素化合物(以下、適宜、ケイ素源と称する)とし
ては、液状のものと固体のものとを併用することができ
るが、少なくとも一種は液状のものから選ばれなくては
ならない。液状のものとしては、アルコキシシラン(モ
ノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)及びテトラアルコキシ
シランの重合体が用いられる。アルコキシシランの中で
はテトラアルコキシシランが好適に用いられ、具体的に
は、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラ
ン、ブトキシシラン等が挙げられるが、ハンドリングの
点からはエトキシシランが好ましい。また、テトラアル
コキシシランの重合体としては、重合度が2〜15程度
の低分子量重合体(オリゴマー)及びさらに重合度が高
いケイ酸ポリマーで液状のものが挙げられる。これらと
併用可能な固体状のものとしては、酸化ケイ素が挙げら
れる。本発明において酸化ケイ素とは、SiOの他、シ
リカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部にOH
基やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲ
ル、微細シリカ、石英粉体)等を含む。
【0027】これらケイ素源のなかでも、均質性やハン
ドリング性が良好な観点から、テトラエトキシシランの
オリゴマー及びテトラエトキシシランのオリゴマーと微
粉体シリカとの混合物等が好適である。また、これらの
ケイ素源は高純度の物質が用いられ、初期の不純物含有
量が20ppm以下であることが好ましく、5ppm以
下であることがさらに好ましい。
【0028】また、高純度炭化ケイ素粉末の製造に使用
される加熱により炭素を生成する有機化合物としては、
液状のものの他、液状のものと固体のものとを併用する
ことができ、残炭率が高く、且つ触媒若しくは加熱によ
り重合又は架橋する有機化合物、具体的には例えば、フ
ェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタ
ン、ポリビニルアルコール等の樹脂のモノマーやプレポ
リマーが好ましく、その他、セルロース、蔗糖、ピッ
チ、タール等の液状物も用いられ、特にレゾール型フェ
ノール樹脂が好ましい。また、その純度は目的により適
宜制御選択が可能であるが、特に高純度の炭化ケイ素粉
末が必要な場合には、各金属を5ppm以上含有してい
ない有機化合物を用いることが望ましい。
【0029】本発明に使用される原料粉体である高純度
炭化ケイ素粉体を製造するにあたっての、炭素とケイ素
の比(以下、C/Si比と略記)は、混合物を1000
℃にて炭化して得られる炭化物中間体を、元素分析する
ことにより定義される。化学量論的には、C/Si比が
3.0の時に生成炭化ケイ素中の遊離炭素が0%となる
はずであるが、実際には同時に生成するSiOガスの揮
散により低C/Si比において遊離炭素が発生する。こ
の生成炭化ケイ素粉体中の遊離炭素量が焼結体等の製造
用途に適当でない量にならないように予め配合を決定す
ることが重要である。通常、1気圧近傍で1600℃以
上での焼成では、C/Si比を2.0〜2.5にすると
遊離炭素を抑制することができ、この範囲を好適に用い
ることができる。C/Si比を2.5以上にすると遊離
炭素が顕著に増加するが、この遊離炭素は粒成長を抑制
する効果を持つため、粒子形成の目的に応じて適宜選択
しても良い。但し、雰囲気の圧力を低圧又は高圧で焼成
する場合は、純粋な炭化ケイ素を得るためのC/Si比
は変動するので、この場合は必ずしも前記C/Si比の
範囲に限定するものではない。
【0030】なお、遊離炭素の焼結の際の作用は、本発
明で用いられる炭化ケイ素粉体の表面に被覆された非金
属系焼結助剤に由来する炭素によるものに比較して非常
に弱いため、基本的には無視することができる。
【0031】また、本発明においてケイ素源と加熱によ
り炭素を生成する有機化合物とを均質に混合した固形物
を得るために、ケイ素源と該有機化合物の混合物を硬化
させて固形物とすることも必要に応じて行われる。硬化
の方法としては、加熱により架橋する方法、硬化触媒に
より硬化する方法、電子線や放射線による方法が挙げら
れる。硬化触媒としては、炭素源に応じて適宜選択でき
るが、フェノール樹脂やフラン樹脂の場合には、トルエ
ンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、
塩酸、硫酸等の酸類、ヘキサミン等のアミン類等を用い
る。
【0032】この原料混合固形物は必要に応じ加熱炭化
される。これは窒素又はアルゴン等の非酸化性雰囲気中
800℃〜1000℃にて30分〜120分間該固形物
を加熱することにより行われる。
【0033】さらに、この炭化物をアルゴン等の非酸化
性雰囲気中1350℃以上2000℃以下で加熱するこ
とにより炭化ケイ素が生成する。焼成温度と時間は希望
する粒径等の特性に応じて適宜選択できるが、より効率
的な生成のためには1600℃〜1900℃での焼成が
望ましい。
【0034】また、より高純度の粉体を必要とする時に
は、前述の焼成時に2000〜2100℃にて5〜20
分間加熱処理を施すことにより不純物をさらに除去でき
る。
【0035】以上より、特に高純度の炭化ケイ素粉末を
得る方法としては、本願出願人が先に特願平7−241
856号として出願した単結晶の製造方法に記載された
原料粉体の製造方法、即ち、高純度のテトラアルコキシ
シラン、テトラアルコキシシラン重合体から選択される
1種以上をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高
純度有機化合物を炭素源とし、これらを均質に混合して
得られた混合物を非酸化性雰囲気下において加熱焼成し
て炭化ケイ素粉体を得る炭化ケイ素生成工程と、得られ
た炭化ケイ素粉体を、1700℃以上2000℃未満の
温度に保持し、該温度の保持中に、2000℃〜210
0℃の温度において5〜20分間にわたり加熱する処理
を少なくとも1回行う後処理工程とを含み、前記2工程
を行うことにより、各不純物元素の含有量が0.5pp
m以下である炭化ケイ素粉体を得ること、を特徴とする
高純度炭化ケイ素粉末の製造方法等を利用することがで
きる。
【0036】また、本発明の炭化ケイ素焼結体の製造方
法において、前記炭化ケイ素粉末と混合されて用いられ
る非金属系焼結助剤としては、加熱により炭素を生成す
る、所謂炭素源と称される物質が用いられ、加熱により
炭素を生成する有機化合物又はこれらで表面を被覆され
た炭化ケイ素粉末(粒径:0.01〜1μm程度)が挙
げられ、効果の観点からは前者が好ましい。
【0037】加熱により炭素を生成する有機化合物とし
ては、具体的には、残炭率の高いコールタールピッチ、
ピッチタール、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ
樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単糖類、蔗糖等
の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖類などの等の
各種糖類が挙げられる。これらは炭化ケイ素粉末と均質
に混合するという目的から、常温で液状のもの、溶媒に
溶解するもの、熱可塑性或いは熱融解性のように加熱す
ることにより軟化するもの或いは液状となるものが好適
に用いられるが、なかでも、得られる成形体の強度が高
いフェノール樹脂、特に、レゾール型フェノール樹脂が
好適である。
【0038】この有機化合物は加熱されると系中でカー
ボンブラックやグラファイトの如き無機炭素系化合物を
生成し、これが焼結助剤として有効に作用すると考えら
れる。なお、カーボンブラックやグラファイト粉末を焼
結助剤として添加しても本発明の効果を得ることはでき
ない。
【0039】本発明において、炭化ケイ素粉末と非金属
系焼結助剤との混合物を得る際に、非金属系焼結助剤を
溶媒に溶解又は分散させて混合することが好ましい。溶
媒は、非金属系焼結助剤として使用する化合物に対して
好適なもの、具体的には、好適な加熱により炭素を生成
する有機化合物であるフェノール樹脂に対しては、エチ
ルアルコール等の低級アルコール類やエチルエーテル、
アセトン等を選択することができる。また、この非金属
系焼結助剤及び溶媒についても不純物の含有量が低いも
のを使用することが好ましい。
【0040】炭化ケイ素粉末と混合される非金属系焼結
助剤の添加量は少なすぎると焼結体の密度が上がらず、
多過ぎると焼結体に含まれる遊離炭素が増加するため高
密度化を阻害する虞があるため、使用する非金属系焼結
助剤の種類にもよるが、一般的には、10重量%以下、
好ましくは2〜5重量%となるように添加量を調整する
ことが好ましい。この量は、予め炭化ケイ素粉末の表面
のシリカ(酸化ケイ素)量をフッ酸を用いて定量し、化
学量論的にその還元に充分な量を計算することにより決
定することができる。
【0041】なお、ここでいう炭素としての添加量と
は、上記の方法により定量されたシリカが非金属系焼結
助剤に由来する炭素で、下記の化学反応式により還元さ
れるものとし、非金属系焼結助剤の熱分解後の残炭率
(非金属系焼結助剤中で炭素を生成する割合)などを考
慮して得られる値である。
【0042】SiO2 + 3C → SiC + 2
CO また、本発明の炭化ケイ素焼結体においては、炭化ケイ
素焼結体中に含まれる炭化ケイ素に由来する炭素原子及
び非金属系焼結助剤に由来する炭素原子の合計が30重
量%を超え、40重量%以下であることが好ましい。含
有量が30重量%以下であると、焼結体中に含まれる不
純物の割合が多くなり、40重量%を超えると炭素含有
量が多くなり得られる焼結体の密度が低下し、焼結体の
強度、耐酸化性等の諸特性が悪化するため好ましくな
い。
【0043】本発明の炭化ケイ素焼結体の製造方法にお
いて、まず、炭化ケイ素粉末と、非金属系焼結助剤とを
均質に混合するが、前述の如く、非金属系焼結助剤であ
るフェノール樹脂をエチルアルコールなどの溶媒に溶解
し、炭化ケイ素粉末と十分に混合する。
【0044】混合は公知の混合手段、例えば、ミキサ
ー、遊星ボールミルなどによって行うことができる。混
合は、10〜30時間、特に、16〜24時間にわたっ
て行うことが好ましい。十分に混合した後は、溶媒の物
性に適合する温度、例えば、先に挙げたエチルアルコー
ルの場合には50〜60℃の温度、で溶媒を除去し、混
合物を蒸発乾固させたのち、篩にかけて混合物の原料粉
体を得る。なお、高純度化の観点からは、ボールミル容
器及びボールの材質を金属をなるべく含まない合成樹脂
にする必要がある。また、乾燥にあたっては、スプレー
ドライヤーなどの造粒装置を用いてもよい。
【0045】前記の如き粉末の混合物をカーボン容器内
に充填し、真空雰囲気炉にて加熱、昇温して、不純物の
除去や非金属系焼結助剤の炭化に伴って発生する熱分解
ガスの除去を行う仮焼き工程を行う。仮焼き工程は、真
空又は、アルゴン、窒素等の不活性ガス存在下等の非酸
化性雰囲気下で行われる。また、昇温の条件は、室温か
ら900℃に到るまでは、緩やかに加熱することが好ま
しく、具体的には、昇温速度は5℃/min以下で行わ
れ、仮焼き工程における昇温は900℃を超え、150
0℃以下であることを要し、好ましくは、900℃を超
え、1100℃以下である。
【0046】真空雰囲気における真空度としては、加熱
前に10-5〜10-3torr、特に5×10-5〜5×1
-4torrとすることが好ましい。
【0047】ここで、昇温速度は5℃/minを超える
と、粉体内の炭化や熱分解が行われず、焼結工程におけ
るガス発生防止効果が不充分となる。また、仮焼き工程
における昇温が900℃以下では粉体内の炭化や熱分解
が不充分であり、1500℃を超えると、粉体同士が接
合しはじめてしまい、その後の焼結工程において粉体の
充填が充分に行えず、いずれも好ましくない。この仮焼
き工程終了後、室温に冷却した処理物をカーボン容器よ
り取り出し、成形金型に入れて焼結工程に付す。
【0048】この焼成工程前の仮焼き工程を設けること
が本発明の特徴であり、また、この工程は、本発明の炭
化ケイ素焼結体の製造方法のみならず、他のセラミック
粉末を利用したホットプレス焼結を始めとする、焼成途
上で燃焼ガスや熱分解ガスが発生するような他の焼結工
程、焼成工程の前処理工程として多岐にわたり適用する
ことができる。
【0049】次に、本発明の焼結体の製造方法において
必須の工程である焼結工程について説明する。この焼結
工程は、粉体の混合物又は後記の成形工程により得られ
た粉体の混合物の成形体を、温度2000〜2400
℃、圧力300〜700kgf/cm2 、非酸化性雰囲
気下で成形金型中に配置し、ホットプレスする工程であ
る。
【0050】ここで使用する成形金型は、得られる焼結
体の純度の観点から、成形体と金型の金属部とが直接接
触しないように、型の一部又は全部に黒鉛製の材料を使
用するか、金型内にテフロンシート等を介在させること
が好ましい。
【0051】本発明においてホットプレスの圧力は30
0〜700kgf/cm2 の条件で加圧ことができる
が、特に、400kgf/cm2 以上の加圧した場合に
は、ここで使用するホットプレス部品、例えば、ダイ
ス、パンチ等は耐圧性の良好なものを選択する必要があ
る。
【0052】ここで、焼結工程を詳細に説明するが、焼
結体を製造するためのホットプレス工程の前に以下の条
件で加熱、昇温を行って不純物を十分に除去し、非金属
系焼結助剤の炭化を完全に行わせしめた後、前記条件の
ホットプレス加工を行うことが好ましい。
【0053】即ち、以下の2段階の昇温工程を行うこと
が好ましい。まず、炉内を真空下、室温から700℃に
至るまで、緩やかに加熱する。ここで、高温炉の温度制
御が困難な場合には、700℃まで昇温を連続的に行っ
てもよいが、好ましくは、炉内を10-4torrにし
て、室温から200℃まで緩やかに昇温し、該温度にお
いて一定時間保持する。その後、さらに緩やかに昇温を
続け、700℃まで加熱する。さらに700℃前後の温
度にて一定時間保持する。この第1の昇温工程におい
て、吸着水分や有機溶媒の脱離が行われ、さらに、非金
属系焼結助剤の熱分解による炭化が行われる。200℃
前後或いは700℃前後の温度に保持する時間は焼結体
のサイズによって好適な範囲が選択される。保持時間が
十分であるか否かは真空度の低下がある程度少なくなる
時点をめやすにすることができる。この段階で急激な加
熱を行うと、不純物の除去や非金属系焼結助剤の炭化が
十分に行われず、成形体に亀裂や空孔を生じさせる虞が
あるため好ましくない。
【0054】一例を挙げれば、5〜10g程度の試料に
関しては、10-4torrにして、室温から200℃ま
で緩やかに昇温し、該温度において約30分間保持し、
その後、さらに緩やかに昇温を続け、700℃まで加熱
するが、室温から700℃に至るまでの時間は6〜10
時間程度、好ましくは8時間前後である。さらに700
℃前後の温度にて2〜5時間程度保持することが好まし
い。
【0055】真空中で、さらに700℃から1500℃
に至るまで、前記の条件であれば6〜9時間ほどかけて
昇温し、1500℃の温度で1〜5時間ほど保持する。
この工程では二酸化ケイ素、酸化ケイ素の還元反応が行
われると考えられる。ケイ素と結合した酸素を除去する
ため、この還元反応を十分に完結させることが重要であ
り、1500℃の温度における保持時間は、この還元反
応による副生物である一酸化炭素の発生が完了するま
で、即ち、真空度の低下が少なくなり、還元反応開始前
の温度である1300℃付近における真空度に回復する
まで、行うことが必要である。この第2の昇温工程にお
ける還元反応により、炭化ケイ素粉体表面に付着して緻
密化を阻害し、大粒成長の原因となる二酸化ケイ素が除
去される。この還元反応中に発生するSiO、COを含
む気体は不純物元素を伴っているが、真空ポンプにより
これらの発生気体が反応炉へ絶えず排出され、除去され
るため、高純度化の観点からもこの温度保持を十分に行
うことが好ましい。
【0056】これらの昇温工程が終了した後に、高圧ホ
ットプレスを行うことが好ましい。温度が1500℃よ
り高温に上昇すると焼結が開始するが、その際、異常粒
成長を押さえるために300〜700kgf/cm2
度までをめやすとして加圧を開始する。その後、炉内を
非酸化性雰囲気とするために不活性ガスを導入する。こ
の不活性ガスとしては、窒素あるいは、アルゴンなどを
用いるが、高温においても非反応性であることから、ア
ルゴンガスを用いることが望ましい。
【0057】炉内を非酸化性雰囲気とした後、温度を2
000〜2400℃、圧力300〜700kgf/cm
2 となるように加熱、加圧をおこなう。プレス時の圧力
は原料粉体の粒径によって選択することができ、原料粉
体の粒径が小さいものは加圧時の圧力が比較的小さくて
も好適な焼結体が得られる。また、ここで1500℃か
ら最高温度である2000〜2400℃までへの昇温は
2〜4時間かけて行うが、焼結は1850〜1900℃
で急速に進行する。さらに、この最高温度で1〜3時間
保持し、焼結を完了する。
【0058】ここで最高温度が2000℃未満であると
高密度化が不十分となり、2400℃を超えると粉体若
しくは成形体原料が昇華(分解)する虞があるため好ま
しくない。また、加圧条件が500kgf/cm2 未満
であると高密度化が不十分となり、700kgf/cm
2 を超えると黒鉛型などの成形型の破損の原因となり、
製造の効率から好ましくない。
【0059】この焼結工程においても、得られる焼結体
の純度保持の観点から、ここで用いられる黒鉛型や加熱
炉の断熱材等は、高純度の黒鉛原料を用いることが好ま
しく、黒鉛原料は高純度処理されたものが用いられる
が、具体的には、2500℃以上の温度で予め十分ベー
キングされ、焼結温度で不純物の発生がないものが望ま
しい。さらに、使用する不活性ガスについても、不純物
が少ない高純度品を使用することが好ましい。
【0060】本発明では、前記仮焼き工程、焼結工程を
行うことにより優れた特性を有する炭化ケイ素焼結体が
得られるが、最終的に得られる焼結体の高密度化の観点
から、この焼結工程に先立って以下に述べる成形工程を
実施してもよい。以下にこの焼結工程に先立って行うこ
とができる成形工程について説明する。ここで、成形工
程とは、炭化ケイ素粉末と、非金属系焼結助剤とを均質
に混合して得られた原料粉体を成形金型内に配置し、8
0〜300℃の温度範囲で、5〜60分間にわたり加
熱、加圧して予め成形体を調整する工程である。ここ
で、原料粉体の金型への充填は極力密に行うことが、最
終的な焼結体の高密度化の観点から好ましい。この成形
工程を行うと、ホットプレスのために試料を充填する際
に嵩のある粉体を予めコンパクトになしうるので、この
成形工程を繰り返すことにより厚みの大きい成形体を製
造し易くなる。
【0061】加熱温度は、非金属系焼結助剤の特性に応
じて、80〜300℃、好ましくは120〜140℃の
範囲、圧力60〜100kgf/cm2 の範囲で、充填
された原料粉体の密度を1.5g/cm3 以上、好まし
くは、1.9g/cm3 以上とするようにプレスして、
加圧状態で5〜60分間、好ましくは20〜40分間保
持して原料粉体からなる成形体を得る。ここで成形体の
密度は、粉体の平均粒径が小さくなる程高密度にしにく
くなり、高密度化するためには成形金型内に配置する際
に振動充填等の方法をとることが好ましい。具体的に
は、平均粒径が1μm程度の粉体では密度が1.8g/
cm3 以上、平均粒径が0.5μm程度の粉体では密度
が1.5g/cm3 以上であることがより好ましい。そ
れぞれの粒径において密度が1.5g/cm3 又は1.
8g/cm3 未満であると、最終的に得られる焼結体の
高密度化が困難となる。
【0062】この成形体は、次の焼結工程に付す前に、
予め用いるホットプレス型に適合するように切削加工を
行うことができる。好ましくは非金属系焼結助剤を表面
被覆したこの成形体を前記の温度2000〜2400
℃、圧力300〜700kgf/cm2 、非酸化性雰囲
気下で成形金型中に配置し、ホットプレスする工程即ち
焼成工程に付して、高密度、高純度の炭化ケイ素焼結体
を得るものである。
【0063】ここで、焼結温度が2000℃未満である
と高緻密化(焼結)が不十分となり、また2400℃を
超えると粉体もしくは成形体原料が昇華(分解)する虞
があるとともに、含有窒素が蒸発してしまうため高密度
化と導電性が不十分となり、また、圧力が700kgf
/cm2 を超えると黒鉛型などの成形体破損の原因とな
り、製造効率上好ましくない。
【0064】この焼結工程においても、得られる焼結体
の純度保持の観点から、ここで用いられる黒鉛型や加熱
炉の断熱材等に高純度の黒鉛材料を用いることが好まし
く、黒鉛原料も高純度化処理されたものが好ましいが、
具体的には2500℃以上の温度で予め充ベーキングさ
れ、焼結温度において不純物の発生のないものが望まし
い。さらに、使用する不活性ガスについても、不純物が
少ない高純度品を使用することが好ましい。
【0065】以上の製造方法により得られた炭化ケイ素
焼結体は、十分に高密度化されており、密度は2.9g
/cm3 以上である。得られた焼結体の密度が2.9g
/cm3 未満であると、曲げ強度、破壊強度などの力学
的特性や電気的な物性が低下し、さらに、パーティクル
が増大し、汚染性が悪化するため好ましくない。炭化ケ
イ素焼結体の密度は、3.0g/cm3 以上であること
がより好ましい。
【0066】また、得られた焼結体は実質的に均一体で
あり、組織中に気孔等の空孔が少ない。組織中に空孔が
存在すると、耐熱性、耐酸化性、耐薬品性や機械強度に
劣る、洗浄が困難である、微小割れが生じて微小片が汚
染物質となる、ガス透過性を有する等の物性的に劣る点
を有することになり、用途が限定されるなどの問題点も
生じてくる。
【0067】本発明の製造方法により得られる炭化ケイ
素焼結体の不純物元素の総含有量は、10ppm以下、
好ましくは5ppm以下であるが、半導体工業分野への
適用の観点からは、これらの化学的な分析による不純物
含有量は参考値としての意味を有するに過ぎない。実用
的には、不純物が均一に分布しているか、局所的に偏在
しているかによっても、評価が異なってくる。従って、
当業者は一般的に実用装置を用いて所定の加熱条件のも
とで不純物がどの程度ウェハを汚染するかを種々の手段
により評価している。なお、液状のケイ素化合物と、非
金属系焼結助剤と、重合又は架橋触媒と、を均質に混合
して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で加熱炭化した
後、さらに、非酸化性雰囲気下で焼成する焼成工程とを
含む製造方法によれば、炭化ケイ素焼結体に含まれる不
純物元素の総含有量を10ppm以下にすることができ
る。なお、ここで不純物元素とは、1989年IUPA
C無機化学命名法改訂版の周期律表における1族から1
6族元素に属し、且つ、原子番号3以上であり、原子番
号6〜8及び同14の元素を除く元素をいう。
【0068】その他、本発明で得られる炭化ケイ素焼結
体の好ましい物性について検討するに、例えば、室温に
おける曲げ強度は50.0〜65.0kgf/mm2
1500℃における曲げ強度は55.0〜80.0kg
f/mm2 、ヤング率は3.5×104 〜4.5×10
4 、ビッカース硬度は2000kgf/mm2 以上、ポ
アソン比は0.14〜0.21、熱膨張係数は3.8×
10-6〜4.2×10 -6(℃-1)、熱伝導率は150W
/m・k以上、比熱は0.15〜0.18cal/g・
℃、耐熱衝撃性は500〜700ΔT℃、体積抵抗率は
1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0069】上記の如き本発明の方法により得られた炭
化ケイ素焼結体は、使用目的に応じて、加工、研磨、洗
浄等の処理が行なわれる。本発明の焼結体は、ホットプ
レス等により円柱状試料(焼結体)を形成させ、これを
加工することによって製造することができ、その加工方
法として、放電加工が好適に用いられる。そして、半導
体製造部品、電子情報機器用部品等の使用に供される。
【0070】ここで、本発明の製造方法により得られた
焼結体製部品が使用される主な半導体製造装置として
は、露光装置、レジスト処理装置、ドライエッチング装
置、洗浄装置、熱処理装置、イオン注入装置、CVD装
置、PVD装置、ダイシング装置等を挙げることがで
き、部品の一例としては、ドライエッチング装置用のプ
ラズマ電極、防護リング(フォーカスリング)、イオン
注入装置用のスリット部品(アパーチャー)、イオン発
生部や質量分析部用の防護板、熱処理装置やCVD装置
におけるウェハ処理時に用いられるダミーウェハ、ま
た、熱処理装置やCVD装置における発熱ヒーター、特
にウェハをその下部において直接加熱するヒーター等が
挙げられる。
【0071】電子情報機器用部品としては、ハードディ
スク装置用のディスク基盤や薄膜磁気ヘッド基盤等が挙
げられ、また、光磁気ディスク表面や各種摺動面に対す
る薄膜形成のためのスパッタリングターゲットもこの部
品に包含される。
【0072】光学用部品としては、シンクロトロン放射
光(SR)、レーザー光等の反射鏡等にも使用できる。
【0073】本発明の製造方法においては、本発明の前
記加熱条件を満たしうるものであれば、特に製造装置等
に制限はなく、焼結用の型の耐圧性を考慮すれば、公知
の加熱炉内や反応装置を使用することができる。
【0074】本発明の原料粉体である炭化ケイ素粉体及
び原料粉体を製造するためのケイ素源と非金属系焼結助
剤、さらに、非酸化性雰囲気とするために用いられる不
活性ガス、それぞれの純度は、各不純物元素含有量10
ppm以下であることが好ましいが、加熱、焼結工程に
おける純化の許容範囲内であれば必ずしもこれに限定す
るものではない。また、ここで不純物元素とは、198
9年IUPAC無機化学命名法改訂版の周期律表におけ
る1族から16族元素に属し、且つ、原子番号3以上で
あり、原子番号6〜8及び同14の元素を除く元素をい
う。
【0075】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明の主旨を超えない限り本実施例に限定さ
れるものではない。 (実施例1) [原料粉末の製造]高純度炭化ケイ素粉末(平均粒径
0.8μm:前記の特願平7−241856号として出
願した製造方法に準じて製造された不純物含有量5pp
m以下の炭化ケイ素粉末:1.5重量%のシリカを含
有)90gと含水率20%の高純度液体レゾール型フェ
ノール樹脂(熱分解後の残炭率50%)10gをエタノ
ール150gに溶解したものとを、遊星ボールミルで1
8時間攪拌し、十分に混合した。その後、50〜60℃
に加温してエタノールを蒸発乾固させ、100μmの篩
にかけて均質な炭化ケイ素原料粉体を得た。 [仮焼き工程]この粉末5000gを300×200×
150(mm)の黒鉛製容器内に配置し、脱気して2×
10-4torrの真空条件にした後、昇温速度3℃/m
inで900℃まで昇温させ、その温度で30粉間保持
した。冷却は200℃になるまで真空を保持し、その後
空気により大気圧に戻し、室温になってから取り出した
ところ、約4900gの脱脂粉体が得られた。 [焼結体の製造]この原料粉体約2000gを200m
mφ×200mmの黒鉛製モールド内に充填し、黒鉛製
パンチに挟んで、ホットプレス装置内にセットした。ホ
ットプレス装置としては、高周波誘導加熱式10tホッ
トプレスを用いた。
【0076】10-5〜10-4torrの真空条件下で、
室温から1200℃まで4時間かけて昇温し、1時間そ
の温度に保持した。(第1の昇温工程) 真空条件下で、1200℃〜1500℃まで3時間で昇
温し、4時間その温度に保持した。(第2の昇温工程) さらに500kgf/cm2 の圧力で加圧し、アルゴン
雰囲気下にて1500℃〜2300℃まで4時間で昇温
し、3時間その温度に保持した。(ホットプレス工程) 得られた焼結体の密度は3.12g/cm3 であった。
得られた焼結体の密度、気孔率、空孔の径を以下のよう
に測定した。これらの特性を下記表1に示す。 [密度]ノギスを用いて測定し、焼結体の体積を求め
て、重量/体積により算出した。 [気孔率]得られた焼結体より、10×10×1mmの
サンプル切り出し、アルキメデス法により、下記の式に
よって気孔率を算出した。
【0077】気孔率=[(包水重量−乾燥重量)/(包
水重量−水中重量)]×100 [空孔の径]得られた焼結体より、10×10×1mm
のサンプル切り出し、表面を鏡面仕上げし、ノマルスキ
ー顕微鏡で空孔の大きさを観察した(倍率1000
倍)。
【0078】(実施例2)実施例1において仮焼き工程
における昇温を、アルゴンガス雰囲気下で行った以外は
実施例1と同様にして、炭化ケイ素焼結体を得た。
【0079】得られた炭化ケイ素焼結体を、実施例1と
同様に評価した。結果を表1に示す。 (比較例1)実施例1における仮焼き工程を行わなかっ
た以外は同様にしてホットプレス焼結を行った。このと
き、真空状態が低下し、真空度を所定の値にするための
待機状態があり、700℃まで昇温するのに、10時間
を要した。
【0080】それ以外は、実施例1と同様にして炭化ケ
イ素焼結体を得た。得られた炭化ケイ素焼結体を、実施
例1と同様に評価した。結果を表1に示す。 (比較例2)全焼成工程をアルゴンガス雰囲気下で行っ
た以外は比較例1と同様にして、炭化ケイ素焼結体を得
た。得られた炭化ケイ素焼結体を、実施例1と同様に評
価した。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】前記表1の各実施例並びに比較例に明らか
なように、本発明の製造方法により得られた炭化ケイ素
焼結体は、十分な密度を有する高密度焼結体であり、気
孔の発生もなく、空孔の径も極めて小さく、均一体であ
って、各種の用途に好適に用いうることが分かった。
【0083】一方、本発明の仮焼き工程を経なかった比
較例の製造方法では、大きな径の空孔のない、均一で高
密度の炭化ケイ素焼結体を得ることはできなかった。
【0084】
【発明の効果】本発明の炭化ケイ素焼結体の製造方法に
よれば、特殊な原料を必要とすることなく、高密度であ
って、気孔の発生がなく均一で高品位の、半導体工業、
電子情報機器産業などの多くの分野において有用な炭化
ケイ素焼結体の効率よく得られるという優れた効果を奏
する。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤との
    混合物を焼結する工程を含む炭化ケイ素焼結体の製造方
    法であって、 炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤との混合物を焼結す
    る前に、予め該混合物を900℃を超え、1500℃以
    下の温度で仮焼きする工程を含み、 得られた焼結体の密度が2.9g/cm3 以上であるこ
    とを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記炭化ケイ素粉末が、少なくとも1種
    以上の液状のケイ素化合物を含むケイ素源と、加熱によ
    り炭素を生成する少なくとも1種以上の液状の有機化合
    物を含む炭素源と、重合又は架橋触媒と、を均質に混合
    して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で焼成して製造
    されたことを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素焼
    結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記液状のケイ素化合物がエチルシリケ
    ートであることを特徴とする請求項2に記載の炭化ケイ
    素焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記非金属系焼結助剤が加熱により炭素
    を生成する有機化合物であることを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれか1項に記載の炭化ケイ素焼結体の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記非金属系焼結助剤が炭化ケイ素粉末
    の表面を被覆してなることを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれか1項に記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記非金属系焼結助剤が加熱により炭素
    を生成する有機化合物により表面を被覆された炭化ケイ
    素粉末であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    か1項に記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記加熱により炭素を生成する有機化合
    物がレゾール型フェノールであることを特徴とする請求
    項4乃至6のいずれか1項に記載の炭化ケイ素焼結体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記炭化ケイ素焼結体が、炭素原子を3
    0重量%を超え、40重量%以下含有することを特徴と
    する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の炭化ケイ素
    焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記炭化ケイ素粉末の平均粒径が0.0
    1〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至8の
    いずれか1項に記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
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