JPH1170849A - 二室エアバックの製造方法および二室エアバック - Google Patents

二室エアバックの製造方法および二室エアバック

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JPH1170849A JP10194390A JP19439098A JPH1170849A JP H1170849 A JPH1170849 A JP H1170849A JP 10194390 A JP10194390 A JP 10194390A JP 19439098 A JP19439098 A JP 19439098A JP H1170849 A JPH1170849 A JP H1170849A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上部室の膨張が通気パネルで制御されること
により下部室のより素早い膨張と上部室の遅れた膨張が
生じる側面衝突衝撃用の二室エアバックを得る。通気パ
ネルを別の構成要素としてエアバックに取付ける必要性
をなくす。二室エアバックを、より少ない部品と過程と
により効率的かつ低コストに製造する。 【解決手段】 二室エアバック、並びに一体的な通気パ
ネルをもつ二室側面衝撃用エアバックの製造方法に関す
る。部分的な通気パネルが各エアバック片の一部から形
成され、エアバックを作るためエアバック片が組み立て
られるときに、2つの部分的なパネルが突き合わされ
る。2つのパネルは互いに縫い合わされ、それによりエ
アバックの上部室と下部室とを分割する一体的な通気パ
ネルが形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は側面衝撃用のエアバ
ック(side impact airbag;サイドエアバック)に係
り、より明確には通気パネルを一体的に備えた二室側面
衝撃用エアバック(dual chamber side impact airbag
)および二室エアバックの改良された製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】車輌衝突時の側面からの衝撃は、車輌運
転手と搭乗者の負傷に対し重大な関わりがある。これら
の負傷を最小限に抑えるために、側面衝撃用のエアバッ
クシステムのいくつかの形式が開発された。これらの形
式の多くは、エアバックシステムの異なる配置とエアバ
ックの種々の寸法や形状とを伴う。典型的には、これら
のシステムは、シート裏側の車外側側面、ドア、または
車輌のピラー(A or Bpillars )に取け付けられる。
【0003】搭乗者を保護するために、速やかに展開す
るエアバックの大体の大きさは、衝突の間、搭乗者と車
輌内側との間の空間を満たすものであることが望まれ
る。衝撃の検出と拘束の解放との間に非常に短い時間し
か利用することが出来ないサイドエアバックにとって、
敏速な膨張は特に重要である。しかしながら、伝統的
に、より大きなエアバックは、充填時間が長い。より小
さなエアバックの膨張性能を有しつつ大きなエアバック
による防護力を備えることは、勿論望ましいことであ
る。これは、上部室と下部室とを分割する通気性をもつ
パネルまたは膜を備えた二室エアバックを利用すること
によって実現することが出来る。エアバックのヘッド部
に対する搭乗者の頭部の衝撃は、エアバックの胴部に対
する搭乗者の胴部の衝撃の後に発生するということが判
明している。したがって、下部室を素早く膨らませ、そ
の後必要に応じて上部室を充満させるエアバックをもつ
ことが望ましい。上部室への加圧を遅らせ、下部室をよ
り素早く膨張させることにより、より良い性能のエアバ
ックを実現することが出来る。
【0004】二室エアバックの1つの形式は、下部胸部
室の開口に接続されたインフレータ(inflator;ガス発
生装置)により充満される。パネルは、下部室と上部室
との間に備えられる。このパネルは、膨張ガスが下部室
から上部室へ流入できるように孔を備える。この改良
は、下部室が小さなエアバックと同様に速やかに膨張
し、搭乗者の胸部を保護するようなエアバックにより達
成される。上部頭部室はその後、膨らまされる。上部室
の膨張もまた迅速である。搭乗者の胸部が胸部室に衝突
し、それによりパネルの通気孔を通じてより多量のガス
が頭部室内に押し込まれ、上部室が膨らむからである。
これは、搭乗者の頭部がエアバックに接触する以前に起
こる。結局、避けがたい場合に小さなエアバックと同等
の膨張をエアバックの胸部部分が行い、搭乗者の胸部よ
り遅れて搭乗者の頭部が接触するエアバックの上部頭部
部分が遅く応動して膨張を行うエアバックが得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したものと同様の
二室エアバックは、技術的に新規なものではない。2つ
の一般的な形式がある。1つの形式は、2つの別々のエ
アバック、すなわち大きな上部エアバックと小さな下部
エアバックとを備える。2つのエアバックは、下部エア
バックの上面と上部エアバックの下面とに配された開口
が互いに一致し、2つのエアバック間で膨張ガスが流通
できるように縫い合わされている。
【0006】前述した二室エアバックを製造するために
必要な方法は、多くの工程と多くの部品とを含む。第一
に、両方のエアバックが裁断され、縫い合わせられなけ
ればならない。その工程の完了に続き、各エアバックの
開口が他のエアバックの開口に一致するように2つの別
々のエアバックが整合され、縫い合わされる必要があ
る。
【0007】二室エアバックのもう1つの形式は、エア
バックを2つの別々の部屋に分割する通気パネルを有す
る単体のエアバックである。この形式は、完成されたエ
アバックに到達するまでに、いくつかの部品といくつか
の縫合および組立工程とを必要とする。公知の設計方法
を使用すると、5つの生地断片が切断される必要があ
り、区画パネルに穴が開けられなければならない。次に
2つの下部断片および2つの上部断片が、各区画室を形
成するために互いに接合される。次に2つの部屋部分が
縫い合わされ、2つの部屋を隔てる合わせ目に沿ってパ
ネルが取り付けられる。この全体的な方法は、多くの異
なる合わせ目の整合を伴った5つの別々の断片の切断と
縫合とを含んでいる。これは、部品の増大と、5つの断
片の裁断およびそれらの縫合に必要な特別の過程とのた
めに、非能率的でありかつ費用がかかる。どの方法によ
っても、断片を集めた後に縫合するときに縫い目が正し
く整合されないために無駄を増大させる付加的な工程を
必要とする結果となる。
【0008】特に言及しない他の欠点と同様に、前述し
た従来装置の限界および欠点の観点から、より少ない部
品と過程とを含む二室通気性側面衝撃用エアバックのよ
り効率的な製造方法技術が必要とされている。
【0009】したがって本発明の第一の目的は、通気パ
ネルによって分割された上部室および下部室を有する側
面衝撃用エアバックを提供することにより、そのような
必要性を満足させることにある。
【0010】本発明の他の目的は、上部室と下部室とを
分割する通気パネルを備え、上部室の膨張がパネルで制
御されることによって下部室のより素早い膨張と上部室
の遅れた膨張が生じるようなエアバックを提供すること
にある。
【0011】本発明の他の目的は、通気パネルがエアバ
ックそれ自身の側部片の中に組み入れられ、エアバック
の別の構成要素として取り付けられることがないエアバ
ックを提供することにある。
【0012】最後に、本発明の他の目的は、通気パネル
を一体的に備え、より少ない部品と工程とを含む二室通
気性側面衝撃用エアバックを製造するための改良された
方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】簡潔に述べると、これら
及び他の目的は、上部室および下部室を分割する通気パ
ネルを一体的に備えた側面衝撃エアバックを提供する本
発明によって達成される。
【0014】本発明は、最終生産物が前述した動作特徴
を満足させるような改良された二室通気性側面衝撃用エ
アバックを提供するものである。本発明の通気パネルを
一体的に備えた二室通気性側面衝撃用エアバックは、従
来技術のように4つあるいは5つではない、エアバック
を作り上げる2つだけの材料断片を含むものである。通
気パネル部は、2つのエアバック片のそれぞれと一体に
される。各部分的な通気パネルは、各エアバック片を折
り畳み、部分的パネルを作り上げる各片の部分を取り囲
む縁に沿って縫うことにより形成される。2つのエアバ
ック片は、外方に向いた内側表面をエアバックがもつこ
とになるよう縫い合わされる。次に2つの部分的な通気
パネルが、通気パネルを形成するために接合され、下部
室のインフレータ開口を通してエアバックを引き出すこ
とによりエアバックが裏返される。その結果、本発明は
部品総数を2つに制限し、それにより部品の増加を最小
限にする。さらに、本発明は2つの断片の整合だけを含
むものであるから、後の縫合工程において縫い目が正し
く整合しないという懸念が少ない。
【0015】本発明の付随的な利益および利点は、好ま
しい実施例に関する後の説明、添付した特許請求の範囲
および添付図面から明らかになるであろう。
【0016】
【発明の実施の形態】図9に示されるフローチャートの
各工程を、詳細に記載された図1から図8に基づいて説
明する。同様の参照番号は、各図を通じて同様の構成要
素を示すために使用される。
【0017】さて、図面を詳細に参照すると、図1には
本発明が教えるところに従って作られた一体的な通気パ
ネルを有する、好ましい実施例の2つのエアバック断片
12が示されている。最終的に形成されたエアバック
は、符号10(図7)で概略示され、これは限定的では
ないが代表的にはナイロンのような織布材料により作ら
れている。エアバックシステムの性能要求を満足させる
のに必要であれば、クロロプレンゴム(chloroprene ru
bber)またはシリコンゴム(silicone rubber )のよう
なコーティングをエアバックの内側表面または外側表
面、あるいはそれら双方に施しても良い。さらに、好ま
しい実施例が通気口のないエアバックとして示されてい
るが、エアバックの展開中、エアバックの展開を調整す
るため膨張ガスがエアバックの外部に速やかに放出され
るように、上部室または下部室、若しくはそれら双方に
通気口を設けることが発明者によって意図される。その
ような通気口は、エアバックの内側表面または外側表面
のいずれかに配され、典型的にはエアバックを調整する
ときに形成される。本発明の説明を簡単にするために、
特に別の説明をしない限り、後に詳述する各工程は図1
に示されたどちらのエアバック片12についても行われ
るものであることに注意されたい。
【0018】この方法における第1の工程200は、望
ましいエアバックの概略左右対称な2つの断片12を形
成するためのものである。各エアバック片12は、1つ
の連続した生地片からなり、上側部分14と、下側部分
16と、内側表面18と、外側表面20とを有する。下
側部分16は、エアバック10が完成されたときにイン
フレータ開口24(図7)を形成する縁部22を備え
る。上側部分14と下側部分16との間はそれぞれ、側
部32が内側に向けテーパ状となった上部28と下部3
0とを備えた通気部26とされている。上部28は上縁
34を有し、下部30は下縁36を有する。これら両部
28,30は、上縁34および下縁36からほぼ等距離
にある中心線38によって分割される。好ましい実施例
の各通気部26は、工程210において行われるよう
に、通気部26の中心線38に沿って形成された2つの
孔40を有する。孔40は、中心線38が各孔の中心点
41を通るように、中心線38に沿って配置される。他
の実施例では、より多くの又はより少ない孔40を備え
ていても良く、またそれらの孔は、エアバック10の好
ましい動作上の特徴に従い、中心線38に沿って集中的
に配置されていなくても構わない。しかしながら、他の
実施例は、エアバックが展開されたときにエアバックの
上部室と下部室との間で膨張ガスが流通することを許容
するパネルを備えている必要がある。
【0019】次の工程220は、各エアバック片12に
部分的な通気パネル42を形成するためのものである。
これは、上縁34および下縁36に沿って各エアバック
片12の通気部26を縫合しまたはその他の方法により
接合することによって行われる。図2は、上縁34およ
び下縁36に沿って通気部26が縫合された後の好まし
い実施例を示すものである。各通気部26は、各通気部
26の外側表面20がそれ自身の上に折り重ねられると
ともに、上縁34および下縁36が互いに隣接するよう
に、まず中心線38に沿って折り畳まれる。次に、部分
的な通気パネル42を形成するために各通気部26の上
縁34および下縁36が接合される。上縁34および下
縁36が整合され、互いに縫合された後、好ましい実施
例の部分的な通気パネル42は、図3に示すように中心
線端縁46に沿った部分的な孔44をもつ内側表面18
から外方に突出する。縦の線は、上縁34および下縁3
6に沿った縫い目47を表す。上下縁34,36と中心
線端縁46との間には、中心線端縁46に向け内方にテ
ーパ状となった2つの側縁54が延在している。好まし
い実施例は、通気部26の上縁34および下縁36の縫
合を必要とするが、接着剤による接着や材料の溶着のよ
うな材料を接合する他の方法であっても明らかに同様の
最終結果を達成することができ、明らかに本発明の範囲
内にあると考えられる。
【0020】この方法における工程230は、外方に向
いた内側表面18をもつエアバックを形成するために2
つのエアバック片12を縫い合わせ、または他の方法で
接合するものである。2つのエアバック片12は、それ
らの外側表面20が互いに向き合うようにまず配置さ
れ、次に縫い合わせられる。図4は、符号48により全
体が示される最初のエアバックを示すものであり、該エ
アバックは各エアバック片12の周囲50のほぼ全周を
縫合した後のものである。各エアバック片12の内側表
面18は、部分的な通気パネル42が最初のエアバック
48の両側の各エアバック片12から外方に突出するよ
うに、最初のエアバック48の外側に位置する。周囲5
0のまわりの縫い目51は、図4にも示されている。各
エアバック片12の上側部分14は上部エアバック室6
0を形成し、下側部分16は下部エアバック室62を形
成する。縁部22は、インフレータ開口24(図7およ
び図8)が後に形成されるように接合されないままにさ
れる。
【0021】このエアバックの製造方法は、内側表面1
8が最終的なエアバック10の内側になるように最初の
エアバック48を裏返すことさらに含む。これは、未縫
合の縁部22を通ってエアバック48の内側に達し且つ
上部室60の頂部52をつかむことにより行われる。次
に図5および図6に示され、図9で工程240として示
されるように、部分的な通気パネル42の中央線端縁4
6が互いに接するようになるまで上部室60が下部室6
2の中に引き入れられる。続いてテーパ状の側縁54に
沿って、また両中心線端縁46に沿って、2つの部分的
な通気パネル42が縫合または他の方法で接合されるこ
とにより工程250が行われる。この工程は図6に最も
良く示される。周囲50のまわりの縫い目51と中心線
端縁46に沿った縫い目55がまた図6に示されてい
る。各部分的通気パネル42の中心線端縁46に沿った
部分的な孔44は、他の部分的通気パネル42の部分的
孔44に一致し、これによりほぼ円形または楕円形の孔
56が最終的な通気パネル58に形成される。中心線端
縁46が接する箇所で2つの中心線端縁46が互いに縫
合されているのが示されているが、各部分的通気パネル
の孔が他の部分的通気パネルの孔に一致する限りにおい
て、一の通気パネルが他の通気パネルの頂上部に縫合ま
たは接合されるように、2つの部分的通気パネル42が
部分的に重なり合っていてもよい(図示せず)。
【0022】2つの部分的通気パネル42が接合された
後、図9の工程260に記載されるようにエアバックは
完全に裏返される。これは、図5に示すように上部室6
0と下部室62が共にインフレータ開口24を通じて引
き出されるまで、エアバックの頂部52を矢印A方向に
さらに引っ張ることにより行われる。図7および図8に
示すようにこの工程の完了によって、完成されたエアバ
ック10はエアバックの外側に外側表面20を有し、上
部室60と下部室62とが分割されるように通気パネル
58がエアバック10の内側に配される。完成されたエ
アバック10の通気パネル58は、図8に最も良く示さ
れる。したがって、最終製品ではすべての縫い目がエア
バックの内側に隠される。尤も、部分的通気パネル42
を最初に接合し、次に通気パネル58がエアバックの内
側となるようにエアバック片12を接合することによっ
て形成されるエアバックは、明らかに本発明の範囲内の
ものである。かかるエアバックは、好ましい実施例と機
能的に同一であるが、外側表面20に周囲の縫い目51
を有する。
【0023】好ましい実施例のインフレータ開口24を
形成するために開放状態にされた縁部22は、エアバッ
ク10に適用されるインフレータの種類によっては周囲
50と共に縫い合わされていても構わない。エアバック
10へのインフレータ(図示せず)の接続は、この発明
にとって重要なことではない。インフレータをエアバッ
クに保持するためのどんなに多くの公知の方法も本発明
の教えるところに従って適用することが出来る。別の方
法は、周囲が縫合されるよう縁部22を縫い合わせ、一
のエアバック片の開口切り口を通じてインフレータを挿
入すること、並びに開口24を通じてインフレータを挿
入し、縁部22をインフレータのまわりに接合するか、
あるいはエアバックの開口24内に配した装架板を介し
てインフレータをエアバックに接続することを、これに
限定されないが包含する。
【0024】好ましい実施例を製造する方法を要約する
と、図9に示すように本発明は、内方にテーパ状となっ
た通気部26をもつ左右対称形の2つのエアバック片1
2をまず裁断すること200を含む。第2の工程210
は、通気部26内に少なくとも1つの孔40を、通気部
26の中心線38に沿うか、あるいはエアバックが展開
したときに上部室60と下部室62の間に膨張ガスが流
通できるよう、合わせられた孔を互いに整合させるよう
に中心線38の両側に、切断または他の方法により形成
するものである。部分的な通気パネル42を各エアバッ
ク片12に形成する第3の工程220は、まず各エアバ
ック片12の外側表面20がそれ自身の上に折り畳まれ
るように各片12を通気部26の中心線38に沿って折
り畳むことにより達成される。次に各エアバック片12
の通気部26の上縁34および下縁36が縫合され、ま
たは他の方法により接合されることにより、部分的な通
気パネル42が完成される。この工程の結果、部分的な
通気パネル42が各エアバック片12の内側表面18か
ら延在することとなる。
【0025】2つの側部エアバック片12を縫合しまた
は他の方法で接合する第4の工程230は、まず外側表
面20が互いに向き合うように2つのエアバック片12
を配置し、次にエアバック片12の内側表面18がエア
バック48の外側になるように2つのエアバック片12
をそれらの周囲50のほぼ全てについて接合することに
よって達成される。エアバック48の完成後、第5の工
程240が、各部分的通気パネル42の中心線端縁46
が互いに接するまでエアバック48の上部室60を下方
に向け下部室62の中に引き入れることにより行われ
る。この時点で、工程250に示されるように完成され
た通気パネル58が、2つの通気パネル42をそれらの
中心線端縁46および側縁54に沿って接合することに
より形成される。完成されたエアバックが下部室62の
インフレータ開口24を通じて引き出されるまでエアバ
ック48の頂部52をさらに引っ張ることにより最初の
エアバック48を裏返す最後の工程260は、各エアバ
ック片12の外側表面20が完成されたエアバック10
の外側に位置し、かつエアバック10の上部室60と下
部室62とを分割する複合的な通気パネル58がエアバ
ック10の内部にあるようにエアバック48を反転させ
る結果をもたらす。
【0026】好ましい実施例は、前述のように上部室と
下部室間の膨張ガスの流通のため形成された孔を有する
部分的な通気部を備えるが、本発明の範囲では、異なる
寸法、形状または配置位置の孔をもつ部分的な通気パネ
ルを備えた別の実施例を明らかに考えることが出来る。
これら別の実施例では、結局、2つのエアバック片のう
ちの1つまたは両方に通気パネルが一体となるように、
上部室と下部室とを分割する通気パネルを備えることに
よって完成されたエアバックとなる。そのような1つの
エアバック100が図10および図11に示されてい
る。エアバック片102は、好ましい実施例のエアバッ
ク片12と同様であり、エアバック片102の上側部分
14および下側部分16を分割する通気部104を有し
て互いにほぼ左右対称である。しかしながら、このエア
バック100では、通気部104自体に孔がない。通気
部104は、エアバック片102の周縁107の内方に
ある真直な側部106により形成されている。通気部1
04は、前述したような方法で部分的なパネルまたはフ
ラップを形成するためにそれ自身の上に折り畳まれる。
側部106は、パネルが接合され、エアバック片102
がそれらの周囲において接合されたときに、完成された
エアバック100の通気孔108が、分割された通気パ
ネル110の側部106とエアバック片102との間に
形成されるように配置される。この実施例は、分割され
た通気パネル110の両端部にあるほぼ三角形の2つの
孔108をもつ分割された通気パネル110を有するエ
アバック100に帰着する。分割された通気パネル11
0それ自身は、この別の実施例において通気性を有さな
い。このエアバック100の製造方法は、好ましい実施
例として前述したものとほぼ同一である。
【0027】さらに、好ましい実施例は、ほぼ同一寸法
の部分的な通気パネル42をそれぞれもつ左右対称なエ
アバック片12を備えるが、異なる寸法または形状の部
分的な通気パネルをもつ別の実施例を本発明の範囲で明
らかに考えることも出来る。そのような1つの実施例
が、好ましい実施例に係る図8における図示と同様の断
面図である図12に示されている。しかしながら、図1
2のエアバック120は、2つの左右対称なパーツから
なるものではない。この実施例は、2つのエアバック片
124のうちの1つだけから形成され、かつ次に縫い糸
126に沿って他のエアバック片124aの内側表面1
8に対し直接縫合され又は他の方法で接合される通気パ
ネル122を有する。エアバック片124aは、通気パ
ネルを有さない。通気パネル122を形成するためエア
バック片124がそれ自身の上に折り畳まれたときに、
互いに整合されるように、少なくとも2つの孔128,
129が第一のエアバック片124に形成される。これ
は、完成されたエアバック120の上部室130と下部
室132との間で膨張ガスが流通できるようにするため
に必要なものである。
【0028】本発明の範囲内にあるさらにもう1つの実
施例は、図13に示すエアバック140である。このエ
アバック140は、孔144を有する1つの大きな通気
パネル142と、完成されたエアバック140の上部室
148と下部室150とを分割するために大きな通気パ
ネル142に接合された1つの小さな非通気パネル14
6とを有する。このエアバック140は、図12に示さ
れ前述したエアバック120と同様に、1つの通気パネ
ル142が、孔144を備えるとともに1つのエアバッ
ク片152から形成されている。しかしながら、エアバ
ック140の他のエアバック片152aは、エアバック
140が完成されたときに内方に延在する小さなパネル
146を有する。大きな通気パネル142は、エアバッ
ク140の完成された通気パネル156を形成するた
め、縫い糸154により小さなパネル146に取け付ら
れる。前述した別の実施例120,140は、ほぼ同一
寸法の通気パネルをもつ左右対称のエアバック片を備え
ていないが、これらのエアバックの製造方法は、図9に
示す本発明の好ましい実施例の製造方法とほぼ同一であ
る。
【0029】前述した実施例は、エアバックの上部室と
下部室とを分割する一体的な通気パネルに1つ又はそれ
以上の孔を一般に備えるが、孔をもたないパネルを備え
ることは、本発明が教示する範囲内のものである。エア
バックの展開中に上部室と下部室との間で膨張ガスが流
通できるようにするため、コーティングされていない織
物材料を利用することも出来る。織物生地自身の多孔性
は、膨張ガスが材料の繊維間を流通することを許容し、
これにより非常に多数の微細な通気孔としての機能が発
揮される。このような実施例では、搭乗者の胴による下
部室への荷重付加により膨張ガスが一体的な通気パネル
を通って下部室から上部室へ流れ込むことを促進するた
めに、下部室を形成する材料のいくつか又はすべてがコ
ーティングされていても良い。さらに、前述のように上
部室および下部室の材料の一方または双方がコーティン
グされ、且つ通気孔を備えるようにしても良く、また、
一体的な通気パネルの材料の一部をコーティングされな
いままにしておく。
【0030】前記説明は本発明の好ましい実施例を構成
するが、適正な範囲および添付した特許請求の範囲の公
正な意図から外れることがない限り、本発明は変更、変
形および改変が可能であると認められるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を構成する2つのエアバック
片を示す平面図である。
【図2】部分的通気パネルがそれらの縁部について縫わ
れた後の各エアバック片を示す斜視図である。
【図3】1つのエアバック片を図2の3−3線に沿って
示す断面図である。
【図4】エアバックがその周囲について縫われ、エアバ
ックの外側に内側表面を有することとなったエアバック
を示す斜視図である。
【図5】各エアバック片の部分的な通気パネルが互いに
接するように上部室(点線で示す)を下部室内に引き入
れた図4のエアバックを示す斜視図である。
【図6】エアバックを図5の6−6線に沿って示す断面
図である。
【図7】一体的な通気パネルをもつ完成されたエアバッ
クを示す斜視図である。
【図8】完成されたエアバックを図7の8−8線に沿っ
て示す断面図である。
【図9】本発明のエアバックを製造する好ましい方法に
おける主要な工程を示すフローチャートである。
【図10】通気部の端部により形成された孔を通気パネ
ルにもつ別の実施例に係る2つのエアバック片を示す平
面図である。
【図11】図10の完成されたエアバックの斜視図であ
る。
【図12】2つのエアバック片のうちの1つのみで形成
された通気パネルを備える別の実施例を、図7の12−
12線に沿って示す断面図である。
【図13】一のエアバック片に大きな部分的通気パネル
を有し、当該大きな部分的通気パネルを他のエアバック
片にある小さな部分的通気パネルに取り付けた別の実施
例を、図12と同様に示す断面図である。
【符号の説明】
10,100,120,140 完成したエアバック 12,102,124,124a,152,152a
エアバック片 14 エアバック片の上側部分 16 エアバック片の下側部分 18 内側表面 20 外側表面 22 縁部 24 インフレータ開口 26,104 通気部 28 上部 30 下部 32,106 通気部の側部 34 通気部の上縁 36 通気部の下縁 38 中心線 40 孔 41 中心点 42,110,142,146 部分的な通気パネル 44 部分的な孔 46 中心線端縁 47,51,55,126,154 縫い目(縫い糸) 48 最初のエアバック 50,107 エアバック片の周囲(周縁) 52 頂部 54 側縁 56,108,128,129,144 孔 58,110 完成した通気パネル 60,130,148 上部エアバック室 62,132,150 下部エアバック室

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膨張ガスの流通を許容する通気パネルを
    一体的にもつ二室エアバックを製造する方法であって、 当該方法は、 第一の面、第二の面および外周を有する第一のエアバッ
    ク片を形成する工程と、 第一の面、第二の面および外周を有する第二のエアバッ
    ク片を形成する工程と、 前記第一のエアバック片の前記第二の面の一部をそれ自
    身の上に折り畳むことにより前記第一のエアバック片の
    一部から第一の通気パネルを形成する工程と、 前記第一のエアバック片の前記第一の通気パネルを前記
    第二のエアバック片に接合する工程と、 前記第一のエアバック片及び前記第二のエアバック片を
    それらの外周のほぼすべてにわたって接合して、内部に
    一体的に形成された通気パネルを有するエアバックを形
    成し、この一体的に形成された通気パネルは前記エアバ
    ックを上部室と下部室とに分離するが、膨張ガスは前記
    上部室と前記下部室との間を流通できるようにする工程
    と、 を含む二室エアバックの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第一のエアバック片の前記第一の通
    気パネルが前記第二のエアバック片の前記第一の面に接
    合されている請求項1記載の二室エアバックの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記第一の通気パネルに少なくとも1つ
    の孔を形成する工程をさらに含む請求項1記載の二室エ
    アバックの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第一のエアバック片は、上縁、下縁
    並びに前記上縁および前記下縁からほぼ等距離にある中
    心線を有する第一の通気部をさらに有し、 前記第一の通気パネルを形成する前記工程は、まず前記
    上縁と前記下縁とが互いに隣接し且つ前記第一のエアバ
    ック片の前記第二の面がそれ自身の上に折り畳まれるよ
    うに前記第一のエアバック片を前記第一の通気パネルの
    前記中心線のまわりに折り畳み、次に前記上縁および前
    記下縁に沿って前記第一のエアバック片を接合すること
    を含み、 前記第一の通気パネルは、中心線端縁と、前記中心線端
    縁および前記接合された上下縁の間に延在する2つの側
    縁とをもつ請求項1記載の二室エアバックの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第一の通気パネルは、前記上縁と前
    記中心線との間に配された少なくとも1つの孔と、前記
    下縁と前記中心線との間に配された少なくとも1つの孔
    とを有し、前記第一のエアバック片に前記第一の通気パ
    ネルが形成されたときに、前記上縁と前記中心線との間
    に配された前記孔のそれぞれが前記下縁と前記中心線と
    の間に配された前記孔のそれぞれに整合するようになさ
    れている請求項4記載の二室エアバックの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第二のエアバック片が第二の通気部
    をさらに有し、 前記方法は、前記第二の通気部の前記第一の面をそれ自
    身の上に折り畳むことによって前記第二のエアバック片
    に第二の通気パネルを形成する工程をさらに含み、 前記第一の通気パネルが前記第二の通気パネルに接合さ
    れる、 請求項1記載の二室エアバックの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第一および第二の通気パネルのうち
    の少なくとも一が、それを通して形成された少なくとも
    1つの孔を備える請求項6記載の二室エアバックの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記第一および第二の通気パネルがほぼ
    同一寸法である請求項6記載の二室エアバックの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記第一および第二のエアバック片が互
    いにほぼ左右対称である請求項8記載の二室エアバック
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記第一および第二の通気パネルのそ
    れぞれに少なくとも1つの孔を形成して、前記中心線が
    各該孔の中心点を通るようにする工程をさらに含む請求
    項7記載の二室エアバックの製造方法。
  11. 【請求項11】 それぞれの前記第二の面が互いに向き
    合うように前記第一のエアバック片を前記第二のエアバ
    ック片に対し配置する工程と、 前記第一および第二のエアバック片をそれらの外周のほ
    ぼすべてにわたって接合することによって最初のエアバ
    ックを形成する工程であって、当該最初のエアバック
    が、該最初のエアバックの内側にある前記第一及び第二
    のエアバック片の前記第二の面と、該最初のエアバック
    の外側にある前記第一及び第二のエアバック片の前記第
    一の面とを有し、前記第一の通気パネルが前記最初のエ
    アバックの前記外側から外方に突出し、前記最初のエア
    バックが第一の部屋、第二の部屋および前記第二の部屋
    にある開口を備えるようにする工程と、 前記第一の通気パネルが前記第二のエアバック片に接す
    るまで前記最初のエアバックの前記第一の部屋を前記第
    二の部屋の中に引き入れる工程と、 前記第一のエアバック片の前記第一の通気パネルを前記
    第二のエアバック片に接合する工程と、 前記エアバックを形成するため、前記第一および第二の
    エアバック片の前記第二の面が前記エアバックの外側に
    位置するように、前記第一の部屋を前記開口を通じて引
    っ張るとともに前記第二の部屋を前記開口を通じて引っ
    張ることによって前記最初のエアバックを裏返す工程
    と、 を前記第一の通気パネルを形成する工程の後にさらに含
    む請求項1記載の二室エアバックの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記上部室と下部室とを分割するため
    前記第一の通気パネルが前記第二の通気パネルに接合さ
    れるように、前記第二のエアバック片が第二の通気パネ
    ルを備える請求項11記載の二室エアバックの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記各エアバック片の前記第一の面を
    ゴムコーティングにより被覆する工程をさらに含む請求
    項1記載の二室エアバックの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記各エアバック片の前記第二の面を
    ゴムコーティングにより被覆する工程をさらに含む請求
    項13記載の二室エアバックの製造方法。
  15. 【請求項15】 側面からの衝撃を受ける間、車輌搭乗
    者を保護するために使用される二室エアバックであっ
    て、 当該エアバックは、 周囲を有する第一のエアバック片と、 周囲を有するとともに、内側表面と外側表面とを有する
    エアバックを形成するため前記周囲のほぼ全部にわたっ
    て前記第一のエアバック片に対し接合された第二のエア
    バック片と、 前記エアバックを膨張可能な上部室と膨張可能な下部室
    とに分割する通気パネルとを有し、前記通気パネルの一
    部が前記エアバック片のうちの少なくとも1つと一体に
    されており、前記エアバックが2つの連続した生地片か
    らなる、 二室エアバック。
  16. 【請求項16】 前記第二のエアバック片が前記第一の
    エアバック片とほぼ左右対称である請求項15記載の二
    室エアバック。
  17. 【請求項17】 前記通気パネルが少なくとも1つの孔
    を備える請求項15記載の二室エアバック。
  18. 【請求項18】 前記通気パネルの全体が前記第一のエ
    アバック片と一体的に形成され、前記上部室と下部室と
    を分割するために前記通気パネルが前記第二のエアバッ
    ク片に直接接合されている請求項15記載の二室エアバ
    ック。
  19. 【請求項19】 前記通気パネルが少なくとも1つの孔
    を備える請求項18記載の二室エアバック。
  20. 【請求項20】 前記通気パネルの第一の部分が前記第
    一のエアバック片により形成されるとともに、前記通気
    パネルの第二の部分が前記第二のエアバック片により形
    成され、前記第一および第二の部分が前記エアバックの
    前記上部室と下部室とを分割するために互いに接合され
    ている請求項15記載の二室エアバック。
  21. 【請求項21】 前記通気パネルの前記第一および第二
    の部分のそれぞれがその中に形成された少なくとも1つ
    の孔の一部を有し、前記通気パネルの前記第一および第
    二の部分が互いに接合されたときに前記孔の前記一部同
    士が整合されるようになされている請求項20記載の二
    室エアバック。
  22. 【請求項22】 前記エアバックの前記内側表面がゴム
    コーティングにより被覆されている請求項15記載の二
    室エアバック。
  23. 【請求項23】 前記エアバックの前記外側表面がゴム
    コーティングにより被覆されている請求項22記載の二
    室エアバック。
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