JPH07232607A - 車両用エアバッグおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ストラップ機能を有するエアバッグを、部品
点数を少なくして、しかも簡単かつ工数の少ない接合作
業によって低コストにて製造する。 【構成】 内布５の外周縁部５ｂを、インフレータ側布
１の外周縁部から所要内周よりに重合すると共に、接合
部７間に間隔が開くよう部分的に接合し、かつこの内布
５の中央部５ａ付近と乗員側布２の中央部２ａ付近とを
接合し、エアバッグ展開時に上記内布５が緊張してエア
バッグの展開形状を規制するようなしたことを特徴とし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、運転席用エアバッグ装
置等のエアバッグ袋体に係り、詳しくはエアバッグに内
設したストラップ材によって展開形状を規制する車両用
エアバッグに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】エアバッグ装置は、車両の衝突時に瞬時
にエアバッグが膨張することによって乗員を保護する安
全装置であり、通常、ガス発生器であるインフレータ
と、インフレータのガスにより膨張するエアバッグとを
備えている。

【０００３】そして、上記エアバッグは、インフレータ
取付用の開口部を有するインフレータ側布と、この布と
ほぼ同形の乗員側布の外周縁部同士を縫合することによ
って作製されることが多い。

【０００４】ところで、エアバッグには展開形状を規制
するためにテザーと呼ばれるストラップが設けられるこ
とがある。このストラップは、エアバッグの前記インフ
レータ側布と乗員側布の夫々の中心付近同士を連結し、
エアバッグの展開形状を規制するようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ス
トラップはエアバッグの内面に取付けられているのが一
般的であり、しかもその取付構造が複雑であることか
ら、工数を要し、また部品点数も増え、ひいてはエアバ
ッグのコストアップの要因となったりする等の問題を有
している。

【０００６】本発明は叙上の如き実状に対処し、上記ス
トラップ機能を有するエアバッグを、部品点数や縫製工
数も少なくして簡便に製造することを目的とするもので
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合す
る本発明の車両用エアバッグの特徴は、前述の如くイン
フレータ側布にインフレータ取付用の開口部を形成する
一方、この開口部を覆うように内布を添設し、この内布
の外周縁部を、上記インフレータ側布の外周縁部から所
要中央部よりに重合すると共に、接合部間に間隔が開く
よう部分的に接合し、かつこの内布の中央部付近と乗員
側布の中央部付近とを接合し、エアバッグ展開時に上記
内布が緊張してエアバッグの展開形状を規制するところ
にある。

【０００８】また、上記本発明のエアバッグにおいて、
上記内布が、インフレータガスを内側で受け上記接合部
間からインフレータ側布に沿って流すガス流路制御用布
であることも好適である。そして、上記エアバッグを製
造する本発明方法は、インフレータ取付用開口部を有す
るインフレータ側布と乗員側布の外周縁部を接合してな
るエアバッグにおいて、インフレータ側布の内面側に上
記開口部を覆うように内布を添設し、該内布の外周縁部
をインフレータ側布の外周縁部と開口部との間に重合す
る工程と、上記内布の外周縁部を上記インフレータ側布
に、接合部間に間隔が開くよう部分的に接合する工程
と、上記インフレータ側布の外面側に乗員側布を重合
し、これらインフレータ側布と乗員側布の外周縁部を接
合してエアバッグ袋体を形成する工程と、このエアバッ
グ袋体を反転させ、上記開口部から前記内布の中央部付
近と乗員側布の中央部付近とを接合する工程とを有する
ことを特徴とする。

【０００９】

【作用】上記本発明のエアバッグでは、上記内布がイン
フレータ側布と乗員側布とを連結したことによって、従
来のストラップと同じくエアバッグの展開形状規制機能
を発揮する。

【００１０】そして本発明のエアバッグならびにその製
造方法では、かかるエアバッグを、内布を乗員側布に接
合するとの簡素な構成の採用により、従来の如き複雑構
造のストラップを省略せしめて低コストにて製造するこ
とが可能である。

【００１１】

【実施例】以下、さらに添付図面を参照して、本発明の
実施例を説明する。

【００１２】図１は本発明実施例のエアバッグを示す断
面図、図２は同実施例の展開形状を示す断面図、図３は
同実施例を示す斜視図である。各図に示すようにこのエ
アバッグは、インフレータ側布１と乗員側布２の外周縁
部を縫製６によって縫合することによりエアバッグの外
形が形成されており、上記インフレータ側布１の略中心
にはインフレータ３の頭部３ａが挿入される開口部４
が、また、その外周側には排気穴（図示せず）が夫々形
成されている。そして上記エアバッグの内面には、上記
開口部４を覆うように十文字形状の内布５が添設されて
いる。

【００１３】一方、本発明実施例では、上記内布５の外
周縁部５ｂを、前記各図に示すように、上記インフレー
タ側布１の外周縁部から中心に対し例えば、４／５〜１
／３程度中央部よりに重合すると共に、この内布５の外
周縁部５ｂを上記インフレータ側布１に、縫製部間にガ
ス放出口９が形成されるように４箇所を縫製７によって
部分的に縫合している。そしてさらに、この内布５の中
央部５ａ付近と前記乗員側布２の中央部２ａ付近とを直
接縫製８によって縫合し、図２に示す如く、エアバッグ
展開時に上記内布５がインフレータガスを受けて緊張
し、エアバッグの展開形状を規制するようなしている。

【００１４】他方、図４に示すものは本発明第２実施例
のエアバッグであり、このエアバッグの略円形の内布５
は、開口部４全体を広く覆うようにインフレータ側布に
重合されると共に、その外周縁部５ｂが、縫製部間にガ
ス流出口９が形成されるように４箇所が縫製７によって
部分的に縫製されている。そして、この内布５の中央部
５ａ付近と乗員側布２の中央部２ａ付近とを直接縫製８
によって縫合している。このエアバッグでは、エアバッ
グ展開時に上記内布５が、インフレータのガスを内側で
受け上記ガス流出口９からインフレータ側布に沿って流
すガス流路制御用布として機能する。従って、このエア
バッグは、エアバッグの外周側を先に膨張させるガスフ
ロー機能と、上記内側布５が従来のストラップのように
働く機能とを併せて持っている。

【００１５】かかる本発明実施例エアバッグの製造方法
としては、先ず図５に示すように、エアバッグを裏返し
た状態から行う。即ち、同図上半に示すようにインフレ
ータ側布１の内面に相当する部分に内布５の外周縁部５
ｂを、前記の如くガス流路が形成されるように縫製７に
よって部分的に縫合する。この場合、上記内布５は、同
図に示すようにインフレータ側布１に沿い垂みなく重合
することも可能であるが、図６に示すように少し、また
は図７に示すように大きく垂ませて縫着することによ
り、従来のストラップの長さを変化させるように、エア
バッグの展開形状を種々に調節することが可能である。
また、外周縁部５ｂの縫製７の位置を、インフレータ側
布１の開口部４からの距離を変えることにより、同じく
エアバッグの展開形状を調節することも可能である。

【００１６】次いで、上記図５の下半に示すように、上
記インフレータ側布１の外面側に相当する側に乗員側布
２を重合し、これら各布１，２の外周縁部を全周縫製６
によって縫合する。

【００１７】そしてさらに、かかるエアバッグを、図１
に示す状態、すなわち表側に反転させ、開口部４から上
記内布５の中央部５ｂ付近と乗員側布２の中央部付近と
を縫製８によって縫合する。以上の作業により、本発明
実施例のエアバッグの製造工程は完了する。

【００１８】しかして、上記本発明実施例のエアバッグ
では、上記内布５の縫製部間のガス放出口９からインフ
レータガスを流してエアバッグを膨張させる一方、上記
内布５がインフレータ側布１と乗員側布２とを連結した
ことによって、従来のストラップと同じくエアバッグの
展開形状規制機能を発揮する。

【００１９】そしてさらに、上記本発明実施例では、製
造方法のところで説明したように、従来の如き複雑なス
トラップを省略して部品点数も少くした上に、前述の如
く簡単かつ工数の少ない縫製作業によって、ガスフロー
コントロール機能やストラップ機能を持つエアバッグを
簡便かつ低コストにて製造することが可能である。

【００２０】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明のエアバッグは運転席用以外に側部用、後部席用、そ
の他に利用することが可能である。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のエアバッ
グならびにその製造方法は、インフレータ取付用開口部
に添設した内布の外周縁部を、インフレータ側布の外周
縁部から所要中央部よりに重合すると共に、接合部間に
間隔が開くよう部分的に接合し、かつこの内布の中央部
付近と前記乗員側布の中央部付近とを接合し、エアバッ
グ展開時に上記内布が緊張してエアバッグの展開形状を
規制するようなしたものであり、かかるストラップ機能
を持つエアバッグを、従来の複雑なストラップを省略し
て部品点数を少なくすると共に、上記内布を乗員側布に
接合するとの簡単かつ工数の少ない接合作業によって簡
便かつ低コストにて製造せしめるとの顕著な効果を奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例のエアバッグを示す断面図であ
る。

【図２】同実施例の展開形状を示す断面図である。

【図３】同実施例を示す斜視図である。

【図４】本発明第２実施例のエアバッグを示す斜視図で
ある。

【図５】同実施例の製造方法を示す断面説明図である。

【図６】同実施例の内布のインフレータ側布への取付例
を示す断面図である。

【図７】同実施例の内布のインフレータ側布への他の取
付例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ インフレータ側布 ２ 乗員側布 ２ａ 乗員側布の中央部 ３ インフレータ ３ａ インフレータ頭部 ４ 開口部 ５ 内布 ５ａ 内布の中央部 ５ｂ 内布の外周縁部 ６，７，８ 縫製（接合） ９ ガス放出口

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インフレータ側布と乗員側布の外周縁部
   を接合することによりエアバッグ袋体を形成してなり、
   上記インフレータ側布にインフレータ取付用の開口部を
   形成した車両用エアバッグにおいて、上記開口部を覆う
   ように内布を添設し、この内布の外周縁部を、上記イン
   フレータ側布の外周縁部から所要中央部よりに重合する
   と共に、接合部間に間隔が開くよう部分的に接合し、か
   つこの内布の中央部付近と前記乗員側布の中央部付近と
   を接合し、エアバッグ展開時に上記内布が緊張して上記
   乗員側布の乗員方向への伸長を制限するようなしたこと
   を特徴とする車両用エアバッグ。
2. 【請求項２】 上記内布が、インフレータガスを内側で
   受け上記接合部間からインフレータ側布に沿って流すガ
   ス流路制御用布である請求項１記載の車両用エアバッ
   グ。
3. 【請求項３】 インフレータ取付用開口部を有するイン
   フレータ側布と乗員側布の外周縁部を接合してなるエア
   バッグにおいて、インフレータ側布の内面側に上記開口
   部を覆うように内布を添設し、該内布の外周縁部をイン
   フレータ側布の外周縁部と開口部との間に重合する工程
   と、上記内布の外周縁部を上記インフレータ側布に、接
   合部間に間隔が開くよう部分的に接合する工程と、上記
   インフレータ側布の外面側に乗員側布を重合し、これら
   インフレータ側布と乗員側布の外周縁部を接合してエア
   バッグ袋体を形成する工程と、このエアバッグ袋体を反
   転させ、上記開口部から前記内布の中央部付近と乗員側
   布の中央部付近とを接合する工程とを有する車両用エア
   バッグの製造方法。