JPH1168463A - 温度補償型水晶発振器 - Google Patents

温度補償型水晶発振器

Info

Publication number
JPH1168463A
JPH1168463A JP15912798A JP15912798A JPH1168463A JP H1168463 A JPH1168463 A JP H1168463A JP 15912798 A JP15912798 A JP 15912798A JP 15912798 A JP15912798 A JP 15912798A JP H1168463 A JPH1168463 A JP H1168463A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
circuit
square
signal
low
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP15912798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4011198B2 (ja
Inventor
Yasuhiro Sakurai
保宏 桜井
Atsushi Nobuoka
淳 信岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Watch Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Citizen Watch Co Ltd filed Critical Citizen Watch Co Ltd
Priority to JP15912798A priority Critical patent/JP4011198B2/ja
Publication of JPH1168463A publication Critical patent/JPH1168463A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4011198B2 publication Critical patent/JP4011198B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Oscillators With Electromechanical Resonators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低価格で、温度補償範囲が広いCDMA仕様
を満たす温度補償型水晶発振器を提供する。 【解決手段】 水晶発振回路1に室温付近における発振
周波数がほぼ一定なATカット水晶振動子を用いる。温
度特性がほぼ直線である温度センサの出力を、低温側と
高温側2乗変換回路5,7によってそれぞれ2乗曲線信
号に変換し、それを信号合成回路27で合成して直線化
補正信号とする。その信号によって周波数調整回路29
を制御し、水晶発振回路1の発振周波数を直線化補正し
て温度補償する。勾配補正が必要な場合には直線化補正
信号に勾配を付加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、携帯電話機など
の通信機器に搭載される温度補償型水晶発振器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】携帯電話機などの通信機器に搭載される
温度補償型水晶発振器は、10MHz帯のATカット水
晶振動子を振動源として、これに何らかの周波数調整回
路を設けて温度補償回路を構成している。その温度補償
回路によって、ATカット水晶振動子の3次曲線の温度
特性を打ち消して発振周波数を安定化させる。このよう
な温度補償型水晶発振器は、その温度補償回路の構成に
より、アナログ温度補償型水晶発振器とデジタル温度補
償型水晶発振器とに大別されている。
【0003】デジタル温度補償型水晶発振器は、不揮発
性メモリを搭載した1チップの半導体集積回路で構成さ
れ、温度補償可能な温度範囲が広く周波数精度を高くで
きるという特徴がある。しかしながら、位相ノイズが高
いという欠点があるため、ほとんど普及していない。
【0004】一方、アナログ温度補償型水晶発振器は、
15℃から45℃の間の温度範囲で発振周波数がほぼ一
定である特性のATカット水晶振動子と、ディスクリー
ト部品であるコンデンサとサーミスタとの直並列回路と
で構成されている。そして、部品の温度特性の組み合わ
せによって、主に15℃以下の低温部と45℃以上の高
温部とをそれぞれ温度補償するものであって、現在普及
しているほとんどの製品がこのタイプである。
【0005】また、ごく最近では部品の組み合わせでは
なく、1チップの半導体集積回路で構成するアナログ温
度補償型水晶発振器(以下「1チップアナログ温度補償
型水晶発振器」と称する)も、例えば次の文献によって
報告されている。Kuichi Kubo 他による 1996 IEEE INT
ERNATIONAL FREQUENCY CONTROL SYMPOSIUM p.728−734
【0006】この1チップアナログ温度補償型水晶発振
器の温度補償方法は、恒温槽を使用してATカット水晶
振動子の温度特性を詳細に調べ、その特性を打ち消すた
めの3次曲線発生回路の定数を不揮発性メモリに書き込
むというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年すべての温度補償
型水晶発振器に課せられてきた課題は小型化および低価
格化であったが、これに加えて、国際間の通話方式の共
通化に向けてCDMAという方式の採用の気運が高ま
り、温度補償範囲の拡大が要請されるようになってきて
いる。これまでの温度補償範囲は、最も範囲の広い仕様
でもマイナス30℃からプラス75℃であったが、CD
MA方式の場合はマイナス30℃からプラス85℃に拡
大するよう要請されている。
【0008】アナログ温度補償型水晶発振器は、部品の
温度特性の組み合わせを利用しているが、低価格という
要請を満足しつつ75℃以上の高温側を温度補償できる
適当な部品がない。そのため、温度補償範囲の拡大はか
なり困難であるという問題点がある。デジタル温度補償
型水晶発振器は、温度補償範囲については問題はない
が、位相ノイズをアナログ温度補償型水晶発振器と同程
度まで下げることが困難であるという問題点がある。
【0009】1チップアナログ温度補償型水晶発振器
は、原理的には全ての要請に応えられる可能性が高い
が、従来の1チップアナログ温度補償型水晶発振器は温
度補償用のデータ書き込みのコストダウンを図りにく
い。そのため、低価格化の実現が困難であるという問題
点がある。つまり、従来の温度補償型水晶発振器の構成
では、すべての要請を達成することは非常に困難であ
り、現状では電話機メーカの希望にはほど遠いという課
題がある。
【0010】この発明はこのような現状に鑑みてなされ
たものであり、低価格でありながら、位相ノイズが発生
せず、温度補償範囲の拡大が可能な温度補償型水晶発振
器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明による温度補償
型水晶発振器は、上記の目的を達成するため、室温付近
における発振周波数がほぼ一定であるATカット水晶振
動子を用いた水晶発振回路と、出力の温度特性がほぼ直
線である温度センサと、この温度センサの出力を低温側
で2乗曲線信号に変換する低温側2乗変換回路と、この
低温側2乗変換回路の制御下にあって水晶発振回路の発
振周波数を調整する低温側周波数調整回路と、上温度セ
ンサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換する高温側2
乗変換回路と、この高温側2乗変換回路の制御下にあっ
て水晶発振回路の発振周波数を調整する高温側周波数調
整回路とを備えたものである。
【0012】この温度補償型水晶発振器における低温側
2乗変換回路および高温側2乗変換回路を、それぞれM
OSトランジスタと抵抗とを直列接続した回路で構成
し、その各MOSトランジスタのゲートを入力端子と
し、ドレインを出力端子とするとよい。
【0013】さらに、上記低温側2乗変換回路および高
温側2乗変換回路は、その一方をpチャネルMOSトラ
ンジスタと抵抗とを直列接続した回路とし、他方をnチ
ャネルMOSトランジスタと抵抗とを直列接続した回路
として、それぞれMOSトランジスタのゲートを入力端
子とし、ドレインを出力端子とするとよい。
【0014】この発明による温度補償型水晶発振器はま
た、上記低温側周波数調整回路と高温側周波数調整回路
とに代えて、上記低温側2乗変換回路による2乗曲線信
号と高温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを合成す
る信号合成回路と、この信号合成回路の制御下にあって
水晶発振回路の発振周波数を調整する周波数調整回路と
を備えるようにしてもよい。
【0015】この温度補償型水晶発振器における信号合
成回路は、低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と高
温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを温度係数が等
しい2つの抵抗を介して合成する回路とすることができ
る。あるいは、上記信号合成回路を、低温側2乗変換回
路による2乗曲線信号と高温側2乗変換回路による2乗
曲線信号とを温度係数が等しい低温側抵抗と高温側抵抗
とを介して合成する回路とし、その低温側抵抗の抵抗値
を高温側抵抗の抵抗値よりも大きくするとよい。
【0016】また、上記低温側2乗変換回路と高温側2
乗変換回路が同じ回路構成にした場合には、上記信号合
成回路を、低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と高
温側2乗変換回路による2乗曲線信号を、一方を反転し
他方と加算して増幅する反転増幅回路で構成するとよ
い。
【0017】この発明による温度補償型水晶発振器はま
た、ATカット水晶振動子を用いた水晶発振回路と、出
力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、この温度
センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換する低温側
2乗変換回路と、上記温度センサの出力を高温側で2乗
曲線信号に変換する高温側2乗変換回路と、上記低温側
2乗変換回路による2乗曲線信号と高温側2乗変換回路
による2乗曲線信号とを合成する信号合成回路と、この
信号合成回路の出力に使用温度範囲全体にわたって一定
の調整可能な勾配を付加する一定勾配付加回路と、この
一定勾配付加回路の制御下にあって上記水晶発振回路の
発振周波数を調整する周波数調整回路とを備えるように
してもよい。
【0018】上記一定勾配付加回路は、外部調整可能な
比例係数で上記温度センサの出力の比例信号を発生する
比例変換回路と、この比例変換回路による比例信号を反
転ポイントとして上記信号合成回路の出力を入力して反
転する反転増幅器とによって構成することができる。
【0019】また、上記比例変換回路は、温度依存性の
ない信号を反転ポイントとして上記温度センサの出力を
反転する反転増幅器と、この反転増幅器の入力端子と出
力端子との間の複数の異なる電位点にそれぞれ一方の端
子が接続され、他方の端子がいずれも共通端子に接続さ
れた複数のスイッチからなるスイッチ群と、このスイッ
チ群の各スイッチのオン・オフを制御するデータを格納
した不揮発性メモリとから構成し、上記スイッチ群の共
通端子を比例信号の出力端子とすることができる。
【0020】上記温度補償型水晶発振器において、その
一定勾配付加回路に代えて、上記信号合成回路の出力に
低温側と高温側とで別々に調整可能な勾配を付加する折
れ線勾配付加回路を設け、周波数調整回路がその折れ線
勾配付加回路の制御下にあって水晶発振回路の発振周波
数を調整するようにしてもよい。
【0021】その場合の上記折れ線勾配付加回路を、基
準温度以下の温度で上記温度センサの出力に比例し、該
基準温度以上の温度で一定の信号を出力する低温側変換
回路と、上記基準温度以上の温度で上記温度センサの出
力に比例し、該基準温度以下の温度で一定の信号を出力
する高温側変換回路と、その低温側変換回路の出力と高
温側変換回路の出力とを合成して折れ線信号を発生する
回路と、その折れ線信号を反転ポイントとして上記信号
合成回路の出力を入力して反転する反転増幅器とで構成
することができる。
【0022】これらの温度補償型水晶発振器において、
上記温度センサと低温側2乗変換回路および高温側2乗
変換回路は、それぞれ、同一特性のMOSトランジスタ
と同一特性の抵抗とを直列接続した回路からなり、その
各MOSトランジスタの製造ばらつきを補正する回路と
各抵抗の製造ばらつきを補正する回路とをそれぞれ備
え、その各MOSトランジスタの製造ばらつきを補正す
る回路同士および各抵抗の製造ばらつきを補正する回路
同士を、それぞれ一括して制御するデータを格納した不
揮発性メモリを備えるとよい。
【0023】あるいはまた、それぞれワンタイムプログ
ラマブルメモリによって、上記温度センサと低温側2乗
変換回路および高温側2乗変換回路の製造ばらつきを補
正する回路を備えるようにしてもよい。
【0024】〔発明の概要〕この発明による温度補償型
水晶発振器は、基本的には1チップアナログ温度補償型
水晶発振器に属する構成であるが、温度補償信号の発生
手段の工夫と、それに伴う調整手段の工夫とにより、低
価格でありながら温度補償範囲の拡大を達成している。
【0025】温度補償信号の発生手段の第1の工夫は、
温度補償信号を2つの要素に分解して発生させることで
ある。そしてこの工夫が、個々の水晶振動子の温度特性
を測定をすることなしに温度補償信号をATカット水晶
振動子の温度特性に適合させることを可能にしている。
まずこの点について説明する。
【0026】ATカット水晶振動の発振周波数の温度特
性カーブが3次曲線であることは公知であるが、水晶片
のカット角のばらつきなどにより、発振周波数の絶対値
や3次曲線の形は個々の水晶振動子ごとにさまざまであ
る。
【0027】しかし、基準温度(通信用水晶振動子の場
合は通常25℃)ですべての3次曲線が1点に集中する
よう発振周波数の絶対値を上下方向に移動し(これを
「fゼロ調整」と称する)、さらにこの基準温度からの
温度差に比例する量の補正を各温度で行って、基準温度
付近で3次曲線の勾配がほぼ0になるようにする(これ
を「勾配補正」と称する)と、すべてのATカット水晶
振動子の温度特性はほぼ1つの3次曲線に重なることが
判明した。
【0028】さまざまな初期特性の温度特性カーブが1
つに重なるということは、ATカット水晶振動子の製造
ばらつきに応じたfゼロ調整と勾配補正とを行いさえす
れば、残りの補正、すなわち3次曲線を直線化するとい
う補正(これを「直線化補正」と称する)については、
すべてのATカット水晶振動子に共通の係数で補正をか
けてよいことになる。
【0029】直線化補正がすべてのATカット水晶振動
子に共通であるということは、直線化補正の係数は予め
決定しておくことができることを意味するから、直線化
補正に関しては、個々の水晶振動子に対して恒温槽など
を用いた温度特性の測定は不要ということである。
【0030】したがって、恒温槽などを用いた温度特性
測定は、勾配補正の係数を求めるためだけに必要という
ことになり、もし予め勾配補正係数を決めるための情報
が入手できるならば、温度補償型水晶発振器として実装
した後は、温度補償信号を決めるための温度特性測定は
一切不要になる。
【0031】そして、温度補償型水晶発振器用のATカ
ット水晶振動子の製造方法においては、基準温度に対す
る70℃での周波数の偏差を1ppm(part per millio
n)ごとに選別し、ランク分けすることが標準工程として
組み込まれているから、1ppm以上の高精度の要求が
ない限り、このランク分けにしたがって勾配補正係数を
決めて差し支えない。
【0032】つまり、温度補償信号を直線化補正信号と
勾配補正信号という2つの要素に分解し、直線化補正信
号と勾配補正信号とを別々に発生させるという方法をと
るならば、温度補償型水晶発振器としては温度特性測定
を一切行うことなしに、ATカット水晶振動子の温度補
償を達成することができる。恒温槽などが必要になるの
は出荷検査の工程のみである。
【0033】そして、勾配補正を行う手段として不揮発
性メモリを用れば、基準温度で補正データを電気的に書
き込むだけであるから調整コストがかかることは殆どな
い。以上の説明は温度センサに製造ばらつきがないこと
を前提としているが、現実には温度センサにも製造ばら
つきがあり、その補正のために恒温槽を用いた測定が必
要になってしまうのでは、調整コストがかかってしまう
ことになる。
【0034】しかし、温度センサの構成によっては基準
温度1点で製造ばらつきの補正が可能であ。たとえば、
抵抗とMOSトランジスタとを直列接続した回路を温度
センサとして用いればそれが可能であり、不揮発性メモ
リによってその製造ばらつきを補正すれば、調整コスト
がかかることは殆どない。
【0035】温度補償信号の発生手段の第2の工夫は直
線化補正信号に関するものである。従来の1チップアナ
ログ温度補償型水晶発振器のように3次曲線発生回路を
設ける構成では、回路規模が大きくなるため半導体集積
回路のコストが高くなるので、この発明では次のように
して直線化補正信号を発生させる。
【0036】すなわち、勾配補正後のATカット水晶振
動子の温度特性の3次曲線は、およそ15℃以下の上に
凸な低温側曲線部分と、約15℃から45℃の間のほぼ
直線部分と、約45℃以上の下に凸な高温側曲線部分と
に分けることができ、この低温側曲線部分だけあるいは
高温側曲線部分だけに着目すれば、それぞれ温度に対す
る2乗曲線で近似できる。つまり、15℃以下の領域で
は15℃との温度差の2乗に比例する曲線で3次曲線の
低温側を近似することができ、45℃以上の領域では4
5℃との温度差の2乗に比例する曲線で3次曲線の高温
側を近似することができる。
【0037】そして、温度に対して出力が直線的に変化
する温度センサとMOSトランジスタの2乗則領域とを
使用することによって、なんら複雑な回路を用いること
なしに、極めて容易に2乗曲線信号を発生させることが
できる。ただし、MOSトランジスタには製造ばらつき
があるため、常に一定の2乗曲線信号を発生させるため
には、その製造ばらつきを補正する回路を設けるのが望
ましい。
【0038】このようして3次曲線を部分的に近似する
2本の2乗曲線信号を発生させ、低温側あるいは高温側
の独立の直線化補正信号とするか、あるいはこれらの2
本の2乗曲線信号を合成し、ほぼ全温度範囲にわたって
3次曲線を近似する1つの信号を発生して、それを直線
化補正信号とすればよい。
【0039】ところで、直線化補正はすべてのATカッ
ト水晶振動子に共通でよいと説明したが、実は携帯電話
機に搭載用の温度補償型水晶発振器の周波数は数種類あ
り、それぞれの周波数ごとにATカット水晶振動子の容
量比が少し異なるから、同一の可変容量で直線化補正を
行うのであれば、周波数に応じて直線化補正信号に多少
の調整が必要である。しかし、この調整のために特別な
回路を設ける必要はなく、2乗曲線信号を発生させるM
OSトランジスタの製造ばらつきを補正する回路を利用
すればよい。
【0040】温度補償信号の発生手段の第3の工夫は、
直線化補正信号を得るための低温側2乗曲線信号と高温
側2乗曲線信号との信号合成手段や、直線化補正信号へ
の勾配の付加手段に関するものである。すなわち、抵抗
分割回路と反転増幅器とを使い分けたり併用したりする
ことによって、回路規模を大きくすることなしに信号の
合成を実現する。
【0041】なお上記の説明において、直線化補正とい
う場合の直線とは、数学的に完全な直線という意味では
なく、温度補償型水晶発振器として許容される周波数偏
差の幅を持った直線的な帯内に入る線という意味であ
る。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面を参照して具体的に説明する。なお、以下に説明する
すべての実施の形態において、fゼロ調整などの温度補
償に関係しない部分についてはその説明を省略する。
【0043】〔第1の実施形態:図1〜図6〕まず、こ
の発明による温度補償型水晶発振器の第1の実施の形態
を説明する。図1はその構成を示すブロック図である。
【0044】この温度補償型水晶発振器は、室温付近に
おける発振周波数がほぼ一定であるATカット水晶振動
子を有する水晶発振回路1と、出力の温度特性がほぼ直
線である温度センサ3と、温度センサ3の出力を低温側
で2乗曲線信号に変換する低温側2乗変換回路5と、そ
の低温側2乗変換回路5の制御下にあって水晶発振回路
1に接続してその発振周波数を調整する低温側周波数調
整回路9と、温度センサ3の出力を高温側で2乗曲線信
号に変換する高温側2乗変換回路7と、その高温側2乗
変換回路7の制御下にあって水晶発振回路1に接続して
その発振周波数を調整する高温側周波数調整回路11と
を備えている。
【0045】この水晶発振回路1には、室温付近での周
波数の温度による変化がない、いわゆるフラット水晶と
呼ばれるATカット水晶振動子を用いている。その周波
数温度特性を図2に実線による3次曲線13で示す。こ
の図から判るように、温度が15℃〜45℃の間での周
波数偏差が、温度補償型水晶発振器としての許容偏差以
内である。
【0046】一方、図2において温度が15℃以下の領
域および45℃以上の領域では、係数を最適に選んだ2
乗曲線15を破線で、3次曲線13に重ねて示してい
る。これらの曲線の重なりから明らかなように、水晶発
振子の周波数温度特性を示す3次曲線13の曲線部分は
2乗曲線15で近似することができる。
【0047】そこで、15℃以下の低温側の領域では低
温側2乗変換回路5によって、45℃以上の高温側の領
域では高温側2乗変換回路7によって、それぞれ図2に
示す3次曲線13の低温側曲線部分と高温側曲線部分に
近似し、その周波数偏差を反転させた2乗曲線信号を発
生させ、その信号で図1に示す低温側周波数調整回路9
と高温側周波数調整回路11とをそれぞれ制御する。
【0048】それによって、水晶発振回路1の発振周波
数を15℃あるいは45℃からの温度差に応じた周波数
偏差を相殺するように調整して、温度特性を直線化する
ことができる。この実施形態のようにフラット水晶を用
いた水晶発振回路であれば、この直線化補正のみで温度
補償を実現できる。
【0049】ここで、2乗曲線信号を発生する低温側2
乗変換回路5および高温側2乗変換回路7の具体的な回
路例を図3および図4に示す。これは、MOSトランジ
スタと2乗変換用抵抗とを直列に接続した回路によって
2乗曲線信号を発生させる例である。
【0050】図3は、pチャネルMOSトランジスタ1
7と2乗変換用抵抗19とを直列接続した2乗変換回路
であり、pチャネルMOSトランジスタ17のソースを
正電源+Vに、ドレインを抵抗19の一端にそれぞれ接
続し、その他端をグランドに接続している。そして、p
チャネルMOSトランジスタ17のゲートを温度センサ
3からの温度検出信号Aの入力端子とし、ドレインを2
乗曲線信号Bの出力端子とする。
【0051】図4は、nチャネルMOSトランジスタ2
1と2乗変換用抵抗19とを直列接続した2乗変換回路
である。抵抗19の一端を正電源+Vに、他端をnチャ
ネルMOSトランジスタ21のドレインにそれぞれ接続
し、そのnチャネルMOSトランジスタ21のソースを
グランドに接続している。そして、nチャネルMOSト
ランジスタ21のゲートを温度センサ3からの温度検出
信号Aの入力端子とし、ドレインを2乗曲線信号Bの出
力端子とする。
【0052】低温側2乗変換回路5と高温側2乗変換回
路7の一方を図3に示す回路とし、他方を図4に示す回
路にする。これらは、いずれもMOSトランジスタの2
乗則領域での特性を利用するものである。すなわち、M
OSトランジスタのゲートにそのスレショールド電圧以
上の電圧を印加すると、ソース・ドレイン間に流れる電
流は、ゲート電圧とスレショールド電圧との差の2乗に
比例するから、この電流を2乗変換用抵抗に流して電圧
に変換することにより、2乗曲線信号を発生させること
ができる。
【0053】そこで、温度に対して出力電圧が直線的に
変化する特性の温度センサ3からの温度検出信号Aを、
図3のpチャネルMOSトランジスタ17および図4の
nチャネルMOSトランジスタ21の各ゲートに入力さ
せる。そして、15℃から低温側に温度が下がるにつれ
てnチャネルMOSトランジスタ21のゲート電圧がそ
のスレショールド電圧付近から高くなるようにし、ある
いは45℃から高温側に温度が上がるにつれてpチャネ
ルMOSトランジスタ17のゲート電圧の絶対値がその
スレショールド電圧付近から高くなるように設定する。
【0054】このようにすれば、図4のnチャネルMO
Sトランジスタ21のドレインからは低温側の2乗曲線
信号を、また図3のpチャネルMOSトランジスタ17
のドレインからは高温側の2乗曲線信号をそれぞれ発生
させることができる。このようにして発生させた2乗曲
線信号の一例を図5に示す。
【0055】この図5に示すように、図4の2乗変換回
路によって発生する低温側の2乗曲線信号23は、15
℃から低温側に温度が下がるにつれて、15℃との温度
差の2乗に比例して電圧が下がり、15℃以上の温度で
は一定になる。
【0056】一方、図3の2乗変換回路によって発生す
る高温側の2乗曲線信号25は、45℃から高温側に温
度が上がるにつれて、45℃との温度差の2乗に比例し
て電圧が上がり、45℃以下の温度では一定になる。
【0057】このように、MOSトランジスタの2乗則
領域の電流電圧特性を利用すれば、何ら複雑な回路を用
いることなしに、容易に2乗曲線信号を得ることができ
る。そして、このようにして発生させた2乗曲線信号
は、ATカット水晶振動子の温度特性曲線を近似できる
温度範囲がかなり広いので、温度補償範囲の拡大も容易
に達成できる。なお、図5に破線で示す曲線30につい
ては、後で説明する。
【0058】また、図3および図4に示す2乗変換回路
は、いずれも出力の温度特性がほぼ直線である温度セン
サを前提としているが、そのような温度センサとして種
々のものがある。
【0059】たとえば、図3又は図4に示した2乗変換
回路と同様なMOSトランジスタと抵抗との直列回路
を、そのような温度センサとして使用することができ
る。その場合には、MOSトランジスタのゲートに一定
電圧(例えばスレショールド電圧+0.3V程度)を印
加して使用する。それによって、温度変化に応じてMO
Sトランジスタのドレイン電流が直線的に変化するの
で、その電流を抵抗によって電圧に変換した信号は温度
と直線関係にあり、それを温度検出信号として出力する
ことができる。
【0060】また、フラット水晶の温度特性カーブはす
べてのATカット水晶振動子に共通であるから、個々の
温度補償型水晶発振器ごとに温度特性を測定する必要は
なく、周波数の種類ごとに共通の2乗曲線信号を発生さ
せればよい。
【0061】ただし、図3に示すような抵抗とMOSト
ランジスタとの直列接続で2乗曲線信号を発生させる場
合は、それらの製造ばらつきを補正する必要がある。し
かし、抵抗とMOSトランジスタとの直列接続という構
成は、上述の温度センサと同一の回路構成であり、温度
センサと同様に基準温度1点で製造ばらつきの補正が可
能であるから、調整コストは殆どかからない。
【0062】なお、上述の例では、nチャネルMOSト
ランジスタ21を使用した図4の回路を低温側2乗変換
回路5とし、pチャネルMOSトランジスタ17を使用
した図3の回路を高温側2乗変換回路7とした場合につ
いて説明したが、これを逆に使用しても、周波数調整回
路9,11による入力電圧と発振周波数との関係を逆に
すればよい。
【0063】また、低温側と高音側の2乗変換回路に同
じ回路を使用することもできる。その場合には、いずれ
か一方のMOSトランジスタのゲートには温度センサ3
からの温度検出信号Aを反転して印加し、その出力(2
乗曲線信号)も反転して周波数調整回路へ入力させる
か、あるいは低温側と高音側の周波数調整回路の入力電
圧と発振周波数との関係を逆にする。
【0064】図1における低温側周波数調整回路9およ
び高温側周波数調整回路11は、例えば図6に示すよう
な可変容量回路で構成することができる。この可変容量
回路は、可変容量素子C1とDCカット用のコンデンサ
C2とを直列に接続し、この直列回路を図1における水
晶発振回路1の発振周波数を調整する負荷としてグラン
ドとの間に接続する。
【0065】そして、可変容量素子C1の容量値を制御
するために、2乗変換回路5又は7からの2乗曲線信号
Bを、入力抵抗Rを介して可変容量素子C1とコンデン
サC2との接続点P1に印加する。この図6に示す例
は、可変容量回路としてはきわめて一般的なものではあ
るが、温度補償型水晶発振器に用いるためにはそれぞれ
の素子に多少の制約がある。
【0066】すなわち、可変容量素子C1は電圧制御型
のものであればどのような素子でもよいが、半導体集積
回路への内蔵の容易さの点から、MOS型コンデンサが
好適である。また、図6に示す例では接続先をグランド
にしているが、接続先の直流的な電位は不問であるか
ら、容量値の可変幅が大きくとれる任意の電位に接続し
てよい。
【0067】DCカット用コンデンサC2は、電圧に依
存しないコンデンサであることが望ましいが、可変容量
素子C1に比べて容量値が大きければその条件は必須で
はない。むしろ、可変容量素子C1の容量値の可変幅を
減らさないようにするために、浮遊容量が非常に小さい
という条件が重要である。入力抵抗Rは1MΩ程度であ
ればよいが、浮遊容量が大きい素子で構成すると可変容
量素子C1の容量値の可変幅が減ってしまうので、拡散
抵抗やMOS抵抗などは不向きである。半導体集積回路
への内蔵を考慮すれば、多結晶シリコン抵抗が最適であ
る。
【0068】以上の説明で明らかなように、この発明に
よる温度補償型水晶発振器の第1の実施形態では、MO
Sトランジスタが発生する2乗曲線信号を用いて、室温
付近での周波数が一定であるATカット水晶振動子の広
範囲の温度補償を容易に行うことができる。
【0069】〔第2の実施形態:図7〜図9〕つぎに、
この発明による温度補償型水晶発振器の第2の実施形態
を説明する。図7はその温度補償型水晶発振器の構成を
示すブロック図である。この図7において、図1と同じ
部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略
する。この図7に示す温度補償型水晶発振器において、
図1に示した温度補償型水晶発振器と異なるのは、図1
における低温側周波数調整回路9および高温側周波数調
整回路11に代えて、信号合成回路27と周波数調整回
路29を設けた点だけである。
【0070】この実施形態では、低温側2乗変換回路5
による2乗曲線信号と高温側2乗変換回路7による2乗
曲線信号とを信号合成回路27によって1つの直線化補
正信号に合成し、この直線化補正信号によって周波数調
整回路29を制御することによって、水晶発振回路1の
発振周波数を調整して温度特性を直線化するものであ
る。この場合も、水晶発振回路1の水晶振動子としてフ
ラット水晶を使用するので、この直線化補正のみで温度
補償を実現できる。
【0071】周波数調整回路29としては、図6に示し
た可変容量回路と同様な可変容量回路を使用し、その入
力端子に信号合成回路27から出力される直線化補正信
号を入力させ、その可変容量素子C1の容量値を制御す
るようにすればよい。信号合成回路27の具体的な構成
は種々考えられるが、低温側の2乗曲線信号と高温側の
2乗曲線信号とは信号としては同格であるから、このよ
うな場合は抵抗を用いた内分回路(抵抗分割回路)が最
適である。その信号合成回路の一例を図8に示す。
【0072】この図8に示す信号合成回路は、低温側2
乗曲線信号Bあるいは高温側2乗曲線信号B’をそれぞ
れの入力とする2つの1対1バッファ31,32を設
け、こバッファ31,32の間に低温側抵抗33と高温
側抵抗34とを直列接続して設ける。この低温側抵抗3
3と高温側抵抗34との接続点P2から内分(B+B’)
/2によって得られる電圧信号が直線化補正信号Cであ
る。
【0073】1対1バッファ31,32は、増幅率が1
の正転増幅回路を用いることが一般的であり、特別な回
路ではないので具体的な回路構成の説明は省略する。低
温側抵抗33と高温側抵抗34とは、直線化補正信号C
が温度で狂ってしまわないようにするため、温度係数は
等しくする必要があるが、抵抗値は必ずしも等しくする
必要はない。
【0074】むしろ、マイナス30℃からプラス85℃
というCDMA仕様の温度範囲を温度補償する場合、A
Tカット水晶振動子の温度特性上、低温側の方が高温側
よりも温度補償のための周波数調整幅を広くとる必要が
あるので、低温側抵抗33の抵抗値を高温側抵抗34の
抵抗値よりも大きく設定し、低温側での信号変化幅を大
きくした方がよい。このように、温度係数が等しい2つ
の抵抗33,34を介して合成した直線化補正信号Cの
一例が、図5に破線で示した曲線30である。
【0075】この曲線30は、図2に示した3次曲線1
3を良く近似しており、この曲線30のような直線化補
正信号で図7に示す周波数調整回路29を制御すれば、
広い温度範囲にわたってフラット水晶と呼ばれるATカ
ット水晶振動子の温度補償を行うことができる。
【0076】信号合成回路27の他の例を図9によって
説明する。この例は、低温側2乗変換回路5と高温側2
乗変換回路7に同じ回路(この例では図4に示したnチ
ャネルMOSトランジスタ21と2乗変換用抵抗19と
の直列回路)を使用する場合の例である。
【0077】低温側2乗変換回路5のMOSトランジス
タ21のゲートには、温度センサ3の温度検出信号Aを
そのまま印加し、そのドレインから低温側の2乗曲線信
号Bを出力させる。高温側2乗変換回路7のMOSトラ
ンジスタ21のゲートには、温度センサ3の温度検出信
号Aを反転した信号NAを印加し、そのドレインから高
温側の2乗曲線信号B’を出力させる。但しこの高温側
の2乗曲線信号B’は、温度に対する電圧変化が図5に
示した高温側の2乗曲線信号25とは反転した信号にな
る。
【0078】そこで、図9に示す信号合成回路27は、
オペアンプ35と入力抵抗36と帰還抵抗37とからな
る反転増幅回路であり、低温側の2乗曲線信号Bはオペ
アンプ35の非反転入力端子に入力させ、高温側の2乗
曲線信号B’は入力抵抗36を介してオペアンプ35の
反転入力端子に入力させる。したがって、この反転増幅
回路による信号合成回路27は、高温側の2乗曲線信号
B’を反転して低温側の2乗曲線信号Bと加算して増幅
する。この回路によっても、図8に示した回路と同様に
図5に破線の曲線30で示したような直線化補正信号C
を得ることができる。
【0079】ところで、温度補償範囲を拡大するという
この発明の目的に照らすと、図7に示した第2の実施形
態の方が図1に示した第1の実施形態よりも有利であ
る。なぜならば、図1に示したように、水晶発振回路1
に低温側周波数調整回路9と高温側周波数調整回路11
とを並列に接続すると、その各周波数調整回路が互いに
他方にとっての浮遊容量となる。
【0080】そのため、各周波数調整回路9,11の周
波数調整幅が減少してしまうのに対し、図7に示したよ
うに、水晶発振回路1に接続する周波数調整回路29が
1つだけの場合は、その周波数調整幅を減少させる浮遊
容量が存在しないので、より温度補償範囲を拡大できる
からである。
【0081】〔第3の実施形態:図10および図11〕
つぎに、この発明による温度補償型水晶発振器の第3の
実施形態を説明する。図10はその温度補償型水晶発振
器の構成を示すブロック図である。
【0082】この図10において、図7と同じ部分には
同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。こ
の図10に示す温度補償型水晶発振器において、図7に
示した温度補償型水晶発振器と異なるのは、信号合成回
路27と周波数調整回路29との間に一定勾配付加回路
39を設けた点である。但し、この実施形態における水
晶発振回路1の水晶発振子は、前述の各実施形態におい
て使用したフラット水晶に限らず、室温付近において任
意な温度勾配の温度特性を有するATカット水晶振動子
である。
【0083】このようなATカット水晶振動子の温度補
償を行うためには、直線化補正に加えて勾配補正も行う
必要がある。そのため、この第3の実施形態では、出力
電圧の温度特性がほぼ直線である温度センサ3の出力を
比例変換して勾配補正信号を発生するとともに、信号合
成回路27の出力である直線化補正信号Cに、その勾配
補正信号を付加する一定勾配付加回路39を設けてい
る。
【0084】なお、直線化補正のための高温側と低温側
の周波数調整回路5,7と並列に、勾配補正のための2
つの周波数調整回路を水晶発振回路1に接続するように
構成しても勾配補正は可能であるが、前述のように、水
晶発振回路1に接続する周波数調整回路が多くなると、
互いに相手にとっての浮遊容量となってしまうため不利
である。
【0085】そのため、この第3の実施形態において
は、一定勾配付加回路39を設け、信号合成回路27の
出力である直線化補正信号Cに勾配補正の信号を付加し
て温度補償信号とし、1つの周波数調整回路29だけで
水晶発振回路1の温度補償を行う構成としている。
【0086】この一定勾配付加回路39は2つの要素か
らなり、1つは温度センサ3の出力である温度検出信号
Aを比例変換して勾配補正信号を発生する部分であり、
他の1つは直線化補正信号Cにその勾配補正信号を付加
する部分である。この後半の部分は、直線化補正信号と
勾配補正信号との信号合成の一種であるが、直線化補正
信号を勾配補正信号がアレンジするという性格の合成な
ので、このような信号合成には反転増幅器が最適であ
る。
【0087】また、一定勾配付加回路39の前半の勾配
補正信号を発生する部分も、反転増幅器を用いるのが最
適である。なぜなら、温度センサ3の出力は単調増加あ
るいは単調減少のいずれかであるのに対し、温度補償の
対象であるATカット水晶振動子の温度特性は、フラッ
ト水晶の温度特性に正勾配が付加されたものも負勾配が
付加されたものも両方存在するから、勾配補正信号を作
成する回路は一方向の勾配の直線を両方向の勾配の直線
に変換できる回路であるのが望ましいが、このようなこ
とが可能な回路で最も簡単な構成のものが反転増幅器だ
からである。
【0088】ただし、ATカット水晶振動子の温度特性
に合わせて勾配補正信号を発生しなければならないか
ら、比例変換係数の外部調整が可能な構成にする必要が
ある。このように、外部調整を可能としつつ2つの反転
増幅器を用いて構成した一定勾配付加回路39の一例を
図11に示す。
【0089】図11に示す一定勾配付加回路は、比例変
換用オペアンプ41と比例変換用抵抗群45とによって
反転増幅器を構成し、その入力は温度センサ3からの温
度検出信号Aとし、反転ポイントは、基準電源42によ
る温度に依存しない信号とする。
【0090】この反転増幅器の出力をそのまま用いるの
ではなく、比例変換用抵抗群45を構成する直列に接続
された複数の抵抗R1〜R5の各接続点に一方の端子が
接続され、他方の端子が共通端子46に接続された複数
のスイッチS1〜S5からなるスイッチ群47を用い、
スイッチ制御信号Fにより閉状態となるスイッチを1つ
選択することによって、共通端子46から出力する勾配
補正信号Dを調整する。比例変換用抵抗群45を構成す
る複数の抵抗R1〜R5の各接続点は、この反転増幅器
の入力端子と出力端子との間の複数の異なる電位点を形
成している。
【0091】この反転増幅器とスイッチ群47とを合わ
せた部分が比例変換回路49であって、図10に示した
一定勾配付加回路39の前半の部分である。一定勾配付
加回路39の後半の部分は、図11に示す勾配付加用オ
ペアンプ43と入力抵抗48および帰還抵抗49とから
なる反転増幅器であり、勾配補正信号Dを反転ポイント
として、直線化補正信号Cを入力して反転する。
【0092】この反転増幅器で直線化補正信号Cが反転
される際に、その反転ポイントが勾配補正信号Dによっ
て移動していくから、直線化補正信号Cの反転信号には
勾配が付加される。これが温度補償信号Eとなる。スイ
ッチ制御信号Fは不揮発性メモリを用いて発生させる
が、そのデータ書き込みのために温度補償型水晶発振器
の温度特性を測定する必要はなく、ATカット水晶振動
子の製造段階での温度特性情報を利用すれば済む。
【0093】したがって、勾配補正のためのデータ書き
込みは基準温度(通常は25℃)の1点で行うことがで
き、調整コストは殆どかからない。また、たとえATカ
ット水晶振動子の製造段階での温度特性情報を利用でき
ないとしても、すでに直線化補正が行われているのであ
るから、任意の2点の温度での周波数を測定すれば、勾
配補正のためのデータ書き込みを行なうことができる。
【0094】任意の2点のうちの1点は、通常はfゼロ
調整を行う基準温度とするから、勾配補正のために温度
特性測定をするにしても、事実上1点の温度での周波数
を測定すれば済む。この第3の実施形態の説明から明ら
かなように、一定勾配付加回路39を用いて直線化補正
信号に勾配を付加することによって、任意の温度勾配を
有するATカット水晶振動子の温度補償を実現できる。
【0095】〔第4の実施形態:図12および図13〕
つぎに、この発明による温度補償型水晶発振器の第4の
実施形態を説明する。図12はその温度補償型水晶発振
器の構成を示すブロック図である。
【0096】この図12において、図10と同じ部分に
は同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
この図12に示す温度補償型水晶発振器において、図1
0に示した温度補償型水晶発振器と異なるのは、一定勾
配付加回路39に代えて折れ線勾配付加回路51を設け
た点である。
【0097】折れ線勾配付加回路51は、温度センサ3
による温度検出信号Aの低温側と高温側とで別々の勾配
補正を行うための折れ線勾配信号を発生するとともに、
信号合成回路27からの直線化補正信号Cに、その折れ
線勾配信号を付加する回路である。周波数調整回路29
は、この折れ線勾配付加回路51が制御する。
【0098】水晶発振回路1における水晶振動子が、任
意の温度勾配を有する通常のATカット水晶振動子であ
れば、前述の第3の実施形態のように、直線化補正信号
に対し全温度範囲にわたって一定の勾配を付加すること
によって温度補償を実現できる。しかし、ATカット水
晶振動子の中には温度特性に歪みがあるなどの理由によ
り、低温側と高温側とで別々の係数で勾配補正をしなけ
ればならないものが存在する。
【0099】あるいは、たとえ温度特性に歪みがなくて
も、ATカット水晶振動子の製造段階での温度特性の情
報が、通常は70℃という高温側の温度でのものである
ために、この情報に基づいて勾配補正を行うと、低温側
だけ発振周波数が規格から外れてしまう割合が多くなっ
てしまう。
【0100】このような場合に、全温度範囲にわたって
勾配補正係数を変更するよりは、規格内にある高温側に
ついては勾配補正係数を変更せず、低温側だけ変更する
方が歩留まりがよくなるし、周波数精度も高くなる。そ
こで、図12に示す第4の実施形態においては、折れ線
勾配付加回路51によって低温側と高温側とで別々の勾
配を付加できるようにしている。
【0101】この折れ線勾配付加回路51は2つの要素
からなり、1つは温度センサ3の出力である温度検出信
号Aから折れ線勾配信号を発生する部分であり、他の1
つは信号合成回路27の出力である直線化補正信号C
に、その折れ線勾配信号を付加する部分である。
【0102】この後半の部分は、前述の一定勾配付加回
路39の後半部分と同様に、反転増幅器で構成すればよ
い。また、折れ線勾配信号を発生する折れ線勾配付加回
路51の前半の部分は、内分回路と反転増幅器とを併用
すれば容易に構成でき、その一例を図13に示す。
【0103】図13は、3つの反転増幅器と1つの内分
回路で構成する折れ線勾配信号発生回路の例である。こ
の回路は、オペアンプ50と抵抗群51からなる反転増
幅器と、低温側勾配制御信号Gによりそれぞれ制御され
るスイッチ群52および反転ポイント用可変電源54に
よって、低温側勾配発生回路53を構成している。
【0104】抵抗群51は入力端子56とオペアンプ5
0の出力端子との間に直列接続された複数の抵抗からな
り、その各抵抗の接続点にスイッチ群52を構成する各
スイッチの一端を接続し、その各スイッチの他端は共通
にオペアンプ50の出力端子に接続されている。そし
て、この低温側勾配発生回路53は、入力端子56から
温度センサによる温度検出信号Aを入力して、基準温度
以上では一定値で、かつ基準温度以下で一定の勾配を有
する低温側勾配信号Kを発生する。
【0105】さらに、固定反転ポイント用電源58と、
オペアンプ59と入力抵抗60および帰還抵抗61から
なる反転増幅器によって高温側勾配発生回路55を構成
している。この高温側勾配発生回路55は、低温側勾配
発生回路53と共通の入力端子56から温度センサ3に
よる温度検出信号Aを入力して、電源58による反転ポ
イントに相当する基準温度以下では一定値で、かつ基準
温度以上で一定の勾配を有する高温側勾配信号K’を発
生する。
【0106】この低温側勾配信号Kと高温側勾配信号
K’とを内分回路57に入力し、内分回路57がその内
分出力(K+K’)/2により基準温度で折れ曲がる折
れ線信号Lを発生する。
【0107】この折れ線信号Lは、オペアンプ63とそ
の入力抵抗と帰還抵抗をなす直列接続された複数の抵抗
からなる抵抗群64と、固定反転ポイント用電源65
と、抵抗群64の各抵抗の接続点と出力端子との間に接
続された複数のスイッチからなるスイッチ群とから構成
される反転増幅器に入力する。そして、スイッチ制御信
号Fによってスイッチ群66の複数のスイッチいずれか
が選択されてオンにされ、この反転増幅器によって最終
的に折れ線勾配信号Dを発生する。
【0108】図13には示していないが、図11に示し
た一定勾配付加回路と同様に、この折れ線勾配信号Dを
反転ポイントとし、直線化補正信号Cを入力とする反転
増幅器(図11におけるオペアンプ43と入力抵抗48
および帰還抵抗49による反転増幅器に相当する)を用
いることにより、直線化補正信号Cに折れ線勾配を付加
した温度補償信号Eを発生することができる。
【0109】以上のような折れ線勾配付加回路51を用
いることにより、より周波数精度の高い温度補償型水晶
発振器を実現することができる。そして、周波数精度が
高いだけ、温度補償範囲の拡大が更に容易になる。
【0110】〔温度補償型水晶発振器の調整方法〕以上
この発明による温度補償型水晶発振器の第1から第4の
実施の形態について説明したが、つぎにこの温度補償型
水晶発振器の調整方法について説明する。まず、第4の
実施形態による温度補償型水晶発振器の調整方法は、つ
ぎの通りである。
【0111】すなわち、製造段階でのATカット水晶振
動子の周波数温度特性情報をもとに、基準温度において
低温側と高温側との勾配の大きさを調整する工程と、い
くつかの異なる温度において発振周波数を測定する出荷
検査工程と、この出荷検査で不合格となったものに対
し、折れ線勾配付加回路の低温側の勾配の大きさを調整
する工程とを実行する調整方法である。
【0112】製造段階でのATカット水晶振動子の周波
数温度特性情報は、通常温度70℃でのものであるか
ら、この情報をもとに基準温度において折れ線勾配付加
回路51の低温側と高温側の勾配の大きさを調整し、出
荷検査を行ってみると、高温側の周波数精度は規格内に
収まるが、低温側は規格から外れる割合が高くなってし
まう。この規格外品は再調整を行う必要があるが、その
際全温度範囲にわたって勾配を変更すると、今度は高温
側の周波数精度が悪化し、規格から外れる割合が高くな
ってしまう。
【0113】そこで、高温側の勾配補正は変更せず、低
温側だけを変更すれば、全温度範囲にわたって周波数が
規格内に収まる割合が非常に高くなる。この低温側の勾
配補正の変更は、出荷検査の情報をもとに、基準温度で
不揮発性メモリのデータを書き換えることによってで行
うから、調整コストは殆どかからない。なお、このよう
な調整方法を可能にするためには、少なくとも低温側の
勾配を調整する不揮発性メモリは、書き換え可能でなけ
ればならない。
【0114】つぎに、前述の第3の実施形態による温度
補償型水晶発振器の調整方法は、つぎの通りである。す
なわち、製造段階でのATカット水晶振動子の周波数温
度特性情報をもとに、基準温度において一定勾配付加回
路39の勾配の大きさを調整する工程と、いくつかの異
なる温度において発振周波数を測定する出荷検査工程
と、この出荷検査で不合格となったものに対し、低温側
2乗変換回路の変換係数を調整する工程とを実行する調
整方法である。
【0115】前述のように、出荷検査で規格外となるの
は殆ど低温側だけであるが、第3の実施の形態では、全
温度範囲にわたって一定の勾配補正を行うから、出荷検
査での規格外品に対し、低温側だけ勾配補正を変更する
ことはできない。しかし、周波数が規格から外れる場合
であっても、基準温度付近での周波数は規格内であっ
て、温度15℃から低温になるにつれて規格からのずれ
が大きくなることが多い。
【0116】このような場合は、勾配補正は変更せず、
低温側2乗変換回路の変換係数を再調整することで、周
波数を規格内に入れることができる。そして、この低温
側2乗変換回路の変換係数を再調整する場合も、出荷検
査の情報をもとに基準温度で不揮発性メモリのデータを
書き換えることによって行うから、調整コストは殆どか
からない。なお、このような調整方法を可能にするため
には、少なくとも低温側2乗変換回路の変換係数を調整
する不揮発性メモリは書き換え可能でなければならな
い。
【0117】このように、この発明による温度補償型水
晶発振器では、基準温度1点で温度補償データを書き込
み、その後の出荷検査での規格外品に対しては、出荷検
査の情報をもとに低温側だけ直線化補正あるいは勾配補
正を再調整するという調整方法を実行することにより、
出荷検査以外の調整コストはほとんど不要となる。
【0118】以上のように、各実施の形態に基づいてこ
の発明を具体的に説明したが、この発明は上記の実施の
形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない
範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0119】例えば、温度センサ3と低温側2乗変換回
路5および高温側2乗変換回路7を、同一製造工程で製
造する同一特性で同一導電形のMOSトランジスタと、
同一製造工程で製造する同一特性の抵抗との直列接続回
路によって、それぞれ構成してもよい。
【0120】このような構成にすれば、これらのMOS
トランジスタの製造ばらつきを補正する回路同士および
これらの抵抗の製造ばらつきを補正する回路同士を、そ
れぞれ不揮発性メモリで一括して制御することができ、
温度補償型水晶発振器の調整がさらに容易になる。
【0121】また、このような半導体集積回路上の素子
の製造ばらつきの補正については、不揮発性メモリをワ
ンタイムプログラマブルメモリ(OTPROM)とし、
ウェーハのテスティング段階でデータ書き込みを終了さ
せておくとよい。そうすれば、温度補償型水晶発振器の
実装形態として、抵抗やMOSトランジスタの製造ばら
つきを測定するための端子が不要になるからである。
【0122】この場合、不揮発性メモリとしてワンタイ
ムプログラマブルメモリとする理由は、実装工程の最中
にメモリのデータが消えてしまうことを防ぐためであ
る。ここで、たとえ書き換え可能な不揮発性メモリであ
っても、実装工程中にデータが消えることがないなら
ば、ワンタイムプログラマブルメモリを用いる必要はな
い。
【0123】ところで、基本的には1チップアナログ温
度補償型水晶発振器に属するこの発明の温度補償型水晶
発振器が、従来の1チップアナログ温度補償型水晶発振
器と違って調整コストがかからない理由は、温度補償信
号を直線化補正信号と勾配補正信号とに分けて発生させ
てから合成しているために、ATカット水晶振動子の温
度特性情報を利用するだけで基準温度でデータ書き込み
が可能であるためである。
【0124】したがって、3次関数発生回路を備える従
来の1チップアナログ温度補償型水晶発振器の場合も、
このような考え方を適用して改良することにより、調整
コストの引き下げが可能である。
【0125】すなわち、3次関数発生回路を、周波数ご
とにすべてのATカット水晶振動子に共通の3次曲線を
発生する直線化補正信号発生回路と、使用温度範囲全体
にわたってこの3次曲線に一定の勾配を付加する勾配補
正付加回路とで構成すれば、ATカット水晶振動子の温
度特性情報を利用するだけで基準温度でデータ書き込み
が可能になり、調整コストが殆どかからなくなる。
【0126】ただしこの方法によって改良できるのは調
整コストのみであり、3次関数発生回路が複雑であるた
め、半導体集積回路の規模は大きいままであるから、上
述の2乗曲線信号によって3次曲線を近似する方法の方
が優れている。
【0127】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明の温
度補償型水晶発振器においては、室温付近における発振
周波数がほぼ一定なATカット水晶振動子を使用した水
晶発振回路の、3次関数曲線を示す温度特性を補償する
ための信号を、温度センサの出力を低温側と高温側とに
分けて上記3次関数曲線に近似する2乗曲線信号に変換
して作成するようにしたので、簡単な回路構成で、広範
囲の温度補償を行なうことが可能である。
【0128】また、室温付近で任意の勾配を有するAT
カット水晶振動子を使用する場合には、その温度補償信
号を直線化補正信号と勾配補正信号とに分けて発生させ
てから合成することにより、直線化補正信号を簡単な構
成の回路で発生でき、調整コストも殆どかからない。そ
れによって、低コストでありながら温度補償範囲の拡大
が可能な温度補償型水晶発振器を提供することができ
る。したがって、特にCDMA仕様が要求される携帯電
話機搭載用の温度補償型水晶発振器にこの発明を適用す
れば、その効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による温度補償型水晶発振器の第1の
実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の第1,第2の実施形態で使用するA
Tカット水晶振動子の温度特性の一例およびその近似曲
線の一例を示す温度−周波数偏差特性の線図ある。
【図3】この発明の各実施形態で使用するpチャネルM
OSトランジスタと抵抗とを直列接続した2乗変換回路
の回路図である。
【図4】この発明の各実施形態で使用するnチャネルM
OSトランジスタと抵抗とを直列接続した2乗変換回路
の回路図である。
【図5】この発明の第1,第2の実施形態における2乗
曲線信号の一例およびその合成信号の一例である温度−
電圧特性を示す線図である。
【図6】この発明の各実施形態における周波数調整回路
として使用する可変容量回路の一例を示す回路図であ
る。
【図7】この発明による温度補償型水晶発振器の第2の
実施形態の構成を示すブロック図である。
【図8】図7の温度補償型水晶発振器における信号合成
回路27の一例を示すブロック回路図である。
【図9】図7の温度補償型水晶発振器における信号合成
回路27の他の例を低温側および高温側の2乗変換回路
と共に示す回路図である。
【図10】この発明による温度補償型水晶発振器の第3
の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図11】図11の温度補償型水晶発振器における一定
勾配付加回路39の一例を示す回路図である。
【図12】この発明による温度補償型水晶発振器の第4
の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図13】図12の温度補償型水晶発振器における折れ
線勾配付加回路51の主要部をなす折れ線勾配信号発生
回路の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
1:水晶発振回路 3:温度センサ 5:低温側2乗変換回路 7:高温側2乗変換回路 9:低温側周波数調整回路 11:高温側周波数調整回路 17:pチャネルMOSトランジスタ 19:2乗変換用抵抗 21:nチャネルMOSトランジスタ 27:信号合成回路 31,32:1対1バッファ 33:低温側抵抗 34:高温側抵抗 39:一定勾配付加回路 49:比例変換回路 51:折れ線勾配付加回路 53:低温側勾配発生回路 55:高温側勾配発生回路 57:内分回路 A:温度検出信号 B:低温側の2乗曲線信号 B’:高温側の2乗曲線信号 C:直線化補正信号 D:折れ線勾配信号 E:温度補償信号 F:スイッチ制御信号 G:低温側勾配制御信号 K:低温側勾配信号 K’:高温側勾配信号 L:折れ線信号

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室温付近における発振周波数がほぼ一定
    であるATカット水晶振動子を用いた水晶発振回路と、 出力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、 この温度センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換す
    る低温側2乗変換回路と、 この低温側2乗変換回路の制御下にあって前記水晶発振
    回路の発振周波数を調整する低温側周波数調整回路と、 前記温度センサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換す
    る高温側2乗変換回路と、 この高温側2乗変換回路の制御下にあって前記水晶発振
    回路の発振周波数を調整する高温側周波数調整回路とを
    備えたことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の温度補償型水晶発振器に
    おいて、 前記低温側2乗変換回路および高温側2乗変換回路は、
    それぞれMOSトランジスタと抵抗とを直列接続した回
    路からなり、そのMOSトランジスタのゲートを入力端
    子とし、ドレインを出力端子とすることを特徴とする温
    度補償型水晶発振器。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の温度補償型水晶発振器に
    おいて、 前記低温側2乗変換回路および高温側2乗変換回路は、 その一方がpチャネルMOSトランジスタと抵抗とを直
    列接続した回路からなり、他方がnチャネルMOSトラ
    ンジスタと抵抗とを直列接続した回路からなり、それぞ
    れ各MOSトランジスタのゲートを入力端子とし、ドレ
    インを出力端子とすることを特徴とする温度補償型水晶
    発振器。
  4. 【請求項4】 室温付近における発振周波数がほぼ一定
    であるATカット水晶振動子を用いた水晶発振回路と、 出力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、 この温度センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換す
    る低温側2乗変換回路と、 前記温度センサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換す
    る高温側2乗変換回路と、 前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温
    側2乗変換回路による2乗曲線信号とを合成する信号合
    成回路と、 この信号合成回路の制御下にあって前記水晶発振回路の
    発振周波数を調整する周波数調整回路とを備えたことを
    特徴とする温度補償型水晶発振器。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の温度補償型水晶発振器に
    おいて、 前記信号合成回路が、 前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温
    側2乗変換回路による2乗曲線信号とを温度係数が等し
    い2つの抵抗を介して合成する回路であることを特徴と
    する温度補償型水晶発振器。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の温度補償型水晶発振器
    において、 前記信号合成回路が、 前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温
    側2乗変換回路による2乗曲線信号とを温度係数が等し
    い低温側抵抗と高温側抵抗とを介して合成する回路であ
    り、 前記低温側抵抗の抵抗値が前記高温側抵抗の抵抗値より
    も大きいことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の温度補償型水晶発振器に
    おいて、 前記低温側2乗変換回路と高温側2乗変換回路が同じ回
    路構成であり、 前記信号合成回路が、 前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温
    側2乗変換回路による2乗曲線信号を、一方を反転し他
    方と加算して増幅する反転増幅回路であることを特徴と
    する温度補償型水晶発振器。
  8. 【請求項8】 ATカット水晶振動子を用いた水晶発振
    回路と、 出力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、 この温度センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換す
    る低温側2乗変換回路と、 前記温度センサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換す
    る高温側2乗変換回路と、 前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温
    側2乗変換回路による2乗曲線信号とを合成する信号合
    成回路と、 この信号合成回路の出力に使用温度範囲全体にわたって
    一定の調整可能な勾配を付加する一定勾配付加回路と、 この一定勾配付加回路の制御下にあって前記水晶発振回
    路の発振周波数を調整する周波数調整回路とを備えたこ
    とを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の温度補償型水晶発振器に
    おいて、 前記一定勾配付加回路が、外部調整可能な比例係数で温
    度センサの出力の比例信号を発生する比例変換回路と、
    この比例変換回路による比例信号を反転ポイントとして
    前記信号合成回路の出力を入力して反転する反転増幅器
    とからなることを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の温度補償型水晶発振器
    において、 前記比例変換回路が、 温度依存性のない信号を反転ポイントとして前記温度セ
    ンサの出力を反転する反転増幅器と、 この反転増幅器の入力端子と出力端子との間の複数の異
    なる電位点にそれぞれ一方の端子が接続され、他方の端
    子がいずれも共通端子に接続された複数のスイッチから
    なるスイッチ群と、 このスイッチ群の各スイッチのオン・オフを制御するデ
    ータを格納した不揮発性メモリとからなり、 前記スイッチ群の前記共通端子を比例信号の出力端子と
    することを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  11. 【請求項11】 ATカット水晶振動子を用いた水晶発
    振回路と、 出力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、 この温度センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換す
    る低温側2乗変換回路と、 前記温度センサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換す
    る高温側2乗変換回路と、 前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温
    側2乗変換回路による2乗曲線信号とを合成する信号合
    成回路と、 この信号合成回路の出力に低温側と高温側とで別々に調
    整可能な勾配を付加する折れ線勾配付加回路と、 この折れ線勾配付加回路の制御下にあって前記水晶発振
    回路の発振周波数を調整する周波数調整回路とを備えた
    ことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の温度補償型水晶発振
    器において、 前記折れ線勾配付加回路が、 基準温度以下の温度で前記温度センサの出力に比例し、
    該基準温度以上の温度で一定の信号を出力する低温側変
    換回路と、 前記基準温度以上の温度で前記温度センサの出力に比例
    し、該基準温度以下の温度で一定の信号を出力する高温
    側変換回路と、 前記低温側変換回路の出力と前記高温側変換回路の出力
    とを合成して折れ線信号を発生する回路と、 その折れ線信号を反転ポイントとして前記信号合成回路
    の出力を入力して反転する反転増幅器とからなることを
    特徴とする温度補償型水晶発振器。
  13. 【請求項13】 請求項1,4,8,11のいずれか一
    項に記載の温度補償型水晶発振器において、 前記温度センサと前記低温側2乗変換回路および前記高
    温側2乗変換回路は、 それぞれ、同一特性のMOSトランジスタと同一特性の
    抵抗とを直列接続した回路からなり、 そのMOSトランジスタの製造ばらつきを補正する回路
    と抵抗の製造ばらつきを補正する回路とをそれぞれ備
    え、 そのMOSトランジスタの製造ばらつきを補正する回路
    同士および抵抗の製造ばらつきを補正する回路同士を、
    それぞれ一括して制御するデータを格納した不揮発性メ
    モリを備えたことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  14. 【請求項14】 請求項1,4,8,11のいずれか一
    項に記載の温度補償型水晶発振器において、 それぞれワンタイムプログラマブルメモリによって、前
    記温度センサと前記低温側2乗変換回路および前記高温
    側2乗変換回路の製造ばらつきを補正する回路を備えた
    ことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
JP15912798A 1997-06-13 1998-06-08 温度補償型水晶発振器 Expired - Fee Related JP4011198B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15912798A JP4011198B2 (ja) 1997-06-13 1998-06-08 温度補償型水晶発振器

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15679197 1997-06-13
JP9-156791 1997-06-13
JP15912798A JP4011198B2 (ja) 1997-06-13 1998-06-08 温度補償型水晶発振器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1168463A true JPH1168463A (ja) 1999-03-09
JP4011198B2 JP4011198B2 (ja) 2007-11-21

Family

ID=26484451

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15912798A Expired - Fee Related JP4011198B2 (ja) 1997-06-13 1998-06-08 温度補償型水晶発振器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4011198B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6781472B2 (en) 2001-09-05 2004-08-24 Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. Pseudo-cubic function generator circuit
JP2011502440A (ja) * 2007-10-30 2011-01-20 クゥアルコム・インコーポレイテッド 水晶発振器のための温度補償
CN110336555A (zh) * 2018-12-31 2019-10-15 唐山晶源电子有限公司 一种频率稳定的恒温晶体振荡器
JP2021040266A (ja) * 2019-09-04 2021-03-11 株式会社東芝 発振装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6781472B2 (en) 2001-09-05 2004-08-24 Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. Pseudo-cubic function generator circuit
JP2011502440A (ja) * 2007-10-30 2011-01-20 クゥアルコム・インコーポレイテッド 水晶発振器のための温度補償
CN110336555A (zh) * 2018-12-31 2019-10-15 唐山晶源电子有限公司 一种频率稳定的恒温晶体振荡器
CN110336555B (zh) * 2018-12-31 2023-11-24 唐山国芯晶源电子有限公司 一种频率稳定的恒温晶体振荡器
JP2021040266A (ja) * 2019-09-04 2021-03-11 株式会社東芝 発振装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4011198B2 (ja) 2007-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5473289A (en) Temperature compensated crystal oscillator
JP3350040B2 (ja) 温度補償型発振器
US7482889B2 (en) Apparatus and method of temperature compensating an ovenized oscillator
US7800457B2 (en) Self-calibrating temperature-compensated oscillator
JP5839884B2 (ja) 温度補償型水晶発振器
US5986515A (en) Temperature compensation crystal oscillator
JP2001267847A (ja) 温度補償型水晶発振器及び水晶発振器の温度補償方法
JPH104318A (ja) 温度補償型水晶発振器
JPH11220327A (ja) 発振器の温度補償回路
US20110043290A1 (en) Crystal oscillator
US5999063A (en) Temperature-compensated crystal oscillator using square-law converter circuits for lower and higher temperature sides
JP4011198B2 (ja) 温度補償型水晶発振器
JP3253207B2 (ja) 温度補償水晶発振器
JP4870894B2 (ja) 温度補償型発振器
JPH09298422A (ja) Tco回路
JP7437905B2 (ja) 温度制御回路、発振制御回路及び温度制御方法
JP2006033238A (ja) 電圧制御型発振器
JP2975411B2 (ja) 温度補償圧電発振器
JP4370893B2 (ja) 圧電発振器、及び製造方法
JP2001060828A (ja) 温度補償発振器
JP4428124B2 (ja) 温度補償発振器
JPH0846427A (ja) 電圧制御型水晶発振器
JPH10261919A (ja) 温度補償型水晶発振器
JP2002026658A (ja) 水晶発振回路
JPH1168461A (ja) 圧電発振回路

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050315

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050315

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070502

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070522

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070723

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070904

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070905

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110914

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110914

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130914

Year of fee payment: 6

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees