JP4011198B2 - 温度補償型水晶発振器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、携帯電話機などの通信機器に搭載される温度補償型水晶発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機などの通信機器に搭載される温度補償型水晶発振器は、10MHz帯のATカット水晶振動子を振動源として、これに何らかの周波数調整回路を設けて温度補償回路を構成している。その温度補償回路によって、ATカット水晶振動子の3次曲線の温度特性を打ち消して発振周波数を安定化させる。
このような温度補償型水晶発振器は、その温度補償回路の構成により、アナログ温度補償型水晶発振器とデジタル温度補償型水晶発振器とに大別されている。
【0003】
デジタル温度補償型水晶発振器は、不揮発性メモリを搭載した1チップの半導体集積回路で構成され、温度補償可能な温度範囲が広く周波数精度を高くできるという特徴がある。
しかしながら、位相ノイズが高いという欠点があるため、ほとんど普及していない。
【0004】
一方、アナログ温度補償型水晶発振器は、15℃から45℃の間の温度範囲で発振周波数がほぼ一定である特性のATカット水晶振動子と、ディスクリート部品であるコンデンサとサーミスタとの直並列回路とで構成されている。
そして、部品の温度特性の組み合わせによって、主に15℃以下の低温部と45℃以上の高温部とをそれぞれ温度補償するものであって、現在普及しているほとんどの製品がこのタイプである。
【0005】
また、ごく最近では部品の組み合わせではなく、1チップの半導体集積回路で構成するアナログ温度補償型水晶発振器(以下「1チップアナログ温度補償型水晶発振器」と称する)も、例えば次の文献によって報告されている。
Kuichi Kubo 他による 1996 IEEE INTERNATIONAL FREQUENCY CONTROL SYMPOSIUM p.728−734
【0006】
この1チップアナログ温度補償型水晶発振器の温度補償方法は、恒温槽を使用してATカット水晶振動子の温度特性を詳細に調べ、その特性を打ち消すための3次曲線発生回路の定数を不揮発性メモリに書き込むというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年すべての温度補償型水晶発振器に課せられてきた課題は小型化および低価格化であったが、これに加えて、国際間の通話方式の共通化に向けてCDMAという方式の採用の気運が高まり、温度補償範囲の拡大が要請されるようになってきている。
これまでの温度補償範囲は、最も範囲の広い仕様でもマイナス30℃からプラス75℃であったが、CDMA方式の場合はマイナス30℃からプラス85℃に拡大するよう要請されている。
【0008】
アナログ温度補償型水晶発振器は、部品の温度特性の組み合わせを利用しているが、低価格という要請を満足しつつ75℃以上の高温側を温度補償できる適当な部品がない。そのため、温度補償範囲の拡大はかなり困難であるという問題点がある。
デジタル温度補償型水晶発振器は、温度補償範囲については問題はないが、位相ノイズをアナログ温度補償型水晶発振器と同程度まで下げることが困難であるという問題点がある。
【0009】
1チップアナログ温度補償型水晶発振器は、原理的には全ての要請に応えられる可能性が高いが、従来の1チップアナログ温度補償型水晶発振器は温度補償用のデータ書き込みのコストダウンを図りにくい。そのため、低価格化の実現が困難であるという問題点がある。
つまり、従来の温度補償型水晶発振器の構成では、すべての要請を達成することは非常に困難であり、現状では電話機メーカの希望にはほど遠いという課題がある。
【0010】
この発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、低価格でありながら、位相ノイズが発生せず、温度補償範囲の拡大が可能な温度補償型水晶発振器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明による温度補償型水晶発振器は、上記の目的を達成するため、室温付近における発振周波数がほぼ一定であるATカット水晶振動子を用いた水晶発振回路と、出力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、この温度センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換する低温側2乗変換回路と、この低温側2乗変換回路の制御下にあって水晶発振回路の発振周波数を調整する低温側周波数調整回路と、上温度センサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換する高温側2乗変換回路と、この高温側2乗変換回路の制御下にあって水晶発振回路の発振周波数を調整する高温側周波数調整回路とを備えたものである。
【0012】
この温度補償型水晶発振器における低温側2乗変換回路および高温側2乗変換回路を、それぞれMOSトランジスタと抵抗とを直列接続した回路で構成し、その各MOSトランジスタのゲートを入力端子とし、ドレインを出力端子とするとよい。
【0013】
さらに、上記低温側2乗変換回路および高温側2乗変換回路は、その一方をpチャネルMOSトランジスタと抵抗とを直列接続した回路とし、他方をnチャネルMOSトランジスタと抵抗とを直列接続した回路として、それぞれMOSトランジスタのゲートを入力端子とし、ドレインを出力端子とするとよい。
【0014】
この発明による温度補償型水晶発振器はまた、上記低温側周波数調整回路と高温側周波数調整回路とに代えて、上記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と高温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを合成する信号合成回路と、この信号合成回路の制御下にあって水晶発振回路の発振周波数を調整する周波数調整回路とを備えるようにしてもよい。
【0015】
この温度補償型水晶発振器における信号合成回路は、低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と高温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを温度係数が等しい2つの抵抗を介して合成する回路とすることができる。
あるいは、上記信号合成回路を、低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と高温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを温度係数が等しい低温側抵抗と高温側抵抗とを介して合成する回路とし、その低温側抵抗の抵抗値を高温側抵抗の抵抗値よりも大きくするとよい。
【0016】
また、上記低温側2乗変換回路と高温側2乗変換回路が同じ回路構成にした場合には、上記信号合成回路を、低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と高温側2乗変換回路による2乗曲線信号を、一方を反転し他方と加算して増幅する反転増幅回路で構成するとよい。
【0017】
この発明による温度補償型水晶発振器はまた、ATカット水晶振動子を用いた水晶発振回路と、出力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、この温度センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換する低温側2乗変換回路と、上記温度センサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換する高温側2乗変換回路と、上記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と高温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを合成する信号合成回路と、この信号合成回路の出力に使用温度範囲全体にわたって一定の調整可能な勾配を付加する一定勾配付加回路と、この一定勾配付加回路の制御下にあって上記水晶発振回路の発振周波数を調整する周波数調整回路とを備えるようにしてもよい。
【0018】
上記一定勾配付加回路は、外部調整可能な比例係数で上記温度センサの出力の比例信号を発生する比例変換回路と、この比例変換回路による比例信号を反転ポイントとして上記信号合成回路の出力を入力して反転する反転増幅器とによって構成することができる。
【0019】
また、上記比例変換回路は、温度依存性のない信号を反転ポイントとして上記温度センサの出力を反転する反転増幅器と、前記温度センサの出力を入力する端子と上記反転増幅器の出力端子との間の複数の異なる電位点にそれぞれ一方の端子が接続され、他方の端子がいずれも共通端子に接続された複数のスイッチからなるスイッチ群と、このスイッチ群の各スイッチのオン・オフを制御するデータを格納した不揮発性メモリとから構成し、上記反転増幅器の入力端子が上記複数の異なる電位点の一つに接続され、上記スイッチ群の共通端子を比例信号の出力端子とすることができる。
【0020】
上記温度補償型水晶発振器において、その一定勾配付加回路に代えて、上記信号合成回路の出力に低温側と高温側とで別々に調整可能な勾配を付加する折れ線勾配付加回路を設け、周波数調整回路がその折れ線勾配付加回路の制御下にあって水晶発振回路の発振周波数を調整するようにしてもよい。
【0021】
その場合の上記折れ線勾配付加回路を、基準温度以下の温度で上記温度センサの出力に比例し、該基準温度以上の温度で一定の信号を出力する低温側変換回路と、上記基準温度以上の温度で上記温度センサの出力に比例し、該基準温度以下の温度で一定の信号を出力する高温側変換回路と、その低温側変換回路の出力と高温側変換回路の出力とを合成して折れ線信号を発生する回路と、その折れ線信号を反転ポイントとして上記信号合成回路の出力を入力して反転する反転増幅器とで構成することができる。
【0022】
これらの温度補償型水晶発振器において、上記温度センサと低温側2乗変換回路および高温側2乗変換回路は、それぞれ、同一特性のMOSトランジスタと同一特性の抵抗とを直列接続した回路からなり、その各MOSトランジスタの製造ばらつきを補正する回路と各抵抗の製造ばらつきを補正する回路とをそれぞれ備え、その各MOSトランジスタの製造ばらつきを補正する回路同士および各抵抗の製造ばらつきを補正する回路同士を、それぞれ一括して制御するデータを格納した不揮発性メモリを備えるとよい。
【0023】
あるいはまた、それぞれワンタイムプログラマブルメモリによって、上記温度センサと低温側2乗変換回路および高温側2乗変換回路の製造ばらつきを補正する回路を備えるようにしてもよい。
【0024】
〔発明の概要〕
この発明による温度補償型水晶発振器は、基本的には1チップアナログ温度補償型水晶発振器に属する構成であるが、温度補償信号の発生手段の工夫と、それに伴う調整手段の工夫とにより、低価格でありながら温度補償範囲の拡大を達成している。
【0025】
温度補償信号の発生手段の第1の工夫は、温度補償信号を2つの要素に分解して発生させることである。そしてこの工夫が、個々の水晶振動子の温度特性を測定をすることなしに温度補償信号をATカット水晶振動子の温度特性に適合させることを可能にしている。まずこの点について説明する。
【0026】
ATカット水晶振動の発振周波数の温度特性カーブが3次曲線であることは公知であるが、水晶片のカット角のばらつきなどにより、発振周波数の絶対値や3次曲線の形は個々の水晶振動子ごとにさまざまである。
【0027】
しかし、基準温度(通信用水晶振動子の場合は通常25℃)ですべての3次曲線が1点に集中するよう発振周波数の絶対値を上下方向に移動し(これを「fゼロ調整」と称する)、さらにこの基準温度からの温度差に比例する量の補正を各温度で行って、基準温度付近で3次曲線の勾配がほぼ0になるようにする(これを「勾配補正」と称する)と、すべてのATカット水晶振動子の温度特性はほぼ1つの3次曲線に重なることが判明した。
【0028】
さまざまな初期特性の温度特性カーブが1つに重なるということは、ATカット水晶振動子の製造ばらつきに応じたfゼロ調整と勾配補正とを行いさえすれば、残りの補正、すなわち3次曲線を直線化するという補正(これを「直線化補正」と称する)については、すべてのATカット水晶振動子に共通の係数で補正をかけてよいことになる。
【0029】
直線化補正がすべてのATカット水晶振動子に共通であるということは、直線化補正の係数は予め決定しておくことができることを意味するから、直線化補正に関しては、個々の水晶振動子に対して恒温槽などを用いた温度特性の測定は不要ということである。
【0030】
したがって、恒温槽などを用いた温度特性測定は、勾配補正の係数を求めるためだけに必要ということになり、もし予め勾配補正係数を決めるための情報が入手できるならば、温度補償型水晶発振器として実装した後は、温度補償信号を決めるための温度特性測定は一切不要になる。
【0031】
そして、温度補償型水晶発振器用のATカット水晶振動子の製造方法においては、基準温度に対する70℃での周波数の偏差を1ppm(part per million)ごとに選別し、ランク分けすることが標準工程として組み込まれているから、1ppm以上の高精度の要求がない限り、このランク分けにしたがって勾配補正係数を決めて差し支えない。
【0032】
つまり、温度補償信号を直線化補正信号と勾配補正信号という2つの要素に分解し、直線化補正信号と勾配補正信号とを別々に発生させるという方法をとるならば、温度補償型水晶発振器としては温度特性測定を一切行うことなしに、ATカット水晶振動子の温度補償を達成することができる。恒温槽などが必要になるのは出荷検査の工程のみである。
【0033】
そして、勾配補正を行う手段として不揮発性メモリを用れば、基準温度で補正データを電気的に書き込むだけであるから調整コストがかかることは殆どない。以上の説明は温度センサに製造ばらつきがないことを前提としているが、現実には温度センサにも製造ばらつきがあり、その補正のために恒温槽を用いた測定が必要になってしまうのでは、調整コストがかかってしまうことになる。
【0034】
しかし、温度センサの構成によっては基準温度1点で製造ばらつきの補正が可能である。たとえば、抵抗とMOSトランジスタとを直列接続した回路を温度センサとして用いればそれが可能であり、不揮発性メモリによってその製造ばらつきを補正すれば、調整コストがかかることは殆どない。
【0035】
温度補償信号の発生手段の第2の工夫は直線化補正信号に関するものである。従来の1チップアナログ温度補償型水晶発振器のように3次曲線発生回路を設ける構成では、回路規模が大きくなるため半導体集積回路のコストが高くなるので、この発明では次のようにして直線化補正信号を発生させる。
【0036】
すなわち、勾配補正後のATカット水晶振動子の温度特性の3次曲線は、およそ15℃以下の上に凸な低温側曲線部分と、約15℃から45℃の間のほぼ直線部分と、約45℃以上の下に凸な高温側曲線部分とに分けることができ、この低温側曲線部分だけあるいは高温側曲線部分だけに着目すれば、それぞれ温度に対する2乗曲線で近似できる。
つまり、15℃以下の領域では15℃との温度差の2乗に比例する曲線で3次曲線の低温側を近似することができ、45℃以上の領域では45℃との温度差の2乗に比例する曲線で3次曲線の高温側を近似することができる。
【0037】
そして、温度に対して出力が直線的に変化する温度センサとMOSトランジスタの2乗則領域とを使用することによって、なんら複雑な回路を用いることなしに、極めて容易に2乗曲線信号を発生させることができる。ただし、MOSトランジスタには製造ばらつきがあるため、常に一定の2乗曲線信号を発生させるためには、その製造ばらつきを補正する回路を設けるのが望ましい。
【0038】
このようして3次曲線を部分的に近似する2本の2乗曲線信号を発生させ、低温側あるいは高温側の独立の直線化補正信号とするか、あるいはこれらの2本の2乗曲線信号を合成し、ほぼ全温度範囲にわたって3次曲線を近似する1つの信号を発生して、それを直線化補正信号とすればよい。
【0039】
ところで、直線化補正はすべてのATカット水晶振動子に共通でよいと説明したが、実は携帯電話機に搭載用の温度補償型水晶発振器の周波数は数種類あり、それぞれの周波数ごとにATカット水晶振動子の容量比が少し異なるから、同一の可変容量で直線化補正を行うのであれば、周波数に応じて直線化補正信号に多少の調整が必要である。
しかし、この調整のために特別な回路を設ける必要はなく、2乗曲線信号を発生させるMOSトランジスタの製造ばらつきを補正する回路を利用すればよい。
【0040】
温度補償信号の発生手段の第3の工夫は、直線化補正信号を得るための低温側2乗曲線信号と高温側2乗曲線信号との信号合成手段や、直線化補正信号への勾配の付加手段に関するものである。すなわち、抵抗分割回路と反転増幅器とを使い分けたり併用したりすることによって、回路規模を大きくすることなしに信号の合成を実現する。
【0041】
なお上記の説明において、直線化補正という場合の直線とは、数学的に完全な直線という意味ではなく、温度補償型水晶発振器として許容される周波数偏差の幅を持った直線的な帯内に入る線という意味である。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
なお、以下に説明するすべての実施の形態において、fゼロ調整などの温度補償に関係しない部分についてはその説明を省略する。
【0043】
〔第1の実施形態:図1〜図6〕
まず、この発明による温度補償型水晶発振器の第1の実施の形態を説明する。図1はその構成を示すブロック図である。
【0044】
この温度補償型水晶発振器は、室温付近における発振周波数がほぼ一定であるATカット水晶振動子を有する水晶発振回路1と、出力の温度特性がほぼ直線である温度センサ3と、温度センサ3の出力を低温側で2乗曲線信号に変換する低温側2乗変換回路5と、その低温側2乗変換回路5の制御下にあって水晶発振回路1に接続してその発振周波数を調整する低温側周波数調整回路9と、温度センサ3の出力を高温側で2乗曲線信号に変換する高温側2乗変換回路7と、その高温側2乗変換回路7の制御下にあって水晶発振回路1に接続してその発振周波数を調整する高温側周波数調整回路11とを備えている。
【0045】
この水晶発振回路1には、室温付近での周波数の温度による変化がない、いわゆるフラット水晶と呼ばれるATカット水晶振動子を用いている。その周波数温度特性を図2に実線による3次曲線13で示す。この図から判るように、温度が15℃〜45℃の間での周波数偏差が、温度補償型水晶発振器としての許容偏差以内である。
【0046】
一方、図2において温度が15℃以下の領域および45℃以上の領域では、係数を最適に選んだ2乗曲線15を破線で、3次曲線13に重ねて示している。
これらの曲線の重なりから明らかなように、水晶発振子の周波数温度特性を示す3次曲線13の曲線部分は2乗曲線15で近似することができる。
【0047】
そこで、15℃以下の低温側の領域では低温側2乗変換回路5によって、45℃以上の高温側の領域では高温側2乗変換回路7によって、それぞれ図2に示す3次曲線13の低温側曲線部分と高温側曲線部分に近似し、その周波数偏差を反転させた2乗曲線信号を発生させ、その信号で図1に示す低温側周波数調整回路9と高温側周波数調整回路11とをそれぞれ制御する。
【0048】
それによって、水晶発振回路1の発振周波数を15℃あるいは45℃からの温度差に応じた周波数偏差を相殺するように調整して、温度特性を直線化することができる。
この実施形態のようにフラット水晶を用いた水晶発振回路であれば、この直線化補正のみで温度補償を実現できる。
【0049】
ここで、2乗曲線信号を発生する低温側2乗変換回路5および高温側2乗変換回路7の具体的な回路例を図3および図4に示す。これは、MOSトランジスタと2乗変換用抵抗とを直列に接続した回路によって2乗曲線信号を発生させる例である。
【0050】
図3は、pチャネルMOSトランジスタ17と2乗変換用抵抗19とを直列接続した2乗変換回路であり、pチャネルMOSトランジスタ17のソースを正電源+Vに、ドレインを抵抗19の一端にそれぞれ接続し、その他端をグランドに接続している。そして、pチャネルMOSトランジスタ17のゲートを温度センサ3からの温度検出信号Aの入力端子とし、ドレインを2乗曲線信号Bの出力端子とする。
【0051】
図4は、nチャネルMOSトランジスタ21と2乗変換用抵抗19とを直列接続した2乗変換回路である。抵抗19の一端を正電源+Vに、他端をnチャネルMOSトランジスタ21のドレインにそれぞれ接続し、そのnチャネルMOSトランジスタ21のソースをグランドに接続している。そして、nチャネルMOSトランジスタ21のゲートを温度センサ3からの温度検出信号Aの入力端子とし、ドレインを2乗曲線信号Bの出力端子とする。
【0052】
低温側2乗変換回路5と高温側2乗変換回路7の一方を図3に示す回路とし、他方を図4に示す回路にする。
これらは、いずれもMOSトランジスタの2乗則領域での特性を利用するものである。すなわち、MOSトランジスタのゲートにそのスレショールド電圧以上の電圧を印加すると、ソース・ドレイン間に流れる電流は、ゲート電圧とスレショールド電圧との差の2乗に比例するから、この電流を2乗変換用抵抗に流して電圧に変換することにより、2乗曲線信号を発生させることができる。
【0053】
そこで、温度に対して出力電圧が直線的に変化する特性の温度センサ3からの温度検出信号Aを、図3のpチャネルMOSトランジスタ17および図4のnチャネルMOSトランジスタ21の各ゲートに入力させる。そして、15℃から低温側に温度が下がるにつれてnチャネルMOSトランジスタ21のゲート電圧がそのスレショールド電圧付近から高くなるようにし、あるいは45℃から高温側に温度が上がるにつれてpチャネルMOSトランジスタ17のゲート電圧の絶対値がそのスレショールド電圧付近から高くなるように設定する。
【0054】
このようにすれば、図4のnチャネルMOSトランジスタ21のドレインからは低温側の2乗曲線信号を、また図3のpチャネルMOSトランジスタ17のドレインからは高温側の2乗曲線信号をそれぞれ発生させることができる。
このようにして発生させた2乗曲線信号の一例を図5に示す。
【0055】
この図5に示すように、図4の2乗変換回路によって発生する低温側の2乗曲線信号23は、15℃から低温側に温度が下がるにつれて、15℃との温度差の2乗に比例して電圧が下がり、15℃以上の温度では一定になる。
【0056】
一方、図3の2乗変換回路によって発生する高温側の2乗曲線信号25は、45℃から高温側に温度が上がるにつれて、45℃との温度差の2乗に比例して電圧が上がり、45℃以下の温度では一定になる。
【0057】
このように、MOSトランジスタの2乗則領域の電流電圧特性を利用すれば、何ら複雑な回路を用いることなしに、容易に2乗曲線信号を得ることができる。そして、このようにして発生させた2乗曲線信号は、ATカット水晶振動子の温度特性曲線を近似できる温度範囲がかなり広いので、温度補償範囲の拡大も容易に達成できる。
なお、図5に破線で示す曲線30については、後で説明する。
【0058】
また、図3および図4に示す2乗変換回路は、いずれも出力の温度特性がほぼ直線である温度センサを前提としているが、そのような温度センサとして種々のものがある。
【0059】
たとえば、図3又は図4に示した2乗変換回路と同様なMOSトランジスタと抵抗との直列回路を、そのような温度センサとして使用することができる。その場合には、MOSトランジスタのゲートに一定電圧(例えばスレショールド電圧+0.3V程度)を印加して使用する。それによって、温度変化に応じてMOSトランジスタのドレイン電流が直線的に変化するので、その電流を抵抗によって電圧に変換した信号は温度と直線関係にあり、それを温度検出信号として出力することができる。
【0060】
また、フラット水晶の温度特性カーブはすべてのATカット水晶振動子に共通であるから、個々の温度補償型水晶発振器ごとに温度特性を測定する必要はなく、周波数の種類ごとに共通の2乗曲線信号を発生させればよい。
【0061】
ただし、図3に示すような抵抗とMOSトランジスタとの直列接続で2乗曲線信号を発生させる場合は、それらの製造ばらつきを補正する必要がある。
しかし、抵抗とMOSトランジスタとの直列接続という構成は、上述の温度センサと同一の回路構成であり、温度センサと同様に基準温度1点で製造ばらつきの補正が可能であるから、調整コストは殆どかからない。
【0062】
なお、上述の例では、nチャネルMOSトランジスタ21を使用した図4の回路を低温側2乗変換回路5とし、pチャネルMOSトランジスタ17を使用した図3の回路を高温側2乗変換回路7とした場合について説明したが、これを逆に使用しても、周波数調整回路9,11による入力電圧と発振周波数との関係を逆にすればよい。
【0063】
また、低温側と高音側の2乗変換回路に同じ回路を使用することもできる。その場合には、いずれか一方のMOSトランジスタのゲートには温度センサ3からの温度検出信号Aを反転して印加し、その出力(2乗曲線信号)も反転して周波数調整回路へ入力させるか、あるいは低温側と高音側の周波数調整回路の入力電圧と発振周波数との関係を逆にする。
【0064】
図1における低温側周波数調整回路9および高温側周波数調整回路11は、例えば図6に示すような可変容量回路で構成することができる。
この可変容量回路は、可変容量素子C1とDCカット用のコンデンサC2とを直列に接続し、この直列回路を図1における水晶発振回路1の発振周波数を調整する負荷としてグランドとの間に接続する。
【0065】
そして、可変容量素子C1の容量値を制御するために、2乗変換回路5又は7からの2乗曲線信号Bを、入力抵抗Rを介して可変容量素子C1とコンデンサC2との接続点P1に印加する。
この図6に示す例は、可変容量回路としてはきわめて一般的なものではあるが、温度補償型水晶発振器に用いるためにはそれぞれの素子に多少の制約がある。
【0066】
すなわち、可変容量素子C1は電圧制御型のものであればどのような素子でもよいが、半導体集積回路への内蔵の容易さの点から、MOS型コンデンサが好適である。また、図6に示す例では接続先をグランドにしているが、接続先の直流的な電位は不問であるから、容量値の可変幅が大きくとれる任意の電位に接続してよい。
【0067】
DCカット用コンデンサC2は、電圧に依存しないコンデンサであることが望ましいが、可変容量素子C1に比べて容量値が大きければその条件は必須ではない。むしろ、可変容量素子C1の容量値の可変幅を減らさないようにするために、浮遊容量が非常に小さいという条件が重要である。
入力抵抗Rは1MΩ程度であればよいが、浮遊容量が大きい素子で構成すると可変容量素子C1の容量値の可変幅が減ってしまうので、拡散抵抗やMOS抵抗などは不向きである。半導体集積回路への内蔵を考慮すれば、多結晶シリコン抵抗が最適である。
【0068】
以上の説明で明らかなように、この発明による温度補償型水晶発振器の第1の実施形態では、MOSトランジスタが発生する2乗曲線信号を用いて、室温付近での周波数が一定であるATカット水晶振動子の広範囲の温度補償を容易に行うことができる。
【0069】
〔第2の実施形態:図7〜図9〕
つぎに、この発明による温度補償型水晶発振器の第2の実施形態を説明する。図7はその温度補償型水晶発振器の構成を示すブロック図である。
この図7において、図1と同じ部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。この図7に示す温度補償型水晶発振器において、図1に示した温度補償型水晶発振器と異なるのは、図1における低温側周波数調整回路9および高温側周波数調整回路11に代えて、信号合成回路27と周波数調整回路29を設けた点だけである。
【0070】
この実施形態では、低温側2乗変換回路5による2乗曲線信号と高温側2乗変換回路7による2乗曲線信号とを信号合成回路27によって1つの直線化補正信号に合成し、この直線化補正信号によって周波数調整回路29を制御することによって、水晶発振回路1の発振周波数を調整して温度特性を直線化するものである。この場合も、水晶発振回路1の水晶振動子としてフラット水晶を使用するので、この直線化補正のみで温度補償を実現できる。
【0071】
周波数調整回路29としては、図6に示した可変容量回路と同様な可変容量回路を使用し、その入力端子に信号合成回路27から出力される直線化補正信号を入力させ、その可変容量素子C1の容量値を制御するようにすればよい。
信号合成回路27の具体的な構成は種々考えられるが、低温側の2乗曲線信号と高温側の2乗曲線信号とは信号としては同格であるから、このような場合は抵抗を用いた内分回路(抵抗分割回路)が最適である。その信号合成回路の一例を図8に示す。
【0072】
この図8に示す信号合成回路は、低温側2乗曲線信号Bあるいは高温側2乗曲線信号B’をそれぞれの入力とする2つの1対1バッファ31,32を設け、こバッファ31,32の間に低温側抵抗33と高温側抵抗34とを直列接続して設ける。
この低温側抵抗33と高温側抵抗34との接続点P2から内分(B+B’)/2によって得られる電圧信号が直線化補正信号Cである。
【0073】
1対1バッファ31,32は、増幅率が1の正転増幅回路を用いることが一般的であり、特別な回路ではないので具体的な回路構成の説明は省略する。
低温側抵抗33と高温側抵抗34とは、直線化補正信号Cが温度で狂ってしまわないようにするため、温度係数は等しくする必要があるが、抵抗値は必ずしも等しくする必要はない。
【0074】
むしろ、マイナス30℃からプラス85℃というCDMA仕様の温度範囲を温度補償する場合、ATカット水晶振動子の温度特性上、低温側の方が高温側よりも温度補償のための周波数調整幅を広くとる必要があるので、低温側抵抗33の抵抗値を高温側抵抗34の抵抗値よりも大きく設定し、低温側での信号変化幅を大きくした方がよい。
このように、温度係数が等しい2つの抵抗33,34を介して合成した直線化補正信号Cの一例が、図5に破線で示した曲線30である。
【0075】
この曲線30は、図2に示した3次曲線13を良く近似しており、この曲線30のような直線化補正信号で図7に示す周波数調整回路29を制御すれば、広い温度範囲にわたってフラット水晶と呼ばれるATカット水晶振動子の温度補償を行うことができる。
【0076】
信号合成回路27の他の例を図9によって説明する。この例は、低温側2乗変換回路5と高温側2乗変換回路7に同じ回路(この例では図4に示したnチャネルMOSトランジスタ21と2乗変換用抵抗19との直列回路)を使用する場合の例である。
【0077】
低温側2乗変換回路5のMOSトランジスタ21のゲートには、温度センサ3の温度検出信号Aをそのまま印加し、そのドレインから低温側の2乗曲線信号Bを出力させる。高温側2乗変換回路7のMOSトランジスタ21のゲートには、温度センサ3の温度検出信号Aを反転した信号NAを印加し、そのドレインから高温側の2乗曲線信号B’を出力させる。但しこの高温側の2乗曲線信号B’は、温度に対する電圧変化が図5に示した高温側の2乗曲線信号25とは反転した信号になる。
【0078】
そこで、図9に示す信号合成回路27は、オペアンプ35と入力抵抗36と帰還抵抗37とからなる反転増幅回路であり、低温側の2乗曲線信号Bはオペアンプ35の非反転入力端子に入力させ、高温側の2乗曲線信号B’は入力抵抗36を介してオペアンプ35の反転入力端子に入力させる。
したがって、この反転増幅回路による信号合成回路27は、高温側の2乗曲線信号B’を反転して低温側の2乗曲線信号Bと加算して増幅する。この回路によっても、図8に示した回路と同様に図5に破線の曲線30で示したような直線化補正信号Cを得ることができる。
【0079】
ところで、温度補償範囲を拡大するというこの発明の目的に照らすと、図7に示した第2の実施形態の方が図1に示した第1の実施形態よりも有利である。
なぜならば、図1に示したように、水晶発振回路1に低温側周波数調整回路9と高温側周波数調整回路11とを並列に接続すると、その各周波数調整回路が互いに他方にとっての浮遊容量となる。
【0080】
そのため、各周波数調整回路9,11の周波数調整幅が減少してしまうのに対し、図7に示したように、水晶発振回路1に接続する周波数調整回路29が1つだけの場合は、その周波数調整幅を減少させる浮遊容量が存在しないので、より温度補償範囲を拡大できるからである。
【0081】
〔第3の実施形態:図10および図11〕
つぎに、この発明による温度補償型水晶発振器の第3の実施形態を説明する。図10はその温度補償型水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【0082】
この図10において、図7と同じ部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。この図10に示す温度補償型水晶発振器において、図7に示した温度補償型水晶発振器と異なるのは、信号合成回路27と周波数調整回路29との間に一定勾配付加回路39を設けた点である。
但し、この実施形態における水晶発振回路1の水晶発振子は、前述の各実施形態において使用したフラット水晶に限らず、室温付近において任意な温度勾配の温度特性を有するATカット水晶振動子である。
【0083】
このようなATカット水晶振動子の温度補償を行うためには、直線化補正に加えて勾配補正も行う必要がある。
そのため、この第3の実施形態では、出力電圧の温度特性がほぼ直線である温度センサ3の出力を比例変換して勾配補正信号を発生するとともに、信号合成回路27の出力である直線化補正信号Cに、その勾配補正信号を付加する一定勾配付加回路39を設けている。
【0084】
なお、直線化補正のための高温側と低温側の周波数調整回路5,7と並列に、勾配補正のための2つの周波数調整回路を水晶発振回路1に接続するように構成しても勾配補正は可能であるが、前述のように、水晶発振回路1に接続する周波数調整回路が多くなると、互いに相手にとっての浮遊容量となってしまうため不利である。
【0085】
そのため、この第3の実施形態においては、一定勾配付加回路39を設け、信号合成回路27の出力である直線化補正信号Cに勾配補正の信号を付加して温度補償信号とし、1つの周波数調整回路29だけで水晶発振回路1の温度補償を行う構成としている。
【0086】
この一定勾配付加回路39は2つの要素からなり、1つは温度センサ3の出力である温度検出信号Aを比例変換して勾配補正信号を発生する部分であり、他の1つは直線化補正信号Cにその勾配補正信号を付加する部分である。
この後半の部分は、直線化補正信号と勾配補正信号との信号合成の一種であるが、直線化補正信号を勾配補正信号がアレンジするという性格の合成なので、このような信号合成には反転増幅器が最適である。
【0087】
また、一定勾配付加回路39の前半の勾配補正信号を発生する部分も、反転増幅器を用いるのが最適である。
なぜなら、温度センサ3の出力は単調増加あるいは単調減少のいずれかであるのに対し、温度補償の対象であるATカット水晶振動子の温度特性は、フラット水晶の温度特性に正勾配が付加されたものも負勾配が付加されたものも両方存在するから、勾配補正信号を作成する回路は一方向の勾配の直線を両方向の勾配の直線に変換できる回路であるのが望ましいが、このようなことが可能な回路で最も簡単な構成のものが反転増幅器だからである。
【0088】
ただし、ATカット水晶振動子の温度特性に合わせて勾配補正信号を発生しなければならないから、比例変換係数の外部調整が可能な構成にする必要がある。このように、外部調整を可能としつつ2つの反転増幅器を用いて構成した一定勾配付加回路39の一例を図11に示す。
【0089】
図11に示す一定勾配付加回路は、比例変換用オペアンプ41と比例変換用抵抗群45とによって反転増幅器を構成し、その入力は温度センサ3からの温度検出信号Aとし、反転ポイントは、基準電源42による温度に依存しない信号とする。
【0090】
この反転増幅器の出力をそのまま用いるのではなく、比例変換用抵抗群45を構成する直列に接続された複数の抵抗R1〜R5の各接続点に一方の端子が接続され、他方の端子が共通端子46に接続された複数のスイッチS1〜S5からなるスイッチ群47を用い、スイッチ制御信号Fにより閉状態となるスイッチを1つ選択することによって、共通端子46から出力する勾配補正信号Dを調整する。比例変換用抵抗群45を構成する複数の抵抗R1〜R5の各接続点は、温度センサ3の出力である温度検出信号Aを入力する端子と上記反転増幅器(比例変換用オペアンプ41)の出力端子との間の複数の異なる電位点を形成している。
そして、上記反転増幅器(比例変換用オペアンプ41)の入力端子が上記複数の異なる電位点の一つに接続され、上記スイッチ群の共通端子46を比例信号の出力端子としている。
【0091】
この反転増幅器とスイッチ群47とを合わせた部分が比例変換回路44であって、図10に示した一定勾配付加回路39の前半の部分である。
一定勾配付加回路39の後半の部分は、図11に示す勾配付加用オペアンプ43と入力抵抗48および帰還抵抗49とからなる反転増幅器であり、勾配補正信号Dを反転ポイントとして、直線化補正信号Cを入力して反転する。
【0092】
この反転増幅器で直線化補正信号Cが反転される際に、その反転ポイントが勾配補正信号Dによって移動していくから、直線化補正信号Cの反転信号には勾配が付加される。これが温度補償信号Eとなる。
スイッチ制御信号Fは不揮発性メモリを用いて発生させるが、そのデータ書き込みのために温度補償型水晶発振器の温度特性を測定する必要はなく、ATカット水晶振動子の製造段階での温度特性情報を利用すれば済む。
【0093】
したがって、勾配補正のためのデータ書き込みは基準温度(通常は25℃)の1点で行うことができ、調整コストは殆どかからない。
また、たとえATカット水晶振動子の製造段階での温度特性情報を利用できないとしても、すでに直線化補正が行われているのであるから、任意の2点の温度での周波数を測定すれば、勾配補正のためのデータ書き込みを行なうことができる。
【0094】
任意の2点のうちの1点は、通常はfゼロ調整を行う基準温度とするから、勾配補正のために温度特性測定をするにしても、事実上1点の温度での周波数を測定すれば済む。
この第3の実施形態の説明から明らかなように、一定勾配付加回路39を用いて直線化補正信号に勾配を付加することによって、任意の温度勾配を有するATカット水晶振動子の温度補償を実現できる。
【0095】
〔第4の実施形態:図12および図13〕
つぎに、この発明による温度補償型水晶発振器の第4の実施形態を説明する。図12はその温度補償型水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【0096】
この図12において、図10と同じ部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。この図12に示す温度補償型水晶発振器において、図10に示した温度補償型水晶発振器と異なるのは、一定勾配付加回路39に代えて折れ線勾配付加回路51を設けた点である。
【0097】
折れ線勾配付加回路51は、温度センサ3による温度検出信号Aの低温側と高温側とで別々の勾配補正を行うための折れ線勾配信号を発生するとともに、信号合成回路27からの直線化補正信号Cに、その折れ線勾配信号を付加する回路である。周波数調整回路29は、この折れ線勾配付加回路51が制御する。
【0098】
水晶発振回路1における水晶振動子が、任意の温度勾配を有する通常のATカット水晶振動子であれば、前述の第3の実施形態のように、直線化補正信号に対し全温度範囲にわたって一定の勾配を付加することによって温度補償を実現できる。しかし、ATカット水晶振動子の中には温度特性に歪みがあるなどの理由により、低温側と高温側とで別々の係数で勾配補正をしなければならないものが存在する。
【0099】
あるいは、たとえ温度特性に歪みがなくても、ATカット水晶振動子の製造段階での温度特性の情報が、通常は70℃という高温側の温度でのものであるために、この情報に基づいて勾配補正を行うと、低温側だけ発振周波数が規格から外れてしまう割合が多くなってしまう。
【0100】
このような場合に、全温度範囲にわたって勾配補正係数を変更するよりは、規格内にある高温側については勾配補正係数を変更せず、低温側だけ変更する方が歩留まりがよくなるし、周波数精度も高くなる。
そこで、図12に示す第4の実施形態においては、折れ線勾配付加回路51によって低温側と高温側とで別々の勾配を付加できるようにしている。
【0101】
この折れ線勾配付加回路51は2つの要素からなり、1つは温度センサ3の出力である温度検出信号Aから折れ線勾配信号を発生する部分であり、他の1つは信号合成回路27の出力である直線化補正信号Cに、その折れ線勾配信号を付加する部分である。
【0102】
この後半の部分は、前述の一定勾配付加回路39の後半部分と同様に、反転増幅器で構成すればよい。
また、折れ線勾配信号を発生する折れ線勾配付加回路51の前半の部分は、内分回路と反転増幅器とを併用すれば容易に構成でき、その一例を図13に示す。
【0103】
図13は、3つの反転増幅器と1つの内分回路で構成する折れ線勾配信号発生回路の例である。
この回路は、オペアンプ50と抵抗群62からなる反転増幅器と、低温側勾配制御信号Gによりそれぞれ制御されるスイッチ群52および反転ポイント用可変電源54によって、低温側勾配発生回路53を構成している。
【0104】
抵抗群62は入力端子56とオペアンプ50の出力端子との間に直列接続された複数の抵抗からなり、その各抵抗の接続点にスイッチ群52を構成する各スイッチの一端を接続し、その各スイッチの他端は共通にオペアンプ50の出力端子に接続されている。
そして、この低温側勾配発生回路53は、入力端子56から温度センサによる温度検出信号Aを入力して、基準温度以上では一定値で、かつ基準温度以下で一定の勾配を有する低温側勾配信号Kを発生する。
【0105】
さらに、固定反転ポイント用電源58と、オペアンプ59と入力抵抗60および帰還抵抗61からなる反転増幅器によって高温側勾配発生回路55を構成している。この高温側勾配発生回路55は、低温側勾配発生回路53と共通の入力端子56から温度センサ3による温度検出信号Aを入力して、電源58による反転ポイントに相当する基準温度以下では一定値で、かつ基準温度以上で一定の勾配を有する高温側勾配信号K’を発生する。
【0106】
この低温側勾配信号Kと高温側勾配信号K’とを内分回路57に入力し、内分回路57がその内分出力(K+K’)/2により基準温度で折れ曲がる折れ線信号Lを発生する。
【0107】
この折れ線信号Lは、オペアンプ63とその入力抵抗と帰還抵抗をなす直列接続された複数の抵抗からなる抵抗群64と、固定反転ポイント用電源65と、抵抗群64の各抵抗の接続点と出力端子との間に接続された複数のスイッチからなるスイッチ群66とから構成される反転増幅器に入力する。そして、スイッチ制御信号Fによってスイッチ群66の複数のスイッチいずれかが選択されてオンにされ、この反転増幅器によって最終的に折れ線勾配信号Dを発生する。
【0108】
図13には示していないが、図11に示した一定勾配付加回路と同様に、この折れ線勾配信号Dを反転ポイントとし、直線化補正信号Cを入力とする反転増幅器(図11におけるオペアンプ43と入力抵抗48および帰還抵抗49による反転増幅器に相当する)を用いることにより、直線化補正信号Cに折れ線勾配を付加した温度補償信号Eを発生することができる。
【0109】
以上のような折れ線勾配付加回路51を用いることにより、より周波数精度の高い温度補償型水晶発振器を実現することができる。
そして、周波数精度が高いだけ、温度補償範囲の拡大が更に容易になる。
【0110】
〔温度補償型水晶発振器の調整方法〕
以上この発明による温度補償型水晶発振器の第1から第4の実施の形態について説明したが、つぎにこの温度補償型水晶発振器の調整方法について説明する。まず、第4の実施形態による温度補償型水晶発振器の調整方法は、つぎの通りである。
【0111】
すなわち、製造段階でのATカット水晶振動子の周波数温度特性情報をもとに、基準温度において低温側と高温側との勾配の大きさを調整する工程と、いくつかの異なる温度において発振周波数を測定する出荷検査工程と、この出荷検査で不合格となったものに対し、折れ線勾配付加回路の低温側の勾配の大きさを調整する工程とを実行する調整方法である。
【0112】
製造段階でのATカット水晶振動子の周波数温度特性情報は、通常温度70℃でのものであるから、この情報をもとに基準温度において折れ線勾配付加回路51の低温側と高温側の勾配の大きさを調整し、出荷検査を行ってみると、高温側の周波数精度は規格内に収まるが、低温側は規格から外れる割合が高くなってしまう。
この規格外品は再調整を行う必要があるが、その際全温度範囲にわたって勾配を変更すると、今度は高温側の周波数精度が悪化し、規格から外れる割合が高くなってしまう。
【0113】
そこで、高温側の勾配補正は変更せず、低温側だけを変更すれば、全温度範囲にわたって周波数が規格内に収まる割合が非常に高くなる。
この低温側の勾配補正の変更は、出荷検査の情報をもとに、基準温度で不揮発性メモリのデータを書き換えることによってで行うから、調整コストは殆どかからない。
なお、このような調整方法を可能にするためには、少なくとも低温側の勾配を調整する不揮発性メモリは、書き換え可能でなければならない。
【0114】
つぎに、前述の第3の実施形態による温度補償型水晶発振器の調整方法は、つぎの通りである。
すなわち、製造段階でのATカット水晶振動子の周波数温度特性情報をもとに、基準温度において一定勾配付加回路39の勾配の大きさを調整する工程と、いくつかの異なる温度において発振周波数を測定する出荷検査工程と、この出荷検査で不合格となったものに対し、低温側2乗変換回路の変換係数を調整する工程とを実行する調整方法である。
【0115】
前述のように、出荷検査で規格外となるのは殆ど低温側だけであるが、第3の実施の形態では、全温度範囲にわたって一定の勾配補正を行うから、出荷検査での規格外品に対し、低温側だけ勾配補正を変更することはできない。
しかし、周波数が規格から外れる場合であっても、基準温度付近での周波数は規格内であって、温度15℃から低温になるにつれて規格からのずれが大きくなることが多い。
【0116】
このような場合は、勾配補正は変更せず、低温側2乗変換回路の変換係数を再調整することで、周波数を規格内に入れることができる。
そして、この低温側2乗変換回路の変換係数を再調整する場合も、出荷検査の情報をもとに基準温度で不揮発性メモリのデータを書き換えることによって行うから、調整コストは殆どかからない。
なお、このような調整方法を可能にするためには、少なくとも低温側2乗変換回路の変換係数を調整する不揮発性メモリは書き換え可能でなければならない。
【0117】
このように、この発明による温度補償型水晶発振器では、基準温度1点で温度補償データを書き込み、その後の出荷検査での規格外品に対しては、出荷検査の情報をもとに低温側だけ直線化補正あるいは勾配補正を再調整するという調整方法を実行することにより、出荷検査以外の調整コストはほとんど不要となる。
【0118】
以上のように、各実施の形態に基づいてこの発明を具体的に説明したが、この発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0119】
例えば、温度センサ3と低温側2乗変換回路5および高温側2乗変換回路7を、同一製造工程で製造する同一特性で同一導電形のMOSトランジスタと、同一製造工程で製造する同一特性の抵抗との直列接続回路によって、それぞれ構成してもよい。
【0120】
このような構成にすれば、これらのMOSトランジスタの製造ばらつきを補正する回路同士およびこれらの抵抗の製造ばらつきを補正する回路同士を、それぞれ不揮発性メモリで一括して制御することができ、温度補償型水晶発振器の調整がさらに容易になる。
【0121】
また、このような半導体集積回路上の素子の製造ばらつきの補正については、不揮発性メモリをワンタイムプログラマブルメモリ(OTPROM)とし、ウェーハのテスティング段階でデータ書き込みを終了させておくとよい。
そうすれば、温度補償型水晶発振器の実装形態として、抵抗やMOSトランジスタの製造ばらつきを測定するための端子が不要になるからである。
【0122】
この場合、不揮発性メモリとしてワンタイムプログラマブルメモリとする理由は、実装工程の最中にメモリのデータが消えてしまうことを防ぐためである。
ここで、たとえ書き換え可能な不揮発性メモリであっても、実装工程中にデータが消えることがないならば、ワンタイムプログラマブルメモリを用いる必要はない。
【0123】
ところで、基本的には1チップアナログ温度補償型水晶発振器に属するこの発明の温度補償型水晶発振器が、従来の1チップアナログ温度補償型水晶発振器と違って調整コストがかからない理由は、温度補償信号を直線化補正信号と勾配補正信号とに分けて発生させてから合成しているために、ATカット水晶振動子の温度特性情報を利用するだけで基準温度でデータ書き込みが可能であるためである。
【0124】
したがって、3次関数発生回路を備える従来の1チップアナログ温度補償型水晶発振器の場合も、このような考え方を適用して改良することにより、調整コストの引き下げが可能である。
【0125】
すなわち、3次関数発生回路を、周波数ごとにすべてのATカット水晶振動子に共通の3次曲線を発生する直線化補正信号発生回路と、使用温度範囲全体にわたってこの3次曲線に一定の勾配を付加する勾配補正付加回路とで構成すれば、ATカット水晶振動子の温度特性情報を利用するだけで基準温度でデータ書き込みが可能になり、調整コストが殆どかからなくなる。
【0126】
ただしこの方法によって改良できるのは調整コストのみであり、3次関数発生回路が複雑であるため、半導体集積回路の規模は大きいままであるから、上述の2乗曲線信号によって3次曲線を近似する方法の方が優れている。
【0127】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の温度補償型水晶発振器においては、室温付近における発振周波数がほぼ一定なATカット水晶振動子を使用した水晶発振回路の、3次関数曲線を示す温度特性を補償するための信号を、温度センサの出力を低温側と高温側とに分けて上記3次関数曲線に近似する2乗曲線信号に変換して作成するようにしたので、簡単な回路構成で、広範囲の温度補償を行なうことが可能である。
【0128】
また、室温付近で任意の勾配を有するATカット水晶振動子を使用する場合には、その温度補償信号を直線化補正信号と勾配補正信号とに分けて発生させてから合成することにより、直線化補正信号を簡単な構成の回路で発生でき、調整コストも殆どかからない。それによって、低コストでありながら温度補償範囲の拡大が可能な温度補償型水晶発振器を提供することができる。
したがって、特にCDMA仕様が要求される携帯電話機搭載用の温度補償型水晶発振器にこの発明を適用すれば、その効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による温度補償型水晶発振器の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の第1,第2の実施形態で使用するATカット水晶振動子の温度特性の一例およびその近似曲線の一例を示す温度−周波数偏差特性の線図ある。
【図3】この発明の各実施形態で使用するpチャネルMOSトランジスタと抵抗とを直列接続した2乗変換回路の回路図である。
【図4】この発明の各実施形態で使用するnチャネルMOSトランジスタと抵抗とを直列接続した2乗変換回路の回路図である。
【図5】この発明の第1,第2の実施形態における2乗曲線信号の一例およびその合成信号の一例である温度−電圧特性を示す線図である。
【図6】この発明の各実施形態における周波数調整回路として使用する可変容量回路の一例を示す回路図である。
【図7】この発明による温度補償型水晶発振器の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図8】図7の温度補償型水晶発振器における信号合成回路27の一例を示すブロック回路図である。
【図9】図7の温度補償型水晶発振器における信号合成回路27の他の例を低温側および高温側の2乗変換回路と共に示す回路図である。
【図10】この発明による温度補償型水晶発振器の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図11】 図10の温度補償型水晶発振器における一定勾配付加回路39の一例を示す回路図である。
【図12】この発明による温度補償型水晶発振器の第4の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図13】図12の温度補償型水晶発振器における折れ線勾配付加回路51の主要部をなす折れ線勾配信号発生回路の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
1:水晶発振回路 3:温度センサ
5:低温側2乗変換回路 7:高温側2乗変換回路
9:低温側周波数調整回路
11:高温側周波数調整回路
17:pチャネルMOSトランジスタ
19:2乗変換用抵抗
21:nチャネルMOSトランジスタ
27:信号合成回路 31,32:1対1バッファ
33:低温側抵抗 34:高温側抵抗
39:一定勾配付加回路 44:比例変換回路
51:折れ線勾配付加回路
53:低温側勾配発生回路
55:高温側勾配発生回路 57:内分回路
A:温度検出信号 B:低温側の2乗曲線信号
B’:高温側の2乗曲線信号 C:直線化補正信号
D:折れ線勾配信号 E:温度補償信号
F:スイッチ制御信号 G:低温側勾配制御信号
K:低温側勾配信号 K’:高温側勾配信号
L:折れ線信号

Claims (14)

  1. 室温付近における発振周波数がほぼ一定であるATカット水晶振動子を用いた水晶発振回路と、
    出力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、
    この温度センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換する低温側2乗変換回路と、
    この低温側2乗変換回路の制御下にあって前記水晶発振回路の発振周波数を調整する低温側周波数調整回路と、
    前記温度センサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換する高温側2乗変換回路と、
    この高温側2乗変換回路の制御下にあって前記水晶発振回路の発振周波数を調整する高温側周波数調整回路と
    を備えたことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  2. 請求項1記載の温度補償型水晶発振器において、
    前記低温側2乗変換回路および高温側2乗変換回路は、それぞれMOSトランジスタと抵抗とを直列接続した回路からなり、そのMOSトランジスタのゲートを入力端子とし、ドレインを出力端子とすることを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  3. 請求項1記載の温度補償型水晶発振器において、
    前記低温側2乗変換回路および高温側2乗変換回路は、
    その一方がpチャネルMOSトランジスタと抵抗とを直列接続した回路からなり、他方がnチャネルMOSトランジスタと抵抗とを直列接続した回路からなり、それぞれ各MOSトランジスタのゲートを入力端子とし、ドレインを出力端子とすることを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  4. 室温付近における発振周波数がほぼ一定であるATカット水晶振動子を用いた水晶発振回路と、
    出力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、
    この温度センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換する低温側2乗変換回路と、
    前記温度センサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換する高温側2乗変換回路と、
    前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを合成する信号合成回路と、
    この信号合成回路の制御下にあって前記水晶発振回路の発振周波数を調整する周波数調整回路と
    を備えたことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  5. 請求項4記載の温度補償型水晶発振器において、
    前記信号合成回路が、
    前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを温度係数が等しい2つの抵抗を介して合成する回路であることを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  6. 請求項4に記載の温度補償型水晶発振器において、
    前記信号合成回路が、
    前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを温度係数が等しい低温側抵抗と高温側抵抗とを介して合成する回路であり、
    前記低温側抵抗の抵抗値が前記高温側抵抗の抵抗値よりも大きいことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  7. 請求項4記載の温度補償型水晶発振器において、
    前記低温側2乗変換回路と高温側2乗変換回路が同じ回路構成であり、
    前記信号合成回路が、
    前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温側2乗変換回路による2乗曲線信号を、一方を反転し他方と加算して増幅する反転増幅回路であることを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  8. ATカット水晶振動子を用いた水晶発振回路と、
    出力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、
    この温度センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換する低温側2乗変換回路と、
    前記温度センサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換する高温側2乗変換回路と、
    前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを合成する信号合成回路と、
    この信号合成回路の出力に使用温度範囲全体にわたって一定の調整可能な勾配を付加する一定勾配付加回路と、
    この一定勾配付加回路の制御下にあって前記水晶発振回路の発振周波数を調整する周波数調整回路と
    を備えたことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  9. 請求項8記載の温度補償型水晶発振器において、
    前記一定勾配付加回路が、外部調整可能な比例係数で温度センサの出力の比例信号を発生する比例変換回路と、この比例変換回路による比例信号を反転ポイントとして前記信号合成回路の出力を入力して反転する反転増幅器とからなることを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  10. 請求項9記載の温度補償型水晶発振器において、
    前記比例変換回路が、
    温度依存性のない信号を反転ポイントとして前記温度センサの出力を反転する反転増幅器と、
    前記温度センサの出力を入力する端子と前記反転増幅器の出力端子との間の複数の異なる電位点にそれぞれ一方の端子が接続され、他方の端子がいずれも共通端子に接続された複数のスイッチからなるスイッチ群と、
    このスイッチ群の各スイッチのオン・オフを制御するデータを格納した不揮発性メモリとからなり、
    前記反転増幅器の入力端子が前記複数の異なる電位点の一つに接続され、前記スイッチ群の前記共通端子を比例信号の出力端子とすることを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  11. ATカット水晶振動子を用いた水晶発振回路と、
    出力の温度特性がほぼ直線である温度センサと、
    この温度センサの出力を低温側で2乗曲線信号に変換する低温側2乗変換回路と、
    前記温度センサの出力を高温側で2乗曲線信号に変換する高温側2乗変換回路と、
    前記低温側2乗変換回路による2乗曲線信号と前記高温側2乗変換回路による2乗曲線信号とを合成する信号合成回路と、
    この信号合成回路の出力に低温側と高温側とで別々に調整可能な勾配を付加する折れ線勾配付加回路と、
    この折れ線勾配付加回路の制御下にあって前記水晶発振回路の発振周波数を調整する周波数調整回路と
    を備えたことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  12. 請求項11記載の温度補償型水晶発振器において、
    前記折れ線勾配付加回路が、
    基準温度以下の温度で前記温度センサの出力に比例し、該基準温度以上の温度で一定の信号を出力する低温側変換回路と、
    前記基準温度以上の温度で前記温度センサの出力に比例し、該基準温度以下の温度で一定の信号を出力する高温側変換回路と、
    前記低温側変換回路の出力と前記高温側変換回路の出力とを合成して折れ線信号を発生する回路と、
    その折れ線信号を反転ポイントとして前記信号合成回路の出力を入力して反転する反転増幅器とからなる
    ことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  13. 請求項1,4,8,11のいずれか一項に記載の温度補償型水晶発振器において、
    前記温度センサと前記低温側2乗変換回路および前記高温側2乗変換回路は、
    それぞれ、同一特性のMOSトランジスタと同一特性の抵抗とを直列接続した回路からなり、
    そのMOSトランジスタの製造ばらつきを補正する回路と抵抗の製造ばらつきを補正する回路とをそれぞれ備え、
    そのMOSトランジスタの製造ばらつきを補正する回路同士および抵抗の製造ばらつきを補正する回路同士を、それぞれ一括して制御するデータを格納した不揮発性メモリを備えたことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
  14. 請求項1,4,8,11のいずれか一項に記載の温度補償型水晶発振器において、
    それぞれワンタイムプログラマブルメモリによって、前記温度センサと前記低温側2乗変換回路および前記高温側2乗変換回路の製造ばらつきを補正する回路を備えたことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
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