JP3950654B2 - 擬似三次関数発生回路 - Google Patents

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    • H03L1/02Stabilisation of generator output against variations of physical values, e.g. power supply against variations of temperature only
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次関数に近似した電圧を発生する擬似三次関数発生回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器では時間、周波数等の基準として水晶振動子が多用されている。 このような水晶振動子の代表的なものにATカットの水晶振動子がある。
このATカットの水晶振動子は優れた周波数安定度を有するが、たとえば−30℃ないし80℃の温度変化に対して、最大数十ppmの周波数変化を生じる。
またこの周波数変化は、概略常温を変曲点とする三次曲線状の変化となる。
【0003】
一方、最近の電子機器では高機能、高精度化とともに、水晶振動子を用いた水晶発振器も発振周波数の高安定なことを要求されることが多い。
このような場合、たとえば電圧制御水晶発振器へ温度変化に対して三次曲線状に変化する制御電圧を与えて一定の周波数を維持するように制御することが考えられる。
【0004】
このため、たとえば特開平11−68463に開示されるように温度センサーの検出信号を常温よりも高温側、常温よりも低温側に分割して各別に発生させて、これらの二つの信号を合成することにより三次関数に近似した信号を得るようにしたものがある。
【0005】
またFET(電界効果トランジスタ)の二乗特性を利用し、センサーの検出出力を二乗した信号に乗算回路を用いて、さらにセンサーの検出出力を乗算して三次関数電圧を発生させることが考えられている。
【0006】
しかしながらこのようなものでは、一般に微小な電圧変化を大きく増幅するために雑音成分が重畳しやすく、また回路構成も複雑で素子数が多くなり、消費電力も増大し価格も高価になる問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、簡単な回路構成で大きな電圧変化を直接得ることができ雑音成分が少なく、コストも安価で、しかも三次関数曲線のカーブを容易に設定可能な擬似三次関数発生回路を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)は、温度センサーの検出電圧を入力されて電源電圧V cc とアースとの間に接続されたP型MOS−FETとN型MOS−FETからなるC−MOSインバータと、前記C−MOSインバータの出力端に分圧点が接続して前記P型MOS−FETとN型MOS−FETとに並列に接続した第1抵抗と第2抵抗とからなり、前記前記電源電圧V cc とアース間に接続して前記電源電圧V cc をV cc /2に分圧する分圧回路とを備え、前記C−MOSインバータは前記分圧回路の第1抵抗と第2抵抗とによって、前記電源電圧V cc のV cc /2とした入力電圧よりも低い領域及び高い領域での出力電圧を非直線領域とするとともに、前記非直線領域のうちの、前記入力電圧が前記中心電圧V cc /2よりも低い領域では、前記出力電圧は前記中心電圧V cc /2から始めは徐々に次第に急激に立ち上がり、前記非線形領域のうちの前記入力電圧が前記中心電圧V cc /2よりも高い領域では前記出力電圧は前記中心電圧V cc /2から始めは徐々に次第に急激に立ち下がり、前記C−MOSインバータ及び前記分圧回路の分圧点では前記検出電圧に応答した擬似三次関数で変化する出力電圧を得た構成とする。
【0009】
(実施態様項)
本発明の請求項2では、前記温度センサーは温度に対応した前記検出電圧を出力とする。同請求項3では、前記電源電圧 ccは正極性であり、出力する擬似三次関数は負の三次関数に近似する。また、同請求項4では、前記入力電圧の前記V cc /2とした入力電圧よりも低い領域の変化に対応した前記出力電圧前記P型MOS−FETのゲート面積によって制御し、前記入力電圧の前記V cc /2とした入力電圧よりも高い領域の変化に対応した前記出力電圧をC−MOSインバータを構成するN型MOS−FETのゲート面積によって制御する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1に示す回路図、図2に示す図1の回路の入出力特性図を参照して詳細に説明する。
【0011】
図中1はP型MOS−FETおよびN型MOS−FETのドレイン−ソース間を直列に電源Vccと接地の間に介挿し、共通に接続したゲートに信号を入力するC−MOSインバータである。
このC−MOSインバータの入力にはセンサー2の検出電圧、たとえば温度センサーから温度に対応した検出電圧を入力電圧Vinとして与える。
【0012】
そして、C−MOSインバータ1の出力を電源電圧を分圧する分圧回路3の分圧点に入力する。
この分圧回路3は、同じ抵抗値の抵抗3a、3bを2個直列に接続して電源Vccと接地の間に介挿したものである。
【0013】
この分圧回路3の抵抗3a、3bの値は、上記P型MOS−FETおよびN型MOS−FETがオフからオンになったときの立ち上がり部分の非直線領域を充分に利用できるように比較的低い抵抗値としている。
そして分圧回路の分圧点から擬似三次関数で変化する出力電圧Voutを得るようにしている。
【0014】
このような構成であれば、図1に示す回路の入出力特性は図2に示すような特性となる。すなわちインバータ1の入力電圧がVcc/2よりも低い領域では接地側に接続したN型MOS−FETはオフし、かつ入力電圧が低くなるにしたがい電源側に接続したP型MOS−FETは徐々に導通し、出力電圧はVcc/2から始めは徐々に、次第に急激に立ち上がる。
【0015】
またインバータ1の入力電圧がVcc/2よりも高い領域では、電源側に接続したP型MOS−FETはオフし、かつ入力電圧が高くなるにしたがい接地側に接続したN型MOS−FETは徐々に導通し、出力電圧はVcc/2から始めは徐々に、次第に急激に立ち下がる。
【0016】
したがって、たとえば温度に応じて略直線的に増大する入力信号に対して、出力電圧は図2に示す特性図のように概略、負の3次曲線に近似した特性となる。
したがって、この出力電圧を、たとえば電圧制御水晶発振器の制御端子へ与えて発振周波数を制御することによって、温度補償を行い、一定の発振周波数を維持することができる。
【0017】
なおATカットの水晶振動子の温度特性は、概略三次曲線状となるが、曲線の形状は振動子毎に異なる。
したがって水晶発振器の温度補償では、使用する水晶振動子毎に、その温度特性に対応した形状の三次曲線の補償電圧を必要とする。
【0018】
しかして図1に示すような回路では、インバータを構成するFETのゲート面積に応じて曲線の形状が変化する。
したがって、たとえば図3に示すように、インバータをP型MOS−FET4とN型MOS−FET5によって構成する。そしてP型MOS−FET4に複数のP型MOS−FET4a〜4nのゲート及びソースを並列に接続する。そして、ドレインをスイッチ6a〜6nを介してP型MOS−FET4のドレインに並列に接続して実質的なゲート面積を増減できるようにする。
【0019】
このようにすれば、図4に示すように入力電圧がVcc/2よりも低い領域において、P型MOS−FETのゲート面積に応じて異なる形状の曲線を得ることができる。
またこの場合、P型MOS−FETのゲート面積を大きくするほど入力電圧の変化に対する出力電圧の変化は急峻となる。
【0020】
同様に、たとえば図5に示すようにインバータのN型MOS−FET5に複数のN型MOS−FET5a〜5nのゲート及びソースを並列に接続し、ドレインをスイッチ7a〜7nを介してN型MOS−FET5のドレインに並列に接続して実質的なゲート面積を増減できるようにする。
【0021】
このようにすれば、図6に示すように入力電圧がVcc/2よりも高い領域において、N型MOS−FETのゲート面積に応じて異なる形状の曲線を得ることができる。
またこの場合、N型MOS−FETのゲート面積を大きくするほど入力電圧の変化に対する出力電圧の変化は急峻となる。
【0022】
したがって図1に示すインバータとして、図3及び図5に示す回路を組み合わせて用いることにより、たとえば図7に示すように、入力電圧Vinの全域においてそれぞれ異なる形状の曲線を得ることができる。
【0023】
しかして温度補償水晶発振器の温度補償を行う場合、たとえば図8に示すブロック図のように組み合わせればよい。
すなわち、水晶振動子の雰囲気温度を温度センサ8で測定して温度に対応して一次関数の検出電圧を得る。
そして図3、図4に示す回路を組み合わせた擬似三次関数発生回路9に温度センサ8の検出電圧を入力して擬似三次関数出力電圧を得る。
【0024】
なお、この擬似三次関数出力電圧は、入力電圧及びP型MOS−FET、N型MOS−FETの各ゲート面積に応じて、たとえば図7に示す入出力特性のグラフのように変化する。
【0025】
一方、温度センサ8の検出電圧を、一次関数発生回路10によって一定の倍率で増幅して出力電圧がVcc/2の点を通過する一次関数で変化する電圧を得る。
そして、上記擬似三次関数と一次関数を加算回路11で加算する。
この加算回路11は、たとえば演算増幅器を用いればよい。
【0026】
このように擬似三次関数に一次関数を加算することによって、合成出力の曲線をVcc/2の入力電圧Vinに対応する点を中心として、概略、回転させた形状に変形することができる。
また、上記合成出力の回転角度は一次関数発生回路の増幅(減衰)比に応じて変化する。
【0027】
したがって一次関数発生回路の増幅率とインバータのP型MOS−FET及びN型MOS−FETのゲート面積を変化させることによって、たとえば図9に示すように任意の形状の擬似三次関数を実現することができる。
【0028】
そして、加算回路の出力電圧を、たとえばATカットの水晶振動子の温度特性に対応して変化するように設定する。
そして、この出力電圧を電圧制御型水晶発振回路12へ制御電圧として与えることにより温度補償を行い、一定の発振周波数を維持することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、簡単な回路構成で大きな電圧変化を直接得られ雑音も少なく、安価であり、かつ曲線の形状を任意に設定することのできる擬似三次関数発生回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を示すブロック図である。
【図2】図1に示すブロック図の入出力特性を示すグラフである。
【図3】インバータのP型MOS−FETのゲート面積を可変する回路図である。
【図4】図3に示す回路の入出力特性を示すグラフである。
【図5】インバータのN型MOS−FETのゲート面積を可変する回路図である。
【図6】図5に示す回路の入出力特性を示すグラフである。
【図7】図3、図5に示す回路を組み合わせた入出力特性を示すグラフである。
【図8】本発明を適用した温度補償水晶発振器のブロック図である。
【図9】図8に示す回路の温度センサの検出電圧と制御電圧の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ・・ インバータ
3 ・・ 分圧回路
4 ・・ P型MOS−FET
5 ・・ N型MOS−FET

Claims (4)

  1. 温度センサーの検出電圧を入力されて電源電圧V cc とアースとの間に接続されたP型MOS−FETとN型MOS−FETからなるC−MOSインバータと、
    前記C−MOSインバータの出力端に分圧点が接続して前記P型MOS−FETとN型MOS−FETとに並列に接続した第1抵抗と第2抵抗とからなり、前記前記電源電圧V cc とアース間に接続して前記電源電圧V cc をV cc /2に分圧する分圧回路とを備え、
    前記C−MOSインバータは前記分圧回路の第1抵抗と第2抵抗とによって、前記電源電圧V cc のV cc /2とした入力電圧よりも低い領域及び高い領域での出力電圧を非直線領域とするとともに、
    前記非直線領域のうちの、前記入力電圧が前記中心電圧V cc /2よりも低い領域では、前記出力電圧は前記中心電圧V cc /2から始めは徐々に次第に急激に立ち上がり、
    前記非線形領域のうちの前記入力電圧が前記中心電圧V cc /2よりも高い領域では前記出力電圧は前記中心電圧V cc /2から始めは徐々に次第に急激に立ち下がり、
    前記C−MOSインバータ及び前記分圧回路の分圧点では前記検出電圧に応答した擬似三次関数で変化する出力電圧を得たことを特徴とする擬似三次関数発生回路。
  2. 特許請求の範囲第1項に記載のものにおいて、前記温度センサーは温度に対応した前記検出電圧を出力することを特徴とする擬似三次関数発生回路。
  3. 特許請求の範囲第1項に記載のものにおいて、前記電源電圧 ccは正極性であり、出力する擬似三次関数は負の三次関数に近似したことを特徴とする擬似三次関数発生回路。
  4. 特許請求の範囲第項に記載のものにおいて、前記入力電圧の前記V cc /2とした入力電圧よりも低い領域の変化に対応した前記出力電圧前記P型MOS−FETのゲート面積によって制御し、前記入力電圧の前記V cc /2とした入力電圧よりも高い領域の変化に対応した前記出力電圧をC−MOSインバータを構成するN型MOS−FETのゲート面積によって制御したことを特徴とする擬似三次関数発生回路。
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