JP4870894B2 - 温度補償型発振器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水晶振動子を用いた水晶発振器の温度特性を補償した温度補償型発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】
水晶振動子を用いた水晶発振器は、周波数安定度は他の発振器に比べてより勝れているが、近年の移動体無線の基準発振器として使用する場合は、水晶振動子の温度特性に起因する発振周波数の変動が問題となる。この問題を解決するために、水晶振動子の温度特性を補償する、所謂温度補償型発振器が広く用いられている。
温度補償型発振器の中でも間接法と呼ばれる方式のものは、近年の集積回路技術の発展に伴い、部品点数の削減と性能の向上が図られている。
【0003】
間接法による温度補償型発振器の温度補償原理を図17を用いて説明する。
図17における温度検出回路91は温度に依存した温度検出電圧を発生する。この電圧は、高温部低温部分別回路92と勾配補正電圧発生回路93に入力される。高温部低温部分別回路92は入力された電圧を低温部用および高温部用の2つに分けて、それぞれ低温部3次曲線電圧発生回路94および高温部3次曲線電圧発生回路95へ入力させる。
低温部3次曲線電圧発生回路94および高温部3次曲線電圧発生回路95、勾配補正電圧発生回路93、標準周波数調整電圧発生回路96からそれぞれ出力される電圧は、加算回路97に入力されて加算され、周波数調整回路98に出力される。
【0004】
周波数調整回路98は、入力された電圧によって水晶振動子90を有する発振回路99の発振周波数を制御する。また、標準周波数調整電圧発生回路96から出力される電圧によって、既定の温度における標準発振周波数の調整を行う。
3次曲線電圧発生回路は、入力される電圧を3乗した電圧を発生するだけなので、入力電圧と出力電圧の2次元平面において、3次曲線の半分である第1象限の電圧しか発生できない。
そこで、一連の3次曲線電圧を得るためには、入力電圧と出力電圧を反転させて3次曲線電圧を発生させる低温部3次曲線電圧発生回路94と、通常の動作で3次曲線電圧を発生させる高温部3次曲線電圧発生回路95とを用い、その各出力電圧を加算することになる。
そのために、高温部低温部分別回路92と低温部3次曲線電圧発生回路94および高温部3次曲線電圧発生回路95が必要となる。
【0005】
上述の一連の動作において、低温部3次曲線電圧発生回路94および高温部3次曲線電圧発生回路95は、周波数調整回路98がATカット水晶の3次温度特性を補償するような電圧を発生し、勾配補正電圧発生回路93は、周波数調整回路98がATカット水晶の1次温度特性を補償するような電圧を発生する。
これ等の電圧を加算回路97で加算して、周波数調整回路98に入力することにより、発振回路99の発振周波数が温度により変化することを補償する。このようにして温度補償型発振器の発振周波数は温度が変化しても一定に保たれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、上述のようにATカット水晶の温度特性を補償するために、温度検出回路からの電圧を低温部と高温部に分けるための高温部低温部分別回路、2つの3次曲線電圧発生回路、勾配補正電圧発生回路、および加算回路を必要とするため、回路規模が増大するとともに、これ等の各回路の製造時のばらつきを補正するために、個々に煩雑な調整が必要になるという問題がある。
そこでこの発明は、この問題点を解決して、回路構成が簡潔で小型化に適し、調整も容易な温度補償型発振器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明による温度補償型発振器は上記の目的を達成するため、発振回路と、制御電圧によってその発振回路の発振周波数を変化させる周波数調整回路と、その発振回路の近傍の温度状態を検出し、検出した温度に基づいて出力電圧を発生する温度検出回路と、その温度検出回路からの出力電圧に基づいて、上記制御電圧を発生する制御電圧発生回路を含む制御電圧発生回路とを有する温度補償型発振器において、上記制御電圧発生回路を次のように構成したことを特徴とする。
【0008】
すなわち、上記制御電圧発生回路は、互いに異なる導電型の第1のMOSトランジスタと第2のMOSトランジスタとが、第1の電源線と該第1の電源線と反対電位または接地電位の第2の電源線との間に直列に接続されて、それぞれ上記温度検出回路からの出力電圧に応じて制御され、上記第1のMOSトランジスタと第2のMOSトランジスタとの接続点から3次項電圧を出力することによって、上記制御電圧として3次項電圧を発生する回路である。
この温度補償型発振器において、上記温度検出回路が検出する温度が、第1の温度(T1)に達するまでの温度範囲を第1温度領域(TA1)、上記第1の温度(T1)からそれより高い第2の温度(T2)の間の温度範囲を第2温度領域(TA2)、上記第2の温度(T2)を越える温度範囲を第3温度領域(TA3)としたとき、
上記制御電圧発生回路が発生する上記3次項電圧と温度との関係を示す曲線が、
上記第1温度領域(TA1)では上記第1のMOSトランジスタの自乗則に則る下向きに凸な曲線となり、上記第2温度領域(TA2)では一定になり、上記第3温度領域(TA3)では上記第2のMOSトランジスタの自乗則に則る下向きに凸な曲線となるようにするとよい。
上記制御電圧発生回路は、上記温度検出回路からの出力電圧と上記第1の電源又は第2の電源線の電圧との差を分割して、上記第1のMOSトランジスタおよび第2のMOSトランジスタを制御する電圧を発生する電圧分割回路を有するとよい。
これらの温度補償型発振器において、上記制御電圧発生回路が、上記温度検出回路からの出力電圧に基づいて1次項電圧を発生する回路も有し、上記3次項電圧を第1の制御電圧として出力し、上記1次項電圧を第2の制御電圧として出力し、
上記周波数調整回路が、上記第1の制御電圧と第2の制御電圧とによって上記発振回路の発振周波数を制御する回路であるとなおよい。
その場合、上記周波数調整回路は、上記発振回路の負荷容量を構成する容量素子として、上記制御電圧によってその容量値が変化する電圧可変容量素子を有し、上記第1の制御電圧を上記電圧可変容量素子の一方の電極へ印加し、上記第2の制御電圧を上記電圧可変容量素子の他方の電極へ印加するようにするとよい。
あるいは、上記電圧可変容量素子として、上記第1の制御電圧が印加される第1の電圧可変容量素子と、上記第2制御電圧が印加される第2電圧可変容量素子とが並列に接続されていてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面を用いてこの発明の好ましい実施の形態を説明する。
[実施形態の構成:図1から図4]
図1は、この発明による温度補償型発振器の一実施形態の構成を示すブロック回路図である。この温度補償型発振器は、電源11と、入力端子12と、制御電圧発生回路23と、温度検出回路13と、外部制御電圧入力回路17と、周波数調整回路45と、発振回路47と、メモリ回路19とによって構成される。
【0017】
制御電圧発生回路23は、図1に示すように、演算増幅回路29と、PチャネルMOSトランジスタ37と、NチャネルMOSトランジスタ35と、第1の抵抗素子39と、第2の抵抗素子43と、第3の抵抗素子22と、第4の抵抗素子20と、第1、第2のゲート電圧発生回路を構成するデジタル制御電圧分割回路31,33と、デジタル制御可変抵抗回路21と、抵抗素子27とによって構成される。
特に、PチャネルMOSトランジスタ37とNチャネルMOSトランジスタ35とデジタル制御電圧分割回路31,33は、3次項電圧発生回路を構成している。
【0018】
周波数調整回路45は、MIS型可変容量コンデンサ41,54、抵抗素子52,53,59と、容量素子55,57,58によって構成される。そして、発振回路47は、圧電振動子である水晶振動子49と、インバータ51と、帰還抵抗素子50とによって構成される。MIS型可変容量コンデンサ41,54は、それぞれ発振回路47の負荷容量を構成する容量素子であって、制御電圧によってその容量値が変化する電圧可変容量素子である。
温度検出回路13は、図2に示すように、電源100と、PチャネルMOSトランジスタ105と、抵抗素子119,106と、演算増幅回路111等によって構成される。その詳細な構成は後述する。
【0019】
この温度検出回路13の電源100は、制御電圧発生回路23の電源11と共通にする必要はなく、実際の集積回路(IC)では電源電圧を回路別に最適化するために、別々のレギュレータから供給するのが一般的である。具体的には、図1に示した電源11をレギュレータで構成し、図2に示した温度検出回路13の電源100、外部制御電圧入力回路17の電源(後述する図3に示す電源130)、および発振回路47の電源も、それぞれ別に用意したレギュレータで構成する。
そのため、この実施形態では図が煩雑になるのを避けるため、図1の温度検出回路13は電源を含む回路として示している。後述する外部制御電圧入力回路17も同様である。
【0020】
外部制御電圧入力回路17は、図3に示すように、電源130と、演算増幅回路137,147と、デジタル制御可変抵抗回路141と、デジタル制御電圧分割回路139等によって構成される。その詳細な構成は後述する。
メモリ回路19は不揮発性メモリで構成する。あるいは、書き込みが1度だけ可能なワンタイムメモリや、読み出し専用メモリであるマスクROMなどで構成することもできる。
【0021】
図1に示す制御電圧発生回路23において、デジタル制御電圧分割回路31,33は、その両端に印加される電圧の差をデジタル信号で任意に分割して出力する回路である。
例えば、図4に示すように、電圧入力端子A,B間に複数の抵抗素子R1〜Rnを直列に接続し、その各接続点と電圧出力端子Cとの間にそれぞれスイッチ素子SW1〜SWnを接続し、メモリ回路19からのデジタル信号によってそのスイッチ素子SW1〜SWnの1個または複数個を選択的にオンにすることによって、電圧入力端子A,B間に印加される電圧を任意に分割した電圧を電圧出力端子Cに出力する。
【0022】
そして、図1に示した、一方のデジタル制御電圧分割回路31の両端(図4における電圧入力端子A,B)は、それぞれ制御電圧発生回路23の電源11の正極端子に接続された正電源線25(その電圧を参照電圧とする)と、温度検出回路13の出力電圧線15に接続している。他方のデジタル制御電圧分割回路33の両端(図4における電圧入力端子A,B)は、それぞれ温度検出回路13の出力電圧線15と、電源11の負極端子とアースに接続された接地電源線(または負電源線)26に接続している。
なお、デジタル制御電圧分割回路31,33に印加する参照電圧は、必ずしも正電源線25および接地電源線26の電圧でなくてもよく、任意の電源からの電圧を利用することができる。
また、この実施形態では、デジタル制御電圧分割回路31,33が第1,第2のゲート電圧発生回路であり、温度検出回路13の出力電圧と参照電圧との差に基づいて、その各電圧差を分割して第1,第2のゲート電圧を発生するが、これに限るものではない。
【0023】
そして、デジタル制御電圧分割回路31の分割電圧出力は、図4の電圧出力端子Cに接続される信号線36を通して、第1のゲート電圧としてPチャネルMOSトランジスタ37のゲートG1に入力され、デジタル制御電圧分割回路33の分割電圧出力は、同様な信号線30を通して第2のゲート電圧としてNチャネルMOSトランジスタ35のゲートG2に入力される。
このデジタル制御電圧分割回路31によって第1のゲート電圧発生回路を、デジタル制御電圧分割回路33によって第2のゲート電圧発生回路を構成している。
さらに、PチャネルMOSトランジスタ37のソースS1は、第3の抵抗素子22を介して制御電圧発生回路23の正電源線25に接続し、NチャネルMOSトランジスタ35のソースS2は、第4の抵抗素子20を介して制御電圧発生回路23の接地電源線26に接続している。
【0024】
また、PチャネルMOSトランジスタ37のドレインD1は第1の抵抗素子39を介して正電源線25に接続し、NチャネルMOSトランジスタ35のドレインD2は第2の抵抗素子43を介して接地電源線26に接続している。そのPチャネルMOSトランジスタ37のドレインD1と、NチャネルMOSトランジスタ35のドレインD2は相互に接続し、ドレイン接続点44を形成している。
この実施形態では、正電源線25が第1の電位の第1の電源線、接地電源線26が、第1の電源線と反対極性または接地電位の第2の電源線となっている。したがって、第2の電源線が電源11の負極端子に接続されているが接地されていない負電源線となる場合もある。
【0025】
図1において、制御電圧発生回路23のドレイン接続点44から出力される第1の制御電圧Vo1を信号線46を通して、演算増幅回路29から出力される第2の制御電圧Vo2を信号線48を通して、それぞれ周波数調整回路45へ入力している。
図2に示した温度検出回路13において、PチャネルMOSトランジスタ105のゲートG3は、抵抗素子101を介して温度検出回路13の正電源線103に接続されるとともに、抵抗素子115を介して接地電源線121にも接続されている。その正電源線103は電源100の正極端子に、接地電源線121は電源100の負極端子とアースにそれぞれ接続されている。
そして、PチャネルMOSトランジスタ105のソースS3は、抵抗素子106を介して温度検出回路13の正電源線103に、ドレインD3は抵抗素子119を介して接地電源線121にそれぞ接続される。
【0026】
その抵抗素子119とPチャネルMOSトランジスタ105のドレインD3との接続点120の出力電圧は、抵抗素子107を介して演算増幅回路111の負入力端子に入力され、その演算増幅回路111の負入力端子は、抵抗素子109を介して自己の出力端子に接続している。さらに、この演算増幅回路111の正入力端子は、抵抗素子124を介して正電源線103に、抵抗素子123を介して接地電源線121にそれぞれ接続して、オフセット電圧を入力する。
この演算増幅回路111の出力電圧が温度検出電圧であり、図1に示した温度検出回路13の出力電圧として、信号線15を通して前述のようにデジタル制御電圧分割回路31と33に入力されるとともに、抵抗素子27を介して演算増幅回路29の負入力端子へも入力される。その演算増幅回路29の負入力端子は、デジタル制御可変抵抗回路21を介して自己の出力端子28に接続している。
【0027】
図2に示した温度検出回路13では、抵抗素子101と115によって、PチャネルMOSトランジスタ105に対するゲート電圧発生部を構成している。また、正電源線103が第1の電源線、接地電源線121が、第1の電源線と反対極性または接地電位の第2の電源線となっている。
抵抗素子106の両端に発生する電圧は、PチャネルMOSトランジスタ105のゲートG3とソースS3との間の電圧(所謂ゲート電圧)に対して逆の極性で印加されるので、PチャネルMOSトランジスタ105のドレイン電流を減少させる作用を持つ。この作用は、PチャネルMOSトランジスタ105のドレイン電流(ソース電流も同じ)が増えるほど顕著になるので、PチャネルMOSトランジスタ105のドレイン電流に対して一種の負帰還的作用を及ぼし、温度に対するPチャネルMOSトランジスタ105のドレイン電流の直線性を改善するだけでなく、その製造ばらつきの影響も抑制する効果がある。
【0028】
この実施形態では、演算増幅回路111の出力電圧を温度検出回路13の温度検出電圧として出力しているが、それに限定されるものではなく、たとえば抵抗素子119とPチャネルMOSトランジスタ105のドレインD3との接続点120に発生する電圧を、そのまま温度検出回路13の温度検出電圧として出力するようにしてもよい。
図3に示した外部制御電圧入力回路17において、外部電圧は入力端子12から抵抗素子131を介して演算増幅回路137の負入力端子に入力され、その演算増幅回路137の負入力端子は、デジタル制御可変抵抗回路141を介して自己の出力端子に接続している。
【0029】
さらに、この演算増幅回路137の正入力端子は、抵抗素子133を介してこの外部制御電圧入力回路17の正電源線132に接続するとともに、抵抗素子135を介して接地電源線138にも接続し、オフセット電圧を入力する。
この演算増幅回路137の出力は、抵抗素子143を介して演算増幅回路147の負入力端子に入力し、その演算増幅回路147の負入力端子は抵抗素子145を介して自己の出力端子に接続している。この演算増幅回路147の出力が外部制御電圧入力回路17の出力となり、信号線16を通して図1に示した制御電圧発生回路23の演算増幅回路29の正入力端子にオフセット電圧として入力する。
【0030】
この実施形態では、図3に示した抵抗素子133、135によって演算増幅回路137のオフセット電圧発生部を構成している。
外部電圧は、その製品の仕様によってその電圧範囲が定められていて、その定められた電圧範囲の外部電圧をそのまま演算増幅回路29のオフセット電圧として入力すると、制御電圧発生回路23が要求する電圧値との整合性が悪く、所望の周波数変化が得られない。そのため、一般的にはこの外部電圧の変化範囲を圧縮し、必要であれば適当なオフセットを付加する。この圧縮の割合の調整とオフセットの付加を、外部制御電圧入力回路17で行っている。その詳細な動作原理は後述する。
【0031】
前述したデジタル制御電圧分割回路31,33と同様な機能を有するデジタル制御電圧分割回路139の両端は、外部制御電圧入力回路17の正電源線132と接地電源線138とに接続していて、そのデジタル制御電圧分割回路139の分割電圧出力は、信号線140を通して演算増幅回路147の正入力端子にオフセット電圧として入力する。
この実施形態では、この演算増幅回路147へのオフセット入力電圧をデジタル制御電圧分割回路139の分割電圧出力により調整している。
図1に示した周波数調整回路45は、制御電圧発生回路23の第1の制御電圧Vo1を、信号線46と抵抗素子52を通してMIS型可変容量コンデンサ41の一方の電極であるゲート側電極へ入力するとともに、信号線46と抵抗素子53を通してMIS型可変容量コンデンサ54のゲート側電極へも入力している。
【0032】
また、制御電圧発生回路23の第2の制御電圧Vo2を信号線48と抵抗素子59を通してMIS型可変容量コンデンサ41と54のそれぞれもう一方の電極である基板側電極へ入力している。
MIS型可変容量コンデンサ41と54の各ゲート側電極は、それぞれ容量素子58又は57を介して発振回路47に接続し、各基板側電極は容量素子55を介してアース(接地電源線に接続)されている。
発振回路47は、インバータ51の入力端子と出力端子の間に抵抗素子50と水晶振動子49を並列に接続した水晶発振回路であり、その水晶振動子49の両端を周波数調整回路45の容量素子58と57にそれぞれ接続している。
メモリ回路19は、デジタルデータの記憶と読み出しを制御するシリアル入出力線18と、それぞれデジタルデータを出力する3本のパラレル出力線14a,14b,14cを接続している。
【0033】
[実施形態の作用:図1から図8]
次に、これまでに説明した図1から図4に加えて、図5から図8も参照して上述した温度補償型発振器の作用について説明する。
図1において、温度検出回路13は発振回路47の温度を検出して、温度に依存した電圧を制御電圧発生回路23へ出力する。
そこでまず、その制御電圧発生回路23による前述した第1の制御電圧Vo1の発生動作原理を説明する。
【0034】
温度検出回路13において、図2に示したPチャネルMOSトランジスタ105のゲートG3には、ドレインD3に電流を流すために、この温度検出回路13の電源100による正電源線103と接地電源線121との間の電源電圧を抵抗素子101と115によって分割した電圧が入力されている。そして、温度が低温から高温に変化して行くと、PチャネルMOSトランジスタ105のドレイン電流が増加し、抵抗素子119とドレインD3との接続点120の電圧が直線的に上昇する。
この接続点120の電圧は抵抗素子107を介して演算増幅回路111の負入力端子に入力されているので、演算増幅回路111の動作は反転増幅となり、その出力電圧は温度の上昇と共に直線的に下降して行く。
【0035】
演算増幅回路111の正入力端子には、温度検出回路13の電源電圧を抵抗素子124と123で分割した電圧がオフセット電圧として入力されている。
なお、PチャネルMOSトランジスタ105のソースS3と正電源線103との間に接続した抵抗素子106をデジタル制御可変抵抗回路に置き換えて、完成体にしてからメモリ回路19に記憶されたデジタルデータにより、PチャネルMOSトランジスタ105のドレイン電流の制御を行うようにすることも可能である。
図1に示したメモリ回路19は、外部からシリアル入出力線18を介して、デジタルデータの記憶と読み出しを制御し、パラレル出力線14a〜14cを介して制御用のデジタルデータを、制御電圧発生回路23のデジタル制御可変抵抗回路21、およびデジタル制御電圧分割回路31,33へ出力する。
【0036】
上述のように、温度検出回路13の出力電圧は温度の上昇と共に直線的に下降して行き、温度検出回路13の出力電圧と制御電圧発生回路23の接地電源線26の電圧(0V)との電圧差は小さくなって行く。
この電圧差はデジタル制御電圧分割回路33により所望の値に分割されて、NチャネルMOSトランジスタ35のゲートG2にゲート入力電圧として入力される。いま、温度が低温状態から上昇し、図5に示す温度T1に達して、このゲート入力電圧が、NチャネルMOSトランジスタ35のしきい値電圧以下になると、そのソースS2とドレインD2の間に流れていた電流が遮断される。その温度T1に達するまでの温度範囲が第1温度領域TA1であり、この領域ではNチャネルMOSトランジスタ35はON状態であるが、PチャネルMOSトランジスタ37はOFF状態にある。
【0037】
一方、温度の上昇と共に、温度検出回路13の出力電圧と制御電圧発生回路23の正電源線25の電圧との電圧差は逆に直線的に大きくなって行く。
この電圧差はデジタル制御電圧分割回路31により所望の値に分割されてPチャネルMOSトランジスタ37のゲートG1にゲート入力電圧として入力される。そして、図5に示す温度T2に達して、このゲート入力電圧がPチャネルMOSトランジスタ37のしきい値電圧を超えると、そのソースS1とドレインD1の間に電流が流れ始める。
温度T2が温度T1より高く、且つこの温度T1と温度T2の値が所望の値になるように、デジタル制御電圧分割回路31,33の電圧分割比率をメモリ回路19に記憶されたデジタルデータにより設定する。
【0038】
この温度T1はATカット水晶振動子の低温部側の極大点(−10度〜0度)付近に、温度T2はATカット水晶振動子の高温部側の極小点(60度〜70度)付近に定める。この温度T1から温度T2の間の温度範囲が第2温度領域TA2であり、この領域では、PチャネルMOSトランジスタ37とNチャネルMOSトランジスタ35は共にOFF状態となる。ATカット水晶振動子において、上記の極大点と極小点の間の温度領域では、その周波数がほぼ直線的に変化するので、この第2温度領域TA2では、前述した第2制御電圧Vo2の変化だけで、発振回路47の発振周波数に対する温度補償を行う。
【0039】
第1の抵抗素子39および第2の抵抗素子43の抵抗値は、いずれも100キロオーム(KΩ)以上に設定するのがよい。この抵抗値が100KΩより小さいと、制御電圧発生回路23の消費電流が増大するだけでなく、PチャネルMOSトランジスタ37とNチャネルMOSトランジスタ35のON状態での等価抵抗に対する影響が無視できなくなり、第1制御電圧Vo1の最高温部と最低温部の部分で電圧の飽和が発生して、ドレイン接続点44に発生する電圧曲線が歪んで、ATカット水晶振動子の温度特性を十分に補償できる所望の電圧曲線が得られなくなる。
【0040】
図5における温度がT1に達するまでの間(第1温度領域TA1)は、PチャネルMOSトランジスタ37のソースS1とドレインD1の間に流れる電流は遮断されているので、第2の抵抗素子43を流れる電流は、NチャネルMOSトランジスタ35のソースS2とドレインD2の間に流れる電流に比べて非常に小さい。そのため、制御電圧発生回路23の正電源線25から第1の抵抗素子39に流れこむ電流は、NチャネルMOSトランジスタ35のソースS2とドレインD2の間に流れる電流にほぼ等しくなる。
PチャネルMOSトランジスタ37のドレインD1とNチャネルMOSトランジスタ35のドレインD2の接続点44に発生する第1の制御電圧Vo1は、制御電圧発生回路23の正電源線25の電圧から第1の抵抗素子39の両端に発生する電圧を差し引いた電圧となるから、温度に対する第1の制御電圧Vo1の変化は、NチャネルMOSトランジスタ35のゲート電圧とドレイン電流の関係による、いわゆる自乗則に則る上向きに凸な曲線となる。
【0041】
図5における温度がT1からT2の間は第2温度領域TA2であり、NチャネルMOSトランジスタ35とPチャネルMOSトランジスタ37は遮断状態にあり、いずれもソースとドレイン間に電流は流れないので、接続点44に発生する第1の制御電圧Vo1は、第1の抵抗素子39と第2の抵抗素子43の抵抗比で、電源11による電源電圧を分割した値になる。
例えば、第1の抵抗素子39と第2の抵抗素子43の抵抗値を等しくしておけば、第1の制御電圧Vo1の値は、電源電圧の半分の値となる。
さらに温度が上昇して図5におけるT2を越えると、第3温度領域TA3となり、NチャネルMOSトランジスタ35は遮断状態のままで、PチャネルMOSトランジスタ37がON状態になる。そのため、第1の抵抗素子39を流れる電流は、PチャネルMOSトランジスタ37のソースS1とドレインD1の間に流れる電流に比べて非常に小さくなり、第2の抵抗素子43を介して接地電源線26に流れこむ電流は、PチャネルMOSトランジスタ37のソースS1とドレインD1の間に流れる電流にほぼ等しくなる。
【0042】
そのため、ドレイン接続点44に発生する第1の制御電圧Vo1は、第2の抵抗素子43の両端に発生する電圧となるから、温度に対する第1の制御電圧Vo1の変化は、PチャネルMOSトランジスタのゲート電圧とドレイン電流の関係による、いわゆる自乗則に則る下向きに凸な曲線となる。
したがって、温度変化に対するドレイン接続点44に発生する第1の制御電圧Vo1の変化の様子は、図5の線図に示す曲線60のようになる。この図において、温度を横軸に制御電圧を縦軸にとっている。
【0043】
この曲線60の温度T1未満の範囲(第1温度領域TA1)は曲線部分67に、温度T1から温度T2の範囲(第2温度領域TA2)は曲線部分65に、温度T2を越える範囲(第3温度領域TA3)は曲線部分61にそれぞれ対応して3次項電圧となる。なお、直線63は後述する第2の制御電圧Vo2である1次項電圧を示している。
第1の制御電圧Vo1の変化は曲線60に示されるように、原理的には、MOSトランジスタの自乗則で発生させるものであるが、温度に対して連続的な3次曲線近似の曲線となり、低温部と高温部とに分けて発生させる必要はない。
【0044】
そこで、温度T1と温度T2の値を適正に選べば、実際の3次曲線に対する誤差は10mV以下となり、ATカット水晶の3次温度特性を十分に補償することが可能である。
なお、図1に示した第1のゲート電圧発生回路であるデジタル制御電圧分圧回路31は、PチャネルMOSトランジスタ37のゲートG1に出力する第1のゲート電圧を、少なくとも第3温度領域TA3においては温度の変化に対して直線的に変化させる。また、第2のゲート電圧発生回路であるデジタル制御電圧分圧回路33は、NチャネルMOSトランジスタ35のゲートG2に出力する第2のゲート電圧を、少なくとも第1温度領域TA1においては温度の変化に対して直線的に変化させる。
【0045】
さらに、図1における第3の抵抗素子22は、温度検出回路13の図2に示したPチャネルMOSトランジスタ105のソースS3に接続された、抵抗素子106について説明した作用と同様な作用をなし、PチャネルMOSトランジスタ37のドレイン電流を制限する負帰還的な効果をもたらす。そのため、第3の抵抗素子22の抵抗値を調節することにより、PチャネルMOSトランジスタ37のドレイン電流により発生する第1の抵抗素子39の両端の電圧の温度に対する変化率を制御することができる。それにより、MOSトランジスタ37,35の特性にバラツキがあっても、ATカット水晶の3次温度特性に対する補償近似誤差をより少なくするように調整することができる。
【0046】
第4の抵抗素子20も、NチャネルMOSトランジスタ35のドレイン電流に対して、上述した第3の抵抗素子22と同様な作用をなす。
さらに、これらの第3の抵抗素子22および第4の抵抗素子20をデジタル制御可変抵抗回路に置き換えて、完成体にしてからメモリ回路19に記憶されたデジタルデータにより、上述した調整を行うことも可能である。この場合には、温度補償をする最高温度で、発振回路47の発振周波数が所望の値となるように第3の抵抗素子22の抵抗値を調整し、温度補償をする最低温度で、発振回路47の発振周波数が所望の値となるように第4の抵抗素子20の抵抗値を調整する。
抵抗素子20,22を用いなくとも温度補償は可能であるが、第1制御電圧Vo1の曲線形状を前述の温度T1とT2だけで決めることになり、個々の水晶振動子の温度特性のばらつきを十分に吸収することは困難となる。
この実施形態では、温度検出回路13を1つだけ用いて、その出力電圧をデジタル制御電圧分割回路31,33に入力する例を説明したが、デジタル制御電圧分割回路31と33に別々の温度検出回路の出力電圧を入力するようにしても同様な効果が得られる。
【0047】
次に、制御電圧発生回路23による第2の制御電圧Vo2の発生動作原理を説明する。
温度が低温から高温に変化して行くと、温度検出回路13の出力電圧は前述の説明のように直線的に下降して行く。その温度検出回路13の出力電圧は、抵抗素子27を介して演算増幅回路29の負入力端子に入力されるので、演算増幅回路29の動作は反転増幅となり、その出力電圧は温度の上昇と共に直線的に増加して行く。
したがって、演算増幅回路29の出力端子28に発生する第2の制御電圧Vo2は温度と共に直線的に上昇して行く。
【0048】
このときの直線的変化の勾配は演算増幅回路29の増幅率に依存するが、演算増幅回路29の増幅率は、演算増幅回路29の負入力端子と出力端子と間に挿入されているデジタル制御可変抵抗回路21の抵抗値と、抵抗素子27の抵抗値の比で決まる。そのため、第2の制御電圧Vo2の温度変化に対する勾配を変えるには、メモリ回路19に記憶しているデジタルデータによって、デジタル制御可変抵抗回路21の抵抗値を変化させればよい。
温度に対する演算増幅回路29の出力端子28に発生する第2の制御電圧Vo2の変化の様子は、温度を横軸に、制御電圧を縦軸にとった図5の線図において、直線63で示す1次項電圧となる。
【0049】
次に、周波数調整回路45による上述した第1の制御電圧Vo1と第2の制御電圧Vo2の加算作用について説明する。
第1の制御電圧Vo1は、周波数調整回路45のMIS型可変容量コンデンサ41の一方の電極であるゲート側電極に、高周波電流の流れ出しを阻止するための抵抗素子52を介して入力されるとともに、MIS型可変容量コンデンサ54のゲート側電極にも同様に抵抗素子53を介して入力される。
第2の制御電圧Vo2は、MIS型可変容量コンデンサ41,54のもう一方の電極である基板側電極に、高周波電流の流れ出しを阻止するための抵抗素子59を介して入力される。
【0050】
容量素子57,58は、発振回路47のインバータ側の直流電圧を遮断するために挿入し、容量素子55は直流分だけを遮断して、MIS型可変容量コンデンサ41,54を高周波的に接地するためのものである。
このように、第1の制御電圧Vo1はMIS型可変容量コンデンサ41,54のゲート側電極に入力し、第2の制御電圧Vo2は基板側電極に入力しているので、MIS型可変容量コンデンサ41,54に印加される電圧は、第1の制御電圧Vo1から第2の制御電圧Vo2を差し引いた電圧となる。したがって、第2の制御電圧Vo2の勾配は、第1の制御電圧Vo1に対して逆向きの効果を持つから、図5に示した正勾配を持つ第2の制御電圧Vo2の直線63は、第1の制御電圧Vo1の曲線60に対して負勾配として作用する。
【0051】
温度に対するMIS型可変容量コンデンサ41,54の両極に印加される電圧の差(第1の制御電圧Vo1−第2の制御電圧Vo2)の変化の模様は、図6に温度を横軸にとり、制御電圧の差を縦軸にとって示す線図に示す曲線71のようになる。その形状からもわかるように、この曲線71は、3次曲線に負の勾配を持った1次直線を加えた曲線に近似する曲線となっている。
このように特別な加算回路を必要とせずに、温度に対して3次曲線を近似する第1の制御電圧Vo1と、温度に対して直線勾配を持つ第2制御電圧Vo2を容易に加算することができる。
【0052】
次に、オフセット電圧調整の動作原理を説明する。
図1における外部制御電圧入力回路17の図3に示した演算増幅回路147の出力は、制御電圧発生回路23の演算増幅回路29の正入力端子にオフセット電圧として入力している。その演算増幅回路29の出力電圧はオフセット入力電圧に応答して変化するから、演算増幅回路147の出力電圧に応答して演算増幅回路29の出力電圧が変化する。
演算増幅回路29の出力電圧は第2の制御電圧Vo2なので、結果として演算増幅回路147の出力電圧に応答して第2の制御電圧Vo2が変化することになる。
【0053】
その、演算増幅回路147の出力電圧は、その負入力端子の入力電圧と正入力端子の入力電圧(オフセット電圧)の双方に応答して変化する。すなわち、この演算増幅回路147の出力電圧は、演算増幅回路137の出力電圧と、デジタル制御電圧分割回路139の分割電圧出力の双方に応答して変化する。
演算増幅回路137の出力電圧も、その負入力端子の入力電圧と正入力端子の入力電圧(オフセット入力電圧)の双方に応答して変化する。しかし、オフセット入力電圧は、抵抗素子133と135によって電源130による電源電圧を分割した一定の電圧であるから、演算増幅回路137の出力電圧は、入力端子12からの外部入力電圧だけに依存して変化する。この演算増幅回路137のオフセット入力電圧は、外部入力電圧により変化する演算増幅回路137の出力電圧にオフセットを付加する作用をする。
【0054】
結論として、第2の制御電圧Vo2は入力端子12からの外部入力電圧、およびデジタル制御電圧分割回路139の分割電圧出力の双方によって変化する。
そこで、デジタル制御電圧分割回路139の分割電圧出力を、メモリ回路19に記憶されたデジタルデータにより制御することによって第2の制御電圧Vo2を変化させて、製造時に温度補償型発振器の標準発振周波数を調整することができる。
【0055】
顧客は温度補償型発振器を使用する時に、AFC入力電圧と呼ばれる外部入力電圧を入力端子12へ入力して、温度補償型発振器の発振周波数を所望の値に調整する。この時、メモリ回路19に記憶されたデジタルデータにより、デジタル制御可変抵抗回路141の抵抗値を制御して、演算増幅回路137の増幅率を変化させることにより、外部入力電圧の変化範囲の圧縮の割合を設定することができる。
図3に示す外部制御電圧入力回路17の入力端子12へ入力される外部入力電圧は、演算増幅回路137,147の2つの演算増幅回路で2回反転増幅されて、外部入力電圧と演算増幅回路147の出力電圧と第2の制御電圧Vo2は同じ方向に変化する。
外部入力電圧と第2の制御電圧Vo2の変化方向を逆にする場合は、外部制御電圧入力回路17を構成する演算増幅回路を奇数個にすればよい。演算増幅回路の個数を偶数個にするか、奇数個にするかは、外部入力電圧の変化方向と発振周波数の変化方向の正逆を調整をするときに選択する。
【0056】
次に、周波数調整回路45の動作原理を説明する。
周波数調整回路45を構成する、MIS型可変容量コンデンサ41,54は、発振回路47を構成する水晶振動子の負荷容量として作用するので、MIS型可変容量コンデンサ41,54の容量値が変化すると発振周波数が変化する。
MIS型可変容量コンデンサ41,54は、その両極に印加された制御電圧の差により容量値が変化するので、結果として、MIS型可変容量コンデンサ41,54の両極に印加された電圧の差によって、発振回路47の発振周波数を制御することができる。
【0057】
MIS型可変容量コンデンサ41,54の両極に印加される電圧の差と発振周波数の変化の様子は、電圧の差を横軸に、周波数変化率を縦軸にとった図7の線図に曲線73で示すようになる。この図からわかるように、MIS型可変容量コンデンサ41,54の両極に印加される電圧の差の正方向への増大に対して、発振周波数は減少し、発振周波数の変化率の符号が正から負に向かう。
なお、この実施形態では、MIS型可変容量コンデンサ41,54がN型シリコン基板上に設けられた場合を例にとっているので、前述のような変化方向になるが、MIS型可変容量コンデンサ41,54がP型シリコン基板上に設けられた場合は逆方向の変化となる。
すなわち、MIS型可変容量コンデンサ41,54の両極に印加される電圧の差の正方向への増大に対して、発振周波数は増加し、発振周波数の変化率の符号が負から正に向かう。
【0058】
図3における入力端子12に入力される外部入力電圧と演算増幅回路147の出力電圧と第2の制御電圧Vo2の関係の説明で述べたように、外部入力電圧と演算増幅回路147の出力電圧と第2の制御電圧Vo2は同じ方向に変化する。そして、その電圧上昇は、MIS型可変容量コンデンサ41,54に対しては、その両極に印加される電圧の差を下げる方向に作用するので、外部入力電圧と温度補償型発振器の発振周波数は比例的に変化する。
図7に示した曲線73の中間部はほぼ直線になっているので、この範囲の電圧の差で周波数調整を行えば、MIS型可変容量コンデンサ41,54の両極に印加される電圧の差と発振周波数の変化率はほぼ直線関係になる。
【0059】
したがって、温度に対して図6の曲線71で示したような電圧の差を印加すれば、その温度に対する周波数変化率の様子は、図8に温度を横軸に周波数変化率を縦軸にとって示す線図の曲線75のようになる。
この曲線の形状は、温度軸に対してATカット水晶振動子の温度に対する周波数変化率特性の逆になっているので、ATカット水晶振動子の温度特性を補償することができる。
【0060】
[実施形態の変更例:図9から図14]
ここで、上述した実施形態の一部を変更する実施形態について説明する。
前述の実施形態では、温度検出回路13はPチャネルMOSトランジスタを用いて、温度と出力電圧の関係が反比例関係にあるものを用いたが、NチャネルMOSトランジスタを用いても同様な効果が得られる。
例えば、図9にその回路例を示す。この温度検出回路13′は、PチャネルMOSトランジスタ105に代えてNチャネルMOSトランジスタ125を用いる他は、図2に示した温度検出回路13と同じ回路構成であり、図2と対応する素子に同一の符号を付してある。
【0061】
この温度検出回路13′において、NチャネルMOSトランジスタ125のゲートG4は、電源100の正電源線103と接地電源線121の間に直列に接続された抵抗素子115と101の接続点に接続されている。ソースS4は抵抗素子106を介して接地電源線121に、ドレインD4は抵抗素子119を介して正電源線103にそれぞれ接続し、抵抗素子119とNチャネルMOSトランジスタ125のドレインD4との接続点120の出力電圧が、抵抗素子107を介して演算増幅回路111の負入力端子に入力される。その他の構成及び作用は図2に示した温度検出回路13と同様であるので、その説明を省略する。そして、演算増幅回路111の出力電圧がこの温度検出回路13′の出力であり、温度とその出力電圧の関係が比例関係になる。
【0062】
また、図1における温度検出回路13と演算増幅回路29によって第2の制御電圧Vo2を発生させる代わりに、図10に示すように、温度勾配の異なる2個の温度センサ155,158を有する温度検出回路160を用いることもできる。
この温度検出回路160は、2個の温度センサ155,158の出力電圧の差を電圧分割回路159で任意の比率に分割して、2個の温度センサ155,158の温度勾配の間の任意の温度勾配を選べるようにする。この電圧分割回路159の出力電圧を第2の制御信号Vo2として用いる。電圧分割回路159の分割比率は、メモリ回路19からのデジタル信号によって変更可能である。
【0063】
さらに、図1における第1の抵抗素子39と第2の抵抗素子43の代わりに、図11に示すような、それぞれ抵抗値に対する温度係数が異なっている抵抗素子213と抵抗素子215を用いても同様な効果が得られる。
すなわち、前述した第2温度領域(図5における温度領域TA2)では、第1の制御電圧Vo1は抵抗素子213と抵抗素子215で制御電圧発生回路23の電源電圧を分割した値であるから、抵抗素子213と抵抗素子215の抵抗値の温度係数が異なっていれば、第1の制御電圧Vo1は温度の変化に対して直線的に変化する。この時、温度勾配を変化させるには、これらの2つの抵抗素子のそれぞれの抵抗値の温度係数の組み合わせが異なる抵抗素子の組を複数用意して、スイッチで切り替えるようにすればよい。
【0064】
図11に示す例では、それぞれ抵抗値の温度係数の組み合わせが異なる3組の抵抗素子213,215と、219,221と、225,227のいずれかを、切替手段である3個のスイッチ211,217,223のON/OFFによって選択的に切り替えて使用する。これらのスイッチ211,217,223のON/OFF制御をメモリ回路からのデジタル信号で行うことも可能である。
切替手段として、このスイッチ211,217,223の代わりにスイッチングトランジスタを用いる場合には、図12に示すように、正電源線25と各抵抗素子213,219,225との間にスイッチングトランジスタ231,233,235を挿入し、接地電源線26と各抵抗素子215,221,227との間にスイッチングトランジスタ232,234,236を挿入するとよい。これによって、スイッチングトランジスタのON抵抗を小さくすることができる。
さらに、この場合、各スイッチングトランジスタ231〜236の制御電圧をレギュレータ回路から供給することにより、スイッチングトランジスタのON抵抗が電源電圧変動によって変動するのを防止できる。
【0065】
また、図1に示した周波数調整回路45に代えて、図13に示す周波数調整回路45′を用いてもよい。この図13において、図1の周波数調整回路45と同じ部分には同一の符号を付している。
図13に示す周波数調整回路45′内には、MIS型可変容量コンデンサ41,54と容量素子58,57の各直列回路にそれぞれ並列に、第2のMIS型可変容量コンデンサ151,153と容量素子152,154の各直列回路を設けている。
この場合、第1の制御電圧Vo1は、図1に示した実施形態の場合と同じく、信号線46と抵抗素子52又は53を介しMIS型可変容量コンデンサ41,54の各ゲート側電極へ印加するが、第2の制御電圧Vo2は、信号線48および抵抗素子156又は157を介して第2のMIS型可変容量コンデンサ151,153の各ゲート側電極へ印加する。このようにしても、前述した第1実施例の場合と同様な結果が得られる。
【0066】
さらに、製造時の温度補償型発振器の標準発振周波数の調整、およびAFC入力電圧と呼ばれる外部入力電圧による温度補償型発振器の周波数の調整に関しては、図14に示すような、一種の抵抗回路網によっても、同様な効果が得られる。
図14において、メモリ回路19からのデジタル信号で制御されるデジタル制御電圧分割回路251は、入力端子12からの外部入力電圧を分割して、メモリ回路19からのデジタル信号で制御されるデジタル制御電圧分割回路253の一方の端子に加える。また、メモリ回路19からのデジタル信号で制御されるデジタル制御電圧分割回路255は、定電圧源250の出力電圧を分割してデジタル制御電圧分割回路253の他方の端子に加える。
そして、デジタル制御電圧分割回路253の出力線256に出力される分割電圧を第2の制御電圧Vo2として用いるが、この電圧は入力端子12からの外部入力電圧およびデジタル制御電圧分割回路255からの分割電圧の双方によって変化する。また、この分割電圧の出力は、デジタル制御電圧分割回路253の分割比により、入力端子12からの外部入力電圧およびデジタル制御電圧分割回路255からの分割電圧に対する依存性が変化する。
【0067】
[参考例:図15および図16]
次に、この発明による温度補償型発振器と対比する参考例について、図15および図16等を参照して説明する。
図15はその温度補償型発振器の構成を示すブロック回路図であり、図1に示した実施形態と対応する要素には同一の符号を付し、それらの説明は省略するか簡単にする。
この図15に示す温度補償型発振器の構成要素は、新たに温度検出回路201を加えている点と、図1における演算増幅回路29、抵抗素子27、およびデジタル制御可変抵抗回路21に代えて、デジタル制御電圧分割回路205,207を設けた点を除いて、殆ど図1の構成要素と同じである。
【0068】
制御電圧発生回路23′は、図1におけるPチャネルMOSトランジスタ37をNチャネルMOSトランジスタ38に置き換えている点と、デジタル制御電圧分割回路33の両端が、新たに設けた温度検出回路201の出力電圧線203と制御電圧発生回路23′の接地電源線26にそれぞれ接続している点と、上述したように演算増幅回路29等の代わりに、演算増幅回路29と同様な作用をするデジタル制御電圧分割回路205と207を設けた点を除いて、図1に示した制御電圧発生回路23の回路構成と同じである。
周波数調整回路45および発振回路47の回路構成及びその機能は、前述の実施形態と同じであるからその説明は省略する。
温度検出回路13の回路構成及びその機能は、図2に示した温度検出回路13の回路構成と同じである。
【0069】
温度検出回路201は、図9に示した温度検出回路13′と同様に、NチャネルMOSトランジスタ125と、抵抗素子119,106と、演算増幅回路111等によって構成される。
外部制御電圧入力回路17の回路構成及びその機能は、図3に示した外部制御電圧入力回路17と同じであるから、その説明は省略する。
メモリ回路19の構成も前述の実施形態と同じである。
【0070】
制御電圧発生回路23′において、デジタル制御電圧分割回路31の接続は、図1に示した実施形態と全く同じなので説明は省略する。デジタル制御電圧分割回路33の両端は、前述のように温度検出回路201の出力電圧線203と制御電圧発生回路23′の接地電源線26に接続している。
デジタル制御電圧分割回路31の分割電圧出力は、ゲート電圧としてNチャネルMOSトランジスタ38のゲートG5に入力され、デジタル制御電圧分割回路33の分割電圧出力は、ゲート電圧としてNチャネルMOSトランジスタ35のゲートG2に入力される。
この制御電圧発生回路23′においても、デジタル制御電圧分割回路31によって第1のゲート電圧発生回路を、デジタル制御電圧分割回路33によって第2のゲート電圧発生回路を構成している。
【0071】
NチャネルMOSトランジスタ38のソースS5は、第3の抵抗素子22を介して接地電源線26に接続し、NチャネルMOSトランジスタ35のソースS2は、第4の抵抗素子20を介して接地電源線26に接続している。
NチャネルMOSトランジスタ35,38の各ドレインD2とD5は共通接続され、そのドレイン接続点44は、第1の抵抗素子39を介して正電源線25に接続するとともに、第2の抵抗素子43を介して接地電源線26にも接続している。
【0072】
この制御電圧発生回路23′では第1のMOSトランジスタを構成するNチャネルMOSトランジスタ38、第2のMOSトランジスタを構成するNチャネルMOSトランジスタ35、デジタル制御電圧分割回路31,33によって2次項電圧発生回路を構成する。また、図1に示した実施形態の場合と異なり、接地電源線26が第1の電源線である。そして、両トランジスタ38,35のソース側をいずれも第1の電源線である接地電源線26に接続しているが、同じ極性の電源線であれば、一方を別の電源線(第2の電源線)に接続してもよい。
この制御電圧発生回路23′のドレイン接続点44から出力される第1の制御電圧Vo1、およびデジタル制御電圧分割回路205から出力される分割電圧による第2の制御電圧Vo2は、それぞれ信号線46,48を通して周波数調整回路45へ入力する。
【0073】
次に、この温度補償型発振器の動作について説明する。
図15において、温度検出回路13は発振回路47の温度を検出して、その温度に依存した電圧を制御電圧発生回路23′へ出力する。温度検出回路201も発振回路47の温度を検出して、その温度に依存した電圧を制御電圧発生回路23′へ出力する。
【0074】
先ず、最初に第1の制御電圧Vo1の発生動作原理を説明する。
温度検出回路13の動作は前述の実施形態と同じなので、その説明は省略する。
温度検出回路201は、図9に示した温度検出回路13′と同様に構成されており、そのNチャネルMOSトランジスタ125のゲートG4には、ドレインD4に電流を流すために、電源100による電源電圧を抵抗素子115と101で分割した電圧が入力されていて、温度が低温から高温に変化して行くと、NチャネルMOSトランジスタ125のドレインD4の電流が増加し、抵抗素子119とNチャネルMOSトランジスタ125のドレインD4との接続点120の電圧が直線的に下降する。
【0075】
接続点120の電圧は抵抗素子107を介して演算増幅回路111の負入力端子に入力されているので、演算増幅回路111の動作は反転増幅となり、出力電圧は温度の上昇と共に直線的に上昇して行く。すなわち、温度と出力電圧とは比例関係になる。
この演算増幅回路111の正入力端子には、電源電圧を抵抗素子123と124で分割した電圧がオフセット電圧として入力される。
抵抗素子106をデジタル制御可変抵抗回路に置き換えて、完成体にしてからメモリ回路19に記憶されたデジタルデータにより、NチャネルMOSトランジスタ125のドレイン電流の制御を行うことも可能である。
メモリ回路19の動作は前述の実施形態と同じなので、その説明は省略する。
【0076】
上述のように、図15に示す温度検出回路13の出力電圧は温度の上昇と共に直線的に下降して行き、温度検出回路201の出力電圧は温度の上昇と共に直線的に上昇して行く。
温度の変化に対するNチャネルMOSトランジスタ35、およびNチャネルMOSトランジスタ38の基本動作原理は、前述の実施形態で説明したのと同じであるので、前述の実施形態で説明したように、温度領域を低温側から順次区分する第1温度領域、第2温度領域、第3温度領域という温度領域区分を用いて説明する。
【0077】
低温側の第1温度領域では、NチャネルMOSトランジスタ35がON、NチャネルMOSトランジスタ38がOFF、中間の第2温度領域では、NチャネルMOSトランジスタ35,38が共にOFF、高温側の第3温度領域では、NチャネルMOSトランジスタ35がOFF、NチャネルMOSトランジスタ38がONとなる。
その時の温度に対するドレイン接続点44に発生する第1の制御電圧Vo1の変化の様子は、図16に温度を横軸にとり制御電圧を縦軸にとって示す線図の曲線277のようになる。
【0078】
この曲線277の温度T1未満の範囲(温度領域TA1)は曲線部分271に、温度T1から温度T2の範囲(温度領域TA2)は曲線部分273に、温度T2を越える範囲(温度領域TA3)は曲線部分275に、それぞれ対応して2次項電圧となる。
この第1の制御電圧Vo1の変化は、曲線277に示されるように、原理的にはMOSトランジスタの自乗則で発生させたものであるので、温度に対して連続的な2次曲線となり、低温部と高温部とに分けて発生させる必要はない。
温度T1と温度T2の値を適正に選べば、音叉型振動子の2次温度特性を正確に補償することが可能である。
【0079】
この場合も、図15に示した第1のゲート電圧発生回路であるデジタル制御電圧分圧回路31は、NチャネルMOSトランジスタ38のゲートG5に出力する第1のゲート電圧を、少なくとも第3温度領域TA3においては温度の変化に対して直線的に変化させる。また、第2のゲート電圧発生回路であるデジタル制御電圧分圧回路33は、NチャネルMOSトランジスタ35のゲートG2に出力する第2のゲート電圧を、少なくとも第1温度領域TA1においては温度の変化に対して直線的に変化させる。
第3の抵抗素子22と第4の抵抗素子20の動作は、前述の実施形態と全く同じなので説明は省略する。
この温度補償型発振器では、音叉型振動子の2次温度特性を補償することができる。
オフセット電圧調整の動作原理、および周波数調整回路45の動作原理は前述の実施形態と同じなので説明は省略する。
【0080】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明による温度補償型発振器は、高温部低温部分別回路、および低温部3次曲線電圧発生回路と高温部3次曲線電圧発生回路のような、複雑で且つ調整が困難な回路を必要とせず、互いに異なる導電型のPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタの電気特性のみから、発振回路の発振周波数を変化させる制御電圧として、一連の3次近似曲線形状の3次項電圧を発生することができる。そのため、ATカット水晶振動子の3次温度特性を容易に補償することができる。
また、3次近似曲線と勾配補正を行う1次直線の加算をする場合、周波数調整回路側で加算回路を用いないで行うようにすることもできるので、そのようにすれば、回路構成が非常に簡単になり、半導体集積回路への集積も容易で、且つ半導体集積回路チップの面積を大幅に縮小でき、歩留まりの向上と価格の低減に大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による温度補償型発振器の一実施形態の構成を示すブロック回路図である。
【図2】図1における温度検出回路13の具体的な構成例を示す回路図である。
【図3】図1における外部制御電圧入力回路17の具体的な構成例を示すブロック回路図である。
【図4】図1におけるデジタル制御電圧分割回路31,33の具体的な構成例を示すブロック回路図である。
【図5】 この発明の一実施形態における温度と第1,第2の制御電圧との関係を示す線図である。
【図6】同じく温度と第1の制御電圧と第2の制御電圧との差との関係を示す線図である。
【図7】同じくその電圧の差と周波数変化率との関係を示す線図である。
【図8】同じく温度と周波数変化率との関係を示す線図である。
【図9】この発明に使用する温度検出回路の他の構成例を示す回路図である。
【図10】同じく温度検出回路のさらに他の構成例を示すブロック回路図である。
【図11】図1における第1の制御電圧を発生する回路の他の構成例を示す回路図である。
【図12】同じく第1の制御電圧を発生する回路のさらに他の構成例を示す回路図である。
【図13】図1における発振回路と一部変更した周波数調整回路とを示す回路図である。
【図14】この発明に使用する外部制御電圧入力回路の他の例を示すブロック回路図である。
【図15】 この発明による温度補償型発振器と対比する参考例を示すブロック回路図である。
【図16】同じくその制御電圧発生回路によって発生する温度と第1の制御電圧との関係を示す線図である。
【図17】従来の温度補償型発振器の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
11:電源
13,13′,160,201:温度検出回路
17:外部制御電圧入力回路 19:メモリ回路
23,23′:制御電圧発生回路
25,103:正電源線 26,121:接地電源線
31,33,139:デジタル制御電圧分割回路
35,38,125:NチャネルMOSトランジスタ
37,105:PチャネルMOSトランジスタ
39:第1の抵抗素子
41,54:MIS型可変容量コンデンサ
43:第2の抵抗素子
45,45′:周波数調整回路 47:発振回路
106,119,213,215,219,221,225,227:抵抗素子
111:演算増幅回路 120:接続点
151,153:第2のMIS型可変容量コンデンサ
155,158:温度センサ
211,217,223:スイッチ
231〜236:スイッチングトランジスタ
TA1:第1温度領域 TA2:第2温度領域
TA3:第3温度領域
Claims (14)
- 発振回路と、
制御電圧によって前記発振回路の発振周波数を変化させる周波数調整回路と、
前記発振回路の近傍の温度を検出し、その検出した温度に基づいて出力電圧を発生する温度検出回路と、
該温度検出回路からの出力電圧に基づいて、前記制御電圧を発生する制御電圧発生回路とを有する温度補償型発振器であって、
前記制御電圧発生回路は、
互いに異なる導電型の第1のMOSトランジスタと第2のMOSトランジスタとが、第1の電源線と該第1の電源線と反対電位または接地電位の第2の電源線との間に直列に接続されて、それぞれ前記温度検出回路からの出力電圧に応じて制御され、前記第1のMOSトランジスタと第2のMOSトランジスタとの接続点から3次項電圧を出力することによって、前記制御電圧として3次項電圧を発生する回路であることを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項1に記載の温度補償型発振器において、
前記温度検出回路が検出する温度が、第1の温度(T1)に達するまでの温度範囲を第1温度領域(TA1)、前記第1の温度(T1)からそれより高い第2の温度(T2)の間の温度範囲を第2温度領域(TA2)、前記第2の温度(T2)を越える温度範囲を第3温度領域(TA3)としたとき、
前記制御電圧発生回路が発生する前記3次項電圧と温度との関係を示す曲線が、
前記第1温度領域(TA1)では前記第1のMOSトランジスタの自乗則に則る下向きに凸な曲線となり、前記第2温度領域(TA2)では一定になり、前記第3温度領域(TA3)では前記第2のMOSトランジスタの自乗則に則る下向きに凸な曲線となることを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項1又は2に記載の温度補償型発振器において、
前記制御電圧発生回路は、前記温度検出回路からの出力電圧と前記第1の電源又は第2の電源線の電圧との差を分割して、前記第1のMOSトランジスタおよび第2のMOSトランジスタを制御する電圧を発生する電圧分割回路を有することを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項3に記載の温度補償型発振器において、
前記制御電圧発生回路に、外部データを記憶するメモリ回路を設け、前記電圧分割回路は、前記メモリ回路に記憶されたデジタルデータによって電圧分割比率が設定されるデジタル制御電圧分割回路であることを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の温度補償型発振器において、
前記制御電圧発生回路は、前記接続点がさらに、第1の抵抗素子を介して前記第1の電源線に接続されるとともに、第2の抵抗素子を介して前記第2の電源線に接続されている温度補償型発振器。 - 請求項5に記載の温度補償型発振器において、
前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子の抵抗値に対する温度係数が異なることを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項6に記載の温度補償型発振器において、
前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子として、その抵抗値に対する温度係数の組み合わせが異なる抵抗素子の組を複数設けるとともに、その複数の抵抗素子の組のいずれかを選択的に切り替えて使用する切替手段を設けたことを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項1から7のいずれか一項に記載の温度補償型発振器において、
前記制御電圧発生回路は、前記温度検出回路からの出力電圧に基づいて1次項電圧を発生する回路も有し、前記3次項電圧を第1の制御電圧として出力し、前記1次項電圧を第2の制御電圧として出力し、
前記周波数調整回路は、前記第1の制御電圧と前記第2の制御電圧とによって前記発振回路の発振周波数を制御する回路であることを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項8に記載の温度補償型発振器において、
前記1次項電圧を発生する回路が演算増幅回路であることを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項9に記載の温度補償型発振器において、
外部からのデータを記憶し、その記憶したデジタルデータによって前記演算増幅回路の増幅率とオフセット入力電圧を制御するメモリ回路を設けたことを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項1から10のいずれか一項に記載の温度補償型発振器において、
前記温度検出回路は、温度勾配の異なる2つの温度センサを有し、その2つの温度センサの出力電圧の差を任意の比率に分割して温度検出電圧として出力する回路であることを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項1から11のいずれか一項に記載の温度補償型発振器において、
前記周波数調整回路は、前記発振回路の負荷容量を構成する容量素子として、前記制御電圧によってその容量値が変化する電圧可変容量素子を有することを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項8から10のいずれか一項に記載の温度補償型発振器において、
前記周波数調整回路は、前記発振回路の負荷容量を構成する容量素子として、前記制御電圧によってその容量値が変化する電圧可変容量素子を有し、前記第1の制御電圧を前記電圧可変容量素子の一方の電極へ印加し、前記第2の制御電圧を前記電圧可変容量素子の他方の電極へ印加するようにしたことを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項8から10のいずれか一項に記載の温度補償型発振器において、
前記周波数調整回路は、前記発振回路の負荷容量を構成する容量素子として、前記制御電圧によってその容量値が変化する電圧可変容量素子を有し、
該電圧可変容量素子は、前記第1の制御電圧が印加される第1の電圧可変容量素子と、前記第2制御電圧が印加される第2電圧可変容量素子とが並列に接続されていることを特徴とする温度補償型発振器。
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