JPH116687A - 誘導加熱溶解炉およびその底部出湯機構 - Google Patents

誘導加熱溶解炉およびその底部出湯機構

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JPH116687A
JPH116687A JP10032688A JP3268898A JPH116687A JP H116687 A JPH116687 A JP H116687A JP 10032688 A JP10032688 A JP 10032688A JP 3268898 A JP3268898 A JP 3268898A JP H116687 A JPH116687 A JP H116687A
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induction heating
melting
melted
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正徳 津田
Atsushi Okuno
敦 奥野
Yasuhiro Nakai
泰弘 中井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解対象物13の溶解および取り出しの作業
を容易にすると共に、溶解対象物13の側面壁3への付
着量を低減し、ガスを十分に除去する。 【解決手段】 側面壁3は、底部から上縁部にかけて半
径を増大させるように傾斜されている。側面壁3の底部
には、出湯部2が形成されている。側面壁3および出湯
部2の外周側には、溶解対象物13を誘導加熱する第1
誘導加熱コイル5と第2誘導加熱コイル6とが設けられ
ている。これらの加熱コイル5・6には、交流電力が供
給されるように溶解用電源7と出湯用電源8とが接続さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導加熱により金
属を溶解する誘導加熱溶解炉およびその底部出湯機構に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】反応性の高い金属を溶融して高純度の金
属を得たり、所望の成分の合金を得る場合には、誘導加
熱と撹拌作用により溶湯の全体を均等な温度にして品質
のばらつきを無くすことができると共に、不純物の混入
を低レベルに抑制して品質の低下を防止することができ
る誘導加熱溶解炉が注目されている。
【0003】従来の誘導加熱溶解炉は、例えば特開平4
−327342号公報に開示されているように、出湯部
を有した底部から口径を拡大させるように傾斜された
後、同一口径で上端まで立ち上げられた側面壁を有して
いる。側面壁は、縦割り状の複数の導電性セグメントを
円周方向に相互に絶縁して配列することにより形成され
ており、この側面壁の外周側には、側面壁の内周側に収
容された金属を誘導加熱するように誘導コイルが配置さ
れている。また、出湯部には、上下に出湯路を連通され
た鋳型が設けられている。そして、このように構成され
た誘導加熱溶解炉は、金属を誘導加熱により溶解して溶
湯とし、この溶湯を鋳型の出湯路に流入させることによ
って、溶湯を凝固させながら取り出すようになってい
る。
【0004】また、特開平8−145571号公報に
は、出湯部を有した平面状の底部から同一口径で上端ま
で立ち上げられた側面壁と、出湯部を閉口した底蓋とを
有した誘導加熱溶解炉が開示されている。そして、この
誘導加熱溶解炉は、金属が誘導加熱で溶解されて溶湯と
なったときに、底蓋を溶解して出湯部を開口させること
によって、溶湯を外部に取り出すようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のように、出湯部に鋳型を設けた構成では、鋳型の出
湯路における凝固層と側面壁の凝固層とが接続した状態
になるため、鋳型から金属を取り出そうとすると、極め
て大きな引抜力を要することになって取り出し作業が困
難となる。また、出湯部を底蓋で閉口した構成では、底
蓋を一旦溶解して開口すると、全溶湯の取り出しを完了
するまで出湯部を閉口することができないため、金属の
溶解と取り出しとを容易に切り替えることができない。
即ち、従来の構成は、金属の溶解および取り出しの作業
を容易に行うことができないと共に、これらの溶解およ
び取り出しの切り替え操作を簡単に行うことができない
という第1の問題がある。
【0006】さらに、上記従来の構成のように、側面壁
が同一口径で立ち上げられていると、溶湯の湯面から金
属蒸気が蒸発したり、溶湯内で生成されたガス成分が湯
面から放散するときに、これらの金属蒸気の蒸発方向や
ガスの上昇方向が側面壁の壁面に対して平行になる。こ
れにより、従来の構成では、金属が側面壁に付着し易い
ため、側面壁を清掃する際に大きな負担がかかると共
に、ガスが側面壁に接触し易いため、ガスの排気抵抗が
増大し、結果としてガスを十分に除去することができず
に品質の低下を招来することになるという第2の問題が
ある。
【0007】そこで、本発明は、上述の第1の問題およ
び第2の問題の少なくとも一方を解決することができる
誘導加熱溶解炉およびその底部出湯機構を提供しようと
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明は、誘導加熱溶解炉であって、底部
に形成された出湯部と、縦割り状の複数の導電性セグメ
ントを円周方向に相互に絶縁して配列することにより形
成された側面壁とを有し、セグメント(または側面壁)
を冷却しながら溶解対象物を収容する収容手段と、前記
出湯部および前記側面壁の外周側に配置され、前記収容
手段に収容された溶解対象物を誘導加熱するコイル手段
と、前記コイル手段に電力を供給する電源手段と、前記
出湯部の開口と閉口とを前記溶解対象物の溶解と凝固と
で切り替えるように、前記電源手段を制御する電源制御
手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】上記の構成によれば、収容手段に収容した
溶解対象物が誘導加熱されると、この加熱により溶解対
象物が溶解して溶湯になると共に、収容手段の側面壁や
底部の壁面、出湯部の壁面に接触する部分においては、
溶湯が冷却されて溶解対象物が凝固した状態となる。従
って、電源制御手段が電源手段による誘導加熱を制御す
ることによって、溶解対象物の溶解時においては凝固し
た溶解対象物で出湯部を閉口し、溶解対象物の溶湯の取
り出し時においては凝固した溶解対象物を溶解させるこ
とで出湯部を開口させることができる。これにより、溶
解対象物の溶解および取り出しの作業を容易に行うこと
ができると共に、これらの溶解および取り出しの切り替
え操作を極めて簡単に行うことができる。
【0010】請求項2の発明は、誘導加熱溶解炉であっ
て、底部から上縁部にかけて半径を増大させるように傾
斜され、縦割り状の複数の導電性セグメントを円周方向
に相互に絶縁して配列することにより形成された側面壁
を有した収容手段と、前記側面壁の外周側に配置され、
前記収容手段に収容された溶解対象物を誘導加熱するコ
イル手段と、前記コイル手段に交流電力を供給する電源
手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】上記の構成によれば、電源手段からコイル
手段に交流電力を供給すると、コイル手段が交番磁場を
発生させることによって、収容手段に収容された溶解対
象物を誘導加熱して溶解させる。そして、溶解対象物が
溶解して溶湯になると、溶湯の湯面から溶解対象物が蒸
発すると共に、溶湯内で生成されたガス成分が湯面から
ガスとして放散する。この際、収容手段の側面壁は、底
部から上縁部にかけて半径を増大させるように傾斜され
ているため、溶解対象物の蒸発やガスの上昇を遮ること
がない。従って、蒸発する溶解対象物が湯面から上方の
側面壁に接触することが殆どないため、側面壁に溶解対
象物が付着することによる不具合を抑制することができ
る。また、ガスが側面壁に接触することも殆どないた
め、ガスの排気抵抗を低減することが可能になり、結果
としてガスを十分に除去することができる。
【0012】請求項3の発明は、誘導加熱溶解炉であっ
て、底部に形成された出湯部と、該底部から上縁部にか
けて半径を増大させるように傾斜され、縦割り状の複数
の導電性セグメントを円周方向に相互に絶縁して配列す
ることにより形成された側面壁とを有した収容手段と、
前記出湯部および前記側面壁の外周側に配置され、前記
収容手段に収容された溶解対象物を誘導加熱するコイル
手段と、前記コイル手段に交流電力を供給する電源手段
と、前記出湯部の開口と閉口とを前記溶解対象物の溶解
と凝固とで切り替えるように、前記電源手段を制御する
電源制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0013】上記の構成によれば、電源手段からコイル
手段に交流電力を供給すると、コイル手段が交番磁場を
発生させることによって、収容手段に収容された溶解対
象物を誘導加熱して溶解させる。そして、溶解対象物が
溶解して溶湯になると、溶湯の湯面から溶解対象物が蒸
発すると共に、溶湯内で生成されたガス成分が湯面から
ガスとして放散する。この際、収容手段の側面壁は、底
部から上縁部にかけて半径を増大させるように傾斜され
ているため、溶解対象物の蒸発やガスの上昇を遮ること
がない。従って、蒸発する溶解対象物が湯面から上方の
側面壁に接触することが殆どないため、側面壁に溶解対
象物が付着することによる不具合を抑制することができ
る。また、溶湯から発生したガスが側面壁に接触するこ
とも殆どないため、ガスの排気抵抗を低減することが可
能になり、結果として溶湯中のガスを十分に除去するこ
とができる。さらに、電源手段による誘導加熱を制御す
ることによって、溶解対象物の溶解時においては凝固し
た溶解対象物で出湯部を閉口し、溶解対象物の溶湯の取
り出し時においては凝固した溶解対象物を溶解させるこ
とで出湯部を開口させることができる。これにより、溶
解対象物の溶解および取り出しの作業を容易に行うこと
ができると共に、これらの溶解および取り出しの切り替
え操作を極めて簡単に行うことができる。
【0014】請求項4の発明は、請求項1または3記載
の誘導加熱溶解炉であって、前記出湯部は、前記収容手
段の底部に接合され、上部から下方に向かって口径を減
少させるように形成された導入口部と、該導入口部と一
体的にその下方に形成された中空筒状の流出口部とを有
したことを特徴としている。
【0015】上記の構成によれば、出湯部の壁面に沿っ
て溶解対象物が凝固した後、内周方向に凝固が進行す
る。従って、出湯部の閉口動作は、導入口部の最も小さ
な口径の下部から始まって上部方向に順に進行する。こ
れにより、出湯部の全体が溶解対象物の凝固により大き
な力で急激に閉口することがないため、出湯部の開口率
を容易に増減させることが可能になり、結果として出湯
量を微調整しながら溶湯を取り出すことができる。
【0016】請求項5の発明は、請求項1または3記載
の誘導加熱溶解炉であって、前記コイル手段は、前記側
面壁の外周側に配置された第1コイル手段と、前記出湯
部の外周側に配置された第2コイル手段とを一体的に有
し、前記電源制御手段は、前記溶解対象物の溶解時にお
いては前記出湯部を凝固した溶解対象物で閉口する一
方、前記溶解対象物の溶湯の取り出し時においては前記
溶解対象物を溶解させて前記出湯部を開口させるよう
に、前記電源手段を制御することを特徴としている。上
記の構成によれば、第1コイル手段と第2コイル手段と
を一つのコイルで連続的に形成してコイル手段とするこ
とができる。
【0017】請求項6の発明は、請求項1または3記載
の誘導加熱溶解炉であって、前記コイル手段は、前記側
面壁の外周側に配置された第1コイル手段と、前記出湯
部の外周側に配置された第2コイル手段とに分離されて
おり、前記電源手段は、前記第1コイル手段に電力を供
給する第1電源手段と、前記第2コイル手段に電力を供
給する第2電源手段とを有し、前記電源制御手段は、前
記第1電源手段と前記第2電源手段とを独立に制御する
ことを特徴としている。上記の構成によれば、溶解対象
物の溶解と、溶湯の取り出しをそれぞれ独立して行うこ
とができるため、生産性を向上させることができる。
【0018】請求項7の発明は、請求項6記載の誘導加
熱溶解炉であって、前記第2電源手段は、溶解対象物を
溶解させる程度の第1周波数の交流電力を出力する溶解
用電源部と、溶解対象物を凝固させる程度の第2周波数
の交流電力を出力する凝固用電源部とを有し、前記電源
制御手段は、出湯部の開口時に前記溶解用電源部から交
流電力を出力させる一方、出湯部の閉口時に前記凝固用
電源部から交流電力を出力させることを特徴としてい
る。上記の構成によれば、溶解用電源部と凝固用電源部
との切り替えによって、出湯部の開口と閉口を容易に切
り替えることができると共に、高周波および低周波の電
力の供給時間を調整することによって、出湯量の調整も
容易にできる。
【0019】請求項8の発明は、請求項1または3記載
の誘導加熱溶解炉であって、前記出湯部から前記溶解対
象物を外部に強制的に引き抜く引抜手段を備えたことを
特徴としている。上記の構成によれば、溶解対象物の凝
固が進行した場合でも、溶解対象物を出湯部から強制的
に引き抜くことができるため、所望の凝固状態の溶解対
象物を得ることができる。
【0020】請求項9の発明は、請求項1ないし8のい
ずれか1項に記載の誘導加熱溶解炉であって、減圧下に
おいて前記溶解対象物を溶解することを特徴としてい
る。上記の構成によれば、多量のガスが発生する減圧下
において好適に使用することができる。
【0021】請求項10の発明は、誘導加熱溶解炉の底
部出湯機構であって、溶解対象物の溶解された溶湯を収
容する収容手段の底部に明けられた中空逆円錐状の開口
部と、前記開口部の内周に接してその内方に形成された
導入口部と、この導入口部と一体にその下方に形成され
た中空筒状の流出口部とからなり、それぞれが連続した
複数のスリットにより複数のセグメントに分割され、冷
却水の給排水配管に接続された漏斗状の出湯部と、前記
出湯部の前記導入口部と流出口部の、それぞれの外周に
配置された誘導加熱コイルと、これら誘導加熱コイルに
任意に選択的に接続される凝固用電源部と溶解用電源部
とを含んでなることを特徴としている。上記の構成によ
れば、比較的に簡単な構成により溶解と出湯の時間と量
を制御することができる。
【0022】請求項11の発明は、請求項10記載の誘
導加熱溶解炉の底部出湯機構であって、前記出湯部は、
上部が広く下方に向かって狭くなる導入口部と、該導入
口部に連続して下方に延びる中空管状の流出口部とから
なることを特徴としている。上記の構成によれば、出湯
部の開口率を容易に増減させることができるため、出湯
量を微調整しながら溶湯を取り出すことができる。
【0023】請求項12の発明は、請求項11記載の誘
導加熱溶解炉の底部出湯機構であって、前記出湯部の前
記導入口部と流出口部のそれぞれに配置された誘導加熱
コイルに、出湯する際は高周波電力が供給され、出湯を
停止する際は低周波電流が供給されることを特徴として
いる。上記の構成によれば底部出湯機構を一層簡単な構
成にすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施形態を図1な
いし図7に基づいて以下に説明する。本実施の形態に係
る誘導加熱溶解炉は、図2に示すように、チタン等の溶
解対象物13を収容する銅製の炉本体1を有している。
尚、炉本体1は、純銅や銅合金からなる銅製の他、電気
抵抗率の低い金や銀または場合によってはステンレス等
を用いることができる。また、溶解対象物13として
は、チタンの他、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、
ニオブ、タンタル、モリブデン、ウラン、希土類金属、
トリウム、およびこれらの合金から選ばれる金属からな
る反応性金属を挙げることができる。
【0025】上記の炉本体1は、高真空から大気圧まで
の任意の圧力に減圧可能な図示しない真空チャンバ内に
設けられている。また、炉本体1は、底部に配置された
出湯部2と、底部から上縁部にかけて半径を増大させる
ように傾斜された逆円錐形状の側面壁3とを有してい
る。出湯部2は、図1に示すように、炉本体1の底部を
開口し、この開口を上下方向に連通させる連通穴2aを
有している。また、出湯部2および側面壁3は、縦割り
状の複数(8個)の導電性セグメント4を円周方向に相
互に絶縁して配列することにより形成されている。尚、
絶縁は、絶縁部材を導電性セグメント4・4間に介装し
たり、導電性セグメント4・4間を離隔することにより
行われている。
【0026】上記の導電性セグメント4は、冷却水が流
動する冷却水路4aを内部に有している。冷却水路4a
は、導電性セグメント4の上端部(側面壁3の上端部)
から下端部(出湯部2の下端部)にかけて形成されてい
る。上端部の冷却水路4aは、図示しない冷却水供給装
置に接続されており、下端部の冷却水路4aは、連絡口
4bを介して隣接する導電性セグメント4の冷却水路4
aに連通されている。そして、冷却水路4aは、隣接す
る2つの導電性セグメント4・4を一組として冷却系を
構成している。これにより、冷却系は、一方の導電性セ
グメント4の上端部から冷却水を導入して下端部に流動
させることにより一方の導電性セグメント4を冷却した
後、下端部の連絡口4bを介して隣接する導電性セグメ
ント4の冷却水路4aに流入させ、この冷却水路4aの
下端部から上端部に流動させることにより他方の導電性
セグメント4を冷却するようになっている。
【0027】上記のように構成された炉本体1の外周側
には、第1誘導加熱コイル5と第2誘導加熱コイル6と
に分離された誘導加熱コイル16が設けられている。第
1誘導加熱コイル5は、側面壁3の底部から上端部にか
けて巻回されている。一方、第2誘導加熱コイル6は、
出湯部2の下端から上端にかけて巻回されている。そし
て、第1誘導加熱コイル5および第2誘導加熱コイル6
は、電源装置17の溶解用電源7および出湯用電源8に
それぞれ接続されており、これらの電源7・8から交流
電力が供給されたときに、側面壁3および出湯部2の壁
面に沿って交番磁場9を生成するようになっている。
【0028】上記の溶解用電源7は、溶解対象物13を
溶解させる程度の第1周波数の交流電力を出力するよう
に設定されていると共に、周波数を任意に変更可能にな
っている。一方、出湯用電源8は、溶解対象物13を溶
解させる程度の第1周波数の交流電力を出力する溶解用
電源部10と、溶解対象物13を凝固させる程度の第2
周波数の交流電力を出力する凝固用電源部11とを有し
ている。そして、両電源部10・11は、上述の溶解用
電源7と同様に周波数を任意に変更可能になっている。
【0029】上記の電源部10・11および溶解用電源
7は、電源制御装置12に接続されている。溶解用電源
7および溶解用電源部10の第1周波数は、2kHz程
度の高周波数に設定するようになっている。尚、凝固用
電源部11の第2周波数は、通常、商用電源の周波数
(100〜200Hz程度の低周波数)に設定されてい
る。また、電源制御装置12は、動作信号を各電源7・
8に出力することによって、各電源7・8における交流
電力の出力と停止とを切り替え可能になっていると共
に、出湯用電源8における溶解用電源部10と凝固用電
源部11との作動を切り替え可能になっている。
【0030】上記の構成において、誘導加熱溶解炉の動
作について説明する。先ず、炉本体1の上方から溶解対
象物13が投入されることによって、炉本体1への溶解
対象物13の収容が行われる。この際、炉本体1の側面
壁3は、底部から上縁部にかけて半径を増大させるよう
に傾斜された逆円錐形状に形成されているため、上縁部
が最も大きな開口径となっている。従って、溶解対象物
13の投入位置に多少の誤差があった場合や、体積が大
きく異なる溶解対象物13を混在させながら投入した場
合であっても、溶解対象物13の全量を確実に炉本体1
に投入することができる。
【0031】この後、冷却水路4aに冷却水を流すこと
により炉本体1を冷却し、溶解の準備を完了する。そし
て、オペレータが溶解開始の指令を電源制御装置12に
入力したとき、電源制御装置12は、溶解用電源7を動
作状態にすることによって、第1周波数(高周波数)の
交流電力を第1誘導加熱コイル5に出力させる。第1誘
導加熱コイル5に交流電力が供給されると、第1誘導加
熱コイル5から側面壁3の壁面に沿って交番磁場9が生
成され、この交番磁場9により溶解対象物13が誘導加
熱されることにより塊状片の表面から溶解される。そし
て、溶解した溶解対象物13が側面壁3の壁面に接触す
ると、側面壁3の冷却作用により溶解対象物13が再び
凝固することによって、スカル14が側面壁3に沿って
容器状に形成される。これにより、溶解初期において
は、図3に示すように、大きな層厚のスカル14上に塊
状の溶解対象物13と溶解した溶解対象物13とが混在
しながら載置された状態となる。
【0032】この後、図4に示すように、誘導加熱を継
続して全溶解対象物13を溶解すると、スカル14で囲
まれた容器部に溶解対象物13の溶湯が収容された状態
となる。尚、通電されていない第2誘導加熱コイル6
は、交番磁場9を生成していないため、出湯部2の周辺
には、第1誘導加熱コイル5による小さな交番磁場9が
存在しているだけである。従って、出湯部2は、側面壁
3による冷却で形成された大きな層厚のスカル14によ
り閉口された状態になっている。
【0033】この後、図5に示すように、誘導加熱によ
る加熱電力が側面壁3の壁面に接触している側から内側
に向かって減衰するように加えられる。そして、図1に
示すように、溶解対象物13の抜熱と交番磁場9の誘導
加熱による入熱とが平衡したスカル14の層厚になった
ときに、スカル14を浸透した交番磁場9の一部で溶解
対象物13を誘導加熱することにより溶融状態を保持す
る。尚、溶解対象物13の抜熱の要因には、溶解対象物
13の湯面13aからの放射、湯面13aにおけるガス
の対流、および側面壁3による冷却があるが、スカル1
4の層厚は、側面壁3の冷却と交番磁場9の誘導加熱と
で主に決定される。
【0034】上述のようにして溶解対象物13が溶解さ
れて溶湯になると、湯面13aから溶解対象物13が蒸
発すると共に、溶湯内で生成されたガス成分が湯面13
aから放散する。この際、側面壁3は、底部から上縁部
にかけて半径を増大させるように傾斜されているため、
溶解対象物13の蒸発や湯面13aで気化したガス成分
の上昇(矢符方向)を遮ることがない。従って、蒸発す
る溶解対象物13が湯面13aから上方の側面壁3に接
触することが殆どないため、側面壁3に対する溶解対象
物13の付着量が低減されたものになる。また、溶湯よ
り上昇するガスが側面壁3に接触することも殆どないた
め、ガスの排気抵抗が低減されることによって、溶湯中
のガスが十分に除去される。
【0035】次に、溶解対象物13の溶湯を取り出す場
合には、溶解用電源部10を動作状態にすることによっ
て、第1周波数(高周波数)の交流電力を第2誘導加熱
コイル6に出力させる。第2誘導加熱コイル6に交流電
力が供給されると、第2誘導加熱コイル6により高周波
の交番磁場9が出湯部2の周辺に生成される。これによ
り、出湯部2の上方に存在するスカル14が誘導加熱に
より溶解することによって、出湯部2が開口した状態と
なり、溶解対象物13の溶湯が自重により出湯部2を介
して外部に出湯される。
【0036】また、溶湯の取り出しを途中で中断した
り、取り出し量を調整する場合には、第2誘導加熱コイ
ル6への電力供給を溶解用電源部10から凝固用電源部
11に切り替える。凝固用電源部11に切り替えると、
出湯部2の周辺に第2周波数(低周波数)の交番磁場9
が生成され、溶湯の表面からかなり深い部分まで渦電流
が生じる。そして、この部分における電力密度が低くな
り、加熱よりも専ら磁気圧が溶湯を上方に持ち上げるよ
うに作用する。これにより、出湯部2に加わる溶湯の自
重による圧力が低減されることによって、出湯量が減少
する。
【0037】このようにして出湯量が減少すると、溶湯
から供給される熱量が減少し、出湯部2に接触している
部分から凝固が始まり、出湯量をさらに減少させること
によって、出湯部2の開口径が順次減少していくことに
なる。そして、溶解対象物13の凝固を完全に進行させ
れば、出湯部2が閉口するため、出湯を停止させること
ができる。一方、出湯部2が所定の開口径となったとき
に、第2誘導加熱コイル6への電力供給を凝固用電源部
11から溶解用電源部10に切り替えれば、出湯部2の
開口径の減少を停止させた後、開口径を増大させる方向
に反転させることができる。従って、凝固用電源部11
と溶解用電源部10との切り替えを制御することによっ
て、出湯部2の開口径を一定に維持して所定の出湯量で
溶解対象物13を取り出すことができる。
【0038】以上のように、本実施形態の誘導加熱溶解
炉は、底部から上縁部にかけて半径を増大させるように
傾斜され、縦割り状の複数の導電性セグメント4を円周
方向に相互に絶縁して配列することにより形成された側
面壁3を有した炉本体1(収容手段)と、側面壁3の外
周側に配置され、炉本体1に収容された溶解対象物13
を誘導加熱する第1誘導加熱コイル5(第1コイル手
段)と、第1誘導加熱コイル5に交流電力を供給する溶
解用電源7(第1電源手段)とを備えた第1の構成を有
している。
【0039】尚、誘導加熱溶解炉が第1の構成を有して
いれば、炉本体1は、本実施形態のように底部に出湯部
2を有し、この出湯部2から溶解対象物13を取り出す
構造であっても良いし、出湯部2を備えずに炉本体1を
傾けて溶解対象物13を取り出す構造であっても良い。
また、側面壁3の壁面は、底部から上縁部にかけて半径
を増大させるように傾斜されていれば、直線状であって
も湾曲状であっても良い。
【0040】上記の第1の構成において、溶解用電源7
から第1誘導加熱コイル5に交流電力を供給すると、第
1誘導加熱コイル5が交番磁場9を発生させることによ
って、炉本体1に収容された溶解対象物13を誘導加熱
して溶解させる。そして、溶解対象物13が溶解して溶
湯になると、湯面13aから溶解対象物13が蒸発する
と共に、溶湯内で生成されたガス成分が湯面13aから
放散する。この際、炉本体1の側面壁3は、底部から上
縁部にかけて半径を増大させるように傾斜されているた
め、溶解対象物13の蒸発や湯面13aで気化したガス
成分の上昇を遮ることがない。従って、蒸発する溶解対
象物13が湯面13aから上方の側面壁3に接触するこ
とが殆どないため、側面壁3に溶解対象物13が大量に
付着することによる不具合を低減することができる。即
ち、不純物を多量に含む付着物が溶湯中に落下すること
による溶解対象物13の純度の低下や組成比のバラツキ
を低減することができると共に、付着物を除去する際の
負担を低減することができる。また、湯面13aで気化
して上昇するガスが側面壁3に接触することも殆どない
ため、ガスの排気抵抗を低減することが可能になり、結
果として溶湯中のガス成分を十分に除去することができ
る。
【0041】また、本実施形態の誘導加熱溶解炉は、上
述の第1の構成に加えて、側面壁3の底部に形成された
出湯部2と、出湯部2の外周側に配置され、溶解対象物
13を誘導加熱する第2誘導加熱コイル6(第2コイル
手段)と、第2誘導加熱コイル6に交流電力を供給する
出湯用電源8(第2電源手段)と、出湯部2の開口と閉
口とを溶解対象物13の溶解と凝固とで切り替えるよう
に出湯用電源8を制御する電源制御装置12(電源制御
手段)とを備えた第2の構成を有している。
【0042】尚、誘導加熱溶解炉が第2の構成を有して
いれば、図6に示すように、炉本体1の側面壁3は、底
部から半径を増大させるように傾斜された後、鉛直方向
に立ち上げられた構造であっても良い。
【0043】上記の第2の構成によれば、炉本体1に収
容した溶解対象物13が誘導加熱されると、この加熱に
より溶解対象物13が溶解して溶湯になると共に、炉本
体1の側面壁3や底部の壁面、出湯部2の壁面に接触す
る部分においては、溶湯が冷却されて溶解対象物13が
凝固した状態となる。従って、電源制御装置12が出湯
用電源8による誘導加熱を制御することによって、溶解
対象物13の溶解時においては凝固した溶解対象物13
(スカル14)で出湯部2を閉口し、溶解対象物13の
溶湯の取り出し時においてはスカル14を溶解させるこ
とで出湯部2を開口させることができる。これにより、
溶解対象物13の溶解および取り出しの作業を容易に行
うことができると共に、これらの溶解および取り出しの
切り替え操作を極めて簡単に行うことができる。
【0044】また、本実施形態の誘導加熱溶解炉は、誘
導加熱コイル16が第1誘導加熱コイル5(第1コイル
手段)と第2誘導加熱コイル6(第2コイル手段)とに
分離されており、電源装置17が第1誘導加熱コイル5
に交流電力を供給する溶解用電源7(第1電源手段)と
第2誘導加熱コイル6に交流電力を供給する出湯用電源
8(第2電源手段)とを有し、電源制御装置12が溶解
用電源7と出湯用電源8とを独立に制御する構成を有し
ている。これにより、第1誘導加熱コイル5の誘導加熱
炉による溶解対象物13の溶解と、第2誘導加熱コイル
6の誘導加熱による溶湯の取り出しとをそれぞれ独立し
て行うことができるため、生産性を向上させることがで
きる。
【0045】さらに、本実施形態の誘導加熱溶解炉は、
出湯用電源8が溶解対象物13を溶解させる程度の第1
周波数の交流電力を出力する溶解用電源部10と、溶解
対象物13を凝固させる程度の第2周波数の交流電力を
出力する凝固用電源部11とを有し、電源制御装置12
が出湯部2の開口時に溶解用電源部10から交流電力を
出力させる一方、出湯部2の閉口時に凝固用電源部11
から交流電力を出力させる構成を有している。これによ
り、溶解用電源部10と凝固用電源部11との切り替え
によって、出湯部2の開口と閉口を容易に切り替えるこ
とができると共に、第1周波数および第2周波数の交流
電力の供給時間を調整することによって、出湯量の調整
も容易にできる。
【0046】尚、本実施形態においては、誘導加熱コイ
ル16を第1誘導加熱コイル5と第2誘導加熱コイル6
とを分離し、各コイル5・6を独立して作動させるよう
になっているが、これに限定されることはない。即ち、
誘導加熱溶解炉は、図7に示すように、第1誘導加熱コ
イル5と第2誘導加熱コイル6とを一体的に有した誘導
加熱コイル16と、このコイル16に任意の周波数で交
流電力を供給可能な溶解・出湯用電源18(電源手段)
と、溶解対象物13の溶解時においては出湯部2を凝固
した溶解対象物13で閉口する一方、溶解対象物13の
溶湯の取り出し時においては溶解対象物13を溶解させ
て出湯部2を開口させるように、溶解・出湯用電源18
を制御する電源制御装置12とを備えた構成にされてい
ても良い。
【0047】次に、本発明の第2の実施形態を図8ない
し図11に基づいて説明する。尚、第1の実施形態と同
一の部材には同一の符号を付記してその説明を省略す
る。
【0048】第2の実施形態の誘導加熱溶解炉は、図9
に示すように、底部に出湯部2を有し、底部から上縁部
にかけて半径を増大させるように傾斜され、縦割り状の
複数の導電性セグメント4を円周方向に相互に絶縁して
配列することにより形成された側面壁3を有した炉本体
1(収容手段)を有している。炉本体1の外周側には、
図8に示すように、炉本体1に収容された溶解対象物1
3を誘導加熱する誘導加熱コイル16が設けられてい
る。
【0049】上記の誘導加熱コイル16は、側面壁3の
外周側に配置された第1誘導加熱コイル5と、出湯部2
の外周側に配置された第2誘導加熱コイル6とに分離さ
れており、これらのコイル5・6は、溶解用電源7およ
び出湯用電源8にそれぞれ接続されている。そして、両
コイル5・6で構成された電源装置17は、電源制御装
置12に接続されている。
【0050】上記の出湯部2は、上下に同一径で貫通さ
れた連通穴2cを有していると共に、導電性の短絡部2
bを下部に有している。短絡部2bは、各導電性セグメ
ント4を電気的に接続しており、連通穴2cへの交番磁
場9の浸透を抑制することによって、溶解対象物13の
凝固を促進させるようになっている。また、出湯部2の
連通穴2cには、冷却水等により冷却された棒状のスタ
ーティングブロック19が移動自在に挿入されている。
スターティングブロック19の上端面には、上部から下
部にかけて開口径を増大させた係合部19aが形成され
ており、係合部19aは、凝固した溶解対象物13に係
合することによって、溶解対象物13に引き抜き力を確
実に付与するようになっている。スターティングブロッ
ク19は、引抜装置20に連結されており、引抜装置2
0は、スターティングブロック19を任意の速度および
タイミングで昇降可能になっている。その他の構成は、
第1の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0051】上記の構成において、誘導加熱溶解炉の動
作を説明する。溶解対象物13を炉本体1に投入すると
共に、冷却水路4aに冷却水を流すことにより炉本体1
を冷却し、溶解の準備を完了する。そして、溶解用電源
7および出湯用電源8を動作状態にすることによって、
交流電力を第1誘導加熱コイル5および第2誘導加熱コ
イル6に出力させる。これらのコイル5・6に交流電力
が供給されると、側面壁3の壁面および出湯部2の連通
穴2cに沿って交番磁場9が生成され、この交番磁場9
により溶解対象物13が誘導加熱されることにより塊状
片の表面から溶解される。そして、溶解した溶解対象物
13が側面壁3、出湯部2およびスターティングブロッ
ク19に接触すると、側面壁3等の冷却作用により溶解
対象物13が再び凝固することによって、スカル14が
形成される。これにより、溶解初期においては、図10
に示すように、大きな層厚のスカル14上に塊状の溶解
対象物13と溶解した溶解対象物13とが混在しながら
載置された状態となる。
【0052】この後、図8に示すように、誘導加熱を継
続して全溶解対象物13を溶解すると、湯面13aから
溶解対象物13が蒸発すると共に、溶湯内に発生した不
純物を含むガス成分が溶湯中を上昇して湯面13aから
放散する。この際、側面壁3は、底部から上縁部にかけ
て半径を増大させるように傾斜されているため、溶解対
象物13の蒸発や湯面13aで気化したガス成分の上昇
を遮ることがない。従って、蒸発する溶解対象物13が
湯面13aから上方の側面壁3に接触することが殆どな
いため、側面壁3に対する溶解対象物13の付着量が低
減されたものになる。また、湯面13aで気化したガス
成分が側面壁3に接触することも殆どないため、ガスの
排気抵抗が低減されることによって、溶湯中のガスが十
分に除去される。
【0053】次に、溶解対象物13の溶湯を取り出す場
合には、出湯用電源8をスカル14が溶解するぐらい第
2誘導加熱コイル6への電力供給を増大する。この後、
引抜装置20を作動させ、スターティングブロック19
を下降させる。スターティングブロック19が下降する
と、スターティングブロック19の係合部19aに凝固
した溶解対象物13が係合しているため、スターティン
グブロック19の引き抜き力が溶解対象物13に確実に
付与される。これにより、溶解対象物13がスターティ
ングブロック19と共に下降する。そして、出湯部2の
短絡部2bにおいて、溶解対象物13の凝固が一層促進
された後、図11に示すように、所望の凝固状態となっ
た溶解対象物13が出湯部2から引き出されることにな
る。
【0054】以上のように、第2の実施形態の誘導加熱
溶解炉は、出湯部2から溶解対象物13を外部に強制的
に引き抜くスターティングブロック19および引抜装置
20(引抜手段)を備えた構成を有している。これによ
り、溶解対象物13を出湯部2から強制的に引き抜くこ
とができるため、所望の凝固状態の溶解対象物13を得
ることができる。
【0055】尚、第2の実施形態においては、誘導加熱
コイル16を第1誘導加熱コイル5と第2誘導加熱コイ
ル6とで構成し、電源装置17を溶解用電源7と出湯用
電源8とで構成しているが、単一のコイルおよび電源か
らなる誘導加熱コイル16および電源装置17とで構成
されていても良い。
【0056】次に、本発明の第3の実施形態を図12な
いし図13に基づいて説明する。本実施形態の誘導加熱
溶解炉は、図12(A)に示すように、外周側に誘導加
熱コイル38が巻回された円筒形状の側面壁33と、側
面壁33の底部を形成する平板状の底壁34とからなる
炉本体31を有しており、縦割り状の複数の導電性セグ
メントを円周方向に相互に絶縁して配列することにより
形成されている。
【0057】上記の底壁34の下面には、底部出湯機構
30が設けられている。底部出湯機構30は、炉本体3
1の底壁34に明けられた中空逆円錐状の開口部25
と、この開口部25に設けられた出湯部21とを有して
いる。
【0058】上記の開口部25には、図12(B)にも
示すように、出湯部21の上端部が接合されている。出
湯部21は、上部が広く、内方に向かって所定の幅まで
狭くなる漏斗状の導入口部21aと、この導入口部21
aに連続して下方に延びる中空管状の流出口部21bと
からなり、断面が『く』の字状で全体として漏斗状にな
るように形成されている。
【0059】上記の出湯部21は、図12(C)にも示
すように、軸線方向に延びる複数のスリット22により
複数の導電性セグメント21sに分割されている。各セ
グメント21sの内部には、冷却水の通路となる中空部
21cが形成されている。そして、中空部21cの端部
には、図13に示すように、冷却水の流入管21eと流
出管21fとが接続されている。
【0060】上記の出湯部21における流出口部21b
と導入口部21aのそれぞれの外周側には、外壁面に沿
って誘導加熱コイル26a・26bが配置されている。
これらの誘導加熱コイル26a・26bは、交流電力を
出力する出湯用電源28に接続されている。出湯用電源
28は、溶解対象物13を凝固させる程度の第2周波数
の交流電力を出力する凝固用電源部23と、溶解対象物
13を溶解させる程度の第1周波数の交流電力を出力す
る溶解用電源部24とを有している。尚、溶解用電源部
24の第1周波数は、凝固用電源部23の第2周波数よ
りも高周波数に設定されている。そして、出湯用電源2
8は、電源制御装置29に接続されており、電源制御装
置29は、出湯用電源28における凝固用電源部23と
溶解用電源部24との作動を切り替え可能になってい
る。
【0061】上記の構成において、溶解および出湯する
場合には、図12(A)に示すように、側面壁33の外
周側に配置された溶解用の誘導加熱コイル38に通電し
て溶解対象物13を溶解する。溶解が進行して炉本体3
1内部で溶解された溶湯が、所定の溶融状態に達した時
点で出湯を開始する。
【0062】即ち、図13に示すように、溶解用電源部
24から第1周波数の高周波電力を誘導加熱コイル26
a・26bに供給する。下側の誘導加熱コイル26aに
第1周波数の高周波電力が供給されると、高周波電力に
より高周波の交番磁場が生じ、高周波の交番磁場9は、
流出口部21bの内面の薄い凝固層(浸透深さ)にのみ
渦電流を流す。これにより、この薄い凝固層での電力密
度が高いため、出湯部21の流出口部21bの内表面に
凝固している溶解対象物13が表面から溶解し、凝固層
が下方に落下することにより出湯が可能な状態となる。
【0063】一方、上側の誘導加熱コイル26bは、導
入口部21aの導電性セングメント21sと接触してい
る凝固層の薄い層に対して渦電流を生じさせる。そし
て、図12(A)に示すように、疑似断熱作用により導
入口部21aのスカル35を凝固界面部から溶湯に接触
させて溶解させる。つまり、導電性セグメント21sに
接触している部分が誘導加熱され、疑似断熱層を形成し
て導電性セグメント21sの吸熱が抑制されることによ
って、凝固界面35”から溶解が進行する。また、この
部分での溶湯の流れVも導入口部21aのスカル35の
低減を促し、最終的には導入口部21a、流出口部21
bともにスカル35が薄くなることによって、溶湯の圧
力により出湯することになる。
【0064】次に、出湯を停止する場合には、図13に
示すように、流出口部21bの誘導加熱コイル26a
と、導入口部21aの誘導加熱コイル26bに、溶解用
電源部24から例えば商用周波数の低周波電力を供給す
る。この低周波電力で生じた低周波磁場は、溶湯の表面
からかなり厚い層まで渦電流を生じさせる。これによ
り、電力密度が低くなることによって、誘導加熱よりも
専ら磁気圧を溶湯に生じさせる。この現象により流出口
部21bでは溶湯の流れが細くなり、流量が抑制され
る。そして、導入口部21aにおいては溶湯を上方へ持
ち上げる効果が生じ、下方向の圧力の低減により出湯量
が抑制される。
【0065】この後、出湯部21を通過する溶湯量が減
ると、溶湯より供給される熱量が減り、導入口部21a
の導電性セグメント21sに接触している部分から凝固
が始まる。そして、出湯量がさらに減少し、最終的に出
湯が停止される。また、ただ単に溶解用電源24からの
高周波電力を停止しても、導入口部21a付近のスカル
層が増大することにより流出口部21bへの開口部25
がスカル35により詰まってしまい流出量が落ちる。そ
して、益々スカル35が増大し、開口部25が閉鎖さ
れ、上記と同様に出湯が停止される。
【0066】尚、第3の実施形態においては、側面壁3
3が垂直方向に立設されているが、これに限定されるこ
とはなく、底壁34から上縁部にかけて半径を増大させ
るように傾斜されていても良い。そして、この場合に
は、第1および第2の実施形態のように、溶解対象物1
3の側面壁33への付着量を低減することができると共
に、溶湯内のガスを十分に除去することができる。
【0067】
【発明の効果】請求項1の発明は、誘導加熱溶解炉であ
って、底部に形成された出湯部と、縦割り状の複数の導
電性セグメントを円周方向に相互に絶縁して配列するこ
とにより形成された側面壁とを有し、セグメント(また
は側面壁)を冷却しながら溶解対象物を収容する収容手
段と、前記出湯部および前記側面壁の外周側に配置さ
れ、前記収容手段に収容された溶解対象物を誘導加熱す
るコイル手段と、前記コイル手段に電力を供給する電源
手段と、前記出湯部の開口と閉口とを前記溶解対象物の
溶解と凝固とで切り替えるように、前記電源手段を制御
する電源制御手段とを備えた構成である。
【0068】上記の構成によれば、収容手段に収容した
溶解対象物が誘導加熱されると、この加熱により溶解対
象物が溶解して溶湯になると共に、収容手段の側面壁や
底部の壁面、出湯部の壁面に接触する部分においては、
溶湯が冷却されて溶解対象物が凝固した状態となる。従
って、電源制御手段が電源手段による誘導加熱を制御す
ることによって、溶解対象物の溶解時においては凝固し
た溶解対象物で出湯部を閉口し、溶解対象物の溶湯の取
り出し時においては凝固した溶解対象物を溶解させるこ
とで出湯部を開口させることができる。これにより、溶
解対象物の溶解および取り出しの作業を容易に行うこと
ができると共に、これらの溶解および取り出しの切り替
え操作を極めて簡単に行うことができるという効果を奏
する。
【0069】請求項2の発明は、誘導加熱溶解炉であっ
て、底部から上縁部にかけて半径を増大させるように傾
斜され、縦割り状の複数の導電性セグメントを円周方向
に相互に絶縁して配列することにより形成された側面壁
を有した収容手段と、前記側面壁の外周側に配置され、
前記収容手段に収容された溶解対象物を誘導加熱するコ
イル手段と、前記コイル手段に交流電力を供給する電源
手段とを備えた構成である。
【0070】上記の構成によれば、電源手段からコイル
手段に交流電力を供給すると、コイル手段が交番磁場を
発生させることによって、収容手段に収容された溶解対
象物を誘導加熱して溶解させる。そして、溶解対象物が
溶解して溶湯になると、溶湯の湯面から溶解対象物が蒸
発すると共に、溶湯内に発生したガス成分が湯面から放
散する。この際、収容手段の側面壁は、底部から上縁部
にかけて半径を増大させるように傾斜されているため、
溶解対象物の蒸発や溶湯面で気化したガス成分の上昇を
遮ることがない。従って、蒸発する溶解対象物が湯面か
ら上方の側面壁に接触することが殆どないため、側面壁
に溶解対象物が付着することによる不具合を抑制するこ
とができる。また、溶湯面で気化したガス成分が側面壁
に接触することも殆どないため、ガスの排気抵抗を低減
することが可能になり、結果として溶湯中のガスを十分
に除去することができるという効果を奏する。
【0071】請求項3の発明は、誘導加熱溶解炉であっ
て、底部に形成された出湯部と、該底部から上縁部にか
けて半径を増大させるように傾斜され、縦割り状の複数
の導電性セグメントを円周方向に相互に絶縁して配列す
ることにより形成された側面壁とを有した収容手段と、
前記出湯部および前記側面壁の外周側に配置され、前記
収容手段に収容された溶解対象物を誘導加熱するコイル
手段と、前記コイル手段に交流電力を供給する電源手段
と、前記出湯部の開口と閉口とを前記溶解対象物の溶解
と凝固とで切り替えるように、前記電源手段を制御する
電源制御手段とを備えた構成である。
【0072】上記の構成によれば、電源手段からコイル
手段に交流電力を供給すると、コイル手段が交番磁場を
発生させることによって、収容手段に収容された溶解対
象物を誘導加熱して溶解させる。そして、溶解対象物が
溶解して溶湯になると、溶湯の湯面から溶解対象物が蒸
発すると共に、溶湯内に生成されたガス成分が湯面から
上昇して放散する。この際、収容手段の側面壁は、底部
から上縁部にかけて半径を増大させるように傾斜されて
いるため、溶解対象物の蒸発や溶湯面で気化したガス成
分の上昇を遮ることがない。従って、蒸発する溶解対象
物が湯面から上方の側面壁に接触することが殆どないた
め、側面壁に溶解対象物が付着することによる不具合を
抑制することができる。また、溶湯面で気化して上昇す
るガス成分が側面壁に接触することも殆どないため、ガ
スの排気抵抗を低減することが可能になり、結果として
溶湯中のガスを十分に除去することができるという効果
を奏する。
【0073】さらに、電源手段による誘導加熱を制御す
ることによって、溶解対象物の溶解時においては凝固し
た溶解対象物で出湯部を閉口し、溶解対象物の溶湯の取
り出し時においては凝固した溶解対象物を溶解させるこ
とで出湯部を開口させることができる。これにより、溶
解対象物の溶解および取り出しの作業を容易に行うこと
ができると共に、これらの溶解および取り出しの切り替
え操作を極めて簡単に行うことができるという効果を奏
する。
【0074】請求項4の発明は、請求項1または3記載
の誘導加熱溶解炉であって、前記出湯部は、前記収容手
段の底部に接合され、上部から下方に向かって口径を減
少させるように形成された導入口部と、該導入口部と一
体的にその下方に形成された中空筒状の流出口部とを有
した構成である。
【0075】上記の構成によれば、出湯部の壁面に沿っ
て溶解対象物が凝固した後、内周方向に凝固が進行す
る。従って、出湯部の閉口動作は、導入口部の最も小さ
な口径の下部から始まって上部方向に順に進行する。こ
れにより、出湯部の全体が溶解対象物の凝固により大き
な力で急激に閉口することがないため、出湯部の開口率
を容易に増減させることが可能になり、結果として出湯
量を微調整しながら溶湯を取り出すことができるという
効果を奏する。
【0076】請求項5の発明は、請求項1または3記載
の誘導加熱溶解炉であって、前記コイル手段は、前記側
面壁の外周側に配置された第1コイル手段と、前記出湯
部の外周側に配置された第2コイル手段とを一体的に有
し、前記電源制御手段は、前記溶解対象物の溶解時にお
いては前記出湯部を凝固した溶解対象物で閉口する一
方、前記溶解対象物の溶湯の取り出し時においては前記
溶解対象物を溶解させて前記出湯部を開口させるよう
に、前記電源手段を制御する構成である。上記の構成に
よれば、第1コイル手段と第2コイル手段とを一つのコ
イルで連続的に形成してコイル手段とすることができる
という効果を奏する。
【0077】請求項6の発明は、請求項1または3記載
の誘導加熱溶解炉であって、前記コイル手段は、前記側
面壁の外周側に配置された第1コイル手段と、前記出湯
部の外周側に配置された第2コイル手段とに分離されて
おり、前記電源手段は、前記第1コイル手段に電力を供
給する第1電源手段と、前記第2コイル手段に電力を供
給する第2電源手段とを有し、前記電源制御手段は、前
記第1電源手段と前記第2電源手段とを独立に制御する
構成である。上記の構成によれば、溶解対象物の溶解
と、溶湯の取り出しをそれぞれ独立して行うことができ
るため、生産性を向上させることができるという効果を
奏する。
【0078】請求項7の発明は、請求項6記載の誘導加
熱溶解炉であって、前記第2電源手段は、溶解対象物を
溶解させる程度の第1周波数の交流電力を出力する溶解
用電源部と、溶解対象物を凝固させる程度の第2周波数
の交流電力を出力する凝固用電源部とを有し、前記電源
制御手段は、出湯部の開口時に前記溶解用電源部から交
流電力を出力させる一方、出湯部の閉口時に前記凝固用
電源部から交流電力を出力させる構成である。上記の構
成によれば、溶解用電源部と凝固用電源部との切り替え
によって、出湯部の開口と閉口を容易に切り替えること
ができると共に、高周波および低周波の電力の供給時間
を調整することによって、出湯量の調整も容易にできる
という効果を奏する。
【0079】請求項8の発明は、請求項1または3記載
の誘導加熱溶解炉であって、前記出湯部から前記溶解対
象物を外部に強制的に引き抜く引抜手段を備えた構成で
ある。上記の構成によれば、溶解対象物を流出口の下部
で凝固させつつ強制的に引き抜くことができるため、所
望の凝固状態の溶解対象物を得ることができるという効
果を奏する。
【0080】請求項9の発明は、請求項1ないし8のい
ずれか1項に記載の誘導加熱溶解炉であって、減圧下に
おいて前記溶解対象物を溶解する構成である。上記の構
成によれば、多量のガスが発生する減圧下において好適
に使用することができるという効果を奏する。
【0081】請求項10の発明は、誘導加熱溶解炉の底
部出湯機構であって、溶解対象物の溶解された溶湯を収
容する収容手段の底部に明けられた中空逆円錐状の開口
部と、前記開口部の内周に接してその内方に形成された
導入口部と、この導入口部と一体にその下方に形成され
た中空筒状の流出口部とからなり、それぞれが連続した
複数のスリットにより複数のセグメントに分割され、冷
却水の給排水配管に接続された漏斗状の出湯部と、前記
出湯部の前記導入口部と流出口部の、それぞれの外周に
配置された誘導加熱コイルと、これら誘導加熱コイルに
任意に選択的に接続される凝固用電源部と溶解用電源部
とを含んでなる構成である。上記の構成によれば、比較
的に簡単な構成により溶解と出湯の時間と量を制御する
ことができるという効果を奏する。
【0082】請求項11の発明は、請求項10記載の誘
導加熱溶解炉の底部出湯機構であって、前記出湯部は、
上部が広く下方に向かって狭くなる導入口部と、該導入
口部に連続して下方に延びる中空管状の流出口部とから
なる構成である。上記の構成によれば、出湯部の開口率
を容易に増減させることができるため、出湯量を微調整
しながら溶湯を取り出すことができるという効果を奏す
る。
【0083】請求項12の発明は、請求項11記載の誘
導加熱溶解炉の底部出湯機構であって、前記出湯部の前
記導入口部と流出口部のそれぞれに配置された誘導加熱
コイルに、出湯する際は高周波電力が供給され、出湯を
停止する際は低周波電流が供給される構成である。上記
の構成によれば底部出湯機構を一層簡単な構成にするこ
とができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における誘導加熱溶解炉の概略
構成を示す説明図である。
【図2】誘導加熱溶解炉の斜視図である。
【図3】溶解対象物の溶解される過程を示す説明図であ
る。
【図4】溶解対象物が溶解された状態を示す説明図であ
る。
【図5】表面距離と加熱電力との関係におけるスカルの
層厚を示す説明図である。
【図6】誘導加熱溶解炉の概略構成図である。
【図7】誘導加熱溶解炉の斜視図である。
【図8】第2の実施形態における誘導加熱溶解炉の概略
構成図である。
【図9】誘導加熱溶解炉の斜視図である。
【図10】溶解対象物の溶解される過程を示す説明図で
ある。
【図11】溶解対象物が溶解された状態を示す説明図で
ある。
【図12】第3の実施形態における誘導加熱溶解炉の概
略構成図であり、(A)は誘導加熱溶解炉の断面側面
図、(B)は出湯部の拡大断面側面図、(C)は出湯部
の斜視図である。
【図13】底部出湯機構の概略構成図である。
【符号の説明】
1 炉本体 2 出湯部 3 側面壁 4 導電性セグメント 5 第1誘導加熱コイル 6 第2誘導加熱コイル 7 溶解用電源 8 出湯用電源 9 交番磁場 10 溶解用電源部 11 凝固用電源部 12 電源制御装置 13 溶解対象物 14 スカル 16 誘導加熱コイル 17 電源装置 18 溶解・出湯用電源 19 スターティングブロック 20 引抜装置 21 出湯部 22 スリット 23 凝固用電源部 24 溶解用電源部 25 開口部 30 底部出湯機構 31 炉本体 33 側面壁 34 底壁

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底部に形成された出湯部と、縦割り状の
    複数の導電性セグメントを円周方向に相互に絶縁して配
    列することにより形成された側面壁とを有し、溶解対象
    物を冷却しながら収容する収容手段と、 前記出湯部および前記側面壁の外周側に配置され、前記
    収容手段に収容された溶解対象物を誘導加熱するコイル
    手段と、 前記コイル手段に電力を供給する電源手段と、 前記出湯部の開口と閉口とを前記溶解対象物の溶解と凝
    固とで切り替えるように、前記電源手段を制御する電源
    制御手段とを備えたことを特徴とする誘導加熱溶解炉。
  2. 【請求項2】 底部から上縁部にかけて半径を増大させ
    るように傾斜され、縦割り状の複数の導電性セグメント
    を円周方向に相互に絶縁して配列することにより形成さ
    れた側面壁を有した収容手段と、 前記側面壁の外周側に配置され、前記収容手段に収容さ
    れた溶解対象物を誘導加熱するコイル手段と、 前記コイル手段に交流電力を供給する電源手段とを備え
    たことを特徴とする誘導加熱溶解炉。
  3. 【請求項3】 底部に形成された出湯部と、該底部から
    上縁部にかけて半径を増大させるように傾斜され、縦割
    り状の複数の導電性セグメントを円周方向に相互に絶縁
    して配列することにより形成された側面壁とを有した収
    容手段と、 前記出湯部および前記側面壁の外周側に配置され、前記
    収容手段に収容された溶解対象物を誘導加熱するコイル
    手段と、 前記コイル手段に交流電力を供給する電源手段と、 前記出湯部の開口と閉口とを前記溶解対象物の溶解と凝
    固とで切り替えるように、前記電源手段を制御する電源
    制御手段とを備えたことを特徴とする誘導加熱溶解炉。
  4. 【請求項4】 前記出湯部は、 前記収容手段の底部に接合され、上部から下方に向かっ
    て口径を減少させるように形成された導入口部と、該導
    入口部と一体的にその下方に形成された中空筒状の流出
    口部とを有したことを特徴とする請求項1または3記載
    の誘導加熱溶解炉。
  5. 【請求項5】 前記コイル手段は、前記側面壁の外周側
    に配置された第1コイル手段と、前記出湯部の外周側に
    配置された第2コイル手段とを一体的に有し、 前記電源制御手段は、 前記溶解対象物の溶解時においては前記出湯部を凝固し
    た溶解対象物で閉口する一方、前記溶解対象物の溶湯の
    取り出し時においては前記溶解対象物を溶解させて前記
    出湯部を開口させるように、前記電源手段を制御するこ
    とを特徴とする請求項1または3記載の誘導加熱溶解
    炉。
  6. 【請求項6】 前記コイル手段は、前記側面壁の外周側
    に配置された第1コイル手段と、前記出湯部の外周側に
    配置された第2コイル手段とに分離されており、 前記電源手段は、前記第1コイル手段に電力を供給する
    第1電源手段と、前記第2コイル手段に電力を供給する
    第2電源手段とを有し、 前記電源制御手段は、前記第1電源手段と前記第2電源
    手段とを独立に制御することを特徴とする請求項1また
    は3記載の誘導加熱溶解炉。
  7. 【請求項7】 前記第2電源手段は、溶解対象物を溶解
    させる程度の第1周波数の交流電力を出力する溶解用電
    源部と、溶解対象物を凝固させる程度の第2周波数の交
    流電力を出力する凝固用電源部とを有し、 前記電源制御手段は、出湯部の開口時に前記溶解用電源
    部から交流電力を出力させる一方、出湯部の閉口時に前
    記凝固用電源部から交流電力を出力させることを特徴と
    する請求項6記載の誘導加熱溶解炉。
  8. 【請求項8】 前記出湯部から前記溶解対象物を外部に
    強制的に引き抜く引抜手段を備えたことを特徴とする請
    求項1または3記載の誘導加熱溶解炉。
  9. 【請求項9】 減圧下において前記溶解対象物を溶解す
    ることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に
    記載の誘導加熱溶解炉。
  10. 【請求項10】 溶解対象物の溶解された溶湯を収容す
    る収容手段の底部に明けられた中空逆円錐状の開口部
    と、 前記開口部の内周に接してその内方に形成された導入口
    部と、この導入口部と一体にその下方に形成された中空
    筒状の流出口部とからなり、それぞれが連続した複数の
    スリットにより複数のセグメントに分割され、冷却水の
    給排水配管に接続された漏斗状の出湯部と、 前記出湯部の前記導入口部と流出口部の、それぞれの外
    周に配置された誘導加熱コイルと、 これら誘導加熱コイルに任意に選択的に接続される凝固
    用電源部と溶解用電源部とを含んでなることを特徴とす
    る誘導加熱溶解炉の底部出湯機構。
  11. 【請求項11】 前記出湯部は、 上部が広く下方に向かって狭くなる導入口部と、該導入
    口部に連続して下方に延びる中空管状の流出口部とから
    なることを特徴とする請求項10記載の誘導加熱溶解炉
    の底部出湯機構。
  12. 【請求項12】 前記出湯部の前記導入口部と流出口部
    のそれぞれに配置された誘導加熱コイルに、出湯する際
    は高周波電力が供給され、出湯を停止する際は低周波電
    流が供給されることを特徴とする請求項11記載の誘導
    加熱溶解炉の底部出湯機構。
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