JP2000074568A - 真空浮揚溶解装置 - Google Patents

真空浮揚溶解装置

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JP2000074568A
JP2000074568A JP10247369A JP24736998A JP2000074568A JP 2000074568 A JP2000074568 A JP 2000074568A JP 10247369 A JP10247369 A JP 10247369A JP 24736998 A JP24736998 A JP 24736998A JP 2000074568 A JP2000074568 A JP 2000074568A
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molten metal
vacuum
melting
induction coil
melted
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JP10247369A
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English (en)
Inventor
Hideaki Tadano
英顕 只野
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶解金属の脱ガス効果を促進し、かつ脱ガスが
終わるまでの平衡状態到達時間を短縮して、短時間で高
純度材料や製品を得る。 【解決手段】不純物除去を行う処理中は誘導コイル2の
運転周波数を下げて溶湯1aの攪拌力を増大させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水冷式の銅るつ
ぼの外周に誘導コイルを配備した浮揚溶解装置を真空容
器内に収納し、該誘導コイルを付勢して、該水冷式の銅
るつぼに投入した導電性の被溶解材を交番磁界中におい
て、電磁誘導作用によって誘導加熱するとともに、所定
の分布の磁界を生成して、全ての金属はキュリー点以上
では非磁性体となるので、被溶解材に電磁力による浮揚
力を与え浮揚状態で溶解することによって、高純度の材
料を得ることのできる溶解装置で、特に真空中で高純度
の溶湯の溶解、および、脱ガス処理などを行う真空浮揚
溶解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】浮揚溶解装置は、所定の分布になるよう
に生成された交番磁界中に溶解される材料を置き、電磁
誘導によって被溶解材料に流れる渦電流を利用して、誘
導加熱と電磁力による浮揚力との双方を同時に与えて、
材料が浮いて、るつぼなど他の物に接触しない状態で溶
解させて、所定の材質と寸法の製品を得る装置である。
溶解時に他の物と接触しないために異物の混入が極めて
少ないこと、融点の高い材料でも溶解が可能であるこ
と、熱伝導損失が小さいこと、などの特徴があることか
ら、高融点でしかも高純度が要求される材料、例えば、
チタン、シリコンなどの溶解処理に用いられる。
【0003】図4は従来例の構成図を示す。この図4に
おいて、1は有底の円筒状に形成されその底部に形成さ
れた溶湯を出す流出口1b、および円筒状部に放射状に
略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する水冷式の
銅るつぼ、1aは銅るつぼ1内で被溶解材料が溶解され
た溶湯、2は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電
流を利用して主に誘導加熱エネルギを与える上誘導コイ
ル、3は溶湯1aに主に電磁力による浮揚力を与える下
誘導コイル、4,5は誘導コイル2、3に電流を供給す
る交流電源、6は溶解初期、または停電などによる溶湯
の流出を防ぐために流出口1bを塞ぐ栓、7は銅るつぼ
1、および誘導コイル2,3より構成される浮揚溶解装
置を収納する真空容器、8は該真空容器7内を真空排気
する真空排気系を示す。この図4において、真空容器7
内に収納された水冷式の銅るつぼ1の中に投入された被
溶解材料は、真空容器7内を真空排気系8により真空排
気した後、交流電源4,5から電流を供給される誘導コ
イル2、3の電磁誘導によって誘起される渦電流で誘導
加熱と電磁力による浮揚力との双方を同時に与えられ、
溶けて浮揚した溶湯1aになる。銅るつぼ1内の被溶解
材料が完全溶解した後は、溶解保持して溶湯1a中不純
物を除去する、所謂真空脱ガス処理を行って高純度の溶
湯に仕上げてから凝固させる。この銅るつぼ1で溶解さ
れた溶湯1aは、溶解時に他の物と接触しないために異
物の混入が極めて少ないこと、融点の高い材料でも溶解
が可能であること、熱伝導損失が小さいこと、などの特
徴があることから、高融点でしかも高純度が要求される
材料、例えば、チタン、シリコン等の溶解に用いられ
る。
【0004】銅るつぼの下部から出湯するこの浮揚溶解
装置では、溶解初期に少量の金属が溶け出して、その少
量の溶湯1aが浮揚力を受けて浮揚するほどの量に達し
ない場合に、少量の溶湯1aがるつぼ1の流出口1bか
ら落下する恐れがあるのでこれを防止するためと、ま
た、溶解中に電源4,5が切れて溶湯1aが浮揚力を失
い落下した場合に流出口1bから落下するのを防止する
ためとに栓6が使用される。
【0005】上記の2誘導コイル、2電源方式の他に1
誘導コイル、1電源方式があるが、2誘導コイル、2電
源方式はその装置に適用される溶解金属の種類、溶解量
が異なっても安定な浮揚溶解が行えるように、下誘導コ
イル3には数KHzの運転周波数の交流電源5が、上誘
導コイル2には数10KHzの運転周波数の交流電源3
が繋がれている。
【0006】上記の構成において、真空容器7内に収納
された水冷式の銅るつぼ1の中に投入された被溶解材料
は、真空容器7内を真空排気系8により真空排気した
後、交流電源4,5から誘導コイル2,3にそれぞれの
交流電源3,4から電流が供給されると、誘導コイル
2,3により誘起した磁束の一部はスリットの隙間から
銅るつぼ1内に侵入して被溶解材料と鎖交して被溶解材
料に渦電流を誘起する。銅るつぼ1はスリットで仕切ら
れ、かつ電気的に絶縁された複数のセグメントで構成さ
れており、各セグメントは誘導コイル2,3により励磁
されて渦電流が発生する。該渦電流によりセグメントが
過熱されないように水冷されている。このセグメントに
誘起する渦電流と被溶解材料に誘起した渦電流とは対向
する面では互いに方向が逆向きなので磁気的に反発力を
生じ、るつぼ1は固定されているので被溶解材料には浮
揚力が生じる。この浮揚力が被溶解材料の重量より大き
ければ被溶解材料は銅るつぼ1から離れて浮揚し、渦電
流による抵抗損により加熱し続ける。このために被溶解
材料は浮揚状態で溶解する。溶解完了後は真空脱ガス処
理を行い溶湯1aを高純度化する。
【0007】この真空浮揚溶解装置により溶解された溶
湯の取出し方法は様々であるが、るつぼ1の底に流出口
1aを設けてこの流出口1aから連続的、または間欠的
に溶湯を取出す方法が有る。これによると溶湯は栓の有
無にかかわらず浮揚状態であり、出湯時は誘導コイルの
電流を調整するなどして電磁力を弱めて、流出口1aか
らの出湯を可能にしており、また、出湯時は、湯と流出
口1aとは互いに反発する力が作用するために非接触で
出湯することが可能である。従って浮揚溶解した金属を
この方式にて出湯すれば非接触のまま溶解、出湯でき
る。この方式では被溶解金属を完全に溶解後(図5
(a)参照)に栓6を開き出湯を開始(図5(b)参
照)し、湯を途中で停止したり、完全に出湯した後に栓
6を閉じ材料を追加し溶解する工程の繰り返し運転によ
り、鋳造品の製造を行っている。
【0008】材料を高純度化して高純度材料を得ること
は、材料や製品の高性能化に非常に重要である。従来、
溶解材料の高純度化を図る方法として、添加材による
不純物の除去、バブリングによる不純物の除去、減
圧雰囲気中での脱ガス溶解法、等種々あるが、その中で
脱ガス溶解溶解法は材料そのものを汚さずに高純度化が
図れる方法である。また、溶解炉を浮揚溶解装置とする
ことにより、るつぼと溶湯との接触が無いことからるつ
ぼ材料から不純物が溶湯に混入することがなく溶湯の脱
ガス表面積が大きい、また、電磁攪拌による湯運動があ
ることから溶湯全体からの脱ガスがより促進される。
【0009】上述の脱ガス効果を高める方法としては、
高真空溶解を行う(溶解炉中の雰囲気の圧力を下げ、
真空溶解雰囲気中のガスと溶湯中のガスとの平衡状態を
溶湯中の不純物(酸素、窒素、燐、硫黄、炭素、水素な
ど)が真空溶解雰囲気へ拡散する方向へシフトさせ
る)、通常の真空溶解炉において、溶解雰囲気中の不
純物物質の分圧をさげる(不活性ガスで置換し、ガス分
圧の平衡を不純物分圧増大側にシフトさせる)、通常
の真空溶解炉において、溶解雰囲気を還元雰囲気にする
(還元ガスで置換する)が挙げられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の脱ガ
ス効果を高める方法としては、に対しては高性能真空
排気装置による高真空下での溶解、に対しては、不活
性ガス等をシースガスとして真空排気しながらの溶解に
よって脱ガスを、に対しては還元ガスをシースガスと
して真空排気しながらの溶解によって脱ガスを実施して
いる。しかし三者いずれも脱ガスが終了し、平衡状態に
到達するまでの時間が長く、脱ガス中は溶解を維持しな
けらばならない問題があった。
【0011】この発明は上記課題を解決するためになさ
れたもので、その目的とするところは、溶解金属の脱ガ
ス効果を促進し、かつ脱ガスが終わるまでの平衡状態到
達時間を短縮して、短時間で高純度材料や製品を得る真
空浮揚溶解装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、有底の円筒状に形成されその底部
に形成された溶湯流出口および円筒状部に放射状に略等
間隔で設けられた縦長のスリットを有する水冷式の銅る
つぼと、銅るつぼの外径側を囲むように設置した誘導コ
イルとを真空容器内に備え、溶解完了後に溶湯中の不純
物を除去するようにした真空浮揚溶解装置において、不
純物除去を行う処理中は前記誘導コイルの運転周波数を
下げて溶湯の攪拌力を増大させることを特徴とする。
【0013】浮揚溶解装置の運転周波数は、水冷銅るつ
ぼの大きさ(内径)、溶解時間から決められる溶湯への
投入電力、溶湯への浮揚力等から決められるが、この内
溶湯への投入電力は運転周波数、溶湯に印加される磁界
の強さのそれぞれの二乗に比例し、浮揚力は運転周波数
の平方根に反比例し、溶湯への投入電力に比例するの
で、銅るつぼの内径と溶湯への投入電力が決められる
と、その溶湯への投入電力を投入するための最低運転周
波数、溶湯への浮揚力を下げないための最高周波数の概
略値が求められる。すなわち浮揚力のみから見れば周波
数は低い程浮揚力が増大する結果となる。しかしなが
ら、大きすぎる浮揚力は溶湯にピンチ力(溶湯の径を小
さくする方向に絞る力で径が小さくなるとピンチ力が弱
まり、元の径に戻るが、径が戻るとピンチ力が発生し
て、これを繰り返す)を与え溶湯の安定な運転を妨げる
ので好ましくない。また、溶湯に印加する磁界の強さも
同時に考慮しなければならないが、この磁界の強さは、
スリットを含む銅るつぼの形状、誘導コイル電流に関係
するので、誘導コイル電流を大きくする(磁界の強さを
大きくする)選択は誘導コイル、および銅るつぼでの損
失を多くするので好ましくない。これらを考慮して効率
良く溶解するための運転周波数の選択可能範囲が求めら
れる。実際には完全浮揚を達成するために選択される周
波数と、効率良く溶解するための運転周波数の選択可能
範囲には開きがあるので、効率良く溶解するための運転
周波数と、完全浮揚を達成するために選択される周波数
との2種類の周波数が上記の周波数範囲の中で選択され
て上下誘導コイルにそれぞれ別々に印加されることが行
われる。
【0014】上記構成により真空中で浮揚溶解し溶解材
料が完全溶解した後、溶湯への攪拌力は運転周波数の平
方根に反比例して増減するので誘導コイルの運転周波数
を溶湯が安定して運転できる下限近くの周波数に下げる
(図1(b)のタイムチャート参照)ことにより、溶湯
への攪拌力が増大し、減圧雰囲気に晒される溶湯面が増
大して溶湯中の脱不純物および脱ガスが促進されて平衡
状態到達時間を短縮することが可能になる。
【0015】また、請求項2の発明は、有底の円筒状に
形成されその底部に形成された溶湯流出口および円筒状
部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有
する水冷式の銅るつぼと、銅るつぼの外径側を囲むよう
に設置した誘導コイルとを真空容器内に備え、溶解完了
後に溶湯中の不純物を除去するようにした真空浮揚溶解
装置において、前記誘導コイルの外周に前記誘導コイル
より低い周波数で励磁する励磁コイルを設けたことを特
徴とする。
【0016】上記構成により銅るつぼの外径側に配置し
た誘導コイルにより溶解材料を浮揚溶解し、溶解材料が
完全溶解した後に、浮揚溶解にしようした誘導コイルは
浮揚溶解を維持し、前記誘導コイルの外周側に設けた低
い周波数(溶湯が安定して運転できる下限近くの周波
数)で運転する励磁コイルを励磁する(図2(b)のタ
イムチャート参照)ことにより溶湯への攪拌力が増大
し、減圧雰囲気に晒される溶湯面が増大して溶湯中の脱
不純物および脱ガスが促進されて平衡状態到達時間を短
縮することが可能になる。
【0017】また、請求項3の発明は、有底の円筒状に
形成されその底部に形成された溶湯流出口および円筒状
部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有
する水冷式の銅るつぼと、銅るつぼの外径側を囲むよう
に設置した誘導コイルとを真空容器内に備え、溶解完了
後に溶湯中の不純物を除去するようにした真空浮揚溶解
装置において、真空容器内に不活性ガスもしくは還元ガ
ス(例えば水素)を導入するガス導入装置を設けて、真
空容器内を不活性ガスもしくは還元ガスで置換してから
真空排気することを特徴とする。
【0018】また、請求項4の発明は、請求項3記載の
真空浮揚溶解装置において、不純物除去を行う処理中は
前記誘導コイルの運転周波数を下げて溶湯の攪拌力を増
大させることを特徴とする。また、請求項5の発明は、
請求項3記載の真空浮揚溶解装置において、前記誘導コ
イルの外周に前記誘導コイルより低い周波数で励磁する
励磁コイルを設けたことを特徴とする。
【0019】上記請求項3〜5の構成により、溶解前に
真空容器内を真空引きした後不活性ガス(例えばアルゴ
ンガス)を導入して不活性ガス雰囲気に置換し、再度真
空引きすることにより、例えば被溶解材料がCoの場合
の例えば酸素分圧は、大気雰囲気から10-3Paに真空
引きした場合に0.2であるのがアルゴンガス雰囲気か
ら10-3Paに真空引きすることにより0.01に低下
するので、その分Co溶湯中の酸素は溶解雰囲気中に移
行してCo溶湯中の酸素濃度が減少して平衡状態になる
ので充分に脱ガス効果を揚げることが可能になる。この
ことは真空容器中に収納した上下誘導コイルを有する完
全浮揚溶解装置に真空排気系と、不活性ガス導入系とを
装備して平均115ppmの酸素を含有するCoを溶解
実験した表1Coの溶解実験結果からも明らかである。
【0020】
【表1】 この表1によれば、実験1、2は真空引き前の雰囲気が
大気で上下誘導コイルにそれぞれ60Kw,40Kwを
入力して真空度10-3Paで溶解後、誘導コイルへの電
力投入と、真空状態とを2分、30分保持して、銅るつ
ぼ内で凝固させてガス分析したもので、保持時間2分で
はCo中の酸素は殆ど変化が無く、保持時間30分で酸
素濃度が76〜80ppmに脱ガスされたことを示して
いる。
【0021】また、実験3,4は真空容器を一度大気か
ら10-3Paに排気してからアルゴンを導入して大気圧
に戻し、再び10-3Paに排気してから、実験3では上
誘導コイルに60Kw,下誘導コイルに40Kwを投入
して溶解後30分間誘導コイルへの電力投入と、真空状
態とを保持した後、溶湯を銅るつぼ内で凝固させて酸素
濃度を測定した結果12ppmであった。実験4では上
誘導コイルに80Kw、下誘導コイル入力を0Kwにし
て同じく溶解後に30分間誘導コイルへの電力投入と、
真空とを保持した後、溶湯を銅るつぼ内で凝固させて酸
素濃度を測定した結果59ppmであった。
【0022】上記のように、真空浮揚溶解装置であって
も、真空引き前の雰囲気が空気の場合は充分に酸素濃度
を下げることができず、一度不活性ガスに置換してから
真空溶解、および脱ガス処理することによりCo中の酸
素濃度を激減させることが可能である。上記の実験に使
用した素材Coの酸素濃度115ppmは通常の製造に
より製造されたCoに含まれる酸素濃度である。
【0023】なお、上記実験3の結果はCo融点以上に
加熱溶解して不活性ガス置換により酸素分圧を下げた値
から熱力学的に求めた平衡情態における残存酸素の濃度
と略一致するものである。なお、実験4では下誘導コイ
ルへの投入電力が0Kwであるために溶湯が銅るつぼか
ら完全浮揚しておらず真空雰囲気に晒される面積が少な
くなっていたためと考えられ、真空脱ガスの処理時間を
長くするか、攪拌力を大きくして溶湯が真空雰囲気に晒
される面積を大きくすれば実験3の結果に近づけること
が可能である。
【0024】さらに、酸素以外のガスについても上記実
験3の方法により激減させることが可能である。また、
請求項4、5のように真空脱ガス処理中の溶湯への攪拌
力を増加させることにより、溶湯が真空雰囲気に晒され
る面積を大きくして、真空脱ガスの処理時間を短縮する
ことが可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の実施の形態の主
要部を示し、(a)は装置の構成図、(b)は誘導コイ
ルの運転周波数のタイムチャート図を示す。この図1に
おいて、従来例と同一の符号を付けた部材はおおよそ同
一の機能を有するのでその説明は省略する。この図1に
おいて、1は有底の円筒状に形成されその底部に形成さ
れた溶湯を出す流出口1b、および円筒状部に放射状に
略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する水冷式の
銅るつぼ、1aは銅るつぼ1内で被溶解材料が溶解され
た溶湯、2は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電
流を利用して主に誘導加熱エネルギを与える、数10K
Hzの運転周波数で運転される上誘導コイル、3は溶湯
1aに主に電磁力による浮揚力を与える数KHzの運転
周波数で運転される誘導コイル、4,5は誘導コイル
2、3に電流を供給する交流電源、6は溶解初期、また
は停電などによる溶湯の流出を防ぐために流出口1bを
塞ぐ栓、7は真空容器、8は真空排気系、9は不活性ガ
ス導入系を示す。
【0026】この図1において、水冷式の銅るつぼ1の
中に投入された被溶解材料は、交流電源4,5から電流
を供給される誘導コイル2、3の電磁誘導によって誘起
される渦電流で誘導加熱と電磁力による浮揚力との双方
を同時に与えられ、溶けて浮揚した溶湯1aになる。こ
の銅るつぼ1で溶解された溶湯1aは、溶解時に他の物
と接触しないために異物の混入が極めて少ないこと、融
点の高い材料でも溶解が可能であること、熱伝導損失が
小さいこと、などの特徴があることから、高融点でしか
も高純度が要求される材料、例えば、チタン、シリコン
等の溶解に用いられる。
【0027】銅るつぼの下部から出湯するこの浮揚溶解
装置では、溶解初期に少量の金属が溶け出して、その少
量の溶湯1aが浮揚力を受けて浮揚するほどの量に達し
ない場合に、少量の溶湯1aがるつぼ1の流出口1bか
ら落下する恐れがあるのでこれを防止するためと、ま
た、溶解中に電源4,5が切れて溶湯1aが浮揚力を失
い落下した場合に流出口1bから落下するのを防止する
ためとに栓6が使用される。上記銅るつぼ1と誘導コイ
ル2,3とで構成される浮揚溶解装置は真空容器7に収
納されて真空排気系8により真空引きした後、不活性ガ
ス導入系9により不活性ガス雰囲気に置換して、さらに
真空引きしてた減圧下で溶解脱ガス処理する。なお、こ
の実施例では不活性ガス雰囲気に置換しているが還元ガ
スを導入して還元雰囲気に置換しても良い。
【0028】上記の構成において、銅るつば1には被溶
解材料が入れられ、磁束はスリットの隙間から銅るつぼ
1内に侵入して被溶解材料と鎖交して被溶解材料に渦電
流を誘起する。銅るつぼ1はスリットで仕切られ、かつ
電気的に絶縁された複数のセグメントで構成されてお
り、各セグメントは誘導コイル2,3により励磁されて
渦電流が発生する。該渦電流によりセグメントが過熱さ
れないように水冷されている。このセグメントに誘起す
る渦電流と被溶解材料に誘起した渦電流とは対向する面
では互いに方向が逆向きなので磁気的に反発力を生じ、
るつぼ1は固定されているので被溶解材料には浮揚力が
生じる。この浮揚力が被溶解材料の重量より大きければ
被溶解材料は銅るつぼ1から離れて浮揚し、渦電流によ
る抵抗損により加熱し続ける。このために被溶解材料は
浮揚状態で溶解する。
【0029】この浮揚溶解装置により溶解された溶湯の
取出し方法は様々であるが、るつぼ1の底に流出口1a
を設けてこの流出口1aから連続的、または間欠的に溶
湯を取出す方法が有る。これによると溶湯は栓の有無に
かかわらず浮揚状態であり、出湯時は誘導コイルの電流
を調整するなどして電磁力を弱めて、流出口1aからの
出湯を可能にしており、また、出湯時は、湯と流出口1
aとは互いに反発する力が作用するために非接触で出湯
することが可能である。従って浮揚溶解した金属をこの
方式にて出湯すれば非接触のまま溶解、出湯できる。
【0030】溶解材料が完全溶解した後は(b)のタイ
ムチャートに示すように誘導コイル3の運転周波数を下
げて溶湯への攪拌力を増大して脱ガスを促進する。図2
はこの発明の別の実施の形態の主要部を示し、(a)は
装置の構成図、(b)は励磁コイルの運転周波数のタイ
ムチャート図を示す。この図2が図1と異なる点は、溶
解材料が完全溶解した後、銅るつぼの外周側に配置した
誘導コイル3の運転周波数を下げて溶湯への攪拌力を増
大させる代わりに、前記誘導コイル3の外周側に励磁コ
イル7を設けて、溶解材料が完全溶解した後は(b)の
タイムチャートに示すように誘導コイル3の運転周波数
より低い周波数で運転する励磁コイル10を励磁して、
溶湯への攪拌力を増大して脱ガスを促進するようにした
点である。
【0031】なお、励磁コイル10を設けた以外は図1
の装置構成と同じであるのでその説明は省略する。
【0032】
【発明の効果】この発明によれば、真空容器内に収納し
た浮揚溶解装置の、不活性ガス置換や還元ガス置換と、
溶湯への攪拌力の増大とにより脱ガス効果を促進させる
ことで、脱ガスが終了するまでの溶湯保持時間を短縮す
ることができる。図3に通常の浮揚溶解運転の場合と本
発明の溶湯がより攪拌されている浮揚溶解時の場合につ
いて溶湯保持時間と溶湯中の不純物の濃度の変化の関係
を示す。図において、本発明の運転方法を行うことで最
終到達不純物濃度までの溶解保持時間が短縮しているこ
とが判る。
【0033】さらに、一般には充分な脱ガス効果を得る
ために高真空化を進める必要があるのに対し、本発明で
は不活性ガスの導入により通常到達し得る真空度で充分
な脱ガス効果が得られるので真空排気系の設備コスト、
および運転コストを削減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の主要を示し、(a)は
装置の構成図、(b)は誘導コイルの運転周波数のタイ
ムチャート図
【図2】この発明の別の実施の形態の主要部を示し、
(a)は装置の構成図、(b)は励磁コイルの運転周波
数のタイムチャート図
【図3】通常の浮揚溶解運転の場合と本発明の溶湯がよ
り攪拌されている浮揚溶解時の場合について溶湯保持時
間と溶湯中の不純物の濃度の変化を示す図
【図4】従来例の構成図
【図5】(a)は浮揚溶解装置の溶解状態を示す図、
(b)は浮揚溶解装置の出湯状態を示す図
【符号の説明】
1 銅るつぼ 1a 溶湯 1b 流出口 2,3 誘導コイル 4,5 交流電源 6 栓 7 真空容器 8 真空排気系 9 不活性ガス導入系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K059 AA08 AB04 AB07 AB15 AC12 AC35 AC78 AD07 AD35 CD44 CD48 4K046 AA01 BA03 BA05 CA01 CB15 CC01 CD02 CD12 CD20 EA03 4K063 AA04 AA12 AA16 AA19 BA03 BA12 CA03 DA19 DA31 FA36 FA38 FA44

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有底の円筒状に形成されその底部に形成さ
    れた溶湯流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設
    けられた縦長のスリットを有する水冷式の銅るつぼと、
    銅るつぼの外径側を囲むように設置した誘導コイルとを
    真空容器内に備え、溶解完了後に溶湯中の不純物を除去
    するようにした真空浮揚溶解装置において、不純物除去
    を行う処理中は前記誘導コイルの運転周波数を下げて溶
    湯の攪拌力を増大させることを特徴とする真空浮揚溶解
    装置。
  2. 【請求項2】有底の円筒状に形成されその底部に形成さ
    れた溶湯流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設
    けられた縦長のスリットを有する水冷式の銅るつぼと、
    銅るつぼの外径側を囲むように設置した誘導コイルとを
    真空容器内に備え、溶解完了後に溶湯中の不純物を除去
    するようにした真空浮揚溶解装置において、前記誘導コ
    イルの外周に前記誘導コイルより低い周波数で励磁する
    励磁コイルを設けたことを特徴とする真空浮揚溶解装
    置。
  3. 【請求項3】有底の円筒状に形成されその底部に形成さ
    れた溶湯流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設
    けられた縦長のスリットを有する水冷式の銅るつぼと、
    銅るつぼの外径側を囲むように設置した誘導コイルとを
    真空容器内に備え、溶解完了後に溶湯中の不純物を除去
    するようにした真空浮揚溶解装置において、真空容器内
    に不活性ガスもしくは還元ガスを導入するガス導入装置
    を設けて、真空容器内を不活性ガスもしくは還元ガスで
    置換してから真空排気することを特徴とする真空浮揚溶
    解装置。
  4. 【請求項4】請求項3記載の真空浮揚溶解装置におい
    て、不純物除去を行う処理中は前記誘導コイルの運転周
    波数を下げて溶湯の攪拌力を増大させることを特徴とす
    る真空浮揚溶解装置。
  5. 【請求項5】請求項3記載の真空浮揚溶解装置におい
    て、前記誘導コイルの外周に前記誘導コイルより低い周
    波数で励磁する励磁コイルを設けたことを特徴とする真
    空浮揚溶解装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100872002B1 (ko) * 2001-02-16 2008-12-05 인덕터썸코포레이션 용융된 금속의 동시 유도 가열 및 교반
KR101207590B1 (ko) 2010-12-27 2012-12-03 주식회사 포스코 금속증기 발생장치
CN104195476A (zh) * 2014-09-26 2014-12-10 东莞台一盈拓科技股份有限公司 利用冷坩锅熔炉装置制造锆基非晶合金方法
CN113766687A (zh) * 2021-07-20 2021-12-07 昆明理工大学 一种集冶金精炼与组织控制的材料无容器加工方法

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