JP2002301546A - 溶融処理装置およびその運転方法 - Google Patents

溶融処理装置およびその運転方法

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JP2002301546A
JP2002301546A JP2001108294A JP2001108294A JP2002301546A JP 2002301546 A JP2002301546 A JP 2002301546A JP 2001108294 A JP2001108294 A JP 2001108294A JP 2001108294 A JP2001108294 A JP 2001108294A JP 2002301546 A JP2002301546 A JP 2002301546A
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solidified
melting
furnace
furnace body
solidified body
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Tsutomu Tanaka
努 田中
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】導電性材料(主に金属)の誘導加熱による溶融
および引き抜きを行うにあたり、引き抜き抵抗の増大を
緩和し、安定した運転を行うことができる溶融処理装置
およびその運転方法を提供する。 【解決手段】被処理材10を溶融するための冷却式の炉
体5と、炉体のスリット2形成部分の少なくとも一部を
螺旋状に取り囲む通電コイル6およびそれに高周波電流
を供給する電源と、材料供給装置1と、溶融し、凝固さ
せた固化体15を下方に引き抜き、または引き抜き方向
と反対方向へ移動させる固化体移動装置13と、引き抜
き抵抗検出器12と、運転制御装置14とを有する装
置、およびその運転方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性材料、その
中でも主に金属を対象として、これを誘導加熱により溶
融し、凝固させて固化体とする溶融処理装置、およびそ
の装置の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属、例えばチタン、ジルコニウ
ム等の高融点でかつ酸化されやすい金属を溶融し、所定
の大きさおよび形状の固化体を得る手段として、側壁部
に電磁場を誘導するための縦長のスリットを有し、外部
から冷却できるように構成された坩堝(これを、「冷却
坩堝」または単に「坩堝」という)内に金属を投入して
誘導加熱によりこれを溶融し、溶湯を坩堝の底部に設け
た開口から凝固させながら引き抜いて固化体とする方法
が用いられている。坩堝はスリットを有しているので、
このスリット部分の周囲に配設されているコイルに高周
波電流を通電すると、坩堝の内側表面と坩堝内の溶融金
属(溶湯)の表面に逆方向の誘導電流が発生し、互いに
反発する電磁気力が生じるため、坩堝内で溶融金属を坩
堝と非接触状態で保持することができる。したがって、
この方法には、坩堝の溶解による溶融金属の汚染が避け
られるという利点がある。
【0003】しかしながら、金属を誘導加熱により溶融
し、凝固、引き抜き(以下、「溶融引き抜き」という)
するに際し、坩堝にスリットが存在することに起因し
て、スリットに溶融した金属の差し込みが生じ、引き抜
きに支障をきたすことがある。
【0004】このような問題を解決して安定した溶融引
き抜きを実現するために多くの技術開発がなされてお
り、例えば、特開昭63−192543号公報では、坩
堝の底部に設けた引き抜きのための開口(出口)の断面
積を被処理材の入口の断面積より大きくすることによっ
て、溶融金属のスリットへの差し込みによる引き抜き抵
抗の増大を緩和する技術が開示されている。
【0005】この技術は、金属の溶融引き抜きにより得
られる材料の方が坩堝の入口から投入され溶融処理の対
象となる材料よりも大きい場合は、有効である。しか
し、例えば製品等の解体で生じる金属片(スクラップ)
などを処理する場合は、一般に、溶融処理の対象となる
材料の方が溶融引き抜きにより得られる材料よりも大き
いので、溶融処理の前に材料の切断、破砕等の前処理が
必要になる。
【0006】このように溶融処理の対象となる材料が大
きい場合、特開平2−307651号公報に記載される
金属の連続製造装置を用いるのがよい。この装置では、
坩堝の入口面積が出口面積より大きく構成されているの
で、溶融引き抜きにより得られる材料よりも大きい材料
を坩堝に投入することができるからである。なお、この
装置は、坩堝のスリット部分の周囲に配設されているコ
イルに高周波電流を通電することによって生じる電磁気
力の方が坩堝内の溶融金属に作用する重力より大きく、
坩堝内で溶融金属を坩堝と非接触状態で保持できる範囲
内で金属を溶融引き抜きする場合、有効である。
【0007】しかし、多量の被処理材(例えば、金属)
を扱う工業規模でのプロセスでは、一般に、溶融金属に
作用する重力の方が電磁気力より大きくなりがちで、溶
融金属が坩堝壁と接触して溶融金属から坩堝を通しての
抜熱量が増大し、特に坩堝の断面積が減少する出口近傍
の収斂部において坩堝壁と溶融金属の間に変形抵抗が大
きい凝固シェルが形成されやすい。そのため、凝固シェ
ルが引き抜きに対する抵抗体として作用し、引き抜きが
できない状態となる。
【0008】そこで、工業規模でのプロセスにおいても
安定した溶融引き抜きを可能とする技術改良がなされて
おり、例えば、坩堝の収斂部にも誘導コイルを取り付
け、また、凝固した金属の除去を容易に行えるように、
坩堝の出口に周方向で少なくとも2分割できる黒鉛製の
スリーブを配設した連続鋳造装置が提案されている。黒
鉛製のスリーブであれば、凝固した金属を除去する際、
スリーブを分割して凝固金属をスリーブから容易に引き
離すことができる。しかし、黒鉛はスリーブ内を通過す
る溶融金属に溶解するので、短期間の使用は可能である
としても、工業規模で長期間にわたって使用するには適
していない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、導電性材
料、その中でも主に金属を対象として、これを工業規模
で誘導加熱により溶融し、凝固させながら引き抜くプロ
セスにおいて、引き抜き抵抗の増大を緩和し、安定した
運転を行うことができる溶融処理装置およびその装置の
運転方法を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、前述した従来の技術を勘案し、さらに改良を加える
べく種々検討を重ねた結果、以下の事実を確認するとと
もに、新たな知見を得た。 冷却坩堝(正しくは、「内部が水冷された上端と下
端が開口した筒状の炉壁で構成された炉」である)内
で、すなわち周囲を冷却壁に囲まれた中で導電性材料
(被処理材)を誘導加熱により溶融してその状態を保持
するためには、溶融した被処理材(溶湯)からの炉壁を
通しての抜熱を緩和するために、炉壁と溶湯とが接触し
ない、すなわち空間的に離反した状態にする必要があ
る。抜熱が熱伝導によるのではなく、主に熱輻射により
行われるようにするのである。 炉壁と溶湯とを空間的に離反させるために、従来
は、前述したように電磁気力が使われてきた。しかし、
炉壁に流し得る電流密度には限度があるため、溶湯の質
量が大きくなると、電磁気力で溶湯を炉壁から空間的に
離反させることができなくなる。 溶湯を炉壁から空間的に離反させるための補助手段
として、両者間に耐火物を介在させることが考えられ
る。しかし、溶湯(すなわち、被処理材)の耐火物によ
る汚染が避けられないので、被処理材として適用できる
対象が限定される。 被処理材の汚染を避け得る一つの有効な方法とし
て、炉壁と接触し、急激な抜熱により冷却されて溶湯の
外側に凝固シェルが厚く成長した被処理材それ自身を炉
壁から空間的に離反させた状態で保持する方法が考えら
れる。 この凝固シェルが厚く成長した、したがって変形抵
抗の大きい被処理材を炉壁から空間的に離反させるため
には、これを引き抜き方向と反対方向へ移動させた状態
で保持すればよい。 このように、凝固シェルが厚く成長した被処理材を
引き抜き方向と反対方向へ移動させた状態で保持する
と、被処理材が炉壁から離れ、抜熱が緩和されるので、
厚く成長した凝固シェルはやがて誘導加熱により溶融す
る。 凝固シェルが溶融した後の被処理材(溶湯)が再び
炉壁に接触して凝固シェルが厚く成長するまでには、溶
湯の熱容量が大きいことに起因して、一定の時間が必要
である。そこで、その時間が経過する間、引き抜きを行
う。 やがて、炉壁に接している部分から凝固シェルが成
長し、それに伴って引き抜き抵抗が増大する。このと
き、無理に引き抜きを行うと、炉体が破壊する。そこ
で、所定の引き抜き抵抗を超えた場合は、引き抜きを停
止する。 その後、前記の反対方向への移動(この移動によ
って、厚く成長した凝固シェルが溶融する)、続いて
の引き抜き、の引き抜き停止、を順に繰り返すことに
より、導電性材料(被処理材)の溶融引き抜きを継続し
て行うことができる。
【0011】本発明は、上記の知見に基づいてなされた
もので、その要旨は、下記(1)の溶融処理装置、およ
び(2)のその装置の運転方法にある。
【0012】(1)被処理材を溶融し、凝固させて固化
体とする溶融処理装置であって、内部が水冷され、上端
と下端が開口した筒状をなし、縦方向に絶縁機能を有す
る複数のスリットが形成された炉壁と、炉壁で構成され
た炉体と、炉壁のスリットが形成された部分の少なくと
も一部の外周を螺旋状に取り囲む通電コイルと、通電コ
イルに高周波電流を供給するための電源と、炉体の上方
に取り付けられた材料供給装置と、炉体内で溶融し、凝
固した固化体を下方に引き抜き、または引き抜き方向と
反対方向へ移動させるための固化体移動装置と、引き抜
き抵抗検出器と、引き抜き抵抗検出器の信号に基づいて
材料供給装置および固化体移動装置を制御する運転制御
装置を有する溶融処理装置である。
【0013】(2)上記(1)に記載の溶融処理装置の
運転方法であって、材料供給装置を用いて被処理材を炉
体内に装入し、通電コイルに高周波電流を通電して被処
理材を溶融した後、炉壁からの抜熱により凝固した固化
体を固化体移動装置により下方に引き抜き、引き抜き抵
抗検出器で計測される引き抜き抵抗値があらかじめ設定
した値を超えた場合に、固化体を引き抜き方向と反対方
向へ移動させ、凝固の過度の進行が緩和された後、再び
前記の引き抜きを再開する溶融処理装置の運転方法であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の溶融処理装置およ
びその装置の運転方法を図面を用いて詳細に説明する。
【0015】図1は本発明の溶融処理装置の一例の構成
を概念的に示す図である。
【0016】図1に示すように、本発明の溶融処理装置
は、内部が水冷された炉壁で構成された炉体(冷却式炉
体)5と、炉体5の外周を螺旋状に取り囲む通電コイル
6と、通電コイル6に高周波電流を供給するための電源
(図示せず)と、炉体5の上方に取り付けられた被処理
材10を炉体5内に供給するための材料供給装置1と、
炉体5内で溶融し、凝固した固化体15を下方に引き抜
き、または引き抜き方向と反対方向へ移動させるための
固化体移動装置13を有している。なお、符号7は被処
理材10が誘導加熱により溶融してできた溶湯プールで
ある。
【0017】さらに、本発明の溶融処理装置には、固化
体移動装置13のロール13aに接続して凝固した固化
体15の下方への引き抜き時の抵抗を計測するための引
き抜き抵抗検出器12が取り付けられ、引き抜き抵抗検
出器12と、固化体移動装置13のロール13aおよび
材料供給装置1に接続して運転制御装置14が取り付け
られている。運転制御装置14は、引き抜き抵抗検出器
12の信号を入力し、それに基づいて、あらかじめ組み
込んであるプログラムに従い、材料供給装置1には被処
理材10の炉体5内への装入またはその停止を指示する
信号を、また、固化体移動装置13にはロール13aの
正方向(引き抜き方向)への回転、停止、または逆方向
(引き抜き方向と反対方向)への回転を指示する信号を
それぞれ出力する。
【0018】上記の冷却式炉体5を構成する炉壁は、上
端と下端が開口した筒状をなし、縦方向に、すなわち固
化体を引き抜く方向に沿って絶縁機能を有する複数のス
リット2が形成されている。上端の開口は炉体5内に被
処理材10を供給するための炉体の入口3であり、下端
の開口は溶融した材料(溶湯)を凝固させながら引き抜
く炉体の出口4である。前記複数のスリット2によって
炉壁は互いに電気的に絶縁された複数のセグメント11
に分割されている。これらのセグメント11はそれぞれ
冷却水の流通孔9を有しており、これによって炉体5全
体が冷却される。
【0019】炉体5を構成する炉壁は、通常は鉛直下向
きに延伸しているが、必ずしもこれに限定されず、鉛直
方向に対して一部または全部が傾斜して延伸していても
よい。したがって、溶融した被処理材(溶湯)の凝固、
引き抜き方向も通常は鉛直下向きであるが、必ずしもこ
の方向に限定されない。
【0020】炉体5の横断面の形状は、円形、楕円形、
矩形、多角形など、いずれの形状であってもよい。ま
た、炉体の出口4の断面形状も、同じくいずれの形状で
あってもよく、溶融引き抜きによって得られる固化体の
形状はこの炉体の出口4の断面形状によって定まる。な
お、炉体5の材質は、被処理材の種類にもよるが、一般
的には銅や銅合金などが好ましい。銅や銅合金は熱伝導
率が高いので、効率よく水冷することができ、また、溶
湯を炉体の出口近傍で急速に凝固させ、固化でき、さら
に、炉体5に発生するジュール熱も小さいからである。
【0021】図1に示した例では、炉体5を構成する炉
壁は鉛直下向きに延伸している。炉体5の横断面の形状
および出口4の断面形状はいずれも円形であり、溶融引
き抜きによって円柱状のインゴットが得られる。また、
炉体5の入口面積が出口面積より大きく構成されている
ので、例えば製品等を解体して得られる大きい金属片で
もそのまま炉体内へ装入し、処理することが可能であ
る。
【0022】通電コイル6は、炉体5のスリット2が形
成された部分の少なくとも一部を取り囲むように配設さ
れる。図1に示した例では、通電コイル6は炉体5の下
端近くには設けられていないので、溶融した材料(溶
湯)は炉体5の下端に取り付けられた出口4付近で冷却
され、引き抜きができる程度に凝固し、引き抜き後は急
激に冷却されて固化体15となる。
【0023】通電コイル6と、この通電コイル6に高周
波電流を供給するための電源は、装置の稼働中に温度が
上がるので、水冷できるように構成されている。
【0024】材料供給装置1は、振動フィーダ方式、ス
クリューフィーダ方式等、被処理材10の形状に応じて
いずれの方式のものを用いてもよい。
【0025】固化体移動装置13は、例えば、図示する
ように、正逆両方向に回転可能に構成された対をなすロ
ール(ピンチロール)13aを有するものを用いればよ
い。ロール13aを正方向に回転させることにより、固
化体15を引き抜き方向へ移動させる、すなわち、溶融
引き抜きにおける通常の引き抜きを行わせることがで
き、逆方向に回転させることによって、固化体を引き抜
き方向とは逆方向へ移動させることが可能である。
【0026】引き抜き抵抗検出器12としては、ロード
セル方式の検出器、ピンチロール駆動モータに流れる電
流値を利用する方式の検出器などを用いることができ
る。
【0027】また、運転制御装置14は、前述したよう
に、引き抜き抵抗検出器12の信号を入力し、それに基
づいて、あらかじめ組み込んであるプログラムに従い材
料供給装置1および固化体移動装置13を制御する信号
を出力できるものであればよい。市販の制御装置が利用
できる。コンピュータ(パソコン)を利用することもで
き、簡便である。
【0028】この溶融処理装置に、少なくとも被処理材
を溶融する部分、すなわち炉体を空気から遮断(シー
ル)するためのチャンバーが設けられていれば、チャン
バー内を不活性ガス雰囲気や還元性雰囲気とする雰囲気
調整が可能となり、誘導加熱、溶融時に起こりやすい被
処理材の酸化を防ぐことができるので、好ましい。ま
た、必要に応じてチャンバー内を加圧状態、あるいは減
圧状態にすることも可能になる。図1に示した例では、
溶融処理装置全体がチャンバー8に収容されている。
【0029】上記本発明の溶融処理装置を用いれば、引
き抜き抵抗が増大して引き抜きが困難になった場合、引
き抜きの停止、さらには、引き抜きが困難になった材料
の引き抜き方向とは逆方向への移動および再度の引き抜
きの実施(引き抜きの再開)を自動で行うことが可能と
なる。
【0030】次に、上記本発明の溶融処理装置を用いて
被処理材を溶融引き抜きする際の装置の運転方法につい
て説明する。
【0031】まず、通電コイル6、冷却式炉体5を構成
するセグメント11、電源などに冷却水を供給し、チャ
ンバー8内を不活性ガス雰囲気などの溶融を行うに必要
な雰囲気に調整する。
【0032】次いで、装置の運転の初期に生じる湯漏れ
を防ぐために、固化体移動装置13を稼働させ、ロール
13aを逆方向に回転させることによって、炉体の出口
4の断面形状に概ね等しい断面形状を有するダミーバー
を炉体の出口4の下方から炉体5の内部へ向けて挿入す
る。この後、材料供給装置1により、所定量の被処理材
10を炉体5の上方から炉体5内に装入する。必要に応
じて、潤滑剤17(例えば、Al、CaO、Si
等を主成分とする酸化物や、CaF、MgF
どの弗化物)も装入する。
【0033】続いて、電源を稼働させて通電コイル6に
高周波電流を供給すると、電磁気力が働いて被処理材1
0は炉体5から空間的に離反した状態になるとともに、
発生するジュール熱により加熱され、溶融して溶湯プー
ル7が形成される。炉体の出口4はダミーバーで塞がれ
ており、かつ炉体5の下方部分には通電コイル6が存在
せず誘導加熱を受けないので、炉体の出口4から溶湯が
流出することはない。
【0034】図2は溶融初期の炉体内における固液界面
を模式的に示す図であるが、被処理材が溶融した直後の
炉体5内においては、炉体5の収斂部分(炉壁が狭まっ
て炉体の出口4に達する部分)で短時間ではあるが凝固
シェルが厚く成長することのない時間帯が生じる。図示
していないが、炉体5と溶湯プール7の間に空隙が存在
し、この空隙のために抜熱が緩和され、また、溶湯プー
ル7は全体として大きい熱容量をもっているので、溶湯
プール7が炉壁と接触したとしても、溶融が完了した段
階からしばらくの間は凝固シェルの成長が妨げられるか
らである。なお、炉体5の収斂部分よりも下方の部分で
は、通電コイル6が配設されておらず、凝固シェルが急
激に厚くなり、固化体15となる。
【0035】炉体5内における固液界面が図2に示した
ような状態にある間に、固化体移動装置13のロール1
3a(図1参照)を正方向に回転させて固化体15を引
き抜き方向へ移動させる。すなわち、溶融引き抜きにお
ける通常の引き抜きを行う。この状態では、凝固シェル
が成長するとしても、引き抜きに支障が生じるほど引き
抜き抵抗が増大することはない。
【0036】しかし、引き抜きを継続すると、時間の経
過とともに凝固が過度に進行して引き抜き抵抗検出器で
計測される引き抜き抵抗値が増大し、引き抜きが困難に
なる。なお、引き抜きを開始してから引き抜き抵抗が増
大するまでの時間は、溶湯プール7の量、炉体5の剛
性、印加電力、引き抜き速度などが係わっており、一概
には特定できないが、10秒〜5分である。このときの
炉体内における固液界面は、図3に模式的に示すよう
に、炉体5と溶湯プール7との接触部において凝固シェ
ル16が厚く成長している。
【0037】このように引き抜き抵抗が増大した状態で
は、もはや引き抜きを継続することができないので、引
き抜きを停止し、固化体移動装置13のロール13aを
引き抜き時とは逆方向に回転させることによって、溶湯
プール7の外側に凝固シェル16が厚く成長した溶融材
料を引き抜き方向と反対方向へ(つまり、上方へ)移動
させる。溶融材料の引き抜き方向と反対方向への移動距
離は、熱伝導による抜熱が遮断される程度、通常は10mm
程度とすればよい。
【0038】図4は、この移動させた後の状態を模式的
に示す図であるが、この図に示すように、溶湯プール7
は、電磁気力と、厚く成長した凝固シェル16とによっ
て一時的に炉体5と非接触状態で保持されることとな
る。すなわち、厚く成長した凝固シェル16は変形抵抗
が大きいので、溶湯プール7を支える凝固シェル16の
すぐ下に空隙部18が生じ、溶湯プール7は炉体5と接
触しない状態になる。すると、抜熱量が減少するので、
凝固シェル16が溶融し、固液界面の形状が前記の図2
に示した溶融初期の状態になる。なお、前記の凝固シェ
ル16の溶融の確認は、目視(溶湯プール7を支える凝
固シェル16が溶融することによる湯面の低下)によっ
ても可能であるが、溶湯プール7の温度変化により検出
することも可能である。また、本発明の溶融処理装置の
運転を後述するように自動で行うに際し、凝固シェル1
6の溶融に要する時間を経験的に把握しておき、この時
間を運転制御装置14のプログラムに組み込む方法を採
ってもよい。
【0039】そこで、引き抜きを再開し、引き抜き抵抗
が所定の値に到達するまで引き抜きを行う。なお、この
場合の引き抜き長さは、固化体移動装置により前記の凝
固シェル16が厚く成長した溶融材料を上方に移動させ
た長さよりも長くすることが必要である。また、引き抜
かれた材料(すなわち、固化体15)と同量の被処理材
を材料供給装置により炉体の入口から炉体5内に装入す
る。
【0040】このように、本発明の溶融処理装置を用い
て被処理材の溶融引き抜きを行う際には、炉体5内にお
ける固液界面の状態は、図2〜図4に示したように周期
的に変化する。
【0041】前記図1に例示した本発明の溶融処理装置
では、上述した固化体移動装置による固化体の引き抜
き、引き抜きの停止、引き抜き方向と反対方向への(つ
まり、上方への)移動、および再度の引き抜きを自動で
行わせることができる。すなわち、本発明の溶融処理装
置には運転制御装置14が取り付けられているので、引
き抜きを停止すべき抵抗値をあらかじめ定めておき、こ
の抵抗値に達したら固化体移動装置13のロール13a
が停止し、さらに逆方向へ回転させて固化体を引き抜き
方向と反対方向へ移動させ、凝固の過度の進行が緩和さ
れて凝固シェル16が溶融した後、再びロール13aを
正方向へ回転させて引き抜きを行わせるようにこの運転
制御装置14にプログラムを組み込んでおけばよい。な
お、これらの操作と関連させて行うことが必要な材料供
給装置1による被処理材10の炉体5内への装入または
その停止の操作も、前記固化体移動装置13のロール1
3aの稼働と連動させたプログラムをこの運転制御装置
14に組み込むことにより、同様に自動で行わせること
ができる。
【0042】上記のように、本発明の運転方法によれ
ば、凝固した固化体の引き抜き、引き抜きの停止、引き
抜き方向とは逆方向への移動、その後の引き抜きの再開
を繰り返して引き抜き抵抗の増大を緩和しながら安定し
た運転を行うことができる。さらに、このような運転方
法を採ることによって、電磁気力で保持できない多量の
被処理材の溶融引き抜きが可能となる。
【0043】
【実施例】図1に示した構成を有する本発明の溶融処理
装置を用い、チタンの金属片(チタンスクラップ)の溶
融引き抜き試験を行った。チタンスクラップのうち、最
大寸法を有するものは、一辺の長さが概ね100mmの立方
体である。試験に用いた溶融処理装置の主な仕様を表1
に示す。
【0044】
【表1】 上記の装置を運転するにあたり、まず、冷却水供給装置
(図示せず)を用いて、通電コイル6、炉体5、チャン
バー8、固化体移動装置13および電源(図示せず)に
冷却水をそれぞれ50リットル/min、130リットル/min、5
0リットル/min、30リットル/minおよび240リットル/min
供給した。続いて、チャンバー8内をアルゴンガス雰囲
気にした。
【0045】次に、固化体移動装置13を用いて、炉体
の出口4から炉体5内へダミーバーとしてのチタンの固
化体(直径約50mm、長さ約500mm)をその上端が通電コ
イル6の上端から50mm下方の位置まで達するように挿入
するとともに、電源を起動して通電コイル6に高周波電
流を供給した。
【0046】約3分間で前記固化体の上端が溶融して直
径が約200mmの溶湯プール7となり、電磁気力の作用を
受けてドーム状に隆起し、その一部は炉体5と非接触の
状態となった。この炉体5と非接触部分の隆起高さは約
50mmであった。溶湯プール7の質量は約10kg、温度は概
ね1900Kであった。
【0047】続いて、材料供給装置1を介して被処理材
(チタンスクラップ)10を炉体5内に装入するととも
に、固化体移動装置13を稼働させて装入した被処理材
10の質量に相当する量の固化体15を下方に引き抜い
た。引き抜き速度は約20mm/minであった。炉体5内に装
入された被処理材10は、溶湯の表面張力の作用により
溶湯プール7の表面でしばらく浮遊したが、やがて電磁
攪拌により溶湯プール7内に取り込まれ、溶融した。
【0048】引き抜き時間の経過とともに、引き抜き抵
抗検出器12で検出される引き抜き抵抗は増大し、引き
抜きを3分継続して60mm引き抜いたところで引き抜き抵
抗検出器12の出力があらかじめ設定した10kNを超えた
(これは、前記の溶湯プール7の外側に凝固シェルが厚
く成長したことを表している)。その直後、運転制御装
置14が作動して引き抜きが停止し、続いて固化体移動
装置13のロール13aが逆方向に回転して、前記の凝
固シェルが厚く成長した溶融材料を10mm上昇させた後、
停止した。
【0049】この段階で、炉体5と前記の凝固シェル1
6の間には空隙部18が形成され(前記図4参照)、そ
のため、溶湯プール7からの抜熱が緩和されて、凝固シ
ェル16が溶融した。凝固シェル16が溶融するまでに
要した時間は約2分であった。
【0050】続いて、引き抜きを再開し、約3分間継続
した。この後、引き抜き抵抗検出器12の出力が10kNを
超え、運転制御装置14が作動して引き抜きが停止し
た。
【0051】このように、固化体移動装置13による引
き抜き、引き抜きの停止、ロール13aの逆方向への回
転、停止を繰り返すことによって、最大寸法が概ね100m
m角のチタンスクラップから直径50mmのチタンインゴッ
トを得ることができた。
【0052】比較のために、引き抜き抵抗検出器12、
固化体移動装置13および運転制御装置14が設けられ
ていない点を除いては上記本発明の溶融処理装置と寸
法、形状が概ね類似する装置を用いてチタンの金属片
(チタンスクラップ)の溶融引き抜き試験を行った。
【0053】図5はそのときの炉体内における固液界面
を模式的に示す図である。溶湯プール7は、直径が約70
mm、炉壁と接触していない(非接触の)部分の隆起高さ
が約50mm、質量が約2kgであった。なお、CaFを潤
滑剤17として用いた。
【0054】チタンスクラップの大きさが約10mm以下の
場合は、20mm/minの速度で連続引き抜きを行うことがで
きた。しかし、実施例で用いた最大寸法が概ね100mm角
のチタンスクラップの場合は、これを炉体5内へ装入し
た後、溶湯プール7の量が増大し、重力が増したため溶
湯プール7と炉壁とが接触した。その結果、抜熱量が増
加して凝固シェルが厚く成長し、引き抜きができなくな
った。
【0055】
【発明の効果】本発明の溶融処理装置を用いることによ
り、引き抜き抵抗の増大を緩和し、安定した運転を行う
ことができる。これにより、装置を大型化して工業規模
で溶融引き抜きを行うことができ、また、最大寸法の大
きい、例えば製品等を解体して得られる金属片をそのま
ま炉体内へ装入し、処理することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融処理装置の一例の構成を概念的に
示す図である。
【図2】本発明の溶融処理装置による溶融初期の炉体内
における固液界面を模式的に示す図である。
【図3】本発明の溶融処理装置による溶融引き抜き開始
後しばらく時間経過した後の炉体内における固液界面を
模式的に示す図である。
【図4】本発明の溶融処理装置による溶融引き抜きで、
固化体を引き抜き方向と反対方向に移動させたときの炉
体内における固液界面を模式的に示す図である。
【図5】比較のための溶融処理装置で溶融引き抜きを行
ったときの炉体内における固液界面を模式的に示す図で
ある。
【符号の説明】
1:材料供給装置 2:スリット 3:炉体の入口 4:炉体の出口 5:炉体 6:通電コイル 7:溶湯プール 8:チャンバー 9:冷却水の流通孔 10:被処理材 11:セグメント 12:引き抜き抵抗検出器 13:固化体移動装置 13a:ロール 14:運転制御装置 15:固化体 16:凝固シェル 17:潤滑剤 18:空隙部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被処理材を溶融し、凝固させて固化体とす
    る溶融処理装置であって、内部が水冷され、上端と下端
    が開口した筒状をなし、縦方向に絶縁機能を有する複数
    のスリットが形成された炉壁と、炉壁で構成された炉体
    と、炉壁のスリットが形成された部分の少なくとも一部
    の外周を螺旋状に取り囲む通電コイルと、通電コイルに
    高周波電流を供給するための電源と、炉体の上方に取り
    付けられた材料供給装置と、炉体内で溶融し、凝固した
    固化体を下方に引き抜き、または引き抜き方向と反対方
    向へ移動させるための固化体移動装置と、引き抜き抵抗
    検出器と、引き抜き抵抗検出器の信号に基づいて材料供
    給装置および固化体移動装置を制御する運転制御装置を
    有することを特徴とする溶融処理装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の溶融処理装置の運転方法
    であって、材料供給装置を用いて被処理材を炉体内に装
    入し、通電コイルに高周波電流を通電して被処理材を溶
    融した後、炉壁からの抜熱により凝固した固化体を固化
    体移動装置により下方に引き抜き、引き抜き抵抗検出器
    で計測される引き抜き抵抗値があらかじめ設定した値を
    超えた場合に、固化体を引き抜き方向と反対方向へ移動
    させ、凝固の過度の進行が緩和された後、再び前記の引
    き抜きを再開することを特徴とする溶融処理装置の運転
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007218483A (ja) * 2006-02-15 2007-08-30 Kobe Steel Ltd コールドクルーシブル誘導溶解装置
JP2008194700A (ja) * 2007-02-08 2008-08-28 Shinko Electric Co Ltd 連続鋳造装置、連続鋳造装置における引抜制御装置、および連続鋳造装置における引抜制御方法

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