JPH1164590A - 固体廃棄物処理方法 - Google Patents

固体廃棄物処理方法

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JPH1164590A
JPH1164590A JP22355297A JP22355297A JPH1164590A JP H1164590 A JPH1164590 A JP H1164590A JP 22355297 A JP22355297 A JP 22355297A JP 22355297 A JP22355297 A JP 22355297A JP H1164590 A JPH1164590 A JP H1164590A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機物を含む固体廃棄物を短時間で効率的に分
解し、かつ無機物を析出することのない固体廃棄物処理
方法を提供する。 【解決手段】原子力発電所などで発生するイオン交換樹
脂,ゴム手袋,活性炭,ポリ容器などの固体状有機物を
含む固体廃棄物、例えば陽イオン交換樹脂1を水2およ
び酸化剤3と混合した後、分解工程4で温度 200〜 374
℃未満,圧力10〜22MPaの亜臨界条件で一定時間保持
し、固体廃棄物を分解させる。液相5には硫酸塩6と酸
化物7が、気相8には二酸化炭素9が発生する。これに
より陽イオン交換樹脂1中の無機物を析出させることな
く有機物を分解できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば発電所、特に
原子力発電所などで発生する放射性固体廃棄物の処理装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】有機物を含む固体廃棄物の処理は、近年
の地球環境問題に対応して重要な課題となっている。一
般的に有機廃棄物は焼却処理されるが、ダイオキシン,
窒素酸化物等の有害物質が生成するため、その処理方法
が課題となっている。
【0003】近年、有機物を分解する方法として、有機
物と水と酸素含有流体を混合し水の臨界点(温度 374
℃,圧力22MPa)を超える高温高圧下で反応させる方
法が知られている[‘超臨界水中における有機物の酸化
処理方法’特許第 1551862号公報(特公平1− 38532号
公報参照)]。超臨界水は液体と気体の中間の性質を持
ち、有機物や酸素が非常に良く混合するため酸化反応を
短時間で効率的に行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、無機物
の溶解度が小さくなるため、固体廃棄物中に存在する無
機物が反応容器内に析出し、その結果反応容器を閉塞す
るなどの問題が生じる。例えば、原子力発電所で発生す
る廃棄物を処理する場合は、析出物が放射性物質である
のでハンドリングが容易でなく、固体廃棄物処理装置の
保守点検に多大なコストがかかる。以上のことより、塩
を含有した有機物を含む固体廃棄物を、無機物を析出さ
せることなく分解する方法の開発が必要となる。
【0005】また、超臨界水中では、反応温度および圧
力が高いため材料の腐食が問題となる。材料の腐食は水
の密度と大きく関係し、水の密度が高いと容器が腐食す
る。Kriksunov らは酸素濃度一定の条件での塩酸による
相対腐食量を (1)式のように定義した。(L.B.Kriksuno
v :J.Electrochem.Soc,.vol.142[10]p4069〜4073(199
5)) log(RT /R0 ) =log[mHCl /mHCl 0 ]+2log[ρ/ρ0 ] +(−E/RT+E/RT0 )/2.303 …(1) RT /R0 :基準温度に対する温度Tでの相対腐食量 mHCl :モル濃度,ρ:密度,R:気体定数,T:温度
【0006】(1)式によると塩酸濃度および温度が一定
の場合、腐食量は水の密度に比例する。圧力が高いと水
の密度が増加するため腐食は進行する。以上のことよ
り、有機物を含む固体廃棄物を処理するための反応容器
を腐食させることなく分解する方法の開発が必要とな
る。
【0007】本発明は上述した従来の技術が有する課題
を解決するためになされたもので、固体廃棄物を短時間
で効率的に分解し、無機物を析出させることのない、ま
た反応容器を腐食させることのない固体廃棄物処理方法
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、有機
物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合した後、 温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、温度 374〜
600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のうち、
,の何れかの条件において、5分間から4時間保持
し、前記固体廃棄物を分解することを特徴とする。
【0009】請求項2の発明は、前記有機物を含む固体
廃棄物を水および酸化剤と混合し分解する前に、あらか
じめ前記固体廃棄物を水と混合して温度 374〜 600℃,
圧力22〜30MPaの条件で反応させ高分子を低分子化さ
せることを特徴とする。
【0010】請求項3の発明は、有機物を含む固体廃棄
物を水と混合して、温度 374〜 600℃,圧力22〜30MP
aの条件で反応させた後、固液分離し、固液分離後の固
体および液体を水および酸化剤と混合させて温度 200
〜 373℃,圧力10〜30MPa、温度 374〜 600℃,圧
力10〜21.9MPaの2通りの条件のうち、,の何れ
かの条件において一定時間保持し前記固体を分解するこ
とを特徴とする。
【0011】請求項4の発明は、有機物を含む固体廃棄
物を水と混合した後、温度 200〜373℃,圧力10〜30
MPa、温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2
通りの条件のうち、,の何れかの条件において一定
時間反応させた後、つぎに酸化剤と混合し、温度 374〜
600℃,圧力22〜30MPaの条件で一定時間反応させる
ことを特徴とする。
【0012】請求項5の発明は、有機物を含む固体廃棄
物を水と混合した後、温度 200〜373℃,圧力10〜30
MPa、温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2
通りの条件のうち、,の何れかの条件で一定時間保
持して反応させた後、固液分離し、固液分離後の固体お
よび液体を水および酸化剤と混合し、温度 374〜 600
℃,圧力22〜30MPaの条件で分解することを特徴とす
る。
【0013】請求項6の発明は、前記酸化剤は、酸素,
空気,オゾン,過酸化水素から選ばれた少なくとも一種
からなることを特徴とする。請求項7の発明は、前記有
機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体
廃棄物を分解した後、還元剤を含む溶液を添加し、有害
成分を還元して溶液中に回収することを特徴とする。
【0014】請求項8の発明は、前記有機物を含む固体
廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解し
た後、アルカリ性溶液を添加し、有害成分を溶液中に回
収することを特徴とする。
【0015】請求項9の発明は、前記有機物を含む固体
廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解し
た後、オゾン,過酸化水素,紫外線,放射線から選ばれ
た少なくとも一種を用いて分解液中の有機物を分解する
ことを特徴とする。
【0016】請求項10の発明は、前記有機物を含む固体
廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解し
た後、オゾンまたは過酸化水素を添加した後、紫外線ま
たは放射線を照射することを特徴とする。
【0017】請求項11の発明は、前記有機物を含む固体
廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解し
た後、気液分離し、気体を水やアルカリ溶液と接触させ
て気体中に存在する有害物質を溶液中に回収し、気体と
接触させた溶液および気液分離後の分解液中に存在する
有害成分を、沈殿法,吸着法,イオン交換法,電解法か
ら選ばれた少なくとも一種の方法を用いることにより液
体から分離回収することを特徴とする。
【0018】請求項12の発明は、前記有機物を含む固体
廃棄物を水および酸化剤と混合して前記固体廃棄物を分
解した後、その分解液を前記固体廃棄物を分解する前記
水として再利用するとともに、前記固体廃棄物分解後の
固形分をセメントにより固化することを特徴とする。
【0019】有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤
と混合した後、温度 374℃未満または圧力22MPa未満
の条件で一定時間保持すると、無機物を析出させること
なく、かつ反応容器を腐食させることなく有機物を分解
することができる。また、無機物の析出が原因となる反
応管の閉塞などを防ぐことができるため、装置のランニ
ングコストを大幅に低減することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施例1−a)本実施例は請求項1の発明における
の条件に対応するもので、は無機物が含有された有機
固体廃棄物の処理方法において無機物の析出を防ぐため
の条件であり、図1に本実施例のプロセス図を示す。有
機物を含んだ固体廃棄物として、紙,ウエス,ポリビ
ン,活性炭,イオン交換樹脂などがあるが、スルホン基
が導入された強酸性陽イオン交換樹脂を例にとり説明す
る。
【0021】図1中、符号1は有機固体廃棄物としての
陽イオン交換樹脂で、使用済の陽イオン交換樹脂1はナ
トリウム,セリウムといった陽イオンを捕捉している。
陽イオン交換樹脂1を水2および酸化剤3と混合した
後、分解工程4で亜臨界条件(温度 200〜 373℃,圧力
10〜21.9MPa)下で反応させ、液相5中に硫酸塩6お
よび酸化物7を、気相8中に二酸化炭素9を回収する。
これらの条件では、陽イオン交換樹脂1中の水素は水
に、炭素は二酸化炭素に、イオンは硫酸イオンに、捕捉
された陽イオンは硫酸塩として回収される。
【0022】図2に超臨界条件(従来例)および亜臨界
条件(本発明)でイオン交換樹脂を分解した結果を示
す。イオン交換樹脂としてセリウムを負荷させた陽イオ
ン交換樹脂を用い、この樹脂と水および過酸化水素をス
テンレス製反応容器に入れて反応させた。反応温度およ
び圧力は、超臨界条件では 400℃,30MPa、亜臨界条
件では 350℃,30MPaとした。過酸化水素はイオン交
換樹脂1gに対して9g添加した。
【0023】その結果、イオン交換樹脂の大部分は分解
して二酸化炭素となり、一部は有機酸として水中に溶解
した。超臨界条件(従来例)および亜臨界条件(本発
明)を比較すると、従来例では分解する速度が速い。樹
脂の99%が分解する時間は、従来例が40分間、本発明の
実施例が80分間となり、従来例では2倍の速度でイオン
交換樹脂を処理できる。
【0024】しかしながら、従来例ではイオン交換樹脂
に捕捉された陽イオン(セリウム)が反応容器中に塩と
して析出するのが確認された。塩の析出はイオン交換樹
脂を大量に連続的に処理する場合には、反応容器を閉塞
するなどの問題が生じる。これを回避するため、超臨界
条件で析出しないように処理量を減少させる必要があ
る。
【0025】表1に超臨界条件(従来例)および亜臨界
条件(本発明の実施例)下での塩化ナトリウムの溶解度
を示す。亜臨界条件下での溶解度は超臨界条件下の溶解
度に比べて約2000倍高い溶解度を有している。使用済の
イオン交換樹脂の分解により生成するセリウムなどの硫
酸塩の溶解度が、塩化ナトリウムと同じであると仮定す
ると、硫酸塩が超臨界条件下で析出する。
【0026】例えば、析出しない条件でイオン交換樹脂
の分解を試みると、亜臨界条件(本発明)では超臨界条
件(従来例)に比べると2000倍以上のイオン交換樹脂を
処理できると考えられる。
【0027】
【表1】
【0028】そのため、処理時間と処理量を考慮する
と、単位時間当たりのイオン交換樹脂の処理量は本発明
の実施例では従来例に比べて約1000倍となる。また、温
度と圧力の条件は 200〜 373℃,10〜30MPaとした。
図3に高温高圧下での水のイオン積を示す。圧力34.5M
Paを例にとると、 200〜 373℃の温度範囲でイオン積
は10-12 と室温の値10-14 に比べて 100倍の高い値を示
す。そのため、塩の溶解度はこの範囲で高くなり、無機
塩の析出を防ぐことが可能である。また、圧力13.8MP
aでは 200〜 300℃の範囲で水のイオン積は10-12 の値
を示し、圧力が低下すると温度範囲が小さくなる傾向が
ある。
【0029】以上のことより温度および圧力の範囲とし
て温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPaで反応を行うと
無機物を析出させることなく有機物を分解できる。以上
のことより、本発明の実施例1−aによれば、無機物の
析出を防ぐことができ、かつ多量の廃棄物を処理できる
ため、装置の建設費やランニングコストを大幅に低減す
ることができる。
【0030】(実施例1−b)本実施例は請求項1の発
明におけるの条件に対応するもので、は無機物が殆
ど含まれていない有機廃棄物で、分解反応が加水分解反
応が主ではなく、熱分解反応が主な有機固体廃棄物の処
理方法に関するもので、腐食環境を緩和する条件であ
る。
【0031】すなわち、本実施例において、イオン交換
樹脂のほかに塩を含まない廃棄物、例えば活性炭などを
処理する場合は、温度と圧力の条件を 374〜 600℃,10
〜21.9MPaに選択すると、反応容器を腐食することな
く有機物を分解することができる。 (1)式によれば、水
の密度が高いと腐食が進行することがわかる。温度が一
定の場合、圧力が増加すると水の密度は増加する。表2
に水の密度に及ぼす圧力の影響(温度 400℃)について
示す。臨界圧(22MPa)を超えると密度が急激に増加
することがわかる。
【0032】
【表2】
【0033】(1)式により塩酸濃度および温度が一定の
場合、腐食量は (1-1)式のように表わされる。 log(Rp /R0 )=2log[ρp/ρ0 ] …(1) Rp /R0 :基準圧力に対する圧力Pでの相対腐食量,
ρ:密度
【0034】表3に活性炭を分解した場合の分解率と、
反応容器から回収された鉄腐食量の結果を示す。温度は
400℃とし、過酸化水素は活性炭1g当たり34g添加
し、反応時間30分として圧力を変化させた。圧力10MP
aでは90%以上の活性炭を分解できるが10MPa以下で
は活性炭の分解率は低下した。また、10MPaの腐食量
を1とした場合、圧力の増加とともに腐食量が増大し、
特に超臨界領域の30MPaでは90倍となった。以上のこ
とより圧力を10〜21.9MPaにすることにより腐食量を
大幅に抑えることができることがわかった。また、温度
を増加させると反応速度が増大し、より短時間で分解す
ることが可能であるが、通常使用されているインコネル
などの耐食性容器が 600℃を過ぎると著しく強度が低下
するため、温度は 374〜 600℃とした。
【0035】以上のことより塩を含まない廃棄物を、温
度圧力条件を 374〜 600℃,10〜21.9MPaで分解する
と反応容器を腐食することなく有機物を分解することが
できる。これらの材料の腐食を低減させることができる
ため、装置の建設費やランニングコストを大幅に低減す
ることができる。
【0036】
【表3】
【0037】以上のことより、塩を含む廃棄物を温度 2
00〜 373℃,圧力10〜30MPaで処理することにより無
機物の析出を防ぐことが可能であり、塩を含まない廃棄
物を温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaで処理する
ことにより、反応容器材料の腐食を防ぐことが可能であ
る。これらにより、固体廃棄物処理装置の建設費やラン
ニングコストを大幅に低減することが可能である。
【0038】(実施例2)本実施例は請求項2の発明に
対応するものである。実施例1−a,bで固体廃棄物を
酸化剤と混合して分解する前に、固体廃棄物を水と混合
して超臨界水条件下で反応させると、有機物内に存在す
る結合エネルギーの小さい結合を選択的に加水分解する
ことができる。これらの処理を行うと、高分子の有機物
を低分子の有機物に変換することができる。固体廃棄物
を水と混合した後、酸化剤を添加し亜臨界水条件下で反
応させると、有機物が低分子であるため酸素と反応する
速度が速く、短時間で有機物を分解することが可能にな
る。
【0039】固体廃棄物を超臨界水と混合する条件は、
温度 374〜 600℃,圧力22〜30MPaとした。温度を増
大させると反応速度が増加し、圧力を増加させると単位
面積当たりの水の量が増加するため、有機物を加水分解
し易くなる。しかし、原子炉等の構造材料として用いる
インコネルの強度が 600℃を超えると著しく低下するた
め、反応温度は 600℃以下にする必要がある。また、圧
力が増加すると、肉厚の容器を製作する必要があるた
め、臨界点より若干高い30MPaとした。
【0040】図4に亜臨界条件での酸化処理(実施例
1)および超臨界処理+酸化処理(本実施例2)でイオ
ン交換樹脂を分解した結果を示す。イオン交換樹脂とし
て陽イオン交換樹脂を用い、この樹脂と水をステンレス
鋼製反応容器に入れて反応させた。
【0041】酸化処理(実施例1−a)は、反応温度 3
50℃,圧力30MPaとし、過酸化水素はイオン交換樹脂
1gに対して9g添加した。また、超臨界処理+酸化処
理(本実施例2)は、超臨界処理は 400℃,圧力30MP
a、反応時間は2分とし、酸化処理は実施例1−aと同
じ、反応温度は 350℃,圧力30MPa、過酸化水素は樹
脂1gに対して9g添加した。
【0042】超臨界処理を行うと、酸化処理を行う場合
に比べて短時間で樹脂が分解した。亜臨界条件での酸化
処理(実施例1−a)および超臨界処理+酸化処理(本
実施例2)でイオン交換樹脂の99%が分解する時間は、
実施例1−aで80分間、本実施例2が60分間となり、実
施例1−aでは 1.5倍の速度でイオン交換樹脂を処理す
ることができる。
【0043】(実施例3)本実施例は請求項3の発明に
対応するものである。実施例1−a,bおよび2で固体
廃棄物を酸化剤と混合して分解する前に固体廃棄物を水
と混合して超臨界水条件下で反応させた後、固液分離
し、分離した固体および液体を酸化剤を添加して反応さ
せると、固体廃棄物を効果的に分解することができる。
【0044】表4に陽イオン交換樹脂を超臨界水で処理
した後、分解液中の硫酸イオン濃度を測定した結果を示
す。イオン交換樹脂と水をステンレス鋼製容器に入れ
て、反応温度 400℃,圧力30MPaで2分間反応させ
た。イオン交換樹脂1gから生成すると考えられる硫酸
イオンは23gであるが、分解液中にはこのすべてが回収
され、イオン交換基が選択的に脱落して硫酸イオンとな
ることがわかった。
【0045】原子力発電所で発生する使用済のイオン交
換樹脂では多くの放射性物質が陽イオンとしてイオン交
換樹脂に付着している。そのため、放射能は硫酸塩の形
態で、イオン交換樹脂から除去される。常温常圧下の水
中には、ナトリウム,鉄,コバルトといったアルカリ土
類金属以外の硫酸塩が水に溶解して存在する。
【0046】そのため、実施例2で有機物を含んだ固体
廃棄物を水と混合して超臨界条件で反応させた後、固液
分離すると、有機物を含んだ固体廃棄物から大部分の放
射能を除去でき、液側に回収することが可能である。放
射能の大部分を除去した固体廃棄物を酸化剤と混合して
亜臨界条件下で分解すると放射能の量が低いのでハンド
リングが大変容易になる。
【0047】
【表4】
【0048】また、実施例2で有機物を含んだ固体廃棄
物を水と混合して超臨界条件で反応させた後、固液分離
し、大部分の放射能を含んだ溶液を酸化剤と混合して分
解すると溶液中の有機物を完全に分解でき処分が容易と
なる。放射性廃棄物を含む液体をセメントなどで固化す
る場合、溶液中に少量の有機物が存在すると、放射性物
質が有機物と錯体を形成して環境中に移行する恐れがあ
る。そのため、有機物と硫酸塩を含んだ液体と酸化剤を
混合し亜臨界条件下で処理すると、硫酸塩が析出するこ
となく有機物を分解し、処分が容易となる。
【0049】(実施例4)本実施例は請求項4の発明に
対応するもので、図5に本実施例のプロセス図を示す。
有機物を含んだ固体廃棄物としてPET(ポリエチレン
テレフタート)樹脂を例にとり説明する。
【0050】PET10を水2と混合した後、前処理工程
11で亜臨界条件下で反応させた後、酸化剤3を添加し、
分解工程4で超臨界条件下で一定時間反応させ、液相5
中に硫酸塩6および酸化物7を、気相8中に二酸化炭素
9を回収する。これらの条件では、PET10中の水素は
水に、炭素は二酸化炭素9に変換される。前処理工程11
中でPET10は加水分解し、テレフタル酸ジメチルとエ
チレングリコールとなる。
【0051】図6にPET樹脂を分解した結果を示す。
PET樹脂と水をステンレス鋼製容器に入れ、25MPa
で反応させた。テレフタル酸ジメチルとエチレングリコ
ールの回収率は 300℃で極大を持つことがわかった。図
3に高温高圧下での水のイオン積を示す。亜臨界条件下
では水のイオン積は最大となり、加水分解反応が主体的
に起こると考えられる。
【0052】図7に超臨界条件での酸化処理(従来例)
および亜臨界処理+酸化処理(本実施例4)を示す。図
7はテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールの混合
物を分解した結果である。PET樹脂と水をステンレス
鋼製容器に入れて反応させた。酸化処理(従来例)は、
反応温度 400℃,圧力30MPaとし、過酸化水素はPE
T樹脂1gに対して9g添加した。
【0053】一方、亜臨界処理+酸化処理(本実施例)
における亜臨界処理は 350℃,圧力30MPa、反応時間
は2分間とし、酸化処理は従来例と同じ、反応温度 400
℃,圧力30MPa、過酸化水素はPET樹脂1gに対し
て9g添加した。亜臨界処理を行うと、酸化処理を行う
場合に比べて短時間でPET樹脂が分解した。
【0054】(実施例5)本実施例は請求項5の発明に
対応するもので、実施例4において、固体廃棄物を酸化
剤と混合して分解する前に、固体廃棄物を水と混合して
亜臨界条件下で反応させた後、固液分離し、この固体お
よび液体に酸化剤を添加して超臨界条件下で反応させる
と、固体廃棄物を効果的に分解することができる。
【0055】PETが放射性物質で汚染されている場合
は、固体廃棄物を水と混合して亜臨界水条件下で反応さ
せ固液分離すると、固体中から大部分の放射性物質を除
去でき、放射性物質を液中に回収できる。大部分の放射
能を除去した後、固体と酸化剤と混ぜて超臨界条件下で
分解すると、放射能の量が低いのでハンドリングが容易
になる。
【0056】また、大部分の放射性物質を回収した液体
に酸化剤を添加し超臨界条件下で分解すると、液中の有
機物を完全に分解できるため、セメントで固化すること
が可能である。液中に微量に有機物が残存すると、有機
物が放射性物質と錯体を形成して環境中に移行する恐れ
があるが、有機物が完全に分解できるため処分が容易に
なる。
【0057】(実施例6)本実施例は請求項6の発明に
対応するもので、実施例1−a,bから5において、酸
化剤は酸素,空気,オゾンおよび過酸化水素を用いる
と、固体廃棄物を酸化して分解することができる。
【0058】表5に酸化剤として空気,酸素,過酸化水
素およびオゾンを用い、陽イオン交換樹脂を分解した結
果を示す。酸化剤1molから発生する酸素の量は表6
に示す量とし、各酸化剤より発生する酸素の量を一定
( 0.6mol)にして実験を行った。陽イオン交換樹脂
と水をステンレス鋼製容器に入れ、反応温度 400℃,圧
力30MPa,12分反応させた。各酸化剤から発生する酸
素の量が 0.6molになるように酸化剤を添加した。
【0059】表5に示すように、陽イオン交換樹脂の分
解率は酸化剤の種類によらず、発生する酸素の量を一定
にすると分解率は80%程度の一定の値を示すことがわか
った。これは、高温高圧下では過酸化水素,オゾンは安
定に存在せず自己分解して酸素を生成し、その酸素が分
解に関与しているためと考えられる。以上のことより、
酸化剤として酸素,空気,オゾンおよび過酸化水素を用
いると固体廃棄物を酸化して分解することができる。
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】(実施例7)本実施例は請求項7の発明に
対応するもので、実施例1−a,bから6において、固
体廃棄物を酸化剤と混合して分解した後、還元剤を含む
溶液を添加し、有害成分を還元して溶液中に回収できれ
ば、装置の建設費が大幅に軽減できる。
【0063】例えば、原子力発電所で発生する廃棄物に
はテクネチウムなどが含まれている。テクネチウムは酸
化性の雰囲気で、七酸化二テクネチウム,過テクネチウ
ム酸( VII価)を生成して気相中に移行する。固体廃棄
物に水と酸化剤を添加して高温高圧下で反応させると、
テクネチウムは七酸化二テクネチウム,過テクネチウム
酸( VII価)となり、水が存在すると(2-1) (2-2) 式に
示すような気液平衡が存在する。
【0064】さらに、水中でのテクネチウムは(2-3) 式
に示すように解離し、イオンの形態で存在する。反応終
了後、常温常圧下にして気相と液相を分離すると、テク
ネチウムの大部分は気相に移行するため、排ガス処理装
置でテクネチウムを回収する必要がある。
【0065】しかし、反応終了後、還元剤を添加してテ
クネチウムの形態を七酸化二テクネチウム,過テクネチ
ウム酸( VII価)から酸化テクネチウム(IV価)にする
と液相中にテクネチウムを回収でき、排ガス処理設備が
不要になる。
【0066】 Tc2 7 (g)+H2 O=HTcO4 (g) …(2-1) HTcO4 (g)=HTcO4 (l) …(2-2) HTcO4 (l)=TcO4 - +H+ …(2-3)
【0067】表7に添加剤として硫酸第一鉄(還元剤)
および硫酸第二鉄を使用した場合のテクネチウムの沈殿
率を示す。実験は、トレーサ量のテクネチウムを含む廃
液 100mlに、硫酸塩を10-3mol添加し、pHを4に
して1時間反応させることにより行った。
【0068】廃液に硫酸第一鉄を添加すると溶液中でF
2+イオンを生成し、このFe2+イオンは溶液中のTc
4 - イオン( VII価)をTcO2 (IV価)に還元して
Fe3+イオンを生成する。Fe3+はpH4以上で水酸化
物を生成して沈殿する。そのため、この沈殿にTcO2
(IV価)が共沈し、溶液からテクネチウムを回収するこ
とができる。
【0069】
【表7】
【0070】(実施例8)本実施例は請求項8に対応す
るもので、実施例1−a,bから7において、固体廃棄
物を酸化剤と混合して分解した後、水酸化ナトリウム水
溶液を添加し、有害成分を溶液中に回収できれば、装置
の建設費が大幅に軽減できる。例えば、原子力発電所で
発生する固体廃棄物にはテクネチウムなどが含まれてい
る。
【0071】テクネチウムは酸化性の雰囲気で、七酸化
二テクネチウム,過テクネチウム酸( VII価)を生成し
て、気相中に移行する。固体廃棄物に水と酸化剤を添加
して高温高圧下で反応させると、テクネチウムは七酸化
二テクネチウム,過テクネチウム酸となる。
【0072】反応終了後、常温常圧下にして気相と液相
を分離すると、テクネチウムの大部分は気相に移行する
ため、排ガス処理装置でテクネチウムを回収する必要が
ある。しかし、反応終了後、水酸化ナトリウム溶液を添
加すると (3)式に示すようにテクネチウムを気相中から
液相中に回収できる。テクネチウムの大部分を液相に回
収できるため、排ガス処理設備がコンパクトになる。
【0073】 Tc2 7 +2NaOH→2NaTcO4 +H2 O …(3) 表8に水酸化ナトリウム溶液を用いガス状のテクネチウ
ムを回収した結果を示す。実験はトレーサ量のガス状の
テクネチウムを含んだガスを、水および水酸化ナトリウ
ム溶液( 0.1M)1000mlに導入し、入口および出口の
テクネチウム濃度を測定することにより行った。水酸化
ナトリウム溶液を用いると、99%のテクネチウムを回収
できることがわかった。
【0074】
【表8】
【0075】(実施例9)本実施例は請求項9の発明に
対応するもので、実施例1−a,bから8で固体廃棄物
を酸化剤と混合して分解した後、分解液にオゾン,過酸
化水素を添加したり、紫外線または放射線を照射する
と、分解液中に微量に残っている有機物を完全に分解で
きる。
【0076】超臨界条件および亜臨界条件の高温高圧下
での酸化剤を添加して有機物を分解する場合、有機物は
最終的に酢酸などが分解液中に残存する。酢酸の分解反
応は他の有機物と比べて遅いため酢酸を完全に分解する
ためには、長時間反応させる必要がある。
【0077】しかし、高温高圧下の水は活性が高く、反
応容器を構成している材料が腐食することが懸念され
る。そのため、高温高圧下で固体廃棄物処理装置を運転
する時間が短ければ、腐食量が減少し、固体廃棄物処理
装置の使用期間を大幅に増加することができる。
【0078】表9に酸化剤として、オゾン,過酸化水
素,紫外線,放射線を用いて酢酸を分解した結果を示
す。オゾンおよび過酸化水素は酢酸1molに対して2
mol添加し、20分反応させた。各酸化剤とも20%程度
の分解率を示した。分解率は反応時間の増加とともに増
加する傾向があるため、より長時間反応させると完全に
分解できると考えられる。
【0079】
【表9】
【0080】以上のことより、高温高圧下での固体廃棄
物を分解した後、分解液中に残存する有機物を、オゾ
ン,過酸化水素,紫外線または放射線などにより分解す
ることにより、有機物を完全に分解しかつ反応装置のラ
ンニングコストを大幅に低減できる。
【0081】(実施例10)本実施例は請求項10の発明に
対応するもので、実施例9において、有機物を含む固体
廃棄物を水および酸化剤と混合して分解した後、その分
解液にオゾンまたは過酸化水素の酸化剤を添加した後、
紫外線または放射線を照射すると、分解液中に微量に残
っている有機物を完全に分解することができる。
【0082】酸化剤として過酸化水素を例にとり説明す
る。過酸化水素が有機物と反応する場合、まず過酸化水
素がOHラジカルを生成し有機物を分解する。過酸化水
素に紫外線を照射すると、 (4)式に示すようにOHラジ
カルが加速度的に生成して有機物を分解する。 H2 2 +hv→2OH・ …(4)
【0083】表10にオゾンおよび過酸化水素を添加した
後、紫外線(放射線)のみの場合と、オゾンおよび紫外
線(放射線)の場合と、過酸化水素および紫外線(放射
線)の場合の照射結果を示す。
【0084】オゾンおよび過酸化水素は酢酸1molに
対して2mol添加し、20分間反応させた。オゾンおよ
び紫外線単独よりも多くの酢酸が分解する。そのため、
分解液にオゾン,過酸化水素を添加した後、紫外線およ
び放射線を照射すると、分解液中に微量に残っている有
機物を短時間に完全に分解できる。
【0085】
【表10】
【0086】(実施例11)本実施例は請求項11の発明に
対応するもので、実施例1−a,bから10において、固
体廃棄物を酸化剤と混合して分解した後、気液分離し、
気体を水やアルカリ溶液と接触させて気体中に存在する
有害物質を溶液中に回収し、気体と接触させた溶液およ
び気液分離後の液体中に存在する有害成分を、沈殿法,
吸着法,イオン交換法,電解法を用いることにより液体
から分離回収すると、溶液を無害化し系外に放出でき
る。
【0087】原子力発電所で発生する固体廃棄物中に
は、テクネチウムやルテニウムといった揮発性の放射性
物質が含まれている。これら放射性物質は固体廃棄物を
分解した後気相中に移行し、水と接触することにより水
溶液中に回収できる。また、この溶液中には、テクネチ
ウムやルテニウムなどの揮発性の放射性物質の他に、セ
シウム,ストロンチウム,超ウラン元素などが飛沫同伴
によって移行する可能性がある。一方、固体廃棄物を分
解した後の分解液中には、微量のテクネチウム,ルテニ
ウムと、セシウム,ストロンチウム,超ウラン元素が多
量に含まれている。
【0088】(電解法の実施例)テクネチウム,ルテニ
ウムの酸化還元電位を (5), (6)式に示す。 Tc2++2e- →Tc(s) 0.4V VS.NHE …(5) Ru2++2e- →Ru(s) 0.46V VS.NHE …(6)
【0089】テクネチウム,ルテニウムの酸化還元電位
は水が電気分解する電位の範囲内(0〜 1.2V vs.NH
E)であるため、テクネチウム,ルテニウムを陰極に回
収することができる。
【0090】表11に電解によりテクネチウム,ルテニウ
ムを回収した結果を示す。水酸化ナトリウム溶液に、ト
レーサ量のテクネチウム,ルテニウムを添加し、電極間
の電圧を3V一定にして実験を行った。テクネチウム,
ルテニウムの回収率は、陰極表面上に回収されたテクネ
チウム,ルテニウムの放射線を測定することにより求め
た。テクネチウム,ルテニウムとも99%以上回収するこ
とができた。
【0091】
【表11】
【0092】(吸着法の実施例)セシウム,ストロンチ
ウムはゼオライト,ヘキサシアノフェライト,チタン酸
を用いて溶液中から除去できる。表12に塩化ナトリウム
溶液( 0.1M)中からセシウムを回収した結果を示す。
セシウム濃度はトレーサ濃度とし、固液比は 100とし
た。
【0093】表12にゼオライトおよびヘキサシアノフェ
ライトによるセシウム回収率を示す。表12から明らかな
ように、ゼオライトおよびヘキサシアノフェライトを用
いると廃液中から99%以上のセシウムを選択的に回収す
ることが可能である。
【0094】
【表12】
【0095】また、チタン酸を用いて塩化ナトリウム溶
液( 0.1M)中からストロンチウムを回収すると99%以
上のストロンチウムが回収できた。セシウムの回収試験
同様、ストロンチウム濃度はトレーサ濃度とし、固液比
は 100とした。
【0096】(イオン交換法の実施例)電解により除去
できない微量のテクネチウムは、陰イオン交換樹脂によ
り除去できる。強塩基性I型の陰イオン交換樹脂にトレ
ーサ量のテクネチウム(1Bq/ml)を通水すると、
樹脂10ml当たり2000Bqのテクネチウムを吸着するこ
とが可能である。
【0097】(沈殿法の実施例)超ウラン元素は鉄の水
酸化物やランタンのリン酸塩に共沈して溶液中から除去
できる。鉄およびランタンのリン酸塩を10-2Mの濃度に
なるように添加しpHを4以上に保持すると、プルトニ
ウムなどの超ウラン元素は溶液中から99.9%以上回収で
きる。以上のことより、これら放射性同位元素を溶液中
から除去した後、この溶液を系外に放出することが可能
となり、廃棄物の減容が可能となる。
【0098】(実施例12)本実施例は請求項12の発明に
対応するもので、有機物を含む固体廃棄物を水および酸
化物と混合して固体廃棄物を分解した後、その分解液を
固体廃棄物を分解する前記水として再利用(リサイク
ル)するとともに、前記固体廃棄物分解後の固形分をセ
メントにより固化することにある。
【0099】分解液を、固体廃棄物を処理する水に再利
用(リサイクル)できれば資源の有効活用が可能であ
る。実施例1−aを例にとり本実施例のリサイクルプロ
セス図を図8に示す。ナトリウムなどの陽イオン交換樹
脂1を、水2および酸化剤3と混合した後、分解工程4
で反応させ、液相5中に硫酸塩6および酸化物7を、気
相8中に二酸化炭素9を回収する。
【0100】液相5中に存在する硫酸塩の濃度が20wt
%以下であれば、亜臨界条件で析出しないため、リサイ
クルライン12を通して新たに発生した陽イオン交換樹脂
1を分解する水2として再利用(リサイクル)できる。
すなわち、亜臨界処理(温度350℃,圧力30MPa)の
条件で陽イオン交換樹脂1をステンレス鋼製反応容器で
処理すると、 7.8wt%の硫酸ナトリウムが生成する。
【0101】表13に水を繰り返し使用した場合の分解液
中の硫酸ナトリウム濃度を示す。硫酸ナトリウムは20w
t%以上の濃度になると亜臨界条件でも沈殿するため、
水は2回使用することができる。
【0102】原子力発電所で発生した廃液は濃縮した後
固化されるため、水を繰り返し使用できると大幅な廃棄
物の減少につながる。水を2回使用することにより廃棄
物を2分の1にすることができる。陽イオン交換樹脂を
処理すると多量の塩が発生するが、例えば活性炭のよう
に殆ど塩が生成しない廃棄物を処理する場合はさらに水
を繰り返し使用することができる。
【0103】
【表13】
【0104】また、有害成分を含む分解液をセメント固
化すると、有害成分を固定化でき安定に処分することが
できる。実施例1−aを例にとり本実施例のセメント固
化処理プロセス図を図9に示す。セリウムなどの放射性
物質が捕捉された陽イオン交換樹脂1を、水2および酸
化剤3と混合した後、分解工程4で反応させ、液相5中
に硫酸塩6および酸化物7を、気相8中に二酸化炭素9
を回収する。
【0105】液相5中に回収されたセリウムの硫酸塩6
にセメント13を添加し固化処理工程14で処理すると、セ
メント固化体15中はアルカリ性雰囲気であるためセリウ
ムは水酸化物を作って沈殿する。例えば、イオン交換樹
脂を焼却処理すると放射性物質を含む灰分が生成しこれ
を固化することができる。しかし、この灰は空気中を容
易に漂うため固化設備はグローブボックス内で取り扱う
必要がある。
【0106】本実施例によれば、放射性物質を分解液中
にすべて閉じ込めることができるため、比較的簡易なボ
ックス内で固化することができる。そのため設備がコン
パクトにでき、コストを下げることができる。
【0107】また、有害成分を含む分解液をセメント固
化すると、有害成分を固定化でき安定に処分することが
できる。重金属が分解液中に存在する場合を例にとり説
明する。セメント固化体中はアルカリ性雰囲気であるた
め、重金属などが水酸化物を形成して沈殿する。そのた
め、分解液中の重金属をセメント中に閉じ込めることが
可能となる。
【0108】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果がある。 (1) 固体廃棄物中の無機物を析出させることなく短時間
で効率的に分解することができる。したがって、反応容
器を腐食させることがなく、かつ閉塞させることがない
ため、ランニングコストを低減できる。 (2) 無機物の溶解度が高いため、多量の廃棄物を処理で
きる。
【0109】(3) 放射性物質を予め除去できるためハン
ドリングが容易になる。 (4) 高温高圧下で固体廃棄物を酢酸まで分解し、酢酸を
常温常圧下で酸化剤を反応させて分解するため、固体廃
棄物処理装置のランニングコストを低減することができ
る。 (5) 分解液や気体を回収した溶液から有害元素を除去す
るため、廃棄物の減容が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体廃棄物処理方法の実施例1に
おけるプロセス図。
【図2】従来例および本発明の実施例1を分解率と反応
時間との関係で比較して示す特性図。
【図3】本発明における実施例1を説明するための高温
高圧下での水のイオン積を示す特性図。
【図4】本発明の実施例1および実施例2における分解
率と反応時間との関係を比較して示す特性図。
【図5】本発明に係る固体廃棄物処理方法の実施例4に
おけるプロセス図。
【図6】本発明の実施例4におけるPET樹脂の分解結
果を説明するための特性図。
【図7】本発明の実施例4と従来例における分解率と反
応時間との関係を比較して示す特性図。
【図8】本発明の実施例12における水のリサイクルプロ
セス図。
【図9】本発明の実施例12におけるセメント固化プロセ
ス図。
【符号の説明】
1…陽イオン交換樹脂、2…水、3…酸化剤、4…分解
工程、5…液相、6…硫酸塩、7…酸化物、8…気相、
9…二酸化炭素、10…PET(ポリエチレンテレフタレ
ート)、11…前処理工程、12…リサイクルライン、13…
セメント、14…固化処理工程、15…セメント固化体。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機物を含む固体廃棄物を水および酸化
    剤と混合した後、温度 200〜 373℃,圧力10〜30MP
    a、温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通り
    の条件のうち、,の何れかの条件において、5分間
    から4時間保持し、前記固体廃棄物を分解することを特
    徴とする固体廃棄物処理方法。
  2. 【請求項2】 前記有機物を含む固体廃棄物を水および
    酸化剤と混合し分解する前に、あらかじめ前記固体廃棄
    物を水と混合して温度 374〜 600℃,圧力22〜30MPa
    の条件で反応させ高分子を低分子化させることを特徴と
    する請求項1記載の固体廃棄物処理方法。
  3. 【請求項3】 有機物を含む固体廃棄物を水と混合し
    て、温度 374〜 600℃,圧力22〜30MPaの条件で反応
    させた後、固液分離し、固液分離後の固体および液体を
    水および酸化剤と混合させて温度 200〜 373℃,圧力
    10〜30MPa、温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MP
    aの2通りの条件のうち、,の何れかの条件におい
    て一定時間保持し前記固体を分解することを特徴とする
    固体廃棄物処理方法。
  4. 【請求項4】 有機物を含む固体廃棄物を水と混合した
    後、温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、温度 3
    74〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のう
    ち、,の何れかの条件において一定時間反応させた
    後、つぎに酸化剤と混合し、温度 374〜 600℃,圧力22
    〜30MPaの条件で一定時間反応させることを特徴とす
    る固体廃棄物処理方法。
  5. 【請求項5】 有機物を含む固体廃棄物を水と混合した
    後、温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、温度 3
    74〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のう
    ち、,の何れかの条件で一定時間保持して反応させ
    た後、固液分離し、固液分離後の固体および液体を水お
    よび酸化剤と混合し、温度 374〜 600℃,圧力22〜30M
    Paの条件で分解することを特徴とする固体廃棄物処理
    方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化剤は、酸素,空気,オゾン,過
    酸化水素から選ばれた少なくとも一種からなることを特
    徴とする請求項1ないし5記載の固体廃棄物処理方法。
  7. 【請求項7】 前記有機物を含む固体廃棄物を水および
    酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、還元剤を含
    む溶液を添加し、有害成分を還元して溶液中に回収する
    ことを特徴とする請求項1ないし6記載の固体廃棄物処
    理方法。
  8. 【請求項8】 前記有機物を含む固体廃棄物を水および
    酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、アルカリ性
    溶液を添加し、有害成分を溶液中に回収することを特徴
    とする請求項1ないし7記載の固体廃棄物処理方法。
  9. 【請求項9】 前記有機物を含む固体廃棄物を水および
    酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、オゾン,過
    酸化水素,紫外線,放射線から選ばれた少なくとも一種
    を用いて分解液中の有機物を分解することを特徴とする
    請求項1ないし8記載の固体廃棄物処理方法。
  10. 【請求項10】 前記有機物を含む固体廃棄物を水およ
    び酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、酸化剤と
    してオゾンまたは過酸化水素の少なくとも1種を添加し
    た後、紫外線または放射線を照射することを特徴とする
    請求項1ないし9記載の固体廃棄物処理方法。
  11. 【請求項11】 前記有機物を含む固体廃棄物を水およ
    び酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後気液分離
    し、気体を水やアルカリ溶液と接触させて気体中に存在
    する有害物質を溶液中に回収し、気体と接触させた溶液
    および気液分離後の分解液中に存在する有害成分を、沈
    殿法,吸着法,イオン交換法,電解法から選ばれた少な
    くとも一種の方法を用いるか、またはこれらの方法を組
    み合わせることにより液体から分離回収することを特徴
    とする請求項1ないし10記載の固体廃棄物処理方法。
  12. 【請求項12】 前記有機物を含む固体廃棄物を水およ
    び酸化剤と混合して前記固体廃棄物を分解した後、その
    分解液を前記固体廃棄物を分解する前記水として再利用
    するとともに、前記固体廃棄物分解後の固形分をセメン
    トにより固化することを特徴とする請求項1ないし11記
    載の固体廃棄物処理方法。
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