JP3846820B2 - 固体廃棄物処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば発電所、特に原子力発電所などで発生する放射性固体廃棄物の処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機物を含む固体廃棄物の処理は、近年の地球環境問題に対応して重要な課題となっている。一般的に有機廃棄物は焼却処理されるが、ダイオキシン,窒素酸化物等の有害物質が生成するため、その処理方法が課題となっている。
【0003】
近年、有機物を分解する方法として、有機物と水と酸素含有流体を混合し水の臨界点(温度374℃,圧力22MPa)を超える高温高圧下で反応させる方法が知られている[‘超臨界水中における有機物の酸化処理方法’特許第 1551862号(特公平1− 38532号公報参照)]。
超臨界水は液体と気体の中間の性質を持ち、有機物や酸素が非常に良く混合するため酸化反応を短時間で効率的に行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無機物の溶解度が小さくなるため、固体廃棄物中に存在する無機物が反応容器内に析出し、その結果反応容器を閉塞するなどの問題が生じる。例えば、原子力発電所で発生する廃棄物を処理する場合は、析出物が放射性物質であるのでハンドリングが容易でなく、固体廃棄物処理装置の保守点検に多大なコストがかかる。以上のことより、塩を含有した有機物を含む固体廃棄物を、無機物を析出させることなく分解する方法の開発が必要となる。
【0005】
また、超臨界水中では、反応温度および圧力が高いため材料の腐食が問題となる。材料の腐食は水の密度と大きく関係し、水の密度が高いと容器が腐食する。Kriksunov らは酸素濃度一定の条件での塩酸による相対腐食量を (1)式のように定義した。(L.B.Kriksunov :J.Electrochem.Soc,.vol.142[10]p4069〜4073(1995))
log(RT /R0 )=log[mHCl /mHCl 0 ]+2log[ρ/ρ0 ]+(−E/RT+E/RT0 )/2.303 …(1)
RT /R0 :基準温度に対する温度Tでの相対腐食量
mHCl :モル濃度,ρ:密度,R:気体定数,T:温度
【0006】
(1)式によると塩酸濃度および温度が一定の場合、腐食量は水の密度に比例する。圧力が高いと水の密度が増加するため腐食は進行する。以上のことより、有機物を含む固体廃棄物を処理するための反応容器を腐食させることなく分解する方法の開発が必要となる。
【0007】
本発明は上述した従来の技術が有する課題を解決するためになされたもので、固体廃棄物を短時間で効率的に分解し、無機物を析出させることのない、また反応容器を腐食させることのない固体廃棄物処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、有機物を含む固体廃棄物を水と混合して温度 374 〜 600 ℃,圧力 22 〜 30 MPaの超臨界水条件下で反応させて高分子を低分子化させ、その後、酸化剤を混合させ、(i)温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、( ii )温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のうち、(i),( ii )の何れかの亜臨界水条件下において、5分間から4時間保持し、前記固体廃棄物を分解することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、有機物を含む固体廃棄物を水と混合して、温度 374〜 600℃,圧力22〜30MPaの超臨界水条件下で反応させた後、固液分離し、固液分離後の固体および液体を水および酸化剤と混合させて(i)温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、( ii )温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のうち、(i),( ii )の何れかの亜臨界水条件下において一定時間保持し前記固体を分解することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、有機物を含む固体廃棄物を水と混合した後、(i)温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、( ii )温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のうち、(i),( ii )の何れかの亜臨界水条件下において一定時間反応させた後、つぎに酸化剤と混合し、温度 374〜 600℃,圧力22〜30MPaの超臨界水条件下で一定時間反応させることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、有機物を含む固体廃棄物を水と混合した後、(i)温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、( ii )温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のうち、(i),( ii )の何れかの亜臨界水条件下で一定時間保持して反応させた後、固液分離し、固液分離後の固体および液体を水および酸化剤と混合し、温度 374〜 600℃,圧力22〜30MPaの超臨界水条件下で分解することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、前記酸化剤は、酸素,空気,オゾン,過酸化水素から選ばれた少なくとも一種からなることを特徴とする。
請求項6の発明は、前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、還元剤を含む溶液を添加し、有害成分を還元して溶液中に回収することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、アルカリ性溶液を添加し、有害成分を溶液中に回収することを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、オゾン,過酸化水素,紫外線,放射線から選ばれた少なくとも一種を用いて分解液中の有機物を分解することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、オゾンまたは過酸化水素を添加した後、紫外線または放射線を照射することを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、気液分離し、気体を水やアルカリ溶液と接触させて気体中に存在する有害物質を溶液中に回収し、気体と接触させた溶液および気液分離後の分解液中に存在する有害成分を、沈殿法,吸着法,イオン交換法,電解法から選ばれた少なくとも一種の方法を用いることにより液体から分離回収することを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して前記固体廃棄物を分解した後、その分解液を前記固体廃棄物を分解する前記水として再利用するとともに、前記固体廃棄物分解後の固形分をセメントにより固化することを特徴とする。
【0019】
有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合した後、温度 374℃未満または圧力22MPa未満の条件で一定時間保持すると、無機物を析出させることなく、かつ反応容器を腐食させることなく有機物を分解することができる。また、無機物の析出が原因となる反応管の閉塞などを防ぐことができるため、装置のランニングコストを大幅に低減することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施例1−a)
本実施例は請求項1の発明における(i)の条件に対応するもので、(i)は無機物が含有された有機固体廃棄物の処理方法において無機物の析出を防ぐための条件であり、図1に本実施例のプロセス図を示す。有機物を含んだ固体廃棄物として、紙,ウエス,ポリビン,活性炭,イオン交換樹脂などがあるが、スルホン基が導入された強酸性陽イオン交換樹脂を例にとり説明する。
【0021】
図1中、符号1は有機固体廃棄物としての陽イオン交換樹脂で、使用済の陽イオン交換樹脂1はナトリウム,セリウムといった陽イオンを捕捉している。陽イオン交換樹脂1を水2および酸化剤3と混合した後、分解工程4で亜臨界条件(温度 200〜 373℃,圧力10〜21.9MPa)下で反応させ、液相5中に硫酸塩6および酸化物7を、気相8中に二酸化炭素9を回収する。これらの条件では、陽イオン交換樹脂1中の水素は水に、炭素は二酸化炭素に、イオンは硫酸イオンに、捕捉された陽イオンは硫酸塩として回収される。
【0022】
図2に超臨界条件(従来例)および亜臨界条件(本発明)でイオン交換樹脂を分解した結果を示す。イオン交換樹脂としてセリウムを負荷させた陽イオン交換樹脂を用い、この樹脂と水および過酸化水素をステンレス製反応容器に入れて反応させた。反応温度および圧力は、超臨界条件では 400℃,30MPa、亜臨界条件では 350℃,30MPaとした。過酸化水素はイオン交換樹脂1gに対して9g添加した。
【0023】
その結果、イオン交換樹脂の大部分は分解して二酸化炭素となり、一部は有機酸として水中に溶解した。超臨界条件(従来例)および亜臨界条件(本発明)を比較すると、従来例では分解する速度が速い。樹脂の99%が分解する時間は、従来例が40分間、本発明の実施例が80分間となり、従来例では2倍の速度でイオン交換樹脂を処理できる。
【0024】
しかしながら、従来例ではイオン交換樹脂に捕捉された陽イオン(セリウム)が反応容器中に塩として析出するのが確認された。塩の析出はイオン交換樹脂を大量に連続的に処理する場合には、反応容器を閉塞するなどの問題が生じる。これを回避するため、超臨界条件で析出しないように処理量を減少させる必要がある。
【0025】
表1に超臨界条件(従来例)および亜臨界条件(本発明の実施例)下での塩化ナトリウムの溶解度を示す。亜臨界条件下での溶解度は超臨界条件下の溶解度に比べて約2000倍高い溶解度を有している。使用済のイオン交換樹脂の分解により生成するセリウムなどの硫酸塩の溶解度が、塩化ナトリウムと同じであると仮定すると、硫酸塩が超臨界条件下で析出する。
【0026】
例えば、析出しない条件でイオン交換樹脂の分解を試みると、亜臨界条件(本発明)では超臨界条件(従来例)に比べると2000倍以上のイオン交換樹脂を処理できると考えられる。
【0027】
【表1】
【0028】
そのため、処理時間と処理量を考慮すると、単位時間当たりのイオン交換樹脂の処理量は本発明の実施例では従来例に比べて約1000倍となる。
また、温度と圧力の条件は 200〜 373℃,10〜30MPaとした。図3に高温高圧下での水のイオン積を示す。圧力34.5MPaを例にとると、 200〜 373℃の温度範囲でイオン積は10-12 と室温の値10-14 に比べて 100倍の高い値を示す。そのため、塩の溶解度はこの範囲で高くなり、無機塩の析出を防ぐことが可能である。また、圧力13.8MPaでは 200〜 300℃の範囲で水のイオン積は10-12 の値を示し、圧力が低下すると温度範囲が小さくなる傾向がある。
【0029】
以上のことより温度および圧力の範囲として温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPaで反応を行うと無機物を析出させることなく有機物を分解できる。以上のことより、本発明の実施例1−aによれば、無機物の析出を防ぐことができ、かつ多量の廃棄物を処理できるため、装置の建設費やランニングコストを大幅に低減することができる。
【0030】
(実施例1−b)
本実施例は請求項1の発明における( ii )の条件に対応するもので、( ii )は無機物が殆ど含まれていない有機廃棄物で、分解反応が加水分解反応が主ではなく、熱分解反応が主な有機固体廃棄物の処理方法に関するもので、腐食環境を緩和する条件である。
【0031】
すなわち、本実施例において、イオン交換樹脂のほかに塩を含まない廃棄物、例えば活性炭などを処理する場合は、温度と圧力の条件を 374〜 600℃,10〜21.9MPaに選択すると、反応容器を腐食することなく有機物を分解することができる。 (1)式によれば、水の密度が高いと腐食が進行することがわかる。温度が一定の場合、圧力が増加すると水の密度は増加する。表2に水の密度に及ぼす圧力の影響(温度 400℃)について示す。臨界圧(22MPa)を超えると密度が急激に増加することがわかる。
【0032】
【表2】
【0033】
(1)式により塩酸濃度および温度が一定の場合、腐食量は (1-1)式のように表わされる。
log(Rp /R0 )=2log[ρp/ρ0 ] …(1)
Rp /R0 :基準圧力に対する圧力Pでの相対腐食量,ρ:密度
【0034】
表3に活性炭を分解した場合の分解率と、反応容器から回収された鉄腐食量の結果を示す。温度は 400℃とし、過酸化水素は活性炭1g当たり34g添加し、反応時間30分として圧力を変化させた。圧力10MPaでは90%以上の活性炭を分解できるが10MPa以下では活性炭の分解率は低下した。また、10MPaの腐食量を1とした場合、圧力の増加とともに腐食量が増大し、特に超臨界領域の30MPaでは90倍となった。以上のことより圧力を10〜21.9MPaにすることにより腐食量を大幅に抑えることができることがわかった。また、温度を増加させると反応速度が増大し、より短時間で分解することが可能であるが、通常使用されているインコネルなどの耐食性容器が 600℃を過ぎると著しく強度が低下するため、温度は 374〜 600℃とした。
【0035】
以上のことより塩を含まない廃棄物を、温度圧力条件を 374〜 600℃,10〜21.9MPaで分解すると反応容器を腐食することなく有機物を分解することができる。これらの材料の腐食を低減させることができるため、装置の建設費やランニングコストを大幅に低減することができる。
【0036】
【表3】
【0037】
以上のことより、塩を含む廃棄物を温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPaで処理することにより無機物の析出を防ぐことが可能であり、塩を含まない廃棄物を温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaで処理することにより、反応容器材料の腐食を防ぐことが可能である。これらにより、固体廃棄物処理装置の建設費やランニングコストを大幅に低減することが可能である。
【0038】
(実施例2)
本実施例も請求項1の発明に対応するものである。
実施例1−a,bで固体廃棄物を酸化剤と混合して分解する前に、固体廃棄物を水と混合して超臨界水条件下で反応させると、有機物内に存在する結合エネルギーの小さい結合を選択的に加水分解することができる。これらの処理を行うと、高分子の有機物を低分子の有機物に変換することができる。固体廃棄物を水と混合した後、酸化剤を添加し亜臨界水条件下で反応させると、有機物が低分子であるため酸素と反応する速度が速く、短時間で有機物を分解することが可能になる。
【0039】
固体廃棄物を超臨界水と混合する条件は、温度 374〜 600℃,圧力22〜30MPaとした。温度を増大させると反応速度が増加し、圧力を増加させると単位面積当たりの水の量が増加するため、有機物を加水分解し易くなる。しかし、原子炉等の構造材料として用いるインコネルの強度が 600℃を超えると著しく低下するため、反応温度は 600℃以下にする必要がある。また、圧力が増加すると、肉厚の容器を製作する必要があるため、臨界点より若干高い30MPaとした。
【0040】
図4に亜臨界条件での酸化処理(実施例1)および超臨界処理+酸化処理(本実施例2)でイオン交換樹脂を分解した結果を示す。イオン交換樹脂として陽イオン交換樹脂を用い、この樹脂と水をステンレス鋼製反応容器に入れて反応させた。
【0041】
酸化処理(実施例1−a)は、反応温度 350℃,圧力30MPaとし、過酸化水素はイオン交換樹脂1gに対して9g添加した。また、超臨界処理+酸化処理(本実施例2)は、超臨界処理は 400℃,圧力30MPa、反応時間は2分とし、酸化処理は実施例1−aと同じ、反応温度は 350℃,圧力30MPa、過酸化水素は樹脂1gに対して9g添加した。
【0042】
超臨界処理を行うと、酸化処理を行う場合に比べて短時間で樹脂が分解した。亜臨界条件での酸化処理(実施例1−a)および超臨界処理+酸化処理(本実施例2)でイオン交換樹脂の99%が分解する時間は、実施例1−aで80分間、本実施例2が60分間となり、実施例2では約 1.3倍の速度でイオン交換樹脂を処理することができる。
【0043】
(実施例3)
本実施例は請求項2の発明に対応するものである。
実施例1−a,bおよび2で固体廃棄物を酸化剤と混合して分解する前に固体廃棄物を水と混合して超臨界水条件下で反応させた後、固液分離し、分離した固体および液体を酸化剤を添加して反応させると、固体廃棄物を効果的に分解することができる。
【0044】
表4に陽イオン交換樹脂を超臨界水で処理した後、分解液中の硫酸イオン濃度を測定した結果を示す。イオン交換樹脂と水をステンレス鋼製容器に入れて、反応温度 400℃,圧力30MPaで2分間反応させた。イオン交換樹脂1gから生成すると考えられる硫酸イオンは23gであるが、分解液中にはこのすべてが回収され、イオン交換基が選択的に脱落して硫酸イオンとなることがわかった。
【0045】
原子力発電所で発生する使用済のイオン交換樹脂では多くの放射性物質が陽イオンとしてイオン交換樹脂に付着している。そのため、放射能は硫酸塩の形態で、イオン交換樹脂から除去される。常温常圧下の水中には、ナトリウム,鉄,コバルトといったアルカリ土類金属以外の硫酸塩が水に溶解して存在する。
【0046】
そのため、実施例2で有機物を含んだ固体廃棄物を水と混合して超臨界条件で反応させた後、固液分離すると、有機物を含んだ固体廃棄物から大部分の放射能を除去でき、液側に回収することが可能である。放射能の大部分を除去した固体廃棄物を酸化剤と混合して亜臨界条件下で分解すると放射能の量が低いのでハンドリングが大変容易になる。
【0047】
【表4】
【0048】
また、実施例2で有機物を含んだ固体廃棄物を水と混合して超臨界条件で反応させた後、固液分離し、大部分の放射能を含んだ溶液を酸化剤と混合して分解すると溶液中の有機物を完全に分解でき処分が容易となる。放射性廃棄物を含む液体をセメントなどで固化する場合、溶液中に少量の有機物が存在すると、放射性物質が有機物と錯体を形成して環境中に移行する恐れがある。そのため、有機物と硫酸塩を含んだ液体と酸化剤を混合し亜臨界条件下で処理すると、硫酸塩が析出することなく有機物を分解し、処分が容易となる。
【0049】
(実施例4)
本実施例は請求項3の発明に対応するもので、図5に本実施例のプロセス図を示す。有機物を含んだ固体廃棄物としてPET(ポリエチレンテレフタート)樹脂を例にとり説明する。
【0050】
PET10を水2と混合した後、前処理工程11で亜臨界条件下で反応させた後、酸化剤3を添加し、分解工程4で超臨界条件下で一定時間反応させ、液相5中に硫酸塩6および酸化物7を、気相8中に二酸化炭素9を回収する。これらの条件では、PET10中の水素は水に、炭素は二酸化炭素9に変換される。前処理工程11中でPET10は加水分解し、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとなる。
【0051】
図6にPET樹脂を分解した結果を示す。PET樹脂と水をステンレス鋼製容器に入れ、25MPaで反応させた。テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールの回収率は 300℃で極大を持つことがわかった。図3に高温高圧下での水のイオン積を示す。亜臨界条件下では水のイオン積は最大となり、加水分解反応が主体的に起こると考えられる。
【0052】
図7に超臨界条件での酸化処理(従来例)および亜臨界処理+酸化処理(本実施例4)を示す。図7はテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールの混合物を分解した結果である。PET樹脂と水をステンレス鋼製容器に入れて反応させた。酸化処理(従来例)は、反応温度 400℃,圧力30MPaとし、過酸化水素はPET樹脂1gに対して9g添加した。
【0053】
一方、亜臨界処理+酸化処理(本実施例)における亜臨界処理は 350℃,圧力30MPa、反応時間は2分間とし、酸化処理は従来例と同じ、反応温度 400℃,圧力30MPa、過酸化水素はPET樹脂1gに対して9g添加した。亜臨界処理を行うと、酸化処理を行う場合に比べて短時間でPET樹脂が分解した。
【0054】
(実施例5)
本実施例は請求項4の発明に対応するもので、実施例4において、固体廃棄物を酸化剤と混合して分解する前に、固体廃棄物を水と混合して亜臨界条件下で反応させた後、固液分離し、この固体および液体に酸化剤を添加して超臨界条件下で反応させると、固体廃棄物を効果的に分解することができる。
【0055】
PETが放射性物質で汚染されている場合は、固体廃棄物を水と混合して亜臨界水条件下で反応させ固液分離すると、固体中から大部分の放射性物質を除去でき、放射性物質を液中に回収できる。大部分の放射能を除去した後、固体と酸化剤と混ぜて超臨界条件下で分解すると、放射能の量が低いのでハンドリングが容易になる。
【0056】
また、大部分の放射性物質を回収した液体に酸化剤を添加し超臨界条件下で分解すると、液中の有機物を完全に分解できるため、セメントで固化することが可能である。液中に微量に有機物が残存すると、有機物が放射性物質と錯体を形成して環境中に移行する恐れがあるが、有機物が完全に分解できるため処分が容易になる。
【0057】
(実施例6)
本実施例は請求項5の発明に対応するもので、実施例1−a,bから5において、酸化剤は酸素,空気,オゾンおよび過酸化水素を用いると、固体廃棄物を酸化して分解することができる。
【0058】
表5に酸化剤として空気,酸素,過酸化水素およびオゾンを用い、陽イオン交換樹脂を分解した結果を示す。酸化剤1molから発生する酸素の量は表6に示す量とし、各酸化剤より発生する酸素の量を一定( 0.6mol)にして実験を行った。陽イオン交換樹脂と水をステンレス鋼製容器に入れ、反応温度 400℃,圧力30MPa,12分反応させた。各酸化剤から発生する酸素の量が 0.6molになるように酸化剤を添加した。
【0059】
表5に示すように、陽イオン交換樹脂の分解率は酸化剤の種類によらず、発生する酸素の量を一定にすると分解率は80%程度の一定の値を示すことがわかった。これは、高温高圧下では過酸化水素,オゾンは安定に存在せず自己分解して酸素を生成し、その酸素が分解に関与しているためと考えられる。以上のことより、酸化剤として酸素,空気,オゾンおよび過酸化水素を用いると固体廃棄物を酸化して分解することができる。
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
(実施例7)
本実施例は請求項6の発明に対応するもので、実施例1−a,bから6において、固体廃棄物を酸化剤と混合して分解した後、還元剤を含む溶液を添加し、有害成分を還元して溶液中に回収できれば、装置の建設費が大幅に軽減できる。
【0063】
例えば、原子力発電所で発生する廃棄物にはテクネチウムなどが含まれている。テクネチウムは酸化性の雰囲気で、七酸化二テクネチウム,過テクネチウム酸( VII価)を生成して気相中に移行する。固体廃棄物に水と酸化剤を添加して高温高圧下で反応させると、テクネチウムは七酸化二テクネチウム,過テクネチウム酸( VII価)となり、水が存在すると(2-1) (2-2) 式に示すような気液平衡が存在する。
【0064】
さらに、水中でのテクネチウムは(2-3) 式に示すように解離し、イオンの形態で存在する。反応終了後、常温常圧下にして気相と液相を分離すると、テクネチウムの大部分は気相に移行するため、排ガス処理装置でテクネチウムを回収する必要がある。
【0065】
しかし、反応終了後、還元剤を添加してテクネチウムの形態を七酸化二テクネチウム,過テクネチウム酸( VII価)から酸化テクネチウム(IV価)にすると液相中にテクネチウムを回収でき、排ガス処理設備が不要になる。
【0066】
Tc2 O7 (g)+H2 O=HTcO4 (g) …(2-1)
HTcO4 (g)=HTcO4 (l) …(2-2)
HTcO4 (l)=TcO4 - +H+ …(2-3)
【0067】
表7に添加剤として硫酸第一鉄(還元剤)および硫酸第二鉄を使用した場合のテクネチウムの沈殿率を示す。実験は、トレーサ量のテクネチウムを含む廃液 100mlに、硫酸塩を10-3mol添加し、pHを4にして1時間反応させることにより行った。
【0068】
廃液に硫酸第一鉄を添加すると溶液中でFe2+イオンを生成し、このFe2+イオンは溶液中のTcO4 - イオン( VII価)をTcO2 (IV価)に還元してFe3+イオンを生成する。Fe3+はpH4以上で水酸化物を生成して沈殿する。そのため、この沈殿にTcO2 (IV価)が共沈し、溶液からテクネチウムを回収することができる。
【0069】
【表7】
【0070】
(実施例8)
本実施例は請求項7に対応するもので、実施例1−a,bから7において、固体廃棄物を酸化剤と混合して分解した後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、有害成分を溶液中に回収できれば、装置の建設費が大幅に軽減できる。例えば、原子力発電所で発生する固体廃棄物にはテクネチウムなどが含まれている。
【0071】
テクネチウムは酸化性の雰囲気で、七酸化二テクネチウム,過テクネチウム酸( VII価)を生成して、気相中に移行する。固体廃棄物に水と酸化剤を添加して高温高圧下で反応させると、テクネチウムは七酸化二テクネチウム,過テクネチウム酸となる。
【0072】
反応終了後、常温常圧下にして気相と液相を分離すると、テクネチウムの大部分は気相に移行するため、排ガス処理装置でテクネチウムを回収する必要がある。しかし、反応終了後、水酸化ナトリウム溶液を添加すると (3)式に示すようにテクネチウムを気相中から液相中に回収できる。テクネチウムの大部分を液相に回収できるため、排ガス処理設備がコンパクトになる。
【0073】
Tc2 O7 +2NaOH→2NaTcO4 +H2 O …(3)
表8に水酸化ナトリウム溶液を用いガス状のテクネチウムを回収した結果を示す。実験はトレーサ量のガス状のテクネチウムを含んだガスを、水および水酸化ナトリウム溶液( 0.1M)1000mlに導入し、入口および出口のテクネチウム濃度を測定することにより行った。水酸化ナトリウム溶液を用いると、99%のテクネチウムを回収できることがわかった。
【0074】
【表8】
【0075】
(実施例9)
本実施例は請求項8の発明に対応するもので、実施例1−a,bから8で固体廃棄物を酸化剤と混合して分解した後、分解液にオゾン,過酸化水素を添加したり、紫外線または放射線を照射すると、分解液中に微量に残っている有機物を完全に分解できる。
【0076】
超臨界条件および亜臨界条件の高温高圧下での酸化剤を添加して有機物を分解する場合、有機物は最終的に酢酸などが分解液中に残存する。酢酸の分解反応は他の有機物と比べて遅いため酢酸を完全に分解するためには、長時間反応させる必要がある。
【0077】
しかし、高温高圧下の水は活性が高く、反応容器を構成している材料が腐食することが懸念される。そのため、高温高圧下で固体廃棄物処理装置を運転する時間が短ければ、腐食量が減少し、固体廃棄物処理装置の使用期間を大幅に増加することができる。
【0078】
表9に酸化剤として、オゾン,過酸化水素,紫外線,放射線を用いて酢酸を分解した結果を示す。オゾンおよび過酸化水素は酢酸1molに対して2mol添加し、20分反応させた。各酸化剤とも20%程度の分解率を示した。分解率は反応時間の増加とともに増加する傾向があるため、より長時間反応させると完全に分解できると考えられる。
【0079】
【表9】
【0080】
以上のことより、高温高圧下での固体廃棄物を分解した後、分解液中に残存する有機物を、オゾン,過酸化水素,紫外線または放射線などにより分解することにより、有機物を完全に分解しかつ反応装置のランニングコストを大幅に低減できる。
【0081】
(実施例10)
本実施例は請求項9の発明に対応するもので、実施例9において、有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して分解した後、その分解液にオゾンまたは過酸化水素の酸化剤を添加した後、紫外線または放射線を照射すると、分解液中に微量に残っている有機物を完全に分解することができる。
【0082】
酸化剤として過酸化水素を例にとり説明する。過酸化水素が有機物と反応する場合、まず過酸化水素がOHラジカルを生成し有機物を分解する。過酸化水素に紫外線を照射すると、 (4)式に示すようにOHラジカルが加速度的に生成して有機物を分解する。
H2 O2 +hv→2OH・ …(4)
【0083】
表10にオゾンおよび過酸化水素を添加した後、紫外線(放射線)のみの場合と、オゾンおよび紫外線(放射線)の場合と、過酸化水素および紫外線(放射線)の場合の照射結果を示す。
【0084】
オゾンおよび過酸化水素は酢酸1molに対して2mol添加し、20分間反応させた。オゾンおよび紫外線単独よりも多くの酢酸が分解する。そのため、分解液にオゾン,過酸化水素を添加した後、紫外線および放射線を照射すると、分解液中に微量に残っている有機物を短時間に完全に分解できる。
【0085】
【表10】
【0086】
(実施例11)
本実施例は請求項10の発明に対応するもので、実施例1−a,bから10において、固体廃棄物を酸化剤と混合して分解した後、気液分離し、気体を水やアルカリ溶液と接触させて気体中に存在する有害物質を溶液中に回収し、気体と接触させた溶液および気液分離後の液体中に存在する有害成分を、沈殿法,吸着法,イオン交換法,電解法を用いることにより液体から分離回収すると、溶液を無害化し系外に放出できる。
【0087】
原子力発電所で発生する固体廃棄物中には、テクネチウムやルテニウムといった揮発性の放射性物質が含まれている。これら放射性物質は固体廃棄物を分解した後気相中に移行し、水と接触することにより水溶液中に回収できる。また、この溶液中には、テクネチウムやルテニウムなどの揮発性の放射性物質の他に、セシウム,ストロンチウム,超ウラン元素などが飛沫同伴によって移行する可能性がある。
一方、固体廃棄物を分解した後の分解液中には、微量のテクネチウム,ルテニウムと、セシウム,ストロンチウム,超ウラン元素が多量に含まれている。
【0088】
(電解法の実施例)
テクネチウム,ルテニウムの酸化還元電位を (5), (6)式に示す。
Tc2++2e- →Tc(s) 0.4V VS.NHE …(5)
Ru2++2e- →Ru(s) 0.46V VS.NHE …(6)
【0089】
テクネチウム,ルテニウムの酸化還元電位は水が電気分解する電位の範囲内(0〜 1.2V vs.NHE)であるため、テクネチウム,ルテニウムを陰極に回収することができる。
【0090】
表11に電解によりテクネチウム,ルテニウムを回収した結果を示す。水酸化ナトリウム溶液に、トレーサ量のテクネチウム,ルテニウムを添加し、電極間の電圧を3V一定にして実験を行った。テクネチウム,ルテニウムの回収率は、陰極表面上に回収されたテクネチウム,ルテニウムの放射線を測定することにより求めた。テクネチウム,ルテニウムとも99%以上回収することができた。
【0091】
【表11】
【0092】
(吸着法の実施例)
セシウム,ストロンチウムはゼオライト,ヘキサシアノフェライト,チタン酸を用いて溶液中から除去できる。表12に塩化ナトリウム溶液( 0.1M)中からセシウムを回収した結果を示す。セシウム濃度はトレーサ濃度とし、固液比は 100とした。
【0093】
表12にゼオライトおよびヘキサシアノフェライトによるセシウム回収率を示す。表12から明らかなように、ゼオライトおよびヘキサシアノフェライトを用いると廃液中から99%以上のセシウムを選択的に回収することが可能である。
【0094】
【表12】
【0095】
また、チタン酸を用いて塩化ナトリウム溶液( 0.1M)中からストロンチウムを回収すると99%以上のストロンチウムが回収できた。セシウムの回収試験同様、ストロンチウム濃度はトレーサ濃度とし、固液比は 100とした。
【0096】
(イオン交換法の実施例)
電解により除去できない微量のテクネチウムは、陰イオン交換樹脂により除去できる。強塩基性I型の陰イオン交換樹脂にトレーサ量のテクネチウム(1Bq/ml)を通水すると、樹脂10ml当たり2000Bqのテクネチウムを吸着することが可能である。
【0097】
(沈殿法の実施例)
超ウラン元素は鉄の水酸化物やランタンのリン酸塩に共沈して溶液中から除去できる。鉄およびランタンのリン酸塩を10-2Mの濃度になるように添加しpHを4以上に保持すると、プルトニウムなどの超ウラン元素は溶液中から99.9%以上回収できる。
以上のことより、これら放射性同位元素を溶液中から除去した後、この溶液を系外に放出することが可能となり、廃棄物の減容が可能となる。
【0098】
(実施例12)
本実施例は請求項11の発明に対応するもので、有機物を含む固体廃棄物を水および酸化物と混合して固体廃棄物を分解した後、その分解液を固体廃棄物を分解する前記水として再利用(リサイクル)するとともに、前記固体廃棄物分解後の固形分をセメントにより固化することにある。
【0099】
分解液を、固体廃棄物を処理する水に再利用(リサイクル)できれば資源の有効活用が可能である。実施例1−aを例にとり本実施例のリサイクルプロセス図を図8に示す。ナトリウムなどの陽イオン交換樹脂1を、水2および酸化剤3と混合した後、分解工程4で反応させ、液相5中に硫酸塩6および酸化物7を、気相8中に二酸化炭素9を回収する。
【0100】
液相5中に存在する硫酸塩の濃度が20wt%以下であれば、亜臨界条件で析出しないため、リサイクルライン12を通して新たに発生した陽イオン交換樹脂1を分解する水2として再利用(リサイクル)できる。すなわち、亜臨界処理(温度 350℃,圧力30MPa)の条件で陽イオン交換樹脂1をステンレス鋼製反応容器で処理すると、 7.8wt%の硫酸ナトリウムが生成する。
【0101】
表13に水を繰り返し使用した場合の分解液中の硫酸ナトリウム濃度を示す。硫酸ナトリウムは20wt%以上の濃度になると亜臨界条件でも沈殿するため、水は2回使用することができる。
【0102】
原子力発電所で発生した廃液は濃縮した後固化されるため、水を繰り返し使用できると大幅な廃棄物の減少につながる。水を2回使用することにより廃棄物を2分の1にすることができる。陽イオン交換樹脂を処理すると多量の塩が発生するが、例えば活性炭のように殆ど塩が生成しない廃棄物を処理する場合はさらに水を繰り返し使用することができる。
【0103】
【表13】
【0104】
また、有害成分を含む分解液をセメント固化すると、有害成分を固定化でき安定に処分することができる。実施例1−aを例にとり本実施例のセメント固化処理プロセス図を図9に示す。セリウムなどの放射性物質が捕捉された陽イオン交換樹脂1を、水2および酸化剤3と混合した後、分解工程4で反応させ、液相5中に硫酸塩6および酸化物7を、気相8中に二酸化炭素9を回収する。
【0105】
液相5中に回収されたセリウムの硫酸塩6にセメント13を添加し固化処理工程14で処理すると、セメント固化体15中はアルカリ性雰囲気であるためセリウムは水酸化物を作って沈殿する。例えば、イオン交換樹脂を焼却処理すると放射性物質を含む灰分が生成しこれを固化することができる。しかし、この灰は空気中を容易に漂うため固化設備はグローブボックス内で取り扱う必要がある。
【0106】
本実施例によれば、放射性物質を分解液中にすべて閉じ込めることができるため、比較的簡易なボックス内で固化することができる。そのため設備がコンパクトにでき、コストを下げることができる。
【0107】
また、有害成分を含む分解液をセメント固化すると、有害成分を固定化でき安定に処分することができる。重金属が分解液中に存在する場合を例にとり説明する。セメント固化体中はアルカリ性雰囲気であるため、重金属などが水酸化物を形成して沈殿する。そのため、分解液中の重金属をセメント中に閉じ込めることが可能となる。
【0108】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果がある。
(1) 固体廃棄物中の無機物を析出させることなく短時間で効率的に分解することができる。したがって、反応容器を腐食させることがなく、かつ閉塞させることがないため、ランニングコストを低減できる。
(2) 無機物の溶解度が高いため、多量の廃棄物を処理できる。
【0109】
(3) 放射性物質を予め除去できるためハンドリングが容易になる。
(4) 高温高圧下で固体廃棄物を酢酸まで分解し、酢酸を常温常圧下で酸化剤を反応させて分解するため、固体廃棄物処理装置のランニングコストを低減することができる。
(5) 分解液や気体を回収した溶液から有害元素を除去するため、廃棄物の減容が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体廃棄物処理方法の実施例1におけるプロセス図。
【図2】従来例および本発明の実施例1を分解率と反応時間との関係で比較して示す特性図。
【図3】本発明における実施例1を説明するための高温高圧下での水のイオン積を示す特性図。
【図4】本発明の実施例1および実施例2における分解率と反応時間との関係を比較して示す特性図。
【図5】本発明に係る固体廃棄物処理方法の実施例4におけるプロセス図。
【図6】本発明の実施例4におけるPET樹脂の分解結果を説明するための特性図。
【図7】本発明の実施例4と従来例における分解率と反応時間との関係を比較して示す特性図。
【図8】本発明の実施例12における水のリサイクルプロセス図。
【図9】本発明の実施例12におけるセメント固化プロセス図。
【符号の説明】
1…陽イオン交換樹脂、2…水、3…酸化剤、4…分解工程、5…液相、6…硫酸塩、7…酸化物、8…気相、9…二酸化炭素、10…PET(ポリエチレンテレフタレート)、11…前処理工程、12…リサイクルライン、13…セメント、14…固化処理工程、15…セメント固化体。
Claims (11)
- 有機物を含む固体廃棄物を水と混合して温度 374 〜 600 ℃,圧力 22 〜 30 MPaの超臨界水条件下で反応させて高分子を低分子化させ、その後、酸化剤を混合させ、
(i)温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、( ii )温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のうち、(i),( ii )の何れかの亜臨界水条件下において、5分間から4時間保持し、前記固体廃棄物を分解することを特徴とする固体廃棄物処理方法。 - 有機物を含む固体廃棄物を水と混合して、温度 374〜 600℃,圧力22〜30MPaの超臨界水条件下で反応させた後、固液分離し、固液分離後の固体および液体を水および酸化剤と混合させて(i)温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、( ii )温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のうち(i)、( ii )の何れかの亜臨界水条件下において一定時間保持し前記固体を分解することを特徴とする固体廃棄物処理方法。
- 有機物を含む固体廃棄物を水と混合した後、(i)温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、( ii )温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のうち、(i),( ii )の何れかの亜臨界水条件下において一定時間反応させた後、つぎに酸化剤と混合し、温度 374〜 600℃,圧力22〜30MPaの超臨界水条件下で一定時間反応させることを特徴とする固体廃棄物処理方法。
- 有機物を含む固体廃棄物を水と混合した後、(i)温度 200〜 373℃,圧力10〜30MPa、( ii )温度 374〜 600℃,圧力10〜21.9MPaの2通りの条件のうち、(i),( ii )の何れかの亜臨界水条件下で一定時間保持して反応させた後、固液分離し、固液分離後の固体および液体を水および酸化剤と混合し、温度 374〜 600℃,圧力22〜30MPaの超臨界水条件下で分解することを特徴とする固体廃棄物処理方法。
- 前記酸化剤は、酸素,空気,オゾン,過酸化水素から選ばれた少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1ないし4記載の固体廃棄物処理方法。
- 前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、還元剤を含む溶液を添加し、有害成分を還元して溶液中に回収することを特徴とする請求項1ないし5記載の固体廃棄物処理方法。
- 前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、アルカリ性溶液を添加し、有害成分を溶液中に回収することを特徴とする請求項1ないし6記載の固体廃棄物処理方法。
- 前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、オゾン,過酸化水素,紫外線,放射線から選ばれた少なくとも一種を用いて分解液中の有機物を分解することを特徴とする請求項1ないし7記載の固体廃棄物処理方法。
- 前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後、酸化剤としてオゾンまたは過酸化水素の少なくとも1種を添加した後、紫外線または放射線を照射することを特徴とする請求項1ないし8記載の固体廃棄物処理方法。
- 前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して固体廃棄物を分解した後気液分離し、気体を水やアルカリ溶液と接触させて気体中に存在する有害物質を溶液中に回収し、気体と接触させた溶液および気液分離後の分解液中に存在する有害成分を、沈殿法,吸着法,イオン交換法,電解法から選ばれた少なくとも一種の方法を用いるか、またはこれらの方法を組み合わせることにより液体から分離回収することを特徴とする請求項1ないし9記載の固体廃棄物処理方法。
- 前記有機物を含む固体廃棄物を水および酸化剤と混合して前記固体廃棄物を分解した後、その分解液を前記固体廃棄物を分解する前記水として再利用するとともに、前記固体廃棄物分解後の固形分をセメントにより固化することを特徴とする請求項1ないし10記載の固体廃棄物処理方法。
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