JPH11231097A - 化学除染方法 - Google Patents

化学除染方法

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JPH11231097A
JPH11231097A JP3440598A JP3440598A JPH11231097A JP H11231097 A JPH11231097 A JP H11231097A JP 3440598 A JP3440598 A JP 3440598A JP 3440598 A JP3440598 A JP 3440598A JP H11231097 A JPH11231097 A JP H11231097A
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peroxodisulfate
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正見 遠田
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次郎 櫻井
Yumi Yaita
由美 矢板
Hitoshi Sakai
仁志 酒井
Satoru Tairagi
哲 平良木
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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】除染性能の向上,容易な二次廃棄物の処理およ
び二次廃棄物の発生が少ない化学除染方法を提供する。 【解決手段】酸化皮膜を還元と酸化の組み合わせで溶解
する化学除染方法において、還元剤としてシュウ酸の有
機酸を、酸化剤としてペルオクソ二硫酸を使用する。 還元:Fe2 3 +(COOH)2 +4H+ →2Fe2++2
CO2 +3H2 0 酸化:Cr2 3 +3S2 8 2-+4H2 O→Cr2 7 2-
+6SO4 2-+8H+ ペルオクソ二硫酸の水溶液はペルオクソ二硫酸塩の水溶
液を生成し、ペルオクソ二硫酸の酸化力により除染対象
物表面の放射性核種を含む酸化皮膜を酸化溶解する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電施設に
設置された配管や機器に付着した放射性物質を含む金属
酸化物を化学的に除染するための化学除染方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】原子力発電施設に設置された配管,機器
系は、その運転に伴って放射性物質を含む酸化皮膜が配
管や機器等の内面に付着または生成する。そのために配
管や機器の周囲は放射線量が高まり、定期点検作業時の
放射線被ばく線量が増加することにより問題が生じてい
る。
【0003】その除去対策として、一部では化学除染を
実施することでかなりの効果を上げている。化学除染の
方法は種々提示されている。例えば、硝酸と過マンガン
酸カリウムの混合水溶液により酸化皮膜を酸化溶解し、
ついでバナジウムの二価イオンと有機酸の混合溶液によ
り酸化皮膜を還元溶解する方法がある。この方法は、ク
ロム酸化物の含有率が高い酸化皮膜を溶解する場合に
は、有効である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記除
染方法は除染剤である硝酸,マンガン,カリウムおよび
バナジウムが除染終了後に二次廃棄物となるため、原子
力施設の配管機器系を除染した場合には大量の二次廃棄
物が発生する課題があった。
【0005】また、例えば特開平6− 99193号公報には
原子力発電プラントの配管,機器のクラッドを溶解除去
する化学除染方法において、過硫酸および過硫酸塩を用
いた洗浄液で酸化溶解処理を行い、その後洗浄廃液にア
スコルビン酸,エリソルビン酸,シュウ酸等の還元剤を
加えて還元溶解する方法が記載されている。
【0006】この公報では、過硫酸および過硫酸塩を使
用しているが、過硫酸についての製造方法は開示されて
いない。また、過硫酸は市販されていない。原子力発電
プラントの配管や機器系統などのクラッドを溶解除去す
るには化学除染の除染剤を大量に必要とする。そのた
め、この過硫酸を何らかの方法で容易に大量生産し得る
技術が課題となる。
【0007】本願発明者らは上記課題を解決するため
に、鋭意研究の結果、過硫酸をペルオクソ二硫酸塩(以
下、過硫酸塩と記す)から容易に大量に製造し得る方法
を見出した。
【0008】また、本願発明者らは上記方法から大量に
得られた過硫酸水溶液を除染剤として原子力発電所の水
質条件を模擬した水質環境で酸化皮膜を付与した試験片
の溶解試験を行い、その有効性を確認するとともに、過
硫酸を除染剤とするその製造方法,その除染剤を使用し
た除染方法および除染廃液の処理方法を確立した。
【0009】本発明は上記各々の課題を解決するために
なされたもので、除染剤としての過硫酸水溶液を大量生
産でき、かつ除染終了後の除染廃液の処理が容易で、し
かも二次廃棄物の発生量が少ない化学除染方法を提供す
ることを目的とする。さらに、現状の除染方法よりも除
染効果が高く、除染作業時に被ばくを低減可能な化学除
染方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に対応する発明
は、ペルオクソ二硫酸塩の水溶液からペルオクソ二硫酸
の水溶液を生成し、前記ペルオクソ二硫酸の酸化力によ
り除染対象物表面の放射性核種を含む酸化被膜を酸化溶
解する化学除染方法において、前記ペルオクソ二硫酸は
陽イオン交換樹脂の水素イオンとペルオクソ二硫酸塩の
塩との交換反応により生成されたものからなることを特
徴とする。
【0011】請求項2に対応する発明は、ペルオクソ二
硫酸塩の水溶液からペルオクソ二硫酸の水溶液を生成
し、前記ペルオクソ二硫酸の酸化力により除染対象物表
面の放射性核種を含む酸化被膜を酸化溶解する化学除染
方法において、前記ペルオクソ二硫酸は電解透析により
ペルオクソ二硫酸塩の塩を分離して生成されたものから
なることを特徴とする。
【0012】請求項3に対応する発明は、ペルオクソ二
硫酸塩の水溶液からペルオクソ二硫酸の水溶液を生成
し、前記ペルオクソ二硫酸の酸化力により除染対象物表
面の放射性核種を含む酸化被膜を酸化溶解する化学除染
方法において、前記ペルオクソ二硫酸塩はペルオクソ二
硫酸ナトリウム,ペルオクソ二硫酸カリウムまたはペル
オクソ二硫酸アンモニウムの少なくとも1種からなるこ
とを特徴とする。
【0013】請求項4に対応する発明は、ペルオクソ二
硫酸アンモニウムの水溶液からペルオクソ二硫酸アンモ
ニウムの水溶液を生成し、前記ペルオクソ二硫酸アンモ
ニウムの酸化力により除染対象物表面の放射性核種を含
む酸化皮膜を酸化溶解する化学除染方法において、前記
ペルオクソ二硫酸アンモニウムを電解透析して分離した
アンモニウムイオンをアルカリ性水溶液に回収した後、
このアルカリ性水溶液で前記アンモニウムイオンをアン
モニアに変化して気相中に回収することを特徴とする。
【0014】請求項5に対応する発明は、前記気相中に
回収されたアンモニウムガスを、臭化カリウム水溶液に
溶解し、ついでこの水溶液にオゾンガスを供給して、窒
素ガスに変換することを特徴とする。
【0015】請求項6に対応する発明は、ペルオクソ二
硫酸塩の水溶液からペルオクソ二硫酸の水溶液を生成す
る酸化剤生成工程と、除染対象物表面の放射性核種を含
む酸化皮膜を、シュウ酸により還元し水溶液中に溶解さ
せる還元溶解工程と、前記酸化剤生成工程で生成したペ
ルオクソ二硫酸の水溶液により前記酸化皮膜を酸化溶解
する酸化溶解工程と、前記還元剤の過剰量を分解する還
元剤分解工程と、前記酸化皮膜の溶解により溶出した金
属イオンと前記酸化剤を水溶液から分離する分離工程と
を備えたことを特徴とする。
【0016】請求項7に対応する発明は、前記還元剤分
解工程は紫外線と過酸化水素、または紫外線とオゾンガ
スにより分解することを特徴とする。請求項8に対応す
る発明は、前記分離工程はペルオクソ二硫酸が還元され
て生成する硫酸イオン,酸化皮膜中の酸化クロムが溶解
して生成する2クロム酸イオン等の陰イオン金属を陰イ
オン交換樹脂で分離することを特徴とする。請求項9に
対応する発明は、前記分離工程は酸化皮膜から溶出する
陽イオン金属を陽イオン交換樹脂により分離することを
特徴とする。
【0017】本願発明において、使用するペルオクソ二
硫酸(以下、名称を過硫酸と省略する)は電気化学便覧
等に記載されているように、以下に示す酸化還元系にお
いて、酸化還元電位が2.01Vを示す非常に酸化力が強い
酸化剤である。
【0018】 S2 8 2-+2e- =2SO4 2-+2.01V (1) したがって、この試薬を化学除染に使用可能であれば、
配管機器系統の放射性物質を含む酸化皮膜を効果的に酸
化溶解できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。本発明の第1の実施の形態では、
イオン交換樹脂により過硫酸塩の水溶液から過硫酸水溶
液を生成する方法について説明する。
【0020】図1は過硫酸を生成する方法の装置の一例
を示す。供給槽1に過硫酸塩水溶液2をポンプ3で陽イ
オン交換樹脂4を収納した樹脂塔5に通液し、樹脂塔5
を通過した水溶液は、回収槽6に回収する。この操作に
おいて、陽イオン交換樹脂(R−2H)の水素イオンと
過硫酸塩の塩イオンが交換反応し過硫酸水溶液7が生成
される。
【0021】過硫酸塩として選定したペルオクソ二硫酸
ナトリウム(以下、名称を過硫酸ナトリウムと省略す
る)、ペルオクソ二硫酸カリウム(以下、名称を過硫酸
カリウムと省略する)およびペルオクソ二硫酸アンモニ
ウム(以下、名称を過硫酸アンモニウムと省略する)と
陽イオン交換樹脂との交換反応を以下に示す。 Na2 2 8 +R−2H→H2 2 8 +R−2Na (2) K2 2 8 +R−2H→H2 2 8 +R−2K (3) (NH4 2 2 8 +R−2H→H2 2 8 +R−2(NH4 ) (4)
【0022】上記反応を確認するため、過硫酸ナトリウ
ム濃度を20mmoldm-3に調整した水溶液2を供給槽1に入
れ、ポンプ3により陽イオン交換樹脂4を収納した樹脂
塔5に供給して回収槽7内のナトリウム濃度を誘導結合
型高周波プラズマ分析装置により測定した。その結果、
供給槽1内のナトリウム濃度は1300ppm に対し、回収槽
6内のナトリウム濃度は10ppm以下であり、過硫酸が
生成されていることを確認した。
【0023】このように市販されていない過硫酸水溶液
は、過硫酸塩と陽イオン交換樹脂の交換反応により製造
することができる。また、過硫酸は、一般の処理施設で
製造できるため、製造過程で発生する使用済みのイオン
交換樹脂は容易に処理処分することが可能である。
【0024】つぎに本発明の第2の実施形態では、電解
透析により過硫酸塩の水溶液から過硫酸水溶液を製造す
る方法について説明する。図2は過硫酸を生成する電解
透析の原理を示し、陽極8および陰極9とその間に陽イ
オン交換膜10を配置した電解透析において、陽極8と陽
イオン交換膜9で仕切られた陽極室11に過硫酸塩の水溶
液12を供給し、陰極9と陽イオン交換膜10で仕切られた
陰極室13にアルカリ性溶液14を供給して電解透析を行
う。
【0025】ここで、過硫酸塩の水溶液12として過硫酸
アンモニウム水溶液を、アルカリ性水溶液7として水酸
化ナトリウム(NaOH)水溶液を選定し、この状態で
電解透析を行うと過硫酸アンモニウム水溶液のアンモニ
ウムイオンは、陽イオン交換膜10を介して陰極室13に移
行する。陰極室13に移行したアンモニウムイオンは、水
酸化ナトリウム水溶液中では以下に示すイオン平衡反応
により経時的にアンモニア(NH3 )ガスとして気相中
へ移行する。 NH4 + +OH- →NH3 ↑+H2 O (5)
【0026】一方、陽極室11では過硫酸イオンと水素イ
オンが結合した過硫酸[ペルオクソ二硫酸(H2 2
8 )]水溶液15が生成し回収され、陰極室13からは水酸
化ナトリウム(NaOH)水溶液16が回収される。
【0027】なお、過硫酸塩として選定した過硫酸ナト
リウムおよび過硫酸カリウムについては、過硫酸アンモ
ニウムと同様に、ナトリウムイオンおよびカリウムイオ
ンは陽イオン交換膜10を介して陰極室13に移行する。そ
の際のアルカリ性(NaOH)水溶液14は、過硫酸ナト
リウム水溶液を電解透析する場合は、水酸化ナトリウム
水溶液が、過硫酸カリウム水溶液を電解透析する場合は
水酸化カリウム水溶液が望ましい。
【0028】このように市販されていない過硫酸水溶液
は、電解透析により過硫酸塩から製造することができ
る。また、過硫酸は原子力施設以外の一般の処理施設で
製造できるため、製造過程で発生する使用済みのアルカ
リ性水溶液は、容易に処理処分することが可能である。
また、使用済みのアルカリ性水溶液は保管して再度過硫
酸の製造に使用することができる。
【0029】つぎに本発明の第3の実施の形態では、過
硫酸塩として過硫酸アンモニウムを選定し、電解透析に
より過硫酸水溶液を製造する過程で生成するアンモニア
ガスを窒素ガスまで分解する方法を図3により説明す
る。
【0030】これは、アンモニウムイオンにより水の富
栄養化がもたらされるため、近年、環境に放出される窒
素分についての水質基準が厳しくなる傾向にある。すな
わち、過硫酸アンモニウムから分離されたアンモニアガ
スが廃水中に溶解して多量に存在すると、水の富栄養化
を引き起こし、環境に対して有害であることが問題とな
っている。
【0031】そこで本実施の形態では、まず過硫酸アン
モニウム水溶液17から分離工程18で電解透析によりアン
モニウムイオンを分離し、過硫酸水溶液19を生成する。
分離したアンモニアイオンは気相中に移行するため、こ
のアンモニウムイオンを分解工程20で窒素ガス21に分解
する。
【0032】気相中に移行したアンモニウムガス20は、
分解工程21において、臭素イオン(BR- )とオゾンガ
ス(O3 )により以下の(6)式および(7)式に示す
反応で、窒素ガス22に分解して無害化する。 Br- +H2 O+O3 →HBrO+OH- +O2 (6) 3HBrO+2NH3 →3Br- +3H+ +N2 +3H2 O (7)
【0033】この分解反応を確認するため、臭化カリウ
ムの濃度が0.02mol dm-3の臭化カリウム水溶液に過硫酸
塩から分離したアンモニウムガスを所定時間導入し、水
溶液中にアンモニウムガスを溶解させた。
【0034】つぎにオゾンガスを所定時間供給してアン
モニウムイオン(アンモニア)の分解を行った。その結
果、オゾンガスを供給する前の臭化カリウム水溶液中の
アンモニウムイオンは、約200ppmであったものがオゾン
ガスを供給することにより10ppm 以下に減少した。
【0035】このように、過硫酸アンモニウムから除染
剤である過硫酸を製造する過程で発生するアンモニウム
イオンは、窒素ガスに分解できるため、環境に対して悪
影響を及ぼすことはない。
【0036】つぎに本発明の第4の実施の形態では、過
硫酸塩から生成した過硫酸を用いて、原子力発電施設の
配管機器系統を除染する場合の実施フローを図4により
説明する。
【0037】最初に本発明の第1の実施の形態に示した
ように、酸化剤生成工程23で除染剤である過硫酸水溶液
を製造する。つぎに除染対象機器24である配管系統表面
の酸化皮膜を第1の還元溶解工程25によりシュウ酸水溶
液で還元溶解する。ここで、酸化皮膜の主成分である酸
化鉄(Fe2 3 )は以下に示す反応に溶解する。
【0038】 Fe2 3 +(COOH)2 +4H+ →2Fe2++2CO2 +3H2 O (8) ここで溶解したFe2+または放射性核種であるCo2+
は、第1の分離工程26により陽イオン交換樹脂に吸着さ
れ除去される。つぎに、第1の分解工程27において過剰
な還元剤(シュウ酸)を紫外線と過酸化水素、または紫
外線とオゾンガスにより炭酸ガス(CO2 )と水に分解
する。
【0039】つぎに酸化溶解工程28において、酸化剤生
成工程23で製造した過硫酸水溶液により配管系統表面の
酸化皮膜を酸化溶解する。ここで、酸化皮膜中の難溶解
性の酸化クロム(Cr2 3 )は以下に示す反応で溶解
する。 Cr2 3 +3S2 8 2-+4H2 O →Cr2 7 2-+6SO4 2-+8H+ (9)
【0040】ここで溶解した2クロム酸イオン(Cr2
7 2-)、過硫酸が分解して生成する硫酸イオン(SO
4 2-)および、酸化皮膜から溶解するFe2+およびFe
3+等は第2の分離工程29で陽イオン交換樹脂と陰イオン
交換樹脂に吸着され除去される。
【0041】つぎに残留する酸化皮膜を第2の還元溶解
工程30により(8) 式に示す反応により溶解し、溶出金属
は第3の分離工程31で分離し、過剰な還元剤は第2の分
解工程32で分解する。
【0042】これらの工程は、除染液中の放射能濃度お
よび雰囲気の放射線量等を測定して必要に応じて最初の
除染工程である第1の還元溶解工程25に戻り、繰り返し
行われる。除染終了後の除染廃液は、第4の分離工程33
により溶出金属等は陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹
脂により分離されるため、ほとんどイオン交換水に近い
除染廃液の排水34として既設の液体廃棄物処理系に排出
することができる。
【0043】つぎに、第4の実施の形態の効果を確認す
るために、温度を 280℃、溶存酸素濃度を200ppbとする
沸騰水型原子炉の水質条件を模擬して酸化皮膜を付与し
たSUS304試験片について溶解試験を行った結果を説明す
る。
【0044】試験条件は、過硫酸水溶液による酸化溶解
を過硫酸濃度20mmoldm-3、温度95℃で、シュウ酸水溶液
による還元溶解をシュウ酸濃度22mmoldm-3、温度95℃で
実施した。また、比較のために過硫酸ナトリウム水溶液
による酸化溶解を硫酸ナトリウム濃度20mmoldm-3、シュ
ウ酸水溶液による還元溶解をシュウ酸濃度22mmoldm-3
温度95℃で実施した。
【0045】試験結果を図5に示す。図5中、たて軸は
酸化皮膜の溶解量を示し、よこ軸は酸化剤の種類を示し
ている。酸化皮膜は、過硫酸水溶液で酸化処理した場合
は約20mgdm-3溶解したが、過硫酸ナトリウム水溶液で酸
化処理した場合は約1/2 の溶解量であった。この結果
は、酸化剤生成工程で生成した過硫酸水溶液は化学除染
の酸化剤として適用できることを示している。
【0046】つぎに、還元剤であるシュウ酸の分解試験
を実施した。分解方法は紫外線/過酸化水素法と紫外線
/オゾンガス法の2種類について試験した。紫外線/過
酸化水素法は22mmoldm-3のシュウ酸水溶液に当量の過酸
化水素を入れ、この水溶液に高圧水銀ランプを使用した
出力 100wの紫外線を照射した。その結果、水溶液中の
有機炭素濃度は3時間で10ppm 以下に減少した。
【0047】また、紫外線/オゾンガス法は22mmoldm-3
のシュウ酸水溶液に高圧水銀ランプを使用した出力 100
wの紫外線を照射し、同時に0.5gdm-3のオゾンガスを吹
き込んだ。その結果、水溶液中の有機炭素濃度は4時間
で10ppm 以下に減少した。
【0048】また、紫外線の他にβ線あるいはγ線など
の放射線と、酸化物質として酸素あるいは過酸化水素あ
るいはオゾンガスとの組み合わせによる還元剤の分解も
可能である。
【0049】以上説明したように、本実施の形態に係る
化学除染方法は、市販されていない過硫酸を過硫酸塩か
ら生成するもので、これにより原子炉一次系などの配管
機器表面の酸化皮膜を効果的に溶解できるとともに、除
染廃液中の溶出金属(放射性核種を含む)はイオン交換
樹脂で分離できる。
【0050】したがって、本実施の形態によれば、従来
の中和処理を行う場合と比較して廃液処理が容易で、し
かもその作業に伴う作業者の放射線被ばくを低減でき
る。また、還元剤に用いるシュウ酸は、炭酸ガスと水に
分解できるため、既設の液体廃棄物処理系に排出するこ
とができる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、つぎに述べる効果があ
る。 (1) 過硫酸塩の水溶液から強酸化剤である過硫酸を生成
し、これを除染剤とすることにより、原子炉一次系など
の配管機器表面の酸化皮膜を効果的に溶解することがで
きる。
【0052】(2) 過硫酸は、原子力発電所以外で大量に
生成することができるため、その生成に伴って発生する
二次廃棄物(イオン交換樹脂,アルカリ性水溶液等)
は、容易に処理処分することができる。
【0053】(3) 除染廃液の溶出金属,過硫酸が還元さ
れて生成する硫酸は、イオン交換樹脂で分離できるた
め、中和処理等よりも除染廃液処理が容易で、その作業
に伴う作業者の被ばくを低減できる。 (4) 還元剤であるシュウ酸は炭酸ガスと水に分解できる
ため、既設の液体廃棄物処理系に排出できるとともに、
二次廃棄物の発生量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化学除染方法の実施の形態におい
て過硫酸水溶液を生成する装置を示す模式図。
【図2】本発明に係る化学除染方法の実施の形態におい
て、過硫酸水溶液を生成する原理を模式的に示す工程
図。
【図3】本発明に係る化学除染方法の実施の形態におい
て、過硫酸水溶液を生成した後の副生成物(アンモニ
ア)の分解工程を示すフロー図。
【図4】本発明に係る化学除染方法により原子力発電施
設の配管機器系統を除染する場合を示すフロー図。
【図5】本発明の効果を説明するための酸化皮膜の溶解
試験結果を示す棒線図。
【符号の説明】
1…供給槽、3…供給ポンプ、4…陽イオン交換樹脂、
5…樹脂塔、6…回収槽、8…陽極、9…陰極、10…陽
イオン交換膜、11…陽極室、13…陰極室、14…NaO
H、15…H2 2 8 、16…NaOH、17…過硫酸アン
モニウム水溶液、18…アンモニウムイオン分離工程、19
…過硫酸水溶液、20…アンモニアガス、21…分解工程、
22…窒素ガス、23…酸化剤生成工程、24…除染対象機
器、25…第1の還元溶解工程、26…第1の分離工程、27
…第1の分解工程、28…酸化溶解工程、29…第2の分離
工程II、30…第2の還元溶解工程、31…第3の分離工
程、32…第2の分解工程、33…第4の分離工程、34…除
染廃液の排水。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢板 由美 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 酒井 仁志 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 平良木 哲 神奈川県川崎市幸区堀川町66番2 東芝エ ンジニアリング株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペルオクソ二硫酸塩の水溶液からペルオ
    クソ二硫酸の水溶液を生成し、前記ペルオクソ二硫酸の
    酸化力により除染対象物表面の放射性核種を含む酸化被
    膜を酸化溶解する化学除染方法において、前記ペルオク
    ソ二硫酸は陽イオン交換樹脂の水素イオンとペルオクソ
    二硫酸塩の塩との交換反応により生成されたものからな
    ることを特徴とする化学除染方法。
  2. 【請求項2】 ペルオクソ二硫酸塩の水溶液からペルオ
    クソ二硫酸の水溶液を生成し、前記ペルオクソ二硫酸の
    酸化力により除染対象物表面の放射性核種を含む酸化被
    膜を酸化溶解する化学除染方法において、前記ペルオク
    ソ二硫酸は電解透析によりペルオクソ二硫酸塩の塩を分
    離して生成されたものからなることを特徴とする化学除
    染方法。
  3. 【請求項3】 ペルオクソ二硫酸塩の水溶液からペルオ
    クソ二硫酸の水溶液を生成し、前記ペルオクソ二硫酸の
    酸化力により除染対象物表面の放射性核種を含む酸化被
    膜を酸化溶解する化学除染方法において、前記ペルオク
    ソ二硫酸塩はペルオクソ二硫酸ナトリウム,ペルオクソ
    二硫酸カリウムまたはペルオクソ二硫酸アンモニウムの
    少なくとも1種からなることを特徴とする化学除染方
    法。
  4. 【請求項4】 ペルオクソ二硫酸アンモニウムの水溶液
    からペルオクソ二硫酸アンモニウムの水溶液を生成し、
    前記ペルオクソ二硫酸アンモニウムの酸化力により除染
    対象物表面の放射性核種を含む酸化皮膜を酸化溶解する
    化学除染方法において、前記ペルオクソ二硫酸アンモニ
    ウムを電解透析して分離したアンモニウムイオンをアル
    カリ性水溶液に回収した後、このアルカリ性水溶液で前
    記アンモニウムイオンをアンモニアに変化して気相中に
    回収することを特徴とする化学除染方法。
  5. 【請求項5】 前記気相中に回収されたアンモニウムガ
    スを、臭化カリウム水溶液に溶解し、ついでこの水溶液
    にオゾンガスを供給して、窒素ガスに変換することを特
    徴とする請求項4記載の化学除染方法。
  6. 【請求項6】 ペルオクソ二硫酸塩の水溶液からペルオ
    クソ二硫酸の水溶液を生成する酸化剤生成工程と、除染
    対象物表面の放射性核種を含む酸化皮膜を、シュウ酸に
    より還元し水溶液中に溶解させる還元溶解工程と、前記
    酸化剤生成工程で生成したペルオクソ二硫酸の水溶液に
    より前記酸化皮膜を酸化溶解する酸化溶解工程と、前記
    還元剤の過剰量を分解する還元剤分解工程と、前記酸化
    皮膜の溶解により溶出した金属イオンと前記酸化剤を水
    溶液から分離する分離工程とを備えたことを特徴とする
    化学除染方法。
  7. 【請求項7】 前記還元剤分解工程は紫外線と過酸化水
    素、または紫外線とオゾンガスにより分解することを特
    徴とする請求項6記載の化学除染方法。
  8. 【請求項8】 前記分離工程はペルオクソ二硫酸が還元
    されて生成する硫酸イオン,酸化皮膜中の酸化クロムが
    溶解して生成する2クロム酸イオン等の陰イオン金属を
    陰イオン交換樹脂で分離することを特徴とする請求項6
    記載の化学除染方法。
  9. 【請求項9】 前記分離工程は酸化皮膜から溶出する陽
    イオン金属を陽イオン交換樹脂により分離することを特
    徴とする請求項6記載の化学除染方法。
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