JP3656602B2 - 化学除染廃液の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射性物質を取り扱う施設において、装置や配管の化学除染により発生した廃液、すなわち、放射性核種を含む重金属イオンとともに有機酸、とくにシュウ酸を含有する化学除染廃液を無害化処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所の一次冷却水配管等に付着する放射性腐食生成物を化学的に溶解させ、作業に従事する者の被爆量低減をはかる技術のひとつとして、ジーメンス社が提案した化学除染法である、「CORD法」(Chemical Oxidation Reduction Decontamination)が、近年盛んに行なわれている。
【0003】
CORD法による廃液浄化は、除染剤の主剤であるシュウ酸を、過マンガン酸により、または過酸化水素+紫外線照射により酸化分解して炭酸ガスおよび水にし、シュウ酸とキレートを形成していたクラッド成分はカチオン交換樹脂で捕捉して浄化する、という手法を採用している。この除染によって除かれた汚染物質、すなわち放射性核種は、イオン交換樹脂に移動して固定されるが、使用済みのイオン交換樹脂は、放射性二次廃棄物となる。
【0004】
放射性核種を吸着したイオン交換樹脂廃棄物を処理する場合、長期保存するか、それができなければ、燃焼して減容化する。いうまでもなく長期保存は、保存庫の負荷を増すことになるし、燃焼して減容化するためには、樹脂に吸着している核種を分離する必要がある。樹脂に吸着されている核種を分離しようとすれば、樹脂容量の数十倍の液体廃棄物が発生する。
【0005】
本発明者らは、シュウ酸を主成分とする除染液を対象とする、樹脂廃棄物の発生量を極力抑えた新たな廃液処理方法を開発して、すでに提案した(特開平11−352289)。この廃液処理方法においては、シュウ酸はカルシウムイオンと反応して、難溶性のシュウ酸カルシウムを形成する(溶解度積:2.6×10−9)。溶解度積から計算されるシュウ酸カルシウムの水中濃度は理論的には4.6ppmであり、カルシウムイオンを添加するだけで、CORD廃液(シュウ酸濃度2000ppm)の99%以上のシュウ酸を分離除去することが期待できる。シュウ酸廃液中には、溶出したクラッド成分の金属イオンとシュウ酸とが対になって存在しており、廃液に水酸化カルシウムを添加すると、この金属イオンは、式1に示すように、同じく難溶性の水酸化物となって沈殿する。
(COO)2M+Ca(OH)2→(COO)2Ca+M(OH)2 (1)
(ここでMは、金属カチオンを表す。)
【0006】
CORD法に代表される従来の除染廃液処理においては、過マンガン酸や紫外線を用いてシュウ酸を分解し、シュウ酸とキレートを形成していた金属イオンを、式2に示すようにイオン交換樹脂に吸着させ、固定化しているので、吸着媒体となるイオン交換樹脂(IR)の容積が、廃棄物の容積の大半を占める。
IR−H+Mn+→IR−M+nH+ (2)
【0007】
これに対し前記の特開平11−352289に記載した方法は、シュウ酸を主成分とする除染廃液に水酸化カルシウムを添加して難溶性の塩を形成させ、この難溶性塩を濾過分離することにより廃液を浄化しようとするもので、プロセスがきわめて単純であり、イオン交換樹脂のような吸着媒体を使用せずに放射性核種を直接固形化できるので、二次廃棄物の容積という観点からは、大幅な減容化が実現する。
【0008】
一般的に、シュウ酸除染廃液は、約2000〜3000ppmのシュウ酸と、数10〜数100ppmの、放射性核種を一部含む金属イオンとからなる。特開平11−352289に記載した方法により廃液を処理した場合、式1に示すような反応によってシュウ酸および金属イオンが固形化され、核種がそれら固形物内に固定されるから、固液分離を行なうと、放射性二次廃棄物は固形物のスラッジとなる。
【0009】
放射性廃棄物の減容化の観点から見ると、このスラッジの大部分はシュウ酸カルシウムで構成されており、スラッジを減容化するためには、主成分であるシュウ酸カルシウムの生成量を減らす必要がある。
【0010】
シュウ酸をすべて分解してしまうと、シュウ酸とキレートを形成していた金属イオンは水酸化物または炭酸塩になる。この水酸化物は、シュウ酸を分解するための反応器の内壁に付着しやすく、廃棄物として取り出すことが困難となる。また、適度な量のシュウ酸カルシウム塩は、析出してくる金属水酸化物と共沈して、水酸化物が内壁に付着することを防止する効果がある。さらに、水酸化物を形成しないクロム酸アニオン(CrO3 2 -)は、シュウ酸カルシウムや水酸化金属に吸着され、沈殿する固形物の中に取り込まれる形で、廃液中から除去されるという効果もある。シュウ酸をすべて分解してしまうと、これらの効果が期待できなくなるから、ある適切な量のシュウ酸を残しておくことが、むしろ有利になる。
【0011】
従って、減容化を目的とするシュウ酸の分解は、金属とキレートを形成していない余剰のシュウ酸を対象とすべきで、2000〜3000ppmあるシュウ酸に対して、10%程度のシュウ酸が残るように、余剰のシュウ酸を分解することが望ましい。シュウ酸を分解する手段としては、過マンガン酸のような酸化剤を添加する方法、電解酸化、紫外線照射、および紫外線照射下に酸化剤を作用させる方法などがある。
【0012】
過マンガン酸でシュウ酸を酸化分解すると、式3に表すような反応が進む。
5H2C2O4+2HMnO4+4H+
→2Mn2++10CO2+8H2O (3)
添加した過マンガン酸中のマンガンは、余剰シュウ酸の分解後に添加する水酸化カルシウムにより水酸化マンガンの沈殿物を形成し、廃棄物量を増大させる。これはもちろん、好ましくない。
【0013】
電解酸化は、シュウ酸の分解に伴い発生する金属水酸化物スラッジが陽極に付着するため、陽極を洗浄しなければならず、洗浄廃液が発生する。この方法もまた、不利である。紫外線照射だけで分解する方法は、分解に時間を要する上に分解効率が悪いという難点がある。紫外線照射下に過酸化水素を添加すれば、酸化は進行するが、のちに実例を持って示すように、次工程で水酸化カルシウムを添加したときのクロム除去率が低いのが欠点である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、化学除染廃液を処理する既知の諸方法に伴っていた上述の問題を解決し、二次廃棄物の発生量を効果的に抑制した処理方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の化学除染廃液の処理方法は、放射性核種を含む重金属イオンとともにシュウ酸を含有する化学除染廃液を無害化処理する方法であって、基本的には、下記の工程からなる
酸化分解:化学除染廃液に酸素含有ガスを吹き込みながら紫外線を照射し、吹き込まれた酸素の一部をオゾンに変換し、紫外線照射下のオゾンの作用によりシュウ酸の一部を分解する工程、
沈殿:酸化分解工程からの流出液にカルシウムイオンを含有する水溶液とアルカリ性物質とを添加し、重金属イオンを水酸化物に変えるとともに分解しなかったシュウ酸をカルシウム塩に変えて、水酸化物とシュウ酸カルシウムを共沈させる工程、ならびに、
固液分離:放射性核種を固定した固体と、放射性核種を含まない液とを固液分離する工程。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記の諸工程に続けて、下記の工程を実施してもよい。
イオン交換:固液分離により得た液を、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂と接触させ、液中に残存する微量のカルシウムイオンおよびシュウ酸イオンをイオン交換樹脂に吸着させて除去する工程。
【0017】
以下に、本発明の化学除染廃液の処理方法を、好適な具体的について説明する。図1に示すように、廃液タンク(1)に受け入れた化学除染廃液(6)をポンプ(2)で反応槽(3)へ送液する。反応槽(3)内の廃液に、酸素含有ガスを吹き込みながら、紫外線を照射する。酸素含有ガスは、純酸素や酸素リッチにした空気が好ましいが、通常は空気で足りる。吹き込まれた酸素含有ガスは、紫外線により酸素の一部がオゾンになり、このオゾンがシュウ酸分解を加速する酸化剤として働く。もちろん、廃液が紫外線ランプに接近するようにする撹拌効果もある。
【0018】
オゾンは、廃液とともに反応槽(3)と廃液タンク(1)の間を循環しながら、シュウ酸イオンを分解する。廃液が濁りはじめたならば、紫外線照射を停止して廃液を沈殿槽(4)に移送し、所定量の水酸化カルシウムを添加、撹拌して、シュウ酸をカルシウム塩に、金属イオンを水酸化物に変えて、それらを共沈させ、放射性核種をスラッジ中に固定する。フィルター(5)において固液分離を行ない、濾過ケーク(8)を得ることによって、放射性核種を固体中に固定し、廃液を放射能のない排水(7)に浄化する。
【0019】
前記したように、シュウ酸除染廃液には、シュウ酸が2000〜3000ppm、一次系系統内のクラッドから溶出した金属(鉄、ニッケル、クロムなどの)イオンが数10ppm程度、前酸化処理工程で添加された過マンガン酸に由来するマンガンイオンが100ppm程度、含まれている。この液に水酸化カルシウムを添加すると、固形化してスラッジを構成する成分は、91容量%をシュウ酸カルシウム1水和物が占め、金属水酸化物が占める割合はわずか9容量%である。
【0020】
これも前述のように、シュウ酸除染廃液は、シュウ酸とシュウ酸金属キレートとから構成されていて、特開平11−352289に記載した方法は、シュウ酸を難溶性のカルシウム塩として、キレート金属は同じく難溶性の金属水酸化物として固形化し、これらを分離除去することを原理としている。一方、本発明は、シュウ酸除染廃液を浄化する前の段階で余剰のシュウ酸を分解することにより、発生する二次廃棄物量を減少させることに成功したものである。
【0021】
【参考例1】
実際の除染廃液に模して用意した、放射性核種を含まない下記の組成の模擬廃液5Lを、
鉄:27.5ppm ニッケル:12.2ppm クロム:19.5ppm
マンガン:148ppm シュウ酸2000ppm
90℃に加温し、過マンガン酸をシュウ酸濃度に対して当量となるように添加して、余剰のシュウ酸を分解した。反応終了後のシュウ酸濃度は391ppmとなった。
【0022】
この液に対して、当量、すなわち
391mg/L×5L÷90g(シュウ酸の分子量)×74.1(水酸化カルシウムの分子量)=1.61g
の水酸化カルシウムを添加し、50℃に保温して撹拌しながら水酸化カルシウムを添加し、pHが10〜11になるようにした。生じた沈殿物を濾過し、沈殿物の容積を求めた。比較のため、余剰のシュウ酸を分解しないまま水酸化カルシウムを添加して、pHを10〜11に調整し他場合についても、沈殿物を濾過してその容積を求めた。
【0023】
図2は、酸除染廃液中の余剰のシュウ酸を分解せずに水酸化カルシウムを添加した場合に発生するスラッジ量と、余剰のシュウ酸を過マンガン酸で分解した場合に発生するスラッジ量と、本発明による処理を行った場合に発生するスラッジ量とを比較したものである。あらかじめシュウ酸を分解しておくと、しない場合に比べ、発生スラッジ量が1/2に減少することがわかる。しかし、すでに述べたように、過マンガン酸を加えて余剰のシュウ酸を分解すると、廃液50L当たり約1.9mLの水酸化マンガンが生成する。添加した薬品のために廃棄物量が増大することは、原理的に好ましくない。
【0024】
【参考例2】
シュウ酸除染廃液中のシュウ酸を分解するひとつの方法として、紫外線を照射しながら過酸化水素を添加する方法が提唱されている。(Proceedings.1998. p357, JAIF Int. Conf. On Water Chemistry of Nuclear Power Plants.) シュウ酸は、紫外線の照射下に過酸化水素を作用させれば、式4に示す反応により分解する。
C2O4H2+H2O2+UV→2CO2+2H2O (4)
【0025】
実際の除染廃液に模した、放射性核種を含まない下記の組成の模擬廃液10Lに、
鉄:27.5ppm ニッケル:12.2ppm クロム:19.5ppm
マンガン:148ppm シュウ酸200ppm
シュウ酸と当量の過酸化水素(約750ppm)を添加し、発光長が1100mm、ランプ胴径が18mm、出力110W、10- 3〜10- 2Torrの低圧水銀ランプが挿入された反応塔(内容積5.5L)に、6L/hrの速度で送液し、余剰のシュウ酸を分解した。
【0026】
図3は、過酸化水素を添加して紫外線を照射した場合と、紫外線照射だけの場合とを比較して示したシュウ酸分解曲線である。過酸化水素を添加することによって、シュウ酸を効率よく分解できることが、このグラフからわかる。過酸化水素を添加した場合、3時間の照射で、シュウ酸濃度は171ppmとなった。
【0027】
次に、この液に対して、参考例1と同じく水酸化カルシウムを添加してpHを10〜11の間に調整した。生成した沈殿を濾過して、濾液の水質を分析した。表1にその結果を示す。また比較のため、参考例1で得た濾液の水質もあわせて表示した。
【0028】
表1 前処理の違いによる濾液水質の比較(その1)
【0029】
余剰シュウ酸を分解しなかった場合と、過マンガン酸で余剰シュウ酸を分解した場合の水質はほぼ同等であるが、過酸化水素を添加して紫外線照射した場合、クロムの濃度が2桁も高い結果となっている。クロム濃度が高いことは、実際の廃液では51Crが検出され、放射性核種が除去された廃液とは認められないことを意味する。
【0030】
二つの参考例に示されたように、余剰シュウ酸を分解することによって廃棄物量が減少するが、過マンガン酸法では加えた薬品が二次廃棄物負荷となるので好ましくなく、過酸化水素を添加して紫外線を照射する方法は、処理後もクロム濃度が高くて、適切な廃液処理とはいえないという結果となった。
【0031】
【実施例1】
余剰シュウ酸を分解する方法として、本発明に従い、空気を吹き込みながら紫外線を照射して、吹き込んだ空気の一部をオゾンに変換させ、前記の式4に示す反応により、余剰のシュウ酸を分解する方法を実施した。使用した低圧水銀ランプは、参考例1および2において使用した物と同じである。装置は、図4に示すような構造の反応塔をもち、空気がエアーポンプ紫外線ランプに送り込まれ、紫外線ランプと保護管の間を通過して、液中に吹き込まれる構造となっている。
【0032】
6L/minの速度で空気を送り込んだときのオゾンの生成量は、230mg/hrであった。図4の装置において液量は5.5Lで、送液速度6L/hrで除染廃液を送液し、全量10Lの除染廃液に対して3時間、紫外線を照射した。廃液は参考例1および2で使用したものと同じ模擬廃液である。
【0033】
図5に示すように、空気を吹き込みながら紫外線を照射することによってもシュウ酸を分解することができ、過酸化水素を添加して紫外線を照射する方法と、ほぼ同等の分解曲線が得られた。2時間の照射後においてシュウ酸濃度は263ppmであり、3時間照射しても濃度には変化が認められなかった。
【0034】
次に、この処理を受けた液に対して、参考例1および2と同様に水酸化カルシウムを添加して、pHを10〜11に調整し、生成した沈殿を濾過して、濾液の水質分析を行なった。その結果を表2に、参考例の結果とあわせて示す。
【0035】
表2 前処理の違いによる濾液水質の比較
【0036】
過酸化水素を添加して紫外線を照射する方法(参考例2)においては、濾液のクロム濃度が高かったが、本発明に従って余剰シュウ酸を分解すると、水酸化カルシウムを添加した後の濾液の水質は、余剰シュウ酸未分解の場合と同等以上となった。
【0037】
【実施例2】
表3に示すような放射性核種を含む除染廃液50Lに対して、本発明を適用した。余剰シュウ酸を本発明にしたがってあらかじめ分解し、水酸化カルシウムを添加してpHを10〜11に調整した。pHを10.43に調整した場合には、58Coによる放射能濃度が1.24×105Bq/ccあったものが、3.17×10- 1Bq/ccと5桁以上低くなり、多くの核種は不検出となった。
【0038】
第3表 処理に供した除染廃液組成と処理後の廃液組成
【0039】
前掲の図2には、余剰シュウ酸を、未分解のままで水酸化カルシウムを添加した場合、過マンガン酸で分解した場合、および本発明に従って分解した場合の、発生スラッジ量を比較して示してある。余剰シュウ酸を分解しない場合と比べて、本発明を適用すればスラッジ量は1/5となり、大幅な二次廃棄物の減容化が実現する。
【0040】
表3にみるように、本発明の方法により処理した濾液は、鉄イオンが数ppb、クロム酸イオンが金属クロム換算で数10ppb、シュウ酸イオンおよびカルシウムイオンがともに数10ppmのオーダーである。この液をイオン交換樹脂で処理する場合、混床樹脂(アニオン樹脂+カチオン樹脂)の負荷は小さく、最終工程で混床樹脂処理を行なっても、使用済イオン交換樹脂の廃棄物量は少なくて済む。
【0041】
【発明の効果】
放射性核種を含む重金属イオンとともにシュウ酸を含有する化学除染廃液を、本発明に従って無害化処理するときは、放射性核種はすべて固体スラッジに移行し、固液分離により、放射能をほとんど含まない処理廃液が得られる。二次廃棄物である固体スラッジの量は、既知の処理法に比較して、著しく減少する。たとえば、発明者らが特開平11−352289に開示した方法に比べたとき、本発明の二次廃棄物は1/5となる。
【0042】
処理廃液は上記のようにほとんど放射能を含まないが、イオン交換樹脂により残存するイオンを吸着除去することにより、実質上完全に放射能を除去することができる。このとき発生する、廃棄すべき使用済イオン交換樹脂の量は、既知の処理技術に比べて、はるかに少なくて済む。これらがあいまって、本発明は、原子力施設などの化学除染廃液を無害化処理するに当り、放射性廃棄物に関して顕著な減容効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化学除染廃液の処理方法を実施するための、装置の構成を示すフローチャート。
【図2】 除染廃液中の余剰のシュウ酸を、分解せずに水酸化カルシウムを添加した場合、過マンガン酸で分解した場合、本発明による処理を行った場合とで、発生するスラッジ量を比較したグラフ。
【図3】 参考例のデータであって、過酸化水素を添加して紫外線を照射した場合と、紫外線照射だけの場合とを比較して示したシュウ酸の分解曲線。
【図4】 本発明の実施例で使用した装置の反応塔の構造を示した断面図。
【図5】 実施例のデータであって、空気を吹き込みながら紫外線を照射した場合と、過酸化水素を添加して紫外線を照射した場合とを比較して示したシュウ酸の分解曲線。
【符号の説明】
1 廃液タンク
2 ポンプ
3 反応槽
4 沈殿槽
5 フィルター
6 化学除染廃液
7 放射能のない廃水
8 濾過ケーク
Claims (4)
- 放射性核種を含む重金属イオンとともにシュウ酸を含有する化学除染廃液を無害化処理する方法であって、下記の工程からなる処理方法
酸化分解:化学除染廃液に酸素含有ガスを吹き込みながら紫外線を照射し、吹き込まれた酸素の一部をオゾンに変換し、紫外線照射下のオゾンの作用によりシュウ酸の一部を分解する工程、
沈殿:酸化分解工程からの流出液にカルシウムイオンを含有する水溶液とアルカリ性物質とを添加し、重金属イオンを水酸化物に変えるとともに分解しなかったシュウ酸をカルシウム塩に変えて、水酸化物とシュウ酸カルシウムを共沈させる工程、ならびに、
固液分離:放射性核種を固定した固体と、放射性核種を含まない液とを固液分離する工程。 - 請求項1に記載の諸工程に続けて、下記の工程を実施する化学除染廃液の処理方法
イオン交換:固液分離により得た液を、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂と接触させ、液中に残存する微量のカルシウムイオンおよびシュウ酸イオンをイオン交換樹脂に吸着させて除去する工程。 - 放射性核種を含む重金属イオンとともに有機酸を含有する化学除染廃液を無害化処理する方法であって、請求項1または2に記載の諸工程を実施するに先立って、下記の工程を実施する化学除染廃液の処理方法
前処理:電解酸化、光酸化または化学酸化のいずれかによって廃液中の有機酸を低分子量化させ、有機酸の実質上全部をシュウ酸に変化させる工程。 - カルシウムイオンを含有する水溶液を形成するものであり、かつアルカリ性物質として、水酸化カルシウムを使用して実施する請求項1ないし3のいずれかの化学除染廃液の処理方法。
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