JP2017020892A - 使用済みイオン交換樹脂の処理方法及び処理装置 - Google Patents

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俊昭 杉森
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昌章 金子
寛史 岡部
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寛史 岡部
雄生 山下
Takeo Yamashita
雄生 山下
佐藤 龍明
Tatsuaki Sato
龍明 佐藤
関 秀司
Hideji Seki
秀司 関
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Hideki Nakamura
秀樹 中村
清一 村山
Seiichi Murayama
清一 村山
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Takaaki Murata
隆昭 村田
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【課題】二次廃棄物の発生量を低減させることができる使用済みイオン交換樹脂の処理方法及び処理装置を提供する。【解決手段】鉄クラッドを粗分離する粗分離工程S100と、鉄クラッドを液相中に溶解させる溶解工程S200と、前記液相に過酸化水素及びオゾンを添加してイオン交換基を脱離させるイオン交換基脱離工程S300と、液相のpHを上昇させて沈殿物15を生成させる沈殿工程S400と、液相を、沈殿物15を含む固形分と固形分の除去された液相に分離する固液分離工程S500と、を備える使用済みイオン交換樹脂の処理方法。【選択図】図1

Description

本発明は、使用済みイオン交換樹脂の処理方法及び処理装置に関する。
原子力発電所において、冷却水の浄化や廃液処理にイオン交換樹脂が使用されている。原子力発電所の冷却水や廃液中には放射性物質が含まれており、これらの放射性物質を吸着した使用済みのイオン交換樹脂は、比較的放射能が高い。このため、放射性物質を吸着した使用済みイオン交換樹脂から放射性物質を分離することにより放射能を低減し、放射性廃棄物の容量を低減することが求められている。
また、重金属元素を含む産業排水を無害化処理するために、イオン交換樹脂が使用されている。産業排水中には様々な重金属元素が含まれており、これらの重金属元素を吸着した使用済みイオン交換樹脂を産業廃棄物として処理する際に、重金属元素を分離することにより廃棄物量を低減することが求められている。
使用済みイオン交換樹脂の処理方法として、超臨界水分解法などを用いて樹脂を無機化する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかしながら、使用済みイオン交換樹脂を無機化するためには大規模な装置が必要である、あるいは高温高圧条件が必要であるという課題があった。
また、使用済みイオン交換樹脂に吸着された金属イオンを、シュウ酸水溶液を用いて脱離させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
このようななか、二次廃棄物の発生量をより低減することのできる使用済みイオン交換樹脂の処理方法が求められている。
特開平10−324768号公報 特開2006−84236号公報 特開2013−44588号公報
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、二次廃棄物の発生量を低減することのできる使用済みイオン交換樹脂の処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
本発明の使用済みイオン交換樹脂の処理方法の一態様は、鉄クラッドが混在するとともに、放射性核種又は重金属元素がイオン交換基に吸着された使用済みイオン交換樹脂を処理する、使用済みイオン交換樹脂の処理方法であって、前記鉄クラッドを前記使用済みイオン交換樹脂から粗分離する粗分離工程と、前記粗分離工程で前記鉄クラッドの粗分離された前記使用済みイオン交換樹脂を、酸性の液相中に浸漬させ、前記粗分離工程において残存した前記鉄クラッドを前記液相中に溶解させる溶解工程と、前記溶解工程で得られた前記液相に過酸化水素及びオゾンを添加して前記使用済みイオン交換樹脂から前記イオン交換基を脱離させるイオン交換基脱離工程と、前記イオン交換基脱離工程で得られた前記液相のpHを上昇させて沈殿物を生成させる沈殿工程と、前記沈殿工程後の前記液相を、前記沈殿物を含む固形分と前記固形分の除去された前記液相に分離する固液分離工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の使用済みイオン交換樹脂の処理装置の一態様は、鉄クラッドが混在するとともに、放射性核種又は重金属元素がイオン交換基に吸着された使用済みイオン交換樹脂を処理する、使用済みイオン交換樹脂の処理装置であって、前記鉄クラッドを前記使用済みイオン交換樹脂から粗分離する粗分離装置と、内部で、前記鉄クラッドの粗分離された使用済みイオン交換樹脂を酸性の液相中に浸漬させ、前記鉄クラッドを前記液相中に溶解させる溶解槽と、前記溶解槽に、前記液相のpHを酸性に調製する第1のpH調整剤を供給する第1のpH調整剤供給装置と、内部で、前記pHの調製された前記液相と、過酸化水素とオゾンとを混合して前記使用済みイオン交換樹脂から前記イオン交換基を脱離させる反応槽と、前記反応槽に前記過酸化水素を供給する過酸化水素供給装置と、前記反応槽に前記オゾンを供給するオゾン供給装置と、内部で、前記イオン交換基の脱離された前記液相のpHを上昇させて沈殿物を生成させるpH調整槽と、前記pH調整槽に、前記液相pHを上昇させる第2のpH調整剤を供給する第2のpH調整剤供給装置と、前記pH調整槽内の前記液相を、前記沈殿物を含む固形分と前記固形分の除去された前記液相に分離する固液分離装置とを備えることを特徴とする。
本発明の使用済みイオン交換樹脂の処理方法及び処理装置によれば、二次廃棄物の発生量を低減させることができる。
実施形態の使用済みイオン交換樹脂の処理方法を概略的に示すフロー図。 実施形態の使用済みイオン交換樹脂の処理方法に用いられる装置を概略的に示すブロック図。 コバルト脱離試験における、液相のpHと、コバルト脱離率の関係を示すグラフ。
以下、本発明の使用済みイオン交換樹脂の処理方法及び処理装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の使用済みイオン交換樹脂の処理方法を概略的に示すフロー図である。図1に示す使用済みイオン交換樹脂の処理方法は、鉄クラッドの混在した使用済みイオン交換樹脂100から鉄クラッドを粗分離する粗分離工程S100と、粗分離工程S100で鉄クラッドの粗分離された使用済みイオン交換樹脂100を水W中に浸漬し、水Wに第1のpH調整剤11を添加して水Wの液性を酸性に調製して、使用済みイオン交換樹脂100に混在した鉄クラッドを水W中に溶解させる溶解工程S200と、溶解工程S200で得られた、使用済みイオン交換樹脂100を含む水Wに過酸化水素12及びオゾン13を添加して使用済みイオン交換樹脂100からイオン交換基を脱離させるイオン交換基脱離工程S300と、イオン交換基脱離工程S300で得られた水Wに第2のpH調整剤14を添加してpHを上昇させて、沈殿物を生成させる沈殿工程S400と、沈殿工程S400後の水Wを、沈殿物15を含む固形分と水Wに分離する固液分離工程S500とを備えている。固液分離工程S500で固形分の分離された水Wは、粗分離工程S100に供給することで、再度使用される。
図2は、第1の実施形態に用いられる使用済みイオン交換樹脂の処理装置10を概略的に示すブロック図である。図2に示す使用済みイオン交換樹脂の処理装置10は、処理対象である、鉄クラッドの混在した使用済みイオン交換樹脂100を貯留する貯留槽21と、貯留槽21中の使用済みイオン交換樹脂100に混合する水Wを貯留する貯水槽22と、粗分離装置23と、を備えている。
粗分離装置23には、粗分離された鉄クラッドを貯留する粗分離鉄クラッド貯蔵槽24と、鉄クラッドの粗分離された使用済みイオン交換樹脂100を収容して、使用済みイオン交換樹脂100に混在した鉄クラッドを溶解させる溶解槽25が接続されている。溶解槽25には、第1のpH調整剤供給装置26が接続されている。また、溶解槽25には、溶解槽25内で鉄クラッドが溶解されて除去された使用済みイオン交換樹脂100を収容し、イオン交換基脱離工程S300を行う反応槽28が接続されている。
反応槽28には、反応槽28内に過酸化水素を供給する過酸化水素供給装置29と、オゾンを発生させ、発生させたオゾンを反応槽28内に供給するオゾン供給装置30が接続されている。反応槽28の下部には、反応槽28内の液相を加熱する加熱器36が設置されている。反応槽28の上部は気密に封止されている。また、反応槽28には、反応槽28内に凝集剤を添加する凝集剤添加装置が接続されていてもよい。
さらに、反応槽28には、反応槽28においてイオン交換基を脱離させた水WのpHを上昇させるpH調整槽31が接続されている。pH調整槽31には、pH調整槽31に第2のpH調整剤14を供給する第2のpH調整剤供給装置32と、イオン交換基を脱離させた処理済みのイオン交換樹脂100を貯蔵するイオン交換樹脂貯蔵槽33が接続されている。また、pH調整槽31には、pH調整槽31内の水Wと、pH調整槽31で生じる沈殿物15を分離する固液分離装置34が接続されている。固液分離装置34には、分離された沈殿物15を収容する鉄クラッド貯蔵槽35が接続されている。
貯留槽21に貯留される使用済みイオン交換樹脂100は例えば、原子力発電所で冷却水の浄化や廃液処理、あるいは産業排水の処理に使用された、使用済みのイオン交換樹脂である。使用済みイオン交換樹脂100には、例えば、Co−60などの放射性物質(放射性核種)、又はクロム(Cr)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)等の重金属元素が吸着されている。イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、これらの混床のいずれであってもよい。使用済みイオン交換樹脂100には、炉水浄化系や廃液処理系の配管内で発生した鉄さび等、酸化水酸化鉄や酸化鉄などを主成分とする鉄クラッドが混合されている。このような鉄クラッドの比重は、一般的に、3〜4g/mL程度である。また、イオン交換樹脂の比重は、おおよそ1.2〜1.3g/mL程度である。
貯留槽21に貯留された使用済みイオン交換樹脂100は、貯水槽22に貯水された水Wと混合され、粗分離装置23に供給される。粗分離装置23において、使用済みイオン交換樹脂100と、これに混在した鉄クラッドが粗分離される(粗分離工程S100)。粗分離工程S100では、例えば、使用済みイオン交換樹脂100の表面に付着する等して、使用済みイオン交換樹脂100から分離され易い鉄クラッドが粗分離される。粗分離装置23としては、使用済みイオン交換樹脂100に超音波振動を与えて粗分離を行う装置(超音波振動法)、遠心分離法を用いた装置(遠心分離装置)や重液分離法を用いた装置(重液分離装置)を用いることができる。重液分離装置において用いられる重液としては、鉄クラッドと使用済みイオン交換樹脂を分離できるものであって、これらと反応しないものであれば特に限定されない。重液としては、毒性が低いものが好ましく、例えばポリタングステン酸ナトリウム水溶液等を用いることができる。
粗分離装置23で粗分離された鉄クラッドは、粗分離鉄クラッド貯蔵槽24に移送されて貯蔵される。鉄クラッドの粗分離された使用済みイオン交換樹脂100は、水Wに混合された状態で溶解槽25に移送される。
次いで、図1に示す溶解工程S200で、水Wと使用済みイオン交換樹脂100の収容された溶解槽25に、第1のpH調整剤供給装置26によって第1のpH調整剤11を供給する。これにより、溶解槽25内の液相のpHを酸性に調節し、使用済みイオン交換樹脂100に混在した鉄クラッドを水W中に溶解させる。溶解工程S200で溶解される鉄クラッドは、粗分離工程S100において、使用済み交換樹脂100から分離されずに残留した鉄クラッドである。溶解工程S200では、続くイオン交換基脱離工程S300に先立ち、粗分離工程S100で残留した鉄クラッドを、水Wに溶解させて使用済みイオン交換樹脂100から除去する。
第1のpH調整剤11としては、鉄クラッドの主成分である酸化鉄を溶解させる酸性の化合物、あるいは当該酸性の化合物の水溶液を特に限定なく用いることができる。第1のpH調整剤11としては、後述するイオン交換基脱離工程S300において生成するラジカルとの反応性の低いものが好ましく、例えば、塩酸、硫酸等を用いることが好ましい。第1のpH調整剤11としては、装置の腐食等を抑制する点からは、硫酸を用いることがより好ましい。
また、溶解槽25内で、使用済みイオン交換樹脂100の混合された水WのpHは、鉄クラッドを溶解させることができれば特に限定されないが、2以下であることが好ましい。pHが2以下であることで、鉄クラッドの主成分である酸化鉄の水Wへの溶解性を高め、使用済みイオン交換樹脂100と鉄クラッドを良好に分離することができる。
溶解工程S200で、第1のpH調整剤11の添加された使用済みイオン交換樹脂100は液相(鉄クラッドの溶解された水W)とともに反応槽28に送られる。次いで、図1に示すイオン交換基脱離工程S300において、使用済みイオン交換樹脂100を収容した反応槽28内に、過酸化水素供給装置29によって過酸化水素が、オゾン供給装置30によってオゾンが、それぞれ供給される。これにより、反応槽28内で、使用済みイオン交換樹脂100が、過酸化水素及びオゾンを含む水Wに浸漬される。
このとき、水W中には、鉄クラッドが溶解して生じた鉄(II)イオンが溶解しているため、使用済みイオン交換樹脂100は、鉄イオン、過酸化水素及びオゾンの共存する水Wに浸漬される。これにより、使用済みイオン交換樹脂100の、放射性物質(放射性核種)又は重金属元素の吸着部位であるイオン交換基をイオン交換樹脂の骨格から脱離させる。以下、本実施形態の使用済みイオン交換樹脂の処理方法について、使用済みイオン交換樹脂に放射性物質(放射性核種)(以下単に、「放射性核種」という。)が吸着された場合を例に説明するが、重金属元素が吸着された場合についても同様である。
過酸化水素の量は、イオン交換基を脱離させることのできる量であれば特に限定されない。過酸化水素の量は、例えば、反応槽28に収容される水Wの全体に対して0.64mol/L程度とする。オゾンの供給量は、水W中にオゾンを十分に溶解させて、イオン交換基を脱離させることのできる量であれば特に限定されない。オゾンは、例えば45mmol/h程度で反応槽28に供給されればよい。
反応槽28における使用済みイオン交換樹脂100と水Wとの混合比は、廃液量を低減させる観点から、水W(mL)/使用済みイオン交換樹脂100(g)で示される液固比で10/1(mL/g)以下であることが好ましい。液固比は、例えば反応槽28に水を供給することで調節可能である。
イオン交換基脱離工程S300では、ラジカルの発生を促進する点から、水Wを加熱器36によって加熱してもよい。加熱温度(処理温度)は、常温(20℃)以上90℃以下であることが好ましく、60℃以上90℃以下であることがより好ましく、72℃以上80℃以下であることが特に好ましい。また、このときの、浸漬時間(処理時間)は、処理される使用済みイオン交換樹脂100の量や、吸着された放射性核種の量にもよるが、1時間以上程度とする。
イオン交換基脱離工程S300において、過酸化水素とオゾンが溶解した液相(水W)に鉄イオンが共存することで、ヒドロキシラジカル等のラジカルを生成する。そして、生成したラジカルによって、結合エネルギーの小さいイオン交換樹脂とイオン交換基の結合が切断されて、放射性核種の吸着したイオン交換基を脱離させる。本実施形態の、使用済みイオン交換樹脂の処理方法では、イオン交換基脱離工程S300において、鉄イオンを含む水Wに過酸化水素及びオゾンを添加することで、加圧や減圧を行うことなく、イオン交換基脱離性能を向上させることができる。
このようにして、イオン交換基脱離工程S300において、使用済みイオン交換樹脂100から放射性核種を吸着したイオン交換基を脱離させることで、使用済みイオン交換樹脂100を、放射能の低減されたイオン交換樹脂(処理済みイオン交換樹脂)に変換することができる。処理済みイオン交換樹脂は、放射性核種がイオン交換基ごとイオン交換基骨格から離脱した状態となる。
次いで、イオン交換基脱離工程S300を経た水Wを静置して、水W中の処理済みイオン交換樹脂を沈降させる。その後、反応槽28内の水Wの上澄み液を取り出し、pH調整槽31へ送液する。この際、フィルタ等によって、水W中に残留する処理済みイオン交換樹脂の微細な固形分を取り除いた上で、水WをpH調整槽31に供給することが好ましい。沈降された処理済みイオン交換樹脂は、イオン交換樹脂貯蔵槽33に移送される。
次いで、沈殿工程S400が行われる。沈殿工程S400では、pH調整槽31に、第2のpH調整剤供給装置32によって、第2のpH調整剤14を添加する。これにより、pH調整槽31内で、処理済みイオン交換樹脂の分離された水WのpHを上昇させ、沈殿物15を生成させる。沈殿工程S400において、水Wに溶解された鉄や放射性核種の水酸化物が沈殿物15として沈殿する。第2のpH調整剤14としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。
沈殿工程S400において、水WのpHは、3以上に調製することが好ましい。pHを3以上にすることで、鉄と、イオン交換樹脂から脱離された放射性核種を共沈させることができる。そのため、放射性核種をより高濃度に沈殿物15中に濃縮することができる。
次いで、固液分離工程S500において、図2に示す固液分離装置34によって、沈殿工程S400で生成した、鉄及び放射性核種を含む沈殿物15と、沈殿物15の取り除かれた水Wに固液分離する。固液分離装置34としては、特に限定されず、フィルタ装置、遠心分離装置、沈降分離装置等を用いることができる。
固液分離工程S500で分離された、放射性核種と鉄を含む沈殿物15は、鉄クラッド貯蔵槽35に移送されて、貯蔵される。一方、沈殿物15の除かれた水Wは、一旦、貯留槽37に貯留された後、粗分離工程S100又は溶解工程S200に供給されて、再度用いることができる。
本実施形態の使用済みイオン交換樹脂の処理方法においては、イオン交換基脱離工程S300で用いられた鉄イオン、過酸化水素及びオゾンを含有させた水Wを再生する再生工程を行ってもよい。再生工程は、イオン交換基脱離工程S300で使用された水Wを例えば再生槽(図示せず)に供給し、再生槽内で後述のように行うことができる。
上記したイオン交換基脱離工程S300では、イオン交換基の脱離だけでなく、イオン交換樹脂の骨格の一部の分子鎖も切断されて分解される。イオン交換樹脂の骨格部分の分解によって、ギ酸や酢酸、イソ酪酸などの有機物成分が、分解生成物として発生する。これらの有機物成分は、例えば水Wに溶存するTOC濃度として測定することができる。
鉄イオン、過酸化水素及びオゾンの共存によって水W中に生成されるラジカルは酸化ポテンシャルが高い(ヒドロキシラジカルの酸化ポテンシャル:2.85V)。そのため、生成されるラジカルによって、上記有機物成分がさらに分解される。そして、イオン交換基脱離工程S300において、水W中の有機物成分の濃度が上昇すると、有機物成分の分解反応とイオン交換基の脱離反応がラジカルを巡って競合し、イオン交換基の脱離反応が起こりにくくなる。
イオン交換基の脱離反応が起こりにくくなり、反応槽28内の使用済みイオン交換樹脂の分解速度が緩やかになると、反応槽28内の水W中の有機物成分の量の増加が緩やかになる。これに対応して、水W中の放射性核種の濃度の上昇も緩やかになる。したがって、反応槽28内の水W中の有機物成分の量の増加あるいは水W中の放射性核種の濃度の上昇が緩やかになった際にイオン交換基脱離工程S300を停止して、再生工程を行うことが好ましい。この場合、反応槽28の内部には、反応槽28内の水W中の全有機炭素濃度(以下「TOC濃度」という。)を測定するTOC濃度計あるいは、水W中で脱離された放射性核種の濃度を測定する溶存元素濃度測定器が備えられることが好ましい。
上記したように、有機物成分は、ギ酸や酢酸、イソ酪酸などであるため、再生工程は、これらの有機物成分を分解可能な方法で行う。有機物成分を分解する方法としては、水Wに、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、LEDランプ等を用いて紫外線を照射する方法、水Wに有機物を分解可能な酸化剤や、ラジカルを発生させる化合物を添加して、水W中の有機物成分を分解する方法が挙げられる。
有機物成分とラジカルを反応させる方法としては、水Wに、過酸化水素水及びオゾンを供給する方法等が挙げられる。水W中には、上記イオン交換基脱離工程S300でイオン交換基を脱離させるよりも過剰の鉄イオンが溶解されている。そのため、これに過酸化水素及びオゾンを添加すれば、ラジカルを発生させて、発生したラジカルによって有機物成分を分解することができる。この際の、過酸化水素水及びオゾンの供給量、処理温度の好ましい態様は、イオン交換基脱離工程S300と同様である。
このようにして再生された水Wは、再生槽から再度反応槽28へ供給することで、再度、イオン交換基脱離工程S300において用いることができる。
さらに、本実施形態の使用済みイオン交換樹脂の処理方法では、イオン交換基脱離工程S300で水Wから放出され、反応槽28の気相中に存在するオゾンを回収するオゾン回収工程を行ってもよい。オゾン回収工程は、イオン交換基脱離工程S300の後、あるいは、イオン交換基脱離工程S300と同時に行うことができる。
オゾン回収工程では、反応槽28内の水Wの上方の気相部分に存在する未反応のオゾンを、オゾン供給装置30に移送させ、オゾン供給装置30において発生させたオゾンと混合してオゾン濃度を調整した上で、反応槽28に供給する。この際、反応槽28から回収されたオゾンは、気水分離装置に通気して、オゾンに含まれる水分を除去した後に、オゾン供給装置30に送ることが好ましい。
また、オゾン回収工程において回収されたオゾンを、水Wの再生を行う再生槽に導入すれば、イオン交換基脱離工程S300における未反応のオゾンを水Wの再生に使用することができる。これにより、使用済みイオン交換樹脂100の処理効率を向上させることができる。
(コバルト脱離試験)
図3は、コバルトを吸着した使用済みイオン交換樹脂を、pH2以下の条件およびpH3以上の条件で、鉄化合物、過酸化水素及びオゾンを含む水溶液に浸漬させて、コバルト脱離試験を行ったときの、液相のpHとコバルト脱離率の関係を、溶解液のpHを横軸、コバルト脱離率(%)を縦軸として示すグラフである。
コバルト脱離試験は、次のように行った。試験用樹脂として、一般的に使用されている強酸性陽イオン交換樹脂を使用した。まず、試験用樹脂を硫酸コバルト溶液に浸漬し、コバルトを吸着させた。浸漬前後の液相中のコバルト濃度を測定することで試験用樹脂へのコバルト吸着量を算出した。
コバルトを吸着した試験用樹脂を反応槽に収容し、液固比(過酸化水素水の体積(mL)/試験用樹脂の質量(g))10mL/gで水に浸漬し、これに鉄イオン(塩化鉄(II))を添加した。鉄イオンは、pH調整剤により鉄クラッドが溶解した状態を模擬して、鉄換算で、2.0×10mg/Lの濃度で溶解させた。さらに、過酸化水素を、0.64mmol/mLの濃度となるように添加し、45mmol/hの流量でオゾンガスを供給して撹拌した。液相pHの調整は行わず、液相を72℃に加熱した。この際の液相中のコバルト濃度を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法によって測定し、上記コバルト吸着量を用い、下記式によってコバルト脱離率を求めた。
コバルト脱離率=(液相中のコバルト濃度/コバルト吸着量)×100(%)
図3に示されるように、pH2以下では、70%以上のコバルト脱離率を得られるのに対し、pH4では、イオン交換樹脂に吸着されたコバルトがほとんど脱離しないことが分かる。
以上、本実施形態の使用済みイオン交換樹脂の処理方法及び処理装置によれば、鉄化合物、過酸化水素及びオゾンを用いて使用済みイオン交換樹脂を分解するため、処理工程や処理装置を簡素化することができる。また、使用済みイオン交換樹脂を分解した後の溶解液を再生して再利用し、未反応のオゾンを、使用済みイオン交換樹脂の分解、及び溶解液の再生に用いれば、さらに、二次廃棄物である廃液の発生量を低減し、かつオゾン排気ガス量を低減することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…使用済みイオン交換樹脂の処理装置、11…第1のpH調整剤、12…過酸化水素、13…オゾン、14…第2のpH調整剤、15…沈殿物、22…貯水槽、23…粗分離装置、24…粗分離鉄クラッド貯蔵槽、25…溶解槽、26…第1のpH調整剤供給装置、28…反応槽、29…過酸化水素供給装置、30…オゾン供給装置、31…pH調整槽、32…第2のpH調整剤供給装置、33…イオン交換樹脂貯蔵槽、34…固液分離装置、35…鉄クラッド貯蔵槽、36…加熱器、37…貯留槽、100…使用済みイオン交換樹脂、S100…粗分離工程、S200…溶解工程、S300…イオン交換基脱離工程、S400…沈殿工程、S500…固液分離工程、W…水。

Claims (6)

  1. 鉄クラッドが混在するとともに、放射性核種又は重金属元素がイオン交換基に吸着された使用済みイオン交換樹脂を処理する、使用済みイオン交換樹脂の処理方法であって、
    前記鉄クラッドを前記使用済みイオン交換樹脂から粗分離する粗分離工程と、
    前記粗分離工程で前記鉄クラッドの粗分離された前記使用済みイオン交換樹脂を、酸性の液相中に浸漬させ、前記粗分離工程において残存した前記鉄クラッドを前記液相中に溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程で得られた前記液相に過酸化水素及びオゾンを添加して前記使用済みイオン交換樹脂から前記イオン交換基を脱離させるイオン交換基脱離工程と、
    前記イオン交換基脱離工程で得られた前記液相のpHを上昇させて沈殿物を生成させる沈殿工程と、
    前記沈殿工程後の前記液相を、前記沈殿物を含む固形分と前記固形分の除去された前記液相に分離する固液分離工程と、
    を備えることを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の処理方法。
  2. 前記粗分離工程において、前記使用済みイオン交換樹脂の表面に付着した前記鉄クラッドを、遠心分離法、超音波振動法又は重液分離法によって分離することを特徴とする請求項1記載の使用済みイオン交換樹脂の処理方法。
  3. 前記溶解工程における前記使用済みイオン交換樹脂の浸漬された前記液相のpHは2以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の使用済みイオン交換樹脂の処理方法。
  4. 前記沈殿工程において、前記液相のpHを3以上に調製することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の使用済みイオン交換樹脂の処理方法。
  5. 前記固液分離工程は、沈降分離方法、遠心分離法又はフィルタ分離法によって行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の使用済みイオン交換樹脂の処理方法。
  6. 鉄クラッドが混在するとともに、放射性核種又は重金属元素がイオン交換基に吸着された使用済みイオン交換樹脂を処理する、使用済みイオン交換樹脂の処理装置であって、
    前記鉄クラッドを前記使用済みイオン交換樹脂から粗分離する粗分離装置と、
    内部で、前記鉄クラッドの粗分離された使用済みイオン交換樹脂を酸性の液相中に浸漬させ、前記粗分離によって残存した前記鉄クラッドを前記液相中に溶解させる溶解槽と、
    前記溶解槽に、前記液相のpHを酸性に調製する第1のpH調整剤を供給する第1のpH調整剤供給装置と、
    内部で、前記pHの調製された前記液相と、過酸化水素とオゾンとを混合して前記使用済みイオン交換樹脂から前記イオン交換基を脱離させる反応槽と、
    前記反応槽に前記過酸化水素を供給する過酸化水素供給装置と、
    前記反応槽に前記オゾンを供給するオゾン供給装置と、
    内部で、前記イオン交換基の脱離された前記液相のpHを上昇させて沈殿物を生成させるpH調整槽と、
    前記pH調整槽に、前記液相pHを上昇させる第2のpH調整剤を供給する第2のpH調整剤供給装置と、
    前記pH調整槽内の前記液相を、前記沈殿物を含む固形分と前記固形分の除去された前記液相に分離する固液分離装置と
    を備えることを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の処理装置。
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