JP2000061423A - 廃棄物処理方法および廃棄物処理装置 - Google Patents

廃棄物処理方法および廃棄物処理装置

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JP2000061423A JP10230549A JP23054998A JP2000061423A JP 2000061423 A JP2000061423 A JP 2000061423A JP 10230549 A JP10230549 A JP 10230549A JP 23054998 A JP23054998 A JP 23054998A JP 2000061423 A JP2000061423 A JP 2000061423A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高圧媒体を用いた廃棄物処理において
は、廃棄物中の無機物が反応器内に析出し、これが容器
口を閉塞してしまうなどのトラブルの原因となる。本発
明はこの問題の解決手段を提供する。 【解決手段】 有機廃棄物と媒体との混合物を超臨界状
態で所定の時間保持し、有機廃棄物に含まれる有機物の
全部または大部分を低分子量化する低分子量化工程と、
低分子量化工程で生成した生成物を酸化剤と混合し亜臨
界状態で所定の時間保持し酸化する酸化工程とを有する
廃棄物処理方法。有機廃棄物あるいは無機廃棄物と媒体
との混合物を超臨界状態で所定の時間保持しこの有機廃
棄物に含まれる有機物あるいはこの無機廃棄物に含まれ
る無機物を分解する廃棄物処理方法において、媒体の水
素イオン濃度が前記媒体1kgに対して10-4モル以上
である廃棄物処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機廃棄物の処理方
法および処理装置、及び無機廃棄物の処理方法および処
理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題に対応し、ポリ容器
やポリ塩化ビニルなどの樹脂や、放射性物質を含む有機
廃棄物の処理が大きな問題となっている。一般的に有機
廃棄物は焼却処理されているが、こうした処理方法で
は、ダイオキシン、窒素酸化物などの有毒物質を発生し
たり、これら有毒物質を回収するために大規模な装置を
要したりするなど問題が多い。
【0003】また、原子力の分野の無機廃棄物は、放射
性物質の他に硝酸ナトリウム塩を多量に含む。これらは
固化体として地下に位置する処分場に埋設される。近
年、地下環境について研究が進み、地下は酸素分圧が低
く還元性雰囲気であり、硝酸イオンがアンモニアとなる
恐れが報告されている。その結果、プルトニウム等の核
物質、ニッケル等の処分評価上重要な核種が、アンモニ
アと錯体を形成し、固化体中から溶出する可能性が指摘
されている。
【0004】近年、有機物を分解する方法として、水の
臨界点(温度374℃、圧力22.1MPa)を超える
高温高圧下の水(超臨界水)を用いる方法が注目されて
いる。
【0005】超臨界状態とは、個々の化合物に固有の物
理量である臨界温度と臨界圧力以上の温度と圧力下にあ
る物質の状態をいい、この状態にある物質を超臨界流体
と称する。
【0006】有機物と水と酸素含有流体を混合し、水の
臨界点を超える超臨界状態で、有機物を酸化分解する方
法が知られている(「臨界超過水中における有機物酸化
法」、特願昭56−68414、登録番号155186
2)。超臨界水は、液体と気体の中間の性質をもち有機
物や酸素と任意に混合するため、短時間で効率的に有機
物を酸化分解できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、超臨界
状態では、無機物の溶解度が著しく小さいため、有機廃
棄物に含まれる無機物が反応器表面に析出し、反応器を
閉塞してしまうなどの問題が生じる。無機物の酸化物は
特に溶解度が小さく、こうしたトラブルの原因となりや
すい。
【0008】例えば、原子力発電所で発生する廃棄物を
処理する場合には、放射性物質が析出するため、取り扱
いが容易でなく、廃棄物処理装置の保守点検に多大なコ
ストがかかる。
【0009】したがって、超臨界状態を利用して、無機
物を析出させることなく有機廃棄物を分解する方法や装
置の開発が待たれている。
【0010】また、上述したように、固化体中にアンモ
ニアが存在するとプルトニウムのような核物質が固化体
から溶出する可能性がある。したがって、無機物のみを
含む廃棄物を処理する場合であっても、廃棄物中の硝酸
イオンや硝酸塩を窒素とすることで、固化体中への硝酸
イオンの混入を防げる廃棄物処理方法及び装置の開発が
待たれていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上より、本発明は、従
来の技術が有する課題を解決するためになされたもの
で、有機廃棄物や無機廃棄物を短時間で効率的に分解す
る方法と装置を提供することを目的とする。
【0012】また、本発明は、無機物を析出させること
なく有機廃棄物や無機廃棄物を分解する方法と装置を提
供することを目的とする。
【0013】なお、本発明においては、亜臨界状態と
は、臨界状態より温度が低い場合、圧力が低い場合、温
度と圧力の両方が低い場合のいずれをも含む概念であ
る。
【0014】本発明の請求項1記載の廃棄物処理方法
は、有機廃棄物と媒体との混合物を超臨界状態で所定の
時間保持し、前記有機廃棄物に含まれる有機物の全部ま
たは大部分を低分子量化する低分子量化工程と、前記低
分子量化工程で生成した生成物を酸化剤と混合し亜臨界
状態で所定の時間保持し酸化する酸化工程とを有するこ
とを特徴とする。
【0015】この方法によれば、あらかじめ超臨界状態
において酸化剤の非存在下で有機物を低分子量化した後
に、無機物が析出しがたい亜臨界条件で酸化剤を添加し
て有機物を分解するため、有機物を効率良く分解しかつ
無機物の析出を防ぐことができる。
【0016】有機廃棄物としては特に限定されないが、
例えば、紙、ウエス、活性炭、アスファルト、各種樹脂
等がある。有機廃棄物が硝酸塩、硫酸塩、塩化物、燐酸
塩、もしくは珪酸塩、またはこれらの2種以上を含んで
もよい。
【0017】有機廃棄物の中には、砂、砂利、石ころ等
の不溶性物質を含むものもある。
【0018】また、樹脂の中には、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、PET樹脂、各種イオン交換樹脂等の無機
添加物や有機金属塩添加物を含まないものと、塩化ビニ
ル、シリコーン、繊維強化プラスチック(FRP)等の
無機添加物や有機金属塩添加物を含むものがある。
【0019】無機添加物としては、鉛塩やSn塩等の安
定剤、CaCOやSiOのような充填剤、Al
(OH)、Sb、MgO等の難燃剤、導電用
あるいは補強用のカーボンなどがある。有機金属塩添加
物としては、例えば、ステアリン酸鉛がある。
【0020】有機廃棄物が多量の夾雑物や、無機添加物
や有機金属塩添加物を含む場合には、無機物の析出を防
ぐため、一度に処理する量を減らすことが望ましい。あ
るいは、前記低分子量化工程と酸化工程の間に、前記有
機廃棄物に含まれていた不溶性の夾雑物を分離する分離
工程を設けることもできる。こうした構成にすれば、上
述のような有機廃棄物が多量の不溶性夾雑物や、無機添
加物や有機金属塩添加物を含んでいても、超臨界状態で
の処理の後に、これらの夾雑物等を除去してから、亜臨
界状態で酸化剤を添加して有機物を酸化するため、有機
物を効率良く分解しかつ亜臨界状態での無機物の析出を
防ぐことができる。一度に処理する量を減らす必要もな
い。
【0021】また、好ましくは、媒体の水素イオン濃度
を前記媒体1kgに対して10-4モル以上にする。無機
物の溶解度を高め、無機物の析出をさらに減少させるた
めである。
【0022】請求項2記載の廃棄物処理方法は、有機廃
棄物と媒体との混合物を超臨界状態で所定の時間保持し
前記有機廃棄物に含まれる有機物を分解する廃棄物処理
方法において、前記媒体の水素イオン濃度が前記媒体1
kgに対して10-4モル以上であることを特徴とする。
【0023】この方法によれば、媒体の水素イオン濃度
を前記媒体1kgに対して10-4モル以上とすること
で、無機物の析出を防ぐことができる。
【0024】媒体が酸化剤を含んでもよい。
【0025】上述の請求項1記載の廃棄物処理方法と同
様な有機廃棄物を処理対象とできるが、有機廃棄物が酸
化物を含んでもよい。本廃棄物処理方法によれば、効率
良くこうした物質を処理できるからである。
【0026】請求項3記載の廃棄物処理方法は、無機廃
棄物と媒体との混合物を超臨界状態で所定の時間保持
し、前記無機廃棄物に含まれる無機物を分解する廃棄物
処理方法において、前記媒体の水素イオン濃度が前記媒
体1kgに対して10-4モル以上であることを特徴とす
る。
【0027】超臨界状態の媒体中では無機物は効率良く
分解される。また、本廃棄物処理方法によれば、媒体1
kg当たり水素イオン濃度が10-4モルとなるように調
整されているため、分解された無機物が析出することな
く流体中に存在できる。
【0028】処理対象としては、無機物のみを含む廃棄
物が好ましく、例えば、α廃棄物を含む固化体を処理す
ることもできる。無機廃棄物が硝酸または硝酸塩を含ん
でもよい。しかし、これに限られるものではなく、有機
物をいくらか含む廃棄物を対象としてもよい。
【0029】媒体が酸化剤を含んでもよい。
【0030】本発明の請求項1から3のいずれか1項記
載の廃棄物処理方法においては、媒体を超臨界状態とす
る媒体超臨界化工程と、超臨界状態とされた前記媒体と
前記有機廃棄物あるいは無機廃棄物との混合物を得る混
合工程とを設けてもよい。超臨界状態の媒体に連続的に
有機廃棄物あるいは無機廃棄物を供給することで、連続
的に廃棄物処理を行うことができ効率がよく好ましい。
【0031】もちろん、媒体と有機廃棄物あるいは無機
廃棄物を混合してから、得られた混合物を加熱・加圧し
て超臨界状態としてもよい。
【0032】媒体としては、水、二酸化炭素、もしくは
炭化水素、またはこれらの2種以上の混合物が好ましく
用いられる。
【0033】一般に超臨界状態の媒体中では、常温常圧
においては気体や液体の物質も、任意の割合に均一に混
合することができる。また、超臨界状態の媒体中では、
液体溶媒を用いた場合と比較して、高い物質移動速度が
期待できる。したがって、本発明の超臨界状態の媒体と
しては、上述のような特性を持つ水、二酸化炭素、炭化
水素を、処理対象に合わせて使うことができる。
【0034】また、これらを混合することにより、媒体
の臨界点を変えることができる。
【0035】酸化剤としては、酸素、空気、過酸化水
素、もしくはオゾン、またはこれらの2種以上を、前記
有機廃棄物あるいは無機廃棄物を完全に酸化するのに必
要な化学量論量の1倍以上使用することが好ましい。さ
らに好ましくは、化学量論量の1.2倍〜10倍使用す
る。
【0036】水素イオン濃度を調節する際には、無機酸
を使用することが望ましく、硫酸や塩酸が好ましく用い
られる。しかし、例えば、硝酸のように、高熱で熱分解
する酸は使用に適さない。
【0037】請求項15記載の廃棄物処理装置は、超臨
界状態の媒体中で、有機廃棄物に含まれる有機物の全部
または大部分を低分子量化させるための反応器と、前記
反応器に前記有機廃棄物を供給するための有機廃棄物供
給手段と、前記反応器に前記媒体を供給するための媒体
供給手段と、前記反応器で生成した生成物を亜臨界状態
で酸化するための酸化反応器と、前記酸化反応器に酸化
剤を供給するための酸化剤供給手段と、前記酸化反応器
で生じた生成物の流体を回収するための回収手段とを有
することを特徴とする。
【0038】請求項16記載の廃棄物処理装置は、超臨
界状態の媒体中で有機廃棄物に含まれる有機物の全部ま
たは大部分を低分子量化させ、次いで亜臨界状態で生成
物を酸化剤と混合して酸化させるための反応器と、前記
反応器に前記有機廃棄物を供給するための有機廃棄物供
給手段と、前記反応器に前記媒体を供給するための媒体
供給手段と、前記反応器に酸化剤を供給するための酸化
剤供給手段と、前記反応器で生成した生成物の流体を回
収するための回収手段とを有することを特徴とする。
【0039】請求項17記載の廃棄物処理装置は、請求
項15または16記載の廃棄物処理装置において、前記
反応器内の水素イオン濃度を調整するための調整手段を
設けたことを特徴とする。
【0040】請求項20記載の廃棄物処理装置は、超臨
界状態の媒体中で、有機廃棄物に含まれる有機物を分解
するための反応器と、前記反応器に前記有機廃棄物を供
給するための有機廃棄物供給手段と、前記反応器に前記
媒体を供給するための媒体供給手段と、前記反応器内の
水素イオン濃度を調整するための調整手段と、前記反応
器で生成した生成物の流体を回収するための回収手段と
を有することを特徴とする。
【0041】請求項15,16、および20のいずれか
1項記載の廃棄物処理装置は、前記反応器へ供給する媒
体に中性塩を添加するための中性塩添加装置を有しても
よい。
【0042】前記反応器に、内容物に紫外線または放射
線を照射するための手段を設けてもよい。
【0043】前記液体処理手段に、液体中の酸を中和す
るための中和手段を設けてもよい。請求項21記載の廃
棄物処理装置は、超臨界状態の媒体中で無機廃棄物に含
まれる無機物を分解するための反応器と、前記反応器に
前記無機廃棄物を供給するための無機廃棄物供給手段
と、前記反応器に前記媒体を供給するための媒体供給手
段と、前記反応器内の水素イオン濃度を調整するための
調整手段と、前記反応器で生成した生成物の流体を回収
するための回収手段とを有することを特徴とする。
【0044】請求項25記載の廃棄物処理装置は、請求
項20または21記載の廃棄物処理装置において、前記
反応器に酸化剤を供給するための酸化剤供給手段を設け
たことを特徴とする。
【0045】請求項17、20および21のいずれか1
項記載の廃棄物処理装置は、前記調整手段が無機酸と媒
体を所定の水素イオン濃度となるように混合して反応器
に供給するように構成されてもよい。
【0046】前記調整手段が、前記反応器に無機酸を供
給するための酸供給手段と、前記反応器内の水素イオン
濃度を計測するための水素イオン濃度計測手段と、前記
水素イオン濃度計測手段からの信号に基づいて、計算量
の無機酸を前記酸供給手段から前記反応器内へ供給させ
る制御手段とを有するように構成してもよい。
【0047】前記無機酸として、硫酸および塩酸の少な
くとも一方を用いることが望ましい。
【0048】請求項17または25記載の廃棄物処理装
置において、前記調整手段が前記有機廃棄物あるいは無
機廃棄物の種類および前記酸化剤の供給量に応じて前記
水素イオン濃度を調整するように構成してもよい。多種
多様の廃棄物を効率良く処理でき好ましい。
【0049】請求項15,16、20および21のいず
れか1項記載の廃棄物処理装置は、前記反応器に、前記
有機廃棄物あるいは無機廃棄物に含まれていた不溶性の
夾雑物を分離する分離手段を備えてもよい。
【0050】前記反応器内の媒体の状態を検知するため
の手段を具備することが好ましい。反応器内の媒体が超
臨界状態であるかどうかを、正確に把握し、最適の状態
で廃棄物を処理するためである。例えば、前記反応器内
の温度および圧力を計測する手段を設ければ、媒体の状
態を知ることができる。反応器内の温度および圧力を直
接測定する代わりに、反応器に供給する前の媒体と廃棄
物の混合物の温度および圧力を測定してもよい。
【0051】前記有機廃棄物あるいは無機廃棄物供給手
段、及び前記媒体供給手段に、それぞれ有機廃棄物ある
いは無機廃棄物、および媒体を加圧するための加圧手段
と予熱するための予熱手段を設置し、前記回収手段に、
前記反応器で生成した流体を減圧するための減圧手段と
冷却するための冷却手段を設置してもよい。酸供給手段
や酸化剤供給手段を有する場合には、酸や酸化剤を加圧
するための加圧手段と予熱するための予熱手段を設置し
てもよい。こうした構成により、廃棄物等を連続的に供
給・回収して、処理することができるため、処理効率を
向上させる事ができる。
【0052】前記酸化剤として、酸素、空気、過酸化水
素、もしくはオゾン、またはこれらの2種以上を、前記
有機廃棄物あるいは無機廃棄物を完全に酸化するのに必
要な化学量論量の1倍以上使用することが好ましい。好
ましくは、1.2倍から10使用する。
【0053】前記有機廃棄物あるいは無機廃棄物供給手
段の少なくとも一部を覆う覆い手段を設けることが好ま
しい。例えば、前記有機廃棄物あるいは無機廃棄物供給
手段の少なくとも一部をグローブボックスまたはフード
内に設置することが好ましい。
【0054】前記覆い手段は防爆性を有することがさら
に好ましい。
【0055】前記回収処理手段が、気液分離手段、気体
処理手段、および液体処理手段を有することが好まし
い。
【0056】前記気体処理手段が、気体中の固形成分、
放射性物質や有害物質を除去するためのフィルタと、気
体中の放射性物質や有害物質を回収するためのスクラバ
ーとを有することがさらに好ましい。
【0057】さらに、前記スクラバーに使用される溶液
として、水、水酸化ナトリウムを含むアルカリ溶液、も
しくは還元剤を含む水のうち少なくとも1種を用いるこ
とが好ましい。
【0058】前記液体処理手段は、液体を採取して分析
するための手段を具備することが好ましい。
【0059】前記液体処理手段は、液体を攪拌するため
の攪拌手段を有することが好ましい。
【0060】前記液体処理手段は、液体を冷却するため
の手段を有することが好ましい。
【0061】前記液体処理手段は、液体中の無機イオン
を凝集させて沈澱させる手段を有することが好ましい。
【0062】前記液体処理手段は、液体中の固体成分を
分離するための手段を有することが好ましい。
【0063】前記液体処理手段は、液体中のイオン成分
を除去するためのイオン交換手段を有することが好まし
い。
【0064】前記液体処理手段は、液体を抽出剤と接触
させて液体中の無機イオンを抽出回収するための抽出回
収手段を有することが好ましい。
【0065】前記抽出剤として、中性有機リン化合物ま
たは酸性有機リン化合物の少なくともいずれか一方を用
いることが好ましい。
【0066】前記抽出剤の希釈剤として二酸化炭素を用
いることが好ましい。
【0067】前記液体処理手段には、液体やスラッジを
乾燥させるための乾燥手段を有することが好ましい。
【0068】前記液体処理手段には、液体やスラッジを
固化させるための固化手段を有することが好ましい。
【0069】前記固化手段は、液体もしくはスラッジま
たはこれらの混合物と固化剤との混練物を容器内で固化
させることが好ましい。
【0070】このように、本発明によれば、超臨界状態
の媒体を利用して、有機廃棄物あるいは無機廃棄物を処
理するにあたり、無機物の析出を効果的に防ぎ、かつ多
量の廃棄物を効率良く処理できるため、装置の建設費や
ランニングコストを大幅に低減することができる。
【0071】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を実施
例に基づき具体的に説明する。
【0072】以下の実施例あるいは図面の説明において
同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略
する。
【0073】図1に本発明の実施例1のプロセス図を示
す。図2は従来例のプロセス図である。
【0074】図2に示すように、従来の方法では、媒体
超臨界化工程1において媒体である水を超臨界状態とす
る。混合工程2においてこの超臨界状態の水へ、硫酸塩
を含む有機廃棄物を加える。得られた混合物を超臨界分
解工程6において、水の臨界点を超える高温高圧下で酸
化剤と共に所定時間保持する。硫酸塩を含む有機廃棄物
は、超臨界状態の水中で酸化分解される。
【0075】生成した分解ガスと分解液、および有機廃
棄物に含まれていた硫酸塩などの無機物(酸化物など)
は、回収工程5に送られ、有害物を回収され、固化等の
処理を受ける。
【0076】これに対して、実施例1の方法では、媒体
超臨界化工程1において媒体である水を超臨界状態とす
る。混合工程2においてこの超臨界状態の水へ、硫酸塩
を含む有機廃棄物を加える。
【0077】なお、超臨界状態とした媒体と有機廃棄物
を混合する代わりに、まず媒体と有機廃棄物を混合して
から、混合物を加温加熱して媒体を超臨界状態としても
よい。
【0078】得られた混合物を低分子量化工程3におい
て、酸化剤なしで超臨界状態の水中に所定時間保持し、
硫酸塩を含む有機廃棄物に含まれる有機物の全部または
大部分を低分子量化する。
【0079】次いで、酸化工程4においては、低分子量
化工程で生成した生成物を酸化剤と混合し、亜臨界状態
で所定の時間保持する。
【0080】生成した分解ガスと分解液、および有機廃
棄物に含まれていた硫酸塩などの無機物(イオン)は、
回収工程5に送られ、有害物を回収され、固化等の処理
を受ける。
【0081】従来の方法では、有機廃棄物に含まれる有
機物を効率良く酸化分解することができるが、有機廃棄
物中に無機物が含まれている場合には、超臨界状態では
亜臨界状態と比較して無機物が酸化物などを形成して析
出しやすかった。
【0082】鉛を例にとり説明する。図3は、超臨界、
亜臨界条件での酸化鉛の溶解度を示すグラフである(化
学工学会第63回年会、東北大学工学部、陶他「亜臨
界、超臨界水中における金属酸化物の溶解度測定」)。
374℃以上の超臨界領域での酸化鉛の溶解度は小さ
く、450℃では、0.5x10-3mol/kgとな
る。しかし、亜臨界領域では溶解度が上昇し、0.5x
10-2mol/kgと、約10倍になる。溶解度は酸素
が共存すると更に小さくなる傾向がある。
【0083】したがって、無機添加物や有機金属塩添加
物を含む有機廃棄物を、従来のように酸化剤の存在下で
超臨界状態で処理すると、無機添加物や有機金属塩添加
物等に含まれる無機物が酸化物として析出する。
【0084】本実施例においては、低分子量化工程にお
いては酸化剤が存在しないため、有機廃棄物に含まれて
いた硫酸塩などの無機物は酸化されず、したがって、無
機酸化物等の析出を防ぐことができる。
【0085】その後に、亜臨界状態で酸化剤を加えて酸
化することで、有機物を効率良く分解することができ
る。
【0086】有機物を酸化剤と混合して酸化する前に、
水と混合して超臨界状態で反応させると、有機物内に存
在する結合エネルギーの小さい結合が選択的に熱分解ま
たは加水分解され、高分子量の有機物を低分子量化でき
る。次に、低分子量化された有機物に酸化剤を添加して
亜臨界状態で反応させれば、有機物の分子量が小さいた
め酸素と反応する速度が速く、短時間で酸化することで
きる。
【0087】したがって、有機廃棄物を超臨界状態で所
定の時間反応させた後に、亜臨界状態で所定の時間保持
することで、有機廃棄物を効果的に分解でき、かつ無機
物の析出を防ぐこともできる。
【0088】実施例1においては、酸化剤として過酸化
水素を使用したが、特にこれに限定されるものではな
い。酸素、空気、もしくはオゾン、または酸素、空気、
過酸化水素、オゾンの2種以上等を、使用することがで
きる。
【0089】有機物は一般的にラジカルと反応して分解
する。特に有機物に対して活性なラジカルはヒドロキシ
ラジカル(・OH:以下OHラジカル)である。OHラ
ジカルは25℃の酸性溶液中ではI式のような酸化還元
電位をもちオゾンよりも強力な酸化剤である。
【0090】 OH・+H+ +e- →H2 O 2.85V.vs. NHE …I そのため、有機物を効果的に分解するにはOHラジカル
の生成が大きな鍵となる。
【0091】超臨界水中で水と酸素は反応し、II式に示
すようなOHラジカルとヒドロペルオキシラジカル(・
OOH)を生成する。
【0092】 H2 O+O2 →HO2 ・+OH・ …II Baulchらは500℃におけるII式の反応速度定数を10
-10.5 mol/s と大変遅いと報告している(酸素0.00
631mol 水6.31mol )。さらに、ヒドロペルオキ
シラジカルはIII 式のように反応して過酸化水素と酸素
を生成しさらにIV式のように分解してOHラジカルを生
成する。
【0093】 HO2 ・+HO2 ・→H2 2 +O2 …III H2 2 →2OH・ …IV 一般的にラジカル同士の反応は速く、過酸化水素の分解
反応は100℃以上の温度で容易におこるため、III 、
IV式の反応速度は速いと考えられる。
【0094】超臨界水中で酸素を用いて有機物を分解す
る場合、II式の反応が律速になるため、過酸化水素を添
加して直接OHラジカルを生成させると、効果的に有機
物の分解反応を起こすことができる。
【0095】以下に、実施例1の方法によりポリエチレ
ンを分解した結果を示す。
【0096】硫酸セリウムが2mg付着したポリエチレ
ン10mgと水2mlを、反応器(5.6ml)に加
え、400℃、30MPaで30分反応させた。
【0097】反応後、常温常圧に戻して測定すると、最
初に固体として存在したポリエチレンの99%以上が熱
分解して、c=1〜30のアルカン類とアルケン類とな
り、気体または液体中に存在していた。
【0098】続いて、過酸化水素0.3gと水1.6g
(全体で3.6gになるように)を加え、350℃、3
0MPaで60分保持した。反応後、常温常圧に戻し、
気体及び液体中の有機体炭素量を測定すると、99%以
上の有機物が酸化されて分解していた。
【0099】反応後、常温常圧に戻し、分解液を濾過
し、濾液中のセリウムをICP(Inductively Coupled P
lasma Spectroscopy) で測定した。また、ろ紙を酸で溶
解して同様にICPでセリウムを測定したところ、沈殿
物がないことが確認された。したがって、セリウムはす
べてイオンの形で存在し、酸化物として沈殿していない
ことが解った。
【0100】比較のために、従来のように、酸化剤の存
在下にポリエチレンを超臨界水中で分解した。
【0101】硫酸セリウムが2mg付着したポリエチレ
ン10mg、水2ml、過酸化水素0.3gを、反応器
(5.6ml)に加え、400℃、30MPaで30分
反応させた。
【0102】その結果、99%以上のポリエチレンが酸
化・分解され、二酸化炭素と水を生成した。セリウムの
半分は酸化物として沈殿した。
【0103】以上より、実施例1の方法によれば、無機
物を析出させることなく、有機廃棄物を効率良く分解で
きることが解った。
【0104】(実施例2)実施例2の方法では、図2に
示す従来の媒体超臨界化工程1において、水1kgに対
し水素イオンが10-4モル以上となるよう無機酸を加え
たものを超臨界状態とし、その後の工程で超臨界媒体と
して使用する。
【0105】Smith らは硝酸廃液中の金属元素が高温高
圧下でV式に示すように加水分解し、その後,VI式に
示すように熱分解し最終的に酸化物になると報告してい
る。
【0106】また、V式で生成した硝酸が熱分解して酸
素を発生するため、酸化物が形成されやすくなる。
【0107】 M(NO3 n +nH2 O → M(OH)n +nHNO3 …V M(OH)n → MOm …VI こうした加水分解を防ぐには、酸を添加してV式の平衡
を左に移動させる必要がある。
【0108】水中の水素イオン濃度は、水のイオン積と
密接な関係をもつ。図4に温度および圧力を変化させた
場合の水のイオン積の変化を示す。
【0109】例えば、圧力が25MPaでは、水のイオ
ン積は300℃付近で最も大きく10-11 (mol/k
g)2 となる。そのため酸などが共存しない場合の超臨
界水中の水素イオン濃度は、3.3×10-6mol/k
gとなる。また、374℃以上の超臨界水の条件では水
のイオン積は10-11 (mol/kg)2 より小さくな
り、特に600℃では、10-24 (mol/kg)2
なる。そのため600℃での水素イオン濃度は、10
-12 mol/kgと、300℃に比べて極端に小さくな
る。
【0110】従来、超臨界水を用いて有機物を分解する
場合には、高温でかつ比較的低圧な条件(例えば600
℃、25MPa)を用いることが多かった。したがっ
て、無機物を含む有機物に水のみを加えて高温で反応さ
せると、反応器中の水素イオン濃度が極端に小さくな
り、V式の平衡を右に移動させ、無機物が酸化物として
析出した。
【0111】超臨界水中のイオン濃度を増加させるため
には、イオン積を増加させる必要がある。図4に示すよ
うに、イオン積は圧力の上昇に伴って増加する傾向があ
るが、実用上使用できる圧力は50MPa以下と考えら
れる。
【0112】例えば350℃、50MPaでは、イオン
積は10-12 (mol/kg)2 となり、常温常圧での
イオン積10-14 (mol/kg)2 に比べて100倍
大きい値となるが、水素イオン濃度は10-6mol/k
g程度である。このように、温度と圧力を選択すること
では、超臨界水中の水素イオン濃度を極端に増加させら
れないため、本実施例においては、超臨界水中に酸を添
加することによって、水素イオン濃度を調整し、無機物
の析出を防ぐこととした。
【0113】本実施例の方法により、超臨界水中に酸を
添加して、無機物が析出しない条件を検討した。
【0114】水の水素イオン濃度が、10-4mol/k
gとなるように、5×10-5モルの硫酸を添加し媒体と
した。
【0115】得られた媒体と硝酸セリウム(セリウムと
して1mg)を混合し、400℃、25MPaで30分
反応させた。反応後、常温常圧に戻し、分解液を濾過
し、濾液中のセリウムをICPで測定した。また、ろ紙
を酸で溶解して同様にICPでセリウムを測定し、沈殿
物の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0116】また、従来例として、硫酸を加えず水のみ
を媒体として使用した結果と、硫酸を水1kgに対し5
×10-6モル、即ち水素イオン濃度にして10-5mol
/kgを添加した媒体を使用した結果とを併せて記す。
【0117】表1から明らかなように、従来例でセリウ
ムは100%が酸化セリウムとして沈殿したのに対し、
5×10-5モルの硫酸を添加すると、沈殿率は0%とな
り、セリウムの全量が溶解した状態で液中に残存した。
また、5×10-6モルの硫酸を添加した場合は、70%
のセリウムが沈殿した。
【0118】以上より、水素イオン濃度として10-4
ol/kgとなるように酸を添加すると、セリウムが沈
殿しないことがわかった。
【0119】
【表1】 無機物は酸素が存在すると酸化されて酸化物となる。そ
こで、本実施例の方法において、媒体中に酸化剤が存在
する場合に、無機物を析出させることなく有機物を分解
できる条件を調べた。
【0120】図5に硝酸セリウム(セリウムとしてlm
g)に水、硫酸および酸化剤を添加し、400℃、30
MPaで30分反応させた結果を示す。
【0121】硫酸は水1kgに対し、5×10-3モル添
加した。ICPで測定したところ、セリウムは酸化剤添
加量の増加に伴って沈殿した。特に酸化剤を化学量論量
(セリウムが二酸化セリウムになると仮定)の600倍
(過酸化水素を0.3g)添加すると97%のセリウム
が沈殿した。
【0122】したがって、酸化剤が存在する場合は、酸
化剤添加量の増加に伴って、酸の添加量を増加させる必
要があることがわかった。
【0123】表2に硝酸セリウム(セリウムとしてlm
g)に酸化剤を化学量論量の4倍添加し、400℃、3
0MPaで30分反応させた結果を示す。水に対して硫
酸を5×10-2mol/kg添加するとセリウムの沈殿
率は0%になった。
【0124】したがって、酸化剤の存在下では水1kg
に対して硫酸を5×10-2mol(水素イオン濃度にし
て、10-1モル/kg)添加する必要があることがわか
った。
【0125】
【表2】 以上により、酸化剤が存在する場合は、媒体1kgに水
素イオン濃度にして10-1モルの酸を添加すると、無機物
を析出させることなく有機物を分解できることがわかっ
た。
【0126】さらに、本実施例の方法において、有機物
廃棄物に硝酸塩以外の無機酸が含まれている場合を検討
した。
【0127】セリウムの硝酸塩、硫酸塩、塩化物、リン
酸塩および酸化物(それぞれセリウムとしては1mg)
のそれぞれに、酸化剤を化学量論量の4倍添加したもの
を処理対象とした。水に対して硫酸を5×10-2mol
/kg添加したものを媒体として、それぞれの処理対象
を400℃、30MPaで30分反応させた。
【0128】表3に結果を示す。
【0129】硝酸塩、硫酸塩、塩化物およびリン酸塩の
場合には、ICPで測定したところ、水中にイオンとし
て存在するセリウムの量が100%となり、セリウムの
沈殿率は0%となった。また、最初に固体で存在してい
た酸化物の50%が液中に溶解しており、酸化物でも少
量であれば液中に回収できることがわかった。
【0130】
【表3】 以上より、本実施例の方法によれば、硝酸塩だけでな
く、硫酸塩、塩化物、リン酸塩や酸化物が含まれていて
も無機物を析出させることなく有機物を分解できること
がわかった。
【0131】例えば、プルトニウムの酸化物を含む有機
廃棄物を処理する場合は、液中にプルトニウムをイオン
として回収できるため、プルトニウムで汚染された有機
廃棄物(例えば、ウエス、グローブ)を非α廃棄物(α
線を放出しない元素のみを含む廃棄物)とすることがで
き、処分コストを低減することができ好ましい。
【0132】さらに、本実施例の方法において、媒体の
水素イオン濃度を調整するための無機酸として、硫酸、
塩酸を使用して、無機物を析出させることなく有機廃棄
物の処理ができるかどうかを検討した。
【0133】硝酸セリウム(セリウムとしてlmg)に
酸化剤を化学量論量の4倍添加し、水1kgに対して硫
酸5×10-2molを添加したもの、塩酸1×10-1
olを添加したもの、硝酸1×10-1molを添加した
ものを媒体として、それぞれ400℃、30MPaで3
0分反応させた結果を表4に示す。
【0134】ICPで測定したところ、硫酸、塩酸では
セリウムの沈殿は見られなかったが、硝酸を添加すると
100%のセリウムが沈殿した。硝酸は高温では熱分解
するため、水素イオン濃度が水1kgに対し10-4グラ
ムイオン以下となり、無機物の溶解度が下がり沈殿した
ものと考えられた。
【0135】以上より、硫酸や塩酸を無機酸として用い
れば、無機物を析出させることなく有機廃棄物を分解で
きることが解った。
【0136】
【表4】 (実施例3)図6に本実施例の廃棄物処理装置の概略を
示す。
【0137】本実施例の廃棄物処理装置は、有機廃棄物
を水の超臨界状態で処理するための反応器7と、反応器
7に有機廃棄物を投入するための有機廃棄物供給装置8
と、反応器7に媒体である水を供給するための水供給装
置9と、反応器7で生成した低分子量有機物を酸化し、
さらに分解するための酸化反応器10と、酸化反応器1
0に酸化剤を供給するための酸化剤供給装置11と、酸
化反応器10からの生成物を回収するための回収装置1
2からなる。
【0138】回収装置12は気液分離器15、気体処理
装置16、液体処理装置17を有する。
【0139】液体処理装置17は液体スラッジを乾燥す
る乾燥器18と固化する固化器19を有する。
【0140】本実施例においては、反応器7と酸化反応
器10を別に設け、パイプ等で両者を結び、反応器7で
生成した生成物を酸化反応器10に送るように構成した
が、1つの容器を邪魔板等で2室に分けた構造としても
よい。また、圧力や温度を適当に調整すれば、1つの容
器を反応器7と酸化反応器10として使用することもで
きる。
【0141】処理対象としては特に限定されない。樹脂
等を含む有機廃棄物、放射線物質で汚染された有機廃棄
物等、様々な有機廃棄物を処理することができる。
【0142】砂、砂利等の不溶性の夾雑物をふくむ有機
廃棄物や、無機添加剤や有機金属塩添加剤を含む樹脂等
の有機廃棄物を処理する場合には、超臨界状態で有機物
を低分子量化してから、亜臨界状態で酸化・分解を行っ
ても、無機物の析出を充分に防げないことがある。
【0143】こうした場合には、一度に処理する有機廃
棄物の量を少なくすることが望ましい。また、図7に示
すように反応器7の下部に分離器20を設けて、超臨界
状態で析出した無機物を、重力や慣性を利用して除去し
てもよい。そうすれば、亜臨界状態での無機物の析出を
防げる。
【0144】分離器20は、図7に示すように、反応器
7の内部に設けてもよいし、反応器7と酸化反応器10
との間に別に設けてもよい。
【0145】本実施例では、超臨界媒体として水を使用
したが、特にこれに限定されるものではなく、二酸化炭
素、各種炭化水素、あるいはこれらの混合物を使用して
もよい。
【0146】図8は、水と炭化水素類との混合物の臨界
点を示す臨界曲線である。水の臨界点は、374℃、2
2MPaであるが、図8において、例えば水−べンゼン
系では、2成分を特定の割合で混合することにより、臨
界点を300℃以下にまで下げることができる。したが
って、水、二酸化炭素、炭化水素の混合物を媒体として
用いれば、超臨界状態を維持しつつ、より低温、低圧の
マイルドな条件で有機廃棄物を処理することが可能とな
る。図中、a:水ーベンゼン、b:ベンゼンー重水、c:水ー
トルエン、d:水ーoーキシレン、e:水ー1,2,5- ト
リメチルベンゼン、f:水ーシクロベンゼン、g:水ーエタ
ン、h:水ーnーブタン、i:水ーナフタレン、j:水ービフ
ェニルである。本実施例では酸化剤として、過酸化水素
を使用しているが、特にこれに限定されるものではな
く、酸素、空気、もしくはオゾン、または、酸素、空
気、過酸化水素、もしくはオゾンの2種以上を混合した
ものでもよい。
【0147】過酸化水素を使用すると、効率よく有機物
を分解できるので好ましい。
【0148】また、有機物を完全に分解するためには、
添加する過酸化水素の量は、有機物が、二酸化炭素や水
に分解されるのに必要な量の1倍以上添加することが望
ましい。好ましくは、1.2倍〜10倍添加する。
【0149】本装置を用いて、実際に有機廃棄物を処理
する場合には、水供給装置9により、反応器7に媒体と
しての水を供給する。反応器7で超臨界状態とされた水
に、有機廃棄物供給装置8で、有機廃棄物を供給し、超
臨界水と混合し超臨界状態に所定時間保持する。
【0150】有機廃棄物は、反応器7において、媒体で
ある水の超臨界状態で低分子量化される。生成物を酸化
反応器10に移し、酸化剤を添加して亜臨界状態で酸化
する。
【0151】酸化反応器10で生じた生成物は回収装置
12に送られ、気液分離器15で気体と液体に分けら
れ、それぞれ気体処理装置16と液体処理装置17に送
られ有害物質が回収される。
【0152】分解により生成した固相または液相は、乾
燥器18で乾燥された後に固化器19において固化剤を
混入され、ドラム缶などの処分容器内で固化され、安定
な固化体となる。これにより、貯蔵、処分の際の安全性
が確保でき、また管理が容易になる。固化剤としては、
例えば、セメントミルクが好ましく用いられる。
【0153】有機廃棄物供給装置8と、水供給装置9
と、酸化剤供給装置11を設けたことにより、有機廃棄
物、水、酸化剤を反応器7や酸化反応器11へ連続的に
供給でき、また、回収装置12により、連続的に生成物
を取出せる。したがって、有機廃棄物を連続的に処理す
ることができる。
【0154】以上のように、本実施例の廃棄物処理装置
によれば、超臨界状態を利用して有機廃棄物を処理する
にあたって、従来法で問題となっている無機物の析出を
防げる。
【0155】したがって、無機物の析出に起因する反応
器の閉塞などのトラブルを回避でき、装置のランニング
コスト、メンテナンスコストを低減できる。また、無機
物が放射性物質である場合は、作業員の被ばく低減につ
いての効果も期待できる。
【0156】また、過酸化水素を酸化剤として添加する
ことで、OHラジカルを短時間に生成させることができ
るため、短時間に大量の有機物を分解処埋できる。
【0157】無機塩を酸化物とすることなくイオン状で
回収し、さらに始めから酸化物として存在していた無機
物も少量であれば、液体中に回収できるため、有機廃棄
物を均質・均一な廃棄体にすることができる。
【0158】(実施例4)図9に本実施例の廃棄物処理
装置の概略を示す。
【0159】実施例4の廃棄物処理装置は、有機廃棄物
を水の超臨界状態で処理するための反応器7と、反応器
7に有機廃棄物を投入するための有機廃棄物供給装置8
と、反応器7に媒体である水を供給するための水供給装
置9と、反応器7内の水の水素イオン濃度を測定するp
H メータ21と、反応器7に酸を供給するための酸供給
装置22と、pH メータ21の計測値に基づいて酸供給
装置22を制御して計算量の酸を反応器7に供給させる
ためのコントローラ23と、反応器7からの生成物を回
収するための回収装置12からなる。
【0160】回収装置12は気液分離器15、気体処理
装置16、液体処理装置17を有する。
【0161】液体処理装置17は、液体スラッジを乾燥
するための乾燥器18と固化するための固化器19を有
する。
【0162】酸供給装置22から供給する酸としては、
媒体である水中で電離する無機酸を使用するが、例え
ば、硝酸のように、高熱で熱分解する酸は使用に適さな
い。好ましくは硫酸や塩酸が用いられる。
【0163】実施例2で述べたように、有機廃棄物の分
解に際して、水の水素イオン濃度10-4モル/kg以上
にすれば、超臨界状態での無機物の析出を押さえること
ができる。
【0164】しかし、有機廃棄物の種類によっては、分
解生成物により水の水素イオン濃度が影響を受けるため
考慮が必要である。
【0165】例えば、ポリエチレンやポリ塩化ビニルか
らなるポリ容器を、水の存在下で温度374℃以上、圧
力22.1MPa以上で反応させると、ポリエチレンは
加水分解してアルコールや有機酸などを生成するが、ボ
リ塩化ビニルはアルコールや有機酸の他に塩酸を生成す
る。ポリ塩化ビニル中の塩素量は56wt%であり、水
1kgに対し0.006gのポリ塩化ビニルを添加すれ
ば、反応器中の水素イオン濃度は10-4モル/kgとな
る。
【0166】したがって、ポリ塩化ビニルを水1kgに
対し0.006g以上添加する場合には酸の添加は不要
である。しかし、ポリエチレンは酸を生成しないため、
水1kg当たり水素イオン濃度が10-4モルとなるよう
に酸を添加する必要がある。
【0167】また、酸を生成しないポリエチレンと酸を
生成するポリ塩化ビニルが混合した廃棄物を分解する場
合には、混合比を調べ有機物より生成する酸の量を把握
する必要がある。
【0168】そこで本実施例においては、pH メータ2
1で、反応器7中の水素イオン濃度をリアルタイムで測
定し、その測定値に基づいて、コントローラ23で、水
1kg当たり水素イオン濃度が10-4モルとなるような
酸の量を計算し、算出された量の酸を反応器7に供給す
るように酸供給装置26を制御する。
【0169】こうした構成により、有機廃棄物の種類に
関わらず、反応器内の水素イオン濃度を最適の状態に維
持することができる。
【0170】また、処理対象に応じて、最適量の酸を供
給することで、供給する酸の量を大幅に減少することが
可能となる。
【0171】さらに、下記の理由から、従来例に比べて
コンパクトな気液分離器15を用いることが可能にな
る。
【0172】二酸化炭素はVII 式に示すように水に溶け
て炭酸となり、さらに水中で炭酸はVIII、IX式に示すよ
うなイオンに解離する。
【0173】 CO2 + H2 O→H2 CO3 …VII H2 CO3 →H+ +HCO3 - …VIII HCO3 - → H+ +CO3 2- …IX VII 、VIII、IX式の平衡を左に動かし二酸化炭素と水を
分離するには、液中の水素イオン濃度を増加させる必要
がある。VIII式の酸解離定数は20℃で10-3 .6(mol/
l )と報告されている。水素イオン濃度を変化させた場
合の[HCO3 - ]/[H2 CO3 ]比を表5に示す。
【0174】H2 CO3 は気相中の二酸化炭素と平衡に
あるため、液中に溶解するHCO3 - の割合がH2 CO
3 に比べて多いと、水と二酸化炭素の分離が困難にな
る。従来法では液中の水素イオン濃度が10-7モル/k
g程度であったため液中のH2CO3 の割合が少なく二
酸化炭素を分離するには、多量の空気と接触させる必要
があり、気液分離器としては比較的大きな物が必要であ
った。
【0175】しかし、本発明では水素イオン濃度を、1
-4グラムイオン/kg以上にしているため、従来例に
比べてコンパクトな気液分離器を使用でき、設備コスト
を低減できる。また、空気を添加する必要がなく気体処
理ラインの処理量を減少させ、設備コストやランニング
コストの低減が図れる。
【0176】
【表5】 なお、本実施例においては、pH メータ21で、反応器
7中の水素イオン濃度を直接測定しているが、実際には
反応器内は高温・高圧であり、pHメータの設置が難し
いこともある。
【0177】処理対象である廃棄物の種類や量等から、
水に加える酸の量を算出し、水に必要量の酸を混合して
から反応器7に供給してもよい。直接反応器内の媒体の
水素イオンを測定しなくても、水素イオン濃度を制御す
ることができるため、pHメータを設置する必要がなく
好ましい。
【0178】以上のように、本実施例の有機廃棄物分解
装置においては、無機酸の供給量を、有機廃棄物の種類
に応じて調整することにより、水素イオン濃度を無機物
の析出を防ぐのに最適な状態に制御し、多種多様の有機
物が混合した廃棄物でも容易に処理できる。
【0179】また、装置内の有機廃棄物水中の無機酸の
量を、水素イオン換算で水1kgに対し10-4モル以上
にすることにより、大掛りな設備投資なしに、無機物の
析出を効果的に防げる。また、気液分離器もコンパクト
化できる。
【0180】無機塩を酸化物にすることなくイオン状で
回収し、さらに始めから酸化物として存在していた無機
物も少量であれば液体中に回収できるため、有機廃棄物
を均質・均一な廃棄体にすることができる。
【0181】(実施例5)図10に本実施例の廃棄物処
理装置の概略を示す。
【0182】本実施例の廃棄物処理装置は、実施例4の
廃棄物処理装置において、反応器7に酸化剤を供給する
ための酸化剤供給装置11を設けたものである。
【0183】本実施例の廃棄物処理装置においては、反
応器7において、まず水の超臨界状態で有機物を低分子
量化してから、反応器7内の圧力と温度を下げて、亜臨
界状態で、低分子化された有機物の酸化・分解を行う。
【0184】反応器7中の水素イオン濃度は、pH メー
タ21の測定値に基づいて、コントローラ23で酸供給
装置22を制御して、水1kg当たり水素イオン濃度が
10-4モルとなるように調整しておく。
【0185】有機廃棄物としては、夾雑物や、無機添加
剤や有機金属塩添加剤を多量に含まないものが好まし
い。もし、有機廃棄物がこうした無機添加剤等を多量に
含む場合には、処理する有機廃棄物の量を少なくする、
あるいは、析出物の分離装置を設けて、超臨界状態にお
ける処理の後に、析出した無機物を除去してから亜臨界
状態における処理を行えばよい。
【0186】以上のように、本実施例の有機廃棄物分解
装置においては、超臨界状態で有機物を低分子量化して
から、亜臨界状態で酸化分解を行うことで、無機物の析
出を防ぐことができる。
【0187】超臨界状態における処理と亜臨界状態にお
ける処理を同一の反応器で行えるため、装置のコストを
抑えられ、操作も簡単である。
【0188】また、水1kg当たり水素イオン濃度が1
-4モルとなるように調整することで、さらに効果的に
無機物の析出を防ぐことができる。
【0189】無機酸の供給量を、有機廃棄物の種類や
量、使用する酸化剤の量等に応じて調整することによ
り、水素イオン濃度を最適な状態に制御し、多種多様の
有機物が混合した廃棄物でも容易に処理できる。
【0190】したがって、無機物の析出に起因する反応
器の閉塞などのトラブルを回避でき、装置のランニング
コスト、メンテナンスコストを低減できる。また、無機
物が放射性物質である場合は、作業員の被ばく低減につ
いての効果も期待できる。
【0191】また、酸化剤を添加することで、短時間に
大量の有機物を分解処埋できる。
【0192】無機塩を酸化物にすることなくイオン状で
回収し、さらに始めから酸化物として存在していた無機
物も少量であれば液体中に回収できるため、有機廃棄物
を均質・均一な廃棄体にすることができる。
【0193】(実施例6)図11に本実施例の廃棄物処
理装置の概略を示す。
【0194】本実施例の廃棄物処理装置は、有機廃棄物
供給装置8の代わりに、反応器7に無機廃棄物を供給す
るための無機廃棄物供給装置24を設け、気体処理装置
16にアンモニア処理装置25を備え、液体処理装置1
7にα核種回収装置26を備えた以外は、実施例5の廃
棄物処理装置と同様の構成を有する。α核種回収装置2
6は、凝集沈殿装置と液体中の固形成分を分離する分離
器からなる。
【0195】無機廃棄物供給装置24を設けずに、有機
廃棄物供給装置8で無機廃棄物も供給するようにしても
よい。同一の装置で有機廃棄物も無機廃棄物も両方処理
できるため、コストの点からも好ましい。
【0196】処理対象としては、無機物のみを含む廃棄
物が好ましく、例えば、α廃棄物を含む固化体を処理す
ることもできる。しかし、これに限られるものではな
く、有機物を含む廃棄物を対象としてもよい。
【0197】本装置を用いて、実際にα核種のような放
射性物質や硝酸塩を含む無機廃棄物を処理する場合に
は、水供給装置9により、反応器7に媒体としての水を
供給する。反応器7で超臨界状態とされた水に、無機廃
棄物供給装置24で、無機廃棄物を供給し、超臨界水と
混合し超臨界状態に所定時間保持する。
【0198】反応器7中の水素イオン濃度は、pH メー
タ21の測定値に基づいて、コントローラ23で酸供給
装置22を制御して水に硫酸を加え、水1kg当たり水
素イオン濃度が10-4モルとなるように調整しておく。
【0199】無機廃棄物は、反応器7において、酸化剤
の存在下に、媒体である水の超臨界状態で酸化分解され
る。
【0200】本実施例では、水1kg当たり水素イオン
濃度が10-4モルとなるように調整されているため、放
射性物質(例えば、プルトニウム等のα核種)を析出さ
せることなく、液体中に回収することができる。無機廃
棄物中に含まれる硝酸や硝酸塩も析出することなく分解
され、アンモニアとして気体中に回収される。
【0201】生じた生成物は回収装置12に送られ気液
分離器15で気体と液体に分けられ、それぞれ気体処理
装置16と液体処理装置17に送られる。
【0202】アンモニア含有気体は、アンモニア処理装
置25において、白金触媒存在下で310℃以上に加熱
され、アンモニアが窒素となる。
【0203】プルトニウム等のα核種を含む液体は、α
核種回収装置26の凝集沈殿装置において、バリウムを
添加され、難溶性の硫酸バリウムを生成する。III 価と
IV価のα核種は、硫酸バリウムと共沈する。V 価とVI価
のα核種は、還元剤でIII 価とIV価に還元されて硫酸バ
リウムと共沈する。セシウム、ストロンチウム等が含ま
れるときには、ゼオライト、フェロシアン化コバルト、
チタン酸などの吸着剤に吸着させ沈殿させる。
【0204】また、液体がアンモニアを含む場合には、
水酸化ナトリウムを添加して液体のpHを9とした後
に、アンモニアを気相に追い出して液体中から除去する
ことも可能である。
【0205】沈殿したα核種を含む硫酸バリウム塩を分
離器で分離して回収し、ガラス固化体とする。セメント
固化体としてもよい。
【0206】また、バリウム以外に鉄を添加してpHを
4以上とし、生成した水酸化鉄にα核種を共沈させ、水
酸化鉄をセメント固化体にして処分することもできる。
ランタンのリン酸塩と共沈させてもよい。
【0207】α核種を除去された液体は、乾燥器18で
乾燥された後に、固化器19において固化剤と混合さ
れ、ドラム缶などの処分容器内で固化させられ、非α廃
棄物の固化体となる。固化剤としては、例えば、セメン
トミルクが好ましく用いられる。
【0208】以上のように、本実施例の廃棄物処理装置
においては、超臨界状態の媒体の水素イオン濃度を水1
kg当たりが10-4モルに調整することで、放射性物質
や硝酸塩等の無機物の析出を防ぐことができる。したが
って、無機物の析出に起因する反応器の閉塞などのトラ
ブルを回避でき、装置のランニングコスト、メンテナン
スコストを低減できるのみならず、作業員の被ばく低減
についての効果も期待できる。
【0209】本実施例によれば、硝酸イオンは分解して
大部分窒素になるため、超臨界処理後のα廃棄物の固化
体は硝酸塩を含まない。したがって、固化体を還元性雰
囲気の地中に埋設してもアンモニアが生じることがな
く、固化体中からのプルトニウム等の放射性物質の溶出
を防げる。
【0210】また、α核種を除去した液体とスラッジを
固化させた固化体は、非α廃棄物であるから、浅地層処
分可能で廃棄処分が容易となる。その分、深地層処分す
る廃棄物を減容でき、処分コストの低減につながる。
【0211】例えば、通常の方法で得られた放射性廃棄
物の固化体からプルトニウム等のα核種を回収してガラ
ス固化体とすれば、α廃棄物の量を大幅に減らすことが
できる。
【0212】本実施例では、α核種を沈殿させ分離回収
するように構成したが、α核種のみでなく、液相に溶解
している金属などの無機イオンを凝集させ沈殿処理する
ように構成してもよい。
【0213】また、実施例3または4の処理装置に、こ
うした無機イオンを凝集させ沈殿させる装置を設けても
よい。
【0214】(実施例7)本実施例の廃棄物処理装置
は、実施例3の廃棄物処理装置において、有機廃棄物供
給装置8、水供給装置9、酸化剤供給装置11のそれぞ
れに、加熱器および加圧器を設け、回収装置12に、減
圧器と冷却器を設けたものである。
【0215】実施例4や実施例5の廃棄物処理装置にお
いて、有機廃棄物供給装置8、水供給装置9、酸化剤供
給装置11、酸供給装置22に同様な加熱器と加圧器を
設け、回収装置12に、同様な減圧器と冷却器を設けて
もよい。
【0216】実施例6の廃棄物処理装置において、無機
廃棄物供給装置24、水供給装置9、酸化剤供給装置1
1、酸供給装置22に同様な加熱器と加圧器を設け、回
収装置12に、同様な減圧器と冷却器を設けてもよい。
【0217】加熱器は、それぞれ有機廃棄物、媒体、酸
化剤を加熱し、加圧器は、それぞれ有機廃棄物、媒体、
酸化剤を加圧する。こうした構成により、有機廃棄物、
水、および酸化剤を、反応器7に連続的に供給し、かつ
反応温度および反応圧力を低下させることなく有機廃棄
物を連続処理できる。
【0218】酸化反応器10で生じた分解生成物は回収
装置12に送られ、減圧器と冷却器で減圧され冷却され
る。こうした構成により、生成物である流体を連続的に
酸化反応器10から抜き出し、また、続いて行われる気
液分離器15での流体の気液分離を効果的に行うことが
できる。
【0219】有機物に酸素を添加して分解すると炭素は
二酸化炭素に、水素は水になる。超臨界水の条件では、
媒体液である水と分解により生成した二酸化炭素は任意
に混合し分離が難しい。しかし、分解により生成した流
体を減圧し温度を下げ常温常圧にすると、水と二酸化炭
素の大部分を分離することができる。
【0220】このように、本実施例によれば、バッチ処
理に比べて処理速度が速くランニングコストを大幅に低
減することが可能となる。また、気液分離器15での気
液分離を効果的に行うことができる。
【0221】(実施例8)本実施例の廃棄物処理装置
は、実施例3の廃棄物処理装置において、反応器7に温
度センサおよび圧力センサを設けたものである。
【0222】実施例4、5、6または7の廃棄物処理装
置において同様の構成としてもよい。
【0223】図12に水の状態図を示す。水の状態は温
度と圧力によって決まるため、反応器7内が超臨界状態
あるいは亜臨界状態であるかどうかは、反応器内の温度
および圧力を監視することにより把握することができ
る。
【0224】温度センサおよび圧力センサで反応器7内
の温度と圧力をモニターすることで、反応器7内の媒体
が超臨界状態であるかどうかを、正確に把握し、最適の
状態で廃棄物を処理することができる。
【0225】反応器7のみでなく、酸化反応器10にも
同様の温度センサと圧力センサを設け、酸化反応器10
内が亜臨界状態であるかどうかを把握することが好まし
い。
【0226】また、実施例7の廃棄物処理装置のよう
に、加熱器や加圧器を有する装置では、加熱あるいは加
圧された廃棄物、媒体等の温度と圧力を、反応器内へ供
給する前に測定するようにしてもよい。反応器内温度や
圧力を直接測定しなくても、反応器内の状態を把握する
ことができるため好ましい。
【0227】(実施例9)実施例9の廃棄物処理装置
は、実施例3の廃棄物処理装置において、反応器7およ
び有機廃棄物供給装置8の少なくとも一部を、グローブ
ボックス内に設置するものである。
【0228】実施例4、5、6,7、または8の廃棄物
処理装置において同様の構成としてもよい。
【0229】放射性物質や有害物質で汚染されている有
機廃棄物を処理する場合は、放射性物質や有害物質が外
部に漏れ出さないような処置を講じる必要がある。実施
例3における廃棄物処理装置は、大部分を閉鎖した系の
中で処理するが、有機廃棄物供給装置8の一部は有機廃
棄物を受け入れるため開放系となる。そのため、放射性
物質や有害物質で汚染されている有機廃棄物を処理する
場合は、開放系となる有機廃棄物供給装置8を何らかの
覆い部材内に設置して、汚染の拡大を防止する必要があ
る。こうした覆い部材としては、フードやグローブボッ
クス等を使用できる。
【0230】また、グローブボックスやフード等の覆い
部材を防爆仕様にすることが望ましい。有機廃棄物の分
解により、爆発の危険性のある揮発性有機物が生成した
り、あるいは、有機廃棄物に爆発の危険性のある揮発性
有機物が付着しているような場合でも処理が可能となる
からである。
【0231】本実施例によれば、処理装置の一部をグロ
ーブボックス内に設置するため、装置全体をこうした覆
い部材内に設置する場合に比べて、設備規模をコンパク
トにすることができる。
【0232】(実施例10)本実施例は、実施例3の廃
棄物処理装置において、媒体である水に中性塩を添加す
るための中性塩供給装置を設けたものである。
【0233】実施例4、5,7,8、または9の廃棄物
処理装置において同様の構成としてもよい。
【0234】一般的に難溶性の塩Mn m の溶解度積K
sは活量を用いてX 式のように表わされる。
【0235】 Mm++Ln-→Mn m ,Ks=a1 m ・a2 n …X al :Mm+の活量 a2 :Ln-の活量 活量aは活量係数γと濃度Cを用いてXI式のように表さ
れる。
【0236】 a=γ・C …XI 温度と圧力が一定の場合、活量aが一定となり、Ksは
一定の値を持つ。希薄溶液ではγ=1となり活量aと濃
度Cは一致する。しかし、イオン強度が増加するとγ<
1となりその結果濃度Cが増加し、溶液中に溶解するM
m+とLn-が増加して溶解度が増加する傾向がある。
【0237】したがって、中性塩を添加すると難溶性の
塩の溶解度が増加して、沈殿を抑制することができる。
【0238】こうした中性塩としては、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウ
ム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムが好ましく用いられ
る。
【0239】本実施例によれば、中性塩を添加すること
により、無機物の析出をさらに効果的に抑制することが
できる。
【0240】(実施例11)本実施例に係る廃棄物処理
装置は、実施例3の廃棄物処理装置において、反応器7
の内容物に放射線を照射する放射線照射装置を備えたも
のである。
【0241】実施例4,5,7,8,9,または10の
廃棄物処理装置において同様の構成としてもよい。
【0242】放射線照射装置の代わりに、紫外線を照射
する紫外線照射装置を使用してもよい。
【0243】水に放射線を照射するとXII 式に示すよう
にOHラジカルを生成する。
【0244】 H2 O→H十OH・ …XII OHラジカルはI式に示すように強力な酸化剤となるた
め、酸化剤が存在しなくても有機物を分解することがで
きる。
【0245】また、酸化剤の存在下で紫外線および放射
線を照射すればこの反応をさらに加速させることができ
る。例えば、酸素は放射線を照射するとラジカルを生成
し最終的に過酸化水素を生成する。過酸化水素は放射線
の存在下でXIII式のように反応してOHラジカルを生成
し、有機物を分解することができる。
【0246】 H2 2 +hν→2OH・ …XIII オゾンはXIIII 式に示すように紫外線と反応して過酸化
水素を生成する。さらに過酸化水素は紫外線とXIII式の
ように反応してOHラジカルを生成する。
【0247】 O3 +H2 O+hν→H2 2 十O2 …XIIII さらにXV式に示すようにXII 式で生成した水素原子は酸
素と反応してヒドロペルオキシラジカルを生成し、さら
にXVI 式のようにオゾンと反応してOHラジカルを生成
する。
【0248】 H十O2 →HO2 ・ …XV O3 +HO2 ・→OH・+2O2 …XVI したがって、放射線を照射することによりOHラジカル
を効率的に生成することができ有機物の分解がより効率
的に行える。
【0249】なお、放射性物質を含んだ廃棄物を処理す
る場合は、放射線を外部から照射することなしに容易に
放射線場を作ることができるため、放射線照射装置を備
えなくても上述の効果が得られる。
【0250】(実施例12)本実施例の廃棄物処理装置
は、実施例3の廃棄物処理装置において、気体処理装置
16が気体中の固形分や有害成分を除去するフィルタと
水中に有害成分を回収するスクラバーを備えたものであ
る。
【0251】実施例4、5,6,7,8,9、10、ま
たは11の廃棄物処理装置において同様の構成としても
よい。
【0252】例えば、再処理工場から発生する放射性物
質で汚染されている廃棄物を処理すると、テクネチウム
やルテニウムといった揮発性の元素が気相中に移行す
る。
【0253】ルテニウムは四酸化ルテニウムとして気相
中に移行するが、有機物が存在すると還元されて二酸化
ルテニウムとなる。二酸化ルテニウムは常温では固体で
あるため、回体成分を除去するフィルターで除去でき
る。
【0254】また、テクネチウムは七酸化二テクネチウ
ムや過テクネチウム酸となって気相中に移行するが、XV
II、XVIII 式に示すように水と接触すると水中にイオン
の形態で溶解する。
【0255】 Tc2 7 (g)+H2 O→2HTcO4 (g) …XVII HTcO4 (g)→TcO4 - +H+ …XVIII そのため、スクラバーを設置すると液中にテクネチウム
を回収することが可能である。
【0256】テクネチウムなどの元素をより効率的に回
収するためには、スクラバ−には水の他に水酸化ナトリ
ウムを含むアルカリ溶液や還元剤を含む水を用いること
が好ましい。
【0257】テクネチウムは水と接触すると、XVII、XV
III 式に示すように陰イオンの形態で溶解する。この陰
イオンは、ナトリウムイオンと反応して塩を作るため、
テクネチウムを塩の形で溶液中に回収できる。
【0258】 HTcO4 +NaOH→NaTcO4 +H2 O …XVIIII また、テクネチウムは還元剤が存在すると還元されて過
テクネチウム酸(VII価)から二酸化テクネチウム(IV
価)になる。常温常圧の水に対する二酸化テクネチウム
の溶解度は小さいため、テクネテウムは水中に固体の形
で回収される。
【0259】以上より、本実施例によれば、飛沫同伴で
気相中に移行する固体や揮発性の有害な元素を除去で
き、放射性物質で汚染されている廃棄物でも安全に処理
できる。
【0260】(実施例13)実施例13に係る廃棄物処
理装置は、実施例3の廃棄物処理装置において、液体処
理装置17が、液体を攪拌するための攪拌装置と液体を
採取して分析する採取・分析装置を備えるものである。
【0261】実施例4、5,6,7,8,9,10,1
1、または12の廃棄物処理装置において同様の構成と
してもよい。
【0262】気液分離器15から液体処理装置17に送
られた液体を、攪拌装置で攪拌すると、液相は均一化さ
れる。均一化された液体の一部を、採取・分析装置で採
取して分折すれば、液相全体の組成がわかり、固化器1
9において、貯蔵、処分に最適な固化手段が選定でき
る。また、固化処理後の固化体の内容物が明らかとなる
ので、貯蔵、処分時の管理が容易になる。
【0263】たとえ、液体に懸濁固形物が含まれていて
も、攪拌装置で攪拌すれば均一化でき、固化器19にお
いて固化処理しやすくなる。
【0264】採取・分析装置を設けないと、固化体の内
容物が不明であるため管理上なんらかの手段で内容物を
測定する必要がある。しかし、固化体の内容物の測定
は、代表サンプルの採取が困難であるため、精度が悪
く、廃棄物管理上問題である。
【0265】(実施例14)本実施例に係る廃棄物処理
装置は、実施例3の廃棄物処理装置において、液体処理
装置17に、液体中に含まれる酸、アルカリを中和処理
する中和処理装置を備えたものである。
【0266】実施例4、5,7,8,9,10,11,
12、または13の廃棄物処理装置において同様の構成
としてもよい。
【0267】例えば、テクネチウムが含まれる放射性固
体廃棄物を処理する場合、テクネチウムは七酸化二テク
ネチウムとなって、気相中に移行する。
【0268】しかし、酸化反応器10から分解生成物を
回収装置12に回収後、中和処理装置で水酸化ナトリウ
ムのようなアルカリを加えると、XVIIII式に示すよう
に、気液分離後の液体中に微量に残存しているテクネチ
ウムを、液相中に安定化することができる。
【0269】このように、本実施例によれば、液体中に
含まれる放射性物質などの有害物質が安定化し、固化器
において固化処理しやすくなる。
【0270】(実施例15)実施例15に係る廃棄物処
理装置は、実施例3の廃棄物処理装置において、液体処
理装置17に、液相を冷却するための冷却器を設けたも
のである。
【0271】実施例4、5、6,7,8,9,10,1
1,12,13,または14の廃棄物処理装置において
同様の構成としてもよい。
【0272】放射性廃棄物を処理する場合、液体処理装
置17内の放射性物質からの発熱で、冷却なしでは、液
が沸騰し、放射性物質の汚染が拡大する恐れがある。冷
却器で液体を冷却すれば、こうした危険を回避し、放射
性物質を液相中に安定に保持することが可能となる。
【0273】(実施例16)本実施例に係る廃棄物処理
装置は、実施例3の廃棄物処理装置において、液体処理
装置17に、イオン交換塔を設けたものである。
【0274】実施例4、5、6,7,8,9,10,1
1,12,13,14、または15の廃棄物処理装置に
おいて同様の構成としてもよい。
【0275】例えば、再処理工場から発生する放射性物
質で汚染されている廃棄物を処理すると、テクネチウム
やルテニウムといった揮発性の元素が気相中に移行する
が、その一部は液相中に残存し、テクネチウムは過テク
ネチウム酸として、ルテニウムは塩化物イオンや硝酸イ
オンの錯体として溶液中に存在する。
【0276】過テクネチウム酸は陰イオンであるため、
陰イオン交換樹脂脂で除去でき、ルテニウムは陽イオン
であるため、陽イオン交換樹脂で除去できる。
【0277】以上のように、本実施例によれば、分解生
成物の溶液中に含まれる放射性物質のような有害なイオ
ン成分を除去できるため、残った溶液を系外に放出で
き、廃棄物の処分コストを低減できる。
【0278】また、こうして液体中の有害なイオン成分
を取り除く結果、液体処理ラインから固化器に供給され
る廃液は、液相と固相が、均一、均質となっている。こ
の廃液に固化剤を混入するだけで、均一、均質な固化体
を形成でき、シンプルなプロセスで貯蔵、処分のための
安定な固化体とすることができる。
【0279】(実施例17)本実施例に係る廃棄物処理
装置は、実施例3の廃棄物処理装置において、液体処理
装置17に、液体を抽出剤と接触させ、水中の有害な無
機イオンを抽出剤に回収するための抽出回収装置を設け
たものである。
【0280】実施例4、5、7,8,9,10,11,
12,13,14、15、または16の廃棄物処理装置
において同様の構成としてもよい。
【0281】例えば、再処理工場から発生する放射性廃
棄物中には、ウラン、プルトニウムなどの核燃料物質が
含まれている。これらの元素を含んだ有機廃棄物をその
まま固化するとα廃棄物となり、固化体の処分コストが
増加する。そのため廃棄物中からこれらの元素を除去す
る必要がある。
【0282】抽出剤としては、リン酸トリブチル(以下
TBP)など中性有機リン化合物や、ジヘキシルリン酸
(HDEHP)などの酸性有機リン化合物を使用するこ
とができる。
【0283】図13に30vol %のTBP−硝酸系のア
クチノイド元素の分配係数を示す。硝酸濃度3mol/リッ
トルではウラン、プルトニウム、ネプツニウムの分配係
数は10以上、トリウムの分配係数は3以上となった。
【0284】抽出回収装置により、液体処理装置に回収
される液体の酸濃度を3mol /リットルに調整してか
ら、TBPと接触させると、TBP中にプルトニウムな
どのアクチノイド元素を回収できる。さらに、プルトニ
ウムなどのアクチノイド元素を含んだTBPに希酸を接
触させると、希酸中にプルトニウムなどのアクチノイド
元素を回収できる。
【0285】図14にHDEHPを用いたアクチノイド
元素の分配係数を示す。硝酸濃度が10-1mol /リット
ル以下でもプルトニウム、ウラン、アメリシウムの分配
係数が100以上となり、HDEHP中に回収できる。
また、HDEHPにヒドラジンなどの還元剤を含んだ1
mol /リットル程度の酸を接触させると、プルトニウム
やウランのVI価が還元されて III価となり酸中に回収さ
れる。
【0286】HDEHPを使用すれば、酸濃度を10-1
mol /リットル程度でアクチノイド元素が回収できるた
め、TBPなど中性有機リン化合物を使用する場合と比
べて、分離回収器に添加する酸の量を減じることがで
き、ランニングコストを低減することができる。
【0287】上述のTBPやHDEHP等の抽出剤の希
釈剤として、超臨界二酸化炭素を用いることが好まし
い。使用済みの有機溶媒の量を減じることができ二次廃
棄物処理コストを大幅に低減できるからである。
【0288】常温常圧でのTBPの比重は水と同じlg
/ml程度であり、TBPに希釈剤としてノルマルドデカ
ンを添加すると有機相と水相とを容易に分離できる。プ
ルトニウムなどの放射性物質を、TBPで回収すると、
使用後のTBPやノルマルドデカンは放射性を帯びるた
め、放射性有機廃棄物として処理する必要が生じる。
【0289】一般的にTBPが30vol %、ノルマルド
デカンが70vol %の割合で混合するため、ノルマルド
デカンの処理量はTBPの2倍以上となる。そのため、
ノルマルドデカンを処理する必要がなければ、処理コス
トは3分の1にまで減少する。
【0290】二酸化炭素は31℃、7.4MPa以上の
条件で超臨界状態となり有機物と任意に混合するため、
TBPを超臨界状態の二酸化炭素と接触すると、分解液
中からプルトニウムなどのアクニチノイド元素をTBP
中に回収できる。使用後に常温常圧にすると、二酸化炭
素は気体となりTBPと容易に分離できるため、二酸化
炭素の処理は不要となる。
【0291】したがって、超臨界状態の二酸化炭素を希
釈剤として用いると、処理コストを大幅に削減すること
ができる。
【0292】以上のように、本実施例によれば、液体中
の有害な無機イオンを抽出剤に回収し、固化体の処分コ
ストを減少させることができる。
【0293】また、こうして液体中の有害な無機イオン
を取り除く結果、液体処理装置から固化器に供給される
廃液は、液相と固相が、均一、均質となっている。この
廃液に固化剤を混入するだけで、均一、均質な固化体を
形成でき、シンプルなプロセスで貯蔵、処分のための安
定な固化体とすることができる。
【0294】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、有機廃
棄物あるいは無機廃棄物の処理に際して、無機物を析出
させることなく効率良く処理できる。
【0295】したがって、無機物の析出に起因する反応
器の閉塞などのトラブルを回避でき、装置のランニング
コストやメンテナンスコスト等を低減できる。
【0296】また、無機物が放射性物質である場合は、
作業員の被ばくを低減できる。
【0297】無機塩を酸化物にすることなくイオン状で
回収できるだけでなく、始めから酸化物として存在して
いた無機物も少量であればイオン状として液体中に回収
できるため、廃棄物から酸化物を分離できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の廃棄物処理方法のプロセス
図。
【図2】従来例の廃棄物処理方法プロセス図。
【図3】超臨界、亜臨界条件での酸化鉛の溶解度を示す
グラフ。
【図4】温度および圧力を変化させた場合の水のイオン
積の変化を示すグラフ。
【図5】酸化剤添加量を変化させた場合のセリウムの沈
殿率を示すグラフ。
【図6】実施例3の廃棄物処理装置の概略を示す図。
【図7】反応器の下部に設けられた分離器を示す図。
【図8】水と炭化水素類との混合物の臨界軌跡を示す。
【図9】実施例4の廃棄物処理装置の概略を示す図。
【図10】実施例5の廃棄物処理装置の概略を示す図。
【図11】実施例6の廃棄物処理装置の概略を示す図。
【図12】水の状態図。
【図13】30%TBP−硝酸系のアクチノイド元素の
分配比を示すグラフ。
【図14】HDEHP−硝酸系のアクチノイド元素の分
配比を示すグラフ。
【符号の説明】
1…媒体超臨界化工程、2…混合工程、3…低分子量化
工程、4…酸化工程、5…回収工程、6…超臨界分解工
程、7…反応器、8…有機廃棄物供給装置、9水供給装
置、10…酸化反応器、11…酸化剤供給装置、12…
回収装置、15…気液分離器、16…気体処理装置、1
7…液体処理装置、18…乾燥器、19…固化器、20
…分離器、21…pHメータ、22…酸供給装置、23
…コントローラ、24…無機廃棄物供給装置、25…ア
ンモニア処理装置、26…α核種回収装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小原 敦 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 松林 義和 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 山口 恭志 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機廃棄物と媒体との混合物を超臨界状
    態で所定の時間保持し、前記有機廃棄物に含まれる有機
    物の全部または大部分を低分子量化する低分子量化工程
    と、 前記低分子量化工程で生成した生成物を酸化剤と混合し
    亜臨界状態で所定の時間保持し酸化する酸化工程とを有
    することを特徴とする廃棄物処理方法。
  2. 【請求項2】 有機廃棄物と媒体との混合物を超臨界状
    態で所定の時間保持し、前記有機廃棄物に含まれる有機
    物を分解する廃棄物処理方法において、 前記媒体の水素イオン濃度が前記媒体1kgに対して1
    -4モル以上であることを特徴とする廃棄物処理方法。
  3. 【請求項3】 無機廃棄物と媒体との混合物を超臨界状
    態で所定の時間保持し、前記無機廃棄物に含まれる無機
    物を分解する廃棄物処理方法において、 前記媒体の水素イオン濃度が前記媒体1kgに対して1
    -4モル以上であることを特徴とする廃棄物処理方法。
  4. 【請求項4】 前記媒体を超臨界状態とする媒体超臨界
    化工程と、超臨界状態とされた前記媒体と前記有機廃棄
    物との混合物を得る混合工程とを有することを特徴とす
    る請求項1または2記載の廃棄物処理方法。
  5. 【請求項5】 前記媒体を超臨界状態とする媒体超臨界
    化工程と、超臨界状態とされた前記媒体と前記無機廃棄
    物との混合物を得る混合工程とを有することを特徴とす
    る請求項3記載の廃棄物処理方法。
  6. 【請求項6】 前記有機廃棄物が硝酸塩、硫酸塩、塩化
    物、燐酸塩、もしくは珪酸塩、またはこれらの2種以上
    を含むことを特徴とする請求項1または2記載の廃棄物
    処理方法。
  7. 【請求項7】 前記媒体が水、二酸化炭素、もしくは炭
    化水素、またはこれらの2種以上の混合物であることを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の廃棄物
    処理方法。
  8. 【請求項8】 前記超臨界媒体が酸化剤を含むことを特
    徴とする請求項2記載の廃棄物処理方法。
  9. 【請求項9】 前記超臨界媒体が酸化剤を含むことを特
    徴とする請求項3記載の廃棄物処理方法。
  10. 【請求項10】 前記酸化剤として、酸素、空気、過酸
    化水素、もしくはオゾン、またはこれらの2種以上を、
    前記有機廃棄物を完全に酸化するのに必要な化学量論量
    の1倍以上使用することを特徴とする請求項1または8
    記載の廃棄物処理方法。
  11. 【請求項11】 前記酸化剤として、酸素、空気、過酸
    化水素、もしくはオゾン、またはこれらの2種以上を、
    前記無機廃棄物を完全に酸化するのに必要な化学量論量
    の1倍以上使用することを特徴とする請求項9記載の廃
    棄物処理方法。
  12. 【請求項12】 前記超臨界媒体の水素イオン濃度が前
    記超臨界媒体1kgに対して10-4モル以上であること
    を特徴とする請求項1記載の廃棄物処理方法。
  13. 【請求項13】 前記超臨界媒体に、硫酸及び塩酸の少
    なくとも一方を加えて、前記超臨界媒体の水素イオン濃
    度が前記超臨界媒体1kgに対して10-4モル以上とな
    るように調整することを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれか1項記載の廃棄物処理方法。
  14. 【請求項14】 前記無機廃棄物が硝酸または硝酸塩の
    少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項3記載の
    廃棄物処理方法。
  15. 【請求項15】 超臨界状態の媒体中で、有機廃棄物に
    含まれる有機物の全部または大部分を低分子量化させる
    ための反応器と、 前記反応器に前記有機廃棄物を供給するための有機廃棄
    物供給手段と、 前記反応器に前記媒体を供給するための媒体供給手段
    と、 前記反応器で生成した生成物を亜臨界状態で酸化するた
    めの酸化反応器と、 前記酸化反応器に酸化剤を供給するための酸化剤供給手
    段と、 前記酸化反応器で生じた生成物の流体を回収するための
    回収手段とを有することを特徴とする廃棄物処理装置。
  16. 【請求項16】 超臨界状態の媒体中で有機廃棄物に含
    まれる有機物の全部または大部分を低分子量化させ、次
    いで亜臨界状態で生成物を酸化剤と混合して酸化させる
    ための反応器と、 前記反応器に前記有機廃棄物を供給するための有機廃棄
    物供給手段と、 前記反応器に前記媒体を供給するための媒体供給手段
    と、 前記反応器に酸化剤を供給するための酸化剤供給手段
    と、 前記反応器で生成した生成物の流体を回収するための回
    収手段とを有することを特徴とする廃棄物処理装置。
  17. 【請求項17】 前記反応器内の水素イオン濃度を調整
    するための調整手段を有することを特徴とする請求項1
    5または16記載の廃棄物処理装置。
  18. 【請求項18】 前記反応器が前記有機廃棄物に含まれ
    ていた不溶性の夾雑物を分離する分離手段を有すること
    を特徴とする請求項15または16記載の廃棄物処理装
    置。
  19. 【請求項19】 前記有機廃棄物供給手段、前記媒体供
    給手段、及び前記酸化剤供給手段に、それぞれ有機廃棄
    物、媒体、および酸化剤を加圧するための加圧手段と予
    熱するための予熱手段を設置し、 前記回収手段に、前記反応器で生成した流体を減圧する
    ための減圧手段と冷却するための冷却手段を設置したこ
    とを特徴とする請求項15または16記載の廃棄物処理
    装置。
  20. 【請求項20】 超臨界状態の媒体中で、有機廃棄物に
    含まれる有機物を分解するための反応器と、 前記反応器に前記有機廃棄物を供給するための有機廃棄
    物供給手段と、 前記反応器に前記媒体を供給するための媒体供給手段
    と、 前記反応器内の水素イオン濃度を調整するための調整手
    段と、 前記反応器で生成した生成物の流体を回収するための回
    収手段とを有することを特徴とする廃棄物処理装置。
  21. 【請求項21】 超臨界状態の媒体中で無機廃棄物に含
    まれる無機物を分解するための反応器と、 前記反応器に前記無機廃棄物を供給するための無機廃棄
    物供給手段と、 前記反応器に前記媒体を供給するための媒体供給手段
    と、 前記反応器内の水素イオン濃度を調整するための調整手
    段と、 前記反応器で生成した生成物の流体を回収するための回
    収手段とを有することを特徴とする廃棄物処理装置。
  22. 【請求項22】 前記調整手段が、 前記反応器に無機酸を供給するための酸供給手段と前記
    反応器内の水素イオン濃度を計測するための水素イオン
    濃度計測手段と、 前記水素イオン濃度計測手段からの信号に基づいて、計
    算量の無機酸を前記酸供給手段から前記反応器内へ供給
    させる制御手段とを有することを特徴とする請求項1
    7、20、および21のいずれか1項記載の廃棄物処理
    装置。
  23. 【請求項23】 前記回収手段が、気液分離手段、気体
    処理手段、および液体処理手段を有することを特徴とす
    る請求項15、16、20、および21のいずれか1項
    記載の廃棄物処理装置。
  24. 【請求項24】 前記液体処理手段が、液体中の無機イ
    オンを凝集させて沈澱させる手段を有することを特徴と
    する請求項23記載の廃棄物処理装置。
  25. 【請求項25】 前記反応器に酸化剤を供給するための
    酸化剤供給手段を有することを特徴とする請求項20ま
    たは21記載の廃棄物処理装置。
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