JP2013534857A - 化学物質のプロセシング - Google Patents

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Abstract

化学物質をプロセシングする方法は、それらの構造を変化させ、特に、構造的に変化された材料から製造された中間体および生成物に対し、それらの溶解度および/または溶解速度を増加させる。方法の多くが有用な中間体および生成物、例えば、エネルギー、燃料、食品または材料を生成させる反応または他のプロセスにおいてより容易に使用され得る材料を提供する。本明細書で記載されるプロセスを用いて処理された化学物質を使用して、高濃度溶液を形成させることができる。 処理は、化学物質の官能性、よって、化学物質の極性を変化させることができ、これにより、処理された化学物質は、処理されていない化学物質が不溶である、またはわずかにもしくは部分的にしか溶解しない溶媒中に可溶となり得る。 方法は、場合によっては水または水性媒質中での化学物質の溶解度を増加させる。化学物質は、例えば、固体、液体、またはゲル、またはそれらの混合物とすることができる。
【選択図】図1

Description

関連出願
本出願は、2010年5月24日に出願された米国特許仮出願第第61/347,705号に対し優先権を主張する。この仮出願の完全な開示は参照により本明細書に組み込まれる。
化学物質は、しばしば他の中間体および生成物を生成するために、広範囲の反応およびプロセスにおいて使用される。溶媒中の化学物質の溶解度および/または溶解速度は、化学物質が使用されるプロセスまたは化学反応の速度および/または効率に影響する可能性がある。よって、化学物質の溶解度および/または溶解速度を制御する、例えば、増加させることが望ましい。
一般的に、本発明は、構造を変化させる、特に溶解度および/または溶解速度を増加させるように化学物質をプロセシングする方法、構造的に変化された材料から製造された中間体および生成物に関する。方法の多くは、有用な中間体および生成物、例えば、エネルギー、燃料、食品または材料を生成するための反応または他のプロセスにおいてより容易に使用することができる材料を提供する。
いくつかの実行では、本明細書で記載されるプロセスを使用して処理された化学物質は、高濃度溶液、例えば、同じ条件下同じ溶媒中の処理されていない化学物質の飽和溶液の濃度よりも高い濃度を有する溶液を形成するために使用することができる。場合によっては、処理は、化学物質の官能性、よって化学物質の極性を変化させ、これにより、例えば、処理された化学物質は、処理されていない化学物質が不溶である、またはわずかにもしくは部分的にしか溶解しない溶媒中に可溶となる。例えば、方法は、場合によっては水または水性媒質中の化学物質の溶解度を増加させる。化学物質は、例えば、固体、液体、またはゲル、またはそれらの混合物とすることができる。
1つの態様では、本発明は、化学物質を機械的処理、化学的処理、放射線、音波処理、酸化、熱分解および水蒸気爆発からなる群より選択される物理的処理により処理し、物理的処理前の化学物質の溶解度に比べ化学物質の溶解度を増加させることを含む、化学物質の溶解度を増加させる方法を特徴とする。
いくつかの実行は、1つ以上の下記特徴を含む。化学物質は、塩、ポリマ、およびモノマからなる群より選択され得る。物理的処理は、例えば、電子ビームによる照射であってもよく、またはこれを含んでもよい。場合によっては、物理的処理は、化学物質の官能性を変化させる。化学物質が照射される実行では、照射は、化学物質に少なくとも5Mradの総線量の放射線を適用することを含み得る。
物理的に処理された化学物質は物理的処理前の化学物質の結晶度よりも少なくとも10%低い結晶度を有し得る。場合によっては、化学物質は、物理的処理前、約40〜約87.5%の結晶化度を有したが、物理的に処理された化学物質は約10〜約50%の結晶化度を有する。
別の態様では、方法は、機械的処理、化学的処理、放射線、音波処理、酸化、熱分解および水蒸気爆発からなる群より選択される物理的処理により処理された化学物質を含み、物理的処理前の化学物質の溶解度より高い溶解度を有する生成物を特徴とする。
いくつかの実行は1つ以上の下記特徴を含む。化学物質は、塩、ポリマ、およびモノマからなる群より選択され得る。場合によっては、化学物質は、例えば電子ビームにより照射される。生成物は、物理的処理前の化学物質とは異なる官能性を有し得る。化学物質が照射される実行では、化学物質は少なくとも30Mradの総線量の放射線により照射されてもよい。物理的に処理された化学物質は、物理的処理前の化学物質の結晶度よりも少なくとも10%低い結晶度を有し得る。場合によっては、化学物質は、物理的処理前、約40〜約87.5%の結晶化度を有したが、物理的に処理された化学物質は、約10〜約50%の結晶化度を有する。
溶解度および/または溶解速度の増加は、材料の構造変更に起因し得る。化学物質を「構造的に変更する」は、本明細書では、何らかの方法で化学物質の分子構造、例えば、化学物質の化学結合配列、結晶構造、または配座を変化させることを意味する。変化は、例えば、例として材料の結晶度の回折測定により反映され得ない構造内での微小破砕による結晶構造の完全性の変化であってもよい。化学物質の構造完全性のそのよう変化は、構造変更処理の様々なレベルでの生成物の収率を測定することにより間接的に測定することができる。加えて、またはその代わりに、分子構造の変化は、化学物質の超分子構造の変化、化学物質の酸化、平均分子量の変化、平均結晶度の変化、表面積の変化、重合度の変化、多孔性の変化、分枝度の変化、他の材料上でのグラフティング、結晶ドメインサイズの変化、または全体ドメインサイズの変化を含むことができる。構造変更は、場合によっては、化学物質の極性を増加させ、化学物質の水と水素結合を形成する能力を増加させ、および/または化学物質をより小さな分子に分解する。
別記されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものと類似する、または等価の方法および材料は、本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記で記載される。全ての出版物、特許出願、特許、および本明細書で言及される他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。対立する場合、定義を含む本明細書が、規制する。加えて、材料、方法、および実施例は、例示にすぎず、制限することを意図しない。
本発明の他の特徴および利点は、下記詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
化学物質の生成物および副産物への変換を示すブロック図である。
本明細書で記載される方法を使用して、化学物質(例えば、塩、ポリマ、モノマ、医薬品、栄養補助食品、ビタミン、ミネラル、中性分子、およびそれらの混合物)は、それらの溶解度および/または溶解速度を増加させるようにプロセシングされ得る。場合によっては、プロセシングされた化学物質はそれ自体最終生成物であり、一方、他の場合には、プロセシングされた化学物質は有用な中間体および生成物を生成させるために使用することができる。化学物質は1つ以上の本明細書で記載される方法、例えば機械的処理、化学的処理、放射線、音波処理、酸化、熱分解または水蒸気爆発のいずれを使用しても処理またはプロセシングすることができる。様々な処理システムおよび方法は、これらの技術または本明細書および他の場所で記載される他のものの2,3、またはさらに4以上の組み合わせで使用することができる。
これらの処理は、処理された化学物質の溶媒(例えば、水、非水性溶媒、例えば、有機溶媒、またはそれらの混合物としてもよい)中での溶解度を増加させる。
化学物質を処理するためのシステム
図1は、化学物質を有用な中間体および生成物に変換するためのプロセス10を示す。プロセス10は、例えば、粉砕または他の機械的プロセシングにより、化学物質(12)を任意で、始めに機械的に処理することを含む。化学物質はその後、物理的処理(14)、例えば機械的処理、化学的処理、放射線、音波処理、酸化、熱分解または水蒸気爆発により処理され、例えば材料の結晶構造中の結合を弱化し、または微小破砕することによりその構造が変更される。次に、構造的に変更された化学物質は、場合によっては、さらなる機械的処理(16)に供せられる。この機械的処理は、最初の機械的処理と同じかまたは異なるものとすることができる。
化学物質はその後、さらなる構造変化(例えば、溶解度の増加)が、さらなるプロセシングの前に要求される場合、さらなる構造変更処理および機械的処理に供することができる。
次に、処理された化学物質は、一次プロセシング工程18によりプロセシングすることができ、例えば、溶媒に溶解され、場合によっては、他の化学物質とブレンドおよび/または反応され、中間体および生成物を生成する。場合によっては、一次プロセシング工程のアウトプットは直接有用であるが、他の場合には、後プロセシング工程(20)により提供されるさらなるプロセシングを必要とする。後プロセシングとしては、例えば、精製、分離、添加物の添加、乾燥、キュアリング、および他のプロセスが挙げられる。
場合によっては、本明細書で記載されるシステム、またはその構成要素は、携帯可能であってもよく、そのため、システムは1つの場所から別の場所に輸送することができる(例えば、鉄道、トラック、または船舶により)。本明細書で記載される方法工程は、1つ以上の場所で実施することができ、場合によっては1つ以上の工程は、輸送中に実施することができる。そのような移動プロセシングは米国特許出願第12/374,549号および国際出願第WO2008/011598号に記載され、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で記載される方法工程のいずれかまたは全ては、周囲温度で実施することができる。所望であれば、冷却および/または加熱を一定の工程中で採用してもよい。例えば、化学物質は機械的処理前に冷却され、その脆性が増加され得る。いくつかの実施形態では、冷却は、最初の機械的処理および/またはその後の機械的処理前、中または後に採用される。冷却は、12/502,629号(その全開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように実施され得る。
上記方法の個々の工程、ならびに使用される化学物質は以下、さらに詳細に記載される。
物理的処理
物理的処理プロセスは、1つ以上の本明細書で記載されるもののいずれか、例えば機械的処理、化学的処理、照射、音波処理、酸化、熱分解または水蒸気爆発を含むことができる。処理方法は、これらの技術の2、3、4、または全ての組み合わせ(任意の順序)で使用することができる。1を超える処理方法が使用される場合、方法は同時にまたは異なる時に適用することができる。化学物質の分子構造を変え、化学物質の溶解度および/または溶解速度を増加させる他のプロセスもまた、単独で、または本明細書で開示されるプロセスと組み合わせて使用され得る。
本明細書で記載される処理の多くは、処理される化学物質の結晶構造を破壊し、これにより、構造の無秩序度の増加を伴って化学物質の溶解度が増加する。処理のいくつかはまた、化学物質の表面積および/または多孔性を増加させ、これにより、一般的に化学物質の溶解速度が増加し、ならびにその溶解度が増加する。
機械的処理
場合によっては、方法は、化学物質を機械的に処理することを含むことができる。機械的処理としては、例えば、切断、ミリング、加圧、粉砕、せん断およびチョッピングが挙げられる。ミリングとしては、例えば、ボールミリング、ハンマーミリング、ロータ/ステータドライまたはウェットミリング、または他の型のミリングが挙げられる。他の機械的処理としては、例えば、石粉砕、クラッキング、機械的リッピングまたはテアリング、ピン粉砕または空気摩擦ミリングが挙げられる。
機械的処理は、化学物質を「切開し」、「応力をかけ」、破壊し、粉々にし、化学物質を、鎖切断および/または結晶度の減少を受け安くし、場合によっては照射時の酸化を受けやすくするのに有利であり得る。
場合によっては、機械的処理は、例えば、切断、粉砕、せん断、微粉化またはチョッピングによる化学物質の最初の調製を含み得る。その代わりに、または加えて、化学物質は最初に、1つ以上の他の物理的処理方法、例えば、化学的処理、放射線、音波処理、酸化、熱分解または水蒸気爆発により物理的に処理され、その後に機械的に処理される。この順序は、有利である可能性があり、というのも、1つ以上の他の処理、例えば、照射または熱分解により処理された化学物質はより脆くなる傾向があり、よって、化学物質の分子構造を機械的処理によりさらに変化させるのが容易になり得るからである。
化学物質を機械的に処理する方法としては、例えば、ミリングまたは粉砕が挙げられる。ミリングは、例えば、ハンマーミル、ボールミル、コロイドミル、コニカルまたはコーンミル、ディスクミル、エッジミル、Wileyミルまたはグリストミルを用いて実施され得る。粉砕は、例えば、石材グラインダー、ピングラインダー、コーヒーグラインダー、またはバーグラインダーを用いて実施され得る。粉砕は、例えば、ピンミルにおける場合のように往復ピンまたは他の要素により提供され得る。他の機械的処理方法としては、機械的リッピングまたはテアリング、化学物質に圧力を適用する他の方法、および空気摩擦ミリングが挙げられる。好適な機械的処理はさらに、化学物質の分子構造を変化させる任意の他の技術を含む。
機械的処理システムは、処理される化学物質に特定の形態特性、例えば、例として、表面積、多孔性、およびかさ密度を提供するように構成することができる。化学物質の表面積および多孔性を増加させると、一般的に化学物質の溶解度および溶解速度が増加する。
いくつかの実施形態では、機械的に処理された化学物質のBET表面積は、0.1m/g超、例えば、0.25m/g超、0.5m/g超、1.0m/g超、1.5m/g超、1.75m/g超、5.0m/g超、10m/g超、25m/g超、35m/g超、50m/g超、60m/g超、75m/g超、100m/g超、150m/g超、200m/g超、またはさらに50m/g超である。
機械的に処理された化学物質の多孔性は、例えば、20%超、25%超、35%超、50%超、60%超、70%超、80%超、85%超、90%超、92%超、94%超、95%超、97.5%超、99%超、またはさらに99.5%超とすることができる。
いくつかの実施形態では、機械的処理後、化学物質は、0.25g/cm未満、例えば0.20g/cm、0.15g/cm、0.10g/cm、0.05g/cm以下、例えば、0.025g/cmのかさ密度を有する。かさ密度は、ASTM D1895Bを用いて決定される。簡単に言うと、方法は、周知の体積のメスシリンダーを試料で満たし、試料の重量を得ることを含む。かさ密度は、gで表された試料の重量を、cmで表されたシリンダーの周知の体積で割ることにより計算される。
状況によっては、低いかさ密度材料を調製し、材料を高密度化し(例えば、別の場所に輸送するのをより容易に、より安価にするため)、その後、材料をより低いかさ密度状態に戻すことが望ましい可能性がある。高密度化材料は本明細書で記載される方法のいずれかによりプロセシングすることができ、または本明細書で記載される方法のいずれかによりプロセシングされた任意の材料はその後、例えば、米国特許出願第12/429、045号およびWO2008/073186号(その全開示は参照により本明細書に組み込まれる)において開示されるように高密度化させることができる。
放射線処理
1つ以上の放射線プロセシング順序を使用して、化学物質をプロセシングし、構造的に変更された化学物質を提供することができ、これは、照射前の化学物質に対し増加した溶解度および/または溶解速度を有する。照射は、例えば、化学物質の分子量および/または結晶度を減少させることができる。放射線はまた、化学物質、または化学物質をプロセシングするのに必要とされる任意の媒質を滅菌することができる。
いくつかの実施形態では、その原子軌道から電子を放出材料中に堆積されたエネルギーを使用して、材料を照射する。放射線は、(1)重荷電粒子、例えばα粒子またはプロトン、(2)例えば、β崩壊または電子ビーム加速器において生成された電子、または(3)電磁放射線、例えば、γ線、x線、または紫外線により提供され得る。1つのアプローチでは、放射性物質により生成される放射線が化学物質を照射するために使用され得る。別のアプローチでは、電磁放射線(例えば、電子ビームエミッタを用いて生成される)が化学物質を照射するために使用され得る。いくつかの実施形態では、(1)〜(3)のいずれの組み合わせも任意の順序で、または同時に使用され得る。適用される線量は、所望の効果および特定の化学物質に依存する。
鎖切断が望ましい、および/またはポリマ鎖官能化が望ましいいくつかの場合には、電子より重い粒子、例えばプロトン、ヘリウム核、アルゴンイオン、ケイ素イオン、ネオンイオン、炭素イオン、リンイオン、酸素イオンまたは窒素イオンが使用され得る。開環鎖切断が望ましい場合、正電荷を有する粒子が開環鎖切断を増強するためのルイス酸特性のために使用され得る。例えば、最大酸化が望ましい場合、酸素イオンが使用され得、最大ニトロ化が望ましい場合、窒素イオンが使用され得る。重粒子および正電荷を有する粒子の使用は、米国特許出願第12/417,699号(その全開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
1つの方法では第1の数平均分子量(MN1)を有する第1の化学物質は、例えば、イオン化放射線(例えば、γ放射線、X線放射線、100nm〜280nm紫外(UV)光、電子または他の荷電粒子のビームの形態)による処理により照射され、第1の数平均分子量より低い第2の数平均分子量(MN2)を有する第2の化学物質が提供される。第2の化学物質(または第1および第2の化学物質)は、中間体または生成物を生成するためにさらにプロセシングされる最終生成物として使用することができる。
第2の化学物質は第1の化学物質に比べ減少した分子量、場合によっては、その上減少した結晶度を有するので、第2の化学物質は、第1の化学物質よりも大きな溶解度および/または高い溶解速度を示す。これらの特性により、第2の化学物質は、プロセシングされやすく、場合によっては、より反応性が高くなる可能性があり、これは、所望の生成物生成速度および/または生成レベルを著しく改善することができる。
いくつかの実施形態では、第2の数平均分子量(MN2)は、第1の数平均分子量(MN1)よりも約10%超、例えば、約15、20、25、30、35、40、50%、60%超、またはさらに約75%超だけ低い。
場合によっては、照射は、例えば、約10%超、例えば、約15、20、25、30、35、40超、またはさらに約50%超だけ、化学物質の結晶度を減少させる。
いくつかの実施形態では、開始結晶化度(照射前)は、約40〜約87.5%、例えば、約50〜約75%または約60〜約70%であり、照射後の結晶化度は約10〜約50%、例えば、約15〜約45%または約20〜約40%である。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、大規模な照射後、5%未満の結晶化度を有することができる。いくつかの実施形態では、照射後の材料は実質的にはアモルファスである。
いくつかの実施形態では、開始数平均分子量(照射前)は約200,000〜約3,200,000、例えば、約250,000〜約1,000,000または約250,000〜約700,000であり、照射後の数平均分子量は、約50,000〜約200,000、例えば、約60,000〜約150,000または約70,000〜約125,000である。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、大規模な照射後、約10,000未満、またはさらに約5,000未満の数平均分子量を有することができる。
いくつかの実施形態では、第2の化学物質は、第1の化学物質の酸化レベル(O)より高い酸化レベル(0)を有することができる。化学物質の酸化レベルが高いほど、さらにその溶解度および/または溶解速度を増加させることができる。いくつかの実施形態では、酸化レベルを増加させるために、照射は酸化環境下、例えば、一面空気または酸素下で実施される。場合によっては、第2の化学物質は、第1の化学物質よりも多くのヒドロキシル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基またはカルボン酸基を有することができ、これらは、親水性、よって、水または水性媒質中での溶解度を増加させることができる。
イオン化放射線
各形態の放射線は、放射線のエネルギーにより決定されるように、特定の相互作用を介して炭素含有材料をイオン化する。重荷電粒子は、主にクーロン散乱を介して物質をイオン化し;さらに、これらの相互作用は、エネルギー電子を生成し、これらはさらに物質をイオン化し得る。α粒子は、ヘリウム原子の核と同一であり、様々な放射性核、例えばビスマス、ポロニウム、アスタチン、ラドン、フランシウム、ラジウム、いくつかのアクチニド、例えばアクチニウム、トリウム、ウラン、ネプツニウム、キュリウム、カリホルニウム、アメリシウム、およびプルトニウムの同位体のα崩壊により生成される。
粒子が使用される場合、それらは中性である(非荷電)、正電荷を有するまたは負電荷を有することができる。荷電されると、荷電粒子は単一の正または負電荷、あるいは複数の電荷、例えば、1、2、3またはさらには4以上の電荷を有することができる。鎖切断が望ましい場合、正電荷を有する粒子が、1つにはその酸性性質のために望ましい可能性がある。粒子が使用される場合、粒子は、静止電子の質量、またはそれ以上、例えば、静止電子の質量の500、1000、1500、2000、10,000またはさらに100,000倍を有することができる。例えば、粒子は、約1原子単位〜約150原子単位、例えば、約1原子単位〜約50原子単位、または約1〜約25、例えば、1、2、3、4、5、10、12または15amuの質量を有することができる。粒子を加速するために使用される加速器は、静電DC、電気力学DC、RF線形、磁気誘導線形または連続波とすることができる。例えば、サイクロトロン型加速器は、IBA、Belgium、例えばRhodotron(登録商標)システムとして入手可能であり、一方、DC型加速器は、RDI、現IBA Industrialから、例えばDynamitron(登録商標)として入手可能である。イオンおよびイオン加速器は、Introductory Nuclear Physics, Kenneth S. Krane, John Wiley & Sons, Inc. (1988), Krsto Prelec, FIZIKA B 6 (1997) 4, 177−206, Chu, William T., ’’Overview of Light−Ion Beam Therapy’’ Columbus−Ohio, ICRU−IAEA Meeting, 18−20 March 2006, Iwata, Y. et al,’’Alternating−Phase−Focused IH−DTL for Heavy−Ion Medical Accelerators’’ Proceedings of EPAC 2006, Edinburgh, Scotland and Leaner, CM. et al, ’’Status of the Superconducting ECR Ion Source Venus’’ Proceedings of EPAC 2000, Vienna, Austriaにおいて記載される。
γ放射線は、様々な材料中への著しい侵入深さという利点を有する。γ線源としては放射性核、例えばコバルト、カルシウム、テクネチウム、クロム、ガリウム、インジウム、ヨウ素、鉄、クリプトン、サマリウム、セレン、ナトリウム、タリウム、およびキセノンの同位体が挙げられる。
x線源としては、金属標的、例えばタングステンもしくはモリブデンまたは合金との電子ビーム衝突、または小型光源、例えばLynceanにより商用に製造されたものが挙げられる。
紫外放射線源としては重水素またはカドミウムランプが挙げられる。
赤外放射線源としては、サファイア、亜鉛、またはセレン化物窓セラミックランプが挙げられる。
マイクロ波源としては、クライストロン、Slevin型RF源、または水素、酸素、もしくは窒素ガスを使用する原子ビーム源が挙げられる。
いくつかの実施形態では、電子ビームが放射線源として使用される。電子ビームは、高い線量率(例えば、1、5、またはさらに10Mrad/秒)、高いスループット、より低い封じ込め、およびより低い閉込め機器の利点を有する。電子はまた、鎖切断を引き起こすのにより効率的であり得る。加えて、4−10MeVのエネルギーを有する電子は、5〜30mm以上、例えば40mmの侵入深さを有することができる。
電子ビームは、例えば、静電起電機、カスケード起電機、変圧起電機、走査システムを有する低エネルギー加速器、線形カソードを有する低エネルギー加速器、線形加速器、およびパルス加速器により発生させることができる。イオン化放射線源としての電子は、例えば、材料の比較的薄い部分、例えば、0.5インチ未満、例えば、0.4インチ、0.3インチ、0.2インチ未満、または0.1インチ未満に対し有用である。いくつかの実施形態では、電子ビームの各電子のエネルギーは、約0.3MeV〜約2.0MeV(100万電子ボルト)、例えば、約0.5MeV〜約1.5MeV、または約0.7MeV〜約1.25MeVである。
電子ビーム照射装置はIon Beam Applications、Louvain−la−Neuve、BelgiumまたはTitan Corporation、San Diego、CAから商業的に調達され得る。典型的な電子エネルギーは1MeV、2MeV、4.5MeV、7.5MeV、または10MeVとすることができる。典型的な電子ビーム照射装置電力は、1kW、5kW、10kW、20kW、50kW、100kW、250kW、または500kWとすることができる。化学物質の解重合レベルは、使用される電子エネルギーおよび適用される線量に依存し、暴露時間は電力および線量に依存する。典型的な線量は、1kGy、5kGy、10kGy、20kGy、50kGy、100kGy、または200kGyの値をとり得る。
イオン粒子ビーム
電子より重い粒子が使用され得る。例えば、プロトン、ヘリウム核、アルゴンイオン、ケイ素イオン、ネオンイオン、炭素イオン、リンイオン、酸素イオンまたは窒素イオンが使用され得る。いくつかの実施形態では、電子より重い粒子は、より高い量の鎖切断を誘発することができる(より軽い粒子に比べ)。場合によっては、正電荷を有する粒子は、その酸性のために、負電荷を有する粒子よりも、より高い量の鎖切断を誘発することができる。
例えば、線形加速器またはサイクロトロンを使用して、より重い粒子ビームを発生させることができる。いくつかの実施形態では、ビームの各粒子のエネルギーは、約1.0MeV/原子単位〜約6,000MeV/原子単位、例えば、約3MeV/原子単位〜約4,800MeV/原子単位、または約10MeV/原子単位〜約1,000MeV/原子単位である。
ある実施形態では、イオンビームは、1を超える型のイオンを含むことができる。例えば、イオンビームは、2以上(例えば、3、4以上)の異なる型のイオンの混合物を含むことができる。例示的な混合物は、炭素イオおよびプロトン、炭素イオンおよび酸素イオン、窒素イオンおよびプロトン、ならびに鉄イオンおよびプロトンを含むことができる。より一般的に、上記イオンのいずれか(または任意の他のイオン)の混合物は、照射オンビームを形成するために使用することができる。特に、比較的軽いおよび比較的より重いイオンの混合物は、単一イオンビームにおいて使用することができる。
いくつかの実施形態では、材料を照射するためのイオンビームは、正電荷を有するイオンを含む。正電荷を有するイオンとしては、例えば、正電荷を有する水素イオン(例えば、プロトン)、希ガスイオン(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン)、炭素イオン、窒素イオン、酸素イオ、ケイ素原子、リンイオン、および金属イオン、例えばナトリウムイオン、カルシウムイオン、および/または鉄イオンが挙げられる。いずれの理論にも縛られることを望まないが、そのような正電荷を有するイオンは、材料に暴露されると、化学的にルイス酸部分として挙動し、酸化環境においてカチオン開環鎖切断反応を開始し、維持すると考えられる。
ある実施形態では、材料を照射するためのイオンビームは負電荷を有するイオンを含む。負電荷を有するイオンとしては、例えば、負電荷を有する水素イオン(例えば、水素化物イオン)、および様々な比較的電気陰性の核の負電荷を有するイオン(例えば、酸素イオン、窒素イオン、炭素イオン、ケイ素イオン、およびリンイオン)が挙げられる。いずれの理論にも縛られることを望まないが、そのような負電荷を有するイオンは、材料に暴露されると、化学的にルイス塩基部分として挙動し、還元環境においてアニオン開環鎖切断反応を引き起こすと考えられる。
いくつかの実施形態では、材料を照射するためビームは中性原子を含むことができる。例えば、水素原子、ヘリウム原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、ネオン原子、ケイ素原子、リン原子、アルゴン原子、および鉄原子のいずれか1つ以上がビームに含められ得る。一般に、上記型の原子のいずれか2つ以上の混合物(例えば、3つ以上、4つ以上、あるいはそれ以上)がビーム中に存在することができる。
ある実施形態では、材料を照射するために使用されるイオンビームは、一価イオン、例えばH、H、He、Ne、Ar、C、C、O、O、N、N、Si、Si、P、P、Na、Ca、およびFeの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、イオンビームは、多価イオン、例えば、C2+、C3+、C4+、N3+、N5+、N3−、02+、O2−、O 2−、Si2+、Si4+、Si2−、およびSi4−の1つ以上を含むことができる。一般に、イオンビームはまた、複数の正または負電荷を有するより複雑な多核イオンを含むことができる。ある実施形態では、多核イオンの構造のおかげで、正または負電荷は、イオンの構造の実質的に全体にわたって効果的に分配され得る。いくつかの実施形態では、正または負電荷は、イオンの構造の部分に限局され得る。
電磁放射線
照射が電磁放射線を用いて実施される実施形態では、電磁放射線は、例えば10eV超、例えば、10、10、10、10超、またはさらに10eV超の1光子あたりのエネルギー(電子ボルトで表される)を有することができる。いくつかの実施形態では、電磁放射線は、10〜10、例えば、10〜10eVの1光子あたりのエネルギーを有する。電磁放射線は、例えば、1016hz超、1017hz超、1018、1019、1020、またはさらに1021hz超の周波数を有することができる。いくつかの実施形態では、電磁放射線は、1018〜1022、例えば1019〜1021の周波数を有する。
化学物質のクエンチングおよび制御された官能化
イオン化放射線による処理後、処理された化学物質はイオン化されている可能性があり;すなわち、電子スピン共鳴分光計により検出可能なレベルでラジカルを含み得る。イオン化された化学物質が雰囲気中に残っている場合、例えば、大気中酸素と反応することによりカルボン酸基が生成される程度まで、酸化されるであろう。そのような酸化は、化学物質の分子量のさらなる分解を助けることができ、酸化基、例えば、カルボン酸基は、溶解度に役立つことができるので、望ましい。しかしながら、ラジカルは、照射後しばらく、例えば、1日、5日、30日、3ヶ月、6ヶ月より長くまたはさらに1年より長く、「存在」することができるので、材料特性は、時間と共に変化し続ける可能性があり、これは、場合によっては、望ましくない可能性がある。
イオン化後、イオン化されたいずれの材料もクエンチされ、イオン化された材料中のラジカルのレベルが減少され、例えば、よってラジカルが電子スピン共鳴分光計によってもはや検出できない。例えば、ラジカルは、十分な圧力をイオン化された材料に適用することにより、および/またはイオン化された材料と接触する、ラジカルと反応(クエンチ)する流体、例えばガスまたは液体を使用することにより、クエンチされ得る。少なくともラジカルのクエンチングを支援するためにガスまたは液体を使用することはイオン化された材料を、所望の量および種類の官能基、例えばカルボン酸基、エノール基、アルデヒド基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキル基、クロロアルキル基またはクロロフルオロアルキル基で官能化するために使用することができる。
官能化は化学物質の極性を変化させることができ、これは一般的に化学物質の溶解度に影響し、例えば、極性の増加は一般的に化学物質の極性溶媒中での溶解度を増加させる。例えば、異なる官能基は、異なる程度の水素結合および正味の双極子モーメント、ならびに電気陰性原子の数を示す。例えば、アルデヒド基は、大きな双極子モーメントを有し、よって、アミンおよびアルコールの場合のように相対的に極性であり、水素結合する能力を有する。カルボン酸は最も極性の官能基であり、というのも、これらは、広く水素結合し、双極子モーメントを有し、2つの電気陰性原子を含むことができるからである。
いくつかの実施形態では、クエンチングは、例えば、直接機械的に1、2、または3次元で材料を圧縮すること、または材料が浸漬された流体に圧力を適用すること、例えば、静水圧加圧による、イオン化された材料への圧力の適用を含む。そのような場合、材料自体の変形がラジカルをもたらし、これらはしばしば結晶ドメイン中に十分近接してトラップされ、そのため、ラジカルは、別の基と再結合し、または反応することができる。場合によっては、圧力は熱、例えば、材料の温度を、材料または材料の構成要素の融点または軟化点より高い温度まで上昇させるのに十分な量の熱の適用と共に適用される。熱は材料中の分子移動度を改善することができ、これはラジカルのクエンチングを助けることができる。圧力がクエンチするために使用される場合、圧力は約1000psi超、例えば約1250psi、1450psi、3625psi、5075psi、7250psi、10000psi超またはさらに15000psi超とすることができる。
いくつかの実施形態では、クエンチングは、イオン化された材料を流体、例えば液体またはガス、例えば、ラジカルと反応することができるガス、例えばアセチレンまたは窒素中アセチレンの混合物、エチレン、塩素化エチレンまたはクロロフルオロエチレン、プロピレンまたはこれらのガスの混合物と接触させることを含む。他の特定の実施形態では、クエンチングは、イオン化された材料を液体、例えば、材料中に侵入し、ラジカルと反応することができる液体、例えばジエン、例えば1,5−シクロオクタジエンと接触させることを含む。いくつかの特定の実施形態では、クエンチングは、イオン化された材料を抗酸化剤、例えばビタミンEと接触させることを含む。所望であれば、化学物質は、その中に分散された抗酸化剤を含むことができる。
官能化は重荷電イオン、例えば本明細書で記載されるより重いイオンのいずれかを使用することにより増強させることができる。例えば、酸化を増強することが要求される場合、荷電酸素イオンが照射のために使用され得る。窒素官能基が要求される場合、窒素イオンまたは窒素を含むアニオンが使用され得る。同様に、硫黄またはリン基が要求される場合、硫黄またはリンイオンが照射において使用され得る。
線量
場合によっては、照射は、約0.25Mrad/秒を超える、例えば、約0.5、0.75、1.0、1.5、2.0を超える、またはさらに約2.5Mrad/秒を超える線量率で実施される。いくつかの実施形態では、照射は、5.0〜1500.0kilorad/時、例えば、10.0〜750.0kilorad/時または50.0〜350.0kilorad/時の線量率で実施される。
いくつかの実施形態では、照射(任意の放射線源または線源の組み合わせを用いる)は、材料が少なくとも0.1Mrad、少なくとも0.25Mrad、例えば、少なくとも1.0Mrad、少なくとも2.5Mrad、少なくとも5.0Mrad、少なくとも10.0Mrad、少なくとも60Mradまたは少なくとも100Mradの線量を受理するまで実施される。いくつかの実施形態では、照射は、材料が約0.1Mrad〜約500Mrad、約0.5Mrad〜約200Mrad、約1Mrad〜約100Mrad、または約5Mrad〜約60Mradの線量を受理するまで実施される。いくつかの実施形態では、比較的低い線量、例えば、60Mrad未満の放射線が適用される。
音波処理
音波処理は化学物質の分子量および/または結晶度を減少させ、よって、化学物質の溶解度および/または溶解速度を増加させることができる。音波処理はまた、化学物質および/または化学物質をプロセシングするために使用される任意の媒質を滅菌するために使用することができる。
1つの方法では、第1の数平均分子量(MN1)を有する第1の化学物質が媒質、例えば水中に分散され、音波処理されおよび/または別な方法で空洞形成され、第1の数平均分子量より低い第2の数平均分子量(MN2)を有する第2の化学物質が提供される。
いくつかの実施形態では、第2の数平均分子量(MN2)は第1の数平均分子量(MN1)よりも約10%超、例えば、約15、20、25、30、35、40、50%、60%超、またはさらに約75%超だけ低い。
場合によっては、第2の化学物質は、第1の化学物質の結晶度(C)より低い結晶度(C)を有する。例えば、(C)は(C)よりも約10%超、例えば、約15、20、25、30、35、40超、またはさらに約50%超だけ低くすることができる。
いくつかの実施形態では、開始結晶化度(音波処理前)は、約40〜約87.5%、例えば、約50〜約75%または約60〜約70%であり、音波処理後の結晶化度は約10〜約50%、例えば、約15〜約45%または約20〜約40%である。しかしながら、ある実施形態では、例えば、大規模な音波処理後、5%未満の結晶化度を有することができる。いくつかの実施形態では、音波処理後の材料は、実質的にはアモルファスである。
いくつかの実施形態では、開始数平均分子量(音波処理前)は、約200,000〜約3,200,000、例えば、約250,000〜約1,000,000または約250,000〜約700,000であり、音波処理後の数平均分子量は約50,000〜約200,000、例えば、約60,000〜約150,000または約70,000〜約125,000である。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、大規模な音波処理後、約10,000未満またはさらに約5,000未満の数平均分子量を有することができる。
いくつかの実施形態では、第2の化学物質は、第1の化学物質の酸化レベル(O)より高い酸化レベル(O)を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の化学物質の比べ第2の化学物質の酸化レベルを増加させるために、音波処理は酸化媒質中で実施される。場合によっては、第2の化学物質は、より多くのヒドロキシル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基またはカルボン酸基を有することができ、これらはその親水性を増加させることができる。
いくつかの実施形態では、音波処理媒質は水性媒質である。所望であれば、媒質は、酸化剤、例えば過酸化物(例えば、過酸化水素)、分散剤および/または緩衝剤を含むことができる。分散剤の例としては、イオン性分散剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、および非イオン性分散剤、例えば、ポリ(エチレングリコール)が挙げられる。
他の実施形態では、音波処理媒質は非水性である。例えば、音波処理は、炭化水素、例えば、トルエンまたはヘプタン、エーテル、例えば、ジエチルエーテル またはテトラヒドロフラン中、またはさらに液化ガス例えばアルゴン、キセノン、または窒素中で実施することができる。
一般的に、化学物質は、少なくとも音波処理前には音波処理媒質に不溶であることが好ましい。
熱分解
1つ以上の熱分解プロセシング順序を使用して、化学物質の溶解度および/または溶解速度を増加させることができる。熱分解はまた、化学物質および/またはプロセス化学物質をプロセシングするために使用される任意の媒質を滅菌するために使用することができる。
1つの例では、第1の数平均分子量(MN1)を有する第1の化学物質は、例えば、第1の化学物質を管状炉内で加熱することにより(酸素の存在下、または不存在下)熱分解され、第1の数平均分子量より低い第2の数平均分子量(MN2)を有する第2の化学物質が提供される。
いくつかの実施形態では、第2の数平均分子量(MN2)は、第1の数平均分子量(MN1)より、約10%超、例えば、約15、20、25、30、35、40、50%、60%超、またはさらに約75%超だけ低い。
場合によっては、第2の化学物質は、第1の化学物質の結晶度(C)より低い結晶度(C)を有する。例えば、(C)は、(C)よりも約10%超、例えば、約15、20、25、30、35、40超、またはさらに約50%超だけ低くすることができる。
いくつかの実施形態では、開始結晶度(熱分解前)は、約40〜約87.5%、例えば、約50〜約75%または約60〜約70%であり、熱分解後の結晶化度約10〜約50%、例えば、約15〜約45%または約20〜約40%である。しかしながら、ある実施形態では、例えば、大規模な熱分解後、5%より低い結晶化度を有することができる。いくつかの実施形態では、熱分解後の材料は実質的にはアモルファスである。
いくつかの実施形態では、開始数平均分子量(熱分解前)は約200,000〜約3,200,000、例えば、約250,000〜約1,000,000または約250,000〜約700,000であり、熱分解後の数平均分子量は約50,000〜約200,000、例えば、約60,000〜約150,000または約70,000〜約125,000である。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、大規模な熱分解後、約10,000未満またはさらに約5,000未満の数平均分子量を有することができる。
いくつかの実施形態では、第2の化学物質は、第1の化学物質の酸化レベル(O)より高い酸化レベル(O)を有することができる。いくつかの実施形態では、酸化レベルを増加させるために、熱分解は、酸化環境で実施される。場合によっては、第2の材料は、第1の材料よりも多くのヒドロキシル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基またはカルボン酸基を有することができ、よって材料の親水性が増加する。
いくつかの実施形態では、熱分解は連続的である。他の実施形態では、化学物質は予め決められた時間熱分解され、その後、第2の予め決められた時間冷却され、その後、再び熱分解される。
酸化
1つ以上の酸化プロセシング順序を使用して、化学物質の溶解度および/または溶解速度を増加させることができる。
1つの方法では、第1の数平均分子量(MN1)および第1の酸素含量(O)を有する第1の化学物質は、例えば、第1の化学物質を空気または酸素を多く含む空気の流れの中で加熱することにより酸化され、第2の数平均分子量(MN2)および第1の酸素含量(O)よりも高い第2の酸素含量(O)を有する第2の化学物質が提供される。
第2の化学物質の第2の数平均分子量は、 一般的に第1の化学物質の第1の数平均分子量よりも低い。例えば、分子量は他の物理的処理に対して上記で記載されるのと同じ程度まで減少され得る。第2の材料の結晶度もまた、他の物理的処理に対して上記で記載されるのと同じ程度まで減少され得る。
いくつかの実施形態では、第2の酸素含量は、第1の酸素含量よりも少なくとも約5%高く、例えば、7.5%高く、10.0%高く、12.5%高く、15.0%高くまたは17.5%高い。いくつかの好ましい実施形態では、第2の酸素含量は第1の酸素含量よりも少なくとも約20.0%高い。酸素含量は、元素分析により、1300℃以上で動作する炉内で試料を熱分解することにより、測定される。好適な元素分析装置は、VTF−900高温熱分解炉を備えたLECO CHNS−932分析装置である。
一般的に、材料の酸化は、酸化環境で起こる。例えば、酸化は、酸化環境、例えば空気または空気中濃縮されたアルゴン中での熱分解により実施され、または支援することができる。酸化を支援するために、様々な化学薬剤、例えば酸化剤、酸または塩基が酸化前、または酸化中に化学物質に添加され得る。例えば、過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)が酸化前に添加され得る。
いくつかの酸化方法はFenton型化学を採用する。そのような方法は、例えば、米国特許出願第12/639,289号(その完全な開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示される。
例示的な酸化剤としては過酸化物、例えば過酸化水素および過酸化ベンゾイル、過硫酸塩、例えば過硫酸アンモニウム、酸素の活性型、例えばオゾン、過マンガン酸塩、例えば過マンガン酸カリウム、過塩素酸塩、例えば過塩素酸ナトリウム、および次亜塩素酸塩、例えば次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)が挙げられる。
状況によっては、pHは、接触中約5.5以下、例えば1〜5、2〜5、2.5〜5または約3または5で維持される。酸化条件はまた、2〜12時間、例えば、4〜10時間または5〜8時間の接触期間を含むことができる。場合によっては、温度は300℃以下、例えば、250、200、150、100または50℃以下で維持される。場合によっては、温度は実質的には周囲温度、例えば、20−25℃または約20−25℃のままである。
いくつかの実施形態では、1つ以上の酸化剤は例えば、材料を空気を介して粒子、例えば電子のビームで照射することにより、オゾンをその場で発生させることにより、ガスとして、適用される。
いくつかの実施形態では、混合物はさらに、1つ以上のヒドロキノン、例えば2,5−ジメトキシヒドロキノン(DMHQ)および/または1つ以上のベンゾキノン、例えば2,5−ジメトキシ−l,4−ベンゾキノン(DMBQ)を含み、これらは電子移動反応を支援することができる。
いくつかの実施形態では、1つ以上の酸化剤は、その場で電気化学的に生成される。例えば、過酸化水素および/またはオゾンは、電気化学的に接触または反応容器内で生成させることができる。
可溶化または官能化するための他のプロセス
この段落のプロセスはいずれも、単独で本明細書で記載されるプロセスのいずれもなしで、または、本明細書で記載されるプロセスのいずれかと組み合わせて使用することができる(任意の順序):水蒸気爆発、化学的処理(例えば、酸処理(鉱酸、例えば硫酸、塩酸および有機酸、例えばトリフルオロ酢酸による濃酸および希酸処理を含む)および/または塩基処理(例えば、石灰または水酸化ナトリウムによる処理))、UV処理、スクリュー押出処理(例えば、2008年11月17日に出願された米国特許出願第61/115,398号を参照されたい)、溶媒処理(例えば、イオン液体による処理)および凍結ミリング(例えば、米国特許出願第12/502,629号を参照されたい)。
中間体および生成物
場合によっては、処理された化学物質はそれ自体、最終生成物、例えば、改善された溶解度および/または溶解速度を有する塩またはポリマとなる。他の場合、一次プロセスおよび/または後プロセシングを使用して、処理された化学物質は、1つ以上の生成物、例えばエネルギー、燃料、食品および材料に変換させることができる。構成要素化学物質の溶解度が増加された場合、より効率的に、広範囲の生成物が製造されおよび/または使用され得る。ほんの数例としては、塗料、インクおよびコーティングにおいて使用されるバインダおよび/または顔料、食品において使用される成分、ならびに医薬品において使用される成分が挙げられる。
物理的に処理された化学物質を使用する反応またはプロセスにより製造され得る生成物の具体例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:水素、アルコール(例えば、一価アルコールまたは二価アルコール、例えばエタノール、n−プロパノールまたはn−ブタノール)、例えば10%、20%、30%またはさらに40%を超える水を含む水和または含水アルコール、糖、バイオディーゼル、有機酸(例えば、酢酸および/または乳酸)、炭化水素、副産物(例えば、タンパク質、例えばセルロース分解タンパク質(酵素)または単細胞タンパク質)、および任意の組み合わせまたは相対濃度の、および任意で、任意の添加物、例えば、燃料添加物と組み合わされたこれらのいずれかの混合物。他の例としては、下記が挙げられる:カルボン酸、例えば酢酸または酪酸、カルボン酸の塩、カルボン酸およびカルボン酸の塩の混合物ならびにカルボン酸のエステル(例えば、メチル、エチルおよびn−プロピルエステル)、ケトン、アルデヒド、α、β不飽和酸、例えばアクリル酸およびオレフィン、例えばエチレン。他のアルコールおよびアルコール誘導体としては下記が挙げられる:プロパノール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、これらのアルコールのいずれかのメチルまたはエチルエステル。他の生成物としては下記が挙げられる:メチルアクリレート、メチルメタクリレート、乳酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、これらの酸のいずれかの塩およびこれらの酸のいずれかの混合物ならびに個々の塩。
他の中間体および生成物、例えば食品および医薬生成物は、米国特許出願第12/417,900号(その全開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
化学物質
処理される化学物質は、例えば、1つ以上の下記のいずれかとすることができる:塩、ポリマ、モノマ、医薬品、栄養補助食品、ビタミン、ミネラル、中性分子、または任意のこれらの混合物。
塩は、例えば、下記カチオンのいずれか: アンモニウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、ピリジニウム、第4級アンモニウム、およびナトリウム、および下記アニオンのいずれかを含み得る: 酢酸、炭酸、塩化物、クエン酸、シアン化物、水酸化物、硝酸、亜硝酸、酸化物、リン酸、および硫酸。塩は、例えば、電解質であってもよい。
ポリマは、天然および合成ポリマを含む。ポリマは、極性高分子、例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)またはポリビニルアルコール(物理的処理前に水に可溶である)、または非極性ポリマもしくは低い極性を示すポリマ、例えば、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、またはポリ(イソブチレン)(物理的処理前に非極性溶媒に可溶である)であってもよい。ポリマの例としては、ラテックス、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、およびポリアミドが挙げられる。
他の実施形態
本発明の多くの実施形態が記載されている。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な変更が可能であることは理解されるであろう。
例えば、本明細書で記載されるプロセスは全て、1つの物理的な場所で実施することができるが、いくつかの実施形態では、プロセスは、複数の場所で完了され、および/または輸送中に実施され得る。
したがって、他の実施形態は下記特許請求の範囲に含まれる。

Claims (16)

  1. 化学物質を機械的処理、化学的処理、放射線、音波処理、酸化、熱分解および水蒸気爆発からなる群より選択される物理的処理により処理し、物理的処理前の前記化学物質の溶解度に比べ前記化学物質の溶解度を増加させることを含む、化学物質の溶解度を増加させる方法。
  2. 前記化学物質は、塩、ポリマ、およびモノマからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記物理的処理は、照射を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記物理的処理は、前記化学物質の官能性を変化させる、請求項1に記載の方法。
  5. 照射は、前記化学物質を電子ビームに暴露することを含む、請求項3に記載の方法。
  6. 照射は、前記化学物質に少なくとも5Mradの総線量の放射線を適用することを含む、請求項3に記載の方法。
  7. 前記物理的に処理された化学物質は物理的処理前の前記化学物質の結晶度よりも少なくとも10%低い結晶度を有する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記化学物質は、物理的処理前、約40〜約87.5%の結晶化度を有し、物理的に処理された化学物質は約10〜約50%の結晶化度を有する、請求項1に記載の方法。
  9. 機械的処理、化学的処理、放射線、音波処理、酸化、熱分解および水蒸気爆発からなる群より選択される物理的処理により処理された化学物質を含み、物理的処理前の前記化学物質の溶解度より高い溶解度を有する生成物。
  10. 前記化学物質は、塩、ポリマ、およびモノマからなる群より選択される、請求項9に記載の生成物。
  11. 前記化学物質は、照射される、請求項9に記載の生成物。
  12. 前記生成物は、物理的処理前の前記化学物質とは異なる官能性を有する、請求項9に記載の生成物。
  13. 前記化学物質は、前記化学物質を電子ビームに暴露することにより照射される、請求項11に記載の生成物。
  14. 前記化学物質は少なくとも5Mradの総線量の放射線により照射される、請求項11に記載の生成物。
  15. 前記物理的に処理された化学物質は、物理的処理前の前記化学物質の結晶度よりも少なくとも10%低い結晶度を有する、請求項9に記載の生成物。
  16. 前記化学物質は、物理的処理前、約40〜約87.5%の結晶化度を有し、前記物理的に処理された化学物質は、約10〜約50%の結晶化度を有する、請求項9に記載の生成物。
JP2013512100A 2010-05-24 2011-05-20 化学物質のプロセシング Pending JP2013534857A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
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