JPH1161041A - コーティングされたシリコーンゴム製品 - Google Patents

コーティングされたシリコーンゴム製品

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JPH1161041A
JPH1161041A JP21433797A JP21433797A JPH1161041A JP H1161041 A JPH1161041 A JP H1161041A JP 21433797 A JP21433797 A JP 21433797A JP 21433797 A JP21433797 A JP 21433797A JP H1161041 A JPH1161041 A JP H1161041A
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JP
Japan
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silicone rubber
polycarbonate resin
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weight
resin powder
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Withdrawn
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JP21433797A
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English (en)
Inventor
Hiroyoshi Shimozu
弘義 下津
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Momentive Performance Materials Japan LLC
Original Assignee
Toshiba Silicone Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非粘着性、撥水性、潤滑性、摩耗擦傷性、ブ
ロッキング性に優れ、更にこれらの性能が長期間持続す
るシリコーンゴム製品を提供する。 【解決手段】 (A) 硬化性シリコーン組成物;100 重量
部、(B) 溶融析出法により得られた平均粒径が0.5 〜50
μm のポリカーボネート樹脂粉末が有機溶剤に濃度3〜
20重量%で分散した分散液;ポリカーボネート樹脂粉末
分として2〜50重量部、(C) 有機溶剤;任意量を含むコ
ーティング剤組成物によるコーティング皮膜が表面に形
成されたシリコーンゴム製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、コーティング皮膜が表面
に形成されたシリコーンゴム製品に関するものであり、
更に詳しくは、非粘着性、撥水性、潤滑性、摩耗擦傷
性、ブロッキング性に優れ、更にこれらの性能が長期間
持続するシリコーンゴム製品に関する。
【0002】
【発明の技術的背景とその問題点】シリコーンゴムは、
その卓越した耐熱性、耐水性、機械的性質等から各種用
途に広く使用されている。特に潤滑性、撥水性、耐候
性、人体に対する安全性等の点から、身体装着用製品、
例えば、スイミングキャップ、ゴーグル、マスクのベル
ト等に重用されている。ところが、ブロッキング性に関
しては、シリコーンゴムは他の有機ゴムに比べ優れては
いるものの、ブロッキング性が十分とは言えず、ゴム面
同士が長期間接触していた場合、接着してしまう等の問
題がある。また、上記スイミングキャップ等の身体装着
用製品においては、毛髪等の人毛や皮膚と接触した場
合、ひっかかったりして毛髪等を傷つけてしまう等の問
題が残っている。また、接着してしまったり、ひっかか
ったりした場合、その製品自体が切れたりすることもあ
った。これらの問題を解決するため、ゴム製品に、タル
ク等の粉体をまぶしたり、オイルを塗ったり、表面にコ
ーティングを施す等の手段がとられているが、タルク処
理では粉による周辺の汚染、撥水性の低下、持続性がな
い等の問題があり、シリコーンオイル等のオイルにより
処理では、油による周辺の汚染、ホコリの付着、持続性
がない等の問題があり、更に表面コーティングの場合、
一般有機塗料ではシリコーンゴムへの接着が難しいこと
と、コートすることによりシリコーンゴムの表面特性を
失わせてしまうという問題があった。これらの問題の解
決のために、シリコーンのコーティング剤を塗布するこ
とが、特開平9−12891号公報、特開平8−259
818号公報、特開平7−216229号公報、特開昭
61−159427号公報等で提案されているが、何れ
もフィラーの沈降の問題で、充分な滑り性を得ることが
できないという問題があった。
【0003】
【発明の目的】本発明は、上記問題点を解消するために
なされたものであって、非粘着性、撥水性、潤滑性、摩
耗擦傷性、ブロッキング性に優れ、更にこれらの性能が
長期間持続するシリコーンゴム製品を提供することを目
的とする。
【0004】
【発明の構成】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭
意検討した結果、硬化性シリコーン組成物に対し、溶融
析出法により得られたポリカーボネート樹脂粉末の有機
溶剤分散液と有機溶剤とを併用配合した特定のコーティ
ング剤組成物を、シリコーンゴムの皮膜形成剤とするこ
とが極めて有効であることを見出し、本発明を完成する
に至った。即ち本発明は、 (A) 硬化性シリコーン組成物;100 重量部 (B) 溶融析出法により得られた平均粒径が0.5 〜50μm
のポリカーボネート樹脂粉末が有機溶剤に濃度3〜20重
量%で分散した分散液;ポリカーボネート樹脂粉末分と
して2〜50重量部 (C) 有機溶剤;任意量 を含むことを特徴とするコーティング剤組成物によるコ
ーティング皮膜が表面に形成されたシリコーンゴム製品
である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明における(A) 硬化性シリコーン組成物と
は、常温または加熱等によって硬化し、コーティング皮
膜の主剤となるものであって、(a) シリコーンベースポ
リマーと、(b) 硬化剤と、必要に応じて各種添加剤等と
を均一に分散させたものである。このような組成物に用
いられる各種成分のうち、(a) シリコーンベースポリマ
ーと(b) 硬化剤とは、弾性体を得るための反応機構に応
じて適宜選択されるものである。その反応機構として
は、(1) 有機過酸化物加硫剤による架橋方法、(2)縮合
反応による方法、(3) 付加反応による方法等が知られて
おり、その反応機構によって、(a) 成分と(b) 成分すな
わち硬化用触媒もしくは架橋剤との好ましい組合せが決
まることは周知である。このような各種の反応機構にお
いて用いられる(a) 成分のベースポリマーとしてのポリ
オルガノシロキサンにおける有機基は、1価の置換また
は非置換の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基のような
アルキル基、フェニル基のようなアリール基、β−フェ
ニルエチル基、β−フェニルプロピル基のようなアラル
キル基等の非置換の炭化水素基や、クロロメチル基、3,
3,3 −トリフルオロプロピル基等の置換炭化水素基が例
示される。なお、一般的にはメチル基が合成のし易さ等
から多用される。以下、上記 (1)〜(3) の夫々の反応機
構における(a) ベースポリマーと、(b)硬化剤とについ
て説明する。
【0006】先ず、上記(1) の架橋方法を適用する場合
においては、通常、(a) 成分のベースポリマーとして
は、1分子中のケイ素原子に結合した有機基のうち、少
なくとも2個がビニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセ
ニルなどのアルケニル基であるポリオルガノシロキサン
が用いられる。特に合成の容易さ、原料の入手のし易さ
から、上記基の中でもビニル基が好ましい。また、(b)
成分の硬化剤としては、ベンゾイルペルオキシド、2,4
−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキ
シド、クミル−t−ブチルペルオキシド、2,5 −ジメチ
ル−2,5 −ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t
−ブチルペルオキシド等の各種の有機過酸化物加硫剤が
用いられ、特に低い圧縮永久歪みを与えることから、ジ
クミルペルオキシド、クミル−t−ブチルペルオキシ
ド、2,5 −ジメチル−2,5 −ジ−t−ブチルペルオキシ
ヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシドが好ましい。な
お、これらの有機過酸化物加硫剤は、1種または2種以
上の混合物として用いられる。(b) 成分の硬化剤である
有機過酸化物の配合量は、(a) 成分のベースポリマー10
0重量部に対し0.05〜15重量部の範囲が好ましい。有機
過酸化物の配合量が0.05重量部未満では加硫が十分に行
われず、15重量部を超えて配合してもそれ以上の格別な
効果がないばかりか、得られたシリコーンの物性に悪影
響を与えることがあるからである。
【0007】また、上記(2) の縮合反応を適用する場合
においては、(a) 成分のベースポリマーとしては両末端
に水酸基を有するポリオルガノシロキサンが用いられ
る。(b) 成分の硬化剤としては、まず架橋剤として、エ
チルシリケート、プロピルシリケート、メチルトリメト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリ
ス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メトキ
シエトキシ)シラン、メチルトリプロペノキシシラン等
のアルコキシ型;メチルトリアセトキシシラン、ビニル
トリアセトキシシラン等のアセトキシ型;メチルトリ
(アセトンオキシム)シラン、ビニルトリ(アセトンオ
キシム)シラン、メチルトリ(メチルエチルケトキシ
ム)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシム)シ
ラン等、およびその部分加水分解物が例示される。ま
た、ヘキサメチル−ビス(ジエチルアミノキシ)シクロ
テトラシロキサン、テトラメチルジブチル−ビス(ジエ
チルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ヘプタメチ
ル(ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ペ
ンタメチル−トリス(ジエチルアミノキシ)シクロテト
ラシロキサン、ヘキサメチル−ビス(メチルエチルアミ
ノキシ)シクロテトラシロキサン、テトラメチル−ビス
(ジエチルアミノキシ)−モノ(メチルエチルアミノキ
シ)シクロテトラシロキサンのような環状シロキサンお
よびケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なく
とも平均2個を越える数有するポリオルガノシロキサン
等も例示される。このように、架橋剤はシランやシロキ
サン構造のいずれでもよく、またそのシロキサン構造は
直鎖状、分岐状および環状のいずれでもよい。さらに、
これらを使用する際には、1種類に限定される必要はな
く、2種以上の併用も可能である。また、(b) 成分の硬
化剤のうち、硬化用触媒としては、鉄オクトエート、コ
バルトオクトエート、マンガンオクトエート、スズナフ
テネート、スズカプリレート、スズオレエートのような
カルボン酸金属塩;ジメチルスズジオレエート、ジメチ
ルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブ
チルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、
ジブチルスズジオレエート、ジフェニルスズジアセテー
ト、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキシド、ジ
ブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジオクチル
スズジラウレートのような有機スズ化合物が用いられ
る。(b) 成分の硬化剤のうち、上記架橋剤の配合量は
(a) 成分のベースポリマー100 重量部に対し 0.1〜20重
量部が好ましい。架橋剤の使用量が 0.1重量部未満で
は、硬化後のゴムに充分な強度が得られず、また20重量
部を超えると得られるゴムが脆くなり、いずれも実用に
耐え難い。また、硬化用触媒の配合量は(a) 成分のベー
スポリマー 100重量部に対し0.01〜5重量部が好まし
い。これより少ない量では硬化用触媒として不十分であ
って、硬化に長時間を要し、また空気との接触面から遠
い内部での硬化が不良となる。他方、これよりも多い場
合には、保存安定性が低下してしまう。より好ましい配
合量の範囲としては、 0.1〜3重量部の範囲である。
【0008】上記(3) の付加反応を適用する場合の(a)
成分のベースポリマーとしては、上記(1) におけるベー
スポリマーと同様なものが用いられる。また、(b) 成分
の硬化剤としては、硬化用触媒として、塩化白金酸、白
金オレフィン錯体、白金ビニルシロキサン錯体、白金
黒、白金トリフェニルホスフィン錯体等の白金系触媒が
用いられ、架橋剤として、ケイ素原子に結合した水素原
子が1分子中に少なくとも平均2個を超える数を有する
ポリオルガノシロキサンが用いられる。(b) 成分の硬化
剤のうち、硬化用触媒の配合量は、(a) 成分のベースポ
リマーに対し白金元素量で1〜1000ppm の範囲となる量
が好ましい。硬化用触媒の配合量が白金元素量として1
ppm 未満では、充分に硬化が進行せず、また1000ppm を
超えても特に硬化速度の向上等が期待できない。また、
架橋剤の配合量は、(a)成分中のアルケニル基1個に対
し、架橋剤中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5 〜
4.0 個となるような量が好ましく、さらに好ましくは
1.0〜3.0 個となるような量である。水素原子の量が 0.
5個未満である場合は、組成物の硬化が充分に進行せず
に、硬化後の組成物の硬さが低くなり、また水素原子の
量が 4.0個を超えると硬化後の組成物の物理的性質と耐
熱性が低下する。
【0009】次に本発明の特徴的成分である(B) 成分に
ついて説明する。(B) 成分の、有機溶剤に安定に分散し
た、溶融析出法により得られた平均粒径が0.5 〜50μm
のポリカーボネート樹脂粉末分散液は、硬化皮膜の潤滑
性を上げ、耐摩耗性を向上させるための成分であり、ま
た、硬化皮膜の光沢を消したり、皮膜表面の粘着感を減
少させる働きもある。溶融析出法により得られた溶液分
散型のポリカーボネート樹脂粉末は、高温でアノン等の
有機溶剤に溶解させたポリカーボネート樹脂を冷却によ
り析出させて製造するものに代表されるもので、有機溶
剤のみに分散させた状態で長期間沈降分離を起こさない
ものである。一般的なポリカーボネート樹脂から粉砕等
を行って得られた粉末は、その比重が一般的な有機溶剤
に比べて重いため、有機溶剤のみに分散させた場合、比
較的短時間で沈降層を形成してしまう。従って、このよ
うなポリカーボネート樹脂粉末を使用したものは、皮膜
中にポリカーボネート樹脂粉末が沈んだ状態となりやす
く、十分な潤滑効果を得ることが困難である。また、適
当な増粘剤や樹脂を溶解させて得られた溶液に分散させ
たポリカーボネート樹脂粉末を使用した場合、シリコー
ン皮膜の機械的強度の低下、硬化皮膜の白濁が起こりや
すく、また潤滑効果も十分ではない。また、ポリカーボ
ネート樹脂粉末の平均粒径は50μm 以下、好ましく0.5
〜50μm 、より好ましくは1.0 〜30μm の範囲とする必
要がある。50μm より平均粒径が大きいと、硬化皮膜の
機械的強度が低下し、耐摩耗性も低下する。尚、0.5μm
より小さいものは、製造が困難である上、潤滑性、耐
摩耗性を向上させる効果が少ない。ここで使用する有機
溶剤は、ポリカーボネート樹脂粉末の製造と、得られた
粉末を安定に分散させておくために用いるもので、一般
にポリカーボネートが溶融する温度以上の沸点を有する
ものである。このような有機溶剤としては、n−オクタ
ン、イソパラフィン、トルエン、キシレン、ブチルアル
コール、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等
が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合
して用いることができるが、好ましくはシクロヘキサノ
ンあるいはシクロヘキサノンを含有する混合溶剤であ
る。また、上記のポリカーボネート樹脂粉末の有機溶剤
分散液中のポリカーボネート樹脂粉末の濃度は、3〜20
重量%、好ましくは5〜15重量%である。3重量%より
少ないと製造効率が悪く、20重量%を越えると粘度が高
く製造が困難である。また、使用するポリカーボネート
樹脂粉末の粒径は、コーティングして得られた硬化皮膜
の膜厚の25〜200 %になるように調整することが好まし
い。膜厚の25%未満であると潤滑性効果が悪くなり、耐
摩耗性も低下する。また、膜厚の200%を越えると、ポ
リカーボネート樹脂粉末の脱落が起きやすくなる。使用
するポリカーボネート樹脂粉末の形状としては、球状、
鱗片状が好ましいが、多面体、異形体、片体であっても
良い。 また、色調は用途によって自由であり、基材が変
形した時の変色を隠蔽するために基材と同色に着色して
もよい。
【0010】この(B) 成分のポリカーボネート樹脂粉末
分散液の配合量は、ポリカーボネート樹脂粉末分とし
て、(A) 成分100 重量部に対して2〜50重量部、好まし
くは5〜40重量部の範囲とすることが必要である。配合
量が2重量部より少ないと、潤滑性、耐摩耗性が不充分
となり、50重量部を越えると硬化皮膜の機械的強度が悪
くなったり、かえって耐摩耗性の低下が顕著になる。
【0011】本発明の(C) 成分である有機溶剤は、配合
したポリカーボネート樹脂粉末やコーティングする基材
表面の粗さにより形成される凹凸をより効果的に増大さ
せ、接触面減少による潤滑性向上効果を持たせると共
に、ポリカーボネート樹脂粉末で得られた硬化皮膜上の
凸部分からポリシロキサン硬化物層を減少させあるいは
取り除き、ポリカーボネート樹脂粉末の持つ本来の潤滑
性を表面に得るためのものである。本発明で使用する有
機溶剤(C) としては、硬化性シリコーン組成物が溶解
し、且つ塗布後短時間で乾燥するものが好ましく、例え
ばn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、工業
用ガソリン、石油ナフサ、イソパラフィン、ベンゼン、
トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、ブチル
アルコール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等
が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合
して用いることができるが、これらの中では工業用ガソ
リン、石油ナフサ、イソパラフィン又はこれらの1種も
しくは2種以上とイソプロピルアルコールとの混合物が
好適に使用される。(C) 成分の有機溶剤の配合量は、潤
滑性向上効果が得られる量であれば特に制限はなく、一
般的に処理に用いる組成物に望まれる粘度により任意量
が適宜選択される。
【0012】本発明の組成物には、上記必須成分以外に
本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて各種の添
加剤、充填剤等を配合することができる。例えば、ナイ
ロン、ポリエチレン、ポリフッ化エチレン、ポリアセタ
ール、ポリメチルシルセスキオキサン等の樹脂粉、シリ
カ、ジルコニア、アルミナ等の無機物の微粉末、煙霧質
シリカ、沈降性シリカ、これらの疎水化物等の補強性充
填剤、シリカアエロゲル、粉砕石英、ケイソウ土等の非
補強性充填剤等を配合することができる。また、各種シ
リコーン樹脂も補強性充填剤として使用できる。これら
充填剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いるこ
とができる。
【0013】更に本発明の組成物には、更に潤滑性を高
めるために不活性のシリコーンオイル、特に高粘度のポ
リジメチルシロキサンオイルを配合することができる。
【0014】また、本発明の組成物から得られる硬化物
の物理的性質の調整、あるいはコーティング基材との接
着性を向上させるために、トリメトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン等の各種シランあるい
はこれらの部分加水分解物を適宜添加してもよい。これ
らは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いること
ができる。
【0015】本発明の組成物は、上述した各成分を均一
に混合することによって容易に調製することができる
が、通常は予めシリコーンベースポリマーを混合しやす
い粘度となるように溶剤に溶解したものに、触媒を除く
残りの成分を加え均一に混合し、最後に触媒を加え均一
に混合することにより調製される。
【0016】また、本発明のコーティング剤組成物が付
与される、シリコーンゴムとは市販されている各種のシ
リコーンゴムを全て包含するものであり、常温または加
熱等によって硬化し、ゴム状弾性体となるものであっ
て、シリコーンベースポリマーと、硬化剤と、必要に応
じて各種添加剤等とを均一に分散させたものである。そ
の反応機構は、(A) 成分について説明した場合と同様
に、(1) 有機過酸化物加硫剤による架橋方法、(2) 縮合
反応による方法、(3) 付加反応による方法等が知られて
おり、その反応機構によって、シリコーンベースポリマ
ー成分と硬化剤すなわち硬化用触媒もしくは架橋剤との
好ましい組合せが決まることは周知であり、本発明はど
のような反応機構によって得られたシリコーンゴムに対
しても有効である。
【0017】本組成物によりシリコーンゴムの表面処理
を行う方法としては、一般的な塗布方法が採用でき、例
えばディプコート、スプレーコート、刷毛ぬり、ナイフ
コート、ロールコート等の方法を挙げることができる。
次いで、乾燥を行って溶剤を乾燥除去し、次に室温で数
時間放置するか、または若干の加熱を行って硬化せしめ
ることによって、基材表面に硬化皮膜を形成することが
できる。加熱硬化は、通常、60〜250 ℃の温度で30秒〜
30分程度行われる。本発明の硬化皮膜の膜厚に特に制限
はないが、ポリカーボネート微粉末の平均粒径の50〜40
0 %にすることが好ましく、一般的には0.5 〜30μm の
範囲である。
【0018】本発明の組成物は、シリコーンゴム表面に
直接コートすることができるが、良好な接着性を得るた
め、適当なプライマーで処理したシリコーンゴム表面に
コートすることも可能である。本発明の組成物によって
硬化皮膜が形成されたシリコーンゴム表面は、接触する
物質に対する良好な非粘着性、撥水性、潤滑性を有し、
且つこの硬化皮膜は黄変が少なく、耐摩耗性、耐擦傷性
に優れ、従来のポリオルガノシロキサン組成物に処理さ
れた製品と比べ全ての面で優れている。本発明のシリコ
ーンゴム製品としては特に制限はないが、特に身体装着
用製品、例えば、スイミングキャップ、ゴーグル、マス
クのベルト等、ブロッキング性が特に問題となる製品に
適用した場合に効果が顕著である。その他、マウスパッ
ド、キーボード、シリコーンガスケット、電線、コネク
ター、プラグブーツ、ケーブルロール、チューブ等のシ
リコーンゴム製品に使用される。
【0019】
【発明の効果】本発明のコーティングが施されたシリコ
ーンゴム製品は、優れた非粘着性、撥水性、潤滑性、耐
摩耗性を有し、ブロッキング性に優れ、しかもこれらの
効果が長期間持続するという顕著な効果を有する。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例
において、部はいずれも重量部、%はいずれも重量%を
示す。 実施例1 下記平均式(1) で表される両末端水酸基封鎖ジメチルポ
リシロキサン100 部、下記平均式(2) で表される両末端
水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン10部をトルエン3000
部に添加し溶解させた。この溶液に、溶融析出法により
製造された平均粒径3μm の沈降性のないポリカーボネ
ート樹脂粉末7%、シクロヘキサノン20%、キシレン73
%からなる組成のポリカーボネート分散溶液250 部を添
加し、攪拌混合した。次いで、下記平均式(3) で表され
る粘度30cSt のオルガノハイドロジェンポリシロキサン
1.5 部とγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
10部を添加し、攪拌混合した。最後にジブチルスズジラ
ウレート7部を添加混合し、コーティング剤組成物を得
た。
【0021】
【化1】
【0022】実施例2 下記平均式(4) で表される両末端水酸基封鎖ジメチルポ
リシロキサン100 部をトルエン1000部に添加し溶解させ
た。この溶液に、溶融析出法により製造された平均粒径
3μm の沈降性のないポリカーボネート樹脂粉末7%、
シクロヘキサノン20%、キシレン73%からなる組成のポ
リカーボネート分散溶液250 部を添加し、攪拌混合し
た。次いで、溶液にエチルポリシリケート(SiO2分40
%)10部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン20部を添加し、攪拌混合した。最後にジブチルスズジ
ラウレートの40%トルエン溶液15部を添加混合し、コー
ティング剤組成物を得た。
【0023】
【化2】
【0024】実施例3 下記平均式(5) で表されるアルケニル基含有ポリシロキ
サン100 部、下記平均式(6) で表される粘度30cSt のオ
ルガノハイドロジェンポリシロキサン4部をトルエン20
00部に添加し溶解させた。この溶液に、溶融析出法によ
り製造された平均粒径3μm の沈降性のないポリカーボ
ネート樹脂粉末7%、シクロヘキサノン20%、キシレン
73%からなる組成のポリカーボネート分散溶液250 部を
添加し、攪拌混合した。次いで、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン10部を添加し、攪拌混合した。
最後に白金とビニルシロキサンとの錯体を上記ポリシロ
キサンに対して200ppmになるように添加し、コーティン
グ剤組成物を得た。
【0025】
【化3】
【0026】比較例1 実施例1において、溶融析出法で製造したポリカーボネ
ート分散溶液の代わりに、ポリカーボネート樹脂を直接
粉砕して得られた平均粒径3μm のポリカーボネート樹
脂のトルエン溶液(濃度15%)を用いた以外は実施例1
と同様にしてコーティング剤組成物を得た。
【0027】比較例2 実施例2において、溶融析出法で製造したポリカーボネ
ート分散溶液の代わりに、ポリカーボネート樹脂を直接
粉砕して得られた平均粒径3μm のポリカーボネート樹
脂のトルエン溶液(濃度15%)を用いた以外は実施例2
と同様にしてコーティング剤組成物を得た。
【0028】比較例3 実施例3において、溶融析出法で製造したポリカーボネ
ート分散溶液の代わりに、ポリカーボネート樹脂を直接
粉砕して得られた平均粒径3μm のポリカーボネート樹
脂のトルエン溶液(濃度15%)を用いた以外は実施例3
と同様にしてコーティング剤組成物を得た。
【0029】比較例4 実施例1において、ポリカーボネート分散溶液の代わり
にトルエンを用いた以外は実施例1と同様にしてコーテ
ィング剤組成物を得た。
【0030】比較例5 実施例2において、ポリカーボネート分散溶液の代わり
にトルエンを用いた以外は実施例2と同様にしてコーテ
ィング剤組成物を得た。
【0031】比較例6 実施例3において、ポリカーボネート分散溶液の代わり
にトルエンを用いた以外は実施例3と同様にしてコーテ
ィング剤組成物を得た。
【0032】上記の如くして調製した各コーティング剤
組成物を、加硫硬化したシリコーンゴム板にスプレー塗
布した。 これを5分間風乾後、150 ℃で10分加熱して、
厚さ10μm の硬化皮膜が形成されたシリコーンゴム製品
を得た。得られたシリコーンゴム製品について、ブロッ
キング性、潤滑性(摩擦係数)、耐摩耗性の評価を行っ
た。結果を表1に示す。尚、評価基準は以下の通りであ
る。 [ブロッキング性]幅50mm、長さ100 mm、厚さ2mmの、
コーティングを施したゴムシートのコーティング面同士
を合わせ、その上から500 gのおもりを乗せ、1日放置
した後おもりをはずし、上側のゴムの端部より持ち上げ
て、ブロッキング性を評価した。評価基準は以下の通り
である。 ブロッキング性なし…下側のゴムが全く持ち上がらなか
った ブロッキング性少 …下側のゴムが持ち上がったが自重
で落下した ブロッキング性有 …下側のゴムが上側のゴムにくっつ
き落下しなかった [摩擦係数]コーティングしたゴム表面上に、幅10mm、
長さ100mm のガラス板を置き、1kgの荷重をかけてガ
ラス板を 150mm/min の速度で移動させ、そのと
きに得られる引っ張り応力により動摩擦係数を求めた。
尚、最大静止摩擦係数はガラス板が動き出すときの値で
ある。 [耐摩耗性]耐摩耗性試験は、下記のような条件で行っ
た。 試験条件 試験機:往復式平面摩耗試験機 摩耗子:砂消しゴム(ライオン社製SH502) 荷重:500 g ストローク:150 mm 摩耗サイクル:60往復/分 尚、耐摩耗性は、硬化皮膜が基材から剥離するか、また
は皮膜自体が摩耗して基材の摩擦が始まるまでの摩擦回
数で評価した。表1の数値は、その回数以降に基材の始
まったことを示す。
【0033】
【表1】
【0034】実施例4 実施例1において、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン10部の代わりにγ−アミノプロピルトリメト
キシシラン40部と下記平均式(7) で示されるエポキシ基
含有ポリオルガノシロキサン20部の混合物を用いた以外
は実施例1と同様にしてコーティング剤組成物を得た。
【0035】この組成物をシリコーンゴム製スイミング
キャップ内面にスプレーにて塗布した。これを5分間風
乾後、150 ℃で10分加熱して、厚さ5μm の硬化皮膜が
形成されたスイミングキャップを得た。このスイミング
キャップについて、ブロッキング性、水切れ性、装着
性、持続製の評価を行った。また、未コート品および内
面タルク処理品についても同様に評価した。結果を表2
に示す。
【0036】
【化4】
【0037】
【表2】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 硬化性シリコーン組成物;100 重量部 (B) 溶融析出法により得られた平均粒径が0.5 〜50μm
    のポリカーボネート樹脂粉末が有機溶剤に濃度3〜20重
    量%で分散した分散液;ポリカーボネート樹脂粉末分と
    して2〜50重量部 (C) 有機溶剤;任意量を含むことを特徴とするコーティ
    ング剤組成物によるコーティング皮膜が表面に形成され
    たシリコーンゴム製品。
  2. 【請求項2】コーティング皮膜中のポリカーボネート樹
    脂粉末が、コーティング膜厚に対して25〜200 %の粒径
    になるように調整された請求項1記載のシリコーンゴム
    製品。
  3. 【請求項3】シリコーンゴム製品が身体装着用製品であ
    る請求項1又は2記載のシリコーンゴム製品。
JP21433797A 1997-08-08 1997-08-08 コーティングされたシリコーンゴム製品 Withdrawn JPH1161041A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007229939A (ja) * 2006-02-27 2007-09-13 Chuko Kasei Kogyo Kk 複合シート及びその製造方法
JP2009512506A (ja) * 2005-10-21 2009-03-26 ダウ・コーニング・コーポレイション 流体移送アセンブリ
JP2009249560A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Kaneka Corp 触感が良好である樹脂成形体およびその製造方法
WO2011129032A1 (ja) * 2010-04-16 2011-10-20 旭硝子株式会社 コーティング用組成物およびその製造方法ならびにこれを用いた塗膜の形成方法
JP2019059896A (ja) * 2017-09-28 2019-04-18 大日本印刷株式会社 高摺動性樹脂成形体
CN115612149A (zh) * 2022-10-21 2023-01-17 深圳市飞荣达科技股份有限公司 一种导电硅橡胶及其制备方法

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