JPH115892A - ポリエステル樹脂ペレット及びその製造法、これを用いてなるポリエステル成形品 - Google Patents

ポリエステル樹脂ペレット及びその製造法、これを用いてなるポリエステル成形品

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JPH115892A
JPH115892A JP16087697A JP16087697A JPH115892A JP H115892 A JPH115892 A JP H115892A JP 16087697 A JP16087697 A JP 16087697A JP 16087697 A JP16087697 A JP 16087697A JP H115892 A JPH115892 A JP H115892A
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acid
polyester resin
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polyester
phosphorus
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Kiwamu Yuki
究 結城
Tsunetoshi Matsuda
常俊 松田
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融重縮合後の固相重合を阻害することな
く、溶融成形時における環状オリゴマー生成量が少な
く、かつ品質の良好なポリエステル成形品とすることが
できる樹脂ペレット及びその製造法を提供する。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレートまたはこれ
を主体とするポリエステルの表層の全部又は一部に、リ
ン酸由来の水酸基を有するリン化合物の特定量を被覆す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融重縮合反応を
経て製造されたポリエチレンテレフタレート又はこれを
主体とするポリエステル樹脂ペレットの表層に、特定の
リン化合物を被覆した樹脂ペレット及びその製造法に関
する。さらに詳しくは、リン酸由来の水酸基を有する酸
化数(V) のリン原子からなるリン化合物でポリエステル
樹脂ペレットの表面の全部又は一部を被覆することによ
り、固相重合反応を阻害することなく、さらに溶融成形
時における環状オリゴマーの生成量を少なくすることの
できるポリエステル樹脂ペレット及びその製造法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート又はこれを
主体とするポリエステル(以下「ポリエステル」とい
う。)は、機械的強度、耐熱性、透明性、ガスバリヤー
性等に優れ、また軽量、安価であるため、ボトル、シー
ト、フィルム、繊維、発泡体等に幅広く用いられてい
る。特に、炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用油、
酒、ワイン等、飲食料品の充填容器として好適である。
【0003】このようなポリエステルは、テレフタル酸
成分とエチレングリコール成分を主たる成分とし、これ
らをエステル化した後、通常は重縮合触媒の存在下に溶
融重縮合を行って製造される。
【0004】このようにして製造されたポリエステル中
には、環状オリゴマー(エチレンテレフタレートの環状
2量体〜環状10量体)が相当量含まれているので、通常
は固相重合によって、分子量を増大させるのと同時に環
状オリゴマー量の低減が行われている。しかし、固相重
合によって環状オリゴマーを低減しても、成形加工の
際、溶融押出しを行っていると再生成し、ポリエステル
製品製造工程上の障害となることが知られている。例え
ば、ボトル等の中空容器を製造する際には、射出成形時
に環状オリゴマーが再生成するため、金型汚染が生じた
り、これらの環状オリゴマーが異物としてポリエステル
中に混在して品質低下をもたらすという問題があった。
また、溶融紡糸の際には、ノズルの吐出孔周辺に環状オ
リゴマーが蓄積し、やがて吐出孔周辺で糸が変形した
り、糸切れや糸むらが発生したりする。さらに、フィル
ムを製造する際にも、ポリエステルの溶融時に環状オリ
ゴマーが再生成するため、フィルム切れを起こしたり、
品質低下をもたらすという問題があった。
【0005】したがって、上記した環状オリゴマーに関
する問題を解決するためには、固相重合によって環状オ
リゴマー含有量を低減するのみならず、再溶融時の環状
オリゴマーの生成を抑制し、含有量を増加させないよう
にする必要がある。
【0006】そこで従来より、これらの問題を解決する
ために種々の方法が試みられている。例えば、特開平6
−322082号公報には、ポリエステルにヒドロキシル基又
はカルボキシル基を有する一官能成分を共重合する方法
が提案されている。しかしながら、この方法では溶融重
縮合時に末端官能基が一官能成分によって封鎖されるた
め重縮合反応が阻害され、固有粘度の大きいポリエステ
ルが得られないという問題があった。
【0007】また、溶融重縮合工程及び固相重合工程を
経てポリエステルを製造するに際し、固相重合工程後に
熱水又は水蒸気処理を行い、ポリエステル中に含まれて
いる重縮合触媒を失活させることによって、溶融成形時
の環状オリゴマーの発生を抑制する方法(特開平3−17
4441号公報、特公平7− 37515号公報、特開平8−2833
93号公報等)が提案されている。しかし、これらの方法
では重縮合触媒を失活させるために、重合装置の他に熱
水処理装置や水蒸気処理装置を必要とし、コスト高にな
るという問題があった。
【0008】また、特開平8−283393号公報にはエステ
ル化工程又は溶融重縮合工程で、重縮合触媒由来の金属
とそれ以外のある特定の金属原子を添加し、環状オリゴ
マーの生成を抑制する方法が示されているが、この方法
では重縮合触媒原子以外の金属原子が添加されているた
め、金属原子添加以降の工程でポリエステルの重縮合反
応が阻害され、重縮合速度が遅くなってしまうという問
題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融重縮合
後の固相重合を通常のポリエステル樹脂ペレットと同様
に行うことができ、さらに溶融成形時における環状オリ
ゴマー生成量が少なく、かつ品質の良好なポリエステル
成形品とすることのできるポリエステル樹脂ペレット及
びその製造法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、溶融重縮合に
より得られたポリエステル樹脂ペレットの表層に特定の
リン化合物を被覆することで、この目的が達成できるこ
とを見い出し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明の要旨は次の通りであ
る。 (1) ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とする
ポリエステル樹脂ペレットの表層の全部又は一部に、酸
化数(v) のリン原子からなるリン化合物を1重量%以下
の割合で被覆されたことを特徴とするポリエステル樹脂
ペレット。ただし、酸化数(V) のリン原子からなるリン
化合物は正リン酸、メタリン酸、(HPO3)m (mは3
以上の整数)で示されるポリメタリン酸、Hn+2 n
3n+1(nは2以上の整数)で示されるポリリン酸からな
る群より選ばれた1種以上のリン酸又はそれらの塩もし
くはエステルであり、これらのリン化合物はリン酸由来
の水酸基を有するものである。 (2) 前記のリン化合物を、スプレー塗布により表面に被
覆することを特徴とする上記(1) に記載のポリエステル
樹脂ペレットの製造法。 (3) 上記(1) に記載のポリエステル樹脂ペレットからな
る成形品。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の樹脂ペレットにおけるポリエステルは、
テレフタル酸成分とエチレングリコール成分とを主成分
として、溶融重縮合により製造され、固有粘度が 0.5〜
1.5 のものである。
【0013】なお、ポリエステルには、上記成分の他
に、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソ
フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4'- ジフェ
ニルジカルボン酸、ジフェニルスルホジカルボン酸等の
芳香族ジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリッ
ト酸及びそれらの酸無水物等の芳香族多価カルボン酸成
分、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ア
ゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン
酸成分、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオー
ル、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブ
タンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコ
ール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール
等の脂肪族ジオール成分、トリメチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール成分、1,
4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジ
エタノール等の脂環族ジオール成分、ビスフェノールA
やビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等の芳香
族ジオール成分、4-ヒドロキシ安息香酸、ε- カプロラ
クトン等のヒドロキシカルボン酸成分などの共重合成分
が20モル%以内で含有されていてもよい。
【0014】本発明の樹脂ペレットにおける酸化数(V)
のリン原子からなるリン化合物としては正リン酸、メタ
リン酸、(HPO3)m (mは3以上の整数)で示される
ポリメタリン酸、Hn+2 n 3n+1(nは2以上の整
数)で示されるポリリン酸又はそれらの塩もしくはエス
テルが挙げられ、これらのリン化合物はリン酸由来の水
酸基を有することが必要である。ここで、リン酸由来の
水酸基とは酸化数(V) のリン原子に水酸基が結合したも
のをいう。具体的には、正リン酸、メタリン酸、ピロリ
ン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、リン酸第一ア
ルミニウム、リン酸一水素アルミニウム、リン酸一水素
マグネシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸モノエチ
ルエステル、リン酸モノオクチルエステル等があるが、
リン酸第一アルミニウム、リン酸一水素アルミニウム、
リン酸二水素カリウムが特に好ましい。
【0015】この際、酸化数(V) のリン原子からなるリ
ン化合物の配合量は、ポリエステルに対して1重量%以
下とすることが必要であり、0.05〜0.5 重量%とするこ
とがより好ましい。この配合量が1重量%を超えるとポ
リエステルの粘度低下や着色等の問題がある。
【0016】次に、本発明のポリエステル樹脂ペレット
を製造する方法について説明する。本発明の方法におい
ては、まずはじめに、テレフタル酸成分とエチレングリ
コール成分とを主原料とし、エステル化反応によりエス
テル化物を得る。
【0017】通常、エステル化物はテレフタル酸とエチ
レングリコールとのエステル化反応により得られるビス
−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート(以下「B
HET」と略称する。)及び/又はその低重合体に、テ
レフタル酸とエチレングリコールとを添加し、窒素ガス
下、160 〜280 ℃の温度でエステル化反応を行って得る
ことができる。
【0018】次いで、得られたエステル化物を重縮合触
媒の存在下に、通常0.01〜13hPa 程度の減圧下で 260〜
310 ℃、好ましくは 275〜290 ℃の温度で溶融重縮合を
行って、ポリエステルのプレポリマー(以下「プレポリ
マー」という。)を得た後、重合釜より払い出し、直径
3〜4mm、長さ4〜5mmの樹脂ペレットとする。
【0019】この際、重縮合触媒の配合量は、ポリエス
テルを構成する全酸成分1モルに対して1×10-6〜1×
10-3モルの範囲にすることが必要であり、1×10-5〜5
×10-3モルの範囲とすることが特に好ましい。この配合
量が1×10-6モル未満では、固有粘度の大きなプレポリ
マーが得られない。一方、この配合量が1×10-3モルを
超えると、プレポリマーの色調及び透明性が低下し、成
形時に金型汚染等が発生し易いので好ましくない。
【0020】また、溶融重縮合の際に、熱安定剤として
リン酸エステル類、亜リン酸エステル類等のリン酸由来
の水酸基を含有しないリン化合物を含有させることが好
ましいが、中でもリン酸トリエチルやリン酸トリブチル
等のリン酸エステルが特に好ましい。これらのリン化合
物の含有量としてはポリエステルを構成する全酸成分1
モルに対して1×10-7〜1×10-3モルの範囲とすること
が好ましい。
【0021】また、溶融重縮合において、重縮合触媒及
び熱安定剤としてのリン化合物は、任意の段階で加える
ことができるが、生産性及び取り扱い易さの点で溶融重
縮合の直前に加えることが好ましい。
【0022】次いで、溶融重縮合の終了した時点で、反
応容器からプレポリマーを払い出し、前記した酸化数
(v) のリン原子からなるリン化合物の粉体をスプレーに
より吹き付けることにより、プレポリマーの表面を被覆
する。この際、ポリエステル樹脂ペレットにリン化合物
を1重量%の割合で被覆させるためには、吹き付けるリ
ン化合物の量はプレポリマーに対し2重量%以下とする
ことが好ましく、粉体の粒径は0.1mm 以下とすることが
好ましい。
【0023】そして、リン化合物が被覆されたプレポリ
マーのストランドを水槽中で冷却固化した後、ペレタイ
ザーによって、通常、直径2〜5mm、長さ3〜6mm、好
ましくは直径3〜4mm、長さ4〜5mmのペレットとす
る。この際、表面のリン化合物が水に溶解するのを防ぐ
ために、水槽中の溶液はペレット表面に被覆したと同一
のリン化合物の飽和水溶液とすることが好ましい。
【0024】最後にリン化合物が被覆されたプレポリマ
ーのペレットを固相重合工程に移す。固相重合は、不活
性ガスの流通下、あるいは減圧下で、ポリエステルの融
点未満の温度で、5時間以上、好ましくは10時間以上行
うことが好ましい。この際、固相重合の温度は融点より
も10℃以上低く、かつ 190℃以上とすることがより好ま
しい。この温度が 190℃未満では環状オリゴマーの含有
量の減少速度が遅く、固相重合に長時間を要する。一
方、この温度が融点付近の温度では、当然ながらペレッ
トが融着するので好ましくない。
【0025】また、固相重合に先立って、固相重合を行
う温度よりも低い温度で予備結晶化を行うと、固相重合
が効率よく進行する。この予備結晶化工程は、リン化合
物に被覆されたプレポリマーのペレットを乾燥状態で、
通常 100〜180 ℃の温度で30分間〜8時間加熱して行
う。
【0026】このようにして得られたポリエステル樹脂
ペレットは、環状オリゴマーの含有量が通常は 1.0
重量%以下であり、この後、成形加工工程に供給され
る。このペレットを用いて成形品を製造する際には、従
来のポリエステル樹脂ペレットに用いられたのと同様の
方法を用いることができる。
【0027】なお、上記の方法により得られた樹脂ペレ
ットは、ペレットの軸方向にリン化合物が被覆したもの
であるが、ペレット状のプレポリマーにさらにリン化合
物を塗布することにより、ペレットの表面全部をリン化
合物で被覆することもできる。
【0028】中空容器を製造する方法は、従来のポリエ
ステルで用いられている延伸ブロー成形法をそのまま使
用することができる。例えば、前記のポリエステル樹脂
ペレットを用いて射出成形によりプリフォームを成形
し、次いで二軸延伸ブロー成形するホットパリソン法、
あるいは射出成形によりプリフォームを成形し、このプ
リフォームを予熱し、次いで二軸延伸ブロー成形するコ
ールドパリソン法等を採用することができる。
【0029】この際、成型機のシリンダー各部及びノズ
ルの温度は、通常 250〜290 ℃とする。また、延伸温度
は通常70〜180 ℃、好ましくは80〜110 ℃とし、延伸伸
度は延伸方向に 1.5〜3.5 倍、好ましくは2〜3倍の範
囲とするのがよい。
【0030】得られた中空容器はそのまま使用すること
ができるが、特に内容液の熱充填を必要とする場合に
は、成形に用いたのと同一のブロー成形金型内もしくは
別途設けた金型内でヒートセットし、耐熱性を向上させ
て用いることができる。
【0031】
【作用】本発明のポリエステル樹脂ペレットにおいて、
溶融成形時に環状オリゴマーの生成が抑制される理由
は、酸化数(v) のリン原子からなるリン化合物がポリエ
ステルの重縮合触媒に配位(相互作用)することによっ
てポリエステルを安定化するために、高温下で溶融した
ときに環状オリゴマーの生成が抑制されると推定され
る。
【0032】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例並びに比較例で用いた原料及び測定法
は次の通りである。 1.原料 ・リン酸第一アルミニウム;石津製薬社製 ・リン酸二水素カリウム;石津製薬社製 ・リン酸一水素アルミニウム;石津製薬社製
【0033】2.測定法 (a) 固有粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等量混合物を溶媒とし
て、温度20℃で測定し、dl/g 単位で表した。 (b) 樹脂ペレット中のリン化合物含有量の測定 試料のポリエステル樹脂ペレットをマイクロウェーブ湿
式灰化装置にて溶液化し、ICP 発光分析測定によりリン
原子の含有量を定量し、リン化合物の含有量を算出し
た。 (c) 環状オリゴマー含有量 中空容器の一部をヘキサフルオルイソプロパノール/ク
ロロホルム(1/1、体積比)の混合溶媒に溶解した
後、アセトニトリル中に投入してポリマーを沈殿させ、
メンブランフィルターで濾過した濾液中の環状オリゴマ
ー(エチレンテレフタレートの環状2量体〜環状10量
体)を高速液体クロマトグラフ(ウォーターズ社製、60
0E)で測定することにより定量した。
【0034】実施例1 BHET及びその低重合体の存在するエステル化反応容
器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール
(EG)とのモル比1/1.6 のスラリーを連続的に供給
し、温度 250℃、圧力 50hPaの条件で反応させ、滞留時
間8時間として平均重合度7のエステル化物を得た。こ
のエステル化物60Kgを重縮合反応容器に移し、酸成分1
モルに対して、1.5×10-4モルの三酸化アンチモン及び
3.0×10-4モルのリン酸トリエチルを加えた後、重縮合
反応容器中を徐々に減圧して、最終的に圧力 0.67hPa、
温度 280℃で2時間、溶融重縮合を行った。溶融重縮合
が完結した時点で、プレポリマーの固有粘度は〔η〕=
0.60であった。次に、このプレポリマーをストランド状
に払い出し、スプレーによって、プレポリマーに対して
0.1重量%のリン酸第一アルミニウムが被覆されるよう
に粉体を吹き付け、ストランドの表層を被覆した。次い
で、リン酸第一アルミニウムによって被覆されたストラ
ンドを、リン酸第一アルミニウムの飽和水溶液の水槽中
で冷却固化した後、ペレタイザーによって切断し、直経
3mm、長さ4mmのプレポリマーのペレットとした。次
に、このペレットを回転式固相重合装置に仕込み、1.3h
Paの減圧下、70℃で2時間、予備乾燥した後、130 ℃で
6時間加熱して結晶化させた。続いて、窒素ガスを流し
ながら、230 ℃に昇温し、10時間固相重合を行って
〔η〕= 0.75のポリエステル樹脂ペレットを得た。この
操作によって得られたポリエステル樹脂ペレットの相対
粘度及び被覆されたリン化合物含有量を測定した。さら
に、このリン化合物が被覆されたポリエステル樹脂ペレ
ットを用いて、中空容器を成形した。すなわち、前記の
ポリエステル樹脂ペレットを使用し、シリンダー各部及
びノズル温度 280℃、スクリュー回転数100rpm、射出時
間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した射出成
型機(日精エーエスビー社製、ASB-50HT型)を用いてプ
リフォームを成形した。次いで、このプリフォームを 1
00℃の雰囲気下、ブロー圧力2MPaで延伸ブロー成形し、
胴部平均肉厚 300μm 、内容積1リットルの中空容器を
作製し、圧縮緊張処理した後、110 ℃に設定した金型内
で10秒間ヒートセットした。上記条件下で2000本の中空
容器を連続成形したが、射出成形、延伸ブロー成形及び
ヒートセットのいずれにおいても金型汚染は認められな
かった。また、得られた中空容器の環状オリゴマー量を
高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて定量した。
【0035】実施例2 ストランド状のプレポリマーに吹き付けられたリン酸第
一アルミニウムの量を0.2 重量%とした以外は、実施例
1と同様にしてポリエステル樹脂ペレットを得た。上記
条件下で2000本の中空容器を連続成形したが、射出成
形、延伸ブロー成形及びヒートセットのいずれにおいて
も金型汚染は認められなかった。また、得られた中空容
器の環状オリゴマー量を高速液体クロマトグラフ(HPL
C)を用いて定量した。
【0036】実施例3 リン酸第一アルミニウムの代わりに、表1に記載の化合
物を用いた他は、実施例2と同様にしてポリエステル樹
脂ペレットを得た。上記条件下で2000本の中空容器を連
続成形したが、射出成形、延伸ブロー成形及びヒートセ
ットのいずれにおいても金型汚染は認められなかった。
また、得られた中空容器の環状オリゴマー量を高速液体
クロマトグラフ(HPLC)を用いて定量した。
【0037】実施例4 ストランド状のプレポリマーに吹き付けるリン酸第一ア
ルミニウムの量を1.5重量%とした以外は実施例3と同
様にしてポリエステル樹脂ペレットを得た。上記条件下
で2000本の中空容器を連続成形したが、射出成形、延伸
ブロー成形及びヒートセットのいずれにおいても金型汚
染は認められなかった。また、得られた中空容器の環状
オリゴマー量を高速液体クロマトグラフ(HPLC)を
用いて定量した。
【0038】実施例5 リン酸第一アルミニウムの代わりに、表1に記載の化合
物を用いた他は、実施例2と同様にしてポリエステル樹
脂ペレットを得た。上記条件下で2000本の中空容器
を連続成形したが、射出成形、延伸ブロー成形及びヒー
トセットのいずれにおいても金型汚染は認められなかっ
た。また、得られた中空容器の環状オリゴマー量を高速
液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて定量した。
【0039】比較例1 プレポリマーのペレットにリン酸第一アルミニウムを被
覆せず、さらにストランドの冷却固化の際の水槽中の溶
液を純水とした。それ以外は実施例1と同様に溶融重縮
合及び固相重合を行ってポリエステル樹脂ペレットを得
た。上記条件下で2000本の中空容器を連続成形したとこ
ろ、金型汚染が生じた。また、得られた中空容器の環状
オリゴマー量を高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用い
て定量した。
【0040】比較例2 実施例1と同様に溶融重縮合反応を行い、溶融重縮合反
応終了10分前にリン酸第一アルミニウムをプレポリマー
に対し、0.1 重量%加え、混合した。この溶融物をスト
ランド状に払い出し、純水の水槽中で冷却固化した後、
ペレット化した。その後、実施例1と同様の手順で固相
重合を行い、ポリエステル樹脂ペレットを得た。比較例
2ではリン化合物がポリエステル樹脂ペレット中に均一
に配合されているために、固相重合を行っても固有粘度
が上がらず、中空容器用のポリエステル樹脂ペレットと
して不向きであった。
【0041】実施例1〜5及び比較例1〜2における結
果をまとめて表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、溶融重縮合後の固相重
合を阻害することなく、溶融成形時における環状オリゴ
マー生成量が少なく、かつ品質の良好なポリエステル成
形品を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29L 22:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート又はこれを
    主体とするポリエステル樹脂ペレットの表層の全部又は
    一部に、酸化数(V) のリン原子からなるリン化合物が1
    重量%以下の割合で被覆されたことを特徴とするポリエ
    ステル樹脂ペレット。ただし、酸化数(V) のリン原子か
    らなるリン化合物は正リン酸、メタリン酸、(HPO3)
    m (mは3以上の整数)で示されるポリメタリン酸、H
    n+2 n 3n+1(nは2以上の整数)で示されるポリリ
    ン酸からなる群より選ばれた1種以上のリン酸又はそれ
    らの塩もしくはエステルであり、これらのリン化合物は
    リン酸由来の水酸基を有するものである。
  2. 【請求項2】 前記のリン化合物を、スプレー塗布によ
    り表面に被覆することを特徴とする請求項1に記載のポ
    リエステル樹脂ペレットの製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のポリエステル樹脂ペレ
    ットを用いてなる成形品。
  4. 【請求項4】 成形品が中空容器である請求項3に記載
    のポリエステル成形品。
JP16087697A 1997-06-18 1997-06-18 ポリエステル樹脂ペレット及びその製造法、これを用いてなるポリエステル成形品 Pending JPH115892A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4801280A (en) * 1984-01-03 1989-01-31 Johannes Schuit Stator for marine propeller
US6583848B2 (en) 1998-05-15 2003-06-24 Minolta Co., Ltd. Liquid crystal light modulating device, and a manufacturing method and a manufacturing apparatus thereof
US8901272B2 (en) 2007-02-02 2014-12-02 Grupo Petrotemex, S.A. De C.V. Polyester polymers with low acetaldehyde generation rates and high vinyl ends concentration
US8987408B2 (en) 2005-06-16 2015-03-24 Grupo Petrotemex, S.A. De C.V. High intrinsic viscosity melt phase polyester polymers with acceptable acetaldehyde generation rates
US9267007B2 (en) 2005-09-16 2016-02-23 Grupo Petrotemex, S.A. De C.V. Method for addition of additives into a polymer melt

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