JPH1155988A - 電気角検出装置 - Google Patents

電気角検出装置

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JPH1155988A
JPH1155988A JP9220105A JP22010597A JPH1155988A JP H1155988 A JPH1155988 A JP H1155988A JP 9220105 A JP9220105 A JP 9220105A JP 22010597 A JP22010597 A JP 22010597A JP H1155988 A JPH1155988 A JP H1155988A
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英治 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電圧印加パルスの微妙なチューニングを必要
とせずに、センサレスでモータ電気角を検出できる装置
を提供する。 【解決手段】 三相同期モータの各相に電圧を印加し、
該印加された電圧に応じて流れる電流値を電流センサで
検出する。この電流の挙動が、モータの電気角に応じて
周期πで変化する特性に基づいて電気角を0〜πまたは
π〜2πの範囲で算出する。次に電圧を順方向に印加
し、モータのティースの磁気飽和によりコイル巻線に流
れる電流の変化率が急激に増大するまでの電流立ち上が
り時間T1を計測する。また、電圧を逆方向に印加した
場合の電流立ち上がり時間T2も計測する。両者の大小
関係を比較することにより、電気角が0〜πまたはπ〜
2πのいずれの区間に属しているかの極性判定をするこ
とができるため、電気角を0〜2πの範囲で検出するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同期モータにおけ
る電気角を検出する検出装置に関し、詳しくは回転子の
回転位置の検出に専用のセンサを用いない、いわゆるセ
ンサレスで電気角を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】多相交流を巻線に流し、該巻線による磁
界と永久磁石による磁界との相互作用により回転子を回
転させる同期モータで、所望の回転トルクを得るために
は、回転子の位置、即ち電気角に応じて巻線に流す多相
交流を制御する必要がある。従来、センサレスで回転子
の電気角を検出する方法としては、巻線間に高周波電圧
を加え、巻線間の電圧波形から回転子電気角を検出する
装置が提案されている。これは、永久磁石を用いた同期
モータの場合、回転子の回転により巻線間に逆起電力が
生じることを利用したものである。一方、この装置は、
回転子が停止中や低回転中には、上記起電力は生じたと
しても非常に微少であるため、精度よく電気角を検出す
ることはできなかった。
【0003】このような課題に鑑み、出願人は、回転子
が停止中または低回転中においても、精度良く回転子の
電気角を検出する装置を提案している(特開平7−17
7788)。これは、モータの巻線間に電圧を印加し、
該印加された電圧に応じて流れる電流の挙動を検出する
ことにより、電気角を検出するものである。
【0004】具体的に、電気角を検出する原理の一例を
示せば次の通りである。なお、電気角は図4に示した等
価回路におけるθに相当する。U,V,W相からなる三
相モータにおいて各相に比較的小さな電圧をかけた場合
の電気角と電流値の関係を図7に示す。各相の電流は1
20度ずつ位相がずれているため、電気角に応じて各相
に流れる電流の大小関係が変化する。具体的には、電気
角0〜180度の範囲を30度ずつ6つの区分に分けた
場合、図7における区分1および区分4ではV相、区分
2および区分5ではU相、区分3および区分6ではW相
の電流が三相の内、中間の大きさとなる(以下、この電
流を「中間電流」と呼ぶ)。また、図7から分かる通
り、各相の電流は周期的に変化しているが、中間電流は
直線で近似することができる。従って、各相の電流値の
大小関係の比較により、電気角が図7のいずれの区分に
属するかを特定した後、中間電流の電流値と電気角との
関係を示す近似式を用いることにより、0〜180度の
範囲で電気角を特定することができる。一方、電気角1
80度〜360度(図7の区分1’〜区分6’)の範囲
でも同様の関係が成立しているため、同じく電気角を特
定することができる。
【0005】但し、この場合には、電気角0度〜180
度の区間と電気角180度〜360度の区間で、電気角
が180度ずれて対応する区分(例えば区分1と区分
1’)の内、いずれの状態にあるのかを特定することが
できない。具体的には区分1における電気角30度の状
態と、区分1’における電気角210度の状態とが判別
できない。従って、磁石のN極とS極のいずれの磁極が
U相のコイルに近いかという極性判定を別途行うことに
より、電気角がいずれの区間に属しているかを特定する
必要がある。
【0006】区間の特定を実現する方法としては、例え
ば図11に示す磁気飽和特性を利用した方法が提案され
ている。図11は、モータのステータを形成する磁性体
に外部から加えられる磁束Hと磁性体内部の磁束Bとの
関係を示したものである。ロータに貼付された永久磁石
のN極がステータのコイルに近い位置にある場合(図1
1の点a)では、磁性体にあらかじめ永久磁石による磁
束が加えられている。この状態でコイルへの通電を行う
と、該通電によって生じる磁束が付加されることによ
り、磁性体内の磁束は非線形に変化する領域に入る(図
11の点b)。一方、S極がステータのコイルに近い位
置にある場合(図11の点c)では、コイルへの通電に
よる磁束が付加されても磁性体内の磁束は線形に変化す
る領域に止まる(図11の点d)。
【0007】このような磁気飽和特性は、コイルのイン
ダクタンスひいては検出される電流値に影響を与えるも
のであるため、一定期間電圧を印加した後の電流のピー
ク値を計測したり、または電流が所定値となるまでに要
する電圧印加時間を計測すれば、コイルと磁極との位置
関係を知ることができる。つまり、コイルにN極が近い
状態(電気角が0度〜90度または270度〜360度
の区間)にあるのか、S極が近い状態(90度〜270
度の区間)にあるのかを知ることができる。この結果、
先に180度ずれて検出された2つの電気角の内、実際
の電気角が0度〜180度の区間または180度〜36
0度の区間のいずれに属しているのかを特定することが
でき、電気角を0度〜360度の範囲で一義的に検出す
ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、電流のピーク
値を計測したり、または電流が所定値となるまでに要す
る電圧印加時間を計測することにより磁気飽和が生じて
いるか否かを判断する区間判定方法においては、印加す
る電圧パルスを設定することが非常に困難であった。つ
まり、コイルと磁極の位置関係が、図11の点aにおけ
る状態にある場合でも、印加する電圧が低ければ、磁性
体内部の磁束密度は飽和状態に至らないことが起こりう
る。従って、コイルと磁極との関係が図11における原
点付近にある場合であっても、磁気飽和に達し得るよう
な十分高い電圧を印加する必要がある。一方、コイルと
磁極との関係が図11の点cにあるような場合に、あま
りに高い電圧を印加すると同図の点d,aの状態を通り
過ぎ、磁気飽和が生じる可能性もある。また、印加する
電圧値および印加時間は、モータの駆動を制御するトラ
ンジスタインバータの定格を超えないようにする必要も
ある。区間判定方法で印加する電圧パルスは実験的に定
めることになるが、以上の条件を満足する電圧パルスは
非常に限られているため、適切な電圧パルスを設定する
ことが困難であった。
【0009】また、モータは、ロータに使用される永久
磁石の経年変化やモータ設計時の仕様変化等により、特
性が変化する。従って、区間判定方法における印加電圧
として適切なパルスを実験的に設定できた場合でも、モ
ータの特性変化が生じた場合には、再度電圧パルスの設
定をし直す必要があった。さらに、モータに電力を供給
するバッテリに電圧低下等の電圧変動が生じた場合、上
記の電圧パルスを印加することができない可能性もあっ
た。
【0010】本発明は上記課題の少なくとも一部を解決
するためになされ、微妙な電圧パルスの設定(チューニ
ング)をすることなく、電気角を検出できる装置を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では
次の手段を採った。本発明の第1の電気角検出装置は、
多相交流を巻線に流し、該巻線による磁界と永久磁石に
よる磁界との相互作用により回転子を回転させる同期モ
ータの電気角検出装置であって、該巻線に所定の電圧を
印加する電圧印加手段と、該印加した電圧に応じて流れ
る電流の変化率などの電流の挙動を検出する電流検出手
段と、該印加した電圧に応じて流れる電流の挙動に基づ
いて、電気角0〜πもしくはπ〜2πの区間内での電気
角を演算する電気角演算手段と、該検出された電流の変
化率の変動に基づいて、電気角が0〜πもしくはπ〜2
πのいずれの区間に属するかを特定する区間特定手段と
を備えることを要旨とする。
【0012】かかる構成からなる電気角検出装置によれ
ば、同期モータの巻線に印加された電圧に応じて流れる
電流の変化率を検出することができ、該電流変化率の変
動に基づいて電気角が0〜πもしくはπ〜2πのいずれ
の区間に属するかを特定する。その原理は以下に示す通
りである。なお、電気角0〜πもしくはπ〜2πの区間
内での電気角を演算することができるため、最終的に0
〜2πの範囲で電気角を検出することができる。
【0013】電気角が0〜πもしくはπ〜2πのいずれ
の区間に属するかを特定する区間特定手段は、電流の変
化率の変動に基づいて該特定を行う点で、電流値に基づ
いて該特定を行っていた原理的に従来技術と大きく相違
する。前述した磁気飽和特性(図11)は、巻線に流れ
る電流に影響を与える。通常、巻線に電圧を印加した場
合、該電圧により生じる磁束の変化に応じて巻線には逆
起電力が発生し、電流が流れるのを阻害する。これがよ
く知られている巻線のインダクタンスによる影響であ
り、電流は巻線のインダクタンスの関数で定まる曲線に
従って増大していく。一方、例えば図11の点bのよう
に磁性体の磁束密度が飽和状態に近づくと、巻線に印加
された電圧により生じる磁束の変化が抑制されるため、
巻線に生じる逆起電力も小さくなる。この結果、巻線に
流れる電流は急激に増加する現象が生じる。つまり、巻
線に流れる電流の変化率が急激に大きくなる部分を検出
できれば、磁性体内部の磁束密度が飽和状態に至ったこ
とが検出される。本発明では、この原理を用いて、電流
変化率の変動に基づいて、磁束密度の飽和状態を検出
し、電気角が0〜πもしくはπ〜2πのいずれの区間に
属するかを特定している。
【0014】かかる原理に基づけば、磁束密度が飽和状
態となるまで電圧を継続的に印加することができるた
め、予め電圧パルスを設定しなくても区間特定が可能と
なる。また、電圧印加開始後、いつの時点で磁束密度が
飽和状態となったかが検出できるため、特定の状態(例
えば、図11の点c)の場合には磁束密度が飽和状態と
ならないように電圧値および印加時間を制限する必要も
ない。従って、本発明の電気角検出装置によれば、電圧
パルスのチューニングをすることなく、電気角を検出す
ることができる。
【0015】なお、モータのセンサレス制御の技術分野
においては、上述した磁気飽和特性と電流変化率の関係
は、これまで知られておらず、該関係を用いた電気角の
検出は、本出願人が本出願において初めて開示したもの
である。
【0016】前記の電気角検出装置において、前記電圧
印加手段は、前記巻線の一の方向に所定の電圧を印加す
る手段であり、前記区間特定手段は、電圧印加開始か
ら、検出された電流変化率の変動値が所定値を超えるま
でに要する電流立ち上がり時間と、特定の電気角に関連
して予め定めた所定の閾値との大小関係に基づいて、電
気角が0〜πもしくはπ〜2πのいずれの区間に属する
かを特定する手段とすることが望ましい。
【0017】かかる構成によれば、巻線に一の方向に電
圧を印加し、検出された電流変化率の変動値が所定値を
超えるまでに要する電流立ち上がり時間を検出すること
ができる。特定の電気角に関連した電流立ち上がり時間
を閾値とすれば、前記検出された電流立ち上がり時間
と、該閾値との大小関係に基づいて、電気角が0〜πも
しくはπ〜2πのいずれの区間に属するかを特定するこ
とができる。また、電流立ち上がり時間の検出が一度で
済むため、比較的短時間で区間の特定を行うことができ
る。
【0018】具体的に説明すれば次の通りである。磁石
コイル巻線に電圧の印加方向が電気角が0〜π/2また
は3/2π〜2πの区間(以下、N極性区間という)に
属しているときは、図11の第1象限に属する状態とな
り、電気角がπ/2〜3/2πの区間(以下、S極性区
間という)に属しているときは、図11の第3象限に属
する状態となる。コイル電流による磁界の方向が電気角
0におけるN極による磁界の方と一致する方向に巻線に
電圧を印加するとすれば、図11から明らかな通り、電
気角がN極性区間に属している場合の方が、S極性区間
に属している場合に比べて、電流立ち上がり時間が短く
なる。言い換えれば、電気角がπ/2の状態における電
流立ち上がり時間を閾値とすれば、電気角がN極性区間
に属している場合の電流立ち上がり時間は該閾値よりも
小さくなり、電気角がS極性区間に属している場合の電
流立ち上がり時間は該閾値よりも大きくなる。従って、
電流立ち上がり時間と所定の閾値との大小関係により、
電気角が0〜πまたはπ〜2πのいずれの区間に属して
いるのかを特定することができる。
【0019】なお、上記では理解の容易のために、やや
具体的に記載したが、本発明の内容はこれらに限定され
るものではない。例えば、電圧の印加方向は、上述と逆
方向でも成立し得る。また、上記閾値は、電気角0〜π
もしくはπ〜2πの区間内での電気角を演算する電気角
演算手段の演算区分に応じて設定することができる。例
えば、電気角演算手段が、従来技術において図7を用い
て説明したように、電気角を30度(π/6)刻みの区
分内で特定する手段である場合には、上記閾値を電気角
π/6〜π/2のいずれかの状態における電流立ち上が
り時間としてもよい。
【0020】一方、前記の電気角検出装置において、前
記電圧印加手段は、前記巻線の一の方向に第1の所定期
間、所定の電圧を印加する順方向電圧印加手段と、前記
一の方向と逆方向に第2の所定期間、前記所定の電圧と
同じ電圧を印加する逆方向電圧印加手段とからなり、前
記区間特定手段は、前記順方向電圧印加手段による電圧
印加開始から、検出された電流変化率の変動値が所定値
を超えるまでに要する順方向電流立ち上がり時間と、前
記逆方向電圧印加手段による電圧印加開始から、検出さ
れた電流変化率の変動値が所定値を超えるまでに要する
逆方向電流立ち上がり時間との大小関係に基づいて、電
気角が0〜πもしくはπ〜2πのいずれの区間に属する
かを特定する手段とすることも望ましい。
【0021】かかる構成とすれば、巻線に一の方向(順
方向)に電圧を印加して順方向電流立ち上がり時間を検
出することができ、その逆方向に電圧を印加して逆方向
電流立ち上がり時間を検出することができる。順方向電
流立ち上がり時間と逆方向電流立ち上がり時間とは、電
気角に応じた大小関係が生じるため、両者を比較するこ
とにより、電気角が0〜πもしくはπ〜2πのいずれの
区間に属するかを特定することができ、電気角を0〜2
πの範囲で検出することができる。また、この構成にお
いては、順方向と逆方向の電流立ち上がり時間を比較す
るため、一方向の電流立ち上がり時間を計測し所定の閾
値と比較する方法に比べて、検出精度が安定するという
効果がある。つまり、この構成によれば、モータの設計
仕様の変更、バッテリの電圧変動、モータを構成する磁
石の経年変化等の影響を受けることなく、安定して区間
特定を行うことができる。
【0022】上記構成による区間特定方法を具体的に説
明すれば次の通りである。電気角が図11の点aの状態
にある場合、コイル電流による磁界の方向が電気角0に
おけるN極による磁界の方と一致する方向(順方向)に
巻線への電圧を印加するとすれば、順方向電流立ち上が
り時間は図11の点bまで移動するのに要する時間であ
る。これに対し、電圧の印加方向を逆方向にした場合、
逆方向電流立ち上がり時間は図11の点cを通り過ぎて
更に点eに達するまでに要する時間である。従って、こ
の場合、順方向電流立ち上がり時間の方が逆方向電流立
ち上がり時間よりも短くなる。
【0023】一方、点aに対し、電気角が180度ずれ
た場合(図11の点cの状態)を考えると、順方向電流
立ち上がり時間は点aを通り過ぎて点bに至るまでに要
する時間であり、逆方向電流立ち上がり時間は点eに至
るまでの時間であるため、順方向電流立ち上がり時間の
方が逆方向電流立ち上がり時間よりも長くなる。以上よ
り、順方向電流立ち上がり時間と逆方向電流立ち上がり
時間を検出し、その大小関係を比較すれば、電気角が0
〜πまたはπ〜2πのいずれの区間に属しているかを特
定することができる。
【0024】この場合、さらに、前記順方向電圧印加手
段における第1の所定期間は、検出された電流変化率の
変動値が所定値を超えるまでの期間もしくは予め定めら
れた所定期間のいずれか短い方の期間であり、前記逆方
向電圧印加手段における第2の所定期間は、検出された
電流変化率の変動値が所定値を超えるまでの期間もしく
は前記第1の所定期間を超える期間のいずれか短い方の
期間としてもよい。
【0025】こうすれば、電圧印加期間を最小限に抑え
ることができるため、短期間で区間特定を行うことがで
きる。まず、順方向電圧印加中に電流変化率の変動値が
所定値を超えた場合について説明する。この場合は、電
流変化率の変動値が所定値を超えた時点で順方向電流立
ち上がり時間が計測できるため、それ以降は順方向電圧
は印加されない。その後、逆方向電圧印加中に検出され
た電流変化率の変動値が所定値を超えた場合には、その
時点で逆方向電流立ち上がり時間が計測できるため、そ
れ以降は逆方向電圧は印加されない。また、順方向電圧
を印加する期間を超えても電流変化率の変動値が所定値
を超えない場合には、その時点で逆方向電流立ち上がり
時間が順方向電流立ち上がり時間よりも長いことが判定
できるため、それ以降は逆方向電圧は印加されない。
【0026】次に、順方向電圧の印加が予め定められた
所定の期間を超えても電流変化率の変動値が所定値を超
えない場合について説明する。この場合は、所定の期間
を超えた時点で順方向電圧の印加が停止される。その
後、逆方向電圧印加中に検出された電流変化率の変動値
が所定値を超えた場合には、その時点で逆方向電流立ち
上がり時間が順方向電流立ち上がり時間よりも短いこと
が判定できるため、それ以降は逆方向電圧は印加されな
い。
【0027】以上説明した通り、上記構成を採ることに
より、電圧印加期間を最小限に抑えることができ、短期
間で区間を特定できることが分かる。なお、ここにいう
予め定められた所定の期間は、順方向電圧を印加した場
合または逆方向電圧を印加した場合の少なくとも一方に
おいて電流変化率の変動値が所定値を超え得る期間であ
る。例えば、電気角がπ/2の状態において電流変化率
の変動値が所定値を超えるまでの期間としてもよいし、
電気角0〜πもしくはπ〜2πの区間内での電気角を演
算する電気角演算手段の演算区分に応じて設定するもの
としてもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
(1)実施例の構成 以下、本発明の実施の形態について、実施例を用いて説
明する。図1は、本発明の一実施例としての電気角検出
装置を含むモータ制御装置10の概略構成を示すブロッ
ク図、図2は制御対象となっている三相同期モータ40
の概略構成を示す説明図、図3はこの三相同期モータ4
0の固定子30と回転子50との関係を示す端面図であ
る。
【0029】まず、図2を用いて、三相同期モータ40
の全体構造について説明する。この三相同期モータ40
は、固定子30と回転子50とこれらを収納するケース
60とからなる。回転子50は、外周に永久磁石51な
いし52が貼付されており、その軸中心に設けられた回
転軸55を、ケース60に設けられた軸受61,62に
より回転自在に軸支している。
【0030】回転子50は、無方向性電磁鋼板を打ち抜
いて成形した板状回転子57を複数枚積層したものであ
る。この板状回転子57は、図3に示すように、直交す
る位置に4箇所の突極71ないし74を備える。板状回
転子57を積層した後、回転軸55を圧入し、積層した
板状回転子57を仮止めする。この電磁鋼板を素材とす
る板状回転子57は、その表面に絶縁層と接着層が形成
されており、積層後所定温度に加熱され、接着層が溶融
することにより、固定される。
【0031】こうして回転子50を形成した後、回転子
50の外周面であって、突極71ないし74の中間位置
に、永久磁石51ないし54を軸方向に亘って貼付す
る。永久磁石51ないし54は、回転子50の半径方向
に磁化されており、その極性は隣り合う磁石同士が互い
に異なる磁極となっている。例えば、永久磁石51は外
周面がN極であり、その隣の永久磁石52は外周面がS
極となっている。この永久磁石51,52は、回転子5
0を固定子30に組み付けた状態では、板状回転子57
および板状固定子20を貫く磁路Mdを形成する(図3
破線参照)。
【0032】固定子30を構成する板状固定子20は、
板状回転子57と同じく無方向性電磁鋼板の薄板を打ち
抜くことで形成されており、図3に示すように、計12
個のティース22を備える。ティース22間に形成され
たスロット24には、固定子30に回転磁界を発生させ
るコイル32が巻回されている。尚、板状固定子20の
外縁部には、固定用のボルト34を通すボルト孔が設け
られているが、図3では図示を省略してある。
【0033】固定子30は、板状の板状固定子20を積
層し互いに押圧した状態として、接着層を加熱・溶融す
ることで一応固定される。この状態で、コイル32をテ
ィース22に巻回して固定子30を完成した後、これを
ケース60に組み付け、ボルト孔に固定用のボルト34
を通し、これを締め付けて全体を固定する。更に回転子
50をケース60の軸受61,62により回転自在に組
み付けることにより、この三相同期モータ40は完成す
る。
【0034】固定子30のコイル32に回転磁界を発生
するよう励磁電流を流すと、図3に示すように、隣接す
る突極および板状回転子57,板状固定子20を貫く磁
路Mqが形成される。尚、上述した永久磁石51により
形成される磁束が回転子50を径方向に貫く軸をd軸と
呼び、固定子30のコイル32により形成される磁束が
回転子50を径方向に貫く軸をq軸と呼ぶ。また、d軸
が電気的にq軸に対してなす角を電気角と呼ぶ。図4に
本実施例の三相同期モータの等価回路を示す。図4に示
す通り、電気角は等価回路におけるU相コイルと磁極の
角度に相当する。
【0035】次に、図1に従ってモータ制御装置10の
構成について説明する。モータ制御装置10は、外部か
らのトルク指令を受けて三相同期モータ40の三相
(U,V,W相)のモータ電流を制御する制御用ECU
100、三相同期モータ40のU相電流Au、V相電流
Av、W相電流Awを検出する電流センサ102、10
3、104、検出された電流の高周波ノイズを除去する
フィルタ106、107、108、検出した電流値をデ
ィジタルデータに変換する2個のアナログディジタル変
換器(ADC)112、113、114から構成されて
いる。
【0036】制御用ECU100の内部には、図示する
ように、算術論理演算を行なうマイクロプロセッサ(C
PU)120、このCPU120が行う処理や必要なデ
ータを予め記憶したROM122、処理に必要なデータ
等を一時的に読み書きするRAM124、計時を行なう
クロック126等が設けられており、バスにより相互に
接続されている。このバスには、入力ポート116や出
力ポート118も接続されており、CPU1201は、
これらのポート116,118を介して、三相同期モー
タ40のU,V,Wの各相に流れる電流Au,Av,A
wを読み込んだりむことができる。
【0037】また、モータ電流制御回路100には、ト
ルク指令に基づいて決定されたモータの各相電流Au,
Av,Awが得られるようモータの各コイル間に電圧を
印加する電圧印加部130が、その出力部に設けられて
いる。CPU120からの制御出力が、この電圧印加部
130に出力されており、三相同期モータ40の各コイ
ルに印加される電圧を外部から制御することが可能とな
っている。
【0038】なお、以上のモータ制御装置10の構成の
内、電流センサ102〜104、フィルタ106〜10
8、ADC112〜114および制御用ECU100が
電気角検出装置に相当する。
【0039】(2)電気角検出処理 本実施例の電気角検出装置10による電気角検出ルーチ
ンについて図5を用いて説明する。電気角検出ルーチン
は、モータ40の動作を制御するための種々のルーチン
とともにCPU120により定期的に実行されるルーチ
ンである。なお、以下の説明においては、電気角0〜π
もしくはπ〜2πの範囲で算出された電気角をそれぞれ
電気角φ1,φ2と呼び(また両者をまとめてφと呼
ぶ)、電気角0〜2πの範囲で特定された電気角を電気
角θと呼んで区別する。電気角検出ルーチンが開始され
ると、CPU120は、パルスパタン決定処理を行う
(ステップS100)。ここで、パルスパタン決定処理
の内容を図6に基づいて説明する。
【0040】パルスパタン決定処理では、CPU120
はまず、U相電流Auを検出する(ステップS10
5)。具体的には、CPU120は、電圧印加部130
に制御信号を出力し、磁気飽和を生じない程度の比較的
低い電圧をU−VW相間に印加し、電圧印加から所定期
間経過した時点で、電流センサ102の出力をフィルタ
106、ADC112を介してU相電流として読み込
む。次に、CPU120は、同様の処理により、電流セ
ンサ103、フィルタ107、ADC113を介してV
相電流を検出する(ステップS110)。また、同様の
処理により、電流センサ104、フィルタ108、AD
C114を介してW相電流を検出する(ステップS11
5)。こうして検出されたU,V,W相の電流Au、A
v、Awに基づいて電気角存在区分(n)の判定を行い
(ステップS120)、電気角φ1を算出する(ステッ
プS125)。この判定内容について図7を用いて説明
する。
【0041】上記ステップにより検出された電流Au、
Av、Awの変化の様子を図7に示す。各相間の電流
は、位相が120度ずつずれているから、電気角0度〜
180度に着目すると、各相の電流の大小関係は、30
度ずつ変化し、全部で次の6通りの組み合わせになるこ
とが分かる。 区分1(0〜30度) →Au>Av>Aw 区分2(30〜60度) →Av>Au>Aw 区分3(60〜90度) →Av>Aw>Au 区分4(90〜120度) →Aw>Av>Au 区分5(120〜150度)→Aw>Au>Av 区分6(150〜180度)→Au>Aw>Av
【0042】各区分の各相電流のうち、中間の大きさを
持つもの(例えば区分1ではAv、区分2ではAu・・
・)と電気角φ1との関係は、この区分で直線であると
みなして近似することができる。つまり、各相の電流平
均値をAav、n番目の区分で直線近似する電流をA
n、直線の傾きをmとすれば、電気角φ1は次式(1)
により表される。 φ1=(n−1)×30+15+sgn(Aav−A
n)×m・・・(1) なお、ここで、sgnは区分1,3,5の場合は値1を
とり、区分2,4,6の場合は値−1をとる関数であ
る。また、区分1,4ではAn=Av、区分2,5では
An=Au、区分3,6ではAn=Awである。これら
の関係は、電気角180〜360度においても同様に成
立する。
【0043】具体例としてAu=130A、Av=95
A、Aw=112A、m=1.5の場合について説明す
る。このとき、各相の電流の大小関係は、Au>Aw>
Avとなっているから電気角φ1は区分6に属している
ことが分かる。従って、上式(1)においてn=6、s
gn=−1、Aav=112.3Aを代入すると電気角
φ1=165度と求まる。電気角180〜360度に着
目すれば、区分6’において同様の関係が成立するか
ら、電気角φ2=345度と求まる。つまり、この段階
では、電気角は0〜2πの範囲で一義的には決定されな
い。
【0044】なお、上述の具体的では、電気角の算出に
用いる平均電流Aavとして実測した電流値Au,A
v,Awの平均値を用いているが、平均値Aavが制御
上から求められる場合には、その値を用いて算出するも
のとしてもよい。また、電流値を例えばAu、Avのみ
計測し、AwについてはAavから逆算するものとして
もよい。
【0045】さらに、上記電気角存在区分(n)の判定
(ステップS120)および電気角算出(ステップS1
25)については、図8に示す通り、次のような方法も
可能である。余弦波の信号の場合、位相が角度0の近傍
では、θ≒(tan2θ)/2という近似式が成り立つ
ことが知られている。各相最大電流Au,Av,Aw
は、その位相が120度ずつずれていることから、この
近似式を各相電流で展開すると、次式(2)を得る。 θ≒(tan2θ)/2 右辺分子=sin2θ=√3(IB−IC) 右辺分母=2cos2θ =2{2IA−(IB+IC)}=6IA … (2) ここで、IAは位相が0度付近で極値を取っている相間
電流と平均値Aavとの偏差であり、IB,ICは、そ
の他の相間電流と平均値Aavとの偏差である。なお、
一つの相間電流が極値を取っているとき、他の2つの相
間電流の平均値からの偏差の符号(±)は、同一とな
る。各相間電流Au,Av,Awの平均値Aavからの
偏差△Au,△Av,△Awの符号と区分の関係を以下
に示す。
【0046】 区分 △Au △Av △Aw 区分1a(-15〜15度) 正(極値) 負 負 区分2a(15〜45度) 正 正 負(極値) 区分3a(45〜75度) 負 正(極値) 負 区分4a(75〜105度) 負(極値) 正 正 区分5a(105〜135度) 負 負 正(極値) 区分6a(135〜165度) 正 負(極値) 正 従って、図8に示したように、この実施例での区分1a
ないし6aは、−15度を起点として各々30度ずつで
ある。その区分内で近似計算に使用される部分を、図8
に太線で示した。
【0047】上述した6つの区分毎に、上記式(2)に
△Au,△Av,△Awを入れ換えた式を用いて演算を
行えば、電気角φを求めることができる。式(5)は、
位相が0度付近での近似式なので、各区分n毎に、30
×(n−1)度ずつ加える処理も必要となる。各区分毎
の近似式を示すと、A=△Av−△Aw,B=△Au−
△Av,C=△Aw−△Auと定義して、 区分 近似式 1a √3A/6△Au 2a 30+√3B/6△Aw 3a 60+√3C/6△Av 4a 90+√3A/6△Au 5a 120+√3B/6△Aw 6a 180+√3C/6△Av となる。同様にして、電気角180度〜360度の範囲
でも電気角φ2を算出することができる。
【0048】図6に戻り、パルスパタン決定処理の内容
を説明する。前述した処理により電気角存在区分(n)
の判定(ステップS120)および電気角φの算出(ス
テップS125)を実行したCPU120は、電気角存
在区分(n)に基づいて巻線に電圧を印加するためのパ
ルスパタンを決定する(ステップS130)。具体的に
は、電圧を印加する相間として、電気角存在区分(n)
において最大の電流値を与える相を選択する。図7で示
した方法により電気角φが算出されている場合におい
て、先に述べた具体例のように電気角が区分6または区
分6’に属しているときには、三相のなかでU相の電流
値が最大となっているため、CPU120は、電圧を印
加すべき相としてU−VW相間を選択する。これは、言
い換えれば図4に示した等価回路図において、コイル巻
線と磁極の間の角度が最も小さくなる相を選択すること
を意味する。このように電圧を印加する相間を選択する
ことにより、効率的に安定して電気角を検出することが
できるのである。
【0049】以上で説明したパルスパタン決定処理を実
行した後、CPU120は図5の電気角検出ルーチンに
戻り、次のステップにおいて、順方向電流立ち上がり時
間(T1)計測処理を実行する(ステップS105)。
上述の具体例で説明した通り、パルスパタン決定処理に
おいては、電気角は0〜2πの範囲で一義的に決定され
ない。電気角を一義的に決定するためには、電気角φが
0〜πもしくはπ〜2πのいずれの区間に属しているの
かを判定(以下、極性判定という)をする必要がある。
順方向電流立ち上がり時間計測処理(ステップS10
5)は極性判定のための一つの処理である。この処理の
内容を図9を用いて説明する。
【0050】順方向電流立ち上がり時間(T1)計測処
理ルーチンが開始されると、CPU120は、初期電流
A0を検出する(ステップS205)。ここで、電流値
A0は、パルスパタン決定処理(ステップS100)に
おいて選択された、電圧を印加すべき相の電流値であ
る。つまり、U−VW相間に電圧を印加するように選択
されている場合は、電流値A0はU相の電流値である。
なお、初期電流A0を検出する時点ではコイル巻線に
は、いずれの相間においても電圧が印加されていない。
CPU120は、初期電流A0の検出とともに、電流変
化率△A0の初期化をするために、電流変化率△A0に
値αを代入する(ステップS205)。値αは後述する
値εよりも十分に大きい値であればよい。
【0051】次に、CPU120は順方向電圧の印加を
開始するとともに、電圧印加開始からの経過時間を計測
するためのタイマT1に値0を代入してリセットする
(S210)。順方向電圧とは、U−VW相間に電圧を
印加する場合、U相をプラスの電圧とし、V,W相を接
地電圧とした状態をいう。CPU120は、このように
電圧が印加されるよう、電圧印加部130に制御信号を
出力するのである。図10にU−VW相間に順方向電圧
を印加する場合の電圧パルスの例を示す。図10におけ
るパルスパタン#1で示された部分が、順方向電圧であ
る。該部分においては、U相の電圧Vuがプラスの値と
なっており、V,W相の電圧Vv,Vwがマイナス状態
となっている。
【0052】次のステップで、CPU120はタイマT
1が所定の限界値TLよりも小さいか否かを判断する
(ステップS215)。タイマT1が限界値TL以上で
ある場合、即ち順方向電圧の印加時間がTLに達した場
合には、CPU120は順方向電圧の印加を一旦停止し
(ステップS245)、電気角検出ルーチン(図5)に
戻る。この際、タイマT1は限界値TLまたはそれ以上
の値となっている。
【0053】タイマT1が限界値TLよりも小さい場合
には、CPU120は時間Tsが経過するのを待つと共
に、タイマT1の値をTs分増加させる(ステップS2
20)。時間Tsとは、電流を検出するサンプリングタ
イムであり、コイル巻線に流れる電流の変化率を十分検
知することができる値を実験的に設定したものである。
また、時間Tsの経過待ち(ステップS220)は、C
PU120がモータの運転を制御するための他のルーチ
ンを実行する間に、時間Ts毎に割り込み処理をかけて
本ルーチンを実行することにより実現されている。
【0054】サンプリングタイムTsが経過した後、C
PU120は電流値A1を検出し(ステップS22
5)、電流変化率△A1を算出する(ステップS23
5)。検出する電流値A1は、初期電流A0と同じ相の
電流値である。また、電流変化率△A1は電流値A1と
A0の差分(△A1=A1−A0)である。本ルーチン
が実行される間、サンプリングタイムTsは一定である
ため、電流変化率△A1を求めるのに上記差分をサンプ
リングタイムTsで除する必要はない。サンプリングタ
イムTsが本ルーチンを実行中に変化する可能性がある
場合には、電流変化率△A1は上記差分をさらにサンプ
リングタイムTsで除した値としておく必要がある。
【0055】こうして電流変化率を算出した後、CPU
120は、電流変化率△A1と初期の電流変化率△A0
との差分(△A1−△A0)、即ち電流変化率の変動値
が所定の偏差εよりも大きいか否かを判定する(ステッ
プS240)。電流変化率の変動値が所定の偏差ε以下
である場合は、電流値A0および電流変化率△A0をそ
れぞれA1、△A1に置換して(ステップS230)、
再びステップS215以降の処理に戻る。つまり、更に
サンプリング時間Tsの経過を待って、電流変化率の算
出等を行う。一方、電流変化率の変動値が所定の偏差ε
よりも大きい場合には、順方向電圧の印加を停止し(ス
テップS245)、本ルーチンを一旦終了する。
【0056】この様子を図10を用いて説明する。図1
0中のパルスパタン#1におけるU相電流の様子をAu
に示し、U相の電流変化率の様子を△Auに示す。図1
0中の破線は、電流検出のサンプリングタイミングを示
している。図10のAuに示す通り、U相の電流は、電
圧の印加開始(図10のt11)直後は比較的直線に近
い状態で立ち上がるが、時刻t15以降では急激に立ち
上がる。これは、時刻t15の時点でコイル巻線が巻回
されているティース22の磁気飽和(図11における点
bの状態)が生じているからである。
【0057】パルスパタン#1における電流変化率△A
uの様子は、CPU120により演算される結果をプロ
ットしてある。時刻t11〜t12の間、図11のAu
に示す通り電流は変化しているが、CPU120はこの
電流値を検出していないため、電流変化率△Auは値0
のままである。時刻t12において初めて電流変化率△
Auが算出される。ここでの値は、時刻t11と時刻t
12における電流値を用いて算出された値である。ま
た、このときの電流変化率の変動値δ1は所定の偏差ε
よりも小さい変動値である。電流変化率△Auは、電流
Auが直線的に増加しているため、時刻t16に至るま
では一定の値をとる。時刻t15〜t16の間で電流は
急激に増加しているが、先に述べたのと同様の理由によ
り、電流変化率△Auには変化は現れず、時刻t16に
おいて急激に増加する。ここでの電流変化率の変動値δ
2は所定の偏差εよりも大きい値となる。従って、CP
U120は、時刻t16において順方向の電圧印加を停
止する。
【0058】以上より、順方向電流立ち上がり時間(T
1)計測処理ルーチンでは、順方向に電圧を印加開始か
ら、コイル巻線が巻回されているティース22に磁気飽
和が生じ、コイルに流れる電流が急激に増加する(立ち
上がる)までの時間が計測されることが分かる。一方、
順方向の電圧を印加した後の経過時間が、所定の限界値
TLに達しても、所定の偏差εを超えて電流変化率が変
動しない場合には、順方向電流立ち上がり時間(T1)
には所定の限界値TLを若干超える程度の時間が記憶さ
れていることになる。
【0059】上記説明において用いた所定の偏差ε等の
値は、電流Auの立ち上がりを適切に検出することがで
きように、それぞれ実験的に求められる。例えば、偏差
εは電流立ち上がり時の電流変化率の変動値(図11の
δ2)よりは小さく、その他の電流変化率の変動値(図
11のδ1)よりは大きい範囲の値である。
【0060】また、電圧印加時間の限界値TLは、磁気
飽和が生じるまでに要する最大時間を若干超える値であ
る。この値は、印加する電圧値やモータの電気角の範囲
も考慮して設定する必要がある。本実施例では、先に説
明したパルスパタン決定処理(図5ステップS100)
により、電気角が30度ずつ区切られた区分(図7の区
分1〜6)のいずれの区分に属しているかが判断されて
いるため、極性判定は電気角φが正負30度の範囲にあ
る状態で行えばよい。従って、電圧印加時間の限界値T
Lは、電気角が30度を若干超える状態にあるときに、
対応する磁極において磁気飽和が生じるまでに要する時
間とすればよい。
【0061】なお、限界値TLを設けているのは、例え
ばS極がU相に対抗している場合等、順方向への電圧印
加による電流立ち上がりまでに長時間要する結果、電気
角の検出に時間遅れが生じるのを回避するためである。
従って、このような効果を求める必要がない場合には、
上記ステップS215の判断を削除し、電流が立ち上が
るまで電圧の印加を継続するものとしてもよい。
【0062】次にCPU120は、電気角検出処理に戻
り、逆方向電流立ち上がり時間(T2)計測処理を実行
する(図5ステップS300)。逆方向電流立ち上がり
時間(T2)計測処理も極性判定のための一つの処理で
ある。この処理の内容を図12を用いて説明する。な
お、図5のフローチャートには示していないが、逆方向
電流立ち上がり時間計測処理(ステップS300)は、
順方向電流立ち上がり時間計測処理(ステップS20
0)が終了した後、コイル巻線に流れる電流が十分減衰
した後に実行される。
【0063】逆方向電流立ち上がり時間(T2)計測処
理ルーチンが開始されると、CPU120は、順方向電
流立ち上がり時間(T1)計測処理において計測した相
と同じ相(図10の例ではU相)の初期電流a0を検出
し、電流変化率△a0に値αを代入して初期化する(ス
テップS305)。値αは後述する値εよりも十分に大
きい値であればよく、順方向電流立ち上がり時間(T
1)計測処理における値α(図9ステップS205)と
同じ値である必要はない。
【0064】次に、CPU120は逆方向電圧の印加を
開始し、電圧印加開始からの経過時間を計測するための
タイマT2に値0を代入してリセットする(S31
0)。逆方向電圧とは、先に説明した順方向電圧に対す
る逆方向の電圧であり、U−VW相間に電圧を印加する
場合、U相を接地電圧とし、V,W相をプラスの電圧と
した状態をいう。図10におけるパルスパタン#2で示
された部分が、逆方向電圧である。該部分においては、
U相の電圧Vuが接地状態となっており、V,W相の電
圧Vv,Vwがプラスの値となっている。なお、印加さ
れる電圧の絶対値は順方向電流立ち上がり時間計測処理
において印加される電圧値と同一である。
【0065】次のステップで、CPU120はタイマT
2が順方向電流立ち上がり時間T1よりも小さいか否か
を判断する(ステップS315)。タイマT2が時間T
1以上である場合、即ち逆方向電圧の印加時間が順方向
電流立ち上がり時間T1を超えた場合には、CPU12
0は逆方向電圧の印加を一旦停止し(ステップS34
5)、電気角検出ルーチン(図5)に戻る。この際、タ
イマT2は、順方向電流立ち上がり時間T1またはそれ
以上の値となっている。
【0066】上記ステップS315において、順方向電
流立ち上がり時間計測処理(図9)と異なり限界値TL
との比較を行っていない。これは、後述する通り、順方
向および逆方向の電流立ち上がり時間T1,T2の計測
が両者の大小を比較するために行っているものであり、
逆方向電流立ち上がり時間T2が順方向電流立ち上がり
時間T1を超えた時点で両者の大小関係は明確となるか
らである。つまり、ステップS315においてT2とT
1の比較を行うようにすることで、本ルーチンの実行に
要する時間が短くなるのである。もっとも、このような
効果を考慮しないのであれば、順方向電流立ち上がり時
間計測処理(図9)と同様、ステップS315において
限界値TLとタイマT2を比較するものとしてもよい。
【0067】タイマT2が時間T1よりも小さい場合に
は、CPU120は時間Tsが経過するのを待つと共
に、タイマT2の値をTs分増加させる(ステップS3
20)。また、電流値a1を検出し(ステップS32
5)、電流変化率△a1を算出する(ステップS33
5)。こうして電流変化率を算出した後、CPU120
は、電流変化率の変動値(△a1−△a0)が所定の偏
差εよりも大きいか否かを判定し(ステップS34
0)、該変動値が所定の偏差ε以下である場合は、電流
値a0および電流変化率△a0をそれぞれa1、△a1
に置換して(ステップS330)、再びステップS31
5以降の処理に戻る。つまり、更にサンプリング時間T
sの経過を待って、電流変化率の算出等を行う。一方、
変動値が所定の偏差εよりも大きい場合には、逆方向電
圧の印加を停止し(ステップS345)、本ルーチンを
一旦終了する。これらのステップにおける処理は、順方
向電流立ち上がり時間計測処理のステップS220〜S
245における処理と同様である。なお、所定の偏差ε
は順方向電流立ち上がり時間計測処理における偏差εと
同じ値である。
【0068】この様子を図10を用いて説明する。図1
0のパルスパタン#2において、Auに示す通り、U相
の電流は電圧の印加開始(図10のt21)直後は比較
的直線に近い状態で立ち上がるが、時刻t23以降では
ティース22の磁気飽和(図11における点eの状態)
が生じるため、電流は急激に立ち上がる。電圧の印加方
向が逆であるため、電流値Auはマイナスの電流となっ
て現れる。以下、電流値Auおよびその変化率△Auに
ついては、全て絶対値で扱うものとする。
【0069】パルスパタン#2における電流変化率△A
uの様子は、時刻t22において電流変化率△Auが算
出され、その変動値δ3は所定の偏差εよりも小さい変
動値である。電流変化率△Auは、電流Auが直線的に
増加しているため、時刻t24に至るまでは一定の値を
とり、時刻t24において急激に増加する。ここでの電
流変化率の変動値δ4は所定の偏差εよりも大きい値と
なる。従って、CPU120は、時刻t24において逆
方向の電圧印加を停止する。
【0070】以上より、逆方向電流立ち上がり時間(T
2)計測処理ルーチンでは、逆方向に電圧を印加開始か
ら、コイル巻線が巻回されているティース22に磁気飽
和が生じ、コイルに流れる電流が急激に増加する(立ち
上がる)までの時間が計測されることが分かる。一方、
逆方向の電圧を印加した後の経過時間が、順方向電流立
ち上がり時間T1に達しても、所定の偏差εを超えて電
流変化率が変動しない場合には、逆方向電流立ち上がり
時間(T2)には時間T1を若干超える程度の時間が記
憶されていることになる。
【0071】図5に戻り電気角検出ルーチンについて説
明する。逆方向電流立ち上がり時間計測処理(ステップ
S300)が終了した後、CPU120は順方向電流立
ち上がり時間T1と逆方向電流立ち上がり時間T2の大
小を比較する(ステップS400)。この大小関係によ
り極性判定を行い、先のパルスパタン決定処理(ステッ
プS100)において電気角0〜πおよびπ〜2πにお
いて算出されていた電気角φ1、φ2のいずれかを正し
い値として選択することにより、電気角θを0〜2πの
範囲で一義的に決定するのである。
【0072】時間T1が時間T2よりも大きい場合に
は、先にパルスパタン決定処理(ステップS100)に
おいて判断された電気角φが属する区分に応じて、電気
角0〜πの範囲で算出された電気角φ1または電気角π
〜2πの範囲で算出された電気角φ2を次の通り選択し
て、電気角θを0〜2πの範囲で決定する。電気角φが
区分1〜3又は区分1’〜3’に属していると判断され
ている場合には、電気角π〜2πの範囲で算出された電
気角φ2を選択し電気角θ=φ2となる(ステップS4
05)。電気角φが区分4〜6又は区分4’〜6’に属
していると判断されている場合には、電気角0〜πの範
囲で算出された電気角φ1を選択し電気角θ=φ1とな
る(ステップS405)。
【0073】一方、時間T1が時間T2以下である場合
には、この逆の関係により電気角θが求められる。電気
角φが区分1〜3又は区分1’〜3’に属していると判
断されている場合には、電気角0〜πの範囲で算出され
た電気角φ1を選択し電気角θ=φ1となる(ステップ
S410)。電気角φが区分4〜6又は区分4’〜6’
に属していると判断されている場合には、電気角π〜2
πの範囲で算出された電気角φ2を選択し電気角θ=φ
2となる(ステップS410)。
【0074】このような判断により電気角θが決定され
る理由について図13を用いて説明する。図13は図4
に示した三相同期モータ100の等価回路の内、U相と
磁極位置すなわち電気角の関係を示したものである。N
極がU相に対向した状態にあるときが電気角0度の状態
であるから、図7に示した区分1〜6および区分1’〜
6’はそれぞれ図13に示す範囲に磁極がある場合に相
当する。
【0075】次に図13における磁極位置と順方向電流
立ち上がり時間T1と逆方向電流立ち上がり時間T2と
の関係について説明する。時間T1は、U相に順方向電
圧を印加した場合に、電圧の印加開始から磁気飽和が生
じるまでの時間であり、時間T2はU相に逆方向電圧を
印加することにより磁気飽和が生じるまでに要する時間
に相当する。従って、時間T1が時間T2よりも短い場
合には、N極がU相コイルに近い状態にあり(図13に
おいてハッチングした領域)、時間T1が時間T2より
も長い場合には、S極がU相コイルに近い状態(図13
においてハッチングのない領域)にある。言い換えれ
ば、時間T1が時間T2よりも短い場合には、電気角θ
は区分1〜3または区分4’〜6’に属しており、逆の
場合には、電気角θは区分1’〜3’または区分4〜6
に属していることになる。以上より、時間T1、T2の
大小関係と電気角φが属している区分との関係に応じ
て、電気角θがステップS405、S410の通り求め
られることが分かる。
【0076】もっとも、本実施例においては、パルスパ
タン決定処理(ステップS100)においてコイル巻線
と磁極が最も近い区分に存在するように電圧を印加する
相を選択しているため、上記判断は更に簡単なものとな
る。具体的に電気角φが属する区分と電圧を印加する相
との関係は、次の通りである。 電気角が区分1、6、1’、6’に存在→U相に電圧印加 電気角が区分4、5、4’、5’に存在→V相に電圧印加 電気角が区分2、3、2’、3’に存在→W相に電圧印加 従って、例えばU相に電圧を印加している場合には、ス
テップS405、S410においては、区分1および
1’、または区分6および区分6’のいずれの区分に属
しているかの判断をすれば電気角θが決定できることに
なる。V相、W相に電圧を印加している場合も同様であ
る。
【0077】以上で説明した実施例によれば、コイル巻
線に印加する電圧パルスについて微妙な調整を必要とせ
ず、電気角を安定して検出することができる。本実施例
によれば、極性判定を電圧印加時に流れる電流変化率の
変動に基づいて判定しており、電圧値が低いものであっ
ても、継続的に印加することにより磁気飽和が生じるか
らである。本実施例においても印加する電圧値等は実験
的に設定しておく必要があるが、それは電圧印加部13
0の定格を超える電流が流れないよう電圧の上限値を定
めたり、電流のサンプリングタイムとの関係から適切に
電流変化率が検出できる程度の電圧を設定したりするも
のであって、本実施例が成立する上で本質的なものでは
ない。従って、本実施例によれば、電圧パルスを設定す
る際の労力が非常に軽減されるばかりでなく、モータの
特定変化やバッテリの電圧変動等が生じた場合において
も正確な電気角を安定して検出することができる。
【0078】また、本実施例によれば、磁気飽和の影響
により電流が立ち上がった時点で電圧の印加を停止する
ため、電圧の印加時間を必要最小限に抑えることがで
き、短時間で極性判定を行うことができる。この結果、
電圧印加中に生じる異音の発生も低減することができ
る。
【0079】なお、上記実施例においては、電流立ち上
がり時間T1,T2を用いているが、極性判定のパラメ
ータはコイルに電圧を印加した際に流れる電流変化率に
基づくものであればどのようなものであってもよい。例
えば、電圧印加後、電流が直線的に変化する部分(図1
0パルスパタン#1における時刻t11〜t15等)を
直線近似し、該直線と検出された電流値との差分が所定
値以上となるまでの時間等をパラメータとするものが考
えられる。
【0080】また、順方向電流立ち上がり時間計測処理
(図9)および逆方向電流立ち上がり時間計測処理(図
12)における電流変化率の算出も種々の方法を採るこ
とができる。例えば、本実施例のように電流が立ち上が
った時点で電圧の印加を停止するのではなく、順方向お
よび逆方向ともに磁気飽和を十分生じることができる一
定期間、電圧を印加するものとしておき、その間の電流
の挙動を全て検出した上で、電流が立ち上がる時間を求
めるものとしてもよい。本実施例の方法では、電流立ち
上がり時間は必ずサンプリングタイムTsの整数倍とな
るため、最大Ts/2なる誤差を含むことになるが、こ
うすることにより精度よく電流立ち上がり時間を求める
ことができる。
【0081】電圧印加期間は本実施例の通りとしつつ、
電流変化率の算出方法を変更してもよい。例えば、ある
時刻において検出された電流値A1とその直前のサンプ
リングタイムにおいて検出された電流値A0の他、さら
にもう一つ前のサンプリングタイムにいて検出された電
流値A2を用いて、3点を通る二次曲線(時間tについ
ての二次関数:A=at2+bt+c)を求めることに
より電流変化率を求めるものとしてもよい。電流が直線
状に変化している場合には、時間tの2乗の係数aは値
0または非常に小さな値となる。これに対し、急激に増
加する場合には該係数も増大する。また、こうして求め
られた二次曲線を微分すれば、瞬間的な電流変化率を算
出することもできるため、電流立ち上がり時間を精度よ
く求めることができる。
【0082】(3)第2実施例による電気角検出処理 次に、図14を用いて本発明の第2の実施例による電気
角検出処理について説明する。この実施例における電気
角検出装置の構成は、先に述べた実施例における構成
(図1〜図4)と同じである。
【0083】図14に示す電気角検出ルーチンは、モー
タ40の動作を制御するための種々のルーチンとともに
CPU120により定期的に実行されるルーチンであ
る。電気角検出ルーチンが開始されると、CPU120
は、パルスパタン決定処理を行い(ステップS10
0)、順方向電流立ち上がり時間(T1)計測処理を行
う(ステップS200)。これらの処理内容は、先に述
べた実施例で説明した処理内容と同一である(図6およ
び図9)。
【0084】CPU120は、次のステップにおいて、
順方向電流立ち上がり時間T1が予め定められた所定時
間T0よりも大きいか否かを判定する(ステップS50
0)。所定時間T0とは、電気角がある特定の状態にあ
る場合において、コイルに電圧印加を開始した後、磁気
飽和が生じるまでに要する時間である。例えば、電気角
がπ/2であるときに、U相に電圧を印加し電流変化率
の変動値が所定値εを超えるまでに要する時間を所定時
間T0とすることができる。所定時間T0をこのように
設定することにより順方向電流立ち上がり時間T1と所
定時間T0との大小関係に基づいて次の通り極性判定を
することができる。
【0085】時間T1が所定時間T0よりも大きい場合
において、電気角φが区分1〜3又は区分1’〜3’に
属している場合には電気角θ=φ2となり、電気角φが
区分4〜6又は区分4’〜6’に属している場合には電
気角θ=φ1となる(ステップS505)。一方、時間
T1が時間T0以下である場合には、この逆の関係によ
り電気角θが求められる。電気角φが区分1〜3又は区
分1’〜3’に属している場合には電気角θ=φ1とな
り、電気角φが区分4〜6又は区分4’〜6’に属して
いる場合には電気角θ=φ2となる(ステップS51
0)。
【0086】このような判断を行う理由を図13を用い
て説明する。順方向電流立ち上がり時間T1は、電気角
が値0のときに最も小さく、電気角の増大とともに大き
くなる。図13においてハッチングを施した領域(区分
1〜3および区分4’〜6’)にN極が存在する場合に
おいて、順方向電流立ち上がり時間T1が最大となるの
はU相コイルに対して磁極がπ/2の位置にある場合で
ある。本実施例では、この状態における順方向電流立ち
上がり時間を所定時間T0としている。従って、時間T
1が所定時間T0よりも小さい場合には、区分1〜3ま
たは区分4’〜6’に電気角が存在することが判定でき
る。V相およびW相に電圧を印加する場合も所定時間T
0は概ね同等の値とできるため、同様にして極性判定を
することができる。従って、ステップS505、S51
0の通り電気角θを特定することができることになる。
【0087】本実施例によれば、先に述べた実施例と同
様、コイル巻線に印加する電圧パルスについて微妙な調
整を必要とせず、電気角を検出することができる。ま
た、本実施例によれば、電気角逆方向電流立ち上がり時
間を計測する必要がないため、先に述べた実施例に比べ
て短時間で電気角を検出できる。
【0088】なお、本実施例においては、パルスパタン
決定処理(ステップS100)によって電圧を印加する
相を決定する結果、例えばU相に電圧を印加する場合に
は電気角は区分1、1’、6、6’のいずれかに属して
いることになる。つまり、U相と磁極の角度は正負30
度(π/6)の範囲にあることになる。従って、上記所
定時間T0は、電気角がπ/6〜π/2の範囲における
順方向電流立ち上がり時間相当に設定するものとしても
よい。このように電気角が存在する区分を判定する手段
と組み合わせて用いることにより、上記実施例における
極性判定は、時間の経過や温度変化に伴うモータの特性
変化の影響を受けることなく安定して電気角を検出する
ことができる。
【0089】以上、本発明の実施例について説明してき
たが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その
要旨を逸脱しない範囲で種々の形態が可能である。例え
ば、電気角検出ルーチンのパルスパタン決定処理(ステ
ップS100)における電気角の算出は、電気角が存在
する区分を判断することなく、0〜πもしくはπ〜2π
の範囲で電気角φを算出することができる手段としても
よい。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータ制御装置10の概略構成を示すブロック
図である。
【図2】三相同期モータ40の概略構成を示す説明図で
ある。
【図3】三相同期モータ40の固定子30と回転子50
との関係を示す端面図である。
【図4】三相同期モータ40の等価回路図である。
【図5】第1実施例における電気角検出ルーチンのフロ
ーチャートである。
【図6】第1実施例におけるパルスパタン決定処理のフ
ローチャートである。
【図7】電気角の存在区分を説明する説明図である。
【図8】電気角の他の存在区分を説明する説明図であ
る。
【図9】順方向電流立ち上がり時間計測処理のフローチ
ャートである。
【図10】コイル巻線の電圧および電流の様子を示すグ
ラフである。
【図11】ティース22に加えられる外部磁界と内部磁
束密度の関係を示すグラフである。
【図12】逆方向電流立ち上がり時間計測処理のフロー
チャートである。
【図13】電気角存在区分と極性判定の関係を示す説明
図である。
【図14】第2実施例における電気角検出ルーチンのフ
ローチャートである。
【符号の説明】
10…モータ制御装置 20…板状固定子 22…ティース 24…スロット 30…固定子 32…コイル 34…ボルト 36…ボルト孔 40…三相同期モータ 50…回転子 51,52,53,54…永久磁石 55…回転軸 57…板状回転子 60…ケース 61,62…軸受 71,72,73,74…突極 100…制御用ECU 102,103,104…電流センサ 106,107,108…フィルタ 112,113,114…ADC 116…入力ポート 118…出力ポート 120…CPU 122…ROM 124…RAM 126…クロック 130…電圧印加部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多相交流を巻線に流し、該巻線による磁
    界と永久磁石による磁界との相互作用により回転子を回
    転させる同期モータの電気角検出装置であって、 該巻線に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、 該印加した電圧に応じて流れる電流の変化率などの電流
    の挙動を検出する電流検出手段と、 該印加した電圧に応じて流れる電流の挙動に基づいて、
    電気角0〜πもしくはπ〜2πの区間内での電気角を演
    算する電気角演算手段と、 該検出された電流の変化率の変動に基づいて、電気角が
    0〜πもしくはπ〜2πのいずれの区間に属するかを特
    定する区間特定手段と、 を備える電気角検出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電気角検出装置であっ
    て、 前記電圧印加手段は、前記巻線の一の方向に所定の電圧
    を印加する手段であり、 前記区間特定手段は、電圧印加開始から、検出された電
    流変化率の変動値が所定値を超えるまでに要する電流立
    ち上がり時間と、特定の電気角に関連して予め定めた閾
    値との大小関係に基づいて、電気角が0〜πもしくはπ
    〜2πのいずれの区間に属するかを特定する手段である
    電気角検出装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電気角検出装置であっ
    て、 前記電圧印加手段は、 前記巻線の一の方向に第1の所定期間、所定の電圧を印
    加する順方向電圧印加手段と、 前記一の方向と逆方向に第2の所定期間、前記所定の電
    圧と同じ電圧を印加する逆方向電圧印加手段とからな
    り、 前記区間特定手段は、 前記順方向電圧印加手段による電圧印加開始から、検出
    された電流変化率の変動値が所定値を超えるまでに要す
    る順方向電流立ち上がり時間と、 前記逆方向電圧印加手段による電圧印加開始から、検出
    された電流変化率の変動値が所定値を超えるまでに要す
    る逆方向電流立ち上がり時間との大小関係に基づいて、
    電気角が0〜πもしくはπ〜2πのいずれの区間に属す
    るかを特定する手段である電気角検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の電気角検出装置であっ
    て、 前記順方向電圧印加手段における第1の所定期間は、検
    出された電流変化率の変動値が所定値を超えるまでの期
    間もしくは予め定められた所定期間のいずれか短い方の
    期間であり、 前記逆方向電圧印加手段における第2の所定期間は、検
    出された電流変化率の変動値が所定値を超えるまでの期
    間もしくは前記第1の所定期間を超える期間のいずれか
    短い方の期間である電気角検出装置。
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