JP4196660B2 - 電動機制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機(モータ)の制御装置に関し、特に同期電動機の起動時等の低速時の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータの制御装置として、モータの回転位置を示す回転位置信号に基づき、電気角60°毎の回転位置信号の時間間隔を測定し、時間間隔に基づき回転角度を補間して推定回転角度を作成し、推定回転角度に基づき、ステータ巻線に流す電流もしくはステータ巻線に印加する電圧を算出する装置が知られている(例えば、特許文献1、2及び3参照。)。
【0003】
この従来の方法により、回転位置信号の角度間隔が大きくても、補間演算にて間の角度情報を補うので、回転位置信号発生装置を簡素化しつつ検出精度を保つことができるという効果があり、さらに演算回数を減らして演算負荷を低減できるという効果があった。また、信号検出位相幅が大きいほど、信号の検出時間のばらつきによる誤差の影響を相対的に小さく出来るという効果もある。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−243689号公報
【特許文献2】
特開2002−272166号公報
【特許文献3】
特開2002−112579号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、補間演算が出来ない低回転では角度検出精度が低いため、トルク変動が生じる。またコギングトルクの正確な角度検出が必要であるという問題があった。
【0006】
この発明はこのような従来の問題点に着目してなされたもので、角度検出分解能の低い低速時において演算負荷をかけずにモータ出力トルクの変動を軽減することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電動機の制御装置は、電動機に電流を供給するインバータと、ロータの回転位相を検出する複数のセンサと、ロータの回転位相の検出値に応じた電流を電動機に供給するようインバータへ指令信号を送出するコントローラを備えている。前記コントローラは、所定速度以下の電動機の低速回転時では該複数のセンサの信号からロータ位相が位置する位相区間の判別を実行し、該位相区間内の所定位相にロータの回転位相の検出値を設定し、所定速度以上の電動機の通常回転時は、位相推定演算を実行することによりロータの回転位相と回転速度を検出し、目標トルクと前記回転速度をもとにステータコイルに印加する電流を決定する。
【0008】
前記位相区間の判別はコギングトルクの周期の半周期の位相毎で行われ、かつ隣接する位相判別区間の境界の位相はコギングトルクが最大になる位相および最小となる位相になるように前記複数のセンサが配置される。さらに、前記コントローラは、コギングトルクが最小になる位相から位相区間の幅に比較して小さい所定値だけ離れた位相において電磁トルクが最大となるように、各位相区間において、電流指令ベクトル位相を設定する。
【0009】
【作用・効果】
位相区間判別は、コギングトルクの周期の1/2倍の位相毎に行われ、かつ位相判別の境界位相はコギングトルクが最大になる位相および最小となる位相の近傍になるように構成され、各検出角度区間において、電流指令ベクトルの位相は、コギングトルクが最小になる位相の近傍において電磁トルクが最大となるように設定される。こうして、電磁トルク変動とコギングトルクが逆相となり互いに打ち消しあう作用でモータの総合トルクの変動を低減できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明による電動機制御装置で同期モータのロータの位相を検出する実施形態を示している。図において、同期モータ1は、バッテリ3の直流電力を交流に変換するインバータ2からの三相交流電力を受けて回転駆動される。なお、同期モータ1をジェネレータとして使用する場合は、発電された電力がインバータ2を介してバッテリ3に供給される。同期モータ1のロータ21には、非磁性体の検出プレート4が取付けられており、この検出プレート4上に、位相信号発生手段としての3つのホールセンサ5u、5v、5w(ホールICセンサ)が配設されている。なお、検出プレート4を設けずにロータの周囲にホールセンサ5u、5v、5wを直接配設した構成としてもよい。
【0012】
インバータ2へ指令信号(例えばPWM信号)を供給して同期モータ1の回転を制御するコントローラ10は、互いに結合されている一つ以上の中央演算装置 (CPU)、読み出し専用メモリ (ROM) 、ランダムアクセスメモリ (RAM) 及び入出力インタフェース (I/O インタフェース) を有するマイクロコンピュータから構成されている。コントローラ10は、同期モータ1に対する外部からの操作量を受けて目標トルクtTを発生させるトルク指令発生部11、ホールセンサ5u、5v、5wからの位相信号を受けて現在の位相を算出する位相検出部12、トルク指令発生部11からの目標トルクtTと位相検出部12からの検出位相θkを受けてインバータ2への指令信号を作成する指令信号作成部13を備えている。位相検出部12とトルク指令発生部11は、メモリ及びCPUで構成されてよいし、マイクロコンピュータが実行するプログラムの機能から構成される仮想的な部材を表すものであってもよい。さらに、位相検出部12は、時間計測手段としてのタイマカウンタと記憶手段としてのメモリと各種の演算処理を行うCPUとを備えており、回転角速度算出手段、位相算出手段等がCPUの実行するプログラムとしてソフトウエア的に構成されている。
【0013】
図2は、本発明の同期モータ1の構成を示す軸方向の部分断面図である。同期モータ1には円筒形状のロータ21とステータ26が、空隙(エアギャップ)を介して設けられる。ロータ21は、回転中心28の周りで回転可能な状態で図示しないケースに支持される。ロータ21は、出力軸に相当する回転軸34に固定され、その周りに配置される。ロータ21には隣り合う磁極が異極となるように磁石22が設置される。同期モータ1のロータ21と連動して回る検出プレート4に対向してラッチタイプのホールセンサ5が設置される。
【0014】
図3は、ロータ21の軸方向垂直な端面図である。以下、4極対モータの場合を例にとり説明する。ロータ21には、磁石22が回転軸34の周りで周方向に45°間隔で配置される。これに対応して、磁石22上には、磁性体片30を周方向に45°間隔で埋め込んだ検出プレート4が設置されている。検出プレート4の磁性体片30は、磁石22の極に対応してN極・S極となるよう各磁石22上に配置されている。磁性体片30を固定する固定ピン32による磁界乱れが位相検出に影響しない程度に、ホールセンサ5の検出プレート4上での検出位置を連ねた円状の軌跡からピンを離して配置する。
【0015】
図4は、ステータ26の図示しないティースに巻かれたコイル23とホールセンサ5の位置との関係を示す。ホールセンサ5u、5v、5wは、U相、V相、W相にそれぞれ対応し電気角120°(実際の角度で30°)おきに検出プレート4直上に設置される。このときコイル23の中心位置(つまりティースの中心位置)とホールセンサ5の位置との円周方向における角度間隔αは15°となる(α=15°)。別な表現をすると、回転中心28とホールセンサ5を結ぶ半径方向の平面が、ステータ26のスロット27の中心を通るような位置、つまりスロット27の中心にホールセンサ5に対峙する位置に、ホールセンサ5u、5v、5wは配置されている。
【0016】
これらのホールセンサ5u、5v、5wは、電気角によるロータ21の回転位相(ロータ位相)に応じて図5に示す信号を出力する。なお、図3のロータの位置を回転位相0°にとってある。ホールセンサ5u、5v、5wは、ロータの回転によって、オン・オフ信号を出力する。すなわち、第1ホールセンサ5uはロータ位相が−30°〜150°の間でオンとなり、第2ホールセンサ5vはロータ位相が90°〜270°の間でオンとなり、第3ホールセンサ5wはロータ位相が210°〜−30°(390°)の間でオンとなる。よって、第2ホールセンサ5vは第1ホールセンサ5uより120°位相が遅れた信号を出力し、第3ホールセンサ5wは第2ホールセンサ5vよりさらに120°位相が遅れた信号を出力する。
【0017】
この3つの出力信号の組合わせから、60°の分解能でロータ位相(ロータの回転角)を検出することができる。例えば、第1ホールセンサ5uの出力がオンで、第2ホールセンサ5vの出力がオフで、第3ホールセンサ5wの出力がオフのときは、ロータ位相は30°から90°の間にあることが分かる。このようにして図5においてα´=7.5°×4(極対数)=30°となるように、位相判別区間1〜6が構成される。ここで、位相判別区間mは、{30°+(m−1)×60°}から{30°+m×60°}の区間である。また、位相判別区間mの始点をθa(m)=30°+(m−1)×60°と定義する。
【0018】
図6を参照して、位相判別区間とコギングトルクとの関係について説明する。コギングトルクは、ロータ21の磁石22の中心がコイル23の中心またはスロット27の中心に直面する位置にきた時、ゼロであり、ロータ21の磁石と磁石の境界がスロット中心に位置した時、最大または最小になる。従って、図6のように、ロータの電気角位相に関して120°周期で変動し、60°間隔で、最大と最小を繰り返す。
【0019】
上記のように三相のホールセンサ5u、5v、5wを配置することにより、隣り合う位相判別区間の境界位相はコギングトルクが最大になる位相および最小となる位相になるように構成される。なお、ホールセンサ5u、5v、5wの配置を電気角で60°(実際の角度で15°)円周方向にずらしても、位相判別区間の境界位相をコギングトルクが最大になる位相および最小となる位相に設定可能である。
【0020】
本発明では、同期モータ1の始動時は3相のホールセンサ5の信号の組み合わせから図6のような区間判別を行い、各位相判別区間に対応して電流指令ベクトル位相(回転角)を設定する。各位相判別区間(区間1〜区間6)と各区間での設定される電流指令ベクトル位相(θ1〜θ6)との対応は制御モードにより異なる。なお、電流指令ベクトル位相(θ1〜θ6)は、ロータ回転速度が0且つロータ位相が0°のときに最大の電磁トルクを生じる電流ベクトル位相を基準(0°)として測られる電流指令ベクトルの回転角である。
【0021】
ロータ21がある程度の回転速度No以上で回転していれば、各位相判別区間での位相をロータ回転速度の利用による補間演算によりロータ21のほぼ正確な位相が推定できる(これは後述の通常制御モードに相当する)が、回転速度が非常に低いロータ21の停止時または始動時においては、区間内のどこにロータ位相があるかは判別できない。このため、このような場合には、区間m(m=1〜6)内でロータ位相を固定位置θm(固定位相)にあるとして検出して、検出値θk=θmとし、最大トルクを狙った電流ベクトル位相がθm(=θ1〜θ6)に設定される。従って、図6(又は図7)に示すように、固定位置からの実際のロータ位相のずれ(位相検出誤差)に伴い実際に発生する電磁トルクが変動(低下)する。なお、ロータ位相の検出誤差による電磁トルクの変動については、特開2002−272166に詳述されている。
【0022】
制御モード1では、図6のように、位相判別区間mにおける電流指令ベクトル位相θmはコギングトルクが最小になる位相(αc1〜αc3)の近傍に設定される。なお、制御モード1は、後述するようにモータ1の始動直後の低トルク、低回転時に実行される。
【0023】
制御モード1では、区間1と2において、電流指令ベクトル位相θ1とθ2は区間1と区間2の境界位相αc1(=90°)の近傍に、区間3と4において、電流指令ベクトル位相θ3とθ4は区間3と区間4の境界位相αc2(=210°)の近傍に、区間5と6において、電流指令ベクトル位相θ5とθ6は、区間5と区間6の境界位相αc3(=330°)の近傍に設定される。ここで、電磁トルクの降下代Tdがモータの総合的なトルクの変動を増幅しないことを考慮して、電流指令ベクトル位相のコギングトルクが最小になる位相からの所定の変位αoffが決定される。所定の変位αoffは、位相判別区間の幅(60°)に比して極小さな値である。また、ここで、総合的なトルクとは、電磁トルクにコギングトルクを加えたものである。
【0024】
区間mにおいて、実際のロータ位相がθm(m=1〜6)の時、ロータ位相の検出値θkをθmとして、電流指令ベクトル位相を電磁トルク最大とする位相θmに設定することにより、電磁トルクは最大値となる。しかし、実際のロータ位相θがθmからはずれた場合、ロータ位相の検出値をθmとし電流指令ベクトル位相をθmに設定することは適切でなく、電磁トルクは最大値から減少する。つまり、この場合、ロータ位相の検出誤差により電磁トルクが変動する。
【0025】
しかし、制御モード1では、電磁トルク変動とコギングトルクが逆相となり互いに打ち消しあうように、つまりコギングトルクが最小になるロータ位相近傍において電磁トルクが最大となるように、電流指令ベクトル位相θmが区間mにおいて設定されているので、モータ1の総合トルクの変動を低減することができる。
【0026】
制御モード2での電流指令ベクトル位相は図6のように、位相判別区間の中間位相(θa(m)+30°)とする。なお、制御モード2は、後述するようにモータ1の始動直後の高トルク、低回転時に、制御モード1に続いて実行される。目標トルクtTがトルク境界値Tsよりも大きい場合に、電流指令ベクトル位相を区間の中心近傍にすることにより、モータの最大出力が低減されることを防止し、低速・高負荷下での動作性能を確保できる。
【0027】
始動後のモータ1の通常運転時は、通常制御モードとして、位相の検出時のタイマカウンタ値(時間)をもとに、位相補間演算により位相を推定検出する。図7のように、位相補間演算では、現在のロータ位相θが属する位相判別区間mの始点をθa(m)とすると、ロータ位相がθa(m)となった時刻tmと現在の時刻tiとの差にロータ回転速度Nを乗じ、これにθa(m)を加えた値をロータ位相θと推定する。つまり、式θ=θa(m)+N×(ti−tm)のようにロータ位相は推定される。
【0028】
コントローラ10の位相検出部12は、ロータ回転速度算出処理を、例えば、図9のフローチャートに従って実行する。この場合、ロータ回転速度算出処理は、第1〜第3ホールセンサ5u〜2wの何れかの出力が変化(オフからオン又はオンからオフに変化)する毎に、すなわち、ロータが60°回転する毎に実行される。
【0029】
一定微小時間毎に加算されるタイマカウンタから現在のカウント値を取得し、その値をt0とする(S1)。そして、t1の値をt2へ入力し、ステップS1で取得したt0の値をt1へ入力する。この入力はt2←t1、t1←t0の順で行う。よって、t1は現在の時刻を表し、t2はこのロータ回転速度算出処理が前回実行されたときの時刻を表す。そして、60°を(t1−t2)で除し、ロータ回転速度Vを算出する。
【0030】
すなわち、t2は、前回ロータの60°の回転が検出された時間であり、t1は、今回ロータの60°の回転が検出された時間である。よって、t2〜t1の間にロータは60°回転しているので、N=60/(t1−t2)でロータ回転速度が求まる。
【0031】
なお、通常モードでの、位相補間演算については、本発明の主題から外れるため概略だけ説明したが、特開2002−272166と特開2002−112579において詳述されている。
【0032】
図10は、本発明の実施の形態のメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理は、コントローラ10の指令信号作成部13により所定周期毎に実行され、このメイン処理によりインバータ5を制御し、モータ1の電流が制御される。
【0033】
まず、ステップS10において、ロータ位相θを検出(算出)する、つまりロータ位相の検出値θkが設定される。ロータ位相θの検出方法の詳細は図11にて後述する。そして、このロータ位相の検出値θkに応じて、電磁トルク最大となるように電流指令ベクトル位相を設定する(S20)。そして、電流振幅Iを算出する(S30)。この電流振幅Iは、ロータ21の回転速度Nと目標トルクtTから記憶されているマップに従って算出される。
【0034】
そして、電流指令ベクトル位相と電流振幅Iとに基づき、目標d軸電流tIdと目標q軸電流tIqとを算出する(S40)。その後、目標d軸電流tId、目標q軸電流tIq及び検出されたロータ位相θkに基づき、インバータ5へのPWM信号を生成し、インバータ5のスイッチングセンサがこのPWM信号に応じてオン・オフすることでモータ1のステータコイルに流れる電流が制御される。
【0035】
図11は、本発明の実施の形態のロータ位相の算出(検出)処理を示すフローチャートである。このロータ位相算出処理は、インバータ5への指令値を算出するための前述したメイン処理(図10のステップS10)から呼び出されるサブルーチンである。
【0036】
まず、ロータ位相検出器2の第1〜第3ホールセンサ5u〜5wのオン・オフ信号の組合わせから、ロータ位相がどの位相判別区間mにあるかを判別して、判別されたロータ位相の区間mが始まる位相θa(m)を求める(S100)。
【0037】
そして、タイマカウンタから現在のカウント値を取得し、その値をtiとする(S101)。次に、ロータ回転速度算出処理(図9のステップS3)で算出したロータ回転速度Nと、所定値Noとを比較する(S102)。このNoは、ロータが停止状態又はロータが極めて低速の回転状態にあるか否かを判断するため、予め定められている閾値である。所定値No以上では、通常制御モードでの位相補間演算が過大な誤差を生じることなく行える。
【0038】
ステップS102で回転速度Nが始動モード境界回転速度Noに対してN>Noであると、ステップS106で通常制御モードに遷移する。通常制御モードでは、ロータ位相測定点の間のロータ位相を推定する補間演算によってロータ位相θを検出(算出)する。つまり、式θk=θa(m)+N×(ti−tm)よりロータ位相の検出値θkを設定する。ステップS102で、N≦Noである場合は、ステップS103で目標トルクtTとトルク境界値Tsを比較する。ここでトルク境界値Tsは制御モード1の状態における最大トルク近傍の値またはそれ以上とする。簡単には、トルク境界値Tsは制御モード1の状態の最大トルクとしてよい。ステップS103で、Tc≦Tsの場合はステップS104で制御モード1に遷移する。ステップS103で、Tc>Tsの場合は制御モード2へ遷移する。
【0039】
前述のように制御モード1では、ロータ位相の検出値θkを固定位相θmに設定する(つまりθk=θm)。なお、固定位相θmは、コギングトルクが最小になる位相(αc1〜αc3)の近傍の位相である。この場合、図10のステップS20において、電流指令ベクトル位相も固定位相θmに設定されている。
【0040】
前述のように制御モード2では、ステップS100で選択したθa(m)に30°を加算した値をロータ位相θの検出値として設定する。ここでは、位相判別区間の中間位相θa(m)+30°にロータ位相の検出値θkを設定する。(θk=θa(m)+30°)この場合、図10のステップS20において、位相判別区間m内で電流指令ベクトル位相も位相判別区間の中間位相θa(m)+30°に設定されている。
【0041】
図12のタイムチャートにより本発明の作用を示す。時間taで発進し、このときロータ回転速度N≦Noかつ目標トルクtT≦Tsであり、制御モード1が選択される。時間tbで目標トルクtT>Tsとなり制御モード2へと遷移する。時間tcでロータ回転速度N>Noとなり通常制御モードが選択される。こうして、コギングトルクの悪影響を防止しながら、スムーズなモータ1の始動が行われる。
【0042】
以上説明してきたように、この発明によれば、始動時に、制御モード1により、モータの電磁トルクの変動とコギングトルクとを逆相にしたためにモータの出力トルクの変動を低減できる。また高付加時において、制御モード2により、区間中心位相をロータ位相の検出値θkとしたので、最大トルク性能も確保しつつ広い運転範囲でトルク変動の軽減が可能となる。
【0043】
上記の実施形態の形態は極数が4極のものであるが、他の極数の電動機にも本発明は適用可能である。さらに、本実施形態では、本発明を電動機に適用したが、発電機に適用してもかまわない。
【0044】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動機の制御装置の全体構成概要図である。
【図2】電動機の構成を示す軸方向の部分断面図である。
【図3】電動機のロータの軸方向垂直な部分端面図である。
【図4】電動機のロータ及びステータの端面を示す図である。
【図5】ホールセンサ出力信号を示すタイムチャートである。
【図6】制御モード1における電流指令ベクトル位相を示す図である。
【図7】制御モード2における電流指令ベクトル位相を示す図である。
【図8】位相補間演算の概要を示す図である。
【図9】ロータ回転速度算出処理のフローチャートである。
【図10】コントローラが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図11】ロータ位相の検出処理を示すフローチャートである。
【図12】ロータの始動時のロータ回転数と制御モードの経過時間依存性を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 同期モータ
2 インバータ
3 バッテリ
4 検出プレート
5u、5v、5w ホールセンサ
10 コントローラ
21 ロータ
23 コイル
26 ステータ

Claims (5)

  1. 電動機に電流を供給するインバータと、電動機のロータの回転位相を検出する複数のセンサと、ロータの回転位相の検出値に応じた電流を電動機に供給するようインバータへ指令信号を送出するコントローラを備え、
    前記コントローラは、所定速度以下の電動機の低速回転時では該複数のセンサの信号からロータ位相が位置する位相区間の判別を実行し、該位相区間内の所定位相にロータの回転位相の検出値を設定し、所定速度以上の電動機の通常回転時は、位相推定演算を実行することによりロータの回転位相と回転速度を検出し、目標トルクと前記回転速度をもとにステータコイルに印加する電流を決定する、電動機の制御装置において、
    前記位相区間の判別はコギングトルクの周期の半周期の位相毎で行われ、かつ隣接する位相判別区間の境界の位相はコギングトルクが最大になる位相および最小となる位相になるように前記複数のセンサが配置されると共に、
    前記コントローラは、各位相区間において、コギングトルクが最小になる位相から位相区間の幅に比較して小さい所定値だけ離れた位相において電磁トルクが最大となるように、電流指令ベクトル位相を設定することを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記コントローラは、目標トルクが所定トルク値よりも大きい場合は、位相判別区間の略中心において電磁トルクが最大になるように電流指令ベクトル位相を設定することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  3. 所定のトルク値が、コギングトルク最小となる位相から前記所定値だけ離れた位相において電磁トルクが最大になるように電流指令ベクトルを設定した状態での、可能な最大トルク値近傍の値もしくはそれ以上の値であることを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  4. 前記所定値は、ロータの回転位相の検出誤差による電磁トルクの降下がモータの総合的なトルクの変動を増幅しないように決定されることを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  5. 前記複数のセンサがそれぞれ電動機のステータのスロット中心に対峙して設けられることを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
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