JPH1153953A - 鎧装ケーブル - Google Patents
鎧装ケーブルInfo
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- JPH1153953A JPH1153953A JP22011997A JP22011997A JPH1153953A JP H1153953 A JPH1153953 A JP H1153953A JP 22011997 A JP22011997 A JP 22011997A JP 22011997 A JP22011997 A JP 22011997A JP H1153953 A JPH1153953 A JP H1153953A
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Abstract
(57)【要約】 （修正有）
【課題】 曳航ケーブル等の鎧装ケーブルに張力が印加
した時に，回転トルクが発生して鎧装ケーブルがねじれ
ることを防止する。 【解決手段】 鎧装ケーブル２１に張力を印加した時
に，ケーブル本体６に発生するケーブル線心４の巻き戻
りによる回転トルクをＴｃ，２重線鎧装２７のうちのケ
ーブル線心４の撚り方向と同じ巻き方向のテンションメ
ンバ層２９に発生するテンションメンバ層２９の巻き戻
りによる回転トルクをＴａ，ケーブル線心４の撚り方向
と逆の巻き方向のテンションメンバ層２８に発生するテ
ンションメンバ層２８の巻き戻りによる回転トルクをＴ
ｂとしたとき，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，２つの
テンションメンバ層２８，２９のテンションメンバ２８
ａ，２９ａのヤング率、径又は本数を調節設定する。
した時に，回転トルクが発生して鎧装ケーブルがねじれ
ることを防止する。 【解決手段】 鎧装ケーブル２１に張力を印加した時
に，ケーブル本体６に発生するケーブル線心４の巻き戻
りによる回転トルクをＴｃ，２重線鎧装２７のうちのケ
ーブル線心４の撚り方向と同じ巻き方向のテンションメ
ンバ層２９に発生するテンションメンバ層２９の巻き戻
りによる回転トルクをＴａ，ケーブル線心４の撚り方向
と逆の巻き方向のテンションメンバ層２８に発生するテ
ンションメンバ層２８の巻き戻りによる回転トルクをＴ
ｂとしたとき，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，２つの
テンションメンバ層２８，２９のテンションメンバ２８
ａ，２９ａのヤング率、径又は本数を調節設定する。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は，吊架ケーブルや
曳航ケーブル等のように，テンションメンバ（張力負担
部材）を鎧装して，張力が加わった状態で使用される鎧
装ケーブルに関する。
曳航ケーブル等のように，テンションメンバ（張力負担
部材）を鎧装して，張力が加わった状態で使用される鎧
装ケーブルに関する。
【０００２】
【従来の技術】ビルディング内の電力幹線ケーブルとし
て配線シャフト内に吊り下げられる吊架ケーブルや，海
中探査用の送受信機等を曳航する曳航ケーブル等のよう
に，テンションメンバを鎧装して，張力が加わった状態
で使用される鎧装ケーブルとして，例えば図３に示す構
造の２重線鎧装形の鎧装ケーブル１が知られている。こ
の鎧装ケーブル１は，導体２の外周に絶縁被覆３を形成
したケーブル線心４を２本Ｓ撚りに撚り合わせた上に保
護被覆５を形成したケーブル本体６の外周に，金属線あ
るいは芳香族ポリアミド繊維等による二群のテンション
メンバ８ａ，９ａを一方８ａはＺ巻き，他方９ａはＳ巻
きと互いに逆方向に巻き付けて内側のテンションメンバ
層（以下内側層という）８と外側のテンションメンバ層
（以下外側層という）９とからなる２重線鎧装７を形成
し，その外側にシース１０を設けた構造である。
て配線シャフト内に吊り下げられる吊架ケーブルや，海
中探査用の送受信機等を曳航する曳航ケーブル等のよう
に，テンションメンバを鎧装して，張力が加わった状態
で使用される鎧装ケーブルとして，例えば図３に示す構
造の２重線鎧装形の鎧装ケーブル１が知られている。こ
の鎧装ケーブル１は，導体２の外周に絶縁被覆３を形成
したケーブル線心４を２本Ｓ撚りに撚り合わせた上に保
護被覆５を形成したケーブル本体６の外周に，金属線あ
るいは芳香族ポリアミド繊維等による二群のテンション
メンバ８ａ，９ａを一方８ａはＺ巻き，他方９ａはＳ巻
きと互いに逆方向に巻き付けて内側のテンションメンバ
層（以下内側層という）８と外側のテンションメンバ層
（以下外側層という）９とからなる２重線鎧装７を形成
し，その外側にシース１０を設けた構造である。
【０００３】上記のように，テンションメンバを互いに
逆向き巻き付けの２層構造とするのは，この鎧装ケーブ
ル１に張力が作用した時，テンションメンバ８ａ，９ａ
の巻きが戻ることで発生する回転トルクを相殺して鎧装
ケーブル１に回転が発生しないようにするためである。
このために，従来は，２重線鎧装７の設計において，鎧
装ケーブル１に張力が印加した時に，外側層９に発生す
る回転トルクをＴａ，内側層８に発生する回転トルクを
Ｔｂとした時，Ｔａ＝Ｔｂとなるように，内外層８，９
のテンションメンバ８ａ，９ａのヤング率または径また
は本数を設定していた。すなわち，内外層８，９間の回
転トルクのバランスのみを考慮していた。
逆向き巻き付けの２層構造とするのは，この鎧装ケーブ
ル１に張力が作用した時，テンションメンバ８ａ，９ａ
の巻きが戻ることで発生する回転トルクを相殺して鎧装
ケーブル１に回転が発生しないようにするためである。
このために，従来は，２重線鎧装７の設計において，鎧
装ケーブル１に張力が印加した時に，外側層９に発生す
る回転トルクをＴａ，内側層８に発生する回転トルクを
Ｔｂとした時，Ｔａ＝Ｔｂとなるように，内外層８，９
のテンションメンバ８ａ，９ａのヤング率または径また
は本数を設定していた。すなわち，内外層８，９間の回
転トルクのバランスのみを考慮していた。
【０００４】また，図４に示す編組鎧装形の鎧装ケーブ
ル１１も知られている。この編組鎧装形の鎧装ケーブル
１１は，ケーブル本体６の外周に，二群のテンションメ
ンバ１８ａ，１９ａを互いに逆方向に，かつ，編組状に
（すなわち互いに編みながら）巻き付けて編組鎧装１７
を形成した構造である。
ル１１も知られている。この編組鎧装形の鎧装ケーブル
１１は，ケーブル本体６の外周に，二群のテンションメ
ンバ１８ａ，１９ａを互いに逆方向に，かつ，編組状に
（すなわち互いに編みながら）巻き付けて編組鎧装１７
を形成した構造である。
【０００５】この編組鎧装形の鎧装ケーブル１１の場合
は，従来，互いに逆方向のテンションメンバ１８ａ，１
９ａのヤング率または径（すなわち断面積）および本数
を同じとしていた。すなわち，この場合も前記と同様
に，互いに逆向きのテンションメンバ１８ａ，１９ｂ間
の回転トルクのバランスのみを考慮しており，編組鎧装
１７の設計において，鎧装ケーブル１１に張力が印加し
た時に，編組鎧装１７のうちのケーブル線心４の撚り方
向と同じ巻き方向のテンションメンバ１９ａに発生する
回転トルクをＴａ，ケーブル線心４の撚り方向と逆の巻
き方向のテンションメンバ１８ａに発生する回転トルク
をＴｂとした時，Ｔａ＝Ｔｂとなるように，各テンショ
ンメンバ１８ａ，１９ａのヤング率または径または本数
を設定していた。
は，従来，互いに逆方向のテンションメンバ１８ａ，１
９ａのヤング率または径（すなわち断面積）および本数
を同じとしていた。すなわち，この場合も前記と同様
に，互いに逆向きのテンションメンバ１８ａ，１９ｂ間
の回転トルクのバランスのみを考慮しており，編組鎧装
１７の設計において，鎧装ケーブル１１に張力が印加し
た時に，編組鎧装１７のうちのケーブル線心４の撚り方
向と同じ巻き方向のテンションメンバ１９ａに発生する
回転トルクをＴａ，ケーブル線心４の撚り方向と逆の巻
き方向のテンションメンバ１８ａに発生する回転トルク
をＴｂとした時，Ｔａ＝Ｔｂとなるように，各テンショ
ンメンバ１８ａ，１９ａのヤング率または径または本数
を設定していた。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】上記のように，２重線
鎧装７における内外のテンションメンバ層８，９間の回
転トルクのバランスのみを考慮して設計した従来の鎧装
ケーブル１，あるいは，編組鎧装１７における巻き方向
が逆のテンションメンバ１８ａ，１９ａ間の回転トルク
のバランスのみを考慮して設計した従来の鎧装ケーブル
１１は，ケーブル線心４の導体２が小径でしかも絶縁被
覆３の剛性が小さいものであれば，鎧装ケーブル１，１
１に回転が生じてしまうことを有効に防止できる。しか
し，ケーブル線心４の導体２が大径のものであったり絶
縁被覆３の剛性が大きなものであったりするときには，
ケーブル線心４が撚り合わされていることを無視できな
くなり，ケーブル線心４の撚り方向の影響による回転ト
ルクが発生し，テンションメンバ８ａ，９ａまたは１８
ａ，１９ａの回転トルクのバランスを乱し，鎧装ケーブ
ル１または１１全体としての回転トルクが零とならず，
鎧装ケーブル１または１１に回転が発生してしまうとい
う問題があった。
鎧装７における内外のテンションメンバ層８，９間の回
転トルクのバランスのみを考慮して設計した従来の鎧装
ケーブル１，あるいは，編組鎧装１７における巻き方向
が逆のテンションメンバ１８ａ，１９ａ間の回転トルク
のバランスのみを考慮して設計した従来の鎧装ケーブル
１１は，ケーブル線心４の導体２が小径でしかも絶縁被
覆３の剛性が小さいものであれば，鎧装ケーブル１，１
１に回転が生じてしまうことを有効に防止できる。しか
し，ケーブル線心４の導体２が大径のものであったり絶
縁被覆３の剛性が大きなものであったりするときには，
ケーブル線心４が撚り合わされていることを無視できな
くなり，ケーブル線心４の撚り方向の影響による回転ト
ルクが発生し，テンションメンバ８ａ，９ａまたは１８
ａ，１９ａの回転トルクのバランスを乱し，鎧装ケーブ
ル１または１１全体としての回転トルクが零とならず，
鎧装ケーブル１または１１に回転が発生してしまうとい
う問題があった。
【０００７】本願発明者らは，曳航ケーブル等における
張力印加時の回転トルク発生の問題に関して，上述した
従来の設計思想に基づいた鎧装ケーブルでは容易に回転
トルクの発生を解消できないことから，その原因を種々
の研究・実験により探ってきたが，その結果，従来全く
考慮されることのなかったケーブル線心４の撚り自体が
影響しているという上述の知見を得た。本発明はこのよ
うな背景によるものであり，ケーブル線心の導体が大径
のものであったり，絶縁被覆の剛性が大きなものであっ
たりする場合でも，張力が加わった時の回転トルクの発
生を有効に防止できる鎧装ケーブルを提供することを目
的とする。
張力印加時の回転トルク発生の問題に関して，上述した
従来の設計思想に基づいた鎧装ケーブルでは容易に回転
トルクの発生を解消できないことから，その原因を種々
の研究・実験により探ってきたが，その結果，従来全く
考慮されることのなかったケーブル線心４の撚り自体が
影響しているという上述の知見を得た。本発明はこのよ
うな背景によるものであり，ケーブル線心の導体が大径
のものであったり，絶縁被覆の剛性が大きなものであっ
たりする場合でも，張力が加わった時の回転トルクの発
生を有効に防止できる鎧装ケーブルを提供することを目
的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項１の発明は，撚り合わされた複数本のケーブル線心を
持つケーブル本体の外周に，二群のテンションメンバを
互いに逆方向に２重に巻き付けて２重線鎧装を形成した
鎧装ケーブルにおいて，当該鎧装ケーブルに張力を印加
した時に，ケーブル本体に発生するケーブル線心の撚り
戻りによる回転トルクをＴｃ，２重線鎧装のうちのケー
ブル線心の撚り方向と同じ巻き方向のテンションメンバ
層に発生する該テンションメンバ層の巻き戻りによる回
転トルクをＴａ，ケーブル線心の撚り方向と逆の巻き方
向のテンションメンバ層に発生する該テンションメンバ
層の巻き戻りによる回転トルクをＴｂとしたとき，Ｔｃ
＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，２重線鎧装の各層のテンシ
ョンメンバのヤング率または径または本数を調節設定し
たことを特徴とする。
項１の発明は，撚り合わされた複数本のケーブル線心を
持つケーブル本体の外周に，二群のテンションメンバを
互いに逆方向に２重に巻き付けて２重線鎧装を形成した
鎧装ケーブルにおいて，当該鎧装ケーブルに張力を印加
した時に，ケーブル本体に発生するケーブル線心の撚り
戻りによる回転トルクをＴｃ，２重線鎧装のうちのケー
ブル線心の撚り方向と同じ巻き方向のテンションメンバ
層に発生する該テンションメンバ層の巻き戻りによる回
転トルクをＴａ，ケーブル線心の撚り方向と逆の巻き方
向のテンションメンバ層に発生する該テンションメンバ
層の巻き戻りによる回転トルクをＴｂとしたとき，Ｔｃ
＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，２重線鎧装の各層のテンシ
ョンメンバのヤング率または径または本数を調節設定し
たことを特徴とする。
【０００９】請求項２の発明は，撚り合わされた複数本
のケーブル線心を持つケーブル本体の外周に，二群のテ
ンションメンバを互いに逆方向に編組状に巻き付けて編
組鎧装を形成した鎧装ケーブルにおいて，当該鎧装ケー
ブルに張力を印加した時に，ケーブル本体に発生するケ
ーブル線心の撚り戻りによる回転トルクをＴｃ，編組鎧
装のうちのケーブル線心の撚り方向と同じ巻き方向をな
すテンションメンバ群に発生する該テンションメンバ群
の巻き戻りによる回転トルクをＴａ，ケーブル線心の撚
り方向と逆の巻き方向をなすテンションメンバ群に発生
する該テンションメンバ群の巻き戻りによる回転トルク
をＴｂとしたとき，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，編
組鎧装の一方の群のテンションメンバおよび他方の群の
テンションメンバのヤング率または径または本数を調節
設定したことを特徴とする。
のケーブル線心を持つケーブル本体の外周に，二群のテ
ンションメンバを互いに逆方向に編組状に巻き付けて編
組鎧装を形成した鎧装ケーブルにおいて，当該鎧装ケー
ブルに張力を印加した時に，ケーブル本体に発生するケ
ーブル線心の撚り戻りによる回転トルクをＴｃ，編組鎧
装のうちのケーブル線心の撚り方向と同じ巻き方向をな
すテンションメンバ群に発生する該テンションメンバ群
の巻き戻りによる回転トルクをＴａ，ケーブル線心の撚
り方向と逆の巻き方向をなすテンションメンバ群に発生
する該テンションメンバ群の巻き戻りによる回転トルク
をＴｂとしたとき，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，編
組鎧装の一方の群のテンションメンバおよび他方の群の
テンションメンバのヤング率または径または本数を調節
設定したことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】以下，本発明の実施の形態を図
１，図２に示した実施例を参照して説明する。図１は請
求項１の発明の一実施例を示すもので，２重線鎧装形の
鎧装ケーブル２１の部分切り欠きの斜視図である。この
鎧装ケーブル２１は，導体２の外周に絶縁被覆３を形成
したケーブル線心４を２本Ｓ撚りに撚り合わせた上に保
護被覆５を形成したケーブル本体６の外周に，金属線あ
るいは芳香族ポリアミド繊維等による二群のテンション
メンバ２８ａ，２９ａを互いに逆方向に巻き付けて内側
のテンションメンバ層２８と外側のテンションメンバ層
２９とからなる２重線鎧装２７を形成し，その外側にシ
ース１０を設けた構造である。
１，図２に示した実施例を参照して説明する。図１は請
求項１の発明の一実施例を示すもので，２重線鎧装形の
鎧装ケーブル２１の部分切り欠きの斜視図である。この
鎧装ケーブル２１は，導体２の外周に絶縁被覆３を形成
したケーブル線心４を２本Ｓ撚りに撚り合わせた上に保
護被覆５を形成したケーブル本体６の外周に，金属線あ
るいは芳香族ポリアミド繊維等による二群のテンション
メンバ２８ａ，２９ａを互いに逆方向に巻き付けて内側
のテンションメンバ層２８と外側のテンションメンバ層
２９とからなる２重線鎧装２７を形成し，その外側にシ
ース１０を設けた構造である。
【００１１】上述した範囲では図３に示した従来の２重
線鎧装の鎧装ケーブル１と同様であるが，本発明の鎧装
ケーブル２１における内外のテンションメンバ層２８，
２９は，単にその２つのテンションメンバ層２８，２９
間のバランスのみを考慮したものではなく，ケーブル線
心４が撚り合わされたものであることをも考慮してい
る。すなわち，当該鎧装ケーブル２１に張力を印加した
時に，ケーブル本体６に発生するケーブル線心４の撚り
戻りによる回転トルクをＴｃ，２重線鎧装２７のうちの
ケーブル線心４の撚り方向と同じ巻き方向のテンション
メンバ層２９に発生する該テンションメンバ層２９の巻
き戻りによる回転トルクをＴａ，ケーブル線心４の撚り
方向と逆の巻き方向のテンションメンバ層２８に発生す
る該テンションメンバ層２８の巻き戻りによる回転トル
クをＴｂとしたとき，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，
前記２つのテンションメンバ層２８，２９のテンション
メンバ２８ａ，２９ａのヤング率または径または本数を
調節設定している。なお，“Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるよ
うに”とは，厳密にそのような関係が成り立つことを意
味するものではなく，そのような設計思想に基づいてい
ることを意味している。
線鎧装の鎧装ケーブル１と同様であるが，本発明の鎧装
ケーブル２１における内外のテンションメンバ層２８，
２９は，単にその２つのテンションメンバ層２８，２９
間のバランスのみを考慮したものではなく，ケーブル線
心４が撚り合わされたものであることをも考慮してい
る。すなわち，当該鎧装ケーブル２１に張力を印加した
時に，ケーブル本体６に発生するケーブル線心４の撚り
戻りによる回転トルクをＴｃ，２重線鎧装２７のうちの
ケーブル線心４の撚り方向と同じ巻き方向のテンション
メンバ層２９に発生する該テンションメンバ層２９の巻
き戻りによる回転トルクをＴａ，ケーブル線心４の撚り
方向と逆の巻き方向のテンションメンバ層２８に発生す
る該テンションメンバ層２８の巻き戻りによる回転トル
クをＴｂとしたとき，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，
前記２つのテンションメンバ層２８，２９のテンション
メンバ２８ａ，２９ａのヤング率または径または本数を
調節設定している。なお，“Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるよ
うに”とは，厳密にそのような関係が成り立つことを意
味するものではなく，そのような設計思想に基づいてい
ることを意味している。
【００１２】テンションメンバ２８ａ，２９ａのヤング
率または径または本数の調節設定の仕方は種々あるが，
要するに，張力が加わった時に２つのテンションメンバ
層２８，２９に発生する回転トルクが等しくなるような
ヤング率または径または本数が定められたとすると，ケ
ーブル線心４の撚り方向と逆の巻き方向のテンションメ
ンバ層２８のテンションメンバ２８ａのヤング率または
径または本数を前記定められたヤング率または径または
本数よりも大にするか，またはケーブル線心４の撚り方
向と同じ巻き方向のテンションメンバ層２９のテンショ
ンメンバ２９ａのヤング率または径または本数を前記定
められたヤング率または径または本数よりも小とさせ
る。その場合，ケーブル線心４の撚り戻りによる回転ト
ルクを打ち消すような差をつける。なお，本数を大とす
ることには，１つのテンションメンバ層自体を２層に分
けて設けることも含む。
率または径または本数の調節設定の仕方は種々あるが，
要するに，張力が加わった時に２つのテンションメンバ
層２８，２９に発生する回転トルクが等しくなるような
ヤング率または径または本数が定められたとすると，ケ
ーブル線心４の撚り方向と逆の巻き方向のテンションメ
ンバ層２８のテンションメンバ２８ａのヤング率または
径または本数を前記定められたヤング率または径または
本数よりも大にするか，またはケーブル線心４の撚り方
向と同じ巻き方向のテンションメンバ層２９のテンショ
ンメンバ２９ａのヤング率または径または本数を前記定
められたヤング率または径または本数よりも小とさせ
る。その場合，ケーブル線心４の撚り戻りによる回転ト
ルクを打ち消すような差をつける。なお，本数を大とす
ることには，１つのテンションメンバ層自体を２層に分
けて設けることも含む。
【００１３】上述の２重線鎧装形の鎧装ケーブル２１に
張力が印加した時，ケーブル線心４に撚りの戻りによる
回転トルクＴｃが発生し，これと同じ巻き方向のテンシ
ョンメンバ層２９にテンションメンバ２９ａの巻きの戻
りによる回転トルクＴａが発生し，逆の巻き方向のテン
ションメンバ層２８にテンションメンバ２８ａの巻きの
戻りによる回転トルクＴｂが発生するが，Ｔｃ＋Ｔａ＝
Ｔｂとなるようにテンションメンバ２８ａ，２９ａを構
成しているので，鎧装ケーブル２１全体として回転トル
クは発生せず，ねじれの発生がなくなる。したがって，
ねじれに伴う鎧装ケーブル２１のうねり現象やケーブル
線心４の座屈による断線あるいは伸びによる断線を防止
できる。
張力が印加した時，ケーブル線心４に撚りの戻りによる
回転トルクＴｃが発生し，これと同じ巻き方向のテンシ
ョンメンバ層２９にテンションメンバ２９ａの巻きの戻
りによる回転トルクＴａが発生し，逆の巻き方向のテン
ションメンバ層２８にテンションメンバ２８ａの巻きの
戻りによる回転トルクＴｂが発生するが，Ｔｃ＋Ｔａ＝
Ｔｂとなるようにテンションメンバ２８ａ，２９ａを構
成しているので，鎧装ケーブル２１全体として回転トル
クは発生せず，ねじれの発生がなくなる。したがって，
ねじれに伴う鎧装ケーブル２１のうねり現象やケーブル
線心４の座屈による断線あるいは伸びによる断線を防止
できる。
【００１４】図２は請求項２の発明の一実施例を示すも
ので，編組鎧装形の鎧装ケーブル３１の部分切り欠きの
斜視図である。この編組鎧装形の鎧装ケーブル３１は，
ケーブル本体６の外周に，二群のテンションメンバ３８
ａ，３９ａを互いに逆方向に編組状に（すなわち互いに
編みながら）巻き付けて編組鎧装３７を形成した構造で
ある。そして，上述した範囲では図４に示した従来の編
組鎧装の鎧装ケーブル１１と同様であるが，本発明の鎧
装ケーブル３１における互いに巻きの向きが逆の二群の
テンションメンバ３８ａ，３９ａは，単にその２群のテ
ンションメンバ３８ａ，３９ａ間のバランスのみを考慮
したものではなく，ケーブル線心４が撚り合わされたも
のであることをも考慮している。すなわち，当該鎧装ケ
ーブル３１に張力を印加した時に，ケーブル本体６に発
生するケーブル線心４の撚り戻りによる回転トルクをＴ
ｃ，編組鎧装３７のうちのケーブル線心４の撚り方向と
同じ巻き方向のテンションメンバ３９ａ群に発生する該
テンションメンバ３９ａ群の巻き戻りによる回転トルク
をＴａ，ケーブル線心４の撚り方向と逆の巻き方向のテ
ンションメンバ３８ａ群に発生する該テンションメンバ
３８ａ群の巻き戻りによる回転トルクをＴｂとしたと
き，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，前記２群のテンシ
ョンメンバ３８ａ，３９ａのヤング率または径または本
数を調節設定している。
ので，編組鎧装形の鎧装ケーブル３１の部分切り欠きの
斜視図である。この編組鎧装形の鎧装ケーブル３１は，
ケーブル本体６の外周に，二群のテンションメンバ３８
ａ，３９ａを互いに逆方向に編組状に（すなわち互いに
編みながら）巻き付けて編組鎧装３７を形成した構造で
ある。そして，上述した範囲では図４に示した従来の編
組鎧装の鎧装ケーブル１１と同様であるが，本発明の鎧
装ケーブル３１における互いに巻きの向きが逆の二群の
テンションメンバ３８ａ，３９ａは，単にその２群のテ
ンションメンバ３８ａ，３９ａ間のバランスのみを考慮
したものではなく，ケーブル線心４が撚り合わされたも
のであることをも考慮している。すなわち，当該鎧装ケ
ーブル３１に張力を印加した時に，ケーブル本体６に発
生するケーブル線心４の撚り戻りによる回転トルクをＴ
ｃ，編組鎧装３７のうちのケーブル線心４の撚り方向と
同じ巻き方向のテンションメンバ３９ａ群に発生する該
テンションメンバ３９ａ群の巻き戻りによる回転トルク
をＴａ，ケーブル線心４の撚り方向と逆の巻き方向のテ
ンションメンバ３８ａ群に発生する該テンションメンバ
３８ａ群の巻き戻りによる回転トルクをＴｂとしたと
き，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，前記２群のテンシ
ョンメンバ３８ａ，３９ａのヤング率または径または本
数を調節設定している。
【００１５】テンションメンバ３８ａ，３９ａのヤング
率または径または本数の調節設定の仕方は種々あるが，
要するに，張力が加わった時に互いに逆の巻き方向の２
群のテンションメンバ３８ａ，３９ａにそれぞれ発生す
る回転トルクが等しくなるようなヤング率または径およ
び本数が定められたとすると，ケーブル線心４の撚り方
向と逆の巻き方向のテンションメンバ３８ａのヤング率
または径または本数を前記定められたヤング率または径
または本数よりも大にするか，またはケーブル線心４の
撚り方向と同じ巻き方向のテンションメンバ３９ａのヤ
ング率または径または本数を前記定められたヤング率ま
たは径または本数よりも小とさせる。その場合，ケーブ
ル線心４の撚り戻りによる回転トルクを打ち消すような
差をつける。この場合において，本数を大とするとは，
互いに逆方向の二群のテンションメンバを，例えば一方
の１本に対して他方を２本の割合で編む等の場合を指
す。なお，編組鎧装は実施例のように１層だけ設ける場
合に限らず，複数層設けることも可能である。
率または径または本数の調節設定の仕方は種々あるが，
要するに，張力が加わった時に互いに逆の巻き方向の２
群のテンションメンバ３８ａ，３９ａにそれぞれ発生す
る回転トルクが等しくなるようなヤング率または径およ
び本数が定められたとすると，ケーブル線心４の撚り方
向と逆の巻き方向のテンションメンバ３８ａのヤング率
または径または本数を前記定められたヤング率または径
または本数よりも大にするか，またはケーブル線心４の
撚り方向と同じ巻き方向のテンションメンバ３９ａのヤ
ング率または径または本数を前記定められたヤング率ま
たは径または本数よりも小とさせる。その場合，ケーブ
ル線心４の撚り戻りによる回転トルクを打ち消すような
差をつける。この場合において，本数を大とするとは，
互いに逆方向の二群のテンションメンバを，例えば一方
の１本に対して他方を２本の割合で編む等の場合を指
す。なお，編組鎧装は実施例のように１層だけ設ける場
合に限らず，複数層設けることも可能である。
【００１６】上記の編組鎧装形の鎧装ケーブル３１に張
力が印加した時，ケーブル線心４に撚り戻りによる回転
トルクＴｃが発生し，編組鎧装３７におけるケーブル線
心４の撚り方向と同じ巻き方向のテンションメンバ２９
ａ群に巻き戻りによる回転トルクＴａが発生し，ケーブ
ル線心４の撚り方向と逆の巻き方向のテンションメンバ
２８ａ群に巻き戻りによる回転トルクＴｂが発生する
が，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるようにテンションメンバ２
８ａ，２９ａを構成しているので，鎧装ケーブル３１全
体として回転トルクは発生せず，ねじれの発生がなくな
る。したがって，前記と同様，ねじれに伴う鎧装ケーブ
ル３１のうねり現象やケーブル線心４の座屈による断線
あるいは伸びによる断線を防止できる。
力が印加した時，ケーブル線心４に撚り戻りによる回転
トルクＴｃが発生し，編組鎧装３７におけるケーブル線
心４の撚り方向と同じ巻き方向のテンションメンバ２９
ａ群に巻き戻りによる回転トルクＴａが発生し，ケーブ
ル線心４の撚り方向と逆の巻き方向のテンションメンバ
２８ａ群に巻き戻りによる回転トルクＴｂが発生する
が，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるようにテンションメンバ２
８ａ，２９ａを構成しているので，鎧装ケーブル３１全
体として回転トルクは発生せず，ねじれの発生がなくな
る。したがって，前記と同様，ねじれに伴う鎧装ケーブ
ル３１のうねり現象やケーブル線心４の座屈による断線
あるいは伸びによる断線を防止できる。
【００１７】なお，実施例のケーブル本体６は２本のケ
ーブル線心４を撚り合わせているが，３本以上のケーブ
ル線心４を撚り合わせる場合にも当然適用できる。ま
た，実施例では，撚り合わせたケーブル線心４の外周に
保護被覆５を形成しているが，ケーブル線心４の外周に
直接鎧装２７または３７を形成することも可能である。
また，実施例ではケーブル線心４が電線であるが，ケー
ブル線心が電線でなく単なる鋼索等である場合にも本発
明を適用可能である。
ーブル線心４を撚り合わせているが，３本以上のケーブ
ル線心４を撚り合わせる場合にも当然適用できる。ま
た，実施例では，撚り合わせたケーブル線心４の外周に
保護被覆５を形成しているが，ケーブル線心４の外周に
直接鎧装２７または３７を形成することも可能である。
また，実施例ではケーブル線心４が電線であるが，ケー
ブル線心が電線でなく単なる鋼索等である場合にも本発
明を適用可能である。
【００１８】
【発明の効果】本発明によれば，２重線鎧装形の鎧装ケ
ーブルにおける内外のテンションメンバ層のテンション
メンバ群，あるいは，編組鎧装形の鎧装ケーブルにおけ
る互いに逆の向きのテンションメンバ群を，単なるテン
ションメンバ群間のみのバランスではなく，それぞれ鎧
装ケーブルに張力を印加した時のケーブル線心の撚り戻
りによる回転トルクを考慮して構成しているので，鎧装
ケーブル全体としての回転トルクの発生を防止すること
が可能であり，鎧装ケーブルのねじれを有効に防止する
ことができる。これにより，ねじれの発生に伴う鎧装ケ
ーブルのうねりの現象や，ケーブル線心の座屈による断
線あるいは伸びによる断線を防止することが可能となっ
た。
ーブルにおける内外のテンションメンバ層のテンション
メンバ群，あるいは，編組鎧装形の鎧装ケーブルにおけ
る互いに逆の向きのテンションメンバ群を，単なるテン
ションメンバ群間のみのバランスではなく，それぞれ鎧
装ケーブルに張力を印加した時のケーブル線心の撚り戻
りによる回転トルクを考慮して構成しているので，鎧装
ケーブル全体としての回転トルクの発生を防止すること
が可能であり，鎧装ケーブルのねじれを有効に防止する
ことができる。これにより，ねじれの発生に伴う鎧装ケ
ーブルのうねりの現象や，ケーブル線心の座屈による断
線あるいは伸びによる断線を防止することが可能となっ
た。
【図１】請求項１の２重線鎧装形の鎧装ケーブルの一実
施例を示す部分切り欠きの斜視図である。
施例を示す部分切り欠きの斜視図である。
【図２】請求項２の編組鎧装形の鎧装ケーブルの一実施
例を示す部分切り欠きの斜視図である。
例を示す部分切り欠きの斜視図である。
【図３】従来の２重線鎧装形の鎧装ケーブルを示す部分
切り欠きの斜視図である。
切り欠きの斜視図である。
【図４】従来の編組鎧装形の鎧装ケーブルを示す部分切
り欠きの斜視図である。
り欠きの斜視図である。
２ 導体 ３ 絶縁被覆 ４ ケーブル線心 ５ 保護被覆 ６ ケーブル本体 ２１ ２重線鎧装形の鎧装ケーブル ２７ ２重線鎧装 ２８，２９ テンションメンバ層 ２８ａ，３８ａ テンションメンバ ３１ 編組鎧装形の鎧装ケーブル ３７ 編組鎧装 ３８ａ，３９ａ テンションメンバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小貫 徹 静岡県沼津市双葉町９番１号 株式会社フ ジクラ沼津工場内 (72)発明者 広川 修 静岡県沼津市双葉町９番１号 株式会社フ ジクラ沼津工場内 (72)発明者 春山 勝男 静岡県沼津市双葉町９番１号 株式会社フ ジクラ沼津工場内
Claims (2)
- 【請求項１】 撚り合わされた複数本のケーブル線心を
持つケーブル本体の外周に，二群のテンションメンバを
互いに逆方向に２重に巻き付けて２重線鎧装を形成した
鎧装ケーブルにおいて，当該鎧装ケーブルに張力を印加
した時に，ケーブル本体に発生するケーブル線心の撚り
戻りによる回転トルクをＴｃ，２重線鎧装のうちのケー
ブル線心の撚り方向と同じ巻き方向のテンションメンバ
層に発生する該テンションメンバ層の巻き戻りによる回
転トルクをＴａ，ケーブル線心の撚り方向と逆の巻き方
向のテンションメンバ層に発生する該テンションメンバ
層の巻き戻りによる回転トルクをＴｂとしたとき，Ｔｃ
＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，２重線鎧装の各層のテンシ
ョンメンバのヤング率または径または本数を調節設定し
たことを特徴とする鎧装ケーブル。 - 【請求項２】 撚り合わされた複数本のケーブル線心を
持つケーブル本体の外周に，二群のテンションメンバを
互いに逆方向に編組状に巻き付けて編組鎧装を形成した
鎧装ケーブルにおいて，当該鎧装ケーブルに張力を印加
した時に，ケーブル本体に発生するケーブル線心の撚り
戻りによる回転トルクをＴｃ，編組鎧装のうちのケーブ
ル線心の撚り方向と同じ巻き方向をなすテンションメン
バ群に発生する該テンションメンバ群の巻き戻りによる
回転トルクをＴａ，ケーブル線心の撚り方向と逆の巻き
方向をなすテンションメンバ群に発生する該テンション
メンバ群の巻き戻りによる回転トルクをＴｂとしたと
き，Ｔｃ＋Ｔａ＝Ｔｂとなるように，編組鎧装の一方の
群のテンションメンバおよび他方の群のテンションメン
バのヤング率または径または本数を調節設定したことを
特徴とする鎧装ケーブル。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22011997A JP3765447B2 (ja) | 1997-07-31 | 1997-07-31 | 鎧装ケーブル |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22011997A JP3765447B2 (ja) | 1997-07-31 | 1997-07-31 | 鎧装ケーブル |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1153953A true JPH1153953A (ja) | 1999-02-26 |
| JP3765447B2 JP3765447B2 (ja) | 2006-04-12 |
Family
ID=16746223
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP22011997A Expired - Lifetime JP3765447B2 (ja) | 1997-07-31 | 1997-07-31 | 鎧装ケーブル |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3765447B2 (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012069285A (ja) * | 2010-09-21 | 2012-04-05 | Masahiro Okamoto | 電線コード |
| JP2019185997A (ja) * | 2018-04-09 | 2019-10-24 | 古河電気工業株式会社 | 海洋ケーブル、海洋ケーブルの使用方法及び海洋ケーブルの敷設構造 |
-
1997
- 1997-07-31 JP JP22011997A patent/JP3765447B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012069285A (ja) * | 2010-09-21 | 2012-04-05 | Masahiro Okamoto | 電線コード |
| JP2019185997A (ja) * | 2018-04-09 | 2019-10-24 | 古河電気工業株式会社 | 海洋ケーブル、海洋ケーブルの使用方法及び海洋ケーブルの敷設構造 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3765447B2 (ja) | 2006-04-12 |
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