JP3859463B2 - 光ファイバケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の光ファイバテープ心線を積層して収容する光ファイバケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多心の光ファイバケーブルとして、周囲に複数の螺旋状の溝を有するスペーサのそれぞれの溝に複数枚の光ファイバテープ心線を積層収納したテープスロット型のものが知られている。また、比較的に光ファイバ心数が少ない多心の光ファイバケーブルでは、光ファイバテープ心線を積層したものをケーブルコアとし、その外周を被覆層で覆った構造のものが知られている。これらの光ファイバケーブルに用いられる光ファイバテープ心線は、通常、平行に並べられた複数本の光ファイバ素線を一括被覆で被覆して、テープ状にしたものが使用される。
【0003】
図4は、後者の比較的に光ファイバ心数が少ない光ファイバケーブルを示す図で、図4(A)は斜視図、図4(B)は横断面図である(特開2000−171672参照)。図中、21はケーブルコア、22は光ファイバテープ心線、23a、23bは介在テープ、24は押さえ巻き、25はアルミパイプ、26はポリエチレンシースである。この図4に示す構造の光ファイバケーブルは、複数枚の光ファイバテープ心線22を積層し、その両側面に介在テープ23aおよび23bを添わせて、その上に押さえ巻き24を巻きつけ、また、長手方向に捻回してケーブルコア21とし、その外側をアルミパイプ25とポリエチレンシース26とからなる被覆層で覆ったものである。
【0004】
積層された光ファイバテープ心線22の両側面に添わせる介在テープ23a、23bは、光ファイバテープ心線22の積層状態を維持するとともに両側面に側圧が加わらないように保護するものである。介在テープ23a、23bの材料としては、ポリアミド樹脂またはフッ素樹脂等からなる厚さ0.3mm程度のテープが使用されている。一方、ケーブルコア21を構成する光ファイバテープ心線22の積層数は、光ファイバケーブルの光ファイバ心数に応じて変わるので、光ファイバテープ心線22の積重ねの高さもそれに応じて種々の寸法となる。また、介在テープ23a、23bの幅は、光ファイバテープ心線22の積重ね高さに合わせて設計されるので、介在テープ23a、23bも種々の幅のものを用意する必要がある。
【0005】
また、図4の光ファイバケーブルは、低コスト化の要求に応じて提案されているものであるが、介在テープ23a、23bを添わしているため、その分材料費が高くなるだけでなく、光ファイバ心数の割には、介在テープに相当する分だけケーブルコアの横断面積は大きくなり、それに伴って被覆層のサイズが大きくなる。この結果、光ファイバケーブルの外径が太くなり、低コスト化も必ずしも十分ではない。
【0006】
図5は、図4の光ファイバテープ心線の積層形態を異ならせた例である(1997年欧州ケーブル会議予稿集「Proceeding of the Euro Cable Conference 1997」:Communications Cabling ,EC’97,p158−159参照)。図中、31はケーブルコア、32は光ファイバテープ心線、33は抗張力体、34はチューブ、35はシースである。この図5では、4心の光ファイバテープ心線32を4枚積層し、その両側面を同じ4心の光ファイバテープ心線を1枚づつ添わせて、合計6枚の光ファイバテープ心線32を用い、ケーブルコア31としたものである。ケーブルコア31の外側をチューブ34とシース35で覆うことは、図4の場合と同じである。なお、シース35には、抗張力体33が埋め込まれている。
【0007】
この図5では両側面にも光ファイバテープ心線を積層するので、図4の構成と比べて、介在テープが不要であり、光ファイバケーブルの心数を増やすことができる。しかし、光ファイバテープ心線の積層数と両側面に添わす光ファイバテープ心線の枚数、および光ファイバテープ心線のテープ厚さ、テープ幅によっては、ケーブルコア31の矩形状の断面を囲う円が大きくなってしまう。ケーブルコア31を囲う円が大きくなると、図4の場合と同様に、これを覆う被覆層のサイズが大きくなり光ファイバケーブルの外径が太くなってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、積層される光ファイバテープ心線の積層構成を最適にし、ケーブルコアの断面を囲う円が小さい径の円になるようにして、光ファイバ心数に対する光ファイバケーブルの外径を小さくすることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバケーブルは、複数枚の光ファイバテープ心線を積層して積層体とし、前記積層体の両側面に前記積層体と同じ光ファイバテープ心線を添わせてケーブルコアを形成し、前記ケーブルコアの外周に被覆層を設けた光ファイバケーブルであって、前記光ファイバテープ心線のテープ厚さをa、テープ幅をb、使用する光ファイバテープ心線の総枚数をN、前記積層体の積層数をnとし、
|(2n−N)×a−b|<a
を満たし、前記積層体の両側面に添わせる光ファイバテープ心線が、前記積層体の中央に配置されるとともに、前記積層体の両側面に添わせる光ファイバテープ心線の枚数が、両側で異なり、かつ、両側の枚数差が1枚であることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図により本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明のケーブルコアの最適化を説明するための図で、図1(A)は光ファイバテープ心線の断面図、図1(B)は光ファイバテープ心線の積層形態を示す図、図1(C)は積層形態の最適条件を説明するグラフを示す。図中、1はファイバテープ心線、1aは光ファイバ素線、1bはガラス光ファイバ、1cは素線被覆、1dは一括被覆、2は積層体、3は添え体、aはテープ厚さ、bはテープ幅を示す。
【0011】
図1(A)に示すように、光ファイバテープ心線1は、複数本の光ファイバ素線1aを平行に並べ、一括被覆1dによりテープ化して形成される。光ファイバテープ心線1の光ファイバ素線1aの心数は、2心、4心、8心、12心、16心等、種々のものがある。光ファイバ素線1aは、公称外径125μmガラス光ファイバ1bに一次または二次の素線被覆1cを施し、被覆外径が0.25mm位のものが使用される。光ファイバテープ心線1は、通常、光ファイバ素線1aを素線外径に等しいピッチで密に配列したものが用いられるが、素線外径より大きいピッチで形成したものを用いることもできる。
【0012】
図1(B)のケーブルコア4は、複数枚の光ファイバテープ心線1を積層体2として面方向に積層し、積層体2の両側面の中央に同様な光ファイバテープ心線1をテープ面が直交するように添え体3として1枚以上添わせて構成される。添え体3は、両側で同じ枚数の光ファイバテープ心線1を添わせるか、または異なる枚数(但し、枚数は1枚異なるだけ)で添わせることができる。しかし、バランスの問題から添え体3の光ファイバテープ心線1の枚数は、両側で同じ枚数であることが望ましい。
【0013】
ケーブルコア4は、光ファイバテープ心線1の総枚数を、積層体2と側面の添え体3とに最適な形態で振り分けて配列することにより、小径の円cに収めることができる。そして、このケーブルコア4に被覆層を施してケーブルとした場合に、ケーブル外径を小さくすることができる。ここで、光ファイバテープ心線1のテープ厚さをa、テープ幅をb、テープ総数をN、積層体2の積層数をn、積層体2の対角線距離をD1 、積層体の両側に跨る添え体3の対角線距離をD2 とする。
【0014】
ケーブルコア4が小径の円cに収まるようにするには、D1 とD2 の差が小さくなるようにする。
【数1】
最適値はD1 =D2 であるので、このとき、n=(b+a・N)/2aとなる。しかしながら、nは自然数であるので最適の値が選べることはまれで、最適に近い自然数を選ぶこととなる。
【0015】
式(1)は、|D1 2−D2 2|に対して、nが一次の関数でその変化率は、2a(b+a・N)である。これをグラフ化すると、例えば、図1(C)に示すようになる。このグラフで、|D1 2−D2 2|がゼロになるのは、n=7.4であるが、nは自然数しかとれないので、7か8のうちより有利な方を選択することとなる。より有利とは、D1 とD2 の差が小さいこと、すなわち|D1 2−D2 2|が小さいことになる。図1(C)の例では、nが7と8の中間値7.5より大きいか小さいかで、nが7になるか8になるかを選定する。なお、|D1 2−D2 2|がゼロになるのが、n=7.5の場合は、7も8も最適値で、いずれも選定することができる。
【0016】
これを選定するには、D1 2−D2 2の絶対値が、2a(b+a・N)の1/2よりも小さくなるように設定することで、最適なnを選定することができる。したがって、以下の条件式を設定することができる。
|2a(b+a・N)・n−(b+a・N)2 |<a(b+a・N)
|(2n−N)・a−b|<a ・・・・(2)
この式(2)は、結果的に|(2n−N)・a−b|は、ケーブルコアの高さ(a・n)と幅(b+a・N−a・n)の差と同じで、この差がテープ厚さa以下であると言い換えることもできる。なお、添え体3の枚数を両側で同じとするには、N−nを必ず偶数とする必要があり、上記式(2)は、以下の式(3)となる。
|(2n−N)・a−b|<2a ・・・(3)
【0017】
本発明において、テープ厚さa=0.31mmを一定とし、テープ幅b=1.1mm(4心),2.1mm(8心),3.6mm(12心)の3種類について、テープ総数Nに対する積層体の積層数nの最適範囲を求めると、以下の表の如くになる(○:条件式の範囲内、×:条件式の範囲外)。
【表1】
【0018】
添え体3の光ファイバテープ心線1を両側で同じ枚数の対称構造とすると、ケーブルコア4を捻回させる場合、捻回剛体の中心がケーブルコア4の中心に一致する。このため、添え体3を両側で異なる非対称構造の場合と比べて、テープの撚り長さが安定し、光ファイバの伝送損失が安定化する。また、非対称構造の場合は、光ファイバテープ心線1の枚数が多い側が、ケーブルコア4の中心に向かう力が大きいため、積層体2の光ファイバテープ心線1を幅方向に曲げる形となる。これは、伝送損失増の一因となる可能性がある。
【0019】
また、光ファイバテープ心線1が4心未満のもの、テープ総数Nが6枚以下の場合は、光ファイバ心数や積層数nが少なくあまり有効でなく、4心以上の光ファイバテープ心線1を7枚以上で、ケーブルコア4を構成するのが望ましい。
【0020】
図2は、本発明をだるま型の架空光ファイバケーブルに適用した実施の形態を示す図である。図中、4はケーブルコア、5は支持線、6は抗張力体、7は被覆層、8は支持線部、9は首部、10はケーブル本体部、11は隙間である。ケーブルコア4は、従来例の図4および図5に示したのと同様に、周囲に薄いテープを巻きつけて押さえたり、粗巻きを施して押さえたりしてもよい。また、ケーブルコア4の可撓性の増加および曲げ損失の抑制のために、200mm〜700mm程度のピッチでケーブルコア4を長手方向に捻回させることが望ましい。
【0021】
ケーブルコア4と支持線5は、互いに平行になるようにだるま型の被服層7で被覆される。支持線5は、被覆層7で覆って支持線部8され、ケーブルコア4は、被覆層7で覆ってケーブル本体部10とされ、支持線部8とケーブル本体部10とは首部9で連結し、だるま型の横断面を有する光ファイバケーブルとする。支持線5としては、鋼撚り線、FRP等を使用することができる。被覆層7の材料としてはポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用い、押出しによって被覆層7を形成する。
【0022】
また、ケーブル本体部10の被覆層7の樹脂中には、2本の鋼線等からなる抗張力体6を長手方向に埋め込む。この抗張力体6は、熱可塑性樹脂の押出し時の歪みが緩和することによってケーブル本体部10の被覆層7が長手方向に収縮しようとするのを阻止する。なお、抗張力体6の埋め込み位置は、支持線5に最も近い位置と最も遠い位置の2箇所とすることが望ましい。そうすることにより、支持線5と2本の抗張力体6がほぼ一平面に並ぶため、光ファイバケーブルをその平面と垂直な方向には曲げ易くなり、光ファイバケーブルをドラムに巻きつけ易くなる。
【0023】
光ファイバケーブルは、架線時の張力等が加わって光ファイバケーブルがわずかに長手方向に伸びることがある。その伸びが発生しても光ファイバに直接張力等が加わることがないように、架線時の張力を負担する支持線部8に対してケーブル本体部10の長さをわずかに長くする。したがって、支持線部8を直線状にして置いたとき、ケーブル本体部10は、それに沿ってわずかに蛇行しながら首部9によって支持線部8に連結された状態となる。
【0024】
光ファイバケーブルの蛇行の程度を大きくする必要のある時は、首部9の長手方向にスリットを形成して、非連結部分を間欠的に設けてもよい。また、ケーブル本体部10の被覆層7をチューブ状とし、ケーブルコア4と被覆層7の内壁との間に隙間11を設け、チューブの中でケーブルコア4を蛇行させる。これにより、ケーブル本体部10の長さよりもケーブルコア4の長さをさらに長くでき、光ファイバケーブルに加わった張力がケーブルコア4に及ばないようにすることができる。
【0025】
図2に示す光ファイバケーブルを製造するに当たっては、図1で説明したように、複数枚の光ファイバテープ心線1を幅広の面同士が接触する積層体2を形成すべく供給し、さらにその両側面に同じ光ファイバテープ心線1を沿わせてケーブルコア4を形成する。ケーブルコア4の形成と平行して、1本の支持線5および2本の抗張力体6を供給し、押出し機にてポリエチレンを押出し、だるま型の被覆層7を成形すれば、ケーブルコア4と被覆層7の形成を一連の工程で行うことができる。なお、ケーブルコア4を長手方向に捻回させる場合は、ケーブルコアの形成工程を進行軸周りに回転する回転型とすればよい。
【0026】
図3は、本発明を他の光ファイバケーブルに適用した例を示す図である。図3(A)は押さえ巻き12を施した円形光ファイバケーブル、図3(B)は鋼線等の抗張力体13を縦添えした楕円形光ファイバケーブルを示す。ケーブルコア4は、いずれも図1で説明したように、小径の円cに収まるように光ファイバテープ心線を積層体と添え体との組合せで形成する。被覆層14は、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂による被覆層のほか、アルミニウムテープを縦添えした層とポリエチレン層との組合せによるラミネート被覆層とすることもできる。
【0027】
図2および図3に示した、いずれの光ファイバケーブルも、ケーブルコア4の外径を光ファイバ心数の割には小さくできるので、被覆層7,14の外径を小さくすることができる。また、従来のように介在テープも不要となるので低コスト化を図ることができる。そして、積層体の光ファイバテープ心線の幅方向に受ける側圧は、両側面に配される添え体の光ファイバテープ心線により保護され、側圧による光ファイバの伝送特性の低下を抑制することができる。
【0028】
本発明の図2の具体例として、4心の光ファイバテープ心線10枚(N=10)を用いて、40心の光ファイバケーブルを作成した。光ファイバテープ心線は、テープ厚さ(a=0.31mm)、テープ幅(b=1.1mm)のものを使用した。ケーブルコア4は、10枚の光ファイバテープ心線のうち、6枚を積層体2(n=6)として積層し、その両側面に添え体3として2枚づつ配列した。このときの、「(2n−N)・a−b」値は、0.48mmで、2a=2×0.31より以下となるので、式(3)を満足するものである。
【0029】
また、支持線5としては1.4mm×7本撚りの鋼撚り線を使用し、抗張力体6としては外径0.7mmの鋼線を使用した。被覆層7はポリエチレンを押出しによって加工し、そのケーブル本体部10は、外径を10mm、内径を5.5mmのチューブ状とした。この光ファイバケーブルを架空支持させて使用したが、機械的強度および光ファイバの伝送特性に全く問題はなかった。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、積層体として積層される光ファイバテープ心線の側面に介在テープを添わす必要がなく、光ファイバ心数の割にはケーブルコアの外径を小さくすることができ、その結果、被覆層を含めた光ファイバケーブルの全体外径を小さくすることができるので、低コストで光ファイバケーブルを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための概略図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す光ファイバケーブルの断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す光ファイバケーブルの断面図である。
【図4】従来の光ファイバケーブルの断面図である。
【図5】従来の他の光ファイバケーブルの断面図である。
【符号の説明】
1…ファイバテープ心線、1a…光ファイバ素線、1b…ガラス光ファイバ、1c…素線被覆、1d…一括被覆、2…積層体、3…添え体、4…ケーブルコア、5…支持線、6…抗張力体、7…被覆層、8…支持線部、9…首部、10…ケーブル本体部、11…隙間。
Claims (2)
- 複数枚の光ファイバテープ心線を積層して積層体とし、前記積層体の両側面に前記積層体と同じ光ファイバテープ心線を添わせてケーブルコアを形成し、前記ケーブルコアの外周に被覆層を設けた光ファイバケーブルであって、
前記光ファイバテープ心線のテープ厚さをa、テープ幅をb、使用する光ファイバテープ心線の総枚数をN、前記積層体の積層数をnとし、
|(2n−N)×a−b|<a
を満たし、
前記積層体の両側面に添わせる光ファイバテープ心線が、前記積層体の中央に配置されるとともに、
前記積層体の両側面に添わせる光ファイバテープ心線の枚数が、両側で異なり、かつ、両側の枚数差が1枚であることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 前記ケーブルコアと平行に複数本の抗張力体と1本の支持線を配し、一括してだるま型の被覆層で覆ったことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル。
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