JPH11510476A - 新規合成クリプトフィシン類 - Google Patents

新規合成クリプトフィシン類

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JPH11510476A JP9500440A JP50044097A JPH11510476A JP H11510476 A JPH11510476 A JP H11510476A JP 9500440 A JP9500440 A JP 9500440A JP 50044097 A JP50044097 A JP 50044097A JP H11510476 A JPH11510476 A JP H11510476A
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Abstract

(57)【要約】 新規なクリプトフィシン化合物が、全合成によるクリプトフィシンの製造方法、及び哺乳類細胞の増殖を阻害し新生物を処理するための薬剤におけるそのようなクリプトフィシンの使用のための方法とともに開示されている。

Description

【発明の詳細な説明】 新規合成クリプトフィシン類 本発明は認可番号第CA12623号、第CA53001号のもとずく保健社 会福祉省、国立ガン研究所からの合衆国政府の援助を受けて1部なされたもので あり、従って合衆国政府は本発明にある種の権利を有するものである。発明の背景 細胞成長の正常な管理に従はない細胞増殖を特徴とする腫瘍性疾患はヒトの死 亡の主原因である。化学療法での臨床経験は新規でより効果的な医薬がこれらの 疾患の治療に望まれていることを示している。かかる経験は細胞骨格の微小管系 を崩壊させる医薬が腫瘍性細胞の増殖を阻止するのに有効であることも示してい る。 真核細胞の微小管系は細胞骨格の主構成成分であり、結合と解離の動力学的状 態にある。即ち、チュブリンのヘテロ二量体は重合して微小管を形成し、微小管 はこれらの構成成分に解重合する。微小管は細胞の構築、代謝分裂の制御で重要 な役目を果たしている。微小管の動力学的状態はこれらの正常な機能にとってき わめて重要である。細胞分裂に関しては、チュブリンは重合して、分裂紡錘体を 形成する微小管になる。次いで、この紡錘体は分裂紡錘体の用途が達成されたと きに解重合する。従って、微小管の重合又は解重合を中断させ、これにより分裂 を阻止する薬剤は臨床的用途ではいくつかのもっとも有効な化学療法剤となる。 かかる抗分裂剤又は毒はその分子的作用機構にもとずき3つのグループに分類 される。その第1のグループはコルヒチンとコルセミドを含む薬剤から成り、こ れはチュブリンを隔絶(ゼクエスタリング)することにより微小管の形成を抑制 する。第2のグループはビンブラスチンとビンクリスチンを含む薬剤から成り、 チュブリンの準結晶性集塊を誘起する。ビンブラスチンとビンクリスチンは公知 の抗ガン剤である。分裂紡錘体微小管を崩壊させるこの作用により過増殖細胞を 優先的に抑制する。第3のグループはチュブリンの重合を促進し、従って微小管 構造を安定化させる、タクソールを含む薬剤から成る。 しかし、単に抗分裂剤としての活性があるだけでは腫瘍細胞、確かに薬剤耐性 表現型示す腫瘍細胞に対しての効力は保証されない。ビンカ・アルカロイド、例 えばビンブラスチンとビンクリスチンは腫瘍性細胞と腫瘍に有効であるが、いく つかの薬剤耐性腫瘍と細胞への活性に欠ける。薬剤耐性(DR)又は多剤耐性( MDR)を示す腫瘍性細胞の1基準はP−糖タンパク質の過表現による。P−糖 タンパク質運搬体用基質として劣る化合物がこのようなDR又はMDR表現型を 迂回するのに有用である。 従って、多くの腫瘍細胞によるDR又はMDR表現型の提示と腫瘍性細胞に対 する抗微小管剤作用の臨床的検証態様から薬剤非耐性の腫瘍性細胞に対して細胞 抑制性であり、且つ薬剤耐性表現型の腫瘍性細胞に対して細胞抑制性のある抗微 小管剤の開発が必要となる。この点に関して見込みのある薬剤にはクリプトフィ シン類として知られている一連の化合物が含まれる。 クリプトフィシン類の製造法に関しては、クリプトフィシン類の全体的合成法 は目下のところ知られていない。クリプトフィシン化合物は藍藻類〜緑藻類から の単離により現在製造されているものか、またはこのような天然産化合物の半合 成的改変物である。完全合成法の欠除はこの化合物の活性を最大にし、その安定 性を増加する立体特異性クリプトフィシン類の製造が必然的に困難になる。例え ば、研究の結果、からそのままの手を加えていない大環状環を有するクリプトフ ィシン類は活性がより高い。従って、天然誘導クリプトフィシン類よりも安定性 がより高い大環状環を有するクリプトフィシン類が製造できる完全合成法が望ま しい。本発明はこの問題を解決するものである。発明の開示 本発明は下記の構造を有する新規クリプトフィシン化合物を提供する。 (式中、Arはメチル又はフェニル又は任意の簡単な未置換又は置換芳香族又は 複素芳香族基; R1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリ アルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウム、サルファイト 又はホスフェート; R2はOH又はSH;又は R1とR2は一緒にエポキシド環、アジリデン環、エピサルファイド環、サルフェ ート環又はモノアルキルホスフェート環を形成してもよく; R1とR2は一緒になってC18とC19間で二重結合を形成してもよく; R3は低級アルキル基; R4とR5はH;又は R4とR5は一緒にC13とC14間で二重結合を形成してもよく; R6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベ ンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル又はジハロアルコ キシベンジル基; R7、R8、R9、R10はそれぞれ独立してH又は低級アルキル基;およびXとY はそれぞれ独立してO、NH又はアルキルアミノである)。 本発明は更にクリプトフィシン類の完全合成法に関する。本発明はまたクリプ トフィシン類を医薬に使用して哺乳類の細胞の増殖を抑制し、腫瘍の治療するこ とである。図面の簡単な説明 図1は本発明の選択したクリプトフィシン化合物の一般構造と、選択した実施 態様でのヒドロキシ酸単位A、Dとアミノ酸単位B、Cの番号付け系を示す。 図2Aと2Bはクリプトフィシン化合物とビンブラスチンのジャーカット(Ju rkat)細胞増殖と細胞周期の進行への効果をグラフにして示す。ジャーカット細 胞はクリプトフィシン化合物(A)又はビンブラスチン(B)の指示濃度で24 時間培養した。試料毎に生存細胞数(■)と分裂指数(□)を実験の部に記載し たようにして測定した。数値は3回の類似実験のうちの1回での3つの同一試料 についての平均値±標準偏差(sd)を表わす。 図3はビンブラスチン、クリプトフィシン類、タクソールの細胞成長への効果 の可逆性をグラフにして示す。SKOV3細胞は0.1nMビンブラスチン(□) 、 に処理した。これらの各化合物濃度で細胞成長を50%抑制した。24時間後、 細胞は洗滌し、薬剤非添加培地で指示した時間培養した。細胞密度を実験の部に 記載したようにしてスルホローダミンB(SRB)染色で測定し、3回の実験の うちの1回での3つの同一試料について560nmでの平均値±sd吸光度として表 わす。 図4はビンブラスチンとクリプトフィシン類の細胞増殖への組合せ効果のイソ ボログラム(isobologram)である。SKOV3細胞はビンブラスチン(0〜60 0pM)および/もしくはクリプトフィシン(1〜100pM)で48時間処理した 。次いで、細胞数を実験の部に記載のようにしてSRB染色で測定し、ビンブラ スチンとクリプトフィシン化合物の組合せのIC50S(■)と加成性線(−)を 求めた。数値はそれぞれ3つの同一の試料を含む2回の実験での平均値を表わす 。 図5は本発明のクリプトフィシン類合成の第1の概略図である。 図6はヒドロキシ酸単位A製造の概略図である。 図7はヒドロキシ酸単位Aとアミノ酸単位Bとから成るクリプトフィシンの下 部単位製造の概略図である。 図8はアミノ酸単位Cとヒドロキシ酸単位Dとから成るクリプトフィシン下部 単位製造の概略図である。 図9は本発明の選択したクリプトフィシン類合成の第1の概略図である。 図10は本発明の選択したクリプトフィシン類合成の第2の概略図である。 図11はヒドロキシ酸Dから成るクリプトフィシン下部単位合成の概略図であ る。 図12は本発明の選択したクリプトフィシン類合成の第3の概略図である。 図13は本発明の選択したクリプトフィシン類合成の第4の概略図である。 図14は本発明の選択したクリプトフィシン類合成の第5の概略図である。発明の詳細な説明 本発明は、下記の構造 (式中、 Arは、メチル、またはフェニル、または任意の単純な未置換若しくは置換芳香 族または複素芳香族基であり、 R1は、ハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ト リアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルチオ、スルフェート、また はホスフェートであり、 R2は、OH、またはSHであり、または R1およびR2が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環 、スルフェート環、またはモノアルキルホスフェート環を形成することができ、 または R1およびR2が一緒になって、C18とC19との間に二重結合を形成することがで き、 R3は、低級アルキル基であり、 R4およびR5はHであり、または R4およびR5が一緒になって、C13とC14との間に二重結合を形成することがで き、 R6は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシ ベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロ アルコキシベンジル基であり、 R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立してHまたは低級アルキル基であり 、 XおよびYは、それぞれ独立してO、NHまたはアルキルアミノである)を有す る新規なクリプトフィシン化合物を提供する。 本発明の一態様では、下記の構造 [式中、 R1は、H、OH、ハロゲン、ケトン基のO、NH2、SH、低級アルコキシル基 、または低級アルキル基であり、 R2は、H、OH、ケトン基のO、NH、SH、低級アルコキシル基、または低 級アルキル基であり、または R1およびR2が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環 、またはC10とC11との間の二重結合を形成することができ、または R1およびR4が一緒になってテトラヒドロフラン環を形成することができ、 R3は、Hまたは低級アルキル基であり、 R4は、OH、低級アルカノイルオキシ基、または低級α−ヒドロキシアルカノ イルオキシ基であり、 R5は、HまたはOH基であり、 R6は、Hであるか、または R5およびR6が一緒になって、C5とC6との間に二重結合を形成することができ 、 R7は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、メトキシベンジル、、ハロヒドロキシ ベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロメトキシベンジル、またはジハロメ トキシベンジル基であり、 R8は、OH、低級β−アミノ酸であって、C1がβ−アミノ酸のNに結合してい るものであり、またはエステル化した低級β−アミノ酸であって、C1がエステ ル化した低級β−アミノ酸基のNに結合しているものであり、 R4およびR8が一緒になって、低級α−ヒドロキシアルカン酸に結合した低級 β−アミノ酸からなるジデプシペプチドを形成することができ、 R5およびR8が一緒になって、低級α−ヒドロキシアルカン酸に結合した低級β −アミノ酸からなるジデプシペプチドを形成することができ、 但し、 R2がOH、ケトン基のO、NH2、SHであるときにのみ、R1はH、低級アル キル基、または低級アルコキシル基であり、 R1がOH、ケトン基のO、NH2、SHであるときにのみ、R2はH、低級アル キル基、または低級アルコキシル基であり、 R1がOHであるとき、R2はOHであり、R3はメチルであり、R5およびR6が 一緒になってC5とC6との間に二重結合を形成し、R4およびR8が一緒になって 、構造X (式中、XのO1はR4に相当し、XのN8はR8に相当し、R9はメチルであり、 R10はイソブチルであり、R7は3−クロロ−4−メトキシベンジルではない) を有するジデプシペプチドキを形成し、 R1およびR2が一緒になってエポキシド環を形成するときには、R3はメチルで あり、R5およびR6が一緒になってC5とC6との間に二重結合を形成し、R4お よびR8が一緒になって、構造Xを有するジデプシペプチドを形成し、 R9はメチルであり、R10はイソブチルであり、R7は3−クロロ−4−メトキシ ベンジルではなく、 R1およびR2が一緒になってC10とC11との間に二重結合を形成するときには、 R3はメチルであり、R5およびR6が一緒になってC5とC6との間に二重結合を 形成し、R4およびR8が一緒になって、構造Xを有するジデプシペプチドを形成 し、R9はメチルであり、R10はイソブチルであり、R7は3−クロロ−4−メト キシベンジルではなく、 R1およびR2が一緒になってエポキシド基を形成するときには、R3はメチル であり、R5およびR6が一緒になってC5とC6との間に二重結合を形成し、R4 はロイシン酸のカルボキシ末端に結合しており、R8は3−アミノ−2−メチル プロピオン酸または3−アミノ−2−メチルプロピオン酸メチルエステルの窒素 末端に結合しており、R7は3−クロロ−4−メトキシベンジルではない)を有 するジデプシペプチド基を形成する]を有する新規なクリプトフィシン化合物が 提供される。 本発明は、C2、C8、C9、C10およびC11に結合している基の少なくとも1 個がR立体化学を有するクリプトフィシン化合物も提供する。本発明のもう一つ の態様では、C2、C8、C9、C10およびC11に結合している基の少なくとも1 個はS立体化学を有している。 本発明は、前記構造に準じたクリプトフィシン化合物であって、R4またはR5 がR8と一緒になるときに形成されるジデプシペプチドの構造が、下記の構造X (式中、XのO1はR4またはR5に相当し、XのN8はR8に相当し、R9はHまた は低級アルキル基であり、R10はHまたは低級アルキル基である)であるものも 提供する。 本明細書で用いられる下記の用語は、本文での使用から反対の意味が明確に示 されない限り、表示された意味を有する。 「低級β−アミノ酸」は、3〜8個の炭素を有する任意のβ−アミノ酸を意味 し、線形および非線形炭化水素鎖、例えば3−アミノ−2−メチルプロピオン酸 が挙げられる。 「エステル化された低級β−アミノ酸」は、3〜8個の炭素を有する任意のβ −アミノ酸であって、カルボン酸基の水素がメチル基で置換されているもの、例 えば3−アミノ−2−メチルプロピオン酸メチルエステルを意味する。 「低級アルカノイルオキシ基」は、1〜7個の炭素を有するアルカノイルオキ シ基を意味し、線形および非線形炭化水素鎖が挙げられる。 「低級α−ヒドロキシアルカノイルオキシ基」は、2〜7個の炭素を有するα −ヒドロキシアルカノイルオキシ基を意味し、線形および非線形炭化水素鎖、例 えば2−ヒドロキシ−4−メチル吉草酸が挙げられる。 「低級アルコキシル基」は、酸素原子に結合した1〜5個の炭素を有する任意 のアルキル基を意味する。 「低級アルキル基」は、1〜5個の炭素を有するアルキル基を意味し、例えば 、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三ブチル 、第二ブチル、メチル化されたブチル基、ペンチル、および第三ペンチル基など の線形および非線形炭化水素鎖が挙げられる。 「アリル置換されたアルケン」は、アルキル置換基を有する任意のアルケンを 意味する。 「エポキシド環」は、主鎖が2個の炭素と1個の酸素原子とからなる3員環を 意味する。 「アジリジン環」は、主鎖が2個の炭素と1個の窒素原子とからなる3員環を 意味する。 「エピスルフィド環」は、主鎖が2個の炭素と1個の硫黄原子とからなる3員 環を意味する。 「スルフェート環」は、炭素−炭素−酸素−硫黄−酸素主鎖であって、硫黄原 子に結合した2つの追加の酸素原子を有するものからなる5員環を意味する。 「モノアルキルホスフェート環」は、炭素−炭素−酸素−リン−酸素主鎖であ って、2個の追加の酸素原子を有し、その一方が低級アルキル基を有し、リン原 子に結合しているものからなる5員環を意味する。 「単純な未置換芳香族基」は、単環性の共役系(例えば、フリル、ピロリル、 チエニル、ピリジル)または二環性の共役系(例えばインドリルまたはナフチル )に4n+2個のπ電子を有する通常の芳香族環を表わす。 「単純な置換芳香族基」は、単独の基(例えば、低級アルキル基またはハロゲ ン)で置換されたフェニル基を表わす。 「複素芳香族基」は、酸素、窒素または硫黄のような1個以上の非炭素置換基 を有する芳香族環を表わす。 「ハロゲン」は、歴史的にハロゲンとして知られている周期表の群の成員を表 わす。ハロゲン化の方法としては、ハロゲン化水素の付加、高温での置換、光ハ ロゲン化などが挙げられるが、これらに限定されず、またこのような方法は当業 者に知られている。1,2 本発明のクリプトフィシン化合物の1実施態様はR1とR2が一緒になってエポ キシド環を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結 合を形成し、R7が4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有 するジデペプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であ るときのものである。この化合物、即ちクリプトフィシン2の構造は以下に示す : 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結 合を形成し、R7が4−メチルベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有す るジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であると きのものである。このクリプトフィシン、即ちクリプトフィシン4の構造を以下 に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR4が一緒になってテトラヒドロフラン 環を形成し、R2がOH基、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で 二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R8が(2−カル ボメトキシプロピル)アミノ基であるときのものである。この化合物、即ちクリ プトフィシン6の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR4が一緒になってテトラヒドロフラン 環を形成し、R2とR8がOH基、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6 間で二重結合を形成させて二重結合を存在させ、R7が3−クロロ−4−メトキ シベンジルであるときのものである。この化合物、即ちクリプトフィシン7の構 造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1がクロロ基、R2がOH基、R3がメチル 、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ− 4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチ ドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。 この化合物、即ちクリプトフィシン8の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1がメトキシ基、R2がOH基、R3がメチ ル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ −4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプ チドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである 。この化合物、即ちクリプトフィシン9の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1がメトキシ基、R2とR4がOH基、R3が メチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−ク ロロ−4−メトキシベンジル、R8が2−カルボキシプロピル)アミノ基である ときのものである。この化合物、即ちクリプトフィシン10の構造を以下に示す : 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR4が一緒になってテトラヒドロフラン 環を形成し、R2がOH基、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5と C6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R8が( 2−カルボキシプロピル)アミノ基であるときのものである。この化合物、即ち 、クリプトフィシン12の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3がメチル、R4がOH基、R5とR6が一緒になってC5と C6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R8が( 2−カルボキシプロピル)アミノ基であるときのものである。この化合物、即ち 、クリプトフィシン14の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成 し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7 が3−クロロ−4−ヒドロキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有す るジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であると きのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン16の構造を以下に示す : 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結 合を形成し、R7が3−クロロ−4−ヒドロキシベンジル、R4とR8が一緒にな って構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソ ブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン17の 構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結 合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8は一緒になっ て構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブ チル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン18の構 造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結 合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトオキシベンジル、R4とR8が一緒にな って構造Xを有するジテプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソ プロピル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン19 の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド環を形成 し、Rがメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7 が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有する ジデプシペプチドを形成(式中、R9は水素、R10はイソブチル)であるときの ものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン21の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成 し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7 が3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造X を有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)で あるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン23の構造を以下 に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成 し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7 が4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデピシペプ チドを形成(式中、R9は水素、R10はイソブチル)であるときのものである。 この化合物、即ち、クリプトフィシン24の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3がメチル、R4がヒドロキシ、R6が水素、R7が3−クロ ロ−4−メトキシベンジル、R5とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペ プチドを形成(R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。こ の化合物、即ち、クリプトフィシン26の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3が水素、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二 重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒に なって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイ ソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン28 の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結 合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になっ て構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9は水素、R10はイソブチ ル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン29の構造 を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3がメチル、R5がヒドロキシ、R6が水素、R7が3−クロ ロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペ プチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものであ る。この化合物、即ち、クリプトフィシン30の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成 し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7 が3,5−ジクロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを 有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であ るときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン31の構造を以下に 示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成 し、R3がメチル、R5が水素、R6が水素、R7が3−クロロ−4−メトキシベン ジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、 R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち 、クリプトフィシン35の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成 し、R3が水素、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が 3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジ デプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときの ものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン40の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結 合を形成し、R7が3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンジル、R4とR5が一 緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10 はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン 45の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成 し、R3はメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7 が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有する ジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はプロピル)であるときの ものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン49の構造を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で 二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結 合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になっ て構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はプロピ ル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン50の構造 を以下に示す: 本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成 し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7 が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有する ジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はsec-ブチル)であるとき のものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン54の構造を以下に示す: 上記の化合物のうち、クリプトフィシン2、4、16〜19、21、23、2 4、26、28〜31、40、43、45、49、50、54は藍藻類−緑藻類 (シアノバクテリア)のNostoc sp 株を培養したときに生成する代謝物であり、 これらの化合物はこの培養物から単離されたものである。クリプトフィシン6、 7はこの単離工程にメタノールを含有する溶媒を用いたときに生ずる人工産物で ある。クリプトフィシン8、9、10〜12、14、35はこれらの天然産の代 謝物の誘導体であり、本明細書の実験の部に記載の方法又はこの技術分野での通 常の技量を有する者が利用できる列挙の化合物、および非列挙の化合物の生成方 法で化学的に改変したものである。 本発明はNostoc sp 株を培養して上記のクリプトフィシン化合物の製造法を提 供する。米国特許第4,946,835号に記載のように藍藻類−緑藻類(シア ノバクテリア)のNostoc sp の形態的特徴は線状であり、増殖形細胞から成るこ とである。長軸糸中には異質細胞が時々部間位置に観察され、アキネートは観察 されない。増殖は無差別糸状体切断に加えて連鎖体による。Nostoc sp の同定基 準はJ.Gen.Micro.,111:1−61(1979)に記載されている。 更に、本発明はNostoc sp 株を培養して新規の代謝物と、以前に開示したクリ プトフィシン代謝物をこの培養物から単離することを提供する。本発明の好まし い実施態様ではGSV224と指定したNostoc sp 株は培養すると下記の構造で 表わされる化合物が単離される株である: (式中、R1はH、OH、ハロゲン、ケトン基のO、NH2、SH、低級アルコシ ル基又は低級アルキル基; R2はH、OH、ケトン基のO、NH2、SH、低級アルコキシル基又は低級アル キル基;または、 R1とR2は一緒になってエポキシド環、アジリジン環、エピサルファイド環、C10 とC11間で二重結合を形成するか;または R1とR2は一緒になってテトラヒドロフラン環を形成するものであり; R3はH又は低級アルキル基; R4はOH、低級アルカノイルオキシ基又は低級α−ヒドロキシアルカノイルオ キシ基; R5はH又はOH基; R6はH;または R5とR6は一緒になってC5とC6間で二重結合を形成するもので; R7はベンジル、ヒドロキシベンジル、メトキシベンジル、ハロヒドロキシベン ジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロメトキシベンジル又はジハロメトキシベ ンジル基であり; R8は低級β−アミノ酸基であって、C1がβ−アミノ酸のNに結合しているか又 はエステル化低級β−アミノ酸であって、C1がエステル化低級β−アミノ酸基 のNに結合しているものであり; R4とR8は一緒になって低級α−ヒドロキシアルカン酸に結合した低級β−アミ ノ酸から成るジデプシペプチド基を形成するか;または R5とR8は一緒になって低級α−ヒドロキシアルカン酸と結合した低級β−アミ ノ酸から成るジデプシペプチド基を形成するものであり、但し、R2がOH、ケ トン基のO、NH2、SHのときだけはR1はH、低級アルキル基又は低級アルコ キシル基である)。 本発明の好ましい実施態様では、上記の方法で単離したクリプトフィシン代謝 物を化学的に改変すると、またこの構造を有する別箇の化合物のが得られる。ク リプトフィシン化合物を化学的に改変して本発明の範囲の追加化合物を作る方法 は当該技術での通常の技量を有する者に利用できる。更に、追加の方法が本明細 書の実験の部に詳述してある。 本発明の新規クリプトフィシン化合物に加えて、本発明は下記の以前に開示し たクリプトフィシン種、即ち、クリプトフィシン1、3、5、13、15を含む 構造の新規製造法、使用法を提供する。これらの化合物の構造を以下に示す: 本発明はノストク(Nostoc)sp.のすべての菌株に関し、そして特にクリプトフ ィシン(cryptophycin)化合物を生産するノストクsp.GSV224菌株に関す る。その目的のため、前記のノストクsp.のGSV224菌株は「特許手続き上 の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約」に従って1993年10 月7日にアメリカン・タイプ・カルチュアー・コレクション、12301パーク ローンドライブ、ロックビル、メリーランド20852アメリカ合衆国(Americ an Type Culture Collection,12301Parklawn Drive,Rockville,Marylan d 20852U.S.A.)にATCC受託番号第55483号として寄託され た。その他のノストクsp.の菌株、特にメルク社(Merck and Co.)によりATC C受託番号第53789号として寄託された菌株、は本発明の実施のため使用さ れることを予期される菌株である。 他の微生物の場合と同様に、ノストクsp.の特性は変異を受ける。例えば、特 定の菌株の組換え体、変異体、または突然変異体がいろいろな既知の物理的およ び化学的変異誘発要因、例えば、紫外線、X線、ガンマ線、およびN−メチル− N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、による処理により得られることがある 。クリプトフィシン化合物を生産する特性を保有する特定の菌株のすべての天然 のおよび誘発された変異体、突然変異体、および組換え体は特許請求される本発 明の範囲内に入ることを意図されている。 本発明のクリプトフィシン化合物はノストクsp.の一つの菌株を水中好気性条 件下に適当な培養液の中で十分な抗生物質的活性が生産されるまで培養すること により製造されることができる。その他の培養技術、例えば、固形化培地上の表 面増殖、もまたこれらの化合物を製造するために使用することができる。特定の 菌株を増殖させるために用いられる培養液は当業者に既知の多くの窒素および炭 素発生源と無機塩のどれでも一つを含むことができる。製造における経済性、最 適の収率、および製品単離の容易さなどは使用される炭素源および窒素源を選択 するとき考慮すべき因子である。培養液に混入されることができる栄養源の無機 塩の中には鉄、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウ ム、塩酸、炭酸、燐酸、硫酸、硝酸などのイオンを生成することのできる慣用の 可溶性の塩類が入る。 微生物の成長と発育のために必要な必須微量元素もまた培養液の中に含まれる べきである。そのような必須微量元素は微生物の成長要求を満たすために十分な 量に培養液のその他の成分中に不純物として一般に見いだされる。発泡が問題に なる場合には少量(すなわち、0.2mL/L)の消泡剤、例えば、プロピレング リコール(M.W.2000)を大規模培養液に添加することが望ましいことが ある。 かなり多量のクリプトフィシン化合物を製造するためには、タンク中での液内 好気培養を用いることができる。少量は振とうフラスコ培養により得ることがで きる。微生物の大タンク培養に一般に伴われる代謝物生産における時間的ずれの ために、増殖用接種材料を用いることが望ましい。増殖用接種材料は増殖用トリ コーム(trichome)または異質細胞を含む形の微生物の断片を含む少量の培養液 を保温して新鮮な、活発に生育する微生物の細胞集団を得ることにより調製され る。その増殖用接種材料は次により大型のタンクに移される。増殖用接種材料の ために使用される培養液はより大規模な培養または発酵のために用いられるもの と同じであることができるが、その他の培養液もまた使用されることができる。 これらの微生物は約20℃と30℃の間の温度および約100〜200μモル 光量子m-2-1の入射照度(光合成的活性放射線)で成長させられることができ る。 この種類の液内好気培養において通例であるように、培養液を通して泡たて通 気される滅菌空気流に添加することにより二酸化炭素ガスが培養に導入される。 クリプトフィシン化合物の効果的生産のためには、二酸化炭素の割合は約1%( 24℃および1気圧において)であるべきである。 従来の技術、特に米国特許第4,946,835号、はノストク sp.を培養す る方法を提供しており、その内容は引用によりここに組み入れられる。 クリプトフィシン化合物の製造は培養の間に、これらの抗生物質に感受性であ ると知られている微生物に対して肉汁試料を試験することにより追跡されること ができる。一つの有用な試験用微生物はカンジダ・アルビカンス(Candida albi cans)である。 液内好気培養条件下におけるそれらの生産に続いて、本発明のクリプトフィシ ン化合物は培養物からおよび培養液から当業者に既知の方法により回収されるこ とができる。回収は一般に初めに培養液を濾過して藻類に属する細胞を分離し、 次にそれらの分離された細胞を凍結乾燥することにより達成される。凍結乾燥さ れた藻は適当な溶媒、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ま たはジクロロメタン、により抽出されることができる。クリプトフィシン化合物 はこの抽出物、並びに培養液、を逆相カラム上で高速クロマトグラフィーにかけ ることにより分離されることができる。それらのクリプトフィシン化合物は逆相 高速液体クロマトグラフィー(HLPC)により生成されることができる。 それらの構造から明らかなように、クリプトフィシン化合物は化学的変形ので きる基を有する。本発明の属化合物は抗腫瘍活性を示すクリプトフィシン化合物 を意図している。例えば、本発明において例証される誘導体は図1の単位AのC −7およびC−8上にエポキシド酸素またはヒドロキシ基を、または単位Bのロ イシック酸(leucic acid)基を有する化合物を含む。望ましい抗腫瘍活性を示す そのような新規のおよび以前に開示された化合物の誘導体は特許請求される本発 明の中に含まれる。さらに、クリプトフィシン化合物の構造と抗腫瘍活性との関 係は下記の実験の部(Experimental Section)において提示される。 選択されたクリプトフィシン化合物は本発明の藻類により生産される代謝物で あると知られているが、その他のクリプトフィシン化合物、例えば、クリプトフ ィシン8−15、は当業者に既知の公開された技術、例えば、米国特許第4,8 68,208号、第4,845,086号および第4,845,085号に開示 されている合成法、それらの内容はここに引用により組み込まれる、を用いる代 謝物から、または当業者に既知のその他の方法を用いることにより誘導されるこ とができる。さらに、本発明は実験の部において誘導体を製造する方法を提供す る。 クリプトフィシン化合物はノストカセエー(Nostocaceae)に属する青−緑藻類 (シアノバクテリア)からの効力のある抗腫瘍性および抗真菌性デプシペプチド である。最初のクリプトフィシン化合物、クリプトフィシン1、は陸生のノスト クsp.ATCC53789より単離され、そして真菌、特にクリプトコカス(Cr yptococcus)、に対して非常に活性であることが発見された(R.E. Schwartz et al.,J.Ind.Microbiol,1990,5:113−124)。クリ プトフィシン1はまた陸生のノストクsp.GSV224より、藻の微量成分とし て24のその他のクリプトフィシン類似体と共に単離され、マウス体内に皮下移 植された固い腫瘍に対して非常に活性であることが発見された(G.Trimurturu et al.,J.Am.Chem.Soc.1994,116:4729−4737;R.Barrow et al.,J.Am.Chem.Soc.1995,117−2479−2490)。ノス トクsp.GSV224からの二つの類似体、クリプトフィシン3および5、は以 前にクリプトフィシン1の半合成類似体としてに記載されたことがある(D.F.S esin,米国特許第4,845,085号、1989年7月4日発行;D.F.Sesin ,米国特許第4,868,208号、1989年9月19日発行)。それらのク リプトフィシン化合物はコルベット検定(Corbett assay)において著しい腫瘍選 択的細胞毒性を示し、そして薬品感受性および薬品抵抗性腫瘍細胞に対して同等 に細胞毒性であった。クリプトフィシン1はビンブラスチン(vinblastine)と 同じ作用形態を有するように見えるが、微細管の集合を不可逆的に阻害すること において後者の薬品と異なる(C.D.Smith et al.,Cancer Res.1994,54 :3779−3784)。ノストクsp.GSV224からのクリプトフィシン化 合物の一つ、クリプトフィシン24、は海綿から単離されてアレナスタチンA( arenastatin A)と命名された(M.Kobayashi et al.,Tetrahedron Lett.19 94,35;7969−72;M.Kobayashi et al.,Tennen Yuki Kagobutsu T oronkai Koen Yoshishu 1994,36st,104−110)。 ここでクリプトフィシン2,4,6,7,16−19,21,23,24,2 6,28−31,40,43,45,49,50および54と命名された、24 の追加されたクリプトフィシン化合物は米国特許出願番号第08/172,63 2号(1993年12月21日出願)、同第08/249,955号(1994 年5月27日出願)および国際出願番号第PCT/US94/14740号(1 994年12月21日出願)明細書に開示されており、そのような化合物はノス トクsp.の菌株より単離された代謝生成物であるか、またはそのような代謝生成 物から半合成されたものかのいずれかである。またこれらの特許出願において開 示されているのは、DRおよびMDR腫瘍を含む、マウスの体内に移植された広 範な種類の腫瘍に対して示された臨床型の活性を有する抗微細管剤として選択さ れたクリプトフィシン化合物の特徴である。 本発明は次の構造式を有する新規なクリプトフィシン化合物を提供する。 上式中、 Arはメチルまたはフェニルまたはいずれかの簡単な非置換または置換された芳 香族またはヘテロ芳香族基であり、 R1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリ アルキルアンモニウム、アリキルチオ、ジアルキルスルホニウム、スルファート 、またはホスファートであり、 R2はOHまたはSHである、または R1とR2は一緒になってエポキシド環、アジリジン環、およびエピスルフィド環 、スルファート環またはモノアルキルホスファート環を形成することもあり、ま たは R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成することもあり、 R3は低級アルキル基であり、 R4とR5はHである、または R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成することもあり、 R6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベ ンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロア ルコキシベンジル基であり、 R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立にHまたは低級アルキル基であり、 そして XとYはそれぞれ独立にO、NHまたはアルキルアミノである。 このクリプトフィシンの好ましい態様においてクリプトフィシンのR8はエチ ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチ ルである。このクリプトフィシンの他の一つの好ましい態様において、R7はエ チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペン チルである。さらに追加されるこのクリプトフィシンの一つの好ましい態様にお いて、R7はHであり、R8メチルであり、R3はメチルであり、XとYは二つと もOでない。 本発明はさらに追加されるこのクリプトフィシンの一つの好ましい態様を与え るが、その場合R3はエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、 ペンチルまたはイソペンチルである。このクリプトフィシンの他の一つの好まし い態様において、R9はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペン チルまたはイソペンチルである。このクリプトフィシンのさらに一つの好ましい 態様において、R10はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチ ルまたはイソペンチルである。 本発明はさらにクリプトフィシン化合物を提供するが、それらにおいてC3、 C6、C10、C16、C17、およびC18に付着する基の少なくとも一つはR立体化 学性を有する。本発明のさらに一つの態様において、C3、C6、C10、C16、C17 、およびC18に付着する基の少なくとも一つはS立体化学性を有する。 本発明のクリプトフィシン化合物の一つの態様において、Arはフェニルであ り、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3、R7およ びR8はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形 成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり 、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシ ン51、の構造は次のようである。 さらに本発明のクリプトフィシン化合物の一つの態様において、Arはフェニ ルであり、R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3、R7お よびR8はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を 形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであ り、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィ シン52、の構造は次のようである。 さらに本発明のクリプトフィシン化合物の一つの態様において、Arはフェニ ルであり、R1とR2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3、R7お よびR8はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を 形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであ り、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィ シン53、の構造は次のようである。 さらに本発明のクリプトフィシン化合物の一つの態様において、Arはフェニ ルであり、R1はS−クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3、R7お よびR8はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を 形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであ り、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィ シン55、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は 一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3、R7およびR8はメチルであ り、R4とR5は水素であり、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、 R9はイソブチルであり、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この 化合物、クリプトフィシン57、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1はS− クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3、R7およびR8はメチルであ り、R4とR5は水素であり、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、 R9はイソブチルであり、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この 化合物、クリプトフィシン58、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は 一緒になってR,R−エピスルフィド環を形成し、R3、R7およびR8はメチル であり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3 −クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R10は水素 であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン61、の構 造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−メトキシフェニルであり 、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7は メチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6 は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8と R10水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン8 1、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはメチルであり、R1とR2は一 緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチルであり、 R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ −4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であ り、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン82、の構造は 次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはメチルであり、R1とR2は一 緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4 とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4 −メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、 そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン90、の構造は次の ようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはメチルであり、R1とR2は一 緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4 とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4 −メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、 そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン91、の構造は次の ようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は 一緒になってR,R−アジリジン環を形成し、R3、R7およびR8はメチルであ り、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−ク ロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R10は水素であ り、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン97、の構造は 次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−フルオロフェニルであり 、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7は メチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6 は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8と R10は水素であり、そしてXと5Yは酸素である。この化合物、クリプトフィシ ン110、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリルであり、R1とR2 は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチルであ り、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−ク ロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素 であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン111、の 構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arは2−チエニルであり、R1と R2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチル であり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3 −クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は 水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン112 、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−フルオロフェニルであり 、R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチ ルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は 3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10 は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン11 5、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−フルオロフェニルであり 、R1とR2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチ ルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は 3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10 は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフ ィシン116、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリルであり、R1とR2 は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、 R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ −4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であ り、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン117、の構造 は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリルであり、R1とR2 は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、 R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ −4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であ り、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン11 8、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arは2−チエニルであり、R1と R2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであ り、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−ク ロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素 であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン119、の 構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arは2−チエニルであり、R1と R2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであ り、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−ク ロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10 は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン12 0、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は 一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチルであり 、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロ ロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素で あり、そしてXは酸素でありまたYは単一の水素を付けている窒素である。この 化合物、クリプトフィシン121、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は 一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4 とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロ ロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素で あり、そしてXは酸素でありまたYは単一の水素を付けている窒素である。この 化合物、クリプトフィシン122、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は 一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4 とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ− 4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり 、そしてXは酸素でありまたYは単一の水素を付けている窒素である。この化合 物、クリプトフィシン123、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニルであり、 R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメ チルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、 R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8 とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシ ン124、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニルであり、 R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチル であり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3 −クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は 水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン125 、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニルであり、 R1とR2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメ チルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6 は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10 は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン1 26、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニル、R1はS−クロロ であり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4とR5 は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メ トキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そし てXは酸素でありまたYは単一の水素を付けている窒素である。この化合物、ク リプトフィシン127、の構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリル、R1はS−クロ ロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4と R5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4− メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そ してXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン128、の構造は次の ようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリル、R1はR−クロ ロであり、R2はS−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4と R5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4− メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そ してXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン130、の構造は次の ようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリル、R1はR−クロ ロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4と R5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4− メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そ してXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン131、の構造は次の ようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニル、R1は S−クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであ り、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−ク ロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素 であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン132、の 構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニル、R1は R−クロロであり、R2はS−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであ り、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−ク ロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素 であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン133、の 構造は次のようである。 本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニル、R1は R−クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであ り、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−ク ロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素 であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン134、の 構造は次のようである。 以下には、追加のクリプトファイシン化合物、それらの置換基を、下記構造式 に基づいて説明する: 式中、 R1はHまたはハロゲンである; R2はH、ケトンの酸素、またはOHである; または R1とR2が一緒になってエポキシド環を形成していてもよい; または R1とR2が一緒になってエピスルフィド環を形成していてもよい; R3はHまたは低級アルキル基である; R4はHまたはOHである; R5はHまたはOHである; または R4とR5が一緒になって二重結合を形成していてもよい; R6はHまたはハロゲンである; 但し、R1とR2が一緒になってエポキシド基を形成しており、R4とR5が一緒に なって二重結合を形成しており、そしてR6が塩素である場合には、R3がメチル でないことを条件とする。 本発明のクリプトファイシン化合物の一態様は、R1が水素であり、R2がケト ン基の酸素であり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合 を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプト ファイシン20の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の別の態様は、R1がS−ブロモであり、R2がR−ヒドロキ シであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成し ており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシ ン25の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がR−ヒドロ キシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成 しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイ シン27の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってR,R−エポキシ ド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4およびR5が水素であり、そ してR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン32の構 造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1、R4およびR5が水素であり、R2がS −ヒドロキシであり、R3がR−メチルであり、そしてR6がクロロである場合で ある。この化合物、クリプトファイシン33の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1、R2、R4およびR5が水素であり、R3 がR−メチルであり、そしてR6が水素である場合である。この化合物、クリプ トファイシン34の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がR−ブロモであり、R2がR−ヒドロ キシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成 しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイ シン37の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってS,S−エポキシ ド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結 合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプ トファイシン38の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってS,R−エポキシ ド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結 合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプ トファイシン39の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってR,R−エポキシ ド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4がS−ヒドロキシであり、R5 がR−ヒドロキシであり、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、 クリプトファイシン41の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってR,R−エポキシ ド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4がR−ヒドロキシであり、R5 がS−ヒドロキシであり、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、 クリプトファイシン42の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1が水素であり、R2がS−ヒドロキシで あり、R3がR−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成してお り、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン4 8の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がR−ヒドロ キシであり、R3がS−メチルであり、R4およびR5が水素であり、そしてR6が クロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン59の構造は下記の 通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってS,S−エピスル フィド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二 重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、ク リプトファイシン60の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がR−ヒドロ キシであり、R3が水素であり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成してお り、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン6 3の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がR−クロロであり、R2がR−ヒドロ キシであり、R3がS−メチルであり、R4およびR5が水素であり、そしてR6が クロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン64の構造は下記の 通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がR−クロロであり、R2がS−ヒドロ キシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成 しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイ シン69の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がS−ヒドロ キシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成 しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイ シン70の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がR−ブロモであり、R2がS−ヒドロ キシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成 しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイ シン71の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−ブロモであり、R2がS−ヒドロ キシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成 しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイ シン72の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がS−ヒドロ キシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成 しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイ シン73の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がS−ヒドロ キシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成 しており、そしてR6が水素である場合である。この化合物、クリプトファイシ ン74の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−フルオロであり、R2がR−ヒド ロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形 成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファ イシン75の構造は下記の通りである: 本発明の化合物の更に別の態様は、R1がR−フルオロであり、R2がR−ヒド ロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形 成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファ イシン76の構造は下記の通りである: 本発明は総合的合成によって上記クリプトファイシン化合物および全ての既知 クリプトファイシン化合物を製造する方法を提供する。 本発明はさらに、本発明において提供された方法を使用して新規クリプトファ イシン代謝物および以前開示のクリプトファイシン代謝物が合成されてもよいこ とを規定する。 本発明は、アリル的に置換されたEアルケンを選択し; このアリル的に置換さ れたEアルケンを、立体特異性ウィッティヒ転位(stereospecific Wittig rearr angement)によって転位し;この化合物を第一のδ−アミノ酸またはδ−ヒドロ キシ酸に転化し; この第一の酸を第二のα−アミノ酸にカップリングして第一の サブユニットを生成し; 第三のβ−アミノ酸を第四のα−ヒドロキシ酸またはα −アミノ酸にカップリングして第二のサブユニットを生成し; そして第一のサブ ユニットを第二のサブユニットにカップリングしてクリプトファイシンを生成す ることからなるクリプトファイシン製造方法を提供する。 さらに、本発明は製造されるクリプトファイシンが下記構造を有する好ましい 態様の方法を提供する: 式中、 Ar はメチルまたはフェニルまたはいずれかの簡単な非置換または置換芳香族ま たはヘテロ芳香族基である; R1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリ アルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウム、スルフェート またはホスフェートである; R2はOHまたはSHである; または R1とR2が一緒になってエポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スル フェート環またはモノアルキルホスフェート環を形成していてもよい; またはR1 とR2が一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成していてもよい; R3は低級アルキル基である; R4およびR5はHである; または R4とR5が一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成していてもよい; R6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベ ンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロア ルコキシベンジル基である; R7、R8、R9およびR10は各々独立にHまたは低級アルキル基である;そして XおよびYは各々独立にO、NHまたはアルキルアミノである。 本発明の好ましい態様においては、この方法は、Ar がフェニルであり、R3 がメチルであり、R6がハロメトキシベンジルであり、R7がHであり、R6がメ チルであり、R9がイソブチルであり、R10がHであり、XがOであり、そし てYがOであるクリプトファイシンを製造する。 本発明が上記構造のクリプトファイシンを提供することに加えて、本発明は以 前開示のクリプトファイシンおよび先行技術のクリプトファイシンを製造する方 法を提供する。クリプトファイシン1、8および35が総合的合成によって製造 された。総合的合成によって製造される、以前開示の及び先行技術のクリプトフ ァイシンの代表を以下に提供する: 式中、 R1はハロゲンである; R2はOHである; または R1とR2が一緒になってエポキシド環を形成していてもよい; R3はHである; そして R4はHである; または R3とR4が一緒になって二重結合を形成していてもよい。 本発明はまた、製薬上許容できる担体と共に有効量の下記構造のクリプトファ イシンを含んでいる、過増殖性哺乳類細胞(hyperproliferative mammalian cel l)の増殖を抑制するのに有効な医薬品組成物を提供する: 式中、 Ar はメチルまたはフェニルまたはいずれかの簡単な非置換または置換芳香族ま たはヘテロ芳香族基である; R1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリ アルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウム、スルフェート またはホスフェートである; R2はOHまたはSHである; または R1とR2が一緒になってエポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スル フェート環またはモノアルキルホスフェート環を形成していてもよい; またはR1 とR2が一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成していてもよい; R3は低級アルキル基である; R4およびR5はHである; または R4とR5が一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成していてもよい; R6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベ ンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロア ルコキシベンジル基である; R7、R8、R9およびR10は各々独立にHまたは低級アルキル基である;そして XおよびYは各々独立にO、NHまたはアルキルアミノである。 本発明の好ましい態様においては、この医薬品組成物はさらに少なくとも一つ の追加の抗腫瘍剤(anti−neoplastic agent)を含んでいる。 本発明はまた、哺乳類細胞を、細胞の増殖を抑制するのに十分な量の、下記構 造を有するクリプトファイシン化合物と接触させることからなる、哺乳類細胞の 増殖を抑制する方法を提供する: 式中、 Ar はメチルまたはフェニルまたはいずれかの簡単な非置換または置換芳香族ま たはヘテロ芳香族基である; R1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリ アルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウム、スルフェート またはホスフェートである; R2はOHまたはSHである; または R1とR2が一緒になってエポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スル フェート環またはモノアルキルホスフェート環を形成していてもよい; またはR1 とR2が一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成していてもよい; R3は低級アルキル基である; R4およびR5はHである; または R4とR5が一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成していてもよい; R6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベ ンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロア ルコキシベンジル基である; R7、R8、R9およびR10は各々独立にHまたは低級アルキル基である;そして XおよびYは各々独立にO、NHまたはアルキルアミノである。 本発明の好ましい態様においては、この方法はさらに、細胞を少なくとも一つ の追加の抗腫瘍剤と接触させることを含んでいる。本発明の好ましい態様におい ては、接触される哺乳類細胞は過増殖性である。本発明のさらに好ましい態様に おいては、過増殖性細胞はヒト細胞である。 本発明はまた、多剤耐性表現型(multiple drug resistant phenotype)を有す る過増殖性哺乳類細胞の増殖を抑制する方法を提供するが、その方法は該細胞を 、微小管(microtubule)の重合と解重合の動的状態を混乱させて細胞の有糸分裂( mitosis)を阻止するのに有効な量の、下記構造を有するクリプトファイシン化合 物と接触させ、それによって細胞の増殖を抑制することからなる: 式中、 Ar はメチルまたはフェニルまたはいずれかの簡単な非置換または置換芳香族ま たはヘテロ芳香族基である; R1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリ アルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウム、スルフェート またはホスフェートである; R2はOHまたはSHである; または R1とR2が一緒になってエポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スル フェート環またはモノアルキルホスフェート環を形成していてもよい; またはR1 とR2が一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成していてもよい; R3は低級アルキル基である; R4およびR5はHである; または R4とR5が一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成していてもよい; R6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベ ンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロア ルコキシベンジル基である; R7、R8、R9およびR10は各々独立にHまたは低級アルキル基である;そして XおよびYは各々独立にO、NHまたはアルキルアミノである。 本発明の好ましい態様においては、この方法はさらに、細胞を少なくとも一つ の追加の抗腫瘍剤と接触させることを含んでいる。本発明のさらに好ましい態様 においては、哺乳類細胞はヒト細胞である。 本発明はまた、過増殖性哺乳類細胞によって生じた病理状態を緩和する方法を 提供し、その方法は対象に対して、細胞の増殖を抑制するのに有効な量の、ここ に開示のクリプトファイシン化合物を投与することからなる。本発明の好ましい 態様においては、哺乳類細胞はヒト細胞である。 本発明の好ましい態様においては、この方法はさらに、対象に対して、病理状 態を緩和するのに向けられた少なくとも一つの追加の治療を施すことを含んでい る。本発明の好ましい態様においては、病理状態は新生物(neplasms)の形成を 特徴とする。本発明のさらに好ましい態様においては、新生物は、乳房(mammory )、スモール細胞肺臓(small-cell lung)、非スモール細胞肺臓(non-small-cell lung)、結腸直腸(colorectal)、白血病(leukemia)、黒色腫(melanoma)、膵 臓腺癌(pancreatic adenocarcinoma)、中枢神経系(central nervous system( CNS))、卵巣(ovarian)、前立腺(prostate)、軟組織または骨の肉腫(sar coma of soft tissue or bone)、頭と頸(head and neck)、膵臓(pancreatic) や食道(esophageal)を含む胃部(gastric)、胃(stomach)、骨髄腫(myeloma)、 膀胱(bladder)、腎臓(renal)、甲状腺(thyroid)を含む神経内分泌(neuroendocr ine)、および非ホジキン病およびホジキン病、の新生物からなる群から選ばれ る。 クリプトファイシン化合物を製造する方法は図5に描かれている通りのスキー ム1にまとめられる。出発物質は、S−立体配置におけるXH基(但し、Xは酸 素またはNHである)によってC−2を置換されている3E−アルケン(a)で ある。L−アラニンおよびL−乳酸は出発物質aの安価な源として利用できる。 合成における主な工程は、aのプロパルギルエーテル(b)から(3R,4R) −3−(XH−置換)−4−アルキルヘプト−5(E)−エン−1−イン(c) (但し、Xは酸素または保護された窒素例えばt−ブチルジメチルシリルアミノ である)への立体選択性[2,3]ウィッティヒ転位(D.J−S.Tsai 等のJ.O rg.Chem.1984,49,1842−1843;K.Mikami 等のTetrahedron 1984,25,2303−2308;N.Sayo 等のChem Lett.1984,2 59−262)である。それから、当業者に既知の方法を使用して、化合物cを 、クリプトファイシンのδ−ヒドロキシまたはアミノ酸ユニットA前駆体、(5 S,6R)−5−(XP−置換)−6−アルキル−8−アリール−オクタ−2E ,7E−ジエン酸メチル(d)(但し、Pは適する保護基である)に転化するこ とができる。 δ−ヒドロキシまたはアミノ酸単位A、α−アミノ酸単位B、β−アミノ酸単 位Cおよびα−ヒドロキシまたはアミノ酸単位Dから構成されるクリプトフィシ ンを合成するための一つの戦略はクリプトフィシン分子の部分を表わす2つの前 駆体、例えば、δ−ヒドロキシまたはアミノ酸単位Aとα−アミノ酸単位Bとを 含有するA−B前駆体(e)およびβ−アミノ酸単位Cとα−ヒドロキシまたは アミノ酸単位Dとを含有するC−D前駆体(f)から大員環(macrocycle)を組 み立てることである。 本明細書において記載される方法において、(1)A−B前駆体およびC−D 前駆体における単位Aの末端と単位Dの末端とを接合して非環式C−D−A−B 中間体を形成しそして(2)単位Bおよび単位Cの末端を接合して環式生成物を 形成することによる2つの工程でA−B前駆体およびC−D前駆体からクリプト フィシンが組み立てられる。 実験セクションにおいて記載されるクリプトフィシン51の合成において、A −B部分における単位Aのδ−ヒドロキシ基とC−Dフラグメントにおける単位 Dのカルボン酸基との間でエステル結合が形成されて非環式C−D−A−B中間 体が形成されそして次にA−B部分における単位Bのカルボン酸基とC−D部分 における単位Cのβ−アミノ基との間でアミド結合が形成される。化合物KはA −B部分前駆体であり、化合物PはC−D部分前駆体でありそして化合物Rはク リプトフィシン51の非環式C−D−A−B前駆体である。化合物Kおよび化合 物Pは、工程1においてカップリングして単位Aと単位Dとの間でエステルを形 成するのを制限するために、単位Bのカルボン酸基上および単位Cのβ−アミノ 基上に保護基を有する。これらの保護基はC−D−A−B中間体から除去されて 、その結果工程2において単位Bと単位Cとの間でアミド形成を起こさせること が出来る。 メチル(5S,6R)−5−t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−メチル− 8−フェニル−オクタ−2E,7E−ジエノエート(G)である、クリプトフィ シン51の単位A前駆体の合成は図式2(図6)において要約される。(S)− トランス−3−ペンテン−2−オール(A)である出発物質はラセミ化合物の酵 素分割により造られる。相間移動条件下の塩化プロパルギルおよび塩基とのAの 反応は86%の収率でプロパルギルエーテルBを生成した。−90℃でのブチル リチウムでのBの処理は71%の収率でアルコールCに導いた。所望の3R,4 Rアンチ化合物Cはウィッティッヒ転位において形成された唯一の生成物であっ た。tert−ブチルジメチルシリルエーテル(またはtert−ブチルジメチルシリエ エーテル)としてのCのヒドロキシ基の保護の後、三重結合のヒドロホウ素化( 1975年Wiley 社発行 H.C.Brown著、Organic Synthesis Via Boranes)は Cからの73%収率でアルデヒドDに導いた。次にHorner-Emmons 反応により9 0%収率で trans α,β不飽和エステルEに転換された。DにおけるC6−C 7二重結合の選択的オゾン分解は83%の収率でアルデヒドFを提供した。最後 にブチルリチウムの存在下の塩化ベンジルトリフェニルホスホニウムとのFのウ ィッティッヒ反応は80%収率でGを生成した。AからのGの収率は26%であ った。 A−B前駆体(K)を生成するためのD−3−(3−クロロ−4−メトキシフ ェニル)アラニン単位Bとの単位A前駆体Gのカップリングは図式3(図7)に 要約される。アセトン中の水酸化リチウムを用いてのGにおけるメチルエステル 基の加水分解は95%の収率でカルボン酸Hを生成した。Jを生成するためのト リクロロエチルエステルIとのHのカップリングはN,N−ジメチルホルムアミ ド(DMF)中のHの溶液を小過剰のペンタフルオロフェニルジフェニルホスフ ィネート(FDPP)、等モル量のIのトリフルオロ酢酸塩で処理し、次に25 ℃で3当量のジイソプロピルエチルアミン(DIEA)で処理することにより6 5%の収率で達成されることが出来た(S.Chen 等による Tetrahedron Lett.1 991,32第6711頁〜第6714頁)。次にJのフルオロ脱シリル化は9 5%の収率でKに導いた。 保護されたアミノ酸Iは5工程でD−チロシンから造られた。第一に、D−チ ロシンは氷酢酸中の塩化スルフリルを用いて塩素化された(R.Zeynek によるHo pper-Seyler's Z.f.Physiol.Chemie1926,144第247頁〜第254頁 )。次にN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(3−クロロ−4−ヒドロキ シフェニル)−D−アラニンは50%水性ジオキサン中のアミノ酸の懸濁液をト リエチルアミンの存在下にジ−tert−ブチルジカーボネートで処理することによ り94%の収率で得られた。得られた生成物は還流しているアセトン中の炭酸カ リウムの存在下に硫酸ジメチルで、84%の収率でジメチル化された。次にメチ ルエステルは水性ジオキサン中の水酸化ナトリウムでけん化されて86%の収率 でN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(3−クロロ−4−メトキシフェニ ル)−D−アラニンを生成した。ジクロロメタン中のトリクロロエタノール、ピ リジンおよびDCCにBOC−保護されたアミノ酸を曝すと65%の収率でトリ クロロエチルエステルIに導いた。トリフルオロ酢酸を用いてのこの物質の処理 は定量的収率のIのトリフルオロ酢酸塩に導いた。 (2S)−2−〔3′(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2′,2′−ジ メチルプロパノニルオキシ〕−4−メチルペンタン酸(P)であるC−D前駆体 の合成は図式4(図8)に要約される。Pの単位C部分についての出発点はアミ ノアルコールLであった。トリエチルアミンの存在下でのジ−tert−ブチルカー ボネートを用いてのLのアミノ基の保護(93%収率)、次の四酸化ルテニウム を用いての第一級アルコールの酸化(P.H.J.Carlsen等によるJ.Org.Chem. 1981,46第3936頁〜第3938頁)はカルボン酸M(66%収率)を 提供した。L−ロイシン酸はジクロロメタン中の臭化アリルと、塩化 tetra−n −ブチルアンモニウムを含有する水性重炭酸ナトリウムとの混合物にそのL−ロ イシン酸を曝すことにより、相間移動条件下に93%の収率でアリルエステルN に転換された(S.Friedrich-Bochnitschek 等による J.Org.Chem.1989, 54第751頁〜第756頁)。NとのMのカップリング反応はジクロロメタン 中の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびジシクロヘキシルカルボジ イミド(DCC)を用いて行なわれて75%の収率でOを達成した。Oのアリル エステルの開裂はモルホリンおよび触媒テトラキス(トリフェニルホスフィン) −パラジウムを含有するTHF中で行なわれて95%の収率でPを得た(P.D. Jeffrey 等による J.Org.Chem.1982 47,第587頁〜第590頁)。 A−B前駆体(K)とC−D前駆体(P)とのカップリングは図式5(図9) において示されるとおりに達成された。ジクロロメタン中のDCC/DMAPを 用いてのKおよびPの処理は84%の収率で十分に保護されたC−D−A−B中 間体(Q)に導いた。Qにおけるトリクロロエチルエステル基の還元性開裂は酢 酸中の活性化亜鉛粉末を用いて達成された。次にBOC保護用基はトリフルオロ 酢酸によって除去されて91%のQからの全体的収率でトリフルオロ酢酸塩とし てRを得た。FDPPを用いてのRのマクロラクタム化は61%の収率でクリプ トフィシン51に導いた(J.Dudash,Jr. 等による Synth.Commun.1993 ,23第349頁〜第356頁)。S−トランス−3−ペンテン−2−オール( A)からの全体的収率は7%であった。 クリプトフィシン51はR,R−エポキシドであるクリプトフィシン52の前 駆体およびS,S−エポキシドであるクリプトフィシン53の前駆体として役に 立った。次にクリプトフィシン52は18R,19S−クロロヒドリンであるク リプトフィシン55の前駆体および13,14−ジヒドロ類似体であるクリプト フィシン57の前駆体として役に立った。クリプトフィシン57はクリプトフィ シン58の前駆体として役に立った。クリプトフィシン53は T.H.Chan およ び J.R.Finkenbine による J.Am.Chem.Soc. 1972,94第2880頁 〜第2882頁に記載された方法を用いるクリプトフィシン61の前駆体および Y.Ittah等による J.Org.Chem. 1978,43第4271頁〜第4273頁 に記載された方法を用いるクリプトフィシン97の前駆体として役に立った。 フェニル基とは異なるAr基を有するクリプトフィシン類の合成のために、アル デヒドF(図式2;TBS保護用基)またはS(図式6;TBPS保護用基)を 、ブチルリチウムの存在下に適当な塩化アリールトリフェニルホスホニウムとウ ィッティッヒ反応させることにより一般構造式d(図式1、R3=Me)の単位A前 駆 体が造られることが出来る。クリプトフィシン81は図式6および7(図10お よび11)に示されるとおりにして前駆体d(Ar=p−メトキシフェニル、R3= Me)から造られた。 Ar基はまた合成の後の工程で新しいクリプトフィシンに導入されることが出来 る。第一前駆体d(Ar=R3=Me)は図式8(図12)に示されるとおりにして適 当なA−B(e)前駆体およびC−D(f)前駆体をカップリングすることによ りクリプトフィシン82に転換された。クリプトフィシン82の選択的なオゾン 分解および対応するエポキシド類のクリプトフィシン90および91の過ヨウ素 酸酸化はアルデヒドであるクリプトフィシン108に導いた。ブチルリチウムの 存在下での適当なアリールトリフェニルホスホニウムとのクリプトフィシン10 8のウィッティッヒ反応は新しいクリプトフィシン(図式9;図13)を提供し た。この方法を用いて、クリプトフィシン110(Ar=p−フルオロフェニル) 、クリプトフィシン111(Ar=p−トリル)、クリプトフィシン112(Ar= 2−チエニル)およびクリプトフィシン124(Ar=p−クロロフェニル)が造 られた。クリプトフィシン110はエポキシド類であるクリプトフィシン115 および116の前駆体として役に立った。クリプトフィシン111はエポキシド 類であるクリプトフィシン117および118の前駆体およびクロロヒドリン類 であるクリプトフィシン128,130および131の前駆体として役に立った 。クリプトフィシン112はエポキシド類であるクリプトフィシン119および 120の前駆体として役に立った。クリプトフィシン124はエポキシド類であ るクリプトフィシン125および126の前駆体およびクロロヒドリン類である クリプトフィシン132,133および134の前駆体として役に立った。 クリプトフィシンを合成するための他の戦略は3つの前駆体、例えばδ−ヒド ロキシまたはアミノ酸単位Aを含有するA−B前駆体(e)、δ−ヒドロキシま たはアミノ酸単位Dを含有する前駆体およびβ−アミノ酸単位Cを含有する前駆 体から大員環を組み立てることである。本明細書に記載される方法において、( 1)A−B前駆体およびD前駆体における単位Aおよび単位Dの末端を接合して 非環式D−A−B中間体を形成し、(2)D−A−B前駆体およびC前駆体にお ける単位Dおよび単位Cの末端を接合して非環式C−D−A−B中間体を形成 しそして(3)単位Bおよび単位Cの末端を接合して環式生成物を形成すること による3つの工程でA−B前駆体、C前駆体およびD前駆体からクリプトフィシ ンが組み立てられる。 実験セクションにおいて記載されたクリプトフィシン121の合成において、 A−B部分における単位Aのδ−ヒドロキシ基とDフラグメントにおける単位D のカルボン酸基との間でエステル結合が形成されて非環式D−A−B中間体を形 成する。次に単位Cのカルボン酸基とD−A−Bフラグメントにおける単位Dの アミノ基との間でアミド結合が形成される。最後に、A−B部分における単位B のカルボン酸基とC−D部分における単位Cのβ−アミノ基との間でアミド結合 が形成される。化合物KはA−B部分前駆体でありBOC−Lロイシン無水物は D単位前駆体でありそして化合物ALは単位C前駆体である。化合物AKはクリ プトフィシン121の非環式C−D−A−B前駆体である(図式10;図14) 。化合物KおよびBOC−L−ロイシン無水物は、工程1において、カップリン グして単位Aと単位Dとの間でエステルを形成するのを制限するために、単位B のカルボン酸基上および単位Dのα−アミノ基上に保護基を有する。D−A−B 中間体における単位Dのアミノ基から保護基が除去されて、その結果工程2にお いて単位Bにおけるアミノ基とカルボン酸Cとの間でアミド形成が生ずること出 来る。 本発明の新規なクリプトフィシン化合物はクリプトフィシン1におけるエポキ シド環とは異なる速度で求核剤により開環されるエポキシド環を有するかあるい は、クリプトフィシン8のクロロヒドリン官能性がクリプトフィシン1のエポキ シド環に転換されるのとは異なる速度でエポキシド環を形成するクロロヒドリン 官能性を有する。クリプトフィシン1のエポキシド環またはクリプトフィシン8 のクロロヒドリン官能性(マスクされたエポキシド環)は最適のインビボ活性の ために必須である。もしエポキシド酸素が(クリプトフィシン3において見い出 されるように)除去されるかまたはエポキシド環が(クリプトフィシン15にお いて見い出されるような)ジオールに加水分解されるならば、抗腫瘍活性が非常 に減少される。クリプトフィシン1はクリプトフィシン8と比較して動物におい て認識出来る毒性を示す。これはクリプトフィシン8についての値(ほとんど0 %のT/C値および>2.8の総対数死滅値(gross log kill values))と比較 してクリプトフィシンについてのT/C(ほとんど>0%)および総対数死滅値 (ほとんど<2.0)において反映される。対応するブロモヒドリン類似体であ るクリプトフィシン25はクリプトフィシン1についての値と比較し得るT/C および総対数死滅値を示す。インビボ活性におけるこの顕著な差はブロモヒドリ ンクリプトフィシン25がクリプトフィシン8よりもインビボでクリプトフィシ ン1により迅速に転換されることを示唆している。これはより低い毒性のクリプ トフィシン8が活性化合物クリプトフィシン1に変換されるまえに腫瘍部位で蓄 積するためのより多くの時間を有する可能性があることをさらに示唆している。 クリプトフィシン1のエポキシド基は腫瘍細胞におけるその標的受容体に共有的 に恐らくは結合する。本発明における新規なクリプトフィシン類は、対応するク ロロヒドリンプロドラッグからのインビボエポキシド形成および腫瘍細胞におけ る標的受容体への共有結合、の一層好ましい速度を示すことにより、クリプトフ ィシン1およびクリプトフィシン8よりも良好なインビボ活性を潜在的に持つこ とが出来るだろう。 本発明の化合物はクリプトフィシン1および21より加水分解および加溶媒分 解に対して一層安定である。クリプトフィシン1における単位Cおよび単位Dを 接合するエステル結合はおだやかな塩基加水分解に対して比較的に感受性があり 、pH11でヒドロキシ酸に開裂し、0.83時間の半減期を有する。単位CのC −2上のメチル基を欠いているクリプトフィシン21におけるC−Dエステル結 合は0.25時間の半減期を有するより速い速度で開く。C−Dエステル結合は また加溶媒分解に感受性である。メタノールが単離計画において用いられる場合 、クリプトフィシン1および21のかなりのメタノリシスが起る。クリプトフィ シン21はクリプトフィシン1よりメタノリシスに対してずっと感受性である。 クリプトフィシン1は抗腫瘍活性を示すがしかるに、クリプトフィシン21は不 活性であり、恐らくはその理由はクリプトフィシン21のC−Dエステル結合が 、インビボでクリプトフィシン1のC−Dエステル結合より速く加水分解される からである。C−Dエステル結合の加水分解はまた、医薬の腹腔内経路および皮 下経路の投与によりクリプトフィシン1の減少したインビボ活性を、一部分説明 す ることが出来る。クリプトフィシン52において見い出されるような、単位Cの C−2上に2つのメチル基を持つクリプトフィシン類のC−Dエステル結合はpH 11で安定である。 本発明の化合物およびまえに開示されたクリプトフィシン化合物は抗新生物( 腫瘍)剤として治療的に使用されることが出来そしてそれにより新生物(腫瘍) 疾患を治療するための方法において使用されることが出来る。本明細書において 用いられる用語として、“新生物(腫瘍)の”とは、異常な生長である新生物( 腫瘍)に関係し、そのような生長は生長の通常の制限に付されない細胞の増殖に 起因して起る。本明細書において用いられる用語として“抗新生物(腫瘍)剤” とは新生物(腫瘍)表現型の細胞を阻止するか、排除するか、遅らせるかまたは 逆転させる任意の化合物、組成物、混合物、共混合物またはブレンドである。 化学療法、外科手術、放射線治療、生物学的応答調製剤を用いての治療および 免疫療法は癌の治療において現在使用されている。治療の各々の様式は当業者に 知られている特定の指針を有しそして1つまたはすべては新生物(腫瘍)細胞の 完全な破壊を達成させる試みにおいて使用されることが出来る。1種またはそれ 以上のクリプトフィシンを使用する化学療法が本発明によって提供される。さら に組み合わせ化学療法、他の抗新生物(腫瘍)剤と組み合わせてクリプトフィシ ンを使用する化学療法は、組み合わせ治療が1種の抗新生物(腫瘍)剤の使用よ り一般に一層有効であるので、本発明によりまた提供される。したがって、本発 明の追加の面は、上に挙げられた治療的利益を提供するのに役に立つ、本発明の 新規なクリプトフィシン化合物の非毒性付加塩を包含する、少なくとも1種の本 発明の新規なクリプトフィシン化合物の治療的に有効な量を含有する組成物を提 供する。そのような組成物はまた、生理学的に許容出来る液体、ゲルまたは固体 の担体、希釈剤、佐剤および賦形剤と一緒に提供されることが出来る。そのよう な担体、希釈剤、佐剤および賦形剤はメリーランド州ロックビルのU.S.Pharma copeia Convention,Inc.の United States Pharmacopeia Vol.XXII および N ational Formulary Vol.XVII(これらの内容を参照することにより本明細書に 組み入れる)において見い出されることが出来る。治療の追加の様式はAmerican Hospital Formulary Service によるAHFS Drug Information 19 93年版、第522頁〜第660頁(この内容を参照することにより本明細書に 組み入れる)に提供される。 本発明は新生物(腫瘍)疾患を治療するために使用される製薬組成物が少なく とも1種のクリプトフィシン化合物および少なくとも1種の追加の抗新生物(腫 瘍)剤を含有する製薬組成物を提供する。クリプトフィシンと組み合わせて使用 されることが出来る抗新生物(腫瘍)化合物は Merck & Co.,Inc.(1989年 )発行の The Merck Index 第11版 pp.Ther 16〜17(その内容を参照 することにより本明細書に組み入れる)に提供される化合物を包含する。本発明 の追加の態様において、抗新生物(腫瘍)剤はメトトレキサート、5−フルオロ ウラシル、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素およ び2−クロロデオキシアデノシンを包含出来るがしかしそれらに限定されない代 謝拮抗物質であってよい。本発明の他の態様において、意図される抗新生物(腫 瘍)剤はシクロホスファミド、メルファラン、ブスルファン、パラプラチン、ク ロラムブシルおよび窒素マスタードを包含出来るがしかしそれらに限定されない アルキル化剤である。本発明の追加の態様において、抗新生物(腫瘍)剤はビン クリスチン、ビンブラスチン、タキソールおよびエトポシドを包含出来るがしか しそれらに限定されない植物アルカロイド類である。本発明の追加の態様におい て、意図される抗新生物(腫瘍)剤はドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダ ウノルビシン、マイトマイシンCおよびブレオマイシンを包含出来るがしかしそ れらに限定されない抗生物質である。本発明の追加の態様において、意図される 抗新生物(腫瘍)剤はカルステロン、ジオモスタボロン(diomostavolone)、プ ロピオネート、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepiti ostane)、テストラクトン、タモキシフェン、りん酸ポリエストラジオール、酢 酸メゲステロール、フルタミド、ニルタミド(nilutamide)およびトリロタン(t rilotane)を包含出来がしかしそれらに限定されないホルモン類である。本発明 の別の態様において、意図される抗新生物(腫瘍)剤は、アムサクリン(amsacri ne)を包含出来るがしかしそれに限定されないL−アスパラギナーゼまたはアミ ノアクリジン誘導体類を包含出来るがしかしそれらに限定されない酵素類を包含 する。追加の抗新生物(腫瘍)剤は、Little Brown & Co.(1991 年)発行 Handbook of Cancer Chemotherapy(第3版)においてのSkeel Roland T.,による“Antineoplastic Drugs and Biologic Response Modifier :Class ification,Use and Toxicity of Clinically Useful Agents”(この内容を参 照することにより本明細書に組み入れる)において提供される薬剤を包含する。 本クリプトフィシン化合物および組成物は家畜のためのような、獣医学的使用 のために哺乳動物に投与されることが出来、そして他の治療薬と同様な方法でヒ トの臨床的使用のために投与されることが出来る。一般に治療的効能のために必 要とされる投与量は投与の使用のタイプおよび様式、ならびに各患者の特定化さ れた要件に従って変化する。通常、投与量は0.001〜1000mg/患者の体 重のkg、さらに普通には0.01〜10mg/kgの範囲にある。別法として、これ らの範囲内の投与量は、所望の治療的効果が得られるまで、通常24時間を超る 長期の時間にわたって一定の注入により投与されることが出来る。実際には、医 薬投与量ならびに投与の経路は相対的有効性、相対的毒性、腫瘍の生長特性、細 胞(分裂)周期上へのクリプトフィシンの効果、医薬薬剤速度論、年令、性、患 者の身体状態および以前の処置に基づいて選択されねばならない。 追加の抗新生物(腫瘍)剤とともにまたはそれなしで、本クリプトフィシン化 合物は本来のままでまたは塩形として治療組成物に配合されることが出来る。製 薬的に許容出来る非毒性塩は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アン モニウム、水酸化カルシウムまたは水酸第二鉄のような無機塩基そしてイソプロ ピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プ ロカイン、等のような有機塩基から誘導されることが出来る(遊離カルボキシル または他のアニオン基で形成された)塩基付加塩を包含する。そのような塩はま た任意の遊離なカチオン基を有する酸付加塩として形成されることが出来そして 一般に例えば塩酸または燐酸のような無機酸あるいは酢酸、修酸、酒石酸、マン デル酸、等のような有機酸を用いて形成される。別の本発明が提供する追加の賦 形剤は当業者に手に入れることが出来る賦形剤であり、例えばメリーランド州、 ロックビルの U.S.Pharmacopeia Convention,Inc.,発行の United States P harmacopeia Vol.XXII および National Formulary Vol.XVII(これらを参 照することにより本明細書に組み入れる)において見い出される賦形剤である。 一定の治療組成物に包含させるための特定の担体の適合性は投与の好ましい経 路により左右される。例えば、抗新生物(腫瘍)組成物は経口投与のために配合 されることが出来る。そのような組成物は典型的には液体溶液または懸濁液とし てかあるいは固体形で造られる。経口配合物は通常、結合剤、充てん剤、保存料 、安定化剤、乳化剤、緩衝剤そして例えば製薬級のマンニトール、ラクトース、 でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭 酸マグネシウム等のような賦形剤のような通常使用される添加剤を含む。これら の組成物は溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル持続放出性配合物、または粉末 の形をとりそして典型的には、1%〜95%の活性成分、好ましくは2%〜70 %の活性成分を含有する。 本発明の組成物は、注射出来る、液体溶液、懸濁液、または乳濁液としてまた 造られることが出来:注射する前に液体が造られる溶液または懸濁液のために適 している固体として本発明の組成物は造られることが出来る。そのような注射出 来る組成物は、皮下に、静脈内に、腹腔内に、筋肉内に、くも膜下にまたは胸膜 内に投与されることが出来る。1種の活性成分または複数の活性成分は、生理学 的に許容出来るそして活性成分(1種または複数種)と相容れることが出来る希 釈剤または賦形剤と多くの場合混合される。適当な希釈剤および賦形剤は、例え ば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、等、そしてそれらの組み合わ せである。また、所望ならば、組成物は湿潤剤または乳化剤、安定化剤またはpH 緩衝剤のような少量の補助物質を含有してもよい。 本発明はさらに哺乳動物細胞の増殖を阻止するのに十分な量で哺乳動物の細胞 をクリプトフィシン化合物と接触させることにより哺乳動物の細胞の増殖を阻止 するために属構造物により包み込まれるクリプトフィシン化合物を用いる方法を さらに提供する。好ましい態様は過増殖性哺乳動物細胞の増殖を阻止するための 方法である。この発明の目的のために、“過増殖性哺乳動物細胞”は生長の特徴 的限界、例えばプログラム細胞死(アポプトーシス(枯死))に付されない哺乳 動物細胞である。別の好ましい態様は哺乳動物細胞がヒトである場合である。本 発明は哺乳動物細胞を少なくとも1種のクリプトフィシン化合物および少なくと も1種の追加の抗新生物(腫瘍)剤と接触させることをさらに提供する。意図さ れる抗新生物(腫瘍)剤のタイプは本明細書において上に開示された抗新生物( 腫瘍)剤と同じである。 本発明は、過剰増殖性哺乳動物細胞の増殖を阻止するのに十分な量で、該細胞 をクリプトフィシン化合物と接触することにより、複合薬剤耐性表現型を包含す る、薬剤耐性表現型を有する過剰増殖性細胞の増殖を阻止するために属構造によ り取り囲まれたクリプトフィシン化合物を用いる方法をさらに提供する。好まし い態様は哺乳動物がヒトである場合である。本発明は哺乳動物細胞をクリプトフ ィシン化合物および少なくとも1種の追加の抗新生物(腫瘍)剤と接触させるこ とを提供する。意図される抗新生物(腫瘍)剤のタイプは本明細書において上に 開示された抗新生物(腫瘍)剤と同じである。 本発明は過増殖している細胞の増殖を阻止するために本明細書の上に提供され た製薬組成物の有効量を対象に投与することにより、哺乳動物細胞を過剰増殖す ること、例えば新形成(異常増殖)により生じた病理学的症状を緩和するための 方法さらに提供する。本明細書において用いられる用語として“病理学的症状” とは、細胞生長の正常な限界に付されない哺乳動物細胞の増殖から生ずる任意の 病理学を云う。細胞のそのような増殖は次の新生物(腫瘍);乳房の新生物、小 区画肺の新生物、非小区画の肺の新生物、結腸直腸の新生物、白血病、黒色腫、 中枢神経系の新生物、卵巣の新生物、前立腺の新生物、軟組織および骨の肉腫、 頭部および頸部の新生物、膵臓の新生物および食道の新生物を含む胃の新生物、 胃の新生物、骨髄腫、膀胱の新生物、腎臓の新生物、甲状腺腫およびりんぱ腫を 包含する神経内分泌の新生物、非ホジキン肉腫およびホジキン肉腫を包含するが しかしそれらに限定されない新生物(腫瘍)に起因している可能性がある。本発 明の追加の態様において、新生物(腫瘍)細胞はヒトである。本発明は他の治療 、ならびに他の抗新生物(腫瘍)剤と組み合わせてクリプトフィシンを使用する 、そのような病理学的症状を緩和する方法をさらに提供する。種々の異なる新形 成(異常増殖)に対してのそのような治療およびそれらの適合性はLippincott C o.(1993年)発行 DeVita,V.、Hellman,S.および Rosenberg S.編集 Cancer Principles and Practice of Oncology(これらの内容を参照すること に より本明細書に組み入れる)に見い出されることが出来る。 本開示において、クリプトフィシン化合物は培養細胞における微小管構造を強 力的に分裂させることが示される。さらにそしてVinca アルカロイドとは対照的 に、クリプトフィシン化合物は薬剤−流出ポンプP−糖たんぱく質のための貧弱 な基質であるように思われる。クリプトフィシン1は、GSV224と称される ラン藻(ラン菌)Nostoc sp. 菌株において主要な細胞毒である。この環式ジデ プシペプチドは、抗真菌剤としてNostoc sp. ATCC承認第53789から以 前に単離されたそしてその総構造は以前に決定された。この潜在的に重要な医薬 の相対的および絶対的立体化学は化学技術およびスペクトル技術の組み合せを用 いて今や確立された。24の追加のクリプトフィシン化合物であるクリプトフィ シン2〜7、16〜19、21、23、24、26、28〜31、40、43、 45、49、50および54はまたGSV224から単離されたそしてそれらの 全体的構造および細胞毒性が決定された。数種の誘導体および低位化生成物が化 学的におよび生理学的にの両方において記載される。 以下の例は本発明の或る好ましい態様および面を例示するために供されそして その範囲を限定するものと解釈されるべきでない。実験セクション 以下の実験的開示において、すべての重量はグラム(g)、ミリグラム(mg) 、ミクログラム(μg)、ナノグラム(ng)、ピコグラム(pg)、モル(モル) またはミリモル(mモル)で提供され、すべての濃度は容量によるパーセント( %)、モル濃度(M)、ミリモル濃度(mM)、ミクロモル濃度(μM)、ナノモ ル濃度(nM)、ピコモル濃度(μM)または規定(N)として提供され、すべて の容量はリットル(L)、ミリリットル(mL)またはミクロリットル(μL)で 提供されそして線の測定はミリメートル(mm)で提供され、これらは他のように 示されないかぎり使用される。 以下の例はクリプトフィシン化合物の単離および合成ならびに本発明に従って の治療薬としてのそれらの使用を示す。 抗腫瘍活性についての、1000以上のラン藻(ラン菌)のスクリーニング抽 出物において、Nostoc sp. GSV224の親油性抽出物はKB,ヒト鼻咽頭癌 細胞系に対して0.24ng/mLおよびL0V0、ヒト結腸直腸腺癌細胞系に対して6 ng/mL、の最大阻止濃度(MIC)を示す、強い細胞毒性3であることが分かっ た。さらに重要なことには、その抽出物はCorbett 検定法4,5において重大な腫 瘍選択性細胞毒性を示した。その藻類の抽出物の生物学的定量法監視逆相クロマ トグラフィは、Merck での研究者によりNostoc sp. ATCC53789から以 前に単離された6,7そしてCryptococcusの菌株に対して非常に活性であると分か った強力な殺真菌剤であるクリプトフィシン1で主として、あった分画に導いた 。 クリプトフィシン1はNostoc sp. GSV224の粗製藻類抽出物の細胞毒性 活性の大部分を表わしそしてその純粋な化合物はKBに対して3pg/mLそしてL0 V0に対して5pg/mLのIC50値を示した。Corbett 検定法においてクリプトフィ シン1は強力な腫瘍選択性、そして薬品感受性および薬品耐性腫瘍細胞に対して 等しく細胞毒性であることが分かった。蛍光免疫検定法はクリプトフィシン1が ビンブラスチンの標的と類似の細胞標的と相互作用するがしかしより長い時間コ ースの作用を有する点でそして準結晶を形成しない点で後者の医薬とは異なるこ とを示した。予備インビボ実験において、クリプトフィシン1はマウスに埋め込 まれた腫瘍に対して非常に有望な活性を示した。 少量の幾種かの他のクリプトフィシン化合物がNostoc sp. GSV224中に 存在した。これらのうちの21は、1:5のジクロロメタン/アセトニトリルを 用いての藻類の抽出および抽出物の逆相HPCLにより、構造決定およびインビ トロ抗腫瘍評価のために十分な量で単離されることが出来た。クリプトフィシン 2、3、4、16、17、18、19、21、23、24、26、28、29、 30、31、40、43、45、49、50および54は、65:35のアセト ニトリル/水を用いての逆相フラッシュカラムから溶離された分画においてクリ プトフィシン1を伴なった。クリプトフィシン2、3、4、5、6および7は、 藻がメタノールで抽出されそしてメタノール/水を用いて逆相クロマトグラフィ が行なわれたときに見い出されたそれらだけの化合物であった。クリプトフィシ ン2、3、4、5および6は3:1のメタノール/水で溶離されそしてクリプト フィシン7は1:3のメタノール/水を用いて溶離された早期のより低い細胞毒 性の分画に見い出された。アクリル性クリプトフィシン5、6および7は単離処 理中にクリプトフィシン1の分解により生成された人工品であると思われる。 クリプトフィシン3および5はMerck での研究者によりクリプトフィシン1か ら造られた殺カビ性半合成化合物8,9 と同一であると思われた。クリプトフィシ ン3は亜鉛−銅カップルを用いてまたは四沃化二燐を用いて9 クリプトフィシン 1を処理することにより造られた。クリプトフィシン5はクリプトフィシン1の メタノリシス9(メタノールによる加溶媒分解)により造られた。例1 構造決定 新しい化合物、即ちクリプトフィシン2、4、6、7、8、9、10、12、 14、16、17、18、19、21、23、24、26、28、29、30、 31、40、43、45、49、50および54ならびに以前に開示された化合 物の構造の決定は当業者に周知である方法論を用いて直接法で行なわれた。質量 スペクトルデータは分子組成と一致した。COSY、HMQC、HMBC、およ びNOESYスペクトルから得られたプロトンおよび炭素NMRデータは、それ らをこれらのデプシペプチドタイプの化合物の総構造のすべてを組み立てるのを 可能にした。各々の化合物における種々のヒドロキシおよびアミノ酸単位の存在 はガスクロマトグラフィ質量分光分析により確認された。絶対立体化学を包含す る全体的構造はクリプトフィシン化合物の適当な誘導体についての化学的分解技 術および特殊な分析技術の組み合せを用いて決定された。例2 構造−活性相関(SAR) 最適活性のために必要とされるクリプトフィシン1における構造的特徴を精査 のために、本明細書に記載された化合物のすべてはKB(ヒト鼻咽頭癌、L0V0( ヒト結腸癌)およびSKOV3(ヒト卵巣癌)の細胞系に対する細胞毒性につい て評価された。IC50値が表1および2に挙げられる。細胞毒性の比較はクリプ トフィシン1の、完全なマクロライド環、7,8−エポキシ−5−ヒドロキシ− 6−メチル−8−フェニル−2−オクテン酸単位におけるエポキシ基およびメチ ル基および二重結合(図1における単位A参照)、3−(3−クロロ−4−メト キシフェニル)アラニン単位(単位B)におけるクロロ基およびO−メチル基、 3−アミノ−2−メチルプロピオン酸単位(単位C)におけるメチル基およびロ イシン酸単位(単位D)におけるイソブチル基が最適な細胞毒性のために必要と されることを示した。クリプトフィシン8は、恐らくはマスクされたエポキシド として働らくクロロヒドリン官能性にほとんど起因していると思われる。 最も活性な化合物は、抗真菌テストおよび抗菌テストにおいて普通に使用され る検定にならってモデル化された Corbett検定、デスク拡散検定を用いて4つの 異なる細胞タイプ、即ちねずみ白血病(L1210またはP388)、ねずみ充 実性腫瘍(結腸腺癌38、膵管腺癌03、乳房腺癌M16/M17)、ヒト充実 性腫瘍(結晶CX−1、HCT8、H116;肺H125;乳房MX−1、MC F−7)および低い悪性線維芽細胞)に対して選択的細胞毒性についてまた評価 された。表1において示された結果は、クリプトフィシン1〜5および8が充実 性腫瘍選択性でなく、また白血病選択性でなかったがしかしむしろM17のよう な薬剤耐性細胞系を包含する腫瘍細胞系に対して等しく活性であった。白血病細 胞系についての阻止域より大きい250域(zone)単位、即ち7.5mmであった 、充実性腫瘍細胞系のいずれかについて阻止の域を示した化合物はなかった。し かしながら、クリプトフィシン1〜5および8は線維芽細胞LMLについての阻 止の域と比較して、腫瘍細胞系のすべてに阻止の著しく大きな域(400域単位 )を示した。診断的にLMLは臨床的に有用な細胞毒性剤(表1の5−フルオロ ウラシル、エトポシドおよびタキソールについての Corbett検定データ参照)に 関して腫瘍細胞よりも一層正常細胞のように挙動することが分かった。示差的細 胞毒性が>250域単位であったのでクリプトフィシン1〜5および8は腫瘍選 択性であった。したがってこれらの化合物はインビボ試験の候補者となった。 クリプトフィシン1は薬剤耐性腫瘍を包含する、マウスに植込まれたねずみお よびヒトの腫瘍の広いスペクトルに対して活性である(表3)。10%未満であ る腫瘍荷重T/C(処理された動物における平均腫瘍荷重(burden)/非処理動 物における平均腫瘍荷重)値を示す、5つの早期段階ねずみ腫瘍、即ち結腸腺癌 #38および#51、タキソール感受性およびタキソール耐性乳房#16/C/ RPおよび膵管腺癌#03およびSCIDマウスにおいて試験された2つの早期 段階ヒト腫瘍、即ちMX−1胸部およびH125腺鱗肺(adenosquamous lung) に対して優れた活性を示す。 42%未満であるT/C値はNCI標準により活性であると考えられる;10 %未満であるT/C値はNCI標準により優れた活性および有力な臨床活性を有 すると考えられる4。試験の2つは、2.0の総(腫瘍細胞)対数死滅値(log k ill value)を示した。総対数死滅(Gross log kill)はT−C/3.2 Td(但 し、Tは750mgに到達するための処理されたグループの腫瘍について日での中 央時間であり、Cは750mgに到達するための対照グループの腫瘍についての日 での中央時間でありそしてTdは腫瘍容量二重時間(tumor volume doubling time )である)として定義される。5〜20日の薬剤処理の期間を用いて、>2.8 、2.0〜2.8、1.3〜1.9、0.5〜0.8および<0.5の総対数死 滅値はそれぞれ、++++、+++、++、+および−(不活性)と得点化され る。臨床的活性の表示である+++〜++++の活性等級は100〜300mg大 きさのかたまりのほとんど移植されたマウスの充実性腫瘍の部分的または完全な 退縮を行なうのに必要とされる。 クリプトフィシン8はまたマウスに植込まれた広いスペクトルの腫瘍に対して 活性である。それは今日まで試験されたすべての腫瘍に対して優れた活性を示し 、<10%の腫瘍荷重(burden)T/C値を示す、がしかしさらに重要なことに は+++〜++++の総対数死滅活性等級を示しそして或るものは治癒する。 良好なインビボ活性は、今日まで行なわれた1つの試験においてクリプトフィ シン35を用いてまた見られた。 クリプトフィシン1および8の試験中に観察された致命的毒性はすべての臨床 的に使用される抗腫瘍薬剤に共通である白血球減少症に起因していた。例3 培養条件 Nostoc sp. GSV224はミシガン州大学のMSU−DOE Plant Resear ch Laboratory の C.P.Wolk 教授から得られた。Nostoc sp. ATCC537 89は American Type Culture Collection から購入された。藻のILフラスコ 培養はpHをNaOHで7に調節された変性BG−113と称される無機培地を含有す る、オートクレーブに入れられた20Lガラス耐酸ビンに接種するために用いら れた。培養は数列の冷白色蛍光管から200μモル光量子m-2-1(光合成的に 活性な照射線)の入射強度で連続的に照射されそして24±1℃の温度で空気中 0.5% CO2の混合物で5L/分の速度で通気された。典型的には培養は 21日後、ろ過により採取された。凍結乾燥されたNostoc sp. GSV224の 収量は0.61g/培養のL平均でありそしてATCC53789の収量は0. 3g/培養のL平均であった。例4 単離 方法A :凍結乾燥されたNostoc sp. GSV224(50g)を48時間1:5 のCH2Cl2/CH3CN の2Lで抽出しそして抽出液を真空濃縮して暗緑色固体を得た 。残留物(1g:KB MIC 0.24ng/mL)をODS−被覆シリカカラム (55g、7×5cm)に適用しそして1:3の CH3CN/H2O(0.8L)、1: 1の CH3CN/H2O(0.8L)、65:35の CH3CN/H2O(1.0L)、MeOH( 0.8L)および CH2Cl2(0.5L)を用いてフラッシュクロマトグラフィに 付した。65:35の CH3CN/H2O で溶離された分画(420mg;KB MIC 14pg/mL)を逆相HPLC(Econosil C18、10μ、25cm×21.5mm 、250nmでUV検出、65:35の CH3CN/H2O、6mL/分の流速)に付して クリプトフィシン1(tR49.3分、220mg)および多数の不純物分画を得 た。tR28.8分でのEconosil C18カラムから溶離された分画は順相HP LC(Econosilシリカ5μカートリッジ、250×4.6mm、6:4の酢酸エチ ル/ヘキサン、3mL/分)によりさらに精製されてクリプトフィシン16(3. 0mg)を得た。tR32.5分でのEconosil 18カラムから溶離された分画は 3mL/分で55:45の酢酸エチル/ヘキサンを用いる、Econosilシリカカラム 上のHPLCに付されてクリプトフィシン24(0.8mg)を得た。tR35. 5分でのEconosil 18から溶離された分画は第1に3mL/分での1:1の酢酸 エチル/ヘキサンを用いそして第2に2.5mL/分での4:6の酢酸エチル/塩 化メチレンを用いて、Econosilシリカカラム上で2回HPLCに付されてクリプ トフィシン23(1.2mg)およびクリプトフィシン43(0.1mg)を得た。 tR39.5分でのEconosil C18カラムから溶離された分画は3mL/分で1 :1の酢酸エチル/ヘキサンを用いてのEconosilシリカカラム上のHPLCに付 されてクリプトフィシン2(6mg)およびクリプトフィシン21(14mg)およ びtR32.5分で溶離されたクリプトフィシン類の複合混合物を得た。400 gの乾燥藻から集められた、この後者の分画は35:65の水/アセトニトリ ルを用いてセミプレパレーチブカラム(partisil C18、250×9.4mm、 10μ)上でそして1.3mL/分で5:4:1の水/アセトニトリル/メタノー ルを用いて逆相分析カラム(Econosil、150×4.6mm、5μ)上で順次クロ マトグラフィにかけてクリプトフィシン50(tR34.8、0.4mg)および クリプトフィシン40(tR38.8分、0.3mg)を得た。tR44.5分でEc onosil C18カラムから溶離された分画は3mL/分での1:1の酢酸エチル/ ヘキサンを用いてのEconosilシリカカラム上のHPLCに付されてクリプトフィ シン17(0.3mg)を得た。クリプトフィシン1に対するショルダーとしてtR 54.5でEconosil C18から溶離された分画の順相HPLC精製は、1: 1の酢酸エチル/ヘキサンを用いての溶離の際クリプトフィシン45(tR6. 7分、0.1mg)、クリプトフィシン26(tR8.9分、0.5mg)およびク リプトフィシン54(tR19.8分、<0.1mg)を生じた。広いピーク(tR 58〜70分)としてEconosil C18カラムから溶離された分画は2.5mL/ 分での43:57の酢酸エチル/ヘキサンを用いてのEconosilシリカカラム上の HPLCに付されて、クリプトフィシン4(tR19.6分、1.5mg)、クリ プトフィシン31(tR9.4分、0.8mg)、クリプトフィシン19(tR25 .8分、0.3mg)、クリプトフィシン49(tR28分、0.1mg)、クリプ トフィシン28(tR29.0分、0.5mg)そして不純なクリプトフィシン2 9(tR52.5分、2.0mg)およびクリプトフィシン30(tR49分、3. 0mg)を得た。クリプトフィシン29および30は逆相HPLC(Econosil C 18、10μ、250×10mm、3:1メタノール/水)に付した後に純粋なの が得られた。tR78.9分での Econosil C18カラムから溶離された分画はE conosilシリカカラム上のHPLCに付されて、クリプトフィシン3(tR16. 4分、3.0mg)を得た。tR82.8分でEconosil C18カラムから溶離さ れた分画は、3mL/分での45:55の酢酸エチル/ヘキサンを用いてのEconos ilシリカカラム上のHPLCに付されてクリプトフィシン18(tR19.2、 0.8mg)を得た。方法B :12時間(h)MeOHの700mL部分を用いてそして5時間MeOHの400 mLの部分を用いて2回、凍結乾燥されたNostoc sp.GSV224(12.23 g)は抽出された。抽出液を合併しそして真空濃縮して1.84gの暗緑色固体 を得、これを水とCH2Cl2との間に分配した。親油性部分(0.65g;KB M IC 0.24ng/mL)をODS被覆シリカカラム(55g、7×5cm)に適用 しそして1:3の MeOH /H2O(0.8L)、1:1の MeOH /H2O(0.8L) 、3:1の MeOH /H2O(0.8L)、MeOH(0.8L)およびCH2Cl2(0.5 L)を用いてのフラッシュクロマトグラフィにかけた。3:1 MeOH /H2Oで溶 離され(22mg;KB MIC14pg/mL)、本質的にすべての細胞毒活性を表 わす分画は溶離剤として1:5の MeOH /H2Oを用いる逆相HPLC(Econosil C18、10μ 250×10nm、250nmでUV検出、流速3mL/分)に付 されてクリプトフィシン7(tR7.6分、0.2mg)、5(tR15.4分、2 .3mg)、2(tR16.0分、1.0mg)、1(tR19.0分、12.0mg) 、4(tR26.5分、1.2mg)、および3(tR30.2分、1.4mg)を得 た。培養の1つから、1:3 MeOH /H2Oを用いてフラッシュカラムから溶離さ れた分画(8.1mg)はよりおだやかな細胞毒性を示した(KB MIC 2μ g /mL)。溶離剤として2:3 MeOH /H2O を用いてのHPLC上での精製はク リプトフィシンG(7、tR6.0分、2.4mg)を生成した。 実施例5 クリプトフィシン1〜7のスペクトルデータ 下記のスペクトルデータ中のイタリック体太字は図1のA〜Dに対応する。クリプトフィシン1 クリプトフィシン2 クリプトフィシン3 クリプトフィシン4 クリプトフィシン5 クリプトフィシン6 クリプトフィシン7 クリプトフィシン16 クリプトフィシン17 クリプトフィシン18 クリプトフィシン19 クリプトフィシン21 クリプトフィシン23 クリプトフィシン24 クリプトフィシン26 クリプトフィシン28 クリプトフィシン29 クリプトフィシン30 クリプトフィシン31 クリプトフィシン40 クリプトフィシン43 クリプトフィシン45 クリプトフィシン49 クリプトフィシン50 クリプトフィシン54 例6 クリプトフィシン誘導体の合成 クリプトフィシン8 3.8mgのクリプトフィシン1の1.5mlの1,2−ジメトキシエタン/水2 :11の溶液に 9μL の1N HCL を加えた。その溶液を室温で 4時間攪拌し続け 、炭酸カリウムで中和してから、蒸発させた。残留物を水とCH2CL2の間に分配し た。CH2CL2に溶解する物質を逆相HLPCにより精製して3.3mgの純粋なクリプト フィシン8を得た。 EIMS m/z(相対強度)690/692/694(0.8/0.5/0.2).高分解能 EIMS m/z 690.25 33(C35H44Cl2N2O8で計算,-5.8mmu 誤差).1H NMR(CDCl3): アミノまたはヒド ロキシ酸単位δ(炭素位置、多重度; HzでのJ )8-クロロ-5,7- ジヒドロキシ-6 - メチル-8- フェニル-2- オクテン酸(A)5.79(2,dt; 15.4),6.69(3,ddd; 1 5.4,9.7と5.6),2.68(4,ddt; 14.0,5.5と1.8),2.38(4,m),5.11(5,ddd; 1 0.8,8.6と1.8),2.51(6,m),1.05(6-Me,d; 7.0),4.01(7,dd; 9.6と1.9),4. 65(8,d; 9.6),7.36-7.41(10/11/12/13/14,m); ロイシック酸(D)4.92(2, dd; 10.1と3.5),1.76(3/4,m),1.45(3,m),0.94(5,d; 6.6),0.94(4-Me,d; 6.4); 3-アミノ-2- メチルプロピオン酸(C)2.73(2,m),1.22(2-Me,d; 7.2), 3.25(3,ddd; 13.6,6.8と6.1),3.54(3,ddd; 13.5,6.1と3.4),6.91(3-NH,b rt;6.1); 3-クロロ-4- メトキシフェニルアラニン(B)4.82(2,ddd; 8.8,7.2と5 .6),5.64(2-NH,d; 8.8),3.03(3,dd; 15.4と7.2),3.16(3,dd; 15.4と5.6) ,7.23(5,d; 2.2),3.88(7-OCH3,s),6.85(8,d; 8.5),7.09(9,dd; 8.5と2. 2)。クリプトフィシン9 10mgのクリプトフィシン1の乾燥メタノール1mL中溶液に10μLのメタノ ール性HCl(1.25g のチオニルクロリドを25mLのMeOHで処理することにより得られ た)を加えた。4 時間攪拌の後、溶媒を真空で除いてから、その試料を真空下に 12時間放置した。逆相HLPCは8mgの純粋なクリプトフィシン9を与えた。 1H NMR(CDCl3): アミノまたはヒドロキシ酸単位δ(炭素位置、多重度; Hzで のJ );5,7-ジヒドロキシ -8-メトキシ -6-メチル -8-フェニル -2-オクテン酸 (A)5.76(2,dt; 15.5),6.67(3,ddd; 15.5,9.5 と5.6),2.34(4,ddd; 14.1, 11.1 と9.5),2.62(4,dddd; 14.1,5.6,1.8と1.5),5.09(5,ddd; 11.1,7.8 と1.8),2.24(6,dqd; 7.8,7.0 と2.2),1.03(6-Me,d; 7.0),3.71(7,dd; 8.3 と2.2),4.03(8,d; 8.3),3.20( 8-OCH3,s),7.31-7.40(10/11/12/13/14,m); ロイシック酸(D)4.86(2,dd; 9.8と3.5),1.71(3/4,m),1.41(3,m),0.89(5/4 -Me,d; 6.4); 3-アミノ-2- メチルプロピオン酸(C)2.71(2,ddq; 6.8,3.9 と7 .2),1.21(2-Me,d; 7.2),3.23(3,ddd; 13.5,6.8と6.0),3.52(3,ddd; 13.5 ,6.0 と3.9),6.90(3-NH,brt;6.0); 3- クロロ-4- メトキシフェニルアラニン (B)4.82(2,ddd; 8.8,7.4 と5.7),5.66(2-NH,d; 8.8),3.023(3,dd; 14.4と 7.4),3.15(3,dd; 14.4と5.5),7.23(5,d; 2.2),3.87( 7-OCH3,s),6.84(8 ,d; 8.5),7.08(9,dd; 8.5と2.2)。クリプトフィシン10 1mLのアセトンと0.3mLの水の中に7mgのクリプトフィシン9を攪拌した溶 液に8μL の2N NaOHを加えた。その溶液を 4時間攪拌した後、1N HCl でpH7 に中和してから、溶媒を減圧で除いた。残留物を逆相HPLCに7:3MeOH/H2O を 用いてかけると純粋なクリプトフィシン10(5mg)を得た。 1H NMR(CD3OD):アミノまたはヒドロキシ酸単位δ(炭素位置、多重度; Hzでの J );5,7- ジヒドロキシ-6- メチル-8- フェニル-2- オクテン酸(A)5.99(2,d t; 15.4と1.3),6.82(3,dt; 15.4と7.3),2.30(4,m),3.66(5,td; 7.8 と3.5 ),2.05(6,d ペンテット; 1.8 と7.0),0.96(6-Me,d; 7.0),4.04(7,dd; 8.8 と2.0),4.01(8,d; 8.8),3.12(8-OCH3,s),7.26-7.36(10/11/12/13/14,m); 3-アミノ-2- メチルプロピオン酸(C)2.50(2,m),1.02(2-Me,d; 7.3),3.16(3 ,dd; 13.4と6.9),3.82(3,dd; 13.4 と6.6); 3-クロロ-4- メトキシフェニルア ラニン(B)4.57(2,dd; 8.5と6.5),2.82(3,dd; 13.9と8.6),3.03(3,dd; 13.9 と6.5),7.25(5,d; 2.2),3.82(7-OCH3,s),6.96(8,d; 8.6),7.13(9,dd;8. 6と2.2).13C NMR(CD3OD); δ 179.5,173.4,168.2,155.4,143.7,141.7,1 31.9,131.7,129.8,129.3(2C),129.2(2C),128.8,126.2,123.2,113.4,85. 9,74.5,74.1,56.8,56.6,56.3,42.3,41.2,40.2,38.8,38.0,15.5,9.9 。クリプトフィシン12 5mgのクリプトフィシン1、5または8の1mLの4:1アセトン/水の中の溶 液に15μL の2N NaOHを加えた。室温で5時間攪拌の後、反応混合物を1N HC l でpH7に中和してから、蒸発させた。CH2Cl2溶解性物質をCH2Cl2、1:1EtOA c /CH2Cl2、およびEtOAc と共に小さなシリカカートリッジを通過させた。EtOA c と共に溶出した画分は純粋なクリプトフィシン12を含んでいた。 1H NMR(CD3OD):アミノまたはヒドロキシ酸単位δ(炭素位置、多重度; Hzでの J ),5,7,8-トリヒドロキシ-6- メチル-8- フェニル-2- オクテン酸(A)6.07( 2,ddd; 15.5,1.3 と1.2),6.40(3,dt; 15.5と7.3),2.49(4,m),2.60(4,m) ,3.92(5,ddd; 9.3,6.7 と4.5),1.94(6,m),1.07(6-Me,d;6.6),3.61(7, dd; 8.9 と7.6),4.56(8,d; 7.6),7.36(10/14,dd; 7.4と1.5),7.32(11/ 13, brt; 7.5),7.25(12,m); 3-アミノ-2- メチルプロピオン酸(C)2.54(2,ddq; 7. 0,6.6 と7.0),1.02(2-Me,d; 7.0),3.14(3,dd; 13.5と7.0),3.42(3,dd; 1 3.4と6.6); 3-クロロ-4- メトキシフェニルアラニン(B)4.57(2,dd; 8.4と6.7) ,2.83(3,dd; 13.8と8.4),3.02(3,dd; 13.8と6.6),7.25(5,d; 2.1), 3.82( 7-OCH3,s),6.95(8,d; 8.5),7.12(9,dd; 8.5と2.1)。ジアゾメタンに よるクリプトフィシン12のメチル化はクリプトフィシン6を与えた。クリプトフィシン14 3mgのクリプトフィシン6の1mLの3:1アセトン/水の中の溶液に5μL の 2N NaOHを加えた。5時間攪拌の後、反応混合物を1N HClでpH7に中和してから 、蒸発乾固させた。残留物を逆相HLPCにかけると2.4mgのクリプトフィシン1 4を与えた。 1H NMR(CD3OD):アミノまたはヒドロキシ酸単位δ(炭素位置、多重度; Hzでの J ),5-ヒドロキシ-6- メチル-8- フェニル-2,7- オクタジエン酸(A)5.98(2 ,d; 15.3),6.78(3,dt; 15.3と7.5),2.35(4,m),3.64(5,td; 7.2と4.8),2 .47(6,m),1.14(6-Me,d;6.9),6.22(7,dd; 15.9 と8.1),6.39(8,d; 15.9) ,7.24-7.36(10/11/12/13/14,m); 3-アミノ-2- メチルプロピオン酸(C)2.35(2 ,m),1.02(2-Me,d; 6.9),3.18(3,dd; 13.2と6.6),3.36(3,dd; 13.2と4.5) ; 3-クロロ-4- メトキシフェニルアラニン(B)4.58(2,dd; 8.7 と6.3),2.80(3 ,d; 13.8 と9.0),3.05(3,dd; 13.8と6.3),7.25(5,d; 2.1),3.82( 7-OCH3 ,s),6.95(8,d; 8.4),7.13(9,dd; 8.4と2.1)。クリプトフィシン35 触媒量の PtO2を0.5mLのCH2CL2を入れたフラスコに加えた。フラスコ内の 空気を排気し、水素を導入し、そして前記の混合物を室温で20分間攪拌した。 10mgのクリプトフィシン1の最小量CH2CL2溶液を加えてから、混合物を室温で 45分間攪拌した。触媒をセライト/綿を通す濾過により除いてから、溶媒を蒸発 させた。C18ラム上での残留物の逆相HLPCは6.5mgのクリプトフィシン35 を与えた。 EIMS m/z(相対強度)656/658(25/10),412/414(25/12),280/282(20/10),19 5/197(78/25),141(58),91(100); 高分解能 EIMS m/z 656.2864(C35H45Cl-N2O8 で計算,0.0mmu誤差).1H NMR(CDCl3): アミノまたはヒドロキシ酸単位δ値( 炭素位置、多重度; HzでのJ) 2,3-ジヒドロ -7,8-エポキシ -5-ヒドロキシ - 6-メチル -8-フェニルオクタン酸(A)2.32(2,ddd; 14.5,9.2,5.8),2.10(2,d dd; 14.5,9.2,6.2),1,5-1.8(3/4 重なり m),5.07(5,ddd; 12.5, 5.6,2.0),1.80(6,m),1.12(6-Me,d; 7.0),2.90(7,dd; 7.4,1.8),3.67(8 ,d; 1.8),7.24(10/14 m),7.32-7.38(11/12/13,m); 3-クロロ-4- メトキシフ ェニルアラニン(B)4.71(2,dd; 8.7,6.4,6.3),5.62(2-NH,d; 8.7),3.08(2H -3,br d; 6.4),7.19(5,d; 2.0),3.87( 7-OMe,s),6.83(8,d; 8.5),7.07( 9,dd; 8.4 と2.0); 3-アミノ-2- メチルプロピオン酸(C)2.72(2,m),1.18(2-M e,d; 6.9),3.12(3,ddd; 11.4,10.6,5.6),3.70(3,ddd),6.76(3-NH,br t ,6.0); ロイシック酸(D)4.83(2,dd; 9.9,3.8),1.39(3,m),1.70(3,m),1. 72(4,m),0.87(5/4-Me,d; 5.3),0.86(5,d; 5.3); 13C NMR(CDDl3)単位δ値 (炭素位置)A 172.4(1),36.2(2),32.0(3),21.1(4),76.6(5),40.2(6),13. 6(6-Me),63.3(7),59.2(8),136.8(9),125.6(10/14),128.7(11/13),128.6(1 2); B 170.7(1),53.7(2),35.5(3),130.0(4),131.1(5),122.2(6),153.8(7) ,56.1(7-OMe),112(8),128.5(9); C 175.2(1),38.2(2),13.6(2-Me),42.1(3 ); D 171.9(1),71.7(2),39.6(3),24.5(4),22.9(4-Me),21.4(5)。実施例7 クリプトフィシンの微小管解重合活性の分析 材料 ビンブラスチン、シトカラシンB、イソシアン酸テトラメチルローダミン(T RITC)−ファロイジン、スルホローダミンB(SRB)及びβ−チューブリ ンに対する抗体及びビメンチンをシグマケミカルカンパニーから入手した。アー ル(Earle)塩を含有するイーグルの基礎培地(BME)をギブコ(Gibco)から、ウ シ胎児血清(FBS)をハイコロンラボラトリーズから購入した。細胞系 ジャーカット(Jurkat)T白血病細胞系とA−10ラットの大動脈平滑筋細胞 をアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collecti on)から入手してFBSを10%と硫酸ゲンタマイシンを50μg /mL含有する BME中で培養した。ヒトの卵巣がん腫細胞(SKOV3)とビンブラスチンに 抵抗するために選んだ亜系(SKVLB1)は、オンタリオがん研究所のビクタ ー リング(Victor Ling)博士からの贈物であった。両細胞系をFBSを10% と硫酸ゲンタマイシンを50μg /mL含有するBME中に維持した。P−グリコ プロテイン過剰表現細胞に対する選択圧力を維持するために経過後24 時間SKVLB1細胞にビンブラスチンを1μg /mLの最終濃度まで添加した。細胞増殖及びサイクル停止測定 細胞増殖測定をスケハン(Skehan)等11により記述されたように行なった。ジ ャーカット細胞について、培養物をスケハン11の文献に記載指示された薬品によ って処理して全細胞を血球測定盤中で細胞を計数することにより測定した。有系 分裂中の細胞の百分率をPBS中で0.4%ギームサで染色し続いてPBSによ って3回迅速に洗浄することにより測定した。処理当り少なくとも1000細胞 が有系分裂形の存在のために獲得され、有系分裂指数を計数した細胞の全数に対 する有系分裂形を持つ細胞の割合として計算した。免疫蛍光検定 A−10細胞をBME/10%FBSを用いてカバーガラス上で近集密的に成 長させた。PBS中の化合物を指示された最終濃度まで添加して細胞を更に24 時間インキュベートした。微小管と中間フィラメントの染色のために、細胞を冷 メタノールで固定し、子牛血清を10%含有するPBSを使用してインキュベー トして非特異性結合点を遮断した。次いで細胞を製造業者によって推奨された稀 釈度のモノクローナル抗ビメンチンかモノクローナル抗β−チューブリンのいず れかを使用して37℃で60分間インキュベートした。結合一次抗体を引き続き フルオロセイン複合ウサギアンチマウスIgGを使用して45分間のインキュベ ーションにより目に見えるようにした。カバーガラスを顕微鏡のスライドガラス 上に据え付け、蛍光パターンをフルオレセイン用エピフルオレセンスレンズを取 り付けたツアイス光学顕微鏡III を使用して検査して写真に撮った。ミクロフィ ラメントの染色のために、細胞を3%パラホルムアルデヒドで固定し、0.2% トリトンX−100を使用して透過性を上げて水素化ホウ素ナトリウム(1mg/ mL)で化学的に還元した。次いで100nMのTRITC−ハロイジンを含有する PBSを添加して混合物を37℃で45分間インキュベートした。カバーガラス を据え付ける前に細胞をPBSで3回迅速に洗浄してただちに上記のように写真 に撮った。ジャーカット細胞の増殖と細胞周期に対するクリプトフィシンとビンブラスチン の影響 細胞増殖に対するクリプトフィシン化合物とビンブラスチンの影響に関する用 量応答曲線と有系分裂中の細胞の百分率をそれぞれ図2A及び2Bに示す。未処 理細胞の3%以下が有系分裂形を示した。クリプトフィシン化合物とビンブラス チンの両方とも有系分裂において観察された細胞の百分率に用量依存性増加をも たらした。有系分裂指数の増加は、細胞増殖の減少、すなわち有系分裂において 蓄積する細胞の50%を引き起こす濃度が50%だけ細胞増殖を阻害する濃度と 実質的に同一であるクリプトフィシン化合物とビンバルスチンの両方の濃度と密 接に相関する。これらの効果に対するクリプトフィシン化合物とビンバルスチン に関するIC50は、それぞれ0.2及び8nMであった。細胞骨格に対するシトカラシンB、ビンブラスチン及びクリプトフィシンの影響 大動脈平滑筋(A−10)細胞をカバーガラス上で成長させてPBS、2μM シトカラシンB、100nMビンブラスチン又は10nMクリプトフィシン化合物で 処理した。24時間後、微小管とビンメチン中間フィラメントを間接免疫蛍光に より目に見えるようにし、ミクロフィラメントをTRITC−ファロイジンを使 用して染色した。各薬品の形態的影響を試験した。未処理細胞は核周辺の微小管 組織中心によって完全なものになる広範囲にわたる微小管網状構造を示した。ビ メンチン中間フィラメントもまた細胞質を貫いて均一に分布したが、ミクロフィ ラメントの束は細胞の主軸に沿って集中した。シトカルシンBは、準結晶性残留 物の蓄積と共にミクロフィラメントの完全解重合をもたらした。この化合物は微 小管か中間フィラメントのいずれかの分布に影響しなかった。ビンブラスチンと クリプトフィシン化合物の両方とも微小管の著しい減少をもたらした。ミクロフ ィラメント組織に影響する化合物はなかったが、ビメンチン中間フィラメントは 崩壊し、ビンブラスチンかクリプトフィシン化合物のいずれかによって処理され た細胞の核のまわりに同心環を生成した。タクゾール(taxol)−安定化微小管に対するクリプトフィシンとビンブラスチン の影響 A−10細胞をPBS、100nMビンブラスチン又は10nMクリプトフィシン 化合物の添加前に0又は10μM タクゾールで3時間処理した。24時間後、微 小管組織を上記のように免疫蛍光により試験した。対照細胞と比較して、タクゾ ール処理した細胞の微小管は、特に細胞極性領域において広範囲にわたって束に なっていた。前記のように、ビンブラスチンは非前処理細胞の微小管の完全解重 合をもたらした。しかしながら、タクゾールによる前処理は、ビンブラスチンに 応じて微小管の解重合を防止した。同様に、タクゾール前処理はクリプトフィシ ン誘起解重合に対して微小管を完全に安定化した。ビンブラスチン及びクリプトフィシンによる微小管解重合の可逆性 A−10細胞を100nMビンブラスチン又は10nMクリプトフィシンのいずれ かによって24時間処理して、完全な微小管解重合を生じた。次いで細胞を薬品 を含まない媒体中で1時間又は24時間洗浄及びインキュベートした。ビブラス チンの除去後微小管は迅速に再重合し、1時間後かなりの水準の微小管を、24 時間までに完全な形態回復を示した。対照的に、微小管は化合物の除去後1時間 又は24時間でクリプトフィシンで処理した細胞には再現しなかった。細胞増殖のクリプトフィシン、ビブラスチン及びタクゾール阻害の可逆性 SKOV3細胞をビンブラスチン、クリプトフィシン化合物又はタクゾールの 先に決定したIC50用量(すなわち、表5に要約した実験で決定した数値)で2 4時間処理した。この時間の間に、細胞密度は0.4から0.5±0.05吸光 度単位に増加し(図3)、3種全ての処理に対して細胞数の25%増加を示した 。薬品の除去は、それらの数が24時間内に約3倍増加するようなビンブラスチ ン処理細胞の迅速な成長を生じた。対照的に、クリプトフィシン化合物又はタク ゾールで処理した細胞は阻止されたままで、薬品の除去に続く24時間内に僅か 0.2〜0.4倍増加するだけであった。クリプトフィシン又はタクゾール処理 した細胞の増殖容量は、細胞がそれから次の24時間内に2倍になるから引き続 き回復した。細胞増殖に対するビンブラスチンとクリプトフィシンの組合せの影響 SKOV3細胞をクリプトフィシンとビンブラスチンの組合せで48時間処理 した。次いで生き続ける細胞の百分率を測定して各組合せに対するIC50を計算 した。単一薬品処理と同様に、これらの組合せ処理の影響をイソボログラム(iso bologram)として描写した(図4)。クリプトフィシン化合物とビンブラスチン の組合せに対するIC50は、加成性の線に非常にきっちりと合い、これらの 二つの薬品が細胞増殖の加成性阻害だけを誘起することを示した。SKOV3及びSKVLB1細胞に対するクリプトフィシン、ビンブラスチン及 びタクゾールの毒性 SKVLB1細胞は、それらのP−グリコプロテインの過剰発現12のために天 然産抗がん薬品に対して抵抗性がある。SKOV3及びSKVLB1細胞の成長 を阻害するタクゾール、ビンブラスチン及びクリプトフィシン化合物の能力を表 5に要約する。タクゾールは、それぞれ1及び8000nMのSKOV3及びSK VLB1細胞に対するIC50を持つ両細胞系の増殖の用量依存性阻止をもたらし た。ビンブラスチンもまた、それぞれSKOV3及びSKVLB1細胞に対し0 .35及び4200nMのIC50によって、両細胞系の成長を阻止した。クリプト フィシンは、SKOV3及びSKVLB1細胞に対しそれぞれ7及び600pMの IC50を証明した。化合物に対するSKVLB1細胞について得られた抵抗因子 をSKVLB1に対するIC50として計算した。SKOV3細胞に対するIC50 もまた表5に示す。 このように、本発明は、先に開示されたクリプトフィシン化合物と同様に、細 胞増殖の強力な阻害剤であり、微小管網状構造の崩壊及び有系分裂の阻害により 作用する新規のクリプトフィシン化合物を提供することが証明された。クリプト フィシン化合物は微小管組織、従って有系分裂のそれらを含む正常な細胞機能を 崩壊する。 コルヒチン及びビンカアルカロイドのような古典的な抗微小管剤は、有系分裂 における細胞分裂を阻止する。クリプトフィシン化合物と細胞増殖におけるこれ らの薬剤の一つの影響を比較することは適切と思われる。この目的のために、ビ ンカアルカロイドビンブラスチンを古典的抗微小管剤の代表として選んだ。従っ て、ジャーカットT細胞白血病細胞の増殖と細胞周期進行に対するクリプトフィ シン化合物とビンブラスチンの影響を比較した。両化合物は有系分裂における細 胞増殖と細胞の蓄積の平行な用量依存性阻害をもたらした。 抗有系分裂的効果は有系分裂紡錘体中の微小管の崩壊により一般的に媒介され るから、細胞骨格構造に対するクリプトフィシン化合物の影響は蛍光顕微鏡法に より特性描写される。クリプトフィシン化合物がビンブラスチンのいずれかによ って処理された細胞の免疫蛍光染色は、両化合物が微小管の完全喪失をもたらす ことを明瞭に証明した。SKOV3細胞を使用した類似の研究は、クリプトフィ シン化合物の抗微小管効果が平滑筋細胞系に対し独特でないことを証明した。ど ちらの薬品も、シトカラシンBにより容易に示されるようなミクロフィラメント 束の水準や分布に影響しなく、微小管の損失は非特異性機構、例えばプロテアー ゼの活性化やエネルギー充足率の減損によらないことを示した。ビンブラスチン とクリプトフィシン化合物の両方もまたあざやかに染色する環が細胞核のまわり に生成されるような、ビメンチン中間フィラメントの著しい崩壊を促進した。 培養液からビンブラスチンの除去は、微小管の迅速な再重合を生じた。対照的 に、クリプトフィシン化合物で処理した細胞は、化合物を培養液から除去後少な くとも24時間は微小管が減少されたままであった。 本発明は、クリプトフィシン化合物がP−グリコプロテイン媒介多重薬品抵抗 を妨げることを証明した。P−グリコプロテインによる輸送は、獲得したすなわ ち新たな薬品耐性による腫瘍細胞の成長を阻害する天然産抗がん薬品の能力を制 限する13-15。ビンカアルカロイドは、化学療法の初期過程において非常に有用 であるが、P−グリコプロテインによる輸送に対して非常に良好な基質で、そし て確かにP−グリコプロテイン媒介MDR腫瘍に対して非常に限定された有用性 のものである。それゆえ、多重薬品耐性に打ち勝つ薬剤の固定は、有用かつ新規 の抗がん剤の開発を導きうるだろう。本発明のクリプトフィシン化合物は、P− グリコプロテイン媒介輸送に対する不十分な基質であるから、そのような薬剤で あると思われる。この事実は、ビンブラスチン、タクゾール及び他の天然産薬品 に較べたクリプトフィシン化合物に対する低い細胞抵抗因子に反映される。クリプトフィシンの全合成 新規の合成化合物、すなわちクリプトフィシン51、52、53、55、56 、57、58及び61の構造は、この技術に訓練された者によく知られている方 法論を使用して簡単な方法で確認された。質量スペクトルは分子組成と一致した 。プロトン及び炭素NMRデータは、クリプトフィシン1及び関連天然産及び半 合成類似体のデータと非常に似ていた。 次の実施例は、本発明に係る治療剤としてのそれらの使用と同様にクリプトフ ィシン化合物の全合成を示す。実施例8 クリプトフィシン51の合成 S−トランス−3−ペンテン−2−オール(A) 無水ジエチルエーテル25mL中のラセミトランス−3−ペンテン−2−オール (933mg、11ミリモル)、ラウリン酸トリフルオロエチル(4.14g、1 5ミリモル)及びブタ膵リパーゼ(PPL、2.0g)の混合物を80時間攪拌 した。次いでPPLを濾別してエーテルで3回洗浄した。エーテル濾液を蒸発さ せて次いで粘稠な油を短絡真空蒸留に付した。S−トランス−3−ペンテン−2 −オール(A)を液体窒素冷却トラップ中に凝縮させた(383mg)。 S−トランス−2−(2−プロピンルオキシ)−3−ペンテン(B) 0℃の水(5mL)中のS−鏡像体A(628mg、7.3ミリモル)、硫酸水素 テトラブチルアンモニウム(138mg、0.41ミリモル)と40%NaOHの激し く攪拌している混合物に、塩化プロパルギル(767mg、10.3ミリモル、7 45μL)を滴下様式で添加した。激しい攪拌を一夜続けその時間の後で混合物 を0℃のHCl により中和してプロパルギルエーテルをペンタン中に抽出した。抽 出物を蒸発させてプロパルギルエーテルを短いシリカゲルカラム(2%ジエチル エーテル/ペンタン)によって精製して778mgのプロパルギルエーテルBを得 た。 (3R,4R)−4−メチルヘプト−5−(E)−エン−1−イン−3−オール (C) ブチルリチウムヘキサン溶液のアリコート(2.5M、5.1mL、12.8ミ リモル)を真空蒸発して残留物を−90℃に冷却した。THF10mL中のプロパ ルギルエーテルB(454mg、3.66ミリモル)の溶液をゆっくり添加した。 温度を一夜かけて室温まで上昇させた後、反応混合物をNH4Cl 溶液で冷却した。 エーテルで3回抽出、乾燥抽出物の蒸発及び残留物のシリカゲルカラム(5% E tOAc/ヘキサン)による精製で322mgのアルコールC(収率71%)を得た。 (3S,4R)−3−tert−ブチルジメチルシリロキシ−4−メチルヘプト−5 E−エナール(D) 乾燥DMF3mL中のアルコール((248mg、2ミリモル)とイミダゾール( 340mg、5ミリモル)の撹拌溶液に塩化tert−ブチルジメチルシリル(452 mg、3ミリモル)を添加した。混合物を一夜攪拌後、10%NaOHを10mL添加し て過剰の塩化tert−ブチルジメチルシリルを破壊した。生成物をエーテル中に抽 出して抽出液を水、0.5N HCl及び水で連続して洗浄して乾燥、蒸発した。ヘ キサンを使用したシリカゲル上のクロマトグラフィによる残留物の精製で457 mgの(3R,4R)−3−tert−ブチルジメチルシリロキシ−4−メチルヘプト −5(E)−エン−1−イン(収率96%)を得た。 同様の手順を使用して対応するTBDPS誘導体、(3R,4R)−3−tert −ブチルジフェニルシリロキシ−4−メチルヘプト−5(E)−エン−1−イン を収率92%で生成した。 2−メチルブテン(THF中の2M溶液1.15mL)を−25℃でBH3 THF 溶液(1M、1.1ミリモル)1.1mLに添加し、混合物を氷浴中で2時間攪拌 した。次いで室温を−50℃に冷却してTHF1mL中のTBS誘導体(238mg 、1ミリモル)の溶液を全て一度に添加した。冷却浴を取り除いて反応混合物を 温まるにまかせて室温に1時間維持した。次いで2.2M KH2PO4/K2HPO4溶液 (4.8mL)と30% H2O2(0.8mL)を0℃で添加した。1時間後、THF を蒸発させて残留物をエーテル中に抽出した。乾燥エーテル抽出液を蒸発させて 残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ(1% EtOAc/ヘキサン)にかけて19 4mgのアルデヒドD(収率76%)を得た。 アルデヒドのtert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS)誘導体を 収率83%で生成した。 メチル(5S,6R)−5−tert−ブチルジメチルシリロキシ−6−メチル−7 −オキソノナ−2E,7E−ジエノエート(E) −78℃に冷却したTHF5ml中のアルデヒドD(0.74g、2.9ミリモ ル)とトリメチルホスホノアセテート(632mg、3.5ミリモル)の攪拌溶液 にテトラメチルグアニジン(435μL 、3.5ミリモル)を添加した。30分 後冷却浴を取り除き混合物を更に1時間攪拌した。混合物を1N HCl で中和し て生成物をエーテル中に抽出した。乾燥エーテル抽出液を蒸発して残留物を残し 、それをシリカゲル上でクロマトグラフ(5% EtOAc/ヘキサン)にかけて0. 814gのE(収率90%)を得た。 アルデヒドのtert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS)誘導体を 収率90%で生成した。 メチル(5S,6R)−5−tert−ブチルジメチルシリロキシ−6−メチル−7 −オキソヘプト−2(E)−エノエート(F) −78℃のCH2Cl2 15mL中のメチルエステルE(328mg、1.0ミリモル )と97μLのピリジンの溶液にオゾンを通過させてオゾン分解の進行をTLC 分析により監視した。メチルエステルが消費された後、約500mgの亜鉛末と1 mLの氷酢酸を添加した。温度を25℃までゆっくり上昇させた。混合物を濾過し て濾液を飽和CuSO4と NaHCO3溶液で連続して洗浄した。溶媒の蒸発後、粗製アル デヒドF(249mg、83%)を更に精製することなく次工程に使用した。 メチル(5S,6R)−5−t−ブチルジメチルシリロキシ−6−メチル−8− フェニル−オクタ−2E,7E−ジエノエート(G) −78℃のTHF1.5mL中のアルデヒドF(25.0mg、0.08ミリモル )の攪拌溶液に塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム(268mg、0.69ミ リモル、THF6.9mL中)とn−ブチルリチウム(ヘキサン中の280μL、 2.5M)の冷(−78℃)混合物0.80mLを添加した。15分後、冷浴を取 り除いて攪拌を2時間継続した。反応物を飽和塩化アンモニウム溶液で冷却しT HFを蒸発させた。濃縮物をヘキサンで2回抽出し、合わせた抽出物を食塩水で 洗浄し、乾燥蒸発させた。残留油、EとZ異性体の5:1混合物、をチオフェノ ール(0.02M)と1,1′アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(V AZO、0.006M)を含有するベンゼン1.5mLに溶解し、混合物を5時間 還流させた。室温に冷却後、ヘキサン(15mL)を添加して有機溶液を10% N aOHと食塩水で連続して洗浄し、乾燥(MgSO4)して蒸発させた。シリカゲル上の残 留物のクロマトグラフィ(2% EtOAc/ヘキサン)で24mg(80%)のGを得 た。 (5S,6R)−5−t−ブチルジメチルシリロキシ−6−メチル−8−フェニ ルオクタ−2E,7E−ジエン酸(H) アセトン7mL中のエステルG(159mg、0.43ミリモル)の溶液に1N L iOH水5mLを添加した。混合物を25℃で3時間攪拌し、Et2O 20mLで稀釈し 、1N HCl で約pH4に酸性化した。有機層を分離して食塩水と水のそれぞれ2 0 mLづつで洗浄し、乾燥し(MgSO4)て蒸発させた。AcOHを0.5%含有するヘキサ ン中の40% EtOAcを使用してシリカゲル上の残留油のクロマトグラフィで淡黄 色の流動性油として純粋な酸Hを生じた(145mg、収率95%)。 3−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−D−アラニンの2,2,2−トリ クロロエチルエステル(I) D−クロロチロシンBOC誘導体(160mg、0.35ミリモル)の試料を純 トリフルオロ酢酸3mLに溶解して室温に1時間放置した。減圧下の過剰の試薬の 除去でトリフルオロ酢酸塩として所望のアミンIを生じた(165mg、収率10 0%)。 化合物J アルゴン雰囲気下の無水DMF3mL中のH(25mg、0.07ミリモル)の攪 拌溶液にペンタフルオロジフェニルホスフィネート(FDPP、32mg、0.0 8ミリモル)、トリフルオロ酢酸塩I(35mg、0.07ミリモル)及びジイソ プロピルエチルアミン(DIEA、27mg、約36μL、0.21ミリモル、約 3当量)を連続して添加した。攪拌を25℃で1時間継続し次いで反応混合物を Et2O 20mLで抽出した。エーテル抽出物を1N HCl 10mL、続いて飽和 NaH CO3 10mL、食塩水20mL及び水20mLで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸発した。 残留淡黄色油をシリカゲル上でクロマトグラフィ(ヘキサン中の15% EtOAc) に付して無色の油としてJを得た(32mg、収率65%)。 (1′R,5S,6R)−N−1′−(カルボ−2″,2″,2″−トリクロロ エトキシ)−2′−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)エチル−5−t−ブ チルジメチルシリロキシ−6−メチル−8−フェニル−オクタ−2E,7E−ジ エンアミド(K) MeCN 4mL中のJ(50mg、0.07ミリモル)の溶液に50%HF水400 μL を添加して混合物を25℃で1時間攪拌した。Et2O 30mL中への抽出、続 いて飽和NaHCO3、食塩水及び水をそれぞれ30mLづつを使用したエーテル抽出液 の洗浄、乾燥(MgSO4)及び蒸発で無色の泡としてアルコールKを得た(40mg、 収率95%)。 3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2,2−ジメチルプロパン酸(M) MeOH中のトリエチルアミンの10%溶液の51mL中の3−アミノ−2,2−ジ メチルプロパン−1−オール(L)(3.0g、29ミリモル)の溶液にジ−te rt−ブチルジカーボネート(6.7g、31ミリモル)を添加して混合物を25 ℃で1時間攪拌した。溶媒の除去後、残留物をCH2Cl2(30mL)に溶解して溶液 を1M KHSO4(pH2)で2回及び飽和NaCl溶液で1回洗浄し、乾燥(MgSO4)し た。真空で溶媒を除去して5.8g(収率93%)の3−(tert−ブトキシカル ボニル)アミノ−2,2−ジメチルプロパン−1−オールを白色固体として得て 、それを更に精製することなく次工程に使用した(NMR分析による純度98% 以上)。 四塩化炭素(52mL)、アセトニトリル(52mL)と水(78mL)中のアルコ ール3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2,2−ジメチルプロパン−1 −オール(5.3g、25.9ミリモル)と過ヨウ素酸ナトリウム(16.6g 、77.7ミリモル)の溶液に三塩化ルテニウム水和物(122mg)を添加し、 混合物を25℃で1時間攪拌した。混合物をセライトを通して濾過して水(50 mL)中の飽和炭酸カリウム溶液を添加した。水層を分離し、エーテル(20mL) で洗浄し、HCl でpH2まで0℃で酸性化してCH2Cl2(30mLで3回)で抽出した 。合わせた抽出液を飽和NaCl溶液で洗浄して乾燥(MgSO4)した。真空で溶媒を除 去して残留物を得てそれを先ずC18シリカ上で逆相クロマトグラフィ(ODS 120Å、50〜90% MeOH)に付し次いでエーテルによって結晶化させて 白色固体として3.7g(収率66%)のMを得た。融点106〜108℃; アリル(2S)−2−ヒドロキシ−4−メチルペンタノエート(N) 0℃の水30ml中の2.66gのL−ロイシン酸(20ミリモル)と1.74 gの重炭酸ナトリウム(20ミリモル)の溶液に6.44gの塩化テトラブチル アンモニウム(20ミリモル)と1.74mLの臭化アリル(20ミリモル)のCH2 Cl2溶液30mLを添加した。混合物を24時間激しく攪拌後、CH2Cl2を蒸発させ た。水約50mLを添加して水層をEt2Oで4回抽出した。エーテル溶液を無水硫酸 ナトリウム上で乾燥し次いで蒸発させた。残留物を短いSiカラムを通過させて無 色の油として3.21gのアリルエステル(N)(収率93%)を得た。 アリル(2S)−2−〔3′(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2′,2′ −ジメチルプロパノイロキシ〕−4−メチルペンタノエート(O) 0℃の乾燥CH2Cl2 10mL中の0.8gのM(3.7ミリモル)、0.76g のN(4.4ミリモル)及び92mgのDMAPの溶液に、CH2Cl2中の0.84g のDCC(4.1ミリモル)を添加した。混合物を25℃で3時間攪拌して濾過 した。濾液を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、乾燥(Na2SO4)して真空蒸 発した。フラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、5% EtOAc/ヘキサン)で 無色の油として1.0g(収率92%)の純粋なOを得た。 (2S)−2−〔3′(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2′,2′−ジメ チルプロパノイロキシ〕−4−メチルペンタン酸(P) 乾燥THF(アルゴン雰囲気下)中の180mg(0.49ミリモル)のOと6 0mg(0.05ミリモル)の溶液10mLに乾燥モルホリン470μL(5.4ミ リモル)を10分間にわたってゆっくり添加した。50分間攪拌後、エーテル4 0mLを添加して溶液を1N HCl(40mL)で洗浄し次いで飽和重炭酸ナトリウム (30mLで2回)で抽出した。抽出水を0.5N HCl で酸性化してエーテル( 40mL)で抽出した。エーテル抽出液を水(30mLで2回)で洗浄し、乾燥(MgS O4)して真空蒸発して無色の流動性の油(152mg、95%)としてPを得た。 化合物Q アルゴン雰囲気下に0℃で攪拌されている乾燥CH2Cl2(4mL)中のアルコール K(80mg、0.14ミリモル)、酸P(68mg、0.21ミリモル)及びDM AP(4mg)の溶液に乾燥 CH2Cl2(1mL)中のDCC(44mg、0.21ミリ モル)を添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、その時間の間に白色沈殿が 発生し、次いで室温まで暖まるにまかせて更に4時間攪拌した。沈殿物を濾別し て濾液をEt2O(40mL)で稀釈し、稀 HCl(1M、40mL)、飽和NaHCO3(40 mL)及び食塩水(40mL)で連続して洗浄した。エーテル性層を乾燥(MgSO4)し て真空蒸発してワックス様固体を得た。クロマトグラフィ(シリカ、EtOAc :ヘ キサン、1:3)で無色の粘稠な油として純粋なQを得た(103mg、84%) 。 アミノ酸R アミノ酸Q(100mg、0.11ミリモル)に活性化亜鉛末(400mg、過剰 )とAcOH(4mL)を添加した。不均質混合物を45分間音波処理し、更に室温で 90分間攪拌し、次いでセライトのパッド上に注いだ。有機物をCH2Cl2を使用し てセライトパッドから洗浄した。溶媒を真空除去し、無色無定形固体としてカル ボン酸を得た。 粗製の酸を精製せずにトリフルオロ酢酸(TFA、5mL)に溶解し、室温で1 時間静置した。この時間のあと過剰のTFAを真空除去して得られた無定形固体 をクロマトグラフィ精製(Sep-Pak(商標)、シリカ、頭初CH2Cl2次いで10% MeOH/CH2Cl2)に付し、所望の化合物のトリフルオロ酢酸アンモニウム塩を得た 。塩の水溶液の反覆凍結乾燥で無色の無定形固体として遊離アミノ酸Rを生じた (68mg、2工程の間を通して91%)。 クリプトフィシン51 アルゴン雰囲気下に室温の無水DMF(20mL)中のアミノ酸T(75mg、0 .11ミリモル)の攪拌溶液にジイソプロピルエチルアミン(DIEA、44mg 、60μL、0.34ミリモル、約3当量)、続いてDMF(2mL)中のペンタ フルオロジフェニルホスフィネート(FDPP、55mg、0.14ミリモル、約 1.3当量)を添加した。混合物を12時間攪拌し、Et2O(40mL)を添加し、 エーテル層を HCl(1M、40mL)、食塩水(40mL)及びH2O(40mL)で連 続して洗浄し、乾燥(MgSO4)して減圧下に蒸発した。残留ワックス様固体を更に 逆相クロマトグラフィ(ODS、10μ、30% H2O/MeCN、3mL/分)により 精製して無色の無定形固体としてクリプトフィシン51を得た(45mg、61% )。 実施例9 クリプトフィシン52及びクリプトフィシン53の合成 アルゴン雰囲気下の0℃の無水ジクロロメタン(7.5mL)中のクリプトフィ シン51(75mg、0.12ミリモル)の攪拌溶液に、ジクロロメタン(1mL) 中のm−クロロ過安息香酸(mCPBA、50mg、0.23ミリモル、80%活 性酸素に基づいて約2当量)の溶液を添加した。30分後反応混合物を室温まで 暖まるにまかせて更に12時間攪拌した。次いで溶媒を減圧下に除去して無定形 固体として、それぞれ、クリプトフィシン52と53の1.8:1混合物(NM R分析による)を得た。位置異性体のエポキシドの混合物を最小のアセトニトリ ルに溶解して逆相クロマトグラフィ(YMC−ODS、10μ、250mm×22 .5mm、30% H2O/MeCN、6mL/分)に付してクリプトフィシン52(37mg 、48%)とクリプトフィシン53(19mg、25%)に分離した。クリプトフィシン52に対するスペクトルデータ クリプトフィシン53に対するスペクトルデータ 実施例10 クリプトフィシン55の合成 2:1の1,2−ジメトキシエタン/水0.6mL中のクリプトフィシン52( 6mg、0.009ミリモル)の溶液に12N HClを2μL 添加した。溶液を室 温で20時間攪拌し、炭酸カリウムで中和し、5μのフィルターで濾過して蒸発 させた。アセトニトリル可溶性物質を4:1 MeOH /H2O を使用してC18(2 50×10mmのカラム)上の逆相HPLCにより精製して3.0mgのクリプトフ ィシン55を得た(48%)。 対応するジオール、クリプトフィシン56(2.8mg、収率44%)もまた得ら れた。実施例11 クリプトフィシン57の合成 少量のptO2(約1mg)をCH2Cl2を0.5mL含有するフラスコに添加した。フラ スコ中の空気を排気し、H2を導入して混合物を室温で20分間攪拌した。CH2Cl2 (0.3mL)中に10.2gのクリプトフィシン52(0.015ミリモル)を 含有する溶液を添加して混合物を室温で更に30分間攪拌した。触媒をセライト /綿を通して濾過することにより除去して溶媒を真空除去した。残留物の逆相H PLC(ODS、10μ、250×22.5mm、 MeCN /H2O(3:1)、5mL /分)で純クリプトフィシン57(9.1mg、89%)を得た。 実施例12 クリプトフィシン58の合成 約−60℃のエタノールを含まないクロロホルム3mL中のクリプトフィシン5 7(5.5mg、0.008ミリモル)の攪拌溶液にTMSC1(アルドリッチか ら入手したまま使用、約4.5mg、約5.2μL、約0.04ミリモル)を添加 した。反応混合物を20分間攪拌したが、その時間によりTLCは出発材料が全 く残っていないことを示した。この材料をアセトニトリルに溶解してHPLC( ODS、10μ、250×22.5mm、 MeCN /H2O(3:1)、5mL/分)に 付して主生成物として純クリプトフィシン58(5.4mg、93%)を生じた。 実施例13 クリプトフィシン61の合成 乾燥ベンゼン0.5mL中のクリプトフィシン53(5mg、0.007ミリモル )の溶液に硫化トリフェニルホスフィン(4mg、0.014ミリモル)、続いて 乾燥ベンゼン(100μL)中の溶液としてトリフルオロ酢酸0.65μL を添 加した。溶液を室温で6時間攪拌し、重炭酸ナトリウムで中和し、濾過して蒸発 した。残留物を水とCH2Cl2に分配した。CH2Cl2−可溶物を4:1 MeCN /H2Oを 使用してC18上の逆相HPLCにより精製して純クリプトフィシン61(1. 9mg、37%)を得た。 実施例14 クリプトフィシン81の合成 化合物S 化合物Sは、Fのtert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDMS)誘導 体である。化合物T −78℃の塩化p−メトキシベンジルトリフェニルホスホニウムのTHF溶液 10mLにブチルリチウム溶液(1ミリモル、ヘキサン中の2.5M)400μL を添加した。混合物を30分間攪拌し次いでアリコート2.64mLを−78℃の アルデヒドS(75.0mg、0.24ミリモル)のTHF溶液3mLに添加した。 30分後、冷却を中止したが、攪拌を更に2時間継続しその時間の間に温度はゆ っくり25℃に上昇した。反応液を塩化アンモニウム飽和溶液で冷却し、THF を蒸発させた。生成物をヘキサンで2回抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄 し、乾燥し次いで濃縮した。残留物をフラッシュシリカカラム(3% EtOAc/ヘ キサン)にかけて63mgの化合物Tと40mgのTとZ異性体を得た。 化合物Tは次の物性を有していた。 追加の化合物TをTとZ異性体の混合物から得た。EとZ異性体の混合物40 mgをチオフェノール(0.02M)とACN(0.006M)を含有するベンゼ ン溶液4mLに溶解した。混合物を5時間還流加熱した。短いシリカカラムによる 後処理と精製で37.2mgの化合物Tを得た。化合物U 化合物T(76mg、0.15ミリモル)のアセトン溶液6mLに水中の1N Li OHを4.4mL添加した。アセトンを蒸発して水溶液を1N HCl で酸性化した。 生成物をEtOAc で3回抽出した。有機層を乾燥、濃縮した。シリカカラム(20 % EtOAc/AcOHを0.5%有するヘキサン)による精製で化合物Uの酸62.2 mg(81%)を得た。 化合物V 化合物U(59mg、0.12ミリモル)、化合物Iのトリフルオロ酢酸塩(5 7.2mg、0.12ミリモル)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA、6 2μL、0.36ミリモル)を乾燥DMF1.5mLに溶解した。この溶液にED PP(DMF0.6mL中の55mg、0.14ミリモル)を添加して反応混合物を 2時間攪拌した。エーテルを添加して有機相をそれぞれ1N HCl、飽和重炭酸ナ トリウム、及び食塩水で連続して洗浄した。クロマトグラフィ(シリカカラム、 8% EtOAc/ヘキサン)による濃縮と精製で化合物V74.2mg(72%)を得 た。 化合物W アセトニトリル5.7mL中の化合物V(55.8mg、0.065ミリモル)の 溶液に0℃で49%フッ化水素酸を2.0mL添加した。氷浴を5分後に取り除き 反応混合物を17時間激しく攪拌した。生成物をエーテル中に抽出して抽出液を 飽和重炭酸ナトリウムと食塩水で連続して洗浄した。濃縮と順相クロマトグラフ ィ(シリカカラム、25%EtOAc/ヘキサン)で化合物W31.6g(79 %)を得た。 (2S,2’R)−2−〔3’(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2’−メ チルプロパノイル−オキシ〕−4−メチルペンタン酸(AC) メタノール中の約9Mアンモニア300mL中のメチル(S)−(+)−3−ヒ ドロキシ−2−メチルプロパノエート(X)(10g、85ミリモル)の溶液を 密封ガラスフラスコ中で50℃に168時間加熱し、窒素を流して過剰のアンモ ニアを除去し、次いで真空乾燥まで蒸発した。残留物をエーテルで粉砕して、白 色固体として(S)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(5.7g、 収率66%)を残した。 無水THF(20mL)中の(S)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミ ド(2.1g、20ミリモル)の懸濁液を0℃に冷却した1Mボラン−THF錯 体(61ミリモル、61mL)にゆっくり添加した。混合物を6時間還流し、0℃ に冷却し、濃HCl(10mL)で注意深く分解し、真空濃縮した。濃縮物をNa OH(20g)で飽和し、CHCl3(15mLで4回)で抽出し、合わせた抽出 物を乾燥(MgSO4)した。濾過して溶媒を除去後、真空蒸留で無色の油とし て1.4g(収率77%)の(R)−3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オ ール(Y)を得た。 MeOH中のトリエチルアミンの10%溶液39mL中のアミノアルコールY( 2.0g、22ミリモル)の溶液にジ−tert−ブチルジカーボネート(5.4g 、25ミリモル)を添加し、混合物を25℃で30分間攪拌した。溶媒の除去 後、残留物をCH2Cl2に溶解して溶液を1M KHSO4(pH2)で2回、N aCl飽和溶液で1回洗浄し、乾燥(MgSO4)した。溶媒の真空除去で粘稠 な油として4.3g(収率100%)の(R)−3−(tert−ブトキシカルボニ ル)アミノ−2−メチルプロパン−1−オールを得て、それを更に精製せずに( NMR分析による純度95%以上)次工程に直接使用した。 四塩化炭素(25mL)、アセトニトリル(25mL)及び水(38mL)中のアル コール(R)−3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロパン −1−オール(2.2g、12ミリモル)の溶液に三塩化ルテニウム水和物(5 1mg、0.25ミリモル)を添加し、混合物を25℃で1時間攪拌した。混合物 をCH2Cl2(100mL)で稀釈し次いでセライトを通して濾過した。濾液を2 M K2CO3溶液で塩基性化(pH9)し水層をエーテルで洗浄した。水層を1M KHSO4でpH2に0℃で酸性化してCH2Cl2(20mLで3回)で抽出した 。合わせた抽出液をNaCl飽和溶液で洗浄して乾燥(MgSO4)した。溶媒 を真空除去して粘質固体として2.0g(収率85%)の(R)−3−(tert− ブトキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロパン酸(Z)を得た。純Z(1. 75g、収率74%)をエーテルによって結晶化した。 0℃の水30mL中の重炭酸ナトリウム1.74g(20ミリモル)とL−ロイ シン酸2.66g(20ミリモル)の溶液に塩化テトラブチルアンモニウム6. 44g(20ミリモル)と臭化アリル1.74mL(20ミリモル)の CH2Cl2溶液を30mL添加した。混合物を24時間激しく攪拌後、CH2Cl2 を蒸発した。水約50mLを添加して水層をEt2Oで4回抽出した。エーテル溶 液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し次いで蒸発した。残留物を短いSiカラムを 通過させて無色の油として3.21gのアリル(2S)−2−ヒドロキシ−4− メチルペンタノエート(AA)(93%)を得た。 0℃の乾燥CH2Cl212mL中の1.74gのZ(8.55ミリモル)、1. 34gのAA(8.0ミリモル)及び64mgのDMAPの溶液に、CH2Cl2中 のDCC(2.47g、12ミリモル)の溶液8mLを滴下様式で添加した。白色 沈殿を濾別し、溶媒を蒸発して、残留物をEt2Oに再溶解した。エーテル溶液 を冷0.5N HCl、重炭酸ナトリウム及び食塩水で連続して洗浄した。乾燥 (Na2SO4)したエーテル層を蒸発し、生成物をフラッシュカラムクロマトグ ラフィ(シリカゲル)により精製して無色の油として2.62g(収率92%) の純アリル(2S,2’R)−2−〔3’(tert−ブトキシカルボニル)アミノ −2’−メチルプロパノイル−オキシ〕−4−メチルペンタノエート(AB)を 得た。 乾燥THF中の282mg(0.8ミリモル)のABと91mg(0.08ミリモ ル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの溶液10mLに乾燥モ ルホリン688μL(8ミリモル)をゆっくり添加した。40分間攪拌後、溶媒 を蒸発してCH2Cl2100mLを添加した。溶液を2N HClと水で連続して 洗浄した。有機層を濾過して濾液を飽和重炭酸ナトリウムで2回抽出した。CH2 Cl2で逆洗後、水層を先ず0℃の冷KHSO4でpH3に酸性化し次いでエーテ ルで3回抽出した。乾燥エーテル抽出物を蒸発してワックス様固体として250 mgの(2S,2’R)−2−〔3’−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2 ’−メチルプロパノイル−オキシ〕−4−メチルペンタン酸(AC)(収率10 0%)を得た。 化合物AD アルコールW(34.8mg、0.056ミリモル)、化合物AC(26.8mg 、0.085ミリモル)及びDMAP(1.74mg)をジクロロメタン283μ Lに溶解した。この混合物にDCC(17.5mg、0.085ミリモル)のジク ロロメタン溶液666μLを添加した。反応混合物を一夜攪拌した。溶媒を窒素 流で蒸発し、エーテルを添加し、白色沈殿を濾別した。濾液を0.5N HCl 、飽和重炭酸ナトリウム及び食塩水で連続して洗浄した。濃縮とクロマトグラフ ィ(シリカカラム、25%EtOAc/ヘキサン)で46mgの化合物AD(90 %)を得た。 クリプトフィシン81 化合物AD(46mg、0.05ミリモル)をHOAc1.3mL中で活性化亜鉛 末(178mg、過剰)と混合した。混合物を45分間超音波処理し次いで更に9 0分間攪拌した。ジクロロメタン約30mLを添加した。固体を濾別して濾液を真 空蒸発した。残留物をTFA1.1mLに溶解して溶液を1時間攪拌した。TFA を真空蒸発して水を添加した。凍結乾燥で遊離アミノ酸を得た。アミノ酸をDM F4.6mLに溶解した。この溶液にDIEA26μLとFDPP(30mg、0. 075ミリモル、DMF2.2mL中)をそれぞれ添加した。6時間攪拌後、溶媒 を蒸発してEtOAcを添加した。溶液を0.5N HClと食塩水でそれぞれ 洗浄した。溶媒の蒸発続いてクロマトグラフィ精製(Si、エーテル)で20. 5mgのクリプトフィシン81(61%)を得た。 実施例15 クリプトフィシン82の合成 化合物AE 化合物AEはEのtert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDMS)であ る。化合物AF AE(150mg)のAF(125mg)への加水分解を、TのUへの加水分解の ために上記した手順を使用して収率87%で行った。 例15 クリプトフィシン82の合成 化合物AE 化合物AEはEのt−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDMS)誘導体 である。化合物AF AE(150mg)のAF(125mg)への加水分解はTよりUへの加水分解に ついて上述した方法を用いて87%の収率で行われた。 1H NMR δ 7.69/7.64(S iPh2,2'-H,6'-H/2"-H,6"-H,d,6.3),7.41(SiPh2,4'-H/4"-H,m),7.39(Si Ph2,3'-H,4-Me-H/3"-H,5"H,m),6.86(3-H; dt; 15.5,7.5),5.62(2-H,d, 15.5),5.30(7-H/8-H,m),3.72(5-H,m).2.28(4-H,m),2.20(6-H,m),1.52( 9-H,bd.7.7),1.08(CMe3,s),1.00(6-CH,d,6.7)。化合物AG AF(76mg,0.18ミリモル)からのAG(96mg)の製造はUよりVの 製造について上述した方法を用いて 70%の収率で行われた。 1H NMR δ 単位 A 7.67(SiPh2,2'-H,6'-H/2"-H,6"-H; m),7.46-7.31(SiPh2,3'-H,4'-H,4-M e-H/3"-H,4"-H.5"-H,m),6.62(3-H; dt; 15.4,7.6),5.51/5.48(2-H,d,15. 4),5.33(7/8,m),3.70(5-H,m).2.22(4-H/6-H,m),1.61(9,bd.7.4),1.06 (CMe3,s),0.98(6-Me,d,6.8);単位B 7.16(5-H,d,1.7),7.00(9-H,dd,8.5 ,1.7),6.83/6.82(8-H,d,8.5),5.68/5.66(NH,d,7.3),5.03(2-H,m),4.78 /4.73(CH2Cl3,ABq,-11.9),3.87(OMe,S),3.16(3-H; m),3.09(3ーH',m).13CN MRδ単位 A 165.1(1),143.0/142.9(3),136.0( SiPh2,2',6'/2",6"),134.3/ 133.7(SiPh2,1'/1").132/5(7),129.6(SiPh2,4'/4"),127.5(SiPh2,3',4Me /3",5"),125.7/125.4(2),76.3(5),41.6(6),36.9/36.8(4),27.0(CMe3 ),19 .5( CMe3),18.1(9),16.4/16.3(6-Me); 単位B 170.0(1),154.2(7),131.0(5) ,128.4(4/9),122.5(6),112.1(8),94.2(CCl3),74.7( CH 2CCl3),56.1(OMe) ,52.9(2),36.4(3)。化合物AH AG(84mg、0.11ミリモル)からのAH(53.4mg)の製造はVより Wの製造について上述した方法を用いて92%の収率で行われた。 1H NMR δ単 位 A 6.83(3-H,dt,15.4,7.5),5.80(2-H,d,15.4),5.51(8-H,m),5.33(7- H,dd,15.2,8.3),3.50(5-H,m),2.42(4-H,m),2.30(4-H',m)2.28(6,m), 1.68(9,d,7.3),0.99(6-Me,d,6.7); 単位 B 7.20(5-H,d,1.8),7.03(9-H ,dd,8.4,1.8),6.80(8-H,d,8.4),6.10(NH,bd,7.0),5.07(2-H,m),4.8 0/4.70(CH3Cl3,ABq.-11.5),3.88( OCH3,S),3.20(3-H,dd,5.5,-14.3), 3.10(3H',dd,7.2,-14.3).13C NMR δ 単位 A 164.1(1),142.8(3),132.2( 7),127.7(2),125.7(2),73.6(5),42.8(6),36.9(4),18.1(9),16.8(6-Me); 単位 B 170.2(1),154.2(7),131.0(5),128.5(4/9),122.5(6),112.2(8),94 .2(CCl3),74.7(CH 2CCl3),56.1(OMe),53.1(2),36.5(3)。クリプトフィシン82 化合物AI(36.8mg,86%収率)は27.4mg(0.052ミリモル) の化合物AHから ADについて上述した方法を用いて製造された。 化合物AI(68mg,0.083ミリモル)はADのクリプトフィシン81へ の環化について上述した方法を用いてクリプトフィシン82に環化された。 [α]D+19.9°(CHCl3,c 2.0). 1H NMR(500 MHz) δ 単位 A 6.65(3-H,ddd ,15.4,9.5,5.6),5.76(2-H,d,15.4),5.48(8-H,dq,15.3,6.5),5.27(7- H,ddd,15.3,8.4,1.5),4.89(5-H,ddd,10.7,5.6,1.5),2.38(4-H,m),2 .33(4-H'/6-H,m),1.66(9-H,dd,6.4,1.5),1.00(6-Me,d,6.9); 単位 B 7. 22(5-H,d,2.0),7.08(9-H,dd,8.4,2.0),6.83(8-H,d,8.4),5.74(NH,m) ,4.81(2-H,ddd,8.5,7.3,5.6),3.87(OMe,S),3.13(3-H; dd,5.6,-14.4) ,3.04(3-H,dd,7.3,-14.4); 単位 C,6.93(NH,bdd,6.7,4.7),3.52(3-H, ddd,4.7,3.9,-13.5),3.27,(3-W,ddd,6.8,6.7,-13.5),2.72(2-H,dqd, 7.1,6.8,3.9),1.20(2-Me; d,7.1); 単位 D 4.88(2-H,dd.9.6,3.4,),1.7 5(3-H/4-H; m),1.47(3-H,m),0.94(5-H,d,6.2),0.91(4-Me-H,d,6.4).13 C NMR(125 MHz)δ単位 A 165.5(1),141.7(3),131.4(7),127.1(8),125.2(2) ,77.7(5),41.5(6),36.2(4),17.9(9),17.2(6-Me); 単位 B 171.0(1),153. 9(7),131.1(5),129.9(4),128.4(9),122.4(6),112.2(8),56.1(OMe),53.5( 2),35.1(3); 単位 C 17.5(1),41.3(3) 38.2(2) 14.0(2-Me); 単位 D 17.9(1) ,71.5(2),39.6(3),24.6(4),23.0(5),21.5(4-Me)。実施例16 クリプトファイシン90およびクリプトファイシン91の合成 スチレン型クリプトファイシンのエポキシ化についての一般的手順 ジクロロメタン中のクリプトファイシン(約10mg/mL)の溶液に、ジクロロ メタン中の3当量のm−クロロ過安息香酸(約10mg/mL)の溶液を加えた。全 ての出発物質が消費されるまで溶液を室温で攪拌した。溶液を短いシリカカラム 中にCH2Cl2それから1:4のC2Cl2:Et2Oを使用して通して2つのエ ポキシドの混合物を与えた。エポキシドはHPLC(C−18、7:3のMeC N:H2O)によって分離した。 この手順を使用して、クリプトファイシン82(5mg)を、2.2mgのクリプ トファイシン90と1.2mgのクプトファイシン91に転化した。クリプトファイシン90のスペクトルデータ クリプトファイシン91のスペクトルデータ 実施例17 クリプトファイシン97の合成 ジメチルスルホキシド(1mL)の中に溶解した環式デプシペプチド、クリプト ファイシン53(9mg、0.013ミリモル)の溶液に、ナトリウムアジド(4 0mg)と濃硫酸(4μL)を加えた。それから、この混合物を75〜85℃で2 日間攪拌した。この時間の後、反応混合物を室温に冷却し、Et2O(15mL) で希釈し、そして有機層をブライン(2×20mL)そしてH2O(20mL)で洗 浄した。それから、このエーテル抽出物を乾燥し(MgSO4で)、そして溶剤 を真空除去して無定形の無色固体を回収した。それは主にアジドアルコール、ク リプトファイシン86であった。逆相クロマトグラフィー(ODS、10μ、2 50×10mm、25%H2O/MeCN、3mL/分)によって精製を達成して純 粋アジドアルコール、クリプトファイシン86を、無定形の無色固体(7.4mg 、77%)として回収した。クリプトファイシン86のスペクトルデータ クリプトファイシン97 Et2O/CH2Cl2(3:1、0.5mL)の中に溶解した環式デプシペプチ ド、クリプトファイシン86(5.5mg、0.008ミリモル)の溶液に、トリ フェニルホスフィン(3mg、0.011ミリモル)のエーテル溶液を加えた。 それから、この混合物を室温で3日間攪拌した。この時間の後、溶剤を真空除去 し、そして残留物をCH2Cl2の中に溶解し、そしてHPLC精製(CNカラム 、10μ、250×10mm、80%Et OAc/CH2Cl2、3mL/分)を施し て純粋クリプトファイシン97を、無定形の無色固体(4.2mg、82%)とし て回収した。 実施例18 クリプトファイシン110〜112および124の合成 クリプトファイシン108 テトラヒドロフランド0.8mLの中のクリプトファイシン90とクリプトファ イシン91の混合物(27mg、0.045ミリモル)に、過ヨウ素酸(32mg、 0.14ミリモル)の水溶液400μLを加えた。この明澄な溶液を室温で5時 間攪拌した。水を加え、そして水性相を酢酸エチルで2回抽出した。有機相を水 で洗浄し、乾燥し、そして濃縮した。残留物を、ODSカラム(1:1のMeC H:H2O)での逆相クロマトグラフィーによって精製して90%収率のクリプ トファイシン108を与えた。 クリプトファイシン108はまた、EからFへのオゾノリシスについての上記 手順を使用してクリプトファイシン82の選択性オゾノリシスによっても製造さ れた。ウィッティヒ反応についての一般的手順 −78℃の、THF中のアリールトリフェニルホスホニウムクロライド(1ミ リモル)の溶液10mLに、ブチルリチウム(0.4mL、ヘキサン中の2.5M、 1ミリモル)を加えた。この反応混合物を−78℃で15分間攪拌し、それから 、氷浴の中に1時間置いた。3当量の上記混合物を、−78℃の、クリプトファ イシン108(約30mg/mL)のTHF溶液に加えた。この溶液を20分間攪拌 した後に冷浴を取り除いた。温度が25℃に上昇したときに、反応を塩化アンモ ニウム飽和水溶液によって静止させた。この混合物を酢酸エチルで2回抽出した 。有機抽出物を水洗し、乾燥し、そして濃縮した。残留物をODSフラッシュカ ラム(65:35のMeCN:H2O)で精製してEとZの異性体混合物(アリ ール基の本性に依存して8%〜13%のZ異性体を含有; NMRによって測定し た分析)を与えた。所望のE異性体はエーテルから結晶化された。クリプトファイシン110 ウィッティヒ反応は、7.3mgのクリプトファイシン108から5.1mgのp −フルオロフェニル同族体(約8%のZ異性体を含有)に導いた(約1mgの未反 応アルデヒドが回収された)。エーテルからの結晶化の後で、4.0mgの純粋ク リプトファイシン110が得られた: クリプトファイシン111 ウィッティヒ反応は、55mgのクリプトファイシン108から43mgのp−ト リル同族体(約9%のZ異性体を含有)に導いた。エーテルからの結晶化の後で 、34mgの純粋クリプトファイシン111が得られた: クリプトファイシン112 ウィッティヒ反応は、51mgのクリプトファイシン108から35mgのp−チ エニル同族体(約13%のZ異性体を含有)に導いた。エーテルからの結晶化の 後で、25mgの純粋クリプトファイシン111が得られた: クリプトファイシン124 ウィッティヒ反応は、153mgのクリプトファイシン108から131mgのp −クロロフェニル同族体(約10%のZ異性体を含有)に導いた。エーテルから の結晶化の後で、107mgの純粋クリプトファイシン124が得られた: 実施例19 クリプトファイシン115〜120、125および126の合成 クリプトファイシン115および116 スチレン型クリプトファイシンのエポキシ化についての上記一般手順を使用し て、クリプトファイシン110(3.5mg)を2.0mgのクリプトファイシン1 15と1mgのクリプトファイシン116に転化した。クリプトファイシン115のスペクトルデータ クリプトファイシン117および118 スチレン型クリプトファイシンのエポキシ化についての上記一般手順を使用し て、クリプトファイシン111(6.2mg)を3.5mgのクリプトファイシン1 17と1mgのクリプトファイシン118に転化した。クリプトファイシン117のスペクトルデータ クリプトファイシン118のスペクトルデータ 1H NMRスペクトルは、フェニルプロトンについての7.30−7.38 における多重線がp−トリルプロトンについての7.14における4H多重線と 2.35における3H−重線によって置き換えられた以外はクリプトファイシン 38のものと同じである。クリプトファイシン119および120 スチレン型クリプトファイシンのエポキシ化についての上記一般手順を使用し て、クリプトファイシン112(8mg)を、1.2mgのクリプトファイシン11 9と0.5mgのクリプトファイシン120に転化した。クリプトファイシン119のスペクトルデータ クリプトファイシン125および126 スチレン型クリプトファイシンのエポキシ化についての上記一般手順を使用し て、クリプトファイシン124(47mg)を、26mgのクリプトファイシン12 5と12mgのクリプトファイシン126に転化した。クリプトファイシン125のスペクトルデータ クリプトファイシン126のスペクトルデータ 例20 クリプトフィシン121〜123および127の合成 化合物 AJ 30mLの無水CH2Cl2中のBOC−L−ロイシン−水和物(1.245g、 5ミリモル)の溶液に、0℃でかきまぜながらN2下固体EDC(1−(3−ジ メチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)(0.53g、2.75 mモル)を加えた。1.5時間0℃でかき混ぜた後、混合物を5℃以下で濃縮し そして残留物を35mLの冷EtOAcで希釈しそして5%水性KHSO4、5% 水性NaHCO3および食塩水、の氷冷溶液の各々の2つの部分(10mL)で連 続的に洗浄した。有機相を分離し、5℃で(MgSO4上で)乾燥しそして5℃ 以下で蒸発させた。残留油を氷冷THF(5mL)で希釈しそして氷冷無水THF (5mL)中の化合物K(295mg、0.5mモル)の溶液に加えた。次にDMA Pの少しの結晶を混合物に加え、これをかき混ぜそして一夜放置して25℃に到 達させた。5%水性NaHCO3溶液(5mL)を加えそして得られた二相混合物 を2時間25℃で激しくかき混ぜた。EtOAc(40mL)を加え、水性相を追 加のEtOAc(2×20mL)で抽出しそして合併した有機層を水および食塩水 で洗浄し、(NaSO4上で)乾燥し、ろ過しそして蒸発させた。残留物をヘキ サン中25%EtOAcとともに、シリカゲルのプラグ中を通過させてろ過して 無色油状物として化合物AJを生成した(385mg、96%収率):〔α〕D 化合物 AK 化合物AJ(115mg、0.134mモル)をTFA(3mL)中に溶解しそし て1時間25℃で放置した。溶媒を除去しそして残留物をCH2Cl2から、次に トルエンから繰り返して蒸発させて無定形固体を残した。この固体を無水THF (5mL)中に溶解しそして溶液のpHをpH8〜9に調節するのに十分なジエチルイ ソプロピルアミンを加え、そのとき、溶液の分別量を湿ったpH紙上にスポットさ せた。溶液をかき混ぜながら0℃に冷却しそしてTHF(3mL)中の化合物AL の溶液を加えた。化合物ALを造るために化合物Z(55mg、0.27mモル) をTHF(3mL)中に溶解しそしてジエチルイソプロピルアミン(0.046mL 、0.27mモル)を加えた。−15℃に冷却後、この混合物に、塩化ピバロイ ル(0.033mL、0.27mモル)を滴下して加えそして10分間−15℃で そして20分間0℃でかき混ぜた。次に得られた懸濁液を、THF中の化合物A Jの溶液に移した。得られた混合物を0℃でかき混ぜそして一夜放置して25℃ に到達させた。25℃で12時間後、5%水性NaHCO3溶液を加えそして得 られた混合物を1.5時間25℃ではげしくかき混ぜた。EtOAC(40mL) を加えそして相を分離させた。水性相を追加のEtOAC(2×10mL)で 抽出した。合併した有機抽出液を5%水性NaHCO3溶液(20mL)、5%水 性KHSO4溶液(20mL)および食塩水で洗浄し、(NaSO4上で)乾燥しそ して蒸発させた。残留油をヘキサン中の35%EtOAcで溶離してシリカゲル 上でクロマトグラフィにかけて無色泡状物として化合物AKを生成した(98mg 、83%収率) クリプトフィシン121 化合物AK(73mg、0.082mモル)をAcOH(3.5mL)中に溶解し 、活性化Zn粉末(400mg)を加えそして得られた懸濁液を45分間音波にか けた。追加の1.5時間25℃でかき混ぜた後、混合物をCH2Cl2(5mL)で 希釈しそしてCeliteR中を通過させてろ過した。固体を追加のCH2Cl2(10m L)で洗浄しそして得られたろ液を蒸発させた。さらに精製することなしに、残 留物をTFA(3mL)中に溶解し、1時間25℃に維持しそして溶媒を真空除去 した。無色の固体が得られるまで、残留物をCH2Cl2から、次にトルエンから 繰り返して蒸発させた。この固体を乾燥DMF(3mL)に溶解し、FDPP(4 3mg、0.108mモル)を加え、次に溶液のpHをpH8〜9に調節するのに十分 な量のジエチルイソプロピルアミンを加え、そのとき分別量を湿ったpH紙上にス ポットさせた。16時間25℃でかき混ぜた後、混合物をエーテル(4 0mL)で希釈しそして5%水性KHSO4溶液(2×1mL)、5%水性NaHCO3 (15mL)および食塩水で洗浄した。(Na2SO4上で)乾燥しそして蒸発さ せた後、残留物を6mL/分で65:35のCH3CN/水で溶離して、C−18 シリカ(EconosilR C−18、22×250mm)上で逆相HPLCにかけること により残留物を精製した。tR48分で溶離する分画を集めそして蒸発させて無 定形固体(26mg、50%収率)が残った。 クリプトフィシン122および123 無水CH2Cl2(1.3mL)中のクリプトフィシン121(20mg、0.32 mモル)のかき混ぜた溶液(0℃)に一回で99%mCPBA(17mg、0.1 mモル)を加えた。次に無水トルエン(0.7mL)を加えそして得られた混合物 を72時間25℃でかき混ぜた。溶媒を真空蒸発させそして残留固体を6mL/分 で65:35のCH3CN/水で溶離してC−18シリカ(EconsilR C−18、 22×250mm)上で逆相HPLCにより精製した。クリプトフィシン122( 9mg、44%)はtR37.5分で溶離しそしてクリプトフィシン123(5mg 、23%)はtR40分で溶離した。クリプトフィシン122 クリプトフィシン123 クリプトフィシン127 クリプトフィシン122(5mg、0.0075ミリモル)をCHCl3(2mL )に溶解しそしてN2下−40℃に冷却した。塩化トリメチルシリル(0.02m L、0.157mモル)を滴下して加えそして得られた混合物を1時間−40℃ でかき混ぜた。溶媒を蒸発させそして残留物をジエチルエーテル中の15%Et OHとともに、シリカゲルのプラグ中を通過させてろ過してクリプトフィシ ン127(4mg、77%収率)を生成した。 例21 クリプトフィシン128および130〜134の合成 クリプトフィシン128、130および131 クリプトフィシン117と118との粗製2:1の混合物の5.7mgをCHC l3(0.5mL)に溶解しそして3時間−60℃で塩化トリメチルシリル(5μL) で処理した。クロロヒドリンの得られた混合物を逆相HPLCによりクリプトフ ィシン128、クリプトフィシン130およびクリプトフィシン131に分離し た。順相HPLCによりさらに精製して純粋なクリプトフィシン128(2.1 mg)を得た。クリプトフィシン128についてのスペクトルデータ クリプトフィシン130についてのスペクトルデータ クリプトフィシン131についてのスペクトルデータ クリプトフィシン132、133および134 ジクロロメタン(6mL)中に溶解されたクリプトフィシン124とそのZ異性 体(134mg、0.199mモル)との混合物を36時間室温でm−クロロ過安 息香酸(103mg、0.598mモル)と反応させた。反応中生成したクロロ安 息香酸を除去するためにりん酸塩緩衝液(10mL、pH8)を加えた。30分後、 水性層を、硫化ジメチル(50μL)およびりん酸塩緩衝液(10mL)の新しいサ ンプルと入れ換えた。30分間かき混ぜ続けた。有機層を分離し、溶媒を蒸発さ せそして残留物を12時間真空乾燥した。主としてクリプトフィシン125と1 26との粗製混合物をCHCl3(5mL)中に溶解しそして3時間−60℃で過 剰の塩化トリメチルシリル(50μL)で処理した。溶媒を蒸発させそして残留物 を逆相HPLC(Econsil ODSシリカ、250mm×22mm、35%H2O/C H3CN、3mL/分)により精製してクリプトフィシン134(tR52.5分、 9mg、6%)、部分的に純粋なクリプトフィシン133(tR61分、32mg、 22%)および粗製クリプトフィシン132(tR67.5分、72mg)を得た 。順相HPLC(Econsil シリカ、250mm×10mm、56%EtOAc/ヘキ サン、3mL/分)によりさらに精製して純粋なクリプトフィシン132(65mg 、45%)を得た。クリプトフィシン132についてのスペクトルデータ クリプトフィシン134についてのスペクトルデータ 1H NMRスペクトルはフェニルプロトンについての7.31(10/14 )および7.36−7.40(11/12/13)での2つの多重線がp−クロ ロフェニルプロトンについての7.26(10/14)および7.36(11/ 13)での2つの二重線により置き換った以外はクリプトフィシン27の 1H NMRスペクトルと同様である。例22 構造−活性相関(SAR)およびインビボ評価 ヒト腫瘍細胞系KBおよびL00に対するクリプトフィシン1、3および8お よび新しいクリプトフィシン類の細胞毒性は表6に示される。クリプトフィシン 51およびクリプトフィシン3は比較出来る細胞毒性を示す(IC50 3.5〜 5.8nM)。しかしながら、クリプトフィシン52(IC50 43〜70pM)は クリプトフィシン1(IC50 9〜29pM)よりやや低い細胞毒性でありそして クリプトフィシン55(33〜47pM)はクリプトフィシン8(IC50 9〜1 9pM)よりやや低い細胞毒性である。クリプトフィシン117、122、125 、127、128および132についての細胞毒性IC5はクリプトフィシン1 、8、52および55についての細胞毒性IC50と比較出来る;しかしながらそ のデータは一層意味がある比較とは現在認めていない。 クリプトフィシン52はインビボで活性であるがしかしクリプトフィシン1と 比較しておおざっぱに3倍の合計投与量を必要とする。5つのねずみ由来の充実 性腫瘍および3つのヒト充実性腫瘍に対するクリプトフィシン52のインビボ活 性を表7に要約する。同様にクリプトフィシン55はインビボで活性であるがし かしクリプトフィシン8と比較して3倍の合計投与量をまた必要とする。6つの ねずみ由来の充実性腫瘍および4つのヒト充実性腫瘍に対するクリプトフィシン 55のインビボ活性を表8に要約する。インビボデータはインビトロデータと相 関連しているように思われる。 クリプトフィシン117、125、128および132はねずみ由来の膵臓腺 癌(Panc 03)に対してインビボで活性である。クリプトフィシン117およ び118は一層強力であると思われ、即ちそれらはクリプトフィシン1および8 、それぞれよりも少ない合計投与量を必要とするが、しかるにクリプトフィシン 125および132は強力性が低い、即ちそれらはクリプトフィシン1および8 、それぞれよりも高い合計投与量を必要とする。データを表9に要約する。 42%未満であるT/C値はNCI標準により活性であると考えられる;10 %未満であるT/C値はNCI標準により優れた活性および有力な臨床活性を有 すると考えられる。総対数死滅(Gross log kill)はT−C/3.2Td(但し、 Tは750mgに到達するための処理されたグループの腫瘍について日での中央時 間であり、Cは750mgに到達するための対照グループの腫瘍についての日での 中央時間でありそしてTdは腫瘍容量二重時間(tumor volume doubling time)で ある)として定義される(T.H.Corbett 等、Cytotoxic Anticancer Drugs ;M odels and Concepts for Drug Discovery and Development,pp35〜87;Klu wer:Norwell,1992)。5〜20日の薬剤処理の期間を用いて、>2.8、 2.0〜2.8、1.3〜1.9、0.7〜1.2および<0.7の総対数死滅 値はそれぞれ、++++、+++、++、+および−(不活性)と得点化される 。臨床的活性の表示である+++〜++++の活性等級は100〜300mgの大 きさのかたまりのほとんど移植されたマウスの充実性腫瘍の部分的または完全な 退縮を行なうのに必要とされる。クリプトフィシン52はねずみ腫瘍について0 〜14%そしてヒト腫瘍について4.1〜16の範囲のT/C値を示しそしてね ずみ腫瘍について1.1〜2そしてヒト腫瘍について0〜3.2の範囲の総対数 死滅値を示す。クリプトフィシン1は0〜27%の範囲のT/C値を示しそして <1〜2の範囲の対数死滅値を示す。クリプトフィシン55はほとんど0〜4. 4%の範囲のT/C値を示しそして1.2の総対数死滅値を示した1つの試 験 Colon 26実験を除いてのすべてについて2.1〜>4.6(治癒)の範囲 の対数死滅値を示した。表10に示されるように、クリプトフィシン8はほとん ど0%のT/C値および>2.8(幾つか治癒)の対数死滅値を示す。クリプト フィシン117および125は他のエポキシドタイプのクリプトフィシン、即ち クリプトフィシン1および52の値と比較出来るT/C値および総対数死滅値を 有すると思われ、しかるにクリプトフィシン128および132は他のクロロフ ィシンタイプのクリプトフィシン、即ちクリプトフィシン8および55の値と比 較出来るT/C値および総対数死滅値を有する。 この明細書において引用されたがしかし参照により個々にそして特に組み入れ られなかったすべての刊行物および特許はそれらが参照により組み入れられるべ きことを特にそして個々に示されたように参照することにより本明細書に組み入 れられる。 上記本発明は明確化および理解の目的のために例示および例により幾分詳細に 記載されたけれども、請求の範囲の精神および範囲から離れることなしにそれら に或る変化および修正が行なわれることが出来ることはこの発明の教示からみて 当業者に明らかであろう。 a L=白血病選択性(例えばZL1210−ZC18および ZL1210−ZHS≧250zu ) M=ねずみ充実性腫瘍選択性(例えばZC18−ZL1210≧250zu) H=ヒト充実性腫瘍選択性(例えばZHS−ZL1210≧250zu) E=白血病および充実性腫瘍細胞系に対して等しく細胞毒性(阻止域≧250 zu) T=腫瘍選択性(例えばZL1210−ZLML,ZC18−ZLML,およびZHS−ZLML ≧250zu) I=不活性(阻止域<250)b N=腫瘍(白血病)および正常細胞(CFU−GM)系に対して非選択性 LL=リンパ性白血病選択性(ZL1210−ZCFU-GM≧250zu) ML=急性骨髄性白血病(AML)選択性(ZAML−ZCFU-GM≧250zu)c 薬剤−感受性および薬剤耐性細胞系に対して選択性(ZC18−ZLML,ZM17− ZLMLおよびZHS−ZLMLd 薬剤感受性細胞系だけに対して選択性 表5に関して、48時間下に示される化合物の種々の濃度を用いて細胞を処理 した。次に方法のセクションにおいて示されたとおりにして細胞数を測定しそし て各々の化合物についてのIC50が計算された。値は3つの実験についての平均 ±SEMを表わす。 * 対数死滅計算を行なうための腫瘍再生長の限界数引用文献
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/00 615 A61K 31/00 615 626 626E 635 635A 635 643 643B 31/34 601 31/34 601 31/395 31/395 C07C 231/02 C07C 231/02 237/22 237/22 C07D 257/02 C07D 257/02 273/08 273/08 307/20 307/20 409/04 303 409/04 303 // C07M 7:00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),AM,AT,AU,BB,BG,BR,B Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI ,GB,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LT,LU,LV,MD,MG,MN,M W,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN (72)発明者 ティウス,マルカス,エー アメリカ合衆国96734 ハワイ州カイルア, アキアハラ ストリート 1347 (72)発明者 バロウ,ラッセル,エー アメリカ合衆国96813 ハワイ州ホノルル, サウス キング ストリート 818,ナン バー 1403 (72)発明者 リアン,ジアン アメリカ合衆国96813 ハワイ州ホノルル, パシフィック ハイツ ロード 2532 (72)発明者 コーベット,トマス,エイチ アメリカ合衆国48230 ミシガン州グロス ポイント,グレイトン 1259 (72)発明者 バラリオト,フレデリック,エー アメリカ合衆国48316 ミシガン州シェル ビィ タウンシップ,セブン オークス ドライブ 52623 (72)発明者 ヘムシャイト,トマス,ケイ アメリカ合衆国96821 ハワイ州ホノルル, アイプニ ストリート 640

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.構造 (式中、 Arは、メチル、またはフェニル、または任意の単純な未置換若しくは置換芳香 族または複素芳香族基であり、 R1は、ハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ト リアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルチオ、スルフェート、また はホスフェートであり、 R2は、OH、またはSHであり、または R1およびR2が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環 、スルフェート環、またはモノアルキルホスフェート環を形成することができ、 または R1およびR2が一緒になって、C18とC19との間に二重結合を形成することがで き、 R3は、低級アルキル基であり、 R4およびR5はHであり、または R4およびR5が一緒になって、C13とC14との間に二重結合を形成することがで き、 R6は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシ ベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロ アルコキシベンジル基であり、 R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立してHまたは低級アルキル基であり 、 XおよびYは、それぞれ独立してO、NHまたはアルキルアミノである)を有す るクリプトフィシン化合物。 2.R8がエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル またはイソペンチルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。 3.R7がエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル またはイソペンチルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。 4.R7がHであり、R8がメチルであり、R9がメチルであり、XおよびYは 両方共Oではない、請求項1に記載のクリプトフィシン。 5.R3がエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル またはイソペンチルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。 6.R9がメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたは イソペンチルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。 7.R10がメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたは イソペンチルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。 8.C3、C6、C10、C16、C17およびC18に結合した基の少なくとも1個が R立体化学を有する、請求項1に記載の化合物。 9.C3、C6、C10、C16、C17およびC18に結合した基の少なくとも1個が S立体化学を有する、請求項1に記載の化合物。 10.Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってC18とC19との間に 二重結合を形成し、R3、R7およびR8がメチルであり、R4およびR5が一緒に なってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシ ベンジルであり、R9がイソブチルであり、R10が水素であり、XおよびYが酸 素である、請求項1に記載の化合物。 11.Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってR,R−エポキシド 環を形成し、R3、R7およびR8がメチルであり、R4およびR5が一緒になって C13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジ ルであり、R9がイソブチルであり、R10が水素であり、XおよびYが酸 素である、請求項1に記載の化合物。 12.Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってS,S−エポキシド 環を形成し、R3、R7およびR8がメチルであり、R4およびR5が一緒になって C13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジ ルであり、R9がイソブチルであり、R10が水素であり、XおよびYが酸素であ る、請求項1に記載の化合物。 13.Arがフェニルであり、R1がS−クロロであり、R2がR−ヒドロキシル であり、R3、R7およびR8がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13 とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルで あり、R9がイソブチルであり、R10が水素であり、XおよびYが酸素である、 請求項1に記載の化合物。 14.Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってR,R−エポキシド 環を形成し、R3、R7およびR8がメチルであり、R4およびR5が水素であり、 R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9がイソブチルであり、R10 が水素であり、XおよびYが酸素である、請求項1に記載の化合物。 15.Arがフェニルであり、R1がS−クロロであり、R2がR−ヒドロキシル であり、R3、R7およびR8がメチルであり、R4およびR5が水素であり、R6が 3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9がイソブチルであり、R10が水 素であり、XおよびYが酸素である、請求項1に記載の化合物。 16.Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってR,R−エピスルフ ィド環を形成し、R3、R7およびRがメチルであり、R4およびR5が一緒にな ってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベ ンジルであり、R9がイソブチルであり、R10が水素であり、XおよびYが酸素 である、請求項1に記載の化合物。 17.Arがp−メトキシフェニルであり、R1およびR2が一緒になってC18と C19との間に二重結合を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が 一緒になってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メ トキシベンジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、 XおよびYが酸素である、請求項1に記載の化合物。 18.Arがメチルであり、R1およびR2が一緒になってC18とC19との間に二 重結合を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13 とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジル であり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが酸 素である、請求項1に記載の化合物。 19.Arがメチルであり、R1およびR2が一緒になってR,R−エポキシド環 を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13とC14 との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであり 、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが酸素であ る、請求項1に記載の化合物。 20.Arがメチルであり、R1およびR2が一緒になってS,S−エポキシド環 を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13とC14 との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであり 、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが酸素であ る、請求項1に記載の化合物。 21.Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってR,R−アジリジン 環を形成し、R3,R7およびR8がメチルであり、R4およびR5が一緒になって C13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジ ルであり、R9がイソブチルであり、R10が水素であり、XおよびYが酸素であ る、請求項1に記載の化合物。 22.Arがp−フルオロフェニルであり、R1およびR2が一緒になってC18と C19との間に二重結合を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が 一緒になってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メ トキシベンジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、 XおよびYが酸素である、請求項1に記載の化合物。 23.Arがp−トリルであり、R1およびR2が一緒になってC18とC19との間 に二重結合を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になっ てC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベン ジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、X およびYが酸素である、請求項1に記載の化合物。 24.Arが2−チエニルであり、R1およびR2が一緒になってC18とC19との 間に二重結合を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒にな ってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベ ンジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、Xおよび Yが酸素である、請求項1に記載の化合物。 25.Arがp−フルオロフェニルであり、R1およびR2が一緒になってR,R −エポキシド環を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒に なってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシ ベンジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、Xおよ びYが酸素である、請求項1に記載の化合物。 26.Arがp−フルオロフェニルであり、R1およびR2が一緒になってS,S −エポキシド環を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒に なってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシ ベンジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、Xおよ びYが酸素である、請求項1に記載の化合物。 27.Arがp−トリルであり、R1およびR2が一緒になってR,R−エポキシ ド環を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13 とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルで あり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが酸素 である、請求項1に記載の化合物。 28.Arがp−トリルであり、R1およびR2が一緒になってS,S−エポキシ ド環を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13 とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルで あり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが酸素 である、請求項1に記載の化合物。 29.Arが2−チエニルであり、R1およびR2が一緒になってR,R−エポキ シド環を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13 とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベ ンジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、Xおよび Yが酸素である、請求項1に記載の化合物。 30.Arが2−チエニルであり、R1およびR2が一緒になってS,S−エポキ シド環を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13 とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジル であり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが酸 素である、請求項1に記載の化合物。 31.Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってC18とC19との間に 二重結合を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になって C13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジ ルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、Xが酸素であ り、Yが水素を1個だけ有する窒素である、請求項1に記載の化合物。 32.Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってR,R−エポキシド 環を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13と C14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであ り、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、Xが酸素であり、Y が水素を1個だけ有する窒素である、請求項1に記載の化合物。 33.Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってS,S−エポキシド 環を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13と C14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであ り、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、Xが酸素であり、Y が水素を1個だけ有する窒素である、請求項1に記載の化合物。 34.Arがp−クロロフェニルであり、R1およびR2が一緒になってC18とC19 との間に二重結合を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一 緒になってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メト キシベンジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、X およびYが酸素である、請求項1に記載の化合物。 35.Arがp−クロロフェニルであり、R1およびR2が一緒になってR,R− エポキシド環を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一 緒になってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メト キシベンジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、X およびYが酸素である、請求項1に記載の化合物。 36.Arがp−クロロフェニルであり、R1およびR2が一緒になってS,S− エポキシド環を形成し、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒にな ってC13とC14との間に二重結合を形成し、R5が3−クロロ−4−メトキシベ ンジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、Xおよび Yが酸素である、請求項1に記載の化合物。 37.Arがフェニルであり、R1がS−クロロであり、R2がR−ヒドロキシル であり、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13とC14 との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、 R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、Xが酸素であり、Yが水 素を1個だけ有する窒素である、請求項1に記載の化合物。 38.Arがp−トリルであり、R1がS−クロロであり、R2がR−ヒドロキシ ルであり、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13とC14 との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであり 、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが酸素であ る、請求項1に記載の化合物。 39.Arがp−トリルであり、R1がR−クロロであり、R2がS−ヒドロキシ ルであり、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13とC14 との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであり 、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが酸素であ る、請求項1に記載の化合物。 40.Arがp−トリルであり、R1がR−クロロであり、R2がR−ヒドロキシ ルであり、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13とC14 との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであり 、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが酸素であ る、請求項1に記載の化合物。 41.Arがp−クロロフェニルであり、R1がS−クロロであり、R2がR− ヒドロキシルであり、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になっ てC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベン ジルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびY が酸素である、請求項1に記載の化合物。 42.Arがp−クロロフェニルであり、R1がR−クロロであり、R2がS−ヒ ドロキシルであり、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になって C13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジ ルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが 酸素である、請求項1に記載の化合物。 43.Arがp−クロロフェニルであり、R1がR−クロロであり、R2がR−ヒ ドロキシルであり、R3およびR7がメチルであり、R4およびR5が一緒になって C13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジ ルであり、R9がイソブチルであり、R8およびR10が水素であり、XおよびYが 酸素である、請求項1に記載の化合物。 44.アリル置換されたEアルケンを選択し、 アリル置換されたEアルケンを立体特異的Wittig転位によって転位させ、 この化合物を第一のδ−アミノ酸またはδ−ヒドロキシ酸に転換し、 第一の酸を第二のα−アミノ酸にカップリングさせて、第一のサブユニットを 形成させ、 第三β−アミノ酸を第四のα−ヒドロキシ酸またはα−アミノ酸にカップリン グさせて、第二のサブユニットを形成させ、 第一のサブユニットを第二のサブユニットにカップリングさせて、クリプトフ ィシンを形成させる 段階を含んでなる、クリプトフィシン化合物の製造法。 45.製造されたクリプトフィシンが、下記の構造 (式中、 Arは、メチル、またはフェニル、または任意の単純な未置換若しくは置換芳香 族または複素芳香族基であり、 R1は、ハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ト リアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルチオ、スルフェート、また はホスフェートであり、 R2は、OH、またはSHであり、または R1およびR2が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環 、スルフェート環、またはモノアルキルホスフェート環を形成することができ、 または R1およびR2が一緒になって、C18とC19との間に二重結合を形成することがで き、 R3は、低級アルキル基であり、 R4およびR5はHであり、または R4およびR5が一緒になって、C13とC14との間に二重結合を形成することがで き、 R6は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシ ベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロ アルコキシベンジル基であり、 R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立してHまたは低級アルキル基であり 、 XおよびYは、それぞれ独立してO、NHまたはアルキルアミノである)を有す る、請求項44に記載の方法。 46.Arがフェニルであり、R3がメチルであり、R6がハロメトキシベンジル であり、R7がHであり、R8がメチルであり、R9がイソブチルであり、R10が Hであり、XがOであり、YがOである、請求項45に記載の方法。 47.製造されたクリプトフィシンが、下記の構造 (式中、 R1はハロゲンであり、R2はOHであり、または R1およびR2が一緒になって、エポキシド環を形成することができ、 R3はHであり、R4はHであり、または R3およびR4が一緒になって、二重結合を形成することができる)を有すること を特徴とすることもできる、請求項44に記載の方法。 48.過増殖性の哺乳動物細胞の増殖を抑制するのに有用な医薬組成物であって 、下記の構造 (式中、 Arは、メチル、またはフェニル、または任意の単純な未置換若しくは置換芳香 族または複素芳香族基であり、 R1は、ハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ト リアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルチオ、スルフェート、また はホスフェートであり、 R2は、OH、またはSHであり、または R1およびR2が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環 、スルフェート環、またはモノアルキルホスフェート環を形成することができ、 または R1およびR2が一緒になって、C18とC19との間に二重結合を形成することがで き、 R3は、低級アルキル基であり、 R4およびR5はHであり、または R4およびR5が一緒になって、C13とC14との間に二重結合を形成することがで き、 R6は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシ ベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロ アルコキシベンジル基であり、 R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立してHまたは低級アルキル基であり 、 XおよびYは、それぞれ独立してO、NHまたはアルキルアミノである)を有す る化合物の有効量を、薬学上許容可能なキャリヤーと共に含んでなる、医薬組成 物。 49.少なくとも1種類のの追加の抗腫瘍薬をも含む、請求項47に記載の医薬 組成物。 50.哺乳動物細胞の増殖を抑制する方法であって、哺乳動物細胞を、この細胞 の増殖を抑制するのに十分な量でクリプトフィシン化合物と接触させ、クリプト フィシン化合物は下記の構造 (式中、 Arは、メチル、またはフェニル、または任意の単純な未置換若しくは置換芳香 族または複素芳香族基であり、 R1は、ハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ト リアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルチオ、スルフェート、また はホスフェートであり、 R2は、OH、またはSHであり、または R1およびR2が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環 、スルフェート環、またはモノアルキルホスフェート環を形成することができ、 または R1およびR2が一緒になって、C18とC19との間に二重結合を形成することがで き、 R3は、低級アルキル基であり、 R4およびR5はHであり、または R4およびR5が一緒になって、C13とC14との間に二重結合を形成することがで き、 R6は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシ ベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロ アルコキシベンジル基であり、 R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立してHまたは低級アルキル基であり 、 XおよびYは、それぞれ独立してO、NHまたはアルキルアミノである)を有す ることを特徴とする、方法。 51.細胞を少なくとも1種類の追加の抗腫瘍薬と接触させることも含む、請求 項50に記載の方法。 52.哺乳動物細胞が過増殖性である、請求項50に記載の方法。 53.過増殖性細胞がヒトである、請求項52に記載の方法。 54.多剤耐性表現型を有する過増殖性の哺乳動物細胞の増殖を抑制する方法で あって、細胞を微小管の重合および解重合の動的状態を崩壊させて細胞の有糸分 裂を抑制するのに有効な量のクリプトフィシン化合物と接触させることにより、 細胞の増殖を抑制し、クリプトフィシン化合物が下記の構造 (式中、 Arは、メチル、またはフェニル、または任意の単純な未置換若しくは置換芳香 族または複素芳香族基であり、 R1は、ハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ト リアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルチオ、スルフェート、また はホスフェートであり、 R2は、OH、またはSHであり、または R1およびR2が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環 、スルフェート環、またはモノアルキルホスフェート環を形成することができ、 または R1およびR2が一緒になって、C18とC19との間に二重結合を形成することがで き、 R3は、低級アルキル基であり、 R4およびR5はHであり、または R4およびR5が一緒になって、C13とC14との間に二重結合を形成することがで き、 R6は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシ ベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロ アルコキシベンジル基であり、 R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立してHまたは低級アルキル基であり 、 XおよびYは、それぞれ独立してO、NHまたはアルキルアミノである)を有す ることを特徴とする、方法。 55.細胞を少なくとも1種類の追加の抗腫瘍薬と接触させることも含む、請求 項54に記載の方法。 56.哺乳動物細胞がヒトである、請求項54に記載の方法。 57.哺乳動物細胞を過増殖することによって引き起こされる病理学的状態を緩 和する方法であって、患者に請求項48に記載の医薬組成物の有効量を投与して 、細胞の増殖を抑制することを特徴とする、方法。 58.哺乳動物細胞がヒトである、請求項57に記載の方法。 59.患者に、病理学的状態を緩和するための少なくとも1種類の追加の治療を 施すことも含む、請求項57に記載の方法。 60.病理学的状態が新生物の形成を特徴とする、請求項57に記載の方法。 61.新生物が、乳房、小細胞肺、非小細胞肺、結腸直腸、白血病、黒色腫、膵 臓性腺癌、中枢神経系(CNS)、卵巣、前立腺、軟質組織または骨の肉腫、頭 および首、膵臓および食道を包含する胃、胃、骨髄腫、膀胱、腎臓、甲状腺を包 含する神経内分泌、非ホジキン病およびホジキン病新生物からなる群から選択さ れる、請求項60に記載の方法。
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