JP4181632B2 - 新規合成クリプトフィシン類 - Google Patents

新規合成クリプトフィシン類 Download PDF

Info

Publication number
JP4181632B2
JP4181632B2 JP50044097A JP50044097A JP4181632B2 JP 4181632 B2 JP4181632 B2 JP 4181632B2 JP 50044097 A JP50044097 A JP 50044097A JP 50044097 A JP50044097 A JP 50044097A JP 4181632 B2 JP4181632 B2 JP 4181632B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cryptophycin
methyl
compound
double bond
compounds
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP50044097A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11510476A (ja
Inventor
モア,リチャード,イー
ティウス,マルカス,エー
バロウ,ラッセル,エー
リアン,ジアン
コーベット,トマス,エイチ
バラリオト,フレデリック,エー
ヘムシャイト,トマス,ケイ
ゴラコティ,トリムルタル
Original Assignee
ユニバーシティ オブ ハワイ
ウエイン ステート ユニバーシティ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US08/400,057 external-priority patent/US6013626A/en
Priority claimed from US08/482,141 external-priority patent/US5952298A/en
Application filed by ユニバーシティ オブ ハワイ, ウエイン ステート ユニバーシティ filed Critical ユニバーシティ オブ ハワイ
Publication of JPH11510476A publication Critical patent/JPH11510476A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4181632B2 publication Critical patent/JP4181632B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D273/00Heterocyclic compounds containing rings having nitrogen and oxygen atoms as the only ring hetero atoms, not provided for by groups C07D261/00 - C07D271/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P13/00Drugs for disorders of the urinary system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P13/00Drugs for disorders of the urinary system
    • A61P13/08Drugs for disorders of the urinary system of the prostate
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P15/00Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/14Drugs for disorders of the nervous system for treating abnormal movements, e.g. chorea, dyskinesia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/02Antineoplastic agents specific for leukemia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/04Antineoplastic agents specific for metastasis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P5/00Drugs for disorders of the endocrine system

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Reproductive Health (AREA)
  • Psychology (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は認可番号第CA12623号、第CA53001号のもとずく保健社会福祉省、国立ガン研究所からの合衆国政府の援助を受けて1部なされたものであり、従って合衆国政府は本発明にある種の権利を有するものである。
発明の背景
細胞成長の正常な管理に従はない細胞増殖を特徴とする腫瘍性疾患はヒトの死亡の主原因である。化学療法での臨床経験は新規でより効果的な医薬がこれらの疾患の治療に望まれていることを示している。かかる経験は細胞骨格の微小管系を崩壊させる医薬が腫瘍性細胞の増殖を阻止するのに有効であることも示している。
真核細胞の微小管系は細胞骨格の主構成成分であり、結合と解離の動力学的状態にある。即ち、チュブリンのヘテロ二量体は重合して微小管を形成し、微小管はこれらの構成成分に解重合する。微小管は細胞の構築、代謝分裂の制御で重要な役目を果たしている。微小管の動力学的状態はこれらの正常な機能にとってきわめて重要である。細胞分裂に関しては、チュブリンは重合して、分裂紡錘体を形成する微小管になる。次いで、この紡錘体は分裂紡錘体の用途が達成されたときに解重合する。従って、微小管の重合又は解重合を中断させ、これにより分裂を阻止する薬剤は臨床的用途ではいくつかのもっとも有効な化学療法剤となる。
かかる抗分裂剤又は毒はその分子的作用機構にもとずき3つのグループに分類される。その第1のグループはコルヒチンとコルセミドを含む薬剤から成り、これはチュブリンを隔絶(ゼクエスタリング)することにより微小管の形成を抑制する。第2のグループはビンブラスチンとビンクリスチンを含む薬剤から成り、チュブリンの準結晶性集塊を誘起する。ビンブラスチンとビンクリスチンは公知の抗ガン剤である。分裂紡錘体微小管を崩壊させるこの作用により過増殖細胞を優先的に抑制する。第3のグループはチュブリンの重合を促進し、従って微小管構造を安定化させる、タクソールを含む薬剤から成る。
しかし、単に抗分裂剤としての活性があるだけでは腫瘍細胞、確かに薬剤耐性表現型示す腫瘍細胞に対しての効力は保証されない。ビンカ・アルカロイド、例えばビンブラスチンとビンクリスチンは腫瘍性細胞と腫瘍に有効であるが、いくつかの薬剤耐性腫瘍と細胞への活性に欠ける。薬剤耐性(DR)又は多剤耐性(MDR)を示す腫瘍性細胞の1基準はP−糖タンパク質の過表現による。P−糖タンパク質運搬体用基質として劣る化合物がこのようなDR又はMDR表現型を迂回するのに有用である。
従って、多くの腫瘍細胞によるDR又はMDR表現型の提示と腫瘍性細胞に対する抗微小管剤作用の臨床的検証態様から薬剤非耐性の腫瘍性細胞に対して細胞抑制性であり、且つ薬剤耐性表現型の腫瘍性細胞に対して細胞抑制性のある抗微小管剤の開発が必要となる。この点に関して見込みのある薬剤にはクリプトフィシン類として知られている一連の化合物が含まれる。
クリプトフィシン類の製造法に関しては、クリプトフィシン類の全体的合成法は目下のところ知られていない。クリプトフィシン化合物は藍藻類〜緑藻類からの単離により現在製造されているものか、またはこのような天然産化合物の半合成的改変物である。完全合成法の欠除はこの化合物の活性を最大にし、その安定性を増加する立体特異性クリプトフィシン類の製造が必然的に困難になる。例えば、研究の結果、からそのままの手を加えていない大環状環を有するクリプトフィシン類は活性がより高い。従って、天然誘導クリプトフィシン類よりも安定性がより高い大環状環を有するクリプトフィシン類が製造できる完全合成法が望ましい。本発明はこの問題を解決するものである。
発明の開示
本発明は下記の構造を有する新規クリプトフィシン化合物を提供する。
Figure 0004181632
(式中、Arはメチル又はフェニル又は任意の簡単な未置換又は置換芳香族又は複素芳香族基;
1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウム、サルファイト又はホスフェート;
2はOH又はSH;又は
1とR2は一緒にエポキシド環、アジリデン環、エピサルファイド環、サルフェート環又はモノアルキルホスフェート環を形成してもよく;
1とR2は一緒になってC18とC19間で二重結合を形成してもよく;
3は低級アルキル基;
4とR5はH;又は
4とR5は一緒にC13とC14間で二重結合を形成してもよく;
6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル又はジハロアルコキシベンジル基;
7、R8、R9、R10はそれぞれ独立してH又は低級アルキル基;および
XとYはそれぞれ独立してO、NH又はアルキルアミノである)。
本発明は更にクリプトフィシン類の完全合成法に関する。本発明はまたクリプトフィシン類を医薬に使用して哺乳類の細胞の増殖を抑制し、腫瘍の治療することである。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の選択したクリプトフィシン化合物の一般構造と、選択した実施態様でのヒドロキシ酸単位A、Dとアミノ酸単位B、Cの番号付け系を示す。
図2Aと2Bはクリプトフィシン化合物とビンブラスチンのジャーカット(Jurkat)細胞増殖と細胞周期の進行への効果をグラフにして示す。ジャーカット細胞はクリプトフィシン化合物(A)又はビンブラスチン(B)の指示濃度で24時間培養した。試料毎に生存細胞数(■)と分裂指数(□)を実験の部に記載したようにして測定した。数値は3回の類似実験のうちの1回での3つの同一試料についての平均値±標準偏差(sd)を表わす。
図3はビンブラスチン、クリプトフィシン類、タクソールの細胞成長への効果の可逆性をグラフにして示す。SKOV3細胞は0.1nMビンブラスチン(□)、0.1nMクリプトフィシン類(■)又は1nMタクソール
Figure 0004181632
で時間=0のときに処理した。これらの各化合物濃度で細胞成長を50%抑制した。24時間後、細胞は洗滌し、薬剤非添加培地で指示した時間培養した。細胞密度を実験の部に記載したようにしてスルホローダミンB(SRB)染色で測定し、3回の実験のうちの1回での3つの同一試料について560nmでの平均値±sd吸光度として表わす。
図4はビンブラスチンとクリプトフィシン類の細胞増殖への組合せ効果のイソボログラム(isobologram)である。SKOV3細胞はビンブラスチン(0〜600pM)および/もしくはクリプトフィシン(1〜100pM)で48時間処理した。次いで、細胞数を実験の部に記載のようにしてSRB染色で測定し、ビンブラスチンとクリプトフィシン化合物の組合せのIC50s(■)と加成性線(−)を求めた。数値はそれぞれ3つの同一の試料を含む2回の実験での平均値を表わす。
図5は本発明のクリプトフィシン類合成の第1の概略図である。
図6はヒドロキシ酸単位A製造の概略図である。
図7はヒドロキシ酸単位Aとアミノ酸単位Bとから成るクリプトフィシンの下部単位製造の概略図である。
図8はアミノ酸単位Cとヒドロキシ酸単位Dとから成るクリプトフィシン下部単位製造の概略図である。
図9は本発明の選択したクリプトフィシン類合成の第1の概略図である。
図10は本発明の選択したクリプトフィシン類合成の第2の概略図である。
図11はヒドロキシ酸Dから成るクリプトフィシン下部単位合成の概略図である。
図12は本発明の選択したクリプトフィシン類合成の第3の概略図である。
図13は本発明の選択したクリプトフィシン類合成の第4の概略図である。
図14は本発明の選択したクリプトフィシン類合成の第5の概略図である。
発明の詳細な説明
本発明は、下記の構造
Figure 0004181632
(式中、
Arは、メチル、またはフェニル、または任意の単純な未置換若しくは置換芳香族または複素芳香族基であり、
1は、ハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウムスルフェート、またはホスフェートであり、
2は、OH、またはSHであり、または
1およびR2が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スルフェート環、またはモノアルキルホスフェート環を形成することができ、または
1およびR2が一緒になって、C18とC19との間に二重結合を形成することができ、
3は、低級アルキル基であり、
4およびR5はHであり、または
4およびR5が一緒になって、C13とC14との間に二重結合を形成することができ、
6は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロアルコキシベンジル基であり、
7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立してHまたは低級アルキル基であり、
XおよびYは、それぞれ独立してO、NHまたはアルキルアミノである)を有する新規なクリプトフィシン化合物を提供する。
本発明の一態様では、下記の構造
Figure 0004181632
[式中、
1は、H、OH、ハロゲン、ケトン基のO、NH2、SH、低級アルコキシル基、または低級アルキル基であり、
2は、H、OH、ケトン基のO、NH、SH、低級アルコキシル基、または低級アルキル基であり、または
1およびR2が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、またはC10とC11との間の二重結合を形成することができ、または
1およびR4が一緒になってテトラヒドロフラン環を形成することができ、
3は、Hまたは低級アルキル基であり、
4は、OH、低級アルカノイルオキシ基、または低級α−ヒドロキシアルカノイルオキシ基であり、
5は、HまたはOH基であり、
6は、Hであるか、または
5およびR6が一緒になって、C5とC6との間に二重結合を形成することができ、
7は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、メトキシベンジル、、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロメトキシベンジル、またはジハロメトキシベンジル基であり、
8は、OH、低級β−アミノ酸であって、C1がβ−アミノ酸のNに結合しているものであり、またはエステル化した低級β−アミノ酸であって、C1がエステル化した低級β−アミノ酸基のNに結合しているものであり、
4およびR8が一緒になって、低級α−ヒドロキシアルカン酸に結合した低級β−アミノ酸からなるジデプシペプチドを形成することができ、
5およびR8が一緒になって、低級α−ヒドロキシアルカン酸に結合した低級β−アミノ酸からなるジデプシペプチドを形成することができ、
但し、
2がOH、ケトン基のO、NH2、SHであるときにのみ、R1はH、低級アルキル基、または低級アルコキシル基であり、
1がOH、ケトン基のO、NH2、SHであるときにのみ、R2はH、低級アルキル基、または低級アルコキシル基であり、
1がOHであるとき、R2はOHであり、R3はメチルであり、R5およびR6が一緒になってC5とC6との間に二重結合を形成し、R4およびR8が一緒になって、構造X
Figure 0004181632
(式中、XのO1はR4に相当し、XのN8はR8に相当し、R9はメチルであり、R10はイソブチルであり、R7は3−クロロ−4−メトキシベンジルではない)を有するジデプシペプチドキを形成し、
1およびR2が一緒になってエポキシド環を形成するときには、R3はメチルであり、R5およびR6が一緒になってC5とC6との間に二重結合を形成し、
4およびR8が一緒になって、構造Xを有するジデプシペプチドを形成し、
9はメチルであり、R10はイソブチルであり、R7は3−クロロ−4−メトキシベンジルではなく、
1およびR2が一緒になってC10とC11との間に二重結合を形成するときには、R3はメチルであり、R5およびR6が一緒になってC5とC6との間に二重結合を形成し、R4およびR8が一緒になって、構造Xを有するジデプシペプチドを形成し、R9はメチルであり、R10はイソブチルであり、R7は3−クロロ−4−メトキシベンジルではなく、
1およびR2が一緒になってエポキシド基を形成するときには、R3はメチルであり、R5およびR6が一緒になってC5とC6との間に二重結合を形成し、R4はロイシン酸のカルボキシ末端に結合しており、R8は3−アミノ−2−メチルプロピオン酸または3−アミノ−2−メチルプロピオン酸メチルエステルの窒素末端に結合しており、R7は3−クロロ−4−メトキシベンジルではない)を有するジデプシペプチド基を形成する]を有する新規なクリプトフィシン化合物が提供される。
本発明は、C2、C8、C9、C10およびC11に結合している基の少なくとも1個がR立体化学を有するクリプトフィシン化合物も提供する。本発明のもう一つの態様では、C2、C8、C9、C10およびC11に結合している基の少なくとも1個はS立体化学を有している。
本発明は、前記構造に準じたクリプトフィシン化合物であって、R4またはR5がR8と一緒になるときに形成されるジデプシペプチドの構造が、下記の構造X
Figure 0004181632
(式中、XのO1はR4またはR5に相当し、XのN8はR8に相当し、R9はHまたは低級アルキル基であり、R10はHまたは低級アルキル基である)であるものも提供する。
本明細書で用いられる下記の用語は、本文での使用から反対の意味が明確に示されない限り、表示された意味を有する。
「低級β−アミノ酸」は、3〜8個の炭素を有する任意のβ−アミノ酸を意味し、線形および非線形炭化水素鎖、例えば3−アミノ−2−メチルプロピオン酸が挙げられる。
「エステル化された低級β−アミノ酸」は、3〜8個の炭素を有する任意のβ−アミノ酸であって、カルボン酸基の水素がメチル基で置換されているもの、例えば3−アミノ−2−メチルプロピオン酸メチルエステルを意味する。
「低級アルカノイルオキシ基」は、1〜7個の炭素を有するアルカノイルオキシ基を意味し、線形および非線形炭化水素鎖が挙げられる。
「低級α−ヒドロキシアルカノイルオキシ基」は、2〜7個の炭素を有するα−ヒドロキシアルカノイルオキシ基を意味し、線形および非線形炭化水素鎖、例えば2−ヒドロキシ−4−メチル吉草酸が挙げられる。
「低級アルコキシル基」は、酸素原子に結合した1〜5個の炭素を有する任意のアルキル基を意味する。
「低級アルキル基」は、1〜5個の炭素を有するアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三ブチル、第二ブチル、メチル化されたブチル基、ペンチル、および第三ペンチル基などの線形および非線形炭化水素鎖が挙げられる。
「アリル置換されたアルケン」は、アルキル置換基を有する任意のアルケンを意味する。
「エポキシド環」は、主鎖が2個の炭素と1個の酸素原子とからなる3員環を意味する。
「アジリジン環」は、主鎖が2個の炭素と1個の窒素原子とからなる3員環を意味する。
「エピスルフィド環」は、主鎖が2個の炭素と1個の硫黄原子とからなる3員環を意味する。
「スルフェート環」は、炭素−炭素−酸素−硫黄−酸素主鎖であって、硫黄原子に結合した2つの追加の酸素原子を有するものからなる5員環を意味する。
「モノアルキルホスフェート環」は、炭素−炭素−酸素−リン−酸素主鎖であって、2個の追加の酸素原子を有し、その一方が低級アルキル基を有し、リン原子に結合しているものからなる5員環を意味する。
「単純な未置換芳香族基」は、単環性の共役系(例えば、フリル、ピロリル、チエニル、ピリジル)または二環性の共役系(例えばインドリルまたはナフチル)に4n+2個のπ電子を有する通常の芳香族環を表わす。
「単純な置換芳香族基」は、単独の基(例えば、低級アルキル基またはハロゲン)で置換されたフェニル基を表わす。
「複素芳香族基」は、酸素、窒素または硫黄のような1個以上の非炭素置換基を有する芳香族環を表わす。
「ハロゲン」は、歴史的にハロゲンとして知られている周期表の群の成員を表わす。ハロゲン化の方法としては、ハロゲン化水素の付加、高温での置換、光ハロゲン化などが挙げられるが、これらに限定されず、またこのような方法は当業者に知られている。1,2
本発明のクリプトフィシン化合物の1実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド環を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデペプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ちクリプトフィシン2の構造は以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が4−メチルベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。このクリプトフィシン、即ちクリプトフィシン4の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR4が一緒になってテトラヒドロフラン環を形成し、R2がOH基、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R8が(2−カルボメトキシプロピル)アミノ基であるときのものである。この化合物、即ちクリプトフィシン6の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR4が一緒になってテトラヒドロフラン環を形成し、R2とR8がOH基、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成させて二重結合を存在させ、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジルであるときのものである。この化合物、即ちクリプトフィシン7の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1がクロロ基、R2がOH基、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ちクリプトフィシン8の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1がメトキシ基、R2がOH基、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ちクリプトフィシン9の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1がメトキシ基、R2とR4がOH基、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R8が2−カルボキシプロピル)アミノ基であるときのものである。この化合物、即ちクリプトフィシン10の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR4が一緒になってテトラヒドロフラン環を形成し、R2がOH基、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R8が(2−カルボキシプロピル)アミノ基であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン12の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3がメチル、R4がOH基、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R8が(2−カルボキシプロピル)アミノ基であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン14の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−ヒドロキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン16の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−ヒドロキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン17の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8は一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン18の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトオキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジテプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソプロピル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン19の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド環を形成し、Rがメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9は水素、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン21の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン23の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデピシペプチドを形成(式中、R9は水素、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン24の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3がメチル、R4がヒドロキシ、R6が水素、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R5とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン26の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3が水素、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン28の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9は水素、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン29の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3がメチル、R5がヒドロキシ、R6が水素、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン30の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3,5−ジクロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン31の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成し、R3がメチル、R5が水素、R6が水素、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン35の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成し、R3が水素、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン40の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンジル、R4とR5が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はイソブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン45の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成し、R3はメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はプロピル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン49の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってC10とC11炭素間で二重結合を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はプロピル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン50の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の実施態様はR1とR2が一緒になってエポキシド基を形成し、R3がメチル、R5とR6が一緒になってC5とC6間で二重結合を形成し、R7が3−クロロ−4−メトキシベンジル、R4とR8が一緒になって構造Xを有するジデプシペプチドを形成(式中、R9はメチル、R10はsec-ブチル)であるときのものである。この化合物、即ち、クリプトフィシン54の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
上記の化合物のうち、クリプトフィシン2、4、16〜19、21、23、24、26、28〜31、40、43、45、49、50、54は藍藻類−緑藻類(シアノバクテリア)のNostoc sp株を培養したときに生成する代謝物であり、これらの化合物はこの培養物から単離されたものである。クリプトフィシン6、7はこの単離工程にメタノールを含有する溶媒を用いたときに生ずる人工産物である。クリプトフィシン8、9、10〜12、14、35はこれらの天然産の代謝物の誘導体であり、本明細書の実験の部に記載の方法又はこの技術分野での通常の技量を有する者が利用できる列挙の化合物、および非列挙の化合物の生成方法で化学的に改変したものである。
本発明はNostoc sp株を培養して上記のクリプトフィシン化合物の製造法を提供する。米国特許第4,946,835号に記載のように藍藻類−緑藻類(シアノバクテリア)のNostoc spの形態的特徴は線状であり、増殖形細胞から成ることである。長軸糸中には異質細胞が時々部間位置に観察され、アキネートは観察されない。増殖は無差別糸状体切断に加えて連鎖体による。Nostoc spの同定基準はJ.Gen.Micro.,111:1−61(1979)に記載されている。
更に、本発明はNostoc sp株を培養して新規の代謝物と、以前に開示したクリプトフィシン代謝物をこの培養物から単離することを提供する。本発明の好ましい実施態様ではGSV224と指定したNostoc sp株は培養すると下記の構造で表わされる化合物が単離される株である:
Figure 0004181632
(式中、R1はH、OH、ハロゲン、ケトン基のO、NH2、SH、低級アルコシル基又は低級アルキル基;
2はH、OH、ケトン基のO、NH2、SH、低級アルコキシル基又は低級アルキル基;または、
1とR2は一緒になってエポキシド環、アジリジン環、エピサルファイド環、C10とC11間で二重結合を形成するか;または
1とR2は一緒になってテトラヒドロフラン環を形成するものであり;
3はH又は低級アルキル基;
4はOH、低級アルカノイルオキシ基又は低級α−ヒドロキシアルカノイルオキシ基;
5はH又はOH基;
6はH;または
5とR6は一緒になってC5とC6間で二重結合を形成するもので;
7はベンジル、ヒドロキシベンジル、メトキシベンジル、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロメトキシベンジル又はジハロメトキシベンジル基であり;
8は低級β−アミノ酸基であって、C1がβ−アミノ酸のNに結合しているか又はエステル化低級β−アミノ酸であって、C1がエステル化低級β−アミノ酸基のNに結合しているものであり;
4とR8は一緒になって低級α−ヒドロキシアルカン酸に結合した低級β−アミノ酸から成るジデプシペプチド基を形成するか;または
5とR8は一緒になって低級α−ヒドロキシアルカン酸と結合した低級β−アミノ酸から成るジデプシペプチド基を形成するものであり、但し、R2がOH、ケトン基のO、NH2、SHのときだけはR1はH、低級アルキル基又は低級アルコキシル基である)。
本発明の好ましい実施態様では、上記の方法で単離したクリプトフィシン代謝物を化学的に改変すると、またこの構造を有する別箇の化合物のが得られる。クリプトフィシン化合物を化学的に改変して本発明の範囲の追加化合物を作る方法は当該技術での通常の技量を有する者に利用できる。更に、追加の方法が本明細書の実験の部に詳述してある。
本発明の新規クリプトフィシン化合物に加えて、本発明は下記の以前に開示したクリプトフィシン種、即ち、クリプトフィシン1、3、5、13、15を含む構造の新規製造法、使用法を提供する。これらの化合物の構造を以下に示す:
Figure 0004181632
本発明はノストク(Nostoc)sp.のすべての菌株に関し、そして特にクリプトフィシン(cryptophycin)化合物を生産するノストクsp.GSV224菌株に関する。その目的のため、前記のノストクsp.のGSV224菌株は「特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約」に従って1993年10月7日にアメリカン・タイプ・カルチュアー・コレクション、12301パークローンドライブ、ロックビル、メリーランド20852アメリカ合衆国(American Type Culture Collection,12301Parklawn Drive,Rockville,Maryland 20852U.S.A.)にATCC受託番号第55483号として寄託された。その他のノストクsp.の菌株、特にメルク社(Merck and Co.)によりATCC受託番号第53789号として寄託された菌株、は本発明の実施のため使用されることを予期される菌株である。
他の微生物の場合と同様に、ノストクsp.の特性は変異を受ける。例えば、特定の菌株の組換え体、変異体、または突然変異体がいろいろな既知の物理的および化学的変異誘発要因、例えば、紫外線、X線、ガンマ線、およびN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、による処理により得られることがある。クリプトフィシン化合物を生産する特性を保有する特定の菌株のすべての天然のおよび誘発された変異体、突然変異体、および組換え体は特許請求される本発明の範囲内に入ることを意図されている。
本発明のクリプトフィシン化合物はノストクsp.の一つの菌株を水中好気性条件下に適当な培養液の中で十分な抗生物質的活性が生産されるまで培養することにより製造されることができる。その他の培養技術、例えば、固形化培地上の表面増殖、もまたこれらの化合物を製造するために使用することができる。特定の菌株を増殖させるために用いられる培養液は当業者に既知の多くの窒素および炭素発生源と無機塩のどれでも一つを含むことができる。製造における経済性、最適の収率、および製品単離の容易さなどは使用される炭素源および窒素源を選択するとき考慮すべき因子である。培養液に混入されることができる栄養源の無機塩の中には鉄、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、塩酸、炭酸、燐酸、硫酸、硝酸などのイオンを生成することのできる慣用の可溶性の塩類が入る。
微生物の成長と発育のために必要な必須微量元素もまた培養液の中に含まれるべきである。そのような必須微量元素は微生物の成長要求を満たすために十分な量に培養液のその他の成分中に不純物として一般に見いだされる。発泡が問題になる場合には少量(すなわち、0.2mL/L)の消泡剤、例えば、プロピレングリコール(M.W.2000)を大規模培養液に添加することが望ましいことがある。
かなり多量のクリプトフィシン化合物を製造するためには、タンク中での液内好気培養を用いることができる。少量は振とうフラスコ培養により得ることができる。微生物の大タンク培養に一般に伴われる代謝物生産における時間的ずれのために、増殖用接種材料を用いることが望ましい。増殖用接種材料は増殖用トリコーム(trichome)または異質細胞を含む形の微生物の断片を含む少量の培養液を保温して新鮮な、活発に生育する微生物の細胞集団を得ることにより調製される。その増殖用接種材料は次により大型のタンクに移される。増殖用接種材料のために使用される培養液はより大規模な培養または発酵のために用いられるものと同じであることができるが、その他の培養液もまた使用されることができる。
これらの微生物は約20℃と30℃の間の温度および約100〜200μモル光量子m-2-1の入射照度(光合成的活性放射線)で成長させられることができる。
この種類の液内好気培養において通例であるように、培養液を通して泡たて通気される滅菌空気流に添加することにより二酸化炭素ガスが培養に導入される。クリプトフィシン化合物の効果的生産のためには、二酸化炭素の割合は約1%(24℃および1気圧において)であるべきである。
従来の技術、特に米国特許第4,946,835号、はノストクsp.を培養する方法を提供しており、その内容は引用によりここに組み入れられる。
クリプトフィシン化合物の製造は培養の間に、これらの抗生物質に感受性であると知られている微生物に対して肉汁試料を試験することにより追跡されることができる。一つの有用な試験用微生物はカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)である。
液内好気培養条件下におけるそれらの生産に続いて、本発明のクリプトフィシン化合物は培養物からおよび培養液から当業者に既知の方法により回収されることができる。回収は一般に初めに培養液を濾過して藻類に属する細胞を分離し、次にそれらの分離された細胞を凍結乾燥することにより達成される。凍結乾燥された藻は適当な溶媒、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、またはジクロロメタン、により抽出されることができる。クリプトフィシン化合物はこの抽出物、並びに培養液、を逆相カラム上で高速クロマトグラフィーにかけることにより分離されることができる。それらのクリプトフィシン化合物は逆相高速液体クロマトグラフィー(HLPC)により生成されることができる。
それらの構造から明らかなように、クリプトフィシン化合物は化学的変形のできる基を有する。本発明の属化合物は抗腫瘍活性を示すクリプトフィシン化合物を意図している。例えば、本発明において例証される誘導体は図1の単位AのC−7およびC−8上にエポキシド酸素またはヒドロキシ基を、または単位Bのロイシック酸(leucic acid)基を有する化合物を含む。望ましい抗腫瘍活性を示すそのような新規のおよび以前に開示された化合物の誘導体は特許請求される本発明の中に含まれる。さらに、クリプトフィシン化合物の構造と抗腫瘍活性との関係は下記の実験の部(Experimental Section)において提示される。
選択されたクリプトフィシン化合物は本発明の藻類により生産される代謝物であると知られているが、その他のクリプトフィシン化合物、例えば、クリプトフィシン8−15、は当業者に既知の公開された技術、例えば、米国特許第4,868,208号、第4,845,086号および第4,845,085号に開示されている合成法、それらの内容はここに引用により組み込まれる、を用いる代謝物から、または当業者に既知のその他の方法を用いることにより誘導されることができる。さらに、本発明は実験の部において誘導体を製造する方法を提供する。
クリプトフィシン化合物はノストカセエー(Nostocaceae)に属する青−緑藻類(シアノバクテリア)からの効力のある抗腫瘍性および抗真菌性デプシペプチドである。最初のクリプトフィシン化合物、クリプトフィシン1、は陸生のノストクsp.ATCC53789より単離され、そして真菌、特にクリプトコカス(Cryptococcus)、に対して非常に活性であることが発見された(R.E.Schwartz et al.,J.Ind.Microbiol,1990,5:113−124)。クリプトフィシン1はまた陸生のノストクsp.GSV224より、藻の微量成分として24のその他のクリプトフィシン類似体と共に単離され、マウス体内に皮下移植された固い腫瘍に対して非常に活性であることが発見された(G.Trimurturu et al.,J.Am.Chem.Soc.1994,116:4729−4737;R.Barrow et al.,J.A m.Chem.Soc.1995,117−2479−2490)。ノストクsp.GSV224からの二つの類似体、クリプトフィシン3および5、は以前にクリプトフィシン1の半合成類似体としてに記載されたことがある(D.F.Sesin,米国特許第4,845,085号、1989年7月4日発行;D.F.Sesin,米国特許第4,868,208号、1989年9月19日発行)。それらのクリプトフィシン化合物はコルベット検定(Corbett assay)において著しい腫瘍選択的細胞毒性を示し、そして薬品感受性および薬品抵抗性腫瘍細胞に対して同等に細胞毒性であった。クリプトフィシン1はビンブラスチン(vinblastine)と同じ作用形態を有するように見えるが、微細管の集合を不可逆的に阻害することにおいて後者の薬品と異なる(C.D.Smith et al.,Cancer Res.1994,54:3779−3784)。ノストクsp.GSV224からのクリプトフィシン化合物の一つ、クリプトフィシン24、は海綿から単離されてアレナスタチンA(arenastatin A)と命名された(M.Kobayashi et al.,Tetrahedron Lett.1994,35;7969−72;M.Kobayashi et al.,Tennen Yuki Kagobutsu Toronkai Koen Yoshishu 1994,36st,104−110)。
ここでクリプトフィシン2,4,6,7,16−19,21,23,24,26,28−31,40,43,45,49,50および54と命名された、24の追加されたクリプトフィシン化合物は米国特許出願番号第08/172,632号(1993年12月21日出願)、同第08/249,955号(1994年5月27日出願)および国際出願番号第PCT/US94/14740号(1994年12月21日出願)明細書に開示されており、そのような化合物はノストクsp.の菌株より単離された代謝生成物であるか、またはそのような代謝生成物から半合成されたものかのいずれかである。またこれらの特許出願において開示されているのは、DRおよびMDR腫瘍を含む、マウスの体内に移植された広範な種類の腫瘍に対して示された臨床型の活性を有する抗微細管剤として選択されたクリプトフィシン化合物の特徴である。
本発明は次の構造式を有する新規なクリプトフィシン化合物を提供する。
Figure 0004181632
上式中、
Arはメチルまたはフェニルまたはいずれかの簡単な非置換または置換された芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アリキルチオ、ジアルキルスルホニウム、スルファート、またはホスファートであり、
2はOHまたはSHである、または
1とR2は一緒になってエポキシド環、アジリジン環、およびエピスルフィド環、スルファート環またはモノアルキルホスファート環を形成することもあり、または
1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成することもあり、
3は低級アルキル基であり、
4とR5はHである、または
4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成することもあり、
6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロアルコキシベンジル基であり、
7、R8、R9および10はそれぞれ独立にHまたは低級アルキル基であり、そして
XとYはそれぞれ独立にO、NHまたはアルキルアミノである。
このクリプトフィシンの好ましい態様においてクリプトフィシンのR8はエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチルである。このクリプトフィシンの他の一つの好ましい態様において、R7はエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチルである。さらに追加されるこのクリプトフィシンの一つの好ましい態様において、R7はHであり、R8メチルであり、R3はメチルであり、XとYは二つともOでない。
本発明はさらに追加されるこのクリプトフィシンの一つの好ましい態様を与えるが、その場合R3はエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチルである。このクリプトフィシンの他の一つの好ましい態様において、R9はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチルである。このクリプトフィシンのさらに一つの好ましい態様において、R10はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチルである。
本発明はさらにクリプトフィシン化合物を提供するが、それらにおいてC3、C6、C10、C16、C17、およびC18に付着する基の少なくとも一つはR立体化学性を有する。本発明のさらに一つの態様において、C3、C6、C10、C16、C17、およびC18に付着する基の少なくとも一つはS立体化学性を有する。
本発明のクリプトフィシン化合物の一つの態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3、R7およびR8はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン51、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
さらに本発明のクリプトフィシン化合物の一つの態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3、R7およびR8はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン52、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
さらに本発明のクリプトフィシン化合物の一つの態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3、R7およびR8はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン53、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
さらに本発明のクリプトフィシン化合物の一つの態様において、Arはフェニルであり、R1はS−クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3、R7およびR8はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン55、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3、R7およびR8はメチルであり、R4とR5は水素であり、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン57、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1はS−クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3、R7およびR8はメチルであり、R4とR5は水素であり、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン58、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は一緒になってR,R−エピスルフィド環を形成し、R3、R7およびR8はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン61、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−メトキシフェニルであり、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン81、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはメチルであり、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン82、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはメチルであり、R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン90、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはメチルであり、R1とR2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン91、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は一緒になってR,R−アジリジン環を形成し、R3、R7およびR8はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン97、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−フルオロフェニルであり、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン110、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリルであり、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン111、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arは2−チエニルであり、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン112、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−フルオロフェニルであり、R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン115、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−フルオロフェニルであり、R1とR2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン116、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリルであり、R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン117、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリルであり、R1とR2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン118、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arは2−チエニルであり、R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン119、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arは2−チエニルであり、R1とR2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン120、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXは酸素でありまたYは単一の水素を付けている窒素である。この化合物、クリプトフィシン121、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXは酸素でありまたYは単一の水素を付けている窒素である。この化合物、クリプトフィシン122、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニルであり、R1とR2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXは酸素でありまたYは単一の水素を付けている窒素である。この化合物、クリプトフィシン123、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニルであり、R1とR2は一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン124、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニルであり、R1とR2は一緒になってR,R−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン125、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニルであり、R1とR2は一緒になってS,S−エポキシド環を形成し、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン126、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはフェニル、R1はS−クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXは酸素でありまたYは単一の水素を付けている窒素である。この化合物、クリプトフィシン127、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリル、R1はS−クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン128、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリル、R1はR−クロロであり、R2はS−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン130、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−トリル、R1はR−クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン131、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニル、R1はS−クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン132、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニル、R1はR−クロロであり、R2はS−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン133、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
本発明の化合物の他の一つ態様において、Arはp−クロロフェニル、R1はR−クロロであり、R2はR−ヒドロキシルであり、R3およびR7はメチルであり、R4とR5は一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成し、R6は3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9はイソブチルであり、R8とR10は水素であり、そしてXとYは酸素である。この化合物、クリプトフィシン134、の構造は次のようである。
Figure 0004181632
以下には、追加のクリプトファイシン化合物、それらの置換基を、下記構造式に基づいて説明する:
Figure 0004181632
式中、
1はHまたはハロゲンである;
2はH、ケトンの酸素、またはOHである;または
1とR2が一緒になってエポキシド環を形成していてもよい;または
1とR2が一緒になってエピスルフィド環を形成していてもよい;
3はHまたは低級アルキル基である;
4はHまたはOHである;
5はHまたはOHである;または
4とR5が一緒になって二重結合を形成していてもよい;
6はHまたはハロゲンである;
但し、R1とR2が一緒になってエポキシド基を形成しており、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6が塩素である場合には、R3がメチルでないことを条件とする。
本発明のクリプトファイシン化合物の一態様は、R1が水素であり、R2がケトン基の酸素であり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン20の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の別の態様は、R1がS−ブロモであり、R2がR−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン25の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がR−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン27の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってR,R−エポキシド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4およびR5が水素であり、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン32の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1、R4およびR5が水素であり、R2がS−ヒドロキシであり、R3がR−メチルであり、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン33の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1、R2、R4およびR5が水素であり、R3がR−メチルであり、そしてR6が水素である場合である。この化合物、クリプトファイシン34の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がR−ブロモであり、R2がR−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン37の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってS,S−エポキシド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン38の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってS,R−エポキシド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン39の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってR,R−エポキシド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4がS−ヒドロキシであり、R5がR−ヒドロキシであり、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン41の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってR,R−エポキシド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4がR−ヒドロキシであり、R5がS−ヒドロキシであり、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン42の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1が水素であり、R2がS−ヒドロキシであり、R3がR−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン48の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がR−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4およびR5が水素であり、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン59の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1とR2が一緒になってS,S−エピスルフィド環を形成しており、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン60の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がR−ヒドロキシであり、R3が水素であり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン63の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がR−クロロであり、R2がR−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4およびR5が水素であり、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン64の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がR−クロロであり、R2がS−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン69の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がS−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン70の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がR−ブロモであり、R2がS−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン71の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−ブロモであり、R2がS−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン72の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がS−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン73の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−クロロであり、R2がS−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6が水素である場合である。この化合物、クリプトファイシン74の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がS−フルオロであり、R2がR−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン75の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明の化合物の更に別の態様は、R1がR−フルオロであり、R2がR−ヒドロキシであり、R3がS−メチルであり、R4とR5が一緒になって二重結合を形成しており、そしてR6がクロロである場合である。この化合物、クリプトファイシン76の構造は下記の通りである:
Figure 0004181632
本発明は総合的合成によって上記クリプトファイシン化合物および全ての既知クリプトファイシン化合物を製造する方法を提供する。
本発明はさらに、本発明において提供された方法を使用して新規クリプトファイシン代謝物および以前開示のクリプトファイシン代謝物が合成されてもよいことを規定する。
本発明は、アリル的に置換されたEアルケンを選択し;このアリル的に置換されたEアルケンを、立体特異性ウィッティヒ転位(stereospecific Wittig rearrangement)によって転位し;この化合物を第一のδ−アミノ酸またはδ−ヒドロキシ酸に転化し;この第一の酸を第二のα−アミノ酸にカップリングして第一のサブユニットを生成し;第三のβ−アミノ酸を第四のα−ヒドロキシ酸またはα−アミノ酸にカップリングして第二のサブユニットを生成し;そして第一のサブユニットを第二のサブユニットにカップリングしてクリプトファイシンを生成することからなるクリプトファイシン製造方法を提供する。
さらに、本発明は製造されるクリプトファイシンが下記構造を有する好ましい態様の方法を提供する:
Figure 0004181632
式中、
Arはメチルまたはフェニルまたはいずれかの簡単な非置換または置換芳香族またはヘテロ芳香族基である;
1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウム、スルフェートまたはホスフェートである;
2はOHまたはSHである;または
1とR2が一緒になってエポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スルフェート環またはモノアルキルホスフェート環を形成していてもよい;または
1とR2が一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成していてもよい;
3は低級アルキル基である;
4およびR5はHである;または
4とR5が一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成していてもよい;
6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロアルコキシベンジル基である;
7、R8、R9およびR10は各々独立にHまたは低級アルキル基である;
そして
XおよびYは各々独立にO、NHまたはアルキルアミノである。
本発明の好ましい態様においては、この方法は、Arがフェニルであり、R3がメチルであり、R6がハロメトキシベンジルであり、R7がHであり、R6がメチルであり、R9がイソブチルであり、R10がHであり、XがOであり、そしてYがOであるクリプトファイシンを製造する。
本発明が上記構造のクリプトファイシンを提供することに加えて、本発明は以前開示のクリプトファイシンおよび先行技術のクリプトファイシンを製造する方法を提供する。クリプトファイシン1、8および35が総合的合成によって製造された。総合的合成によって製造される、以前開示の及び先行技術のクリプトファイシンの代表を以下に提供する:
Figure 0004181632
式中、
1はハロゲンである;
2はOHである;または
1とR2が一緒になってエポキシド環を形成していてもよい;
3はHである;そして
4はHである;または
3とR4が一緒になって二重結合を形成していてもよい。
本発明はまた、製薬上許容できる担体と共に有効量の下記構造のクリプトファイシンを含んでいる、過増殖性哺乳類細胞(hyperproliferative mammalian cell)の増殖を抑制するのに有効な医薬品組成物を提供する:
Figure 0004181632
式中、
Arはメチルまたはフェニルまたはいずれかの簡単な非置換または置換芳香族またはヘテロ芳香族基である;
1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウム、スルフェートまたはホスフェートである;
2はOHまたはSHである;または
1とR2が一緒になってエポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スルフェート環またはモノアルキルホスフェート環を形成していてもよい;または
1とR2が一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成していてもよい;
3は低級アルキル基である;
4およびR5はHである;または
4とR5が一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成していてもよい;
6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロアルコキシベンジル基である;
7、R8、R9およびR10は各々独立にHまたは低級アルキル基である;
そして
XおよびYは各々独立にO、NHまたはアルキルアミノである。
本発明の好ましい態様においては、この医薬品組成物はさらに少なくとも一つの追加の抗腫瘍剤(anti−neoplastic agent)を含んでいる。
本発明はまた、哺乳類細胞を、細胞の増殖を抑制するのに十分な量の、下記構造を有するクリプトファイシン化合物と接触させることからなる、哺乳類細胞の増殖を抑制する方法を提供する:
Figure 0004181632
式中、
Arはメチルまたはフェニルまたはいずれかの簡単な非置換または置換芳香族またはヘテロ芳香族基である;
1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウム、スルフェートまたはホスフェートである;
2はOHまたはSHである;または
1とR2が一緒になってエポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スルフェート環またはモノアルキルホスフェート環を形成していてもよい;または
1とR2が一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成していてもよい;
3は低級アルキル基である;
4およびR5はHである;または
4とR5が一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成していてもよい;
6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロアルコキシベンジル基である;
7、R8、R9およびR10は各々独立にHまたは低級アルキル基である;
そして
XおよびYは各々独立にO、NHまたはアルキルアミノである。
本発明の好ましい態様においては、この方法はさらに、細胞を少なくとも一つの追加の抗腫瘍剤と接触させることを含んでいる。本発明の好ましい態様においては、接触される哺乳類細胞は過増殖性である。本発明のさらに好ましい態様においては、過増殖性細胞はヒト細胞である。
本発明はまた、多剤耐性表現型(multiple drug resistant phenotype)を有する過増殖性哺乳類細胞の増殖を抑制する方法を提供するが、その方法は該細胞を、微小管(microtubule)の重合と解重合の動的状態を混乱させて細胞の有糸分裂(mitosis)を阻止するのに有効な量の、下記構造を有するクリプトファイシン化合物と接触させ、それによって細胞の増殖を抑制することからなる:
Figure 0004181632
式中、
Arはメチルまたはフェニルまたはいずれかの簡単な非置換または置換芳香族またはヘテロ芳香族基である;
1はハロゲン、SH、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アルキルチオ、ジアルキルスルホニウム、スルフェートまたはホスフェートである;
2はOHまたはSHである;または
1とR2が一緒になってエポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スルフェート環またはモノアルキルホスフェート環を形成していてもよい;または
1とR2が一緒になってC18とC19の間に二重結合を形成していてもよい;
3は低級アルキル基である;
4およびR5はHである;または
4とR5が一緒になってC13とC14の間に二重結合を形成していてもよい;
6はベンジル、ヒドロキシベンジル、アルコキシベンジル、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロアルコキシベンジル、またはジハロアルコキシベンジル基である;
7、R8、R9およびR10は各々独立にHまたは低級アルキル基である;
そして
XおよびYは各々独立にO、NHまたはアルキルアミノである。
本発明の好ましい態様においては、この方法はさらに、細胞を少なくとも一つの追加の抗腫瘍剤と接触させることを含んでいる。本発明のさらに好ましい態様においては、哺乳類細胞はヒト細胞である。
本発明はまた、過増殖性哺乳類細胞によって生じた病理状態を緩和する方法を提供し、その方法は対象に対して、細胞の増殖を抑制するのに有効な量の、ここに開示のクリプトファイシン化合物を投与することからなる。本発明の好ましい態様においては、哺乳類細胞はヒト細胞である。
本発明の好ましい態様においては、この方法はさらに、対象に対して、病理状態を緩和するのに向けられた少なくとも一つの追加の治療を施すことを含んでいる。本発明の好ましい態様においては、病理状態は新生物(neplasms)の形成を特徴とする。本発明のさらに好ましい態様においては、新生物は、乳房(mammory)、スモール細胞肺臓(small-cell lung)、非スモール細胞肺臓(non-small-cell lung)、結腸直腸(colorectal)、白血病(leukemia)、黒色腫(melanoma)、膵臓腺癌(pancreatic adenocarcinoma)、中枢神経系(central nervous system(CNS))、卵巣(ovarian)、前立腺(prostate)、軟組織または骨の肉腫(sarcoma of soft tissue or bone)、頭と頸(head and neck)、膵臓(pancreatic)や食道(esophageal)を含む胃部(gastric)、胃(stomach)、骨髄腫(myeloma)、膀胱(bladder)、腎臓(renal)、甲状腺(thyroid)を含む神経内分泌(neuroendocrine)、および非ホジキン病およびホジキン病、の新生物からなる群から選ばれる。
クリプトファイシン化合物を製造する方法は図5に描かれている通りのスキーム1にまとめられる。出発物質は、S−立体配置におけるXH基(但し、Xは酸素またはNHである)によってC−2を置換されている3E−アルケン(a)である。L−アラニンおよびL−乳酸は出発物質aの安価な源として利用できる。合成における主な工程は、aのプロパルギルエーテル(b)から(3R,4R)−3−(XH−置換)−4−アルキルヘプト−5(E)−エン−1−イン(c)(但し、Xは酸素または保護された窒素例えばt−ブチルジメチルシリルアミノである)への立体選択性[2,3]ウィッティヒ転位(D.J−S.Tsai等のJ.Org.Chem.1984,49,1842−1843;K.Mikami等のTetrahedron 1984,25,2303−2308;N.Sayo等のChem Lett.1984,259−262)である。それから、当業者に既知の方法を使用して、化合物cを、クリプトファイシンのδ−ヒドロキシまたはアミノ酸ユニットA前駆体、(5S,6R)−5−(XP−置換)−6−アルキル−8−アリール−オクタ−2E,7E−ジエン酸メチル(d)(但し、Pは適する保護基である)に転化することができる。
δ−ヒドロキシまたはアミノ酸単位A、α−アミノ酸単位B、β−アミノ酸単位Cおよびα−ヒドロキシまたはアミノ酸単位Dから構成されるクリプトフィシンを合成するための一つの戦略はクリプトフィシン分子の部分を表わす2つの前駆体、例えば、δ−ヒドロキシまたはアミノ酸単位Aとα−アミノ酸単位Bとを含有するA−B前駆体(e)およびβ−アミノ酸単位Cとα−ヒドロキシまたはアミノ酸単位Dとを含有するC−D前駆体(f)から大員環(macrocycle)を組み立てることである。
本明細書において記載される方法において、(1)A−B前駆体およびC−D前駆体における単位Aの末端と単位Dの末端とを接合して非環式C−D−A−B中間体を形成しそして(2)単位Bおよび単位Cの末端を接合して環式生成物を形成することによる2つの工程でA−B前駆体およびC−D前駆体からクリプトフィシンが組み立てられる。
実験セクションにおいて記載されるクリプトフィシン51の合成において、A−B部分における単位Aのδ−ヒドロキシ基とC−Dフラグメントにおける単位Dのカルボン酸基との間でエステル結合が形成されて非環式C−D−A−B中間体が形成されそして次にA−B部分における単位Bのカルボン酸基とC−D部分における単位Cのβ−アミノ基との間でアミド結合が形成される。化合物KはA−B部分前駆体であり、化合物PはC−D部分前駆体でありそして化合物Rはクリプトフィシン51の非環式C−D−A−B前駆体である。化合物Kおよび化合物Pは、工程1においてカップリングして単位Aと単位Dとの間でエステルを形成するのを制限するために、単位Bのカルボン酸基上および単位Cのβ−アミノ基上に保護基を有する。これらの保護基はC−D−A−B中間体から除去されて、その結果工程2において単位Bと単位Cとの間でアミド形成を起こさせることが出来る。
メチル(5S,6R)−5−t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−メチル−8−フェニル−オクタ−2E,7E−ジエノエート(G)である、クリプトフィシン51の単位A前駆体の合成は図式2(図6)において要約される。(S)−トランス−3−ペンテン−2−オール(A)である出発物質はラセミ化合物の酵素分割により造られる。相間移動条件下の塩化プロパルギルおよび塩基とのAの反応は86%の収率でプロパルギルエーテルBを生成した。−90℃でのブチルリチウムでのBの処理は71%の収率でアルコールCに導いた。所望の3R,4Rアンチ化合物Cはウィッティッヒ転位において形成された唯一の生成物であった。tert−ブチルジメチルシリルエーテル(またはtert−ブチルジメチルシリエエーテル)としてのCのヒドロキシ基の保護の後、三重結合のヒドロホウ素化(1975年Wiley社発行H.C.Brown著、Organic Synthesis Via Boranes)はCからの73%収率でアルデヒドDに導いた。次にHorner-Emmons反応により90%収率でtrans α,β不飽和エステルEに転換された。DにおけるC6−C7二重結合の選択的オゾン分解は83%の収率でアルデヒドFを提供した。最後にブチルリチウムの存在下の塩化ベンジルトリフェニルホスホニウムとのFのウィッティッヒ反応は80%収率でGを生成した。AからのGの収率は26%であった。
A−B前駆体(K)を生成するためのD−3−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)アラニン単位Bとの単位A前駆体Gのカップリングは図式3(図7)に要約される。アセトン中の水酸化リチウムを用いてのGにおけるメチルエステル基の加水分解は95%の収率でカルボン酸Hを生成した。Jを生成するためのトリクロロエチルエステルIとのHのカップリングはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中のHの溶液を小過剰のペンタフルオロフェニルジフェニルホスフィネート(FDPP)、等モル量のIのトリフルオロ酢酸塩で処理し、次に25℃で3当量のジイソプロピルエチルアミン(DIEA)で処理することにより65%の収率で達成されることが出来た(S.Chen等によるTetrahedron Lett.1991,32第6711頁〜第6714頁)。次にJのフルオロ脱シリル化は95%の収率でKに導いた。
保護されたアミノ酸Iは5工程でD−チロシンから造られた。第一に、D−チロシンは氷酢酸中の塩化スルフリルを用いて塩素化された(R.ZeynekによるHopper-Seyler’s Z.f.Physiol.Chemie1926,144第247頁〜第254頁)。次にN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−D−アラニンは50%水性ジオキサン中のアミノ酸の懸濁液をトリエチルアミンの存在下にジ−tert−ブチルジカーボネートで処理することにより94%の収率で得られた。得られた生成物は還流しているアセトン中の炭酸カリウムの存在下に硫酸ジメチルで、84%の収率でジメチル化された。次にメチルエステルは水性ジオキサン中の水酸化ナトリウムでけん化されて86%の収率でN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−D−アラニンを生成した。ジクロロメタン中のトリクロロエタノール、ピリジンおよびDCCにBOC−保護されたアミノ酸を曝すと65%の収率でトリクロロエチルエステルIに導いた。トリフルオロ酢酸を用いてのこの物質の処理は定量的収率のIのトリフルオロ酢酸塩に導いた。
(2S)−2−〔3′(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2′,2′−ジメチルプロパノニルオキシ〕−4−メチルペンタン酸(P)であるC−D前駆体の合成は図式4(図8)に要約される。Pの単位C部分についての出発点はアミノアルコールLであった。トリエチルアミンの存在下でのジ−tert−ブチルカーボネートを用いてのLのアミノ基の保護(93%収率)、次の四酸化ルテニウムを用いての第一級アルコールの酸化(P.H.J.Carlsen等によるJ.Org.Chem.1981,46第3936頁〜第3938頁)はカルボン酸M(66%収率)を提供した。L−ロイシン酸はジクロロメタン中の臭化アリルと、塩化tetra−n−ブチルアンモニウムを含有する水性重炭酸ナトリウムとの混合物にそのL−ロイシン酸を曝すことにより、相間移動条件下に93%の収率でアリルエステルNに転換された(S.Friedrich-Bochnitschek等によるJ.Org.Chem.1989,54第751頁〜第756頁)。NとのMのカップリング反応はジクロロメタン中の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いて行なわれて75%の収率でOを達成した。Oのアリルエステルの開裂はモルホリンおよび触媒テトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウムを含有するTHF中で行なわれて95%の収率でPを得た(P.D.Jeffrey等によるJ.Org.Chem.1982 47,第587頁〜第590頁)。
A−B前駆体(K)とC−D前駆体(P)とのカップリングは図式5(図9)において示されるとおりに達成された。ジクロロメタン中のDCC/DMAPを用いてのKおよびPの処理は84%の収率で十分に保護されたC−D−A−B中間体(Q)に導いた。Qにおけるトリクロロエチルエステル基の還元性開裂は酢酸中の活性化亜鉛粉末を用いて達成された。次にBOC保護用基はトリフルオロ酢酸によって除去されて91%のQからの全体的収率でトリフルオロ酢酸塩としてRを得た。FDPPを用いてのRのマクロラクタム化は61%の収率でクリプトフィシン51に導いた(J.Dudash,Jr.等によるSynth.Commun.1993,23第349頁〜第356頁)。S−トランス−3−ペンテン−2−オール(A)からの全体的収率は7%であった。
クリプトフィシン51はR,R−エポキシドであるクリプトフィシン52の前駆体およびS,S−エポキシドであるクリプトフィシン53の前駆体として役に立った。次にクリプトフィシン52は18R,19S−クロロヒドリンであるクリプトフィシン55の前駆体および13,14−ジヒドロ類似体であるクリプトフィシン57の前駆体として役に立った。クリプトフィシン57はクリプトフィシン58の前駆体として役に立った。クリプトフィシン53はT.H.ChanおよびJ.R.FinkenbineによるJ.Am.Chem.Soc.1972,94第2880頁〜第2882頁に記載された方法を用いるクリプトフィシン61の前駆体およびY.Ittah等によるJ.Org.Chem.1978,43第4271頁〜第4273頁に記載された方法を用いるクリプトフィシン97の前駆体として役に立った。
フェニル基とは異なるAr基を有するクリプトフィシン類の合成のために、アルデヒドF(図式2;TBS保護用基)またはS(図式6;TBPS保護用基)を、ブチルリチウムの存在下に適当な塩化アリールトリフェニルホスホニウムとウィッティッヒ反応させることにより一般構造式d(図式1、R3=Me)の単位A前駆体が造られることが出来る。クリプトフィシン81は図式6および7(図10および11)に示されるとおりにして前駆体d(Ar=p−メトキシフェニル、R3=Me)から造られた。
Ar基はまた合成の後の工程で新しいクリプトフィシンに導入されることが出来る。第一前駆体d(Ar=R3=Me)は図式8(図12)に示されるとおりにして適当なA−B(e)前駆体およびC−D(f)前駆体をカップリングすることによりクリプトフィシン82に転換された。クリプトフィシン82の選択的なオゾン分解および対応するエポキシド類のクリプトフィシン90および91の過ヨウ素酸酸化はアルデヒドであるクリプトフィシン108に導いた。ブチルリチウムの存在下での適当なアリールトリフェニルホスホニウムとのクリプトフィシン108のウィッティッヒ反応は新しいクリプトフィシン(図式9;図13)を提供した。この方法を用いて、クリプトフィシン110(Ar=p−フルオロフェニル)、クリプトフィシン111(Ar=p−トリル)、クリプトフィシン112(Ar=2−チエニル)およびクリプトフィシン124(Ar=p−クロロフェニル)が造られた。クリプトフィシン110はエポキシド類であるクリプトフィシン115および116の前駆体として役に立った。クリプトフィシン111はエポキシド類であるクリプトフィシン117および118の前駆体およびクロロヒドリン類であるクリプトフィシン128,130および131の前駆体として役に立った。クリプトフィシン112はエポキシド類であるクリプトフィシン119および120の前駆体として役に立った。クリプトフィシン124はエポキシド類であるクリプトフィシン125および126の前駆体およびクロロヒドリン類であるクリプトフィシン132,133および134の前駆体として役に立った。
クリプトフィシンを合成するための他の戦略は3つの前駆体、例えばδ−ヒドロキシまたはアミノ酸単位Aを含有するA−B前駆体(e)、δ−ヒドロキシまたはアミノ酸単位Dを含有する前駆体およびβ−アミノ酸単位Cを含有する前駆体から大員環を組み立てることである。本明細書に記載される方法において、(1)A−B前駆体およびD前駆体における単位Aおよび単位Dの末端を接合して非環式D−A−B中間体を形成し、(2)D−A−B前駆体およびC前駆体における単位Dおよび単位Cの末端を接合して非環式C−D−A−B中間体を形成しそして(3)単位Bおよび単位Cの末端を接合して環式生成物を形成することによる3つの工程でA−B前駆体、C前駆体およびD前駆体からクリプトフィシンが組み立てられる。
実験セクションにおいて記載されたクリプトフィシン121の合成において、A−B部分における単位Aのδ−ヒドロキシ基とDフラグメントにおける単位Dのカルボン酸基との間でエステル結合が形成されて非環式D−A−B中間体を形成する。次に単位Cのカルボン酸基とD−A−Bフラグメントにおける単位Dのアミノ基との間でアミド結合が形成される。最後に、A−B部分における単位Bのカルボン酸基とC−D部分における単位Cのβ−アミノ基との間でアミド結合が形成される。化合物KはA−B部分前駆体でありBOC−Lロイシン無水物はD単位前駆体でありそして化合物ALは単位C前駆体である。化合物AKはクリプトフィシン121の非環式C−D−A−B前駆体である(図式10;図14)。化合物KおよびBOC−L−ロイシン無水物は、工程1において、カップリングして単位Aと単位Dとの間でエステルを形成するのを制限するために、単位Bのカルボン酸基上および単位Dのα−アミノ基上に保護基を有する。D−A−B中間体における単位Dのアミノ基から保護基が除去されて、その結果工程2において単位Bにおけるアミノ基とカルボン酸Cとの間でアミド形成が生ずること出来る。
本発明の新規なクリプトフィシン化合物はクリプトフィシン1におけるエポキシド環とは異なる速度で求核剤により開環されるエポキシド環を有するかあるいは、クリプトフィシン8のクロロヒドリン官能性がクリプトフィシン1のエポキシド環に転換されるのとは異なる速度でエポキシド環を形成するクロロヒドリン官能性を有する。クリプトフィシン1のエポキシド環またはクリプトフィシン8のクロロヒドリン官能性(マスクされたエポキシド環)は最適のインビボ活性のために必須である。もしエポキシド酸素が(クリプトフィシン3において見い出されるように)除去されるかまたはエポキシド環が(クリプトフィシン15において見い出されるような)ジオールに加水分解されるならば、抗腫瘍活性が非常に減少される。クリプトフィシン1はクリプトフィシン8と比較して動物において認識出来る毒性を示す。これはクリプトフィシン8についての値(ほとんど0%のT/C値および>2.8の総対数死滅値(gross log kill values))と比較してクリプトフィシンについてのT/C(ほとんど>0%)および総対数死滅値(ほとんど<2.0)において反映される。対応するブロモヒドリン類似体であるクリプトフィシン25はクリプトフィシン1についての値と比較し得るT/Cおよび総対数死滅値を示す。インビボ活性におけるこの顕著な差はブロモヒドリンクリプトフィシン25がクリプトフィシン8よりもインビボでクリプトフィシン1により迅速に転換されることを示唆している。これはより低い毒性のクリプトフィシン8が活性化合物クリプトフィシン1に変換されるまえに腫瘍部位で蓄積するためのより多くの時間を有する可能性があることをさらに示唆している。クリプトフィシン1のエポキシド基は腫瘍細胞におけるその標的受容体に共有的に恐らくは結合する。本発明における新規なクリプトフィシン類は、対応するクロロヒドリンプロドラッグからのインビボエポキシド形成および腫瘍細胞における標的受容体への共有結合、の一層好ましい速度を示すことにより、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8よりも良好なインビボ活性を潜在的に持つことが出来るだろう。
本発明の化合物はクリプトフィシン1および21より加水分解および加溶媒分解に対して一層安定である。クリプトフィシン1における単位Cおよび単位Dを接合するエステル結合はおだやかな塩基加水分解に対して比較的に感受性があり、pH11でヒドロキシ酸に開裂し、0.83時間の半減期を有する。単位CのC−2上のメチル基を欠いているクリプトフィシン21におけるC−Dエステル結合は0.25時間の半減期を有するより速い速度で開く。C−Dエステル結合はまた加溶媒分解に感受性である。メタノールが単離計画において用いられる場合、クリプトフィシン1および21のかなりのメタノリシスが起る。クリプトフィシン21はクリプトフィシン1よりメタノリシスに対してずっと感受性である。クリプトフィシン1は抗腫瘍活性を示すがしかるに、クリプトフィシン21は不活性であり、恐らくはその理由はクリプトフィシン21のC−Dエステル結合が、インビボでクリプトフィシン1のC−Dエステル結合より速く加水分解されるからである。C−Dエステル結合の加水分解はまた、医薬の腹腔内経路および皮下経路の投与によりクリプトフィシン1の減少したインビボ活性を、一部分説明することが出来る。クリプトフィシン52において見い出されるような、単位CのC−2上に2つのメチル基を持つクリプトフィシン類のC−Dエステル結合はpH11で安定である。
本発明の化合物およびまえに開示されたクリプトフィシン化合物は抗新生物(腫瘍)剤として治療的に使用されることが出来そしてそれにより新生物(腫瘍)疾患を治療するための方法において使用されることが出来る。本明細書において用いられる用語として、“新生物(腫瘍)の”とは、異常な生長である新生物(腫瘍)に関係し、そのような生長は生長の通常の制限に付されない細胞の増殖に起因して起る。本明細書において用いられる用語として“抗新生物(腫瘍)剤”とは新生物(腫瘍)表現型の細胞を阻止するか、排除するか、遅らせるかまたは逆転させる任意の化合物、組成物、混合物、共混合物またはブレンドである。
化学療法、外科手術、放射線治療、生物学的応答調製剤を用いての治療および免疫療法は癌の治療において現在使用されている。治療の各々の様式は当業者に知られている特定の指針を有しそして1つまたはすべては新生物(腫瘍)細胞の完全な破壊を達成させる試みにおいて使用されることが出来る。1種またはそれ以上のクリプトフィシンを使用する化学療法が本発明によって提供される。さらに組み合わせ化学療法、他の抗新生物(腫瘍)剤と組み合わせてクリプトフィシンを使用する化学療法は、組み合わせ治療が1種の抗新生物(腫瘍)剤の使用より一般に一層有効であるので、本発明によりまた提供される。したがって、本発明の追加の面は、上に挙げられた治療的利益を提供するのに役に立つ、本発明の新規なクリプトフィシン化合物の非毒性付加塩を包含する、少なくとも1種の本発明の新規なクリプトフィシン化合物の治療的に有効な量を含有する組成物を提供する。そのような組成物はまた、生理学的に許容出来る液体、ゲルまたは固体の担体、希釈剤、佐剤および賦形剤と一緒に提供されることが出来る。そのような担体、希釈剤、佐剤および賦形剤はメリーランド州ロックビルのU.S.Pharmacopeia Convention,Inc.のUnited States Pharmacopeia Vol.XXIIおよびNational Formulary Vol.XVII(これらの内容を参照することにより本明細書に組み入れる)において見い出されることが出来る。治療の追加の様式はAmerican Hospital Formulary ServiceによるAHFS Drug Information 1993年版、第522頁〜第660頁(この内容を参照することにより本明細書に組み入れる)に提供される。
本発明は新生物(腫瘍)疾患を治療するために使用される製薬組成物が少なくとも1種のクリプトフィシン化合物および少なくとも1種の追加の抗新生物(腫瘍)剤を含有する製薬組成物を提供する。クリプトフィシンと組み合わせて使用されることが出来る抗新生物(腫瘍)化合物はMerck & Co.,Inc.(1989年)発行のThe Merck Index第11版pp.Ther 16〜17(その内容を参照することにより本明細書に組み入れる)に提供される化合物を包含する。本発明の追加の態様において、抗新生物(腫瘍)剤はメトトレキサート、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素および2−クロロデオキシアデノシンを包含出来るがしかしそれらに限定されない代謝拮抗物質であってよい。本発明の他の態様において、意図される抗新生物(腫瘍)剤はシクロホスファミド、メルファラン、ブスルファン、パラプラチン、クロラムブシルおよび窒素マスタードを包含出来るがしかしそれらに限定されないアルキル化剤である。本発明の追加の態様において、抗新生物(腫瘍)剤はビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソールおよびエトポシドを包含出来るがしかしそれらに限定されない植物アルカロイド類である。本発明の追加の態様において、意図される抗新生物(腫瘍)剤はドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、マイトマイシンCおよびブレオマイシンを包含出来るがしかしそれらに限定されない抗生物質である。本発明の追加の態様において、意図される抗新生物(腫瘍)剤はカルステロン、ジオモスタボロン(diomostavolone)、プロピオネート、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)、テストラクトン、タモキシフェン、りん酸ポリエストラジオール、酢酸メゲステロール、フルタミド、ニルタミド(nilutamide)およびトリロタン(trilotane)を包含出来がしかしそれらに限定されないホルモン類である。本発明の別の態様において、意図される抗新生物(腫瘍)剤は、アムサクリン(amsacrine)を包含出来るがしかしそれに限定されないL−アスパラギナーゼまたはアミノアクリジン誘導体類を包含出来るがしかしそれらに限定されない酵素類を包含する。追加の抗新生物(腫瘍)剤は、Little Brown & Co.(1991年)発行Handbook of Cancer Chemotherapy(第3版)においてのSkeel Roland T.,による“Antineoplastic Drugs and Biologic Response Modifier:Classification,Use and Toxicity of Clinically Useful Agents”(この内容を参照することにより本明細書に組み入れる)において提供される薬剤を包含する。
本クリプトフィシン化合物および組成物は家畜のためのような、獣医学的使用のために哺乳動物に投与されることが出来、そして他の治療薬と同様な方法でヒトの臨床的使用のために投与されることが出来る。一般に治療的効能のために必要とされる投与量は投与の使用のタイプおよび様式、ならびに各患者の特定化された要件に従って変化する。通常、投与量は0.001〜1000mg/患者の体重のkg、さらに普通には0.01〜10mg/kgの範囲にある。別法として、これらの範囲内の投与量は、所望の治療的効果が得られるまで、通常24時間を超る長期の時間にわたって一定の注入により投与されることが出来る。実際には、医薬投与量ならびに投与の経路は相対的有効性、相対的毒性、腫瘍の生長特性、細胞(分裂)周期上へのクリプトフィシンの効果、医薬薬剤速度論、年令、性、患者の身体状態および以前の処置に基づいて選択されねばならない。
追加の抗新生物(腫瘍)剤とともにまたはそれなしで、本クリプトフィシン化合物は本来のままでまたは塩形として治療組成物に配合されることが出来る。製薬的に許容出来る非毒性塩は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニウム、水酸化カルシウムまたは水酸第二鉄のような無機塩基そしてイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン、等のような有機塩基から誘導されることが出来る(遊離カルボキシルまたは他のアニオン基で形成された)塩基付加塩を包含する。そのような塩はまた任意の遊離なカチオン基を有する酸付加塩として形成されることが出来そして一般に例えば塩酸または燐酸のような無機酸あるいは酢酸、修酸、酒石酸、マンデル酸、等のような有機酸を用いて形成される。別の本発明が提供する追加の賦形剤は当業者に手に入れることが出来る賦形剤であり、例えばメリーランド州、ロックビルのU.S.Pharmacopeia Convention,Inc.,発行のUnited States Pharmacopeia Vol.XXIIおよびNational Formulary Vol.XVII(これらを参照することにより本明細書に組み入れる)において見い出される賦形剤である。
一定の治療組成物に包含させるための特定の担体の適合性は投与の好ましい経路により左右される。例えば、抗新生物(腫瘍)組成物は経口投与のために配合されることが出来る。そのような組成物は典型的には液体溶液または懸濁液としてかあるいは固体形で造られる。経口配合物は通常、結合剤、充てん剤、保存料、安定化剤、乳化剤、緩衝剤そして例えば製薬級のマンニトール、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム等のような賦形剤のような通常使用される添加剤を含む。これらの組成物は溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル持続放出性配合物、または粉末の形をとりそして典型的には、1%〜95%の活性成分、好ましくは2%〜70%の活性成分を含有する。
本発明の組成物は、注射出来る、液体溶液、懸濁液、または乳濁液としてまた造られることが出来:注射する前に液体が造られる溶液または懸濁液のために適している固体として本発明の組成物は造られることが出来る。そのような注射出来る組成物は、皮下に、静脈内に、腹腔内に、筋肉内に、くも膜下にまたは胸膜内に投与されることが出来る。1種の活性成分または複数の活性成分は、生理学的に許容出来るそして活性成分(1種または複数種)と相容れることが出来る希釈剤または賦形剤と多くの場合混合される。適当な希釈剤および賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、等、そしてそれらの組み合わせである。また、所望ならば、組成物は湿潤剤または乳化剤、安定化剤またはpH緩衝剤のような少量の補助物質を含有してもよい。
本発明はさらに哺乳動物細胞の増殖を阻止するのに十分な量で哺乳動物の細胞をクリプトフィシン化合物と接触させることにより哺乳動物の細胞の増殖を阻止するために属構造物により包み込まれるクリプトフィシン化合物を用いる方法をさらに提供する。好ましい態様は過増殖性哺乳動物細胞の増殖を阻止するための方法である。この発明の目的のために、“過増殖性哺乳動物細胞”は生長の特徴的限界、例えばプログラム細胞死(アポプトーシス(枯死))に付されない哺乳動物細胞である。別の好ましい態様は哺乳動物細胞がヒトである場合である。本発明は哺乳動物細胞を少なくとも1種のクリプトフィシン化合物および少なくとも1種の追加の抗新生物(腫瘍)剤と接触させることをさらに提供する。意図される抗新生物(腫瘍)剤のタイプは本明細書において上に開示された抗新生物(腫瘍)剤と同じである。
本発明は、過剰増殖性哺乳動物細胞の増殖を阻止するのに十分な量で、該細胞をクリプトフィシン化合物と接触することにより、複合薬剤耐性表現型を包含する、薬剤耐性表現型を有する過剰増殖性細胞の増殖を阻止するために属構造により取り囲まれたクリプトフィシン化合物を用いる方法をさらに提供する。好ましい態様は哺乳動物がヒトである場合である。本発明は哺乳動物細胞をクリプトフィシン化合物および少なくとも1種の追加の抗新生物(腫瘍)剤と接触させることを提供する。意図される抗新生物(腫瘍)剤のタイプは本明細書において上に開示された抗新生物(腫瘍)剤と同じである。
本発明は過増殖している細胞の増殖を阻止するために本明細書の上に提供された製薬組成物の有効量を対象に投与することにより、哺乳動物細胞を過剰増殖すること、例えば新形成(異常増殖)により生じた病理学的症状を緩和するための方法さらに提供する。本明細書において用いられる用語として“病理学的症状”とは、細胞生長の正常な限界に付されない哺乳動物細胞の増殖から生ずる任意の病理学を云う。細胞のそのような増殖は次の新生物(腫瘍);乳房の新生物、小区画肺の新生物、非小区画の肺の新生物、結腸直腸の新生物、白血病、黒色腫、中枢神経系の新生物、卵巣の新生物、前立腺の新生物、軟組織および骨の肉腫、頭部および頸部の新生物、膵臓の新生物および食道の新生物を含む胃の新生物、胃の新生物、骨髄腫、膀胱の新生物、腎臓の新生物、甲状腺腫およびりんぱ腫を包含する神経内分泌の新生物、非ホジキン肉腫およびホジキン肉腫を包含するがしかしそれらに限定されない新生物(腫瘍)に起因している可能性がある。本発明の追加の態様において、新生物(腫瘍)細胞はヒトである。本発明は他の治療、ならびに他の抗新生物(腫瘍)剤と組み合わせてクリプトフィシンを使用する、そのような病理学的症状を緩和する方法をさらに提供する。種々の異なる新形成(異常増殖)に対してのそのような治療およびそれらの適合性はLippincott Co.(1993年)発行DeVita,V.、Hellman,S.およびRosenberg S.編集Cancer Principles and Practice of Oncology(これらの内容を参照することにより本明細書に組み入れる)に見い出されることが出来る。
本開示において、クリプトフィシン化合物は培養細胞における微小管構造を強力的に分裂させることが示される。さらにそしてVincaアルカロイドとは対照的に、クリプトフィシン化合物は薬剤−流出ポンプP−糖たんぱく質のための貧弱な基質であるように思われる。クリプトフィシン1は、GSV224と称されるラン藻(ラン菌)Nostoc sp.菌株において主要な細胞毒である。この環式ジデプシペプチドは、抗真菌剤としてNostoc sp.ATCC承認第53789から以前に単離されたそしてその総構造は以前に決定された。この潜在的に重要な医薬の相対的および絶対的立体化学は化学技術およびスペクトル技術の組み合せを用いて今や確立された。24の追加のクリプトフィシン化合物であるクリプトフィシン2〜7、16〜19、21、23、24、26、28〜31、40、43、45、49、50および54はまたGSV224から単離されたそしてそれらの全体的構造および細胞毒性が決定された。数種の誘導体および低位化生成物が化学的におよび生理学的にの両方において記載される。
以下の例は本発明の或る好ましい態様および面を例示するために供されそしてその範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
実験セクション
以下の実験的開示において、すべての重量はグラム(g)、ミリグラム(mg)、ミクログラム(μg)、ナノグラム(ng)、ピコグラム(pg)、モル(モル)またはミリモル(mモル)で提供され、すべての濃度は容量によるパーセント(%)、モル濃度(M)、ミリモル濃度(mM)、ミクロモル濃度(μM)、ナノモル濃度(nM)、ピコモル濃度(μM)または規定(N)として提供され、すべての容量はリットル(L)、ミリリットル(mL)またはミクロリットル(μL)で提供されそして線の測定はミリメートル(mm)で提供され、これらは他のように示されないかぎり使用される。
以下の例はクリプトフィシン化合物の単離および合成ならびに本発明に従っての治療薬としてのそれらの使用を示す。
抗腫瘍活性についての、1000以上のラン藻(ラン菌)のスクリーニング抽出物において、Nostoc sp.GSV224の親油性抽出物はKB,ヒト鼻咽頭癌細胞系に対して0.24ng/mLおよびL0V0、ヒト結腸直腸腺癌細胞系に対して6ng/mL、の最大阻止濃度(MIC)を示す、強い細胞毒性3であることが分かった。さらに重要なことには、その抽出物はCorbett検定法4,5において重大な腫瘍選択性細胞毒性を示した。その藻類の抽出物の生物学的定量法監視逆相クロマトグラフィは、Merckでの研究者によりNostoc sp.ATCC53789から以前に単離された6,7そしてCryptococcusの菌株に対して非常に活性であると分かった強力な殺真菌剤であるクリプトフィシン1で主として、あった分画に導いた。
クリプトフィシン1はNostoc sp.GSV224の粗製藻類抽出物の細胞毒性活性の大部分を表わしそしてその純粋な化合物はKBに対して3pg/mLそしてL0V0に対して5pg/mLのIC50値を示した。Corbett検定法においてクリプトフィシン1は強力な腫瘍選択性、そして薬品感受性および薬品耐性腫瘍細胞に対して等しく細胞毒性であることが分かった。蛍光免疫検定法はクリプトフィシン1がビンブラスチンの標的と類似の細胞標的と相互作用するがしかしより長い時間コースの作用を有する点でそして準結晶を形成しない点で後者の医薬とは異なることを示した。予備インビボ実験において、クリプトフィシン1はマウスに埋め込まれた腫瘍に対して非常に有望な活性を示した。
少量の幾種かの他のクリプトフィシン化合物がNostoc sp.GSV224中に存在した。これらのうちの21は、1:5のジクロロメタン/アセトニトリルを用いての藻類の抽出および抽出物の逆相HPCLにより、構造決定およびインビトロ抗腫瘍評価のために十分な量で単離されることが出来た。クリプトフィシン2、3、4、16、17、18、19、21、23、24、26、28、29、30、31、40、43、45、49、50および54は、65:35のアセトニトリル/水を用いての逆相フラッシュカラムから溶離された分画においてクリプトフィシン1を伴なった。クリプトフィシン2、3、4、5、6および7は、藻がメタノールで抽出されそしてメタノール/水を用いて逆相クロマトグラフィが行なわれたときに見い出されたそれらだけの化合物であった。クリプトフィシン2、3、4、5および6は3:1のメタノール/水で溶離されそしてクリプトフィシン7は1:3のメタノール/水を用いて溶離された早期のより低い細胞毒性の分画に見い出された。アクリル性クリプトフィシン5、6および7は単離処理中にクリプトフィシン1の分解により生成された人工品であると思われる。
クリプトフィシン3および5はMerckでの研究者によりクリプトフィシン1から造られた殺カビ性半合成化合物8,9と同一であると思われた。クリプトフィシン3は亜鉛−銅カップルを用いてまたは四沃化二燐を用いて9クリプトフィシン1を処理することにより造られた。クリプトフィシン5はクリプトフィシン1のメタノリシス9(メタノールによる加溶媒分解)により造られた。
例1 構造決定
新しい化合物、即ちクリプトフィシン2、4、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、21、23、24、26、28、29、30、31、40、43、45、49、50および54ならびに以前に開示された化合物の構造の決定は当業者に周知である方法論を用いて直接法で行なわれた。質量スペクトルデータは分子組成と一致した。COSY、HMQC、HMBC、およびNOESYスペクトルから得られたプロトンおよび炭素NMRデータは、それらをこれらのデプシペプチドタイプの化合物の総構造のすべてを組み立てるのを可能にした。各々の化合物における種々のヒドロキシおよびアミノ酸単位の存在はガスクロマトグラフィ質量分光分析により確認された。絶対立体化学を包含する全体的構造はクリプトフィシン化合物の適当な誘導体についての化学的分解技術および特殊な分析技術の組み合せを用いて決定された。
例2 構造−活性相関(SAR)
最適活性のために必要とされるクリプトフィシン1における構造的特徴を精査のために、本明細書に記載された化合物のすべてはKB(ヒト鼻咽頭癌、L0V0(ヒト結腸癌)およびSKOV3(ヒト卵巣癌)の細胞系に対する細胞毒性について評価された。IC50値が表1および2に挙げられる。細胞毒性の比較はクリプトフィシン1の、完全なマクロライド環、7,8−エポキシ−5−ヒドロキシ−6−メチル−8−フェニル−2−オクテン酸単位におけるエポキシ基およびメチル基および二重結合(図1における単位A参照)、3−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)アラニン単位(単位B)におけるクロロ基およびO−メチル基、3−アミノ−2−メチルプロピオン酸単位(単位C)におけるメチル基およびロイシン酸単位(単位D)におけるイソブチル基が最適な細胞毒性のために必要とされることを示した。クリプトフィシン8は、恐らくはマスクされたエポキシドとして働らくクロロヒドリン官能性にほとんど起因していると思われる。
最も活性な化合物は、抗真菌テストおよび抗菌テストにおいて普通に使用される検定にならってモデル化されたCorbett検定、デスク拡散検定を用いて4つの異なる細胞タイプ、即ちねずみ白血病(L1210またはP388)、ねずみ充実性腫瘍(結腸腺癌38、膵管腺癌03、乳房腺癌M16/M17)、ヒト充実性腫瘍(結晶CX−1、HCT8、H116;肺H125;乳房MX−1、MCF−7)および低い悪性線維芽細胞)に対して選択的細胞毒性についてまた評価された。表1において示された結果は、クリプトフィシン1〜5および8が充実性腫瘍選択性でなく、また白血病選択性でなかったがしかしむしろM17のような薬剤耐性細胞系を包含する腫瘍細胞系に対して等しく活性であった。白血病細胞系についての阻止域より大きい250域(zone)単位、即ち7.5mmであった、充実性腫瘍細胞系のいずれかについて阻止の域を示した化合物はなかった。しかしながら、クリプトフィシン1〜5および8は線維芽細胞LMLについての阻止の域と比較して、腫瘍細胞系のすべてに阻止の著しく大きな域(400域単位)を示した。診断的にLMLは臨床的に有用な細胞毒性剤(表1の5−フルオロウラシル、エトポシドおよびタキソールについてのCorbett検定データ参照)に関して腫瘍細胞よりも一層正常細胞のように挙動することが分かった。示差的細胞毒性が>250域単位であったのでクリプトフィシン1〜5および8は腫瘍選択性であった。したがってこれらの化合物はインビボ試験の候補者となった。
クリプトフィシン1は薬剤耐性腫瘍を包含する、マウスに植込まれたねずみおよびヒトの腫瘍の広いスペクトルに対して活性である(表3)。10%未満である腫瘍荷重T/C(処理された動物における平均腫瘍荷重(burden)/非処理動物における平均腫瘍荷重)値を示す、5つの早期段階ねずみ腫瘍、即ち結腸腺癌#38および#51、タキソール感受性およびタキソール耐性乳房#16/C/RPおよび膵管腺癌#03およびSCIDマウスにおいて試験された2つの早期段階ヒト腫瘍、即ちMX−1胸部およびH125腺鱗肺(adenosquamous lung)に対して優れた活性を示す。
42%未満であるT/C値はNCI標準により活性であると考えられる;10%未満であるT/C値はNCI標準により優れた活性および有力な臨床活性を有すると考えられる4。試験の2つは、2.0の総(腫瘍細胞)対数死滅値(log kill value)を示した。総対数死滅(Gross log kill)はT−C/3.2Td(但し、Tは750mgに到達するための処理されたグループの腫瘍について日での中央時間であり、Cは750mgに到達するための対照グループの腫瘍についての日での中央時間でありそしてTdは腫瘍容量二重時間(tumor volume doubling time)である)として定義される。5〜20日の薬剤処理の期間を用いて、>2.8、2.0〜2.8、1.3〜1.9、0.5〜0.8および<0.5の総対数死滅値はそれぞれ、++++、+++、++、+および−(不活性)と得点化される。臨床的活性の表示である+++〜++++の活性等級は100〜300mg大きさのかたまりのほとんど移植されたマウスの充実性腫瘍の部分的または完全な退縮を行なうのに必要とされる。
クリプトフィシン8はまたマウスに植込まれた広いスペクトルの腫瘍に対して活性である。それは今日まで試験されたすべての腫瘍に対して優れた活性を示し、<10%の腫瘍荷重(burden)T/C値を示す、がしかしさらに重要なことには+++〜++++の総対数死滅活性等級を示しそして或るものは治癒する。
良好なインビボ活性は、今日まで行なわれた1つの試験においてクリプトフィシン35を用いてまた見られた。
クリプトフィシン1および8の試験中に観察された致命的毒性はすべての臨床的に使用される抗腫瘍薬剤に共通である白血球減少症に起因していた。
例3 培養条件
Nostoc sp.GSV224はミシガン州大学のMSU−DOE Plant Research LaboratoryのC.P.Wolk教授から得られた。Nostoc sp.ATCC53789はAmerican Type Culture Collectionから購入された。藻のILフラスコ培養はpHをNaOHで7に調節された変性BG−113と称される無機培地を含有する、オートクレーブに入れられた20Lガラス耐酸ビンに接種するために用いられた。培養は数列の冷白色蛍光管から200μモル光量子m-2-1(光合成的に活性な照射線)の入射強度で連続的に照射されそして24±1℃の温度で空気中0.5%CO2の混合物で5L/分の速度で通気された。典型的には培養は21日後、ろ過により採取された。凍結乾燥されたNostoc sp.GSV224の収量は0.61g/培養のL平均でありそしてATCC53789の収量は0.3g/培養のL平均であった。
例4 単離
方法A:凍結乾燥されたNostoc sp.GSV224(50g)を48時間1:5のCH2Cl2/CH3CNの2Lで抽出しそして抽出液を真空濃縮して暗緑色固体を得た。残留物(1g:KB MIC 0.24ng/mL)をODS−被覆シリカカラム(55g、7×5cm)に適用しそして1:3のCH3CN/H2O(0.8L)、1:1のCH3CN/H2O(0.8L)、65:35のCH3CN/H2O(1.0L)、MeOH(0.8L)およびCH2Cl2(0.5L)を用いてフラッシュクロマトグラフィに付した。65:35のCH3CN/H2Oで溶離された分画(420mg;KB MIC14pg/mL)を逆相HPLC(Econosil C18、10μ、25cm×21.5mm、250nmでUV検出、65:35のCH3CN/H2O、6mL/分の流速)に付してクリプトフィシン1(tR 49.3分、220mg)および多数の不純物分画を得た。tR 28.8分でのEconosil C18カラムから溶離された分画は順相HPLC(Econosilシリカ5μカートリッジ、250×4.6mm、6:4の酢酸エチル/ヘキサン、3mL/分)によりさらに精製されてクリプトフィシン16(3.0mg)を得た。tR 32.5分でのEconosil 18カラムから溶離された分画は3mL/分で55:45の酢酸エチル/ヘキサンを用いる、Econosilシリカカラム上のHPLCに付されてクリプトフィシン24(0.8mg)を得た。tR 35.5分でのEconosil 18から溶離された分画は第1に3mL/分での1:1の酢酸エチル/ヘキサンを用いそして第2に2.5mL/分での4:6の酢酸エチル/塩化メチレンを用いて、Econosilシリカカラム上で2回HPLCに付されてクリプトフィシン23(1.2mg)およびクリプトフィシン43(0.1mg)を得た。tR 39.5分でのEconosil C18カラムから溶離された分画は3mL/分で1:1の酢酸エチル/ヘキサンを用いてのEconosilシリカカラム上のHPLCに付されてクリプトフィシン2(6mg)およびクリプトフィシン21(14mg)およびtR 32.5分で溶離されたクリプトフィシン類の複合混合物を得た。400gの乾燥藻から集められた、この後者の分画は35:65の水/アセトニトリルを用いてセミプレパレーチブカラム(partisil C18、250×9.4mm、10μ)上でそして1.3mL/分で5:4:1の水/アセトニトリル/メタノールを用いて逆相分析カラム(Econosil、150×4.6mm、5μ)上で順次クロマトグラフィにかけてクリプトフィシン50(tR 34.8、0.4mg)およびクリプトフィシン40(tR 38.8分、0.3mg)を得た。tR 44.5分でEconosil C18カラムから溶離された分画は3mL/分での1:1の酢酸エチル/ヘキサンを用いてのEconosilシリカカラム上のHPLCに付されてクリプトフィシン17(0.3mg)を得た。クリプトフィシン1に対するショルダーとしてtR 54.5でEconosil C18から溶離された分画の順相HPLC精製は、1:1の酢酸エチル/ヘキサンを用いての溶離の際クリプトフィシン45(tR 6.7分、0.1mg)、クリプトフィシン26(tR 8.9分、0.5mg)およびクリプトフィシン54(tR 19.8分、<0.1mg)を生じた。広いピーク(tR 58〜70分)としてEconosil C18カラムから溶離された分画は2.5mL/分での43:57の酢酸エチル/ヘキサンを用いてのEconosilシリカカラム上のHPLCに付されて、クリプトフィシン4(tR 19.6分、1.5mg)、クリプトフィシン31(tR 9.4分、0.8mg)、クリプトフィシン19(tR 25.8分、0.3mg)、クリプトフィシン49(tR 28分、0.1mg)、クリプトフィシン28(tR 29.0分、0.5mg)そして不純なクリプトフィシン29(tR 52.5分、2.0mg)およびクリプトフィシン30(tR 49分、3.0mg)を得た。クリプトフィシン29および30は逆相HPLC(Econosil C18、10μ、250×10mm、3:1メタノール/水)に付した後に純粋なのが得られた。tR 78.9分でのEconosil C18カラムから溶離された分画はEconosilシリカカラム上のHPLCに付されて、クリプトフィシン3(tR 16.4分、3.0mg)を得た。tR 82.8分でEconosil C18カラムから溶離された分画は、3mL/分での45:55の酢酸エチル/ヘキサンを用いてのEconosilシリカカラム上のHPLCに付されてクリプトフィシン18(tR 19.2、0.8mg)を得た。
方法B:12時間(h)MeOHの700mL部分を用いてそして5時間MeOHの400mLの部分を用いて2回、凍結乾燥されたNostoc sp.GSV224(12.23g)は抽出された。抽出液を合併しそして真空濃縮して1.84gの暗緑色固体を得、これを水とCH2Cl2との間に分配した。親油性部分(0.65g;KB MIC 0.24mg/mL)をODS被覆シリカカラム(55g、7×5cm)に適用しそして1:3のMeOH/H2O(0.8L)、1:1のMeOH/H2O(0.8L)、3:1のMeOH/H2O(0.8L)、MeOH(0.8L)およびCH2Cl2(0.5L)を用いてのフラッシュクロマトグラフィにかけた。3:1MeOH/H2Oで溶離され(22mg;KB MIC14pg/mL)、本質的にすべての細胞毒活性を表わす分画は溶離剤として1:5のMeOH/H2Oを用いる逆相HPLC(Econosil C18、10μ 250×10mm、250nmでUV検出、流速3mL/分)に付されてクリプトフィシン7(tR 7.6分、0.2mg)、5(tR 15.4分、2.3mg)、2(tR 16.0分、1.0mg)、1(tR 19.0分、12.0mg)、4(tR 26.5分、1.2mg)、および3(tR 30.2分、1.4mg)を得た。培養の1つから、1:3MeOH/H2Oを用いてフラッシュカラムから溶離された分画(8.1mg)はよりおだやかな細胞毒性を示した(KB MIC 2μg/mL)。溶離剤として2:3MeOH/H2Oを用いてのHPLC上での精製はクリプトフィシンG(7、tR 6.0分、2.4mg)を生成した。
実施例5 クリプトフィシン1〜7のスペクトルデータ
下記のスペクトルデータ中のイタリック体太字は図1のA〜Dに対応する。
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
例 6 クリプトフィシン誘導体の合成
クリプトフィシン8
3.8mgのクリプトフィシン1の1.5mlの1,2−ジメトキシエタン/水2:11の溶液に9μLの1N HCLを加えた。その溶液を室温で4時間攪拌し続け、炭酸カリウムで中和してから、蒸発させた。残留物を水とCH2CL2の間に分配した。CH2CL2に溶解する物質を逆相HLPCにより精製して3.3mgの純粋なクリプトフィシン8を得た。
EIMS m/z(相対強度)690/692/694(0.8/0.5/0.2).高分解能EIMS m/z 690.2533(C35H44Cl2N2O8で計算,-5.8mmu誤差).1H NMR(CDCl3):アミノまたはヒドロキシ酸単位δ(炭素位置、多重度;HzでのJ)8-クロロ-5,7-ジヒドロキシ-6-メチル-8-フェニル-2-オクテン酸(A)5.79(2,dt;15.4),6.69(3,ddd;15.4,9.7と5.6),2.68(4,ddt;14.0,5.5と1.8),2.38(4,m),5.11(5,ddd;10.8,8.6と1.8),2.51(6,m),1.05(6-Me,d;7.0),4.01(7,dd;9.6と1.9),4.65(8,d;9.6),7.36-7.41(10/11/12/13/14,m);ロイシック酸(D)4.92(2,dd;10.1と3.5),1.76(3/4,m),1.45(3,m),0.94(5,d;6.6),0.94(4-Me,d;6.4);3-アミノ-2-メチルプロピオン酸(C)2.73(2,m),1.22(2-Me,d;7.2),3.25(3,ddd;13.6,6.8と6.1),3.54(3,ddd;13.5,6.1と3.4),6.91(3-NH,brt;6.1);3-クロロ-4-メトキシフェニルアラニン(B)4.82(2,ddd;8.8,7.25と5.6),5.64(2-NH,d;8.8),3.03(3,dd;15.4と7.2),3.16(3,dd;15.4と5.6),7.23(5,d;2.2),3.88(7-OCH3,s),6.85(8,d;8.5),7.09(9,dd;8.5と2.2)。
クリプトフィシン9
10mgのクリプトフィシン1の乾燥メタノール1mL中溶液に10μLのメタノール性HCl(1.25gのチオニルクロリドを25mLのMeOHで処理することにより得られた)を加えた。4時間攪拌の後、溶媒を真空で除いてから、その試料を真空下に12時間放置した。逆相HLPCは8mgの純粋なクリプトフィシン9を与えた。
1H NMR(CDCl3):アミノまたはヒドロキシ酸単位δ(炭素位置、多重度;HzでのJ);5,7-ジヒドロキシ-8-メトキシ-6-メチル-8-フェニル-2-オクテン酸(A)5.76(2,dt;15.5),6.67(3,ddd;15.5,9.5と5.6),2.34(4,ddd;14.1,11.1と9.5),2.62(4,dddd;14.1,5.6,1.8と1.5),5.09(5,ddd;11.1,7.8と1.8),2.24(6,dqd;7.8,7.0と2.2),1.03(6-Me,d;7.0),3.71(7,dd;8.3と2.2),4.03(8,d;8.3),3.20(8-OCH3,s),7.31-7.40(10/11/12/13/14,m);ロイシック酸(D)4.86(2,dd;9.8と3.5),1.71(3/4,m),1.41(3,m),0.89(5/4-Me,d;6.4);3-アミノ-2-メチルプロピオン酸(C)2.71(2,ddq;6.8,3.9と7.2),1.21(2-Me,d;7.2),3.23(3,ddd;13.5,6.8と6.0),3.52(3,ddd;13.5,6.0と3.9),6.90(3-NH,brt;6.0);3-クロロ-4-メトキシフェニルアラニン(B)4.82(2,ddd;8.8,7.4と5.7),5.66(2-NH,d;8.8),3.023(3,dd;14.4と7.4),3.15(3,dd;14.4と5.5),7.23(5,d;2.2),3.87(7-OCH3,s),6.84(8,d;8.5),7.08(9,dd;8.5と2.2)。
クリプトフィシン10
1mLのアセトンと0.3mLの水の中に7mgのクリプトフィシン9を攪拌した溶液に8μLの2N NaOHを加えた。その溶液を4時間攪拌した後、1N HClでpH7に中和してから、溶媒を減圧で除いた。残留物を逆相HPLCに7:3MeOH/H2Oを用いてかけると純粋なクリプトフィシン10(5mg)を得た。
1H NMR(CD3OD):アミノまたはヒドロキシ酸単位δ(炭素位置、多重度;HzでのJ);5,7-ジヒドロキシ-6-メチル-8-フェニル-2-オクテン酸(A)5.99(2,dt;15.4と1.3),6.82(3,dt;15.4と7.3),2.30(4,m),3.66(5,td;7.8と3.5),2.05(6,dペンテット;1.8と7.0),0.96(6-Me,d;7.0),4.04(7,dd;8.8と2.0),4.01(8,d;8.8),3.12(8-OCH3,s),7.26-7.36(10/11/12/13/14,m);3-アミノ-2-メチルプロピオン酸(C)2.50(2,m),1.02(2-Me,d;7.3),3.16(3,dd;13.4と6.9),3.82(3,dd;13.4と6.6);3-クロロ-4-メトキシフェニルアラニン(B)4.57(2,dd;8.5と6.5),2.82(3,dd;13.9と8.6),3.03(3,dd;13.9と6.5),7.25(5,d;2.2),3.82(7-OCH3,s),6.96(8,d;8.6),7.13(9,dd;8.6と2.2).13C NMR(CD3OD);δ179.5,173.4,168.2,155.4,143.7,141.7,131.9,131.7,129.8,129.3(2C),129.2(2C),128.8,126.2,123.2,113.4,85.9,74.5,74.1,56.8,56.6,56.3,42.3,41.2,40.2,38.8,38.0,15.5,9.9。
クリプトフィシン12
5mgのクリプトフィシン1、5または8の1mLの4:1アセトン/水の中の溶液に15μLの2N NaOHを加えた。室温で5時間攪拌の後、反応混合物を1N HClでpH7に中和してから、蒸発させた。CH2Cl2溶解性物質をCH2Cl2、1:1EtOAc/CH2Cl2、およびEtOAcと共に小さなシリカカートリッジを通過させた。EtOAcと共に溶出した画分は純粋なクリプトフィシン12を含んでいた。
1H NMR(CD3OD):アミノまたはヒドロキシ酸単位δ(炭素位置、多重度;HzでのJ),5,7,8-トリヒドロキシ-6-メチル-8-フェニル-2-オクテン酸(A)6.07(2,ddd;15.5,1.3と1.2),6.40(3,dt;15.5と7.3),2.49(4,m),2.60(4,m),3.92(5,ddd;9.3,6.7と4.5),1.94(6,m),1.07(6-Me,d;6.6),3.61(7,dd;8.9と7.6),4.56(8,d;7.6),7.36(10/14,dd;7.4と1.5),7.32(11/13,brt;7.5),7.25(12,m);3-アミノ-2-メチルプロピオン酸(C)2.54(2,ddq;7.0,6.6と7.0),1.02(2-Me,d;7.0),3.14(3,dd;13.5と7.0),3.42(3,dd;13.4と6.6);3-クロロ-4-メトキシフェニルアラニン(B)4.57(2,dd;8.4と6.7),2.83(3,dd;13.8と8.4),3.02(3,dd;13.8と6.6),7.25(5,d;2.1),3.82(7-OCH3,s),6.95(8,d;8.5),7.12(9,dd;8.5と2.1)。ジアゾメタンによるクリプトフィシン12のメチル化はクリプトフィシン6を与えた。
クリプトフィシン14
3mgのクリプトフィシン6の1mLの3:1アセトン/水の中の溶液に5μLの2N NaOHを加えた。5時間攪拌の後、反応混合物を1N HClでpH7に中和してから、蒸発乾固させた。残留物を逆相HLPCにかけると2.4mgのクリプトフィシン14を与えた。
1H NMR(CD3OD):アミノまたはヒドロキシ酸単位δ(炭素位置、多重度;HzでのJ),5-ヒドロキシ-6-メチル-8-フェニル-2,7-オクタジエン酸(A)5.98(2,d;15.3),6.78(3,dt;15.3と7.5),2.35(4,m),3.64(5,td;7.2と4.8),2.47(6,m),1.14(6-Me,d;6.9),6.22(7,dd;15.9と8.1),6.39(8,d;15.9),7.24-7.36(10/11/12/13/14,m);3-アミノ-2-メチルプロピオン酸(C)2.35(2,m),1.02(2-Me,d;6.9),3.18(3,dd;13.2と6.6),3.36(3,dd;13.2と4.5);3-クロロ-4-メトキシフェニルアラニン(B)4.58(2,dd;8.7と6.3),2.80(3,d;13.8と9.0),3.05(3,dd;13.8と6.3),7.25(5,d;2.1),3.82(7-OCH3,s),6.95(8,d;8.4),7.13(9,dd;8.4と2.1)。
クリプトフィシン35
触媒量のPtO2を0.5mLのCH2CL2を入れたフラスコに加えた。フラスコ内の空気を排気し、水素を導入し、そして前記の混合物を室温で20分間攪拌した。10mgのクリプトフィシン1の最小量CH2CL2溶液を加えてから、混合物を室温で45分間攪拌した。触媒をセライト/綿を通す濾過により除いてから、溶媒を蒸発させた。C18ラム上での残留物の逆相HLPCは6.5mgのクリプトフィシン35を与えた。
EIMS m/z(相対強度)656/658(25/10),412/414(25/12),280/282(20/10),195/197(78/25),141(58),91(100);高分解能EIMS m/z 656.2864(C35H45Cl-N2O8で計算,0.0mmu誤差).1H NMR(CDCl3):アミノまたはヒドロキシ酸単位δ値(炭素位置、多重度;HzでのJ)2,3-ジヒドロ-7,8-エポキシ-5-ヒドロキシ-6-メチル-8-フェニルオクタン酸(A)2.32(2,ddd;14.5,9.2,5.8),2.10(2,ddd;14.5,9.2,6.2),1,5-1.8(3/4重なりm),5.07(5,ddd;12.5,5.6,2.0),1.80(6,m),1.12(6-Me,d;7.0),2.90(7,dd;7.4,1.8),3.67(8,d;1.8),7.24(10/14m),7.32-7.38(11/12/13,m);3-クロロ-4-メトキシフェニルアラニン(B)4.71(2,dd;8.7,6.4,6.3),5.62(2-NH,d;8.7),3.08(2H-3,br d;6.4),7.19(5,d;2.0),3.87(7-OMe,s),6.83(8,d;8.5),7.07(9,dd;8.4と2.0);3-アミノ-2-メチルプロピオン酸(C)2.72(2,m),1.18(2-Me,d;6.9),3.12(3,ddd;11.4,10.6,5.6),3.70(3,ddd),6.76(3-NH,br t,6.0);ロイシック酸(D)4.83(2,dd;9.9,3.8),1.39(3,m),1.70(3,m),1.72(4,m),0.87(5/4-Me,d;5.3),0.86(5,d;5.3);13C NMR(CDDl3)単位δ値(炭素位置)A172.4(1),36.2(2),32.0(3),21.1(4),76.6(5),40.2(6),13.6(6-Me),63.3(7),59.2(8),136.8(9),125.6(10/14),128.7(11/13),128.6(12);B170.7(1),53.7(2),35.5(3),130.0(4),131.1(5),122.2(6),153.8(7),56.1(7-OMe),112(8),128.5(9);C175.2(1),38.2(2),13.6(2-Me),42.1(3);D171.9(1),71.7(2),39.6(3),24.5(4),22.9(4-Me),21.4(5)。
実施例7 クリプトフィシンの微小管解重合活性の分析
材料
ビンブラスチン、シトカラシンB、イソシアン酸テトラメチルローダミン(TRITC)−ファロイジン、スルホローダミンB(SRB)及びβ−チューブリンに対する抗体及びビメンチンをシグマケミカルカンパニーから入手した。アール(Earle)塩を含有するイーグルの基礎培地(BME)をギブコ(Gibco)から、ウシ胎児血清(FBS)をハイコロンラボラトリーズから購入した。
細胞系
ジャーカット(Jurkat)T白血病細胞系とA−10ラットの大動脈平滑筋細胞をアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)から入手してFBSを10%と硫酸ゲンタマイシンを50μg/mL含有するBME中で培養した。ヒトの卵巣がん腫細胞(SKOV3)とビンブラスチンに抵抗するために選んだ亜系(SKVLB1)は、オンタリオがん研究所のビクター リング(Victor Ling)博士からの贈物であった。両細胞系をFBSを10%と硫酸ゲンタマイシンを50μg/mL含有するBME中に維持した。P−グリコプロテイン過剰表現細胞に対する選択圧力を維持するために経過後24時間SKVLB1細胞にビンブラスチンを1μg/mLの最終濃度まで添加した。
細胞増殖及びサイクル停止測定
細胞増殖測定をスケハン(Skehan)等11により記述されたように行なった。ジャーカット細胞について、培養物をスケハン11の文献に記載指示された薬品によって処理して全細胞を血球測定盤中で細胞を計数することにより測定した。有系分裂中の細胞の百分率をPBS中で0.4%ギームサで染色し続いてPBSによって3回迅速に洗浄することにより測定した。処理当り少なくとも1000細胞が有系分裂形の存在のために獲得され、有系分裂指数を計数した細胞の全数に対する有系分裂形を持つ細胞の割合として計算した。
免疫蛍光検定
A−10細胞をBME/10%FBSを用いてカバーガラス上で近集密的に成長させた。PBS中の化合物を指示された最終濃度まで添加して細胞を更に24時間インキュベートした。微小管と中間フィラメントの染色のために、細胞を冷メタノールで固定し、子牛血清を10%含有するPBSを使用してインキュベートして非特異性結合点を遮断した。次いで細胞を製造業者によって推奨された稀釈度のモノクローナル抗ビメンチンかモノクローナル抗β−チューブリンのいずれかを使用して37℃で60分間インキュベートした。結合一次抗体を引き続きフルオロセイン複合ウサギアンチマウスIgGを使用して45分間のインキュベーションにより目に見えるようにした。カバーガラスを顕微鏡のスライドガラス上に据え付け、蛍光パターンをフルオレセイン用エピフルオレセンスレンズを取り付けたツアイス光学顕微鏡IIIを使用して検査して写真に撮った。ミクロフィラメントの染色のために、細胞を3%パラホルムアルデヒドで固定し、0.2%トリトンX−100を使用して透過性を上げて水素化ホウ素ナトリウム(1mg/mL)で化学的に還元した。次いで100nMのTRITC−ハロイジンを含有するPBSを添加して混合物を37℃で45分間インキュベートした。カバーガラスを据え付ける前に細胞をPBSで3回迅速に洗浄してただちに上記のように写真に撮った。
ジャーカット細胞の増殖と細胞周期に対するクリプトフィシンとビンブラスチンの影響
細胞増殖に対するクリプトフィシン化合物とビンブラスチンの影響に関する用量応答曲線と有系分裂中の細胞の百分率をそれぞれ図2A及び2Bに示す。未処理細胞の3%以下が有系分裂形を示した。クリプトフィシン化合物とビンブラスチンの両方とも有系分裂において観察された細胞の百分率に用量依存性増加をもたらした。有系分裂指数の増加は、細胞増殖の減少、すなわち有系分裂において蓄積する細胞の50%を引き起こす濃度が50%だけ細胞増殖を阻害する濃度と実質的に同一であるクリプトフィシン化合物とビンバルスチンの両方の濃度と密接に相関する。これらの効果に対するクリプトフィシン化合物とビンバルスチンに関するIC50は、それぞれ0.2及び8nMであった。
細胞骨格に対するシトカラシンB、ビンブラスチン及びクリプトフィシンの影響
大動脈平滑筋(A−10)細胞をカバーガラス上で成長させてPBS、2μMシトカラシンB、100nMビンブラスチン又は10nMクリプトフィシン化合物で処理した。24時間後、微小管とビンメチン中間フィラメントを間接免疫蛍光により目に見えるようにし、ミクロフィラメントをTRITC−ファロイジンを使用して染色した。各薬品の形態的影響を試験した。未処理細胞は核周辺の微小管組織中心によって完全なものになる広範囲にわたる微小管網状構造を示した。ビメンチン中間フィラメントもまた細胞質を貫いて均一に分布したが、ミクロフィラメントの束は細胞の主軸に沿って集中した。シトカルシンBは、準結晶性残留物の蓄積と共にミクロフィラメントの完全解重合をもたらした。この化合物は微小管か中間フィラメントのいずれかの分布に影響しなかった。ビンブラスチンとクリプトフィシン化合物の両方とも微小管の著しい減少をもたらした。ミクロフィラメント組織に影響する化合物はなかったが、ビメンチン中間フィラメントは崩壊し、ビンブラスチンかクリプトフィシン化合物のいずれかによって処理された細胞の核のまわりに同心環を生成した。
タクゾール(taxol)−安定化微小管に対するクリプトフィシンとビンブラスチンの影響
A−10細胞をPBS、100nMビンブラスチン又は10nMクリプトフィシン化合物の添加前に0又は10μMタクゾールで3時間処理した。24時間後、微小管組織を上記のように免疫蛍光により試験した。対照細胞と比較して、タクゾール処理した細胞の微小管は、特に細胞極性領域において広範囲にわたって束になっていた。前記のように、ビンブラスチンは非前処理細胞の微小管の完全解重合をもたらした。しかしながら、タクゾールによる前処理は、ビンブラスチンに応じて微小管の解重合を防止した。同様に、タクゾール前処理はクリプトフィシン誘起解重合に対して微小管を完全に安定化した。
ビンブラスチン及びクリプトフィシンによる微小管解重合の可逆性
A−10細胞を100nMビンブラスチン又は10nMクリプトフィシンのいずれかによって24時間処理して、完全な微小管解重合を生じた。次いで細胞を薬品を含まない媒体中で1時間又は24時間洗浄及びインキュベートした。ビブラスチンの除去後微小管は迅速に再重合し、1時間後かなりの水準の微小管を、24時間までに完全な形態回復を示した。対照的に、微小管は化合物の除去後1時間又は24時間でクリプトフィシンで処理した細胞には再現しなかった。
細胞増殖のクリプトフィシン、ビブラスチン及びタクゾール阻害の可逆性
SKOV3細胞をビンブラスチン、クリプトフィシン化合物又はタクゾールの先に決定したIC50用量(すなわち、表5に要約した実験で決定した数値)で24時間処理した。この時間の間に、細胞密度は0.4から0.5±0.05吸光度単位に増加し(図3)、3種全ての処理に対して細胞数の25%増加を示した。薬品の除去は、それらの数が24時間内に約3倍増加するようなビンブラスチン処理細胞の迅速な成長を生じた。対照的に、クリプトフィシン化合物又はタクゾールで処理した細胞は阻止されたままで、薬品の除去に続く24時間内に僅か0.2〜0.4倍増加するだけであった。クリプトフィシン又はタクゾール処理した細胞の増殖容量は、細胞がそれから次の24時間内に2倍になるから引き続き回復した。
細胞増殖に対するビンブラスチンとクリプトフィシンの組合せの影響
SKOV3細胞をクリプトフィシンとビンブラスチンの組合せで48時間処理した。次いで生き続ける細胞の百分率を測定して各組合せに対するIC50を計算した。単一薬品処理と同様に、これらの組合せ処理の影響をイソボログラム(isobologram)として描写した(図4)。クリプトフィシン化合物とビンブラスチンの組合せに対するIC50は、加成性の線に非常にきっちりと合い、これらの二つの薬品が細胞増殖の加成性阻害だけを誘起することを示した。
SKOV3及びSKVLB1細胞に対するクリプトフィシン、ビンブラスチン及びタクゾールの毒性
SKVLB1細胞は、それらのP−グリコプロテインの過剰発現12のために天然産抗がん薬品に対して抵抗性がある。SKOV3及びSKVLB1細胞の成長を阻害するタクゾール、ビンブラスチン及びクリプトフィシン化合物の能力を表5に要約する。タクゾールは、それぞれ1及び8000nMのSKOV3及びSKVLB1細胞に対するIC50を持つ両細胞系の増殖の用量依存性阻止をもたらした。ビンブラスチンもまた、それぞれSKOV3及びSKVLB1細胞に対し0.35及び4200nMのIC50によって、両細胞系の成長を阻止した。クリプトフィシンは、SKOV3及びSKVLB1細胞に対しそれぞれ7及び600pMのIC50を証明した。化合物に対するSKVLB1細胞について得られた抵抗因子をSKVLB1に対するIC50として計算した。SKOV3細胞に対するIC50もまた表5に示す。
このように、本発明は、先に開示されたクリプトフィシン化合物と同様に、細胞増殖の強力な阻害剤であり、微小管網状構造の崩壊及び有系分裂の阻害により作用する新規のクリプトフィシン化合物を提供することが証明された。クリプトフィシン化合物は微小管組織、従って有系分裂のそれらを含む正常な細胞機能を崩壊する。
コルヒチン及びビンカアルカロイドのような古典的な抗微小管剤は、有系分裂における細胞分裂を阻止する。クリプトフィシン化合物と細胞増殖におけるこれらの薬剤の一つの影響を比較することは適切と思われる。この目的のために、ビンカアルカロイドビンブラスチンを古典的抗微小管剤の代表として選んだ。従って、ジャーカットT細胞白血病細胞の増殖と細胞周期進行に対するクリプトフィシン化合物とビンブラスチンの影響を比較した。両化合物は有系分裂における細胞増殖と細胞の蓄積の平行な用量依存性阻害をもたらした。
抗有系分裂的効果は有系分裂紡錘体中の微小管の崩壊により一般的に媒介されるから、細胞骨格構造に対するクリプトフィシン化合物の影響は蛍光顕微鏡法により特性描写される。クリプトフィシン化合物がビンブラスチンのいずれかによって処理された細胞の免疫蛍光染色は、両化合物が微小管の完全喪失をもたらすことを明瞭に証明した。SKOV3細胞を使用した類似の研究は、クリプトフィシン化合物の抗微小管効果が平滑筋細胞系に対し独特でないことを証明した。どちらの薬品も、シトカラシンBにより容易に示されるようなミクロフィラメント束の水準や分布に影響しなく、微小管の損失は非特異性機構、例えばプロテアーゼの活性化やエネルギー充足率の減損によらないことを示した。ビンブラスチンとクリプトフィシン化合物の両方もまたあざやかに染色する環が細胞核のまわりに生成されるような、ビメンチン中間フィラメントの著しい崩壊を促進した。
培養液からビンブラスチンの除去は、微小管の迅速な再重合を生じた。対照的に、クリプトフィシン化合物で処理した細胞は、化合物を培養液から除去後少なくとも24時間は微小管が減少されたままであった。
本発明は、クリプトフィシン化合物がP−グリコプロテイン媒介多重薬品抵抗を妨げることを証明した。P−グリコプロテインによる輸送は、獲得したすなわち新たな薬品耐性による腫瘍細胞の成長を阻害する天然産抗がん薬品の能力を制限する13-15。ビンカアルカロイドは、化学療法の初期過程において非常に有用であるが、P−グリコプロテインによる輸送に対して非常に良好な基質で、そして確かにP−グリコプロテイン媒介MDR腫瘍に対して非常に限定された有用性のものである。それゆえ、多重薬品耐性に打ち勝つ薬剤の固定は、有用かつ新規の抗がん剤の開発を導きうるだろう。本発明のクリプトフィシン化合物は、P−グリコプロテイン媒介輸送に対する不十分な基質であるから、そのような薬剤であると思われる。この事実は、ビンブラスチン、タクゾール及び他の天然産薬品に較べたクリプトフィシン化合物に対する低い細胞抵抗因子に反映される。
クリプトフィシンの全合成
新規の合成化合物、すなわちクリプトフィシン51、52、53、55、56、57、58及び61の構造は、この技術に訓練された者によく知られている方法論を使用して簡単な方法で確認された。質量スペクトルは分子組成と一致した。プロトン及び炭素NMRデータは、クリプトフィシン1及び関連天然産及び半合成類似体のデータと非常に似ていた。
次の実施例は、本発明に係る治療剤としてのそれらの使用と同様にクリプトフィシン化合物の全合成を示す。
実施例8 クリプトフィシン51の合成
S−トランス−3−ペンテン−2−オール(A)
無水ジエチルエーテル25mL中のラセミトランス−3−ペンテン−2−オール(933mg、11ミリモル)、ラウリン酸トリフルオロエチル(4.14g、15ミリモル)及びブタ膵リパーゼ(PPL、2.0g)の混合物を80時間攪拌した。次いでPPLを濾別してエーテルで3回洗浄した。エーテル濾液を蒸発させて次いで粘稠な油を短絡真空蒸留に付した。S−トランス−3−ペンテン−2−オール(A)を液体窒素冷却トラップ中に凝縮させた(383mg)。
Figure 0004181632
S−トランス−2−(2−プロピンルオキシ)−3−ペンテン(B)
0℃の水(5mL)中のS−鏡像体A(628mg、7.3ミリモル)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(138mg、0.41ミリモル)と40%NaOHの激しく攪拌している混合物に、塩化プロパルギル(767mg、10.3ミリモル、745μL)を滴下様式で添加した。激しい攪拌を一夜続けその時間の後で混合物を0℃のHClにより中和してプロパルギルエーテルをペンタン中に抽出した。抽出物を蒸発させてプロパルギルエーテルを短いシリカゲルカラム(2%ジエチルエーテル/ペンタン)によって精製して778mgのプロパルギルエーテルBを得た。
Figure 0004181632
(3R,4R)−4−メチルヘプト−5−(E)−エン−1−イン−3−オール(C)
ブチルリチウムヘキサン溶液のアリコート(2.5M、5.1mL、12.8ミリモル)を真空蒸発して残留物を−90℃に冷却した。THF10mL中のプロパルギルエーテルB(454mg、3.66ミリモル)の溶液をゆっくり添加した。温度を一夜かけて室温まで上昇させた後、反応混合物をNH4Cl溶液で冷却した。エーテルで3回抽出、乾燥抽出物の蒸発及び残留物のシリカゲルカラム(5%EtOAc/ヘキサン)による精製で322mgのアルコールC(収率71%)を得た。
Figure 0004181632
(3S,4R)−3−tert−ブチルジメチルシリロキシ−4−メチルヘプト−5E−エナール(D)
乾燥DMF3mL中のアルコール((248mg、2ミリモル)とイミダゾール(340mg、5ミリモル)の攪拌溶液に塩化tert−ブチルジメチルシリル(452mg、3ミリモル)を添加した。混合物を一夜攪拌後、10%NaOHを10mL添加して過剰の塩化tert−ブチルジメチルシリルを破壊した。生成物をエーテル中に抽出して抽出液を水、0.5N HCl及び水で連続して洗浄して乾燥、蒸発した。ヘキサンを使用したシリカゲル上のクロマトグラフィによる残留物の精製で457mgの(3R,4R)−3−tert−ブチルジメチルシリロキシ−4−メチルヘプト−5(E)−エン−1−イン(収率96%)を得た。
Figure 0004181632
同様の手順を使用して対応するTBDPS誘導体、(3R,4R)−3−tert−ブチルジフェニルシリロキシ−4−メチルヘプト−5(E)−エン−1−インを収率92%で生成した。
Figure 0004181632
2−メチルブテン(THF中の2M溶液1.15mL)を−25℃でBH3 THF溶液(1M、1.1ミリモル)1.1mLに添加し、混合物を氷浴中で2時間攪拌した。次いで室温を−50℃に冷却してTHFlmL中のTBS誘導体(238mg、1ミリモル)の溶液を全て一度に添加した。冷却浴を取り除いて反応混合物を温まるにまかせて室温に1時間維持した。次いで2.2M KH2PO4/K2HPO4溶液(4.8mL)と30%H2O2(0.8mL)を0℃で添加した。1時間後、THFを蒸発させて残留物をエーテル中に抽出した。乾燥エーテル抽出液を蒸発させて残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ(1%EtOAc/ヘキサン)にかけて194mgのアルデヒドD(収率76%)を得た。
Figure 0004181632
アルデヒドのtert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS)誘導体を収率83%で生成した。
Figure 0004181632
メチル(5S,6R)−5−tert−ブチルジメチルシリロキシ−6−メチル−7−オキソノナ−2E,7E−ジエノエート(E)
−78℃に冷却したTHF5ml中のアルデヒドD(0.74g、2.9ミリモル)とトリメチルホスホノアセテート(632mg、3.5ミリモル)の攪拌溶液にテトラメチルグアニジン(435μL、3.5ミリモル)を添加した。30分後冷却浴を取り除き混合物を更に1時間攪拌した。混合物を1N HClで中和して生成物をエーテル中に抽出した。乾燥エーテル抽出液を蒸発して残留物を残し、それをシリカゲル上でクロマトグラフ(5%EtOAc/ヘキサン)にかけて0.814gのE(収率90%)を得た。
Figure 0004181632
アルデヒドのtert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS)誘導体を収率90%で生成した。
Figure 0004181632
メチル(5S,6R)−5−tert−ブチルジメチルシリロキシ−6−メチル−7−オキソヘプト−2(E)−エノエート(F)
−78℃のCH2Cl2 15mL中のメチルエステルE(328mg、1.0ミリモル)と97μLのピリジンの溶液にオゾンを通過させてオゾン分解の進行をTLC分析により監視した。メチルエステルが消費された後、約500mgの亜鉛末と1mLの氷酢酸を添加した。温度を25℃までゆっくり上昇させた。混合物を濾過して濾液を飽和CuSO4とNaHCO3溶液で連続して洗浄した。溶媒の蒸発後、粗製アルデヒドF(249mg、83%)を更に精製することなく次工程に使用した。
Figure 0004181632
メチル(5S,6R)−5−t−ブチルジメチルシリロキシ−6−メチル−8−フェニル−オクタ−2E,7E−ジエノエート(G)
−78℃のTHF1.5mL中のアルデヒドF(25.0mg、0.08ミリモル)の攪拌溶液に塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム(268mg、0.69ミリモル、THF6.9mL中)とn−ブチルリチウム(ヘキサン中の280μL、2.5M)の冷(−78℃)混合物0.80mLを添加した。15分後、冷浴を取り除いて攪拌を2時間継続した。反応物を飽和塩化アンモニウム溶液で冷却しTHFを蒸発させた。濃縮物をヘキサンで2回抽出し、合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥蒸発させた。残留油、EとZ異性体の5:1混合物、をチオフェノール(0.02M)と1,1′アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO、0.006M)を含有するベンゼン1.5mLに溶解し、混合物を5時間還流させた。室温に冷却後、ヘキサン(15mL)を添加して有機溶液を10%NaOHと食塩水で連続して洗浄し、乾燥(MgSO4)して蒸発させた。シリカゲル上の残留物のクロマトグラフィ(2%EtOAc/ヘキサン)で24mg(80%)のGを得た。
Figure 0004181632
(5S,6R)−5−t−ブチルジメチルシリロキシ−6−メチル−8−フェニルオクタ−2E,7E−ジエン酸(H)
アセトン7mL中のエステルG(159mg、0.43ミリモル)の溶液に1N LiOH水5mLを添加した。混合物を25℃で3時間攪拌し、Et2O 20mLで稀釈し、1N HClで約pH4に酸性化した。有機層を分離して食塩水と水のそれぞれ20mLづつで洗浄し、乾燥し(MgSO4)て蒸発させた。AcOHを0.5%含有するヘキサン中の40%EtOAcを使用してシリカゲル上の残留油のクロマトグラフィで淡黄色の流動性油として純粋な酸Hを生じた(145mg、収率95%)。
Figure 0004181632
3−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−D−アラニンの2,2,2−トリクロロエチルエステル(I)
D−クロロチロシンBOC誘導体(160mg、0.35ミリモル)の試料を純トリフルオロ酢酸3mLに溶解して室温に1時間放置した。減圧下の過剰の試薬の除去でトリフルオロ酢酸塩として所望のアミンIを生じた(165mg、収率100%)。
Figure 0004181632
化合物J
アルゴン雰囲気下の無水DMF3mL中のH(25mg、0.07ミリモル)の攪拌溶液にペンタフルオロジフェニルホスフィネート(FDPP、32mg、0.08ミリモル)、トリフルオロ酢酸塩I(35mg、0.07ミリモル)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA、27mg、約36μL、0.21ミリモル、約3当量)を連続して添加した。攪拌を25℃で1時間継続し次いで反応混合物をEt2O 20mLで抽出した。エーテル抽出物を1N HCl 10mL、続いて飽和NaHCO3 10mL、食塩水20mL及び水20mLで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸発した。残留淡黄色油をシリカゲル上でクロマトグラフィ(ヘキサン中の15%EtOAc)に付して無色の油としてJを得た(32mg、収率65%)。
Figure 0004181632
(1′R,5S,6R)−N−1′−(カルボ−2″,2″,2″−トリクロロエトキシ)−2′−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)エチル−5−t−ブチルジメチルシリロキシ−6−メチル−8−フェニル−オクタ−2E,7E−ジエンアミド(K)
MeCN 4mL中のJ(50mg、0.07ミリモル)の溶液に50%HF水400μLを添加して混合物を25℃で1時間攪拌した。Et2O 30mL中への抽出、続いて飽和NaHCO3、食塩水及び水をそれぞれ30mLづつを使用したエーテル抽出液の洗浄、乾燥(MgSO4)及び蒸発で無色の泡としてアルコールKを得た(40mg、収率95%)。
Figure 0004181632
3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2,2−ジメチルプロパン酸(M)
MeOH中のトリエチルアミンの10%溶液の51mL中の3−アミノ−2,2−ジメチルプロパン−1−オール(L)(3.0g、29ミリモル)の溶液にジ−tert−ブチルジカーボネート(6.7g、31ミリモル)を添加して混合物を25℃で1時間攪拌した。溶媒の除去後、残留物をCH2Cl2(30mL)に溶解して溶液を1M KHSO4(pH2)で2回及び飽和NaCl溶液で1回洗浄し、乾燥(MgSO4)した。真空で溶媒を除去して5.8g(収率93%)の3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2,2−ジメチルプロパン−1−オールを白色固体として得て、それを更に精製することなく次工程に使用した(NMR分析による純度98%以上)。
Figure 0004181632
四塩化炭素(52mL)、アセトニトリル(52mL)と水(78mL)中のアルコール3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2,2−ジメチルプロパン−1−オール(5.3g、25.9ミリモル)と過ヨウ素酸ナトリウム(16.6g、77.7ミリモル)の溶液に三塩化ルテニウム水和物(122mg)を添加し、混合物を25℃で1時間攪拌した。混合物をセライトを通して濾過して水(50mL)中の飽和炭酸カリウム溶液を添加した。水層を分離し、エーテル(20mL)で洗浄し、HClでpH2まで0℃で酸性化してCH2Cl2(30mLで3回)で抽出した。合わせた抽出液を飽和NaCl溶液で洗浄して乾燥(MgSO4)した。真空で溶媒を除去して残留物を得てそれを先ずC18シリカ上で逆相クロマトグラフィ(ODS120Å、50〜90%MeOH)に付し次いでエーテルによって結晶化させて白色固体として3.7g(収率66%)のMを得た。融点106〜108℃;
Figure 0004181632
アリル(2S)−2−ヒドロキシ−4−メチルペンタノエート(N)
0℃の水30ml中の2.66gのL−ロイシン酸(20ミリモル)と1.74gの重炭酸ナトリウム(20ミリモル)の溶液に6.44gの塩化テトラブチルアンモニウム(20ミリモル)と1.74mLの臭化アリル(20ミリモル)のCH2Cl2溶液30mLを添加した。混合物を24時間激しく攪拌後、CH2Cl2を蒸発させた。水約50mLを添加して水層をEt2Oで4回抽出した。エーテル溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し次いで蒸発させた。残留物を短いSiカラムを通過させて無色の油として3.21gのアリルエステル(N)(収率93%)を得た。
Figure 0004181632
アリル(2S)−2−〔3′(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2′,2′−ジメチルプロパノイロキシ〕−4−メチルペンタノエート(O)
0℃の乾燥CH2Cl2 10mL中の0.8gのM(3.7ミリモル)、0.76gのN(4.4ミリモル)及び92mgのDMAPの溶液に、CH2Cl2中の0.84gのDCC(4.1ミリモル)を添加した。混合物を25℃で3時間攪拌して濾過した。濾液を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、乾燥(Na2SO4)して真空蒸発した。フラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、5%EtOAc/ヘキサン)で無色の油として1.0g(収率92%)の純粋なOを得た。
Figure 0004181632
(2S)−2−〔3′(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2′,2′−ジメチルプロパノイロキシ〕−4−メチルペンタン酸(P)
乾燥THF(アルゴン雰囲気下)中の180mg(0.49ミリモル)のOと60mg(0.05ミリモル)の溶液10mLに乾燥モルホリン470μL(5.4ミリモル)を10分間にわたってゆっくり添加した。50分間攪拌後、エーテル40mLを添加して溶液を1N HCl(40mL)で洗浄し次いで飽和重炭酸ナトリウム(30mLで2回)で抽出した。抽出水を0.5N HClで酸性化してエーテル(40mL)で抽出した。エーテル抽出液を水(30mLで2回)で洗浄し、乾燥(MgSO4)して真空蒸発して無色の流動性の油(152mg、95%)としてPを得た。
Figure 0004181632
化合物Q
アルゴン雰囲気下に0℃で攪拌されている乾燥CH2Cl2(4mL)中のアルコールK(80mg、0.14ミリモル)、酸P(68mg、0.21ミリモル)及びDMAP(4mg)の溶液に乾燥CH2Cl2(lmL)中のDCC(44mg、0.21ミリモル)を添加した。混合物を0℃で30分間攪拌し、その時間の間に白色沈殿が発生し、次いで室温まで暖まるにまかせて更に4時間攪拌した。沈殿物を濾別して濾液をEt2O(40mL)で稀釈し、稀HCl(1M、40mL)、飽和NaHCO3(40mL)及び食塩水(40mL)で連続して洗浄した。エーテル性層を乾燥(MgSO4)して真空蒸発してワックス様固体を得た。クロマトグラフィ(シリカ、EtOAc:ヘキサン、1:3)で無色の粘稠な油として純粋なQを得た(103mg、84%)。
Figure 0004181632
アミノ酸R
アミノ酸Q(100mg、0.11ミリモル)に活性化亜鉛末(400mg、過剰)とAcOH(4mL)を添加した。不均質混合物を45分間音波処理し、更に室温で90分間攪拌し、次いでセライトのパッド上に注いだ。有機物をCH2Cl2を使用してセライトパッドから洗浄した。溶媒を真空除去し、無色無定形固体としてカルボン酸を得た。
粗製の酸を精製せずにトリフルオロ酢酸(TFA、5mL)に溶解し、室温で1時間静置した。この時間のあと過剰のTFAを真空除去して得られた無定形固体をクロマトグラフィ精製(Sep-Pak(商標)、シリカ、頭初CH2Cl2次いで10%MeOH/CH2Cl2)に付し、所望の化合物のトリフルオロ酢酸アンモニウム塩を得た。塩の水溶液の反覆凍結乾燥で無色の無定形固体として遊離アミノ酸Rを生じた(68mg、2工程の間を通して91%)。
Figure 0004181632
クリプトフィシン51
アルゴン雰囲気下に室温の無水DMF(20mL)中のアミノ酸T(75mg、0.11ミリモル)の攪拌溶液にジイソプロピルエチルアミン(DIEA、44mg、60μL、0.34ミリモル、約3当量)、続いてDMF(2mL)中のペンタフルオロジフェニルホスフィネート(FDPP、55mg、0.14ミリモル、約1.3当量)を添加した。混合物を12時間攪拌し、Et2O(40mL)を添加し、エーテル層をHCl(1M、40mL)、食塩水(40mL)及びH2O(40mL)で連続して洗浄し、乾燥(MgSO4)して減圧下に蒸発した。残留ワックス様固体を更に逆相クロマトグラフィ(ODS、10μ、30%H2O/MeCN、3mL/分)により精製して無色の無定形固体としてクリプトフィシン51を得た(45mg、61%)。
Figure 0004181632
実施例9 クリプトフィシン52及びクリプトフィシン53の合成
アルゴン雰囲気下の0℃の無水ジクロロメタン(7.5mL)中のクリプトフィシン51(75mg、0.12ミリモル)の攪拌溶液に、ジクロロメタン(1mL)中のm−クロロ過安息香酸(mCPBA、50mg、0.23ミリモル、80%活性酸素に基づいて約2当量)の溶液を添加した。30分後反応混合物を室温まで暖まるにまかせて更に12時間攪拌した。次いで溶媒を減圧下に除去して無定形固体として、それぞれ、クリプトフィシン52と53の1.8:1混合物(NMR分析による)を得た。位置異性体のエポキシドの混合物を最小のアセトニトリルに溶解して逆相クロマトグラフィ(YMC−ODS、10μ、250mm×22.5mm、30%H2O/MeCN、6mL/分)に付してクリプトフィシン52(37mg、48%)とクリプトフィシン53(19mg、25%)に分離した。
クリプトフィシン52に対するスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトフィシン53に対するスペクトルデータ
Figure 0004181632
実施例10 クリプトフィシン55の合成
2:1の1,2−ジメトキシエタン/水0.6mL中のクリプトフィシン52(6mg、0.009ミリモル)の溶液に12N HClを2μL添加した。溶液を室温で20時間攪拌し、炭酸カリウムで中和し、5μのフィルターで濾過して蒸発させた。アセトニトリル可溶性物質を4:1MeOH/H2Oを使用してC18(250×10mmのカラム)上の逆相HPLCにより精製して3.0mgのクリプトフィシン55を得た(48%)。
Figure 0004181632
対応するジオール、クリプトフィシン56(2.8mg、収率44%)もまた得られた。
実施例11 クリプトフィシン57の合成
少量のPtO2(約1mg)をCH2Cl2を0.5mL含有するフラスコに添加した。フラスコ中の空気を排気し、H2を導入して混合物を室温で20分間攪拌した。CH2Cl2(0.3mL)中に10.2gのクリプトフィシン52(0.015ミリモル)を含有する溶液を添加して混合物を室温で更に30分間攪拌した。触媒をセライト/綿を通して濾過することにより除去して溶媒を真空除去した。残留物の逆相HPLC(ODS、10μ、250×22.5mm、MeCN/H2O(3:1)、5mL/分)で純クリプトフィシン57(9.1mg、89%)を得た。
Figure 0004181632
実施例12 クリプトフィシン58の合成
約−60℃のエタノールを含まないクロロホルム3mL中のクリプトフィシン57(5.5mg、0.008ミリモル)の攪拌溶液にTMSC1(アルドリッチから入手したまま使用、約4.5mg、約5.2μL、約0.04ミリモル)を添加した。反応混合物を20分間攪拌したが、その時間によりTLCは出発材料が全く残っていないことを示した。この材料をアセトニトリルに溶解してHPLC(ODS、10μ、250×22.5mm、MeCN/H2O(3:1)、5mL/分)に付して主生成物として純クリプトフィシン58(5.4mg、93%)を生じた。
Figure 0004181632
実施例13 クリプトフィシン61の合成
乾燥ベンゼン0.5mL中のクリプトフィシン53(5mg、0.007ミリモル)の溶液に硫化トリフェニルホスフィン(4mg、0.014ミリモル)、続いて乾燥ベンゼン(100μL)中の溶液としてトリフルオロ酢酸0.65μLを添加した。溶液を室温で6時間攪拌し、重炭酸ナトリウムで中和し、濾過して蒸発した。残留物を水とCH2Cl2に分配した。CH2Cl2−可溶物を4:1MeCN/H2Oを使用してC18上の逆相HPLCにより精製して純クリプトフィシン61(1.9mg、37%)を得た。
Figure 0004181632
実施例14 クリプトフィシン81の合成
化合物S
化合物Sは、Fのtert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDMS)誘導体である。
化合物T
−78℃の塩化p−メトキシベンジルトリフェニルホスホニウムのTHF溶液10mLにブチルリチウム溶液(1ミリモル、ヘキサン中の2.5M)400μLを添加した。混合物を30分間攪拌し次いでアリコート2.64mLを−78℃のアルデヒドS(75.0mg、0.24ミリモル)のTHF溶液3mLに添加した。30分後、冷却を中止したが、攪拌を更に2時間継続しその時間の間に温度はゆっくり25℃に上昇した。反応液を塩化アンモニウム飽和溶液で冷却し、THFを蒸発させた。生成物をヘキサンで2回抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し次いで濃縮した。残留物をフラッシュシリカカラム(3%EtOAc/ヘキサン)にかけて63mgの化合物Tと40mgのTとZ異性体を得た。
化合物Tは次の物性を有していた。
Figure 0004181632
追加の化合物TをTとZ異性体の混合物から得た。EとZ異性体の混合物40mgをチオフェノール(0.02M)とACN(0.006M)を含有するベンゼン溶液4mLに溶解した。混合物を5時間還流加熱した。短いシリカカラムによる後処理と精製で37.2mgの化合物Tを得た。
化合物U
化合物T(76mg、0.15ミリモル)のアセトン溶液6mLに水中の1N LiOHを4.4mL添加した。アセトンを蒸発して水溶液を1N HClで酸性化した。生成物をEtOAcで3回抽出した。有機層を乾燥、濃縮した。シリカカラム(20%EtOAc/AcOHを0.5%有するヘキサン)による精製で化合物Uの酸62.2mg(81%)を得た。
Figure 0004181632
化合物V
化合物U(59mg、0.12ミリモル)、化合物Iのトリフルオロ酢酸塩(57.2mg、0.12ミリモル)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA、62μL、0.36ミリモル)を乾燥DMF1.5mLに溶解した。この溶液にEDPP(DMF0.6mL中の55mg、0.14ミリモル)を添加して反応混合物を2時間攪拌した。エーテルを添加して有機相をそれぞれ1N HCl、飽和重炭酸ナトリウム、及び食塩水で連続して洗浄した。クロマトグラフィ(シリカカラム、8%EtOAc/ヘキサン)による濃縮と精製で化合物V74.2mg(72%)を得た。
Figure 0004181632
化合物W
アセトニトリル5.7mL中の化合物V(55.8mg、0.065ミリモル)の溶液に0℃で49%フッ化水素酸を2.0mL添加した。氷浴を5分後に取り除き反応混合物を17時間激しく攪拌した。生成物をエーテル中に抽出して抽出液を飽和重炭酸ナトリウムと食塩水で連続して洗浄した。濃縮と順相クロマトグラフィ(シリカカラム、25%EtOAc/ヘキサン)で化合物W31.6g(79%)を得た。
Figure 0004181632
(2S,2’R)−2−〔3’(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2’−メチルプロパノイル−オキシ〕−4−メチルペンタン酸(AC)
メタノール中の約9Mアンモニア300mL中のメチル(S)−(+)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロパノエート(X)(10g、85ミリモル)の溶液を密封ガラスフラスコ中で50℃に168時間加熱し、窒素を流して過剰のアンモニアを除去し、次いで真空乾燥まで蒸発した。残留物をエーテルで粉砕して、白色固体として(S)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(5.7g、収率66%)を残した。
Figure 0004181632
無水THF(20mL)中の(S)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(2.1g、20ミリモル)の懸濁液を0℃に冷却した1Mボラン−THF錯体(61ミリモル、61mL)にゆっくり添加した。混合物を6時間還流し、0℃に冷却し、濃HCl(10mL)で注意深く分解し、真空濃縮した。濃縮物をNaOH(20g)で飽和し、CHCl3(15mLで4回)で抽出し、合わせた抽出物を乾燥(MgSO4)した。濾過して溶媒を除去後、真空蒸留で無色の油として1.4g(収率77%)の(R)−3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール(Y)を得た。
Figure 0004181632
MeOH中のトリエチルアミンの10%溶液39mL中のアミノアルコールY(2.0g、22ミリモル)の溶液にジ−tert−ブチルジカーボネート(5.4g、25ミリモル)を添加し、混合物を25℃で30分間攪拌した。溶媒の除去後、残留物をCH2Cl2に溶解して溶液を1M KHSO4(pH2)で2回、NaCl飽和溶液で1回洗浄し、乾燥(MgSO4)した。溶媒の真空除去で粘稠な油として4.3g(収率100%)の(R)−3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロパン−1−オールを得て、それを更に精製せずに(NMR分析による純度95%以上)次工程に直接使用した。
Figure 0004181632
四塩化炭素(25mL)、アセトニトリル(25mL)及び水(38mL)中のアルコール(R)−3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロパン−1−オール(2.2g、12ミリモル)の溶液に三塩化ルテニウム水和物(51mg、0.25ミリモル)を添加し、混合物を25℃で1時間攪拌した。混合物をCH2Cl2(100mL)で稀釈し次いでセライトを通して濾過した。濾液を2M K2CO3溶液で塩基性化(pH9)し水層をエーテルで洗浄した。水層を1M KHSO4でpH2に0℃で酸性化してCH2Cl2(20mLで3回)で抽出した。合わせた抽出液をNaCl飽和溶液で洗浄して乾燥(MgSO4)した。溶媒を真空除去して粘質固体として2.0g(収率85%)の(R)−3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロパン酸(Z)を得た。純Z(1.75g、収率74%)をエーテルによって結晶化した。
Figure 0004181632
0℃の水30mL中の重炭酸ナトリウム1.74g(20ミリモル)とL−ロイシン酸2.66g(20ミリモル)の溶液に塩化テトラブチルアンモニウム6.44g(20ミリモル)と臭化アリル1.74mL(20ミリモル)のCH2Cl2溶液を30mL添加した。混合物を24時間激しく攪拌後、CH2Cl2を蒸発した。水約50mLを添加して水層をEt2Oで4回抽出した。エーテル溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し次いで蒸発した。残留物を短いSiカラムを通過させて無色の油として3.21gのアリル(2S)−2−ヒドロキシ−4−メチルペンタノエート(AA)(93%)を得た。
Figure 0004181632
0℃の乾燥CH2Cl212mL中の1.74gのZ(8.55ミリモル)、1.34gのAA(8.0ミリモル)及び64mgのDMAPの溶液に、CH2Cl2中のDCC(2.47g、12ミリモル)の溶液8mLを滴下様式で添加した。白色沈殿を濾別し、溶媒を蒸発して、残留物をEt2Oに再溶解した。エーテル溶液を冷0.5N HCl、重炭酸ナトリウム及び食塩水で連続して洗浄した。乾燥(Na2SO4)したエーテル層を蒸発し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)により精製して無色の油として2.62g(収率92%)の純アリル(2S,2’R)−2−〔3’(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2’−メチルプロパノイル−オキシ〕−4−メチルペンタノエート(AB)を得た。
Figure 0004181632
乾燥THF中の282mg(0.8ミリモル)のABと91mg(0.08ミリモル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの溶液10mLに乾燥モルホリン688μL(8ミリモル)をゆっくり添加した。40分間攪拌後、溶媒を蒸発してCH2Cl2100mLを添加した。溶液を2N HClと水で連続して洗浄した。有機層を濾過して濾液を飽和重炭酸ナトリウムで2回抽出した。CH2Cl2で逆洗後、水層を先ず0℃の冷KHSO4でpH3に酸性化し次いでエーテルで3回抽出した。乾燥エーテル抽出物を蒸発してワックス様固体として250mgの(2S,2’R)−2−〔3’−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2’−メチルプロパノイル−オキシ〕−4−メチルペンタン酸(AC)(収率100%)を得た。
Figure 0004181632
化合物AD
アルコールW(34.8mg、0.056ミリモル)、化合物AC(26.8mg、0.085ミリモル)及びDMAP(1.74.mg)をジクロロメタン283μLに溶解した。この混合物にDCC(17.5mg、0.085ミリモル)のジクロロメタン溶液666μLを添加した。反応混合物を一夜攪拌した。溶媒を窒素流で蒸発し、エーテルを添加し、白色沈殿を濾別した。濾液を0.5N HCl、飽和重炭酸ナトリウム及び食塩水で連続して洗浄した。濃縮とクロマトグラフィ(シリカカラム、25%EtOAc/ヘキサン)で46mgの化合物AD(90%)を得た。
Figure 0004181632
クリプトフィシン81
化合物AD(46mg、0.05ミリモル)をHOAc1.3mL中で活性化亜鉛末(178mg、過剰)と混合した。混合物を45分間超音波処理し次いで更に90分間攪拌した。ジクロロメタン約30mLを添加した。固体を濾別して濾液を真空蒸発した。残留物をTFA1.1mLに溶解して溶液を1時間攪拌した。TFAを真空蒸発して水を添加した。凍結乾燥で遊離アミノ酸を得た。アミノ酸をDMF4.6mLに溶解した。この溶液にDIEA26μLとFDPP(30mg、0.075ミリモル、DMF2.2mL中)をそれぞれ添加した。6時間攪拌後、溶媒を蒸発してEtOAcを添加した。溶液を0.5N HClと食塩水でそれぞれ洗浄した。溶媒の蒸発続いてクロマトグラフィ精製(Si、エーテル)で20.5mgのクリプトフィシン81(61%)を得た。
Figure 0004181632
実施例15 クリプトフィシン82の合成
化合物AE
化合物AEはEのtert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDMS)である。
化合物AF
AE(150mg)のAF(125mg)への加水分解を、TのUへの加水分解のために上記した手順を使用して収率87%で行った。
Figure 0004181632
例15 クリプトフィシン82の合成
化合物AE
化合物AEはEのt−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDMS)誘導体である。
化合物AF
AE(150mg)のAF(125mg)への加水分解はTよりUへの加水分解について上述した方法を用いて87%の収率で行われた。1H NMR δ 7.69/7.64(SiPh2,2’-H,6’-H/2”-H,6”-H,d,6.3),7.41(SiPh2,4’-H/4”-H,m),7.39(SiPh2,3’-H,4-Me-H/3”-H,5”H,m),6.86(3-H;dt;15.5,7.5),5.62(2-H,d,15.5),5.30(7-H/8-H,m),3.72(5-H,m).2.28(4-H,m),2.20(6-H,m),1.52(9-H,bd.7.7),1.08(CMe3,s),1.00(6-CH,d,6.7)。
化合物AG
AF(76mg,0.18ミリモル)からのAG(96mg)の製造はUよりVの製造について上述した方法を用いて70%の収率で行われた。1H NMR δ 単位A7.67(SiPh2,2’-H,6’-H/2”-H,6”-H;m),7.46-7.31(SiPh2,3’-H,4’-H,4-Me-H/3”-H,4”-H.5”-H,m),6.62(3-H;dt;15.4,7.6),5.51/5.48(2-H,d,15.4),5.33(7/8,m),3.70(5-H,m).2.22(4-H/6-H,m),1.61(9,bd.7.4),1.06(CMe3,s),0.98(6-Me,d,6.8);単位B7.16(5-H,d,1.7),7.00(9-H,dd,8.5,1.7),6.83/6.82(8-H,d,8.5),5.68/5.66(NH,d,7.3),5.03(2-H,m),4.78/4.73(CH2Cl3,ABq,-11.9),3.87(OMe,S),3.16(3-H;m),3.09(3-H’,m).13CNMRδ単位A165.1(1),143.0/142.9(3),136.0(SiPh2,2’,6’/2”,6”),134.3/133.7(SiPh2,1’/1”).132/5(7),129.6(SiPh2,4’/4”),127.5(SiPh2,3’,4Me/3”,5”),125.7/125.4(2),76.3(5),41.6(6),36.9/36.8(4),27.0(CMe 3 ),19.5(CMe3),18.1(9),16.4/16.3(6-Me);単位B170.0(1),154.2(7),131.0(5),128.4(4/9),122.5(6),112.1(8),94.2(CCl3),74.7(CH 2CCl3),56.1(OMe),52.9(2),36.4(3)。
化合物AH
AG(84mg、0.11ミリモル)からのAH(53.4mg)の製造はVよりWの製造について上述した方法を用いて92%の収率で行われた。1H NMR δ単位A6.83(3-H,dt,15.4,7.5),5.80(2-H,d,15.4),5.51(8-H,m),5.33(7-H,dd,15.2,8.3),3.50(5-H,m),2.42(4-H,m),2.30(4-H’,m)2.28(6,m),1.68(9,d,7.3),0.99(6-Me,d,6.7);単位B7.20(5-H,d,1.8),7.03(9-H,dd,8.4,1.8),6.80(8-H,d,8.4),6.10(NH,bd,7.0),5.07(2-H,m),4.80/4.70(CH3Cl3,ABq.-11.5),3.88(OCH3,S),3.20(3-H,dd,5.5,-14.3),3.10(3H’,dd,7.2,-14.3).13C NMR δ 単位A164.1(1),142.8(3),132.2(7),127.7(2),125.7(2),73.6(5),42.8(6),36.9(4),18.1(9),16.8(6-Me);単位B170.2(1),154.2(7),131.0(5),128.5(4/9),122.5(6),112.2(8),94.2(CCl3),74.7(CH 2CCl3),56.1(OMe),53.1(2),36.5(3)。
クリプトフィシン82
化合物AI(36.8mg,86%収率)は27.4mg(0.052ミリモル)の化合物AHからADについて上述した方法を用いて製造された。
化合物AI(68mg,0.083ミリモル)はADのクリプトフィシン81への環化について上述した方法を用いてクリプトフィシン82に環化された。
[α]D+19.9°(CHCl3,c2.0).1H NMR(500MHz)δ 単位A6.65(3-H,ddd,15.4,9.5,5.6),5.76(2-H,d,15.4),5.48(8-H,dq,15.3,6.5),5.27(7-H,ddd,15.3,8.4,1.5),4.89(5-H,ddd,10.7,5.6,1.5),2.38(4-H,m),2.33(4-H’/6-H,m),1.66(9-H,dd,6.4,1.5),1.00(6-Me,d,6.9);単位B7.22(5-H,d,2.0),7.08(9-H,dd,8.4,2.0),6.83(8-H,d,8.4),5.74(NH,m),4.81(2-H,ddd,8.5,7.3,5.6),3.87(OMe,S),3.13(3-H;dd,5.6,-14.4),3.04(3-H’,dd,7.3,-14.4);単位C,6.93(NH,bdd,6.7,4.7),3.52(3-H,ddd,4.7,3.9,-13.5),3.27,(3-H’,ddd,6.8,6.7,-13.5),2.72(2-H,dqd,7.1,6.8,3.9),1.20(2-Me;d,7.1);単位D4.88(2-H,dd.9.6,3.4,),1.75(3-H/4-H;m),1.47(3-H’,m),0.94(5-H,d,6.2),0.91(4-Me-H,d,6.4).13C NMR(125MHz)δ単位A165.5(1),141.7(3),131.4(7),127.1(8),125.2(2),77.7(5),41.5(6),36.2(4),17.9(9),17.2(6-Me);単位B171.0(1),153.9(7),131.1(5),129.9(4),128.4(9),122.4(6),112.2(8),56.1(OMe),53.5(2),35.1(3);単位C17.5(1),41.3(3)38.2(2)14.0(2-Me);単位D17.9(1),71.5(2),39.6(3),24.6(4),23.0(5),21.5(4-Me)。
実施例16 クリプトファイシン90およびクリプトファイシン91の合成
スチレン型クリプトファイシンのエポキシ化についての一般的手順
ジクロロメタン中のクリプトファイシン(約10mg/mL)の溶液に、ジクロロメタン中の3当量のm−クロロ過安息香酸(約10mg/mL)の溶液を加えた。全ての出発物質が消費されるまで溶液を室温で攪拌した。溶液を短いシリカカラム中にCH2Cl2それから1:4のCH2Cl2:Et2Oを使用して通して2つのエポキシドの混合物を与えた。エポキシドはHPLC(C−18、7:3のMeCN:H2O)によって分離した。
この手順を使用して、クリプトファイシン82(5mg)を、2.2mgのクリプトファイシン90と1.2mgのクプトファイシン91に転化した。
クリプトファイシン90のスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトファイシン91のスペクトルデータ
Figure 0004181632
実施例17 クリプトファイシン97の合成
ジメチルスルホキシド(1mL)の中に溶解した環式デプシペプチド、クリプトファイシン53(9mg、0.013ミリモル)の溶液に、ナトリウムアジド(40mg)と濃硫酸(4μL)を加えた。それから、この混合物を75〜85℃で2日間攪拌した。この時間の後、反応混合物を室温に冷却し、Et2O(15mL)で希釈し、そして有機層をブライン(2×20mL)そしてH2O(20mL)で洗浄した。それから、このエーテル抽出物を乾燥し(MgSO4で)、そして溶剤を真空除去して無定形の無色固体を回収した。それは主にアジドアルコール、クリプトファイシン86であった。逆相クロマトグラフィー(ODS、10μ、250×10mm、25%H2O/MeCN、3mL/分)によって精製を達成して純粋アジドアルコール、クリプトファイシン86を、無定形の無色固体(7.4mg、77%)として回収した。
クリプトファイシン86のスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトファイシン97
Et2O/CH2Cl2(3:1、0.5mL)の中に溶解した環式デプシペプチド、クリプトファイシン86(5.5mg、0.008ミリモル)の溶液に、トリフェニルホスフィン(3mg、0.011ミリモル)のエーテル溶液を加えた。それから、この混合物を室温で3日間攪拌した。この時間の後、溶剤を真空除去し、そして残留物をCH2Cl2の中に溶解し、そしてHPLC精製(CNカラム、10μ、250×10mm、80%EtOAc/CH2Cl2、3mL/分)を施して純粋クリプトファイシン97を、無定形の無色固体(4.2mg、82%)として回収した。
Figure 0004181632
実施例18 クリプトファイシン110〜112および124の合成
クリプトファイシン108
テトラヒドロフランド0.8mLの中のクリプトファイシン90とクリプトファイシン91の混合物(27mg、0.045ミリモル)に、過ヨウ素酸(32mg、0.14ミリモル)の水溶液400μLを加えた。この明澄な溶液を室温で5時間攪拌した。水を加え、そして水性相を酢酸エチルで2回抽出した。有機相を水で洗浄し、乾燥し、そして濃縮した。残留物を、ODSカラム(1:1のMeCH:H2O)での逆相クロマトグラフィーによって精製して90%収率のクリプトファイシン108を与えた。
Figure 0004181632
クリプトファイシン108はまた、EからFへのオゾノリシスについての上記手順を使用してクリプトファイシン82の選択性オゾノリシスによっても製造された。
ウィッティヒ反応についての一般的手順
−78℃の、THF中のアリールトリフェニルホスホニウムクロライド(1ミリモル)の溶液10mLに、ブチルリチウム(0.4mL、ヘキサン中の2.5M、1ミリモル)を加えた。この反応混合物を−78℃で15分間攪拌し、それから、氷浴の中に1時間置いた。3当量の上記混合物を、−78℃の、クリプトファイシン108(約30mg/mL)のTHF溶液に加えた。この溶液を20分間攪拌した後に冷浴を取り除いた。温度が25℃に上昇したときに、反応を塩化アンモニウム飽和水溶液によって静止させた。この混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機抽出物を水洗し、乾燥し、そして濃縮した。残留物をODSフラッシュカラム(65:35のMeCN:H2O)で精製してEとZの異性体混合物(アリール基の本性に依存して8%〜13%のZ異性体を含有;NMRによって測定した分析)を与えた。所望のE異性体はエーテルから結晶化された。
クリプトファイシン110
ウィッティヒ反応は、7.3mgのクリプトファイシン108から5.1mgのp−フルオロフェニル同族体(約8%のZ異性体を含有)に導いた(約1mgの未反応アルデヒドが回収された)。エーテルからの結晶化の後で、4.0mgの純粋クリプトファイシン110が得られた:
Figure 0004181632
クリプトファイシン111
ウィッティヒ反応は、55mgのクリプトファイシン108から43mgのp−トリル同族体(約9%のZ異性体を含有)に導いた。エーテルからの結晶化の後で、34mgの純粋クリプトファイシン111が得られた:
Figure 0004181632
クリプトファイシン112
ウィッティヒ反応は、51mgのクリプトファイシン108から35mgのp−チエニル同族体(約13%のZ異性体を含有)に導いた。エーテルからの結晶化の後で、25mgの純粋クリプトファイシン111が得られた:
Figure 0004181632
クリプトファイシン124
ウィッティヒ反応は、153mgのクリプトファイシン108から131mgのp−クロロフェニル同族体(約10%のZ異性体を含有)に導いた。エーテルからの結晶化の後で、107mgの純粋クリプトファイシン124が得られた:
Figure 0004181632
実施例19 クリプトファイシン115〜120、125および126の合成
クリプトファイシンl15および116
スチレン型クリプトファイシンのエポキシ化についての上記一般手順を使用して、クリプトファイシン110(3.5mg)を2.0mgのクリプトファイシン115と1mgのクリプトファイシン116に転化した。
クリプトファイシン115のスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトファイシン117および118
スチレン型クリプトファイシンのエポキシ化についての上記一般手順を使用して、クリプトファイシン111(6.2mg)を3.5mgのクリプトファイシン117と1mgのクリプトファイシン118に転化した。
クリプトファイシン117のスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトファイシン118のスペクトルデータ
1H NMRスペクトルは、フェニルプロトンについての7.30−7.38における多重線がp−トリルプロトンについての7.14における4H多重線と2.35における3H一重線によって置き換えられた以外はクリプトファイシン38のものと同じである。
クリプトファイシン119および120
スチレン型クリプトファイシンのエポキシ化についての上記一般手順を使用して、クリプトファイシン112(8mg)を、1.2mgのクリプトファイシン119と0.5mgのクリプトファイシン120に転化した。
クリプトファイシン119のスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトファイシン125および126
スチレン型クリプトファイシンのエポキシ化についての上記一般手順を使用して、クリプトファイシン124(47mg)を、26mgのクリプトファイシン125と12mgのクリプトファイシン126に転化した。
クリプトファイシン125のスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトファイシン126のスペクトルデータ
Figure 0004181632
例20 クリプトフィシン121〜123および127の合成
化合物 AJ
30mLの無水CH2Cl2中のBOC−L−ロイシン−水和物(1.245g、155ミリモル)の溶液に、0℃でかきまぜながらN2下固体EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)(0.53g、2.75mモル)を加えた。1.5時間0℃でかき混ぜた後、混合物を5℃以下で濃縮しそして残留物を35mLの冷EtOAcで希釈しそして5%水性KHSO4、5%水性NaHCO3および食塩水、の氷冷溶液の各々の2つの部分(10mL)で連続的に洗浄した。有機相を分離し、5℃で(MgSO4上で)乾燥しそして5℃以下で蒸発させた。残留油を氷冷THF(5mL)で希釈しそして氷冷無水THF(5mL)中の化合物K(295mg、0.5mモル)の溶液に加えた。次にDMAPの少しの結晶を混合物に加え、これをかき混ぜそして一夜放置して25℃に到達させた。5%水性NaHCO3溶液(5mL)を加えそして得られた二相混合物を2時間25℃で激しくかき混ぜた。EtOAc(40mL)を加え、水性相を追加のEtOAc(2×20mL)で抽出しそして合併した有機層を水および食塩水で洗浄し、(NaSO4上で)乾燥し、ろ過しそして蒸発させた。残留物をヘキサン中25%EtOAcとともに、シリカゲルのプラグ中を通過させてろ過して無色油状物として化合物AJを生成した(385mg、96%収率):〔α〕D
Figure 0004181632
化合物 AK
化合物AJ(115mg、0.134mモル)をTFA(3mL)中に溶解しそして1時間25℃で放置した。溶媒を除去しそして残留物をCH2Cl2から、次にトルエンから繰り返して蒸発させて無定形固体を残した。この固体を無水THF(5mL)中に溶解しそして溶液のpHをpH8〜9に調節するのに十分なジエチルイソプロピルアミンを加え、そのとき、溶液の分別量を湿ったpH紙上にスポットさせた。溶液をかき混ぜながら0℃に冷却しそしてTHF(3mL)中の化合物ALの溶液を加えた。化合物ALを造るために化合物Z(55mg、0.27mモル)をTHF(3mL)中に溶解しそしてジエチルイソプロピルアミン(0.046mL、0.27mモル)を加えた。−15℃に冷却後、この混合物に、塩化ピバロイル(0.033mL、0.27mモル)を滴下して加えそして10分間−15℃でそして20分間0℃でかき混ぜた。次に得られた懸濁液を、THF中の化合物AJの溶液に移した。得られた混合物を0℃でかき混ぜそして一夜放置して25℃に到達させた。25℃で12時間後、5%水性NaHCO3溶液を加えそして得られた混合物を1.5時間25℃ではげしくかき混ぜた。EtOAC(40mL)を加えそして相を分離させた。水性相を追加のEtOAC(2×10mL)で抽出した。合併した有機抽出液を5%水性NaHCO3溶液(20mL)、5%水性KHSO4溶液(20mL)および食塩水で洗浄し、(NaSO4上で)乾燥しそして蒸発させた。残留油をヘキサン中の35%EtOAcで溶離してシリカゲル上でクロマトグラフィにかけて無色泡状物として化合物AKを生成した(98mg、83%収率)
Figure 0004181632
クリプトフィシン121
化合物AK(73mg、0.082mモル)をAcOH(3.5mL)中に溶解し、活性化Zn粉末(400mg)を加えそして得られた懸濁液を45分間音波にかけた。追加の1.5時間25℃でかき混ぜた後、混合物をCH2Cl2(5mL)で希釈しそしてCeliteR中を通過させてろ過した。固体を追加のCH2Cl2(10mL)で洗浄しそして得られたろ液を蒸発させた。さらに精製することなしに、残留物をTFA(3mL)中に溶解し、1時間25℃に維持しそして溶媒を真空除去した。無色の固体が得られるまで、残留物をCH2Cl2から、次にトルエンから繰り返して蒸発させた。この固体を乾燥DMF(3mL)に溶解し、FDPP(43mg、0.108mモル)を加え、次に溶液のpHをpH8〜9に調節するのに十分な量のジエチルイソプロピルアミンを加え、そのとき分別量を湿ったpH紙上にスポットさせた。16時間25℃でかき混ぜた後、混合物をエーテル(40mL)で希釈しそして5%水性KHSO4溶液(2×1mL)、5%水性NaHCO3(15mL)および食塩水で洗浄した。(Na2SO4上で)乾燥しそして蒸発させた後、残留物を6mL/分で65:35のCH3CN/水で溶離して、C−18シリカ(EconosilR C−18、22×250mm)上で逆相HPLCにかけることにより残留物を精製した。tR 48分で溶離する分画を集めそして蒸発させて無定形固体(26mg、50%収率)が残った。
Figure 0004181632
クリプトフィシン122および123
無水CH2Cl2(1.3mL)中のクリプトフィシン121(20mg、0.32mモル)のかき混ぜた溶液(0℃)に一回で99%mCPBA(17mg、0.1mモル)を加えた。次に無水トルエン(0.7mL)を加えそして得られた混合物を72時間25℃でかき混ぜた。溶媒を真空蒸発させそして残留固体を6mL/分で65:35のCH3CN/水で溶離してC−18シリカ(EconsilR C−18、22×250mm)上で逆相HPLCにより精製した。クリプトフィシン122(9mg、44%)はtR 37.5分で溶離しそしてクリプトフィシン123(5mg、23%)はtR 40分で溶離した。
クリプトフィシン122
Figure 0004181632
クリプトフィシン123
Figure 0004181632

クリプトフィシン127
クリプトフィシン122(5mg、0.0075ミリモル)をCHCl3(2mL)に溶解しそしてN2下−40℃に冷却した。塩化トリメチルシリル(0.02mL、0.157mモル)を滴下して加えそして得られた混合物を1時間−40℃でかき混ぜた。溶媒を蒸発させそして残留物をジエチルエーテル中の15%EtOHとともに、シリカゲルのプラグ中を通過させてろ過してクリプトフィシン127(4mg、77%収率)を生成した。
Figure 0004181632
例21 クリプトフィシン128および130〜134の合成
クリプトフィシン128、130および131
クリプトフィシン117と118との粗製2:1の混合物の5.7mgをCHCl3(0.5mL)に溶解しそして3時間−60℃で塩化トリメチルシリル(5μL)で処理した。クロロヒドリンの得られた混合物を逆相HPLCによりクリプトフィシン128、クリプトフィシン130およびクリプトフィシン131に分離した。順相HPLCによりさらに精製して純粋なクリプトフィシン128(2.1mg)を得た。
クリプトフィシン128についてのスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトフィシン130についてのスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトフィシン131についてのスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトフィシン132、133および134
ジクロロメタン(6mL)中に溶解されたクリプトフィシン124とそのZ異性体(134mg、0.199mモル)との混合物を36時間室温でm−クロロ過安息香酸(103mg、0.598mモル)と反応させた。反応中生成したクロロ安息香酸を除去するためにりん酸塩緩衝液(10mL、pH8)を加えた。30分後、水性層を、硫化ジメチル(50μL)およびりん酸塩緩衝液(10mL)の新しいサンプルと入れ換えた。30分間かき混ぜ続けた。有機層を分離し、溶媒を蒸発させそして残留物を12時間真空乾燥した。主としてクリプトフィシン125と126との粗製混合物をCHCl3(5mL)中に溶解しそして3時間−60℃で過剰の塩化トリメチルシリル(50μL)で処理した。溶媒を蒸発させそして残留物を逆相HPLC(Econsil ODSシリカ、250mm×22mm、35%H2O/CH3CN、3mL/分)により精製してクリプトフィシン134(tR 52.5分、9mg、6%)、部分的に純粋なクリプトフィシン133(tR 61分、32mg、22%)および粗製クリプトフィシン132(tR 67.5分、72mg)を得た。順相HPLC(Econsilシリカ、250mm×10mm、56%EtOAc/ヘキサン、3mL/分)によりさらに精製して純粋なクリプトフィシン132(65mg、45%)を得た。
クリプトフィシン132についてのスペクトルデータ
Figure 0004181632
クリプトフィシン134についてのスペクトルデータ
1H NMRスペクトルはフェニルプロトンについての7.31(10/14)および7.36−7.40(11/12/13)での2つの多重線がp−クロロフェニルプロトンについての7.26(10/14)および7.36(11/13)での2つの二重線により置き換った以外はクリプトフィシン27の1H NMRスペクトルと同様である。
例22 構造−活性相関(SAR)およびインビボ評価
ヒト腫瘍細胞系KBおよびL00に対するクリプトフィシン1、3および8および新しいクリプトフィシン類の細胞毒性は表6に示される。クリプトフィシン51およびクリプトフィシン3は比較出来る細胞毒性を示す(IC50 3.5〜5.8nM)。しかしながら、クリプトフィシン52(IC50 43〜70pM)はクリプトフィシン1(IC50 9〜29pM)よりやや低い細胞毒性でありそしてクリプトフィシン55(33〜47pM)はクリプトフィシン8(IC50 9〜19pM)よりやや低い細胞毒性である。クリプトフィシン117、122、125、127、128および132についての細胞毒性IC5はクリプトフィシン1、8、52および55についての細胞毒性IC50と比較出来る;しかしながらそのデータは一層意味がある比較とは現在認めていない。
クリプトフィシン52はインビボで活性であるがしかしクリプトフィシン1と比較しておおざっぱに3倍の合計投与量を必要とする。5つのねずみ由来の充実性腫瘍および3つのヒト充実性腫瘍に対するクリプトフィシン52のインビボ活性を表7に要約する。同様にクリプトフィシン55はインビボで活性であるがしかしクリプトフィシン8と比較して3倍の合計投与量をまた必要とする。6つのねずみ由来の充実性腫瘍および4つのヒト充実性腫瘍に対するクリプトフィシン55のインビボ活性を表8に要約する。インビボデータはインビトロデータと相関連しているように思われる。
クリプトフィシン117、125、128および132はねずみ由来の膵臓腺癌(Panc 03)に対してインビボで活性である。クリプトフィシン117および118は一層強力であると思われ、即ちそれらはクリプトフィシン1および8、それぞれよりも少ない合計投与量を必要とするが、しかるにクリプトフィシン125および132は強力性が低い、即ちそれらはクリプトフィシン1および8、それぞれよりも高い合計投与量を必要とする。データを表9に要約する。
42%未満であるT/C値はNCI標準により活性であると考えられる;10%未満であるT/C値はNCI標準により優れた活性および有力な臨床活性を有すると考えられる。総対数死滅(Gross log kill)はT−C/3.2Td(但し、Tは750mgに到達するための処理されたグループの腫瘍について日での中央時間であり、Cは750mgに到達するための対照グループの腫瘍についての日での中央時間でありそしてTdは腫瘍容量二重時間(tumor volume doubling time)である)として定義される(T.H.Corbett等、Cytotoxic Anticancer Drugs;Models and Concepts for Drug Discovery and Development,pp35〜87;Kluwer:Norwell,1992)。5〜20日の薬剤処理の期間を用いて、>2.8、2.0〜2.8、1.3〜1.9、0.7〜1.2および<0.7の総対数死滅値はそれぞれ、++++、+++、++、+および−(不活性)と得点化される。臨床的活性の表示である+++〜++++の活性等級は100〜300mgの大きさのかたまりのほとんど移植されたマウスの充実性腫瘍の部分的または完全な退縮を行なうのに必要とされる。クリプトフィシン52はねずみ腫瘍について0〜14%そしてヒト腫瘍について4.1〜16の範囲のT/C値を示しそしてねずみ腫瘍について1.1〜2そしてヒト腫瘍について0〜3.2の範囲の総対数死滅値を示す。クリプトフィシン1は0〜27%の範囲のT/C値を示しそして<1〜2の範囲の対数死滅値を示す。クリプトフィシン55はほとんど0〜4.4%の範囲のT/C値を示しそして1.2の総対数死滅値を示した1つの試験Colon 26実験を除いてのすべてについて2.1〜>4.6(治癒)の範囲の対数死滅値を示した。表10に示されるように、クリプトフィシン8はほとんど0%のT/C値および>2.8(幾つか治癒)の対数死滅値を示す。クリプトフィシン117および125は他のエポキシドタイプのクリプトフィシン、即ちクリプトフィシン1および52の値と比較出来るT/C値および総対数死滅値を有すると思われ、しかるにクリプトフィシン128および132は他のクロロフィシンタイプのクリプトフィシン、即ちクリプトフィシン8および55の値と比較出来るT/C値および総対数死滅値を有する。
この明細書において引用されたがしかし参照により個々にそして特に組み入れられなかったすべての刊行物および特許はそれらが参照により組み入れられるべきことを特にそして個々に示されたように参照することにより本明細書に組み入れられる。
上記本発明は明確化および理解の目的のために例示および例により幾分詳細に記載されたけれども、請求の範囲の精神および範囲から離れることなしにそれらに或る変化および修正が行なわれることが出来ることはこの発明の教示からみて当業者に明らかであろう。
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
表5に関して、48時間下に示される化合物の種々の濃度を用いて細胞を処理した。次に方法のセクションにおいて示されたとおりにして細胞数を測定しそして各々の化合物についてのIC50が計算された。値は3つの実験についての平均±SEMを表わす。
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632
Figure 0004181632

Claims (29)

  1. 構造
    Figure 0004181632
    (式中、
    Arは、フェニル、またはC1−C5アルキルで置換したフェニル、C1−C5アルコキシルで置換したフェニル、ハロゲン、ナフチル、フリル、インドリル、ピロリル、ピリジル若しくはチエニル基で置換したフェニル、
    1は、ハロゲン、SH、アミノ、モノC1−C5アルキルアミノ、ジC1−C5アルキルアミノ、トリC1−C5アルキルアンモニウム、C1−C5アルキルチオ、ジC1−C5アルキルスルホニウム、スルフェート、またはホスフェートであり、
    2は、OH、またはSHであり、または
    1およびR2が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スルフェート環、またはモノC1−C5アルキルホスフェート環を形成することができ、または
    1およびR2が一緒になって、C18とC19との間に二重結合を形成することができ、
    3は、C1−C5アルキル基であり、
    4およびR5はHであり、または
    4およびR5が一緒になって、C13とC14との間に二重結合を形成することができ、
    6は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロC1−C5アルコキシベンジル、またはジハロC1−C5アルコキシベンジル基であり、
    7、およびR8は、それぞれ独立してC1−C5アルキル基であり、
    9、およびR10は、それぞれ独立してHまたはC1−C5アルキル基であり、並びに
    XおよびYは、それぞれ独立してO、NHまたはC1−C5アルキルアミノであり、
    但し、次式で表される構造を除く
    Figure 0004181632
    を有するクリプトフィシンまたはその薬学上許容可能な塩
  2. 8がエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  3. 7がエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  4. 8がメチルであり、R3がメチルであり、XおよびYは両方共Oではない、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  5. 3がエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  6. 9がエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  7. 10がエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルまたはイソペンチルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  8. 3、C6、C10、C16、C17およびC18に結合した基の少なくとも1個がR立体化学を有する、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  9. 3、C6、C10、C16、C17およびC18に結合した基の少なくとも1個がS立体化学を有する、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  10. Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってC18とC19との間に二重結合を形成し、R3、R7およびR8がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9がイソブチルであり、R10が水素であり、Xが酸素、およびYが酸素または窒素である、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  11. 1およびR2が一緒になってR,R−エポキシド環を形成している、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  12. 1およびR2が一緒になってS,S−エポキシド環を形成している、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  13. 4およびR5が一緒になってC13とC14との間に二重結合を形成している、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  14. 4およびR5が水素である、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  15. 1がハロであり、およびR2がヒドロキシルである、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  16. 1およびR2が一緒になってエピスルフィド環を形成している、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  17. Arがフェニルであり、R1およびR2が一緒になってR,R−アジリジン環を形成し、R3,R7およびR8がメチルであり、R4およびR5が一緒になってC13とC14との間に二重結合を形成し、R6が3−クロロ−4−メトキシベンジルであり、R9がイソブチルであり、R10が水素であり、Xが酸素、およびYが酸素または窒素である、請求項1に記載のクリプトフィシン。
  18. 薬学上許容可能なキャリヤーおよび
    構造
    Figure 0004181632
    式中、
    Arは、フェニル、またはC 1 −C 5 アルキルで置換したフェニル、C 1 −C 5 アルコキシルで置換したフェニル、ハロゲン、ナフチル、フリル、インドリル、ピロリル、ピリジル若しくはチエニル基で置換したフェニル、
    1 は、ハロゲン、SH、アミノ、モノC 1 −C 5 アルキルアミノ、ジC 1 −C 5 アルキルアミノ、トリC 1 −C 5 アルキルアンモニウム、C 1 −C 5 アルキルチオ、ジC 1 −C 5 アルキルスルホニウム、スルフェート、またはホスフェートであり、
    2 は、OH、またはSHであり、または
    1 およびR 2 が一緒になって、エポキシド環、アジリジン環、エピスルフィド環、スルフェート環、またはモノC 1 −C 5 アルキルホスフェート環を形成することができ、または
    1 およびR 2 が一緒になって、C 18 とC 19 との間に二重結合を形成することができ、
    3 は、C 1 −C 5 アルキル基であり、
    4 およびR 5 はHであり、または
    4 およびR 5 が一緒になって、C 13 とC 14 との間に二重結合を形成することができ、
    6 は、ベンジル、ヒドロキシベンジル、ハロヒドロキシベンジル、ジハロヒドロキシベンジル、ハロC 1 −C 5 アルコキシベンジル、またはジハロC 1 −C 5 アルコキシベンジル基であり、
    7 、およびR 8 は、それぞれ独立してC 1 −C 5 アルキル基であり、
    9 、およびR 10 は、それぞれ独立してHまたはC 1 −C 5 アルキル基であり、
    XはOであり、
    およびYは、OまたはNHであり、
    但し、次式で表される構造を除く
    Figure 0004181632
    であるクリプトフィシン化合物またはその薬学上許容可能な塩の治療有効量を含む、過増殖性の哺乳動物細胞の増殖を抑制するのに有用な医薬組成物。
  19. 代謝拮抗剤、アルキル化剤、植物アルカロイド類、抗生物質、ホルモン類および酵素類からなるグループから選択される少なくとも1種類の追加の抗腫瘍薬をも含む、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 代謝拮抗剤が、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素、2−クロロデオキシアデノシン、またはそれらの併用である、請求項19に記載の医薬組成物。
  21. アルキル化剤が、シクロホスファミド、メルファラン、ブスルファン、パラプラチン、クロラムブシル、窒素マスタード、またはそれらの併用である、請求項19に記載の医薬組成物。
  22. 植物アルカロイド類が、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソール、エトポシド、またはそれらの併用である、請求項19に記載の医薬組成物。
  23. 抗生物質が、ドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、またはそれらの併用である、請求項19に記載の医薬組成物。
  24. ホルモン類が、カルステロン、ジオモスタボロン、プロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン、タモキシフェン、リン酸ポリエストラジオール、酢酸メゲステロール、フルタミド、ニルタミド、トリロタン、またはそれらの併用である、請求項19に記載の医薬組成物。
  25. 酵素類が、L−アスパラギナーゼ、アミノアクリジン誘導体、またはそれらの併用である、請求項19に記載の医薬組成物。
  26. 請求項18に記載のクリプトフィシンまたはその薬学上許容可能な塩を含む、過増殖している哺乳動物細胞に起因する病理的状態の治療薬。
  27. 哺乳動物細胞がヒトである、請求項26に記載の治療薬。
  28. 病理的状態が腫瘍の形成を特徴とする、請求項26に記載の治療薬。
  29. 腫瘍が、乳がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、白血病、メラノーマ、膵臓腺がん、中枢神経系腫瘍、卵巣がん、前立腺がん、骨軟部組織の肉腫、頭頸部がん、膵臓および食道を含む胃がん、胃がん、ミエローマ、膀胱がん、腎臓がん、甲状腺を含む神経内分泌系腫瘍、並びに、非ホジキン病およびホジキン病腫瘍からなるグループから選択される、請求項28記載の治療薬。
JP50044097A 1995-03-07 1996-03-07 新規合成クリプトフィシン類 Expired - Lifetime JP4181632B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/400,057 US6013626A (en) 1993-12-21 1995-03-07 Cryptophycins from synthesis
US08/482,141 1995-06-07
US08/482,141 US5952298A (en) 1993-12-21 1995-06-07 Cryptophycins
US08/400,057 1995-07-03
PCT/US1996/003246 WO1996040184A1 (en) 1995-03-07 1996-03-07 New cryptophycins from synthesis

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11510476A JPH11510476A (ja) 1999-09-14
JP4181632B2 true JP4181632B2 (ja) 2008-11-19

Family

ID=27016884

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50044097A Expired - Lifetime JP4181632B2 (ja) 1995-03-07 1996-03-07 新規合成クリプトフィシン類

Country Status (23)

Country Link
EP (1) EP0830136B1 (ja)
JP (1) JP4181632B2 (ja)
CN (1) CN1165337C (ja)
AP (1) AP737A (ja)
AT (1) ATE279935T1 (ja)
AU (1) AU723652B2 (ja)
BG (1) BG63289B1 (ja)
CZ (1) CZ278197A3 (ja)
DE (1) DE69633667T2 (ja)
ES (1) ES2230561T3 (ja)
FI (1) FI973591A0 (ja)
GE (1) GEP20002206B (ja)
HK (1) HK1009747A1 (ja)
HU (1) HU225041B1 (ja)
MD (1) MD2196B2 (ja)
NO (1) NO326685B1 (ja)
NZ (1) NZ305571A (ja)
OA (1) OA10614A (ja)
PL (1) PL185949B1 (ja)
RO (1) RO118931B1 (ja)
SK (1) SK119997A3 (ja)
TJ (1) TJ347B (ja)
WO (1) WO1996040184A1 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BR9610214A (pt) * 1995-08-30 1999-06-15 Lilly Co Eli Compostos farmacéuticos
PT934065E (pt) * 1996-08-30 2006-10-31 Univ Hawaii Compostos farmaceuticos
US6680311B1 (en) 1996-08-30 2004-01-20 Eli Lilly And Company Cryptophycin compounds
JP2001500484A (ja) * 1996-08-30 2001-01-16 イーライ・リリー・アンド・カンパニー 医薬化合物の製造法
CA2263764A1 (en) * 1996-09-06 1998-03-12 Michael John Martinelli Process and novel intermediates
HUP0000212A3 (en) * 1996-09-06 2001-12-28 Wayne State University Detroit Process to prepare cryptophycin derivatives and intermediates thereof
KR20010029474A (ko) * 1996-09-06 2001-04-06 피터 지. 스트링거 제약 화합물의 제조 방법
BR9811252A (pt) * 1997-02-26 2000-09-26 Lilly Co Eli Processo para preparação de compostos farmacêuticos
WO1998038178A1 (en) * 1997-02-26 1998-09-03 Eli Lilly And Company Tripeptide and tetrapeptide pharmaceutical compounds
EP0870501A1 (en) * 1997-04-11 1998-10-14 Eli Lilly And Company Use of specific cryptophycin derivatives for the manufacture of a medicament in the treatment of fungal infections
EP0870510A3 (en) * 1997-04-11 1999-09-15 Eli Lilly And Company Synergistic combination comprising cryptophycin derivatives and microtubule synergizing agents
EP0870506A1 (en) * 1997-04-11 1998-10-14 Eli Lilly And Company Compositions comprising a cryptophycin compound in combination with a synchronizing or activating agent for treating cancer
IL142565A0 (en) * 1998-10-16 2002-03-10 Lilly Co Eli Stereoselective process for producing antineoplastic agents
US6376230B1 (en) 1998-10-16 2002-04-23 Eli Lilly And Company Stereoselective process for producing intermediates of cryptophycins
US6103913A (en) * 1998-10-16 2000-08-15 Eli Lilly And Company Process for preparing enollactone derivatives
WO2000034252A2 (en) * 1998-12-07 2000-06-15 Eli Lilly And Company Process for the preparation of cryptophycin derivatives
US6372936B1 (en) * 1999-06-09 2002-04-16 Eli Lilly And Company Optical resolution of aminoisobobutyric acid
FR2947269B1 (fr) 2009-06-29 2013-01-18 Sanofi Aventis Nouveaux composes anticancereux

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4868208A (en) * 1988-07-15 1989-09-19 Merck & Co., Inc. Antifungal agent and method
US4946835A (en) * 1988-07-15 1990-08-07 Merck & Co., Inc. Antifungal fermentation product and method
US4845086A (en) * 1988-08-09 1989-07-04 Merck & Co., Inc. Antifungal agent
US4845085A (en) * 1988-08-09 1989-07-04 Merck & Co., Inc. Antifungal agent
AU695873B2 (en) * 1993-12-21 1998-08-27 University Of Hawaii New cryptophycins

Also Published As

Publication number Publication date
CN1165337C (zh) 2004-09-08
RO118931B1 (ro) 2004-01-30
MD970313A (en) 1999-06-30
DE69633667T2 (de) 2006-03-02
PL322507A1 (en) 1998-02-02
AP737A (en) 1999-03-15
PL185949B1 (pl) 2003-09-30
ES2230561T3 (es) 2005-05-01
HUP9801880A2 (hu) 1998-11-30
OA10614A (en) 2001-03-15
AP9701069A0 (en) 1997-10-30
HK1009747A1 (en) 1999-06-11
SK119997A3 (en) 1998-12-02
BG101875A (en) 1998-10-30
AU5360396A (en) 1996-12-30
EP0830136A4 (en) 2001-01-24
NO974105D0 (no) 1997-09-05
MD2196B2 (ro) 2003-06-30
HU225041B1 (en) 2006-05-29
CZ278197A3 (cs) 1998-12-16
NO326685B1 (no) 2009-01-26
DE69633667D1 (en) 2004-11-25
FI973591A0 (fi) 1997-09-03
ATE279935T1 (de) 2004-11-15
BG63289B1 (bg) 2001-09-28
EP0830136A1 (en) 1998-03-25
TJ347B (en) 2002-10-06
EP0830136B1 (en) 2004-10-20
JPH11510476A (ja) 1999-09-14
NZ305571A (en) 1999-02-25
NO974105L (no) 1997-11-05
GEP20002206B (en) 2000-08-25
HUP9801880A3 (en) 1999-08-30
CN1183726A (zh) 1998-06-03
WO1996040184A1 (en) 1996-12-19
AU723652B2 (en) 2000-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6013626A (en) Cryptophycins from synthesis
JP4181632B2 (ja) 新規合成クリプトフィシン類
KR100459527B1 (ko) 합성된신규한크립토파이신
HUT70207A (en) 21-norrapamycin, pharmaceutical compositions containing it and process for preparing them
JP4364944B2 (ja) 医薬化合物群
WO1996039829A9 (en) New cryptophycins
US7196115B2 (en) Pharmaceutical composition containing brevifoliol for use in chemotherapeutic treatment of human beings, method therefor
US5955423A (en) Cryptophycins
RU2195458C2 (ru) Криптофициновое соединение, фармацевтическая композиция, способ ингибирования пролиферации клеток и способ смягчения патологического состояния
US20020128185A1 (en) Pharmaceutical compounds
AU716025B2 (en) New cryptophycins
CA2380305C (fr) Derives de streptogramines, leur preparation et les compositions qui les contiennent
CA2214565C (en) New cryptophycins from synthesis
KR100505779B1 (ko) 제약 화합물
Cotter I. Synthesis and Biological Assessment of Analogs of the Marine Macrolide (−)-Zampanolide. II. Studies Towards the Synthesis of Core-Modified Analogs of β-Lactam Antibiotics: Exploring Reactions of Isocyanates with Aliphatic Imines and Synthesis of New β-Sultam Derivatives.
KR810000494B1 (ko) 빈카 알카로이드의 옥사졸리딘 디온 유도체의 제조방법
FR2796950A1 (fr) Derives de streptogramines, leur preparation et les compositions qui les contiennent
MXPA98001604A (en) Farmaceuti compounds

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061017

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20070117

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20070305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080325

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080625

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080812

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080901

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110905

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110905

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120905

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130905

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term