JPH11508171A - 被覆された電気外科手術用電極及び製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 シリコーン被膜を備える電気外科手術用電極１０の設計及び製造方法が開示される。被膜は、エスチャーの堆積に抵抗する。シリコーン材料は、ブレードの平坦領域が十分に厚く、破壊することなく電気外科用電圧に耐える。電気外科用電流経路は、主にブレードエッジ１５及びチップを通る。ブレードの平坦部位は、ほとんどの条件下では絶縁されたままである。比較的薄い被膜は、また高い引き裂き強さと増加された耐久性とを提供する。電極１０の被膜の組成は、シリコーンエラストマー１１を接着剤、拡散状態又は液状ゴムの形態で含む。被膜組成は、また接着促進剤、熱安定化剤、可塑剤、剥離強化剤、架橋剤、及び着色剤を含む。幾つかの製造方法が事例として示される。

Description

【発明の詳細な説明】 被覆された電気外科手術用電極及び製造方法 １．発明の分野 本発明は、外科手術中に使用される電気外科手術用電極、そして特にエスチャ ー（ｅｓｃｈａｒ；痂皮、かさぶた）の堆積に抵抗し、堆積したエスチャーを浄 化することの容易性を増加するシリコーン被膜を備える電気外科手術用電極の設 計及び製造方法に関する。 ２．開示の背景 電気外科手術用電極は、患者の組織を切断及び凝固させるために外科手術で使 用される。電極は、高周波電気外科手術用エネルギーをその発生装置から患者に 伝達するのに使用される。外科医が使用できる電気外科用電極には、多くのサイ ズ及び形状がある。ほとんどの電気外科用電極は、金属、代表的にはステンレス 鋼製であり、これらの電極は、一般に、ハンドピースすなわち"ペンシル"に挿入 できるように付属品を含む。 電気外科手術用電極の作用チップ（先端）は、使用中高温に晒される。この高 温は、蛋白質、炭水化物及び体内の脂質が、作用チップへ固着するだけでなく、 組織内で凝固する原因となる。この凝固は、一般に"エスチャー"と呼ばれる。チ ップに固着するエスチャーは、電気外科用電極の切開及び凝固性能を減ずるので 好ましくない。 通常、手術中にチップを研摩パッドに擦りつけるかブラッシングすることで、 清浄さを維持するための努力がなされる。電極の浄化は、しばしば困難である。 そのため外科医は、手術中に電極を交換するか、低下した性能を受け入れるか、 又は医者としての時間を消費してチップを完全に浄化するか、のいずれかを選択 せざるをえない。 これまで、エスチャー堆積の問題を解決する試みとしていくつかの方法が取ら れてきた。第１の方法は、手術中に電極を浄化するためのより優れたメカニズム を開発することである。第２の方法は、エスチャーの堆積を減らし、電極の浄化 を簡単にするための電気外科用電極の被膜を開発することである。 いくつかの特許が、電気外科用ペンシルチップ電極を浄化する方法と器具を開 示する。米国特許第５，０１６，４０１号は、繊維状の研摩パッドを有し、外科 ドレープ（掛け布）に取り付け可能な硬いベースに装着される。米国特許第４， ５４７，９２３号は、外科ドレープに接着剤で接着したベースに支持された緊密 にコイル巻したひもを持つ外科ナイフクリーナーを有する。浄化作業は、電極が 、隣接する器具のコイル（それはたぶんバネである）へ挿入されるときに生じる 。類似の装置が米国特許第４，８５２，２００号に記載されている。 米国特許第４，９２５，５１６号は、ナイフ浄化装置のベースに付着する接着 剤に晒される引き離しシートの工夫を特許請求する。外科用電極を浄化するため の電極受け入れスロット及びその内部にブラシを持つハウジングを開示する特許 がいくつかある。これらの特許は、米国特許第４，７５２，９８３号、米国特許 第４，７０４，７６０号、及び米国特許第４，０８７，８７８号である。米国特 許第５，１９１，６７０号は、ジグザグに毛ば立つブラシを有する筒状フォーク 清浄器を開示する。 他の特許は、エスチャーの堆積に抵抗するよう設計された電気外科用電極を有 する。コーニング・ガラス・ワークス社（Ｃｏｒｎｉｎｇ Ｇｌａｓｓ Ｗｏｒ ｋｓ）に譲渡された米国特許第４，３１４，５５９号は、ナイフエッジによる切 断から生じる出血を凝固させるための２極電極を脇に有する外科用ナイフを開示 する。米国特許第４，３１４，５５９号は、外科手術電極を被覆する第１の導電 層、及び非接着面となる第２の４フッ化エチレン樹脂（テフロン）層を有する。 この導電層は、その部分が露出され外科電極と表面の間を接続する層であり、テ フロン層は、表面の間隙や混入物などに充填されるだけであり、したがって、切 断又は凝結器具の非接着性表面をもたらす層である。 米国特許第４，７８５，８０７号は、エッチング又は研摩を施したステンレス 鋼チップの上に、テフロンポリマーの下塗り及び最上部被膜を有する。この被膜 は、薄く、電磁エネルギーの付与中に、治療される組織へ電力の通過を許す容量 性結合が存在すると言われる。 米国特許第４，４９２，２３１号は、温度、チップ導電率、及び乾燥した血液 の二極鉗子での固着を論じている。 オーストラリア特許第６３７７５５号は、両端間のシャフトに沿って電気的及 び熱的の両方の絶縁及び耐摩耗抵抗をもたらす絶縁を施した導電性シャフトを有 する。この絶縁は、収縮嵌めのプラスチックチューブによってもたらされる。 発明の概要 シリコーンエラストマーの被膜を有することにより、エスチャーの堆積に抵抗 し且つエスチャー等の堆積の浄化の容易性を改善する電気外科手術用電極が、開 示される。このシリコーンエラストマーは、ポリジオルガノキサンであることが 可能である。被膜電極及びその製造方法が、ここに記述される。 この設計の１つの特徴は、比較的薄いシリコーン被膜が使用されることである 。シリコーン材料は、破壊することなくＥＳ（電気外科用）電圧に耐えるため、 ブレード（刃）の平坦領域において十分に厚い。ＥＳ経路は、主に、被膜が薄い か存在しないブレードエッジとチップを通る。ブレードの平坦領域は、ほとんど のＥＳの状態において絶縁されたままである。厚い被膜は、また、高い引き裂き 強さと、それ自身への凝集によって付加される耐久性とをもたらす。そのことが 、この被膜の機械的摩耗に対する耐性を強める。 電極被膜の組成は、接着剤、拡散状態又は液状ゴムの形態のシリコーンエラス トマーを含む。バックボーンポリマーは、一般に、しかし限定はされずに、Ｒ₁ Ｒ₂ＳｉＯの形態である。ここで、Ｒのグループは、フェニル、メチル、ビニル 、又はその他のペンダントのグループを指す。上記の組成に加え、被膜組成は、 次の成分の一部又はすべてを含む。すなわち、接着促進剤、熱安定化剤、充填剤 、可塑剤、剥離強化剤、架橋剤、及び着色剤である。 シリコーンエラストマーを沈積するために、いくつかのプロセスが利用可能で ある。１実施例において、シリコーンエラストマーは、拡散の形態をとり、沈積 は、浸漬（ｄｉｐｐｉｎｇ）により行われる。拡散の粘弾性特性は、浸漬処理さ れたとき、それにより得られた被膜がブレードのチップ及びエッジ上では非常に 薄く、且つ中間の平坦領域ではより厚い、という特性である。好適な実施例では 、エッジ上の薄い材料が薄く、この領域をＥＳ電流から絶縁できず、且つＥＳエ ネルギーが投入されると直ちに電流を導通する。エッジに導通性があり、且つ平 坦領域が絶縁されるので、切断の蒸気バリヤー（障壁）を急速に生成する高電流 密度をエッジ上に生成することにより、切断能力が強化される。浸漬処理は、ま た 平坦部位に半径輪郭を有する厚い被膜を創成する。半径輪郭は、ブレードが表面 により拭われるとき、高い接触点を提供し、ブレードの平坦領域により高い圧力 を提供し、中心部位により高い圧力をもたらし、エッジに向かうほどに圧力が減 少するから、浄化性を強化することができる。 シリコーン被膜ブレードは、シリコーンが浸潤しないので、浄化可能であり、 且つ他着性がない。そのことは、エスチャーに対して非常に弱い結合表面を提供 する。更に、エラストマーの表面は、機械的動作（ぬぐい及び切断）に順応する 。そのことがエスチャーとの接着を破壊する。更にまた、シリコーン表面に接触 する組織は、大量のエスチャー付着に必要な温度に達しない。何故なら、シリコ ーン表面は熱的に絶縁され、且つその領域では、ＥＳ電流の導通が比較的少ない からである。これは、ブレードの大部分の領域を表す。 開示されるシリコーン被膜ブレードには、在来のＥＳブレードよりもいくつか の利点がある。このブレードは、より優れた切削性を示す（最初から、必要低電 力に至るまで、より安定している）。何故ならブレードのエッジは、ＥＳに対し て導電性がある一方で、平坦部位は、ほぼ導電性がないからである。このことに より、切断に望ましい蒸気バリヤーの迅速な生成を可能にする。また、持続的な 使用において、表面積の最大量を代表するブレードの平坦領域が略絶縁されたま まである（ピン穴又は劣化がない）ため、浄化性能がより一貫している。ブレー ドの平坦領域から延びる半径断面は、浄化能力を強化する。外科医は、また被膜 に損傷を与えることなく、ブレードのエッジを用いてＥＳエネルギーを止血剤（ ｈｅｍｏｓｔａｔ）に付与する。被膜されたブレードは、また被膜に著しい損傷 を与えることなく曲げることが可能である。 シリコーン接着剤は、溶剤を含まない１成分系の自己平坦化シリコーンエラス トマーであり得る。その１例は、カリフォルニア州カーピンテリアに所在するヌ ーシル・テクノロジー社（ＮｕＳｉｌ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ， Ｉｎｃ．）が 提供するＮｕＳｉｌ Ｍｅｄ−１５１１である。この製品は、有機溶剤で３０％ 〜７０％固体、好適には５０％の固体に希釈される。この系のアセトキシ硬化機 構は、室温で、及び相対湿度２０％〜６０％の範囲で生起する。硬化処理中、シ リコーン接着剤は、酢酸蒸気を副産物として放出する。 シリコーン拡散は、重量比又は体積比が１：１で混合される中程度の粘度の液 体２成分系であることができる。その１例は、ＮｕＳｉｌ Ｍｅｄ−６６４０で ある。これは、有機溶剤に拡散した２５％固体であることができ、さらに７％固 体まで希釈され得る。拡散は、平均重合度５０００度の高密度シリコーンゴムか ら製造可能である。この系のプラチナ添加硬化は、上昇した温度で起こる。 液状シリコーンゴムは、シリコーン１００％のエラストマーペーストを含む、 混合比１：１で混合される２成分システムが可能である。１例は、カリフォルニ ア州ベンチュラに所在するアプライド・シリコーン社（Ａｐｐｌｉｅｄ Ｓｉｌ ｉｃｏｎｅ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ）によって供給されるＡｐｐｌｉｅｄ Ｓ ｉＬＳＲ−５０である。これらの要素の不均化が、支持体への接着の強化を可能 にする。エラストマーは有機溶剤で、２０％〜５０％固体まで希釈可能である。 ただし３０％が好適である。このシステムのプラチナ添加硬化は、上昇した温度 で起こる。ＬＳＲのデュロメーター又は硬度は、５〜７０の範囲内が許されるが 、５０が好適である。 シリコーン被膜ブレードは、次のようにして製造される。鋼製電気外科用電極 は、プライマー（下塗剤）の固着を改善するために粗削り加工された外部表面を 有することが可能である。好適とされる実施例では、被覆されていない電極は、 １．２７〜６．３５μｍＲａ（５０〜２５０μｉｎＲａ）の範囲の、しかし好適 には４．４５〜５．７２μｍ（１７５〜２２５μｉｎ）の範囲またはそれ以上の 表面粗さを持つようサンドブラスト処理される。サンドブラスト処理は、１６〜 １００グリットの酸化アルミニウムで行われる。ただし、他の粗削り加工法も使 用できる。 プライマーは、粗削り加工電極に塗布される。プライマーは、ポリシロキサン 樹脂である。この樹脂は、２つのテトラファンクショナルシラン、１つのテトラ ファンクショナルチタン酸塩、及び１つのテトラファンクショナルシランの混合 である。プライマーの厚さは、一般に１００オングストローム未満である。 下塗りされた電極は、シリコーンエラストマーポリマーで被膜される。シリコ ーンポリマーのいくつかのタイプが効果的である。好ましい実施例は、ビニルエ ンドブロックの機能を有するメチルビニルポリジメチルシロキサンを使用する。 シリコーン被膜の厚さ合計は、公称０．０７６〜０．５１ｍｍ（３〜２０ｍｉｌ ）である。厚さの均一性は、最も好適にはいくつかの領域でより薄くに調節され 、より小さい導電性強さをもたらす。それらの領域は、高周波電磁エネルギーの 通路となり、切断に好適である。厚さの均一性に関して、他のいくつかの領域に おいては、さらに導電性強さをもたらすために、厚い方が最も好適である。そう した領域は、高周波電磁エネルギーの通路とはならず、他着性及び清浄特性の簡 易さを強化するのに好適である。 シリコーンエラストマーの硬化方法は、いくつかある。好ましい硬化方法は、 有機白金化合物触媒及び熱を使った付加反応である。他の硬化方法は、縮合反応 、大気湿気の活用、ＵＶ開始湿気硬化、及び加酸化物加硫である。 図面の簡単な説明 図１は、ブレード形状を有する不均等に被膜された電極の斜視図である。 図２は、図１の線２−２に沿った断面図であり、プライマー被膜及びシリコー ン上部被膜を有する導電性金属電極である。プライマー及びシリコーンは、説明 の目的で拡大して示されている。 図３は、図１の電極を図１の線３−３の平面から見た長手方向の断面図であり 、プライマー及びシリコーンを有する金属導電性電極であり、説明を目的として 拡大され、一定の比率ではない。 発明の詳細な説明 図１に示す被膜された手術用電極１０は、エスチャーの堆積に抵抗し、且つ、 エスチャーなどの堆積の浄化の容易性を改善するものである。電極１０は、図２ 及び図３に示すように、好適にはポリジオルガノシロキサンから成るシリコーン エラストマー１１を有する。被膜された電極１０及びその製造方法がここに記述 され、いくつかの代替製造方法の事例が開示される。 １実施例において、医用等級ステンレス鋼製の電気外科用電極１３は、プライ マー１２の付着を向上させるために粗く加工された外部表面を有する。被膜され ていない電極は、１．２７〜６．３５μｍＲａ（５０〜２５０μｉｎＲａ）の範 囲、しかし好適には、４．４５〜５．７２μｍ（１７５〜２２５μｉｎ）の範囲 の表面粗さを有するように、サンドブラスト処理される。サンドブラスト処理は 、 １６〜１００グリット（ｇｒｉｔ）の酸化アルミニウムで行う。ただし、他の粗 削り加工法も使用できる。付着を強化するための粗削り前処理は、媒体ブラステ ィング、タンブリング、生地転写、例えばＥＤＭによる金属導電性基板を介する 穿孔、酸又はアルカリを用いた化学腐食又は侵食を含む。 プライマー１２は、粗い金属導電性基板電極１３に塗布される。プライマー１ ２は、好適にはポリシロキサン樹脂である。プライマー１２の厚さは、一般に１ ００オングストローム未満であり、プライマー１２は、均一に塗布される。 下塗りされた電極は、その上に、シリコーンエラストマーポリマー１１が被膜 される。シリコーンポリマーのいくつかのタイプが効果的である。１つの実施例 では、ビニルエンドブロックの機能と、充填材（好適にはアモルファス）を有す るメチルビニルポリジメチルシロキサンである。シリコーン被膜の厚さ合計は、 公称０．０７６〜０．５１ｍｍ（３〜２０ｍｉｌ）である。 シリコーン被膜１１の厚さは、均一ではない。シリコーン被膜１１は、例えば 図２及び図３に示すように、外科用ブレードのチップのエッジに沿って、及びチ ップにおいて、より薄いことが好適である。そこでは切断にとって高周波電流が 通過することが望ましい。他の領域、例えばブレードの主表面では、清浄能力を 強化するためにシリコーン被膜１１の厚さは、図２に示すように、より大きいほ うが好適である。被膜が均一でないのは、主表面１４は、シリコーン被膜を有す る一方、エッジ１５は、被膜されていない構成を示すためでもある。用語“厚さ ”は、支持体１３と被膜の１つの外表面１６との間の寸法を意味する。 被膜１２の非均一さが著しいということは、高周波電流は、電気抵抗が低い電 極１０の領域を優先的に導通されるということである。電極１０のエッジ１５の 被膜が薄い又は存在しない場合、電流は、エッジ１５に優先的に導通される。平 坦な又は主要な表面１４は、エッジ１５に発生する絶縁性より大きな絶縁性をも たらすより厚い被膜を有することができる。その結果切断効率が増大し、主表面 １４でのエスチャーの堆積の傾向が低減する。 実験から、最大１０メガラッド（ｍｅｇａｒａｄｓ）までの電離放射線がシリ コーン被膜に有益な効果を持つことが明らかになっている。特に、照射を受けた シリコーン被膜は、接着の向上と付着性の低減を示した。 以下、被膜された電気外科用ブレードの製造方法の追加の事例を次に示す。事 例４、事例５、及び事例６は同じ基本製造プロセスの好適な変形である。事例９ も好ましい実施例である。 事例１ ８０グリットの酸化アルミニウム媒体で、表面粗さ１．２７〜２．０３ｍｍ（ ５０〜８０μｉｎ）Ｒａまでサンドブラストした３０４シリーズステンレス鋼製 電極ブレードは、アセトン浴で１５分間超音波洗浄され、次いでＳＰ−１２０が 下塗りされた。このプライマーは、大気条件下で１時間空気乾燥を受けた。次に 、ブレードは、ＮｕｖａＳｉｌ ５０８３溶液で浸漬塗布された。この溶液は、 コネチカット州ハートフォードに所在するロクタイト社（Ｌｏｃｔｉｔｅ Ｃｏ ｒｐｏｒａｔｉｏｎ）が供給するＵＶ／湿気硬化接着剤である。この溶液は、キ シレンに重量の１４％までの固体が溶解された。ブレードは、大気条件で３０分 間のフラッシュを受け、次いでブレードの両側それぞれに、４００ｍＷ／ｃｍ２ のＵＶエネルギーを付与する波長３６５ｎｍのＵＶ光線が３０秒間照射された。 被膜されたブレードは、次に、大気条件で４８時間空気硬化を受けた。 事例２ 電極ブレードは、８０グリットの酸化アルミニウム媒体で、表面粗さ１．２７ 〜２．０３μｍＲａ（５０〜８０μｉｎＲａ）にまでサンドブラストされた。次 いでそれらは、アセトン浴で１５分間超音波洗浄された。ブレードは、次にヌー シル・テクノロジー社（ＮｕＳｉｌ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ，Ｉｎｃ．）によっ て供給されるＮｕＳｉｌ ＣＦ６−１３５が下塗りされた。該プライマーは大気 条件で３０分間空気乾燥を受けた。ブレードは次に、重量で４４％のＮｕＳｉ ＭＥＤ−６６４０シリコーンエラストマー拡散と、重量で４４％のＮｕＳｉ Ｍ ＥＤ−６６４０キシレンとから成る溶液で浸漬塗布された。その結果のエラスト マー固体の混合溶液濃度は、１１％であった。２つのタイプの被膜されたブレー ドが、この溶液から得られた。一方のタイプは浸漬が１回だけ行われ、もう一方 のタイプは大気条件で２０分間フラッシュを施されてから再度溶液に浸漬された 。両タイプとも、最後の浸漬の後最低２０分間フラッシュを施された。次いで、 強制空気対流オーブンにおいて７５°±２°Ｃ°で４５分間硬化され、その後続 け て１３５分間、強制空気対流オーブンにおいて１５０°±５°Ｃで硬化された。 この処理で膜厚０．０２０３〜０．０３８１ｍｍ（０．８〜１．５ｍｉｌｓ）の ブレードを得た。 事例３ 上記事例２で準備された電気外科用ブレードは、キシレンの、同じ１１％重量 固体溶液で被膜された。被膜塗布の方法は、ブレードを回路の接地部位として使 う静電スプレーであった。スプレーノズルを１〜３回通したあと、被膜されたブ レードは、硬化に先立ち、事例１のブレードと同じ方法により大気条件下で３０ 分間フラッシュを受けた。膜厚は、０．０２５４〜０．０６３５ｍｍ（１．０〜 ２．５ｍｉｌｓ）の範囲内であった。 事例４ 仕上げ製品に、より厚い膜を作り出すために、ブレードと事例２のＮｕｓｉｌ ＭＥＤ−６６４０が複数回の浸漬処理に使用された。溶液重量固体は、さらに 多くのキシレンを追加することで９％に低減された。この変更は、ブレードの長 手方向に沿った被膜の均一性を改善するために行われた。ブレードは溶液表面に 垂直に浸され、ブレードは、その平坦部位が溶液に完全に覆われる深さまで浸さ れ、入れるときと同じ角度で取り出され、１８０°反転されて、１０秒間保持さ れ、次いでブレードの長手方向に沿って膜厚が均一になるように複雑ならせんパ ターンを描きながら回転された。２０分間回転した後、浸漬処理はディップ回数 が合計８回になるまで繰り返された。最後の２０分間の回転の後、ブレードは強 制空気対流オーブンに入れられ、１６０°Ｃで１３５分間硬化された。各ブレー ドで、膜厚は０．０７６２〜０．１５２ｍｍ（３〜６ｍｉｌｓ）の範囲であった 。ブレードチップの被膜が最も厚かった。 事例５ 電極ブレードの２つの個別のセットが、８０グリットの酸化アルミニウム媒体 で表面粗さ１．２７〜２．０３μｍ（５０〜８０μｉｎ）Ｒａまでサンドブラス トされた。ブレードは次に、アセトン浴で１５分間超音波洗浄された。ブレード には次に、ＣＦ６−１３５が下塗りされた。プライマーは、大気条件下で３０分 間空気乾燥された。ブレードは次に、キシレンへ９％重量に希釈されたＭＥＤ− ６６４０溶液で浸漬塗布された。ブレードは溶液表面に垂直に浸され、ブレード は、その平坦部位が溶液に完全に覆われる深さまで浸され、入れるときと同じ角 度で取り出され、１８０°反転されて、６秒間保持され、次いでブレードの長手 方向に沿って膜厚が均一になるように複雑ならせんパターンを描きながら回転さ れた。２０分間回転した後、浸漬処理はディップ回数が合計６〜１０回に達する まで繰り返された。最後の２０分間の回転の後、ブレードは強制空気対流オーブ ンに入れられ、１６０°Ｃで１３５分間硬化された。各ブレードにおいて、ディ ップ回数６回のブレードの膜厚は、０．０７６２〜０．１５２ｍｍ（３〜６ｍｉ ｌｓ）の範囲であり、ディップ回数１０回のブレードの膜厚は０．１５２ｍｍ（ ６ｍｉｌｓ）であった。 事例６ 電極ブレードは、８０グリットの酸化アルミニウム媒体で、表面粗さ３．０５ μｍＲａ（１２０μｉｎＲａ）にまでサンドブラストされた。次いでブレードは 、アセトン浴で１５分間超音波洗浄された。ブレードには次に、ＣＦ６−１３５ が下塗りされた。プライマーは大気条件で３０分間空気乾燥された。ブレードは 次に、キシレンに９％重量に希釈されたＭＥＤ−６６４０溶液で浸漬被膜された 。ブレードは溶液表面に垂直に浸され、ブレードは、その平坦部位が溶液に完全 に覆われる深さまで浸され、入れるときと同じ角度で取り出され、１８０°ひっ くり返されて、６秒間保持され、次いでブレードの長手方向に沿って膜厚が均一 になるように複雑ならせんパターンを描きながら回転された。２０分間回転した 後、浸漬処理は、ディップ回数が合計１３回に達するまで繰り返された。最後の ２０分間の回転の後、ブレードは強制空気対流オーブンに入れられ、１６０°Ｃ で１３５分間硬化された。各ブレードにおいて、膜厚は、０．１２７〜０．２０ ３ｍｍ（５〜８ｍｉｌｓ）の範囲であった。 事例７ 電極ブレードは、表面粗さ３．０５μｍＲａ（１２０μｉｎＲａ）に達するま で酸化アルミニウム媒体でサンドブラストされた。次いでブレードは、アセトン 浴で１５分間超音波洗浄された。シリコーンエラストマーでブレードをカプセル 化して接着を強化するための位置を得る目的で、直径範囲０．１２７〜１．９１ ｍｍ（０．００５〜０．０７５ｉｎ）の穴が、ブレードの平坦部位にあけられた 。ブレードは次に、圧縮／トランスファー成形に置かれ、ＮｕＳｉｌ ＭＥＤ− ４７５０が空隙に強制的に充填され、２つのブレード面を被膜し、ブレード面を ドリル穴から通した。２４０°Ｆのモールドに１０分間入れたあと、モールドは 開けられ、被膜したブレードが取り出された。各ブレードで、膜厚は、０．０５ １〜０．１０２ｍｍ（２〜４ｍｉｌｓ）の範囲であった。 事例８ ブレードは、事例７と同じ方法で準備された。ただし成形に使用したエラスト マーは、ＮｕＳｉｌ ＭＥＤ−４７５０の代わりにＮｕＳｉｌ ＭＥＤ−４７２ ０であった。 事例９ ブレードは、事例６と同じ方法で準備され、同じ方法で浸漬被膜された。シリ コーンエラストマー硬化に先立ち、ブレードを硬化オーブンに置く直前に、被膜 されたブレードの表面にテフロンスプレーリリースが塗布された。このスプレー リリースは、カリフォルニア州ハンティントン・ビーチのティオダイズ社（Ｔｉ ｏｄｉｚｅ Ｃｏ．）から供給されたＴｉｏｌｏｎ Ｘ−２０であった。これは 、有機溶剤に拡散されたポリテトラフルオロエチレンとエアロゾルスプレー用促 進剤の混合である。次いでブレードは、事例６のように硬化された。 事例１０ 電極ブレードは、酸化アルミニウム媒体で、表面粗さ１．２７〜６．３５μｍ Ｒａ（５０〜２５０μｉｎＲａ）にサンドブラストされた。ただし好適には、５ ．０８μｍＲａ（２００Ｒａ）である。次にブレードは、アセトン浴で１５分間 超音波洗浄された。ブレードは次に、プライマーＮｕＳｉｌ ＳＰ−１２０に浸 漬して下塗りされ、大気条件下で３０分間空気乾燥を受けた。ブレードは次に、 ヌーシル・テクノロジー社（ＮｕＳｉｌ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ）のトルエン中 にシリコーン接着剤成分３０％〜７０％を含むＭＥＤ−１５１１シリコーン接着 剤で浸漬被膜された。シリコーン接着剤溶液は、湿気に接触した場合のシリコー ンの硬化を防止するために窒素下で維持された。下塗りされたブレードは、シリ コーン溶液に浸され、溶剤フラッシュを受け、１時間固化さられた。ブレードは 再 度浸漬され、大気条件下で２４時間、アセトキシ硬化メカニズムを介して、完全 に架橋結合を許された。その結果の電極のチップの被膜厚さは、０．２０３ｍｍ （８ｍｉｌ）であった。 事例１１ 電極ブレードは、酸化アルミニウム媒体で表面粗さ１．２７〜６．３５μｍＲ ａ（５０〜２５０Ｒａ）、好ましくは、５．０８μｍ（２００Ｒａ）にサンドブ ラストされ、アセトン浴で１５分間超音波洗浄された。ブレードは次に、金属及 びプラスチックの医用等級プライマーのＡｐｐｌｉｅｄ Ｓｉｌｉｃｏｎｅに浸 漬で下塗りされ、大気条件で３０分間空気乾燥を受けた。ブレードは、次に、２ 部の液状シリコーンゴム（１：１比、５０デュロメーター）、ナフサに２０％〜 ５０％固体（好適には３３％）のＡｐｐｌｉｅｄ Ｓｉｌｉｃｏｎｅ溶液で浸漬 被膜され、室温の空気対流オーブンで１０分間フラッシュを受けた。電極のチッ プに０．２５４ｍｍ（１０ｍｉｌｓ）厚の被膜を作るために、この浸漬手続きは 、さらに４回繰り返された。その後、被膜は１６５°Ｃで１時間硬化された。 事例１２ 架橋を促進し、シリコーン表面の厚さを減らすために、事例７に類似した被膜 電極がイオン処理を受けた。ブレードは、真空中のＲＦ励起したアルゴンプラズ マに７分間晒された。 事例１３ 架橋を促進し、シリコーン表面の付着性を低減させるために、事例７に類似の 被膜された電極がイオン処理に晒された。ブレードは、２．５、５．０、及び１ ０．０メガラッド（ｍｅｇａｒａｄｓ）の電子ビーム線量に晒された。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロンティーン，マイケル・ディー アメリカ合衆国コロラド州80021，ウエス トミニスター，ホイト・レーン 9925 (72)発明者 ミルバーグ，ブライアン・エイ アメリカ合衆国ミネソタ州55105，セン ト・ポール，グッドリッチ・アベニュー 2128

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．患者の組織の手術に使用される電気外科用器具の電極であって、 電気外科用エネルギーを伝導するために電気外科用器具に挿入される形状であ る近位端及び遠位端を有する細長い金属製シャフト、遠位端にある患者の組織を 取り扱うための患者端部、及びシリコーンエラストマー基ポリマーから成る前記 患者端部における最上部被膜を備え、最上部被膜は、患者端部上で非均一な厚さ のものである電気外科用器具の電極。 ２．前記最上部被膜の下にプライマー材料の基礎被膜を備え、基礎被膜は、架 橋触媒を伴うポリシロキサン樹脂を含むものである請求項１の電極。 ３．前記遠位端は、ほぼ平行でありエッジにより結合される少なくとも２つの 主表面（１４）を有する刃形状である請求項１の電極。 ４．前記非均一な厚さは、エッジに沿うよりも主表面上に小さい導電性をもた らすものである請求項３の電極。 ５．前記主表面（１４）は、境界を成すエッジよりもより高い誘電性値に達す るよう被膜される請求項３の電極。 ６．より高い誘電性値は、主に主表面（１４）を横断する全体的により厚い最 上部被膜により生じるものである請求項５の電極。 ７．前記患者端部は、被膜される前に、約１．２７〜６．３５μｍＲａの範囲 内の表面粗さを有する請求項１の電極。 ８．患者の組織の手術に使用される電気外科用器具の電極であって、 電気外科用エネルギーを伝導するために電気外科用器具に挿入される形状であ る近位端及び遠位端を有する細長い金属製シャフト、遠位端にある患者の組織を 処置するための患者端部、該患者端部上にあり架橋触媒を伴うポリシロキサン樹 脂を含むプライマー材料の基礎被膜、及び基礎被膜上の最上部被膜を含み、 前記遠位端は、ほぼ平行でありエッジにより結合される少なくとも２つの主表 面（１４）を有する刃形状であり、前記患者端部は、被膜される前に、約１．２ ７〜６．３５μｍＲａの範囲内の表面粗さを有するものであり、前記最上部被膜 は、シリコーンエラストマー基ポリマーを含み、患者端部上で非均一な厚さのも のであり、前記主表面（１４）は、境界を成すエッジよりもより高い誘電性値に 達するよう被膜されることを特徴とする電極。 ９．導電性金属基板及び被膜を備える患者端部を有する電気外科用器具の電極 の製造方法であって、最上部被膜が非均一な厚さを有するように最上部被膜を患 者端部上に沈着させる工程を含み、該最上部被膜は、シリコーンエラストマーを 含むものであることを特徴とする製造方法。 １０．前記最上部被膜を沈着させる工程の一部分が、患者端部を浸漬すること によって実施される請求項９の製造方法。