JPH11502570A - TiB▲下2▼微粒子セラミックで強化されたアルミニウム・合金金属・マトリックス コンポジット - Google Patents

TiB▲下2▼微粒子セラミックで強化されたアルミニウム・合金金属・マトリックス コンポジット

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Abstract

(57)【要約】 セラミック強化Al・合金金属・マトリックス コンポジットを製造する2つの方法が記載されている。第1の方法は、液体アルミニウム又はアルミニウム合金中にセラミック相(二硼化チタンの)を分散する工程、該セラミック相を氷晶石又は別の弗化物融剤と混合する工程、及び該混合物をアルミニウム又はアルミニウム合金相と一緒に700〜1000℃の温度で溶融する工程からなる。第2の方法では、融剤及び合金組成及び操作温度を固定することによってあらかじめ定めることのできる異なる粒径及び粒径分布のTiB2結晶子を産するために弗化物融剤が溶融アルミニウム又はその合金化元素(Mg、Ca)によってinsitu還元される。

Description

【発明の詳細な説明】 TiB2微粒子セラミックで強化されたアルミニウム・合金金属・マトリック ス コンポジット 本発明はTiB2セラミック微粒子で強化したアルミニウム・合金金属・マト リックス コンポジットの製造に関する。 軽い合金材料を構造工学用に使用する利益は、それらの強度、靭性、なかんず く特定のモジュラスのせいで実現されている。それ故航空機ならびに自動車産業 は、運転中の燃料経済や構成部品の長寿命と云う少なからぬ刺激を受けることと なった。この20年程の間に、低比重の高温セラミック材料、すなわち炭化ケイ 素、アルミナ及び炭素繊維などによる強化に基づく新らしいタイプの材料が出現 した。この補強強化は微粒子状又は繊維状のこれら材料で行われており、その結 果比重や熱膨張係数を大いに減少させるとともにヤング率の値に改善をもたらし ている。それ故金属・マトリックス コンポジット中ではマトリックスの性質と この強化の組合せ効果がみられる。実験室規模の実験に基いて新規な金属・マト リックス コンポジット製作技術、すなわちAl−合金/SiCの溶射成形、繊 維強化金属・マトリックス コンポジットの高圧鋳造及び溶浸鋳造技術(粉体混 合と押出し工程技術を含む)が出現した。 例えばT.W.ClyneとP.J.Withersの論文「金属・マトリッ クス コンポジットへの手引き」:ケンブリッジ固体物理科学シリーズ、ケンブ リッジ大学出版部、1993年、318〜359頁を参照されたい。 これらの方法は収益性と材料性質の両方に潜在的な利益を与える。またこの実 験室的方法は材料の小規模商業生産に使用されており、このため上記金属・マト リックス コンポジット製造方法は互いに競合している。 実験データはまた液体金属溶浸や繊維・金属反応中での空洞形成あるいは高圧 鋳造中の繊維のミス配向などの欠陥構造の生成をもたらす幾つかの問題点も指摘 している。液体金属と微細セラミックの2相混合物の急速冷却法である溶射成形 法では、材料の生産コストが高い。加えて、溶射成形したインゴットは広範囲の 多孔性を有するのでさらに操作を加える必要があり、このインゴットを溶射成形 工程中に複雑な形に成形することはできない。コスト比較によれば、粉末押出し 法は法外に高コストの材料を生産することを示している。それにもかかわらず、 高コストが今迄のところ正当づけられている各種のスポーツ消費用具の製作には この新技術が使用されている。例えばT.W.Clyne及びP.J.With ersの論文「金属・マトリックス コンポジットへの手引き」:ケンブリッジ 固体物理科学シリーズ、ケンブリッジ大学出版部、1993年、459〜470 頁を参照のこと。 上記技術の使用では、自動車ならびに航空機の構成部品の高いコストが未だ正 当化されておらず、このため自動車、航空機及びその他の工学用途用金属・マト リックスのマーケットは依然として不確実である。自動車及び航空機の構造工学 用構成部品の製作コストは不当に高いのでこれらの金属・マトリックス コンポ ジットに対するマーケットは実質的に存在していない。 上記ルートにより製作される材料の高いコストとは別に、特に高温用途用のA l−SiC成分の長期信頼性に関するより重要な基本的問題が未解決のまま残っ ている。高温使用条件に長時間曝すと、アルミニウム マトリックスは長時間に わたってSiCと反応する傾向がある。液体状態での操作中にマトリックス強化 界面に脆化層として容易に形成する炭化アルミニウムは、コンポジット材料の高 温靭性に対して有害である。 炭化アルミニウムはまた水分の攻撃を受けやすく、加水分解して水酸化アルミ ニウムとなり、メタンがガス状反応生成物として発生する。この水分によるアタ ックがSiC微粒子の周囲及び炭素繊維・マトリックスの界面周辺に腐食をもた らすことが知られている。この結果構成部品は著しく弱くなる。材料の靭性及び 疲労性は、運動中の工学的構成部品の最も重要な性質であるが、炭化アルミニウ ム相の脆化層の存在により悪影響を蒙る。したがってこのことは、アルミニウム /SiCやAl/炭素繊維コンポジットの高温における長期高温構造信頼性に疑 問を残す。 金属相中にシリコンや炭素の存在は望ましくないため、Al/SiC及びAl /炭素コンポジットのリサイクルと云う別の問題も起る。これはリサイクルでき ないアルミニウム合金コンポジットの備蓄を生むことが予期され、このこともま たコンポジット材料の全体コストにはねかえる。 極く最近、金属・マトリックス コンポジットの製作にチタンをベースとする 材料が有望な候補として認められるようになった。二硼化チタン及び炭化チタン はアルミニウム合金中での粒子調質(grain refinement)用に 慣用されている。このセラミック相は金属性マトリックスとミクロ組織的に適合 して合金の機械的性質に著しい改良を与えることが知られており、これはSiC や炭素繊維による強化では達成できそうにない。二硼化物セラミック相は液体金 属と激しく反応して脆化相の中間層を生成することはない。空気中においてアル ミニウム合金の溶融及び鋳造法を用いる二硼化物分散技術は、粒子調質した母合 金の製作及び型形成用の微細粒子径のAl−合金鋳物製作用にアルミニウム産業 界において最近50年間にわたって立派に立証された技術である。この粒子調質 反応は次のとおりである。 4Al+TiB2=Al3Ti+AlB2 (1) この反応は金属相中でのTiB2と関連するセラミック相の分散の重要な様相 を示している。粒子調質反応の結果として生成するAlB2及び/又は混合二硼 化物(Λl,Ti)B2の両方共TiB2と親近構造であり、したがってヒューム ・ロザリー規則(Hume−Rothery rule)によって拡大された溶 解度を示す。 この固溶硼化物相は、TiB2と同じ結晶構造をもち、界面的ならびに結晶学 的に合金マトリックスと一致する。これが、粒界の結合と錯体硼化物相による転 位(高温スーパーアロイに普通にみられる特徴)によって、粒子調質されたAl 合金が良好な疲労特性を示す一つの理由である。マトリックス中における錯体硼 化物の好適な界面反応と低溶解度のおかげで、Λl−TiB2コンポジットはミ クロ組織的にはるかにすぐれたコンポジット材料となり、良好な高・低温疲労特 性と破壊特性を示すことが可能である。TiB2を有するAl・合金金属・マト リックス コンポジットの鋳造物としての機械的性質及び焼きなましたものの機 械的性質の若干についてイギリス特許GB−A−2,259,308で検討され ている。炭化チタンはTiB2と同様に機械的性質を向上させるが、その程度は 少ない。 最近、ロンドン スカンジナビア メタラジカル(London Scand inavian Metallargical:LSM)社は、イギリス特許G B−A−2,257,985、GB−A−2,259,308及びGB−A−2 ,259,309に報告されたin situ(その場で又は同時にの意:以後 insituで表わす)セラミック分散技術を開発した。この方法はK2TiF6 とKBF4の融剤混合物を溶融アルミニウムと接触させて使用する。アルミニウ ム合金中でTiB2を分散させる化学的方法は粒子調質反応の拡張である。 K2TiF6+2KBF4+(3+1/3)Al=TiB2+(3+1/3) K3AlF6+2AlF3 (2) この in situ技術は反応性鋳造技術とも呼ばれ、セラミック相(Ti B2)が化学反応(2)によって生成し、続いて溶融合金中に分散する。 前記特許公報は、この方法により最高9容積%のセラミック相を有するアルミ ニウム/TiB2鋳造製品を得ることができたと指摘している(GB−A−2, 257,985参照)。今までのところ、世界中の他のいずれの研究グループに よっても二硼化チタン相分散の体積含有率がこれよりも向上したと云う報告はな されていない。 本発明により、実質的に酸素と水分を含まない不活性雰囲気中で溶融アルミニ ウムと溶融融剤とを結合させる工程からなる、セラミック強化アルミニウム合金 金属マトリックス コンポジットの製造方法が提供される。 本発明は、セラミック相を液体アルミニウム又はアルミニウム合金中で分散さ せる工程、該セラミック相を外生的に融剤と混合して該混合物を分散用のアルミ ニウム合金相と一緒に溶融する工程か、あるいは不活性雰囲気中で反応(2)に よりinsitu生成するセラミック相を混合する工程とからなる、セラミック 強化金属・マトリックス コンポジットの製造方法を提供できる。両方法ともA l−合金中のTiB2の体積含有率がLSM法よりも高いものが得られる。 好ましい実施態様では、液体アルミニウム合金中のTiB2セラミック相の分 散は溶融融剤、特に弗化物を使用する技術によって実現される(融剤としては酸 化物/弗化物混合物もあり、このものはセラミック相を溶融アルミニウム合金中 に分散させるのに使用できる。)。これはTiB2セラミック微粒子のAl−合 金中でのexsitu(その場所外の意:以後exsituと記す。)分散と呼 ばれる。この技術ではセラミック相は適当な融剤粉末と混合され、次に不活性雰 囲気中で分散のための合金相と一緒に溶融される。溶融溶剤は、融剤、金属及び セラミック相間の界面エネルギーを低下させることによって溶融アルミニウム中 のセラミック相の分散を促進させる。exsitu技術では、Al−TiB2コ ンポジットの鋳造物としての性質は溶融融剤の助けを借りて浴中に供給される液 体の性質によって定まる。セラミック相(TiB2)の体積%は、溶融前の出発 融剤中のTiB2の重量%に比例して連動する。したがってこの技術はAl−合 金中で非常に高い体積%(>30%)のセラミックの分散を得ることができる。 溶融弗化物と溶融アルミニウムの処理に基いた前記exsitu技術に加えて 、本発明者らはセラミック相のinsitu生成のためのユニークな方法をさら に開発した。この方法もセラミック相分散を著しく改善することができる。この 新しいinsitu技術は、選択した融剤の化学組成、合金及び融剤の組成の巧 妙な取扱いによりつくられたミクロ組織、生成したセラミック相の粒子径と粒度 分布及び採用した操作技術などの点でLSMにて開発された反応性鋳造法とは根 本的に異なる。上記の技術は、一定範囲の体積含有率のセラミック相分散を有す る金属・マトリックス コンポジット インゴットの鋳造と成形のための新らし い方法を提供する。セラミック相の粒子径ならびに粒度分布の両方とも、ここで 議論したinsitu技術によって制御もできる。均質構造のセラミック相の最 高体積%は、Al・合金マトリックス中のTiB2のそれが60%にも及び高い 値となり得るであろう。 アルミニウム合金鋳造工場で従来知られていなかった多数の新らしい融剤組成 物がTiB2の分散を向上させるために設計された。全く新らしい種類のAl− TiB2をベースとする材料が、鋳造物の性質を融剤の組成、合金相の化学的性 質及び溶融雰囲気によって決定するinsitu技術から誘導される。 溶融融剤を使用するこの新らしいinsitu分散技術では、合金相中又は溶 融融剤のいずれかに溶解した金属カルシウム又は金属マグネシウムがMBF4及 びM2TiF6を同時に還元してTiB2、KF、MgF2及びCaF2を生成させ る。ここでMはLi、Na、Kなどを表わす。融剤にはセラミック相分散用の成 分としてMg及びCaを加えることもできる。融剤はまたTiの代りにZrイ オンを混入するよう変更することもできる。TiとZrの両イオンが融剤相中に 同時に存在することもできる。不活性雰囲気中又は部分的還元雰囲気中での化学 反応は: 2KBF4+K2TiF6+5(Ca)溶解=5(CaF2)+4KF+TiB2 3 2KBF4+K2TiF6+5(Mg)溶解=5(MgF2)+4KF+TiB2 4 で示され、これらの反応は、LSM法で提案されているような空気中におけるK2 TiF6及びKBF4の金属アルミニウムでの還元反応よりも熱力学的に有利で ある。空気中及び酸素富化雰囲気中での弗化物のアルミニウム テルミット還元 はこの原理はアルミニウム合金の粒子調質に最近の40〜50年間使用されてい るものだから新規な発想ではない。LSM法はアルミニウム合金の粒子調質反応 の拡張である。Al、Mg及びCa金属テルミット還元法に対する、好適で大き な熱力学的推進力は、TiB2をつくるためには、反応性金属が酸化せずに還元 反応3及び4に十分にかわるように部分的還元雰囲気又は不活性雰囲気を確実に 実現することによってのみ達成できる。還元反応に対する好都合な熱力学的推進 力により、ギッブス自由エネルギーならびに表面エネルギーに強く依存する核生 成工程を制御して、分散状態にあるTiB2結晶の粒径を制御することができる 。操作雰囲気として空気を用いると、アルミニウム合金中に分散したTiB2の 酸化を促進し、かつ、セラミック相と金属相間の界面エネルギーを不都合に変化 させて分散工程に悪影響を与える。 リチウム又はマグネシウムをベースとした弗化物又はハロゲン化物融剤を使用 する実施態様においては、これは還元することができてそれぞれAl−Li及び Al−Mgをベースとした合金を生成する。 溶融アルミニウム中でのセラミック相分散のためのexsitu及びinsi tu法の両者とも、自動車、航空機ならびにトライボロジー用途用の種々のエン ジニアリング材料を製作するのに容易に適用することができる。 不活性雰囲気は実質的に窒素フリーであるのが好ましい。この雰囲気は、合計 で1.0体積%未満の酸素と水分を含んでいてよい。しかし好ましい実施態様で は、雰囲気中の酸素と水分の合計は0.1体積%未満である。 exsitu技術に関しては、この方法は以下の工程からなる。すなわち、不 活性雰囲気内にある液体アルミニウム又はアルミニウム合金中でセラミック相を 分散させる工程、セラミック相を融剤(融剤は酸素分圧を下げる働らきをする) と混合する工程、及び該混合物を分散のためのアルミニウム又はアルミニウム合 金相と一緒に溶融する工程。セラミック相は二硼化チタンを含んでいてもよい。 insitu技術に関しては、この方法は、チタン又は硼素をもつ溶融弗化物 を溶融アルミニウム又はアルミニウム合金あるいはこの合金中又は融剤中に存在 するMgやCaなどの反応性金属で還元して二硼化チタンを分散させる工程から なる。 融剤は金属カルシウム又は金属マグネシウムの粉末還元剤を含むことが好まし い。融剤は弗化物融剤でもよいが、アルミナの形の酸素に対して溶解性がなけれ ばならない。 好都合なことに融剤は、M2TiF6及びMBF4又は他のアルカリ金属又はア ルカリ土類金属又は弗化物のinsitu反応後に生成した氷晶石でも、あるい はアルミニウムを溶融中に融剤自体として加えられた氷晶石のどちらでもよい。 この方法はセラミック結晶ファセット剤として合金相中にZrを含み、そしてH fかCrのどちらかによってZrを置換することが好ましい。融剤は溶解したC a又は溶解したMg又はその両方により還元できる。アルミニウム合金はアルゴ ンガス、又はアルゴン/水素 混合ガス雰囲気中で溶融するのが好ましい。 本発明の別の態様によれば、合金中の二硼化チタンセラミック相分散がマイク ロメターからナノメーターの大きさの粒径からなる、セラミック強化アルミニウ ム合金金属マトリックス コンポジットが提供される。 好ましい実施態様においては、セラミック相の容積%は0%〜60%の間にあ り、二硼化チタンの粒子径は実質的に5μm未満、特に好ましくは実質上2μm 未満であり、かつ、マトリックス中で実質的に均一に分布している。 本発明のさらに別の態様によれば、M2TiF6及びMBF4(MはLi、Na 又はKを表わす)の混合物からなる、セラミック強化アルミニウム合金金属マト リックス コンポジット生成用の融剤が提供される。この融剤はリチューム及 び/又はマグネシウムをベースとしたものであってもよく、及び/又はM′F2 (M′は2価の金属イオン)を含んでいてもよい。 本発明のさらに別の態様によれば、炉内に配置された密封反応室と、この反応 室内に実質上酸素と水分を含まない不活性雰囲気をつくる手段とからなる、セラ ミック強化アルミニウム合金金属マトリックス コンポジットを製造する装置が 提供される。この不活性雰囲気をつくる手段は、実質的に酸素及び水分を含まな い不活性ガスの供給を含むことが好ましい。反応室は好ましくは銅の反応器を含 む。 以下に本発明の実施態様を添付図面を参照して単に実施例により説明する。 図1は、望ましい電気−融剤溶融法及び再溶融法に典型的に使用される水冷式 銅るつぼの一例を示す断面図であり、図2a〜2cは、アルミニウム合金中に分 散した二硼化チタンの鋳造物としてのミクロ組織写真である。 なお本明細書に記載した構成成分の値や範囲は、当業者にはその開示から明白 であるように、得ようとした効果を失わずに変更及び/又は拡張できる。 ここに記載の金属・マトリックス コンポジット鋳造物のミクロ組織は本明細 書の開示から明らかになるように、任意の適当タイプの雰囲気制御溶融法(酸素 、窒素および水分を含まない雰囲気)を使用することによってつくることができ る。これは、例えば、溶融容器内の酸素、窒素及び水分を比較的低く維持するた めのアルゴン又はアルゴン/H2ガスパージを有する、制御された雰囲気のガス 焚き炉又は誘導電気炉内で実施できる。本研究においては誘導加熱法及び抵抗加 熱法の両方とも採用した。図2a及び2bはそれぞれAl−Li及びAl−Mg −Zrマトリックスに対するものであり、図2cは、Al−4.5重量%Cu中 で外生的に分散したTiB2微粒子のミクロ組織を示す。 ある範囲の溶融アルミニウム合金中の二硼化チタン粒子の分散は以下の工程を 採用することにより達成された。この手順は、溶融アルミニウム合金の20グラ ム及び1キログラムバッチの両方に対して行った。 a)数種類のアルミニウム合金、すなわち市販1xxxシリーズ、Al−Li( 0〜5重量%)、Al−Cu(0〜5重量%)、Al−Mg(0〜8重量%)及 びAl−Si(0〜10重量%)を乾燥アルゴン又はアルゴン−4%H2混合ガ スの雰囲気中で溶融した。液体金属操作温度は、液体の温度及び特定合金組成の 既知の鋳造温度から予め定められる700℃〜1000℃とした。 b)特定組成の合金を溶融しながら二硼化チタン粉末を弗化物融剤、すなわち氷 晶石(3MF、AlF3、MはLi、Na及びKを表わす)とともに混合した。 セラミック粉末と混合した融剤はexsitu分散法用のAl−合金と一緒に溶 融した。合金が完全に溶融した後、セラミック粉末の一定量を融剤とともに追加 添加した。この方法は分散相の体積含有率を制御する手段を支える。 insitu技術では、溶融室中にAr又はAr−4%H2ガス混合物などの 不活性ガスを流通させる低酸素雰囲気中で、各種のアルミニウム合金と融剤組成 物を溶融することによって融剤の助けを借りたセラミック相の分散を行った。一 方、図1に示す装置を金属・マトリックス インゴットの連続生産用に使用でき る。るつぼは水冷した銅製のものが好ましい。 c)合金相の融点(合金及び融剤組成物によって異なるがおよそ700℃〜10 00℃)を超える温度で一定時間均質化の後、セラミック相が分散した液体金属 を鋳型に注入するか、又は徐冷するため、溶融ポット中に放置するかして冷却し た。 鋳造後、分散相の体積含有率と得られた金属・マトリックス コンポジットの 性質を確認するためインゴットを試験した。上記方法においては、望ましいセラ ミック相は好ましくはアルミナに対して限定溶解度を有する適当な融剤、好まし くは弗化物融剤、と混合される。これによりアルミナと液体金属間の界面張力が 変り、セラミック相と金属間の界面張力を最高の分散状態を達成するためエネル ギー的により好都合なものとする(すなわちSAl/セラミック<SAlアルミナ)。この界面 張力条件が、操作のパラメータと使用する装置に制約を加える。第1のそして最 も重要な変数は、不滲透アルミナ層の安定性に対する酸素量を定める、融剤、セ ラミック粉末及び金属の総合的な酸素含有量である。アルミナの不滲透層がある とセラミック相の分散を妨害する。溶融環境中に水蒸気やCO2などの不純物が 存在すると、酸素によるセラミック粉末の表面汚染が増加し、液体金属中でのセ ラミック相の分散が悪くなる。この理由から、使用する融剤と本操作を行う雰囲 気は、実質的に水分や酸素含有不純物を含まないものでなければならない。 これら水分や酸素含有不純物は融剤浴中の酸素ポテンシャルを付帯的に規定し、 かつ、アルミナの不滲透層生成に影響を及ぼす。 望ましい融剤とは、以下の目的にかない、そのためセラミック相の分散を助け る溶融相として定義される。 i)好ましくは、それはアルミナとして存在する酸素が融剤−溶融金属界面から 容易に除去できるようにアルミナに対して溶解性を示すものでなければならない 。 ii)それはまた溶融アルミニウムやアルミニウム合金の表面エネルギーを減少 させる元素のレザーバーとして働く相である。この相はさらに、新規な合金をつ くるためのAl−合金中に容易に溶解できるLi、Mg、Zrなどの反応性元素 のレザーバーとしても作用する。 iii)それは、式2〜4で定義された、金属と融剤間の還元反応の結果として 生成したセラミック相の核生成工程を制御する相である。 insitu法用の融剤はM2TiF6とMBF4の混合物である。ここではM はLi、Na及びKである。この混合物にM′F2化合物も加えられる。ナノメ ータ範囲(50〜100nm)のTiB2の分散にはリチウムをベースとした融 剤が好ましい。100nmよりも大きいTiB2粒子用には、融剤はM′F2とK2 TiF6−KBF4混合物の組合せ物がよいであろう。例えばAl−Li、Al −Mg、Al−Li−Mgなどの新規な合金をつくるには、融剤はリチウムとマ グネシウムとから成らねばならない。 溶融雰囲気は、アルミナの生成を最小にするために酸素及び水分を含んではな らない。また、不活性雰囲気中の残留窒素濃度は、重要な成分が窒化物として損 失するリスクを減らすために制御することが好ましい。全酸素に対する好ましい 最高許容限界は、ガス相中で0.1体積%未満でなければならない。この水準を 超えると、セラミック相分散の工程はアルミナの不滲透層の存在により容易に妨 げられる。 水分含量が5体積%未満、かつ、酸素含量が5体積%未満で改善された結果が 得られることがわかった。酸素と水分の含量が両方とも1容積%未満であると非 常に良好な結果を得ることができる。しかしながら、insitu法に対しては 、酸素と水分の合計量が0.1容積%未満、exsitu法に対しては酸素と水 分の合計量が0.5容積%未満で理想的な結果が得られる。 操作の雰囲気を実質的に窒素フリーとすることにより、結果をさらに改善する ことができる。 アルミナと反応してオキシ弗化物錯体を生成する融剤を使用することによりセ ラミック相とアルミニウム金属との間の湿潤性を向上させることもできる。溶融 氷晶石はそのような融剤のうちの1つであり、不活性雰囲気溶融条件において融 剤−金属の界面から残留量のアルミナを溶解することができ、そして外生的なT iB2微粒子の分散を促進させる。それ故融剤として氷晶石を添加するとTiB2 の分散がよくなる。含水又は部分的含水のKBF4及びK2TiF6の存在下での TiB2の分散は、反応(2)にみられるように、これら2種の弗化物も相当量 の水分を吸収して融剤・金属界面にアルミナの生成を促進させるのであまり奨め られるものではないことがわかった。過剰の酸素の存在下では弗化物融剤はアル ミナで急速に飽和し、それでこの混合物は界面にさらに生成したアルミナも除去 できなくなる。溶融氷晶石のアルミナ溶解能力のこの減少は、従来法では操作雰 囲気として空気を使用するため限定されている。弗化物融剤・金属反応の結果生 成したTiB2分散は融剤−金属界面に捕えられたままである。したがって、ア ルミナ飽和の氷晶石の存在はinsitu生成TiB2の分散を抑制する。アル ミナや関連弗化物融剤による氷晶石の錯イオン生成傾向は、アルミナとアルミニ ウム金属との間の界面エネルギーを急速に変化させる。分散のために使用する弗 化物融剤の水分と酸素関連不純物の合計濃度は、常に融剤中の酸素の飽和溶解度 (溶解アルミナとして)未満でなければならない。この限界溶解度が特定タイプ の弗化物融剤に対して低い場合は、融剤からアルミナの沈殿が起り、金属と溶融 融剤との間の界面障壁となる。この沈殿したアルミナの薄層は溶融アルミニウム 合金中でのTiB2の移動と分散に悪影響を及ぼす。 insitu及びexsitu技術によるTiB2分散に使用する融剤組成物 はユニークなものである。いずれの場合も融剤組成物が分散工程にとって有益で あることがわかった。特に、アルミニウム合金中のTiB2分散を手助けするた めには融剤中にLi、Mg及びZrのイオンが存在することが好ましい。融剤の 重要な構成要素として合金相の表面エネルギー変更元素(例えばLi、Mg、P b、Bi、Zr及びFe)が混入される。以下のタイプの融剤の一つをTiB2 の分散用に使用できるであろう。 ・ハロゲン化物(弗化物+塩化物)融剤 ・酸化物融剤 ・酸化物とハロゲン化物の混合物融剤 操作の雰囲は上に規定したように乾燥かつ不活性でなければならない。ハロゲ ン化物及び酸化物を有する融剤組成物は、弗化物の場合にみられたように、溶融 アルミニウム及び合金の表面エネルギーを下げると云う点で同様の結果を生ずる 。この合金相の表面エネルギーの低下が分散工程を助けるのに融剤の最も重要な 役割の一つである。この原理はexsitu及びinsitu法の両方に適用で きる。溶融アルミニウム及びその合金の表面エネルギーの低下がinsitu法 によるTiB2相の核生成条件を有利にする。これは溶融室の酸素ポテンシャル が制御されない場合は別の方法では達成不可能である。 exsitu法による鋳造コンポジットのミクロ組織は、金属相の表面エネル ギーを低下させる融剤組成物を使用することにより変えることができる。この点 でリチウム及びマグネシウムをベースとした融剤の使用はexsitu TiB2 の分散を助ける。融剤中にZrが存在すると、insitu法でAl−8%M g−1%Zr合金で起きると同様の効果を生むことが期待される。 Al−合金によるセラミック相の湿潤性はまたるつぼの材料の選択基準を定め る。溶融アルミニウム合金及び融剤を容れる材料としてのグラファイトは、選択 的に金属の表面上に分散させる場合にのみ適している。これは、溶融氷晶石の存 在下ではSAl/TiB2/cの値がSAl/TiB2の値よりも低いことによって起る。したが ってセラミック分散は、すべての温度で合金インゴットの表面でのみ行われた。 グラファイトは酸素を捕まえるものでありアルミナの生成を抑制すると云う事実 にも拘らず、グラファイトるつぼ内部に保持されている金属の全体中に広範にわ たる分散を与えるような弗化物融剤は今までのところ何も発見されていない。界 面でCO2又はCOガスを生成して酸素分圧を減少させる融剤の役割は熱力学的 考察から容易にわかる。界面酸素の除去はそれ故界面張力に影響を及ぼし、金 属−るつぼの界面でのTiB2の表面分散に資するように界面張力が低下される 。何故なら、SAl/TiB2/CがSAl/TiB2よりも小さいからである。 融剤としての氷晶石とともにるつぼの材料としてアルミナを使用することは有 利である。これは上述した界面エネルギーの原理に基づいている。るつぼ材料と してアルミナを使用することにより溶融アルミニウム中のセラミック分散に著し い向上が観測されている。その理由は、Sアルミナ/ 融剤/TiB2間の界面張力が人為的 に高められることにより界面張力、Sアルミナ/ 氷晶石が、るつぼの壁−融剤境界領 域で優勢であるからである。Sアルミナ/ 氷晶石とSアルミナ/ 融剤/TiB2との間の表面エ ネルギー差のこの上昇は、るつぼの壁近くのアルミナ/融剤/TiB2境界から バルク金属中のエネルギー的により好適なAl/TiB2境界へのTiB2の表面 誘導移動を増進させる。 セラミック相と金属相間の界面エネルギーについての発明者らの知識は、界面 結合の理論を援用する第1の原理から発展したものである。溶融アルミニウムの 表面エネルギーを減少させるすべての合金化元素は分散工程を助ける。この要因 によりアルミニウム合金マトリックス中に分散した相が一定種類のミクロ組織と なるような合金を設計することができるようになる。Li、Mg、Zr、Bi、 Pb、Fe及びTiなどの合金化元素が存在するとAl−合金中においてTiB2 の高分散が実現する。しかしながら、銅とシリコンはLi、Mg、Zrに較べ て、液体アルミニウムの表面張力をあまり変化させない。合金化元素の存在はま た高い値の特定モジュラスを達成するためのマトリックス材料の選択に関与する 。強い化合物生成傾向を示す合金化元素は一般にアルミニウム合金中でセラミッ ク相の湿潤性と分散をよくする。この理由により、発明者らは低比重マトリック ス材料として特にAl−Mg及びAl−Li合金を選択した。合金化元素の存在 による界面エネルギーの減少に基づいて、Al−Cu合金マトリックスがAl− Mg系よりも効果の少ないマトリックス材料であることも証明された。この点で 、液体アルミニウム中にLiが存在すると、TiB2の高体積分散の達成により 効果があがることがわかった。表面エネルギー変更元素を融剤か又は金属のどち らかを経由して溶融工程中に混入することができる。Zrの存在は形態学的変化 を助け、反応1〜4によりinsitu生成したTiB2微粒子の粗粒化が核生 成後継続する。Cr、Hf及び他の硼化物形成物も同様な効果を生むことが期待 される。Al−合金中に合金化元素としてZrが存在するとTiB2結晶のファ セット化(facetting)傾向がみられる。 二硼化チタン(TiB2)の分散はまた、KBF4、LiBF4、K2TiF6及 びLi2TiF6及びKF、MgF2、LiF及びそれらの変体をベースとする、 弗化物融剤の混合物を使用して実現された。溶融弗化物融剤中(又は金属相中及 び又は両相中)にリチウムが存在すると、溶融アルミニウム合金中で非常に微細 なTiB2セラミック相のおびただしい核生成を実現することができる。一例を 図2aに示す。さらに、表面エネルギーの知識をベースとしたこの発想が、溶融 アルミニウム中に元素の形では容易には溶解できないリチウム、マグネシウム及 びカルシウムなどの合金化元素を溶解させると云う進展をもたらしたのである。 融剤の助けを借りたアルミニウム テルミット還元法もまた、Al−Li、Al −Mg、Al−Li−Mgの合金及びそれらのコンポジットをつくるための新規 な方法である。 2種類の型の融剤混合物、すなわち1つは(K2TiF6−KBF4)が97重 量%、LiFが3重量%の混合物、他は{K2TiF6,KBF40.8−{Li2 TiF6−LiBF40.2の混合物、を使用する融剤の助けを借りた合金化元素 溶解技術(発明者らのセラミック分散実験から発見された)により、市販の純溶 融アルミニウム中のLi含量がそれぞれ0.45重量%、4.5重量%であるも のを得た。インゴット表面から融剤を完全に洗い流した後固化インゴットについ て化学分析を行った。市販アルミニウム合金中にLiとMgを高濃度で溶解でき るこの方法は、特に構造用の一定範囲の合金組成物の製造にとって魅力的である 。弗化物融剤の存在は、欠陥のないアルミニウム−リチウム合金鋳造物製造時に 大きな問題として知られているAl−Li合金の水素ガスのピックアップを特に 減少させる。 好ましい弗化物−融剤セラミック分散法では、LiやMgなどの表面活性合金 化元素は、insitu生成TiB2セラミック相の形態変更にも寄与する。発 明者らの結果では、合金相中にMgやZrがあるとAl−合金中で均質に分散す るファセット化TiB2結晶を成長させることがわかっている。銅の存在の場合 とは対照的にMgの存在下では粒界におけるTiB2の分離が極小となる。図2 aは、insitu分散技術を使用してAl−4.5重量%Li合金中に分散し たTiB2のミクロ組織写真を示す。融剤組成は、80重量%の化学量論混合物 (K2TiF6+KBF4)及び20重量%の化学量論混合物(Li2TiF6−L iBF4)であった。マイクロメーター以下の大きさのTiB2クラスタが生成し 、インゴット全体中に分散している。これらのクラスタでは、TiB2微粒子の 粒径は50〜100nmの範囲にあるようである。図2aのマイクロメータを示 す棒線をTiB2結晶子クラスタの粒径を比較するのに参照されたい。図2bはi nsitu分散技術を使用したAl−Mg(8重量%)−Zr(1重量%)合金 中のファセット形状TiB2の広範囲にわたる分散を示す。使用した融剤は10 0重量%のK2TiF6−KBF4であった。図2cは、exsitu技術による Al−4.5重量%Cu合金中におけるTiB2の分散の一例である。TiB2の 微粒子は外生的にナトリウム氷晶石融剤中に分散された。 一方、リチウムの存在はTiB2の核生成増進させ、これによりマイクロメー ター以下のサイズのTiB2(50nm<f<500nm)微粒子が生成する。 Al−合金金属−マトリックス コンポジットの設計に当っては、形態学的技術 用に合金相中にリチウムとマグネシウムが存在することによる組合せ効果の利用 が強く推奨される。これは弗化リチウム及び弗化マグネシウム融剤を弗化カリ融 剤と混合することによりもたらされる。insitu法により生成した二硼化チ タン微粒子の粒径と粒径分布はまた、弗化硼素酸塩(MBF4)、弗化チタン酸 塩(M2TiF6)及び弗化物(M′Fx)の相対比によって変化する。ここでM は弗化物錯体中のLi、Na及びKの元素を示し、M′はMg、Ca、K、Li 及びNaのイオンを示す。 上記の原理はアルミニウム及びAl−合金マトリックスの両方中での広範なセ ラミック相分散に採用して使用できる。金属性マトリックス中でのセラミック分 散の高体積含有率を達成するには以下の方法が開発された。 a)溶融金属中のセラミック相の分散は適当な弗化物融剤を使用して実現した 。これは上記に概略述べた界面張力条件を満足させる氷晶石又は他の弗化物又は 弗化物でない融剤であってもよい。マトリックス合金の溶融は誘導コイル又はガ ス焚き炉又はマッフル炉を用いて行うことができる。あるいは図1に示す電束再 溶融装置中で行うことができる。酸素分圧と界面張力を維持するための条件が満 たされている限り、アルミニウムの溶解後又は融解中のいずれの場合も適当な融 剤を使用して分散を開始させることができる。セラミック相を分散させた後、セ ラミックと金属の二相混合物を例えば冷却鋳造、重力ダイキャスティング(gr avity die casting)又は砂型鋳造などの任意の商業用鋳造法 を採用して適当な形状寸法に鋳造することができる。分散はまた、溶融したK2 TiF6及びKBF4によるか又は核生成促進相として外生のTiB2を有する上 記の別の弗化物融剤混合物によって実現することができる。 b)中空のアルミニウム電極を使用する直接電弧溶融法が水冷式銅るつぼ中に 金属と融剤仕込むのに採用できる。一例を図1に示す。この方法により直接固化 したミクロ組織の恩恵を利用することができる。図1を参照すると、この装置は 、この場合はアルミニウム又はアルミニウム合金の中空電極と水冷式銅プレート 5に接続された電源1を含んでいる。水冷銅るつぼ3はグラファイトプレート4 上に載っており、このプレート4は銅プレート5の上に載っている。アルゴンガ スを導入管6によって、るつぼ3中に供給する。固化したインゴット7を容れて いる銅るつぼ中に金属の液体セラミック混合物8と溶融融剤9を供給する。るつ ぼ3は、るつぼ内の雰囲気が実質的に酸素フリー、水分フリー及び好ましくは窒 素フリーである雰囲気を雰囲気源6によりつくることができるように設計される 。したがって、本装置は実質的に酸素、水分及び好ましくは窒素を含まない反応 雰囲気をつくる手段を含んでいると云うことができる。 この提案された方法は、高温合金の加工用に開発された電気・スラグ精錬法又 は再溶融法に類似している。融剤及びセラミック相を中空のアルミニウム合金消 耗電極を通して溶融金属中に注入できる。金属相中へのセラミック注入により粒 子の均一分布が確実になる。この方法の主要な2つの利点は、i)セラミックの 体積含有率の制御と、ii)直接固化したミクロ組織である。発明者らはまた、 この技術を用いることにより最終製品のコストにひけをとらずに溶射形成法より も高い量産速度を得ることを期待している。 c)アルミニウム合金中でのセラミック相のinsituならびにexsit u分散は、溶融状態にある氷晶石・弗化カルシウム/Ca又はMg金属/TiB2 混合物によって付随的に達成することができる。別法として、高い体積含有率 の分散を実現するために、Al−Mgリッチ又はAl−Caリッチ又はAl−L iの合金相を上記指定の融剤組成物(KBF4/K2TiF6と混合した氷晶石、 又は、CaF2/氷晶石の他の変体、及びカリウムリチウムマグネシウム弗化硼 素酸塩/チタン酸塩融剤)及びTiB2と一緒に溶融することができる。 図1に示す装置は種々のアルミニウム合金金属−マトリックス コンポジット をつくるのに柔軟性がある。この装置では溶融時の雰囲気を異なる純度の不活性 ガスを流通させることにより制御できる。アルミニウム消耗電極(中空であって も中空でなくてもよい)とベースの金属銅(水冷)電極との間の電弧放電により 融剤を溶融することができる。 アーク放電は溶融したアルミニウムと融剤を生成させる。溶融条件が安定した ら、すなわち充分な量の金属と融剤が物理的に接触したなら、中空電極を通して 融剤を供給してもよい。マトリックス中でTiB2の均一な容積%を実現するた め、固体又は溶融状態の融剤を定期的に追加供給できる。ベースプレートに接触 しているインゴットの底部から熱を取ることによってマトリックスは直ちに固化 する。アーク放電期後、電束精錬法の場合と同様に材料は抵抗式加熱下で溶融す る。セラミック相の体積含有率は、二硼化チタン(exsitu法の場合、in situ法の場合はチタン及び硼素)の量を制御することにより操作の変更又は 鋳造インゴットの長さに沿って変えることができる。 TiB2分散の粒径がexsitu法では融剤経由で加えられる微粒子の大き さによって変化すると云うことは等業者には明らかであろう。一方、insit u法ではTiB2分散の粒径は合金と融剤の取扱い方法によって定まる。両方法 とも実質的にTiB2の均一な分布が達成される。 好ましい方法の利点は次のようである。 a)アルミニウム合金マトリックス中、すなわち1xxx合金、(Al−4重 量%Cu)、(Al−Mg)及びAl−Li、中でのTiB2の分散が実現でき る。実現最大体積%は今までのところ50%を超えている。 b)insitu及びexsitu技術の両方とも金属−マトリックス コン ポジットの製作に同時に実施できる。中空アルミニウム合金電極を使用するその ような電束再溶融技術は、セラミック相の形態と溶融アルミニウム合金中におけ る相容積を制御するメカニズムを有する金属−マトリックス コンポジットのイ ンゴットを連続的に生産するための新らしい技術を生むであろう。 c)設計計画したミクロ組織を有する一定範囲のAl−TiB2をつくるのに 従来法のAl−合金溶融鋳造法及び鋳造装置を使用できる。 上記の融剤と、溶融した上記のアルミニウム又はアルミニウム合金とを処理す ることにより得られたMmc(金属マトリックス コンポジット)製品は以下の 特徴をもつ。 ・マトリックス合金中のTiB2分散の粒径はマイクロメーターからナノメータ ーの大きさの範囲。 ・セラミック相の容積%が0〜60%の範囲。 ・広い粒径分布と狭い粒径分布の両方のTiB2で強化した相を有する鋳造物構 造。 ・exsitu法から誘導された生成物はinsitu法よりも粗いミクロ組織 を持つことができる。TiB2微粒子の最小粒径は5μm未満である。 ・Al−Mg−Zr合金を使用するinsitu法から誘導された生成物は、マ トリックス中に均質に分布した均一粒径のTiB2(<2μm)を与えることが できる。 ・Li含有融剤から誘導された生成物はアルミニウム合金マトリックス中で超微 細なTiB2のミクロ組織(<100nm)を与えることができる。 ・Al−Li、Al−Mg及びAl−Li−Mg合金のような生成物を、溶融ア ルミニウムとLi、Mg、及びLi−Mg含有融剤組成物との処理によって製造 できる。 上記の方法によってつくられた二硼化チタンの用途の若干について下記する。 a)粒子調質母合金ロッド中でTiB2の容積%が5%未満の小さい体積含有 率のロッドはDC鋳造に直接使用できる。溶融アルミニウム浴中で高比重のTi B2の沈殿を抑制するために粒子調質器中でTiB2の粒径を制御することができ 、これにより粒子調質作用が早期に減衰するのを減少させる。アルミニウム合 金中に超微細なTiB2が存在すると、鋳造に先立って保持炉に粒子調質剤を加 える必要がなくなる。 b)種々異なるAl・合金mmcを自動車ならびに航空機用途に上記の鋳造技 術によって製造することができる。これらは民間航空機の着陸装置や胴体の構造 用の軽い合金金属・マトリックス コンポジット(例えばAl−Li/TiB2 )となるであろう。効率的な転位相互作用を利用するためにTiB2の粒径を1 00nm未満に減少できるよう。サイズの小さなTiB2微粒子はまた、TiB2 相の体積含有率の上限値をも定める。これはできるだけ低い2〜3容積%となろ う。セラミック相の体積含有率がそのように低いところでは、効率的な転位相互 作用や干渉性マトリックス・セラミック相境界などの顕微鏡的を特徴により特定 の強度とモジュラスが高い値に維持されるであろう。また、Al・合金マトリッ クス中におけるTiB2微粒子の体積含有率の上限が小さいと複雑な形状形成工 程が好都合になるであろう。 c)自動車用としてシリンダーライナ、バルブ及びブレーキディスクを慣用鋳 造装置を用いて鋳造することができる。すべてのこれら部品は高い熱伝導度、高 温強度ならびに破壊靭性の組合せた性質を必要とする。Al/TiB2コンポジ ットにおける熱的なミスマッチ(不均衡)は、AlとTiB2の間の膨張係数の 差がAl−SiCのそれよりも小さいため、Al/SiCにおけるミスマッチよ りも著しく少ない。 d)金属を溶融合金中の水素溶解度を減少させるための弗化物融剤で処理する この技術によってアルミニウム−リチウム合金、Al−Mg合金及びAl−Li −Mg合金を生成させることができる。 e)高体積含有率のTiB2を含む金属・マトリックス コンポジットは、送 電ケーブル用にも使用できる。TiB2はアルミナ又はSiCのどちらよりも比 較的高い電気伝導度を有する。 f)TiB2含有の高い金属−マトリックス コンポジットはまたトライボロ ジー分野でも使用される。例えば高速の海水排水ポンプの部品を上述のmmcを 用いて製造できる。これらの材料はまた高速ないし中速の汽車川のブレーキパッ ドとして使用することもできる。 イギリス特許、出願番号第9506640、3により本出願の優先権を請求す る該イギリス特許の開示及びこの出願に付随するアブストラクトの開示を参考文 献として本明細書に編入する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 キャノン、スチュアート マーティン イギリス国 ユービー8 3ピーエイチ ミドルセックス アクスブリッジ キング ストン レーン (番地なし) ディパー トメント オブ マテリアルズ テクノロ ジー ブルーネル ユニヴァーシティ (72)発明者 ドムタキス、クリス イギリス国 ユービー8 3ピーエイチ ミドルセックス アクスブリッジ キング ストン レーン (番地なし) ディパー トメント オブ マテリアルズ テクノロ ジー ブルーネル ユニヴァーシティ (72)発明者 トゥロス、エリザベス イギリス国 ユービー8 3ピーエイチ ミドルセックス アクスブリッジ キング ストン レーン (番地なし) ディパー トメント オブ マテリアルズ テクノロ ジー ブルーネル ユニヴァーシティ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.実質的に酸素と水分を含まない不活性雰囲気中で、溶融アルミニウムと溶融 融剤とを結合させる工程からなることを特徴とする、セラミック強化アルミニウ ム合金金属マトリックス コンポジットの製造方法。 2.前記不活性雰囲気が実質的に窒素を含まない、請求項1に記載の方法。 3.前記雰囲気中の酸素と水分の合計量が0.5容積%未満である、請求項1又 は2に記載の方法。 4.前記雰囲気中の酸素と水分の合計量が0.1容積%未満である、請求項1、 2又は3に記載の方法。 5.セラミック相を不活性雰囲気内で液体アルミニウム又は液体アルミニウム合 金中に分散させる工程、該セラミック相を融剤と混合する工程、該融剤は酸素分 圧を減少させる働らきをしており、該混合物を分散用のアルミニウム相又はアル ミニウム合金相とともに溶融する工程とからなる、請求項1ないし4のいづれか 1項に記載の方法。 6.前記セラミック相が二硼化チタンを含む、請求項5に記載の方法。 7.チタン及び硼素をもつ溶融弗化物を溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム 合金で還元することにより二硼化チタンを分散させる工程を含む、請求項1ない し4のいづれか1項に記載の方法。 8.前記弗化物がLi、Na、K、Mg、Ca元素をベースとする、請求項7に 記載の方法。 9.前記融剤が金属カルシウム又は金属マグネシウムの粉末還元剤を含む、請求 項1ないし8のいづれか1項に記載の方法。 10.前記融剤が弗化物融剤であり、かつ、アルミナ形態の酸素に対して溶解性 を有する、請求項1ないし9のいづれか1項に記載の方法。 11.前記融剤がLi2TiF6及びLiBF4、又は他のアルカリ又はアルカリ 土類金属、又は弗化物のinsitu反応後に生成した氷晶石であるか、または アルミニウム溶融中に融剤自体として添加した氷晶石である、請求項10に記載 の方法。 12.セラミック結晶ファセット化剤としてAl−Mg−Zr合金を使用し、H fか又はCrによってZrを置換する工程を含む、請求項10に記載の方法。 13.前記融剤が溶解したCa又は溶解したMg又はその両者によって還元され る、請求項1ないし12のいづれか1項に記載の方法。 14.前記アルミニウム合金が、市販1xxxシリーズ、Al−Li(0〜5重 量%)、Al−Cu(0〜5重量%)、Al−Mg(0〜8重量%)及びAl− Si(0〜10重量%)のうちの1つ以上を含む、請求項13に記載の方法。 15.アルミニウム合金がアルゴンガス又はアルゴン/水素混合ガス雰囲気中で 溶融される、請求項1ないし14のいづれか1項に記載の方法。 16.前記溶融温度が、特定の合金組成物の液体温度及び既知の鋳造温度から定 められる、請求項1ないし15のいづれか1項に記載の方法。 17.前記溶融温度が700℃〜100℃の間である、請求項1ないし16のい づれか1項に記載の方法。 18.アルミニウム又はアルミニウム合金が完全に溶融した後に融剤とともに一 定量の追加のセラミック相が添加される、請求1ないし17のいづれか1項に記 載の方法。 19.融剤とセラミック相が中空電極を通して溶融金属中に注入される、請求項 18に記載の方法。 20.融点以上の温度で一定時間均質化の後、セラミック相が分散した液体金属 を鋳型に注入して冷却するか又は徐冷のため溶融室内に放置して冷却する、請求 項1ないし19のいづれか1項に記載の方法。 21.アルミナ、グラファイト又は銅で形成された溶融室を使用する工程を含む 、請求項1ないし20のいづれか1項に記載の方法。 22.マトリックス合金の溶融が誘導コイル、ガス焚き炉又はマッフル炉を使用 して実施される、請求項1ないし21のいづれか1項に記載の方法。 23.金属及び融剤の溶融物が、中空のアルミニウム又はアルミニウム合金電極 を使用する直接電弧溶融によって水冷式るつぼ内で生成される、請求項1ないし 22のいづれか1項に記載の方法。 24.セラミック相の分散が、混合物内にリチウムを供給することにより助長さ れる、請求項1ないし23のいづれか1項に記載の方法。 25.合金中にマイクロメーターからナノメーターの粒径の二硼化チタンセラミ ック相の分散を含むことを特徴とする、セラミック強化アルミニウム合金金属マ トリックス コンポジット。 26.セラミック相の体積含有率が0%〜60%である、請求項25に記載のコ ンポジット。 27.二硼化チタンの微粒子径が実質的に5μm未満である、請求項25又は2 6に記載のコンポジット。 28.二硼化チタンの微粒子径が実質的に2μm未満であり、かつ、マトリック ス中に実質的に均一に分布されている、請求項25、26又は27に記載のコン ポジット 29.M2TiF6及びMBF4の混合物、ただしMはLi、Na又はKである、 を含むことを特徴とする、セラミック強化アルミニウム合金金属マトリックス コンポジットを生成させるための融剤。 30.前記融剤がリチウム及び/又はマグネシウムをベースとするものである、 請求項29に記載の融剤。 31.前記融剤がM′F2を含む、請求項29又は30に記載の融剤。 32.炉内に配置された密封反応室及び該反応室内に実質的に酸素と水分を含ま ない不活性雰囲気をつくる手段からなることを特徴とする、セラミック強化アル ミニウム合金金属マトリックス コンポジット製造装置。 33.前記不活性雰囲気をつくる手段が実質的に酸素と水分を含まない不活性ガ スの供給を含む、請求項32に記載の装置。 34.前記反応室が銅、グラファイト又はアルミナの反応器を含む、請求項32 又は33に記載の装置。 35.添付図面を参照して十分に前述した、セラミック強化アルミニウム合金金 属マトリックス コンポジットの製造方法。 36.添付図面を参照して十分に前述した、セラミック強化アルミニウム合金金 属マトリックス コンポジットを生成させるための融剤。 37.添付図面を参照して十分に前述し、かつ、添付図面に例示した、セラミッ ク強化アルミニウム合金金属マトリックス コンポジット製造装置。
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