JPH11500455A - 天然起源の微小繊維及びフィルム形成ポリマーの、毛髪、睫毛、眉毛、及び爪用の複合被覆剤としての使用 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 水溶液中又は水性分散液中でフィルムを形成するポリマー及び天然起源の伸長剛体粒子形状の微小繊維水性懸濁液の、化粧用又は皮膚用組成物の調製における及び調製のための、毛髪、睫毛、眉毛又は爪用複合被覆剤としての使用が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 天然起源の微小繊維及びフィルム形成ポリマーの、毛髪、睫毛、眉毛、 及び爪用の複合被覆剤としての使用 本発明は、水溶液中又は水性分散液中でフィルムを形成するポリマー及び天然 起源の伸長剛体粒子(elongate rigid particles)形状の微小繊維(microfibril) 水性懸濁液の、化粧用又は皮膚用組成物の調製における又は調製のための、毛髪 、睫毛、眉毛又は爪用複合被覆剤としての使用に関する。 化粧用又は皮膚用組成物は、主に濃化液体状をなしている。この種の体裁は、 消費者に極めて好ましく、このことは処方する者にとって本質的に第一の関心事 であり、製品を容器から無駄無く取り出しやすくし、製品の処置すべき場所から の拡散を抑制するとともに、処置すべき場所には全体に渡って広がることができ 、所望の化粧用又は皮膚用効果を得るのに十分な量を用いることを可能にする。 この目的は、ケラチン繊維に沿って均一に広がって分散することが必要であり 、なおかつ前頭、首筋、顔、又は眼の中に流れ落ちてはならない毛髪組成物等の 処方の第一の関心事である。この種の体裁は、特に毛髪スタイリング、維持及び ／または固定用製品が求められる。 またこの目的は、睫毛や眉毛に沿って均一に広がって分散することが必要であ るとともに、顔、眼の中、または瞼に流れ落ちてはならない睫毛、眉毛のメーキ ャップ用水性組成物にとっても重要である。 さらにこの目的は、指に流れ出ることなく爪全体に均一に広がって分散するこ とが求められる水性マニキュアにとっても重要である。 特に、毛髪スタイリング及び／または維持に関して、透明又は半透明の水性毛 髪用ゲルであって、粘着感無しに指で容易に取り出すことができ、毛髪に広げや すく、乾燥後に毛髪に沿って均一で連続した粘着感の無い被覆を形成するような ゲルが求められる。また、毛髪スタイリング及び／または維持用水性ゲルも、ゲ ルの乾燥の間に毛髪に十分に十分付着する析出をもたらすが、被覆が部分的また は全体的に粘着性で無くなるために、毛髪に不十分な機械的特性、低すぎる曲げ 強度、毛髪の弱い保持しか与えない危険がある。ゲルの乾燥による被覆、それに よって得られるヘアスタイルの維持は、環境水分（環境湿度、雨、水泳バス等） にも耐えなければならず、殆どの適用においてシャンプーで容易に取り除かれな ければならない。 標準的な毛髪用ゲルの殆ど、例えば、カルボポール(Carbopol)またはペムレン (Pemulen)タイプのフィルム形成アクリル性ポリマーに基づくものは、毛髪上に 不均一で不連続な析出を形成する傾向がある。また、これらは取り出し時及び毛 髪上で粘着感がある。さらに、これらの耐水性は及び耐水分性は不十分であった 。 他の標準的な毛髪用ゲル、特にグアガムに基づくものは、毛髪繊維の周囲に被 覆を形成するが、この被覆はゲルの乾燥中に同じ位置で非粘着性になる傾向があ る。これらの耐水性及び耐水分性も不十分であった。 本出願人は、予想もできないことだが、特定の天然の微小繊維の懸濁液を、溶 液中の水溶性フィルム形成ポリマーまたは分散液中の水不溶性ポリマーと組み合 わせて使用することにより、毛髪用組成物を得ることができ、この組成物は、濃 化液状、特に透明又は半透明の水性ゲル形態であって、粘着感無しに指で容易に 取り出すことができ、流れ流体化(rheo-fluidifying)効果によって毛髪全体に広 げやすく、乾燥後に、毛髪に沿って粘着感の無い均一で連続した被覆を形成する ことができることを見出した。この組み合わせによって得られた被覆は、乾燥中 に毛髪上に十分付着し、さらに、環境からの機械的攻撃因子（摩擦、空気の流れ ）及び環境水分に対する耐性を有する。これはシャンプーによって極めて容易に 取り除かれる。 睫毛及び眉毛のメーキャップ用水性製品（マスカラ又はアイライナー）につい ては、濃化形態あるいはゲル形態の水中油型エマルションが求められる。これら の組成物は、一般に懸濁液中の色素及び少なくとも１つのフィルム形成ポリマー を含んでいる。適用時及び組成物の乾燥中の両方において、睫毛または眉毛に粘 着感無く容易に広げることのできる粘性製品。乾燥後に、睫毛または眉毛に粘着 感無しに均一で連続した被覆を形成できる組成物も求められる。水性マスからの 状況において、この被覆は美的に満足できるように睫毛を長くできなければなら ない。この被覆は良好な機械強度、特に摩擦から乾燥に対する耐性を持ち、水、 環境水分、及び顔用洗浄剤に対する耐性を持たねばならない。 本出願人は、予想だにしないことだが、特定の天然の微小繊維の懸濁液を、溶 液中の水溶性フィルム形成ポリマーまたは分散液中の水不溶性ポリマーと組み合 わせて使用することにより、これら全ての目的を満足する睫毛又は眉毛メーキャ ップ用組成物を得ることができることを見出した。 マニキュアの状況において、色素懸濁液の調製が望まれているが、これも濃化 形態、特に安定で極めて流れ流体化水性ゲルの形態であって、爪上で容易に広が り、適用及び乾燥の後、良好な硬さのフィルムを容易に形成し、癒着剤を用いる 必要が無く粘着感もない。 本出願人は、予想しないことだが、特定の天然の微小繊維の懸濁液を、分散液 中のフィルム形成ポリマーと組み合わせて使用することにより、これら全ての目 的を満足する爪メーキャップ用組成物を得ることができることを見出した。 本発明の主題は、水溶液中又は水性分散液中のフィルム形成ポリマー及び天然 起源で長さが８０ｎｍ以上であり、長さ／径比率（形状因子）が好ましくは１０ 以上である伸長剛体粒子形状の微小繊維水性懸濁液の、化粧用又は皮膚用組成物 の調製における及び調製のための、毛髪、睫毛、眉毛又は爪用の複合被覆剤とし ての使用である。 本発明の他の目的は、以下の説明の見識から明らかになる。 本発明の微小繊維は、伸長剛体基本粒子形状をなし、好ましくは１μｍ以上の 平均長さを有し、３０以上、好ましくは６０以上の形状因子を有する。 これらの結晶化度は、通常は、２０％以上、好ましくは５０％以上である。 本発明で用いられる微小繊維懸濁液は、多くの異なる起源から得ることができ る。 天然起源の微小線維は、好ましくは植物又は動物起源のセルロース微小繊維、 あるいは、キチンから抽出されるキトサン微小繊維である。また、細菌形質転換 体を起源とするものであってもよい。 植物起源のセルロール微小繊維の中で、柔組織から抽出されたもの、木から抽 出されたもの、小麦などの穀類から抽出されたもの、ビートの根などの野菜から 抽出されたもの、セルロース壁を持つ藻類から抽出されたものを挙げることがで きる。 動物起源のセルロース微小繊維の中で、特に、被嚢類(tunicate)科に属する海 洋動物（例えば、食用種 Japanese Halocynthia papillosa 又は mediterranean Microcosmus fulcatus - violets）エンベロープからのツニシン(tunicin)から 得られるものを挙げることができる。 幾つかの刊行物が、これらの微小繊維及びそれらの調製方法を記載している。 特に、ツニシンから抽出したセルロース微小繊維に関する V．Favier の記事 「先進科学技術のためのポリマー(Polymers for Advanced Technology)」、第6 巻、351-55頁、1995年、及び、仏国特許出願第2716887号公報を挙げることがで きる。 また、木から抽出したセルロース微小繊維に関する Boldezar 等の記事「熱膏 剤用強化フィラーとしての前加水分解されたセルロース(Prehydrolyzed Cellulo se as reinforcing filler for thermoplasters)」、Intern．J．Polymeric Mat er.，1987，vol．11，229-262 を挙げることができる。 さらに、キトサン微小繊維については、S．Salmon の文献 AATCC，Internatio nal Conference，8-11，10/95，p 296-306(1995)を参考にすることができる。 好ましくは、本発明の天然起源微小繊維の水性分散体は、その表面に存在する イオン性電荷によって安定化される。これらの表面電荷は、好ましくは、硫酸イ オン、カルボン酸イオン、またはリン酸イオンである。これらは、国際出願WO 9 3/10172 に記載されている抽出方法によって得られる。この方法は、セルロース を高速ホモジナイザーに通すことに依るセルロースの解繊(degradation)と、例 えば硫酸またはリン酸による非加水分解酸処理との組み合わせからなり、表面イ オン性電荷は有するがセルロースの初期重合度は修正する微小繊維を提供するこ とを目的とする。これらの表面電荷は、セルロース微小繊維の表面にあるペクチ ン残基によるものであってもよい。 本発明で用いる微小繊維懸濁液は、通常は、０．３重量％以下の濃度で半透明 又は透明である。この値より多いと不透明になる。 化粧用または皮膚用の適用を考えた場合、微小繊維の濃度は、組成物全重量に 対して、好ましくは０．１から３０重量％、より好ましくは０．２から２０重量 ％である。 本発明で用いる水溶性フィルム形成ポリマーは、欧州特許出願公開第557196号 及び第676451号公報に記載されているものから選択することができる。これらの ポリマーは、より詳細には、本発明において毛髪用製品、水性マスカラまたは爪 用水性ケアベースに用いられる。 例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、化粧品に用い られるセルロースエーテル、グアガム、イナゴマメ(carob)ガムを挙げることが できる。 適用の型に応じて、以下が好適に用いられる。 （ｉ）好ましくは２０℃以下の低いガラス転移点Ｔｇを持つ合成フィルム形成水 溶性ポリマー；あるいは、 （ｉｉ）通常は４０℃以上の高いＴｇを持つ天然起源の水溶性フィルム形成ポリ マー（多糖類、セルロース誘導体）。 天然起源の微小繊維は、微小繊維／水溶性フィルム無形成ポリマー混合物中に 、１５重量％以下、より好ましくは１０重量％以下の比率で存在する。 本発明で用いられる不溶性フィルム形成ポリマーの水性分散液は、好ましくは １０℃以下、より好ましくは５℃以下のガラス転移点を持つ疎水性ポリマーラテ ックスから選択される。 本発明の天然起源の徴小繊維は、微小繊維／ラテックス混合物中に、１５重量 ％以下、より好ましくは１０重量％以下の比率で存在する。 これらのラテックスは、特に水性マスカラ又はマニキュアにおいて用いられる であろう。 本出願人は、驚くべきことに、懸濁した色素を含む睫毛のメーキャップ用組成 物における微小繊維懸濁液／フィルム形成ポリマーの組み合わせが、該微小繊維 の濃度がフィルム形成ポリマーに対して６重量％以上である場合に、実質的に睫 毛の伸長を向上させることを見出した。 本発明の組成物は、化粧用又は皮膚用に許容され得る媒体、即ち、爪、毛髪、 睫毛または眉毛に相容性の媒体を含む。 望まれる化粧用又は皮膚用の適用に応じて、天然起源の微小繊維の濃度は、組 成物全重量に対して、好ましくは０．１から３０重量％、より好ましくは０．２ から２０重量％の範囲である。 本発明の組成物のための化粧用及び／または皮膚用に許容されうる媒体は、よ り詳細には、水からなり、任意に化粧用及び／または皮膚用に許容されうる（許 容されうる寛容、毒性及び感触）有機溶媒を含む。 これらの溶媒は、親水性有機溶媒、親油性有機溶媒、及び両性有機溶媒、又は それらの混合物からなる群から選択される。 親水性有機溶媒の中で、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、イ ソプロパノール及びイソブタノール等の１から８の炭素原子を有する線状又は分 岐した低級モノアルコール類；６から８０のエチレンオキシドを有するポリエチ レングリコール類；プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール 及びソルビトール等のポリオール類；ジメチルイソソルビド等の１から５の炭素 原子を有するアルキル基を持つモノアルキルまたはジアルキルイソソルビド(iso sorbide)；ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチル等のグリコールテ ル；及び、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールエ ーテルが挙げられる。 両性有機溶媒としては、イソプロピレングリコール等のポリオール類；ポリプ ロピレングリコール脂肪酸エステル、及びＰＰＧ−２３オレイルエーテル及びＰ ＰＧ−３６オレアートといったＰＰＧの脂肪アルコールエーテル等のポリプロピ レングリコール（ＰＰＧ）誘導体が挙げられる。 親油性有機溶媒としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ オクチル、及び安息香酸アルキルなどの脂肪エステルが挙げられる。 本発明の化粧用又は皮膚用組成物を、より使いやすくする（適用時に柔らかく 、より滋養を与え軟化する）ために、これらの組成物の媒体に脂肪相を添加する ことも可能である。 この脂肪相は、１またはそれ以上の油を含み、この油は好ましくは以下の群か ら選択される。 ・揮発性又は不揮発性、線状、分岐状又は環状の、有機変性または非有機変性の 、水溶性または水不溶性シリコーン類。 ・流動パラフィン及び液体石油ジェリーなどの鉱油。 ・ペルヒドロスクアレンなどの動物起源の油。 ・スウィートアーモンド油、アボカド油、ひまし油、オリーブ油、ホホバ油、ゴ マ油、グラウンドナッツ油、マカダミア油、ナタネ油、ココナッツ油などの植物 起源の油。 ・パーセリン油及びイソパラフィンなどの合成油。 ・フルオロ又はペルフルオロ油。 この組成物は、脂肪物質として、１またはそれ以上の脂肪アルコール、脂肪酸 （ステアリン酸）、又はワックス（パラフィンワックス、ポリエチレンワックス 、カルナウバワックス、ビーズワックス）を含んでいてもよい。 周知の方法で、本発明の全ての組成物は、化粧用及び皮膚用の分野で通常用い られるアジュバント、他の標準的なゲル化剤及び／または濃化剤；ポリマー類； 乳化剤；界面活性剤；加湿剤；軟化剤；日焼け止め剤；親水性または親油性活性 剤；抗−フリーラジカル剤；殺菌剤；金属イオン封鎖剤；抗フケ剤；酸化防止剤 ；保存剤；香料；フィラー；染料；可塑剤；癒着剤を含んでいてもよい。これら 種々のアジュバントは、考慮している分野で従来から用いられているものである 。 明らかに、当業者は、本発明の組成物に添加すべき任意の化合物を、本発明の 組成物が本来有する有利な特性が、考えている添加によって損なわれない、又は 実質的に損なわれないように慎重に選択するであろう。 本発明の組成物は、毛髪、睫毛、眉毛、又は爪に適した任意の形態であってよ く、特に、ローション又は漿液タイプの溶液形態；水性ゲル形態；脂肪相を水相 に分散して得られる（Ｏ／Ｗ）あるいはその逆（Ｗ／Ｏ）のエマルション形態； 乳液あるいは比較的滑らかなクリームのような液体または半液体粘度の形態；ペ ースト状であってよい。これらの組成物は、通常の方法によって調製できる。 本発明の組成物は、すすぎ落とし(rince-out)、または、入れたままにしてお く(leave-in)毛髪用製品として、特に、毛髪等のケラチン繊維の洗浄、ケア、又 は調整、スタイル保持、またはスタイリングのために用いられる。 これらは、ヘアーセットローション、ブロー−ドライローション、または固定 及びスタイリング組成物といったスタイリング用製品であってもよい。これらの ローションは、組成物を噴霧形態またはムース形態で適用するために、種々の形 態、特に、噴霧器、ポンプ−ディスペンサボトルまたはエアロゾル缶にパッケー ジされる。このようなパッケージ形態は、例えば、毛髪固定または処理用のスプ レー又はムースを得ることを望む場合に必要である。 また、本発明の組成物は、シャンプー、染色、漂白、パーマネントウェーブ形 成、又は直毛化の前または後に適用するためのすすぎ落としあるいは入れたまま にしておくシャンプーであってもよい。 本発明の組成物は、メーキャップ製品であってもよく、特に、 ・”クリーム”マスカラまたは耐水性マスカラなどの、睫毛及び眉毛の被覆用水 性製品； ・爪用ケアベース、標準的な溶媒または水性爪用マニキュアのマニキュアアンダ ーコートなどの、爪被覆用水性製品である。 以下の実施例は本発明を例示するが、その性質を限定するものではない。 実施例１：ツニシンから得た硫酸表面電荷を有するセルロース微小繊維の水性懸 濁液の調製 スミレからのエンベロープの断片を粗洗浄した後、５％の水酸化カリウム（Ｋ ＯＨ）水溶液中に入れ、一昼夜放置した。次いで、洗浄して、８０℃のバスで、 ２時間おきにバスを入れ換えながら漂白(blanch)した。このバスは、３００ｍｌ の亜塩素酸塩溶液（１ｌ蒸留水中に１７ｇのNaClO₂を含むもの）を３００ｍｌの 酢酸バッファー（７５ｍｌのCH₃COOHに２７ｇのNaOHを加え、蒸留水で１ｌとし たもの）と混合したものである。この漂白処理は、３回繰り返し、バイオレット の断片が完全に白色になった。 セルロースの断片は、次いで、Waring Blender mixer で２０分間崩壊させ、 蒸留水中の断片の濃度を約５％とした。こうして得られた壁の破片の凝集懸濁液 は、約１％に希釈し、Gaulin 15M8TA 機械ホモジナイザーの連続的サイクルに導 入した。機械の圧力は６００バールまで徐々に上げ、大きなセルロース破片によ って機械がブロックされないようにした。温度上昇を監視し、７０℃を越えない ように注意した。約１５サイクルの後、繊維の小さな凝集物を含む均一な懸濁液 が得られた。操作の効率の簡単な試験は、生成物の混濁度(thickness)上昇の観 察によ った。指標として、約２％セルロースの力価を持つ懸濁液で石油ジェリーの粘稠 度が有られたときに所望の結果に到達したものとする。 ホモジナイザーから得た懸濁液は、次いで、ホモジナイザーから出た懸濁液４ ５０ｍｌに対して３０ｍｌの濃硫酸（９５％）という比率で硫酸で処理した。全 混合物を、６０℃に２０分間維持した。懸濁液は、次いで、焼結漏斗（多孔性１ ）を通して濾過し粗い凝集物を除き、その後、セルロース微小繊維を多孔性４の フィルター上に保持した。この生成物を蒸留水で洗浄し、次いで水酸化ナトリウ ムNaOH（０．１％）で懸濁液を中性にし、さらに蒸留水で再度洗浄した。これに より、セルロースはフィルター上に粘稠な水性ベースト状で析出した。これを、 水中に再度分散し、懸濁液をマグネチック・スターラーを用いて均一化し、次い で、５分間超音波処理（Branson Sonifier B12）した。最終的な、懸濁液は十分 に均一で即座に使用可能であり、凝集物が無く、数週間に渡って安定であった。 実施例２：３℃のガラス転移点を持つ水溶性アクリルコポリマーの合成 このコポリマーは、以下のもののラジカル重合によって得た。 アクリル酸 １０重量％ アクリル酸イソブチル ７０重量％ アクリル酸ｔ−ブチル ２０重量％ 重合は、エタノール溶液中で、開始剤としてアゾイソビスブチロニトリルを用 いて行った。 ２００ｇの無水エタノール、１００ｇのモノマー混合物、及び２ｇのアゾイソ ビスブチロニトリルを、中心スターラー、温度計、冷却管、及び窒素泡通気用管 を具備する５００ｍｌの反応器に導入した。攪拌は、窒素泡通気しながら２５０ 回転／分で行った。混合物を、還流温度（７８℃）まで徐々に加熱し、この温度 において同条件下に１８時間保持した。この時間の後、混合物を室温に冷却し、 ポリマーを５ｌの石油エーテルでの再結晶によって精製した。析出物は、真空下 、４５℃で、一定重量になるまで乾燥した。８１ｇのポリマーが得られ、収率は ８１％であった。 測定した酸価(acid number)は８１．５であった。 ３６．４℃におけるジメチルホルムアミドの５重量％溶液の絶対粘度は１．７ ｃｐｓであった。 立体排除クロマトグラフのピークの分子量は３６，８００であった。 下記の組成の水性溶液を調製した。 ・実施例２の水溶性フィルム形成ポリマー ２７．３７ｇ ・2-アミノ-２-メチルプロパノール ３．５３ｇ （１００％中和） ・脱塩水 ６９．１０ｇ 実施例３：実施例１の水性懸濁液と実施例２のポリマー溶液との組み合わせを含 む水性混合物の調製 実施例１の微小繊維懸濁液を、微小繊維の固形分２．３４重量％として１００ ｇの水性ゲルを作製した。 このゲル（微小繊維懸濁物）の４２．６５ｇを、実施例２のポリマー溶液５７ ．３３５ｇに混合して攪拌し、乾燥後に６重量％の微小繊維を含む複合材料を形 成する水性混合物を得た。 このようにして以下の組成の水性ゲルを調製した。 ・実施例２の水溶性フィルム形成ポリマー １５．７重量％ ・２-アミノ-２-メチルプロパノール ２．０重量％ （１００％中和） ・実施例１の微小繊維 １．０重量％ ・脱塩水 ８１．３重量％ 実施例４：水性マスカラ 実施例３の水性ゲルを、マスカラに通常用いられる十分な量の色素に単に添加 することによりマスカラを調製した。得られたマスカラは安定であり、均一であ り、睫毛を伸長させることができ、水に良好な耐性を有する。これは、洗浄用製 品で容易に取り除かれる。 実施例５：毛髪固定用ゲル 実施例３のゲルから毛髪固定用ゲルを調製した。蒸発の後、この製品は毛髪上 にフィルムを与え、それは満足な固定特性を有し、水に耐性があり、シャンプー によって容易に除去される。 実施例６：親水性フィルム形成ラテックスの合成 このラテックスは以下の組成を持つ。 アクリル酸 １０重量％ アクリル酸イソブチル ７０重量％ アクリル酸ｔ−ブチル ２０重量％ ６２．５ｇの脱塩水、１．２４ｇの Rhone Poulenc 社から Abex JKB という 名称で市販されている界面活性剤の３０．４％水溶液、及び０．１９ｇの価硫酸 カリウムを、中心スターラー、温度計、及び冷却管を備えた反応器に導入した。 混合物を、高速攪拌しながら８０℃の温度にした。 平行して、２つのいわゆる”キャスト”溶液Ｓ₁及びＳ₂を調製した。 キャストＳ₁（モノマー溶液）： ・アクリル酸 １２．５ｇ ・アクリル酸イソブチル ８７．５ｇ ・アクリル酸ｔ−ブチル ２５ｇ ・ドデカンチオール １．２５ｇ キャストＳ₂： ・脱塩水 ３１２．５ｇ ・３０．２４％ Abex JKB 水溶液 １１．１６ｇ ・価硫酸カリウム ０．５５ｇ 反応忌中の水溶液が８０℃に到達したとき、１０％の溶液Ｓ₁を添加し、混合 物を１５分間反応させた。溶液Ｓ₁の残り及び溶液Ｓ₂は、次いで、４時間かけて 一定流速で同時に添加した。２つの同時添加の終点において、反応媒体の温度は ８５℃に上昇させ、この温度に３０分間保持した。 混合物を攪拌しながら室温まで冷却した。それをナイロンガーゼを通して濾過 した。 以下の特性を持つポリマー粒子の分散物を得た。 ・平均粒径：２３０ｎｍ ・Coulter N4 SD タイプの装置でを用いた半弾性(quasi-elastic)光散乱で測定 した粒径多分散性：＜０．１ ・８０℃の通気オーブン内で一定重量としたときの固形分量：２５％ ・立体排除クロマトグラフのピークにおける分子量：７０，０００ ・ＤＳＣで測定したガラス転移点：−７℃ 得られたポリマー分散物は、回転エバポレータで濃縮し、最終的な固形分量を ５０．３６％とした。 実施例７：実施例１の水性懸濁液と実施例６のポリマー分散液との組み合わせを 含む水性混合物の調製 実施例１の微小繊維懸濁液を、微小繊維２．３４重量％の固形分とし、１００ ｇの水性ゲルを作製した。 このゲル（微小繊維懸濁物）の５６．３２ｇを、実施例６のポリマー分散液４ ３．６８ｇに混合して攪拌し、乾燥後にポリマーに対して５．７重量％の微小繊 維を含む複合材料を形成する水性混合物を得た。 このようにして以下の組成の水性ゲルを調製した。 ・実施例６のフィルム形成ポリマー ２２ｇ（固形分） ・２-アミノ-２-メチルプロパノール ｐＨ７とする量 （１００％中和） ・実施例１の微小繊維 １．３２ｇ ・脱塩水 ７６．６８ｇ 実施例８：水性マスカラ 実施例７の水性ゲルを、マスカラに通常用いられる十分な量の色素に単に添加 することによりマスカラを調製した。得られたマスカラは安定であり、均一であ り、睫毛を伸長させることができ、実施例４のマスカラ以上に水に良好な耐性を 有する。これは、洗浄用製品で容易に取り除かれる。 実施例９：疎水性フィルム形成ラテックスの合成 このラテックスは以下の組成を持つ。 アクリル酸イソブチル ６３．８重量％ アクリル酸ｔ−ブチル ３６．２重量％ 方法は、実施例６と同様の条件で行った。 以下の特性を持つポリマー粒子の分散物を得た。 ・平均粒径：２５０ｎｍ ・Coulter N4 SD タイプの装置でを用いた半弾性(quasi-elastic)光散乱で測定 した粒径多分散性：＜０．１ ・８０℃の通気オーブン内で一定重量としたときの固形分量：２４．８％ ・立体排除クロマトグラフのピークにおける分子量：６５，０００ ・ＤＳＣで測定したガラス転移点：−３℃ 得られたポリマー分散物は、回転エバポレータで濃縮し、最終的な固形分量を ４９．８６％とした。 実施例１０：実施例１の水性懸濁液と実施例９のポリマー分散液との組み合わせ を含む水性混合物の調製 実施例１の微小繊維懸濁液を、微小繊維３．５重量％の固形分とし、１００ｇ の水性ゲルを作製した。 このゲル（微小繊維懸濁物）の４２．８６ｇを、実施例９のポリマー分散液５ ７．１４ｇに混合して、Raineri タイプの剪断ミキサを用いて攪拌し、以下の組 成の水性ゲルを得た。 ・実施例９のフィルム形成ポリマー ２８．５ｇ（固形分） ・実施例１の微小繊維 １．５ｇ ・脱塩水 ７０．０ｇ 得られた分散物は、ポリマー重量に対して５重量％の微小繊維を含む。 実施例１１：水性マニキュア マニキュアに通常用いられる色素を、実施例１０の水性ゲル中に、剪断混合に よって分散させてマニキュアを調製した。 得られたマニキュアは安定であり、顕著な流れ−流動化性によって広がりやす く、乾燥後には良好な可撓性を持つが軟らかさや表面粘着性は無い光沢のあるフ ィルムとなる。爪上に得られた析出物は、傷つき難く、削られ難く、爪に良好に 付着し、水および洗浄剤又は界面活性剤の水溶液の攻撃に対して良好な耐性を持 つ。

【手続補正書】 【提出日】１９９８年５月１３日 【補正内容】 特許請求の範囲１．水溶液中又は水性分散液中に、フィルム形成ポリマー及び天然起源で長さが ８０ｎｍ以上であり、長さ／径比率（形状因子）が１０以上である伸長剛体粒子 形状の微小繊維を懸濁させた水性懸濁液を含んでなることを特徴とする化粧用又 は皮膚用組成物 。 ２．前記微小線繊維が、１μｍ以上の平均長さを有し、３０以上、好ましくは６ ０以上の形状因子を有することを特徴とする請求項１記載の組成物。 ３．前記微小繊維が、２０％以上、好ましくは５０％以上の結晶化度を有するこ とを特徴とする請求項１または２記載の組成物。 ４．前記微小繊維が、植物又は動物起源のセルロース微小繊維、キトサン微小繊 維、または細菌形質転換体を起源とする微小繊維であることを特徴とする請求項 １から３のいずれかに記載の組成物。 ５．前記セルロール微小繊維が、柔組織、木、穀類、野菜、セルロース壁を持つ 藻類、ツニシンから抽出されたものであることを特徴とする請求項１から４のい ずれかに記載の組成物。 ６．前記微小繊維が、表面イオン電荷を持つことを特徴とする請求項１から５の いずれかに記載の組成物。 ７．前記表面イオン電荷が、硫酸イオン、カルボン酸イオン、またはリン酸イオ ンであることを特徴とする請求項６記載の組成物。 ８．微小繊維／フィルム形成ポリマー混合物中の微小繊維濃度が、ポリマー重量 に対して１５重量％以下、好ましくは１０％以下であることを特徴とする請求項 １から７のいずれかに記載の組成物。 ９．水溶性フィルム形成ポリマーが、２０℃以下のガラス転移点Ｔｇを持つ合成 フィルム形成ポリマー及び４０℃以上のＴｇを持つ天然フィルム形成ポリマーか ら選択されることを特徴とする請求項１から８のいずれかに記載の組成物。 １０．フィルム形成ポリマーの水性分散液が、１０℃未満、好ましくは５℃未満 のＴｇを持つ親水性ポリマーラテックスであることを特徴とする請求項１から８ のいずれかに記載の組成物。 １１．毛髪洗浄、毛髪形状の調整、維持、又は保持用製品であることを特徴とす る 請求項１から１０のいずれかに記載の組成物。 １２．睫毛または眉毛のメーキャップ用製品であることを特徴とする請求項１か ら１０のいずれかに記載の組成物。 １３．微小繊維／フィルム形成ポリマー混合物中の微小繊維濃度が、フィルム形 成ポリマー重量に対して６重量％以上であることを特徴とする請求項１２記載の組成物 。 １４．爪のメーキャップ及び又はケア用製品であることを特徴とする請求項１か ら１０のいずれかに記載の組成物。１５ ．水溶液中又は水性分散液中のフィルム形成ポリマー及び天然起源で長さが ８０ｎｍ以上であり、長さ／径比率（形状因子）が１０以上である伸長剛体粒子 形状の微小繊維水性懸濁液の、化粧用又は皮膚用組成物の調製における及び調製 のための、毛髪、睫毛、眉毛又は爪用の乾燥後に複合析出物を形成できる被覆剤 としての使用。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＢ， ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＥＥ，Ｇ Ｅ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ， ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＲＯ，ＲＵ，Ｓ Ｄ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．水溶液中又は水性分散液中のフィルム形成ポリマー及び天然起源で長さが８ ０ｎｍ以上であり、長さ／径比率（形状因子）が１０以上である伸長剛体粒子形 状の微小繊維水性懸濁液の、化粧用又は皮膚用組成物の調製における及び調製の ための、毛髪、睫毛、眉毛又は爪用の乾燥後に複合析出物を形成できる被覆剤と しての使用。 ２．前記微小線繊維が、１μｍ以上の平均長さを有し、３０以上、好ましくは６ ０以上の形状因子を有することを特徴とする請求項１記載の使用。 ３．前記微小線維が、２０％以上、好ましくは５０％以上の結晶化度を有するこ とを特徴とする請求項１または２記載の使用。 ４．前記微小線維が、植物又は動物起源のセルロース微小繊維、キトサン微小繊 維、または細菌形質転換体を起源とする微小繊維であることを特徴とする請求項 １から３のいずれかに記載の使用。 ５．前記セルロール微小繊維が、柔組織、木、穀類、野菜、セルロース壁を持つ 藻類、ツニシンから抽出されたものであることを特徴とする請求項１から４のい ずれかに記載の使用。 ６．前記微小繊維が、表面イオン電荷を持つことを特徴とする請求項１から５の いずれかに記載の使用。 ７．前記表面イオン電荷が、硫酸イオン、カルボン酸イオン、またはリン酸イオ ンであることを特徴とする請求項６記載の使用。 ８．微小繊維／フィルム形成ポリマー混合物中の微小繊維濃度が、ポリマー重量 に対して１５重量％以下、好ましくは１０％以下であることを特徴とする請求項 １から７のいずれかに記載の使用。 ９．水溶性フィルム形成ポリマーが、２０℃以下のガラス転移点Ｔｇを持つ合成 フィルム形成ポリマー及び４０℃以上のＴｇを持つ天然フィルム形成ポリマーか ら選択されることを特徴とする請求項１から８のいずれかに記載の使用。 １０．フィルム形成ポリマーの水性分散液が、１０℃未満、好ましくは５℃未満 のＴｇを持つ親水性ポリマーラテックスであることを特徴とする請求項１から８ のいずれかに記載の使用。 １１．毛髪洗浄、毛髪形状の調整、維持、又は保持用製品の調製における及び調 製のための請求項１から１０のいずれかに記載の使用。 １２．睫毛または眉毛のメーキャップ用製品の調製における及び調製のための請 求項１から１０のいずれかに記載の使用。 １３．微小繊維／フィルム形成ポリマー混合物中の微小繊維濃度が、フィルム形 成ポリマー重量に対して６重量％以上であることを特徴とする請求項１２記載の 使用。 １４．爪のメーキャップ及び又はケア用製品の調製における及び調製のための請 求項１から１０のいずれかに記載の使用。