JP2015189698A - セルロース系水溶性増粘剤 - Google Patents

セルロース系水溶性増粘剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、様々な用途に適用可能な、耐酸性を有する水溶性増粘剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、1000nm以下の繊維幅を有し、かつ繊維を構成するセルロースのヒドロキシ基の一部がリンオキソ酸基で置換された微細繊維状セルロースを含む増粘剤に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース系水溶性増粘剤、ならびにセルロース系水溶性増粘剤を含む組成物及び化粧料組成物に関する。
水溶性増粘剤は、石油掘削用添加剤、コンクリート軽量化添加剤、潤滑剤用添加剤、凝集剤、水性分散剤、化粧料、衛生材料、医薬品など広範な分野で使用されている。天然系の水溶性増粘剤としては、多糖類、澱粉、寒天、セルロース及びその誘導体などが知られており、合成系の水溶性増粘剤としては、ポリアミド系化合物、ポリビニルアルコール系化合物、ポリアルキレンオキサイド系化合物、ポリアクリル酸系化合物及びこれらを組み合わせた化合物が知られている。このような水溶性増粘剤には多様化のニーズが存在し、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、耐塩水性などの機能性に優れたものが求められている(特許文献1)。
特許文献2には、セルロース系の増粘剤として、セルロース繊維を数十nmまで微細化したセルロース粒子が開示されており、該セルロース粒子は、透明性が高く、少量の添加量で高い増粘性、分散・乳化安定能性、構造安定性が得られることが開示されている。また、特許文献3には、ゲル状組成物に、セルロース繊維表面にアルデヒド基やカルボキシル基を有する微細セルロース繊維を用いることが開示されている。
特開2011−6581号公報 国際公開第99/28350号公報 特許第5296445号公報
特許文献2のセルロース系の増粘剤は、塩類等の電解質や高濃度のイオン性界面活性剤の共存下では増粘性が低下するだけでなく、セルロース粒子が沈降し、分散体としての形を取ることができないなどの難点がある。特許文献3のゲル状組成物は、塩やイオン性界面活性剤等の共存下でも高い粘性を保持することができるが、カルボキシル基を有する化合物はpH5以下の酸性化では、カルボキシル基の乖離が抑えられ、粘度が極端に低下してしまうという問題がある。このため、酸性条件が要求される処方では使用することができない。
特に使用感が重要なポイントを占める化粧料のゲル化剤としては、この特徴は致命的な欠点となることがある。例えば、pH5以下の酸性条件下では、増粘剤として用いられる架橋ポリ(メタ)アクリル酸は急激な粘度低下を起こすため、十分な粘度を保持するためにはその配合量を大幅に増やさなければならず、その結果、使用感が悪くなるという問題がある。
したがって、本発明は、様々な用途に適用可能な、耐酸性を有する水溶性増粘剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、こうした事情をかんがみ、高い増粘効果やゲル化機能を有する物質を探すべく、鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことにリンオキソ酸基を導入した微細繊維状セルロースを増粘剤として用いたところ、耐酸性に優れることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)1000nm以下の繊維幅を有し、かつ繊維を構成するセルロースのヒドロキシ基の一部がリンオキソ酸基で置換された微細繊維状セルロースを含む増粘剤。
(2)微細繊維状セルロースの数平均繊維径が2〜150nmである、(1)に記載の増粘剤。
(3)微細繊維状セルロースが、セルロースのヒドロキシ基の一部が、下記構造式(1):
Figure 2015189698
[式中、
a、b、m、nは自然数であり(ただし、a=b×mである)、
α1、α2、・・・、αn及びα’のうちの少なくとも1つはOであり、残りはR又はORであり、
Rは、各々独立して、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、芳香族基又はこれらの誘導基であり、
βは有機物又は無機物からなる1価以上の陽イオンである]
で表されるリンオキソ酸基で置換されたものである、(1)又は(2)に記載の増粘剤。
(4)リンオキソ酸基がリン酸基である、(1)〜(3)のいずれかに記載の増粘剤。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の増粘剤と水とを含む、組成物。
(6)pH調整剤、無機塩類、界面活性剤、オイル類、保湿剤、防腐剤、有機微粒子、無機微粒子、消臭剤、香料、有機溶媒及び機能成分からなる群から選択される機能性添加剤をさらに含む、(5)に記載の組成物。
(7)pHが2〜6である、(5)又は(6)記載の組成物。
(8)化粧料組成物である、(5)〜(7)のいずれかに記載の組成物。
(9)クリーム状、ゲル状又は乳液状の剤形を有する(8)に記載の組成物。
本発明により、酸性条件においても粘度が低下することの少ない耐酸性を有する水溶性増粘剤が提供される。
<微細繊維状セルロース>
本発明の増粘剤は、1000nm以下の繊維幅を有し、かつ繊維を構成するセルロースのヒドロキシ基の一部がリンオキソ酸基で置換された微細繊維状セルロースを含む。微細繊維状セルロースは、通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに細いセルロース繊維又は棒状粒子をさす。
リンオキソ酸基は、リン原子にヒドロキシ基とオキソ基が結合した基をさし、例えば、下記構造式(1)で表すことができる。
Figure 2015189698
構造式(1)において、a、b、m、nは自然数である(ただし、a=b×mである。)。α、α、・・・、α及びα’のうちの少なくとも1つはOであり、残りはR又はORである。α及びα’の全てがOであっても構わない。nが2以上であり、α’がR又はORである場合には、各αのうちの少なくとも1つがOで残りがR又はORである。nが2以上であり、α’がOである場合には、各αは全てRであってもよいし、全てORであってもよいし、少なくとも1つがOで残りがR又はORであってもよい。好ましくは、α及びα’の全てがOであり、nは1であり、βb+はアルカリ金属イオン、特にNa+であり、mは2であり、aは2である。
Rは、各々、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基である。
飽和−直鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。飽和−分岐鎖状炭化水素基としては、i−プロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。飽和−環状炭化水素基としては、シクロペンタン基、シクロヘキサン基等が挙げられる。不飽和−直鎖状炭化水素基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。不飽和−分岐鎖状炭化水素基としては、i−プロペニル基、3−ブテニル基等が挙げられる。芳香族基としては、フェニル基、ナフタレン基等が挙げられる。
前記Rにおける誘導体としては、前記各種炭化水素基の主鎖又は側鎖に対し、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基などの官能基のうち、少なくとも1種類が付加又は置換した状態の官能基が挙げられる。
前記Rの主鎖を構成する炭素原子数は20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。Rの主鎖を構成する炭素原子数が20を超えると、Rを含むリンオキソ酸基の分子が大きくなりすぎて、繊維原料に浸透しにくくなり、微細繊維状セルロースの収率が低下するおそれがある。
βは有機物又は無機物からなる1価以上の陽イオンである。有機物からなる1価以上の陽イオンとしては、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウムが挙げられ、無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属のイオンや、カルシウム、マグネシウム等の2価金属の陽イオン、水素イオン等が挙げられる。これらは1種又は2種類以上を組み合わせて適用することもできる。有機物又は無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、βを含む繊維原料を加熱した際に黄変しにくく、また工業的に利用し易いナトリウム、カリウムのイオンが好ましい。
なお、構造式(1)は、α、α’にセルロース分子鎖を含まないモノエステルであることが好ましい。α、α’にセルロース分子鎖を含む場合にはセルロース分子鎖同士が架橋しているため、微細化を阻害するおそれがある。
本発明において微細繊維状セルロースに導入されるリンオキソ酸基は、好ましくはリン酸基である。
本発明の微細繊維状セルロースの繊維幅は電子顕微鏡で観察して1nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは4nm〜100nmである。微細繊維状セルロースの繊維幅が1nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細繊維状セルロースとしての物性(良好な増粘性)が発現しなくなる。一方、1000nmを超えると微細繊維状セルロースとは言えず、通常のパルプに含まれる繊維にすぎないため、ゲル状とならず十分な増粘効果を発揮しない。
微細繊維状セルロースに透明性が求められる用途においては、繊維幅が30nmを超えると、可視光の波長の1/10に近づき、可視光の屈折及び散乱が生じ易く、透明性が低下する傾向にあるため、繊維幅は2nm〜30nmが好ましく、より好ましくは2〜20nmである。
微細繊維状セルロースがI型結晶構造を有していることは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と2θ=22〜23°付近の2箇所の位置に典型的なピークを有することで同定することができる。
微細繊維状セルロースの電子顕微鏡観察による繊維幅の測定は以下のようにして行う。濃度0.05〜0.1質量%の微細繊維状セルロース含有スラリーを調製し、該スラリーを親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅広の繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍、20000倍、40000倍又は50000倍の倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。本発明における微細繊維幅はこのように読み取った繊維幅の平均値である。
本発明の微細繊維状セルロースの繊維長及びアスペクト比は、繊維が長ければ長いほど、アスペクト比は高ければ高いほど、増粘剤として用いるために好ましい。繊維長は、TEMやSEM、AFMの画像解析より求めることができる。上記繊維長は、微細繊維の30質量%以上を占める繊維長である。
本発明の微細繊維状セルロースが含有する結晶部分の比率は、X線回折法によって求められる結晶化度が60%以上であるセルロース繊維であるが、結晶化度は、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上であると、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
繊維原料のセルロースに、リンオキソ酸基が導入されることによって、セルロース繊維同士の電気的な反発力が強くなるものと推測される。また、スラリーとした際の分散安定性に優れる。
繊維原料のセルロースのヒドロキシ基(−OH基)におけるリンオキソ酸基の導入量は、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.1〜2.0mmolが好ましく、0.2〜1.5mmolがより好ましい。リンオキソ酸基導入量が0.1mmol未満では、繊維原料の微細化が困難で、微細繊維状セルロースの安定性が劣る。リンオキソ酸基導入量が2.0mmolを超えると、微細繊維状セルロースが溶解する恐れがある。
ここで、リンオキソ酸基のセルロースへの導入量は、TAPPI T237 cm−08(2008)を応用して算出した量をさす。具体的には、セルロースに導入された酸性基の導入量をより広範囲まで算出可能にするために、前記試験方法に用いる試験液のうち、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)/塩化ナトリウム(NaCl)=0.84g/5.85gを蒸留水で1000mlに溶解希釈した試験液を、水酸化ナトリウム1.60gを蒸留水で1000mlに溶解希釈した試験液に変更し、さらに置換基導入前後のセルロース繊維における算出値の差を実質的な置換基導入量とした以外は、TAPPI T237 cm−08(2008)に準じて算出する。
当該酸性基導入量算出方法は、基本的には1価の酸性基(カルボキシ基)の導入量算出方法であることから、多価の酸性基であるリンオキソ酸基の導入量の算出については、前記1価の酸性基の導入量として得られた置換基導入量を、リンオキソ酸基の酸価数で除した数値を、リンオキソ酸の基の導入量とする。
<微細繊維状セルロースの製造>
上記の微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料を、リンのオキソ酸又はその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」という)により処理して、セルロースにリンオキソ酸基を導入するリンオキソ酸基導入工程(a)と、該工程(a)終了後に、リンオキソ酸基を導入したセルロース(以下、「リンオキソ酸基導入セルロース」という)を解繊処理する解繊処理工程(b)により製造できる。
[リンオキソ酸基導入工程(a)]
繊維原料を化合物Aにより処理する方法としては、乾燥状態又は湿潤状態の繊維原料に化合物Aの粉末や水溶液を混合する方法、繊維原料のスラリーに化合物Aの粉末や水溶液を添加する方法等が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、乾燥状態の繊維原料(パルプ)に化合物Aの水溶液を添加する方法、又は湿潤状態の繊維原料(パルプ)に化合物Aの粉末や水溶液を添加する方法が好ましい。
セルロースを含む繊維原料としては、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、バガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、入手のしやすさという点で、製紙用パルプが好ましい。製紙用パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)など)、針葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)など)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。繊維原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
上記繊維原料の中でも、入手のしやすさという点で、木材パルプ、脱墨パルプが好ましい。さらに、木材パルプの中でも、化学パルプはセルロース比率が大きいため、微細繊維状セルロースの収率が高く、また、パルプ中のセルロースの分解が小さく、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる点で特に好ましい。化学パルプの中でもクラフトパルプ、サルファイトパルプが最も好ましく選択される。
製紙用パルプは、ダブルディスクリファイナー、シングルディスクリファイナー、ビーターなどで叩解してもよいが、叩解があまり進んでいないパルプ(カナダ標準濾水度(CSF)が好ましくは400ml以上、より好ましくは500ml以上のパルプ)を用いることが好ましい。叩解があまり進んでいないパルプを用いると、後述する解繊処理工程で得られる微細繊維状セルロース同士の絡み合いを少なくでき、微細繊維状セルロースの安定性が向上する。また、後述するアルカリ処理前後にパルプを水や有機溶媒で洗浄する際の脱水洗浄性が向上する。
本発明で使用する化合物Aとしては、リン酸及びポリリン酸などのリン酸基を有する化合物、亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸又はこれらの塩若しくはエステルが挙げられる。
これらの中でも、低コストであり、扱いやすく、また、セルロースのヒドロキシ基にリン酸基を導入して解繊効率をより向上できることから、リン酸基を有する化合物が好ましい。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸のリチウム塩であるリン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、ポリリン酸リチウム、更にリン酸のナトリウム塩であるリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、更にリン酸のカリウム塩であるリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウムなどが挙げられる。
これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊効率がより向上しやすく、低コストであり、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましい。
また、反応の均一性が高まり、且つリンオキソ酸基導入の効率が高くなることから化合物Aは水溶液として用いることが好ましい。化合物Aの水溶液のpHは、リンオキソ酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましいが、パルプ繊維の加水分解を抑える観点からpH3〜7が好ましい。
繊維原料に対する化合物Aの質量割合は、繊維原料100質量部に対して化合物Aが、リン元素量として0.2〜500質量部が好ましく、1〜400質量部がより好ましく、2〜200質量部が最も好ましい。化合物Aの割合が前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。しかし、前記上限値を超えても、収率向上の効果は頭打ちとなり、無駄に化合物Aを使用するだけである。
工程(a)においては加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理温度は、セルロースの熱分解温度の点から、250℃以下であることが好ましい。また、セルロースの加水分解を抑える観点から、加熱処理温度は100〜170℃であることが好ましい。さらに、加熱処理の際に化合物Aを添加した繊維原料スラリーに水が含まれている間の加熱については、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下で加熱して充分にスラリーの水分を除去乾燥した後、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。また、スラリー中の水分を除く際には減圧乾燥機を用いてもよい。
[解繊処理工程(b)]
解繊処理工程(b)では、通常、解繊処理装置を用いて、リンオキソ酸基導入セルロースを解繊処理して、微細繊維状セルロース含有スラリーを得る。解繊処理の際には、リンオキソ酸基導入セルロースを水と有機溶媒を単独又は組み合わせて希釈してスラリー状にすることが好ましい。希釈後のリンオキソ酸基導入セルロースの固形分濃度は0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。希釈後のリンオキソ酸基導入セルロースの固形分濃度が前記下限値以上であれば、解繊処理の効率が向上し、前記上限値以下であれば、解繊処理装置内での閉塞を防止できる。
得られたスラリーを乾燥することで、乾燥状態の微細繊維状セルロースを得ることもできる。乾燥法としては、当技術分野で公知の方法を使用でき、例えば、スプレードライ法、凍結乾燥法、ドラムドライヤーによる乾燥法、噴霧乾燥法等が用いられる。増粘剤としては、微細繊維状セルロースのスラリーをそのまま用いてもよいし、スラリーを乾燥したものを用いてもよい。
[その他の処理]
上記微細繊維状セルロースの製造方法において、工程(a)と工程(b)の間にアルカリ処理工程を有すると、微細繊維状セルロースの収率が向上するため、好ましい。また、該アルカリ処理によって、セルロースに導入されたリンオキソ酸基に陽イオンを供給して、容易に塩にすることができる。
アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、リンオキソ酸基導入セルロースを浸漬する方法が挙げられる。アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。無機アルカリ化合物としては、アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩又はアルカリ土類金属のリン酸塩が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられ、アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウムが挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の炭酸塩としては炭酸カルシウムなどが挙げられる。
アルカリ金属のリン酸塩としてはリン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属のリン酸塩としてはリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
有機アルカリ化合物としては、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウム、複素環式化合物及びその水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等が挙げられる。例えば、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム等が挙げられる。
アルカリ溶液における溶媒としては水又は有機溶媒のいずれであってもよいが、極性溶媒(水、アルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が特に好ましい。
リンオキソ酸基導入セルロースを浸漬させたアルカリ溶液の25℃におけるpHは9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11〜14であることがさらに好ましい。アルカリ溶液のpHが前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースの収率がより高くなる。しかし、pHが14を超えると、アルカリ溶液の取り扱い性が低下する。
セルロースには、さらなる化学修飾処理を施してもよい。ここで、化学修飾とは、セルロース中のヒドロキシ基に化学修飾剤を反応させて付加させることである。化学修飾処理は、微細繊維状セルロースの製造のどの時点で行ってもよく、繊維原料に施してもよいし、リンオキソ酸基導入セルロースに施してもよい。また、化学修飾処理を、リンオキソ酸基導入工程と同時に行ってもよい。
化学修飾によってセルロースに導入させる官能基としては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの中では特にアセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜12のアシル基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
<組成物>
本発明はまた、1000nm以下の繊維幅を有し、かつ繊維を構成するセルロースのヒドロキシ基の一部がリンオキソ酸基で置換された微細繊維状セルロースと水とを含む組成物に関する。本発明の組成物は、さらに、機能性添加剤を含んでいてもよい。機能性添加剤としては、例えば、pH調整剤、無機塩類、有機塩類、界面活性剤、オイル類、保湿剤、防腐剤、有機微粒子、無機微粒子、消臭剤、香料、有機溶媒、機能成分等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
pH調整剤は、食品や化粧品のpHをコントロールするものであり、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マレイン酸等の有機酸が挙げられる。
無機塩類としては、水に溶解・分散できるものが好ましく、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属と、ハロゲン化水素、硫酸、炭酸等からなる塩類が挙げられ、具体的には、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、(NHSO、NaCO等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
有機塩類としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の水酸化物や、有機アミンと分子中に存在するカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等を中和することにより実質的に水溶性、水分散性を示す物質であれば特に限定することなく用いられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
界面活性剤としては、例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(塩)等の非イオン界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン界面活性剤;レシチン、ラノリン、コレステロール、サポニン等の界面活性能を有する天然物;スルホコハク酸エステル類やエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体等のような低刺激性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
オイル類としては、例えば、ホホバ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、月見草油、ミンク油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、カカオ油、ヤシ油、コメヌカ油、オリーブ油、アーモンド油、ごま油、サフラワー油、大豆油、椿油、パーシック油、綿花油、モクロウ、パーム油、パーム核油、卵黄油、ラノリン、スクワレン等の天然動植物油脂類;合成トリグリセライド、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、イソパラフィン等の炭化水素類;カルナバウロウ、パラフィンワックス、鯨ロウ、ミツロウ、キヤンデリラワックス、ラノリン等のワックス類;セタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、オキシステアリン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸等の高級脂肪酸類;コレステリル−オクチルドデシル−ベヘニル等のコレステロールおよびその誘導体;イソプロピルミリスチン酸、イソプロピルパルミチン酸、イソプロピルステアリン酸、2−エチルヘキサン酸グリセロール、ブチルステアリン酸等のエステル類;ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリトリトールエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、リノール酸エチル等の極性オイル等が挙げられる。例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、片末端反応性シリコーン、異種官能基変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸含有シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられ、より具体的には、シリコーン樹脂、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタンメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ポリオキシエチレン−メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン−メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロゲンポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサンエマルジョン、高重合メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン等の各種誘導体を含むシリコーン類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
保湿剤としては、例えば、ヒアルロン酸、スクワラン、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
有機微粒子としては、例えば、ポリエチレンエマルション、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、ウレタンエマルジョン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
無機微粒子としては、例えば、酸化チタン、シリカ化合物、カーボンブラック等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルパラベン等のパラベンが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
消臭剤及び香料としては、例えば、Dリモネン、デシルアルデヒド、メントン、プレゴン、オイゲノール、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メントール、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、植物(例えば、カタバミ、ドクダミ、ツガ、イチョウ、クロマツ、カラマツ、アカマツ、キリ、ヒイラギモクセイ、ライラック、キンモクセイ、フキ、ツワブキ、レンギョウ等)の各器官から水、親水性有機溶剤で抽出された消臭有効成分等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
有機溶媒としては、例えば、水に可溶するアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン等)、エーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
機能成分としては、例えば、パラアミノ安息香酸及びその誘導体、ホモメチル−7N−アセチルアラントイラニレート、ブチルメトキシベンゾイルメタン、ジ−パラメトキシケイ皮酸−モノ−2−エチルへキサン酸グリセリル、オクチルシンナメート等のパラメトキシケイ皮酸誘導体、アミノサリシレート等のサリチル酸誘導体、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノリン誘導体、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシル、酢酸液状ラノリン、コガネバナ根抽出エキス、トリアニリノ−p−カルボエチルヘキシルオキシ−トリアジン等の紫外線吸収剤;アルブチン、コウジ酸、リン酸アスコルビン酸マグネシウム等のアスコルビン酸及びその誘導体、グルタチオン、甘草エキス、チョウジエキス、茶抽出物、アスタキサンチン、牛胎盤エキス、トコフェロール及びその誘導体、トラネキサム酸及びその塩、アズレン、γ−ヒドロキシ酪酸等の美白成分;エチレンジアミン四酢酸及びその塩類、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸塩類、メタリン酸塩類等の金属イオン封鎖剤;ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル、及びアスコルビン酸リン酸エステル等のビタミンC類、α−トコフェロール、β−トコフェロール及びγ−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH並びにパントテン酸等のビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルチン酸(塩)グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモールイソシトール、サポニン類(キラヤサポニン、アズキサポニン、ヘチマサポニン等)、トラネキサム酸、パントテルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、セファランジン、プラセンタエキス、センブリエキス、セファランチン、ビタミンE及びその誘導体、ガンマ−オリザノール等の血行促進剤;トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステル等の局所刺激剤;アミノ酸等の栄養剤;グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘導体、塩化カルプロニウム、ノニル酸ワニルアミド、アラントイン、アズレン、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤;酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸等の収斂剤;メントール、カンフル等の清涼剤;抗ヒスタミン剤;高分子シリコーン、環状シリコーン等のシリコーン系物質;BHA、BHT、没食子酸、NDGA、トコフェロール、フィチン酸等の酸化防止剤;サッカロマイセス等の酵母、糸状菌、バクテリア、牛胎盤、人胎盤、酵母、コラーゲン、牛乳由来タンパク、小麦、大豆、牛血液、豚血液、鶏冠、カミツレ、きゅうり、米、シアバター、シラカバ、茶、トマト、にんにく、ハマメリス、バラ、ヘチマ、ホップ、桃、杏、レモン、キウイ、どくだみ、トウガラシ、クララ、ギシギシ、コウホネ、セージ、ノコギリ草、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、アロエベラ、オウゴン、オウバク、コウカ、ベニバナ、サンシン、シコン、タイソウ、チンピ、ニンジン、ヨクイニン、ハトムギ、クチナシ、サワラ等の動植物、微生物及びその一部から有機溶媒、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコール等で抽出又は加水分解して得た天然エキス;色素類;カチオン化セルロース、カルボキシビニルポリマー、カルボニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース等の高分子添加剤;キレート剤;トリエタノールアミンや水酸化カリウム、ホウ砂等のアルカリ等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
機能性添加剤の配合量は、機能性添加剤が目的とする効果を発現するために必要な配合量で用いることが好ましく、特に限定されるものではない。
本発明の組成物は、例えば、上記リンオキソ酸基が導入された微細繊維状セルロース及び水とともに、必要に応じて機能性添加剤を適宜配合し、これらを混合処理等することにより得ることができる。微細繊維状セルロースとしては、上記で得られたスラリー状のものをそのまま用いてもよいし、スラリーを乾燥したものを用いてもよい。
混合処理としては、例えば、真空ホモミキサー、ディスパー、プロペラミキサー、ニーダー等の各種混練器、各種粉砕機、ブレンダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ペブルミル、ビーズミル粉砕機、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー等を用いた混合処理が挙げられる。
このようにして得られる本発明の組成物の粘度は、好ましくは300mPa・s以上であり、より好ましくは400〜2000mPa・sの範囲である。ここで、粘度は、B型粘度計(No.2及びNo.3ローター)(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて回転数60rpm(3分)で測定した値をさす。
本発明の組成物における、リンオキソ酸基が導入された微細繊維状セルロースの含有量は、組成物全体に対し、好ましくは0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.2〜1.5質量%である。微細繊維状セルロースの含有量を上記範囲内とすることにより、塩やイオン性界面活性剤等の共存下でも、また酸性条件下でも、高い粘性を保持することができる。また、著しく粘度が上昇し、組成物のハンドリング性(ポンプで送るなど)が悪化するのを防止できる。
ここで、酸性条件とは、pH7未満、好ましくはpH6以下、例えば、pH2〜5の条件をいう。したがって、一実施形態において本発明の組成物は、酸性、好ましくはpH3〜5で、400mPa・s以上の粘度を有する。
本発明の組成物が、上記微細繊維状セルロースと水のみからなる場合は、水の配合量は、組成物全体から微細繊維状セルロースの含有量(0.1〜5.0質量%)を除いた残量(95質量%〜99.9質量%)となる。また、本発明の組成物が、微細繊維状セルロース及び水以外に、機能性添加剤等を含有する場合には、組成物全体から微細繊維状セルロースの含有量(0.1〜5.0質量%)と、機能性添加剤等の含有量を除いた残量が、水の配合量となる。
<化粧料組成物>
一実施形態において本発明の組成物は、化粧料組成物である。本発明の化粧料組成物は、好ましくは300mPa・s以上、より好ましくは400〜50000mPa・sの粘度を有する。本発明の化粧料組成物は、例えば、クリーム状、ゲル状、乳液状の剤形を有する。本発明の微細繊維状セルロースを化粧料組成物に配合することにより、少ない量で粘度の調整を容易に実施でき、使用感に優れた化粧料組成物を得ることができる。また、皮膚に塗布した際のべとつき感や、ざらつき感がない使用感を得ることができる。
本発明の化粧料組成物は、具体的には、化粧水、乳液、コールドクリーム、バニシングクリーム、マッサージクリーム、エモリエントクリーム、クレンジングクリーム、美容液、パック、ファンデーション、サンスクリーン化粧料、サンタン化粧料、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、美白乳液、各種ローション等の皮膚用化粧料、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、リンスインシャンプー、ヘアスタイリング剤(ヘアフォーム、ジェル状整髪料等)、ヘアトリートメント剤(ヘアクリーム、トリートメントローション等)、染毛剤やローションタイプの育毛剤又は養毛剤等の毛髪用化粧料、さらにはハンドクリーナーのような洗浄剤、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、芳香剤や歯磨剤、軟膏、貼布剤等の形態でありうる。
本発明の増粘剤は、例えば、医薬品、化粧品、食品、建築分野などの工業製品を含む広汎な分野に利用できる。このような耐酸性のある微細繊維状セルロースからなる水溶性増粘剤は、これまで、医薬品、化粧品、食品、建築分野などの工業製品を含む広汎な分野において存在しない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。実施例中、%は特に断らない限り、質量%を示す。
(製造例1)
リン酸化微細セルロース(微細セルロース1)の調製:
尿素100g、リン酸二水素ナトリウム二水和物55.3g、リン酸水素二ナトリウム41.3gを109gの水に溶解させてリン酸化試薬を調製した。
乾燥した針葉樹晒クラフトパルプの抄上げシートをカッターミル及びピンミルで処理し、綿状の繊維にした。この綿状の繊維を絶乾質量で100g取り、リン酸化試薬をスプレーでまんべんなく吹きかけた後、手で練り合わせ、薬液含浸パルプを得た。
得られた薬液含浸パルプを140℃に加熱したダンパー付きの送風乾燥機にて、80分間加熱処理し、リン酸化パルプを得た。
得られたリン酸化パルプをパルプ質量で100g分取し、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。次いで、得られた脱水シートを10Lのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加し、pHが12〜13のパルプスラリーを得た。その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。
脱水洗浄後に得られたセルロース繊維にイオン交換水を添加し、0.5質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−11S)を用いて、6900回転/分の条件で180分間解繊処理した。その後、イオン交換水を添加してスラリー固形分濃度0.25質量%に調整し、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H−2000B、RNローター、CKN1コレクタ)を用いて連続遠心を行った。この時、解繊液を送液ポンプにて100ml/分で送液し、18000G条件で遠心分離を行った。得られた上澄み液を回収し、微細セルロース繊維含有スラリーを得た。得られた微細セルロース繊維を「微細セルロース1」とした。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、1230〜1290cm−1にリン酸基に基づく吸収が見られ、リン酸基の付加が確認された。よって、得られたリン酸オキソ酸導入セルロースは、セルロースのヒドロキシ基の一部が下記構造式(2)の官能基で置換されたものであった。
Figure 2015189698
(製造例2)
カルボキシル化微細セルロース(微細セルロース2)の調製:
乾燥質量200g相当分の未乾燥の針葉樹晒クラフトパルプとTEMPO2.5gと、臭化ナトリウム25gとを水1500mlに分散させた後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1.0gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5.4mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10〜11に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なした。
その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。
脱水洗浄後に得られたセルロース繊維にイオン交換水を添加し、0.5質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−11S)を用いて、6900回転/分の条件で180分間解繊処理した。その後、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H−2000B、RNローター、CKN1コレクタ)を用いて連続遠心を行った。この時、解繊液を送液ポンプにて100ml/分で送液し、18000G条件で遠心分離を行った。得られた上澄み液を回収し、微細セルロース繊維含有スラリーを得た。得られた微細セルロース繊維を「微細セルロース2」とした。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、1730cm−1にカルボキシル基に基づく吸収が見られ、カルボキシル基の付加が確認された。
(試験例1)
セルロース表面のリン酸基量測定:
製造例1にて作製した微細セルロース1のリン酸基量を測定した。絶乾質量で0.04g程度の固形分を含む微細セルロース繊維含有スラリーを分取し、イオン交換水を用いて50g程度に希釈した。この溶液を、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えていったときの電気伝導度の値の変化を測定し、その値が極小となる時の0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を滴定終点における滴下量とした。
この時、セルロース表面の置換基量XはX(mmol/g)=0.01(mol/l)×V(ml)/W(g)で表される。ここで、V:0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量(ml)、W:微細セルロース繊維含有スラリーが含む固形分(g)である。測定結果を表1に示す。
セルロース表面のカルボキシル基量測定:
製造例2にて作製した微細セルロース2のカルボキシル基量を測定した。絶乾質量で0.04g程度の固形分を含む微細セルロース繊維含有スラリーを分取し、イオン交換水を用いて50g程度に希釈した。この溶液を、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えていったときの電気伝導度の値の変化を測定し、その値が極小となる時の0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を滴定終点における滴下量とした。
この時、セルロース表面の置換基量XはX(mmol/g)=0.005(mol/l)×V(ml)/W(g)で表される。ここで、V:0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量(ml)、W:微細セルロース繊維含有スラリーが含む固形分(g)である。測定結果を表1に示す。
粘度の測定:
得られた各試料を25℃にてB型粘度計(No.2及びNo.3ローター)(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて回転数60rpm(3分)で粘度を測定した。100mM塩酸水溶液を調製し、1mL(0.1mM)ずつ加えては粘度を測定した。測定結果を表1に示す。
数平均繊維径の測定:
解繊パルプスラリーの上澄み液を濃度0.01〜0.1質量%に水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。乾燥後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察し、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることを確認した。
Figure 2015189698
(実施例1)
微細セルロース1と水と塩化ナトリウムを用いた組成物を調製した。微細セルロースを0.3質量%、塩化ナトリウム(機能性添加剤)を0.1質量%添加してスラリーとし、IKA社T25URTRA TURRAXホモジナイザーを用いて回転数10,000rpmで5分間攪拌して試料を得た。結果を表2に示す。
(比較例1)
微細セルロース1の代わりに微細セルロース2を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
Figure 2015189698
(実施例2)
塩化ナトリウムの代わりにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.0質量%添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
(比較例2)
微細セルロース1の代わりに微細セルロース2を用いた以外は実施例2と同様に行った。結果を表3に示す。
Figure 2015189698
(実施例3)
塩化ナトリウムの代わりにスクワランを10質量%添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
(比較例3)
微細セルロース1の代わりに微細セルロース2を用いた以外は実施例3と同様に行った。結果を表4に示す。
Figure 2015189698
(実施例4)
塩化ナトリウムの代わりにグリセリンを10質量%添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
(比較例4)
微細セルロース1の代わりに微細セルロース2を用いた以外は実施例4と同様に行った。結果を表5に示す。
Figure 2015189698
(実施例5)
塩化ナトリウムの代わりにメチルパラベンを0.3質量%添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。
(比較例5)
微細セルロース1の代わりに微細セルロース2を用いた以外は実施例5と同様に行った。結果を表6に示す。
Figure 2015189698
(実施例6)
塩化ナトリウムの代わりに疎水化酸化チタン(STV−455、チタン工業株式会社製)を1.0質量%添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表7に示す。
(比較例6)
微細セルロース1の代わりに微細セルロース2を用いた以外は実施例6と同様に行った。結果を表7に示す。
Figure 2015189698
(実施例7)
塩化ナトリウムの代わりにアニオン性ポリエチレンエマルション(商品名:「E−2213」(平均粒子径:0.07μm)、東邦化学工業社製)を1.0質量%添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表8に示す。
(比較例7)
微細セルロース1の代わりに微細セルロース2を用いた以外は実施例7と同様に行った。結果を表8に示す。
Figure 2015189698
(実施例8)
塩化ナトリウムの代わりにエタノールを10質量%添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表9に示す。
(比較例8)
微細セルロース1の代わりに微細セルロース2を用いた以外は実施例8と同様に行った。結果を表9に示す。
Figure 2015189698
(実施例9)
塩化ナトリウムの代わりにヒノキチオールを1.0質量%添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表10に示す。
(比較例9)
微細セルロース1の代わりに微細セルロース2を用いた以外は実施例9と同様に行った。結果を表10に示す。
Figure 2015189698
表2〜10に示すとおり、製造例1で作製したリン酸基を有する微細繊維状セルロースは機能性添加剤を配合した条件にて、比較例と比べて耐酸性に優れていることが分かった。
(実施例10及び比較例10)
表11に微細セルロース1又は微細セルロース2を用いた酸性染毛料の処方を示す。調製法は常法に従った。得られた各試料のpHは「表11」のとおりであり、ほぼ同程度であった。次に各試料の安定性及び使用感を評価した結果、実施例10は良好であった。これに対し、比較例10では粘度が低く、使用感に劣るものであった。
Figure 2015189698
(実施例11)
表12に微細セルロース1を使用したヘアジェルの処方を示す。常法により調製された実施例11はたれ落ちがない良好な使用感を示すヘアジェルであった。
Figure 2015189698
本発明の増粘剤は、天然素材であるセルロース繊維を使用し、また、各種機能性添加剤との配合性にも優れているとともに、耐酸性を有することから、化粧品基材や、芳香剤のようなトイレタリー用品基材等として広く好適に利用することができる。

Claims (9)

  1. 1000nm以下の繊維幅を有し、かつ繊維を構成するセルロースのヒドロキシ基の一部がリンオキソ酸基で置換された微細繊維状セルロースを含む増粘剤。
  2. 微細繊維状セルロースの数平均繊維径が2〜150nmである、請求項1に記載の増粘剤。
  3. 微細繊維状セルロースが、セルロースのヒドロキシ基の一部が、下記構造式(1):
    Figure 2015189698
    [式中、
    a、b、m、nは自然数であり(ただし、a=b×mである)、
    α1、α2、・・・、αn及びα’のうちの少なくとも1つはOであり、残りはR又はORであり、
    Rは、各々独立して、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、芳香族基又はこれらの誘導基であり、
    βは有機物又は無機物からなる1価以上の陽イオンである]
    で表されるリンオキソ酸基で置換されたものである、請求項1又は2に記載の増粘剤。
  4. リンオキソ酸基がリン酸基である、請求項1〜3のいずれかに記載の増粘剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の増粘剤と水とを含む、組成物。
  6. pH調整剤、無機塩類、界面活性剤、オイル類、保湿剤、防腐剤、有機微粒子、無機微粒子、消臭剤、香料、有機溶媒及び機能成分からなる群から選択される機能性添加剤をさらに含む、請求項5に記載の組成物。
  7. pHが2〜6である、請求項5又は6記載の組成物。
  8. 化粧料組成物である、請求項5〜7のいずれかに記載の組成物。
  9. クリーム状、ゲル状又は乳液状の剤形を有する請求項8に記載の組成物。
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