JPH1149810A - 高分子量ポリマーおよびその製造方法並びにドラッグレデューサ - Google Patents

高分子量ポリマーおよびその製造方法並びにドラッグレデューサ

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JPH1149810A
JPH1149810A JP10141895A JP14189598A JPH1149810A JP H1149810 A JPH1149810 A JP H1149810A JP 10141895 A JP10141895 A JP 10141895A JP 14189598 A JP14189598 A JP 14189598A JP H1149810 A JPH1149810 A JP H1149810A
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JP
Japan
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molecular weight
polymerization reaction
high molecular
polymer
weight polymer
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Application number
JP10141895A
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English (en)
Inventor
Susumu Inaoka
享 稲岡
Kazuchika Fujioka
和親 藤岡
Yohei Murakami
洋平 村上
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラジカル重合反応において、重合反応系に存
在する溶存酸素を効果的に除去することにより、従来よ
りも高分子量であり、また、分岐の少ない直鎖状である
とともに、有機溶媒に可溶である高分子量ポリマーを、
より安定化し、かつ、コントロールし易い製造方法にて
製造する。 【解決手段】 重合反応系における溶存酸素量に対応し
た量の酸素吸収剤を該重合反応系に存在させる。この酸
素吸収剤としては、用いられる溶媒に可溶である強還元
性の酸素吸収剤が好ましい。その後、50℃以下の反応
温度で、シード重合法を用いて乳化重合プロセスによる
ラジカル重合反応を行う。得られた高分子量ポリマーは
ドラッグレデューサなどとして好適に用いることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラジカル重合反応
における溶媒中に存在する溶存酸素を除去することによ
り高分子量ポリマーを製造する方法および該製造方法に
より得られる高分子量ポリマー並びにドラッグレデュー
サに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、高分子量ポリマーを製造する
方法としては、たとえば、米国特許3600349号公
報に開示された方法がよく知られている。この方法で
は、レドックス系のラジカル重合開始剤を用い、かつ、
重合温度を低温とした反応条件の下、ブタジエンを乳化
重合する。これによって、分岐がなく高分子量であるブ
タジエンエラストマーのポリマーまたはコポリマーを製
造することができる。
【0003】上記のように乳化重合を用いたラジカル重
合反応によってポリマーを製造する場合は、重合反応系
に存在している酸素(溶存酸素)を除去する必要があ
る。これは、ラジカル重合開始剤(以下、開始剤と記
す)によって発生するラジカルが上記溶存酸素と反応し
て失活し、該ラジカルによる重合反応(ラジカル重合反
応)を開始・進行することができなくなるためである。
【0004】このため、溶媒中の溶存酸素を除去する方
法として、たとえば、窒素やヘリウムなどの不活性ガス
で溶媒をバブリングすることが行われている。また、ラ
ジカル重合反応中においても、上記不活性ガスをフロー
させることによって、重合反応系に対する酸素の混入の
防止も行われている。
【0005】ここで、上記の溶存酸素をより確実に除去
することにより高分子量ポリマーを製造する方法とし
て、特開平5−214006号公報に開示された方法が
知られている。上記の方法においては、レドックス系の
開始剤を用いることは上記米国特許3600349号公
報に開示された方法と同様である。しかしながら、上記
の方法は、それまでの方法では考慮されていなかった重
合反応系の水相における溶存酸素の濃度を測定し、該濃
度を十分に低下させた上でラジカル重合反応を行うこと
を特徴とする方法である。
【0006】この方法では、具体的には、窒素ガスで上
記水相をバブリングすることにより、溶存酸素の濃度を
0.5%重亜硫酸ナトリウム水溶液における酸素濃度以
下となるようにしている。このため、開始剤により発生
するラジカルは、溶存酸素と反応して失活することがな
い。したがって、上記開始剤の重合反応系への添加をよ
り減少させて、ラジカルの量そのものを減少させること
ができる。この結果、1つのラジカル重合反応に用いら
れるモノマーの量を多くすることができるため、超高分
子量ポリマーのエマルジョンを製造することができる。
【0007】また、ラジカルが酸素と反応し易いことを
利用して、上記開始剤の重合反応系への添加量を必要量
よりも多めに添加する方法も考えられる。この方法で
は、発生したラジカルと溶存酸素とを反応させることに
よって酸素が除去される。その後、残存しているラジカ
ルによってラジカル重合反応が開始・進行される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の不活
性ガスによる溶媒のバブリングでは、溶存酸素をある程
度除去することは可能となる。しかし、不活性ガスとし
て用いられる窒素やヘリウムなどのなかには、ppmオ
ーダーで酸素が存在しているため、上記の溶媒のバブリ
ングやラジカル重合反応中の溶媒のフローによって、上
記のわずかな酸素が溶媒に溶け込むことになる。この酸
素の溶け込みによって、溶媒中のラジカルが失活し、ラ
ジカル重合反応に悪影響を及ぼすという問題点を生じて
いる。
【0009】特に、上記米国特許3600349号公報
や特開平5−214006号公報など、高分子量ポリマ
ーを製造する場合では、ラジカル重合反応を開始・進行
するためのラジカルの量は通常よりも少なくなってい
る。それゆえ、不活性ガスによる酸素の溶け込みがわず
かであってもラジカルは失活してしまい、ラジカル重合
反応の開始・進行は阻害されかねない。
【0010】しかし、特開平5−214006号公報の
方法においては、上記の問題点に対して何ら考慮がなさ
れておらず、また、米国特許3600349号公報で
は、溶存酸素の効果的な除去法についての具体的な記載
がなされていないため、上記の問題点に対応することが
できない。
【0011】また、上記の過剰の開始剤を添加する方法
では、ラジカル重合反応のコントロールが難しくなると
いう問題点を有している。すなわち、溶媒中の溶存酸素
の量が多い場合では、開始剤により発生するラジカルを
用いて全ての溶存酸素を除去することは困難となる。そ
の結果、溶存酸素との反応にほとんどのラジカルが用い
られてしまい、ラジカル重合反応の開始・進行が抑制さ
れることになる。これに対して、溶存酸素の量が少ない
場合では、ラジカルはほとんど酸素と反応せずに残存す
る。この結果、重合反応系にラジカルの量が多くなるた
め、得られるポリマーの分子量は小さいものになってし
まう。
【0012】つまり、過剰の開始剤を添加する上記の方
法では、ラジカル重合反応の開始・進行、および、
溶存酸素の除去、という2つの要因に対して、開始剤と
いう1つの試薬のみで対応していることになる。このた
め、との各要因のバランスをとることが困難とな
り、結果として、ラジカル重合反応のコントロールを困
難にするという問題点を生じている。
【0013】さらに、上記の過剰の開始剤を添加する方
法では、溶存酸素の除去において、ラジカルが溶存酸
素と反応して該酸素を除去するためには、ディレータイ
ム(delay time)と呼ばれる一定の時間が必要となる。
それゆえ、開始剤の重合反応系への添加後、ラジカル重
合反応が開始されるまで一定の時間を要し、重合反応の
再現性が低下したり、ポリマーの製造の効率化を低下さ
せるという問題点を生じている。
【0014】ところで、原油などの有機系の液体をパイ
プラインなどの導管で輸送する場合に、該液体の輸送が
円滑に行われなくなるという問題が生じる場合がある。
この問題は、上記液体の輸送圧力が、該液体と導管との
間に生じる摩擦力によって損失することに由来する。特
に、長距離輸送の場合では、上記輸送圧力が短い距離の
間に損失するため、ポンプステーションを多く設置しな
ければならないという問題点が生じている。
【0015】このような輸送圧力の損失(以下、圧力損
失とする)を抑制するために、従来よりドラッグレデュ
ーサが用いられている。上記ドラッグレデューサは高分
子量ポリマーを含んでおり、これを上記液体に添加する
ことによって該液体の流動性が向上する。そのため、上
記圧力損失を抑制することが可能となるとともに、液体
の輸送圧力を低減させることも可能となる。
【0016】上記ドラッグレデューサに用いられる高分
子量ポリマーは、できる限り高分子量であり、かつ、分
岐の少ない直鎖状のものが好ましいことが知られてお
り、例えば、180万から740万程度の分子量のポリ
マーがドラッグレデューサの効果を示すことが知られて
いる(中村邦夫、高分子34巻2号86〜89頁(19
85年))。
【0017】高分子ポリマーのドラッグレデューサとし
ての効果すなわち圧力損失抑制効果は、前掲の高分子3
4巻2号の記事には、トルエンに分子量360万のポリ
スチレンを550ppm添加した場合、圧力損失が60
%抑制される等の例の記載があり、米国特許37584
06号公報には、極限粘度数(以下、[η]と表現す
る)3.4のポリ2−エチルヘキシルアクリレートを2
lb/1000galsすなわちおよそ200ppmのケロセ
ンに添加した場合、圧力損失が44%抑制される等の例
が記載されている。その製造方法としては、例えば、前
掲の米国特許3758406号公報に開示されている方
法が知られている。しかし、この方法で得られる高分子
量ポリマーには、原油などの有機系の液体に難溶なもの
が多く、また、分岐の少ない直鎖状の高分子量ポリマー
を製造することも困難であるという問題点を生じてい
る。このため、ドラッグレデューサなどの用途に好適に
用いられる高分子量ポリマーおよびその効率的な製造方
法が求められている。
【0018】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、ラジカル重合反応において該重合
反応に悪影響を及ぼす溶存酸素を効果的に除去すること
によって高分子量ポリマーを効率的に製造する方法およ
び該製造方法により得られる高分子量ポリマー並びにド
ラッグレデューサを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
高分子量ポリマーの製造方法は、以上の課題を解決する
ために、重合反応系における溶存酸素量に対応した量の
酸素吸収剤の存在下でラジカル重合反応を行うことを特
徴としている。
【0020】上記の請求項1記載の方法によれば、酸素
吸収剤を重合反応系に存在させることによって、該重合
反応系の溶存酸素を効果的に除去できる。そのため、ラ
ジカルと溶存酸素とが反応して失活することを防止でき
るとともに、溶存酸素によるラジカルの失活を考慮する
必要がなくなる。したがって、ラジカル重合開始剤の重
合反応系への添加量を従来よりも減少させることができ
るため、得られるポリマーを、従来よりも高分子量のポ
リマーとすることができる。加えて、溶存酸素の除去に
よりラジカル重合反応が安定化するため、従来、ラジカ
ル重合反応では重合できなかった反応性の低い重合も可
能とすることができる。
【0021】また、上記の酸素吸収剤による溶存酸素の
除去により、従来、溶存酸素を除去するために行われて
いたラジカル重合開始剤の過剰な重合反応系への添加は
回避される。また、それに伴うディレータイムの発生も
回避して、ラジカル重合を即時に開始することができ
る。
【0022】さらに、ラジカル重合開始剤の過剰な添加
に伴うラジカル重合反応のコントロールの困難さを解消
することができる。すなわち、重合の開始・進行と溶存
酸素の除去との両方をラジカル重合開始剤の添加により
行う方法では、それぞれのバランスをとることが困難で
あるため、ラジカル重合反応のコントロールも困難とな
る。しかし、上記本発明の方法では、酸素吸収剤により
溶存酸素を除去することができるため、ラジカル重合開
始剤により発生するラジカルは、重合の開始・進行のみ
に用いることができる。したがって、ラジカル重合反応
をよりコントロールし易くすることが可能となる。
【0023】本発明の請求項2記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上の課題を解決するために、上記請求
項1記載の高分子量ポリマーの製造方法において、上記
酸素吸収剤が、ラジカル重合反応に用いられる溶媒に可
溶であることを特徴としている。
【0024】上記の請求項2記載の方法によれば、酸素
吸収剤を溶媒中に均一に分散させることができるため、
溶存酸素をより効果的に除去することができる。このた
め、よりラジカル重合反応を安定化し、コントロールし
易くすることができる。
【0025】本発明の請求項3記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上の課題を解決するために、上記請求
項1または2記載の高分子量ポリマーの方法において、
上記酸素吸収剤が、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、二亜硫酸塩
および亜二チオン酸塩からなる群より選ばれる少なくと
も1種以上の還元剤およびその組合わせであることを特
徴としている。
【0026】上記の請求項3記載の方法によれば、上記
1群を構成する各還元剤は還元性が非常に強く、かつ、
ラジカルとは全く反応性を有しない。そのため、ラジカ
ルと反応する溶存酸素のみを除去することが可能とな
り、かつ、ラジカル重合反応を阻害することも回避され
る。したがって、上記1群の還元剤を用いることによっ
て、ラジカル重合反応をより安定化し、コントロールし
易くするとともに、より高分子量のポリマーを製造する
ことができる。
【0027】本発明の請求項4記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上の課題を解決するために、上記請求
項1から3の何れか1項に記載の高分子量ポリマーの製
造方法において、上記ラジカル重合反応を行うにあたっ
て、ラジカル重合開始剤および酸素吸収剤の導入を、酸
素吸収剤を重合反応系に先に導入し、その後にラジカル
重合開始剤を導入する順序で行うことを特徴としてい
る。
【0028】上記請求項4記載の方法によれば、重合反
応系の溶存酸素が重合開始以前にあらかじめ除去された
状態となるので、開始剤の添加により発生するラジカル
が溶存酸素と反応して失活することがなく、発生したラ
ジカルを有効に重合反応の開始・進行に用いることがで
きる。
【0029】本発明の請求項5記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上の課題を解決するために、上記請求
項1から4の何れか1項に記載の高分子量ポリマーの製
造方法において、上記ラジカル重合開始剤として、酸素
吸収剤と酸化還元系を形成しない化合物を使用すること
を特徴としている。そして、本発明の請求項6記載の高
分子量ポリマーの製造方法は、以上の課題を解決するた
めに、上記請求項1から5の何れか1項に記載の高分子
量ポリマーの製造方法において、上記ラジカル重合開始
剤として、アゾ系の化合物を使用することを特徴として
いる。
【0030】上記請求項5および6記載の方法によれ
ば、開始剤から発生するラジカルの数が酸素吸収剤の残
存量に影響されることがないので、ラジカル重合反応を
容易に制御することができる。
【0031】本発明の請求項7記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上の課題を解決するために、上記請求
項1から6の何れか1項に記載の高分子量ポリマーの製
造方法において、上記ラジカル重合反応における重合方
法が乳化重合法であることを特徴としている。
【0032】乳化重合法は、溶液重合法、塊状重合法あ
るいは懸濁重合法など他の重合法に比べて重合速度や重
合度を大きくすることができるという特徴を有する重合
法であり、上記請求項7記載の方法によれば、酸素吸収
剤を用いる本発明の製造方法を乳化重合法に適用するこ
とにより、本発明の特徴をよりよく発揮することができ
るものである。
【0033】本発明の請求項8記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上の課題を解決するために、上記請求
項7に記載の高分子量ポリマーの製造方法において、上
記乳化重合法がシード重合法であることを特徴としてい
る。
【0034】上記請求項8記載の方法によれば、先にモ
ノマーをある程度、前重合してシードポリマーを得、さ
らに、これをもとに、本重合を進行させる。そのため、
本重合としての乳化重合の開始・進行を安定化すること
ができるとともに、より高分子量のポリマーを製造する
ことができる。
【0035】本発明の請求項9記載の高分子量ポリマー
は、以上の課題を解決するために、一般式 CH2 =CR1 COOR (R1 はHまたはCH3 、Rは炭素数1〜30の一価の
炭化水素基)で表される(メタ)アクリレート類を含む
単量体を重合してなる高分子量ポリマーであって、極限
粘度数が5以上であるとともに、有機溶媒に可溶である
ことを特徴としている。
【0036】また、本発明の請求項10記載の高分子量
ポリマーは、以上の課題を解決するために、上記請求項
9に記載の高分子量ポリマーにおいて、上記Rが炭素数
8〜18の一価の脂肪族炭化水素基であることを特徴と
している。
【0037】上記の請求項9または10記載の構成によ
れば、上記高分子量ポリマーは、従来のポリマーよりも
さらに高分子量であるため、該ポリマーを用いた成形品
や薬剤では、その機械的性質、化学的性質をより優れた
ものとすることができる。
【0038】本発明の請求項11記載のドラッグレデュ
ーサは、以上の課題を解決するために、上記請求項9ま
たは10記載の高分子量ポリマーを含むことを特徴とし
ている。
【0039】上記の請求項11記載の構成によれば、上
記請求項9または10記載の高分子量ポリマーが従来よ
りも高分子量であり、また、分岐の少ない直鎖状である
とともに、有機溶媒に可溶であることから、従来よりも
高性能のドラッグレデューサを提供することが可能とな
る。該ドラッグレデューサは、たとえば、原油などの有
機系の液体をパイプラインなどの導管で輸送する際に好
適に用いられる。
【0040】通常、原油などの液体をパイプラインなど
の導管を通して輸送する際には、該液体と導管との間に
生じる摩擦力によって圧力損失が引き起こされ、該液体
の輸送が円滑に行われなくなる。しかしながら、本発明
の高分子量ポリマーを含むドラッグレデューサを上記液
体に添加すれば、該液体の流動性を向上させて上記圧力
損失を低減させることができる。そのため、導管による
上記液体の輸送を円滑に行うことができる。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について以
下に詳しく説明する。なお、これによって本発明が限定
されるものではない。本発明の高分子量ポリマーの製造
方法は、重合反応系、すなわち、ラジカル重合反応に用
いられるモノマーや溶媒などにおいて、これらに含まれ
る溶存酸素を吸収し得る量(換言すれば、溶存酸素量に
対応した量)の酸素吸収剤の存在下でラジカル重合反応
を行う方法である。これによって、ラジカル重合反応時
に、酸素吸収剤が溶存酸素を除去するため、上記ラジカ
ル重合反応をより安定化するとともにコントロールし易
くすることができる。
【0042】本発明の高分子量ポリマーの製造方法に用
いられるモノマーとしては、たとえば、一般式CH2
CR1 COOR(R1 はHまたはCH3 、Rは炭素数1
〜30の一価の炭化水素基)で表される(メタ)アクリ
レート類や、多官能性モノマー類を挙げられる。より具
体的には、上記モノマーのうちの(メタ)アクリレート
類としては、メチル(メタ)アクリレート(MMA(上
記炭素数1))、エチル(メタ)アクリレート、ノルマ
ルプロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メ
タ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、ノルマルアミル(メタ)アクリレー
ト、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、
ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2
−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェニ
ルプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレートなどを挙げることができるが、
これらに限定されるものではない。
【0043】また、上記多官能性モノマーとしては、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコール(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、
ジアリルフタレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロ
ピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ハ
ロゲン化ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたは
プロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレー
ト、イソシアヌレートのエチレンオキサイドまたはプロ
ピレンオキサイド付加物のジもしくはトリ(メタ)アク
リレートなどを挙げることができるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0044】これら(メタ)アクリレート類あるいは多
官能性モノマー類は1種類のみを用いてもよく、また、
2種類以上を適宜混合して用いてもよい。さらに、(メ
タ)アクリレート類あるいは多官能性モノマー類以外の
他の重合可能な単量体を含んでいてもよい。
【0045】これらのモノマー類は、ポリマーが使用さ
れる用途で要求される性能に応じて適宜選択、組み合わ
せて使用される。本発明のポリマーをドラッグレデュー
サとして用いる場合は、(メタ)アクリレート類の中か
ら、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリ
ル(メタ)アクリレートなど、上記一般式のRが炭素数
4から18のものを選択して用いるのが好ましく、Rが
8から18のものはより好ましい。中でも、2−エチル
ヘキシルアクリレート(2EHA(上記炭素数8))、
2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA(上記
炭素数8))が特に好ましい。上記一般式のRの炭素数
を上記の範囲で選択すると、原油などの流体と本発明の
高分子量ポリマーとの相容性が向上し、ドラッグレデュ
ーサとしての効果が向上する。
【0046】本発明の高分子量ポリマーの製造方法で
は、上記ラジカル重合反応を行うための重合プロセスと
しては特に限定されるものではないが、乳化重合が特に
好ましい。上記乳化重合では、溶媒である水中にモノマ
ーのミセルもしくはシードポリマーの粒子が存在し、ラ
ジカル重合反応は各ミセルまたは粒子中で独立して個々
に進行する。このため、重合速度や重合度を他の方法と
比較して大きくすることができる。また、上記ミセルや
粒子は水中に存在しているため、重合温度のコントロー
ルが容易であり、かつ、得られるポリマーの分離が容易
であるという特徴を有している。
【0047】上記乳化重合では、先にシードポリマーと
してモノマーをある程度、前重合しておき、さらに、こ
れをもとに本重合としてのラジカル重合反応を進行させ
るシード重合法を用いることが好ましい。これは、ラジ
カル重合反応の開始・進行を安定化することができると
ともに、より高分子量のポリマーを製造することができ
るためである。
【0048】なお、シードポリマーの重合プロセスとし
ても、本重合のプロセスにそのまま移行でき、かつ、重
合反応のコントロールが行い易い乳化重合が好ましい。
また、上記シードポリマーの粒径は5nm〜100nm
の範囲内であることが好まし。さらに、シードポリマー
の重合を開始する方法としては、特に限定されるもので
はなく、公知の重合開始剤を用いることができる。ま
た、重合開始剤を用いる代わりに、重合反応系に放射線
や電子線、紫外線などを照射したり、重合反応系を加熱
する熱重合によって重合反応を行ってもよい。
【0049】上記乳化重合を行う際に乳化剤として用い
られる界面活性剤は、ラジカル重合反応を阻害するなど
の影響を与えない限り特に限定されるものではないが、
具体的には、ドデシル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸ナ
トリウムといったアルキル硫酸塩、アルカンスルホン酸
塩、2−スルホコハク酸ジアルキル塩などの陰イオン系
の界面活性剤や、アルキルフェニルポリオキシエチレン
エーテルやポリエチレングリコールなどの非イオン系の
界面活性剤を挙げることができる。
【0050】本発明の高分子量ポリマーの製造方法にお
いて、溶存酸素を除去するために用いられる酸素吸収剤
は、酸素を吸収する機能を有する限り特に限定されるも
のではないが、強還元性を有するものが好ましい。
【0051】上記酸素吸収剤としては、具体的には、ホ
スフィン酸塩、ホスホン酸塩、ホスファイトなどのリン
を含有する無機酸の塩または化合物;鉄、亜鉛、錫など
の還元性を有する金属の粉末;酸化第一鉄、四三酸化鉄
などの金属低位酸化物;炭化鉄、ケイ素鉄、鉄カルボニ
ル化合物、水酸化鉄などの還元性金属化合物;多価フェ
ノール含有フェノール、アルデヒド樹脂などの多価フェ
ノールを含有する高分子類;亜硫酸塩、チオ硫酸塩、二
亜硫酸塩、亜二チオン酸塩などの硫黄を含有する無機酸
の塩などを挙げることができる。なお、水に不溶な酸素
吸収剤が要求される場合は、上記の酸素吸収剤に対し
て、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、
炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ホスフィン酸塩、ホス
ホン酸塩、有機酸塩、およびハロゲン化物;活性炭;活
性アルミナ;活性白土などの助剤を組合わせて使用する
ことができる。
【0052】上記の酸素吸収剤の中でも、好ましくは、
重合反応に用いる溶媒に可溶である酸素吸収剤である。
これは、酸素吸収剤を溶媒中に均一に分散することが可
能となり、溶存酸素をより効果的に除去することができ
るためである。なお、上記溶媒と酸素吸収剤との組合せ
は特に限定されるものではなく、たとえば、トルエンな
どの極性のない有機溶媒を用いた場合は、該溶媒に可溶
の酸素吸収剤を適宜選択して用いればよい。
【0053】また、上記の酸素吸収剤の中でもより好ま
しくは、水溶性の酸素吸収剤である。これは、本発明の
高分子量ポリマーの重合方法では、上述したように重合
プロセスとして溶媒に水を用いる乳化重合を用いること
が好ましいためである。
【0054】上記の水溶性の酸素吸収剤の中でも特に好
ましくは、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、二亜硫酸塩および亜
二チオン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種以
上の還元剤およびその組合わせである。上記1群を構成
する各還元剤は非常に強い還元性を有し、かつ、ラジカ
ルとは全く反応性を有しない。そのため、ラジカルと反
応する溶存酸素のみを除去することが可能となり、か
つ、ラジカル重合反応を阻害することも回避される。こ
のため、ラジカル重合反応をより安定化し、コントロー
ルし易くするとともに、より高分子量のポリマーを製造
することができる。
【0055】上記各塩の具体例としては、たとえば、亜
硫酸塩であれば亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸塩であれば
チオ硫酸ナトリウム、二亜硫酸塩であれば二亜硫酸ナト
リウム、亜二チオン酸塩であれば亜二チオン酸ナトリウ
ムなどといったナトリウム塩を挙げることができる。
【0056】上記の酸素吸収剤が重合反応系に存在する
ことによって、重合反応系の溶存酸素を効果的に除去で
きる。そのため、ラジカルと溶存酸素が反応することが
回避され、ラジカル重合反応がより安定化する。したが
って、従来では重合できなかった反応性の低い重合も可
能とすることができる。また、溶存酸素を除去するため
に、ラジカル重合開始剤を過剰に添加することも回避で
きるとともに、それに伴うディレータイムの発生も回避
できるので、ラジカル重合を即時に開始することができ
る。
【0057】上記酸素吸収剤は、重合反応系の溶存酸素
を全て除去できる量が重合反応系に存在していれば特に
限定されるものではない。たとえば、重合反応に用いら
れる溶媒中の溶存酸素は、有機溶媒の場合では最大40
ppm、水の場合では最大8ppmの濃度で含まれてい
る。そのため、より溶存酸素の除去を確実に行うため
に、上記溶存酸素を完全に吸収し得る量よりも若干過剰
量の酸素吸収剤が重合反応系に存在していることが好ま
しい。具体的には、重合反応系全体に対して0.2重量
%〜5.0重量%の範囲内が好ましい。あまり量が多い
と、生成するエマルジョン中に無機塩等の低分子化合物
を多く含むことになるので、ポリマーの用途によって
は、性能に良くない影響を及ぼす可能性がある。また、
重合反応系、すなわち、モノマーや溶媒、あるいは各種
添加剤などに含まれる溶存酸素量を予め測定し、該測定
値に基づいて酸素吸収剤の必要量を計算するようにして
もよい。
【0058】上記酸素吸収剤は、用いられる溶媒に予め
添加されていてもよいし、モノマーや溶媒、各種の添加
剤などを、重合反応用の容器または設備に仕込んで重合
反応系を形成してから添加されてもよい。このとき、上
記溶媒などは、窒素やヘリウムなどの不活性ガスで予め
バブリングしておくことがより好ましい。上記のような
バブリングを行うことによって、溶存酸素の除去をより
確実に行うことができる。
【0059】なお、重合プロセスとして乳化重合を用
い、重合反応系に亜硫酸塩を加える高分子量ポリマーの
製造方法として、米国特許3600349号公報に開示
された方法が知られている。この方法では、スチレン−
ブタジエンゴムを乳化重合にて製造する際にラジカル重
合開始剤としてレドックス系のものを用いている。たと
えば、レドックス開始剤としてパラメタンヒドロペルオ
キシドに亜硫酸ナトリウムを組合せたものを用い、これ
を重合反応系に添加する。そして、これらの酸化・還元
反応によりラジカルが発生し、ラジカル重合反応が開始
・進行される。
【0060】ところが、上記公報に開示された方法で
は、亜硫酸ナトリウムは重合の開始反応としての酸化・
還元反応を生じさせるために用いられるものであって、
本発明の高分子量ポリマーの製造方法のように、重合系
の溶存酸素を除去するための酸素吸収剤として用いられ
ているものではない。このことは亜硫酸ナトリウムの添
加量の違いより明らかである。具体的には、上記方法に
おいて加えられる亜硫酸ナトリウムの量はパラメタンヒ
ドロペルオキシドとほぼ同じ量であり、重合反応系全体
に対して0.017重量%加えられている。これに対し
て、本発明の高分子量ポリマーの製造方法では、酸素吸
収剤として添加される亜硫酸ナトリウムの量は溶存酸素
を全て除去できる量であって、具体的には上記のよう
に、重合反応系全体に対して0.2重量%〜5.0重量
%の範囲内である。この量は上記酸化・還元反応に用い
られる亜硫酸ナトリウムの添加量の10倍以上の量に相
当する。
【0061】それゆえ、上記米国特許3600349号
公報の方法において、十分に溶存酸素の除去を行わずに
亜硫酸ナトリウムを添加すると、亜硫酸ナトリウムは全
て溶存酸素と反応して失活してしまい、結果的にラジカ
ル重合反応が開始されなくなる。さらに、上記公報の方
法には、効果的な溶存酸素の除去について具体的な記載
がなされていない。したがって、上記公報の方法では、
本発明の高分子量ポリマーの製造方法のように、効果的
に溶存酸素を除去するとともに、ラジカル重合反応をコ
ントロールし易くするという効果を奏することができな
いものとなっている。
【0062】次に、本発明の高分子量ポリマーの製造方
法において、重合反応の開始および進行は、ラジカルを
発生するラジカル重合開始剤(以下、開始剤とする)を
用いることによって行われる。上記開始剤としては、ラ
ジカルを発生させるものであれば特に限定されるもので
はないが、具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2’
−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩、2,
2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン]二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ
吉草酸)などのアゾ系の化合物などの熱分解型開始剤;
ヒドロペルオキシド−還元剤−活性化剤−キレート化剤
の組合せ、または、過硫酸塩−還元剤−活性化剤の組合
せからなるレドックス系の開始剤などを用いることがで
きる。
【0063】上記レドックス系の開始剤に用いられるヒ
ドロペルオキシドとしては、クメンヒドロペルオキシ
ド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベ
ンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオ
キシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペ
ルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒ
ドロペルオキシドなどを挙げることができる。また、同
じくレドックス系の開始剤に用いられる過硫酸塩として
は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム(APS)な
どが挙げられる。
【0064】上記レドックス系の開始剤に用いられる還
元剤としては、グルコース、デキストロース、ホルムア
ルデヒドナトリウムスルホキシラート、L−アスコルビ
ン酸(塩)、チオ硫酸ナトリウムなどのチオ硫酸塩や亜
硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、アミン類などを、ま
た、活性化剤としては、硫酸第一鉄、硫酸銅、ヘキサシ
アノ鉄(III)カリウムなどを挙げることができる。さら
に、キレート化剤としては、ピロリン酸ナトリウム、エ
チレンジアミン4酢酸塩などを挙げることができる。こ
れらの使用量は、それぞれの開始剤の組合せに応じて適
宜変化させることができる。
【0065】上記開始剤および酸素吸収剤を重合反応系
に添加する順序としては、酸素吸収剤を先に、開始剤を
後に添加することが特に好ましい。開始剤を先に添加し
た後に酸素吸収剤を添加すると、開始剤によるラジカル
と溶存酸素とが先に反応してしまい、該ラジカルが失活
してしまうおそれがあるからである。すなわち、開始剤
を先に添加すると、従来の溶存酸素の除去法である開始
剤を過剰に添加する方法と同一の結果を招来することに
なるおそれがある。これに対して、先に酸素吸収剤を添
加すると、重合反応系の溶存酸素は除去された状態とな
る。このため、開始剤を添加して発生するラジカルは溶
存酸素と反応して失活することなく、ほぼ全てのラジカ
ルが重合反応の開始・進行に用いられることになる。
【0066】本発明では、酸素吸収剤と開始剤とを上記
の条件で重合反応系に添加することにより、ラジカル重
合反応を安定化できることに加えて、ラジカル重合をコ
ントロールし易くすることができる。すなわち、従来で
は、たとえば、開始剤を過剰な量添加することによっ
て、重合反応の開始・進行と溶存酸素の除去との両方の
要因に対応していた。しかし、本発明では、酸素吸収剤
により先に溶存酸素を除去するため、後で添加される開
始剤により発生するラジカルは、重合の開始・進行のみ
に用いることができる。したがって、本発明の高分子量
ポリマーの製造方法では、1つの要因に対し1つの手段
で対応することができるため、ラジカル重合反応をより
コントロールし易くすることができる。
【0067】なお、レドックス系の開始剤を用いた場合
は、ラジカル重合反応開始に還元剤が必須であるため、
このような開始剤系の還元剤と上述した酸素吸収剤との
2種類の還元剤が重合反応系に存在することになる。こ
のため、ラジカル重合反応の複雑化が招来され、ラジカ
ル重合反応のコントロールが困難となる可能性がある。
そのため、本発明では、上記開始剤としては、アゾ系の
開始剤を用いることが特に好ましい。すなわち、アゾ系
の開始剤を用いた場合は、酸化還元反応でラジカル重合
反応を開始するわけではない。したがって、ラジカル重
合反応開始時に還元剤である酸素吸収剤が重合反応系に
存在していても、開始剤が酸素吸収剤と酸化−還元系を
形成せず、酸素吸収剤が開始剤と酸化還元反応を行わな
い。すなわち、酸素吸収剤がラジカル重合反応へ影響を
及ぼさない。このため、ラジカル重合反応が複雑化する
ことがないので、ラジカル重合反応のコントロールを容
易に行うことができる。
【0068】上記開始剤としては、1種類のみを用いて
もよいし、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。ま
た、これら開始剤の使用量は、用いるモノマーの種類や
使用量などにもよるが、上記モノマーに対して、0.0
05mol%〜0.5mol%の範囲内で用いることが
好ましい。この範囲は、従来用いられている開始剤の量
よりも大幅に減少させた量である。
【0069】つまり、本発明の高分子量ポリマーの製造
方法では、酸素吸収剤によって溶媒の中の酸素を除去し
た上で、上記の範囲で開始剤を添加することになる。そ
れゆえ、溶存酸素によるラジカルの失活を考慮する必要
がなくなり、開始剤の添加量を従来よりも少なくするこ
とができる。したがって、乳化重合におけるモノマーミ
セルやシードポリマー粒子などに存在するラジカルの数
を従来よりも少なく、理想的には、ミセル1つの中に1
つのラジカルが存在する状態に近づけることができる。
このとき、上記ディレータイムは若干発生するが、従来
のラジカル重合反応では重合できなかった反応性の低い
重合を可能とし、かつ、より高分子量のポリマーを得る
ことができる。
【0070】上記乳化重合を行う際の重合温度は、分岐
の少ないポリマーを得るためにできる限り低温とするこ
とが好ましい。ただし、重合温度を低温としすぎると重
合速度が低下するため好ましくない。具体的には、重合
温度は50℃以下が好ましく、30℃がより好ましく、
10℃以下が特に好ましい。なお、乳化重合を行う場
合、溶媒には水が用いられるため、水が凍る温度より高
い温度である必要があるが、エチレングリコールやアル
コール類などの活性剤を添加することによって、0℃前
後でも、水の凍結を抑制してラジカル重合反応を行うこ
とができる。
【0071】また、イソプロピルアルコール等の水溶性
溶剤を添加すると重合速度が向上する場合があり、溶媒
への連鎖移動等による分子量低下のない範囲で適量使用
すると好ましい結果が得られることがある。
【0072】上記ラジカル重合反応における重合時間
は、用いられるモノマーの種類や量などに応じて適宜設
定すればよいが、2時間〜30時間程度が好適である。
また、重合反応中は、前記不活性ガスにて重合反応系を
フローすることが好ましい。これによって、酸素が重合
反応系に溶け込むことを防止することができる。なお、
酸素吸収剤は、前述したように、重合反応系の溶存酸素
量を完全に吸収し得る量よりも若干過剰となる量が重合
反応系に存在している。このため、不活性ガス中にわず
かに含まれている酸素が重合反応系に溶け込んだとして
も、該酸素吸収剤によって除去されることになり、ラジ
カル重合反応に悪影響が及ぼされることは回避される。
【0073】以上の製造方法により得られる本発明の高
分子量ポリマーは、JIS−K2283に基づく極限粘
度数([η])測定方法において、[η]が5.0以上
である。[η]と分子量とは、Kuhn−Mark−H
oukink−桜田式、すなわち[η]=Km a で関
係付けられる。ここで、Mは分子量であり、Km とaと
は、高分子、溶媒、温度、ズリ速度で決まる定数であ
る。これらの定数は高分子の種類や溶媒等で変化するの
で、[η]の数値からポリマーの分子量を一義的に決定
することはできない。しかしながら、[η]が分子量の
ベキ乗に比例する関係があることから、本発明のように
[η]が5以上のポリマーは高分子量体であるといえ
る。本発明に係るポリマーの分子量をゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーにより測定した場合に、重量平
均分子量が500万以上との測定値が得られている。
【0074】[η]が5以上であれば、各種の用途に応
用したときに特徴ある性能を発揮できる。本ポリマーを
フィルム、シート、成型品、あるいは塗膜として使用し
た場合に、強度、靭性、耐久性、耐薬品性に優れ、粘着
剤としても高性能を示す。本発明の大きな目的であるド
ラッグレデューサとしての効果すなわち圧力損失抑制効
果も優れている。各種用途において[η]は大きいほう
がより特徴が明瞭となる傾向が認められ、本発明におい
て、[η]は7以上であることがより好ましく、10以
上であるとさらに好ましい。ドラッグレデューサとして
用いる場合は特に[η]の大きいものが良く、少量の添
加で大きな効果を示す。ドラッグレデューサとしては、
[η]は12以上であることが好ましく、特に20以上
であるとさらに好ましい。
【0075】加えて、本発明の高分子量ポリマーは有機
溶媒に可溶であり、かつ、分岐が少なく直鎖状である。
このため、ドラッグレデューサとして好適に用いること
ができるものとなっている。つまり、本発明の高分子量
ポリマーは、そのままでもドラッグレデューサとして用
いることができる。また、本発明にかかるドラッグレデ
ューサは、上記の高分子量ポリマーを主成分とし、該ポ
リマー以外に、一般的なドラッグレデューサに用いられ
る公知の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤として
は、具体的には、該ドラッグレデューサの溶解性を促進
する有機溶媒などが挙げられる。本発明の高分子量ポリ
マーをドラッグレデューサとして用いる場合には、原油
等の流体への添加量は、0.1ppm〜100ppmが
好ましく、0.5ppm〜50ppmがより好ましい。
【0076】なお、本発明において、有機溶媒に可溶で
あるとは、有機溶媒に対して50%以上、好ましくは9
0%以上溶解することを示し、さらに好ましくは、実質
的に有機溶媒に完全溶解することを示す。また、有機溶
媒に50%未満しか溶解しない場合は、有機溶媒に難溶
であるとする。
【0077】以上のように本発明の高分子量ポリマー
は、従来よりも高分子量であり、また、分岐の少ない直
鎖状のものである。本発明の高分子量ポリマーは、用途
に応じて、水を除去してポリマーを取り出して使用して
もよく、さらに、取り出したポリマーを適当な溶剤に溶
解して用いてもよい。また、水性分散体のまま用いても
よい。ドラッグレデューサとして用いる場合は、水性分
散体として用いるのが好ましい。従来のドラッグレデュ
ーサは、溶媒を用い、10重量%以下の濃度に希釈して
流動性がある状態にして使用せざるを得ないものであっ
た。水性分散体であれば、高濃度のポリマーを含み、か
つ、流動性に優れた液体とすることができるので、石油
への添加作業等を効率よく行うことができる。本発明の
高分子量ポリマー、特に、IPA(イソプロピルアルコ
ール)等の溶剤を含有して重合したものは、石油への溶
解性が向上しているので、水性分散体として使用するこ
とに特に適しており、従来よりも高濃度での取扱性が向
上された高品質のものとなっている。
【0078】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらにより
何ら限定されるものではない。また、実施例および比較
例に記載の「部」は「重量部」を示している。
【0079】本実施例で得られたポリマーである重合体
組成物の分析法を以下に示す。 極限粘度数[η] JIS−K2283に準じて測定した。溶媒としてトル
エンを用い、30℃にて測定した。
【0080】粒径 Pacific Scientific社製 NICOMP 370 Auto
dilute Submicron Particle Sizer を用いて測定し
た。
【0081】残モノマー 溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、流速
0.5ml/分、カラム温度35℃でGPC(ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー)により測定した。カ
ラムとしては、ポリマーラボラトリ社製のPLゲル20
μmミックスAを2本用い、ポリエチレンをスタンダー
ドとして(最大分子量(MAX Mw)1200万)に
より検量線を作成した。
【0082】収率 得られたポリマーをメタノールを用いて凝集させた後、
水洗し、真空乾燥して固形分量を測定し、下式 収率=(固形分量/仕込みモノマー量)×100 (%) によって収率を算出した。
【0083】溶解度 テトラヒドロフランに対する溶解性によって、得られた
ポリマーの溶解度を判定した。なお、ポリマーがテトラ
ヒドロフランに対して完全に溶解した場合は、表1にお
いて○で示し、溶解はするものの不溶物が見られる場合
は、表1において△で示した。
【0084】〔実施例1〕撹拌装置、温度計およびコン
デンサを備えた4ツ口フラスコに、イオン交換水(以
下、水と記す)68.6部、界面活性剤としてのポリエ
チレンオキサイドオレイルエーテルスルフォン酸アンモ
ニウム(商品名「ハイテノール12」;第一工業製薬
(株)製)1.4部を仕込み、撹拌溶解した。その後、
上記4ツ口フラスコにシードモノマーとしてのノルマル
ブチルメタクリレート((株)日本触媒製、禁止剤メト
キノン1.6ppm含有)0.3部をさらに仕込み、窒
素ガス雰囲気下、撹拌しながら80℃に昇温した。昇温
中70〜75℃にて熱重合が開始され、80℃に達した
ときには重合反応はほぼ完結した。これを1時間熟成し
てシードポリマー液(1)を得た。光散乱測定器で測定
したシードポリマーの粒径は38nmであり、残モノマ
ーはGPC検出限界以下であった。
【0085】上記シードポリマー液(1)が入った4ツ
口フラスコを2℃に冷却した。その後、上記4ツ口フラ
スコに、主モノマーとしてノルマルブチルメタクリレー
ト30部を仕込み、ヘリウムで30分間バブリングする
ことにより脱気して反応溶液とした。バブリング終了
後、重合反応系内がヘリウムの微加圧下となるようにヘ
リウムを流通させた。
【0086】その後、亜硫酸ナトリウム0.5部を水1
0部に溶解して該反応溶液に加えることにより、重合反
応系の酸素を完全に除去した。さらに、開始剤としての
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イ
ル)プロパン]二塩酸塩(アゾ系開始剤)(商品名「V
A044」;和光純薬工業(株)製)0.24部を水2
0部に溶解してヘリウムで30分間バブリングしたもの
を、亜硫酸ナトリウムを添加してから5分後に該反応溶
液に滴下した。重合反応は初期よりスムーズに開始さ
れ、そのまま重合反応を5時間続けた後終了し、重合体
組成物(1)を得た。
【0087】〔実施例2〕撹拌装置、温度計およびコン
デンサを備えた4ツ口フラスコに、水63.6部、界面
活性剤としての「ハイテノール12」2.8部を仕込み
撹拌溶解した。その後、上記4ツ口フラスコに、シード
モノマーとしてのノルマルブチルメタクリレート0.3
部をさらに仕込み、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら7
0℃に昇温した。これに、開始剤としての「VA04
4」0.03部を水5部に溶解して仕込み、重合反応を
開始した。これを70℃にて2時間熟成してシードポリ
マー液(2)を得た。シードポリマーの粒径を光散乱測
定器で測定すると、シードポリマーの濃度が薄いため光
強度が検出限界であり、10nm程度であると推測され
た。残モノマーはGPC検出限界以下であった。
【0088】上記シードポリマー液(2)が入った4ツ
口フラスコを2℃に冷却した。その後、上記4ツ口フラ
スコに、主モノマーとしてのノルマルブチルメタクリレ
ート30部を仕込み、ヘリウムで30分間バブリングす
ることにより脱気して反応溶液とした。バブリング終了
後、重合反応系内がヘリウムの微加圧下になるようにヘ
リウムを流通させた。
【0089】その後、亜硫酸ナトリウム0.5部を水1
0部に溶解して該反応溶液に加えることにより、重合反
応系の酸素を完全に除去した。さらに、開始剤としての
「VA044」0.24部を水20部に溶解してヘリウ
ムで30分間バブリングしたものを、亜硫酸ナトリウム
を添加してから5分後に該反応溶液に滴下した。重合反
応は初期よりスムーズに開始され、そのまま重合反応を
5時間続けた後終了し、重合体組成物(2)を得た。
【0090】〔実施例3〕実施例2で得られたシードポ
リマー液(2)70.3部を撹拌装置、温度計およびコ
ンデンサを備えた4ツ口フラスコに仕込み、2℃に冷却
した。その後、上記4ツ口フラスコに主モノマーとして
の2−エチルヘキシルメタクリレート(東京化成試薬
(株)製、禁止剤メトキノン25ppm含有)30部を
仕込み、ヘリウムで30分間バブリングすることにより
脱気して反応溶液とした。バブリング終了後、重合反応
系内がヘリウムの微加圧下になるようヘリウムを流通さ
せた。
【0091】その後、亜硫酸ナトリウム0.5部を水1
0部に溶解して該反応溶液に加えることにより、重合反
応系の酸素を完全に除去した。さらに、開始剤としての
「VA044」0.017部を水20部に溶解してヘリ
ウムで30分間バブリングしたものを、亜硫酸ナトリウ
ムを添加してから5分後に該反応溶液に滴下した。重合
反応は初期よりスムーズに開始され、そのまま重合反応
を10時間続けた後終了し、重合体組成物(3)を得
た。
【0092】〔実施例4〕実施例2のシードポリマーの
製造方法において、ノルマルブチルメタクリレートを2
−エチルヘキシルメタクリレートへ、開始剤としての
「VA044」を2,2’−アゾビス(2−アミジノプ
ロパン)二塩酸塩(アゾ系開始剤)(商品名「V5
0」;和光純薬工業(株)製)へ、重合温度を80℃
へ、重合時間を2時間へ変更した以外は、同様の条件に
てシードポリマー液(3)を得た。光散乱測定器で測定
したシードポリマーの粒径は30nmであり、残モノマ
ーはGPC検出限界以下であった。
【0093】上記シードポリマー液(3)が入った4ツ
口フラスコを2℃に冷却した。その後、上記4ツ口フラ
スコに、主モノマーとしての2−エチルヘキシルメタク
リレート30部を仕込み、ヘリウムで30分間バブリン
グすることにより脱気して反応溶液とした。バブリング
終了後、重合反応系内がヘリウムの微加圧下になるよう
ヘリウムを流通させた。
【0094】その後、亜硫酸ナトリウム0.5部を水1
0部に溶解して該反応溶液に加えることにより、重合反
応系の酸素の完全に除去した。さらに、開始剤としての
「VA044」0.24部を水20部に溶解してヘリウ
ムで30分間バブリングしたものを、亜硫酸ナトリウム
を添加してから5分後に該反応溶液に滴下した。重合反
応は初期よりスムーズに開始され、そのまま重合反応を
5時間続けた後終了し、重合体組成物(4)を得た。
【0095】〔実施例5〕撹拌装置、温度計およびコン
デンサを備えた4ツ口フラスコに、水63.6部、界面
活性剤としての「ハイテノール12」1.4部を仕込み
撹拌溶解した。その後、上記4ツ口フラスコにシードモ
ノマーとしての2−エチルヘキシルメタクリレート0.
3部、FeSO4 0.003部、ロンガリット0.03
部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.002部を
仕込み、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら25℃に保っ
た。これに、開始剤としての過硫酸アンモニウム(AP
S)0.03部を水5部に溶解して仕込み、重合反応を
開始した。これを25℃にて0.5時間熟成してシード
ポリマー液(4)を得た。光散乱測定器で測定したシー
ドポリマーの粒径は19nmであり、残モノマーはGP
C検出限界以下であった。
【0096】上記シードポリマー液(4)を入れた4ツ
口フラスコを2℃に冷却した。その後、上記4ツ口フラ
スコに、主モノマーとしての2−エチルヘキシルメタク
リレート30部を仕込み、ヘリウムで5分間バブリング
することにより脱気して反応溶液とした。さらに、重合
釜を減圧脱泡して再びヘリウムでバブリングする操作を
3回繰り返した。その後、重合反応系内がヘリウムの微
加圧下になるようにヘリウムを流通させた。
【0097】次に、亜二チオン酸ナトリウム0.02部
を水10部に溶解して該反応溶液に加えることにより、
重合反応系の酸素を完全に除去した。さらに、開始剤と
しての「VA044」0.24部を水20部に溶解して
ヘリウムで30分間バブリングしたものを、亜二チオン
酸ナトリウムを添加してから5分後に該反応溶液に滴下
した。重合反応は初期よりスムーズに開始され、そのま
ま重合反応を5時間続けた後終了し、重合体組成物
(5)を得た。
【0098】〔実施例6〕実施例2のシードポリマーの
製造方法において、ノルマルブチルメタクリレートをメ
チルメタクリレートへ、界面活性剤としての「ハイテノ
ール12」をラウリル硫酸ナトリウム2.8部と塩化リ
チウム0.4部へ変更した以外は同様の条件にてシード
ポリマー液(5)を得た。シードポリマーの粒径を光散
乱測定器で測定すると、シードポリマーの濃度が薄いた
め光強度が検出限界以下であることから、10nm程度
であると推定された。残モノマーはGPC検出限界以下
であった。
【0099】また、実施例2の主重合において、開始剤
としての「VA044」の量を0.24部から0.28
部へ、主モノマーをメチルメタクリレートへ変更した以
外は、同様にして重合反応を開始した。重合反応は初期
よりスムーズに開始され、そのまま重合反応を24時間
続けた後終了し、重合体組成物(6)を得た。
【0100】〔実施例7〕実施例3において、開始剤と
しての「VA044」の量を0.24部から0.2部
へ、モノマーをスチレンへ変更した以外は、同様の条件
にて重合反応を開始した。重合反応は初期よりスムーズ
に開始され、そのまま重合反応を48時間続けた後終了
し、重合体組成物(7)を得た。
【0101】〔実施例8〕撹拌装置、温度計およびコン
デンサを備えた4ツ口フラスコに、水63.6部、界面
活性剤としての「ハイテノール12」1.4部を仕込み
撹拌溶解した。その後、上記4ツ口フラスコにシードモ
ノマーとしてのノルマルブチルメタクリレート0.3
部、FeSO4 0.003部、ロンガリット0.03
部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.002部を
仕込み、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら25℃に保っ
た。これに、開始剤としてのAPS0.03部を水5部
に溶解して仕込み、重合反応を開始した。これを25℃
にて0.5時間熟成してシードポリマー液(6)を得
た。シードポリマーの粒径を光散乱測定器で測定する
と、シードポリマーの濃度が薄いため光強度が検出限界
以下であることから、10nm程度であると推定され
た。残モノマーはGPC検出限界以下であった。
【0102】上記シードポリマー液(6)を入れた4ツ
口フラスコを2℃に冷却した。その後、上記4ツ口フラ
スコに、主モノマーとしての2−エチルヘキシルメタク
リレート15部と2−エチルヘキシルアクリレート15
部とを混合して仕込んだ後、ヘリウムで5分間バブリン
グすることにより脱気して反応溶液とした。さらに、重
合釜を減圧脱泡して再びヘリウムでバブリングする操作
を3回繰り返した。その後、重合反応系内がヘリウムの
微加圧下になるようにヘリウムを流通させた。
【0103】次に、二亜硫酸ナトリウム0.02部と亜
硫酸ナトリウム0.2部を水10部に溶解して該反応溶
液に加えることにより、重合反応系の酸素を完全に除去
した。さらに、開始剤としての「VA044」0.24
部を水20部に溶解してヘリウムで30分間バブリング
したものを、二亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウ
ムを添加してから5分後に該反応溶液に滴下した。重合
反応は初期よりスムーズに開始され、そのまま重合反応
を5時間続けた後終了し、重合体組成物(8)を得た。
【0104】〔実施例9〕撹拌装置、温度計およびコン
デンサを備えた4ツ口フラスコに、水93部、界面活性
剤としてのラウリル硫酸ナトリウム2部を仕込み、撹拌
溶解して30℃に保った。さらに、上記4ツ口フラスコ
にノルマルブチルメタクリレート25部を仕込み、ヘリ
ウムで30分間バブリングすることにより脱気して反応
溶液とした。バブリング終了後、重合反応系内がヘリウ
ムの微加圧下になるようにヘリウムを流通させた。
【0105】その後、亜硫酸ナトリウム0.5部を水1
0部に溶解して加えることにより、重合反応系の酸素を
完全に除去した。さらに、開始剤としてのAPS0.0
001部と「V50」0.017部とを水5部に溶解し
てヘリウムで30分間バブリングしたものを、亜硫酸ナ
トリウムを添加してから5分後に該反応溶液に滴下し
た。重合反応は初期よりスムーズに開始され、そのまま
重合反応を5時間続けた後終了し、重合体組成物(9)
を得た。
【0106】〔実施例10〕撹拌装置、温度計およびコ
ンデンサを備えた4ツ口フラスコに、水93部、界面活
性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム2部を仕込み、撹
拌溶解した後50℃に保った。さらに、上記4ツ口フラ
スコに2−エチルヘキシルメタクリレート25部を仕込
み、ヘリウムで30分間バブリングすることにより脱気
して反応溶液とした。バブリング終了後、重合反応系内
がヘリウムの微加圧下になるようにヘリウムを流通させ
た。
【0107】その後、亜硫酸ナトリウム0.5部を水1
0部に溶解して加えることにより、重合反応系の酸素を
完全に除去した。さらに、開始剤としての「V50」
0.017部を水5部に溶解してヘリウムで30分間バ
ブリングしたものを、亜硫酸ナトリウムを添加してから
5分後に該反応溶液に滴下した。重合反応は1時間程度
で開始され、そのまま重合反応を5時間続けた後終了
し、重合体組成物(10)を得た。
【0108】〔実施例11〕実施例10において、開始
剤としての「V50」の量を0.017部から0.06
9部に変更した以外は、同様の条件にて重合を開始し
た。重合は初期よりスムーズに開始され、そのまま重合
反応を5時間続けた後終了し、重合体組成物(11)を
得た。
【0109】〔実施例12〕撹拌装置、温度計およびコ
ンデンサを備えた4ツ口フラスコに、水93部、界面活
性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム2部を仕込み、撹
拌溶解した後25℃に保った。さらに、上記4ツ口フラ
スコに2−エチルヘキシルメタクリレート25部を仕込
み、ヘリウムで30分間バブリングすることにより脱気
して反応溶液とした。バブリング終了後、重合反応系内
がヘリウムの微加圧下になるようにヘリウムを流通させ
た。
【0110】その後、亜硫酸ナトリウム0.5部を水1
0部に溶解して加えることにより、重合反応系の酸素を
完全に除去した。さらに、開始剤としてのAPS0.0
14部を水5部に溶解してヘリウムで30分間バブリン
グしたものを、亜硫酸ナトリウムを添加してから5分
後、1時間かけて滴下した。重合反応は初期よりスムー
ズに開始され、そのまま重合反応を5時間続けた後終了
し、重合体組成物(12)を得た。
【0111】〔実施例13〕撹拌装置、温度計およびコ
ンデンサを備えた4ツ口フラスコに、水93部、界面活
性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2
部を仕込み、撹拌溶解した後25℃に保った。さらに、
上記4ツ口フラスコに2−エチルヘキシルメタクリレー
ト25部を仕込み、ヘリウムで30分間バブリングする
ことにより脱気して反応溶液とした。バブリング終了
後、重合反応系内がヘリウムの微加圧下になるようにヘ
リウムを流通させた。
【0112】その後、亜硫酸ナトリウム0.5部を水1
0部に溶解して加えることにより、重合反応系の酸素を
完全に除去した。さらに、開始剤としてのAPS0.0
15部を水5部に溶解してヘリウムで30分間バブリン
グしたものを、亜硫酸ナトリウムを添加してから5分後
に該反応溶液に滴下した。重合反応は初期よりスムーズ
に開始され、そのまま重合反応を5時間続けた後終了
し、重合体組成物(13)を得た。
【0113】〔比較例1〕撹拌装置、温度計およびコン
デンサを備えた4ツ口フラスコに、水93部、界面活性
剤としてのラウリル硫酸ナトリウム2部を仕込み、撹拌
溶解した後30℃に保った。さらに、上記4ツ口フラス
コにノルマルブチルメタクリレート25部を仕込み、ヘ
リウムで30分間バブリングすることにより脱気して反
応溶液とした。バブリング終了後、重合反応系内がヘリ
ウムの微加圧下になるようにヘリウムを流通させた。
【0114】さらに、開始剤としてのAPS0.000
1部と「V50」0.017部とを水5部に溶解してヘ
リウムで30分間バブリングしたものを該反応溶液に滴
下した。重合反応は初期よりスムーズに開始され、その
まま重合反応を5時間続けた後終了し、比較重合体組成
物(1)を得た。
【0115】〔比較例2〕撹拌装置、温度計およびコン
デンサを備えた4ツ口フラスコに、水93部、界面活性
剤としてのラウリル硫酸ナトリウム2部を仕込み、撹拌
溶解した後50℃に保った。さらに、2−エチルヘキシ
ルメタクリレート25部を仕込んで反応溶液とした。こ
れを、ヘリウムの微加圧下になるようにヘリウムを流通
させた。さらに、開始剤としての「V50」0.017
部を水5部に溶解してヘリウムで30分間バブリングし
たものを該反応溶液に滴下した。重合反応は全く進行せ
ず、そのまま重合反応を5時間続けたがポリマーは得ら
れなかった。
【0116】〔比較例3〕撹拌装置、温度計およびコン
デンサを備えた4ツ口フラスコに、水93部、界面活性
剤としてラウリル硫酸ナトリウム2部を仕込み、撹拌溶
解した後50℃に保った。さらに、上記4ツ口フラスコ
に2−エチルヘキシルメタクリレート25部を仕込み、
ヘリウムで30分間バブリングして反応溶液とした。さ
らに、開始剤としての「V50」0.017部を水5部
に溶解してヘリウムで30分間バブリングしたものを該
反応溶液に滴下した。重合反応は2時間程度で開始さ
れ、そのまま重合反応を5時間続けた後終了し、比較重
合体組成物(2)を得た。
【0117】以上のようにして得られた各重合体組成物
の収率および物性を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】表1の結果から明らかなように、実施例1
〜実施例13に示す本発明の高分子量ポリマーの製造方
法を用いることによって、ラジカル重合反応はスムーズ
に開始・進行させることができる。また、得られる本発
明の高分子量ポリマーである重合体組成物(1)〜重合
体組成物(13)の収率も96%以上と高いことがわか
る。これに対して、比較例1〜比較例3では、ラジカル
重合反応はスムーズに開始・進行できないか、あるい
は、開始・進行できたとしても得られる重合体組成物の
収率が低いことがわかる。
【0120】さらに、上記重合体組成物(1)〜重合体
組成物(13)の極限粘度数[η]から明らかなよう
に、本発明の製造方法で得られた重合体組成物は、極め
て高分子量であることがわかる。また、上記各重合体組
成物の有機溶媒に対する溶解度が大きいことから、本発
明の高分子量ポリマーはドラッグレデューサとして好適
に用いることができるものとなっていることがわかる。
【0121】以上のことから、本発明の高分子量ポリマ
ーの製造方法では、溶存酸素を効果的に除去できるた
め、ラジカルと溶存酸素とが反応して失活することを防
止できる。したがって、ラジカル重合開始剤の重合反応
系への添加量を従来よりも減少させて、より高分子量の
ポリマーを得ることができる。加えて、上記溶存酸素の
存在のために、従来、ラジカル重合反応では重合できな
かった反応性の低い重合反応も可能とすることができ
る。すなわち、ラジカル重合反応をより安定化させ、か
つ、コントロールし易くすることができるものとなって
いる。
【0122】また、本発明の高分子量ポリマーは、上記
の製造方法によって得られるものであって、従来より高
分子量であり、また、上記表1に掲げた溶解度が高いこ
とからわかるように、より分岐の少ない直鎖状であると
ともに、有機溶媒に可溶であるポリマーである。このた
め、たとえば、ドラッグレデューサなどの用途に好適に
用いることができる。
【0123】〔実施例14〕ポリマー溶液として、実施
例2、3および比較例1で得られた重合体組成物の溶液
を液体(ケロセン、キシレン)に添加し、該液体をキャ
ピラリー経路に流した。そして、ポリマー添加による液
体の流量増加率(Throughput Increase ;%TI)を求
めて、ドラッグレデューサとしての性能、すなわち、流
体の圧力損失の抑制性能を調べるため、その指標として
のドラッグレダクション(Drag Reduction;%DR)を
評価した。
【0124】測定装置を図1に示す。1は内部シリンダ
ー、2はジャケット、3は加熱流体または冷却流体用の
吸入口、4は排出口、5は通気孔、6は圧力計、7は充
填線、8は窒素線、9は圧力調整器、10はキャピラリ
ー、10a・10bはそれぞれキャピラリー10の開始
端・終了端である。図中にいくつかの部位の寸法をイン
チ単位で示す。
【0125】流動性を測定する液体としてケロセンまた
はキシレンを選び、あらかじめ一定濃度に調整した上記
ポリマー溶液を所定量の該液体に添加してポリマーを均
一に溶解させ、図1の内部シリンダー1に入れ、所定の
ポリマー添加量(濃度)となるようにした。そして、窒
素ガスで一定の圧力をかけ、内径2mm、長さ20イン
チ(50.8cm)のキャピラリー10を通じて一定時
間内に流下する液体の流量を測定した。
【0126】具体的な設定および測定結果を表2に示
す。
【0127】試料の調整 実施例3の重合体組成物をトルエンに溶解して0.53
37w/v%の溶液とした。実施例2および比較例1の
重合体組成物はキシレンに溶解して0.5337w/v
%の溶液とした。
【0128】測定条件 各ポリマー(重合体組成物)が表2に示した添加量だけ
表中の該液体中に存在することとなるように、で調整
した各ポリマー溶液を該液体に適宜量添加した。シリン
ダー内圧力は1.5kgf/cm2 (14.7N/cm
2 )とした。
【0129】測定 10秒間に流出した液体の重量を測定し、ポリマー無添
加の場合に対する流量の増加率%TIを求めた。流量増
加率%TIは、式 %TI={(Q2−Q1)/Q1}×100 (%) で求められる。ここで、Q1はポリマー無添加時の液体
流量(g/10秒)であり、Q2はポリマー添加時の液
体流量(g/10秒)である。
【0130】%DRの評価 ドラッグレデューサとしての性能である%DRを評価し
た。%DRは、式 %DR=(1−[1/{1+(%TI/100)}]1.75)×100 (%) で求められる。
【0131】
【表2】
【0132】表2からわかるように、本実施例に係る重
合体組成物を使用した場合は、いずれも、%DRが40
程度と非常に大きい。このため、これらのポリマーをド
ラッグレデューサとして使用した場合に十分大きな圧力
損失抑制効果を発揮できることがわかる。
【0133】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の高分子量ポリマ
ーの製造方法は、以上のように、重合反応系における溶
存酸素量に対応した量の酸素吸収剤の存在下でラジカル
重合反応を行う方法である。
【0134】それゆえ、上記方法では、酸素吸収剤を重
合反応系に存在させることにより、該重合反応系の溶存
酸素を効果的に除去できる。そのため、ラジカルと溶存
酸素とが反応して失活することを防止できるとともに、
溶存酸素によるラジカルの失活を考慮する必要がなくな
る。したがって、ラジカル重合開始剤の重合反応系への
添加量を従来よりも減少させることができるため、得ら
れるポリマーを、従来よりも高分子量のポリマーとする
ことができる。加えて、溶存酸素を除去することにより
ラジカル重合反応が安定化するため、従来、ラジカル重
合反応では重合できなかった反応性の低い重合反応も可
能とすることができる。また、ラジカル重合開始剤によ
り発生するラジカルは、重合の開始・進行のみに用いる
ことができるため、重合反応をよりコントロールし易く
することができるという効果を奏する。
【0135】本発明の請求項2記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上のように、上記請求項1記載の高分
子量ポリマーの製造方法において、上記酸素吸収剤が、
ラジカル重合反応に用いられる溶媒に可溶である方法で
ある。
【0136】それゆえ、上記方法では、酸素吸収剤を溶
媒中に均一に分散させることができるため、溶存酸素を
より効果的に除去することができる。このため、よりラ
ジカル重合反応を安定化し、コントロールし易くするこ
とができるという効果を奏する。
【0137】本発明の請求項3記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上のように、上記請求項1または2記
載の高分子量ポリマーの方法において、上記酸素吸収剤
が、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、二亜硫酸塩および亜二チオ
ン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の還
元剤およびその組合わせである方法である。
【0138】それゆえ、上記方法では、上記1群を構成
する各還元剤は還元性が非常に強く、かつ、ラジカルと
は全く反応性を有しない。そのため、ラジカルと反応す
る溶存酸素のみを除去することが可能となり、かつ、重
合反応を阻害することも回避される。したがって、上記
1群の還元剤を用いることによって、ラジカル重合反応
をより安定化し、コントロールし易くするとともに、よ
り高分子量のポリマーを製造することができるという効
果を奏する。
【0139】本発明の請求項4記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上のように、上記請求項1から3の何
れか1項に記載の高分子量ポリマーの製造方法におい
て、上記ラジカル重合反応を行うにあたって、ラジカル
重合開始剤および酸素吸収剤の導入を、酸素吸収剤を重
合反応系に先に導入し、その後にラジカル重合開始剤を
導入する順序で行う方法である。
【0140】それゆえ、上記方法では、開始剤の添加に
より発生するラジカルが溶存酸素と反応して失活するこ
とがなく、発生したラジカルを有効に重合反応の開始・
進行に用いることができるという効果を奏する。
【0141】本発明の請求項5記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上のように、上記請求項1から4の何
れか1項に記載の高分子量ポリマーの製造方法におい
て、上記ラジカル重合開始剤として、酸素吸収剤と酸化
還元系を形成しない化合物を使用する方法である。そし
て、本発明の請求項6記載の高分子量ポリマーの製造方
法は、以上のように、上記請求項1から5の何れか1項
に記載の高分子量ポリマーの製造方法において、上記ラ
ジカル重合開始剤として、アゾ系の化合物を使用する方
法である。
【0142】それゆえ、上記方法では、開始剤から発生
するラジカルの数が酸素吸収剤の残存量に影響されるこ
とがないので、ラジカル重合反応を容易に制御すること
ができるという効果を奏する。
【0143】本発明の請求項7記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上のように、上記請求項1から6の何
れか1項に記載の高分子量ポリマーの製造方法におい
て、上記ラジカル重合反応における重合方法が乳化重合
法である方法である。
【0144】乳化重合法は、溶液重合法、塊状重合法あ
るいは懸濁重合法など他の重合法に比べて重合速度や重
合度を大きくすることができるという特徴を有する重合
法であり、それゆえ、上記請求項7に記載の方法のよう
に、酸素吸収剤を用いる本発明の製造方法を乳化重合法
に適用することにより、本発明の特徴をよりよく発揮す
ることができるという効果を奏する。
【0145】本発明の請求項8記載の高分子量ポリマー
の製造方法は、以上のように、上記請求項7に記載の高
分子量ポリマーの製造方法において、上記乳化重合法が
シード重合法である方法である。
【0146】それゆえ、上記方法では、先にモノマーを
ある程度、前重合してシードポリマーを得、さらに、こ
れをもとに、本重合を進行させる。そのため、本重合と
しての乳化重合の開始・進行を安定化することができる
とともに、より高分子量のポリマーを製造することがで
きるという効果を奏する。
【0147】本発明の請求項9記載の高分子量ポリマー
は、以上のように、一般式 CH2 =CR1 COOR (R1 はHまたはCH3 、Rは炭素数1〜30の一価の
炭化水素基)で表される(メタ)アクリレート類を含む
単量体を重合してなる高分子量ポリマーであって、極限
粘度数が5以上であるとともに、有機溶媒に可溶である
構成である。
【0148】また、本発明の請求項10記載の高分子量
ポリマーは、以上のように、上記請求項9に記載の高分
子量ポリマーにおいて、上記Rが炭素数8〜18の一価
の脂肪族炭化水素基である構成である。
【0149】それゆえ、上記各構成の高分子量ポリマー
は、従来のポリマーよりもさらに高分子量であるため、
該ポリマーを用いた成形品や薬剤では、その機械的性
質、化学的性質をより優れたものとすることができると
いう効果を奏する。
【0150】本発明の請求項11記載のドラッグレデュ
ーサは、以上のように、上記請求項9または10記載の
高分子量ポリマーを含む構成である。
【0151】それゆえ、上記構成では、上記請求項9ま
たは10記載の高分子量ポリマーが従来よりも高分子量
であり、また、分岐の少ない直鎖状であるとともに、有
機溶媒に可溶であることから、従来よりも高性能のドラ
ッグレデューサを提供することができるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高分子量ポリマーのドラッグレデ
ューサとしての性能を測定する装置の一構成例を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 内部シリンダー 2 ジャケット 3 吸入口 4 排出口 5 通気孔 6 圧力計 7 充填線 8 窒素線 9 圧力調整器 10 キャピラリー 10a 開始端 10b 終了端

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合反応系における溶存酸素量に対応した
    量の酸素吸収剤の存在下でラジカル重合反応を行うこと
    を特徴とする高分子量ポリマーの製造方法。
  2. 【請求項2】上記酸素吸収剤が、ラジカル重合反応に用
    いられる溶媒に可溶であることを特徴とする請求項1記
    載の高分子量ポリマーの製造方法。
  3. 【請求項3】上記酸素吸収剤が、亜硫酸塩、チオ硫酸
    塩、二亜硫酸塩および亜二チオン酸塩からなる群より選
    ばれる少なくとも1種以上の還元剤およびその組合わせ
    であることを特徴とする請求項1または2記載の高分子
    量ポリマーの製造方法。
  4. 【請求項4】上記ラジカル重合反応を行うにあたって、
    ラジカル重合開始剤および酸素吸収剤の導入を、酸素吸
    収剤を重合反応系に先に導入し、その後にラジカル重合
    開始剤を導入する順序で行うことを特徴とする請求項1
    から3の何れか1項に記載の高分子量ポリマーの製造方
    法。
  5. 【請求項5】上記ラジカル重合開始剤として、酸素吸収
    剤と酸化還元系を形成しない化合物を使用することを特
    徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の高分子量
    ポリマーの製造方法。
  6. 【請求項6】上記ラジカル重合開始剤として、アゾ系の
    化合物を使用することを特徴とする請求項1から5の何
    れか1項に記載の高分子量ポリマーの製造方法。
  7. 【請求項7】上記ラジカル重合反応における重合方法が
    乳化重合法であることを特徴とする請求項1から6の何
    れか1項に記載の高分子量ポリマーの製造方法。
  8. 【請求項8】上記乳化重合法における重合方法がシード
    重合法であることを特徴とする請求項7記載の高分子量
    ポリマーの製造方法。
  9. 【請求項9】一般式 CH2 =CR1 COOR (R1 はHまたはCH3 、Rは炭素数1〜30の一価の
    炭化水素基)で表される(メタ)アクリレート類を含む
    単量体を重合してなる高分子量ポリマーであって、極限
    粘度数が5以上であるとともに、有機溶媒に可溶である
    ことを特徴とする高分子量ポリマー。
  10. 【請求項10】上記Rが炭素数8〜18の一価の脂肪族
    炭化水素基であることを特徴とする請求項9記載の高分
    子量ポリマー。
  11. 【請求項11】上記請求項9または10記載の高分子量
    ポリマーを含むことを特徴とするドラッグレデューサ。
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