JP2011126938A - 単分散重合体粒子製造用の種粒子、単分散重合体粒子及びその製造方法 - Google Patents

単分散重合体粒子製造用の種粒子、単分散重合体粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒径が略均一であって分散性に優れ、かつ良好な表面平滑性を備えた重合体粒子及びその製造方法ならびに重合体粒子製造用の種粒子を提供する。
【解決手段】炭素数3以上6未満のアルキル基をエステル部に少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステルを含む種粒子用単量体に由来し、かつ5,000〜100,000の重量平均分子量を有することを特徴とする単分散重合体粒子製造用の種粒子により上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は単分散重合体粒子製造用の種粒子、単分散重合体粒子及びその製造方法に関する。
粒子径が1〜100μmの範囲内であって、かつ大きさが略均一であって分散性に優れた重合体粒子(以下、単分散重合体粒子という。)は、例えばスペーサー、光拡散剤、滑り性付与剤、複写機のトナー、塗料のつや消し剤、機能性担体等の分野において需要がある。このような単分散重合体粒子の製造方法のうち、比較的大きな粒子径の単分散重合体粒子を作成する方法の一つとして、シード重合法が知られている。
シード重合法とは、重合体粒子を種粒子として用い、この種粒子に単量体を吸収させ、種粒子内で単量体を重合させて種粒子を成長させることにより、もとの種粒子よりも大きな重合体粒子を得るという方法である。この方法で大きさが略均一の重合体粒子を得るためには、最初に略均一の大きさの種粒子を使用し、これらの種粒子を一様に成長させることが必要となる。原料となる略均一の大きさの種粒子は、ソープフリー乳化重合および分散重合法等によって作ることができる。
しかし、シード重合法よる重合体粒子の作成において、系内に添加した単量体を完全に種粒子に吸収させることは非常に困難である。重合性モノマーが完全に吸収されずに残存することにより、重合終了後に極めて細かい微粒子あるいは乳化物が生成されることがある。また、目的とする重合体粒子の表面で残存単量体が付着して重合が起こるために、粒子同士の凝集や融着が発生することや、表面平滑性が損なわれることがある。これらを防ぐためには、有機溶剤による洗浄を行い、残存単量体を除去しなければならない。このような洗浄工程とそれに要する時間が、重合体粒子の生産性を落とす要因となっている。
このような小粒子の発生を抑制し、高い単分散性を有する粒子を製造する方法として、炭素数6以上の直鎖アルキル基、炭素数6以上の脂肪族環状アルキル基、フェニル基、ベンジル基又は炭素数3以上のハロゲン化アルキル基を少なくとも一種類以上含む(メタ)アクリル酸エステルからなる種粒子に、重合性モノマーを含む水性乳化液を添加して膨潤させた後、重合することにより単分散粒子を製造することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−2716号公報
特許文献1に記載された方法では、炭素数6以上のアルキル基、フェニル基、ベンジル基あるいは炭素数3以上のハロゲン化アルキル基を含む(メタ)アクリル酸エステルからなる種粒子を用いるが、これら単量体からなる種粒子は安定した重合が難しく、種粒子製造工程中に凝集体が生じやすく、種粒子の生産性が低いという問題があった。また、これらの種粒子を用いて得られる重合体粒子においても凝集粒子や粗大粒子が多く発生するという問題もあった。
本発明は、上述の問題を解決するものであり、その目的とするところは、所望の粒径の範囲(1〜100μm)であり粒径が略均一であって、凝集の少ない単分散重合体粒子及びその製造方法ならびに単分散重合体粒子製造用の種粒子を提供することにある。
かくして本発明によれば、炭素数3以上6未満のアルキル基をエステル部に少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステルを含む種粒子用単量体に由来し、かつ5,000〜100,000の重量平均分子量を有することを特徴とする単分散重合体粒子製造用の種粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記の種粒子に、水性乳化液中の重合性ビニル系単量体を吸収させ、吸収させた重合性ビニル系単量体を重合させることにより単分散重合体粒子を得ることを特徴とする単分散重合体粒子の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記の製造方法により得られる単分散重合体粒子が提供される。
本発明による種粒子を使用した重合体粒子の製造方法によれば、ビニル系単量体由来の乳化物や微小粒子の生成が抑制され、大きさが揃った、凝集物の副生が少ない重合体粒子を得ることができる。このような単分散重合体粒子は、スペーサー、光拡散剤、滑り性付与剤、複写機のトナー、塗料のつや消し剤、機能性担体等に好適に用いられる。
また、(メタ)アクリル酸エステルが、種粒子用単量体中に5重量%以上含まれる場合、本発明による重合体粒子は、更に粒径が略均一で分散性に優れ、凝集物の副生が少ないものとなる。
また、種粒子用単量体に含まれる(メタ)アクリル酸エステルのエステル部の、炭素数3以上6未満のアルキル基が分岐アルキル基である場合、本発明による重合体粒子は、更に粒径が略均一で分散性に優れ、凝集物の副生が少ないものとなる。
(種粒子)
本発明による種粒子は、炭素数3以上6未満のアルキル基をエステル部に少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステルを含む種粒子用単量体に由来し、かつ5,000〜100,000の重量平均分子量を有する。(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを示す。種粒子用単量体は、一種類で用いられても、あるいは炭素数及び/又は重量平均分子量の異なる二種類以上の種粒子用単量体が併用されてもよい。種粒子用単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチルが挙げられる。これらのうち、分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いたポリマー粒子が、真球状粒子が得られ易いため、好ましい。
種粒子用単量体には、上記の炭素数3以上6未満のアルキル基をエステル部に少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステル以外の他の単量体が含まれていてもよい。他の単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等が挙げられる。
本発明による種粒子の種粒子用単量体中には、炭素数3以上6未満(例えば3〜5)のアルキル基をエステル部に少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステルが、5重量%以上含まれることが好ましい。5重量%より小さいと、均一な粒子径で凝集の少ない重合体粒子が得られ難い場合がある。10重量%以上であることがより好ましい。
本発明で用いられる種粒子の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定で5,000〜100,000の範囲であり、好ましくは10,000〜80,000の範囲である。種粒子の重量平均分子量が100,000以上の場合には、真球状の微粒子が得られ難く、非真球状の微粒子が混入する。そのために単分散性に優れた粒子を得られ難い場合がある。他方、種粒子の重量平均分子量5,000以下の場合にも、単分散性に優れた重合体粒子が得られ難い場合がある。
重量平均分子量の調整には、連鎖移動剤を使用するなど、公知の方法を用いることができる。連鎖移動剤は、成長重合体鎖からラジカルを受け取り、重合体の伸長を止めるが、ラジカルを受け取った連鎖移動剤は単量体を攻撃して再び重合を開始させることができることから、重合体の重量平均分子量を調節するのに用いられる。連鎖移動剤としては、一般に、チオール(メルカプタン)を含むものや四塩化炭素が挙げられる。本発明において用いられる連鎖移動剤としては、アルキルチオールやアルキレンジチオール、チオシアヌル酸等のメルカプタン類又は芳香族系化合物が好ましい。より好ましくはメルカプタン類であり、アルキルチオールが特に好ましい。具体的には、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−ヒドロキシエチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン(オクタデシルメルカプタン)またはα−メチルスチレンダイマー(CH2=CPhCH2C(CH32Ph[ただしPhはフェニル基である])等が好ましく挙げられる。
本発明による種粒子の大きさ及び形状は、特に限定されるものではないが、0.1〜5μmの球状粒子が好ましい。より好ましくは、0.8〜4μmの球状粒子である。
本発明による種粒子の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば乳化重合、ソープフリー乳化重合、シード重合、懸濁重合等の方法が挙げられる。種粒子の粒子径均一性や製造方法の簡便性を考慮すると、乳化重合、ソープフリー乳化重合、シード重合法が好ましい。
(単分散重合体粒子の製造方法)
本発明による単分散重合体粒子の製造方法としては、公知のシード重合法が用いられる。以下にシード重合法の一般的な方法を述べるが、本発明による単分散重合体粒子の製造方法は、この方法に限定されるものではない。
先ず、単量体と水性媒体とから構成される乳化液に種粒子を添加する。乳化液は、公知の方法により作製できる。例えば、単量体を、水性媒体に添加し、ホモジナイザー、超音波処理機、ナノマイザー等の微細乳化機により分散させることで、乳化液を得ることができる。ここでいう水性媒体としては、水又は水と有機溶媒(例えば、低級アルコール)との混合物が挙げられる。
単量体には重合性ビニル系単量体が用いられてもよい。重合性ビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル単量体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の飽和脂肪酸ビニル系単量体、アクロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン系カルボン酸、無水マレイン酸等のエチレン系カルボン酸無水物、モノブチルマレイン酸などのエチレン系ジカルボン酸のモノアルキルエステル、及びこれらのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩等のエチレン系カルボン酸塩類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のエチレン系カルボン酸の酸アミド類、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メチロール化ジアセトンアクリルアミド及び、これらの単量体と炭素数1〜8個のアルコール類とのエーテル化物(例えば、N−イソブトキシメチルアクリルアミド)等のエチレン系カルボン酸アミド類のメチロール化物及びその誘導体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエチレン系カルボン酸とエポキシ基を有するアルコールとのエステル類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等のエチレン系カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のエチレン系カルボン酸とアミノ基を有するアルコールとのエステル類など、エチレン性不飽和結合を1個有する単量体、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の非共役性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。
単量体には、必要に応じて重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤は、単量体に予め混合された後、水性媒体中に分散されてもよいし、両者を別々に水性媒体に分散されたものが混合されてもよい。得られた乳化液中に存する単量体の液滴の粒子径は、種粒子よりも小さい方が、単量体が種粒子に効率よく吸収されるので好ましい。
種粒子は、乳化液に直接添加されてもよく、種粒子が水性媒体に分散された形態(以下、種粒子分散液という)で添加されてもよい。種粒子が乳化液へ添加された後、単量体は種粒子に吸収される。この吸収は、通常、種粒子添加後の乳化液を、室温(約20℃)で1〜12時間攪拌することにより行うことができる。また、単量体の吸収を促進するために、乳化液は30〜50℃程度に加温されてもよい。
種粒子は、単量体を吸収することにより膨潤する。単量体と種粒子との混合比率は、種粒子1重量部に対して単量体5〜300重量部の範囲であることが好ましく、100〜250重量部がより好ましい。単量体の混合比率が小さくなると、重合による粒子径の増加は小さくなり、単量体の混合比率が大きくなると、単量体が完全に種粒子に吸収されず、水性媒体中で独自に懸濁重合して、異常粒子が生成されることがある。なお、種粒子による単量体吸収の終了は、光学顕微鏡の観察で粒子径の拡大を確認することにより判定できる。
必要に応じて添加される重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’一アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、0.1〜1.0重量部の範囲で使用されることが好ましい。
次に、種粒子に吸収された単量体を重合させることにより、単分散重合体粒子が得られる。重合温度は、単量体や重合開始剤の種類に応じて適宜選択することができる。具体的には、25〜110℃が好ましく、より好ましくは50〜100℃である。重合反応は、種粒子に単量体及び任意に用いられる重合開始剤が完全に吸収された後に、昇温して行われるのが好ましい。
重合完了後、単分散重合体粒子は、必要に応じて遠心分離されて水性媒体が除去され、水及び溶剤で洗浄された後、乾燥、単離される。本発明で行われるシード重合により、得られる単分散重合体粒子の水性媒体からの単離方法は、特に限定されるものではないが、公知の方法として例えば、スプレードライヤーに代表される噴霧乾燥法、ドラムドライヤーに代表される加熱された回転ドラムに付着させて乾燥する方法又は凍結乾燥法が挙げられる。
上記重合工程において、単分散重合体粒子の分散安定性を向上させるために、高分子分散安定剤が添加されてもよい。高分子分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、セルロース類(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。また、トリポリリン酸ナトリウム等の無機系水溶性高分子化合物が併用されてもよい。これらの高分子分散安定剤のうち、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが好ましい。高分子分散安定剤の添加量は、単量体100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
また、上記重合工程において水系での乳化粒子の発生を抑えるために、亜硝酸塩類、亜硫酸塩類、ハイドロキノン類、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等の水溶性の重合禁止剤が用いられてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
先ず、実施例及び比較例中の重量平均分子量の測定方法、種粒子の平均粒子径の測定方法、種粒子及び単分散重合体粒子の凝集物量の測定方法、単分散重合体粒子の平均粒子径の測定方法及び変動係数について説明する。
(重量平均分子量の測定方法)
本発明において、重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて行われる。なお、重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味し、数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン(PS)換算数平均分子量を意味する。以下に測定方法の手順を示す。
試料50mgをテトラヒドロフラン(THF)10ミリリットルに溶解させ、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過した上でクロマトグラフを用いて測定する。クロマトグラフの条件は以下の通りとする。
液体クロマトグラフ:東ソー社製、商品名「ゲルパーミエーションクロマトグラフ HLC−8020」
カラム:東ソー社製、商品名「TSKgel GMH−XL−L」φ7.8mm×30cm×2本
カラム温度:40℃
キャリアーガス:テトラヒドロフラン(THF)
キャリアーガス流量:1ミリリットル/分
注入・ポンプ温度:35℃
検出:RI
注入量:100マイクロリットル
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「shodex」重量平均分子量:1030000と東ソー社製、重量平均分子量:5480000、3840000、355000、102000、37900、9100、2630、870
(種粒子の平均粒子径の測定方法)
種粒子の平均粒子径は、ベックマンコールター社製のLS230型により測定される。具体的には種粒子0.1gと0.1%ノニオン性界面活性剤溶液10mlを投入し、ヤマト科学社製タッチミキサーTOUCHMIXER MT−31で2秒間混合する。この後、試験管を市販の超音波洗浄器であるヴェルボクリーア社製ULTRASONIC CLEARNER VS−150を用いて10分間分散させる。分散させたものをベックマンコールター社製のLS230型にて超音波を照射しながら測定する。そのときの光学モデルは、作成した粒子の屈折率にあわせる。
(種粒子及び単分散重合体粒子の凝集物量の測定方法)
種粒子の凝集物量については、重合後の粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で、濾過したときの金網上の凝集物を回収し、80℃のオーブンで6時間乾燥後の重量を測定する。
単分散重合体粒子の凝集物量については、重合後の粒子分散液を平均粒子径の2.5〜4.0倍の目開きの金網で、濾過したときの金網上の凝集物を回収し、80℃のオーブンで6時間乾燥後の重量を測定する。
(単分散重合体粒子の平均粒子径及び変動係数)
単分散重合体粒子の平均粒子径の測定方法は、Coulter Electronics Limited発行のReference MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、50μ mアパチャーを用いてキャリブレーションを行う方法とする。測定には、精密粒度分布測定装置( ベックマンコールター社製: コールターマルチサイザーII)が用いられる。具体的には、樹脂粒子0.1gを0.1%ノニオン系界面活性剤溶液10ml中にタッチミキサー及び超音波を用いて予備分散させ、これを本体備え付けのISOTONII(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にマルチサイザーII本体にアパチャーサイズ50μm、Currentを800、Gainを4、Polarityを+と入力してmanualで測定を行う。測定中は気泡が入らない程度にビーカー内を緩く攪拌しておき、樹脂粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。
体積加重の平均径(体積%モードの算術平均径:体積メヂアン径)を単分散重合体粒子の平均粒子径(x)として算出する。
変動係数(CV値)とは、標準偏差(σ)及び上記平均粒子径(x)から以下の式により算出された値である。
CV値(%)=(σ/x)×100
(実施例1)
(a−1)種粒子製造用の種粒子の製造
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、水2440gとメタクリル酸メチル560g、n−オクチルメルカプタン1.6gを仕込み、攪拌下に窒素置換し70℃に昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム0.8gを添加した後、12時間重合反応させた。得られたエマルジョンは固形分を14%含有し、その固形成分は粒径0.7μm、重量平均分子量15,000の真球状粒子であった。
(b−1)種粒子の製造
攪拌機及び温度計を備えた5Lの反応器に、種粒子用単量体として、メタクリル酸イソブチル110g、メタクリル酸メチル440g、n−オクチルメルカプタン5.5g、重合開始剤としてアゾビスブチロニトリル6gを混合した。得られた混合物と、界面活性剤としてコハクスルホン酸ナトリウム10gが含まれたイオン交換水1Lとを混合し、T.Kホモミキサー(プライミクス社製)にて8000rpmで10分間処理して水性乳化液を得た。この水性乳化液に上記(a−1)で得られた平均粒子径が0.7μmのシード粒子分散液130gを攪拌しながら加えた。攪拌を3時間継続後、分散液を光学顕微鏡で観察したところ、乳化液中の単量体がシード粒子に吸収されていることが認められた。その後、分散安定剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA−224E)10gを溶解した水溶液2200gを反応器に入れ、攪拌しながら55℃で12時間重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、2.8gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は2.2μm、分子量は14,000であった。
(c−1)単分散重合体粒子の製造
スチレン750g、エチレングリコールジメタクリレート250g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート8gを溶解して得られた単量体混合物を、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル10gが含まれたイオン交換水1000gと混合し、T.KホモミキサーMARK2.5型(特殊機化工業社製)に入れて10000rpmで10分間処理して乳化液を得た。この乳化液に上記(b−1)で得られた平均粒径2.2μmの濾過後の種粒子分散液を固形分(種粒子)が9.8gとなるように加え、30℃で5時間攪拌した。この分散液にポリビニルアルコール(日本ゴーセノール社製GH−17)の4%水溶液2000g、亜硝酸ナトリウム0.6gを加え、その後70℃で5時間、次いで105℃で2.5時間攪拌し重合反応を行い、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、5.3gであった。
(d−1)単分散重合体粒子の平均粒子径、変動係数及び評価
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は10.6μm、変動係数は9.5%であり、粒子径が非常に揃っている単分散重合体粒子であることが認められた。
(実施例2)
(a−2)種粒子製造用の種粒子の製造
実施例1と同様である。
(b−2)種粒子の製造
種粒子用単量体として、アクリル酸ブチル55g、メタクリル酸メチル495g、n−オクチルメルカプタン3.0gを用いたことを除き、実施例1と同様にして重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、2.0gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は2.2μm、分子量は40,000であった。
(c−2)単分散重合体粒子の製造
種粒子として、上記(b−2)で得られた濾過後の種粒子分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、6.3gであった。
(d−2)単分散重合体粒子の平均粒子径、変動係数及び評価
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は10.2μm、変動係数は9.5%であり、粒子径が非常に揃っている単分散重合体粒子であることが認められた。
(実施例3)
(a−3)種粒子製造用の種粒子の製造
実施例1と同様である。
(b−3)種粒子の製造
種粒子用単量体として、メタクリル酸イソブチル550gを用いたことを除き、実施例1と同様にして重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、4.3gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は2.2μm、分子量は10,000であった。
(c−3)単分散重合体粒子の製造
種粒子として、上記(b−3)で得られた濾過後の種粒子分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、5.5gであった。
(d−3)単分散重合体粒子の平均粒子径、変動係数及び評価
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は10.4μm、変動係数は9.7%であり、粒子径が非常に揃っている単分散重合体粒子であることが認められた。
(比較例1)
(a−4)種粒子製造用の種粒子の製造
実施例1と同様である。
(b−4)種粒子の製造
種粒子用単量体として、メタクリル酸エチル110g、メタクリル酸メチル440g、n−オクチルメルカプタン5.5gを用いたことを除き、実施例1と同様にして重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、3.0gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は2.1μm、分子量は12,000であった。
(c−4)単分散重合体粒子の製造
種粒子として、上記(b−4)で得られた濾過後の種粒子分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、20.5gであった。
(d−4)単分散重合体粒子の平均粒子径、変動係数及び評価
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は9.8μm、変動係数は19.5%であり、粒子径が揃っていない単分散重合体粒子であることが認められた。
(比較例2)
(a−5)種粒子製造用の種粒子の製造
実施例1と同様である。
(b−5)種粒子の製造
種粒子用単量体として、メタクリル酸イソブチル110g、メタクリル酸メチル440g、n−オクチルメルカプタン0.5gを用いたことを除き、実施例1と同様にして重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、2.9gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は2.2μm、分子量は200,000であった。
(c−5)単分散重合体粒子の製造
種粒子として、上記(b−5)で得られた濾過後の種粒子分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、10.4gであった。
(d−5)単分散重合体粒子の平均粒子径、変動係数及び評価
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は10.3μm、変動係数は16.0%であり、粒子径が揃っていない単分散重合体粒子であることが認められた。
(比較例3)
(a−6)種粒子製造用の種粒子の製造
実施例1と同様である。
(b−6)種粒子の製造
種粒子用単量体として、メタクリル酸n−ヘキシル110g、メタクリル酸メチル440g、n−オクチルメルカプタン5.5gを用いたことを除き、実施例1と同様にして重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、200gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は1.9μm、分子量は13,000であった。
(c−6)単分散重合体粒子の製造
種粒子として、上記(b−6)で得られた濾過後の種粒子分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、100.5gであった。
(d−6)単分散重合体粒子の平均粒子径、変動係数及び評価
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は10.2μm、変動係数は18.5%であり、粒子径が揃っていない単分散重合体粒子であることが認められた。
上述の実施例1〜3及び比較例1〜3を表1にまとめて示す。
Figure 2011126938
比較例1及び3の評価は、炭素数3以上6未満のアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を、種粒子用単量体として使用しなかったことが原因と考えられる。
比較例2の評価は、重量平均分子量100,000以上の種粒子を用いたことが原因と考えられる。

Claims (5)

  1. 炭素数3以上6未満のアルキル基をエステル部に少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステルを含む種粒子用単量体に由来し、かつ5,000〜100,000の重量平均分子量を有することを特徴とする単分散重合体粒子製造用の種粒子。
  2. 前記(メタ)アクリル酸エステルが、種粒子用単量体中に5重量%以上含まれる請求項1に記載の単分散重合体粒子製造用の種粒子。
  3. 炭素数3以上6未満のアルキル基が、分岐アルキル基である請求項1又は2に記載の単分散重合体粒子製造用の種粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の種粒子に、水性乳化液中の重合性ビニル系単量体を吸収させ、吸収させた重合性ビニル系単量体を重合させることにより単分散重合体粒子を得ることを特徴とする単分散重合体粒子の製造方法。
  5. 請求項4に記載の方法により得られる単分散重合体粒子。
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