JP2011126938A - 単分散重合体粒子製造用の種粒子、単分散重合体粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素数3以上6未満のアルキル基をエステル部に少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステルを含む種粒子用単量体に由来し、かつ5,000〜100,000の重量平均分子量を有することを特徴とする単分散重合体粒子製造用の種粒子により上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
また、(メタ)アクリル酸エステルが、種粒子用単量体中に5重量%以上含まれる場合、本発明による重合体粒子は、更に粒径が略均一で分散性に優れ、凝集物の副生が少ないものとなる。
また、種粒子用単量体に含まれる(メタ)アクリル酸エステルのエステル部の、炭素数3以上6未満のアルキル基が分岐アルキル基である場合、本発明による重合体粒子は、更に粒径が略均一で分散性に優れ、凝集物の副生が少ないものとなる。
本発明による種粒子は、炭素数3以上6未満のアルキル基をエステル部に少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステルを含む種粒子用単量体に由来し、かつ5,000〜100,000の重量平均分子量を有する。(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを示す。種粒子用単量体は、一種類で用いられても、あるいは炭素数及び/又は重量平均分子量の異なる二種類以上の種粒子用単量体が併用されてもよい。種粒子用単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチルが挙げられる。これらのうち、分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いたポリマー粒子が、真球状粒子が得られ易いため、好ましい。
本発明による単分散重合体粒子の製造方法としては、公知のシード重合法が用いられる。以下にシード重合法の一般的な方法を述べるが、本発明による単分散重合体粒子の製造方法は、この方法に限定されるものではない。
(重量平均分子量の測定方法)
本発明において、重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて行われる。なお、重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味し、数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン(PS)換算数平均分子量を意味する。以下に測定方法の手順を示す。
液体クロマトグラフ:東ソー社製、商品名「ゲルパーミエーションクロマトグラフ HLC−8020」
カラム:東ソー社製、商品名「TSKgel GMH−XL−L」φ7.8mm×30cm×2本
カラム温度:40℃
キャリアーガス:テトラヒドロフラン(THF)
キャリアーガス流量:1ミリリットル/分
注入・ポンプ温度:35℃
検出:RI
注入量:100マイクロリットル
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「shodex」重量平均分子量:1030000と東ソー社製、重量平均分子量:5480000、3840000、355000、102000、37900、9100、2630、870
種粒子の平均粒子径は、ベックマンコールター社製のLS230型により測定される。具体的には種粒子0.1gと0.1%ノニオン性界面活性剤溶液10mlを投入し、ヤマト科学社製タッチミキサーTOUCHMIXER MT−31で2秒間混合する。この後、試験管を市販の超音波洗浄器であるヴェルボクリーア社製ULTRASONIC CLEARNER VS−150を用いて10分間分散させる。分散させたものをベックマンコールター社製のLS230型にて超音波を照射しながら測定する。そのときの光学モデルは、作成した粒子の屈折率にあわせる。
種粒子の凝集物量については、重合後の粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で、濾過したときの金網上の凝集物を回収し、80℃のオーブンで6時間乾燥後の重量を測定する。
単分散重合体粒子の凝集物量については、重合後の粒子分散液を平均粒子径の2.5〜4.0倍の目開きの金網で、濾過したときの金網上の凝集物を回収し、80℃のオーブンで6時間乾燥後の重量を測定する。
単分散重合体粒子の平均粒子径の測定方法は、Coulter Electronics Limited発行のReference MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、50μ mアパチャーを用いてキャリブレーションを行う方法とする。測定には、精密粒度分布測定装置( ベックマンコールター社製: コールターマルチサイザーII)が用いられる。具体的には、樹脂粒子0.1gを0.1%ノニオン系界面活性剤溶液10ml中にタッチミキサー及び超音波を用いて予備分散させ、これを本体備え付けのISOTONII(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にマルチサイザーII本体にアパチャーサイズ50μm、Currentを800、Gainを4、Polarityを+と入力してmanualで測定を行う。測定中は気泡が入らない程度にビーカー内を緩く攪拌しておき、樹脂粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。
変動係数(CV値)とは、標準偏差(σ)及び上記平均粒子径(x)から以下の式により算出された値である。
CV値(%)=(σ/x)×100
(a−1)種粒子製造用の種粒子の製造
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、水2440gとメタクリル酸メチル560g、n−オクチルメルカプタン1.6gを仕込み、攪拌下に窒素置換し70℃に昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム0.8gを添加した後、12時間重合反応させた。得られたエマルジョンは固形分を14%含有し、その固形成分は粒径0.7μm、重量平均分子量15,000の真球状粒子であった。
攪拌機及び温度計を備えた5Lの反応器に、種粒子用単量体として、メタクリル酸イソブチル110g、メタクリル酸メチル440g、n−オクチルメルカプタン5.5g、重合開始剤としてアゾビスブチロニトリル6gを混合した。得られた混合物と、界面活性剤としてコハクスルホン酸ナトリウム10gが含まれたイオン交換水1Lとを混合し、T.Kホモミキサー(プライミクス社製)にて8000rpmで10分間処理して水性乳化液を得た。この水性乳化液に上記(a−1)で得られた平均粒子径が0.7μmのシード粒子分散液130gを攪拌しながら加えた。攪拌を3時間継続後、分散液を光学顕微鏡で観察したところ、乳化液中の単量体がシード粒子に吸収されていることが認められた。その後、分散安定剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA−224E)10gを溶解した水溶液2200gを反応器に入れ、攪拌しながら55℃で12時間重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、2.8gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は2.2μm、分子量は14,000であった。
スチレン750g、エチレングリコールジメタクリレート250g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート8gを溶解して得られた単量体混合物を、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル10gが含まれたイオン交換水1000gと混合し、T.KホモミキサーMARK2.5型(特殊機化工業社製)に入れて10000rpmで10分間処理して乳化液を得た。この乳化液に上記(b−1)で得られた平均粒径2.2μmの濾過後の種粒子分散液を固形分(種粒子)が9.8gとなるように加え、30℃で5時間攪拌した。この分散液にポリビニルアルコール(日本ゴーセノール社製GH−17)の4%水溶液2000g、亜硝酸ナトリウム0.6gを加え、その後70℃で5時間、次いで105℃で2.5時間攪拌し重合反応を行い、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、5.3gであった。
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は10.6μm、変動係数は9.5%であり、粒子径が非常に揃っている単分散重合体粒子であることが認められた。
(a−2)種粒子製造用の種粒子の製造
実施例1と同様である。
種粒子用単量体として、アクリル酸ブチル55g、メタクリル酸メチル495g、n−オクチルメルカプタン3.0gを用いたことを除き、実施例1と同様にして重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、2.0gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は2.2μm、分子量は40,000であった。
種粒子として、上記(b−2)で得られた濾過後の種粒子分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、6.3gであった。
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は10.2μm、変動係数は9.5%であり、粒子径が非常に揃っている単分散重合体粒子であることが認められた。
(a−3)種粒子製造用の種粒子の製造
実施例1と同様である。
種粒子用単量体として、メタクリル酸イソブチル550gを用いたことを除き、実施例1と同様にして重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、4.3gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は2.2μm、分子量は10,000であった。
種粒子として、上記(b−3)で得られた濾過後の種粒子分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、5.5gであった。
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は10.4μm、変動係数は9.7%であり、粒子径が非常に揃っている単分散重合体粒子であることが認められた。
(a−4)種粒子製造用の種粒子の製造
実施例1と同様である。
種粒子用単量体として、メタクリル酸エチル110g、メタクリル酸メチル440g、n−オクチルメルカプタン5.5gを用いたことを除き、実施例1と同様にして重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、3.0gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は2.1μm、分子量は12,000であった。
種粒子として、上記(b−4)で得られた濾過後の種粒子分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、20.5gであった。
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は9.8μm、変動係数は19.5%であり、粒子径が揃っていない単分散重合体粒子であることが認められた。
(a−5)種粒子製造用の種粒子の製造
実施例1と同様である。
種粒子用単量体として、メタクリル酸イソブチル110g、メタクリル酸メチル440g、n−オクチルメルカプタン0.5gを用いたことを除き、実施例1と同様にして重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、2.9gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は2.2μm、分子量は200,000であった。
種粒子として、上記(b−5)で得られた濾過後の種粒子分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、10.4gであった。
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は10.3μm、変動係数は16.0%であり、粒子径が揃っていない単分散重合体粒子であることが認められた。
(a−6)種粒子製造用の種粒子の製造
実施例1と同様である。
種粒子用単量体として、メタクリル酸n−ヘキシル110g、メタクリル酸メチル440g、n−オクチルメルカプタン5.5gを用いたことを除き、実施例1と同様にして重合を行い、種粒子分散液を得た。得られた種粒子分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、200gであった。その後、濾過後の種粒子分散液中の種粒子について平均粒子径と分子量を測定した。種粒子の平均粒子径は1.9μm、分子量は13,000であった。
種粒子として、上記(b−6)で得られた濾過後の種粒子分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、単分散重合体粒子の分散液を得た。得られた単分散重合体粒子の分散液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、乾燥後の金網上の凝集物量を測定したところ、100.5gであった。
その後、濾過後の分散液中の単分散重合体粒子の粒度分布を測定したところ、平均粒子径は10.2μm、変動係数は18.5%であり、粒子径が揃っていない単分散重合体粒子であることが認められた。
上述の実施例1〜3及び比較例1〜3を表1にまとめて示す。
比較例2の評価は、重量平均分子量100,000以上の種粒子を用いたことが原因と考えられる。
Claims (5)
- 炭素数3以上6未満のアルキル基をエステル部に少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステルを含む種粒子用単量体に由来し、かつ5,000〜100,000の重量平均分子量を有することを特徴とする単分散重合体粒子製造用の種粒子。
- 前記(メタ)アクリル酸エステルが、種粒子用単量体中に5重量%以上含まれる請求項1に記載の単分散重合体粒子製造用の種粒子。
- 炭素数3以上6未満のアルキル基が、分岐アルキル基である請求項1又は2に記載の単分散重合体粒子製造用の種粒子。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載の種粒子に、水性乳化液中の重合性ビニル系単量体を吸収させ、吸収させた重合性ビニル系単量体を重合させることにより単分散重合体粒子を得ることを特徴とする単分散重合体粒子の製造方法。
- 請求項4に記載の方法により得られる単分散重合体粒子。
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