JP2008208181A - 構造粘性付与剤用重合体微粒子 - Google Patents

構造粘性付与剤用重合体微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】 各種有機溶剤に対して、優れた分散性、膨潤性を有し、チキソ性付与効果が良好であり、優れた垂れ止め性を有する構造粘性付与剤用重合体微粒子を提供すること。
【解決手段】 a)芳香族不飽和単量体29.5〜70質量%、(b)架橋性不飽和単量体0.02〜0.5質量%、(c)炭素数1〜8のアルキル基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル29.5〜70重量%、(d)カルボキシル基含有不飽和単量体及び/又は水酸基含有不飽和単量体0〜5質量%からなる単量体を重合して得られる構造粘性付剤与用重合体微粒子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、各種有機溶剤に対して優れた分散性、膨潤性を有し、チキソ性付与効果が良好であり、優れた垂れ止め性を有する、構造粘性付与剤用として使用する重合体微粒子に関する。
建築、建材用途では、その保護および装飾のために、着色顔料を含むソリッドカラー塗料が塗装されている。この目的のための塗膜は耐久性と美観性を具備しなければならない。最近の塗膜は、耐久性についてはほぼ市場の要求を満足するレベルに達しているが、美観性についてはいまだ大幅な向上が望まれている。また、通常上塗りを2回するところを1回で外観性の優れた塗膜をうることができれば生産性が著しく向上する。美観性を向上させる手段の1つとして、厚膜塗装により高仕上り外観塗膜を形成する方法が考えられる。そこで近年、フィルム形成性重合体、有機溶剤および顔料よりなる系に構造粘性(チキソ性)を付与する目的で重合体微粒子を添加した塗料が、垂れ止め性能の改善された、少ない塗装回数で厚塗りが可能な塗料として特許文献1に提案されている。
特開平5−320579号公報
しかしながら、特許文献1記載の重合体微粒子は、有機溶剤に対する分散性が十分ではなく、塗膜外観に未分散物による欠陥の発生やチキソ性付与効果が十分ではないことによる1回塗の膜厚や外観が塗装条件によっては不十分な場合がある。本発明は従来技術のこのような欠点を解消し、分散性、膨潤性が良好で垂れ止め性能がよく、1回塗で厚い塗膜を形成でき、美観性も良好な構造粘性付与剤用重合体微粒子をうることを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、特定の重合体微粒子を用いることによって優れた効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は、(a)芳香族不飽和単量体29.5〜70質量%、(b)架橋性不飽和単量体0.02〜0.5質量%、(c)炭素数1〜8のアルキル基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル29.5〜70重量%、(d)カルボキシル基含有不飽和単量体及び/又は水酸基含有不飽和単量体0〜5質量%からなる単量体を重合して得られる構造粘性付剤与用重合体微粒子にある。
また、本願発明の要旨は、(a)(メタ)アクリル酸t−ブチル24.5〜90質量%、(b)架橋性不飽和単量体0.02〜0.5質量%、(c)(メタ)アクリル酸t−ブチルを除く炭素数1〜8のアルキル基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル9.5〜75重量%、(d)カルボキシル基含有不飽和単量体及び/又は水酸基含有不飽和単量体0〜5質量%からなる単量体を重合して得られる構造粘性付与剤用重合体微粒子にある。
本発明により、各種有機溶剤に対して、優れた分散性、膨潤性を有し、チキソ性付与効果が良好であり、優れた垂れ止め性を有する構造粘性付与剤用重合体微粒子を提供することが可能である。
本発明のうち、第一の発明は、(a)芳香族不飽和単量体29.5〜70質量%、(b)架橋性不飽和単量体0.02〜0.5質量%、(c)炭素数1〜8のアルキル基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル29.5〜70重量%、(d)カルボキシル基含有不飽和単量体及び/又は水酸基含有不飽和単量体0〜5質量%からなる構造粘性付剤与用重合体微粒子にある。
本発明で使用する芳香族不飽和単量体としては、スチレン、パラ−メチルスチレン、及びパラ−メチルスチレンとオルソ−メチルスチレン混合物などが挙げられる。中でも、スチレンは、チキソ性付与効果が優れ、また容易に入手することができ、工業的な実用化の点で好ましい。
本発明で使用する架橋性不飽和単量体としては、分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体があげられ、その具体例としては、たとえばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレートなどのモノまたはポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレートなどのモノまたはポリエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジンなどのジまたはトリアリル化合物、アリルメタクリレート、アリルアクリレートなどのアリル化合物、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールアリロキシジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルテレフタレート、アリル(メタ)アクリレートなどがあげられる。中でも、アリル基を含有する不飽和単量体であるアリルメタクリレート又は/及びトリアリルシアヌレートは、チキソ性付与効果が優れ、また、容易に入手することができ、工業的な実用化の点で好ましい。これら不飽和単量体は、用途に応じて使い分けることが可能である。
本発明で使用する炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルは、チキソ性付与効果が優れ、また、容易に入手することができ、工業的な実用化の点で好ましい。これら不飽和単量体は、用途に応じて使い分けることが可能である。
本発明で使用するカルボキシル基含有不飽和単量体としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸2−サクシノロイルオキシエチル、メタクリル酸2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル等を使用することができる。
また、本発明で使用する水酸基含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等を使用することができる。
第一の発明の構造粘性付剤与用重合体微粒子は、塗料に一般的に使用されるキシレン等の芳香族系有機溶剤に対して、優れたチキソ性効果を付与することができる。さらに優れたチキソ性付与効果を得るには、芳香族不飽和単量体40〜60質量%、架橋性不飽和単量体0.04〜0.3質量%、炭素数2〜8のアルキル基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル40〜60重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体及び/又は水酸基含有不飽和単量体0〜3質量%が好ましい。
本発明のうち、第二の発明は、(a)(メタ)アクリル酸t−ブチル24.5〜90質量%、(b)架橋性不飽和単量体0.02〜0.5質量%、(c)(メタ)アクリル酸t−ブチルを除く炭素数1〜8のアルキル基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル9.5〜75重量%、(d)カルボキシル基含有不飽和単量体及び/又は水酸基含有不飽和単量体0〜5質量%からなる構造粘性付与剤用重合体微粒子にある。
本発明で使用する架橋性不飽和単量体としては、前述したものを使用することができる。また、(メタ)アクリル酸t−ブチルを除く炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、前述した炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、(メタ)アクリル酸t−ブチル以外のものを使用することができる。また、カルボキシル基含有不飽和単量体、水酸基含有不飽和単量体についても前述したものを使用することができる。
第二の発明における構造粘性付剤与用重合体微粒子は、キシレン等の芳香族系有機溶剤及び環境上の問題から芳香族系有機溶剤の含有量を減量したミネラルスピリット、芳香族系有機溶剤を全く含有しないメチルシクロヘキサン等の脂肪系、パラフィン系溶媒に対して、優れたチキソ性効果を付与することができる。また、芳香族系不飽和単量体を含有していないため、耐紫外線性が優れている。さらに優れたチキソ性付与効果を得るには、重合体微粒子の構成不飽和単量体組成100質量%中、(メタ)アクリル酸t−ブチル30〜80質量%、架橋性不飽和単量体0.04〜0.3質量%、(メタ)アクリル酸t−ブチルを除く炭素数1〜8のアルキル基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル20〜70重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体及び/又は水酸基含有不飽和単量体0〜3質量%が好ましい。
第一、第二の発明における重合体微粒子は、有機溶剤に重合体微粒子を使用したのチキソ性を3以上とすることができる。
本発明でいうチキソ性とは、有機溶剤に重合体微粒子を5質量%の割合にて添加し均質に混合分散させた樹脂組成物をBL型粘度計を用いて25℃の条件下で、回転数6rpmの粘度測定値と回転数60rpmの粘度測定値の比を意味し、その数値が大きいほど、優れた垂れ止め性が有する。
優れた垂れ止め性を発現する為には、有機溶剤に重合体微粒子を5質量%にて分散させた際のチキソ性が3以上であることが必要である。好ましいチキソ性の下限値は、3.5以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上が特に好ましい。
重合体微粒子の粒子構造は、公知の構造から適宜選ぶことができ、例えば、単一構造、多段重合で得られる2層以上のコア/シェル等の構造とすることができる。
重合体微粒子の形態は、有機溶剤での分散性が良好となり、塗膜外観に未分散物による欠陥の発生がなくなり、また、チキソ付与効果が優れ、垂れ止め性が向上することから、その体積一次平均粒子径の下限値は、400nm以上であることが好ましい。樹脂組成物のチキソ付与効果の観点から450nm以上がより好ましく、500nm以上が特に好ましい。また、粒子径の上限値は、1000nm以下であると粒子が沈殿せずに安定に分散するという観点から好ましい。
また、重合体微粒子を構成する不飽和単量体組成から架橋性不飽和単量体を除いて重合を行った際の重合体の重量平均分子量が、25万以上となる条件で重合を行うことが好ましい。
重量平均分子量を25万以上とすることで、重合体微粒子が有機溶剤により膨潤した際の粒子同士の相互作用が大きくなり、チキソ性付与効果が優れ、垂れ止め性が向上する。その重量平均分子量の下限値は、30万以上がより好ましい。また、重量平均分子量の上限値は、有機溶剤の膨潤性の点から1000万以下が好ましい。
重合体凝集粒子を調製する方法は、得られた重合体微粒子の有機溶剤に対する分散性が優れることから、スプレードライ法を用いることが好ましい。重合体微粒子を含むエマルジョンを乾燥用加熱ガスによって乾燥器中で噴霧乾燥する凝集粒子の製造方法(スプレードライ法)において、その乾燥用加熱ガスの乾燥室出口での温度が重合体微粒子のガラス転移温度Tgより低いことが有機溶剤に対する分散性の点から好ましいことから、重合体微粒子から架橋性不飽和単量体を除いたガラス転移温度は、40℃以上が好ましく、45℃以上がより好ましい。
重合体微粒子を含むエマルジョンを噴霧乾燥して得られた凝集粒子において、該凝集粒子を蒸留水中に分散し、4.3W、周波数22.5kHzの超音波を5分照射した後、1000nm以下の粒子頻度の積算値が30%以上であると、重合体微粒子の有機溶剤に対する分散性が良好となり、塗膜外観に未分散物による欠陥の発生がなく、また、チキソ性付与効果が良好となり、優れた垂れ止め性を有する樹脂組成物が得られる。1000nm以下の粒子頻度の積算値の下限値の好ましい範囲は35%以上がより好ましく、40%以上が特に好ましい。
重合体微粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、乳化重合法、微細懸濁重合法など、公知の方法を用いることができる。その中でも、ソープフリー乳化重合法により調整することが好ましく、シード粒子重合中に乳化剤ミセルが存在すると、粒子径が小さくなるため、重合は、乳化剤ミセルが存在しない中で実施する。ソープフリー乳化重合によりシード粒子を作製する場合に使用される重合開始剤としては、水分散媒に可溶な重合開始剤であれば特に限定されないが、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性過酸化物;アゾビスシアノ吉草酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などの水溶性アゾ化合物などを挙げることができる、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。また、前記した重合開始剤とともに、還元剤を併用し、レドックス開始剤系を用いてもよい。還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸塩などを挙げることができる。この中でも、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等が好ましく、重合体微粒子の凝集が少なくなりやすい点で、過硫酸カリウムを使用することがより好ましい。また、この重合開始剤の使用量は特に限定されないが、重合体微粒子の重合体微粒子の重量平均分子量を25万以上とすることから、重合体微粒子を構成する不飽和単量体100質量部に対して、0.6質量部以下が好ましく、0.4質量部以下がより好ましく、0.3質量部以下が特に好ましい。
重合体微粒子の乾燥粉体としての構造は、特に限定されないが、粉体としての取り扱い易さから、重合で得られた重合体一次微粒子が多数集合して凝集粒子(二次粒子)を形成していることが好ましい。凝集粒子の体積平均粒子径は、重合体微粒子の有機溶剤に対する分散性が良好となり、塗膜外観に未分散物による欠陥の発生がなくなる傾向であることから、100μm未満であることが好ましい。
本発明の構造粘性付与剤用重合体微粒子は、各種塗料に添加することで、優れた分散性、膨潤性を有し、チキソ性を付与することができる。
塗料には、用途に応じて各種のフィルム形成性重合体、架橋剤、添加剤又は充填剤等を配合できる。フィルム形成性重合体としては、一般に公知のアクリル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などを用いることができる。中でも、アクリル共重合体が好ましい。
また、架橋剤と反応しうる官能基を有するフィルム形成性重合体を用いた場合は、その架橋剤としては、例えば、公知のポリイソシアネートや、アミノプラスト樹脂、すなわち尿素、チオ尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどの含チッ素化合物のホルムアルデヒド縮合物や、該縮合物の低級アルキルエーテル化物(アルキル基の炭素数は1〜4)などが挙げられる。
添加剤、充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、バライタ、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム等の無機フィラー類、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料更に、減粘剤、消泡剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着剤等を必要に応じて配合できる。
本発明の重合体微粒子を用いた樹脂組成物を調製する方法としては、公知の方法を適宜選択して使用すればよい。例えば、フィルム形成性重合体である主剤と有機溶剤とを含むワニスをあらかじめ調製し、そこに要すれば用いられる添加剤又は充填剤等を加えて分散したものに、予め重合体微粒子と有機溶剤を加えて十分に分散したものを加えてよく混合し、必要であれば、さらに有機溶剤剤を加えて適当な粘度に調整することによって調製することができる。また、フィルム形成性重合体である主剤と有機溶剤とを含むワニスをあらかじめ調製し、そこに要すれば用いられる添加剤又は充填剤等を加えて分散し、ついで重合体微粒子とを加えてよく混合し、必要であれば、さらに有機溶剤剤を加えて適当な粘度に調整することによっても調製することができる。樹脂組成物に優れたチキソ性付与効果を得るには、予め本発明の重合体微粒子と有機溶剤を加えて十分に分散、膨潤させ、チキソ性を発現したものをフィルム形成性重合体と有機溶剤からなるワニスに混合、分散させる調整方法が好ましい。
また、架橋剤としてポリイソシアネートを使用するばあいは架橋剤だけ別容器に貯蔵し、使用時によく混合して使用するのが好ましい。
本発明の重合体微粒子を添加した塗料を、ハケ、ローラーなどの常法により、外装建築、建材の中外塗材、コンクリートなどの被塗装物上に塗装することができ、常温または加熱することにより厚膜にでき、仕上り外観に優れ、特に縦面において垂れのない塗膜を形成することができる。
近年省資源や公害対策などの要請で塗料の溶剤量を減らすハイソリッド化が注目されているが、本発明の重合体微粒子を用いることで、仕上り塗膜の性能に悪影響がなくハイソリッド化することができ、厚塗りすることができ、仕上り外観が優れている。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。各例中、「部」は「質量部」を意味する。また、各評価は以下の方法により実施した。
(1)[重合体微粒子の体積平均一次粒子径及び粒子径分布の測定方法]
乾燥前のエマルジョンをレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて、槽内循環レベルを2、重合体微粒子の構成不飽和単量体中に芳香族不飽和単量体が40質量%以上含有される場合は相対屈折率を1.16とし、40質量%未満の場合は相対屈折率を1.12と設定した後、蒸留水を分散媒として出力4.3W、周波数22.5kHzの超音波を1分照射し、透過率が75〜95%の範囲内になるように調製後、測定した。体積基準から算出したメジアン径を微粒子の体積平均一次粒子径とした。また、同様にして体積基準による1000nm以下の粒子頻度の積算値を測定した。
(2)[凝集粒子の体積平均粒子径及び分散性評価方法]
乾燥後の凝集粒子をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて、槽内循環レベルを2、重合体微粒子の構成不飽和単量体中に芳香族不飽和単量体が40質量%以上含有される場合は相対屈折率を1.16とし、40質量%未満の場合は相対屈折率を1.12と設定した後、蒸留水を分散媒として、透過率が75〜95%の範囲内になるように調製後、測定した。体積基準から算出したメジアン径を凝集粒子の体積平均粒子径とした。
乾燥後の凝集粒子をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて、槽内循環レベルを2、相対屈折率を1.12と設定した後、蒸留水を分散媒として出力4.3W、周波数22.5kHzの超音波を5分照射し、透過率が75〜95%の範囲内になるように調製後、体積基準による粒子径分布を測定した。1000nm以下の粒子頻度を積算し、その値を分散性の指標とした。
「○」:積算値が30%以上
「×」:積算値が30%未満
(3)[重合体微粒子のガラス転移温度Tgの計算方法]
重合体微粒子を構成する不飽和単量体組成から架橋性不飽和単量体を除いた組成のガラス転移温度Tgは、Foxの式(1)から計算した。
1/(Tg+273.4)=Σ{Wi/(Tgi+273.4)} ・・・(1)
Wi:単量体iの質量分率
Tgi:単量体iから成るホモポリマーのガラス転移温度Tg(℃)
単量体iのホモポリマーTgは、高分子データ・ハンドブック基礎編(高分子学会編初版)記載のデータを用いることができる。また、記載されていない樹脂のTgについては、公知の手法であるDSC測定から求めることができる。
(4)[重合体微粒子の重量平均分子量]
GPC(ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ)法により、以下の条件で測定したポリスチレン換算値を、重合体の重量平均分子量とした。
・装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−8020
・カラム:東ソー(株)製、TSKgelGMHXLを3本直列に連結
・オーブン温度:38℃
・溶離液:テトラヒドロフラン
・試料濃度:0.4質量%
・流速:1mL/分
・注入量:0.1mL
・検出器:RI(示差屈折計)
(5)[重合体微粒子を用いた樹脂組成物の粘度及びチキソ性評価]
有機溶剤に重合体微粒子を5質量%にて分散させた樹脂組成物を25℃の恒温槽で1時間保温した後、BL型粘度計((株)トキメック製、製品名:「BL型粘度計」)を用いて粘度を測定した。回転数60rpmの1分後の粘度をη1とし、回転数6rpmの1分後の粘度をη2とし、チキソ性は下記式にて算出し、評価した。
チキソ性=η2/η1
「◎」:5以上
「○」:3以上〜5未満
「×」:3未満
(6)[重合体微粒子を用いた樹脂組成物の垂れ止め性評価]
有機溶剤に重合体微粒子を5質量%にて分散させた樹脂組成物をガラス板にローラーにて塗布し、重合体微粒子の垂れ止め性を目視にて以下の基準で評価した。
「○」:垂れる
「×」:垂れない
(7)[重合体微粒子を用いた樹脂組成物の分散性評価]
有機溶剤に重合体微粒子を5質量%にて分散させた樹脂組成物をガラス板にローラーにて塗布し、60℃のギヤーオーブンに入れて30分間加熱し、重合体微粒子の分散性を目視にて以下の基準で評価した。
「○」: 微粒子の分散不良によるブツが認められない
「×」:微粒子の分散不良によるブツが認められる
「××」:微粒子の分散不良によるブツがかなり多く認められる
[重合体微粒子(P1)の調製]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗及び冷却管を備えた2リットルの4つ口フラスコに、純水476部を入れ、60分間窒素ガスをバブリングさせ、純水中の溶存酸素を置換した。次に、窒素ガスをフローに変えた後、表1に示す不飽和単量体(M1)(メチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルM」)22.8部、n−ブチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルB」)17.4部)を入れ、250rpmで攪拌しながら75℃に昇温した。内温が75℃に達した時点で、表1に示す開始剤溶液(K)をフラスコ内に一度に添加し、重合を開始させた。その後、75℃にて60分攪拌し、シード粒子エマルジョンを得た。
次いで、このシード粒子エマルジョンに、表1に示す不飽和単量体(M2)乳化液を360分間かけて滴下してシード粒子に吸収、重合させ、滴下終了後、75℃にて60分間攪拌し、重合体エマルジョンを得た。
この重合体エマルジョンを室温まで冷却し、ナイロン製メッシュ(NBC製、商品名「N−No110S 115」)にて濾過した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)CL−8型)を用いて、入口温度140℃、出口温度55℃、アトマイザ回転数20000rpmで噴霧乾燥した後、目開き250μmの篩にて篩い、体積平均一次粒子径が721nm、重量平均分子量44万の重合体微粒子(P1)を得た。組成及び粒子特性を表1に示す。
この重合体微粒子(P1)は、重量平均分子量を測定するためのテトラヒドロフランに溶解しない為、重合体微粒子を構成する不飽和単量体組成から架橋性不飽和単量体を除き、他は同様にして重合を実施し、分子量を測定した。得られた重合体微粒子の重量平均分子量は44万であった。
[重合体微粒子(P2)〜(P6)の調製]
シード組成(M1)と滴下組成(M2)のモノマー及び開始剤(K)をそれぞれ表1、2に記載の内容に変更したこと以外は、重合体微粒子(P1)と同様にして重合体微粒子(P2)〜(P6)を調製した。尚、不飽和単量体の滴下速度、噴霧乾燥の条件等は重合体微粒子(P1)の場合と同一である。得られた粒子の粒子特性を表3に示す。
[実施例1]
有機溶剤としてキシレン(MCケミカル社製、商品名「キシレン」)95部に、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業(株)製)でゆっくり攪拌しながら、重合体微粒子(P1)5部を徐々に添加し、添加終了後、約2500rpmにて5分間攪拌を行い、樹脂組成物を得た。その際の樹脂組成物の粘度及びチキソ性について評価した。次いで、樹脂組成物をガラス板にローラーにて塗布し、重合体微粒子の分散性及び垂れ止め性を目視にて評価した。樹脂組成及び評価結果を表4に示す。
[実施例2]
有機溶剤可塑剤を「SS#100」(SS#100(MCケミカル社製、商品名「SS#100」)に変更し、同様にして樹脂組成物の粘度及びチキソ性、分散性及び垂れ止め性について評価した。樹脂組成及び評価結果を表4に示す。
[実施例3〜6、比較例1、2]
重合体微粒子及び有機溶剤を表4のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、評価した。評価結果を表4に示す。
実施例1〜6の結果から明らかなように、各種有機溶剤に対して、優れた分散性を有し、チキソ性付与効果が良好であり、優れた垂れ止め性を有する。これに対し、比較例1は、架橋性単量体が未添加である為、チキソ性付与効果が不十分であり、垂れ止め性に劣っている。比較例2では、重合体微粒子の架橋性単量体が多い為、チキソ性付与効果が不十分であり、垂れ止め性に劣っている。
Figure 2008208181
Figure 2008208181
表中の略号:
「−」は、未添加または、未評価であることを示す。
「MMA」:メチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルM」)
「St」:スチレン(三菱化学製、商品名「スチレン」)
「2EHA」:2−エチルヘキシルアクリレート(三菱化学製、商品名「2−エチルヘキシルアクリレート」)
「iBMA」:i−ブチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルIB」)
「nBMA」:n−ブチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルB」)
「tBMA」:t−ブチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルTB」)
「MAA」:メタクリル酸(三菱レイヨン製、商品名「メタクリル酸」)
「OTP」:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(花王製、商品名「ペレックスOTP」)
「KPS」:過硫酸カリウム(関東化学製)
「AMA」:アリルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルA」)
「TAC」:トリアリルシアヌレート(化薬アクゾ製、商品名「TAC」)
Figure 2008208181
Figure 2008208181
「キシレン」:キシレン(MCケミカル社製、商品名「キシレン」)
「SS#100」:SS#100(MCケミカル社製、商品名「SS#100」)
「メチルシクロヘキサン」:メチルシクロヘキサン(丸善石油化学製、商品名「メチルシクロヘキサン」
「ミネラルスピリットA」:ミネラルスピリットA(新日本石油製、商品名「ENEOSミネラルスピリットA」)

Claims (3)

  1. (a)芳香族不飽和単量体29.5〜70質量%、(b)架橋性不飽和単量体0.02〜0.5質量%、(c)炭素数1〜8のアルキル基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル29.5〜70重量%、(d)カルボキシル基含有不飽和単量体及び/又は水酸基含有不飽和単量体0〜5質量%からなる単量体を重合して得られる構造粘性付剤与用重合体微粒子。
  2. (a)(メタ)アクリル酸t−ブチル24.5〜90質量%、(b)架橋性不飽和単量体0.02〜0.5質量%、(c)(メタ)アクリル酸t−ブチルを除く炭素数1〜8のアルキル基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル9.5〜75重量%、(d)カルボキシル基含有不飽和単量体及び/又は水酸基含有不飽和単量体0〜5質量%からなる単量体を重合して得られる構造粘性付与剤用重合体微粒子。
  3. 架橋性単量体が、アリルメタクリレート又は/及びトリアリルシアヌレートである請求項1または2記載の構造粘性付与剤用剤重合体微粒子。
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