JP3601651B2 - 二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズの製造方法及び屋外用塗料組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズの製造方法及び屋外用塗料組成物の製造方法に関し、より詳しくは、二酸化チタン顔料の光触媒活性を低下させることにより耐候性の向上した塗膜を形成することのできる二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズの製造方法及び屋外用塗料組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外用塗料を塗装した塗装物を屋外自然環境に曝すと、大気組成、雨、雪、湿度、風、塵埃、塩分等の諸条件が重複して塗膜表面を劣化させ、浸食して、塗膜の変色、光沢低下、白亜化、脆化、亀裂の発生等の現象をもたらすことは広く知られている。
塗料業界では、このような屋外自然環境下における塗膜の劣化現象に対する耐久性を塗膜の耐候性と称しており、その期待性能が20年、30年あるいはメンテナンスフリーなど長期化する昨今にあっては、塗膜の耐候性の向上は非常に重要な課題となっている。
【0003】
屋外自然環境下において塗膜が劣化する主要な原因としては次の二つが挙げられる。その一つは、光酸化劣化と称されるもので、光及び酸素の影響によって引き起こされる。この種の劣化は、塗膜を構成するポリマーの結合の弱い部分が光を吸収して励起状態となり、更に酸素による攻撃を受けてヒドロパーオキサイド基を生成し、連鎖反応的にポリマーを分解することにより引き起こされることが判明している。もう一つは、二酸化チタン顔料による光触媒劣化と称されるもので、二酸化チタン顔料含有塗膜に特有の劣化現象である。この光触媒劣化は、二酸化チタンが短波長光を吸収して、電子と正孔の対を発生し、同時に水と酸素が作用して、OHラジカルとO2 Hラジカルが発生し、これらが塗膜を構成するポリマーを分解することにより引き起こされるものである。
【0004】
このような状況下、塗膜の耐候性を向上させる方法として、▲1▼二酸化チタン顔料をその光触媒活性を抑制した状態で使用する方法、▲2▼塗膜形成ポリマーとして光酸化劣化の少ないポリマーを選択使用する方法、▲3▼塗膜形成ポリマーに紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤を共重合させるか、又は混合して使用する方法、▲4▼二酸化チタン含有塗膜上にクリヤー塗料をオーバーコートする方法、あるいはこのクリヤー塗料に紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤を配合する方法等が知られており、その幾つかは一般的に用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の各々の方法にはそれぞれ特徴があり、特に短所面でとらえるならば、▲1▼の方法単独では耐候性能が不十分である場合が多く、それで▲2▼〜▲4▼の何れかの方法と組み合わせなければならない。▲2▼の方法ではポリマーの特性から用途に制約があったり、コスト面で著しく高くなる場合が多い。▲3▼の方法では耐候性能が不十分な場合や、コスト面でマイナス方向にある場合が多い。また、▲4▼の方法では塗装工程数が一回増える等の問題がある。
【0006】
本発明は、二酸化チタン顔料をその光触媒活性を十分に抑制した状態で使用することにより上記▲1▼の方法単独でも十分な耐候性能を発揮させることができることに基づくものであり、耐候性の向上した塗膜を形成することのできる屋外用塗料組成物を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を達成するために鋭意検討を行った結果、二酸化チタン顔料をポリマー溶液中に混合して二酸化チタンペーストを調製し、この二酸化チタンペーストの存在下でアクリル系モノマー類を懸濁重合させて二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズを製造し、この二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズを二酸化チタン顔料として用いることによりその光触媒活性が十分に抑制され、耐候性の向上した塗膜を形成することのできる屋外用塗料組成物が得られることを見出し、本発明を完成したものである。即ち、本発明の二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズの製造方法は、二酸化チタン顔料をポリマー溶液中に混合し、練合・分散させて二酸化チタンペーストを調製し、この二酸化チタンペースト及び重合開始剤をアクリル系重合体ビーズを得るためのモノマー類に溶解させ、分散安定剤の水溶液と混合し、予備乳化させ、この乳化系を懸濁重合させて二酸化チタンを含有する粒径1〜30μmのアクリル系重合体ビーズ水分散物を得ることを特徴とし、また、本発明の屋外用塗料組成物の製造方法は、上記の製造方法によって得られる二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズ及び塗膜形成バインダー成分を配合することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について更に詳細に説明する。
屋外用耐候性塗料を含めて通常の塗料においては二酸化チタン顔料を塗膜形成用ポリマー中に直接分散させている。これに対し、本発明においては、懸濁重合法により重合体ビーズを製造する際に二酸化チタン顔料をそのビーズ中に含有させ、該ビーズを塗膜形成用ポリマー中に混合、分散させるのであり、このような処置により二酸化チタン顔料への紫外線の透過も、二酸化チタン顔料と水又は酸素との接触も緩和され、二酸化チタンによる光触媒劣化反応が大幅に低下されることにより、塗膜の耐候性が大幅に向上する。
【0009】
本発明の二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズの製造方法は、例えば下記の方法によって実施することができる。まず最初に、配合される二酸化チタン顔料をポリマー溶液中に混合し、二酸化チタンのほぼ全量が220〜290nmの一次粒径になるようにメディアミル等で練合・分散させて二酸化チタンペーストを得る。この二酸化チタンとしては、硫酸法や塩素法で製造した結晶構造がルチル型で表面処理されている一般的な顔料用二酸化チタンが広く使用可能であり、耐候性の向上の点から、緻密シリカ処理したものや、ジルコン処理品が好ましい。
【0010】
上記の二酸化チタン分散用ポリマー溶液としては、塗料用として一般的なポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、含フッ素共重合体樹脂等を含む溶剤溶液が広く使用可能であり、耐候性の向上の点からアクリル樹脂又はアクリルシリコーン樹脂の溶剤溶液を用いることが好ましい。
【0011】
上記の溶剤としては、芳香族炭化水素、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、あるいはアルコール類やグリコールエーテル類等の一般的な塗料用溶剤が広く使用可能である。なお、二酸化チタンペーストを得るのに多量の溶剤が必要となる場合には、一般的な塗料用溶剤がペースト総量の20重量%を超えないようにし、メタクリル酸メチル等の重合性モノマー等を溶剤の一部として用いる方がビーズ生成工程の安定化や収率等から好ましい。
【0012】
また、チタン顔料を練合・分散させるメディアミルとしては、一般的なサンドミル、アトライター、ボールミル等が使用可能である。また、二酸化チタンペースト中の大半の二酸化チタン粒子が220〜290nmの一次粒径になるまで練合・分散させることが好ましい。この処置により、二酸化チタンが後の工程で得られる重合体ビーズ中に包含されやすくなり、重合体ビーズからの二酸化チタン粒子の露出、あるいは二酸化チタン単独での飛び出し現象が減少する。
【0013】
次いで、好ましい二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズの例として、二酸化チタン含有懸濁アクリル系重合体ビーズの製造方法を説明する。
該アクリル系重合体ビーズを得るためのモノマー類に上記の二酸化チタンペースト及び重合開始剤を溶解させ、分散安定剤の水溶液と混合し、ホモジナイザー等で予備乳化させ、この乳化系を重合缶に移し、懸濁重合させ、二酸化チタンを含有する粒径0.1〜30μmのアクリル系重合体ビーズ水分散物を得る。
【0014】
アクリル系重合体ビーズを得るためのモノマー類としては、メタクリル酸メチル単独、あるいはメタクリル酸メチルとそれと共重合可能な他のビニルモノマー類との混合物が使用可能である。この共重合可能な他のビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸、アクリロニトリル、スチレン、マレイン酸、フマル酸及びそれらのエステル類、あるいは、エチレングリコールジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレートの如きモノマーが挙げられる。これらのビニルモノマーは単独で、又は2種以上を併用してメタクリル酸メチルと混合使用することはでき、その使用量は得られる共重合体ビーズの耐熱性や耐候性又は機械的性質、耐溶剤性により適宜定めれば良く、一般的にはモノマー混合物中の30重量%以内である。
【0015】
重合開始剤としては、ビニルモノマーの重合用として周知のものを使用することができる。例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキシピパレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル類、ジ−8,5,6−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド等の有機過酸化物等を挙げることをでき、これらのうちの1種又は2種以上の混合物が用いることができる。これらの重合開始剤の添加量は、モノマーの重量に対して0.02〜2.0重量%の範囲であることが好ましい。
【0016】
アクリル系重合体ビーズの製造方法においては、必要に応じて、重合体の分子量を調整するために周知の連鎖移動剤を用いることができる。そのような連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン、アルキルサルファイド、アルキルジサルファイド、チオグリコール酸エステル、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。
【0017】
分散安定剤としては、アニオン系高分子化合物、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム−メタクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられ、中でもポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムが好ましい。
【0018】
また、分散安定剤として、ノニオン系高分子化合物、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルアミン等の水溶性高分子化合物を用いることもでき、中でもポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体が好ましい。
【0019】
これらの分散安定剤としてのアニオン系あるいはノニオン系水溶性高分子化合物は、単独であるいは2種以上の併用系で使用可能であり、また、その水溶液を重合系に添加する方法としては一括で、又は分割して、あるいは連続して添加することも可能である。しかし、重合前にアニオン系高分子化合物を添加し、重合を進め、モノマーの重合率が20〜80%、好ましくは25〜75%になった時点でノニオン系高分子化合物を添加する方法を採用すると、重合体ビーズ中に残留する分散安定剤の量が少なく、また、重合系の安定性が良いので、この添加方法が好ましい。
【0020】
アニオン系及びノニオン系水溶性高分子化合物の各々の添加量は、モノマーの重量に対して0.01〜2.0重量%、好ましくは、0.1〜1.0重量%の範囲から選択されるが、重合系が安定となる範囲で少ない使用量であることが好ましい。水溶性高分子化合物の添加量が0.01重量%未満の場合には重合系が不安定となり、逆に2.0重量%を超える場合には粒状重合体への残留率が多くなる傾向があるので好ましくない。
【0021】
また、分散安定剤として一般的なアニオン界面活性剤、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等を使用することもできる。これらはモノマーの重量に対して0.005〜2.0重量%の範囲の添加量で使用可能である。添加量が0.005重量%未満の場合には重合系の安定性が悪く、2.0重量%を超える場合には粒状重合体への残留率が多くなる傾向があるので好ましくない。
【0022】
また、上記の水溶性高分子化合物や界面活性剤に無機塩を併用することも可能である。これらの無機塩としては、ホウ酸、炭酸ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられ、これらの無機塩はモノマーの重量に対して0.01〜2.0重量%の範囲の添加量で使用することが好ましい。
【0023】
アクリル系重合体ビーズを製造する際の、モノマー類、二酸化チタンペースト及び重合開始剤からなる混合物と、分散安定剤の水溶液との混合割合は、好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは1:1〜1:4の範囲である。分散安定剤の水溶液の量が少なすぎると二酸化チタンペーストを溶解したモノマーの分散が不均一となり易く重合系が不安定となり、逆に分散安定剤の水溶液の量が多すぎると製造効率の点で不利である。
【0024】
モノマー類、二酸化チタンペースト、重合開始剤及び分散安定剤の水溶液からなる上記の重合系を用いて懸濁重合により所望粒径のアクリル系重合体ビーズを製造する際には、周知のタービン翼、ファウドラー翼、プロペラ翼、ブルーマージン翼等の撹拌翼の付いた撹拌機を備えた重合容器中で、適切な重合条件下で、直接懸濁重合することも可能である。しかしながら、重合後の重合体ビーズの粒径を安定化させ、ビーズ中に残留するモノマー量が多くなり過ぎないようにするためには、予備乳化工程において上記の重合系を乳化して重合成分を微細滴化することが好ましい。
【0025】
予備乳化工程においては、一旦微細滴化した重合成分滴が合体して液滴の成長が起こることがないように、また重合後の重合体ビーズの粒径が目的の粒径になるように、分散安定剤の組成、濃度条件を設定し、ホモジナイザーによる乳化条件を設定する必要がある。例えば、前記した分散安定剤の種類及び濃度条件下では、ホモジナイザーの条件は回転数3,000〜15,000rpm、時間5〜20分間の範囲であり、好ましくは回転数4,000〜12,000rpm、時間7〜15分間の範囲である。
【0026】
上記のようにして予備乳化した重合系を重合缶に移し、温度60〜100℃、時間3〜8時間の範囲で懸濁重合させることにより二酸化チタンを含有する平均粒径0.1〜30μmのアクリル系重合体ビーズ水分散物を得ることができる。斯くして、重合体ビーズ分散物が得られるのであるが、該重合体ビーズの使用にあたっては、該重合体ビーズを添加する屋外用塗料が水系の場合には、得られた重合体ビーズ分散物をそのままで使用することも可能であるが、耐候性能が高度に要求される場合には、得られた重合体ビーズ分散物を周知の方法で濾過し、洗浄して得た含水状態でも使用可能であり、また、水分量を調整した脱水ケーキでも使用可能である。また、該重合体ビーズを添加する屋外用塗料が溶剤系塗料の場合には、脱水ケーキを更に乾燥させ、凝集した重合体ビーズを解砕して得られた粉末状ビーズ等が利用される。
【0027】
また、本発明の屋外用塗料組成物の製造方法で用いる二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズの粒径は好ましくは1〜30μmの範囲であるが、該重合体ビーズを配合した屋外用塗料組成物から得られる塗膜が艶有りの外観を必要とする場合には、1〜10μmの範囲にあることがより好ましく、又艶消しの外観を必要とする場合には、隠蔽性及び低光沢外観が必要であるから、1〜10μmの範囲のビーズ(隠蔽性確保)と10〜30μmの範囲のビーズとを併用することが好ましい。
【0028】
本発明で対象としている屋外用塗料組成物は、屋外用途に使用される公知のいかなる塗料組成物をも包含し、代表的なものを挙げるならば、塗膜を形成するバインダー成分がポリエステル系縮合体、ポリアクリル系重合体、ポリアクリルシリコーン系重合体、シリコーン系樹脂、含フッ素系重合体、無機系バインダー等を主成分とするもので、水希釈性、溶剤希釈性のものがある。
また、硬化系としては、媒体揮発乾燥型やイソシアネート架橋系、アミノプラスト架橋系、オキシラン環架橋系、アルコキシシラン基縮合系等、常温乾燥から焼付乾燥系まで広範囲のものがある。
【0029】
本発明で使用される二酸化チタン顔料としての二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズに加えて、屋外用途に使用されているその他の広範囲の着色顔料を併用することが可能であり、耐候性能の良い代表的な着色顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、複合酸化物(ニッケル・チタン系、クロム・チタン系、ビスマス・バナジウム系)等の各種の無機顔料や、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、アンスラピリミジン、フタロシアニン、スレン、ジオキサジン等の各種有機顔料が挙げられる。
【0030】
二酸化チタン顔料は、重合体ビーズに含有されているもの以外としては含有されないことが好ましいが、全酸化チタン配合量の40重量%以内であり、且つ、重合体ビーズ以外からのチタンの配合重量をW1 、塗膜形成バインダー固形分重量をW2 として、式
0.2≧W1 /(W1 +W2 )
を満足し、かつ耐候性能が低下しない範囲で低コスト化や隠蔽性向上を目的として重合体ビーズ以外からのチタンの使用が可能である。
【0031】
また、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、カオリン等の各種体質顔料は、塗膜の耐候性能を低下させない範囲内で、固形分重量に対し10重量%以内で混合使用することも可能である。
また、その他のプラスチックビーズ類や繊維状顔料、パール状顔料、金属粉、セラミックス粉等も併用可能である。
【0032】
また、その他の添加剤や改質剤としては、沈殿防止剤や表面改質剤、反応促進剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤等が適宜使用可能であり、これらは全固形分に対し0.1〜5.0重量%の範囲で使用可能である。
斯くして得られた屋外用塗料組成物は、公知の塗装方法、例えば、刷毛、スプレー、フローコーター、ロールコーター、静電塗装、浸漬塗装等によって塗装することが可能である。
【0033】
以下に、本発明を実施例、比較例によって一層具体的に説明する。
<二酸化チタンペーストの調製>
還流冷却器、撹拌機を備えた反応容器にトルエン520g及びn−ブタノール55gを仕込み、80℃に昇温し、次いでメタクリル酸メチル300g、メタクリル酸シクロヘキシル90g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル30g、アクリル酸50g及びアゾビスイソバレロニトリル7.5gの混合物を2時間かけて滴下し、更にアゾビスイソバレロニトリル2.5gを加え、85℃に昇温し、4時間かけて反応させ、その後、冷却し、取り出して、不揮発分42.5重量%、重量平均分子量73000のアクリル共重合樹脂ワニスを得た。次いで、内容積3リットルのボールミルに
二酸化チタン 1005g
(石原産業社製、商品名タイペークCR95)
上記で得たアクリル共重合樹脂ワニス 300g
メタクリル酸メチル 195g
を仕込み、直径30mmのアルミナボール1.5リットルを加え、48時間かけて練合・分散させ、二酸化チタン粒子の平均粒径が220〜290nmの範囲内にあることを電子顕微鏡で観察確認し、二酸化チタンぺーストを取り出した。
【0034】
<二酸化チタン含有アクリル重合体ビーズの調製>
上記二酸化チタンペースト 75重量部
メタクリル酸メチル 32重量部
エチレングリコールジメタクリレート 2.2重量部
ラウリルパーオキサイド 0.22重量部
ベンゾイルパーオキサイド 0.22重量部
を混合溶解して溶液Xを調製した。また、
イオン交換水 300重量部
ポリビニルアルコール 1.5重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 0.2重量部
を混合溶解して溶液Y1を調製した。更に、
イオン交換水 300重量部
ポリビニルアルコール 1.5重量部
を混合溶解して溶液Y2を調製した。
【0035】
次いで、上記の溶液Xと溶液Y1とを混合し、ホモジナイザーを用いて13000rpmで10分間かけて予備乳化させ、直ちに80℃で6時間反応を行い、二酸化チタン含有アクリル重合体ビーズAの分散物を得た。
同様に、上記の溶液Xと溶液Y2とを混合し、ホモジナイザーを用いて3500rpmで10分間撹拌し、予備乳化を行った後、直ちに80℃で6時間反応を行い、二酸化チタン含有アクリル重合体ビーズBの分散物を得た。
【0036】
上記で得た二酸化チタン含有アクリル重合体ビーズA及びBの各分散物をそれぞれ遠心分離器にかけた。濾布表面に形成されたケーキ層に50℃の温水をシャワー状に浴びせ、洗浄し、更に遠心分離操作を行い、この操作を3回繰り返してアクリル重合体ビーズ表面の洗浄を行い、各々の脱水ケーキ(含水率30〜35重量%)を得た。次いで、各々の脱水ケーキを減圧乾燥した。その乾燥条件は、初期温度40〜50℃、減圧度80mmHgであり、後期温度110℃、減圧度25mmHgであり、乾燥時間は30分間であった。各々の乾燥物を解砕機にかけて解砕した後、振動ふるいで大粒子のものや異物を除去し、目的とする二酸化チタン含有アクリル重合体ビーズA及びBの各々の粉末状ビーズを得た。二酸化チタン含有アクリル重合体ビーズAの平均粒径は3.5μmであり、二酸化チタン含有アクリル重合体ビーズBの平均粒径は24.0μmであった。
【0037】
<実施例1〜5及び比較例1〜5>
第1表に示す各種成分を第1表に示す量(数値は各成分の重量部を示す)で配合して屋外用塗料組成物を調製した。
用いた各成分は次の通りであった。
二酸化チタン含有アクリル重合体ビーズAは上記で調製したものである。
二酸化チタン含有アクリル重合体ビーズBは上記で調製したものである。
二酸化チタンは石原産業社製の商品名タイペークCR95である。
【0038】
アクリル共重合ワニスは下記の特性を有する大日本インキ化学工業社製の商品名アクリディックA801である。
不揮発分: 50±2重量%、
ガードナーあわ粘度: P〜T、
酸価: 3未満(ワニス)、
OH価: 50±2(ワニス)。
【0039】
アクリルシリコーン共重合ワニスは下記の特性を有する鐘淵化学工業社製の商品名ゼムラックYC3623である。
不揮発分: 52±2重量%、
粘度: 1100±300mPa・s(23℃)。
【0040】
含フッ素共重合ワニスは下記の特性を有する旭硝子社製の商品名ルミフロンLF400である。
不揮発分: 50±1重量%、
粘度: 5.0±1.0St(25℃)、
酸価: 2〜3、
OH価: 46±1.5(ワニス)。
【0041】
含フッ素共重合エマルションワニスは下記の特性を有する旭硝子社製の商品名ルミフロンFE3000である。
不揮発分: 50±1重量%、
OH価: 32±1.5(ワニス)。
艶消し剤として二酸化珪素である富士シリアル化学社製の商品名アイリシア445を用いた。
【0042】
増粘剤としてヒドロキシエチルセルロースであるハーキュリス社製の商品名ナトラゾール250HRを用いた。
分散剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ノニオン系界面活性剤)である第一工業製薬社製の商品名ネオノイゲン140Aを用いた。
消泡剤として鉱物油系特殊非イオン界面活性剤であるサンノプコ社製の商品名ノプコ8034を用いた。
【0043】
水分補足剤として鐘淵化学工業社製の商品名であるカネカゼムラック ZW806Zを用いた。
コロネートHXは日本ポリウレタン工業社製のヘキサメチレンジイソシアネートトリマー体の商品名である。
スズ系触媒はアクリルシリコーン用触媒であり、鐘淵化学工業社製の商品名カネカゼムラック ZT118Zを用いた。
【0044】
【表1】
【0045】
<試験板の作成>
窯業系サイディング[(素板サイディング)JIS−A5422]に、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート=70/20/10(重量比)からなるアクリル共重合体10重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト7重量部、チタン白15重量部、カオリン8重量部、硫酸バリウム4重量部、酢酸ブチル20重量部、及びキシレン28重量部からなる塗装粘度17〜18秒/F.C.#4の下塗り塗料組成物をエアレススプレー塗装した。塗布量は100±10g/m2 (wet塗布量)であった。その後、100℃で10分間乾燥した。
【0046】
その乾燥した下塗り塗膜上に第1表に示す組成の実施例1〜5及び比較例1〜5の塗装粘度20〜22秒/F.C.#4の塗料組成物をエアレススプレー塗装した。塗布量は120〜130g/m2 (wet塗布量)であった。その後、80℃で30分間乾燥した。その後、室温で1週間保管した後、下記の各種試験に供した。
【0047】
<試験方法>
・密着性
塗板上に4mmピッチのゴバン目状の切削傷を付けて25個のゴバン目を形成し、その表面にセロテープを貼り付け、急速に剥がして残存ゴバン目数を数え、次の基準で評価した。
○:残存ゴバン目数が23個以上、
△:残存ゴバン目数が15〜22個、
×:残存ゴバン目数が14個以下。
【0048】
・硬度
JIS−K−5400により測定した鉛筆硬度として評価した。
・耐温水性
テストピースを60℃の温水中に24時間浸漬した後の塗膜の状態を目視で次の基準で評価した。
○:変化なし、
△:白化などの軽微な変化あり、
×:白化などの変化大。
【0049】
・鏡面反射率
JIS−K−5400に準拠して測定した。
・サンシャインウェザオメーター(試験時間は、第2表中に記載)
次の基準で評価した。
○:塗膜外観に変化はない、光沢保持率は90%以上
△:塗膜外観に変化が軽微にある、光沢保持率は70%以上
×:塗膜外観の変化が著しい、光沢保持率は50%以上
上記の各種試験の結果は第2表に示す通りであった。
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られる屋外用塗料組成物は、二酸化チタン顔料を二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズとして含有していて二酸化チタン顔料の光触媒活性が十分に抑制されているので、十分な耐候性能を発揮する塗膜を形成することができる。
Claims (2)
- 二酸化チタン顔料をポリマー溶液中に混合し、練合・分散させて二酸化チタンペーストを調製し、この二酸化チタンペースト及び重合開始剤をアクリル系重合体ビーズを得るためのモノマー類に溶解させ、分散安定剤の水溶液と混合し、予備乳化させ、この乳化系を懸濁重合させて二酸化チタンを含有する粒径1〜30μmのアクリル系重合体ビーズ水分散物を得ることを特徴とする二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズの製造方法。
- 請求項1記載の製造方法によって得られる二酸化チタン含有懸濁重合体ビーズ及び塗膜形成バインダー成分を配合することを特徴とする屋外用塗料組成物の製造方法。
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