JPH1148053A - コンロッド取付部材の締付装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】クランクシャフトの機種が変更されても一つの
装置でクランクシャフトにコンロッド取付部材を締め付
けることができ、多種混載型の製造ラインに対応するこ
とが可能なコンロッド取付部材の締付装置を提供する。 【解決手段】コンロッド取付部材の締付装置１０は回動
機構２０によってクランクシャフトをその軸部を中心に
回動位置決めし、角度偏位機構３０によって前記軸部を
中心にナットランナ１５２ａ〜１５２ｄを偏位させ、軸
線変位機構１３３ａ、１３３ｂによって前記ナットラン
ナ１５２ａ〜１５２ｄをクランクシャフトの軸線方向に
変位させ、軸間変位機構１５０ａ、１５０ｂによって対
をなすナットランナ１５２ａと１５２ｂの間隔および１
５２ｃと１５２ｄの間隔を互いに接近または離間させ
る。そして、ナットランナ１５２ａ〜１５２ｄを付勢し
てクランクシャフトにコンロッドを締結する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、クランクシャフト
にコンロッドを取り付けるために、取付部材であるボル
トあるいはナットを締結するコンロッド取付部材の締付
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、エンジンを構成するクランク
シャフトに対してコンロッドをボルトやナットで締結す
る際に、例えば、実開昭６３−２１５３１号公報に開示
されている多軸ナットランナ装置が使用されている。こ
の多軸ナットランナ装置は、クランクシャフトの複数の
ピン部に対してコンロッドをナット締結によって結合す
るために、クランクシャフトの上死点側ピン部に対応す
るナットランナソケットを下死点側ピン部に対応するナ
ットランナソケットより先当たりさせ、該ナットランナ
ソケットによる上死点側ピン部に対する当接力によって
クランクシャフトの回転を阻止した状態でクランクシャ
フトの全てのピン部に対するコンロッドの結合を行うも
のである。

【０００３】また、特開平５−３１８２４１号公報に
は、複数のナットランナ軸を摺動体に組み込み、該摺動
体に設けられた従動子がカムのカム溝に係合し、前記カ
ムが変位することにより従動子および摺動体を介して複
数のナットランナ軸が互いに接近または離間して複数の
ボルトやナットを同時に締め付けるようにした多軸ナッ
トランナ装置のピッチチェンジ機構が開示されている。

【０００４】さらに、実開平４−１３６６３０号公報に
は、ナットランナホルダのナットランナピッチ調整機構
が開示されている。このナットランナピッチ調整機構
は、ナットランナホルダの中央部で交差する一対のガイ
ドレールに設けられたガイドブロックを前記ガイドレー
ルに沿って移動させることにより、ナットランナのピッ
チを変更するように構成されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術では、クランクシャフトの機種が、例えば、Ｌ
型エンジンのクランクシャフトからＶ型エンジンのクラ
ンクシャフトに変更された場合、クランクシャフトにコ
ンロッドを取り付けるための取付部材の間隔だけでな
く、取付角度や隣接するコンロッドの間隔をも変更する
必要があり、また、それぞれのエンジンの機種に対応し
て締付装置を交換する必要があるため、その交換作業が
煩雑で作業時間が長くなり、製造コストが高騰するとい
う問題があった。

【０００６】本発明は前記の課題を解決すべくなされた
ものであって、エンジンの機種が変更されても一つの装
置でクランクシャフトにコンロッドを取り付けることが
でき、多種混載型の製造ラインに対応することが可能な
コンロッド取付部材の締付装置を提供することを目的と
する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、クランクシャフトを支持し、前記クラ
ンクシャフトをその軸部を中心に回動位置決めする回動
機構と、前記クランクシャフトに対してコンロッドを締
め付けるための一対のナットランナと、前記一対のナッ
トランナを前記クランクシャフトの軸線方向に沿って変
位させる軸線変位機構と、前記一対のナットランナを前
記クランクシャフトの軸部を中心に所定角度回動させる
角度偏位機構と、前記一対のナットランナを互いに接近
または離間する方向に変位させる軸間変位機構と、前記
ナットランナのソケットを交換するためのソケット交換
機構と、を備えることを特徴とする。

【０００８】本発明によれば、クランクシャフトは回動
機構によって支持されて所定角度に回動位置決めされ
る。前記一対のナットランナは、前記角度偏位機構によ
って前記クランクシャフトに対して所定角度に偏位さ
れ、前記軸線変位機構によって前記クランクシャフトの
軸線方向に変位されて位置決めされる。さらに、軸間変
位機構によって前記一対のナットランナを互いに接近ま
たは離間する方向に変位させ、ナットランナを付勢して
コンロッドボルトあるいはナット等の取付部材をクラン
クシャフトに締結する。

【０００９】また、この場合、前記ナットランナを複数
対備え、各一対のナットランナ毎に前記角度偏位機構、
前記軸線変位機構、前記軸間変位機構が設けられると、
複数対の取付部材を同時に締結することができ、作業時
間が短縮され、好適である。

【００１０】さらに、この場合、前記角度偏位機構が、
前記一対のナットランナを支持し、前記クランクシャフ
トと同軸に回動自在なアーム部材と、前記アーム部材を
偏位させるアーム偏位機構と、を備えると、前記角度偏
位機構の付勢作用下に前記軸線変位機構に設けられたナ
ットランナを前記クランクシャフトを中心に偏位させる
ことができ、一層好適である。

【００１１】さらにまた、この場合、前記軸線変位機構
が、前記アーム部材に設けられると、前記アーム部材に
対して前記一対のナットランナを所定の位置に変位させ
ることができ、好ましい。

【００１２】また、前記軸間変位機構が、前記一対のナ
ットランナにそれぞれ設けられたカム部材と、前記それ
ぞれのカム部材に係合するカム孔が画成されたカムプレ
ートと、前記カムプレートを前記ナットランナの軸線方
向に変位させるカム変位機構と、を備えると、前記カム
変位機構の付勢作用下に前記カムプレートを変位させ、
前記カム部材を介して前記ナットランナを互いに接近ま
たは離間する方向に変位させることができ、好適であ
る。

【００１３】さらにまた、前記回動機構が、前記クラン
クシャフトの軸部端部に係合する係合部材と、前記係合
部材を回動させる回転駆動源と、を備えると、前記回転
駆動源の付勢作用下に前記係合部材が所定角度回動され
ることにより、前記クランクシャフトの周方向の角度が
位置決めされ、好ましい。

【００１４】さらにまた、前記ソケット交換機構が、前
記一対のナットランナに設けられ、コンロッド取付部材
締結用のソケットを保持するチャック機構と、前記チャ
ック機構に設けられ、前記ソケットの抜け止めを行う保
持部材と、複数の前記ソケットを保持するソケット保持
機構と、前記ソケット保持機構に設けられ、前記保持部
材の保持作用を解除する解除部材と、を備えると、前記
ソケット保持機構に保持された複数のソケットの中の一
つがチャック機構に装着されて、該ソケットが前記保持
部材によって前記チャック機構に抜け止めされ、好適で
ある。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明に係るコンロッド取付部材
の締付装置について、好適な実施の形態を挙げ、添付の
図面を参照しながら以下詳細に説明する。

【００１６】図１〜図４において、参照符号１０は、本
実施の形態に係るコンロッド取付部材の締付装置を示
す。このコンロッド取付部材の締付装置１０は長尺なテ
ーブル１２を備え、該テーブル１２の上部に、図２に示
すように、ワークであるシリンダブロック１５が搬送レ
ール１３によって搬送される。該シリンダブロック１５
には、クランクシャフト１４のピン部が図示しないコン
ロッドの大端部に対して配置される。前記テーブル１２
の一端側には、クランクシャフト１４の軸部１６の一端
側を支持し、該クランクシャフト１４の回動制御をする
回動機構２０が設けられる。該回動機構２０は、台部材
２２の上部に固着されたギアボックス２４を有し、該ギ
アボックス２４の一端側には回転駆動源であるサーボモ
ータ２６が設けられる。

【００１７】前記ギアボックス２４の内部には、図５に
示すように、前記サーボモータ２６の回転軸３４と平行
に、筒状部材２８の内部に挿通するスプライン軸３５が
設けられる。該筒状部材２８には、後述する角度偏位機
構３０を構成するアーム部材３２、３３が回動自在に設
けられる。前記スプライン軸３５は、内周に該スプライ
ン軸３５が係合する歯部が形成された略円筒形のギア部
材３６ａ、３６ｂの内部に挿通し、該ギア部材３６ａ、
３６ｂは前記スプライン軸３５とともに回転する。前記
スプライン軸３５は前記ギア部材３６ａ、３６ｂに対し
て軸線方向（矢印Ａ、Ｂ方向）に摺動自在に構成され
る。該ギア部材３６ａ、３６ｂはベアリング部材３７
ａ、３７ｂによって支持部材３８ａ、３８ｂに回転自在
に支持される。一方のギア部材３６ａの外周部には歯車
３９が形成され、該歯車３９と前記回転軸３４に設けら
れた歯車４０とが噛合することにより、回転軸３４の回
転運動がギア部材３６ａを介してスプライン軸３５に伝
達される。前記スプライン軸３５の一端部は変位板４１
に回転自在に軸支され、該変位板４１には棒部材４２が
前記スプライン軸３５と平行に固着される。前記変位板
４１にはシリンダ４３のシリンダロッド４４が固着さ
れ、該シリンダ４３は前記台部材２２に立設された支持
板４５に固着される。

【００１８】前記スプライン軸３５の他端部には、クラ
ンクシャフト１４の軸部１６の端部に係合する係合部材
４６が固着される。該係合部材４６は前記クランクシャ
フト１４の軸部１６が係合する孔部４６ａを有するとと
もに、スリット４７がその軸線方向に沿って画成され
る。前記係合部材４６の内部には屈曲形成された係合爪
４８が設けられ、該係合爪４８の一端部は前記スリット
４７を介して前記係合部材４６の外部または内部に向か
って変位可能に構成される。なお、前記係合爪４８はば
ね部材４９によって前記孔部４６ａ側に常時付勢されて
いる。

【００１９】前記係合部材４６の外周にはリング部材５
０が摺動自在に係合し、該リング部材５０には揺動部材
５２の一端部が回動自在に設けられる。該揺動部材５２
の略中央部は前記棒部材４２の端部に取付部材５４を介
して回動自在に設けられ、当該揺動部材５２の他端部に
はシリンダ５６のシリンダロッド５８が回動自在に設け
られる。前記シリンダ５６は前記取付部材５４に支持さ
れ、シリンダ５６が付勢されてシリンダロッド５８が矢
印Ｂ方向に変位すると、前記揺動部材５２を介してリン
グ部材５０が矢印Ａ方向に変位して該リング部材５０が
前記係合爪４８に係合し、該係合爪４８は係合部材４６
の外方に突出することが阻止される。

【００２０】前記取付部材５４には近接スイッチ６２が
設けられ、該近接スイッチ６２には前記係合爪４８の端
部４８ａが接近、離間可能に構成される。この端部４８
ａが前記近接スイッチ６２に、図５中、実線で示すよう
に接近すると、前記近接スイッチ６２はクランクシャフ
ト１４のロック状態を示す信号を発生する。

【００２１】前記テーブル１２の他端側には、図２に示
すように、前記回動機構２０に対向して支持機構７０が
設けられる。該支持機構７０は台部材７２の上部に固着
されたレール部材７４を有し、該レール部材７４にはガ
イド部材７６ａ、７６ｂが摺動自在に設けられる。該ガ
イド部材７６ａ、７６ｂは略Ｌ字状に形成された変位部
材７８に固着され、該変位部材７８の水平部７８ａには
前記台部材７２に固着されたシリンダ８０のシリンダロ
ッド８２が接続される。前記変位部材７８の垂直部７８
ｂには係合部材８４が回動自在に設けられ、該係合部材
８４は前記クランクシャフト１４の軸部１６の他端部に
係合可能に構成される。

【００２２】前記変位部材７８の垂直部７８ｂの上部に
はソケット交換機構９０を構成するソケット保持機構９
２が設けられる。該ソケット保持機構９２は、図６に示
すように、変位部材７８の上部に固着された支持板９４
を有し、該支持板９４にはソケット９５が収納される複
数の孔部９６が画成されたソケット収納部材９８が固着
される。該ソケット収納部材９８の外壁部は山谷状に形
成されるとともに、前記複数の孔部９６に対応してボー
ルノッチ１００および近接センサ１０２が設けられる。
前記ボールノッチ１００は前記孔部９６の内部に対して
突出可能なボール１０４が設けられ（図７参照）、該ボ
ール１０４は前記ソケット９５の外周に画成された溝部
９９に係合自在である。前記ソケット９５の下部には後
述するコンロッドボルトに係合する凹部１０５が画成さ
れ、該凹部１０５は前記支持板９４に形成された突部１
０７に係合する。前記ソケット９５の上部には角柱状の
嵌合部１０１が形成され、該嵌合部１０１には周回する
溝部１０３が画成される。

【００２３】前記支持板９４には、図６に示すように、
シリンダ１０６が固着され、該シリンダ１０６を構成す
る複数のシリンダロッド１０８には平板状の解除部材１
１０が前記支持板９４と平行に固着される。該解除部材
１１０の両側部には垂直方向に延在してガイドレール１
１２ａ、１１２ｂが固着され、該ガイドレール１１２
ａ、１１２ｂは前記ソケット収納部材９８に固着された
ガイド部材１１４ａ、１１４ｂに挿入される。前記解除
部材１１０には、図７に示すように、前記ソケット収納
部材９８の複数の孔部９６に対応して複数の孔部１１６
が画成され、該孔部１１６には前記ソケット９５が挿通
自在である。

【００２４】前記台部材７２の端部には、図１および図
２に示すように、軸支部材１２０を介して角度偏位機構
３０を構成するアーム部材１２２、１２４が前記係合部
材８４と同軸的且つ回動自在に設けられる。前記アーム
部材３３と１２２との間にはフレーム１２６ａが橋架さ
れ、一方、前記アーム部材３２と１２４との間にはフレ
ーム１２６ｂが橋架される。それぞれのフレーム１２６
ａ、１２６ｂには、図４に示すように、リニアアクチュ
エータ１２８ａ、１２８ｂを構成するボールねじ１３０
ａ、１３０ｂが回動自在に連結される。該リニアアクチ
ュエータ１２８ａ、１２８ｂは前記テーブル１２に固着
された支持部材１３２ａ、１３２ｂによって揺動自在に
支持される。前記リニアアクチュエータ１２８ａ、１２
８ｂはサーボモータ１３１ａ、１３１ｂを備え、該サー
ボモータ１３１ａ、１３１ｂが付勢されるとボールねじ
１３０ａ、１３０ｂがその軸線方向に進退変位する。

【００２５】前記フレーム１２６ａ、１２６ｂの上部に
は、図３に示すように、軸線変位機構１３３ａ、１３３
ｂが設けられる。該軸線変位機構１３３ａ、１３３ｂは
前記フレーム１２６ａ、１２６ｂの長手方向に沿って固
着されたリニアアクチュエータ１３５ａ、１３５ｂを備
える。該リニアアクチュエータ１３５ａ、１３５ｂは保
持板１３４ａ〜１３４ｄを介して回動自在に設けられた
ボールねじ１３６ａ、１３６ｂを有し、該ボールねじ１
３６ａ、１３６ｂは前記保持板１３４ａ、１３４ｄに固
着された回転駆動源であるサーボモータ１３８ａ、１３
８ｂの回転軸に連結される。前記ボールねじ１３６ａ、
１３６ｂには変位部材１４０ａ、１４０ｂが設けられ、
該変位部材１４０ａ、１４０ｂは前記ボールねじ１３６
ａ、１３６ｂが回転すると、矢印ＡまたはＢ方向に変位
する。

【００２６】前記変位部材１４０ａ、１４０ｂには、図
１、図４に示すように、屈曲形成された板状部材１４２
ａ、１４２ｂが固着され、該板状部材１４２ａ、１４２
ｂの端部には湾曲自在なケーブルガイド１４４ａ、１４
４ｂの一端部が固着され、該ケーブルガイド１４４ａ、
１４４ｂの他端部は支持板１４６ａ、１４６ｂを介して
前記フレーム１２６ａ、１２６ｂに固着される。前記ケ
ーブルガイド１４４ａ、１４４ｂの内部には圧縮空気供
給パイプや電気信号を伝達するケーブル等が内装され
る。

【００２７】前記変位部材１４０ａ、１４０ｂには、図
４、図８に示すように、基板１５４ａ、１５４ｂが垂直
方向に延在して固着され、該基板１５４ａ、１５４ｂに
は前記フレーム１２６ａ、１２６ｂに対向する面にガイ
ド部材１５６ａ〜１５６ｄが固着される。該ガイド部材
１５６ａ〜１５６ｄはレール部材１５８ａ〜１５８ｄに
摺動自在に係合し、従って、前記変位部材１４０ａ、１
４０ｂは前記レール部材１５８ａ〜１５８ｄに沿って矢
印ＡまたはＢ方向に変位自在である。

【００２８】前記変位部材１４０ａ、１４０ｂには、軸
間変位機構１５０ａ、１５０ｂが設けられる。一方の軸
間変位機構１５０ａには一対のナットランナ１５２ａ、
１５２ｂが設けられ、他方の軸間変位機構１５０ｂには
一対のナットランナ１５２ｃ、１５２ｄが設けられる。

【００２９】一方の軸間変位機構１５０ａについて、図
８を参照して詳細に説明する。なお、同様に構成される
他方の軸間変位機構１５０ｂについては、同一の参照数
字に符号ｂを付し、その詳細な説明を省略する。

【００３０】前記軸間変位機構１５０ａは前記基板１５
４ａに対して直交する保持板１６０ａを有し、該保持板
１６０ａの端部には前記基板１５４ａと平行に板状部材
１６２ａが固着される。前記保持板１６０ａには垂直方
向に延在してレール部材１６４ａが固着され、該レール
部材１６４ａにはガイド部材１６６ａが摺動自在に係合
する。該ガイド部材１６６ａには板状部材１６８ａを介
してリニアアクチュエータ１６９ａを構成するサーボモ
ータ１７０ａが固着される。該サーボモータ１７０ａの
回転軸には、図９に示すように、ボールねじ１７２ａが
同軸的に設けられ、該ボールねじ１７２ａには変位部材
１７４ａが係合する。該変位部材１７４ａは前記保持板
１６０ａに固着され、このため、前記サーボモータ１７
０ａが付勢されてボールねじ１７２ａが回転すると、該
サーボモータ１７０ａが固着された板状部材１６８ａが
矢印ＣまたはＤ方向に変位する。

【００３１】前記板状部材１６８ａにはカムプレート１
７６ａが固着され、該カムプレート１７６ａには長尺な
カム孔１７８ａ、１８０ａが互いに所定角度傾斜して画
成される。該カム孔１７８ａ、１８０ａを構成する壁部
にはカム部材１８２ａ、１８４ａが係合し、該カム部材
１８２ａ、１８４ａはそれぞれガイド部材１８６ａ、１
８８ａに固着される。該ガイド部材１８６ａ、１８８ａ
には水平方向に延在するガイドバー１９０ａ、１９２ａ
が摺動自在に挿通し、該ガイドバー１９０ａ、１９２ａ
は前記基板１５４ａと前記板状部材１６２ａとの間に橋
架される。従って、前記カムプレート１７６ａが矢印Ｃ
方向に変位すると、カム部材１８２ａと１８４ａとがカ
ム孔１７８ａ、１８０ａを形成する壁部に案内されて互
いに離間する方向に変位して前記ガイド部材１８６ａと
ガイド部材１８８ａとが互いに離間し、一方、前記カム
プレート１７６ａが矢印Ｄ方向に変位すると、前記ガイ
ド部材１８６ａとガイド部材１８８ａとが互いに接近す
る。

【００３２】前記ガイド部材１８６ａ、１８８ａには、
図８に示すように、それぞれ前記ナットランナ１５２
ａ、１５２ｂが固着される。それぞれのナットランナ１
５２ａ、１５２ｂは筒状部１９４ａ、１９６ａの内部に
収納された図示しない回転伝達機構から回転駆動力が伝
達され、この回転駆動力がギアボックス１９８ａ、２０
０ａを介して回転軸２０２ａ、２０４ａに伝達される。
該回転軸２０２ａ、２０４ａはギアボックス１９８ａ、
２００ａの内部を上下動可能に構成される。前記回転軸
２０２ａ、２０４ａは、図７に示すように、それぞれガ
イド部材２０６ａ、２０８ａに摺動自在に挿通され、該
ガイド部材２０６ａ、２０８ａの上部には前記回転軸２
０２ａ、２０４ａに固着されたフランジ部材２０７ａ、
２０９ａが当接自在である。前記ガイド部材２０６ａ、
２０８ａには、図８に示すように、ガイドバー２１０
ａ、２１２ａが立設される。該ガイドバー２１０ａ、２
１２ａは前記ギアボックス１９８ａ、２００ａに垂直方
向に延在して画成された図示しない孔部に摺動自在に挿
入される。

【００３３】前記ガイド部材２０６ａ、２０８ａは保持
板２２２ａに画成された略Ｕ字状のスリット２２４ａに
係合する。図７を参照して詳細に説明すると、ガイド部
材２０６ａ、２０８ａには段部２１８ａ、２２０ａが形
成され、一方、スリット２２４ａを形成する壁部には段
部２２５ａが形成され、前記段部２１８ａ、２２０ａが
段部２２５ａと係合して前記ガイド部材２０６ａ、２０
８ａの下方への変位が規制される。また、前記保持板２
２２ａの上部には略Ｈ字状に形成された案内板２３１ａ
が固着され、該案内板２３１ａの凹部２２６ａ、２２８
ａを形成する壁部には前記ガイド部材２０６ａ、２０８
ａの段部２２７ａ、２２９ａが係合して該ガイド部材２
０６ａ、２０８ａの上方への変位が規制される。前記ガ
イド部材２０６ａ、２０８ａは前記スリット２２４ａお
よび前記凹部２２６ａ、２２８ａによって矢印Ｅまたは
Ｆ方向に案内される（図８参照）。前記保持板２２２ａ
はシリンダ２３０ａのシリンダロッド２３２ａに固着さ
れ、前記シリンダ２３０ａは前記基板１５４ａに固着さ
れる。従って、前記シリンダ２３０ａが付勢されると、
前記回転軸２０２ａ、２０４ａは矢印ＣまたはＤ方向に
変位する。

【００３４】前記回転軸２０２ａ、２０４ａの下端部に
は前記ソケット交換機構９０を構成するチャック機構２
３６ａ、２３８ａが設けられる。該チャック機構２３６
ａ、２３８ａは、図７に示すように、前記回転軸２０２
ａ、２０４ａの下端部に固着された嵌合部材２４０ａ、
２４２ａを備え、該嵌合部材２４０ａ、２４２ａはピン
部材２４４ａ、２４６ａによって前記回転軸２０２ａ、
２０４ａに抜け止めされる。前記嵌合部材２４０ａ、２
４２ａには前記ソケット９５の嵌合部１０１が嵌合する
角柱形状の孔部２４５ａ、２４７ａが画成される。前記
嵌合部材２４０ａ、２４２ａの上部にはコイルスプリン
グ２４８ａ、２５０ａの一端部が着座し、該コイルスプ
リング２４８ａ、２５０ａの他端部は前記ガイド部材２
０６ａ、２０８ａの下部に固着された着座部材２６９
ａ、２７１ａに着座する。従って、前記チャック機構２
３６ａ、２３８ａは常時矢印Ｃ方向に付勢されている。
前記嵌合部材２４０ａ、２４２ａには複数の孔部２５２
が画成され、該孔部２５２にはそれぞれボール部材２５
４が嵌合する。前記嵌合部材２４０ａ、２４２ａは筒状
に形成されたカラー部材（保持部材）２６０ａ、２６２
ａの内部に摺動自在に挿通する。該カラー部材２６０
ａ、２６２ａの上部には凹部２６４ａ、２６６ａが画成
され、該凹部２６４ａ、２６６ａを形成する底部にはコ
イルスプリング２６８ａ、２７０ａの一端部が着座し、
該コイルスプリング２６８ａ、２７０ａの他端部は前記
嵌合部材２４０ａ、２４２ａに形成された段部２７２
ａ、２７４ａに着座する。前記カラー部材２６０ａ、２
６２ａの内周には周回する溝部２７６ａ、２７８ａが画
成され、該溝部２７６ａ、２７８ａは前記カラー部材２
６０ａ、２６２が矢印Ｄ方向に変位したときに前記孔部
２５２に連通する。

【００３５】本実施の形態に係るコンロッド取付部材の
締付装置１０は、基本的には以上のように構成されるも
のであり、次にその動作について説明する。

【００３６】先ず、クランクシャフト１４が装着された
シリンダブロック１５が搬送レール１３によってテーブ
ル１２上に搬送される（図２参照）。このとき、シリン
ダブロック１５を保持するパレットには搬送されたシリ
ンダブロック１５の機種に対応するＩＤタグ（図示せ
ず）が設けられており、図示しない読取装置によりこの
ＩＤタグを読み取ることによってエンジンの機種を判別
し、その機種に対応して回動機構２０、角度偏位機構３
０、軸線変位機構１３３ａ、１３３ｂ、軸間変位機構１
５０ａ、１５０ｂおよびソケット交換機構９０を制御す
る。

【００３７】なお、クランクシャフト１４には、図１２
に示すように、コンロッド２８０およびコンロッドキャ
ップ２８２が装着され、該コンロッド２８０、コンロッ
ドキャップ２８２に画成されたねじ孔２８６ａ、２８６
ｂにはコンロッドボルト２８４が挿通されている。

【００３８】次に、回動機構２０のシリンダ４３が付勢
されてスプライン軸３５、棒部材４２を介して係合部材
４６が矢印Ａ方向に変位し、クランクシャフト１４の軸
部１６の一端部が係合部材４６の孔部４６ａに嵌入する
（図５参照）。また、支持機構７０のシリンダ８０が付
勢されて変位部材７８が矢印Ｂ方向に変位し、クランク
シャフト１４の軸部１６の他端部に係合部材８４が係合
する（図２参照）。このため、クランクシャフト１４は
係合部材４６、８４によって軸支される。なお、エンジ
ンの機種によって軸部１６の長さが異なる場合には、シ
リンダ４３およびシリンダ８０の変位量を調整すること
により、長さの異なるクランクシャフト１４であっても
係合部材４６、８４によって軸支することが可能であ
る。

【００３９】クランクシャフト１４を係合部材４６、８
４によって軸支すると、係合部材４６の係合爪４８は軸
部１６に画成されたキー溝１６ａに嵌合し、軸部１６は
その周方向に対して位置決めされる。このとき、係合爪
４８の端部４８ａは、図５に実線で示すように、近接ス
イッチ６２に接近する。このため、クランクシャフト１
４がロック状態となったことが検知される。

【００４０】このようにして軸部１６が係合部材４６に
係合すると、シリンダ５６を付勢してリング部材５０を
矢印Ａ方向に変位させ、係合爪４８とキー溝１６ａとの
嵌合が解除されることを防止する。

【００４１】次いで、ナットランナ１５２ａ〜１５２ｄ
のチャック機構２３６ａ、２３６ｂ、２３８ａ、２３８
ｂに、ソケット保持機構９２に支持された複数のソケッ
ト９５の中、エンジンの機種に対応したソケット９５を
装着する。この場合、先ず、軸線変位機構１３３ａ、１
３３ｂのサーボモータ１３８ａ、１３８ｂを付勢して軸
間変位機構１５０ａ、１５０ｂを矢印Ａ方向に変位させ
（図１、図３参照）、ナットランナ１５２ａ〜１５２ｄ
をソケット保持機構９２の上方に変位させる。

【００４２】以下、ナットランナ１５２ａ、１５２ｂに
ついて、図７、図８を参照して説明し、ナットランナ１
５２ｃ、１５２ｄについては、同様の動作であるので、
詳細な説明を省略する。

【００４３】シリンダ２３０ａを付勢して保持板２２２
ａを矢印Ｃ方向に変位させると、チャック機構２３６
ａ、２３８ａのカラー部材２６０ａ、２６２ａの下端部
が解除部材１１０に当接することにより、該カラー部材
２６０ａ、２６２ａがコイルスプリング２６８ａ、２７
０ａの弾発力に抗して嵌合部材２４０ａ、２４２ａに対
して相対的に上方に変位する（図１０参照）。このた
め、嵌合部材２４０ａ、２４２ａの孔部２５２とカラー
部材２６０ａ、２６２ａの溝部２７６ａ、２７８ａとが
連通し、ボール部材２５４が該孔部２５２と溝部２７６
ａ、２７８ａとの間を移動可能となる。このとき、ソケ
ット９５は、図１０中、２点鎖線で示すように、ソケッ
ト保持機構９２上に載置されており、チャック機構２３
６ａ、２３８ａに装着されてはいない。

【００４４】次いで、ソケット保持機構９２のシリンダ
１０６を付勢して解除部材１１０を矢印Ｃ方向に変位さ
せると（図６参照）、ソケット９５の嵌合部１０１が嵌
合部材２４０ａ、２４２ａの孔部２４５ａ、２４７ａに
嵌合し、該嵌合部１０１に画成された溝部１０３にボー
ル部材２５４が嵌合する（図１１参照）。そして、シリ
ンダ２３０ａを付勢して保持板２２２ａを矢印Ｄ方向に
変位させると（図８参照）、カラー部材２６０ａ、２６
２ａがコイルスプリング２６８ａ、２７０ａの弾発力に
より嵌合部材２４０ａ、２４２ａに対して相対的に矢印
Ｃ方向に変位し、溝部２７６ａ、２７８ａと孔部２５２
との連通が遮断されてボール部材２５４は孔部２５２か
ら内方に突出し、ソケット９５の溝部１０３に嵌合した
状態で固定される（図７参照）。このため、ソケット９
５は該ボール部材２５４によって嵌合部材２４０ａ、２
４２ａに抜け止めされる。

【００４５】上記のようにしてナットランナ１５２ａ〜
１５２ｄにソケット９５を装着した後、クランクシャフ
ト１４に対するコンロッドの締め付け作業を行う。そこ
で、先ず、回動機構２０のサーボモータ２６を付勢して
クランクシャフト１４を所定の角度に偏位させる（図５
参照）。次に、角度偏位機構３０のリニアアクチュエー
タ１２８ａ、１２８ｂを付勢してアーム部材３２、３
３、１２２、１２４を回動させ、ナットランナ１５２ａ
〜１５２ｄをクランクシャフト１４に対して所定の角度
に偏位させる（図１〜図４参照）。このとき、アーム部
材３２、３３の回動中心は係合部材４６と同軸的であ
り、アーム部材１２２、１２４の回動中心は係合部材８
４と同軸的であるため、アーム部材３２、３３、１２
２、１２４は係合部材４６、８４によって軸支されたク
ランクシャフト１４の軸部１６を中心に回動する。ま
た、例えば、Ｌ型エンジンのクランクシャフトの場合に
は、図４中、実線で示すように、アーム部材３２、３
３、１２２、１２４を回動させることなく、ナットラン
ナ１５２ａ〜１５２ｄの軸線を垂直方向に延在するよう
に位置決めする。一方、Ｖ型エンジンのクランクシャフ
トの場合には、図４中、２点鎖線で示すように、ナット
ランナ１５２ａ、１５２ｂとナットランナ１５２ｃ、１
５２ｄとが所定の角度偏位するようにアーム部材３２、
３３、１２２、１２４を回動させる。

【００４６】次いで、軸線変位機構１３３ａ、１３３ｂ
のサーボモータ１３８ａ、１３８ｂを付勢し、ボールね
じ１３６ａ、１３６ｂを回転させると、変位部材１４０
ａ、１４０ｂが矢印ＡまたはＢ方向に変位する（図３参
照）。そして、ナットランナ１５２ａ〜１５２ｄがそれ
ぞれコンロッドボルトを締め付ける位置に変位したら、
サーボモータ１３８ａ、１３８ｂの回転を停止する。

【００４７】次に、軸間変位機構１５０ａ、１５０ｂに
よってナットランナ１５２ａと１５２ｂとの間隔、およ
びナットランナ１５２ｃと１５２ｄとの間隔を、一対の
コンロッドボルト２８４が締結されるねじ孔２８６ａ、
２８６ｂの間隔と等しくなるように調整する（図１２参
照）。この場合、軸間変位機構１５０ａ、１５０ｂのサ
ーボモータ１７０ａを付勢し、ボールねじ１７２ａを回
転させると、変位部材１７４ａが保持板１６０ａに固着
されているため、板状部材１６８ａがサーボモータ１７
０ａとともに矢印ＣまたはＤ方向に変位する（図９参
照）。このため、板状部材１６８ａに固着されたカムプ
レート１７６ａが矢印ＣまたはＤ方向に変位し、カム孔
１７８ａ、１８０ａの壁部によってカム部材１８２ａ、
１８４ａが案内され、ガイド部材１８６ａ、１８８ａが
ガイドバー１９０ａ、１９２ａに沿って矢印ＥまたはＦ
方向に変位する。従って、ガイド部材１８６ａ、１８８
ａに固着されたナットランナ１５２ａと１５２ｂとが互
いに接近または離間する。そして、ナットランナ１５２
ａと１５２ｂとが所定の間隔となったら、サーボモータ
１７０ａを停止させる。 次に、シリンダ２３０ａを付
勢して保持板２２２ａを矢印Ｃ方向に変位させると（図
８参照）、ガイド部材２０６ａ、２０８ａとともにチャ
ック機構２３６ａ、２３８ａが下降し、ソケット９５の
凹部１０５がコンロッドボルト２８４に係合する（図１
２参照）。ナットランナ１５２ａ、１５２ｂを付勢する
と回転軸２０２ａ、２０４ａが回転し、ソケット９５を
介してコンロッドボルト２８４が締結される。

【００４８】このとき、軸間変位機構１５０ａにはナッ
トランナ１５２ａ、１５２ｂを介してコンロッドボルト
２８４を締結する際の反作用により、矢印Ｇ方向に力が
付与される（図４参照）。ところが、軸間変位機構１５
０ａは２本のレール部材１５８ａ、１５８ｃと２つのガ
イド部材１５６ａ、１５６ｃによって支持されているた
め、軸間変位機構１５０ａが矢印Ｇ方向に偏位すること
がなく、ナットランナ１５２ａ、１５２ｂの位置に誤差
が発生する懸念がない。また、軸間変位機構１５０ｂに
ついても同様である。

【００４９】以上のようにしてクランクシャフト１４の
コンロッド２８０、コンロッドキャップ２８２にコンロ
ッドボルト２８４が締結されたシリンダブロック１５
は、搬送レール１３によって次の工程に搬送される。

【００５０】なお、図１２では、Ｌ型エンジンのクラン
クシャフト１４を例示しているが、Ｖ型エンジンを用い
た場合には、図１３に示すように、一方のナットランナ
１５２ａ、１５２ｂの対と他方のナットランナ１５２
ｃ、１５２ｄの対とが所定の角度に偏位されてクランク
シャフト１４にコンロッド２８０が締結される。

【００５１】

【発明の効果】本発明に係るコンロッド取付部材の締付
装置によれば、以下のような効果ならびに利点が得られ
る。

【００５２】エンジンの機種に拘わらず、クランクシャ
フトにコンロッドを締結することができ、製造ラインに
供給されるエンジンの機種が変更されても締付装置を変
更する必要がなく、多種混載型の製造ラインにもこの締
付装置を使用することができる。このため、機種毎の専
用の製造ラインが不要となり、生産効率が向上する。

【００５３】また、この締付装置は角度偏位機構を複数
備え、それぞれの角度偏位機構に、対をなすナットラン
ナを有する軸線変位機構が設けられるため、複数の対の
コンロッドを同時に締結することができ、作業時間が短
縮され、生産効率が一層向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係るコンロッド取付部材
の締付装置の概略斜視図である。

【図２】図１の締付装置の概略側面図である。

【図３】図１の締付装置の概略平面図である。

【図４】図１の締付装置の概略正面図である。

【図５】図１の締付装置の回動機構の概略一部断面拡大
側面図である。

【図６】図１の締付装置のソケット保持機構の概略斜視
図である。

【図７】図１の締付装置のソケット交換機構の一部拡大
縦断面図である。

【図８】図１の軸間変位機構の一部拡大概略斜視図であ
る。

【図９】図８の軸間変位機構のカム構造の一部断面拡大
正面図である。

【図１０】図７のソケット交換機構の使用状態を示し、
カラー部材が嵌合部材に対して偏位した状態の一部拡大
縦断面図である。

【図１１】図７のソケット交換機構の使用状態を示し、
嵌合部材にソケットが装着された状態の一部拡大縦断面
図である。

【図１２】図１の締付装置の使用状態を示し、Ｌ型エン
ジンのクランクシャフトにコンロッドボルトを装着した
状態の一部拡大概略正面図である。

【図１３】図１の締付装置の使用状態を示し、Ｖ型エン
ジンのクランクシャフトにコンロッドボルトを装着した
状態の一部拡大概略正面図である。

【符号の説明】

１０…コンロッド取付部材の締付装置 １４…クランク
シャフト ２０…回動機構 ２６、１３１ａ、１３１ｂ、１３８ａ、１３８ｂ、１７
０ａ…サーボモータ ３０…角度偏位機構 ３２、３３、１２２、１２４…アーム部材 ４６、８４…係合部材 ９０…ソケット
交換機構 ９２…ソケット保持機構 ９５…ソケット １１０…解除部材 １２８ａ、１２８ｂ、１３５ａ、１３５ｂ…リニアアク
チュエータ １３３ａ、１３３ｂ…軸線変位機構 １５０ａ、１５
０ｂ…軸間変位機構 １５２ａ〜１５２ｄ…ナットランナ １７６ａ…カム
プレート １７８ａ、１８０ａ…カム孔 １８２ａ、１８
４ａ…カム部材 ２３６ａ、２３８ａ…チャック機構 ２４０ａ、２４
２ａ…嵌合部材 ２６０ａ、２６２ａ…カラー部材 ２８４…コンロ
ッドボルト

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】クランクシャフトを支持し、前記クランク
   シャフトをその軸部を中心に回動位置決めする回動機構
   と、 前記クランクシャフトに対してコンロッドを締め付ける
   ための一対のナットランナと、 前記一対のナットランナを前記クランクシャフトの軸線
   方向に沿って変位させる軸線変位機構と、 前記一対のナットランナを前記クランクシャフトの軸部
   を中心に所定角度回動させる角度偏位機構と、 前記一対のナットランナを互いに接近または離間する方
   向に変位させる軸間変位機構と、 前記ナットランナのソケットを交換するためのソケット
   交換機構と、 を備えることを特徴とするコンロッド取付部材の締付装
   置。
2. 【請求項２】請求項１記載のコンロッド取付部材の締付
   装置において、 前記ナットランナを複数対備え、各一対のナットランナ
   毎に前記角度偏位機構、前記軸線変位機構、前記軸間変
   位機構が設けられることを特徴とするコンロッド取付部
   材の締付装置。
3. 【請求項３】請求項１または２記載のコンロッド取付部
   材の締付装置において、 前記角度偏位機構は、前記一対のナットランナを支持
   し、前記クランクシャフトと同軸に回動自在なアーム部
   材と、 前記アーム部材を偏位させるアーム偏位機構と、 を備えることを特徴とするコンロッド取付部材の締付装
   置。
4. 【請求項４】請求項３記載のコンロッド取付部材の締付
   装置において、 前記軸線変位機構は、前記アーム部材に設けられ、前記
   アーム部材に対して前記一対のナットランナを変位させ
   る構成からなることを特徴とするコンロッド取付部材の
   締付装置。
5. 【請求項５】請求項１乃至４のいずれか１項に記載のコ
   ンロッド取付部材の締付装置において、 前記軸間変位機構は、前記一対のナットランナにそれぞ
   れ設けられたカム部材と、 前記それぞれのカム部材に係合するカム孔が画成された
   カムプレートと、 前記カムプレートを前記ナットランナの軸線方向に変位
   させるカム変位機構と、 を備え、前記カム変位機構の付勢作用下に前記カムプレ
   ートを変位させ、前記カム部材を介して前記ナットラン
   ナを互いに接近または離間する方向に変位させることを
   特徴とするコンロッド取付部材の締付装置。
6. 【請求項６】請求項１乃至５のいずれか１項に記載のコ
   ンロッド取付部材の締付装置において、 前記回動機構は、前記クランクシャフトの軸部の端部に
   係合する係合部材と、前記係合部材を回動させる回転駆
   動源と、 を備え、前記回転駆動源を付勢して前記係合部材を所定
   角度回動させることにより、前記クランクシャフトの周
   方向の角度を位置決めすることを特徴とするコンロッド
   取付部材の締付装置。
7. 【請求項７】請求項１乃至６のいずれか１項に記載のコ
   ンロッド取付部材の締付装置において、 前記ソケット交換機構は、前記一対のナットランナに設
   けられ、コンロッド取付部材締結用のソケットを保持す
   るチャック機構と、 前記チャック機構に設けられ、前記ソケットの抜け止め
   を行う保持部材と、 複数の前記ソケットを保持するソケット保持機構と、 前記ソケット保持機構に設けられ、前記保持部材の保持
   状態を解除する解除部材と、 を備えることを特徴とするコンロッド取付部材の締付装
   置。