JPH1146781A - ヒトadamts−1タンパク質、それをコードする遺伝子、医薬組成物、及びヒトadamts−1タンパク質の免疫学的分析方法 - Google Patents
ヒトadamts−1タンパク質、それをコードする遺伝子、医薬組成物、及びヒトadamts−1タンパク質の免疫学的分析方法Info
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- JPH1146781A JPH1146781A JP10169158A JP16915898A JPH1146781A JP H1146781 A JPH1146781 A JP H1146781A JP 10169158 A JP10169158 A JP 10169158A JP 16915898 A JP16915898 A JP 16915898A JP H1146781 A JPH1146781 A JP H1146781A
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Abstract
赤血球の数を増加させることができる新規タンパク質、
それをコードする遺伝子、医薬組成物、及び前記タンパ
ク質の免疫学的分析方法を提供する。 【解決手段】 本発明のヒトADAMTS−1タンパク
質は、アミノ酸残基727個からなり、マトリックスメ
タロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイ
ン、及び3個のトロンボスポンジンドメインを有する。
本発明の医薬組成物は、有効成分として前記タンパク質
を含有する。本発明の免疫学的分析方法では、前記タン
パク質と特異的に反応することのできる免疫反応性物質
を用いる。
Description
−1タンパク質、それをコードする遺伝子、医薬組成
物、及びヒトADAMTS−1タンパク質の免疫学的分
析方法に関する。
egrin and metalloproteina
se with thrombospondin mo
tifs)−1遺伝子は、マウスに移植すると癌悪疫質
を引き起こすマウス大腸癌細胞株から、cDNAとして
単離された遺伝子であり、この遺伝子にコードされるマ
ウスADAMTS−1タンパク質は、マトリックスメタ
ロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイ
ン、及び3個のトロンボスポンジンドメインを有するユ
ニークなタンパク質である[J.Biol.Che
m.,272,556−562(1997)]。
学的機能は未だに不明であるが、前記タンパク質に含ま
れている個々の機能ドメインについては、すでに種々の
報告がある。例えば、ヘビ毒のディスインテグリンは、
システィンに富み、抗血液凝固作用を有するタンパク質
のファミリーに属する[Semin.Hemato
l.,31,289−300(1994)]。
アーゼドメインとディスインテグリンドメインとを有す
るタンパク質ファミリーとしては、従来から、ADAM
(Adisintegrin and metallo
proteinase)ファミリーが知られている[N
ature,377,652−656(1995);N
ature Genet.,5,151−157(19
93);Nature,356,248−252(19
92)]。これまでにADAMファミリーとして知られ
るタンパク質としては、例えば、、ファーティリン(f
ertilin)、エピダーマルアピカルプロテイン
(epidermal apical protei
n)、シリテスチン(cyritestin)、MDC
(システイン含有量の高いメタロプロテアーゼ様ディス
インテグリン様タンパク質;metalloprote
ase−like,disintegrin−like
and cystein−rich protei
n)、メルトリン(meltrin)、MS2、及びメ
タージディン(metargidin)を挙げることが
できる[Nature,377,652−656(19
95);Nature Genet.5,151−15
7(1993);Nature,356,248−25
2(1992);Biochem.J.,286,67
1−675(1992);Dev.Growth.Di
ffer.,36,49−58(1994);Int.
Immunol.,2,585−591(1990);
J.Biol.Chem.,271,4593−459
6(1996)]。ファーティリンは、インテグリンを
介する精子と卵子の結合に関与しているとの報告[Na
ture,356,248−252(1992)]があ
り、メルトリンは、筋間形成に関与しているとの報告
[Nature,377,652−656(199
5)]がある。主として中枢神経などで発現しているM
DCは、ヒト乳癌の抑制に働く候補タンパク質である
[Nature Genet.5,151−157(1
993)]。また、MS2は、マクロファージの1つの
抗原として働いている[Int.Immunol.,
2,585−591(1990)]。しかし、これらA
DAMファミリーに属するタンパク質の生理学的役割は
依然として多くは不明である。
トリックスメタロプロテアーゼドメイン及びディスイン
テグリンドメインを有するので、ADAMファミリーに
属するが、トロンボスポンジンドメインを有する点で、
従来公知のADAMファミリーに属するタンパク質とは
異なる。マトリックスメタロプロテアーゼドメイン及び
ディスインテグリンドメインを有するADAMファミリ
ーには、先に述べたように、骨や筋肉代謝、癌増殖抑
制、又は受精に関与する各種タンパク質が含まれ、ま
た、トロンボスポンジンには血管新生阻害作用、及び癌
抑制作用があることから、マウスADAMTS−1タン
パク質には特徴的生理機能があると思われる。
トADAMTS−1タンパク質を取得することを目指し
て、既知のマウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列を
基に設計した各種プローブを用いて、ヒト腎臓cDNA
ライブラリーからプラークハイブリダイゼーション法に
よりヒトADAMTS−1遺伝子を取得しようと試みた
ところ、目的の遺伝子を取得することはできなかった。
また、既知のマウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列
を基に設計した各種プライマーを用いて、ヒト腎臓cD
NAライブラリーを鋳型とするPCR法を通常の条件で
実施することによって目的遺伝子の取得を試みたが、成
功しなかった。そこで、本発明者は、前記のプライマー
を用いて、通常よりも緩い条件、すなわち、アニーリン
グ温度を通常よりも低い条件で、ヒト腎臓cDNAライ
ブラリーを鋳型とするPCR法を実施することにより、
新規のヒトADAMTS−1遺伝子を単離することがで
きた。こうして得られた遺伝子を大腸菌で産生させ、得
られた組換えヒトADAMTS−1タンパク質の生物活
性を検討したところ、驚くべきことに、新規のヒトAD
AMTS−1タンパク質が、白血球及び血小板の数を低
下させ、同時に、赤血球の数を増加させる活性を有する
ことが判明した。このような造血機能に影響を与える活
性は、プライマーを設計するのに参照したマウスADA
MTS−1遺伝子の由来からは予想することができず、
また、ヒトADAMTS−1タンパク質に含まれる各ド
メインの機能からも予想することができないものであ
る。本発明は、このような知見に基づくものである。
番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むことを特
徴とするタンパク質に関する。また、本発明は、前記タ
ンパク質又はその改変体をコードすることを特徴とする
遺伝子に関する。また、本発明は、前記遺伝子を含むこ
とを特徴とするベクターに関する。また、本発明は、前
記ベクターにより形質転換されたことを特徴とする形質
転換体に関する。
改変体を含有することを特徴とする医薬組成物に関す
る。また、本発明は、前記タンパク質又はその改変体と
特異的に反応することを特徴とする免疫反応性物質(例
えば、ポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗
体、若しくはこれらの抗体フラグメント、又は抗血清な
ど)に関する。また、本発明は、前記免疫反応性物質
と、被検試料とを接触させ、ヒトADAMTS−1タン
パク質と前記免疫反応性物質との結合体を検出すること
を特徴とする、前記ヒトADAMTS−1タンパク質の
免疫学的分析方法に関する。また、本発明は、配列表の
配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列からなるヒ
トADAMTS−1タンパク質のmRNAの塩基配列に
相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドと、被検試料
とを接触させ、ヒトADAMTS−1タンパク質のmR
NAと前記遺伝子との結合体を検出することを特徴とす
る、前記ヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAの
分析方法に関する。
ンパク質、又はそのmRNAを分析することを特徴とす
る、免疫状態の体外検出方法に関する。更に、本発明
は、ヒトADAMTS−1タンパク質と免疫学的に反応
することのできる免疫反応性物質、又はヒトADAMT
S−1タンパク質のmRNAの塩基配列に相補的な塩基
配列を含むポリヌクレオチドを含有することを特徴とす
る、免疫状態の分析試薬に関する。
本発明によるヒトADAMTS−1タンパク質は、アミ
ノ酸残基727個からなり、配列表の配列番号1の配列
で表わされるアミノ酸配列からなる新規のタンパク質で
ある。本発明のヒトADAMTS−1タンパク質は、図
10〜図12に示すように、N末端アミノ酸残基である
メチオニンから数えて第12番目〜第230番目のアミ
ノ酸残基からなるマトリックスメタロプロテアーゼ(以
下、MMPと称することがある)ドメイン、第235番
目〜第305番目のアミノ酸残基からなるディスインテ
グリン(以下、DIと称することがある)ドメイン、並
びに第322番目〜第372番目、第618番目〜第6
64番目、及び第672番目〜第727番目のアミノ酸
残基からなる3個のトロンボスポンジン(以下、TSP
と称することがある)ドメインを有する。また、塩基性
アミノ酸であるアルギニン及びリジンがC末端領域に多
く存在し、このことから、ヒトADAMTS−1タンパ
ク質は、血液中においてヘパリンやヘパラン硫酸などの
硫酸化多糖分子と相互作用していると思われる。
列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパ
ク質、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体が含
まれる。本明細書において、「ヒトADAMTS−1タ
ンパク質改変体」とは、そのアミノ酸配列が、ヒトAD
AMTS−1タンパク質のアミノ酸配列、すなわち、配
列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列にお
いて、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加さ
れたアミノ酸配列であって、かつヒトADAMTS−1
活性を有するタンパク質を意味する。また、本明細書に
おいて、「ヒトADAMTS−1活性」とは、造血機能
に影響を与える活性、例えば、白血球及び血小板の数を
低下させ、同時に、赤血球の数を増加させる活性を意味
する。更に、本発明によるタンパク質には、配列表の配
列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含む前記タ
ンパク質、若しくは前記改変体の一部分であり、かつヒ
トADAMTS−1活性を有する断片も含まれる。
方法によって得ることができる。例えば、本発明による
遺伝子を用いて公知の遺伝子工学的手法により調製する
こともできるし、あるいは、公知のタンパク質化学的手
法により天然由来の本発明のタンパク質を精製すること
もできる。
の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特
には、ヒトADAMTS−1)、又はヒトADAMTS
−1タンパク質改変体をコードする遺伝子が含まれる。
なお、前記遺伝子には、DNA及びRNAの両方が含ま
れる。ヒトADAMTS−1タンパク質をコードする遺
伝子としては、例えば、配列表の配列番号2の配列で表
わされる塩基配列からなる遺伝子を挙げることができ
る。
号2の配列で表わされる塩基配列からなる遺伝子は、例
えば、本発明者が前記遺伝子を最初に取得する際に用い
た以下の方法により取得することができる。すなわち、
マウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列を参照して適
当な各種PCR用プライマーを作製し、通常よりも緩い
条件、すなわち、アニーリング温度を通常よりも低い条
件で、ヒト腎臓由来のcDNAライブラリーを鋳型DN
AとしてPCR法を実行することにより、DNA断片を
得ることができる。このDNA断片の塩基配列を決定
し、マウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列と比較す
ることにより、目的遺伝子であることを確認することが
できる。PCR法に用いるプライマーの種類に応じて、
ヒトADAMTS−1遺伝子の全配列を取得することも
できるし、あるいは、ヒトADAMTS−1遺伝子の部
分塩基配列を取得し、続いて、RACE法(Rapid
amplification of cDNA en
ds)法[Proc Natl.Acad.Sci.U
SA,85,8998−9002(1988)]により
残りの部分塩基配列を取得し、これらの部分塩基配列を
遺伝子工学的手法により連結することにより全配列を取
得することもできる。
方法においては、前記PCRプライマーの塩基配列を設
計する際に、ヒトADAMTS−1遺伝子の塩基配列が
未知であったので、マウスADAMTS−1遺伝子とヒ
トADAMTS−1遺伝子との間で完全な相同性を示す
配列を選択することは実質的に不可能であった。本発明
者は、マウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列を基に
設計したプライマーを用いて、通常の温度条件でPCR
法を実施したが、目的のDNA断片を得ることができな
かった。本発明者は、同じプライマーを用いて、通常よ
りも緩い条件下、すなわち、通常よりも低いアニーリン
グ温度でPCR法を実施することにより、目的とするD
NA断片を得ることができた。取得したヒトADAMT
S−1遺伝子の塩基配列と、前記プライマーの塩基配列
を比較した結果、塩基配列の相同性は、充分なものでは
なかった。
子の塩基配列が解明されたので、PCR法におけるプラ
イマーの設計、又はプラークハイブリダイゼーション法
におけるプローブの設計に、このヒトADAMTS−1
遺伝子の塩基配列を利用することができる。このような
プライマー又はプローブを用いると、本発明の遺伝子
は、本発明者がその遺伝子を最初に取得する際に用いた
前記方法に限らず、公知の遺伝子取得方法、例えば、通
常条件によるPCR法、又はプラークハイブリダイゼー
ション法などを用いても調製することができる。なお、
本発明者は、既知のマウスADAMTS−1遺伝子の塩
基配列を基に設計したプローブを用いて、プラークハイ
ブリダイゼーション法によりヒト腎臓cDNAライブラ
リーから未知のヒトADAMTS−1遺伝子を取得しよ
うと試みたが、目的とする遺伝子を取得することができ
なかった。この原因として、用いたプローブの塩基配列
の相同性が充分でなかったことを挙げることができる
が、それ以外の原因として、ノーザンハイブリダイゼー
ション法を用いて、ヒトADAMTS−1タンパク質の
mRNA解析を行ったところ、その発現量が非常に少な
く、cDNAライブラリーを作製しても、そのライブラ
リー中に含まれるヒトADAMTS−1遺伝子のコピー
数が、非常に少ないためであったことを確認している。
ヒトADAMTS−1遺伝子の塩基配列を基に設計した
プローブを使用することにより、プラークハイブリダイ
ゼーション法によっても、本発明の遺伝子を取得するこ
とが可能である。
ば、真核生物又は原核生物を宿主として用いて、本発明
のタンパク質を発現させることができる。目的とする遺
伝子を含むDNA断片を、そのまま宿主細胞に入れても
増殖しないので、プラスミドのような細胞内で複製可能
な染色体外遺伝子をベクターとして、発現プラスミドを
作製することができる。使用することのできるベクター
は、宿主細胞内での複製に必要な遺伝情報を含み、自立
的に複製することができ、しかも、宿主細胞からの単離
精製が容易であり、検出可能なマーカーを有することが
望ましい。
は、種々の市販のベクターを用いて、宿主細胞に応じて
適宜構築することができ、これらの公知ベクターへのD
NAの挿入方法も周知である。原核生物の宿主として
は、大腸菌の菌株、例えば、XL1−Blue、HB1
01、JM109、DH5α、AG−1、K12株29
4(ATCC31446)、B、χ1776(ATCC
31537)、C600、若しくはW3110(F−、
λ−、プロトトロフィック;ATCC27375)を挙
げることができる。また、バチラス属の菌株(例えば、
枯草菌)、腸内細菌[例えば、ネズミチフス菌若しくは
霊菌(Serratia marcescens)
等]、又はシュードモナス属の菌株等を挙げることがで
きる。
のべクターとしては、本発明による遺伝子を発現するこ
とができるように前記遺伝子の上流にプロモ−タ−及び
SD塩基配列、更にタンパク質合成開始に必要な塩基配
列・ATGを付与した発現プラスミドを使用することが
できる。大腸菌株等のべクターとしては、一般に、pU
C19、pBR322、又はpBR327等が広く用い
られている。プロモーターとしては、例えば、トリプト
ファン・プロモーター、PL プロモーター、lacプロ
モーター、tacプロモーター、trcプロモーター、
lppプロモーター、又はβ−ラクタマーゼプロモータ
ー等を使用することができる。マーカー遺伝子の例とし
ては、アンピシリン耐性遺伝子、又はテトラサイクリン
耐性遺伝子を挙げることができる。
広く用いられ、その中でもサッカロミセス属酵母を有利
に利用することができる。酵母等の真核微生物の発現ベ
クターとしては、例えば、YRp7等を用いることがで
きる。酵母発現用の発現べクターのプロモーターの例と
しては、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、GA
L10、3−ホスホグリセレートキナーゼ、エノラー
ゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲ
ナーゼ、又はヘキソキナーゼなどを利用することができ
る。マーカー遺伝子としては、trpl遺伝子等を利用
することができる。酵母細胞中における転写や翻訳を制
御するための複製起源や終止コドン及びその他のDNA
配列としては、酵母細胞に適している通常の公知のDN
A配列を用いることができる。
は、例えば、赤毛ザル腎臓細胞、蚊幼虫の細胞、アフリ
カミドリザル腎臓細胞(COS−7又はCOS−1
等)、マウス胎児繊維芽細胞、チャイニーズハムスター
卵巣細胞若しくはそのジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損
株、ヒト頚上皮細胞、ヒト胎児腎臓細胞、蛾卵巣細胞、
ヒト骨髄腫細胞、又はマウス繊維芽細胞等を用いること
ができる。
を宿主細胞内で発現させるための機能配列、例えば、複
製開始点、本発明DNAの上流に位置すべきプロモータ
ー、リボゾーム結合部位、ポリアデニル化部位、及び/
又は転写終止配列を含有している。プロモーターとして
は、例えば、アデノウイルス2主後期プロモーター、S
V40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、
サイトメガロウイルス、ラウスザルコーマウイルス、又
は真核生物遺伝子からのプロモーター(例えば、エスト
ロゲン誘導ニワトリ卵アルブミン遺伝子、インターフェ
ロン遺伝子、グルココルチコイド誘導チロシンアミノト
ランスフェラーゼ遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子、主
初期及び後期アデノウイルス遺伝子、ホスホグリセレー
トキナーゼ遺伝子、又はα因子遺伝子等)が好ましい。
V40、ウシパピローマウイルス(BPV)、水疱性口
内炎ウイルス(VSV)、又はそれらの誘導体ベクター
由来のものを用いることができる。また、この際のマー
カー遺伝子としては、例えば、ネオマイシン耐性遺伝
子、メトトレキセート耐性ジヒドロ葉酸還元酵素(DH
R)遺伝子、又はブラストサイアジンS耐性遺伝子等を
用いることができる。
4細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、又はTricho
plusianiの卵巣細胞等を用いることができる。
また、カイコの幼虫個体も用いることもできる。昆虫細
胞への遺伝子導入のためには、ウイルスDNAと目的遺
伝子を組み込んだトランスファーベクターとを昆虫細胞
に共感染させて行うことができる。ウイルスDNAとし
ては、例えば、Bombyx mori nuclea
r polyhedrosis virus、又はAu
tographica californica mu
ltiplenuclear polyhedrosi
s virus等を用いることができる。目的遺伝子を
挿入するトランスファーベクターとしては、例えば、ポ
リヘドリンプロモーターやp10プロモーターベクター
が使用可能であり、これらのプロモーターの下流に目的
遺伝子を組み込むことができる。また、トランスファー
ベクターは大腸菌での複製は可能だが、昆虫細胞等では
複製はできない。従って、大腸菌で大量に複製してから
昆虫細胞等により発現させることが好ましい。この方法
によると動物細胞の場合より発現物質を大量に回収する
ことができる。
を適当な宿主細胞、例えば、大腸菌若しくは酵母等の微
生物細胞、又は動物細胞などへ導入することにより、本
発明の形質転換体を製造することができる。DNAの導
入方法としては、公知の手法、例えば、塩化カルシウム
処理したコンピテント細胞の利用、プロトプラスト法、
リン酸カルシウム法、又は電気せん孔法などを用いるこ
とができる。
列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパ
ク質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又
はヒトADAMTS−1タンパク質改変体が含まれる。
本発明によるタンパク質は、造血機能に影響を与える活
性を有し、例えば、血管中に投与すると、白血球及び血
小板の数を低下させ、同時に、赤血球の数を増加させる
活性を有する。従って、本発明は、前記の配列表の配列
番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク
質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又は
ヒトADAMTS−1タンパク質改変体を有効成分とし
て含有する医薬組成物にも関する。本発明の医薬組成物
は、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配
列を含むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1タ
ンパク質)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変
体を、それ単独で、又は好ましくは製剤学的若しくは獣
医学的に許容することのできる通常の担体と共に、動
物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)に経口投与又は
非経口投与することができる。投与剤型としては、特に
限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カ
プセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキ
ス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射剤、外用液
剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、若しくは点眼
薬などの非経口剤を挙げることができる。
ルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳
糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロー
ス、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロ
ース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル(例え
ば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、若しくはプロピレング
リコール脂肪酸エステル)]、タルク、ステアリン酸マ
グネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシ
ウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなどの
賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性
促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安定
化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用いて、常
法に従って製造することができる。
脈内等)、又は直腸投与等が例示される。これらのなか
で、注射剤が最も好適に用いられる。例えば、注射剤の
調製においては、有効成分としての配列表の配列番号1
の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特
には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又はヒトA
DAMTS−1タンパク質改変体の他に、例えば、生理
食塩水若しくはリンゲル液等の水溶性溶剤、植物油若し
くは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖若しく
は塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化
剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤などを任意に用いる
ことができる。また、本発明の医薬組成物は、徐放性ポ
リマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて投与して
もよい。例えば、本発明の医薬組成物をエチレンビニル
酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、このペレット
を治療すべき組織中に外科的に移植することができる。
ものではないが、配列表の配列番号1の配列で表わされ
るアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、ヒトADA
MTS−1タンパク質)、又はヒトADAMTS−1タ
ンパク質改変体を、0.0001〜99重量%、好まし
くは0.01〜80重量%、より好ましくは0.01〜
50重量%の量で含有することができる。本発明の医薬
組成物を用いる場合の投与量は、病気の種類、患者の年
齢、性別、体重、症状の程度、又は投与方法などにより
異なり、特に制限はないが、配列表の配列番号1の配列
で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、
ヒトADAMTS−1タンパク質)、又はヒトADAM
TS−1タンパク質改変体量として通常成人1人当り
0.0001μg/kg〜10,000μg/kg、好
ましくは0.001μg/kg〜1,000μg/k
g、より好ましくは0.01μg/kg〜100μg/
kg程度を、1日1〜4回程度にわけて、経口的に又は
非経口的に投与する。更に、用途も医薬品に限定される
ものではなく、種々の用途、例えば、機能性食品や健康
食品として飲食物の形で与えることも可能である。
列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含
むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク
質)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体を含
有するので、例えば、白血球減少剤、血小板減少剤、又
は赤血球増加剤として有用である。一般に、炎症時に
は、白血球が血液中に動員され、炎症部位に移行し、病
態を進展/発症することが知られているので、本発明の
ヒトADAMTS−1タンパク質は、各種炎症疾患[例
えば、リウマチ性関節炎、乾癬、喘息、肝炎、川崎病、
痛風、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、クローン病、
潰瘍性大腸炎、敗血症、又は腎炎など]の治療に有効で
あると考えられる。また、本発明のヒトADAMTS−
1タンパク質には、血小板数及び白血球数を減少させる
作用があるので、例えば、真性多血症の治療に有効であ
る。また、発明のヒトADAMTS−1タンパク質には
血小板数を減少させる作用があることから、本発明のヒ
トADAMTS−1タンパク質が抗血栓作用を有するこ
とが予想され、例えば、心筋梗塞、脳梗塞、又は多臓器
不全の治療にも有効であると考えられる。更には、ヒト
ADAMTS−1タンパク質には有意に赤血球数を上昇
させる作用があることから、エリスロポエチンのよう
に、貧血の治療にも有効であると考えられる。
S;例えば、10μg/マウス)をマウスに投与する
と、マウスADAMTS−1遺伝子の発現が、心臓及び
腎臓において超誘導される[J.Biol.Che
m.,272,556−562(1997)]ことか
ら、マウスADAMTS−1タンパク質は、致死的な急
性炎症時(例えば、エンドトキシンショック)に、心臓
及び腎臓に対して防衛的に(protective)に
機能している可能性がある。
胞増殖を特異的に抑制する血管新生抑制因子として知ら
れており[J.Cell.Biol.,111,765
−772(1990)]、TSP遺伝子を導入した癌細
胞において、癌細胞の増殖・転移を抑制することが可能
であるとの報告[Cancer.Res.,54,65
04−6511(1994)]がなされていることか
ら、ヒトADAMTS−1タンパク質も、制癌作用や癌
転移抑制作用を示す可能性がある。また、TSPやディ
スインテグリンは骨代謝にも関与するとの最近の報告
[Biochem.Biophy.Res.Commu
n.,213,1017−1025(1995)]か
ら、ヒトADAMTS−1タンパク質の骨粗鬆症などの
代謝性骨疾患治療への応用も考えられる。
番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク
質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又は
ヒトADAMTS−1タンパク質改変体と特異的に反応
する。本発明の免疫反応性物質には、例えば、抗体(モ
ノクローナル抗体若しくはポリクローナル抗体)、これ
らの抗体のフラグメント[例えば、Fab、Fab’、
F(ab’)2 、又はFv等]、又は抗血清などが含ま
れる。本発明の免疫反応性物質は、ヒトADAMTS−
1タンパク質と特異的に反応するので、ヒトADAMT
S−1タンパク質の免疫学的分析方法の試薬として有用
である。
の方法、例えば、次のようにして調製することができ
る。抗原を含む生理食塩水を等量のフロイント氏完全ア
ジュバンド若しくは不完全アジュバンド、又はその等価
物、例えば、Hunter’s TiterMax
TM(フナコシ;Cat.No.YT001−00,東
京,日本)と乳化混合して、常用する骨髄腫細胞との適
性を考慮して選択された哺乳動物(例えば、マウス、ラ
ット、ウサギ、又はハムスターなど)、特にはマウス
(例えば、BALB/cマウス)の皮下、腹腔内、静脈
内、筋肉内、又は皮内等のいずれかに投与する(初回免
疫)。以後、2〜4週間の間隔で同様の操作を行い、数
回免疫する。最終免疫を抗原液のみで行い、最終免疫か
ら数日後に哺乳動物から脾臓を無菌的に取り出し、脾細
胞を調製する。この脾細胞を用いて、細胞融合を行う。
細胞融合のもう一方の親細胞である骨髄腫細胞は公知の
細胞株、例えば、P3X63−Ag8(X63)[Na
ture,256,495−497(1975)]、P
3X63−Ag8U1(P3U1)[Current
Topics in Microbiology an
d Immunology,81,1−7(197
8)]、P3X63Ag8.653(ATCC受託番
号:CRL−1580)などを使用することができる。
ミルシュタインらの方法[Methods in En
zymology,73,3−47(1981)]等に
準じて行うことができる。得られたハイブリドーマを移
植した哺乳動物(例えば、マウス)の腹水から目的とす
るモノクローナル抗体を分離精製する。分離精製には、
公知の方法、例えば、硫酸アンモニウムによる透析イオ
ン交換クロマトグラフィー、プロテインA若しくはプロ
テインG結合多糖類担体若しくは抗マウスイムノグロブ
リン抗体結合多糖類担体を用いた親和性カラムクロマト
グラフィー、透析、又は凍結乾燥などを用いることがで
きる。
来公知の方法、例えば、以下に示す方法により調製する
ことができる。すなわち、抗原を含む生理食塩水を等量
のフロイント氏完全アジュバンド若しくは不完全アジュ
バンド、又はその等価物、例えば、Hunter’s
TiterMaxTM(フナコシ;Cat.No.YT0
01−00,東京,日本)と乳化混合して、哺乳動物、
特にはウサギ、又はヤギ等の皮下、腹腔内、又は筋肉内
などのいずれかに投与する(初回免疫)。以後、2〜4
週間の間隔で同様の操作を行い、数回免疫する。最終免
疫から1〜2週間後に哺乳動物の頸動脈又は心臓から血
液を採取して血清を硫酸アンモニウムによって塩析する
ことにより調製することができる。
発明のポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を常
法によりタンパク質分解酵素によって消化し、続いて、
タンパク質の分離・精製の常法に従って得ることができ
る。
ヒトADAMTS−1タンパク質の産生が亢進されるこ
となどから、ヒトADAMTS−1タンパク質を、免疫
状態の体外検出方法において免疫状態の診断マーカーと
利用することができる。すなわち、被検対象者から採取
した被検試料に関して、本発明の体外検出方法を適用す
ることによって、その被検対象者の生体防御系が、種々
の疾病、例えば、炎症、癌、悪疫質(例えば、癌悪疫質
若しくは感染症性悪疫質など)、感染症、又は白血病な
どにより変化している場合には、その生体防御系に相当
する免疫状態を検出することができる。一方、前記被検
対象者の生体防御系が正常である場合には、その生体防
御系に相当する免疫状態を検出することができる。
料としては、ヒトADAMTS−1タンパク質が含まれ
ている可能性があれば特に限定されるものではなく、生
物学的試料、例えば、ヒト(特には患者)から採取した
細胞等の組織若しくはその抽出物、又は血液(例えば、
血清又は血漿)、尿、若しくは脳脊髄液等の体液などを
例示することができる。また、通常の臨床検査等におけ
る被検試料であれば、特に限定されず、使用することが
可能である。
タンパク質の分析工程では、まず最初に、前記の被検試
料を、ヒトADAMTS−1タンパク質と免疫学的に反
応性のある免疫反応性物質と接触させる。この際に、も
し被検試料内にヒトADAMTS−1タンパク質が存在
しなければ、前記免疫反応性物質との反応が生じない
が、もし被検試料内にヒトADAMTS−1タンパク質
が存在すると、そのヒトADAMTS−1タンパク質と
前記の免疫反応性物質とが結合して、ヒトADAMTS
−1タンパク質と免疫反応性物質との結合体が、ヒトA
DAMTS−1タンパク質の存在量に応じて生成する。
この結合体は、公知の方法によって簡単に検出すること
ができるので、結合体の存在や量から前記被検試料中の
ヒトADAMTS−1タンパク質の存在を検出したり、
その量を測定することができる。被検試料として組織切
片又は細胞を用い、蛍光抗体法又は酵素抗体法により、
組織又は細胞中のヒトADAMTS−1タンパク質を測
定することも可能である。
的に反応することのできる免疫反応性物質としては、例
えば、抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗血清、抗ヒ
トADAMTS−1タンパク質ポリクローナル抗体、若
しくは抗ヒトADAMTS−1タンパク質モノクローナ
ル抗体、又はこれらの抗体のフラグメント等が挙げられ
る。これらは単独でも、また組み合わせて同時に用いる
こともできる。前記抗体フラグメントには、例えば、F
ab、Fab’、F(ab’)2 、又はFv等が含まれ
る。
の免疫学的分析方法では、被検試料と、ヒトADAMT
S−1タンパク質と免疫学的に反応することのできる免
疫反応性物質とを接触させ、ヒトADAMTS−1タン
パク質−免疫反応性物質結合体を生成させる。そして、
免疫化学的測定法により、抗体に結合したヒトADAM
TS−1タンパク質を検出し、その量を測定することに
よって、被検試料中のヒトADAMTS−1タンパク質
レベルを知ることができる。
すべての慣用のイムノアッセイ、例えば、EIA法、E
LISA法、又はRIA法等を用いることができる。こ
れらの免疫化学的測定法は、一般に次の方法に大別する
ことができる。 (1)競合法:未知量の抗原を含む被検試料と標識剤で
標識した抗原の一定量とを対応する抗体の一定量に対し
て競合反応させ、抗体と結合した標識抗原又は抗体と結
合しなかった標識抗原の活性を測定する。 (2)サンドイッチ法:未知量の抗原を含む被検試料
に、担体上に保持された過剰量の抗体を加えて反応させ
(第1反応)、次に標識剤で標識した過剰量の抗体の一
定量を加えて反応させる(第2反応)。担体上に保持さ
れた標識抗体又は担体上に保持されなかった標識抗体の
活性を測定する。第1反応及び第2反応は同時に行って
もよいし、時間をずらして行ってもよい。標識剤が放射
性同位元素である場合には、ウェルカウンター又は液体
シンチレーションカウンターで測定することができる。
標識剤が酵素である場合には、基質を加えて放置し、比
色法又は蛍光法で酵素活性を測定することができる。標
識剤が蛍光物質や発光物質であっても、それぞれ公知の
方法に従って測定することができる。
たタンパク質をニトロセルロース等のフィルターに移
し、抗体を用いて目的のタンパク質を検出する、ウェス
タンブロット法が行われるようになってきたが、本発明
におけるヒトADAMTS−1タンパク質の検出にもも
ちろん利用することができる。これらの測定法において
用いる抗体は、公知の抗体標識法によって標識すること
ができ、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、又
は発光性物質等の適当なマーカーで標識しておくことが
できる。放射性同位元素としては、例えば、 125I、
131I、 3H、14C、又は35Sなどを用いることができ
る。
が好ましく、例えば、グリコシダーゼ(例えば、β−ガ
ラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、β−グルクロニ
ダーゼ、β−フルクトシダーゼ、α−ガラクトシダー
ゼ、α−グルコシダーゼ、若しくはα−マンノシダー
ゼ)、アミラーゼ(例えば、α−アミラーゼ、β−アミ
ラーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼ、若しくは
タカアミラーゼ)、セルラーゼ、若しくはリゾチーム等
のカルボヒドラーゼ;ウレアーゼ、若しくはアスパラギ
ナーゼ等のアミダーゼ;コリンエステラーゼ(例、アセ
チルコリンエステラーゼ)、ホスファターゼ(例、アル
カリホスファターゼ)、スルファターゼ、若しくはリパ
ーゼ等のエステラーゼ;デオキシリボヌクレアーゼ、若
しくはリボヌクレアーゼ等のヌクレアーゼ;カタラー
ゼ、ペルオキシダーゼ、若しくはチトクロームオキシダ
ーゼ等の鉄・ポルフィリン酵素;チロシナーゼ、若しく
はアスコルビン酸オキシダーゼ等の銅酵素;又はアルコ
ール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵
素、若しくはイソクエン酸脱水素酵素等の脱水素酵素な
どを用いることができる。蛍光物質としてはフルオレス
カミン、又はフルオレッセンスイソチオシアネートなど
を、発光性物質としてはルミノール、ルミノール誘導
体、ルシフェリン、又はルシゲニンなどをそれぞれ挙げ
ることができる。
自体公知の方法で実施することができる。また、抗体と
標識剤とを結合させる方法としては、任意の常法、例え
ば、クロラミンT法[Nature,194,495−
496,(1962)]、過ヨウ素酸法[Journa
l of Histochemistry and C
ytochemistry,22,1084−109
1,(1974)]、又はマレイミド法[Journa
l of Biochemistry,79,233−
236,(1976)]などを用いることができる。
次のように行うことができる。まず、担体(例えば、ア
ッセイプレート)上に固定された第1抗ヒトADAMT
S−1タンパク質抗体に被検試料を加え、ヒトADAM
TS−1タンパク質と抗ヒトADAMTS−1タンパク
質抗体とを結合させて結合体を生成させ、この結合体に
酵素標識剤(例えばペルオキシダーゼ)を結合させた第
2抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体を加え、前記
結合体に第2抗体を更に結合させ、「第1抗体−ヒトA
DAMTS−1タンパク質−第2抗体」結合体を生成さ
せる。得られた「第1抗体−ヒトADAMTS−1タン
パク質−第2抗体」結合体に、前記標識酵素(ペルオキ
シダーゼ)の基質を加え、酵素反応による生成物の吸光
度又は蛍光強度を測定することにより前記の「第1抗体
−ヒトADAMTS−1タンパク質−第2抗体」結合体
に付着する標識酵素の酵素活性を測定する。上記の一連
の操作を既知量のヒトADAMTS−1タンパク質を含
む標準溶液に関して予め実施しておき、ヒトADAMT
S−1タンパク質と吸光度又は蛍光強度との関係を標準
曲線として作成しておく。そして、未知量のヒトADA
MTS−1タンパク質を含む被検試料について得られた
吸光度又は蛍光強度を標準曲線にあてはめ、被検試料中
のヒトADAMTS−1タンパク質の量を測定すること
ができる。
行うこともできる。すなわち、まず、担体(例えば、ア
ッセイプレート)と被検試料とを接触することにより、
被検試料内のヒトADAMTS−1タンパク質を担体上
に固定させ、続いて抗ヒトADAMTS−1タンパク質
抗体(1次抗体)を加え、ヒトADAMTS−1タンパ
ク質と1次抗体とを結合させて結合体を生成させ、この
結合体に酵素標識剤(例えばペルオキシダーゼ)を結合
させた抗1次抗体抗体(2次抗体)を加え前記結合体に
2次抗体を結合させ、「ヒトADAMTS−1タンパク
質−1次抗体−2次抗体」結合体を生成させる。得られ
た「ヒトADAMTS−1タンパク質−1次抗体−2次
抗体」結合体に、前記標識酵素(ペルオキシダーゼ)の
基質を加え、酵素反応による生成物の吸光度、又は蛍光
強度を測定することにより、前記の「ヒトADAMTS
−1タンパク質−1次抗体−2次抗体」結合体に付着す
る標識酵素の酵素活性を測定する。上記の一連の操作を
既知量のヒトADAMTS−1タンパク質を含む標準溶
液に関して予め実施しておき、ヒトADAMTS−1タ
ンパク質と吸光度又は蛍光強度との関係を標準曲線とし
て作成しておく。そして、未知量のヒトADAMTS−
1タンパク質を含む被検試料について得られた吸光度又
は蛍光強度を標準曲線にあてはめ、被検試料中のヒトA
DAMTS−1タンパク質の量を測定することができ
る。
て行うことができる。まず、担体(例えば、試験管)に
固定された第1抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体
に被検試料を加え、ヒトADAMTS−1タンパク質と
抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体とを結合させて
結合体を生成させ、この結合体に放射性同位元素標識剤
(例えば、 125I)で標識された第2抗ヒトADAMT
S−1タンパク質抗体を加え、前記結合体に第2抗体を
更に結合させ、「第1抗体−ヒトADAMTS−1タン
パク質−第2抗体」結合体を生成させる。得られた「第
1抗体−ヒトADAMTS−1タンパク質−第2抗体」
結合体の放射能活性(例えば、γ−放射能活性)を測定
する。上記の一連の操作を既知量のヒトADAMTS−
1タンパク質を含有する標準溶液に関して予め実施して
おき、ヒトADAMTS−1タンパク質と放射能活性と
の関係を標準曲線として作成しておく。そして、未知量
のヒトADAMTS−1タンパク質を含む被検試料につ
いて得られた放射能活性を標準曲線にあてはめ、被検試
料中のヒトADAMTS−1タンパク質の量を測定する
ことができる。
行うこともできる。すなわち、まず、担体(例えば、試
験管)と被検試料とを接触させて被検試料内のヒトAD
AMTS−1タンパク質を前記担体上に固定させ、続い
て抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体(1次抗体)
を加えてヒトADAMTS−1タンパク質と1次抗体と
を結合させて結合体を生成させ、この結合体に放射性同
位元素標識剤(例えば、 125I)を結合させた抗1次抗
体抗体(2次抗体)を加えて前記結合体に2次抗体を結
合させ、「ヒトADAMTS−1タンパク質−1次抗体
−2次抗体」結合体を生成させる。そして、得られた
「ヒトADAMTS−1タンパク質−1次抗体−2次抗
体」の放射能活性(例えば、γ−放射能活性)を測定す
る。上記の一連の操作を既知量のヒトADAMTS−1
タンパク質を含む標準溶液に関して予め実施しておき、
ヒトADAMTS−1タンパク質と放射能活性との関係
を標準曲線として作成しておく。そして、未知量のヒト
ADAMTS−1タンパク質を含む被検試料について得
られた放射能活性を標準曲線にあてはめ、被検試料中の
ヒトADAMTS−1タンパク質の量を測定することが
できる。
タンパク質のmRNAの分析では、被験試料と、ヒトA
DAMTS−1タンパク質mRNAの塩基配列に相補的
な塩基配列を含むポリヌクレオチドとを反応させ、生成
するヒトADAMTS−1タンパク質mRNA−ポリヌ
クレオチド結合体の存在を検出、又はその量を測定する
ことにより、ヒトADAMTS−1タンパク質のmRN
Aを分析することができる。上記ポリヌクレオチドは、
選択された遺伝子(DNA)から転写されたmRNAの
一部と相補的な又は実質的に相補的な配列を含み、標的
遺伝子から転写されたmRNAとの間で二重鎖を形成す
る。その標的mRNAと安定な複合体を形成するために
十分な相補性を有するいずれのポリヌクレオチドも適当
であると考えられる。本発明に用いることのできるポリ
ヌクレオチドは、実質的に標的mRNA内のどの領域の
範囲で相補的であってもよい。ポリヌクレオチド分子
は、ヒトADAMTS−1タンパク質遺伝子に特異的な
mRNA発現の増減を検出するDNAプローブとして用
いることができる。すなわち、標的であるヒトADAM
TS−1タンパク質のmRNAに特異的に付着し、分子
ハイブリッドを形成することにより、細胞内のヒトAD
AMTS−1タンパク質の発現の程度を検出することが
できる。
チドは、標的ヒトADAMTS−1タンパク質のmRN
Aの特異的塩基配列と相補的な塩基配列を適宜選択し、
例えば、公知のDNA合成装置、PCR装置、又は遺伝
子クローニング等を用いて調製することができる。種々
の長さのポリヌクレオチドを使用することができるが、
好ましくは10塩基以上、より好ましくは17塩基以上
を有するものが好適である。
ないポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド類似体であ
ることができる。適当な類似体として、例えば、エチル
−又はメチルホスホネート類似体、ホスホロチオエート
修飾されたポリデオキシヌクレオチド[Nucleic
Acids Res.,14,9081−9093,
(1986);J.Am.Chem.Soc.,10
6,6077−6079,(1984)]等が挙げられ
る。更に、近年のポリヌクレオチド類似体の製造におけ
る進歩により、例えば、2’−O−メチルリボヌクレオ
チド[Nucleic Acids Res.,15,
6131−6148,(1987)]又は複合RNA−
DNA類似体であるキメラポリヌクレオチド[FEBS
Lett.,215,327−330,(198
7)]等も使用することができる。
つもの、又は電荷をもたないものを含め、いかなる種類
のものでもよい。in vitro又はin vivo
でこのような実験を行うために、ポリヌクレオチドを公
知の標識剤、例えば、放射性同位元素又は蛍光物質等で
常法によって標識することができる。放射性同位元素と
しては、例えば、 125I、 131I、 3H、14C、32P、
又は35S等がある。なかでも、放射性同位元素としてラ
ンダムプライマー法[Anal.Biochem.,1
32,6−13,(1983)]を用いて32Pで標識す
るのが好適である。また、より容易で危険性の少ない取
扱が可能なものとして誘導体形成した蛍光色素が挙げら
れる。蛍光色素としては、ポリヌクレオチドと結合する
すべての色素を用いることができるが、例えば、フルオ
レセイン、ローダミン、テキサスレッド、4−フルオロ
−7−ニトロベンゾフラザン(NBD)、クマリン、フ
ルオレサミン、スクシニルフルオレセイン、又はダンシ
ル等が好適に用いられる。
のcDNAを用いたノーザンブロット解析によるヒトA
DAMTS−1タンパク質mRNA量の測定は、以下の
ように行うことができる。すなわち、任意の体細胞又は
組織からmRNAを抽出、単離し、単離したmRNAを
アガロースゲルで電気泳動し、ニトロセルロース又はナ
イロンメンブランに転写した後、標識ヒトADAMTS
−1タンパク質cDNAプローブと反応させることによ
り、ヒトADAMTS−1タンパク質mRNA量を測定
する。使用するヒトADAMTS−1タンパク質cDN
Aプローブは、ヒトADAMTS−1タンパク質mRN
Aに相補的なDNAであり、17塩基以上の長さをもつ
ことが望ましい。
として、ヒトADAMTS−1タンパク質と免疫学的に
反応することのできる免疫反応性物質を含む。ヒトAD
AMTS−1タンパク質と免疫学的に反応することので
きる免疫反応性物質としては、例えば、抗ヒトADAM
TS−1タンパク質抗血清、抗ヒトADAMTS−1タ
ンパク質ポリクローナル抗体、若しくは抗ヒトADAM
TS−1タンパク質モノクローナル抗体、又はこれらの
抗体のフラグメント等が挙げられる。また、本発明の免
疫状態分析試薬は、主要成分として、前記免疫反応性物
質の代わりに、ヒトADAMTS−1タンパク質mRN
Aの塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチ
ドを含む構成とすることもできる。
より、これまで述べてきた方法に従って、被検試料中に
おけるヒトADAMTS−1タンパク質それ自体、又は
ヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAを分析し、
その結果から、種々の疾病により生体防御系が変化した
被験対象の免疫状態を判定することができる。
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:ヒトADAMTS−1cDNAの単離及び塩
基配列の決定 PCR法用のプライマーとして、マウスADAMTS−
1タンパク質[J.Biol.Chem.,272,5
56−562(1997)]における3個のトロンボス
ポンジン(TSP)ドメインの内、N末端から1番目の
TSPドメイン中のアミノ酸配列(配列表の配列番号
3)に対応する塩基配列(配列表の配列番号4)からな
るDNA[以下、フォワードプライマー(1)と称す
る]と、マウスADAMTS−1タンパク質のC末端の
アミノ酸をコードする塩基配列及びその周辺(すなわ
ち、上流側及び下流側領域)の塩基配列に相補的な塩基
配列(配列表の配列番号5)からなるDNA[以下、バ
ックプライマー(1)と称する]を化学合成した。
0.5μMバックプライマー(1)、0.5ユニットT
aqポリメラーゼ(Ex Taqポリメラーゼ;宝酒
造,京都,日本)、40μM−4dNTP、及びPCR
緩衝液[組成:10mMトリス−HCl(pH8.
3),50mM−KCl](Ex Taqバッファー;
宝酒造,京都,日本)を含む溶液99μlに、鋳型DN
Aとしてヒト腎臓cDNAライブラリー(Marath
on−Ready cDNA;Clontech La
b.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)
1μlを加え、通常のPCR法に比べて低いアニーリン
グ温度でPCR法を実施した。すなわち、変性工程を9
4℃で30秒間実施し、アニーリング工程を50℃で3
0秒間実施し、DNA合成工程を72℃で2分間実施す
るサイクルを、40サイクル実施した。
ガロースゲル(1%)電気泳動を行ったところ、図1に
示すように、1.2Kbの単一のDNAバンドを認め
た。残りの反応液を再泳動し、1.2KbのDNA断片
(以下、Flag.1DNA断片と称する)を低融点ア
ガロースゲルから回収し、pCRTM2.1ベクター(I
nvitrogen Corp.,サンディエゴ,カリ
フォルニア州,米国)にクローニングした。
SQ1000;島津製作所,京都,日本)により、クロ
ーニングしたFlag.1DNA断片の塩基配列の一部
(303bp)を決定し、マウスADAMTS−1に対
してホモロジー検索を実施した結果、77.4%の相同
性が認められた。Flag.1DNA断片の部分塩基配
列、及びその配列と相同性が認められるマウスADAM
TS−1遺伝子の部分塩基配列を図2に示す。図2にお
いて、「:」は、Flag.1DNA断片とマウスAD
AMTS−1遺伝子との間で、対応する塩基が一致する
ことを表わす。更に、ランダムプライムドDNA−ラベ
リングキット(Boehringermanmheim
GmbH,ドイツ)を用いて32Pでラベルしたマウス
ADAMTS−1cDNAが、前記Flag.1DNA
断片にハイブリダイズすることを、ドットハイブリダイ
ゼーション法[Biochemistry,16,47
43−4749(1977)]により確認した。結果を
図3に示す。コントロールであるpCRTM2.1ベクタ
ーには、32PでラベルしたマウスADAMTS−1cD
NAがハイブリダイズしなかったのに対して、マウスA
DAMTS−1cDNA及びFlag.1DNA断片に
は、32PでラベルしたマウスADAMTS−1cDNA
がハイブリダイズした。以上のホモロジー検索及びドッ
トハイブリダイゼーションの結果から、このFlag.
1DNA断片がヒトADAMTS−1の一部であること
が判明した。
A断片を得るために、マラソンcDNA増幅キット(M
arathon cDNA Amplificatio
nkit;Clontech Lab.Inc.,パロ
アルト,カリフォルニア州,米国)を用いて、RACE
(Rapid amplification ofcD
NA ends)法を以下のように実施した。Fla
g.1DNA断片の塩基配列に関するバックプライマー
として、Flag.1DNA断片の3’末端領域の塩基
配列に相補的な塩基配列(配列表の配列番号6)からな
るDNA(以下、GSP−1プライマーと称する)と、
Flag.1DNA断片の5’側の塩基配列に相補的な
塩基配列(配列表の配列番号7)からなるDNA(以
下、GSP−2プライマーと称する)とを化学合成し
た。また、フォワードプライマーとしては、前記キット
に含まれるAP1プライマー及びAP2プライマーをそ
れぞれ使用した。AP1プライマーの塩基配列は、配列
表の配列番号8の配列で表わされる塩基配列であり、A
P2プライマーの塩基配列は、配列表の配列番号9の配
列で表わされる塩基配列である。
thon−Ready cDNA;Clontech
Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米
国)5μl、AP1プライマー1μl、GSP−1プラ
イマー(10μM)1μl、Taqポリメラーゼ(Ex
Taqポリメラーゼ)(0.5ユニット)1μl、抗
Taqポリメラーゼ抗体(Taq Start Ant
ibody;Clontech Lab.Inc.,パ
ロアルト,カリフォルニア州,米国)1μl、10倍濃
度PCRバッファー[組成:100mMトリス−HCl
(pH8.3),500mM−KCl](Clonte
ch Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア
州,米国)5μl、及び蒸留水36μlを混合し、PC
R反応を実施した。前記PCR反応は、94℃で30秒
間の工程と68℃で4分間とからなるサイクルを35サ
イクル実施した。得られた反応液を10mMトリシン−
EDTAバッファー(Clontech Lab.In
c.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)で50倍
に希釈した。
マー1μl、GSP−2プライマー(10μM)1μ
l、Taqポリメラーゼ(Ex Taqポリメラーゼ)
(0.5ユニット)1μl、抗Taqポリメラーゼ抗体
(Taq Start Antibody)1μl、1
0倍濃度PCRバッファー(Clontech La
b.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)
5μl、及び蒸留水36μlを混合し、PCR反応を実
施した。前記PCR反応は、94℃で30秒間の工程と
68℃で4分間の工程とからなるサイクルを20サイク
ル実施した。得られた反応液から5μlを取り出し、1
%アガロースゲル電気泳動を行ったところ、図4に示す
ように、約1.2Kbの単一のDNAバンドを得た。常
法に従って、このDNA断片(以下、Flag.2DN
A断片と称する)をpCRTM2.1ベクターにクローニ
ングし、Flag.2DNA断片の全塩基配列をダイタ
ーミネーターサイクルシークエンス(Dye Term
inator Cycle Sequencing)法
(Perkin Elmer Japan,浦安,日
本)により決定した。
も、ダイターミネーターサイクルシークエンス(Dye
Terminator Cycle Sequenc
ing)法(Perkin Elmer Japan,
浦安,日本)により全塩基配列を決定し、Flag.1
DNA断片及びFlag.2DNA断片の塩基配列を統
合することにより、ヒトADAMTS−1cDNAの全
塩基配列を決定した。ヒトADAMTS−1cDNAの
全塩基配列(停止コドンを含め、2184bp)は、配
列表の配列番号2の配列で表わされる塩基配列であり、
前記塩基配列から推定されるヒトADAMTS−1タン
パク質のアミノ酸配列(アミノ酸残基727個)は、配
列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列であ
る。なお、図2に示すFlag.1DNA断片の一部塩
基配列と、配列表の配列番号2の配列で表わされるヒト
ADAMTS−1cDNAの全塩基配列との間に、一
部、塩基配列が一致しない箇所があるが、図2に示す前
記一部塩基配列は、配列決定の途中で得られた塩基配列
であり、配列表の配列番号2の配列で表わされる塩基配
列が、最終的に決定したヒトADAMTS−1cDNA
の正しい塩基配列である。
テインに富み、C末端側領域に塩基性アミノ酸であるリ
ジン及びアルギニンが多く分布しており、N−グリコシ
レーション部位(第307番目〜第309番目のアミノ
酸、及び第524番目〜第526番目のアミノ酸)が2
個存在する。
AMTS−1遺伝子との塩基配列におけるホモロジーを
図5〜図9に、それぞれの塩基配列から予想されるアミ
ノ酸配列におけるホモロジーを図10〜図12に示す。
図5〜図9において、「*」は、ヒトADAMTS−1
遺伝子とマウスADAMTS−1遺伝子との間で、対応
する塩基が一致することを表わす。図10〜図12にお
いて、「*」は、ヒトADAMTS−1タンパク質とマ
ウスADAMTS−1タンパク質との間で、対応するア
ミノ酸残基が一致することを表わす。また、図10〜図
12において、「MMPドメイン」は、マトリックスメ
タロプロテアーゼドメインを意味し、第11番目及び第
12番目のアミノ酸の間に引いた直線は、その位置から
マトリックスメタロプロテアーゼドメインが始まること
を表わし、「DIドメイン」は、ディスインテグリンド
メインを意味し、第234番目及び第235番目のアミ
ノ酸の間に引いた直線は、その位置からディスインテグ
リンドメインが始まることを表わす。更に、図10〜図
12において、「TSPドメイン」は、トロンボスポン
ジンドメインを意味し、トロンボスポンジンドメインを
構成するアミノ酸配列(3箇所)を四角形で囲んで示
す。ヒトADAMTS−1とマウスADAMTS−1と
は、塩基配列において85.5%の相同性を示し、アミ
ノ酸配列において90.1%の相同性を示し、マウスと
ヒトとの間でその配列がよく保存されているタンパク質
であることが判明した。
−1融合タンパク質の調製 (1)大腸菌発現ベクターの構築 ヒトADAMTS−1タンパク質の内、MMPドメイン
から下流の部分をすべて含むヒトADAMTS−1部分
タンパク質をコードするDNAにおいて、5’側に制限
酵素SmaI切断部位を導入し、3’側に制限酵素No
tI切断部位を導入するために、配列表の配列番号10
の配列で表わされる塩基配列からなるフォワードプライ
マー(2)及び配列表の配列番号11の配列で表わされ
る塩基配列からなるバックプライマー(2)を化学合成
した。
クプライマー(2)5μl、ヒト腎臓cDNAライブラ
リー(Marathon−Ready cDNA;Cl
ontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフ
ォルニア州,米国)1μl、Taqポリメラーゼ(Ex
Taqポリメラーゼ)(0.5ユニット)1μl、抗
Taqポリメラーゼ抗体(Taq Start Ant
ibody;Clontech Lab.Inc.,パ
ロアルト,カリフォルニア州,米国)1μl、10倍濃
度PCRバッファー(Clontech Lab.In
c.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)10μ
l、2.5mM−4dNTP(宝酒造,京都,日本)8
μl、及び蒸留水69μlを混合し、PCR反応を実施
した。前記PCR反応は、94℃で1分間の工程、55
℃で45秒間の工程、及び72℃で2分間の工程からな
るサイクルを40サイクル実施した。
%アガロースゲル電気泳動を行ったところ、図13に示
すように、約2.2Kbの単一のDNAバンドを得た。
常法に従って、約2.2KbのDNA断片をpCR
TM2.1ベクターにクローニングし、得られたプラスミ
ドを大量調製[Nucleic Acids Re
s.,9,2989−2998(1981)]した。大
量調製したプラスミドを制限酵素SmaI(宝酒造,京
都,日本)及びNotI(宝酒造,京都,日本)で処理
することにより得られる約2.2KbのDNA断片を、
大腸菌発現ベクターpGEX−5X−1[Infect
Immun.,58,3909−3913(199
0)](Pharmacia Biotech,ウプサ
ラ,スウェーデン)のSmaI−NotIサイトにクロ
ーニングした。得られた発現プラスミドをpG/ADA
MTS−1と命名した。プラスミドpG/ADAMTS
−1の構造を図14に模式的に示す。ADAMTS−1
タンパク質は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ
(以下、GSTと称することがある)(分子量=約26
Kd)との融合タンパク質(分子量=約96Kd)とし
て発現されると思われる。図14において、「Ori」
は、複製開始点を意味し、「AmpR 」は、アンピシリ
ン耐性遺伝子を意味し、「laq Iq 」は、laqリ
プレッサーを意味する。
TS−1融合タンパク質の発現 タンパク質分解酵素活性の低い大腸菌株BL−21(P
harmacia Biotech,ウプサラ,スウェ
ーデン)に、プラスミドpG/ADAMTS−1を常法
[Proc Natl.Acad.Sci.USA,6
9,2110−2114(1972)]によりトランス
フォームし、そのプラスミドを保持する大腸菌クローン
をアンピシリン耐性株として単離した。5つのアンピシ
リン耐性クローン(以下、クローン#1〜クローン#5
と称する)を無作為に選び、アンピシリン(100μg
/ml)を含む2×YT培地(トリプトン16g,酵母
抽出物10g,塩化ナトリウム5gを蒸留水1リットル
に溶解して調製;pH7.2)2mlに殖菌し、37℃
で一晩培養した。次に、1つのクローンに対して、アン
ピシリン(100μg/ml)を含むLB培養液180
0μlの入った試験管2本を1組とし、それぞれの試験
管に一晩培養した前記培養液200μlを入れた。37
℃で2時間培養した後に、2本1組の試験管の内、一方
の試験管に発現誘導剤であるイソプロピル−β−D−チ
オ−ガラクトピラノシド(IPTG)(宝酒造,京都,
日本)20μl(最終濃度1.0mM)を加え、更に、
37℃で2時間培養を続けた。なお、2本1組の試験管
の内、残る一方は、発現誘導剤を入れないコントロール
とした。
4000rpm,1分間)することにより菌体を集め、
リン酸緩衝溶液(組成:140mM−NaCl,2.7
mM−KCl,10mM−Na2 HPO4 ,1.8mM
−KH2 PO4 ,pH7.2;以下、PBSと称する)
100μlで懸濁した後、2×サンプルバッファー
(0.25M−トリス−HCl,2%SDS,3%グリ
セロール,10%β−メルカプトエタノール,0.01
%ブロモフェノールブルー;pH6.8)100μlに
溶解した。得られた溶液10μlをSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動(以下、SDS−PAGEと称す
る)にかけ、クマシー染色法によって目的とするタンパ
ク質の発現誘導を確認した。
「+」で示すレーンは、発現誘導剤であるIPTGを加
えて培養した大腸菌を泳動したレーンであり、「−」で
示すレーンは、発現誘導剤であるIPTGを加えずに培
養した大腸菌を泳動したレーンである。いずれのクロー
ンにおいても、「+」で示すレーンには、「GST−A
DAMTS−1」で示す位置に、分子量約100Kdの
タンパク質が表われ、この分子量は、GST−ヒトAD
AMTS−1融合タンパク質の予想される分子量(約9
6Kd)と一致した。なお、このタンパク質は、いずれ
のクローンにおいても、「−」で示すレーンには表われ
ていなかった。5種類のクローン(クローン#1〜クロ
ーン#5)の内、最も高い発現量を示したクローン#2
を以下の実施例に使用した。
タンパク質の抽出・精製 クローン#2の一晩培養した培養液1mlを2×YT培
養液(100μg/mlアンピシリン含有)100ml
に加え、37℃で培養した。600nmにおける吸光度
が約0.5になったところで、前記培養液に100mM
−IPTG1mlを加え、更に、2時間培養を続けた。
前記培養液を遠心(3000rpm,30分間)するこ
とにより、大腸菌を集菌し、得られた菌体をPBS8m
lに懸濁した。懸濁液に、0.5M−EDTA溶液1m
lと25mg/mlリゾチーム溶液1mlとを加えて、
氷中に30分間静置した。更に、110μlのトライト
ンX−100を加えた後に、超音波破砕機(TAITE
C,越谷,日本)により氷上で菌体を破砕した。破砕液
を遠心(8000rpm,4℃,10分間)し、得られ
た沈殿を1.0%トライトンX−100含有PBS30
mlに懸濁し、再び遠心(8000rpm,4℃,10
分間)した。
mlに懸濁し、8M尿素及び1%メルカプトエタノール
を含有する50mMトリス−HClバッファー(pH
8.5)50mlを加えた。充分に混合した後に、遠心
(15000rpm,4℃,5分間)し、得られた上清
を10mMトリス−HClバッファー(pH8.5)5
リットルに対して4℃で透析した。透析を行った溶液を
遠心(15000rpm,4℃,5分間)し、得られた
上清を陰イオンクロマトグラフィー(Econo−Pa
c High Q;Bio−Rad Lab.,ハーキ
ュルス,カリフォルニア州,米国)に吸着させた後に、
0.2〜0.4M塩化ナトリウム水溶液で溶出される画
分を、PBS3リットルに対して透析し、続いて、グル
タチオンセファロース4B(Pharmacia Bi
otech,ウプサラ,スウェーデン)1mlに吸着さ
せた[Nucleic Acids Res.,9,2
989−2998(1981)]。
ロース4Bを洗浄した後に、10mMグルタチオン溶液
8mlで溶出させ[Nucleic Acids Re
s.,9,2989−2998(1981)]、GST
検出キット(Pharmacia Biotech,ウ
プサラ,スウェーデン)にてGST活性の高い画分をプ
ールした。得られた画分の一部をSDS−PAGEにか
け、クマシー染色を行ったところ、図16に示すよう
に、GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質であ
ることを、その分子量から確認した。大腸菌培養液10
0mlより目的タンパク質約1μgを抽出・精製した。
トADAMTS−1タンパク質との間にFactor
Xa等で切断することができる部位が存在するので、前
記プロテアーゼで消化することによりヒトADAMTS
−1タンパク質を得ることができる。このヒトADAM
TS−1タンパク質は、例えば、抗体を作製するための
抗原として使用することができる。
融合タンパク質の造血機能に影響を与える活性の検討 GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の造血機
能に影響を与える活性を検討するために、実施例2
(3)に記載の方法に基づいて、大腸菌培養液3リット
ルからGST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の
大量調製を実施し、目的タンパク質約30μgを得た。
GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の造血機
能に影響を与える活性として、マウス尾静脈単回投与に
よる血球系細胞数に与える作用を検討した。この評価系
は、少量の目的タンパク質で実施することが可能であ
り、しかも、迅速に生物活性を明らかにすることができ
る。コントロールとしてベクターpGEX−5X−1を
導入した大腸菌から、実施例2(3)に記載の方法に基
づいて抽出・精製したGSTタンパク質を用いた。
リバー,横浜,日本)(雄,7週令)に、GST−ヒト
ADAMTS−1融合タンパク質1μgを尾静脈より投
与し、投与してから3時間及び24時間後に白血球、赤
血球、及び血小板の数を算出した。コントロールとし
て、8匹のC57BL/6Nマウス(チャールスリバー,
横浜,日本)(雄,7週令)に、GSTタンパク質1μ
gを尾静脈より投与し、同様に、投与してから3時間及
び24時間後に白血球、赤血球、及び血小板の数を算出
した。結果を図17に示す。図17から明らかなよう
に、GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質を投
与したマウスでは、白血球及び血小板の数が、コントロ
ールに比べて有意に低下し、赤血球の数が、コントロー
ルに比べて有意に増加した。
機能を調節することができ、例えば、白血球及び血小板
の数を低下させ、同時に、赤血球の数を増加させること
ができる。
片の電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
DNA断片との相同性を示す説明図である。
ゼーションの結果を示す説明図である。
断片の電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
ADAMTS−1遺伝子とのホモロジー(第1番目〜第
480番目の塩基配列)を示す説明図である。
ADAMTS−1遺伝子とのホモロジー(第481番目
〜第960番目の塩基配列)を示す説明図である。
ADAMTS−1遺伝子とのホモロジー(第961番目
〜第1440番目の塩基配列)を示す説明図である。
ADAMTS−1遺伝子とのホモロジー(第1441番
目〜第1920番目の塩基配列)を示す説明図である。
ADAMTS−1遺伝子とのホモロジー(第1921番
目〜第2184番目の塩基配列)を示す説明図である。
マウスADAMTS−1タンパク質とのホモロジー(第
1番目〜第240番目のアミノ酸配列)を示す説明図で
ある。
マウスADAMTS−1タンパク質とのホモロジー(第
241番目〜第510番目のアミノ酸配列)を示す説明
図である。
マウスADAMTS−1タンパク質とのホモロジー(第
511番目〜第727番目のアミノ酸配列)を示す説明
図である。
DAMTS−1遺伝子の完全長のcDNAの電気泳動の
結果を示す図面に代わる写真である。
の構造を模式的に示す説明図である。
質転換された形質転換体の電気泳動の結果を示す図面に
代わる写真である。
質の電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
質のマウス静脈単回投与による血球細胞数に与える作用
を示すグラフである。
Claims (17)
- 【請求項1】 配列表の配列番号1の配列で表わされる
アミノ酸配列を含むことを特徴とするタンパク質。 - 【請求項2】 配列表の配列番号1の配列で表わされる
アミノ酸配列において、1ないし数個のアミノ酸が欠
失、置換、又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつヒ
トADAMTS−1活性を有することを特徴とするタン
パク質。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載のタンパク質をコ
ードすることを特徴とする遺伝子。 - 【請求項4】 配列表の配列番号2の配列で表わされる
塩基配列を含む、請求項3に記載の遺伝子。 - 【請求項5】 請求項3又は4に記載の遺伝子を含むこ
とを特徴とするベクター。 - 【請求項6】 請求項5に記載のベクターにより形質転
換されたことを特徴とする形質転換体。 - 【請求項7】 請求項1又は2に記載のタンパク質を含
むことを特徴とする医薬組成物。 - 【請求項8】 白血球減少剤である、請求項7に記載の
医薬組成物。 - 【請求項9】 血小板減少剤である、請求項7に記載の
医薬組成物。 - 【請求項10】 赤血球増加剤である、請求項7に記載
の医薬組成物。 - 【請求項11】 請求項1又は2に記載のタンパク質と
特異的に反応することを特徴とする免疫反応性物質。 - 【請求項12】 配列表の配列番号1の配列で表わされ
るアミノ酸配列からなるヒトADAMTS−1タンパク
質と免疫学的に反応することのできる免疫反応性物質
と、被検試料とを接触させ、ヒトADAMTS−1タン
パク質と前記免疫反応性物質との結合体を検出すること
を特徴とする、前記ヒトADAMTS−1タンパク質の
免疫学的分析方法。 - 【請求項13】 被検試料における、配列表の配列番号
1の配列で表わされるアミノ酸配列からなるヒトADA
MTS−1タンパク質を分析することを特徴とする、免
疫状態の体外検出方法。 - 【請求項14】 配列表の配列番号1の配列で表わされ
るアミノ酸配列からなるヒトADAMTS−1タンパク
質のmRNAの塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリ
ヌクレオチドと、被検試料とを接触させ、ヒトADAM
TS−1タンパク質のmRNAと前記遺伝子との結合体
を検出することを特徴とする、前記ヒトADAMTS−
1タンパク質のmRNAの分析方法。 - 【請求項15】 被検試料における、配列表の配列番号
1の配列で表わされるアミノ酸配列からなるヒトADA
MTS−1タンパク質のmRNAを分析することを特徴
とする、免疫状態の体外検出方法。 - 【請求項16】 配列表の配列番号1の配列で表わされ
るアミノ酸配列からなるヒトADAMTS−1タンパク
質と免疫学的に反応することのできる免疫反応性物質を
含有することを特徴とする、免疫状態の分析試薬。 - 【請求項17】 配列表の配列番号1の配列で表わされ
るアミノ酸配列からなるヒトADAMTS−1タンパク
質のmRNAの塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリ
ヌクレオチドを含有することを特徴とする、免疫状態の
分析試薬。
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JP2014011997A (ja) * | 2013-07-16 | 2014-01-23 | Univ Of Tokyo | 骨粗鬆症感受性遺伝子、及び骨粗鬆症罹患リスクの測定方法 |
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-
1998
- 1998-06-03 JP JP16915898A patent/JP3741867B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2014011997A (ja) * | 2013-07-16 | 2014-01-23 | Univ Of Tokyo | 骨粗鬆症感受性遺伝子、及び骨粗鬆症罹患リスクの測定方法 |
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