JP4491536B2 - 新規硫酸転移酵素及びその遺伝子 - Google Patents

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Description

本発明は、硫酸転移酵素活性を有する新たなタンパク質、かかるタンパク質をコードする核酸、及びこれらの用途に関する。
まず、本明細書中で用いた略号について説明する。
BSA:ウシ血清アルブミン
CMV:サイトメガロウイルス
DMEM:ダルベッコの最小必須培地
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
FITC:フルオレセインイソチオシアネート
GAG:グリコサミノグリカン
GAPDH:グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ
IPTG:イソプロピルチオガラクトシド
ORF:オープン・リーディング・フレーム
PAPS:3'−ホスホアデノシン5'−ホスホ硫酸
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
PCR:ポリメラーゼ・チェイン・リアクション
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
SSPE:塩化ナトリウム/リン酸ナトリウム/EDTA緩衝液
従来、硫酸転移酵素としては、例えばケラタン硫酸ガラクトース6−硫酸転移酵素(非特許文献1)、N−アセチルグルコサミン6−硫酸転移酵素(非特許文献2、非特許文献3)、コンドロイチン4−硫酸転移酵素(非特許文献4、非特許文献5)、ヘパラン硫酸
6−硫酸転移酵素(非特許文献6、非特許文献7)等が知られている。
一方、組織の癌化を検出する方法としては、例えばX線検査、内視鏡検査、CA19-9の腫瘍マーカー検査等が挙げられる。X線検査や内視鏡検査等では組織を形態的又は組織学的にしか観察できないため、確定的な診断はできず、また腫瘍マーカーも偽陽性、偽陰性が現れる点で確定的な診断には不十分であった。
組織の癌化の確定診断は実際に組織を生検により採取し、その組織の培養を行って確認する方法によって行われているが、この方法は組織の培養にそれなりの時間が必要とされる。
内視鏡下で外科的手法によって、生体組織の病変部を切除する手術も行われているが、例えばそのような病変部について簡単に癌化の有無を確認することができれば、癌化の早期発見にも繋げることができ、その後の患者の治療や予防に役立てることができる。
特許文献1には、N−アセチルグルコサミン転移酵素をコードするDNAを検出し、その「発現の変化」と「胃癌又は膵癌」とを関連づけることで、胃癌や膵癌の検出ができることが開示されている。
特開2001−46077号公報 J. Biol. Chem., 272 (51), 32321-32328 (1997) J. Biol. Chem., 273 (35), 22577-22583 (1998) Nat. Genet., 26 (2), 237-241 (2000) J. Biol. Chem., 275 (12), 8975-8981 (2000) J. Biol. Chem., 275 (26), 20189-20196 (2000) J. Biol. Chem., 273 (15), 9208-9213 (1998) J. Biol. Chem., 275 (4), 2859-2868 (2000)
本発明は、硫酸転移酵素活性を有する新たなタンパク質及びそのタンパク質をコードする核酸を提供するとともに、これらの硫酸転移作用剤、癌化の検出方法等の用途を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、硫酸転移活性を有する新たなタンパク質及びそれをコードするDNAを提供するに至った。さらに、前記タンパク質を有効成分とする硫酸転移作用剤、前記タンパク質の被検組織における発現量の検出結果と、当該被検組織の癌化とを関連づけることを特徴とする被検組織の癌化の検出方法、前記タンパク質に特異的に結合する抗体、及び前記核酸を保持する細胞を提供するに至り、本発明を完成した。
すなわち本発明は、下記(a)又は(b)のタンパク質(以下、「本発明タンパク質」という。)を提供する。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1又は数個のアミノ酸の欠失、置換、付加又は転位を有し、かつ、硫酸転移活性を有するタンパク質。
ここにいう「硫酸転移活性」は、硫酸基供与体からケラタン硫酸に硫酸基を転移する活性であることが好ましい。この「本発明タンパク質」には、本発明タンパク質と他のタンパク質とを結合させた融合タンパク質が包含される。
また本発明は、本発明タンパク質をコードする核酸(以下、「本発明核酸」という。)を提供する。この「本発明核酸」には、配列番号1に記載の塩基配列又はこれに相補的な配列並びにこれらの配列の一部又は全部を含む核酸、及び、この核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、硫酸転移活性を有するタンパク質をコードする核酸が包含される。ここにいう「硫酸転移活性」は、硫酸基供与体からケラタン硫酸に硫酸基を転移する活性であることが好ましい。
また本発明は、本発明タンパク質を有効成分とする、硫酸転移作用剤(以下、「本発明作用剤」という。)を提供する。
また本発明は、「本発明タンパク質の被検組織における発現量の検出結果」と、「当該被検組織の癌化」とを関連づけることを特徴とする被検組織の癌化の検出方法(以下、「本発明検出方法」という。)を提供する。本発明検出方法におけるタンパク質の発現量の検出結果は、当該タンパク質をコードするRNAの検出結果であることが好ましい。また、ここにいう「被検組織」は、胃、大腸又は肺由来の組織であることが好ましい。
また本発明は、本発明タンパク質に特異的に結合する抗体(以下、「本発明抗体」という。)を提供する。
また本発明は、本発明核酸を保持する細胞(以下、「本発明細胞」という。)を提供する。
さらに本発明は、「『配列番号2に記載のアミノ酸配列』及び/又は『配列番号1に記載の塩基配列』」と、1種又は2種以上の「『ポリペプチドのアミノ酸配列情報』及び/又は『当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列情報』」とを比較するステップを少なくとも含む、硫酸転移活性及び/又は癌化によって生体組織における発現が低下する性質を有するポリペプチドのアミノ酸配列及び/又は当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列の同定方法(以下、「本発明同定方法」という。)を提供する。この「比較するステップ」は、コンピューターによって行われることが好ましい。また、「『ポリペプチドのアミノ酸配列情報』及び/又は『当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列情報』」は、データベースに含まれている情報であることが好ましい。さらに本発明同定方法は、「『配列番号2に記載のアミノ酸配列』及び/又は『配列番号1に記載の塩基配列』」を記録したコンピューターで読み取り可能な記録媒体を用いて行われることが好ましい。
本発明は、これにより新規な酵素が提供され、その遺伝子工学的な大量合成も可能となることから非常に有用である。また、当該酵素による糖鎖修飾を受けた生理活性糖鎖及び生理活性糖鎖を有する複合糖質を医薬品、医薬用素材、機能性食品、化粧品等の有用物質として利用することも期待できる。更に、胃癌、肺癌又は膵癌の特異的な検出等も可能となる。
具体的には、本発明タンパク質や本発明作用剤は硫酸基転移の触媒・新規な生理活性糖鎖の生産ツール等として、本発明核酸は本発明タンパク質や本発明作用剤の生産ツール等として、本発明検出方法は癌化の検出ツールとして、本発明抗体は本発明タンパク質等の検出や精製等のツールとして、本発明細胞は本発明タンパク質や本発明作用剤の生産ツール等として、本発明同定方法は硫酸転移活性及び/又は癌化によって生体組織における発現が低下する性質を有するポリペプチド及び/又は当該ポリペプチドをコードする核酸の同定用ツールとして極めて有用である。
以下、本発明を発明の実施の形態により詳説する。
<1> 本発明タンパク質
本発明タンパク質は、下記(a)又は(b)のタンパク質である。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1又は数個のアミノ酸の欠失、置換、付加又は転位を有し、かつ、硫酸転移活性を有するタンパク質。
上記(a)のタンパク質は、配列番号1に記載の塩基配列によってコードされるものである。
また、一般に、酵素活性を有するタンパク質のアミノ酸配列のうち、1又は数個の構成アミノ酸が欠失、置換、付加又は転位等しても酵素活性が維持されることが知られている。このように構造的に若干の相違があってもその生理的・生物学的機能について実質的な違いが認められないタンパク質は、実質的に同じタンパク質であるということができる。前記(a)のタンパク質についても同様であって、配列番号2に記載のアミノ酸配列に1若しくは数個(2個以上21個以下)の構成アミノ酸の欠失、置換、付加又は転位等が起こっていても、硫酸転移活性を保持している限りにおいて、前記(a)のタンパク質と実質的に同一の物質であるということができる。前記(b)のタンパク質は、このようなタンパク質を意味するものである。なお、ここにいう「硫酸転移活性」は、硫酸基供与体から硫酸基受容体に硫酸基を転移する活性を意味する。ここにいう「硫酸基受容体」はケラタン硫酸であることが好ましい。またここにいう「硫酸基供与体」はPAPSであることが好ましい。
このような変異を有するタンパク質は、配列番号1記載の塩基配列における1個以上数個(2個以上63個以下であることが好ましい)の塩基の欠失、置換、付加又は転位を有する塩基配列によってコードされうるタンパク質であるということができる。
このような変異を有するタンパク質のアミノ酸配列は、前記(a)で表されるタンパク質のアミノ酸配列と95%以上、好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上の相同性を有することが好ましい。アミノ酸配列の相同性は、FASTAのような周知のコンピュータソフトウェアを用いて容易に算出することができ、このようなソフトウェアはインターネットによっても利用に供されている。
このような変異は、遺伝子DNAの多型や変異の他、生成後のタンパク質の細胞内及び精製中の修飾反応などによって起こりうる。また、人為的にタンパク質のアミノ酸配列に上記の様な変異を導入することもでき、この場合には更に多種多様の「変異を有するタンパク質」を作成することが可能である。例えば、ヒトインターロイキン2(IL-2)のアミノ酸配列中の、あるシステイン残基をセリン残基に置換したタンパク質がIL-2の活性を保持することが知られている(Science, 224(1984), p.1431)。このような「変異を有するタンパク質」は「部位特異的変異法」などの公知の方法により作成することができる。
またある種のタンパク質は、活性には必須でないペプチド領域を有していることが知られている。例えば、細胞外に分泌されるタンパク質に存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれに当たり、これらの領域のほとんどは翻訳後、又は活性型タンパク質への転換に際して除去される。このような、活性に必須でないペプチド領域の配列を保持するタンパク質も、一次構造上は異なった形で存在しているが、同等の機能を有するタンパク質であるといえる。したがって「本発明タンパク質」についても、本発明タンパク質の硫酸転移活性が保持されている限りにおいて、他のタンパク質(ペプチドを含む)が連結していても良い。
すなわち「本発明タンパク質」には、本発明タンパク質と他のタンパク質(ペプチドを含む)とを結合させた融合タンパク質も包含される。
ここにいう「他のタンパク質」はペプチドをも含む概念であり、その種類も特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。融合タンパク質を製造する目的としては、タンパク質を細胞外に分泌させたり、分離や精製を容易にしたり、検出を容易にしたり、複数のタンパク質の活性を併有させたりすること等が例示されるが、これらに限定されるものではない。「他のタンパク質」の例示については、後述の「本発明核酸」に関する説明を参照されたい。
本発明タンパク質は、本発明によってそのアミノ酸配列が明らかにされたことから、天然物から取得することも、化学的に合成することも、遺伝子工学的に製造することも可能である。遺伝子工学的に製造する方法については、後述の「本発明核酸」及び実施例1〜3を参照されたい。
本発明タンパク質が取得、合成又は製造等されたか否かは、得られたタンパク質のアミノ酸配列(又はこれをコードする核酸の塩基配列)等を分析し、本発明タンパク質(又は本発明核酸)の配列と比較することによって容易に判別することができる。
また、タンパク質が「硫酸転移活性」を保持するか否かについても、例えば、当該タンパク質、硫酸基供与体(好ましくはPAPS)及び硫酸基受容体(好ましくはケラタン硫酸)の三者を接触させ、硫酸基が硫酸基受容体に転移されたか否かで容易に判別することができる。具体的な方法の一例については、後述の実施例4を参照されたい。
<2> 本発明核酸
本発明核酸は、本発明タンパク質をコードする核酸である。本発明核酸の一例として、配列番号1に記載の塩基配列からなる核酸が例示されるが、遺伝暗号の縮重による異なった塩基配列を有する核酸も本発明核酸に包含されることは、当業者であれば容易に理解されるところである。
本発明核酸の種類は、DNAであってもRNAであっても良いが、その安定性の観点からはDNAであることが好ましい。
「本発明核酸」には、配列番号1に記載の塩基配列又はこれに相補的な配列並びにこれらの配列の一部又は全部を含む核酸が包含される。
ここで「配列の一部」とは、プローブ、プライマー、酵素の活性その他の何らかの機能を保持する特定のドメインの発現等に用いうる一部分である限りにおいて特に限定されない。したがって、その「配列の一部」の長さも特に限定されないが、5〜1600bpが好ましく、10〜1500bpがより好ましく、15〜1000bpがさらに好ましく、15〜500bpがさらにより好ましく、15〜100bpが特に好ましく、15〜50bpが非常に好ましく、19〜28bpが極めて好ましい。
なお、本明細書で核酸の長さを表す単位「bp」とは、核酸が二本鎖となっている場合にその二本鎖を形成する塩基対の数、一本鎖となっている場合には、その核酸に相補的な塩基配列からなる一本鎖がハイブリダイズした二本鎖の塩基対数に相当する数に換算した核酸の長さである。従って例えば「1000bp」の一本鎖のDNAは1000個のヌクレオチドで形成されていることになり、「1000bp」の二本鎖のDNAは2000個のヌクレオチド(1000対のヌクレオチド)で形成されていることになるが、双方とも同じ「1000個のヌクレオチドからなる鎖長」のDNAを表すことになる。
また、本発明核酸には、このような核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、硫酸転移活性を有するタンパク質をコードする核酸も包含される。
このような核酸は、例えば配列番号1に記載の塩基配列を有する核酸の生体内での発現状況(該核酸を含む遺伝子の遺伝情報が転写されて生じる転写産物量など)を検査するためのハイブリダイズ用プローブ等として使用することができ、医学、生化学等の研究用の試薬又は診断薬として極めて有用である。
なお、ここで「ストリンジェントな条件下」とは、核酸のハイブリダイゼーションを使用する実験手法(例えばノザンブロットハイブリダイゼーション、サザンブロットハイブリダイゼーション)等で用いられる一般的な条件である限りにおいて特に限定されないが、37.5%ホルムアミド、5×SSPE、5×デンハルト溶液(Denhardt's solution)及び0.5% SDSが存在し、かつ、42℃の条件が例示される。
ここにいう「硫酸転移活性」は、硫酸基供与体から硫酸基受容体に硫酸基を転移する活性を意味する。ここにいう「硫酸基受容体」はケラタン硫酸であることが好ましい。またここにいう「硫酸基供与体」はPAPSであることが好ましい。
「硫酸転移活性」を有するか否かも、前記と同様に判別することができる。
本発明核酸は、例えば以下の方法で製造することができる。
まず、GenBank Accession No. BAA34509(KIAA0789)で特定されるDNAクローンを入手する。そして、このクローン(以下、SFT2という。)を鋳型としてPCRを行うことにより、SFT2を増幅させる。増幅されたSFT2を適当なベクターに組み込む。
ここで用いるベクターは特に限定されないが、pBluescriptR SKII(-)(TOYOBO製)が好ましい。このベクターは、クローニング操作やシーケンシング操作をより簡便に行うために開発された多機能ベクターであり、従来のpUCやM13ベクターの機能以外に、様々な改良がなされている。すなわち、pUCベクターと同様に、LacZ遺伝子中にマルチクローニングサイトがあるため、インサートが入ったプラスミドで、XL1-Blue MRF'やJM109などのlacZΔM15の遺伝子型を持つ大腸菌を形質転換すれば、IPTG/X-gal添加プレートで白色コロニーを形成し、インサートの有無を簡単に判定できる。また、マルチクローニングサイトは、21個の制限酵素サイトからなるポリリンカーを有するため、Exo/Mung Systemによりデリーション変異体を作製する場合、使用する制限酵素の選択の幅が広くなっている。また、LacZオペレーター/プロモーターによって、lacIq変異を持つ大腸菌内で目的遺伝子の発現を調節でき、IPTGを培地に添加することによって、目的タンパク質を大腸菌に産生させることができる。また、マルチクローニングサイトの両側には、T3およびT7のプロモーターがあるので、これらのプロモーターによるRNAプローブの作製が行える。また、両プロモーター配列の両端にはBssHIIサイトがあり、これを利用して挿入DNAをプロモーター配列ごと切り出すことができる。さらに、両プロモーターのプローブを利用してジーンマッピングを行うことも可能である。本ベクターには、f1ファージの複製開始領域が含まれており、VCSM13やR408ヘルパーファージの感染により、一本鎖DNAを産生させ、シーケンスやSite Specific Mutagenesisに使用できる。ヘルパーファージの感染によりはアンチセンス側の鎖がレスキューされる。
SFT2が組み込まれたベクターを大腸菌等に導入して培養し、その後コロニーを採取して更に培養した後、SFT2を保持するプラスミドDNAを回収する。これによって、本発明核酸に包含されるうちの1つの核酸を得ることができる。
また、本発明核酸を用いて、遺伝子工学的に本発明タンパク質を製造することもできる。本発明タンパク質は、例えば以下の方法で製造することができる。
前記で回収されたプラスミドDNA(SFT2を保持する)を、発現ベクターに組み込む。ここで用いる発現ベクターは、用いる宿主に応じて適宜選択することができる。例えば宿主細胞として真核細胞を使用する場合には真核細胞用の発現ベクターを選択し、宿主細胞として原核細胞を使用する場合には原核細胞用の発現ベクターを選択すればよい。
なかでも真核細胞用の発現ベクターを採用することが好ましく、哺乳類細胞用の発現ベクターが好ましい。
また、この発現ベクターは、本発明核酸がコードする本発明タンパク質の単離・精製が容易となるように構築されているものが好ましい。特に、本発明タンパク質が他のタンパク質(例えば、標識ペプチド等)と結合した「融合タンパク質」の形態で発現するように発現ベクターを構築すると、本発明タンパク質の単離・精製が容易となるため好ましい。
このような「他のタンパク質」としては、例えばシグナルペプチド(多くのタンパク質のN末端に存在し、細胞内の膜透過機構においてタンパク質の選別のために細胞内で機能している15〜30アミノ酸残基からなるペプチド:例えばOmpA、OmpT、Dsb等)、プロテインキナーゼA、プロテインA(黄色ブドウ球菌細胞壁の構成成分で分子量約42,000のタンパク質)、グルタチオンS転移酵素、Hisタグ(ヒスチジン残基を6〜10個並べて配した配列)、mycタグ(cMycタンパク質由来の13アミノ酸配列)、FLAGペプチド(8アミノ酸残基からなる分析用マーカー)、T7タグ(gene10タンパク質の最初の11アミノ酸残基からなる)、Sタグ(膵臓RNaseA由来の15アミノ酸残基からなる)、HSVタグ、pelB(大腸菌外膜タンパク質pelBの22アミノ酸配列)、HAタグ(ヘマグルチニン由来の10アミノ酸残基からなる)、Trxタグ(チオレドキシン配列)、CBPタグ(カルモジュリン結合ペプチド)、CBDタグ(セルロース結合ドメイン)、CBRタグ(コラーゲン結合ドメイン)、β-lac/blu(βラクタマーゼ)、β-gal(β-ガラクトシダーゼ)、luc(ルシフェラーゼ)、HP-Thio(His-patchチオレドキシン)、HSP(熱ショックペプチド)、Lnγ(ラミニンγペプチド)、Fn(フィブロネクチン部分ペプチド)、GFP(緑色蛍光ペプチド)、YFP(黄色蛍光ペプチド)、CFP(シアン蛍光ペプチド)、BFP(青色蛍光ペプチド)、DsRed、DsRed2(赤色蛍光ペプチド)、MBP(マルトース結合ペプチド)、LacZ(ラクトースオペレーター)、IgG(免疫グロブリンG)、アビジン、プロテインG等のペプチドが挙げられる。その中でも、特にシグナルペプチド、プロテインキナーゼA、プロテインA、グルタチオンS転移酵素、Hisタグ、mycタグ、FLAGペプチド、T7タグ、Sタグ、HSVタグ、pelB又はHAタグ等が好ましい。
好ましい発現ベクターとして、pFLAG-CMV4(シグマ社製)を挙げることができる。このベクターは、広範囲な哺乳類細胞用の発現ベクターである。forward転写用ベクターであり、N末端にFLAGペプチドタグを持つタンパク質を一過性に或いは安定的に細胞内で発現させるために従来のpCMV5を改良してマルチクローニングサイトの上流にFLAGペプチドタグコーディング配列を導入している。また、CMVのエンハンサー/プロモーターがあり高いレベルでの発現が可能である。また、ポリアデニル化シグナルと転写終結配列によりRNAが安定化される。また、SV40オリジンがあるため、SV40 Large T抗原を発現している細胞で複製が可能である。また、大腸菌での選択用にアンピシリン抵抗性遺伝子が導入されている。さらに、哺乳類細胞において安定株を作製するための選択用としてネオマイシン抵抗性遺伝子が導入されている。
SFT2が組み込まれた発現ベクターを抽出・精製し、これを宿主細胞に導入する。宿主細胞も、用いる発現ベクターの種類に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。宿主細胞としては、例えば真核細胞(哺乳類細胞、酵母、昆虫細胞等)であっても原核細胞(大腸菌、枯草菌等)等を例示することができる。
例えば、哺乳類細胞用の発現ベクターを用いた場合には、宿主として哺乳類細胞を用いればよい。ここにいう哺乳類細胞の種類も特に限定されず、目的、発現効率その他の観点から適宜選択することができる。例えば、一過性の発現を目的とする場合には、腎臓由来細胞株等を、ある程度継続的な発現を目的とする場合には、チャイニーズハムスター卵巣由来細胞株(CHO細胞株)等を用いることができる。
SFT2が組み込まれた発現ベクターをこのような細胞に通常の方法で導入して培養する。
培養の条件は、ベクター・宿主細胞の種類、目的等によって適宜選択することができる。例えば、発現ベクターとしてpFLAG-CMV4を用い、宿主細胞としてCHO細胞株を用いる場合には、37℃、5%CO2存在下で培養する条件が例示される。この際、培地にジェネチシン(ネオマイシン)を添加すると、「pFLAG-CMV4に組み込まれたSFT2」が導入されていない細胞は死滅していくので、培養を続けることでSFT2が導入された安定な細胞のみを選択することができる。
このようにSFT2が導入された細胞を培養し、その培養物を採取することにより、本発明タンパク質を製造することができる。必要に応じて、タンパク質の公知の抽出・精製方法を用いて、本発明タンパク質をさらに精製してもよい。
<3> 本発明作用剤
本発明作用剤は、本発明タンパク質を有効成分とする硫酸転移作用剤である。本発明タンパク質は硫酸転移作用を有することから、本発明タンパク質を硫酸作用剤として応用したものである。
本発明作用剤の有効成分である「本発明タンパク質」に関しては前記の通りである。前記のようにして製造された本発明タンパク質を、そのまま本発明作用剤としてもよく、また医薬や試薬等の分野においての通常用いられる方法によって製剤化してもよい。
本発明作用剤は、本発明タンパク質を有効成分として含有し、かつ本発明タンパク質の硫酸転移作用を実質的に害しない限りにおいて、さらに他の成分を含有していてもよい。ここにいう「他の成分」としては、医薬や試薬等の分野において通常使用されるような担体や、生理活性を有する成分等が例示される。
本出願書類において「硫酸転移作用剤」とは、硫酸基供与体から硫酸基受容体に硫酸基を転移させるために用いる剤を意味する。ここにいう「硫酸基受容体」はケラタン硫酸であることが好ましい。またここにいう「硫酸基供与体」はPAPSであることが好ましい。
<4> 本発明検出方法
本発明検出方法は、「本発明タンパク質の被検組織における発現量の検出結果」と、「当該被検組織の癌化」とを関連づけることを特徴とする被検組織の癌化の検出方法である。
発現の検出対象となる「本発明タンパク質」については前記の通りである。
被検組織としては、癌化の検出を所望する生体組織である限りにおいて特に限定されない。このような被検組織としては、例えば食道、心臓、腎臓、肺、前立腺、唾液腺、骨格筋、膵臓、肝臓、脾臓、精巣、胸腺、気管、子宮、大腸、小腸、十二指腸、直腸、結腸、脊髄、胃などが例示される。なかでも、胃、大腸又は肺由来の組織であることが好ましい。
本発明タンパク質の発現量の検出は、本発明タンパク質自体を検出することによって行っても、本発明タンパク質をコードする核酸(例えば、DNAの転写産物)を検出することによって行ってもよい。前者の場合には、後述する本発明抗体等を用いて常法(ウエスタンブロッティング、エンザイムイムノアッセイ等)によって検出することができる。
後者の場合には、本発明タンパク質をコードするRNA(本発明タンパク質をコードするDNAの転写産物)を検出することによって行うことが好ましい。
このRNAは、例えばSFT2の5'末端と3'末端の塩基配列を基に作成したプライマーと、蛍光色素と消光物質を結合させたプローブとを用いた定量的リアルタイムPCR法等を用いることで定量することができる。ここで用いるプライマーとして本発明核酸を用いることができ、なかでも5'プライマーとして配列番号5、3'プライマーとして配列番号6に示されたDNAを用いることが好ましい。また、蛍光色素と消光物質を結合させたプローブの塩基配列としては、配列番号7に示されるものを用いることが好ましい。
このようにして、本発明タンパク質の被検組織における発現量を検出し、その検出結果を得ることができる。なおこの検出結果は、定量的なものであっても、定性的なものであってもよい。
「本発明タンパク質の被検組織における発現量の検出結果」と、「当該被検組織の癌化
」との関連づけは、以下の通り行うことができる。
「本発明タンパク質の被検組織における発現量の検出結果」が、癌化していない当該被検組織における発現量に比して低い場合には、当該被検組織が癌化している:又は癌化し
ている可能性が高い、と関連づけることができる。その他の場合には、当該被検組織は癌化していない又は癌化している可能性が低い、と関連づけることができる。
<5> 本発明抗体
本発明抗体は、本発明タンパク質に特異的に結合する抗体である。
本発明抗体は、本発明タンパク質を抗原として、通常の抗体の製造方法によって取得することができる。
本発明抗体は、本発明タンパク質に特異的に結合する限りにおいて、モノクローナル抗体であってもよく、ポリクローナル抗体であってもよい。本発明抗体の製造は、モノクローナル抗体とするかポリクローナル抗体とするかによって、以下の通り行うことができる。
モノクローナルな本発明抗体は、本発明タンパク質を用いて、KohlerとMilsteinの方法(Nature 256,495-497(1975))によって製造することができる。
例えば本発明タンパク質をマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ニワトリ等の被免疫動物の腹腔内、皮下、足蹠(footpad)等に投与する。
被免疫動物から脾臓細胞、リンパ細胞、末梢血液等を採取し、これらと腫瘍細胞株であるミエローマ細胞とを細胞融合させてハイブリドーマを調製する。なお細胞融合に用いるミエローマ細胞は、種々の哺乳動物の細胞株を利用することができるが、被免疫動物と同種の動物の細胞株を用いることが好ましい。またミエローマ細胞は、細胞融合の後に未融合細胞と融合細胞とを区別できるようにするために、未融合のミエローマ細胞が生存できずハイブリドーマだけが増殖できるように、マーカーを有するものを用いることが好ましい。またミエローマ細胞は、固有の免疫グロブリンを分泌しない株を使用することが、ハイブリドーマの培養上清から目的の抗体を取得することが容易となる点で好ましい。
得られたハイブリドーマを連続増殖させ、抗原に対して特異的に結合する抗体を継続的に産生するハイブリドーマ株を選別する。
こうして選別されたハイブリドーマ株を好適な培地で培養することによって、培地中にモノクローナル抗体が得られる。なお、マウスの腹腔などの生体内にて前記ハイブリドーマ株を培養し、腹水等から単離することによって、モノクローナル抗体を大量に製造することもできる。このようにして得られたモノクローナル抗体は、通常の抗体の精製方法によって精製してもよい。
ポリクローナルな本発明抗体は、本発明タンパク質を用いて以下の通り製造することができる。
前記のモノクローナル抗体の製造方法と同様に、抗原ペプチドを被免疫動物に投与する。
被免疫動物を免疫する際に、補助剤(アジュバント)を併用することは、抗体産生細胞を賦活するので望ましい。また初回免疫後、2〜3週目に常法によって追加免疫を行うと力価の高い抗血清が得られる。最終免疫から約1週間後に血液を採取し、血清を分離する。この血清を熱処理して補体を失活させた後、通常の抗体の精製方法によってイムノグロブリン画分を精製してもよい。
抗体の精製法としては、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等による塩析、低温アルコール沈殿およびポリエチレングリコールまたは等電点による選択的沈殿分別法、電気泳動法、DEAE(ジエチルアミノエチル)−誘導体、CM(カルボキシメチル)−誘導体等のイオン交換体を用いたイオン交換クロマトグラフィー、プロテインAまたはプロテインGを用いたアフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、抗原を固定化した免疫吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過法および超遠心法等を挙げることができる。
なお本発明抗体を、抗原結合部位(Fab)を分解しないプロテアーゼ(例えばプラスミン、ペプシン、パパイン等)で処理して、Fabを含むフラグメント等としても良い。抗体のFabを含むフラグメントとしては、Fab以外に、Fabc、(Fab')2等が例示される。このようなものも、本明細書における「本発明抗体」の概念に包含される。
また本発明抗体をコードする遺伝子の塩基配列もしくは本発明抗体のアミノ酸配列が決定されれば、遺伝子工学的に本発明抗体のFabを含むフラグメントやキメラ抗体(例えば本発明抗体のFab部分を含むキメラ抗体等)を作製することもできる。このような本発明抗体のFabを含むフラグメントやキメラ抗体も、本発明タンパク質に結合する限り本明細書における「本発明抗体」の概念に包含される。
製造された抗体が本発明タンパク質に特異的に結合するか否かは、本発明タンパク質や抗原となりうる他の物質(例えば、他の種類のタンパク質)等を用い、通常の方法によって当業者が容易に決定することができる。
また本発明抗体は、標識物質で標識されているか又は標識されるものであってもよい。標識に用いることができる標識物質は、通常のタンパク質の標識に使用可能なものであれば特に限定されないが、例えば酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼなど)、放射性同位元素(125I、131I、3Hなど)、蛍光色素(Alexa Fluor(登録商標) 488、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、ジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン(DTAF)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リスアミンローダミンB(Lissamine Rhodamine B)、テキサスレッド(Texas Red)、フィコエリスリン(Phycoerythrin;PE)、ウンベリフェロン、ユーロピウム、フィコシアニン、トリカラー、シアニンなど)、化学発光物質(ルミノールなど)、ハプテン(ジニトロフルオロベンゼン、アデノシン一リン酸(AMP)、2,4−ジニトロアニリンなど)、特異的結合対(ビオチンとアビジン類(ストレプトアビジンなど)、レクチンと糖鎖、アゴニストとアゴニストの受容体、ヘパリンとアンチトロンビンIII(ATIII)、多糖類とその結合タンパク質(ヒアルロン酸とヒアルロン酸結合性タンパク質(HABP)など)のいずれか一方の物質等が例示される。
本発明抗体を標識物質で標識する方法は、標識物質に適した公知の方法、例えば酵素で標識する場合にはグルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸架橋法、マレイミド架橋法、カルボジイミド法、活性化エステル法など、放射性同位元素で標識する場合にはクロラミンT法、ラクトペルオキシダーゼ法など(続生化学実験講座2「タンパク質の化学(下)」、東京化学同人(1987年)参照)から適宜選択することができる。例えば標識物質としてビオチンを使用する場合は、ビオチンのN−ヒドロキシサクシミドエステル誘導体又はヒドラジド誘導体を用いる方法(Avidin-Biotin Chemistry: A Handbook, p57-63, PIERCE CHEMICAL COMPANY, 1994年発行参照)を用いることができる。
また本発明抗体を保存、流通、使用等する場合には、本発明抗体の機能や作用を実質的に害さない限り他の成分を含有させてもよい。例えば通常の試薬の調製に用いられる賦形剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤等を含有させることもできる。具体的には、PBS、アジ化ナトリウム(NaN3)、BSA等が例示される。
<6> 本発明細胞
本発明細胞は、本発明核酸を保持する細胞である。
本発明核酸についての説明は前記の通りである。本発明細胞は、本発明核酸を細胞に導入することによって製造することができる。
本発明核酸が導入される細胞も特に限定されず、目的等に応じて適宜選択することができる。細胞としては、例えば真核細胞(哺乳類細胞、酵母、昆虫細胞等)、原核細胞(大腸菌、枯草菌等)等を例示することができる。
本発明細胞は、本発明核酸を保持している限りにおいて限定されない。例えば、前記の「本発明核酸」において説明した、SFT2を保持するベクターが導入された大腸菌や哺乳類細胞も、本発明細胞の一例である。
<7>本発明同定方法
本発明同定方法は、「『配列番号2に記載のアミノ酸配列』及び/又は『配列番号1に記載の塩基配列』」と、1種又は2種以上の「『ポリペプチドのアミノ酸配列情報』及び/又は『当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列情報』」とを比較するステップを少なくとも含む、硫酸転移活性及び/又は癌化によって生体組織における発現が低下する性質を有するポリペプチドのアミノ酸配列及び/又は当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列の同定方法である。
本発明により、配列番号2に記載のアミノ酸配列が硫酸転移活性及び/又は癌化によって生体組織における発現が低下する性質を有するタンパク質のアミノ酸配列であることが判明し、このタンパク質が配列番号1に記載の塩基配列を有する核酸によってコードされていることが判明したことから、この知見をこのような活性や性質を有するタンパク質や核酸の同定方法として応用したものである。
ここで、「配列番号2に記載のアミノ酸配列」や「配列番号1に記載の塩基配列」は、いずれも配列表に記載されている通りである。本発明同定方法においては、当該アミノ酸配列と塩基配列のいずれか一方のみを用いてもよく、両方を同時に用いてもよい。
また、比較の相手方となる「『ポリペプチドのアミノ酸配列情報』や『当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列情報』」も特に限定されず、データベース(例えば、GenbankデータベースやSwissprotデータベース)等に登録されている公知の配列情報であってもよく、人為的に設計された配列情報であってもよいが、データベースに含まれている情報であることが好ましい。また本発明同定方法では、当該アミノ酸配列情報と塩基配列情報のいずれか一方のみを用いてもよく、両方を同時に用いてもよい。またここでは、1種類のポリペプチド又はそれをコードする核酸の配列情報のみを用いてもよく、2種以上のポリペプチド等の配列情報を用いても良い。
このような配列と配列情報との「比較」は、相同性(homology)をベースになされるものである限りにおいて特に限定されない。
すなわち本発明同定方法における比較のステップは、「『配列番号2に記載のアミノ酸配列』及び/又は『配列番号1に記載の塩基配列』」と、1種又は2種以上の「『ポリペプチドのアミノ酸配列情報』及び/又は『当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列情報』」とが相同性を有するか否かに基づいてなされる。相同性を有すれば、当該1種又は2種以上の「『ポリペプチドのアミノ酸配列情報』及び/又は『当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列情報』」は、硫酸転移活性及び/又は癌化によって生体組織における発現が低下する性質を有するポリペプチドのアミノ酸配列及び/又は当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列であると同定することができる。
比較のベースとなる「相同性」の程度は、同定の目的(例えば、可能性のある配列を可及的広くピックアップしたいのか、可及的絞り込みたいのか)等に応じて適宜設定することができるが、95%以上、好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上に設定することが好ましい。
このような比較を行う手法も特に限定されないが、多くの配列情報を高速かつ正確に比較できることから、コンピューターによって行われることが好ましい。この場合、「『配列番号2に記載のアミノ酸配列』及び/又は『配列番号1に記載の塩基配列』」を記録したコンピューターで読み取り可能な記録媒体を用いて行われることが好ましい。
「記録媒体」としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記憶媒体、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW等の光学記憶媒体、RAMやROM等の電気記憶媒体、及びこれらのカテゴリーのハイブリッド(例えばMO等の磁気/光学記憶媒体)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
このような記録媒体に記録させるための機器、あるいは記録媒体中の情報を読み取るための機器の選択は、記録媒体の種類とアクセス方法に基づいて適宜選定することができる。また、配列情報の記録媒体への記録も、種々のデータプロセッサープログラム及びフォーマットを用いることができる。該情報は市販のソフトウェアでフォーマットされたバイナリーファイル、テキストファイルあるいはASCIIファイル等の形態で表しうる。これら配列情報にアクセスするためのソフトウェアも市販されている。
このような記録媒体には、「配列番号2に記載のアミノ酸配列」と「配列番号1に記載の塩基配列」の一方のみが記録されていてもよく、両方が記録されていてもよい。
以上のように「相同性」をベースとした比較を行った結果、相同性があると特定された「ポリペプチドのアミノ酸配列」や「当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列」を、硫酸転移活性及び/又は癌化によって生体組織における発現が低下する性質を有するポリペプチドのアミノ酸配列及び/又は当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列であると同定することができる。本発明同定方法では、「硫酸転移活性」と「癌化によって生体組織における発現が低下する性質」の一方のみに着目してもよく、両方に着目して(両方の活性・性質を併有するものを同定することを目的として)もよい。また同定される配列は、「アミノ酸配列」と「核酸の塩基配列」の一方のみであってもよく、両方であってもよい。ここにいう「硫酸転移活性」は、硫酸基供与体からケラタン硫酸に硫酸基を転移する活性であることが好ましい。
「同定」とは、所定の活性や性質を有するポリペプチドのアミノ酸配列や核酸の塩基配列が特定されるものである限りにおいて特に限定されない。
本発明同定方法の具体的な一例として、相同性検索のための公知のソフトウェア等と、前記の配列や配列情報を用いて、硫酸転移活性及び/又は癌化によって生体組織における発現が低下する性質を有するポリペプチドのアミノ酸配列及び/又は当該ポリペプチドをコードする核酸の塩基配列を同定する方法が挙げられる。このようなソフトウエアとしては、FASTA、BLAST、Smith-Waterman、GenetyxMac〔ソフトウェアー・デベロップメント(Software Development)社製〕、GCGパッケージ〔ジェネティックス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group)社製〕、GenCore〔コンピューゲン(Compugen)社製〕等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
<実施例1> SFT2のクローニング
ヘパラン硫酸 D−グルコサミニル 3−O−スルホトランスフェラーゼ(heparan sulfate D-glucosaminyl 3-O-sulfotransferase;HS3OST-1)(GenBank Accession No. NP_005105)及びコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ(chondroitin 6-sulfotransferase;CS6ST-1)(GenBank Accession No. NP_004264)をクエリーとして、PSI-BLAST検索を行った。その結果、「Pfam」で「sulfotransfer」に分類されている各種の酵素遺伝子配列が複数得られた。それらのアミノ酸配列を解析した結果、GenBank Accession No. BAA34509(KIAA0789)で特定されるアミノ酸配列は、sulfotransferドメインの他に、糖の認識に関与すると推定されているWSCドメインを有しており、硫酸転移酵素であることが予想された。このアミノ酸配列をクエリーとしてtBLASTn検索を行った結果、ゲノム配列上に高い相同性を有する核酸配列を見出した。この核酸配列から予測されるORFは1698 bp、アミノ酸配列にして565アミノ酸からなり、N末端に糖転移酵素の特徴である疎水アミノ酸領域を有するものであった。
本発明者らは、この核酸配列(配列番号1)及びアミノ酸配列(配列番号2)を「SFT2」と命名した。
SFT2のORFを取得するために、KIAA0789で特定されるDNAクローンを「かずさDNA研究所」から譲受した。
このKIAA0789クローンを鋳型とし、5'プライマー(配列番号3)及び3'プライマー(配列番号4)を用いてPCRを行った。PCRは「94℃で45秒、55℃で45秒、72℃で2分」を1サイクルとして、25サイクル行った。
このPCRにより得られたDNA断片(SFT2のORFを含む。)は、制限酵素サイトとしてORFの開始コドンの5'側にNotIを、ストップコドンの3'側にXbaIを有する。
このDNA断片とpBluescriptRSKII(-)(TOYOBO製)を、各々制限酵素であるNotIおよびXbaIで処理した後、これら処理後の溶液を混合してライゲーション反応を行うことで、pBluescriptR SKII(-)にSFT2のORFを組み込んだ。
このSFT2のORFが組み込まれたpBluescriptR SKII(-)を含有する溶液を、コンピテントセル(大腸菌DH5α)と混合してヒートショック法(42℃、30秒)を行い、IPTGおよびX-galを含むLB寒天培地に播いて培養した。翌日、白い単独のコロニーを採取して更に培養し、プラスミドDNAを回収した。
<実施例2> SFT2全長の発現
「SFT2のORFが組み込まれたpBluescriptRII SK(-)」及びpFLAG-CMV4 (シグマ社製)を、各々制限酵素であるNotIおよびXbaIにより処理した後、これら処理後の溶液を混合してライゲーション反応を行うことによって、pFLAG-CMV4にSFT2のORFを組み込んだ。
このSFT2のORFが組み込まれたpFLAG-CMV4を含有する溶液を、コンピテントセル(大腸菌DH5α)と混合してヒートショック法(42℃、45秒)を行い、アンピシリンを含むLB寒天培地に播いて培養した。
翌日、コロニーを採取してコロニーPCRを行ない、目的のDNAの存在を確認した。確実を期すため、シーケンシングにより塩基配列の確認をした後、SFT2のORFが組み込まれたpFLAG-CMV4(pFLAG-CMV4-SFT2)を抽出し精製した。
ヒト胎児腎臓由来細胞株293FT細胞(インビトロジェン社製)を用いてSFT2の一過性発現株を作製するため、以下の操作を行った。293FT細胞 1.5 x 105個を、抗生物質を含有しない10% FCS入りのDMEM培地2mlで懸濁した後、6ウェルのプレートに播き、37℃で16時間、CO2インキュベータ内で培養した。
pFLAG-CMV4-SFT2 4μg及びLipofectaminTM 2000(インビトロジェン社製)10μlを、OPTI-MEMR(インビトロジェン社製)250μlと混和して、室温で5分間静置することによりインキュベーションした。その後更にこれを緩やかに混和して、室温で20分間静置することによりインキュベーションした。この混合液をディッシュに滴下して、37℃で48時間、CO2インキュベータ内で培養した。
培養後、培養上清を除去し、PBSで洗浄した後、4%パラフォルムアルデヒドを含有するPBSで細胞を固定した(室温、20分)。細胞をPBSで洗浄した後、5% BSA及び0.1% TritonX-100を含有するPBSを用いて細胞をブロッキンングした(4℃、1時間)。ブロッキングした細胞を、抗FLAGポリクローナル抗体(シグマ社製)及び抗β1-4ガラクトース転移酵素1モノクローナル抗体(独立行政法人産業技術総合研究所 成松 久 博士より恵与)で染色した(室温、2時間)。その後PBSで洗浄し、更にFITC標識抗ウサギIgG抗体及びTexasRed標識抗マウスIgG抗体で染色した(室温、1時間)。その後PBSで洗浄し、染色した細胞をFluorSaveTM Reagent(Calbiochem)を用いて封入し、乾燥させた後、倒立型蛍光顕微鏡(OLYMPUS IX71)で観察した。その結果、SFT2がゴルジ体に局在していることが確認された。
<実施例3> SFT2組換えタンパク質の発現
SFT2の組換えタンパク質を得るために、これをコードするDNAをチャイニーズハムスター卵巣由来細胞株CHO-K1を用いて発現させた。
タンパク質の作用を確認するためには、配列番号2において、少なくとも既知の硫酸転移酵素と比較的相同性が保たれている活性領域を発現させれば十分であると考えられるが、SFT2は他の硫酸転移酵素には存在しないWSCドメインを有しているため、ここでは配列番号2におけるアミノ酸番号44からC末端までの予測活性領域を発現させることとした。
SFT2を組込んだpBluescriptRII SK(-)を鋳型とし、5'プライマー(配列番号8)と3'プライマー(配列番号4)を用いてPCRを行って、目的のDNA断片を得た。PCRは「94℃で45秒、55℃で45秒、72℃で90秒」を1サイクルとして25サイクル行った。
その後、PCR産物を用いて常法によってアガロースゲル電気泳動を行い、ゲルを切り出して常法によって単離した。このPCR産物は制限酵素サイトとして5'側にNotI、3'側にXbaIを有する。このPCR産物とpFLAG-CMV3を各々制限酵素であるNotI及びXbaIで処理した後、その処理後の溶液を混合し、ライゲーション反応を行うことによって、このPCR産物をpFLAG-CMV3に組み込んだ。
反応液をコンピテントセル(大腸菌DH5α)と混合し、ヒートショック法(42℃、45秒)を行い、アンピシリンを含むLB寒天培地に播いて培養した。
翌日、コロニーを採取してコロニーPCRを行ない、目的DNAを確認した。さらに確実を期すためシーケンシングによりDNA配列の確認をした後、プラスミド(pFLAG-CMV3-SFT2)を抽出・精製した。
チャイニーズハムスター卵巣由来細胞株CHO-K1 2 x 106個を、抗生物質を含有しない10%FCS入りのDMEM培地10mlに懸濁し、10cmのディッシュに播き、37℃で16時間、CO2インキュベータ内で培養した。pFLAG-CMV3-SFT2 24μg及びLipofectaminTM 2000(インビトロジェン社製)60μlを、OPTI-MEMR(インビトロジェン社製)1.5mlと混和して、室温で5分間静置してインキュベーションした。その後、更にこれを緩やかに混和して、室温で20分間静置してインキュベーションした。この混合液をディッシュに滴下し、37℃で48時間、CO2インキュベータ内で培養した。
上清10mlに抗M2レジン(シグマ社製)(100μl)を混合し、4℃で一夜攪拌した。翌日遠心して(3000rpm 5分、4℃)、ペレットを回収し、1mlの20mM HEPES緩衝液(pH7.4)で5回洗浄した後、プロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ社製)を含む20%(v/v)グリセロール、20mM HEPES(pH7.4)緩衝液で50%スラリーになるようにペレットを浮遊させ、活性測定のサンプル(SFT2酵素液)とした。この一部をSDS-PAGEによる電気泳動について抗FLAGポリクローナル抗体(シグマ社製)及び抗ウサギIgGペルオキシダーゼを用いてウエスタンブロッテイングを行い、目的とするSFT2タンパク質の発現を確認した。その結果、SFT2について、約80kDaの位置にバンドが検出、発現が確認された。
チャイニーズハムスター卵巣由来細胞株であるCHO-K1を用いてSFT2発現安定株を作製するため、以下の操作を行った。pFLAG-CMV3-SFT2のプラスミドDNA 24μg及びLipofectaminTM 2000(インビトロジェン社製)60μlをOPTI-MEMR(インビトロジェン社製)1.5mlと各々混和し、室温にて5分間インキュベーションした。更に二つの液を緩やかに混和し、室温にて20分間インキュベーションした。この混合液をディッシュに滴下し、48時間37℃にてCO2インキュベータにて培養した。常法により細胞を継代した。このとき培地はDMEM(インビトロジェン社製)を用い、FCS及び抗生物質としてペニシリン(インビトロジェン社製)、ストレプトマイシン(インビトロジェン社製)およびジェネチシン(ネオマイシン;インビトロジェン社製)を添加した。ジェネチシンを添加することによりpFLAG-CMV3-SFT2が導入されていない細胞は死滅していくので、培養を続けることでpFLAG-CMV3-SFT2が導入された細胞のみが生存することになる。これをpFLAG-CMV3-SFT2発現安定株とした
<実施例4> SFT2組換えタンパク質の酵素活性測定
SFT2組換えタンパク質の酵素活性を測定するために以下の操作を行なった。2.5μmol Imidazole-HCl(pH6.8)、0.1μmol DTT、1.25μg protamine 、50pmol [35S]PAPS、0.025μmol GAGからなる反応液に、対照実験のサンプル(mock酵素液)又は実施例3記載の活性測定のサンプル(SFT2酵素液)を混合し、37℃で20分間インキュベートした。98℃、5分間のインキュベーションで酵素反応を停止させた後、エタノール沈澱及びゲルろ過クロマトグラフィーによって[35S]硫酸ラベルされたGAGと [35S]PAPSを分離し、GAGに取り込まれた放射能を測定した。結果を図1に示す。
図1より、SFT2によるケラタン硫酸への[35S]硫酸の取込みが認められた。
<実施例5> ヒト正常組織におけるSFT2の発現量の検討
定量的リアルタイムPCR法を用いて20種類のヒト正常組織でのSFT2の発現量を検討した。定量的リアルタイムPCR法とはPCRにおいてセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーに加え、蛍光標識されたプローブを組合せる方法である。PCRにより増幅する際、プローブの蛍光標識が外れて蛍光を示す。蛍光強度が遺伝子の増幅に相関して増幅するためこれを指標として定量を行う。
ヒト正常組織由来のトータルRNA(クロンテック社製)をSuper-Script First-Strand Synthesis System(インビトロジェン社製)を用いたoligo(dT)法によりsingle strand DNAとした。このDNAを鋳型として、プライマー(5'プライマー:配列番号5、3'プライマー:配列番号6)及びTaqMan プローブ(配列番号7)を用いて、ABI PRISM 7000(アプライドバイオシステムズジャパン社製)により定量的リアルタイムPCRを行った。PCRの条件は95℃ 10分で反応させた後、「95℃で15秒、60℃で1分」のサイクルを50回繰り返した。得られた数値は個体間のばらつきを補正するため内標準遺伝子として定量したGAPDHにより除し、比較を行った。結果を図2に示す。
図2より、成人小脳におけるSFT2の発現量が顕著に高いことが明らかとなった。
<実施例6> ヒト胃癌組織におけるSFT2の発現量の検討
定量的リアルタイムPCR法を用いて、胃癌患者の胃癌組織と同一患者の正常胃癌組織におけるSFT2の発現量を比較した。
胃癌患者より胃癌組織と同一患者の正常胃癌組織のトータルRNAをRNeasy Mini Kit(キアゲン社製)で抽出し、Super-Script First-Strand Synthesis System(インビトロジェン社製)を用い、添付のrandom primersにてcDNAを合成した。このDNAを鋳型として、プライマー(5'プライマー:配列番号5、3'プライマー:配列番号6)及びTaqMan プローブ(配列番号7)を用いて、ABI PRISM 7000(アプライドバイオシステムズジャパン社製)により定量的リアルタイムPCRを行った。PCRの条件は95℃ 10分で反応させた後、「95℃で15秒、60℃で1分」のサイクルを50回繰り返した。得られた数値は個体間のばらつきを補正するため内標準遺伝子として定量したGAPDHにより除し、比較を行った。結果を表1に示す。
表1より、癌化した組織におけるSFT2の発現量が有意に減少している(p=0.0461)ことが明らかとなった。
Figure 0004491536

<実施例7> ヒト肺癌組織におけるSFT2の発現量の検討
定量的リアルタイムPCR法を用いて、肺癌患者の肺癌組織と同一患者の正常肺組織におけるSFT2の発現量を比較した。
肺癌患者より肺癌組織と同一患者の正常肺癌組織のトータルRNAをRNeasy Mini Kit(キアゲン社製)で抽出し、Super-Script First-Strand Synthesis System(インビトロジェン社製)を用い、添付のrandom primersにてcDNAを合成した。このDNAを鋳型として、プライマー(5'プライマー:配列番号5、3'プライマー:配列番号6)及びTaqMan プローブ(配列番号7)を用いて、ABI PRISM 7000(アプライドバイオシステムズジャパン社製)により定量的リアルタイムPCRを行った。PCRの条件は95℃ 10分で反応させた後、「95℃で15秒、60℃で1分」のサイクルを50回繰り返した。得られた数値は個体間のばらつきを補正するため内標準遺伝子として定量したGAPDHにより除し、比較を行った。結果を表2に示す。
表2より、癌化した組織におけるSFT2の発現量が減少している(p=0.0832)ことが明らかとなった。
Figure 0004491536

<実施例8> ヒト大腸癌組織におけるSFT2の発現量の検討
定量的リアルタイムPCR法を用いて、大腸癌患者の大腸癌組織と同一患者の正常大腸組織におけるSFT2の発現量を比較した。
大腸癌患者より大腸癌組織と同一患者の正常大腸癌組織のトータルRNAをRNeasy Mini Kit(キアゲン社製)で抽出し、Super-Script First-Strand Synthesis System(インビトロジェン社製)を用い、添付のrandom primersにてcDNAを合成した。このDNAを鋳型として、プライマー(5'プライマー:配列番号5、3'プライマー:配列番号6)及びTaqMan プローブ(配列番号7)を用いて、ABI PRISM 7000(アプライドバイオシステムズジャパン社製)により定量的リアルタイムPCRを行った。PCRの条件は95℃ 10分で反応させた後、「95℃で15秒、60℃で1分」のサイクルを50回繰り返した。得られた数値は個体間のばらつきを補正するため内標準遺伝子として定量したGAPDHにより除し、比較を行った。結果を表3に示す。
表3より、癌化した組織におけるSFT2の発現量が減少している(p=0.2090)ことが明らかとなった。
Figure 0004491536
本発明タンパク質や本発明作用剤は硫酸基転移の触媒として、本発明核酸は本発明タンパク質や本発明作用剤の生産ツール等として、本発明検出方法は癌化の検出ツールとして、本発明抗体は本発明タンパク質等の検出や精製のツールとして、本発明細胞は本発明タンパク質や本発明作用剤の生産ツール等として、本発明同定方法は硫酸転移活性及び/又は癌化によって生体組織における発現が低下する性質を有するポリペプチド及び/又は当該ポリペプチドをコードする核酸の同定用ツールとして利用することできる。
本発明タンパク質(SFT2)の基質特異性を示す図である。 本発明タンパク質(SFT2)の正常な組織における発現レベルを示す図である。

Claims (4)

  1. 硫酸基供与体からケラタン硫酸に硫酸基を転移する活性を有する、下記(a)又は(b)のタンパク質。
    (a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (b)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1又は数個のアミノ酸の欠失、置換、付加又は転位を有し、かつ、硫酸転移活性を有するタンパク質。
  2. 請求項1に記載のタンパク質と他のタンパク質とを結合させた融合タンパク質。
  3. 請求項1または2に記載のタンパク質を有効成分とする、硫酸転移作用剤。
  4. 請求項1または2に記載のタンパク質をコードする核酸の胃由来被検組織における発現量の検出結果」が、癌化していない当該胃由来被検組織における発現量に比して低い場合に、「当該胃由来被検組織が癌化している又は癌化している可能性が高い」と関連づけることを特徴とする胃由来被検組織の癌化の検出方法。
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