JP3741867B2 - ヒトadamts−1タンパク質、それをコードする遺伝子、医薬組成物、及びヒトadamts−1タンパク質の免疫学的分析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒトADAMTS−1タンパク質、それをコードする遺伝子、医薬組成物、及びヒトADAMTS−1タンパク質の免疫学的分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マウスADAMTS(A disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs)−1遺伝子は、マウスに移植すると癌悪疫質を引き起こすマウス大腸癌細胞株から、cDNAとして単離された遺伝子であり、この遺伝子にコードされるマウスADAMTS−1タンパク質は、マトリックスメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、及び3個のトロンボスポンジンドメインを有するユニークなタンパク質である[J.Biol.Chem.,272,556−562(1997)]。
【0003】
マウスADAMTS−1タンパク質の生理学的機能は未だに不明であるが、前記タンパク質に含まれている個々の機能ドメインについては、すでに種々の報告がある。
例えば、ヘビ毒のディスインテグリンは、システィンに富み、抗血液凝固作用を有するタンパク質のファミリーに属する[Semin.Hematol.,31,289−300(1994)]。
【0004】
また、例えば、マトリックスメタロプロテアーゼドメインとディスインテグリンドメインとを有するタンパク質ファミリーとしては、従来から、ADAM(Adisintegrin and metalloproteinase)ファミリーが知られている[Nature,377,652−656(1995);Nature Genet.,5,151−157(1993);Nature,356,248−252(1992)]。
これまでにADAMファミリーとして知られるタンパク質としては、例えば、ファーティリン(fertilin)、エピダーマルアピカルプロテイン(epidermal apical protein)、シリテスチン(cyritestin)、MDC(システイン含有量の高いメタロプロテアーゼ様ディスインテグリン様タンパク質;metalloprotease−like,disintegrin−like and cystein−rich protein)、メルトリン(meltrin)、MS2、及びメタージディン(metargidin)を挙げることができる[Nature,377,652−656(1995);Nature Genet.5,151−157(1993);Nature,356,248−252(1992);Biochem.J.,286,671−675(1992);Dev.Growth.Differ.,36,49−58(1994);Int.Immunol.,2,585−591(1990);J.Biol.Chem.,271,4593−4596(1996)]。
ファーティリンは、インテグリンを介する精子と卵子の結合に関与しているとの報告[Nature,356,248−252(1992)]があり、メルトリンは、筋間形成に関与しているとの報告[Nature,377,652−656(1995)]がある。主として中枢神経などで発現しているMDCは、ヒト乳癌の抑制に働く候補タンパク質である[Nature Genet.5,151−157(1993)]。また、MS2は、マクロファージの1つの抗原として働いている[Int.Immunol.,2,585−591(1990)]。しかし、これらADAMファミリーに属するタンパク質の生理学的役割は依然として多くは不明である。
【0005】
マウスADAMTS−1タンパク質は、マトリックスメタロプロテアーゼドメイン及びディスインテグリンドメインを有するので、ADAMファミリーに属するが、トロンボスポンジンドメインを有する点で、従来公知のADAMファミリーに属するタンパク質とは異なる。
マトリックスメタロプロテアーゼドメイン及びディスインテグリンドメインを有するADAMファミリーには、先に述べたように、骨や筋肉代謝、癌増殖抑制、又は受精に関与する各種タンパク質が含まれ、また、トロンボスポンジンには血管新生阻害作用、及び癌抑制作用があることから、マウスADAMTS−1タンパク質には特徴的生理機能があると思われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、未知のヒトADAMTS−1タンパク質を取得することを目指して、既知のマウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列を基に設計した各種プローブを用いて、ヒト腎臓cDNAライブラリーからプラークハイブリダイゼーション法によりヒトADAMTS−1遺伝子を取得しようと試みたところ、目的の遺伝子を取得することはできなかった。また、既知のマウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列を基に設計した各種プライマーを用いて、ヒト腎臓cDNAライブラリーを鋳型とするPCR法を通常の条件で実施することによって目的遺伝子の取得を試みたが、成功しなかった。そこで、本発明者は、前記のプライマーを用いて、通常よりも緩い条件、すなわち、アニーリング温度を通常よりも低い条件で、ヒト腎臓cDNAライブラリーを鋳型とするPCR法を実施することにより、新規のヒトADAMTS−1遺伝子を単離することができた。こうして得られた遺伝子を大腸菌で産生させ、得られた組換えヒトADAMTS−1タンパク質の生物活性を検討したところ、驚くべきことに、新規のヒトADAMTS−1タンパク質が、白血球及び血小板の数を低下させ、同時に、赤血球の数を増加させる活性を有することが判明した。このような造血機能に影響を与える活性は、プライマーを設計するのに参照したマウスADAMTS−1遺伝子の由来からは予想することができず、また、ヒトADAMTS−1タンパク質に含まれる各ドメインの機能からも予想することができないものである。本発明は、このような知見に基づくものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むことを特徴とするタンパク質に関する。
また、本発明は、前記タンパク質又はその改変体をコードすることを特徴とする遺伝子に関する。
また、本発明は、前記遺伝子を含むことを特徴とするベクターに関する。
また、本発明は、前記ベクターにより形質転換されたことを特徴とする形質転換体に関する。
【0008】
また、本発明は、前記タンパク質又はその改変体を含有することを特徴とする医薬組成物に関する。
また、本発明は、前記タンパク質又はその改変体と特異的に反応することを特徴とする、抗体、若しくはこれらの抗体フラグメント、又は抗血清に関する。
【0009】
また、本発明は、前記抗体若しくはそのフラグメント又は抗血清と、被検試料とを接触させ、ヒトADAMTS−1タンパク質と前記抗体若しくはそのフラグメント又は抗血清との結合体を検出することを特徴とする、前記ヒトADAMTS−1タンパク質の免疫学的分析方法に関する。
更に、本発明は、配列表の配列番号2の塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドと、被検試料とを接触させ、ヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAと前記ポリヌクレオチドとの結合体を検出することを特徴とする、前記ヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAの分析方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明によるヒトADAMTS−1タンパク質は、アミノ酸残基727個からなり、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列からなる新規のタンパク質である。本発明のヒトADAMTS−1タンパク質は、図10〜図12に示すように、N末端アミノ酸残基であるメチオニンから数えて第12番目〜第230番目のアミノ酸残基からなるマトリックスメタロプロテアーゼ(以下、MMPと称することがある)ドメイン、第235番目〜第305番目のアミノ酸残基からなるディスインテグリン(以下、DIと称することがある)ドメイン、並びに第322番目〜第372番目、第618番目〜第664番目、及び第672番目〜第727番目のアミノ酸残基からなる3個のトロンボスポンジン(以下、TSPと称することがある)ドメインを有する。また、塩基性アミノ酸であるアルギニン及びリジンがC末端領域に多く存在し、このことから、ヒトADAMTS−1タンパク質は、血液中においてヘパリンやヘパラン硫酸などの硫酸化多糖分子と相互作用していると思われる。
【0011】
本発明によるタンパク質には、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体が含まれる。
本明細書において、「ヒトADAMTS−1タンパク質改変体」とは、そのアミノ酸配列が、ヒトADAMTS−1タンパク質のアミノ酸配列、すなわち、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列であって、かつヒトADAMTS−1活性を有するタンパク質を意味する。
また、本明細書において、「ヒトADAMTS−1活性」とは、造血機能に影響を与える活性、例えば、白血球及び血小板の数を低下させ、同時に、赤血球の数を増加させる活性を意味する。
更に、本発明によるタンパク質には、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含む前記タンパク質、若しくは前記改変体の一部分であり、かつヒトADAMTS−1活性を有する断片も含まれる。
【0012】
本発明によるタンパク質は、種々の公知の方法によって得ることができる。例えば、本発明による遺伝子を用いて公知の遺伝子工学的手法により調製することもできるし、あるいは、公知のタンパク質化学的手法により天然由来の本発明のタンパク質を精製することもできる。
【0013】
本発明の遺伝子には、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体をコードする遺伝子が含まれる。なお、前記遺伝子には、DNA及びRNAの両方が含まれる。ヒトADAMTS−1タンパク質をコードする遺伝子としては、例えば、配列表の配列番号2の配列で表わされる塩基配列からなる遺伝子を挙げることができる。
【0014】
本発明の遺伝子、例えば、配列表の配列番号2の配列で表わされる塩基配列からなる遺伝子は、例えば、本発明者が前記遺伝子を最初に取得する際に用いた以下の方法により取得することができる。
すなわち、マウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列を参照して適当な各種PCR用プライマーを作製し、通常よりも緩い条件、すなわち、アニーリング温度を通常よりも低い条件で、ヒト腎臓由来のcDNAライブラリーを鋳型DNAとしてPCR法を実行することにより、DNA断片を得ることができる。このDNA断片の塩基配列を決定し、マウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列と比較することにより、目的遺伝子であることを確認することができる。PCR法に用いるプライマーの種類に応じて、ヒトADAMTS−1遺伝子の全配列を取得することもできるし、あるいは、ヒトADAMTS−1遺伝子の部分塩基配列を取得し、続いて、RACE法(Rapid amplification of cDNA ends)法[Proc Natl.Acad.Sci.USA,85,8998−9002(1988)]により残りの部分塩基配列を取得し、これらの部分塩基配列を遺伝子工学的手法により連結することにより全配列を取得することもできる。
【0015】
なお、本発明者が実施した前記遺伝子取得方法においては、前記PCRプライマーの塩基配列を設計する際に、ヒトADAMTS−1遺伝子の塩基配列が未知であったので、マウスADAMTS−1遺伝子とヒトADAMTS−1遺伝子との間で完全な相同性を示す配列を選択することは実質的に不可能であった。
本発明者は、マウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列を基に設計したプライマーを用いて、通常の温度条件でPCR法を実施したが、目的のDNA断片を得ることができなかった。本発明者は、同じプライマーを用いて、通常よりも緩い条件下、すなわち、通常よりも低いアニーリング温度でPCR法を実施することにより、目的とするDNA断片を得ることができた。取得したヒトADAMTS−1遺伝子の塩基配列と、前記プライマーの塩基配列を比較した結果、塩基配列の相同性は、充分なものではなかった。
【0016】
本発明によってヒトADAMTS−1遺伝子の塩基配列が解明されたので、PCR法におけるプライマーの設計、又はプラークハイブリダイゼーション法におけるプローブの設計に、このヒトADAMTS−1遺伝子の塩基配列を利用することができる。このようなプライマー又はプローブを用いると、本発明の遺伝子は、本発明者がその遺伝子を最初に取得する際に用いた前記方法に限らず、公知の遺伝子取得方法、例えば、通常条件によるPCR法、又はプラークハイブリダイゼーション法などを用いても調製することができる。
なお、本発明者は、既知のマウスADAMTS−1遺伝子の塩基配列を基に設計したプローブを用いて、プラークハイブリダイゼーション法によりヒト腎臓cDNAライブラリーから未知のヒトADAMTS−1遺伝子を取得しようと試みたが、目的とする遺伝子を取得することができなかった。この原因として、用いたプローブの塩基配列の相同性が充分でなかったことを挙げることができるが、それ以外の原因として、ノーザンハイブリダイゼーション法を用いて、ヒトADAMTS−1タンパク質のmRNA解析を行ったところ、その発現量が非常に少なく、cDNAライブラリーを作製しても、そのライブラリー中に含まれるヒトADAMTS−1遺伝子のコピー数が、非常に少ないためであったことを確認している。ヒトADAMTS−1遺伝子の塩基配列を基に設計したプローブを使用することにより、プラークハイブリダイゼーション法によっても、本発明の遺伝子を取得することが可能である。
【0017】
こうして得られた本発明の遺伝子を、例えば、真核生物又は原核生物を宿主として用いて、本発明のタンパク質を発現させることができる。
目的とする遺伝子を含むDNA断片を、そのまま宿主細胞に入れても増殖しないので、プラスミドのような細胞内で複製可能な染色体外遺伝子をベクターとして、発現プラスミドを作製することができる。使用することのできるベクターは、宿主細胞内での複製に必要な遺伝情報を含み、自立的に複製することができ、しかも、宿主細胞からの単離精製が容易であり、検出可能なマーカーを有することが望ましい。
【0018】
本発明によるDNAを含む発現ベクターは、種々の市販のベクターを用いて、宿主細胞に応じて適宜構築することができ、これらの公知ベクターへのDNAの挿入方法も周知である。
原核生物の宿主としては、大腸菌の菌株、例えば、XL1−Blue、HB101、JM109、DH5α、AG−1、K12株294(ATCC31446)、B、χ1776(ATCC31537)、C600、若しくはW3110(F−、λ−、プロトトロフィック;ATCC27375)を挙げることができる。また、バチラス属の菌株(例えば、枯草菌)、腸内細菌[例えば、ネズミチフス菌若しくは霊菌(Serratia marcescens)等]、又はシュードモナス属の菌株等を挙げることができる。
【0019】
前記の原核生物を宿主として使用する場合のべクターとしては、本発明による遺伝子を発現することができるように前記遺伝子の上流にプロモ−タ−及びSD塩基配列、更にタンパク質合成開始に必要な塩基配列・ATGを付与した発現プラスミドを使用することができる。大腸菌株等のべクターとしては、一般に、pUC19、pBR322、又はpBR327等が広く用いられている。
プロモーターとしては、例えば、トリプトファン・プロモーター、PL プロモーター、lacプロモーター、tacプロモーター、trcプロモーター、lppプロモーター、又はβ−ラクタマーゼプロモーター等を使用することができる。マーカー遺伝子の例としては、アンピシリン耐性遺伝子、又はテトラサイクリン耐性遺伝子を挙げることができる。
【0020】
真核微生物の宿主としては、酵母が一般に広く用いられ、その中でもサッカロミセス属酵母を有利に利用することができる。酵母等の真核微生物の発現ベクターとしては、例えば、YRp7等を用いることができる。
酵母発現用の発現べクターのプロモーターの例としては、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、GAL10、3−ホスホグリセレートキナーゼ、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、又はヘキソキナーゼなどを利用することができる。マーカー遺伝子としては、trpl遺伝子等を利用することができる。
酵母細胞中における転写や翻訳を制御するための複製起源や終止コドン及びその他のDNA配列としては、酵母細胞に適している通常の公知のDNA配列を用いることができる。
【0021】
高等動物の培養細胞を宿主とする場合には、例えば、赤毛ザル腎臓細胞、蚊幼虫の細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(COS−7又はCOS−1等)、マウス胎児繊維芽細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞若しくはそのジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株、ヒト頚上皮細胞、ヒト胎児腎臓細胞、蛾卵巣細胞、ヒト骨髄腫細胞、又はマウス繊維芽細胞等を用いることができる。
【0022】
前記ベクターは、一般に、本発明のDNAを宿主細胞内で発現させるための機能配列、例えば、複製開始点、本発明DNAの上流に位置すべきプロモーター、リボゾーム結合部位、ポリアデニル化部位、及び/又は転写終止配列を含有している。プロモーターとしては、例えば、アデノウイルス2主後期プロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、サイトメガロウイルス、ラウスザルコーマウイルス、又は真核生物遺伝子からのプロモーター(例えば、エストロゲン誘導ニワトリ卵アルブミン遺伝子、インターフェロン遺伝子、グルココルチコイド誘導チロシンアミノトランスフェラーゼ遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子、主初期及び後期アデノウイルス遺伝子、ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子、又はα因子遺伝子等)が好ましい。
【0023】
複製開始点としては、アデノウイルス、SV40、ウシパピローマウイルス(BPV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、又はそれらの誘導体ベクター由来のものを用いることができる。また、この際のマーカー遺伝子としては、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、メトトレキセート耐性ジヒドロ葉酸還元酵素(DHR)遺伝子、又はブラストサイアジンS耐性遺伝子等を用いることができる。
【0024】
昆虫細胞の宿主としては、例えば、BmN4細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、又はTrichoplusianiの卵巣細胞等を用いることができる。また、カイコの幼虫個体も用いることもできる。昆虫細胞への遺伝子導入のためには、ウイルスDNAと目的遺伝子を組み込んだトランスファーベクターとを昆虫細胞に共感染させて行うことができる。ウイルスDNAとしては、例えば、Bombyx mori nuclear polyhedrosis virus、又はAutographica californica multiple nuclear polyhedrosis virus等を用いることができる。目的遺伝子を挿入するトランスファーベクターとしては、例えば、ポリヘドリンプロモーターやp10プロモーターベクターが使用可能であり、これらのプロモーターの下流に目的遺伝子を組み込むことができる。また、トランスファーベクターは大腸菌での複製は可能だが、昆虫細胞等では複製はできない。従って、大腸菌で大量に複製してから昆虫細胞等により発現させることが好ましい。この方法によると動物細胞の場合より発現物質を大量に回収することができる。
【0025】
このようにして、作製した発現プラスミドを適当な宿主細胞、例えば、大腸菌若しくは酵母等の微生物細胞、又は動物細胞などへ導入することにより、本発明の形質転換体を製造することができる。DNAの導入方法としては、公知の手法、例えば、塩化カルシウム処理したコンピテント細胞の利用、プロトプラスト法、リン酸カルシウム法、又は電気せん孔法などを用いることができる。
【0026】
本発明によるタンパク質には、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体が含まれる。本発明によるタンパク質は、造血機能に影響を与える活性を有し、例えば、血管中に投与すると、白血球及び血小板の数を低下させ、同時に、赤血球の数を増加させる活性を有する。従って、本発明は、前記の配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体を有効成分として含有する医薬組成物にも関する。
本発明の医薬組成物は、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体を、それ単独で、又は好ましくは製剤学的若しくは獣医学的に許容することのできる通常の担体と共に、動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)に経口投与又は非経口投与することができる。投与剤型としては、特に限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射剤、外用液剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、若しくは点眼薬などの非経口剤を挙げることができる。
【0027】
これらの経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、若しくはプロピレングリコール脂肪酸エステル)]、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなどの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用いて、常法に従って製造することができる。
【0028】
非経口投与方法としては、注射(皮下、静脈内等)、又は直腸投与等が例示される。これらのなかで、注射剤が最も好適に用いられる。
例えば、注射剤の調製においては、有効成分としての配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体の他に、例えば、生理食塩水若しくはリンゲル液等の水溶性溶剤、植物油若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤などを任意に用いることができる。
また、本発明の医薬組成物は、徐放性ポリマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて投与してもよい。例えば、本発明の医薬組成物をエチレンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、このペレットを治療すべき組織中に外科的に移植することができる。
【0029】
本発明の医薬組成物は、これに限定されるものではないが、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体を、0.0001〜99重量%、好ましくは0.01〜80重量%、より好ましくは0.01〜50重量%の量で含有することができる。
本発明の医薬組成物を用いる場合の投与量は、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度、又は投与方法などにより異なり、特に制限はないが、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体量として通常成人1人当り0.0001μg/kg〜10,000μg/kg、好ましくは0.001μg/kg〜1,000μg/kg、より好ましくは0.01μg/kg〜100μg/kg程度を、1日1〜4回程度にわけて、経口的に又は非経口的に投与する。
更に、用途も医薬品に限定されるものではなく、種々の用途、例えば、機能性食品や健康食品として飲食物の形で与えることも可能である。
【0030】
本発明の医薬組成物は、有効成分として配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体を含有するので、例えば、白血球減少剤、血小板減少剤、又は赤血球増加剤として有用である。
一般に、炎症時には、白血球が血液中に動員され、炎症部位に移行し、病態を進展/発症することが知られているので、本発明のヒトADAMTS−1タンパク質は、各種炎症疾患[例えば、リウマチ性関節炎、乾癬、喘息、肝炎、川崎病、痛風、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、クローン病、潰瘍性大腸炎、敗血症、又は腎炎など]の治療に有効であると考えられる。また、本発明のヒトADAMTS−1タンパク質には、血小板数及び白血球数を減少させる作用があるので、例えば、真性多血症の治療に有効である。また、発明のヒトADAMTS−1タンパク質には血小板数を減少させる作用があることから、本発明のヒトADAMTS−1タンパク質が抗血栓作用を有することが予想され、例えば、心筋梗塞、脳梗塞、又は多臓器不全の治療にも有効であると考えられる。更には、ヒトADAMTS−1タンパク質には有意に赤血球数を上昇させる作用があることから、エリスロポエチンのように、貧血の治療にも有効であると考えられる。
【0031】
免疫系刺激物質であるリポ多糖体(LPS;例えば、10μg/マウス)をマウスに投与すると、マウスADAMTS−1遺伝子の発現が、心臓及び腎臓において超誘導される[J.Biol.Chem.,272,556−562(1997)]ことから、マウスADAMTS−1タンパク質は、致死的な急性炎症時(例えば、エンドトキシンショック)に、心臓及び腎臓に対して防衛的に(protective)に機能している可能性がある。
【0032】
トロンボスポンジン(TSP)は、内皮細胞増殖を特異的に抑制する血管新生抑制因子として知られており[J.Cell.Biol.,111,765−772(1990)]、TSP遺伝子を導入した癌細胞において、癌細胞の増殖・転移を抑制することが可能であるとの報告[Cancer.Res.,54,6504−6511(1994)]がなされていることから、ヒトADAMTS−1タンパク質も、制癌作用や癌転移抑制作用を示す可能性がある。また、TSPやディスインテグリンは骨代謝にも関与するとの最近の報告[Biochem.Biophy.Res.Commun.,213,1017−1025(1995)]から、ヒトADAMTS−1タンパク質の骨粗鬆症などの代謝性骨疾患治療への応用も考えられる。
【0033】
本発明の免疫反応性物質は、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(特には、ヒトADAMTS−1タンパク質)、又はヒトADAMTS−1タンパク質改変体と特異的に反応する。本発明の免疫反応性物質には、例えば、抗体(モノクローナル抗体若しくはポリクローナル抗体)、これらの抗体のフラグメント[例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2 、又はFv等]、又は抗血清などが含まれる。本発明の免疫反応性物質は、ヒトADAMTS−1タンパク質と特異的に反応するので、ヒトADAMTS−1タンパク質の免疫学的分析方法の試薬として有用である。
【0034】
本発明のモノクローナル抗体は、従来公知の方法、例えば、次のようにして調製することができる。
抗原を含む生理食塩水を等量のフロイント氏完全アジュバンド若しくは不完全アジュバンド、又はその等価物、例えば、Hunter’s TiterMaxTM(フナコシ;Cat.No.YT001−00,東京,日本)と乳化混合して、常用する骨髄腫細胞との適性を考慮して選択された哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、又はハムスターなど)、特にはマウス(例えば、BALB/cマウス)の皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、又は皮内等のいずれかに投与する(初回免疫)。以後、2〜4週間の間隔で同様の操作を行い、数回免疫する。最終免疫を抗原液のみで行い、最終免疫から数日後に哺乳動物から脾臓を無菌的に取り出し、脾細胞を調製する。
この脾細胞を用いて、細胞融合を行う。細胞融合のもう一方の親細胞である骨髄腫細胞は公知の細胞株、例えば、P3X63−Ag8(X63)[Nature,256,495−497(1975)]、P3X63−Ag8U1(P3U1)[Current Topics in Microbiology and Immunology,81,1−7(1978)]、P3X63Ag8.653(ATCC受託番号:CRL−1580)などを使用することができる。
【0035】
細胞融合は、公知の方法に従い、例えば、ミルシュタインらの方法[Methods in Enzymology,73,3−47(1981)]等に準じて行うことができる。得られたハイブリドーマを移植した哺乳動物(例えば、マウス)の腹水から目的とするモノクローナル抗体を分離精製する。分離精製には、公知の方法、例えば、硫酸アンモニウムによる透析イオン交換クロマトグラフィー、プロテインA若しくはプロテインG結合多糖類担体若しくは抗マウスイムノグロブリン抗体結合多糖類担体を用いた親和性カラムクロマトグラフィー、透析、又は凍結乾燥などを用いることができる。
【0036】
また、本発明のポリクローナル抗体は、従来公知の方法、例えば、以下に示す方法により調製することができる。すなわち、抗原を含む生理食塩水を等量のフロイント氏完全アジュバンド若しくは不完全アジュバンド、又はその等価物、例えば、Hunter’s TiterMaxTM(フナコシ;Cat.No.YT001−00,東京,日本)と乳化混合して、哺乳動物、特にはウサギ、又はヤギ等の皮下、腹腔内、又は筋肉内などのいずれかに投与する(初回免疫)。以後、2〜4週間の間隔で同様の操作を行い、数回免疫する。最終免疫から1〜2週間後に哺乳動物の頸動脈又は心臓から血液を採取して血清を硫酸アンモニウムによって塩析することにより調製することができる。
【0037】
本発明の抗体フラグメントは、例えば、本発明のポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を常法によりタンパク質分解酵素によって消化し、続いて、タンパク質の分離・精製の常法に従って得ることができる。
【0038】
免疫機能刺激物質であるLPSなどによりヒトADAMTS−1タンパク質の産生が亢進されることなどから、ヒトADAMTS−1タンパク質を、免疫状態の体外検出方法において免疫状態の診断マーカーと利用することができる。すなわち、被検対象者から採取した被検試料に関して、本発明の体外検出方法を適用することによって、その被検対象者の生体防御系が、種々の疾病、例えば、炎症、癌、悪疫質(例えば、癌悪疫質若しくは感染症性悪疫質など)、感染症、又は白血病などにより変化している場合には、その生体防御系に相当する免疫状態を検出することができる。一方、前記被検対象者の生体防御系が正常である場合には、その生体防御系に相当する免疫状態を検出することができる。
【0039】
本発明において用いることのできる被検試料としては、ヒトADAMTS−1タンパク質が含まれている可能性があれば特に限定されるものではなく、生物学的試料、例えば、ヒト(特には患者)から採取した細胞等の組織若しくはその抽出物、又は血液(例えば、血清又は血漿)、尿、若しくは脳脊髄液等の体液などを例示することができる。また、通常の臨床検査等における被検試料であれば、特に限定されず、使用することが可能である。
【0040】
被検試料中におけるヒトADAMTS−1タンパク質の分析工程では、まず最初に、前記の被検試料を、ヒトADAMTS−1タンパク質と免疫学的に反応性のある免疫反応性物質と接触させる。この際に、もし被検試料内にヒトADAMTS−1タンパク質が存在しなければ、前記免疫反応性物質との反応が生じないが、もし被検試料内にヒトADAMTS−1タンパク質が存在すると、そのヒトADAMTS−1タンパク質と前記の免疫反応性物質とが結合して、ヒトADAMTS−1タンパク質と免疫反応性物質との結合体が、ヒトADAMTS−1タンパク質の存在量に応じて生成する。この結合体は、公知の方法によって簡単に検出することができるので、結合体の存在や量から前記被検試料中のヒトADAMTS−1タンパク質の存在を検出したり、その量を測定することができる。被検試料として組織切片又は細胞を用い、蛍光抗体法又は酵素抗体法により、組織又は細胞中のヒトADAMTS−1タンパク質を測定することも可能である。
【0041】
ヒトADAMTS−1タンパク質と免疫学的に反応することのできる免疫反応性物質としては、例えば、抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗血清、抗ヒトADAMTS−1タンパク質ポリクローナル抗体、若しくは抗ヒトADAMTS−1タンパク質モノクローナル抗体、又はこれらの抗体のフラグメント等が挙げられる。これらは単独でも、また組み合わせて同時に用いることもできる。前記抗体フラグメントには、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2 、又はFv等が含まれる。
【0042】
本発明のヒトADAMTS−1タンパク質の免疫学的分析方法では、被検試料と、ヒトADAMTS−1タンパク質と免疫学的に反応することのできる免疫反応性物質とを接触させ、ヒトADAMTS−1タンパク質−免疫反応性物質結合体を生成させる。そして、免疫化学的測定法により、抗体に結合したヒトADAMTS−1タンパク質を検出し、その量を測定することによって、被検試料中のヒトADAMTS−1タンパク質レベルを知ることができる。
【0043】
免疫化学的測定法としては、原則的には、すべての慣用のイムノアッセイ、例えば、EIA法、ELISA法、又はRIA法等を用いることができる。これらの免疫化学的測定法は、一般に次の方法に大別することができる。
(1)競合法:未知量の抗原を含む被検試料と標識剤で標識した抗原の一定量とを対応する抗体の一定量に対して競合反応させ、抗体と結合した標識抗原又は抗体と結合しなかった標識抗原の活性を測定する。
(2)サンドイッチ法:未知量の抗原を含む被検試料に、担体上に保持された過剰量の抗体を加えて反応させ(第1反応)、次に標識剤で標識した過剰量の抗体の一定量を加えて反応させる(第2反応)。担体上に保持された標識抗体又は担体上に保持されなかった標識抗体の活性を測定する。第1反応及び第2反応は同時に行ってもよいし、時間をずらして行ってもよい。
標識剤が放射性同位元素である場合には、ウェルカウンター又は液体シンチレーションカウンターで測定することができる。標識剤が酵素である場合には、基質を加えて放置し、比色法又は蛍光法で酵素活性を測定することができる。標識剤が蛍光物質や発光物質であっても、それぞれ公知の方法に従って測定することができる。
【0044】
上記の方法以外に、最近では、電気泳動したタンパク質をニトロセルロース等のフィルターに移し、抗体を用いて目的のタンパク質を検出する、ウェスタンブロット法が行われるようになってきたが、本発明におけるヒトADAMTS−1タンパク質の検出にももちろん利用することができる。
これらの測定法において用いる抗体は、公知の抗体標識法によって標識することができ、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、又は発光性物質等の適当なマーカーで標識しておくことができる。
放射性同位元素としては、例えば、 125I、 131I、 3H、14C、又は35Sなどを用いることができる。
【0045】
酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、グリコシダーゼ(例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、β−フルクトシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダーゼ、若しくはα−マンノシダーゼ)、アミラーゼ(例えば、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼ、若しくはタカアミラーゼ)、セルラーゼ、若しくはリゾチーム等のカルボヒドラーゼ;ウレアーゼ、若しくはアスパラギナーゼ等のアミダーゼ;コリンエステラーゼ(例、アセチルコリンエステラーゼ)、ホスファターゼ(例、アルカリホスファターゼ)、スルファターゼ、若しくはリパーゼ等のエステラーゼ;デオキシリボヌクレアーゼ、若しくはリボヌクレアーゼ等のヌクレアーゼ;カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、若しくはチトクロームオキシダーゼ等の鉄・ポルフィリン酵素;チロシナーゼ、若しくはアスコルビン酸オキシダーゼ等の銅酵素;又はアルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵素、若しくはイソクエン酸脱水素酵素等の脱水素酵素などを用いることができる。
蛍光物質としてはフルオレスカミン、又はフルオレッセンスイソチオシアネートなどを、発光性物質としてはルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、又はルシゲニンなどをそれぞれ挙げることができる。
【0046】
前記の各種標識からの信号の検出は、それ自体公知の方法で実施することができる。
また、抗体と標識剤とを結合させる方法としては、任意の常法、例えば、クロラミンT法[Nature,194,495−496,(1962)]、過ヨウ素酸法[Journal of Histochemistry and Cytochemistry,22,1084−1091,(1974)]、又はマレイミド法[Journal of Biochemistry,79,233−236,(1976)]などを用いることができる。
【0047】
上記測定方法のうち、例えば、EIA法は次のように行うことができる。まず、担体(例えば、アッセイプレート)上に固定された第1抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体に被検試料を加え、ヒトADAMTS−1タンパク質と抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体とを結合させて結合体を生成させ、この結合体に酵素標識剤(例えばペルオキシダーゼ)を結合させた第2抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体を加え、前記結合体に第2抗体を更に結合させ、「第1抗体−ヒトADAMTS−1タンパク質−第2抗体」結合体を生成させる。得られた「第1抗体−ヒトADAMTS−1タンパク質−第2抗体」結合体に、前記標識酵素(ペルオキシダーゼ)の基質を加え、酵素反応による生成物の吸光度又は蛍光強度を測定することにより前記の「第1抗体−ヒトADAMTS−1タンパク質−第2抗体」結合体に付着する標識酵素の酵素活性を測定する。上記の一連の操作を既知量のヒトADAMTS−1タンパク質を含む標準溶液に関して予め実施しておき、ヒトADAMTS−1タンパク質と吸光度又は蛍光強度との関係を標準曲線として作成しておく。そして、未知量のヒトADAMTS−1タンパク質を含む被検試料について得られた吸光度又は蛍光強度を標準曲線にあてはめ、被検試料中のヒトADAMTS−1タンパク質の量を測定することができる。
【0048】
また、以下に示す方法によってEIA法を行うこともできる。すなわち、まず、担体(例えば、アッセイプレート)と被検試料とを接触することにより、被検試料内のヒトADAMTS−1タンパク質を担体上に固定させ、続いて抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体(1次抗体)を加え、ヒトADAMTS−1タンパク質と1次抗体とを結合させて結合体を生成させ、この結合体に酵素標識剤(例えばペルオキシダーゼ)を結合させた抗1次抗体抗体(2次抗体)を加え前記結合体に2次抗体を結合させ、「ヒトADAMTS−1タンパク質−1次抗体−2次抗体」結合体を生成させる。得られた「ヒトADAMTS−1タンパク質−1次抗体−2次抗体」結合体に、前記標識酵素(ペルオキシダーゼ)の基質を加え、酵素反応による生成物の吸光度、又は蛍光強度を測定することにより、前記の「ヒトADAMTS−1タンパク質−1次抗体−2次抗体」結合体に付着する標識酵素の酵素活性を測定する。上記の一連の操作を既知量のヒトADAMTS−1タンパク質を含む標準溶液に関して予め実施しておき、ヒトADAMTS−1タンパク質と吸光度又は蛍光強度との関係を標準曲線として作成しておく。そして、未知量のヒトADAMTS−1タンパク質を含む被検試料について得られた吸光度又は蛍光強度を標準曲線にあてはめ、被検試料中のヒトADAMTS−1タンパク質の量を測定することができる。
【0049】
また、RIA法は、例えば、次のようにして行うことができる。まず、担体(例えば、試験管)に固定された第1抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体に被検試料を加え、ヒトADAMTS−1タンパク質と抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体とを結合させて結合体を生成させ、この結合体に放射性同位元素標識剤(例えば、 125I)で標識された第2抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体を加え、前記結合体に第2抗体を更に結合させ、「第1抗体−ヒトADAMTS−1タンパク質−第2抗体」結合体を生成させる。得られた「第1抗体−ヒトADAMTS−1タンパク質−第2抗体」結合体の放射能活性(例えば、γ−放射能活性)を測定する。上記の一連の操作を既知量のヒトADAMTS−1タンパク質を含有する標準溶液に関して予め実施しておき、ヒトADAMTS−1タンパク質と放射能活性との関係を標準曲線として作成しておく。そして、未知量のヒトADAMTS−1タンパク質を含む被検試料について得られた放射能活性を標準曲線にあてはめ、被検試料中のヒトADAMTS−1タンパク質の量を測定することができる。
【0050】
また、以下に示す方法によってRIA法を行うこともできる。すなわち、まず、担体(例えば、試験管)と被検試料とを接触させて被検試料内のヒトADAMTS−1タンパク質を前記担体上に固定させ、続いて抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗体(1次抗体)を加えてヒトADAMTS−1タンパク質と1次抗体とを結合させて結合体を生成させ、この結合体に放射性同位元素標識剤(例えば、 125I)を結合させた抗1次抗体抗体(2次抗体)を加えて前記結合体に2次抗体を結合させ、「ヒトADAMTS−1タンパク質−1次抗体−2次抗体」結合体を生成させる。そして、得られた「ヒトADAMTS−1タンパク質−1次抗体−2次抗体」の放射能活性(例えば、γ−放射能活性)を測定する。上記の一連の操作を既知量のヒトADAMTS−1タンパク質を含む標準溶液に関して予め実施しておき、ヒトADAMTS−1タンパク質と放射能活性との関係を標準曲線として作成しておく。そして、未知量のヒトADAMTS−1タンパク質を含む被検試料について得られた放射能活性を標準曲線にあてはめ、被検試料中のヒトADAMTS−1タンパク質の量を測定することができる。
【0051】
被験試料中におけるヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAの分析では、被験試料と、ヒトADAMTS−1タンパク質mRNAの塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドとを反応させ、生成するヒトADAMTS−1タンパク質mRNA−ポリヌクレオチド結合体の存在を検出、又はその量を測定することにより、ヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAを分析することができる。
上記ポリヌクレオチドは、選択された遺伝子(DNA)から転写されたmRNAの一部と相補的な又は実質的に相補的な配列を含み、標的遺伝子から転写されたmRNAとの間で二重鎖を形成する。その標的mRNAと安定な複合体を形成するために十分な相補性を有するいずれのポリヌクレオチドも適当であると考えられる。本発明に用いることのできるポリヌクレオチドは、実質的に標的mRNA内のどの領域の範囲で相補的であってもよい。ポリヌクレオチド分子は、ヒトADAMTS−1タンパク質遺伝子に特異的なmRNA発現の増減を検出するDNAプローブとして用いることができる。すなわち、標的であるヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAに特異的に付着し、分子ハイブリッドを形成することにより、細胞内のヒトADAMTS−1タンパク質の発現の程度を検出することができる。
【0052】
本発明で用いることのできるポリヌクレオチドは、標的ヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAの特異的塩基配列と相補的な塩基配列を適宜選択し、例えば、公知のDNA合成装置、PCR装置、又は遺伝子クローニング等を用いて調製することができる。種々の長さのポリヌクレオチドを使用することができるが、好ましくは10塩基以上、より好ましくは17塩基以上を有するものが好適である。
【0053】
前記のポリヌクレオチドは、修飾されていないポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド類似体であることができる。適当な類似体として、例えば、エチル−又はメチルホスホネート類似体、ホスホロチオエート修飾されたポリデオキシヌクレオチド[Nucleic Acids Res.,14,9081−9093,(1986);J.Am.Chem.Soc.,106,6077−6079,(1984)]等が挙げられる。更に、近年のポリヌクレオチド類似体の製造における進歩により、例えば、2’−O−メチルリボヌクレオチド[Nucleic Acids Res.,15,6131−6148,(1987)]又は複合RNA−DNA類似体であるキメラポリヌクレオチド[FEBS Lett.,215,327−330,(1987)]等も使用することができる。
【0054】
選択されたポリヌクレオチドは、電荷をもつもの、又は電荷をもたないものを含め、いかなる種類のものでもよい。in vitro又はin vivoでこのような実験を行うために、ポリヌクレオチドを公知の標識剤、例えば、放射性同位元素又は蛍光物質等で常法によって標識することができる。放射性同位元素としては、例えば、 125I、 131I、 3H、14C、32P、又は35S等がある。なかでも、放射性同位元素としてランダムプライマー法[Anal.Biochem.,132,6−13,(1983)]を用いて32Pで標識するのが好適である。また、より容易で危険性の少ない取扱が可能なものとして誘導体形成した蛍光色素が挙げられる。蛍光色素としては、ポリヌクレオチドと結合するすべての色素を用いることができるが、例えば、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、4−フルオロ−7−ニトロベンゾフラザン(NBD)、クマリン、フルオレサミン、スクシニルフルオレセイン、又はダンシル等が好適に用いられる。
【0055】
例えば、ヒトADAMTS−1タンパク質のcDNAを用いたノーザンブロット解析によるヒトADAMTS−1タンパク質mRNA量の測定は、以下のように行うことができる。すなわち、任意の体細胞又は組織からmRNAを抽出、単離し、単離したmRNAをアガロースゲルで電気泳動し、ニトロセルロース又はナイロンメンブランに転写した後、標識ヒトADAMTS−1タンパク質cDNAプローブと反応させることにより、ヒトADAMTS−1タンパク質mRNA量を測定する。使用するヒトADAMTS−1タンパク質cDNAプローブは、ヒトADAMTS−1タンパク質mRNAに相補的なDNAであり、17塩基以上の長さをもつことが望ましい。
【0056】
本発明の免疫状態の分析試薬は、主要成分として、ヒトADAMTS−1タンパク質と免疫学的に反応することのできる免疫反応性物質を含む。ヒトADAMTS−1タンパク質と免疫学的に反応することのできる免疫反応性物質としては、例えば、抗ヒトADAMTS−1タンパク質抗血清、抗ヒトADAMTS−1タンパク質ポリクローナル抗体、若しくは抗ヒトADAMTS−1タンパク質モノクローナル抗体、又はこれらの抗体のフラグメント等が挙げられる。
また、本発明の免疫状態分析試薬は、主要成分として、前記免疫反応性物質の代わりに、ヒトADAMTS−1タンパク質mRNAの塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドを含む構成とすることもできる。
【0057】
本発明の免疫状態分析試薬を用いることにより、これまで述べてきた方法に従って、被検試料中におけるヒトADAMTS−1タンパク質それ自体、又はヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAを分析し、その結果から、種々の疾病により生体防御系が変化した被験対象の免疫状態を判定することができる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:ヒトADAMTS−1cDNAの単離及び塩基配列の決定
PCR法用のプライマーとして、マウスADAMTS−1タンパク質[J.Biol.Chem.,272,556−562(1997)]における3個のトロンボスポンジン(TSP)ドメインの内、N末端から1番目のTSPドメイン中のアミノ酸配列(配列表の配列番号3)に対応する塩基配列(配列表の配列番号4)からなるDNA[以下、フォワードプライマー(1)と称する]と、マウスADAMTS−1タンパク質のC末端のアミノ酸をコードする塩基配列及びその周辺(すなわち、上流側及び下流側領域)の塩基配列に相補的な塩基配列(配列表の配列番号5)からなるDNA[以下、バックプライマー(1)と称する]を化学合成した。
【0059】
0.5μMフォワードプライマー(1)、0.5μMバックプライマー(1)、0.5ユニットTaqポリメラーゼ(Ex Taqポリメラーゼ;宝酒造,京都,日本)、40μM−4dNTP、及びPCR緩衝液[組成:10mMトリス−HCl(pH8.3),50mM−KCl](Ex Taqバッファー;宝酒造,京都,日本)を含む溶液99μlに、鋳型DNAとしてヒト腎臓cDNAライブラリー(Marathon−Ready cDNA;Clontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)1μlを加え、通常のPCR法に比べて低いアニーリング温度でPCR法を実施した。すなわち、変性工程を94℃で30秒間実施し、アニーリング工程を50℃で30秒間実施し、DNA合成工程を72℃で2分間実施するサイクルを、40サイクル実施した。
【0060】
得られた反応液から5μlを取り出し、アガロースゲル(1%)電気泳動を行ったところ、図1に示すように、1.2Kbの単一のDNAバンドを認めた。残りの反応液を再泳動し、1.2KbのDNA断片(以下、Flag.1DNA断片と称する)を低融点アガロースゲルから回収し、pCRTM2.1ベクター(Invitrogen Corp.,サンディエゴ,カリフォルニア州,米国)にクローニングした。
【0061】
オートマチックDNAシークエンサー(DSQ1000;島津製作所,京都,日本)により、クローニングしたFlag.1DNA断片の塩基配列の一部(303bp)を決定し、マウスADAMTS−1に対してホモロジー検索を実施した結果、77.4%の相同性が認められた。Flag.1DNA断片の部分塩基配列、及びその配列と相同性が認められるマウスADAMTS−1遺伝子の部分塩基配列を図2に示す。図2において、「:」は、Flag.1DNA断片とマウスADAMTS−1遺伝子との間で、対応する塩基が一致することを表わす。
更に、ランダムプライムドDNA−ラベリングキット(Boehringermanmheim GmbH,ドイツ)を用いて32PでラベルしたマウスADAMTS−1cDNAが、前記Flag.1DNA断片にハイブリダイズすることを、ドットハイブリダイゼーション法[Biochemistry,16,4743−4749(1977)]により確認した。結果を図3に示す。コントロールであるpCRTM2.1ベクターには、32PでラベルしたマウスADAMTS−1cDNAがハイブリダイズしなかったのに対して、マウスADAMTS−1cDNA及びFlag.1DNA断片には、32PでラベルしたマウスADAMTS−1cDNAがハイブリダイズした。
以上のホモロジー検索及びドットハイブリダイゼーションの結果から、このFlag.1DNA断片がヒトADAMTS−1の一部であることが判明した。
【0062】
前記Flag.1DNA断片の上流のDNA断片を得るために、マラソンcDNA増幅キット(Marathon cDNA Amplification kit;Clontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)を用いて、RACE(Rapid amplification ofcDNA ends)法を以下のように実施した。
Flag.1DNA断片の塩基配列に関するバックプライマーとして、Flag.1DNA断片の3’末端領域の塩基配列に相補的な塩基配列(配列表の配列番号6)からなるDNA(以下、GSP−1プライマーと称する)と、Flag.1DNA断片の5’側の塩基配列に相補的な塩基配列(配列表の配列番号7)からなるDNA(以下、GSP−2プライマーと称する)とを化学合成した。
また、フォワードプライマーとしては、前記キットに含まれるAP1プライマー及びAP2プライマーをそれぞれ使用した。AP1プライマーの塩基配列は、配列表の配列番号8の配列で表わされる塩基配列であり、AP2プライマーの塩基配列は、配列表の配列番号9の配列で表わされる塩基配列である。
【0063】
ヒト腎臓cDNAライブラリー(Marathon−Ready cDNA;Clontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)5μl、AP1プライマー1μl、GSP−1プライマー(10μM)1μl、Taqポリメラーゼ(Ex Taqポリメラーゼ)(0.5ユニット)1μl、抗Taqポリメラーゼ抗体(Taq Start Antibody;Clontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)1μl、10倍濃度PCRバッファー[組成:100mMトリス−HCl(pH8.3),500mM−KCl](Clontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)5μl、及び蒸留水36μlを混合し、PCR反応を実施した。前記PCR反応は、94℃で30秒間の工程と68℃で4分間とからなるサイクルを35サイクル実施した。得られた反応液を10mMトリシン−EDTAバッファー(Clontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)で50倍に希釈した。
【0064】
続いて、前記希釈液5μl、AP2プライマー1μl、GSP−2プライマー(10μM)1μl、Taqポリメラーゼ(Ex Taqポリメラーゼ)(0.5ユニット)1μl、抗Taqポリメラーゼ抗体(Taq Start Antibody)1μl、10倍濃度PCRバッファー(Clontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)5μl、及び蒸留水36μlを混合し、PCR反応を実施した。前記PCR反応は、94℃で30秒間の工程と68℃で4分間の工程とからなるサイクルを20サイクル実施した。
得られた反応液から5μlを取り出し、1%アガロースゲル電気泳動を行ったところ、図4に示すように、約1.2Kbの単一のDNAバンドを得た。常法に従って、このDNA断片(以下、Flag.2DNA断片と称する)をpCRTM2.1ベクターにクローニングし、Flag.2DNA断片の全塩基配列をダイターミネーターサイクルシークエンス(Dye Terminator Cycle Sequencing)法(Perkin Elmer Japan,浦安,日本)により決定した。
【0065】
また、Flag.1DNA断片についても、ダイターミネーターサイクルシークエンス(Dye Terminator Cycle Sequencing)法(Perkin Elmer Japan,浦安,日本)により全塩基配列を決定し、Flag.1DNA断片及びFlag.2DNA断片の塩基配列を統合することにより、ヒトADAMTS−1cDNAの全塩基配列を決定した。ヒトADAMTS−1cDNAの全塩基配列(停止コドンを含め、2184bp)は、配列表の配列番号2の配列で表わされる塩基配列であり、前記塩基配列から推定されるヒトADAMTS−1タンパク質のアミノ酸配列(アミノ酸残基727個)は、配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列である。なお、図2に示すFlag.1DNA断片の一部塩基配列と、配列表の配列番号2の配列で表わされるヒトADAMTS−1cDNAの全塩基配列との間に、一部、塩基配列が一致しない箇所があるが、図2に示す前記一部塩基配列は、配列決定の途中で得られた塩基配列であり、配列表の配列番号2の配列で表わされる塩基配列が、最終的に決定したヒトADAMTS−1cDNAの正しい塩基配列である。
【0066】
ヒトADAMTS−1タンパク質は、システインに富み、C末端側領域に塩基性アミノ酸であるリジン及びアルギニンが多く分布しており、N−グリコシレーション部位(第307番目〜第309番目のアミノ酸、及び第524番目〜第526番目のアミノ酸)が2個存在する。
【0067】
ヒトADAMTS−1遺伝子とマウスADAMTS−1遺伝子との塩基配列におけるホモロジーを図5〜図9に、それぞれの塩基配列から予想されるアミノ酸配列におけるホモロジーを図10〜図12に示す。
図5〜図9において、「*」は、ヒトADAMTS−1遺伝子とマウスADAMTS−1遺伝子との間で、対応する塩基が一致することを表わす。
図10〜図12において、「*」は、ヒトADAMTS−1タンパク質とマウスADAMTS−1タンパク質との間で、対応するアミノ酸残基が一致することを表わす。また、図10〜図12において、「MMPドメイン」は、マトリックスメタロプロテアーゼドメインを意味し、第11番目及び第12番目のアミノ酸の間に引いた直線は、その位置からマトリックスメタロプロテアーゼドメインが始まることを表わし、「DIドメイン」は、ディスインテグリンドメインを意味し、第234番目及び第235番目のアミノ酸の間に引いた直線は、その位置からディスインテグリンドメインが始まることを表わす。更に、図10〜図12において、「TSPドメイン」は、トロンボスポンジンドメインを意味し、トロンボスポンジンドメインを構成するアミノ酸配列(3箇所)を四角形で囲んで示す。
ヒトADAMTS−1とマウスADAMTS−1とは、塩基配列において85.5%の相同性を示し、アミノ酸配列において90.1%の相同性を示し、マウスとヒトとの間でその配列がよく保存されているタンパク質であることが判明した。
【0068】
実施例2:大腸菌によるヒトADAMTS−1融合タンパク質の調製
(1)大腸菌発現ベクターの構築
ヒトADAMTS−1タンパク質の内、MMPドメインから下流の部分をすべて含むヒトADAMTS−1部分タンパク質をコードするDNAにおいて、5’側に制限酵素SmaI切断部位を導入し、3’側に制限酵素NotI切断部位を導入するために、配列表の配列番号10の配列で表わされる塩基配列からなるフォワードプライマー(2)及び配列表の配列番号11の配列で表わされる塩基配列からなるバックプライマー(2)を化学合成した。
【0069】
フォワードプライマー(2)5μl、バックプライマー(2)5μl、ヒト腎臓cDNAライブラリー(Marathon−Ready cDNA;Clontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)1μl、Taqポリメラーゼ(Ex Taqポリメラーゼ)(0.5ユニット)1μl、抗Taqポリメラーゼ抗体(Taq Start Antibody;Clontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)1μl、10倍濃度PCRバッファー(Clontech Lab.Inc.,パロアルト,カリフォルニア州,米国)10μl、2.5mM−4dNTP(宝酒造,京都,日本)8μl、及び蒸留水69μlを混合し、PCR反応を実施した。前記PCR反応は、94℃で1分間の工程、55℃で45秒間の工程、及び72℃で2分間の工程からなるサイクルを40サイクル実施した。
【0070】
得られた反応液から5μlを取り出し、1%アガロースゲル電気泳動を行ったところ、図13に示すように、約2.2Kbの単一のDNAバンドを得た。常法に従って、約2.2KbのDNA断片をpCRTM2.1ベクターにクローニングし、得られたプラスミドを大量調製[Nucleic Acids Res.,9,2989−2998(1981)]した。大量調製したプラスミドを制限酵素SmaI(宝酒造,京都,日本)及びNotI(宝酒造,京都,日本)で処理することにより得られる約2.2KbのDNA断片を、大腸菌発現ベクターpGEX−5X−1[Infect Immun.,58,3909−3913(1990)](Pharmacia Biotech,ウプサラ,スウェーデン)のSmaI−NotIサイトにクローニングした。得られた発現プラスミドをpG/ADAMTS−1と命名した。プラスミドpG/ADAMTS−1の構造を図14に模式的に示す。ADAMTS−1タンパク質は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(以下、GSTと称することがある)(分子量=約26Kd)との融合タンパク質(分子量=約96Kd)として発現されると思われる。図14において、「Ori」は、複製開始点を意味し、「AmpR 」は、アンピシリン耐性遺伝子を意味し、「laq Iq 」は、laqリプレッサーを意味する。
【0071】
(2)大腸菌によるGST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の発現
タンパク質分解酵素活性の低い大腸菌株BL−21(Pharmacia Biotech,ウプサラ,スウェーデン)に、プラスミドpG/ADAMTS−1を常法[Proc Natl.Acad.Sci.USA,69,2110−2114(1972)]によりトランスフォームし、そのプラスミドを保持する大腸菌クローンをアンピシリン耐性株として単離した。5つのアンピシリン耐性クローン(以下、クローン#1〜クローン#5と称する)を無作為に選び、アンピシリン(100μg/ml)を含む2×YT培地(トリプトン16g,酵母抽出物10g,塩化ナトリウム5gを蒸留水1リットルに溶解して調製;pH7.2)2mlに殖菌し、37℃で一晩培養した。次に、1つのクローンに対して、アンピシリン(100μg/ml)を含むLB培養液1800μlの入った試験管2本を1組とし、それぞれの試験管に一晩培養した前記培養液200μlを入れた。37℃で2時間培養した後に、2本1組の試験管の内、一方の試験管に発現誘導剤であるイソプロピル−β−D−チオ−ガラクトピラノシド(IPTG)(宝酒造,京都,日本)20μl(最終濃度1.0mM)を加え、更に、37℃で2時間培養を続けた。なお、2本1組の試験管の内、残る一方は、発現誘導剤を入れないコントロールとした。
【0072】
培養液1mlをマイクロ遠心機で遠心(14000rpm,1分間)することにより菌体を集め、リン酸緩衝溶液(組成:140mM−NaCl,2.7mM−KCl,10mM−Na2 HPO4 ,1.8mM−KH2 PO4 ,pH7.2;以下、PBSと称する)100μlで懸濁した後、2×サンプルバッファー(0.25M−トリス−HCl,2%SDS,3%グリセロール,10%β−メルカプトエタノール,0.01%ブロモフェノールブルー;pH6.8)100μlに溶解した。得られた溶液10μlをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(以下、SDS−PAGEと称する)にかけ、クマシー染色法によって目的とするタンパク質の発現誘導を確認した。
【0073】
結果を図15に示す。図15において、「+」で示すレーンは、発現誘導剤であるIPTGを加えて培養した大腸菌を泳動したレーンであり、「−」で示すレーンは、発現誘導剤であるIPTGを加えずに培養した大腸菌を泳動したレーンである。いずれのクローンにおいても、「+」で示すレーンには、「GST−ADAMTS−1」で示す位置に、分子量約100Kdのタンパク質が表われ、この分子量は、GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の予想される分子量(約96Kd)と一致した。なお、このタンパク質は、いずれのクローンにおいても、「−」で示すレーンには表われていなかった。
5種類のクローン(クローン#1〜クローン#5)の内、最も高い発現量を示したクローン#2を以下の実施例に使用した。
【0074】
(3)GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の抽出・精製
クローン#2の一晩培養した培養液1mlを2×YT培養液(100μg/mlアンピシリン含有)100mlに加え、37℃で培養した。600nmにおける吸光度が約0.5になったところで、前記培養液に100mM−IPTG1mlを加え、更に、2時間培養を続けた。
前記培養液を遠心(3000rpm,30分間)することにより、大腸菌を集菌し、得られた菌体をPBS8mlに懸濁した。懸濁液に、0.5M−EDTA溶液1mlと25mg/mlリゾチーム溶液1mlとを加えて、氷中に30分間静置した。更に、110μlのトライトンX−100を加えた後に、超音波破砕機(TAITEC,越谷,日本)により氷上で菌体を破砕した。破砕液を遠心(8000rpm,4℃,10分間)し、得られた沈殿を1.0%トライトンX−100含有PBS30mlに懸濁し、再び遠心(8000rpm,4℃,10分間)した。
【0075】
得られた沈殿を10mM−EDTA溶液2mlに懸濁し、8M尿素及び1%メルカプトエタノールを含有する50mMトリス−HClバッファー(pH8.5)50mlを加えた。充分に混合した後に、遠心(15000rpm,4℃,5分間)し、得られた上清を10mMトリス−HClバッファー(pH8.5)5リットルに対して4℃で透析した。透析を行った溶液を遠心(15000rpm,4℃,5分間)し、得られた上清を陰イオンクロマトグラフィー(Econo−Pac High Q;Bio−Rad Lab.,ハーキュルス,カリフォルニア州,米国)に吸着させた後に、0.2〜0.4M塩化ナトリウム水溶液で溶出される画分を、PBS3リットルに対して透析し、続いて、グルタチオンセファロース4B(Pharmacia Biotech,ウプサラ,スウェーデン)1mlに吸着させた[Nucleic Acids Res.,9,2989−2998(1981)]。
【0076】
PBS50mlで前記グルタチオンセファロース4Bを洗浄した後に、10mMグルタチオン溶液8mlで溶出させ[Nucleic Acids Res.,9,2989−2998(1981)]、GST検出キット(Pharmacia Biotech,ウプサラ,スウェーデン)にてGST活性の高い画分をプールした。
得られた画分の一部をSDS−PAGEにかけ、クマシー染色を行ったところ、図16に示すように、GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質であることを、その分子量から確認した。大腸菌培養液100mlより目的タンパク質約1μgを抽出・精製した。
【0077】
得られた融合タンパク質には、GSTとヒトADAMTS−1タンパク質との間にFactor Xa等で切断することができる部位が存在するので、前記プロテアーゼで消化することによりヒトADAMTS−1タンパク質を得ることができる。このヒトADAMTS−1タンパク質は、例えば、抗体を作製するための抗原として使用することができる。
【0078】
実施例3:GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の造血機能に影響を与える活性の検討
GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の造血機能に影響を与える活性を検討するために、実施例2(3)に記載の方法に基づいて、大腸菌培養液3リットルからGST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の大量調製を実施し、目的タンパク質約30μgを得た。
GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の造血機能に影響を与える活性として、マウス尾静脈単回投与による血球系細胞数に与える作用を検討した。この評価系は、少量の目的タンパク質で実施することが可能であり、しかも、迅速に生物活性を明らかにすることができる。コントロールとしてベクターpGEX−5X−1を導入した大腸菌から、実施例2(3)に記載の方法に基づいて抽出・精製したGSTタンパク質を用いた。
【0079】
8匹のC57BL/6Nマウス(チャールスリバー,横浜,日本)(雄,7週令)に、GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質1μgを尾静脈より投与し、投与してから3時間及び24時間後に白血球、赤血球、及び血小板の数を算出した。コントロールとして、8匹のC57BL/6Nマウス(チャールスリバー,横浜,日本)(雄,7週令)に、GSTタンパク質1μgを尾静脈より投与し、同様に、投与してから3時間及び24時間後に白血球、赤血球、及び血小板の数を算出した。結果を図17に示す。図17から明らかなように、GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質を投与したマウスでは、白血球及び血小板の数が、コントロールに比べて有意に低下し、赤血球の数が、コントロールに比べて有意に増加した。
【0080】
【発明の効果】
本発明によるタンパク質によれば、造血機能を調節することができ、例えば、白血球及び血小板の数を低下させ、同時に、赤血球の数を増加させることができる。
【0081】
【配列表】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
配列番号 : 4
配列の長さ: 30
配列の型 : 核酸
配列
AGAACCTGTG GTGGTGGAGT TCAATACACA 30
【0086】
配列番号 : 5
配列の長さ: 32
配列の型 : 核酸
配列
CCTCTTAACT GCACTGTGTC AGTGTGCAAA AG 32
【0087】
配列番号 : 6
配列の長さ: 23
配列の型 : 核酸
配列
CCTCTTAACT GCACTGTGTC AGT 23
【0088】
配列番号 : 7
配列の長さ: 24
配列の型 : 核酸
配列
CAGGCCCACT CCCAAAGGAA GCTT 24
【0089】
配列番号 : 8
配列の長さ: 27
配列の型 : 核酸
配列
CCATCCTAAT ACGACTCACT ATAGGGC 27
【0090】
配列番号 : 9
配列の長さ: 23
配列の型 : 核酸
配列
ACTCACTATA GGGCTCGAGC GGC 23
【0091】
配列番号 : 10
配列の長さ: 43
配列の型 : 核酸
配列
CACCCCGGGA GGAAGAAGCG ATTTGTGTCC AGCCCCCGTT ATG 43
【0092】
配列番号 : 11
配列の長さ: 42
配列の型 : 核酸
配列
GTGGCGGCCG CCCTCTTAAC TGCACTGTGT CAGTGTGCAA AA 42
【図面の簡単な説明】
【図1】PCR法により得られたFlag.1DNA断片の電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
【図2】マウスADAMTS−1遺伝子とFlag.1DNA断片との相同性を示す説明図である。
【図3】Flag.1DNA断片のドットハイブリダイゼーションの結果を示す説明図である。
【図4】RACE法により得られたFlag.2DNA断片の電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
【図5】本発明のヒトADAMTS−1遺伝子とマウスADAMTS−1遺伝子とのホモロジー(第1番目〜第480番目の塩基配列)を示す説明図である。
【図6】本発明のヒトADAMTS−1遺伝子とマウスADAMTS−1遺伝子とのホモロジー(第481番目〜第960番目の塩基配列)を示す説明図である。
【図7】本発明のヒトADAMTS−1遺伝子とマウスADAMTS−1遺伝子とのホモロジー(第961番目〜第1440番目の塩基配列)を示す説明図である。
【図8】本発明のヒトADAMTS−1遺伝子とマウスADAMTS−1遺伝子とのホモロジー(第1441番目〜第1920番目の塩基配列)を示す説明図である。
【図9】本発明のヒトADAMTS−1遺伝子とマウスADAMTS−1遺伝子とのホモロジー(第1921番目〜第2184番目の塩基配列)を示す説明図である。
【図10】本発明のヒトADAMTS−1タンパク質とマウスADAMTS−1タンパク質とのホモロジー(第1番目〜第240番目のアミノ酸配列)を示す説明図である。
【図11】本発明のヒトADAMTS−1タンパク質とマウスADAMTS−1タンパク質とのホモロジー(第241番目〜第510番目のアミノ酸配列)を示す説明図である。
【図12】本発明のヒトADAMTS−1タンパク質とマウスADAMTS−1タンパク質とのホモロジー(第511番目〜第727番目のアミノ酸配列)を示す説明図である。
【図13】PCR法により得られた本発明によるヒトADAMTS−1遺伝子の完全長のcDNAの電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
【図14】本発明のプラスミドpG/ADAMTS−1の構造を模式的に示す説明図である。
【図15】プラスミドpG/ADAMTS−1により形質転換された形質転換体の電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
【図16】GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質の電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
【図17】GST−ヒトADAMTS−1融合タンパク質のマウス静脈単回投与による血球細胞数に与える作用を示すグラフである。
Claims (13)
- 配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列を含むことを特徴とするタンパク質。
- 配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列において、1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつヒトADAMTS−1活性を有することを特徴とするタンパク質。
- 請求項1又は2に記載のタンパク質をコードすることを特徴とする遺伝子。
- 配列表の配列番号2の配列で表わされる塩基配列を含む、請求項3に記載の遺伝子。
- 請求項3又は4に記載の遺伝子を含むことを特徴とするベクター。
- 請求項5に記載のベクターにより形質転換されたことを特徴とする形質転換体。
- 請求項1又は2に記載のタンパク質を含むことを特徴とする医薬組成物。
- 白血球減少剤である、請求項7に記載の医薬組成物。
- 血小板減少剤である、請求項7に記載の医薬組成物。
- 赤血球増加剤である、請求項7に記載の医薬組成物。
- 請求項1又は2に記載のタンパク質と特異的に反応することを特徴とする、抗体若しくはそのフラグメント又は抗血清。
- 配列表の配列番号1の配列で表わされるアミノ酸配列からなるヒトADAMTS−1タンパク質と免疫学的に反応することのできる抗体若しくはそのフラグメント又は抗血清と、被検試料とを接触させ、ヒトADAMTS−1タンパク質と前記抗体若しくはそのフラグメント又は抗血清との結合体を検出することを特徴とする、前記ヒトADAMTS−1タンパク質の免疫学的分析方法。
- 配列番号2の配列で表わされる塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドと、被検試料とを接触させ、ヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAと前記ポリヌクレオチドとの結合体を検出することを特徴とする、前記ヒトADAMTS−1タンパク質のmRNAの分析方法。
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