JPH11510366A - ヒトiceホモログ - Google Patents
ヒトiceホモログInfo
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- JPH11510366A JPH11510366A JP8536694A JP53669496A JPH11510366A JP H11510366 A JPH11510366 A JP H11510366A JP 8536694 A JP8536694 A JP 8536694A JP 53669496 A JP53669496 A JP 53669496A JP H11510366 A JPH11510366 A JP H11510366A
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- C12N9/64—Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue
- C12N9/6421—Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue from mammals
- C12N9/6472—Cysteine endopeptidases (3.4.22)
- C12N9/6475—Interleukin 1-beta convertase-like enzymes (3.4.22.10; 3.4.22.36; 3.4.22.63)
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、新規なヒト・インターロイキン−1変換酵素ホモログ(ICEY)を同定し、コードするヌクレオチド配列及びアミノ酸配列に関する。本発明には、ICEYをコードするヌクレオチド配列に対するアンチセンス分子、精製ICEYの生成のための発現ベクター、ICEYと特異的に結合し得る抗体、ICEYをコードするヌクレオチド配列を検出するためのハイブリダイゼーションプローブまたはオリゴヌクレオチド、ICEYの発現のための生物工学的処理をされた宿主細胞、ICEYをコードする核酸分子に基づく単球/マクロファージの活性化を診断する診断テスト方法、該タンパク質に特異的に結合し得る抗体の産生のための該タンパク質の使用及びインヒビターのスクリーニングのための該タンパク質の使用が含まれる。
Description
【発明の詳細な説明】
ヒトICEホモログ
技術分野
本発明は分子生物学の分野に属し、特に、本発明は活性化THP−1細胞に由
来する新規なインターロイキン−1変換酵素ホモログの核酸配列及びアミノ酸配
列について記述したものである。
関連出願
本発明は1995年5月31日に出願された来国特許出願第08/443,8
65号の一部継続出願であり、この出願の内容は本出願に一体に組み込まれる。
背景技術
インターロイキン−1変換酵素(ICE)を理解するために、初めにインター
ロイキン−1(IL−1)、その酵素的基質の役割について検証することが理解
の助けになるであろう。IL−1は宿主の天然の免疫、主に細菌感染に対して身
体を防衛する炎症反応の開始に関連するその側面を促進する(Ayala et
al.(1994)J.Immunol.53:2592−2599)。血中
濃度が低い場合には、IL−1はIL−6及びIL−8のような他のサイトカイ
ンの合成、及び白血球の接着を媒介するタンパク質の合成、及びプロスタグラン
ジン生成を
誘発することにより局所的炎症を媒介する(Abbas et al.(199
4)Cellular and Molecular Immunology,
W.B. Saunders Company)。血中濃度が中程度の場合に
は、IL−1は血液の中に入り、熱を発生させたり、肝臓による急性プラズマタ
ンパク質の合成や代謝性るいそう(悪液質)を誘導し得る(Abbas,上述)
。血中濃度が高い場合には、IL−1は慢性関節リュウマチ、敗血症、炎症性腸
疾患、及びインシュリン依存性糖尿病のような様々な炎症関連疾病において観察
されるような組織破壊に関与する(Li et al.(1995)Cell8
0:401−411)。
IL−1を活性化させるのは、2つの遺伝子生成物、IL−1α及びIL−1
βの主として活性化単球からの発現及び放出である(Howard et al
.(1991)J.Immunology147:2964−2969)。両遺
伝子生成物は、単球における約31kDaの不活性前駆物質として初めに合成さ
れる。前IL−1βは、活性化単球から放出される前にIL−1β−変換酵素(
ICE)により17kDaの活性形態に切断される。前IL−1αは放出の前に
カルパイン様IL−1α−変換酵素によって17kDaの活性形態に同様に切断
される(Carruth et al.(1991)J.Biol.Chem.
266:12162−12167)。更に、ICEは活性化単球からのIL−1
αの放出に関連しているが、そのメカニズムは分かっていない(Li,上述)。
IL−1β遺伝子生成物は、慢性関節リュウマチ、敗血症、炎症性腸疾患、及
びインシュリン依存性糖尿病のような炎症性疾患を患っている場合に血中に高濃
度で存在するIL−1の主な形態である(Li,上述)。前IL−1βのICE
による切断は、IL−1βの放出及び血中
におけるIL−1活性の上昇に関連していることから、ICE活性は、このよう
な病理学的な条件の下で高くなり得る。
ICE活性を調節して、宿主の免疫反応に影響を及ぼすIL−1β濃度を変調
することの重要性は、最近確認された。牛痘ウィルスのcrmA遺伝子生成物は
、IL−1βのタンパク分解活性を阻害し、宿主炎症反応を抑制する。欠失した
crmA遺伝子を勧誘する牛痘ウィルスは、炎症反応を抑制することができず、
ウィルスに感染された細胞の減少及び宿主の損傷の減少をもたらす(Miura
et al.(1993)Cell75:653−660)。
ICEは不活性IL−1β前駆物質をその活性形態に切断するものとして特に
知られている新規なシステインプロテアーゼである(Ayala,上述)。この
プロテアーゼは、配列Asp−Xを認識し(ここで、Xは好ましくは小型の疎水
性アミノ酸残基である)、AspとXとの結合を切断する。しかし、多くのAs
p−X結合は、ICEによって認識されず、このことはフランキング配列若しく
は接触性のような他の判定基準を認識及び切断には必要であることを示唆してい
る。IL−1βの場合には、ICEは前駆物質を2つの配列特異的結合、即ち残
基Asp−27とGly−28との間の結合及び残基Asp−116とAla−
117との結合のところで切断して活性IL−1βを形成する。
ICEそれ自体は、細胞内で不活性45kDa前駆物質として合成されて維持
され、この前駆物質は20−及び10−kDaサブユニット、p20及びp10
からなる活性ICEにプロセシングされる(Ayala,上述)。両サブユニッ
トは45kDaの前駆物質に由来しており、この前駆物質は4つの異なるフラグ
メント、即ち13kDa前駆物質ドメイン、p20サブユニット、2kDaスペ
ーサ、及びp10サブユニットに切断される。これら全てのポリペプチドフラグ
メントは、無処置
の45kDa前駆物質においてAsp−X残基が隣接しており、ICE前駆物質
は自己触媒的に活性化される(Ayala,上述)。
ICEの三次元構造は結晶学的研究により決定された(Walker et
al.(1994)Cell78:343−352)。第1に、ICEの活性形
態はそれぞれp20及びp10サブユニットからなる触媒作用領域のホモ二量体
であることが明らかである。第2に、活性部位システイン残基はp20上に位置
しているが、p20及びp10の双方が活性を示すには必要である。サブユニッ
ト構造p20及びp10は組み合わせられて、独特の6本鎖のβシートコアを生
成する。この6本鎖のβシートコアは両側にα螺旋が隣接している。第1の4つ
のβ鎖はp20が寄与したものであるが、残りの2つのβ鎖はp10が寄与した
ものである。
様々なソースに由来するICE遺伝予が配列決定されており、線虫遺伝子ce
d−3と全部で29%のアミノ酸相同性を有し、アポトーシスにおいて何らかの
役割を果たす遺伝子を生成する(Yuan et al.(1993)Cell
75:641−652)。更に、ICE遺伝子はced−3と43%の相同性を
共有する166〜287ばんの残基をコードする配列領域を含む。ced−3が
システインプロテアーゼとして働くか否かということは分かっていないが、ce
d−3はICE活性部位(Cys285及びHis237)に位置する触媒性残基と考
えられているものを有する。活性部位システインを含むアミノ酸ポリペプチドG
lu−Ala−Cys−Arg−Gly(QACRG)は、ネズミ及びヒトや、
CED−3、3つの異なる線形動物に由来するICEの中で保存的な最も長いペ
プチドである。更に、ced−3は触媒性部位(Arg−179、Gln−28
3、Ser−347及びArg−341)における基質のアスパラギン酸カルボ
キシレート基への結合にその側鎖が
関与する同一の4つの残基を含む(Yuan,上述)。
ICE特異的インヒビターcrnAによる阻害作用により、TNF−及びSA
F−誘発アポトーシスがブロックされる。従って、ICEまたはそのホモログは
、TNF−及びFAS−誘発アポトーシスに関与しているものと考えられている
。
更に、ICEは哺乳類の遺伝子Nedd−2/Ich−1、胚形成の脳発生時
に発現され、成人の脳においてダウンレギュレートされる、胚形成において一定
の役割を果たす遺伝子生成物に対する一定の相同性を有する(Yuan,上述)
。Nedd−2、ced−3及びICE遺伝子生成物は、約27%の相同性であ
る。CED−3及びp10のカルボキシ末端は、Nedd−2に対して最も高い
相同性を有する。Nedd−2遺伝子生成物は、高度に保存的なシステインや、
ICEにおいて見られる高度に保存的なQACRGペンタペプチドを含んでおら
ず、恐らくシステインプロテアーゼではない。
活性IL−1βのレベルを制御することによって炎症関連疾病におけるICE
の役割を確認するために、Li(上述)は、ICE欠乏性ノックアウトマウスを
作った。これらの生物工学的に処理されたマウスは、病理学的に通常のマウスで
あるが、単球がリポ多糖類(LPS)のような微生物の生成物で活性化されたと
き前駆物質IL−1βをその活性形態にプロセシングする能力を欠いているマウ
スである。更に、IL−1αの生成は減らされ、微生物の生成物に対する炎症反
応に関与する他のサイトカイン、腫瘍壊死因予(TNF)及びIL−6のレベル
をいくらか減らされた。これらのマウスは、LPS(Li,上述)に曝されてい
るときの敗血症の致死効果に対する耐性を有していた。従って、血流におけるI
L−1βの濃度を減らすべく、ICE活性を阻害することは、炎症関連疾病の治
療方法になり得る。ICEを用いることでこれらの疾
病にかかりやすい患者を識別する助けとすることもできる。
ICEはced−3に対して相同性を有する配列を共有しており、ICEの過
剰発現はアポトーシスを減らすことが観測されていることから、ICE欠乏性マ
ウスの研究は、このようなマウスがその発生については正常であるように思われ
ることから重要であった。ICEが活性時のアポトーシスにおいて重要な役目を
果たすならば、ICE欠乏性マウスは、脳、腸、リンパ系及び脳組織における全
体的な異常を有していたはずである(Li,上述)。しかし、ICEは、IL−
1β前駆物質の切断以外の役目も果たし得る。ICEのメッセンジャーRNAは
IL−1βのメッセンジャーRNAよりもより多くの様々な組織において検出さ
れた(Miura,上述)。
ICEが活性化するサイトカイン、IL−1βは炎症誘発性で、慢性関節リュ
ウマチ、敗血症、炎症性腸疾患、及びインシュリン依存性糖尿病を含む様々な疾
病の病態生理学に関与していることから、ICEは新規な抗炎症性薬物の標的物
質として興味を引いた(Dinarello and Wolff (1993
) N Engl J Med 328:106−13)。新規なICE遺伝子
及びポリペプチドを提供することにより、この前炎症性物質に対するより効果的
でより特異性の高いインヒビターをスクリーニングしデザインする薬物の研究を
より一層進歩させるであろう。これは意外なことではないが、このICEホモロ
グは、活性化単球細胞、即ちホルボール−及び内毒素処理THP−1細胞のライ
ブラリにおいて見いだされた。
THP−1細胞
THP−1は、急性単球性白血病を患う1歳の男子の血液に由来する、明確な
単球性の特徴を持つヒト白血球細胞形である(Tsuchiya S et a
l (1980) Int Cancer 26:17
1−176)。THP−1の単球性は、以下の細胞学的及び細胞化学的基準を用
いて証明された。その基準とは即ち、(1)NaF(フッ化ナトリウム)によっ
て阻害され得るα−ナフチルブチラートエステラーゼ活性、(2)リゾチームの
産生、(3)ラテックス粒子及び感作されたヒツジ赤血球細胞の食作用(外細胞
物質の巻き込み)、及び(4)マイトマイシンCで処理されたTHP−1細胞の
コンカナバリンAで処理する前のT細胞を活性化する能力です。形態学的には、
細胞質は小さなアズール好性顆粒を含有し、核はくぼみが形成され深いフォール
ドで不規則に成形されており、また細胞膜は、恐らく食作用で機能を発揮するF
c及びC3b受容体を有していた。
典型的な単球は単芽球から骨髄中の前単球を通して発生し、成熟形態では約3
日間の半減期を有する。循環単球プールの概ね75%は、血管壁に沿ったところ
に見いだされるが、これらの細胞はランダムに組織内に移動し、抗原提示能を示
したり、または食作用を示すようになる。抗原提示単球は、リンパ節及び皮膚の
指状突起嵌合をなす細網状及び小胞性樹状突起細胞を含む。食作用単球は肝臓の
クッパー細胞として、及び肺胞や骨髄において多数見いだされる。
前駆体単球はアズール親和性ペルオキシダーゼ含有細胞質顆粒において多量に
存在するが、マクロファージは環境をモニタするより多くの細胞表面受容体を有
する。これらの受容体には、免疫グロブリンの受容体、補体の受容体、成長因子
の受容体、リポタンパク質の受容体、ペプチド及びポリ多糖類の受容体が含まれ
る。リガンドとこれらの受容体との結合が、マクロファージの増殖、走化性、分
泌、及び食作用を示す引き金となる。
多くのヒト骨髄性細胞形及びヒト骨髄単球細胞系は、様々な内部刺激及び外部
作用因子に応じてより多くの成熟表現型に分化する能力をいく
らか備えている。上述の内部刺激には、増殖因子、リンフォカイン、サイトカイ
ン、ビタミンD誘導体及び腫瘍プロモータが含まれている。上述の外部作用因子
には、例えば外傷、喫煙、UV照射、アスベストにさらされること、及びステロ
イドなどがある。腫瘍プロモータ12−O−テトラデカノイル−ホルボール−1
3アセテート(TPA)で処理されたTHP−1細胞は、誘導されて増殖し、形
態学的に及び生理学的に天然単球由来マクロファージを真似たマクロファージ様
細胞に分化する。
単球/マクロファージ様細胞は、C−fos、c−junの共誘発及びc−m
ybのダウンレギュレーションのような遺伝子発現の変化を示し(Auwerx
J (1991) Experientia 47:22−31)、補体C3
b受容体の密度の増加を示し、かつFcR及び接着分子CD4双方の減少を示す
。更に、THP−1細胞は、アテローム硬化症による損傷に関与するリポタンパ
ク質リパーゼ及びアポリポタンパク質Eを産生し、IL−1β及びTNF(Co
chran FR and Finch−Arietta MB (1989)
Agents and Actions 27:271−273)を含む前炎
症性サイトカインを何種類か分泌し、かつ強力なオキシダント及びカテプシンの
ような組織破壊プロテアーゼを生成しうる。
発明の開示
本発明は、新規なヒトICEホモログを一義的にコードするヌクレオチド配列
を提供するものである。この新たな遺伝子は、iceyとしても知られており、
インサイト社クローンNo.14775内で同定されたもので、ICEYポリペ
プチドをコードし、新規なヒトシステインプロテアーゼを表現している。
本発明には、ICEホモログをコードするcDNA、そのフラグメントまたは
オリゴマーのサンプル若しくはその抽出物をテストする過程を含む、活性化単球
またはマクロファージの生理学的若しくは病理学的活性の診断テスト方法も含む
。更に本発明の別の側面として、iceyのアンチセンス、iceyを含むクロ
ーニングベクターまたは発現ベクター、iceyを含む発現ベクターで形質転換
された宿主細胞または生物、宿主細胞からの精製ICEYポリペプチドの産生及
び回収方法、精製ICEYポリペプチド、ICEYに対する抗体及びインヒビタ
ー、及びICEY抗体を用いた薬理学的化合物がある。
図面の簡単な説明
第1A図及び第1B図は、iceホモログのヌクレオチド配列、及びICEホ
モログの予測アミノ酸配列(それぞれ配列番号け5及び配列番号:6)を示した
図である。
第2A図及び第2B図は、新規なICEホモログとヒトICE(GenBan
k locus HSU13697; GI number 717040)の
アミノ酸アライメントを示した図である。これらのアライメントは、DNAST
ARソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマル
チシーケンスアライメントプログラムを用いて生成された。
第3図は、ICEホモログα領域(A)、β領域(B)、ターン領域(T)、
コイル領域(C)、疎水性プロット(H)、α両親媒性領域(AA)、β両親媒
性(BA)、抗原インデックス(AI)、及び表面蓋然性プロット(S)を、予
測アミノ酸配列及び組成に基づいて分析したものを示した図である。
第4図は、完全なicey遺伝子と部分的なcDNA配列とのアライメントを
示した図である。
発明の実施の形態定義
本明細書において、“ICEホモログ”または“ICEY”とは、配列番号:
6に開示されたポリペプチド、またはその活性フラグメントを意味し、これは配
列番号:5のiceホモログcDNAから転写されたmRNAによりコードされ
るものである。ICEYは自然発生のものであるか、または化学的に合成された
ものであり得る。また本明細書において、小文字の“icey”は核酸配列を意
味し、大文字の“ICEY”はタンパク質、ペプチド、またはアミノ酸配列を意
味する。
本明細書において、“活性”なる用語は、自然発生ICEYの生物学的及び/
または免疫学的活性を保持しているICEYの形態を意味する。
本明細書において、“自然発生ICEY”なる用語は、生物工学的処理を受け
ていない細胞により生成されたICEYを意味し、より具体的には、アセチル化
、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipidation)及びアシル
化を含む翻訳後修飾されたポリペプチドから生成される様々なICEYの形態を
表現する用語である。
本明細書において、“誘導体”なる用語は、ユビキチン化、ラベリング(例え
ば放射性核種や、様々な酵素修飾による標識付け)、ペジレーション(ポリエチ
レングリコールによる誘導体化)のような化学的修飾されたICEY、若しくは
例えばオルニチンのような通常はヒトタンパク質において自然発生しないアミノ
酸の挿入(または化学合成による置換)によって得られるポリペプチドを意味す
る。
本明細書において、“変異体”“組換え変異体”または“突然変異体”なる用
語は、組換えDNA技術を用いて生成されるアミノ酸の挿入、除去、及び/また
は置換により自然発生ICEYとは異なるものとなった任意のポリペプチドを意
味する。酵素活性のような、興味の対象となる活性を損なわずに置換、付加、あ
るいは除去され得るアミノ酸残基を決定するためには、特定のICEYの配列と
相同な分子の配列とを比較し、相同性の高い領域でのアミノ酸配列の変化の数を
最小にすればよい。
アミノ酸の“置換”では、例えばロイシンからイソロイシンまたはバリンへの
置換、アスピレートからグルタメートへの置換、スレオニンからセリンへの置換
、即ち保存的アミノ酸置換のような1個のアミノ酸が構造的及び/または化学的
特性がそれに類似した他の1個のアミノ酸で置換されるのが好ましい。アミノ酸
の“挿入”または“除去”は、通常1〜5個のアミノ酸の範囲で行われる。組換
えDNA技術を用いてICEY分子のアミノ酸の挿入、除去、または置換を体系
的に行い、得られた組換え変異体の活性を検定することにより、許容される変異
体が実験的に決定され得る。
必要ならば、ICEYポリペプチドを細胞膜を通して移動せしめる“シグナル
配列またはリーダー配列”を含むようにすることができる。当業者には理解され
ようが、このような配列は、本発明のポリペプチド上に自然に存在するか、ある
いは組換えDNA技術により異種タンパク質源から得られる。
本明細書において、ポリペプチド“フラグメント(断片)”、“部分”、また
は“セグメント”なる用語は、少なくとも約5個のアミノ酸、少なくとも約7個
のアミノ酸、または少なくとも約8〜13個のアミノ酸からなり、別の実施例で
は約17個またはそれ以上のアミノ酸をからなるアミノ酸残基の伸展(ストレッ
チ)を意味する。
本明細書において、“オリゴヌクレオチド”またはポリヌクレオチド“フラグ
メント”、“部分”、または“セグメント”なる用語は、ポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)法や、同一の若しくは近縁関係にあるmRNAまたはDNA分子を増
幅、または単に明らかにするための当業者には周知の様々なハイブリッド形成法
において使用するのに十分な長さを有するヌクレオチド残基の任意のストレッチ
を意味する。
本発明は、天然または組換えポリペプチド源から得られた精製ICEYポリペ
プチド、ICEYをコードする組換え核酸分子で形質転換された細胞を含む。I
CEYポリペプチドを単離するための様々な方法は、当業者の周知となっている
。例えば、このようなポリペプチドの精製のために、本発明の提供する抗体を用
いたイムノアフィニティクロマトグラフィーを利用することができる。タンパク
質精製のための他の周知の方法は、例えば、“Deutscher M (19
90) Methods in Enzymology Vol 182, A
cademic Press, San Diego”及び“Scopes R
(1982) Protein Purification: Princi
ples and Practice. Springer−Verlag,
New York NY”に記載されており、これらの文献を本明細書と共に参
照されたい。
本明細書において、“組換え体”なる用語は、組換えDNA技術を用いて調製
される、ICEYをコードするポリヌクレオチドも意味する。ICEYをコード
するDNAも対立形質の変異体または組換え変異体、及びその突然変異体を含み
得る。
本明細書において、“プローブ”または“核酸プローブ”または“オリゴヌク
レオチドプローブ”なる用語は、所望の標的配列とハイブリッド形成し得るic
eyの部分、フラグメント、またはセグメントを意味
する。分子生物学における従来の技術を用いることにより、ICEYをコードす
るcDNAまたは内生核酸を検出し、増幅し、または定量するのにこのプローブ
が使用され得る。プローブの長さは様々であり、好ましくは、約10から最大約
数100ヌクレオチドの長さを有するものである。当業者には理解されようが、
ハイブリッド形成条件及びプローブの設計は、使用目的に応じて変化する。例え
ば、PCRでの使用を目的としたプローブは、長さが15〜30ヌクレオチドで
あり、縮重プローブのプールの一部分であり得る。即ちPCR用プローブは、ヌ
クレオチドのミスマッチに対する許容性を有し、未知の配列に対する結合に適合
するオリゴヌクレオチドである得るのに対して、サザンハイブリダイゼーション
またはノーザンハイブリダイゼーション用のプローブは、長さが数100ヌクレ
オチドの、1つの特定のヌクレオチド配列である得る。
従って、iceyを特異的に検出するためのプローブで好適なものは、配列番
号:5の配列の非保存ヌクレオチド領域から得られるポリヌクレオチドまたはオ
リゴヌクレオチドフラグメントであり得る。本明細書において、“非保存的ヌク
レオチド領域”なる用語は、配列番号:5に一義的に存在し、ICEのファミリ
ーにおける保存領域を含まないヌクレオチド領域を意味する。プローブは一本鎖
または二本鎖で、in situハイブリッド形成及びELISA(固相酵素免
疫検定法)のような技術を含む膜ベースのハイブリダイゼーション、溶液、細胞
、組織において特異性を有し得る。
核酸プローブは、約6kbより少ない塩基対数の、通常は約1kb未満の配列
の部分からなり得る。本発明のオリゴヌクレオチド及び核酸プローブは、細胞ま
たは組織内にICEYをコードする核酸が存在するか否かを判定するため、また
は“Walsh PS et al (1992)PCR Methods A
ppl. 1:241−250”に記
載のように染色体DNAから類似した核酸配列を分離するのに使用され得る。
本発明の核酸プローブは、自然発生核酸、組換え一本鎖または二本鎖核酸から
誘導されるか、若しくは化学的に合成され得る。プローブの標識化は、ニックト
ランスレーション法、クレノウフィルイン反応法、PCR法、または当分野にお
いて周知の他の方法を用いて行われ得る。本発明のプローブを調製し、標識する
方法は、“Sambrook J et al (1989) Molecul
ar Cloning: A Laboratory Manual, 2d
Ed, Cold Spring Harbor, NY”または“Ausub
el FM et al (1989) Current Protocls
in Molecular Biology, Vol 2, John Wi
ley & Sons”に詳しく述べられており、これらの文献を本明細書と共
に参照されたい。
別の形態として、本発明のポリペプチド、またはそれと近縁関係にあるポリペ
プチドをコードする組換え変異体は、当業者に周知の技術を用いて、遺伝暗号の
“重複性”を利用することにより合成、または選択され得る。様々な切断部位を
作り出すサイレント変化のような、様々なコドン置換を導入することで、プラス
ミドやウィルスベクターへのクローニング、または特定の原核細胞系または真核
細胞系における発現を最適化することができる。また、突然変異を導入すること
によって、それがICEYポリペプチドまたはICEYポリペプチドに付加され
た他のペプチドのドメインにおいて反映され得ることになり、ポリペプチドの特
質を修正したり、リガンド結合親和力、鎖間親和力、または変性/ターンオーバ
ー速度のような特性を変えることもできる。一例を挙げると、一つのストップコ
ドンをヌクレオチド配列に挿入し、ICEYのサイズ
を制限して、天然ICEYの活性をブロックする役目を果たす、小分子量の結合
性、非活性化リガンドを得ることができる。
本明細書において、“活性化単球”なる用語は、免疫学的に活性な組織で見出
された活性化、成熟単球またはマクロファージを意味する。
“単球/マクロファージ障害”には、炎症性腸疾患、インシュリン依存性糖尿
病、慢性間接リウマチ、及び敗血症が含まれるが、これらに限定されるものでは
ない。
本明細書において、“動物”なる用語は、ヒト、家畜や農業用の動物(ネコ、
イヌ、乳牛、ヒツジ等)、または実験動物(マウス、ラット、ウサギ等)を含む
ものとして定義され得る。
本発明は、天然または組換えポリペプチド源から得られた精製ICEYポリペ
プチド、ICEYをコードする組換え核酸分子で形質転換された細胞を含む。I
CEYポリペプチドを単離するための様々な方法は、当業者の周知となっている
。例えば、このようなポリペプチドの精製のために、本発明の提供する抗体を用
いたイムノアフィニティクロマトグラフィーを利用することができる。タンパク
質精製のための他の周知の方法は、例えば、“Deutscher M (19
90) Methods in Enzymology Vol 182, A
cademic Press, San Diego”及び“Scopes R
(1982) Protein Purification: Princi
ples and Practice. Springer−Verlag,
New York NY”に記載されており、これらの文献を本明細書と共に参
照されたい。
“ICEインヒビター”またはIL−1に結合するが、それを活性化しないI
CE様分子は、活性ペンタペプチド部位において(アラニンのような)他の天然
アミノ酸または合成アミノ酸をシステインで置換する
ことによって、組換えにより合成されうる。これとは別に、このシステインは、
従来の方法を繰り返して用いることにより活性を阻害するように化学的に修飾す
ることができる。
変更された特異性を有するICEホモログは、保存されたペンタペプチドGL
U ALA CYS ARG GLYの非システイン残基を置換することによっ
て容易に合成され得る。このような組換え変異体の調製は既知の技術である。ペ
ンタペプチドの4つの非
中和された特異性を有するICEホモログは、保存されたペンタペプチドGL
U ALA CYS ARG GLYの非システイン残基を置換することによっ
て容易に合成されうる。このような組み換え変異体の調整は既知の技術である。
ペンタペプチドの4つの非システインアミノ酸を他の天然アミノ酸及び合成アミ
ノ酸で変換することは、当業者には容易に実行できることである。ICE変異体
の活性は、当業者に周知の方法により試験されうる。
本発明は、インサイト社クローンNo.14775で見いだされた、新規なヒ
トICEホモログ(ICEY)を一義的に同定するヌクレオチド配列を提供する
。このICEYはホルボールエステルで処理されたTHP−1細胞において発現
されることが初めに見いだされたシステインプロテアーゼファミリーに属する。
ICEYは活性単球において発現されるので、核酸(icey)、ポリペプチド
(ICEY)及びICEYに対する抗体は、炎症または炎症疾病プロセスに関与
するICEYの同定に基づく診断アッセイにおいて有用である。ICEYは、マ
クロファージ、卵巣腫瘍、結腸、胎児の胎盤、乳房、前立腺腫瘍、リュウマチ用
膝関節の滑膜、骨関節炎の膝関節及びリュウマチ用手関節、リンパ球、24時間
の混合リンパ球反応から得られたリンパ球、脾臓、膵臓、脊髄、頸部、肺、fM
LPで処理された末梢血液の顆粒球、神経節腫、胎児の
肝臓/脾臓、新生児の胎盤、及びかこうさん症を患う患者から得られた好酸球か
ら作られたcDNAライブラリにおいて発現されることを確認された。
ICEYの過剰発現により、組織の損傷若しくは破壊が生じ得る。従って、I
CEYに対する診断テストにより、炎症性腸疾患、インシュリン依存性糖尿病、
慢性関節リュウマチ、敗血症及び同様の病理学的問題のような活性化単球障害を
含む様々な炎症性障害の診断及び適切な治療を早めることができる。
ICEYをコードするヌクレオチド配列は、分子生物学の分野における当業者
には周知の技術において数多くの用途を有する。これらの技術には、ハイブリダ
イゼーションプローブとしての使用、PCR用オリゴマーとしての使用、染色体
及び遺伝子マッピングにおける使用、ICEYの組換え体産生における使用、及
びアンチセンスDNAまたはRNAの、またはこれらの化学的類似体等の生成に
おける使用等が含まれる。但し、ここに開示するICEYをコードするヌクレオ
チド配列の使用方法は既知の技術の一例に過ぎず、当業者に周知の任意の技術に
おける使用を制限しようとするものではない。更に、未だ開発されていない分子
生物学的技術であっても、それが例えばトリプレット遺伝暗号及び特異的な塩基
対相互作用のような既知のポリヌクレオチド配列の特性に基づく技術である限り
、ここに開示するヌクレオチド配列を、その分子生物学的技術において使用する
ことができる。
遺伝暗号の同義性(degeneracy)の結果、その一部に既知のヌクレオチド配列
及び自然発生遺伝子のヌクレオチド配列に対する最小限の相同性を有するヌクレ
オチド配列を有するようなICEYをコードする多種のヌクレオチド配列が生成
され得るが、このことは当業者には理解されよう。本発明は、より具体的には可
能なコドン選択に基づいて組合せを
選択することにより作られ得る全ての可能なヌクレオチド配列をその範囲に含ん
でいる。これらの組合せは、自然発生ICEYのヌクレオチド配列に対して適用
されるような標準的なトリプレット遺伝暗号に基づいて形成される。また、この
ような全ての変異体は、具体的にここで開示されたものと考えられたい。
ICEY及び/またはICEY変異体をコードするヌクレオチド配列は、厳格
な条件の下で自然発生ICEY遺伝子のヌクレオチド配列とハイブリッド形成可
能なものであるのが好ましいが、実質的に異なるコドン使用をプロセシングした
ICEY誘導体またはICEYをコードするヌクレオチド配列を作り出すことは
有益であり得る。コドン選択では、特定の原核細胞または真核細胞の発現宿主に
おけるペプチドの発現速度を高めるように選択することができ、このときこの発
現速度は、その宿主における特定のコドンの使用頻度に基づいて決まる。本発明
のICEY及び/またはICEY誘導体をコードするヌクレオチド配列を、この
コードされたアミノ酸配列を変えることなく実質的に変える他の理由はより望ま
しい特性、例えば自然発生ヌクレオチド配列から形成されるものより長い半減期
を有するRNA転写物を作り出すためである。
ICEYをコードするヌクレオチド配列を、完全に確立された組換えDNA技
術(“Sambrook J et al. (1989) Molecula
r Cloning: A Laboratory Manual, 2d E
d, Cold Spring Harbor, NY”参照)を用いて、様々
な他のヌクレオチド配列と結合してもよい。iceyを結合するのに有用なヌク
レオチド配列には、例えば従来より周知のプラスミド、コスミド、λファージ誘
導体、ファージミド等の各種クローニングベクターが含まれる。興味の対象とな
るベクターには、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、及びシ
ークエンシングベクター等が含まれる。一般に、興味の対象となるベクターは、
少なくとも1つの生物において複製起点機能を発揮する便利な制限エンドヌクレ
アーゼ検知部位群、及び宿主細胞用の選択可能なマーカー群を含み得る。
本発明の別の実施例では、ICEYをコードする自然発生ヌクレオチド配列と
ハイブリッド形成可能なicey特異的核酸ハイブリダイゼーションプローブが
提供される。このようなプローブは、類似なICEYをコードする配列を検出す
るのにも用いることができ、好ましくは、保存領域または活性部位のヌクレオチ
ドの少なくとも50%を含む。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、第
1A図及び第1B図のヌクレオチド配列、または自然発生iceyのプロモータ
、エンハンサー要素、及びイントロンを含むゲノムの配列に由来するものであり
得る。ハイブリダイゼーションプローブは、様々なリポーター群により標識され
得るが、このリポーター群には、32Pまたは35Sのような放射性核種、若しくは
アルカリホスファターゼのような酵素標識が含まれ、これらはアビジン/ビオチ
ン結合系を介してプローブに結合する。この他当業者に周知の技術を用いてプロ
ーブを標識することができる。
米国特許第4,683,195号、第4,800,195号及び第4,965
,188号明細書に記載されているようなPCR法の実施において、ICEYを
コードするヌクレオチド配列に基づくオリゴヌクレオチドの別の使用方法がある
。このようなPCRで使用されるプローブは、組換えにより得られたものである
か、化学的に合成されたものであるか、若しくは両者の混合であり得、また、診
断的な使用に供される個別のヌクレオチドまたは近縁関係にあるゲノム配列の同
定に用いられる可能な縮重配列のプール(degenerate pool)を含み得る。
iceyDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプローブを
作り出すための他の方法には、mRNAプローブの形成のためのベクターへの、
ICEY及びICEY誘導体をコードする核酸配列のクローニングが含まれる。
このようなベクターは従来より周知であって市販されており、例えばT7または
SP6 RNAポリメラーゼのような適当なRNAポリメラーゼ及び適当な放射
性標識をなされたヌクレオチドを添加することによりin vitroでRNA
プローブを合成するのに使用することができる。
現在は、完全に化学合成によりICEY及びICEY誘導体をコードするDN
A配列、またはその一部分を生成することが可能であり、それを後で従来より周
知の試薬、ベクター、及び細胞を用いて様々な市販のDNAベクターに挿入する
ことができる。更に、化学合成を用いて、iceyポリヌクレオチド配列若しく
はその一部分に突然変異を起こさせることも可能である。ICEYをコードする
核酸のヌクレオチド配列は、DNAシークエンシング技術によって確認されうる
。
DNA配列決定の方法は、従来より周知である。従来の酵素を用いる方法では
、DNAポリメラーゼクレノウフラグメント、SEQUENASE(登録商標)
(US Biochemical Corp. Cleveland, OH
)またはTaqポリメラーゼを用いて、興味の対象のDNA鋳型にアニーリング
されたオリゴヌクレオチドプライマーからDNA鎖を延長する。この方法は、一
本鎖及び二本鎖の双方の鋳型を用いるのに開発されたものである。チェーンター
ミネーション反応の生成物は、通常ユリアアクリルアミドゲル上で電気泳動処理
され、オートラジオグラフィ(放射性核種で標識された前駆体の検出)、または
蛍光体(蛍光体で標識化された前駆体の検出)の何れかにより検出される。機械
を用いた反応調製、蛍光体検出を利用した分析及び配列決定の技術の近年の進歩
により、1日当たりに決定され得る配列数は増加した
(ここでは、例えばCatalyst 800及びApplied Biosy
stem 377または373DNAシーケンサのような機械を用いる)。
このヌクレオチド配列を用いて、ICEYの発現レベルの異常に関連する炎症
及び疾病の検出のためのアッセイを構築することができる。このヌクレオチド配
列は、従来より周知の方法で標識した上で、ハイブリッド形成条件の下で患者の
体液または組織の試料に添加することができる。インキュベーション時間の経過
後、ヌクレオチドが酵素で標識されていた場合には、所望に応じて染料(または
他の展開剤を必要とする標識)を含有する適合性の液体で試料が洗浄される。こ
の適合性の液体を洗い流した後、染料を定量し、標準値と比較する。染料の量が
著しく多い場合には、このヌクレオチド配列は試料とハイブリッド形成したこと
になる。ICEYが異常なレベルで存在している場合には、このアッセイにより
炎症及び/または疾病の存在が確認されたことになる。
iceyのヌクレオチド配列を用いて、その遺伝子のマッピングのためのハイ
ブリダイゼーションプローブを構築することができる。ここに開示するヌクレオ
チド配列の染色体及び染色体の特定の領域へのマッピングを、周知の遺伝子及び
/または染色体マッピング技術を用いて行うこともできる。このような技術には
、in situハイブリダイゼーション、既知の染色体マーカーに対するリン
ケージ分析、既知の染色体に対して特異的なライブラリまたはフローソートされ
た染色体調合物を用いたハイブリダイゼーションスクリーニング等が含まれる。
染色体延展(chromosome spread)の蛍光in situハイブリダイゼーショ
ン技術については、他の文献、即ち“Verma et al (1988)
Human Chromosomes: A Manual of Basic
Techniques, Pergamon Pre
ss, NYC”に記載されている。
染色体調合物の蛍光in situハイブリダイゼーション及び他の物理的染
色体マッピング技術は、追加的な遺伝子地図データと関連付けられ得る。遺伝子
地図データの例としては、“1994 Genome Issue of Sc
ience(265:1981f)”がある。物理的染色体地図上でのicey
の位置と特定の疾病(若しくは特定の疾病に対する素因)との間の相関関係は、
この遺伝病に関連するDNAの領域の範囲を特定するための助けとなる。本発明
のヌクレオチド配列を用いて、健常者の遺伝子配列と、キャリアまたは遺伝病の
保因者の遺伝子配列との相違を検出することができる。
ICEYをコードするヌクレオチド配列を用いて、周知の組換えDNA技術を
利用して精製ICEYを作り出すことができる。遺伝子を単離した後、その遺伝
子を発現させる方法を記載した文献は数多くあるが、その例としては、“Goe
ddel (1990) Gene Expression Technolo
gy, Methods and Enzymology. Vol 185,
Academic Press, San Diego CA”がある。IC
EYは、原核細胞または真核細胞の何れかの様々な宿主細胞内において発現され
得る。宿主細胞は、iceyヌクレオチド配列が内生である種と同一の種、ある
いは異なる種の何れからでも得ることができる。組換えDNA技術によってIC
EYを産生することの利点には、精製用として高濃度に濃縮されたタンパク質源
が得られること、及び精製のための簡単な手順が利用できるようになることがあ
る。
ICEYをコードするDNAによって形質転換された細胞は、ICEYの発現
及び細胞培地からのタンパク質の回収に適切な条件の下で培養され得る。組換え
細胞により産生されたICEYは、使用される特定の
遺伝子構造に応じて、分泌されるか、あるいは細胞内に保持され得る。一般に、
組換えタンパク質は、分泌される形態で準備しておくのがより便利である。精製
のステップは、使用される産生プロセスの性質及び産生される特定のICEYの
性質に基づいて決まる。
組換え体の産生に加えて、固相技術を用いた直接のペプチド合成によりICE
Yフラグメントを産生することもできる。(“Stewart et al (
1969) Solid−Phase Peptide Synthesis,
WH Freeman Co. San Francisco; Merri
field R (1963) J Am Chem Soc 85:2149
−2154”参照)。in vitroタンパク質合成は、手作業、あるいは機
械により自動的に行うことができる。自動的な合成は、例えばApplied
Biosystems 431A Peptide Synthesizer(
Foster City, California)を製造業者の指示に従って
用いることにより行うことができる。ICEYの様々なフラグメントを個別に化
学合成し、化学的な方法により結合することによってICEYの全体を産生する
こともできる。
抗体の誘発において使用するためのICEYは、生物学的活性を有している必
要はないが、そのタンパク質は抗原性でなければならない。ICEY特異的抗体
の誘発のために使用するペプチドは、少なくとも5個、好ましくは少なくとも1
0個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を含むものでありうる。このペプチドは、
タンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であるはずで、ICEYのような小型の
自然発生分子の全アミノ酸配列を含んでいてもよい。ICEYのアミノ酸配列の
短いストレッチは、ヒザラガイヘモシアニン(KLH)や抗体産生に使用される
キメラ分子のような他のタンパク質のストレッチと融合され得る。
本発明のICEYに対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を調製
するための方法は、様々なものが当業者の知るところであろう。その方法の1つ
は、逆相HPLC分離から変性ICEYを得て、これを用いて当業者に周知の技
術でマウスまたはウサギを免疫化する方法である。マウスの免疫化には変性IC
EY約100μgで十分であり、ウサギの免疫化には最大1mgを用いることが
できる。マウスハイブリドーマを同定するために、変性タンパク質を放射性沃素
で標識し、これを用いて潜在性ネズミB細胞ハイブリドーマをスクリーニングし
て、抗体を産生するものを分離することができる。この方法では、必要なタンパ
ク質の量はわずかであり、数1000のクローンを標識しスクリーニングするた
めには20mgで十分である。
別の方法では、ICEYのアミノ酸配列はcDNA配列から推論されるように
、その分析により免疫抗原性の高い領域が決定される。これらの領域を含むポリ
ペプチドを合成し、適切な免疫化プロトコルで使用して抗体を産生する。適切な
エピトープを選択するための分析方法は、“Ausubel FM et al
(1989, Current Protocols in Molecul
ar Biology, Vol 2. John Wiley & Sons
)”に記載されている。免疫化のための最適なアミノ酸配列は、通常、そのタン
パク質が自然のコンフォーメーションをなしているときに外部環境にさらされや
すいポリペプチドのC末端、N末端、及びその間に介在する親水性領域に存在す
る。
典型的には、約15残基の長さを有する選択されたポリペプチドは、fmoc
化学を用いるApplied Biosystems Peptide syn
thesizer model 431Aを用いて合成され、M−マレイミドベ
ンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエ
ステル(MBS;上述のAusubel FM et al参照)と反応させる
ことによりヒザラガイヘモシアニンまたはキーホールリンペットヘモシアニン(
KLH;Sigma)と結合される。必要ならば、KLHに結合できるようにペ
プチドのN末端にシステインを挿入してもよく、動物は、フロイント完全アジュ
バントによりペプチド−KLH複合体で免疫化される。得られた抗血清は、ペプ
チドをプラスチックに結合し、1%のBSAでブロックし、抗血清と反応させ、
その後洗浄し、(放射性または蛍光性の)標識をなされたアフィニティ精製され
た特異的ヒツジ抗ウサギIgGと反応させることにより、抗ペプチド活性をテス
トすることができる。
ハイブリドーマも標準的な技術を用いて調製される。興味の対象となるハイブ
リドーマは、標識化ICEYでスクリーニングし、所望の特異性を有するモノク
ローナル抗体を産生するそれらの融合体を同定することにより検出される。例え
ば、典型的なプロトコルでは、プレート(FAST, Becton−Dick
inson, Palo Alto, CA)の穴が、アフィニティ精製された
特異的ウサギ抗マウス(または適当な抗種Ig)抗体約10mg/mlでコーテ
ィングされる。コーティングされた穴は1%のBSAでブロックされ、洗浄され
て、ハイブリドーマの上清液にさらされる。インキュベーションの後、この穴は
約1mg/mlの濃度の標識化ICEYにさらされる。抗体を産生するクローン
は、上述のような条件の下で検出可能な量の標識化ICEYと結合する。このよ
うなクローンは、増殖された上で、限界希釈(1細胞/3穴)で2サイクルのク
ローニングをなされる。クローニングされたハイブリドーマは、プリスタン処置
を受けたマウスに注射され、マウスの復水が作り出される。モノクローナル抗体
は、タンパク質Aを用いるアフィニティクロマトグラフィーにより、マウスの復
水から精製される。
少なくとも108M-1、好ましくは109〜1010以上の親和力を有するモノクロ
ーナル抗体は、典型的には、“Harlow and Lane (1988)
Antibodies: A Laboratory Manual, Co
ld Spring Harbor Laboratory, NY”または“
Goding (1986) Monoclonal Antibodies:
Principles and Practice, 2d Ed. Aca
demic Press New York City”に記載の標準的な手順
により作られる。これらの文献を本明細書と共に参照されたい。
特定のICEY配列に対して特異的な抗体は、適当な動物にICEY配列を接
種することにより産生され得る。抗体が、ICEYの全体または一部分に対して
産生され、ICEYの全体または一部分に結合するならば、その抗体はICEY
に対して特異的であると言える。抗体の誘発は、動物への注射により生ずる免疫
反応の刺激作用によるもののみならず、合成抗体、または組換え免疫グロブリン
ライブラリ(“Orlandi et al (1989) PNAS 86:
3833−3837またはHuse et al (1989) Scienc
e 256:1275−1281”参照)またはリンパ球集団のin vitr
o刺激作用によっても起こる。現在の技術(“Winter and Mils
tein (1991) Nature 349:293−299”)では、抗
体形成の原理に基づき、高度に特異的に結合する多数の試薬を提供することがで
きる。このような技術は、ICEYに特異的に結合し得る分子の産生に適用する
ことができる。
本発明の更に別の実施例は、ICEY特異的抗体、インヒビター、レセプター
、またはその類似体を生理活性薬剤として用いて、炎症性腸疾患、インシュリン
依存性糖尿病、慢性関節リュウマチ、敗血症、及び類
似した病理学的問題のような活性化単球障害を治療することである。
ICEYのアゴニスト、アンタゴニスト、レセプター、またはインヒビターを
含む生理活性組成物は、最大許容投与量を決めるための哺乳類での臨床研究及び
安全投与量を決定するための通常の人体での臨床研究を含むいくつかの方法論の
何れかにより決定された適切な治療的投与量だけ投与され得る。更に、この生理
活性薬剤は、安定性または半減期のような薬理学的な特性を強化する様々な十分
に確立された化合物または組成物と合成され得る。また、この治療的生理活性組
成物は、静脈注射による血流への供給か、若しくはICEY生成及び機能に関連
する状態の治療に用いられ得る他の効果的な手段によって投与され得る。
ICEYの抗体、インヒビター、またはアンタゴニスト(過剰なICEY産生
に対する治療薬、以下略して“治療薬”と称する)は、治療的に投与されたとき
それぞれ異なる効果を与え得る。この治療薬は、無毒性で、不活性で薬化学的に
適格な水性担体媒質でありそのpHは約5〜8、より好適には6〜8のである。
但し、このpH値は、調合される抗体、インヒビター、またはアンタゴニストや
治療される病状に応じて変わってくる。治療薬の特性には、分子の可溶性、半減
期、及び抗原性/免疫抗原性が含まれ、この特性によって効果的な担体を決定さ
れ得る。天然ヒトタンパク質は治療薬として好適であるが、薬物スクリーニング
によって得られた有機分子も特定の状態の下では同様に効果的であり得る。
治療薬は、局所塗布用クリームまたはゲル、粘膜透過性スプレーまたはエーロ
ゾル、皮膚透過性パッチまたは包帯、注射可能な静脈内または洗浄調合物及び経
口投与液若しくは錠剤を含む周知の投与経路によって与えられ得るが、投与の仕
方は以上挙げたものに限定されない。特定の配合、正確な投与量、及び投与経路
は、病院所属医師により決定され、
それぞれの状況に応じて変わってくる。
このような決定は、治療を受ける条件、投与される治療薬、及び特定の治療薬
の薬動力学的プロフィールのような様々な変量を考慮してなされる。考慮され得
る他の因子には、病状、患者の年齢、体重、性別、食事、投与の回数、薬物の組
合せ、反応感受性及び治療に対する耐性/反応が含まれる。長時間作用する調合
物の投与の頻度は、特定の治療薬の半減期及び消失速度に応じて、3日から4日
に1回、1週間に1回、または2週間に1回であり得る。
通常の投与量は、投与経路に応じて0.1〜100,000μg、最大1gの
間で変化し得る。治療薬の特定の投与量に関しての説明は以下の文献、即ち米国
特許第4,657,760号、第5,206,344号、または第5,225,
212号明細書に記載されている。治療薬の種類に応じて効果的な配合も変わり
、また全身への投与と、特定の器官または組織を標的にする局所的投与とでは、
投与方法も異なってくることが予測される。
単球、マクロファージ及び可能な他の白血球を活性化する状態または疾病は、
ICEYの抗体、インヒビター、若しくはアンタゴニストで治療され得る損傷を
誘発し得ることが考えられる。活性化単球障害は、以下に論ずる試験によって詳
しく診断され得るものであり、このような試験は、炎症性腸疾患、インシュリン
依存性糖尿病、慢性関節リュウマチ、敗血症、及び類似した生理学的/病理学的
問題が疑われる場合に行われ得るものである。
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されている。これらの実施例は
、例示を意図するものであり、本発明の限定を意図するものではない。
産業的応用性
1.mRNAの単離及びcDNAライブラリの構築
icey配列は、ヒト活性化THP−1ライブラリーから得られた独特の配列
No.14775(配列番号:1)No.157811(配列番号:2)の中か
ら同定された。THP−1は、急性単球性白血病を患う1歳の男児の血液に由来
するヒト白血病株細胞である。PMA+LPSライブラリー用として使用される
細胞はDMSOにおける100nmのPMAと共に48時間、1μg/mlのL
PSと共に4時間培養された。THP−1ライブラリーは、Stratagen
e社(Stratagene, 11099 M. Torrey Pines
Rd., La Jolla, CA 92037)により、後に説明するよ
うにカスタムメイドで構築された。
Stratagene社は、オリゴd(T)プライミングを利用してcDNA
ライブラリーを調整した。合成アダプタオリゴヌクレオチドはcDNA分子に結
合され、それがUni−ZAP(商標)ベクターシステム(Stratagen
e)に挿入され得るようにされた。これによって、高い効率の一方向性(センス
方向)のラムダライブラリー構築が可能となり、cDNA挿入断片を有するクロ
ーンを検出するのに青/白色選択を備えたファージミド系を使用できるという利
点が得られる。
cDNAライブラリーの品質はDNAプローブを用いてスクリーニングされ、
次いでpBluescript(登録商標)ファージミド(Stratagen
e)が切除された。このファージミドにより、融合ポリペプチドの一方向性欠質
及び発現の生成、部位特異的突然変異誘発、配列決定、及び挿入断片の特徴付け
を容易に行うためのプラスミドシステムの使用が可能となる。次いで、カスタム
メイドで構築されたライブ
ラリーのファージ粒子がE. coli宿主種のXL1−Blue(商標)(S
tratagene)に感染させられた。菌株の形質変換が高い効率となること
により、cDNAライブラリーが頻度の少ない過小表現型の(under-represente
d)クローンを含む確率が高められる。別の一方向性ベクターとしては、pcD
NAI(Invitrogen, San Diego)及びpSHlox−1
(Novagen, Madison WI)があるが、これらに限定されない
。
2.cDNAクローンの単離
個々のcDNAクローンのファージミド形態は、in vivo切除プロセス
により得られた。このプロセスでは、宿主E.coli株(XL1−BLUE(
登録商標)MRF)が、f1ヘルパーファージと共感染された。ラムダファージ
及びf1ヘルパーファージの双方から誘導されたタンパク質は、ラムダ標的DN
A上の定められた配列から新たなDNA合成を開始し、pBluescript
(登録商標)プラスミド及びcDNA挿入断片の全てのDNA配列を含む小型の
1本鎖環状ファージミドDNA分子を作り出す。このファージミドDNAは、細
胞から放出され、精製されて、次いで新鮮な細菌性宿主細胞(SOLR,Str
atagene Inc.)に再感染するのに使用されて、重鎖のファージミド
DNAが産生された。ファージミドがβ−ラクタマーゼに対する遺伝子を保有し
ていることから、新たに形質転換された細菌がアンピシリンを含む培地上で選択
された。
ファージミドDNAは、QIAGEN社のQIAWELL−8ファスミド精製
システムを用いて精製された。この技術は、細菌細胞を溶解し、高度に精製され
たファージミドDNAを単離するための高速で信頼性が高く高スループットの方
法である。精製樹脂から溶離されたこのDNAは、DNA配列決定及び他の分析
走査に適したものである。
3.cDNAクローンの配列決定
THP−1ライブラリーのランダム分離により得られたcDNA挿入断片は、
部分的に配列決定された。このcDNAは、Hamilton Micro L
ab 2200(Hamilton, Reno NV)、及び4台のPelt
ier Thermal Cyclers(PTC200 from MJ R
esearch, Watertown MA)、及びApplied Bio
systems 377 or 373 DNA Sequencing Sy
stems(Perkin Elmer)を用いて、Sanger F 及び
AR Coulsonの論文(1975; J. Mol. Biol, 94
:441f)に記載の方法により配列決定され、DNAの読み枠が決定された。
4.cDNAクローン及び演繹されたタンパク質の相同性検索
各配列はApplied Biosystems社製の検索アルゴリズムを、
INHERIT(商標)670配列分析システムに組み込んで用いて、GenB
ankの配列と比較された。このアルゴリズムにおいては、Pattern S
pecification Language(TRW社製, Los Ang
eles CA)を用いて、相同領域の決定を行った。配列比較をどのように行
うかを定める3つのパラメータは、ウィンドウサイズ、ウィンドウオフセット、
及び誤差許容度であった。これら3つのパラメータの組合せを用いて、問題の配
列に対して相同性を有する領域を含む配列をDNAデータベースから検索し、適
当な配列に対して初期値と共に点数が付けられた。続いて、これらの相同領域を
、ドットマトリクス相同性プロット法を用いて検定し、偶然の一致と真の相同領
域とを区別した。相同性検索の結果を表示するのにSmith−Waterma
nアラインメントを用いた。この方法によっ
て即座にICEホモログが同定されたわけではない。次いで、ヒトICE配列が
GenBank GI No.717040から得られ、LIFESEQ(商標
)データベース(Incyte)の配列と比較された。インサイト社クローンN
o.14775及び157811は、GenBank配列GI717040に対
する相同性を有していることが確認された。活性化THP−1ライブラリーにお
けるiceyの存在は、活性化マクロファージの存在を表しており、その免疫学
的防衛機構が活性な組織、特に活性化単球障害に関して以前定義したものを含む
炎症や疾病を患う組織におけるその発現と一貫性がある。
ペプチド及びタンパク質配列の相同性は、INHERIT(商標)670配列
分析システムを用いてDNA配列の相同性の検査と似た方法で確認された。pa
ttern Specification Language及びパラメータウ
ィンドウを用いて、相同性領域を含むタンパク質配列のデータベースを検索し、
相同領域は初期値と共にスコアを付けられて表示された。ドットマトリクス相同
性プロット法により検定を行い、有意な相同性領域を偶然の一致から区別した。
請求の範囲の項で定義されたヒトICEホモログの全コード領域のヌクレオチ
ド配列及びアミノ酸配列は、第1A図及び第1B図に示されている。
5.遺伝子の同定及び完全長配列決定
インサイト社クローンNo.14775及び157811(それぞれ配列番号
:1及び配列番号:2)は、M13及びM13逆プライマーによって再度配列決
定され、追加的な3′及び5′ヌクレオチド配列が得られた。この追加的な配列
は重複部分がなく、コード領域が不完全であったことを示していた。クローンN
o.14775のみが完全なコード理領域を有しているように見えることから、
このクローンのみが新奇に
デザインされたオリゴ(配列番号:3及び配列番号:4)でプライミングされて
、中間の配列が得られ、遺伝子のヌクレオチド配列が終了した。クローンNo.
157811から得られたこの追加的な配列は、クローンNo.14775から
の配列を確認し編集するために用いられた。確認されたicey配列は、既知の
ICE分子と相同性を有していたが、明らかに異なるものであった。iceyの
完全なヌクレオチド配列は翻訳され、そのフレーム内翻訳は第1A図及び第1B
図に示されている。予測される全ての可能な3つのこの配列の翻訳物について、
Swiss Prot及びPIRのようなタンパク質データベースを検索したが
、iceyの可能な翻訳物と完全に一致するものは見つけられなかった。第2A
図及び第2B図に示すのは、ICEYアミノ酸配列とヒトICEGenBank
GI No.717040との比較であって、一致するアミノ酸が白抜きで示
されている。ICEYの予測された構造(α、β、及びフレキシブル領域)及び
疎水性及び抗原性プロットは第3図に示されている。第4図に示すのは、完全な
遺伝子配列(上の行)(配列番号:5)とクローンNo.14775及び157
811(それぞれ配列番号:1及び配列番号:2)の部分的なcDNA配列との
アライメントである。配列番号:1の配列アライメントは、図面の左側に、配列
番号:2のアライメントは図面の右側に示されている。
6.アンチセンス分析
この新規なicey遺伝子の正しい完全なcDNA配列を知ることにより、遺
伝子機能の調査でのアンチセンス技術に、これを適用することが可能になる。i
ceyのアンチセンス鎖を含むゲノムのまたはcDNAのフラグメントをin
vitroまたはin vivoで用いて、特定のタンパク質の発現を阻害する
ことができる。このような技術は周知であり、ヌクレオチド配列の様々な部位に
付くプローブをデザインす
ることができる。細胞または実験動物の全身をこのようなアンチセンス配列で処
理することより、興味の対象である遺伝子の機能を効果的に遮断することができ
る。多くの場合、細胞レベル、組織レベル、若しくは生物体全体のレベルでの挙
動(例えば死亡率、分化した機能の消失、形態の変化等)を観察することにより
、その遺伝子の機能を確認することができる。
開放された読み枠の転写を妨害するように構築された配列を用いることに加え
て、イントロン領域、プロモータ/エンハンサー要素、またはトランス作用調節
遺伝子に対するアンチセンス配列をデザインすることにより、遺伝子発現を修飾
することかできる。同様に、“三重らせん体(トリプルヘリックス)”塩基対と
して知られるHogeboom塩基対を用いて阻害を達成することができる。
7.ICEYの発現
iceyの発現は、cDNAを適切な発現ベクターにサブクローニングし、そ
のベクターを適切な発現ホストに感染させることによって達成される。組織ライ
ブラリーの生成のために使用されるこのクローニングベクターは、E.coli
におけるiceyの発現のために用いられる。クローニング部位の上流において
、このベクターは、βガラクシトダーゼに対するプロモータ、それに続くアミノ
末端Metをコードするヌクレオチド配列、その次のβガラクシトダーゼの7つ
の残基を含んでいる。これら8つの残基の直後には、人工的プライミング及び転
写に有用な工学的処理されたバクテリオファージプロモータ、及びEcoRIを
含む多数のクローニングのための独特な制限部位が存在する。
標準的方法を用いて、単離されIPTGのトランスフェクションをなされた菌
種の誘発により、βガラクトシダーゼの始めの7つの残基とリンカーの約15個
の残基に対応する融合タンパク質、及びcDNAにコ
ードされたペプチドが生成される。cDNAクローン挿入断片は必ずランダムプ
ロセスによって生成されることから、含まれたcDNAが適切な翻訳のための正
しい読み枠内に存在する機会は3つに1つだけである。cDNAが適当な読み枠
内にない場合には、それは周知の方法で適切な数の塩基の削除若しくは挿入を行
うことによって得られる。このような方法としては、in vitro突然変異
誘発、エキソヌクレアーゼIII若しくは大豆ヌクレアーゼによる消化、若しく
はオリゴヌクレオチドリンカー混入などがある。
iceyのcDNAは、特異的宿主におけるタンパク質の発現のために有用で
あると知られている他のベクター内にシャトルされる。標的cDNA(25個の
塩基)の両端のストレッチに対してハイブリッド形成するのに十分なDNAのセ
グメントとクローニングサイトを含むオリゴヌクレオチドアンプリマーは、標準
的方法によって化学的に合成され得る。次いでこれらのプライマーを用いて、P
CRにより所望の遺伝子セグメントが増幅される。得られた新たな遺伝子セグメ
ントは、標準状態のもとで適当な制限酵素で消化され、ゲル電気泳動法によって
単離される。これとは別の方法では、類似する遺伝子セグメントを、cDNAを
適当な制限酵素と共に消化し、欠失した遺伝子セグメントを化学的に合成された
オリゴヌクレオチドで埋めることによって生成する。1または2以上の遺伝子か
らのコーディング配列のセグメントを互いに連結し、適切なベクターにクローニ
ングすることにより、組換え配列の発現が最適化される。
このようなキメラ分子のための適切な発現宿主にはチャイニーズハムスターの
卵巣(CHO)及びヒト293細胞のようなほ乳類の細胞や、Sf9細胞のよう
な昆虫の細胞や、サッカロミセスセレビシエのような酵母菌細胞や、E.col
iのような細菌があるが、これらに限定され
るものではない。このような細胞系のそれぞれに対して有用な発現ベクターは、
バクテリア内での増殖を可能にする複製起点、及び細菌内での選択を可能にする
βラクタマーゼ抗生物質抵抗性遺伝子のような選択可能なマーカーを含んでいる
。更に、このベクターは、真核生物の宿主細胞へのトランスフェクションに役立
つネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子のような第2の選択可能なマー
カーを含む。真核生物の発現宿主において使用するために、ベクターは、それが
目的のcDNAの一部分でない場合には、3’ポリアデニル化配列のようなRN
Aプロセシング要素を必要とすることがある。
更にこのベクターは、遺伝子発現を増加させるエンハンサまたはプロモータを
含む。このようなプロモータは宿主特異的であって、CHO細胞に対してはMM
TV、SV40、及びメタロチオネインプロモータ、細菌宿主に対してはtrp
、lac、tac、及びT7プロモータ、また酵母菌に対してはα因子、アルコ
ールオキシダーゼ、及びPGHプロモータ等がある。ラウス肉腫ウィルス(RS
V)エンハンサのような転写エンハンサは、ほ乳類宿主細胞において使用される
。標準的な培養方法により、組換え細胞の均質な培養物がひとたび得られたなら
ば、組換えにより生成された大量のICEYが条件培地から回収され、周知のク
ロマトグラフィー法を用いて分析される。ICEYタンパク質の発現はある種の
細胞型を死に至らしめ得るもので、適切な宿主種及び成長条件の選択には注意を
払うべきである。
また、このタンパク質は、細胞内構造封入体のような不活性形態でも発現され
る。この封入体は細胞から分離され、タンパク質は可溶化され、活性形態にリフ
ォール(再折り畳み)される。
8.組換えICEYの単離
ICEYの精製は、タンパク質精製を促進するべく添加された1また
は2以上の付加的ポリペプチドドメインを有するキメラタンパク質を生成するこ
とによって達成される。このような精製促進ドメインには、固定化金属上での精
製を可能にするヒスチジントリプトファンモジュールのような金属キレートペプ
チド、固定免疫グロブリン上での精製を可能にするタンパク質Aドメイン、及び
FLAGS延長/アフィニティ精製システム(Immunex Corp. S
eattle WA)において使用されるドメインなどが含まれるが、これらに
限定されるものではない。精製ドメインとicey配列との間のXA因子または
エンテロキナーゼ(Invtrogen)のような切断可能なリンカー配列を含
むことが、融合タンパク質複合体からの精製を促進するのに役立っている。
9.EC特異的抗体を用いた診断テスト
特定のICEY抗体は、前病状態の診断や、ICEYの量または分布の差によ
って特徴付けられる慢性または急性の疾病に対する診断において有用である。I
CEYははじめに活性THP−1ライブラリーにおいて発見されたものであり、
従って単球を活性化するような異常や疾病の診断に使用できる。
ICEYに対する診断テストにおいては、抗体や、ヒトの体液、組織及びその
ような組織からの抽出物でICEYを検出するための標識を利用する。本発明の
ポリペプチド及び抗体は、修飾した上で使用されることもあれば、修飾せずに使
用されることもある。ポリペプチド及び抗体は、検出可能なシグナルを与える物
質と共有結合または非共有結合でそれらに結合させることにより標識される。標
識及び接合技術は様々なものが知られており、化学文献あるいは特許明細書の双
方において広く記載されている。適当な標識には、放射性核種、酵素、基質、補
因子、阻害剤、蛍光剤、化学ルミネセンス剤、磁性粒子等がある。このような標
識を使用した特許には、例えば米国特許第3,817,837号、第3,850
,352号、第3,939,350号、第3,996,345号、第4,277
,437号、第4,275,149号、第4,36,241号等がある。また、
組換え免疫グロブリンの産生については、米国特許第4,816,567号明細
書に記載されており、本明細書と共に参照されたい。
可溶性ICEYまたは膜結合型ICEYを測定するための、該タンパク質に対
して特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の何れかを用いる様
々なプロトコールが周知となっている。その例を挙げると、固相酵素免疫検定法
(ELISA)、放射線免疫検定法(RIA)、及び蛍光活性化細胞分析分類法
(FACS)等がある。好適なのは、EC上の2つの非干渉エピトープに反応す
るモノクローナル抗体を利用した2つの部位のモノクローナルベースの免疫検定
法であるが、競合的結合検定法を用いてもよい。これらの検定法は“Maddo
x, DE et al(1983)J Exp Med 158:1211”
他の文献に記載されている。
10.特異的抗体を用いた未変性ICEYの精製
未変性ICEYまたは組換えICEYは、ICEY特異的抗体を用いたイムノ
アフィニティクロマトグラフィーにより精製される。イムノアフィニティカラム
は、抗ICEY抗体と活性化クロマトグラフィー樹脂を共有結合させることによ
り構築される。
ポリクローナル免疫グロブリンは、免疫血清から硫酸アンモニウム沈殿または
固定化プロテインA上でのクロマトグラフィーにより免疫血清から調製される(
Pharmacia LKB Biotechnology, Piscata
way, NJ)。部分的に精製された免疫グロブリンは、CnBr活性化セフ
ァロース(Pharmacia L
KB Biotechnology)のようなクロマトグラフィー樹脂に共有結
合で付けられる。抗体は樹脂に結合され、樹脂はブロックされて、誘導体樹脂が
製造者の指示に従って洗浄される。
このようなイムノアフィニティカラムは、可溶型のICEYを含む細胞から分
画を調製することによって行われるICEYの精製において使用される。この調
製では、細胞全体または界面活性剤の添加または他の周知の方法により遠心分離
法を用いて得られた細胞成分分画を可溶化することによって調製が誘導される。
別の形態として、シグナル配列を含む可溶ICEYは、細胞が増殖される培地に
使用に供される量だけ分泌される。
可溶ICEY含有調製物は、イムノアフィニティカラムを通されて、このカラ
ムは、ICEYの優先吸収が可能な(例えば界面活性剤が高イオン強度緩衝液の
中に存在しているような)条件の下で洗浄される。次いで、このカラムは抗体と
ICEYとの結合を分裂させるような条件(例えばpHが2から3の緩衝液、ま
たは高濃度の尿素またはチオシアネートイオンのようなカオトロープ)の下で溶
離され、このICEYが収集される。
11.ICEY活性
精製された若しくは発現されたICEYの活性は、当業者に周知の方法によっ
て試験される。このような方法の1つでは、マクロファージをLPSで刺激して
、前IL−1βの発現を誘発し、次いでATP及びICEYで処理を行う。培地
内の成熟IL−1βレベルは、“Li et al.(1995)Cell80
:401−411”に記載のように固相酵素免疫検定法(ELISA)によって
測定される。
12.薬物スクリーニング
本発明のICEY及びその生物学的に活性なフラグメントは、様々な
薬物スクリーニング技術における化合物のスクリーニングにおいて有用である。
このようなテストにおいて用いられるICEYポリペプチドまたはフラグメント
は、溶液の中に遊離しているものか、固体の支持体に付着しているものか細胞の
表面に支持されているか、あるいは細胞内に存在するものの何れかである。薬物
スクリーニングの一方法では、ポリペプチドまたはそのフラグメントを発現する
組換え核酸で安定に形質転換される真核細胞または原核細胞の宿主細胞を利用す
る。薬物は、競合的結合検定法においてこのような形質転換された細胞に対して
スクリーニングされる。このような細胞は、生存型であれ固定型であれ標準的な
結合実験に使用される。これを用いて例えば、ICEYと試験される薬剤との複
合体の形成を測定したり、あるいはICEYと試験される薬剤によって生じた単
球やマクロファージのような標的細胞との複合体の削減を検査することができる
。
従って、本発明は炎症及び疾病を発症し得る任意の薬剤または薬物のスクリー
ニング方法を提供するものである。これらの方法は、ICEYポリペプチド若し
くはそのフラグメントをこのような薬剤に接触させる過程と、(i)ECポリペ
プチド若しくはフラグメントと薬剤との間の複合体の存在、若しくは(ii)I
CEYポリペプチド若しくはそのフラグメントと細胞との複合体の存在を、周知
の方法により検定する過程とを含む。このような競合的結合検定法においては、
ICEYポリペプチドまたはそのフラグメントは、当業者に周知の方法により標
識される。適当なインキュベーションの後、遊離したICEYポリペプチドまた
はフラグメントが、結合した形態で存在するものから分離される。そして遊離し
た標識または複合体を形成していない標識の量が、特定の薬剤がICEYに結合
する能力、またはICEY/薬剤複合体に干渉する能力の尺度となる。
薬物スクリーニングのための他の技術として、ICEYポリペプチド、若しく
はそのフラグメントに対する適切な結合親和性を有する複合体を高スループット
でスクリーニングすることができるものがあり、その詳細はGeysenによる
欧州特許出願第84/03564号明細書(公開1984年9月13日)に記載
されており、本明細書と共にこれを参照されたい。この方法を簡単に述べると、
たくさんの異なる小さなペプチドのテスト化合物が、固体基板、例えばプラスチ
ックピンまたは他のものの表面上で合成される。ペプチドテスト化合物は、IC
EYポリペプチドと反応させられて、洗浄される。結合されたICEYポリペプ
チドは次いで周知の方法により検出される。精製ICEYは上述の薬物スクリー
ニング技術において使用するためのプレート上に直接コーティングされ得る。更
に、非中和性抗体を用いてペプチドを捕捉し、それを固体支持体の上に固定化す
ることができる。
ICEYポリペプチド、若しくはそのフラグメントへの結合について、テスト
化合物とICEYに特異的に結合し得る中和性抗体とが競合する競合的薬物スク
リーニングアッセイの利用も本発明の企図するところである。このようなアッセ
イを行うことで、この抗体を用いて、1または2以上の抗原決定基がICEYと
共通な任意のペプチドの存在を検出することができる。
14.合理的薬物デザイン
合理的薬物デザインの目標は、興味の対象である生物学的に活性のポリペプチ
ドの構造的類自体や、例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、若しくはインヒビ
ターのような、それらのポリペプチドが相互作用する小さな分子の構造的な類似
体を作り出すことである。ここに例として挙げたものは何れも、ポリペプチドの
より活性または安定な形態のものであるか、またはin vivoでポリペプチ
ドの機能を強化するか、ま
たは阻害する薬剤を形成するのに用いることができる(“Hodgson J
(1991) Bio/Technology 9:19−21”参照)。
1つの方法においては、目的のタンパク質、またはタンパク質−阻害剤複合体
の三次元的構造を、X線結晶解析、コンピュータによるモデル化、若しくは最も
典型的には2つの方法の組合せにより決定する。構造を解明し、分子の活性部位
を決定するためにポリペプチドの形状及び電荷が確認されなければならない。ポ
リペプチドの構造に関する有用な情報は、相同タンパク質の構造に基づいたモデ
リングにより得ることが可能である。何れの場合においても、構造情報を用いて
、ICEY様の分子の類似体をデザインしたり、あるいは効果的な阻害剤を同定
している。合理的薬物デザインの有用な例としては、“Braxton S a
nd Wells JA 1992 Biochemistry 31:779
6−7801”により示された改良活性または安定性を有する分子、または“A
thauda SB et al 1993 J Biochem 113:7
42−746”よって示された天然ペプチドのインヒビター、アゴニストまたは
アンタゴニストとして作用する分子があり、ここでは上述の両文献を参照された
い。
上述のように、機能的アッセイにより選択された標的特異的抗体を単離し、次
いでその結晶構造を解明することも可能である。この方法では、原則として、続
けて行われる薬物デザインにおける基礎となり得るファーマコア(pharmacore)
が作り出される。機能的な、薬理学的に活性の抗体に対する抗イデオタイプの抗
体(抗id)を精製することにより、タンパク質の結晶を精製することにより、
タンパク質の結晶解析をバイパスすることが可能である。鏡像の鏡像のように、
抗idの結合部位は、もとの受容体の類似体であることが期待される。次いで、
抗idを用い
て、化学的または生物学的に産生されたペプチドのバンクからペプチドを同定し
単離することができる。単離されたペプチドは、ファーマコアとして役立つ。
本明細書記載の方法を用いて、X線結晶解析のような分析的研究を行うのに使
用できる十分な量のICEYが作られ得る。更に、ここに開示したICEYアミ
ノ酸配列の知識を、X線結晶解析の代わりまたはそれと共に用いられるコンピュ
ータによるモデリング技術に応用することができる。
上述の明細書の記載の中で引用された全ての文献及び特許明細書は、本明細書
と一体に組み込まれる。上述の記載内容は、当業者が本発明を実施することを可
能にするに十分なものであると考えられる。実際、以下の請求の範囲に記載の本
発明の範囲内で、当業者は上述の実施例を様々に変更を加えて実行することがで
きるであろう。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12Q 1/68 C12Q 1/68 A
//(C12N 15/09 ZNA
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR
,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,
MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
,UA,UG,US,UZ,VN
(72)発明者 ディープ、ディン
アメリカ合衆国カリフォルニア州94132・
サンフランシスコ・モンティセロ 101
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.配列番号:2に示す配列またはその相補的配列を有するポリペプチドをコー ドする核酸配列を含む精製ポリヌクレオチド。 2.前記核酸配列が、配列番号:5の配列であることを特徴とする請求項1に記 載のポリヌクレオチド。 3.請求項2に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする発現ベクター。 4.請求項3に記載の発現ベクターを含むことを特徴とする宿主細胞。 5.請求項2に記載のポリヌクレオチドの非保存フラグメントを含む核酸プロー ブ。 6.請求項2に記載のポリヌクレオチドの少なくとも一部分に対して相補的なポ リヌクレオチド配列を含むことを特徴とするアンチセンス分子。 7.配列番号:6に示す配列を含むポリペプチドを生成する方法であって、 a)前記ポリペプチドの発現に適切な条件の下で、請求項4に記載の宿主細胞 を培養する過程と、 b)前記宿主細胞培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むことを特 徴とする配列番号:6に示す配列を含むポリペプチドを生成する方法。 8.配列番号:6に示すアミノ酸配列を有することを特徴とする精製インターロ イキン変換酵素ホモログ(ICEY)。 9.請求項8に記載の精製ポリペプチドに対して特異的な抗体。 10.請求項5に記載の核酸プローブを含む、インターロイキン変換酵素ホモロ グ(ICEY)をコードする核酸配列を検出するための診断的組成物。 11.生物学的試料において、インターロイキン変換酵素ホモログ(ICEY) をコードするヌクレオチド配列を検出するための診断テスト方法であって、 a)配列番号:5の核酸配列と相補的核酸配列との核酸ハイブリダイゼーショ ン複合体を前記試料内で形成するのに適切な条件の下で、配列番号:5のヌクレ オチド配列、または該ヌクレオチド配列の非保存領域に由来するそのフラグメン トを含むポリヌクレオチドと前記生物学的試料とを結合する過程と、 b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程と、 c)前記ハイブリダイゼーション複合体の量と標準値とを比較する過程とを有 することを特徴とし、 前記ハイブリダイゼーション複合体の異常レベルの存在が炎症に関連する状態 と正の相関を有することを特徴とする診断テスト方法。 12.前記ポリペプチドがレポーター分子で標識され、前記ハイブリダイゼーシ ョン複合体が前記レポーター分子を測定することにより検出されることを特徴と する請求項11に記載の診断テスト方法。 13.生物学的試料において、インターロイキン変換酵素ホモログ(ICEY) をコードするヌクレオチド配列を検出するための診断テスト方法であって、 a)核酸増幅に適切な条件の下で、配列番号:5のヌクレオチド配列の非保存 領域に由来するそのフラグメントを含むPCR用プライマーと前記生物学的試料 とを結合する過程と、 b)増幅された前記ヌクレオチド配列を検出する過程と、 c)前記生物学的試料における前記増幅されたヌクレオチド配列の量と標準値 とを比較し、前記ヌクレオチド配列の量が前記標準値からずれているか否かを決 定する過程とを有することを特徴とし、 前記ヌクレオチド配列の異常レベルの存在が炎症に関連する状態と正の相関を 有することを特徴とする診断テスト方法。 14.請求項8のポリペプチドまたはその一部分に対する特異的結合親和性によ り複数の化合物をスクリーニングする方法であって、 a)複数の化合物を準備する過程と、 b)適切な条件の下で結合し得るだけの十分な時間をかけて前記複数の化合物 のそれぞれとインターロイキン変換酵素(ICEY)とを結合する過程と、 c)前記ICEYが各前記複数の化合物に結合したことを検出することによっ て、前記ICEYに特異的に結合する化合物を同定する過程とを有することを特 徴とする複数の化合物のスクリーニング方法。
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