JPH1146547A - 刈払機用のチップソー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小石等を効果的に跳ね飛ばしてチップの欠け
を防止し、隅部の雑草等の刈り取りを容易に行えると共
に、糸刃の切断等を防止して長期に亘り安定使用し得る
刈払機用のチップソーを提供する。 【解決手段】 円盤状の台金の外周縁に複数個のチップ
取付部を形成し、該チップ取付部にチップがそれぞれロ
ウ付け固定された刈払機用のチップソーにおいて、台金
の表面の外周縁部に少なくとも一対の糸刃係止片を形成
し、該糸刃係止片に先端部がチップの先端部より外側に
突出する如く糸刃を脱着可能に取り付けたことを特徴と
する。糸刃係止片は、例えば台金を打ち抜き加工するこ
とにより形成され、台金の円周方向に等間隔で設けら
れ、また糸刃係止片のうち台金の取付孔側の糸刃係止片
の内側に糸刃の脱落を防止し得るストッパ片が設けら
れ、一対の糸刃係止片を結ぶ直線は、台金の取付孔の中
心と最も取付孔側の糸刃係止片を結ぶ直線より、台金の
回転方向側に位置している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、刈払機の刈刃とし
て使用される刈払機用のチップソーに係わり、特にチッ
プを保護しつつ隅部の雑草等を容易に刈り取りできる刈
払機用のチップソーに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、雑草又は立木等の刈払い作業に使
用する刈払機には、エンジン付きの刈払機が使用され、
その刈刃としてチップソーが使用されている。このチッ
プソーは、一般的に均一した厚さの鋼板をプレスで打ち
抜いて台金を成形し、この台金の外周縁に形成された複
数個の凹部もしくは段部からなるチップ取付部に、超硬
合金からなるチップをそれぞれロウ付け固定したもので
ある。

【０００３】ところが、このチップソーにあっては、超
硬合金からなるチップを、その先端部が最外周側に位置
するようにチップ取付部に一定の取付角度でロウ付け固
定しているため、チップソーの回転時にチップに小石等
が当たると、チップの先端部が欠けて切れ味の低下が早
くなると共に、ブロック塀や金網塀、太い立木等に接す
る隅部の雑草等の刈り取りが難しいという不都合があっ
た。

【０００４】そこで、当出願人は、このような不都合を
解決するために、チップソーの外周縁部に円周方向に沿
って等間隔で糸刃を脱着可能に取り付け、この糸刃によ
って隅部の雑草等を刈り取りできる刈払機用のチップソ
ーを出願（特開平８−１９６１２８号参照）した。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このチ
ップソーにあっては、台金の外周部に形成した糸刃取付
部に糸刃を脱着可能に取り付け得るものの、糸刃が台金
の表裏面に跨って取り付けられているため、チップソー
の回転時に台金の刈払機への反取付面（以下裏面とい
う）側に露出する糸刃が雑草や石等に当たり、糸刃が切
断し易いという問題点があった。

【０００６】また、台金に糸刃をネジによって脱着可能
に取り付けるものにあっては、糸刃の台金への固定強度
が不足し、チップソーの回転による遠心力等で糸刃が脱
落し易く、長期に亘り安定して使用することができない
という問題点があった。

【０００７】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、請求項１ないし４記載の発明の目的は、小石
等を効果的に跳ね飛ばしてチップの欠けを防止し、隅部
の雑草等の刈り取りを容易に行えると共に、糸刃の切断
等を防止して長期に亘り安定使用し得る刈払機用のチッ
プソーを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明のうち請求項１記載の発明は、円盤状の台金
の外周縁に複数個のチップ取付部を形成し、該チップ取
付部にチップがそれぞれロウ付け固定された刈払機用の
チップソーにおいて、台金の表面の外周縁部に少なくと
も一対の糸刃係止片を形成し、該糸刃係止片に先端部が
チップの先端部より外側に突出する如く糸刃を脱着可能
に取り付けたことを特徴とする。

【０００９】このように構成することにより、台金の外
周縁部に形成した一対の糸刃係止片に、例えば合成樹脂
製糸からなる糸刃を、その先端部がチップの先端部より
外側に突出する状態で取り付ける。そして、チップソー
が回転すると糸刃もチップと共に回転し、チップの先端
部から突出する糸刃の先端部によって、小石等が跳ね飛
ばされると共に、隅部の雑草の刈り込みが可能になる。
糸刃係止片はチップソーの刈払機への取付面である台金
の表面に少なくとも一対設けることにより、糸刃係止片
への糸刃の脱着が容易に行えると共に、糸刃の取付部の
雑草等への直接的な接触が防止されて糸刃の切断等が防
止され長期間の安定使用が可能になる。

【００１０】また、請求項２記載の発明は、糸刃係止片
が前記台金を打ち抜き加工することによって形成され、
台金の円周方向に略等間隔で設けられていることを特徴
とする、このように構成することにより、台金の裏面側
からプレスの打ち抜き加工で複数の糸刃係止片を同時に
形成することができて、糸刃を使用するチップソーのコ
ストアップを極力抑えることができる。

【００１１】また、請求項３記載の発明は、糸刃係止片
のうち台金の取付孔側の糸刃係止片の内側に、糸刃の脱
落を防止し得るストッパ片が設けられていることを特徴
とする。このように構成することにより、糸刃の基端側
の端部に設けられた掛かり部の糸刃係止片からの抜けが
防止され、糸刃のチップソーからの脱落が抑えられてチ
ップソーのより長期間の使用が可能になる。

【００１２】また、請求項４記載の発明は、一対の糸刃
係止片を結ぶ直線が、台金の取付孔の中心と最も取付孔
側の糸刃係止片を結ぶ直線より、台金の回転方向側に位
置していることを特徴とする。このように構成すること
により、糸刃の先端部がチップソーの回転により反回転
方向に大きく曲がることがなくなり、糸刃の先端部を切
削刃として十分に機能させることができて、隅部の雑草
等の刈り取りがより良好に行える。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づいて詳細に説明する。図１〜図４は、本発
明に係わる刈払機用のチップソーの一実施例を示し、図
１がその平面図、図２が要部の拡大平面図、図３がその
断面図、図４が要部の斜視図である。

【００１４】図１において、チップソー１は、円盤状の
台金２を有している。この台金２は、例えばＳＫ材、Ｓ
ＫＳ材等の鋼板で円盤状に形成され、その中心部には、
図示しない刈払機への取付孔３が穿設されている。

【００１５】また、台金２の外周部には、刃部４が形成
されている。この刃部４には、複数個のガレット５が形
成され、このガレット５間には、チップ取付部６が形成
されている。このチップ取付部６には、チップ固定用の
凹部７（段部も含む）が形成され、この凹部７に、例え
ば超硬合金からなるチップ８がそれぞれ嵌合されてロウ
付け固定されている。

【００１６】そして、台金２の表面２ａ側（刈払機への
取付面側）の外周縁で円周方向の等間隔（例えば角度が
９０度）の４個所には、一対の糸刃係止片９、１０と１
個のストッパ片１１がそれぞれ設けられ、この糸刃係止
片９、１０とストッパ片１１に糸刃１２がそれぞれ取り
付けられている。

【００１７】一対の糸刃係止片９、１０は、図２〜図４
に示すように、台金２をその裏面２ｂ側からプレス機に
よって打ち抜き加工することによって同時成形され、台
金２の表面２ａに沿って連通する係止孔９ａ、１０ａを
有している。ストッパ片１１も糸刃係止片９、１０と同
様に、打ち抜き加工により同時成形され、その孔１１ａ
の大きさは糸刃係止片９、１０の係止孔９ａ、１０ａよ
り小さくなるように設定されている。

【００１８】また、一対の糸刃係止片９、１０を結ぶ直
線Ｌ１は、内側（台金２の中心方向側）の糸刃係止片９
と取付孔３の中心Ｏ（図１参照）を結ぶ直線Ｌに対し
て、回転方向イに所定角度α傾斜するように設定されて
いる。この角度αによって、糸刃係止片９、１０に係止
されている糸刃１２が、チップソー１の矢印イ方向への
回転時に後方側に逃げて刃として機能しなくなるのが防
止されている。

【００１９】そして、この糸刃係止片９、１０の係止孔
９ａ、１０ａに、例えば合成樹脂製の糸からなる糸刃１
２が貫通係止させられると共に、糸刃１２の基端側に設
けられた例えば結び目、溶着球等からなる掛かり部１２
ａが、糸刃係止片９とストッパ片１１間に位置すること
により、その抜けが防止された状態で取り付けられてい
る。

【００２０】この糸刃１２の糸刃係止片９、１０等への
取り付けは、糸刃１２の先端部１２ｂをストッパ片１１
の上方から糸刃係止片９の係止孔９ａに挿通させると共
に、その先端を糸刃係止片１０の係止孔１０ａに挿通さ
せ、その突出端部（先端部１２ｂ）を引っ張ることによ
り、糸刃１２の掛かり部１２ａが糸刃係止片９とストッ
パ片１１間に嵌合して取り付けられる。この時、糸刃１
２の長さを予め適宜に設定することにより、図１に示す
ように、糸刃１２の先端部１２ｂを結ぶ外周線Ｌ３が、
チップ８の先端部８ａを結ぶ外周線Ｌ２より所定寸法ｔ
外側に位置している。

【００２１】また、チップソー１の使用により磨耗した
糸刃１２を交換する時等のように糸刃１２を台金２から
取り外す場合は、糸刃１２の掛かり部１２ａを上方に持
ち上げて引き抜くことにより、糸刃１２を糸刃係止片
９、１０から容易に取り外すことができる。

【００２２】このチップソー１は、台金２の表面２ａ側
を刈払機側に向けて、その取付孔３を介して刈払機に装
着して、図１の矢印イ方向に回転させると、回転方向イ
に向いて取り付られているチップ８の先端部８ａによっ
て雑草等が刈り取られる。この時、例えば小石等がチッ
プソー１に当たろうとした場合、チップ８の先端部８ａ
を結ぶ外周線Ｌ２から外側に突出している糸刃１２によ
って、チップ８に当たる前にこの小石等が跳ね飛ばされ
る。また、糸刃１２自体も、チップソー１の回転によっ
て回転して隅部の雑草等を刈り取る。

【００２３】このように、上記実施例においては、台金
２の表面２ａ側の外周縁部に一対の糸刃係止片９、１０
とストッパ片１１を設け、これに先端部１２ｂがチップ
８の先端部８ａより外側に位置するよう糸刃１２を係止
させているため、草刈作業時に小石等があっても、糸刃
１２によって跳ね飛ばすことができ、チップ８の欠けが
少なくなり、チップ８の欠けによる切れ味の低下等を防
止することができる。

【００２４】また、糸刃１２により、例えば大きな石の
回りの隅部とか、レンガの垣根の隅部、太い立木の周囲
等の、チップソー１のチップ８を近づけ難い隅部の雑草
等の刈り取りを容易に行うことができる。また、糸刃１
２は、掛かり部１２ａを設けて先端部１２ｂ側を台金２
の糸刃係止片９、１０の係止孔９ａ、１０ａに貫通させ
るだけで台金２に取り付けることができるため、取り付
け作業が容易になると共に、短くなった糸刃１２の交換
も作業現場等で容易に行うことができる。

【００２５】さらに、糸刃係止片９、１０及びストッパ
片１１が台金２の表面２ａ側に設けられているため、糸
刃１２が刈り取りする雑草や石等に直接接触することが
なくなり、糸刃１２の切断が確実に防止されると共に、
糸刃１２の掛かり部１２ａがストッパ片１１に当接して
いるため、チップソー１の回転時に作用する遠心力等に
よって、糸刃１２が糸刃係止片９、１０から抜けること
もなくなる。

【００２６】また、一対の糸刃係止片９、１０を結ぶ直
線Ｌ１が糸刃係止片９と台金２の取付孔３を結ぶ直線Ｌ
に対して回転方向イ側に所定角度α傾斜しているため、
チップソー１の回転によって糸刃１２が反回転方向に逃
げてしまうことがなく、糸刃１２に切削刃としての機能
を十分に持たせることができる。これらのことから、チ
ップソー１を長期に亘り安定した切れ味の状態で使用す
ることが可能になる。

【００２７】またさらに、糸刃１２を取り付けるための
糸刃係止片９、１０やストッパ片１１が、プレス機で台
金２を打ち抜き加工することによって、例えば４個所同
時に形成することができるため、加工コストを低減させ
ることができる等、安価なチップソー１を得ることが可
能になる。

【００２８】なお、上記実施例においては、台金２を切
断することなく打ち抜くことにより、一対の糸刃係止片
９、１０を、ともに台金２の表面２ａに沿って貫通する
係止孔９ａ、１０ａを有するように形成したが、例えば
図５に示すように、例えば先端側の糸刃係止片１０を鍵
状に形成し、係止孔１０ａ部に側面側に開口する開口部
１４を設けても良い。この場合、係止孔１０ａの開口部
１４をチップソー１の回転方向イの前方側に設定する。

【００２９】また、上記実施例においては、ストッパ片
１１を糸刃係止片９、１０と共に打ち抜き加工により同
時成形したが、例えば図５に示すように、平面視略コ字
状のストッパ片１５を台金２の表面２ａにロウ付け固定
するようにしても良い。さらに、上記実施例において
は、糸刃１２を台金２の円周方向に等間隔で４個所設け
たが、糸刃１２を例えば１個所あるいは２個所以上設け
ることもできるし、その間隔も等間隔でなく適宜の間隔
で設けることもできる。

【００３０】またさらに、糸刃係止片９、１０の数も２
つに限らず、３つ以上設けることもできるし、その形状
も上記実施例に限定されるものでもなく、適宜形状の糸
刃係止片を採用することができる。また、上記実施例に
おいては、糸刃１２として合成樹脂製の糸を使用する場
合について説明したが、例えばピアノ線等の金属線やカ
ーボン繊維等の適宜の糸状部材を使用することができる
等、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可
能であることはいうまでもない。

【００３１】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１ないし４
記載の発明によれば、台金の表面外周縁部の糸刃係止片
に取り付けた糸刃によって、小石等を跳ね飛ばしてチッ
プの欠けを防止することができ、チップソーのチップを
近づけ難い隅部の雑草等の刈り込みが容易に行えると共
に、糸刃が台金の表面に取り付けられているため、糸刃
が直接石等に当たることがなくなり、チップソー回転時
の糸刃の切断等が防止されて、長期に亘り安定して使用
することができる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる刈払機用のチップソーの一実施
例を示す平面図

【図２】同その要部の拡大平面図

【図３】同その断面図

【図４】同要部の斜視図

【図５】同糸刃係止片の変形例を示す斜視図

【符号の説明】

１ チップソー ２ 台金 ２ａ 表面 ２ｂ 裏面 ３ 取付孔 ４ 刃部 ５ ガレット ６ チップ取付部 ７ 凹部 ８ チップ ８ａ 先端部 ９、１０ 糸刃係止片 ９ａ、１０ａ 係止孔 １１ ストッパ片 １２ 糸刃 １２ａ 掛かり部 １２ｂ 先端部 １４ 開口部 １５ ストッパ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円盤状の台金の外周縁に複数個のチップ取
   付部を形成し、該チップ取付部にチップがそれぞれロウ
   付け固定された刈払機用のチップソーにおいて、前記台
   金の表面の外周縁部に少なくとも一対の糸刃係止片を形
   成し、該糸刃係止片に先端部が前記チップの先端部より
   外側に突出する如く糸刃を脱着可能に取り付けたことを
   特徴とする刈払機用のチップソー。
2. 【請求項２】前記糸刃係止片が前記台金を打ち抜き加工
   することによって形成され、台金の円周方向に略等間隔
   で設けられていることを特徴とする請求項１記載の刈払
   機用のチップソー。
3. 【請求項３】前記糸刃係止片のうち台金の取付孔側の糸
   刃係止片の内側に、糸刃の脱落を防止し得るストッパ片
   が設けられていることを特徴とする請求項１または２記
   載の刈払機用のチップソー。
4. 【請求項４】前記一対の糸刃係止片を結ぶ直線が、前記
   台金の取付孔の中心と最も取付孔側の糸刃係止片を結ぶ
   直線より、台金の回転方向側に位置していることを特徴
   とする請求項１ないし３のいずれかに記載の刈払機用の
   チップソー。