JPH1143457A - アリルパーフルオロアルキルエーテルの製造法 - Google Patents

アリルパーフルオロアルキルエーテルの製造法

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JPH1143457A
JPH1143457A JP9201355A JP20135597A JPH1143457A JP H1143457 A JPH1143457 A JP H1143457A JP 9201355 A JP9201355 A JP 9201355A JP 20135597 A JP20135597 A JP 20135597A JP H1143457 A JPH1143457 A JP H1143457A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 次の一般式(1) 【化1】Rf−(CH2n−OH (1) 〔式中、Rf はパーフルオロアルキル基を示し、nは1
〜12の数である〕で表わされるパーフルオロアルキル
アルコールとアリルハライドとを第三級アルコールを溶
媒とし、固体アルカリの存在下で反応させることを特徴
とする次の一般式(2) 【化2】 Rf−(CH2n−O−CH2−CH=CH2 (2) 〔式中、Rf およびnは前記と同じである〕で表わされ
るアリルパーフルオロアルキルエーテルの製造法。 【効果】 アリルパーフルオロアルキルエーテルを比較
的低い反応温度であっても短時間で、かつ高収率、高純
度で製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、界面活性剤、また
は防油および防水処理剤の製造中間体などとして有用な
アリルパーフルオロアルキルエーテルの新規な製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】既に、
パーフルオロアルキル基を含むアリルエーテル化合物が
数多く知られている。これらの化合物は、界面活性剤ま
たは種々の基質に防水および防油処理を施すための物質
の製造中間体として使用し得るものである。
【0003】これらのアリルエーテル化合物を製造する
方法としては、(1)フッ化ケトンまたはフッ化酸クロ
リドから合成する方法(ジャーナル・オブ・ポリマー・
サイエンス、Al、6、1741(1968))(2)
パーフルオロ化されたアルコールを原料として水酸化ナ
トリウム水溶液および相関移動触媒を用いる方法(フラ
ンス特許2566401)、(3)パーフルオロ化され
たアルコールを原料として固体アルカリ金属水酸化物と
ポリエチレングリコールジアルキルエーテルを用いる方
法(ヨーロッパ特許265856)が知られている。
【0004】しかしながら、いずれの方法においても反
応に要する時間が長いという問題があった。反応時間の
短縮をはかるため反応温度を高く設定すると、アリルハ
ライドの重合などの副反応が進行するうえ、反応に用い
るアリルハライドの沸点(塩化アリル:45℃、臭化ア
リル:71℃、ヨウ化アリル:102℃)以上の反応温
度においては、強い悪臭や催涙性を有するアリルハライ
ドが反応装置外部に留出する危険性を有していた。この
留出を防止するためトラップ設備の設置が必要となり、
製造コストが高くなることが避けられなかった。
【0005】従って、本発明は、比較的低い反応温度で
あっても短時間でアリルパーフルオロアルキルエーテル
を製造し得る方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような実情におい
て、本発明者らは鋭意検討を行なった結果、反応溶媒と
して第三級アルコールを用いることでパーフルオロアル
キルアルコールとアリルハライドが、固体アルカリの存
在下きわめて速やかに反応し、高純度、高収率でアリル
パーフルオロアルキルエーテルが製造できることを見出
し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、次の一般式(1)
【0008】
【化3】Rf−(CH2n−OH (1)
【0009】〔式中、Rf はパーフルオロアルキル基を
示し、nは1〜12の数である〕で表わされるパーフル
オロアルキルアルコールとアリルハライドとを第三級ア
ルコールを溶媒とし、固体アルカリの存在下で反応させ
ることを特徴とする次の一般式(2)
【0010】
【化4】 Rf−(CH2n−O−CH2−CH=CH2 (2)
【0011】〔式中、Rf およびnは前記と同じであ
る〕で表わされるアリルパーフルオロアルキルエーテル
の製造法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で用いるパーフルオロアル
キルアルコール(1)としては、炭素数1〜16の直鎖
または分岐鎖のパーフルオロアルキル基を有するアルコ
ールが好ましい。このようなパーフルオロアルキルアル
コールとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエ
タノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパ
ノール、1H,1H−ヘプタフルオロブタノール、2,
2,2,3,3−ペンタフルオロエタノール、2−(パ
ーフルオロブチル)エタノール、2−(パーフルオロヘ
キシル)エタノール、2−(パーフルオロオクチル)エ
タノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、2
−(パーフルオロドデシル)エタノール、2−(パーフ
ルオロテトラデシル)エタノール、2−(パーフルオロ
ヘキサデシル)エタノール、2−(パーフルオロ−3−
メチルブチル)エタノール、2−(パーフルオロ−5−
メチルヘキシル)エタノール、2−(パーフルオロ−7
−メチルオクチル)エタノール、2−(パーフルオロ−
9−メチルデシルエタノール)、1H,1H,3H−テ
トラフルオロプロパノール、1H,1H,5H−オクタ
フルオロペンタノール、1H,1H,7H−ドデカフル
オロヘプタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフル
オロノナノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノ
ール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、
2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロパノール、
2,2−ビス(トリフルオロメチル)−2−ペンタフル
オロプロピルエタノール、6−(パーフルオロエチル)
ヘキサノール、6−(パーフルオロブチル)ヘキサノー
ル、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−
(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール、3−(パーフ
ルオロオクチル)プロパノール、6−(パーフルオロオ
クチル)ヘキサノール、3−(パーフルオロデシル)プ
ロパノール、6−(パーフルオロデシル)ヘキサノー
ル、3−(パーフルオロドデシル)プロパノール、6−
(パーフルオロドデシル)ヘキサノール、3−(パーフ
ルオロテトラデシル)プロパノール、6−(パーフルオ
ロテトラデシル)ヘキサノール、3−(パーフルオロヘ
キサデシル)プロパノール、6−(パーフルオロヘキサ
デシル)ヘキサノール、6−(パーフルオロ−1−メチ
ルエチル)ヘキサノール、6−(パーフルオロ−3−メ
チルブチル)ヘキサノール、6−(パーフルオロ−5−
メチルヘキシル)ヘキサノール、6−(パーフルオロ−
7−メチルオクチル)ヘキサノール等が挙げられる。な
お、パーフルオロアルキルアルコールは単一化合物でな
く、炭素数の異なる2種以上のパーフルオロアルキルア
ルコールの混合物であってもよい。
【0013】本発明で用いるアリルハライドとしては、
塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル等が挙げられ
る。
【0014】本発明で用いる固体アルカリとしては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭
酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等
が挙げられ、水酸化ナトリウムが特に好ましい。固体ア
ルカリの形状としては、塊状、ペレット状、フレーク
状、粒状等が挙げられるが、フレーク状または粒状のも
のがパーフルオロアルキルアルコールとアリルハライド
とを速かに反応させる点から好ましく、特に粒径が0.
01〜1mmのものが好ましい。このような固体アルカリ
としては、例えばフレーク状水酸化ナトリウム、トーソ
ーパール(粒径0.7mmの水酸化ナトリウム、トーソー
社製)等が挙げられる。
【0015】本発明で用いる第三級アルコールとして
は、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−
ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール等が挙げら
れ、2−メチル−2−プロパノールと2−メチル−2−
ブタノールが好ましく、2−メチル−2−プロパノール
が特に好ましい。
【0016】本発明における反応において、パーフルオ
ロアルキルアルコールとアリルハライドおよび固体アル
カリの使用比率は任意に選ばれるが、パーフルオロアル
キルアルコールに対して、アリルハライドは1〜3当
量、固体アルカリは1〜3当量用いるのが反応速度や生
成物の純度の点から特に好ましい。
【0017】本発明における反応において、第三級アル
コールの使用量としては特に制限はなく、パーフルオロ
アルキルアルコールの全てあるいは一部を溶解させるこ
とができればよいが、製造コストや反応速度の点からパ
ーフルオロアルキルアルコールに対して1〜300重量
%用いるのが好ましい。
【0018】本発明における反応は、上記パーフルオロ
アルキルアルコールとアリルハライドを第三級アルコー
ルを溶媒とし、固体アルカリの存在下で反応させればよ
く、反応温度は本反応を決定づけるものではないが、ア
リルハライドの反応装置外部への留出を避けるため反応
に使用するアリルハライドの沸点以下の温度で反応を行
なうのが好ましい。
【0019】反応は通常30分〜4時間で終了するが、
30分〜2時間とするのが好ましい。
【0020】また反応終了後反応混合物からの目的物の
単離は、留去、洗浄、蒸留等により容易に行なわれる。
【0021】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
【0022】実施例1 還流冷却管および1 lの滴下ロートを備えた10 lの
4口フラスコに、2−(パーフルオロデシル)エタノー
ル2400g(4.25mol)、粒径0.7mmの粒状固
体水酸化ナトリウム(トーソーパール、トーソー社製)
340g(8.51mol)、2−メチル−2−プロパノ
ール2400gを入れ、攪拌した。次に、60℃に昇温
したのち臭化アリル772g(6.38mol)を時々冷
却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに
60℃で1時間攪拌を続けると反応が終了(反応転化率
99.9%以上)した。過剰の臭化アリルおよび2−メ
チル−2−プロパノールを常圧、次いで減圧除去し、水
洗した後、減圧蒸留(120℃/10Torr)を行ない、
無色の固体精製物2294g(収率89.3%)を得
た。得られた精製物を1H−NMRで分析したところ、
アリル((パーフルオロデシル)エチル)エーテルであ
ることがわかった。
【0023】1H-NMR(CDCl3,δ):2.33-2.55(m,2H), 3.7
3(t,2H,J=6.9Hz),4.01(d,2H,J=5.6Hz), 5.20-5.34(m,2
H), 5.81-6.01(m,1H)
【0024】実施例2 還流冷却管および100mlの滴下ロートを備えた100
0mlの4口フラスコに、2−(パーフルオロオクチル)
エタノール200g(0.43mol)、粒径0.7mmの
粒状固体水酸化ナトリウム(トーソーパール、トーソー
社製)26.0g(0.65mol)、2−メチル−2−
プロパノール50gを入れ、攪拌した。次に、60℃に
昇温したのち臭化アリル78.6g(0.65mol)を
時々冷却しながら30分間かけて滴下した。滴下終了
後、さらに60℃で1時間攪拌を続けると反応が終了
(反応転化率99.9%以上)した。過剰の臭化アリル
および2−メチル−2−プロパノールを常圧、次いで減
圧除去し、水洗した後、減圧蒸留(120℃/10Tor
r)を行ない、無色の液体精製物208.3g(収率9
6.1%)を得た。得られた精製物を1H−NMRで分
析したところ、アリル((パーフルオロオクチル)エチ
ル)エーテルであることがわかった。
【0025】1H-NMR(CDCl3,δ):2.30-2.55(m,2H), 3.7
3(t,2H,J=6.9Hz),4.01(d,2H,J=5.6Hz), 5.20-5.35(m,2
H), 5.81-6.01(m,1H)
【0026】比較例1 還流冷却管および100mlの滴下ロートを備えた200
mlの3口フラスコに、あらかじめ60℃で加熱溶解させ
た2−(パーフルオロオクチル)エタノール100.0
g(0.215mol)、臭化アリル39.1g(0.3
23mol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド2.
08gを入れ、60℃で攪拌を行なった。次に、60℃
で攪拌を続けたまま、48%NaOH水溶液26.9g
(0.323mol)を時々冷却しながら30分かけて滴
下した。滴下終了後、60℃で5時間攪拌を続けた。反
応終了(反応転化率97.0%)後、水洗、過剰の臭化
アリルを減圧除去を行なった後、減圧蒸留し、無色の精
製物95.8g(収率88.1%)を得た。得られた精
製物を1H−NMRで分析したところ、アリル((パー
フルオロオクチル)エチル)エーテルであることがわか
った。
【0027】比較例2 還流冷却管および1 lの滴下ロートを備えた10 lの
4口フラスコに、2−(パーフルオロデシル)エタノー
ル2400g(4.25mol)、粒径0.7mmの粒状固
体水酸化ナトリウム(トーソーパール、トーソー社製)
340g(8.51mol)テトラヒドロフラン2400
gを入れ、攪拌した。次に、60℃に昇温したのち臭化
アリル772g(6.38mol)を時々冷却しながら1
時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに60℃で27
時間攪拌を続けると反応が終了(反応転化率99.5
%)した(3時間後の反応転化率は80.7%)。過剰
の臭化アリルおよびテトラヒドロフランを常圧、次いで
減圧除去し、水洗した後、減圧蒸留(120℃/10To
rr)を行ない、無色の固体精製物2247g(収率8
7.4%)を得た。得られた精製物を1H−NMRで分
析したところ、アリル((パーフルオロデシル)エチ
ル)エーテルであることがわかった。
【0028】比較例3 還流冷却管および100mlの滴下ロートを備えた500
mlの3口フラスコに、2−(パーフルオロデシル)エタ
ノール130.0g(0.230mol)、テトラヒドロ
フラン130mlを入れ、攪拌溶解させた。次に、65℃
に昇温したのちペレット状NaOH27.7g(0.6
93mol)を添加し、臭化アリル41.8g(0.34
6mol)を時々冷却しながら1時間かけて滴下した。滴
下終了後、さらに65℃で10時間攪拌を続けた。反応
終了(反応転化率97.2%)後、過剰の臭化アリルお
よびテトラヒドロフランを減圧除去し、水洗した後、減
圧蒸留(120℃/10Torr)を行ない、無色の固体精
製物98.7g(収率71.0%)を得た。得られた精
製物を1H−NMRで分析したところ、アリル((パー
フルオロデシル)エチル)エーテルであることがわかっ
た。
【0029】以上のように、第三級アルコールを溶媒と
し、固体アルカリの存在下で反応させることによって、
パーフルオロアルキルアルコールとアリルハライドと
が、きわめて速やかに反応し、高純度、高収率でアリル
パーフルオロアルキルエーテルを製造できることが明ら
かである。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、アリルパーフルオロア
ルキルエーテルを比較的低い反応温度であっても短時間
で、かつ高収率、高純度で製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤倉 芳明 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1) 【化1】Rf−(CH2n−OH (1) 〔式中、Rf はパーフルオロアルキル基を示し、nは1
    〜12の数である〕で表わされるパーフルオロアルキル
    アルコールとアリルハライドとを第三級アルコールを溶
    媒とし、固体アルカリの存在下で反応させることを特徴
    とする次の一般式(2) 【化2】 Rf−(CH2n−O−CH2−CH=CH2 (2) 〔式中、Rf およびnは前記と同じである〕で表わされ
    るアリルパーフルオロアルキルエーテルの製造法。
  2. 【請求項2】 第三級アルコールが2−メチル−2−プ
    ロパノール、2−メチル−2−ブタノールまたは2−メ
    チル−2−ペンタノールである請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 パーフルオロアルキルアルコールとアリ
    ルハライドとの反応を、反応に使用するアリルハライド
    の沸点以下の温度で行なうものである請求項1または2
    記載の製造法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007099687A (ja) * 2005-10-05 2007-04-19 Fujifilm Corp 2−含フッ素アルコキシ脂肪酸エステル化合物の製造方法
CN103071425A (zh) * 2012-12-14 2013-05-01 江苏省海安石油化工厂 一种乳化剂
JP2014214131A (ja) * 2013-04-26 2014-11-17 花王株式会社 アリルパーフルオロアルキルエーテルの製造方法
CN104892855A (zh) * 2015-03-20 2015-09-09 成都理工大学 一种低渗透油藏采油用表面活性剂的制备方法

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